説明

タイヤ等の廃棄物の処理システム、および、その処理方法、ならびに、タイヤ等の廃棄物の処理炉

【課題】本願発明は、廃タイヤ等を連続的に処理することができ、発生するダイオキシン等の有毒な物質を排ガスから的確に除去することができるタイヤ等の廃棄物の処理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る廃棄物の処理システムとしての特徴は、廃棄物から乾留ガスを発生させるべく廃棄物を密封状態で収容する複数の処理炉100、該処理炉100において発生した乾留ガスを燃焼したエネルギーを利用するガス燃焼部、及び、前記処理炉100から前記ガス燃焼部まで乾留ガスを送給する乾留ガス流路を備え、処理炉100には、炉内の排ガスを排出する排出路320が設けられ、該排出路320は、排ガスが前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過するように設けられており、乾留ガス流路および排出路320には、開閉弁311,321が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、廃棄物の処理システム、および、その処理方法、ならびに、廃棄物の処理炉に関し、より詳しくは廃タイヤの処理に適した発明である。
【背景技術】
【0002】
廃タイヤから乾留ガスを採取するにあっては、一般的には、廃タイヤをチップ化して、そのチップ状の廃タイヤを乾留炉内において乾留して乾留ガスを得て、乾留後の廃タイヤを別の処理手段によって灰にまですることがなされている。
【0003】
かかる処理方法にあっては、タイヤをチップ化する必要があるとともに、乾留ガスを得た後の廃タイヤを乾留炉とは別の処理手段によって処理する必要があり、その作業が極めて煩雑であった。
【0004】
また、乾留後から、廃タイヤを炉内から除去するまでの間、乾留ガスを発生させることができず、乾留ガスを連続的に利用することができないという問題を有していた。
【0005】
また、廃タイヤの乾留処理に関して、一対の乾留炉およびボイラーを設けたものも公知である(特許文献1)。しかるに、廃タイヤの処理に際しては、ダイオキシン等の有害な排ガスが発生するが、上記特許文献1においては、かかる考慮が一切なされていない。
【特許文献1】特開平8−94043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、廃タイヤ等を連続的に処理することができるとともに、発生するダイオキシン等の有毒な物質を排ガスから的確に除去することができるタイヤ等の廃棄物の処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本願発明に係るタイヤ等の廃棄物の処理システムとしての特徴は、タイヤ等の廃棄物から乾留ガスを発生させるべく廃棄物を密封状態で収容する複数の処理炉と、該処理炉において発生した乾留ガスを燃焼したエネルギーを利用するガス燃焼部と、前記処理炉から前記ガス燃焼部まで乾留ガスを送給する乾留ガス流路とを備えており、前記処理炉には、炉内の排ガスを排出する排出路が設けられており、該排出路は、排ガスが前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過するように設けられており、前記乾留ガス流路および排出路には、開閉弁が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記構成からなる本願発明に係る処理システムにあっては、一の処理炉によって乾留ガスを発生させて、その乾留ガスを乾留ガス流路からガス燃焼部まで導入して燃焼させ、その燃焼熱によりたとえば溶鉱炉などに利用することができる。そして、前記一の処理炉における乾留ガスの発生の後に、他の処理炉において乾留を開始して、ガス燃焼部に乾留ガスを供給することができ、連続的に乾留ガスを熱源として利用することができる。また、上記のような乾留ガスの発生後に、一の処理炉の乾留ガス流路を閉塞して排出路を開放することにより、処理炉で発生する排ガスは、ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過することにより、排ガスのダイオキシンを除去することができる。また、一つの炉内において、廃棄物を乾留後、灰化にまで至らしめることができ、従前のように乾留後の廃棄物を他の処理手段に移送する必要がない。
【0009】
また、本願発明に係る処理システムは、請求項2記載のように、開閉弁が、処理炉の炉内に近接して設けられていることが好ましい。
【0010】
該構成を採用することにより、炉内の温度制御などが容易に行い得る。また、タイヤを処理する場合において、蒸発していた油分が固化するタール等のピッチが流路にこびりつく弊害を防止することもできる。なお、「炉内に近接して」とは、処理炉に開閉弁を設けたり、処理炉に接続される管路の処理炉付近に開閉弁を設けることを含む意味である。
【0011】
また、本願発明に係る処理システムは、請求項3記載のように、前記処理炉に空気を供給する乾留用空気供給手段が設けられており、該乾留用空気供給手段により乾留時に供給される空気量が制御手段によって制御されていることが好ましい。
【0012】
上記構成を採用した処理システムにあっては、制御手段によって空気量を調整することにより、炉内の廃棄物の乾留を制御することができ、所望の時間における所望の乾留ガスの発生を行わせることができる。ここで、制御とは、たとえば、炉内の温度に応じて空気量を調節、より具体的には、たとえば、炉内が所定温度以下であれば一定量の空気を供給し、一定温度以上となれば空気供給を停止し、さらに、所定温度以下となると空気供給を再開するような処理を行うことが可能である。また、たとえば、乾留開始からの開始時間に応じて、空気供給量を調節するように設けることも可能である。
【0013】
また、本願発明に係る処理システムは、請求項4記載のように、処理炉の上部には、前記処理炉に空気を供給するための上部供給口が設けられており、該上部供給口からの空気供給は、制御手段によって制御されていることが好ましい。
【0014】
上記構成を採用した処理システムにあっては、乾留後において上部供給口から空気を供給せしめることができ、廃棄物の灰化に的確な空気量を供給することができる。特に、乾留時において上部供給口を閉塞しており、上部供給口に油分などが詰まっても、上部に設けられているため、供給される空気圧によって油分などを容易に除去することができる。
【0015】
また、本願発明に係る処理システムは、請求項5記載のように、排出路から排出された排ガスは、前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過して、その下流側において冷却されるように設けられていることが好ましい。
【0016】
上記構成からなる処理システムによれば、排ガスが一定温度以上の領域を通過後に冷却されることにより、より確実にダイオキシンを除去することが可能となる。
【0017】
また、本願発明に係る処理システムは、請求項6記載のように、ガス燃焼部よりも下流側に、ガス燃焼部内の空気を下流側に吸引する吸引手段を有していることが好ましい。
【0018】
上記構成からなる処理システムによれば、吸引手段によってガス燃焼部を処理炉よりも負圧とすることができ、このため、ガス燃焼部からの処理炉への逆火(ガス燃焼部の火が処理炉へ逆流すること)を未然に防止することができる。
【0019】
また、本願発明に係る処理方法としての特徴は、タイヤ等の廃棄物を処理炉において処理する方法であって、処理炉において廃棄物を密封状態で乾留ガスを発生させ、該処理炉において発生した乾留ガスを乾留ガス流路を介してガス燃焼部において燃焼してエネルギーを利用し、一定時間経過後に前記処理炉の乾留ガス流路を閉塞して排気路を開放し、排気ガスを前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させるとともに、他の処理炉において廃棄物を密封状態で乾留ガスを発生させ、前記他の処理炉において発生した乾留ガスを乾留ガス流路を介してガス燃焼部において燃焼してエネルギーを利用する点にある。
【0020】
上記構成からなる本願発明に係る処理方法にあっては、一の処理炉によって乾留ガスを発生させて、その乾留ガスを乾留ガス流路からガス燃焼部まで導入して燃焼させ、その燃焼熱によりたとえば溶鉱炉などに利用することができる。そして、前記一の処理炉における乾留ガスの発生の後に、他の処理炉において乾留を開始して、ガス燃焼部に乾留ガスを供給するため、連続的に乾留ガスを熱源として利用することができる。また、上記のような乾留ガスの発生後に、一の処理炉の乾留ガス流路を閉塞して排出路を開放して、処理炉で発生する排ガスを、ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させることにより、排ガスのダイオキシンを除去することができる。また、一つの炉内において、廃棄物を乾留後、灰化にまで至らしめることができ、従前のように乾留後の廃棄物を他の処理手段に移送する必要がない。
【0021】
また、本願発明に係る処理方法は、請求項8記載のように、乾留時に前記処理炉に空気を供給する空気量を、制御手段によって制御する構成を採用することが好ましい。
【0022】
上記構成からなる処理方法にあっては、制御手段によって空気量を調整することにより、炉内の廃棄物の乾留を制御することができ、所望の時間における所望の乾留ガスの発生を行わせることができる。ここで、制御とは、たとえば、炉内の温度に応じて空気量を調節、より具体的には、たとえば、炉内が所定温度以下であれば一定量の空気を供給し、一定温度以上となれば空気供給を停止し、さらに、所定温度以下となると空気供給を再開するような処理を行うことが可能である。また、たとえば、乾留開始からの開始時間に応じて、空気供給量を調節するように設けることも可能である。
【0023】
また、本願発明に係る処理方法は、請求項9記載のように、乾留後において、処理炉の上部に設けられた上部供給口から空気を供給することが好ましい。
【0024】
上記構成を採用した処理方法によれば、乾留後において上部供給口から空気を供給せしめることができ、廃棄物の灰化に的確な空気量を供給することができる。特に、乾留時において上部供給口を閉塞しており、上部供給口に油分などが詰まっても、上部に設けられているため、供給される空気圧によって油分などを容易に除去することができる。
【0025】
また、本願発明に係る処理方法は、請求項10記載のように、前記排出路から排出された排ガスを、前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させ、その下流側において冷却することが好ましい。
【0026】
上記構成からなる処理方法によれば、排ガスが一定温度以上の領域を通過後に冷却されることにより、より確実にダイオキシンを除去することが可能となる。
【0027】
また、本願発明に係る処理方法は、請求項11記載のように、前記ガス燃焼部よりも下流側から、ガス燃焼部内の空気を吸引手段によって吸引することが好ましい。
【0028】
上記構成からなる処理方法によれば、吸引手段によってガス燃焼部を処理炉よりも負圧とすることができ、このため、ガス燃焼部からの処理炉への逆火を未然に防止することができる。
【0029】
また、本願発明に係る処理炉としての特徴は、タイヤ等の廃棄物から乾留ガスを発生させるタイヤ等の廃棄物の処理炉であって、乾留ガスを送給するための乾留ガス送出口と、排ガスを排出する排出口とを備えるとともに、前記乾留ガス送出口および排出口の流路を開閉するため開閉弁が設けられている点にある。
【0030】
上記構成からなる本願発明に係る処理炉にあっては、乾留ガスを発生させて、その乾留ガスを乾留ガス送出口から送出して、たとえばガス燃焼部まで導入して燃焼させ、その燃焼熱によりたとえば溶鉱炉などに利用することができる。また、上記のような乾留ガスの発生後に、処理炉の乾留ガス送出口の開閉弁を閉塞して排出口の開閉弁を開放して、処理炉で発生する排ガスを、たとえばガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させることにより、排ガスのダイオキシンを除去することができる。また、一つの炉内において、廃棄物を乾留後、灰化にまで至らしめることができ、従前のように乾留後の廃棄物を他の処理手段に移送する必要がない。また、この開閉弁は処理炉自体が有するため、炉内の温度制御などが容易に行い得るとともに、蒸発していた油分が固化するタール等のピッチが流路にこびりつく弊害を防止することもできる。また、前記処理炉を複数ガス燃焼部に接続することにより、一の処理炉における乾留ガスの発生の後に、他の処理炉において乾留を開始して、ガス燃焼部に乾留ガスを供給することができ、連続的に乾留ガスを熱源として利用することができる。
【0031】
また、本願発明に係る処理炉は、請求項13記載のように、炉内に空気を供給する乾留用空気供給手段が設けられており、該乾留用空気供給手段により乾留時に供給される空気量が制御手段によって制御されていることが好ましい。
【0032】
上記構成からなる処理炉にあっては、制御手段によって空気量を調整することにより、炉内の廃棄物の乾留を制御することができ、所望の時間における所望の乾留ガスの発生を行わせることができる。ここで、制御とは、たとえば、炉内の温度に応じて空気量を調節、より具体的には、たとえば、炉内が所定温度以下であれば一定量の空気を供給し、一定温度以上となれば空気供給を停止し、さらに、所定温度以下となると空気供給を再開するような処理を行うことが可能である。
【0033】
また、本願発明に係る処理炉は、請求項14記載のように、炉内の上部には、空気を供給するための上部供給口が設けられており、該上部供給口からの空気供給は、制御手段によって制御されていることが好ましい。
【0034】
上記構成を採用した処理炉によれば、乾留後において上部供給口から空気を供給せしめることができ、廃棄物の灰化に的確な空気量を供給することができる。特に、乾留時において上部供給口を閉塞しており、上部供給口に油分などが詰まっても、上部に設けられているため、供給される空気圧によって油分などを容易に除去することができる。
【0035】
また、本願発明に係る処理炉は、請求項15記載のように、廃棄物を炉内に搬入するための開口と該開口を閉塞するための蓋体を有しており、前記蓋体は、炉本体に対してスライド可能に設けられているとともに、クランプ手段によって炉本体側に圧接されるように設けられていることが好ましい。
【0036】
上記構成からなる処理炉によれば、開口から廃棄物を搬入および搬出することができ、また蓋体を閉塞することにより炉内を密閉することができる。特に、蓋体は炉本体に対してスライドして、クランプ手段によって炉本体側に圧接するように設けられているので、ヒンジをもって回動可能に設けられているものに比して、より確実に炉内を密封することができる。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本願発明の処理システムによれば、一の処理炉における乾留ガスの発生の後に、他の処理炉において乾留を開始して、ガス燃焼部に乾留ガスを供給することができ、連続的に乾留ガスを熱源として利用することができる。また、上記のような乾留ガスの発生後に、一の処理炉の乾留ガス流路を閉塞して排出路を開放することにより、処理炉で発生する排ガスは、ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過することにより、排ガスのダイオキシンを除去することができる。また、一つの炉内において、廃棄物を乾留後、灰化にまで至らしめることができ、従前のように乾留後の廃棄物を他の処理手段に移送する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本願発明の実施形態に係る廃タイヤの処理システムの全体構成を示すためのフロー図である。
【図2】同実施形態のシステムの処理炉および溶融炉の概略的平面図である。
【図3】同実施形態の処理炉および溶融炉の側面図である。
【図4】同実施形態のシステムの処理炉の概略的平面図である。
【図5】図4のA−A線端面図である。
【図6】同実施形態のシステムの処理炉の概略的断面側面図である。
【図7】同実施形態のシステムの処理炉の概略的背面図である。
【図8】同実施形態のシステムの処理炉の要部拡大平面図である。
【符号の説明】
【0039】
T タイヤ
100 処理炉
101 フレーム
102 耐火物
103 鉄板
104 支持金具
105 爆発安全孔
110 乾留ガス送出口
120 排出口
130 開口
140 下部供給口
141 下部パイプ
150 上部供給口
151 上部パイプ
152 空気供給管路
152a主管
152b幹管
152c枝管
160 エアブロア
200 溶鉱炉
201 開閉扉
202 エアブロア
210 溶融室
211 乾留ガスバーナ
212 着火バーナ
213 制御バーナ
220 保持室
221 溶融アルミ排出口
222 制御バーナ
223 補助バーナ
230 排ガス排出口
310 乾留ガス送給路
311 開閉弁
320 排出路
321 開閉弁
400 蓋体
401 フレーム
402 耐火物
403 吊り下げ用金具
404 突起
410 電動機
411 スプロケット
415 回転ローラー
416 スプロケット
418 チェーン
420 クランプ手段
421 支持金具
430 ワイヤ
440 柱部材
441 案内レール
450 連結フレーム
460 補強フレーム
470 カウンターウェイト
500 冷却塔
600 バグフィルタ
700 硫黄除去装置
800 ブロア
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本願発明の実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
【実施例1】
【0041】
まず、本願発明の第一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
なお、図1は本願発明の実施形態に係る廃タイヤの処理システムの全体構成を示すためのフロー図である。図2は、同実施形態のシステムの処理炉および溶融炉の概略的平面図である。図3は、同実施形態の処理炉および溶融炉の側面図である(ただし、溶鉱炉の排ガス排出口の図示は省略している)。図4乃至図8は、同実施形態のシステムの処理炉の説明図であり、図4は概略的平面図、図5は図4のA−A線端面図、図6は概略的断面側面図、図7は概略的背面図、図8は要部拡大平面図である。
【0042】
まず、本実施形態の処理システムの全体構成について説明すると、本システムは、図1に示すように、廃タイヤTから乾留ガスを発生させるべく廃タイヤTを密封状態で収容する複数(本実施形態においては二つ)の処理炉100と、該処理炉100において発生した乾留ガスを燃焼したエネルギーを利用してアルミを溶融する溶鉱炉200(ガス燃焼部)と、溶鉱炉200の下流側に設けられ溶鉱炉200から排出される排ガスを冷却する冷却塔500と、該冷却塔500の下流側に設けられ冷却塔500から排出される排ガスから粉塵を取り除くためのバグフィルタ600と、該バグフィルタ600の下流側に設けられバグフィルタ600から排出れる排ガスから硫黄化合物を除去して大気に放出する硫黄除去装置700とを備えている。
【0043】
前記硫黄除去装置700は、バグフィルタ600から排出されたガスを水と接触させることにより、ガス中の硫黄加工物成分を除去して、排出口から大気に放出するように設けられている。また、バグフィルタ600は、冷却塔500によって冷却されたガスから粉塵などを除去するフィルタを有している。ここで、この硫黄除去装置700とバグフィルタ600とを連結するガス流路には、下流側に排ガスを吸引する(バグフィルタ600側が負圧となるように)ブロア800が設けられている。
【0044】
また、冷却塔500は、溶鉱炉200から排出される排ガスを塔内に導入して、これに冷水を噴射することにより、排ガスを冷却するように設けられている。本実施形態においては、溶鉱炉200から排出される850度程度の排ガスを冷却塔500で200度程度にまで急冷するように設けられている。
【0045】
前記溶鉱炉200は、アルミを溶融するための溶融室210と、溶融室210によって溶融されたアルミを保持する保持室220とを備えている。
【0046】
前記保持室220には、溶融したアルミを外部に排出するための溶融アルミ排出口221が設けられているとともに、保持室220内の温度を一定以上(850度以上)に保つためのバーナ222,223が設けられている。ここで、バーナ222,223は二つ設けられており、主に用いられる制御バーナ222と、補助的に用いられる補助バーナ223とからなり、この制御バーナ222と補助バーナ223とは何れも重油バーナから構成されている。
【0047】
また、前記溶融室210には、各処理炉100からの乾留ガスを燃焼するための乾留ガスバーナ211を有しており、この乾留ガスバーナ211は、処理炉100の個数に対応して二つ設けられている。さらに、溶融室210には、乾留ガスバーナ211の着火を行うための着火バーナ212、および、溶融室210内の温度を一定以上(1000度以上)に保つための制御バーナ213が設けられており、この着火バーナ212および制御バーナ213は何れも重油バーナから構成されている。
【0048】
なお、図中201は、溶鉱炉200の開閉扉を示している。また、202は、各バーナ211,…に空気を供給するためのエアブロアを示している。
【0049】
前記溶鉱炉200と処理炉100とは、処理炉100で発生した乾留ガスを溶鉱炉200に供給する乾留ガス供給路310、および、乾留後に処理炉100において廃タイヤTを処理する際に発生する排ガスを溶鉱炉200に供給する排出路320によって連結されている。前記乾留ガス供給路310は、その先端が前記乾留ガスバーナ211に接続されており、乾留ガスバーナ211において乾留ガスが燃焼されることになる。なお、この乾留ガス供給路310および排出路320は、それぞれ、処理炉100の個数に対応して二つ設けられている(なお、図1において、二つの排出路320が合流して図示しているが、各排出路320は、図2に示すように、それぞれ溶融室220に接続されている)。
【0050】
また、乾留ガス供給路310および排出路320には何れも開閉弁311,321が設けられている。この開閉弁311,321は、制御手段(図示省略)によって開閉が制御されている。詳述すると、各開閉弁311,321は、乾留ガス発生時においては、乾留ガス供給路310の開閉弁311が開放され、排出路320の開閉弁321が閉塞され、一方、乾留ガス発生終了後においては、乾留ガス供給路310の開閉弁311が閉塞され、排出路320の開閉弁321が開放されるように制御されている。
【0051】
また、前記溶鉱炉200は、炉内のガスを下流側に排出するための排ガス排出口230を有しており、ここでは、図2に示すように、保持室220の上部に形成されている。
【0052】
また、処理炉100からの排ガスを溶鉱炉200に供給する排出路320は、溶鉱炉200内を一定時間(2秒)以上通過するように溶鉱炉200に接続されている。本実施形態においては、排出路320は、図1乃至図3に示すように、前記保持室220の排ガス排出口230から一定距離を有する溶鉱炉200の保持室220の上部に接続されている。より詳述すると、図2に示すように、二つの排出路320と保持室220との接続口が、それぞれ前記保持室220の排ガス排出口230との距離が平面視同一となるように配置されており、各排出路320から溶鉱炉200内に供給された排ガスがともに同様の時間を経たうえで前記溶鉱炉200の排ガス排出口230から排出されるように設けられている。
【0053】
次に、前記処理炉100の構成について説明する。
本実施形態の処理炉100は、炉内において廃タイヤTを乾留し、その後灰化にまで至らしめる(以下、乾留後の灰化に至る過程を「置き火」ということがある)ものである。該処理炉100は、図5および図6に示すように、炉本体がフレーム101と該フレーム101によって支持される耐火物102とから構成されており、炉内がレンガ等の耐火物102によって周囲を囲まれて構成されている。
【0054】
前記耐火物102は、その周囲のフレーム101によって支持されており、特に上壁を構成する耐火物は、図5に示すように、フレーム101に固定される鉄板103に設けられた略Y字状の支持金具104によって支持されている。なお、かかる構成は、鉄板103に支持金具104を溶接した後に、この鉄板103の上に粘土状の耐火物を積層して固化せしめることにより得ることができる。
【0055】
また、該処理炉100は、図6に示すように、既述のように廃タイヤTから得られる乾留ガスを溶鉱炉200に送給するための乾留ガス送出口110と、乾留後の廃タイヤTから発生する排ガスを溶鉱炉200の保持室220に排出するための排出口120とを備えている。つまり、該乾留ガス送出口110および排出口120は、それぞれ、前述の乾留ガス送給路310および排出路320の一部を構成している。
また、処理炉100には、この乾留ガス送出口110および排出口120に、前述のように制御手段によって制御される開閉弁311,321がそれぞれ設けられている(図6においては、乾留ガス送出口110側の開閉弁311の図示を省略している)。なお、本実施形態においては、前記乾留ガス送出口110は、処理炉100の一側壁(後述する開口130に対向する側壁)に形成されており、前記排出口120は、処理炉100の上壁に形成されている。
【0056】
また、処理炉100には、炉内に空気を供給する空気供給手段140,150が設けられており、該空気供給手段140,150により供給される空気量は制御手段(図示省略)によって制御されている。また、処理炉100は、複数種類の空気供給手段140,150を有しており、具体的には、炉内の下部側から空気を供給する複数の下部供給口140(乾留用空気供給手段)と、炉内の上部側から空気を供給する複数の上部供給口150(置き火用空気供給手段)とを有している。
【0057】
また、処理炉100は、炉内の温度を測定する温度検知手段(図示省略)が設けられており、該温度検知手段の温度によって制御手段は、空気供給手段140,150による空気の供給量を調整している。
【0058】
前記上部供給口150は、処理炉100の上壁に設けられており、この上部供給口150は、図5および図6に示すように、耐火物102および鉄板103を貫通する上部パイプ151の一端が炉内に表出することにより構成されており、この上部パイプ151の他端が空気供給管路152に接続されている。この空気供給管路152は、図4に示すように、エアブロア160に接続され二つに分岐された主管152aと、この主管152aから三つに分岐された幹管152bと、この幹管152bから分岐され前記上部パイプ151が接続される枝管152cとから構成されている。また、主管152aには、制御手段(図示省略)によって開閉が制御される開閉弁(図示省略)が設けられており、この開閉弁は、乾留時に閉塞され、置き火時には開放するように制御されている。
【0059】
また、前記下部供給口140は、図5および図6に示すように、処理炉100の側壁の下側に形成されており、下部供給口140は、側壁を構成する耐火物102を貫通する下部パイプ141の一端が炉内に表出することにより構成されている。この下部パイプ141は、下部用の空気供給管路(図示省略)に接続されており、この空気供給管路は、前記エアブロア160に接続されている。なお、このエアブロア160は空気の供給量を制御手段によって制御されている。また、前記下部用の空気供給管路にも開閉弁(図示省略)が設けられており、炉内の温度が一定温度以上となった場合には、該開閉弁が閉塞されるように制御手段によって制御されている。
【0060】
また、処理炉100の上壁には、蓋によって閉塞された爆発安全孔105が形成されている。さらに、処理炉100には、廃タイヤTが乾留可能な温度まで上昇させるための着火用バーナ106が設けられている。なお、着火用バーナ106としては天然ガスバーナが好適に用いられる。また、この着火用バーナ106は、溶鉱炉200のバーナ211,…に空気を供給するエアブロア202によって空気が供給されている。また、図1における107は、非常時に炉内に窒素ガスを供給するための窒素ガス供給装置である。
【0061】
また、処理炉100は、図6に示すように、炉内に廃タイヤTを搬入するための開口130が一側に設けられており、該開口130を閉塞するための蓋体400を有している。該蓋体400は、図6乃至図8に示すように、上下動手段410によって上下動するように設けられており、下部側に移動した際にクランプ手段420によって炉本体側に圧接されるように設けられている。ここで、クランプ手段420は、炉本体のフレーム101に固定されたクランプ用支持金具421によって支持されている。
【0062】
また、前記蓋体400は、格子状に設けられたフレーム401と、該フレーム401に取付けられた耐火物402とから構成されており、前記クランプ手段420によって該フレーム401が押圧されることにより、炉内を密閉できるように設けられている。
【0063】
また、蓋体400には、図6および7に示すように、その上部二箇所にワイヤ430が取付けられる吊り下げ用金具403が固着されており、該ワイヤ430によって上方に吊り上げられるように設けられている。
【0064】
また、炉本体のフレーム101には柱部材440が固定されており、該柱部材440の上部には前記蓋体400を上部に引き上げるための前記上下動手段としての電動機410が取付けられている。より詳述すると、前記炉本体のフレーム101には一対の柱部材440が固定され、この一対の柱部材440の上部に連結フレーム450が固定されており、また、該連結フレーム450は、炉本体のフレーム101に一端が固定された補強フレーム460の他端に固定されている。
【0065】
また、連結フレーム450には、図7および図8に示すように、前記電動機410および該電動機410によって回転される回転ローラー415が左右一対に裁置固定されている。該左右一対の回転ローラー415は、それぞれ前後二つ設置されており、連結フレーム450に取付けられたローラー支持具によって回転可能に軸支されている。ここで、電動機410は、その出力軸にスプロケット411が取付けられ、また、回転ローラー415の軸にもスプロケット416が取付けられ、このスプロケット411,416同士にチェーン418が巻回され、回転力が伝達されるよう設けられている。また、前記回転ローラー415の外周に前記ワイヤ430が引っ掛けられており、回転ローラー415の回転により蓋体400が上下動するように設けられている。また、前記ワイヤ430の他端には、カウンターウェイト470(図8においては図示省略)が取付けられており、蓋体400とのバランスがとられている。
【0066】
また、前記蓋体400には、両側にローラーからなる突起404が設けられており、前記柱部材440には、図7に示すように、該突起404が係合可能な案内レール441が設けられており、蓋体400が上昇する際に案内レール441に突起404が係合して安定した状態で蓋体400を上昇できるように設けられている。また、案内レール441は、蓋体400が最下方に位置した際(開口130の閉塞位置に位置する際)には、前記突起404との係合が解除されるような位置に設けられており、蓋体400が最下方に位置した際にクランプ手段420により炉本体に圧接するように設けられている。
【0067】
次に、上記処理システムによる廃タイヤの処理方法について以下説明する。
【0068】
まず、一方の処理炉100において、蓋体400を上昇させて開口130から炉内に廃タイヤTを搬入する。この搬入に際しては、多数の廃タイヤTをそのままの状態(粉砕などにしない状態)で、たとえばフォークリフト等により開口130から搬入する。
【0069】
炉内に廃タイヤTを搬入した後に、蓋体400を下降せしめてクランプ手段420によって蓋体400を炉本体側に押圧せしめて炉内を密閉する。なお、この蓋体400の上下動に際しては、蓋体400が案内手段441によって案内されるので的確に上下動することができる。
【0070】
上述のように蓋体400により炉内が密閉された後に、着火用バーナ106によって温度を上昇させつつ、下部供給口140から空気を供給する。なお、この供給開始時の空気量は、収容されたタイヤを焼却するために必要な理論空気量3〜4(完全燃焼に必要な空気量が10)で供給されている。
【0071】
そして、処理炉100内が一定温度(250℃程度)となると、廃タイヤTの乾留が開始されるが、このように、炉内の温度が一定以上となった際に、下部供給口140から供給される空気量を、理論空気量0.2〜0.3程度に制御する。なお、着火用バーナ106は炉内が一定温度以上となった後にOFF状態としている。また、上部供給口150は、この乾留開始時には閉塞されている(空気を供給しない)。
【0072】
また、乾留時において、炉内が一定温度(たとえば500度)以上となった場合には、制御手段は、前記下部供給口140からの空気供給を制御する。具体的には、一定温度以上となった場合には、一度、下部供給口140からの空気供給を停止して、その後、予定する空気量(理論空気量0.2〜0.3)よりも少ない空気を供給し、一定温度(たとえば500度)以下となった場合に、前記正常運転(理論空気量0.2〜0.3の空気供給)を再開する。また、炉内が一定温度(たとえば250度)以下となった場合には、制御手段は、下部供給口140からの空気供給を正常運転よりも多い空気を供給し、一定温度(たとえば250度)以上となった場合に、前記正常運転(理論空気量0.2〜0.3の空気供給)を再開する。なお、エアブロア160を、時間に応じて空気の送給量を調整するように設けることも可能である。上述のように、供給する空気を調節することによって、廃タイヤTの乾留の速度や乾留ガスの量を的確に調節することができる。
【0073】
上記のように廃タイヤTから乾留ガスが発生している際には、乾留ガス送給路310の開閉弁311を開放し、排出路320の開閉弁322を閉塞しておく。これにより、発生した乾留ガスは、乾留ガス送給路310を介して溶鉱炉200の乾留ガスバーナ211に供給されることになる。そして、この乾留ガスバーナ211において乾留ガスは燃焼され、溶鉱炉200の溶融室210の温度上昇を図ることができる。なお、溶鉱炉200の溶融室210の温度が一定以下となった場合には、制御バーナ213を着火して溶融室210の温度を一定温度(たとえば1000度)以上に保っている。また、保持室220も、制御バーナ222および補助バーナ223によって一定温度(たとえば850度)以上に保たれている。
【0074】
また、上記のように乾留ガスバーナ211による乾留ガス燃焼時においては下流側に設けられたブロア800をON状態としておく。これにより、溶鉱炉200が処理炉100よりも負圧となるため、溶鉱炉200から処理炉100への逆火を防止することができる。
【0075】
上記のようにして溶融したアルミニウムは、保持室220を経て溶融アルミ排出口221から外部に取り出されることになる。
【0076】
また、上記乾留を開始して一定時間経過後(たとえば12時間経過後)、この処理炉100の乾留ガス送給路310の開閉弁311を閉塞し、排出路320の開閉弁322を開放する。また、他方の処理炉100においては、廃タイヤTを炉内に搬入しておき、乾留を開始する。すなわち、一方の処理炉100による乾留が終了した後に、他方の処理炉100による乾留を開始する。このため、溶融炉における乾留ガスの燃焼を連続的に行うことができる。
【0077】
上記のように乾留ガス送給路310の開閉弁311を閉塞し、排出路320の開閉弁322を開放した処理炉100においては(乾留が終了した処理炉100においては)、下部供給口140のみにならず、上部供給口150からの空気送給を開始する。これにより、灰化に必要な空気量を供給することができ、乾留が終了した廃タイヤTを完全に灰化することができる。なお、乾留時において上部供給口150が油分などによって閉塞されていても、この供給口150は下方に向けて設けられているため、供給される空気圧によって油分などを容易に除去することができる。
【0078】
このように廃タイヤTを灰化する際に発生した排ガスは、排出路320を介して一定温度以上に保たれた保持室220に排出されることになる。この保持室220に排出された排ガスは、その他の溶鉱炉200内の排ガスとともに排ガス排出口230から排出されることになる。なお、排出路320の接続口は排ガス排出口230から一定距離以上離されているため、排ガスは、一定温度以上に保たれた保持室220内を一定時間以上滞留することになる。
【0079】
そして、排ガス排出口230から排出された排ガスは、冷却塔500において200度程度に急冷された後に、バグフィルタ600により粉塵を除去され、硫黄除去装置700によって硫黄化合物が除去された後に、大気に放出されることになる。このため、この処理システムは、ダイオキシンおよび硫黄化合物の残存量のきわめて少ないガスを大気に放出するものである。
【0080】
また、上記のような灰化が終了し、炉内の温度が一定以下となった後に、この処理炉100の蓋体400を上昇して、灰化した廃タイヤTを開口130から除去して、再度既述のように廃タイヤTを搬入して、他方の処理炉100による乾留終了後に乾留を開始できるように準備しておく。そして、他方の処理炉100による乾留が終了した後に、既述のような乾留を行うことになる。
【0081】
本実施形態は上記構成からなり上述の方法により廃タイヤTを処理するものであったが、本願発明はこれに限定されるものではなく、本願発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0082】
つまり、上記実施形態のシステムは、乾留ガスを燃焼したエネルギーを利用するガス燃焼部としてアルミニウムを溶融するものについて説明したが、このガス燃焼部は、その他、ボイラー、発電機などを採用することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ等の廃棄物から乾留ガスを発生させるべく廃棄物を密封状態で収容する複数の処理炉と、
該処理炉において発生した乾留ガスを燃焼したエネルギーを利用するガス燃焼部と、
前記処理炉から前記ガス燃焼部まで乾留ガスを送給する乾留ガス流路とを備えており、
前記処理炉には、炉内の排ガスを排出する排出路が設けられており、該排出路は、排ガスが前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過するように設けられており、
前記乾留ガス流路および排出路には、開閉弁が設けられていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の処理システムであって、
前記開閉弁は、前記処理炉の炉内に近接して設けられていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の処理システムであって、
前記処理炉に空気を供給する乾留用空気供給手段が設けられており、該乾留用空気供給手段により乾留時に供給される空気量が制御手段によって制御されていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の処理システムであって、
前記処理炉の上部には、前記処理炉に空気を供給するための上部供給口が設けられており、該上部供給口からの空気供給は、制御手段によって制御されていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の処理システムであって、
前記排出路から排出された排ガスは、前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過して、その下流側において冷却されるように設けられていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の処理システムであって、
前記ガス燃焼部よりも下流側に、ガス燃焼部内の空気を下流側に吸引する吸引手段を有していることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理システム。
【請求項7】
タイヤ等の廃棄物を処理炉において処理する方法であって、
前記処理炉において廃棄物を密封状態で乾留ガスを発生させ、
該処理炉において発生した乾留ガスを乾留ガス流路を介してガス燃焼部において燃焼してエネルギーを利用し、
一定時間経過後に前記処理炉の乾留ガス流路を閉塞して排気路を開放し、排気ガスを前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させるとともに、他の処理炉において廃棄物を密封状態で乾留ガスを発生させ、
前記他の処理炉において発生した乾留ガスを乾留ガス流路を介してガス燃焼部において燃焼してエネルギーを利用することを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理方法。
【請求項8】
請求項7記載の処理方法であって、
乾留時に前記処理炉に空気を供給する空気量を、制御手段によって制御することを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の処理方法であって、
乾留後において、前記処理炉の上部に設けられた上部供給口から空気を供給することを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理方法。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れかに記載の処理方法であって、
前記排出路から排出された排ガスを、前記ガス燃焼部により一定温度以上に保持された領域を通過させ、その下流側において冷却することを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理方法。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載の処理方法であって、
前記ガス燃焼部よりも下流側から、ガス燃焼部内の空気を吸引手段によって吸引することを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理方法。
【請求項12】
タイヤ等の廃棄物から乾留ガスを発生させるタイヤ等の廃棄物の処理炉であって、
乾留ガスを送給するための乾留ガス送出口と、排ガスを排出する排出口とを備えるとともに、
前記乾留ガス送出口および排出口の流路を開閉するため開閉弁が設けられていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理炉。
【請求項13】
請求項12記載の処理炉であって、
炉内に空気を供給する乾留用空気供給手段が設けられており、該乾留用空気供給手段により乾留時に供給される空気量が制御手段によって制御されていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理炉。
【請求項14】
請求項12または13記載の処理炉であって、
炉内の上部には、空気を供給するための上部供給口が設けられており、該上部供給口からの空気供給は、制御手段によって制御されていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理炉。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載の処理炉であって、
廃棄物を炉内に搬入するための開口と該開口を閉塞するための蓋体を有しており、
前記蓋体は、炉本体に対してスライド可能に設けられているとともに、クランプ手段によって炉本体側に圧接されるように設けられていることを特徴とするタイヤ等の廃棄物の処理炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/019727
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513251(P2005−513251)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010512
【国際出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(503267696)スギモト砿油株式会社 (1)
【Fターム(参考)】