説明

タイヤ空気圧センサのID登録システム

【課題】ユーザが簡単な操作で各タイヤに搭載される空気圧センサのIDを車載装置に登録することができ、かつユーザが、車載装置でID登録が確実に行われたか否かを確認することができる車両用タイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】携帯機202は、ユーザの操作入力により設定したタイヤ位置をタイヤ位置設定情報としてタイヤ空気圧センサ50bに送信し、タイヤ空気圧センサは、受信したタイヤ位置設定情報を予め記憶されたセンサIDとともにタイヤ情報として車載装置70に送信し、車載装置は、受信したタイヤ情報に含まれるタイヤ位置とセンサIDとを関連付けて記憶部に登録し、登録が完了した旨を含む登録完了情報を携帯機に送信し、携帯機は、受信した登録完了情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のタイヤ空気圧センサのID登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの空気圧の異常が発生した場合、前後、左右のタイヤ位置を特定して警報信号を出力するタイヤ空気圧モニタリングシステムがある。このシステムでは、タイヤローテーション等でタイヤ位置が変更された場合であっても、空気圧センサとこの空気圧センサが取り付けられるタイヤ位置とが一致するように、各タイヤに搭載される空気圧センサのIDを車両側の空気圧検出装置に登録する必要がある。そこで、簡単な操作で各タイヤに搭載される空気圧センサのIDを車両内の空気圧検出装置(すなわち、車載装置)に登録することのできるタイヤ空気圧センサのID登録用携帯機及びID登録システムが考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成は、ID登録用携帯機と、車両のキーレスエントリー用携帯機とを一体化させ、操作者の利便性を向上させているが、各タイヤの空気圧センサのIDのタイヤ位置との関連付けの操作と、各タイヤの空気圧センサのIDの車載装置への送信操作とが別操作になっており、必ずしも簡単な操作とはいえない。また、ユーザが、車載装置で各タイヤの空気圧センサのID登録が確実に行われたか否かを確認することができないという問題もある。
【0005】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、ユーザが簡単な操作で各タイヤに搭載される空気圧センサのIDを車載装置に登録することができ、かつユーザが、車載装置でID登録が確実に行われたか否かを確認することができるタイヤ空気圧センサのID登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するためのタイヤ空気圧センサのID登録システムは、
ユーザが所持する携帯機を用いて、車両の車輪に搭載されたタイヤ空気圧センサユニットに備えられるタイヤ空気圧センサを識別するためのセンサIDを、車両に搭載された車載装置に登録するためのタイヤ空気圧センサのID登録システムであって、
携帯機は、ユーザの操作入力により、タイヤ位置を設定するタイヤ位置設定部と、設定したタイヤ位置を含むタイヤ位置設定情報を生成するタイヤ位置設定情報生成部と、生成したタイヤ位置設定情報をタイヤ空気圧センサに送信するタイヤ位置設定情報送信部を備え、
タイヤ空気圧センサユニットは、タイヤ位置設定情報を受信するタイヤ位置設定情報受信部と、センサIDを予め記憶するセンサID記憶部と、受信したタイヤ位置設定情報とセンサIDとを含むタイヤ情報を生成するタイヤ情報生成部と、生成したタイヤ情報を車載装置に送信するタイヤ情報送信部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によって、各タイヤの空気圧センサのIDのタイヤ位置との関連付けの操作と、各タイヤの空気圧センサのIDの車載装置への送信操作とを、ユーザ(あるいは整備士)の1回の操作(すなわち、タイヤ位置設定操作)によって行うことができ、操作回数を低減するとともに操作時間を短縮でき、利便性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車載装置は、タイヤ情報を受信するタイヤ情報受信部と、受信したタイヤ情報に含まれる、タイヤ位置とセンサIDとを関連付けて記憶部に登録するタイヤ情報登録部を備える。
【0009】
上記構成によって、ユーザの1回の操作によって、タイヤ位置とセンサIDとを関連付けて登録できる。
【0010】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車載装置は、タイヤ情報登録部による登録が完了したときに、その旨を含む登録完了情報を生成する登録完了情報生成部と、生成した登録完了情報を携帯機に送信する登録完了情報送信部を備える。
【0011】
上記構成によって、従来技術の構成とは異なり、携帯機に、タイヤ位置とセンサIDとの登録が完了した情報を保持することができる。
【0012】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける携帯機は、登録完了情報を受信する登録完了情報受信部と、登録完了情報を受信したときに、登録完了情報を報知する登録完了情報報知部を備える。
【0013】
上記構成によって、ユーザは、車載装置で各タイヤの空気圧センサのID登録が確実に行われたか否かを確認することができる。
【0014】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車載装置の登録完了情報送信部は、LF帯の電波にて登録完了情報を送信する。
【0015】
LF帯の電波を用いた通信は、電波の到達範囲(すなわち、所定の感度で相互通信が可能なエリア)を狭くすることができる。よって、より一層、携帯機と各空気圧センサユニットとが1対1で通信しやすくすることができる。
【0016】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車両には、キーレス操作キーと双方向通信を行う通信部と、キーレス操作キーとの双方向通信結果に基づいて予め定められた動作を許可する動作許可部を備えるキーレスシステムが設けられ、登録完了情報送信部およびタイヤ情報受信部は、通信部に兼用され、携帯機は、キーレス操作キーに兼用される。
【0017】
上記構成によって、キーレスシステムの一部と兼用することで、比較的低コストで本発明の構成を実現できる。
【0018】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車両には、ユーザの操作によりリモート操作キーから送信される制御信号を受信する制御信号受信部を備え、受信した制御信号に基づいて、車両のドアロック機構の施錠および解錠を行うリモートキーレスエントリーシステムが設けられ、タイヤ情報受信部は、制御信号受信部に兼用され、携帯機は、リモート操作キーに兼用される。
【0019】
上記構成によって、リモートキーレスエントリーシステムの一部と兼用することで、追加する回路や部品を抑えることができ、比較的低コストで本発明の構成を実現できる。
【0020】
また、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムにおける携帯機のタイヤ位置設定情報送信部は、LF帯の電波にてタイヤ位置設定情報を送信する。
【0021】
他のタイヤがタイヤ位置設定情報を受信しないように、携帯機からの送信範囲を限定する必要があり、キーレスシステムの双方向通信で利用しているLF帯の通信は、電波の到達範囲が狭いため、携帯機と各タイヤが1対1の通信を行うのに適しており、本発明の一部として用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】タイヤ空気圧センサのID登録システムの全体構成を示す模式図。
【図2】タイヤ空気圧監視システムの構成を示すブロック図。
【図3】キーレスシステムの構成を示すブロック図。
【図4】タイヤ位置設定処理を説明するフロー図。
【図5】タイヤ情報送信処理を説明するフロー図。
【図6】タイヤ位置登録処理を説明するフロー図。
【図7】タイヤ位置の設定・登録の流れを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のタイヤ空気圧センサのID登録システムについて、図面を用いて説明する。図1に、タイヤ空気圧センサのID登録システム100のシステム構成を表した模式図を示す。タイヤ空気圧センサのID登録システム100は、車両101に搭載された車載装置とユーザの所持する携帯機202とを含んで構成される。本実施例では、車載装置は、タイヤ空気圧監視システムTPMSの制御ユニット70とキーレスシステム200のECU210を含んでいる(詳細は後述)。そして、携帯機202からタイヤ位置設定情報をタイヤ空気圧センサユニット(例えば50b)に送信し、タイヤ空気圧センサユニットからタイヤ位置設定情報を、タイヤ空気圧センサを識別するためのセンサIDとともにタイヤ情報として制御ユニット70に送信し、制御ユニット70にてタイヤ情報を登録後、ECU210を介して登録完了情報を携帯機202(詳細は後述)に送信する。以下、各部の詳細について述べる。
【0024】
図2に、タイヤ空気圧監視システムTPMSの構成の概略を示す。タイヤ空気圧監視システムTPMSは、タイヤとホイールからなる、車両101の4個の車輪60a(右前輪),60b(左前輪),60c(右後輪),60d(左後輪)に設けられたタイヤ空気圧センサユニット50a〜50dと、車両101に搭載された制御ユニット70とを含んで構成される。
【0025】
タイヤ空気圧センサユニット50(50a〜50dの総称,以下同じ)は、例えば、タイヤへの空気注入用バルブと一体化されたTPMSバルブとして構成され、それぞれ監視すべきタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧センサ(「空気圧センサ」と称することもある)30a〜30d、メモリ31a〜31d、通信機40a〜40d、およびこれらが接続された制御部32a〜32dが設けられている。
【0026】
タイヤ空気圧センサ30(30a〜30dの総称,以下同じ)は、タイヤ空気室の圧力を検出するように構成され、例えば、歪みゲージ式,ダイアフラム式,または半導体式の圧力センサを使用することができる。検出されたタイヤ空気圧は通信機40(40a〜40dの総称,以下同じ)に送られる。
【0027】
通信機40は、タイヤ空気圧情報およびタイヤ情報を車両側通信機71(後述)へ、UHF帯の電波にてタイヤ情報(詳細は後述)送信する。また、携帯機202からLF帯の電波にて送信されるタイヤ位置設定情報(詳細は後述)を受信する。なお、空気圧センサ30,通信機40は電池(図示せず)を電源として駆動される。なお、通信機40が本発明のタイヤ位置設定情報受信部,タイヤ情報送信部に相当する。
【0028】
メモリ31(31a〜31dの総称,以下同じ)は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性記憶媒体により構成され、空気圧センサを識別するためのセンサIDを記憶している。また、タイヤ空気圧センサユニット50の動作に必要なデータも記憶している。なお、メモリ31が本発明のセンサID記憶部に相当する。
【0029】
制御部32(32a〜32dの総称,以下同じ)は、図示しない周知のCPU,ROM,RAM,および入出力回路等の周辺回路を含み、CPUがROMに記憶された空気圧センサ制御プログラムを実行することで、タイヤ空気圧センサユニットとしての機能を実現する。例えば、空気圧センサでタイヤ空気圧を取得するとともに、取得したタイヤ空気圧情報を定期的に通信機40から制御ユニット70へ送信する。なお、空気圧センサ30による空気圧の検出は常時行ってもよいし、指示があったときにのみ行ってもよい。なお、制御部32が本発明のタイヤ情報生成部に相当する。
【0030】
制御ユニット70は、車体に取り付けられ、車両側通信機71,メモリ74,LAN I/F76,およびこれらが接続された制御部73を含んで構成される。また、制御ユニット70には、操作部75,スピーカ77,およびLCDなどで構成されるディスプレイ78が接続されている(第2通信機72については後述)。
【0031】
車両側通信機71は、通信機40からUHF帯の電波によるタイヤ空気圧情報を受信し、受信したタイヤ空気圧情報を制御部73に送る。なお、車両側通信機71が本発明のタイヤ情報受信部に相当する。
【0032】
制御部73は、CPU,ROM,RAM(いずれも図示せず)等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成される。そして、CPUが自身のROMに格納されるタイヤ空気圧監視制御プログラムを実行することで、タイヤ空気圧監視システムTPMSの機能を実現する。なお、制御部73が本発明のタイヤ情報登録部,登録完了情報生成部に相当する。
【0033】
メモリ74は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体により構成され、タイヤ空気圧監視システムTPMSの動作に必要な情報を記憶する。なお、メモリ74が本発明の記憶部に相当する。
【0034】
操作部75は、例えば、警告報知をどのように行うかといったような、ユーザがタイヤ空気圧監視システムTPMSの機能に関する設定を行うためのものである。操作部75は、メカニカルスイッチ群として構成してもよいし、ディスプレイ78の表面に備えられたタッチパネルとして構成してもよい。また、操作部75を含まない構成としてもよい。
【0035】
LAN I/F76は、車内LAN79を介して、キーレスシステム200のECU210(後述)などの他の車載機器との間でデータ通信を行うためのインターフェース回路である。
【0036】
スピーカ77は、制御ユニット70に含まれた図示しない音声合成回路に接続され、例えばメモリ74に記憶された音声メッセージデータを、音声合成回路で音声データに変換したものを送出する。
【0037】
上述の構成により、タイヤ空気圧監視システムTPMSは、制御部73において、車輪60(60a〜60dの総称,以下同じ)から送信されてきたタイヤ空気圧情報と車輪の装着位置とを結びつけて定期的にタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧情報に基づいて車輪60の状態を判断する。そして、タイヤ空気圧が所定の下限値を下回っていた場合には、ディスプレイ78あるいはスピーカ77を用いて、タイヤ空気圧が低下している旨の警告報知をする。タイヤ空気圧が所定の上限値を上回っていた場合にも警告表示をしてもよい。
【0038】
図3に、キーレスシステム200の全体構成を示す。キーレスシステム200は、車両側ユニット201,携帯機202を含んで構成される。
【0039】
車両側ユニット201は、ECU210,LF送信部211,UHF受信部212,エンジンスイッチ215,ドアアンテナ216(216FR,216RR,216FL,216RLの総称),室内アンテナ217,トランク内アンテナ218,トランク外アンテナ219などを備えている。
【0040】
ECU210は、周知のCPU,各種プログラム(「キーレスシステム制御プログラム」と総称する)が格納されたROMやRAM,および信号入出力回路(いずれも図示せず)等を含むコンピュータとして構成される。そして、CPUがキーレスシステム制御プログラムを実行することで、キーレスシステム200の車両側ユニット201としての各種機能を実現する。なお、ECU210が本発明の動作許可部に相当する。
【0041】
LF送信部211は、携帯機202に対し、LF帯の電波にて無線信号を送信する。また、LF送信部211から送信される無線信号は、4箇所にあるドアアンテナ216,室内アンテナ217,トランク内アンテナ218,およびトランク外アンテナ219を介して、それぞれ、ドア近傍(車室外),車室内,トランク内,トランク外近傍の、限られた通信エリア内に対してのみ到達するようになっている。なお、LF送信部211が本発明の登録完了情報送信部,通信部に相当する。
【0042】
UHF受信部212は、携帯機202からUHF帯の電波にて送信される無線信号を受信する。これにより、広範囲の携帯機との通信が可能となる。なお、UHF受信部212が本発明のタイヤ情報受信部,通信部に相当する。
【0043】
エンジンスイッチ215は、エンジンを始動するスイッチである。ユーザは、携帯機202を取り出さず、エンジンスイッチ215を押すだけで、キーレスシステムが、自動的に室内アンテナ217から、認証信号をLF帯の電波にて送信し、携帯機202が受信する。携帯機202は、認証結果をUHF帯の電波を利用し、UHF受信部212へ送信し、ECU210は、受信したデータを解析し、ユーザが、エンジンスイッチを押したと判断できた場合、エンジン始動を許可する信号を、車内LAN79等を利用し、エンジン制御システム(図示せず)へ送信する。
【0044】
本発明のキーレス操作キーでもある携帯機202は、制御部220,LF受信部221,UHF送信部222,LF送信部223,操作部(224他),表示器227,ブザー228,バイブレータ229,フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成されるメモリ230などを備えている。
【0045】
制御部220は、例えば、周知のCPU,各種プログラム(「携帯機制御プログラム」と総称する)が格納されたROMやRAM,および信号入出力回路(いずれも図示せず)等を含むコンピュータとして構成される。そして、CPUが携帯機制御プログラムを実行することで、携帯機202としての各種機能を実現する。なお、制御部220が本発明のタイヤ位置設定情報生成部に相当する。
【0046】
LF受信部221は、車両側ユニット201からLF帯の電波にて送信されてくる無線信号を受信する。UHF送信部222は、車両側ユニット201に対しUHF帯の電波にて無線信号を送信する。LF送信部223は、タイヤ空気圧センサユニット50に対しLF帯の電波にて無線信号を送信する。なお、LF受信部221が本発明の登録完了情報受信部に相当する。また、LF送信部223が本発明のタイヤ位置設定情報送信部に相当する。
【0047】
図1を用いて、携帯機202の操作部の詳細について説明する。操作部は、タイヤ位置設定SW(スイッチ)224(224a〜224dの総称、以下同じ),プッシュスイッチ群226(226a〜226cの総称、以下同じ)を含んでいる。タイヤ位置設定SW224は、タイヤ位置を設定ためのスイッチで、それぞれ右前輪(224a),左前輪(224b),右後輪,(224c),左後輪(224d)に対応している。また、プッシュスイッチ群226は、ユーザがリモート操作を行うためのもので、プッシュ操作により、ドアのロック/アンロック等を行うことができる。なお、タイヤ位置設定SW224が本発明のタイヤ位置設定部に相当する。
【0048】
表示器227は、例えば、LCD,LED,あるいは表示中に消費電力が不要または極小で済む電子ペーパーによって構成され、携帯機202の動作状態を表示する。ブザー228は、携帯機202の動作状態を音で報知するものである。バイブレータ229は、携帯機202の動作状態を振動で報知するものである。なお、表示器227,ブザー228,バイブレータ229が本発明の登録完了情報報知部に相当する。
【0049】
キーレスシステム200は、車両側ユニット201のドアアンテナ216、室内アンテナ217、トランク内アンテナ218、トランク外アンテナ219から送信されるLF帯の電波と携帯機202との双方向通信により、ECU210内に記憶されたIDコードと、携帯機が保持しているIDコードを照合し、一致した場合、ドアのロック、アンロックやエンジン始動許可が行われる。これらは本発明に直接関係しないため、詳細は割愛する。
【0050】
図4を用いて、携帯機202において実行される、タイヤ位置設定処理について説明する。なお、本処理は、上述の携帯機制御プログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。まず、タイヤ位置設定SW224の操作状態を含むスイッチ情報を取得する(S11)。そして、タイヤ位置設定SW224の操作の有無を判定する。
【0051】
タイヤ位置設定SW224のいずれかの操作を検出したとき(S12:Yes)、操作されたタイヤ位置設定SWに基づいて、タイヤ位置設定情報を生成する(S13)。例えば、右前輪タイヤ位置設定SW224aが操作されたときには、タイヤ位置設定情報には、「タイヤ位置=右前輪」である旨の内容を含む。続いて、生成したタイヤ位置設定情報を該当する右前輪60a(すなわち、空気圧センサユニット50a)に向けて送信する(S14)。
【0052】
次に、車両101(すなわち、ECU210)からのデータを受信し(S15)、そのデータが登録完了情報であるか否かを判定する。登録完了情報を受信したとき(S16:Yes)、表示器227,ブザー228,あるいはバイブレータ229の少なくとも一つを用いて、「右前輪のタイヤ情報の登録が完了した」旨を報知する(S17)。登録完了情報にタイヤ位置とセンサIDとの関連付けを含む構成とし、登録完了情報を受信したときに、メモリ230に、タイヤ位置とセンサIDと関連付けて記憶してもよい。そして、操作部(224あるいは226)の所定の操作(例えば、2つのキーの同時押し)等で、その記憶内容を表示器227に表示するようにしてもよい。
【0053】
図5を用いて、タイヤ空気圧センサユニット50において実行される、タイヤ情報送信処理について説明する。なお、本処理は、上述の空気圧センサ制御プログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。タイヤ空気圧センサユニット50は、電源投入後(すなわち、電池に接続された後)は、初期設定処理を実行した後に、一部の機能の動作を停止して消費電力の少ないスリープモードに移行する。そして、予め定められたタイミング(例えばタイマ割り込み)、あるいは制御ユニット70からの指令を受信したときのような外部からの指示により,スリープモードから通常モードに移行し、タイヤ空気圧の検出,タイヤ空気圧情報の送信を行う。
【0054】
まず、携帯機202からのデータを受信し(S31)、そのデータがタイヤ位置設定情報であるか否かを判定する。タイヤ位置設定情報を受信したとき(S32:Yes)、上述のスリープモードから通常モードに移行する(S33)。そして、メモリ31に予め記憶されている上述のセンサIDを読み出し(S34)、このセンサIDとタイヤ位置設定情報とを含むタイヤ情報を生成する(S35)。続いて、通信機40からタイヤ情報を送信する(S36)。この後、他の処理を行わないのであれば、スリープ状態に戻る(S37)。
【0055】
図6を用いて、制御部73およびECU210において実行される、タイヤ情報登録処理について説明する。なお、本処理は、制御部73においては、タイヤ空気圧監視制御プログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。また、ECU210においては車両側ユニット制御プログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。
【0056】
まず、制御部73において、車両側通信機71が空気圧センサユニット50からのデータを受信し(S51)、そのデータがタイヤ情報であるか否かを判定する。タイヤ情報を受信したと判定したとき(S52:Yes)、メモリ74の所定領域に、受信したタイヤ情報に含まれるセンサIDとタイヤ位置とを関連付けて登録(記憶)する(S53)。次に、受信したタイヤ情報に対応する車輪の位置の登録が完了した旨の登録完了情報を生成する。そして、生成した登録完了情報を、車内LAN79を介してECU210に出力する(S54)。
【0057】
ECU210は、制御部73から登録完了情報を取得すると、LF送信部211を用いて、登録完了情報を車外(すなわち、携帯機202)に送信する(S55)。また、登録完了情報を、例えば、右前輪のときはドアアンテナ216FRのみというように、登録が完了した車輪に近い位置にあるドアアンテナのみから送信してもよい。
【0058】
図7に、携帯機202,空気圧センサユニット50,車載装置(制御ユニット70および車両側ユニット201)における情報の流れを示す。まず、ユーザの携帯機202のタイヤ位置設定SW224のいずれかの操作を検出すると(Q1)、検出したタイヤ位置設定SWに応じたタイヤ位置設定情報を生成して、タイヤ位置設定SWに対応した空気圧センサユニット50に送信する(Q2)。
【0059】
空気圧センサユニット50は、タイヤ位置設定情報を受信すると、自身のスリープモードを解除し(Q5)、タイヤ情報(センサID+タイヤ位置設定情報)を生成して、車載装置(制御部73)に送信し(Q6)、その後、必要に応じてスリープモードに戻る(Q7)。
【0060】
車載装置(制御ユニット70)は、タイヤ情報を受信すると(Q8)、そのタイヤ情報を登録し(Q9)、登録完了情報を生成する。そして、車載装置(車両側ユニット201)から携帯機202に登録完了情報を送信する(Q10)。
【0061】
携帯機202は、登録完了情報を受信すると(Q3)、登録完了情報を報知する(Q4)。
【0062】
上述の例は、タイヤ空気圧センサのID登録システムの車載装置を、タイヤ空気圧監視システムTPMSとキーレスシステム200とを含む構成としていたが、タイヤ空気圧監視システムTPMSとリモートキーレスエントリーシステムとを含む構成としてもよい。リモートキーレスエントリーシステムは、ユーザの操作により携帯型のリモート操作キーから送信される制御信号を受信する制御信号受信部を備え、受信した制御信号に基づいて、車両のドアロック機構の施錠および解錠を行うという、周知の構成をとる。
【0063】
なお、本実施例におけるリモートキーレスエントリーシステムの構成は、図3の変形例であるため、図3を基に説明する。特に記載がない限り、各部の構成および動作は、上記で説明したものと同一である。
【0064】
リモートキーレスエントリーシステムでは、一般的には、車両側ユニット201は、図3の構成のうち、ECU210とUHF受信部212(すなわち、制御信号受信部)を含み、他にドアロックの施錠/開錠を行うドアロックアクチュエータ(図示せず)を含んでいる。この構成に、LF送信部211およびドアアンテナ216を接続すれば、タイヤ空気圧センサのID登録システムにおける車載装置の一部となる。つまり、ハードウェアは図3と略同一で、ソフトウェアの変更のみで、本発明の構成とすることができる。
【0065】
また、リモートキーレスエントリーシステムの携帯機202(すなわち、リモート操作キー)は、少なくとも制御部220,UHF送信部222,操作部(タイヤ位置設定SW224他)を含んでいる。この構成にLF受信部221,LF送信部223を加えることで、本発明の構成とすることができる。
【0066】
また、図3のように、上述のリモートキーレスエントリーシステムの車両側ユニット201において、LF送信部211およびドアアンテナ216の代わりにUHF送信部213を設け、携帯機202において、LF受信部221の代わりにUHF受信部231を設け、UHF帯の電波を用いて、車載装置→携帯機202間の通信を行ってもよい。UHF帯はLHF帯に比べて送信出力の割に到達距離が長いので、ユーザが次の車輪の設定を行うために車両101の周囲を移動しているときでも、登録完了情報を確実に受信することができる。
【0067】
また、タイヤ空気圧センサのID登録システム100の車載装置を、タイヤ空気圧監視システムTPMSのみで構成してもよい。この構成は、図2の変形例あるため、図2を基に説明する。特に記載がない限り、各部の構成および動作は、上記で説明したものと同一である。本実施例では、上述の図2の構成に加えて、制御ユニット70に第2通信機72を設けるものである。第2通信機72がLF帯により登録完了情報を携帯機202に送信する構成であるときには、図3のようなドアアンテナ(216)を第2通信機72に接続する。また、第2通信機72がUHF帯により登録完了情報を携帯機202に送信する構成であるときには、携帯機202においてLF受信部221の代わりにUHF受信部231を設ける。
【0068】
また、タイヤ空気圧監視システムTPMSの制御部73とキーレスシステム200のECU210とを一体化してもよい。
【0069】
また、携帯機202を、上述のキーレス操作キーあるいはリモート操作キーと兼用しない構成としてもよい。一般的なユーザは、タイヤの交換は、通常のタイヤとスタッドレスタイヤとの交換時、あるいは、タイヤがパンクしたとき、タイヤの磨耗時・老朽化時のような、年に2回程度であるため、携帯機202を常時所持する必要性は高くない。キーレス操作キーあるいはリモート操作キーと兼用しないことで、携帯機202を小型化することもできる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
30(30a〜30d) タイヤ空気圧センサ
31(31a〜31d) メモリ(センサID記憶部)
32(32a〜32d) 制御部(タイヤ情報生成部)
40(40a〜40d) 通信機(タイヤ位置設定情報受信部,タイヤ情報送信部)
50(50a〜50d) タイヤ空気圧センサユニット
60(60a〜60d) 車輪
70 制御ユニット
71 車両側通信機(タイヤ情報受信部)
72 第2通信機
73 制御部(タイヤ情報登録部,登録完了情報生成部)
74 メモリ(記憶部)
100 タイヤ空気圧センサのID登録システム
101 車両
200 キーレスシステム
201 車両側ユニット
202 携帯機
210 ECU
211 LF送信部(登録完了情報送信部,通信部)
212 UHF受信部(タイヤ情報受信部,通信部)
213 UHF送信部
216(216FR,216RR,216FL,216RL) ドアアンテナ
220 制御部(タイヤ位置設定情報生成部)
221 LF受信部(登録完了情報受信部)
222 UHF送信部
223 LF送信部(タイヤ位置設定情報送信部)
224(224a〜224d) タイヤ位置設定SW(タイヤ位置設定部)
227 表示器(登録完了情報報知部)
228 ブザー(登録完了情報報知部)
229 バイブレータ(登録完了情報報知部)
230 メモリ
231 UHF受信部
TPMS タイヤ空気圧監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯機を用いて、車両の車輪に搭載されたタイヤ空気圧センサユニットに備えられるタイヤ空気圧センサを識別するためのセンサIDを、前記車両に搭載された車載装置に登録するためのタイヤ空気圧センサのID登録システムであって、
前記携帯機は、
前記ユーザの操作入力により、タイヤ位置を設定するタイヤ位置設定部と、
設定した前記タイヤ位置を含むタイヤ位置設定情報を生成するタイヤ位置設定情報生成部と、
生成した前記タイヤ位置設定情報を前記タイヤ空気圧センサに送信するタイヤ位置設定情報送信部と、を備え、
前記タイヤ空気圧センサユニットは、
前記タイヤ位置設定情報を受信するタイヤ位置設定情報受信部と、
前記センサIDを予め記憶するセンサID記憶部と、
受信した前記タイヤ位置設定情報と前記センサIDとを含むタイヤ情報を生成するタイヤ情報生成部と、
生成した前記タイヤ情報を前記車載装置に送信するタイヤ情報送信部と、
を備えることを特徴とするタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項2】
前記車載装置は、前記タイヤ情報を受信するタイヤ情報受信部と、
受信した前記タイヤ情報に含まれる、前記タイヤ位置と前記センサIDとを関連付けて記憶部に登録するタイヤ情報登録部と、
を備える請求項1に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項3】
前記車載装置は、前記タイヤ情報登録部による登録が完了したときに、その旨を含む登録完了情報を生成する登録完了情報生成部と、
生成した前記登録完了情報を携帯機に送信する登録完了情報送信部と、
を備える請求項2に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項4】
前記携帯機は、前記登録完了情報を受信する登録完了情報受信部と、
前記登録完了情報を受信したときに、前記登録完了情報を報知する登録完了情報報知部と、
を備える請求項3に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項5】
前記車載装置の前記登録完了情報送信部は、LF帯の電波にて前記登録完了情報を送信する請求項3または請求項4に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項6】
前記車両には、キーレス操作キーと双方向通信を行う通信部と、前記キーレス操作キーとの双方向通信結果に基づいて予め定められた動作を許可する動作許可部とを備えるキーレスシステムが設けられ、
前記登録完了情報送信部および前記タイヤ情報受信部は、前記通信部に兼用され、前記携帯機は、前記キーレス操作キーに兼用される請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項7】
前記車両には、ユーザの操作によりリモート操作キーから送信される制御信号を受信する制御信号受信部を備え、受信した前記制御信号に基づいて、前記車両のドアロック機構の施錠および解錠を行うリモートキーレスエントリーシステムが設けられ、
前記タイヤ情報受信部は、前記制御信号受信部に兼用され、前記携帯機は、前記リモート操作キーに兼用される請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。
【請求項8】
前記携帯機の前記タイヤ位置設定情報送信部は、LF帯の電波にて前記タイヤ位置設定情報を送信する請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧センサのID登録システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−126192(P2012−126192A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277731(P2010−277731)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】