説明

タグリーダ及び認証システム

【課題】タグリーダのコイルアンテナから発せられる磁束が金属面に吸収されて、共振周波数が上がり、交流磁界強度の低下することによって、タグと通信ができなくなる事態をできるだけ回避する。
【解決手段】タグリーダに複数のコイルアンテナを、それぞれの中心軸が互いに平行にならないように、配置する。そして、通信回路と各コイルアンテナとの接続を切り替えられるスイッチング回路を備え、各コイルアンテナに接続した場合に流れる電流量の最も大きかったコイルアンテナと通信回路とを接続して、タグとの通信を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタグリーダに関し、特に、タグリーダにおけるアンテナの配置に関する。
【背景技術】
【0002】
認証システムでは、タグリーダがユーザが保持するタグからタグに記憶されている識別情報を読み取る。そして、タグリーダは、読み取った識別情報を認証装置に送り、認証装置は、受け取った識別情報が、ゲートを通過してもよいと予め定められており、自装置で保持している識別情報群のなかにあるか否かを判定し、あった場合に、ゲートコントローラに扉の鍵の解錠を指示する。
【0003】
タグリーダには、例えば特許文献1に挙げるものがある。特許文献1には、電池などから供給される電源電圧にかかわらず、アンテナコイルが発生する磁束を増加させてICカードとの通信距離を拡大することができる非接触ICカードリードライターが開示されている。当該非接触ICカードリードライターは、複数のアンテナコイルと、各アンテナコイルに対応するドライブ回路を備えることで、通信距離の拡大を図っている。
【特許文献1】特開2007−26143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タグリーダにおいては、コイルアンテナに近接する位置に金属性部品が配されていると、タグとの通信がしにくくなることがある。金属性部品には、例えば、回路基板上の銅箔線路などがある。
これは、タグリーダのコイルアンテナの近傍に金属物が配置されることにより、通信に使用する周波数と一致するように調節されている共振周波数が上昇し、コイルアンテナから発生する交流磁界強度が低下するためである。特に、コイルアンテナの開口部を、回路基板が覆うような形で配されている場合には、金属性構造物(回路基板上には導体線路が縦横に張り巡らされ、且つ、多種の金属性部品が配されているため金属性構造物として一枚の金属板と見なせる)上に逆位相の渦電流が発生し、コイルアンテナから発生する交流磁界強度が大きく低下する。
【0005】
また、タグリーダは通常ユーザがタグをかざしやすいように、壁面などに取り付けられることが多く、すると壁面が金属で構成されていた場合にも、コイルアンテナとその金属性の壁面との位置関係によっては、上述のような問題が発生する。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コイルアンテナの磁束が回路基板や壁面に吸収されて交流磁界強度が低下したために、通信が安定してできなくなることをなるべく防ぐことができるタグリーダ及び当該タグリーダを含む認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るタグリーダは、識別情報を保持するタグと、当該タグから識別情報を取得し送信するタグリーダと、タグリーダから識別情報を受け取って認証を実行し、ゲートの施解錠を指示する認証装置と、認証装置からの指示に従いゲートの電気錠の施解錠を実行するゲートコントローラとからなる認証システムにおけるタグリーダであって、通信回路と、中心軸の方向が互いに異なるように配された複数のコイルアンテナと、前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを選択的に前記通信回路と電気的に接続するスイッチング部とを備え、前記通信回路は、前記スイッチング部により接続されたコイルアンテナを用いて前記識別情報を取得するための無線通信を実行することを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る認証システムは、上記タグリーダと、当該タグリーダと通信を実行するタグと、認証を実行する認証装置と、扉の鍵の施解錠を実行するゲートコントローラとを含む認証システムであって、前記タグリーダは、前記タグに対して前記タグが保持する識別情報を要求するための質問信号を前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを用いて無線送信する第1送信手段と、前記タグから、当該タグが保持する識別情報を含む応答信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した識別情報を前記認証装置に前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを用いて送信する第2送信手段とを備え、前記タグは、前記タグリーダから前記質問信号を受信して、前記応答信号を送信する応答手段を備え、前記認証装置は、認証対象となる識別情報群を記憶している記憶手段と、前記タグリーダから送信されてきた識別情報が前記識別情報群に含まれるか否かを認証する認証手段と、前記認証手段が前記識別情報が前記識別情報群に含まれていると認証した場合に、前記ゲートコントローラに解錠を指示する指示手段とを備え、前記ゲートコントローラは、前記認証装置からの指示に基づき扉の解錠を実行する解錠手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述のような構成によって、生じる磁束の向きの異なる複数のコイルアンテナを備えることにより、一のコイルアンテナが金属製の壁面等によっておよそ覆われるような形になって、交流磁界強度が低下したとしても、他のコイルアンテナが覆われない可能性は高くなり、結果として、当該他のコイルアンテナに接続を切り替えることで、通信が安定して行える可能性を高めることができる。
【0009】
また、前記タグリーダは、さらに、前記複数のコイルアンテナのうち、最も通信に適しているコイルアンテナがいずれのコイルアンテナであるかを判定する判定手段を備え、前記スイッチング部は、前記判定手段により最も通信に適していると判定されたコイルアンテナと前記通信回路とを電気的に接続することとしてよい。
これによりタグリーダは、何れか一つのコイルアンテナを判定して、最も通信に適しているコイルアンテナを選定して通信を実行することができる。
【0010】
また、前記判定手段は、各コイルアンテナと前記通信回路とを接続するように前記スイッチング部を制御して、各コイルアンテナが所望の搬送周波数で信号を送信できるように定められた電流を流して、その電流量を測定し、前記複数のコイルアンテナのうち、最も流れる電流量の多かったコイルアンテナが最も通信に適しているコイルアンテナであると判定することとしてよい。
【0011】
これによりタグリーダは、コイルアンテナに流れる電流値を判定の基準として、通信に適しているコイルアンテナがいずれのコイルアンテナであるかを判定できる。
また、前記複数のコイルアンテナのうち少なくとも2つのコイルアンテナは、互い中心軸のなす角度が略直角になるように配されていることとしてよい。
これにより、少なくとも2つのコイルアンテナの磁束の中心軸がなす角度が略直角になるようにコイルアンテナを配することになるので、各コイルアンテナで通信を実行する際の、磁束の向きを異ならせることができので、それぞれのコイルアンテナを使用した場合での通信環境を異ならせることができ、いずれかのコイルアンテナを使用した場合には、通信が安定してできる可能性を高めることができる。
【0012】
また、前記タグリーダは、長方体状の筐体であり、前記複数のコイルアンテナのうち少なくとも2つのコイルアンテナのうちの第1のコイルアンテナは、前記筐体の6面のうち、互いに直交する2の面のうちの一面近傍に備えられた平面型アンテナであり、前記2つのコイルアンテナのうちの第2のコイルアンテナは、前記著効する2の面のうちの他方の面近傍に備えられた平面型アンテナであることとしてよい。
【0013】
これにより、簡単にタグリーダを形成でき、また、平面型アンテナを使用することで、その他の部品の設置スペースに余裕を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施の形態>
<構成>
以下、本発明の一実施形態であるタグリーダについて図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係るタグリーダ100の外観図と内部構造図である。図1(a)が、タグリーダ100の外観図であり、図1(b)が、タグリーダ100の内部構成例を示した図である。
【0015】
図1(a)に示すように、タグリーダ100は、その前面にタグリーダ100の状態をユーザに通知するための表示パネルを供える。表示パネルは例えば、電源が入っているかどうか、エラーが発生したかどうかなどのLEDを含む。図1には図示していないが、これらのLEDの点灯、消灯は、タグリーダ内部のタグリーダの状態を管理する制御回路によって、制御されており、エラーが発生した場合には、エラーに対応するLEDが点灯される。当該制御回路も図1(b)の回路基板110上に配される。タグリーダ100の筐体130は、例えば、強化プラスチックなどの絶縁性樹脂により構成される。
【0016】
また、図1(b)に示すように、タグリーダ100は、その筐体130内部に、通信回路120及びスイッチング回路104が配された回路基板110と、通信に使用されるコイルアンテナ111、コイルアンテナ112を備える。なお、通常コイルアンテナは、コイル状の導体とキャパシタと対になってアンテナとして作用するものであるが、ここでは、コイル状導体をコイルアンテナと称する。
【0017】
コイルアンテナ111、コイルアンテナ112は共に平面型のアンテナであり、1平面上に導体線路を渦巻状に形成されてなる。コイルアンテナ112は、コイルアンテナ111が近接する筐体130の一面(図1(b)ではタグリーダ100の右側面)に対向していない一面(図1(b)ではタグリーダ100の上面)に近接する位置に配される。また、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112の中心軸は互いに向きが異なる、つまり平行にならないように配されている。ここでいう中心軸とは、コイルアンテナのループの中心を通過し、コイルアンテナが形成する平面に対して垂直な軸のことをいう。
【0018】
コイルアンテナ111とコイルアンテナ112とは、共にスイッチング回路104を介して通信回路120に接続されている。
図1(b)に示すようにコイルアンテナ111とコイルアンテナ112とを筐体130の右側面及び上面に配することにより、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112の中心軸が互いに対して平行にしていないので、いずれか一方のコイルアンテナは、金属性部品からの影響を他方よりは少なくして通信を実行できる可能性を高めている。
【0019】
図2は、タグリーダ100が組み込まれる認証システムのシステム構成例を示したシステム図である。
認証システムは、タグリーダ100と、タグ210と、認証装置220と、ゲートコントローラ230と、電気錠240とを含んで構成される。
タグ210は、ユーザが保持するものであり、タグには、当該タグを示す固有の識別情報が保持されている。タグ210は、タグリーダ100からの識別情報を要求する質問信号を受信すると、自身が保持する識別情報を含んだ応答信号を発信する機能を有する。
【0020】
タグリーダ100は、逐次タグの識別情報を要求する質問信号を発信し、タグからの応答信号を受けると、応答信号に含まれる識別情報を認証装置220に送信する機能を有する。
認証装置220は、ゲート200を通過してもよいユーザを認証するために、認証情報を保持しており、タグリーダ100から送信されてきた識別情報が保持している認証情報に含まれているかを認証する機能を有する。そして、識別情報が認証情報にあった場合にゲートコントローラ230に電気錠の解錠を指示する機能を有する。なお、認証情報は、ゲート200を通過してもよいユーザが保持するタグに対応する識別情報の集合である。
【0021】
ゲートコントローラ230は、認証装置220からの指示に従い電気錠240の施解錠を実行する機能を有する。
タグリーダ100は、タグ210が保持する識別情報を取得し、取得した識別情報を認証装置220に送信する。認証装置220は、保持していた認証情報の中に、送信されてきた識別情報があるか否かによって認証を行ない、認証情報中に識別情報があった場合に、ゲートコントローラ240にゲート200の電気錠240の解錠を実行する。
【0022】
図3は、本発明に係るタグリーダ100の機能構成を示した機能ブロック図である。
タグリーダ100は、コイルアンテナ111と、コイルアンテナ112と、キャパシタ103と、通信回路部120と、制御部140と、電流監視部150とを含んで構成される。
通信回路部120は、逐次質問信号をコイルアンテナ111とコイルアンテナ112とを用いて、発信する機能を有する。キャパシタ103の容量によって、共振周波数が決定される。
【0023】
制御部140は、通信回路部120で応答信号を受信すると、応答信号中に含まれる識別情報を抽出し、当該識別情報を認証装置220に送信する機能を有する。
電流監視部150は、経路上を流れる電流値を検出する機能を有する。また、電流監視部150は、スイッチング回路104を制御する機能も有し、スイッチング回路104をコイルアンテナ111かコイルアンテナ112のいずれかの側に接続するようスイッチング回路104を切り替える機能を有する。
【0024】
さらに、電流監視部150は、通信に先立ち、スイッチング回路104を切り替えてコイルアンテナ111に接続し、経路を流れる電流値を測定する。また、スイッチング回路を切り替えてコイルアンテナ112にも接続し、動揺に経路を流れる電流値を測定する。そして、測定した電流値のうち大きい電流値が流れたコイルアンテナの側にスイッチング回路104を切り替えて接続させる。これにより、電流値が大きく流れる、即ち、交流磁界強度のより強いコイルアンテナを用いてタグとの通信を実行することができるので、より安定した通信を実行できる。
【0025】
以上が本発明に係るタグリーダ100の構成である。
図1に示したように、コイルアンテナ111と、コイルアンテナ112とを配し、使用する、つまり通信回路部120と接続するコイルアンテナを切り替えられる構成を備えることで、一方のコイルアンテナでの通信状態が良くなくても、もう一方でのコイルアンテナでの通信状態がよい可能性があるので、当該もう一方のコイルアンテナを通信回路と接続して通信を行うことができる可能性を高めることができる。
<動作>
ここから、タグリーダ100の動作について、特に、使用するアンテナを決定する際の動作について図4に示したフローチャートを用いて説明する。
【0026】
図4は、タグリーダ100のどのコイルアンテナを使用するかを決定するための動作を示したフローチャートである。当該動作は、基本的に、通信に前段階の初期化の際に行う。
電流監視部150は、まず、スイッチング回路104を制御してコイルアンテナ111側に接続させる(ステップS401)。
【0027】
そして、通信回路部120は、回路上に電流を流し、電流監視部150は経路上を流れる電流の電流値を測定する(ステップS402)。測定した電流値は、メモリ等に一時的に記憶しておく。
電流値の測定を終えると、電流監視部150は、次に、スイッチング回路104を制御してコイルアンテナ112側に接続させる(ステップS403)。
【0028】
そして、通信回路部120は、回路上に電流を流し、電流監視部150は経路上を流れる電流の電流値を測定する。測定した電流値は、メモリ等に一時的に記憶しておく(ステップS404)。
電流監視部120は、各コイルアンテナに接続した場合に流れる電流の電流値の測定を終えると、メモリに記憶していた電流値を比較する。この場合、メモリに記憶してあるコイルアンテナ111を使用した場合と、コイルアンテナ112を使用した場合の電流値を比較する。
【0029】
そして、コイルアンテナ111を使用した場合の電流値が、コイルアンテナ112を使用した場合の電流値以上である場合に(ステップS405のYES)、電流監視部150はスイッチング回路104を制御して、コイルアンテナ111側に接続させる(ステップS406)。
コイルアンテナ111を使用した場合の電流値が、コイルアンテナ112を使用した場合の電流値未満である場合に(ステップS405のNO)、電流監視部150はスイッチング回路104を制御して、コイルアンテナ112側に接続させる(ステップS406)。
【0030】
そして、通信回路部120は、電流監視部150の制御のもと、スイッチング回路104が接続しているコイルアンテナを用いて、タグとの通信を実行する。
以上に説明してきたように、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112とを切り替えて、より通信に適している方を選択して通信を行うので、一方のコイルアンテナ111の開口部が、金属製の壁面等により覆われて通信が実行しにくくなったとしても、もう一方のコイルアンテナを使用して、通信ができる可能性を高めることができる。
<補足>
上記実施の形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態において、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112の配置例を示したが、両コイルアンテナの中心軸が互いに向きが異なっていればよく、例えば図5に示すように配置してもよい。なお、図5においては、図面を見やすくするために、コイルアンテナの配置のみを示した。
【0031】
図5(a)に示すように、コイルアンテナ111を前面に、そして、コイルアンテナ112を上面に配してもよいし、図5(b)に示すようにコイルアンテナ111を右側面に、そして、コイルアンテナ112を前面に配してもよい。また、図示はしていないが、左側面や、下面、奥面に配することとしてもよい。
(2)上記実施の形態においては、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112とを平面コイルアンテナとして説明したが、両コイルアンテナの中心軸が上記実施の形態における関係を保つのであれば、平面型のコイルアンテナでなくともよく、例えば、通常のコイルをアンテナとして用いてもよい。
【0032】
また、ここでは、四角形状の平面アンテナとしているが、ループアンテナであれば、その他の形状をしていてもよく、例えば円形などであってもよい。
(3)上記実施の形態において、コイルアンテナ111とコイルアンテナ112の中心に、比透磁率の高い磁性体コアを配置して、電界強度の強化を図ってもよい。
また、コイルアンテナと磁性体コアの相対位置関係を調節できる機構を設けて、インダクタンスを変更し、共振周波数を調節することとしてもよい。なお、当該機構については、AMラジオ機器等において周知の技術であるので、ここではその説明を割愛する。
(4)上記実施の形態においては、LEDでタグリーダの状態をユーザに通知することとしたが、これは、液晶等を備えて、テキストなどにより通知することとしてもよい。これらのテキストの表示は、予め表示すべきテキストデータをメモリ等に記憶しておき、その時々のタグリーダの状態に合わせて制御回路140が表示すべきテキストを選択して表示することとしてよい。
(5)上記実施の形態においては、通信回路部120や、制御回路は、回路基板110上に配することとしたが、別の位置に配することとしてもよい。
(6)上記実施の形態においては、コイルアンテナが2つの場合を例に説明したが、これは、2つに限定されるものではなく、複数であればいくつ備えていても良く、3つや4つ、あるいはそれ以上の数のコイルアンテナを備えていてもよい。この場合、スイッチング部104は各コイルアンテナに対して接続されるように形成される。この場合、各コイルアンテナについて、それぞれの磁束の向きが異なるよう、中心軸の方向が互いに異なるように配する必要があり、その際、複数のコイルアンテナのうち少なくとも2つのコイルアンテナの中心軸のなす角度が略90°になるように配するのが望ましい。但し、配置上90°にするのが難しい場合には、複数のコイルアンテナ中の2つのコイルアンテナの中心軸のなす角度それぞれがある程度角度があるように配されればよい。
【0033】
例えば、コイルアンテナを3つ配する場合には、図6に示すように、コイルアンテナ111を右側面近傍に、コイルアンテナ112を上面近傍に、コイルアンテナ113を正面近傍に配することが考えられる。なお、図6においては、図面を見やすくするために、コイルアンテナの配置のみを示した。
そして、この場合の機能構成は、図7に示す機能ブロック図のようになる。本図7において、実施の形態1に示した機能ブロック図(図3)と異なる点は、コイルアンテナ113を備え、スイッチング回路104が通信回路120とコイルアンテナ113とも接続する構成を供え、電流監視部150は、コイルアンテナ111、112のみならず、コイルアンテナ113を流れる電流の電流値も測定し、3つのコイルアンテナを流れる電流の電流値のうち最も大きかたコイルアンテナを通信に使用するコイルアンテナとして選択する点である。
【0034】
こうすることで、実施の形態1に比して、更に通信を実行できる可能性を高めることができる。
(7)上記実施の形態において、タグリーダ100で使用するコイルアンテナを決定する処理は初期化段階において行うこととしたが、これはこの限りではなく、次の場合において実行してもよい。
【0035】
例えば、電流監視部150は定期的(例えば、1分ごと)に流れる電流値を測定し、その電流値が予め定めて記憶しておいた閾値を下回った場合に、コイルアンテナを決定しても良いし、通信を実行するたび(タグとの通信が開始されたことを検出したとき)にコイルアンテナを選択してもよい。
(8)上記実施の形態におけるタグリーダ100の各機能部(通信回路部120、制御部140、電流監視部150)は、1又は、複数のLSI(Large Scale Integration)により実現されてもよく、また、複数の機能部が1のLSIによって実現されてもよい。LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
(9)上記実施の形態における通信に先立ち、使用するコイルアンテナの決定に係る動作(図4参照)をタグリーダのプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるためのプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布させることもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより、実施形態で示したような各種機能が実現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は、タグリーダの外観図である。(b)は、タグリーダの内部構造図である。
【図2】タグリーダを含む認証システムのシステム構成を示したシステム図である。
【図3】タグリーダの機能構成を示した機能ブロック図である。
【図4】使用するコイルアンテナを決定するタグリーダ100の動作を示すフローチャートである。
【図5】コイルアンテナの別配置例を示す図である。
【図6】コイルアンテナを3つ使用する場合の配置例を示す図である。
【図7】コイルアンテナを3つ使用する場合のタグリーダの機能構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
100 タグリーダ
111、112、113 コイルアンテナ
103 キャパシタ
104 スイッチング部
104a、104b、104c スイッチ
110 回路基板
120 通信回路部
130 筐体
140 制御部
150 電流監視装置
200 ゲート
210 タグ
220 認証装置
230 ゲートコントローラ
240 電気錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を保持するタグと、当該タグから識別情報を取得し送信するタグリーダと、タグリーダから識別情報を受け取って認証を実行し、ゲートの施解錠を指示する認証装置と、認証装置からの指示に従いゲートの電気錠の施解錠を実行するゲートコントローラとからなる認証システムにおけるタグリーダであって、
通信回路と、
中心軸の方向が互いに異なるように配された複数のコイルアンテナと、
前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを選択的に前記通信回路と電気的に接続するスイッチング部とを備え、
前記通信回路は、前記スイッチング部により接続されたコイルアンテナを用いて前記識別情報を取得するための無線通信を実行する
ことを特徴とするタグリーダ。
【請求項2】
前記タグリーダは、さらに、
前記複数のコイルアンテナのうち、最も通信に適しているコイルアンテナがいずれのコイルアンテナであるかを判定する判定手段を備え、
前記スイッチング部は、前記判定手段により最も通信に適していると判定されたコイルアンテナと前記通信回路とを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1記載のタグリーダ。
【請求項3】
前記判定手段は、各コイルアンテナと前記通信回路とを接続するように前記スイッチング部を制御して、各コイルアンテナが所望の搬送周波数で信号を送信できるように定められた電流を流して、その電流量を測定し、前記複数のコイルアンテナのうち、最も流れる電流量の多かったコイルアンテナが最も通信に適しているコイルアンテナであると判定する
ことを特徴とする請求項1記載のタグリーダ。
【請求項4】
前記複数のコイルアンテナのうち少なくとも2つのコイルアンテナは、互い中心軸のなす角度が略直角になるように配されている
ことを特徴とする請求項2記載のタグリーダ。
【請求項5】
前記タグリーダは、長方体状の筐体であり、
前記複数のコイルアンテナのうち少なくとも2つのコイルアンテナのうちの第1のコイルアンテナは、前記筐体の6面のうち、互いに直交する2の面のうちの一面近傍に備えられた平面型アンテナであり、前記2つのコイルアンテナのうちの第2のコイルアンテナは、前記著効する2の面のうちの他方の面近傍に備えられた平面型アンテナである
ことを特徴とする請求項3記載のタグリーダ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタグリーダと、当該タグリーダと通信を実行するタグと、認証を実行する認証装置と、扉の鍵の施解錠を実行するゲートコントローラとを含む認証システムであって、
前記タグリーダは、
前記タグに対して前記タグが保持する識別情報を要求するための質問信号を前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを用いて無線送信する第1送信手段と、
前記タグから、当該タグが保持する識別情報を含む応答信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した識別情報を前記認証装置に前記複数のコイルアンテナのうちのいずれか1つのコイルアンテナを用いて送信する第2送信手段とを備え、
前記タグは、
前記タグリーダから前記質問信号を受信して、前記応答信号を送信する応答手段を備え、
前記認証装置は、
認証対象となる識別情報群を記憶している記憶手段と、
前記タグリーダから送信されてきた識別情報が前記識別情報群に含まれるか否かを認証する認証手段と、
前記認証手段が前記識別情報が前記識別情報群に含まれていると認証した場合に、前記ゲートコントローラに解錠を指示する指示手段とを備え、
前記ゲートコントローラは、
前記認証装置からの指示に基づき扉の解錠を実行する解錠手段を備える
ことを特徴とする認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−123057(P2010−123057A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298287(P2008−298287)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】