説明

タグ通信装置

【課題】システムの肥大化やコスト増を招くことなく、物品の向きを把握しつつ、物流業務の効率化が図れるタグ通信装置を提供する。
【解決手段】物品の天側及び地側にRFIDタグを予め貼付しておき、物品を搬送するベルトコンベアに沿ってリーダライタを設置し、物品の天地方向に送信する電波のビームをスキャンさせる。リーダライタはRFIDタグからIDを受信し、その受信した際のスキャン角とIDとから物品の天地を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグが付された物品の向きを判定可能なタグ通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、物流業界においては、RFID(Ratio Frequency Identification)タグ(ICタグとも言う)を物品に貼付し、このRFIDタグとリーダライタが無線通信を行うことにより物品管理を行うといういわゆるRFIDシステムが用いられている。このRFIDシステムによれば、例えば、ベルトコンベアなどにより搬送される物品に付されたRFIDタグから自動的にID(Identification)等のデータを読み取ることができるので物流業務の効率化を図ることができ便利である。
【0003】
ここで、この搬送される物品のなかには、天地無用の物品、収納庫に収納する物品などがある。搬送過程で物品がひっくり返ってしまったり、人が誤ってベルトコンベアに天地逆さまに物品を載せてしまったりすると、天地が逆さまになって物品は搬送されてしまうし、他方、RFIDタグが所定の位置にくるように物品を搬送しないと、物品を収納した際にRFIDタグが隠れてしまったり、奥の方に入ってしまったりすることがある。前者の場合には、内容物によっては出荷できず取り除く必要があるし、後者の場合には、本来の向きに直す必要があるが、このRFIDシステムにおいては、搬送される物品の向きまでは検知できないといった問題があった。
【0004】
そこで、搬送される物品の向き(姿勢)を検知するものとして、特許文献1に記載の技術がある。ここでは、動態手段であるフォークリフトトラックに各種のセンサーを搭載することにより物品の向きを検知している。このように各種センサーを使用したり、アンテナの数を増加したりすれば、従来のRFIDシステムにおいて、搬送される物品の向きをも検知して物品管理をすることが可能となるが、このような手法を用いた場合には、システムの肥大化を招き、コスト増にも繋がるという新たな問題が発生する。
【0005】
【特許文献1】特開2005−70872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、システムの肥大化やコスト増を招くことなく、物品の向きを把握しつつ、物流業務の効率化が図れるタグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、RFIDタグは予め特定された物品の天側あるいは地側のいずれか一方に貼付されており、送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその天地方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性により物品の天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明は、物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、RFIDタグは前記正面に対して物品の左側あるいは右側のいずれか一方に貼付されており、送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその搬送方向と交差する方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性により物品の向きが正常状態か否かを判定する物品方向判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、RFIDタグは予め特定された物品の天側及び地側に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその天地方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明は、物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、RFIDタグは前記正面に対して物品の左側あるいは右側のいずれか一方に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその搬送方向と交差する方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の向きが正常状態か否かを判定する物品方向判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明は、物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、RFIDタグは予め特定された物品の天側あるいは地側の少なくとも一方及び正面側あるいは背面側の少なくとも一方に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に貼付された全てのRFIDタグに向けて当該電波を二次元的にスキャンするスキャンアンテナと、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の向きが正常状態にあるか否か及び天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
物品には、方形状、円柱状、台形状など種々の形状のものが含まれる。また、物品の天地あるいは左右の方向は、各物品においてそれぞれ予め特定しておき、各位置に貼付するRFIDタグをこれら位置に対応付けて貼付しておく。なお、この物品は、ベルトコンベアなどの搬送手段により移動している物品だけではなく、静止している物品も含むものである。
【0013】
また、上記「RFIDタグ」としては、例えば、電池などの電源を有しておらず、リーダライタから電波で送電された電力によって回路が動作し、リーダライタと無線通信を行うパッシブタイプのRFIDタグや、電池などの電源を有するアクティブタイプのRFIDタグが含まれる。上記「識別データ」は、いわゆるID「Identification」である。
【0014】
また、上記「タグ通信装置」とは、例えば、RFIDタグと通信可能なリーダライタあるいはリーダ、ライタである。
【0015】
上記「スキャンアンテナ」は、例えば、電子的制御によって送信する電波のビームを高速にスキャン可能なフェーズドアレイアンテナからなり、複数のアンテナ素子と、この複数のアンテナ素子のそれぞれに接続された複数の位相器と、この複数の位相器のすべてに接続された1つの分配合成器から構成されている。分配合成器に入力された電波は、それぞれのアンテナ素子ごとの位相器に分配され、各位相器にて所望の位相変化がなされた後、各アンテナ素子から放射され、この際位相後の各電波がすべて同相となるような方向、すなわち正弦波の位相が一致する方向に強く電波が放射される。この最も強い電波が「送信する電波のビーム」、例えば、メインローブであり、この方向(指向性)は、位相器の設定により任意に変化させることができる。
【0016】
また、上記複数のアンテナ素子は、パッチアンテナから構成されていてもよく、更に、上記複数のアンテナ素子は、二次元配列されていてもよく、上記スキャンアンテナを二次元的にスキャンするようにしてもよい。パッチアンテナから複数のアンテナを構成すれば、スキャンアンテナを薄く製造できるし、製造コストも低く抑えられるので好適である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、物品の予め特定された位置にRFIDタグを貼付しておき、この物品に対しスキャンアンテナでスキャンすることにより、スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性に基づき物品の方向を検知するように構成した。これにより、物流業務の効率化を図ることができ、同時に物品の方向の検知も、従来に比べて比較的低コストでしかもシステム全体の肥大化を招くことなく実現し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下においては、タグ通信装置はリーダライタとし、物品は移動しているものとして説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、静止している物品に対しても本発明は適用可能である。
【0019】
≪第1実施形態≫
図1は本発明の第1の実施形態に係るタグ通信装置を適用したRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図、図2はRFIDタグの概略構成を示すブロック図、図3はリーダライタの概略構成を示すブロック図、図4はスキャンアンテナの概要を示す模式図である。なお、以下においては、RFIDタグ、物品、ビームを、それぞれ総括的に用いるときは、RFIDタグ2、物品5、ビームMと称する。
【0020】
このRFID通信システム1Aは、ベルトコンベア6で運搬される多数の物品5の入出庫管理を行うものであり、物品5にそれぞれ取り付けられたRFIDタグ2に対し、リーダライタ3が無線通信を行ってデータの読み書きを行うものである。この際、本RFID通信システム1Aにおいては、それぞれの物品5が天地逆さまで運搬されていないかを判定するように構成されている。
【0021】
まず各構成について詳細に説明する。
【0022】
図2は、RFIDタグ2の概略構成を示すブロック図である。同図に示すようにRFIDタグ2は、アンテナ部20と無線通信IC21とを備える構成である。この種のRFIDタグ2としては、例えば、上述したパッシブタイプやアクティブタイプのものが使用される。
【0023】
アンテナ部20は、リーダライタ3からの電波を無線通信IC21を動作させる電力源として受け取るものである。また、アンテナ部20は、リーダライタ3から受信した電波を無線信号に変換して無線通信IC21に送信するとともに、無線通信IC21からの無線信号を電波に変換してリーダライタ3に送信するものである。アンテナ部20には、アンテナ、共振回路などが使用される。
【0024】
無線通信IC21は、リーダライタ3からアンテナ部20を介して受信した信号に基づいて、リーダライタ3からのデータを記憶したり、記憶されたデータをアンテナ部20を介してリーダライタ3に送信したりするものである。この無線通信IC21は、図2に示すように、電源部211、無線処理部212、制御部213、およびメモリ部214を備える構成である。
【0025】
電源部211は、アンテナ部20が電波を受信することにより発生する誘起電圧を整流回路にて整流し、電源回路にて所定の電圧に調整した後、無線通信IC21の各部に供給するものである。電源部211には、ブリッジダイオード、電圧調整用コンデンサなどが使用される。
【0026】
無線処理部212は、外部からアンテナ部20を介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部213に送信するとともに、制御部213から受信したデータを無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号をアンテナ部20を介して外部に送信するものである。無線処理部212には、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、変復調回路、RF回路などが使用される。
【0027】
制御部213は、無線通信IC21内における上述した各種構成の動作を統括的に制御するものである。制御部213は、論理演算回路、レジスタなどを備え、コンピュータとして機能する。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行なわれる。このプログラムは、例えばメモリ部214のROM(Read Only Memory)などにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよいし、リーダライタ3からアンテナ部20および無線処理部212を介して上記プログラムをダウンロードしてメモリ部214にインストールして実行する形態であってもよい。
【0028】
特に、制御部213は、リーダライタ3からアンテナ部20および無線処理部212を介して受信したデータに基づいて、リーダライタ3からのデータをメモリ部214に記憶したり、メモリ部214に記憶されたデータを読み出して、無線処理部212およびアンテナ部20を介してリーダライタ3に送信したりする。
【0029】
メモリ部214は、上記したROMや、SRAM(Static RAM)、FeRAM(強誘電体メモリ)などの半導体メモリによって構成される。このメモリ部214に記憶される内容としては、上記した制御プログラム、およびその他各種のプログラム、ならびにID(識別データ)などの各種データが挙げられる。なお、無線通信IC21は、リーダライタ3から送信される電波を電力源としているため、ROMなどの不揮発性メモリや、SRAM、FeRAMなどの消費電力の少ないメモリを使用することが望ましい。
【0030】
本実施形態においては、以上のように構成されたRFIDタグ2が各物品5の天側及び地側に貼付されている。具体的に図1の物品5Aを用いて説明すると、物品5Aにおいて、正面51が前方、背面55が後方、上面53が天側、下面54が地側、側面52Aがリーダライタ3に対向し、側面52Aの背面側に側面52Bとなってベルトコンベア6により運搬される状態がここでは正常状態である。そして、側面52Aの天側にRFIDタグ2Aが、地側にRFIDタグ2Bがそれぞれ貼付されており、それぞれのRFIDタグ2A、2Bを特定すべく、RFIDタグ2Aを識別する情報としてID1が、RFIDタグ2Bを識別する情報としてID2がそれぞれのRFIDタグ2A、2Bの各メモリ部214に予め記憶されている。従って、スキャンアンテナ4から送信される電波のビームが、MαのときにRFIDタグ2AからID1を受信し、MβのときにRFIDタグ2BからID2を受信した状態が、物品5Aにおける天地の状態が正常な正常状態となる。
【0031】
次に、リーダライタの構成について説明する。
【0032】
図3に示す通り、リーダライタ3は、外部通信部31、タグ通信制御部32、送信部33、受信部34、スキャンアンテナ制御部35、記録部36、物品方向判定部37(物品方向判定手段)及びスキャンアンテナ4を備えており、RFIDタグ2と無線通信可能に構成されている。なお、タグ通信制御部32、記録部36及び物品方向判定部37がメイン処理部30となって、RFIDタグ2が貼付された物品5の方向(姿勢)の検知処理がなされる。
【0033】
外部通信部31は、リーダライタ3において読み出されたRFIDタグ2のID(Identification)、物品方向判定部37により算出されたRFIDタグ2が貼付された物品5の方向判定結果、及びRFIDタグ2への書込みが成功したか否かを示す情報などのRFIDタグ2との通信結果を、パーソナルコンピュータ等の外部装置に送信したり、RFIDタグ2に対する外部装置からの書込み情報(送信コマンド情報)や外部装置からのコマンド(命令)を受信するよう構成されている。また、外部装置とのインタフェース規格としては、USB(Universal Serial Bus)、IEE1394、Ethernet(登録商標)、などが挙げられる。
【0034】
タグ通信制御部32は、外部装置から外部通信部31を介して送信された送信コマンド情報を受信し、送信部33に送信する。また、タグ通信制御部32には、図5に示すスキャンパターンテーブルT1が格納されている。
【0035】
このスキャンパターンテーブルT1には、スキャンアンテナ4の各アンテナ素子40A、40B、40Cの電力と位相を定義したデータが含まれており、各アンテナ素子40A、40B、40Cについてそれぞれ定義された電力、位相を電気的に設定することで、スキャンアンテナ4のスキャンパターンが生成される。
【0036】
すなわち、このスキャンパターンテーブルT1により、スキャンアンテナ4のスキャン角が設定される。このスキャン角とは、図1(b)に示すように、ブロードサイド方向(アンテナ素子40A、40B、・・・40Kの配列方向に垂直な方向)を基準に測定したビームMの傾斜角であり、テーブルNO.0としてスキャン角α、テーブルNO.1としてスキャン角βがそれぞれ記憶されており、このスキャンパターンテーブルT1に基づいてスキャンアンテナ4は送信するビームMをスキャン角α、βと繰り返しスキャンさせることとなる。図1(b)においては、スキャン角αの際ビームMα、スキャン角βの際ビームMβとして示しそれぞれの指向性を表している。
【0037】
また、タグ通信制御部32は、スキャンテーブルT1からスキャン角情報を読み出すとともに、このスキャン角情報をスキャンアンテナ制御部35に送信する。ここでは、スキャン角情報として、スキャン角α、βがスキャンパターンテーブルT1に設定されているので、タグ通信制御部32は、スキャン角α、βを順次繰り返しスキャンアンテナ制御部35に対し送信する。タグ通信制御部32は、スキャンアンテナ4がRFIDタグ2から取得したIDを受信するとともに、このIDを受信した際のスキャンアンテナ4のスキャン角(αあるいはβ)をこのIDに関連付けした後、記録部36に送信する。
【0038】
送信部33は、タグ通信制御部32から送信される送信コマンド情報を無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号(送信コマンド)をスキャンアンテナ4を介して外部に送信するものであり、送信コマンド情報の変調、増幅などの処理を行なう。受信部34は、外部からスキャンアンテナ4を介して受信した無線信号(受信データ)を元の形式に変換し、変換したデータをタグ通信制御部32に送信するものであり、受信データの増幅、復調などの処理を行なう。
【0039】
スキャンアンテナ制御部35は、タグ通信制御部32からスキャン角情報を受信するとともに、この受信したスキャン角情報に基づいてスキャン制御信号をスキャンアンテナ4に送信し、スキャンアンテナ4から放射される電波のビームMの方向を制御するものである。ここでは、スキャンパターンテーブルT1において、スキャン角α、βに設定されているので、このスキャン角情報を、スキャンアンテナ4から放射される電波のビームMが、順次スキャン角α、スキャン角βの方向に向くようにするためのスキャン制御信号に変換し、スキャンアンテナ4に対し送信する処理を行なう。
【0040】
記録部36は、タグ通信制御部32から送信された、上記のように関連付けされたRFIDタグ2のIDとスキャン角(α、β)に対応するテーブルNO.を図6に示す測定データテーブルT2に記録するとともに、この記録されたRFIDタグ2のIDとスキャン角情報とを物品方向判定部37に送信する処理を行なう。測定データテーブルT2は、テーブルNO.、読取時刻、読み取ったIDから構成されており、スキャンアンテナ4においてRFIDタグ2のIDを読み取った順番に記録される。読取時刻は、RFIDタグ2のIDを読み取った時刻情報であり、記録部36が有する時計により記録される。
【0041】
テーブルNO.は、スキャンパターンテーブルT1においてスキャン角α、βに対応付けて設定されたものであり、例えば、テーブルNO.0であればスキャンアンテナ4から放射される電波のビームMの方向がスキャン角αのときに、RFIDタグ2からIDを読み取ったことを示している。
【0042】
物品方向判定部37は、図8(b)のフローチャートに示すような物品方向判定処理を行うプログラムが記憶されたROM、このプログラムを読み出して物品方向判定処理を行うCPUなどからなる。物品方向判定部37は、測定データテーブルT2に記録されたテーブルNO.と読み取ったIDとを受け取り、これら情報から物品5の方向、具体的には天地の状態を図7に示す物品方向判定テーブルT3に基づき判定し、その判定結果を外部通信部31に送信するように構成されている。
【0043】
図4は、スキャンアンテナ4の概要を示す説明図である。このスキャンアンテナ4は、複数のアンテナ素子40を直線状に配列し、各アンテナ素子40に可変位相器(位相器)41を接続した構成である。図1(b)においては、アンテナ素子40は3個であるが、アンテナ素子40の個数は3個に限定されるものではない。このアンテナ素子40の個数を増やすと、ビームMの幅が細くなる。なお、この図4においては、このアンテナ素子40の個数は任意の数としており、同図を参照して以下にスキャンアンテナ4におけるビーム方向のスキャンの方法について説明する。
【0044】
全てのアンテナ素子40A、40B、・・・40Kが同じ位相で電波を送信する場合には、スキャンアンテナ4から放射される電波はブロードサイド方向(アンテナ素子40A、40B、・・・40Kの配列方向に垂直な方向)の平面波として伝搬する。一方、電波の伝播方向を、ブロードサイド方向から測って角度θ(rad)だけ傾斜させるためには、次式を満たすように各アンテナ素子40A、40B、・・・40Kが送信する電波の位相をずらせばよい。
【0045】
図4に示すように、送信または受信する電波の波長をλ(m)とし、基準となるアンテナ素子40Aとk番目のアンテナ素子40Kとの距離をd(m)とし、図4に破線で示される等位相面のうち、基準となるアンテナ素子40Aを通る等位相面と、k番目のアンテナ素子40Kとの距離をl(m)とすると、基準となるアンテナ素子40Aの位相に対するk番目のアンテナ素子40Kの位相のずれψは次式となる。
【0046】
ψ=(l/λ)×2π=(d×sinθ/λ)×2π
【0047】
このように、スキャンアンテナ4は、各位相器41A、41B、・・・41Kが、上式を満たすように信号の位相をずらすことにより、目的の方向に電波のビームMを向けることができる。一方、電波を受信する場合には、各アンテナ素子40A、40B、・・・40Kの位相のずれを検出することにより、受信した電波の方向を判別することができる。なお、本実施形態においては、スキャンの方向は、ベルトコンベア6により運搬される物品5の天地方向である。
【0048】
次に、図8(a)、(b)を参照して、このように構成されたRFID通信システム1Aの動作説明をする。図8(a)はスキャン処理と物品方向判定処理を示すフローチャートであり、(b)はこのうちの物品方向判定処理を示すフローチャートである。RFID通信システム1Aにおける動作の概要は、まず、スキャンアンテナ4をスキャンさせるべくスキャン処理を行い、次にそのスキャンした結果に基づき物品方向判定処理を行い、物品5の天地の状態が判定される。以下詳細に説明する。
【0049】
<スキャン処理>
スキャン処理は、タグ通信制御部32が、外部装置から送信された送信コマンド情報を、外部通信部31を介して受信するとスタートする。このスキャン処理がスタートすると、タグ通信制御部32がスキャンパターンテーブルT1に基づいてスキャンアンテナ4に対しスキャン角情報を送信する。本実施形態では、スキャン角は、αとβの2つとしている。
【0050】
具体的には、まず、スキャン角情報として、スキャンアンテナ制御部35にタグ通信制御部32からスキャン角=αが送信されると(S801)、スキャンアンテナ制御部35は、スキャンアンテナ4から送信される電波のビームがスキャン角=αの方向に向くようスキャンアンテナ4にスキャン制御信号を送信し、該信号を受信したスキャンアンテナ4はビームMαをスキャン角=αに向けて放射する読取り処理を行う(S802)。この読取り処理の結果、RFIDタグ2が有るか否かを調べ、すなわち、RFIDタグ2からのIDの読み取りがあるか否かを調べ(S803)、有った場合には(S803のY)、そのIDとスキャン角情報(スキャン角α)を関連付けて測定データテーブルT2に記録する(S804)。
【0051】
他方、RFIDタグ2が無かった場合、すなわち、上記読取り処理を行なった結果RFIDタグ2からの受信情報がなかった場合、もしくは、正常にタグからの信号を受信できなかった場合(S803のN)及び上記S804の処理後、スキャン角情報をβに切り替えて上記(S801〜S804)と同様の処理を行なう(S805〜S808)。これらの処理を所定の間繰り返し、所定量の情報が測定データテーブルT2に蓄積されると、物品5の物品方向を判定すべく次に物品方向判定処理に移行する。この移行のタイミングとしては、例えば、回数(IDを読み取った回数)や、時間(IDを最初に読み取ってから所定時間経過するまで)等、この移行のタイミングを予め記録部36に設定しておけばよい、あるいは、PC等の外部装置から送信されるコマンドとして受け付けても良い。
【0052】
なお、スキャン処理と物品方向判定処理は並列処理であり、物品方向判定処理を行なっているときでも、スキャン処理は繰り返し行なわれていてもよいし、スキャン処理と物品方向判定処理とが直列的に処理される構成も適用可能である。
【0053】
<物品方向判定処理>
上記スキャン処理により最初のIDが測定データテーブルT2に記録されてから、所定の時間経過する若しくは所定回数処理が実行されると、この物品方向判定処理がスタートする。この処理がスタートすると、物品方向判定部37により記録部36に記録された測定データテーブルT2の読み出しが行なわれ(S809)、この読み出された測定データテーブルT2は一時的にバッファなどに記憶され、この記憶された測定データテーブルT2の情報に基づいて物品方向判定処理が行なわれ(S810)、この判定結果が外部通信部31を介して外部装置に送信される。
【0054】
更に具体的に説明すると、図1(a)に示すように、物品5A、5B、・・・がベルトコンベア6により運搬されると、天地方向にスキャンするスキャンアンテナ4の前を通過する際にRFIDタグ2A、2BからそれぞれIDが読み取られる。物品5Aの場合、図6に示すようにスキャン角αのときにはID1を、スキャン角βのときにはID2をそれぞれ読み取る。すなわち、この場合には、指向性αのときID1、指向性βのときID2となりこの測定データが物品方向判定部37に送られ、これらデータに基づき物品方向判定テーブルT3を参照すると、“正常”との判定結果が得られ、この判定結果が外部通信部31を介して外部装置に送信される。
【0055】
一方、物品5Bにおいて同様の処理を行うと、指向性αのときID2、指向性βのときID1となり物品方向判定テーブルT3を参照すると、“異常”との判定結果を得る。この“異常”との判定結果を得た場合には、物品5Bは天地逆さまの状態であることを示す。このようにして、本RFID通信システム1Aにおいては、物品5の天地の状態を検知することが可能となる。なお、判定結果が“異常”を示した場合には、“異常”との判定結果を受け取った外部装置が指示を出し、ベルトコンベア6を停止する、物品5Bをベルトコンベア6から除去する、などの処理(以下「異常処理」と言う)を行うように構成すれば、天地逆さまになって出荷できない物品5を出荷してしまうという事態を防止できる。
【0056】
また、物品5がスキャンアンテナ4の前を通過した際に、指向性α、β共に同じIDを受信してしまったり(双方がID1あるいはID2の場合)、指向性α、βのうち一方しか受信できなかった場合が生じた場合には、前者の場合には“保留”、後者の場合は“不足”と判定し、その判定結果を外部装置に送信する。このような判定結果を得た場合には、物品5が天地逆さまになっている可能性があるので、この場合においても、外部装置において上記異常処理を行うようにすれば、天地の逆さまになった物品5を出荷してしまう可能性を低くすることが出来る。
【0057】
≪第2実施形態≫
図9は本発明の第2の実施形態に係るタグ通信装置を適用したRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図である。本実施形態において、上記第1実施形態と大きく相違する点は、本実施形態においては、物品5の左右を検知する点と、物品5に貼付されるRFIDタグ2の貼付箇所である。その他の点に関しては略上記第1実施形態と同様であるので、以下の説明において上記第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
本実施形態におけるRFID通信システム1Bにおいては、ベルトコンベア6を跨ぐようにしてゲートGが設けられ、このゲートGの横架部G1の下面G11には、リーダライタ3のスキャンアンテナ4がベルトコンベア6に対向するように設けられている。本実施形態においては、上記第1実施形態とは異なり物品5の天地の状態を検知するのではなく、物品5の左右の状態を検知する。すなわち、本実施形態においては、各物品5の上面53にRFIDタグ2が2枚貼付されており、正面51から見て左側にRFIDタグ2Cが、右側にRFIDタグ2Dがそれぞれ貼付されている。そして、スキャンアンテナ4によるスキャンの方向は、物品5の運搬方向に交差する方向、より具体的には直交する方向であり、ビームMは、図5に示すスキャンパターンテーブルT1に基づき、ゲートGを通過する物品5に向けてスキャン角α、βで繰り返しスキャンされる。但し、ここで言う交差は、厳密な意味で搬送方向に直交することまでは意味せず、物品5の左右に貼付されたRFIDタグ2を読み取れる程度の傾きをもってスキャンするようなものであればよい。なお、各RFIDタグ2及びリーダライタ3の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0059】
本実施形態においても、物品5の正面51が前方、上面が天側にそれぞれ向いた状態が正常状態であり、それぞれのRFIDタグ2C、2Dを特定すべく、RFIDタグ2Cを識別する情報としてID3が、RFIDタグ2Dを識別する情報としてID4がそれぞれのRFIDタグ2C、2Dの各メモリ部214に予め記憶されている。
【0060】
本実施形態においても、スキャンアンテナ4が繰り返しスキャンしており、物品5がベルトコンベア6により運搬されてゲートGを通過し、この際にリーダライタ3による読み取り処理が行われ、その後、上記第1実施形態と同様に物品方向判定処理が行われ、その判定結果が外部装置に送信される。これら一連の処理は、上記第1実施形態と同様である。測定データテーブルT2、物品方向判定テーブルT3もIDの番号が異なるだけで、基本的には図6、7と同様である。そして、図9に示すように、指向性αのときにID3を受信し、指向性βのときにID4を受信している状態が正常状態であり、物品5Cは正常状態である。一方、物品5DがゲートGを通過すると、指向性αのときにID4を受信し、指向性βのときにID3を受信することとなり、この場合“異常”との判定結果が得られ、この判定結果が外部装置に送信され、上記と同様異常処理が行われる。
【0061】
≪第3実施形態≫
図10は本発明の第3の実施形態に係るタグ通信装置を適用したRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図である。本実施形態は、上記第2実施形態と類似するが、大きく相違する点は、スキャンアンテナのアンテナ素子が二次元配列されている点と、物品5の上面53の左右前後にRFIDタグ2C、2D、2E、2Fが貼付されている点と、物品5の前後左右が検知可能である点である。その他の点に関しては略上記第2実施形態と同様であるので、以下の説明において上記第2実施形態と同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
本実施形態においても、物品5の正面51が前方、上面53が天側にそれぞれ向いた状態が正常状態であり、それぞれのRFIDタグ2C、2D、2E、2Fを特定すべく、RFIDタグ2Cを識別する情報としてID3が、RFIDタグ2Dを識別する情報としてID4が、RFIDタグ2Eを識別する情報としてID5が、RFIDタグ2Fを識別する情報としてID6がそれぞれのRFIDタグ2C、2D、2E、2Fの各メモリ部214に予め記憶されている。
【0063】
また、本実施形態においては、スキャンアンテナ4Aは図10(b)に示す通り3行3列に二次元配列され、リーダライタ3のタグ通信制御部32の制御のもと、リーダライタ3は、スキャン角α、β、α、βの順に送信する電波の指向性を変化させ、運搬方向に直交する方向、運搬方向と繰り返しスキャンする。具体的には、上記実施形態と同様に、図11に示すスキャンパターンT11に基づき指向性を変化させ、運搬される物品5がゲートGを通過する際に各RFIDタグ2からIDを受信し、読み取ったIDがテーブルNO.に対応づけられてその読取時刻とともに、測定データテーブルT21に蓄積される。
【0064】
次いで、測定データテーブルT21に所定量のデータが蓄積されると、上記実施形態と同様に物品方向判定処理が行われる。具体的には、図13(a)、(b)に示す物品方向判定テーブルT31及びT32に基づいて物品5の左右前後の状態が検知される。各物品方向判定テーブルT31、T32の内容はスキャン角とIDの表記が相違するだけで略同一であるが、本実施形態においては、物品方向判定処理は、この2つの物品方向判定テーブルT31、T32のAND処理により物品5の方向が正常か否かが判定される。すなわち、物品方向判定テーブルT31、T32の双方が“正常”の判定結果を出力したときのみ、物品5の左右前後の方向が“正常”と判定され、それ以外は、“異常”、“保留”あるいは“不足”のいずれかと判定され、それぞれの判定結果は上記実施形態と同様外部装置へ送信され、異常処理が必要なときは異常処理を行う。
【0065】
この“正常”との判定結果以外の判定結果を出力する場合には、物品方向判定テーブルT31、T32の双方が同一の判定結果を出力したならば、その判定結果をそのまま外部装置に送信すればよいが、双方の判定結果が相違する場合には例えば以下のようにして、全体の判定結果を出力し、その判定結果を外部装置に送信するようにすればよい。
【0066】
例えば、予め判定結果に、異常>保留>不足との重み付けを設定しておき、物品方向判定テーブルT31、T32の判定結果が相違する場合には、重み付けが重い方の判定結果を全体の判定結果として出力するように構成する。具体的には、物品方向判定テーブルT31が“異常”、物品方向判定テーブルT32が“不足”との判定結果をそれぞれ出力した場合には、“異常”の方が重み付けが重いので、全体としての判定結果は、“異常”となり、“異常”との判定結果が外部装置に送信される。
【0067】
本実施形態においては、例えば、物品5Cが搬送途中で、前方に側面52A、後方に側面52Bが配置されるよう正常状態から図10の矢印X方向に90°回転してしまった場合には、上記第2実施形態のようにRFIDタグ2C、2Dを左右に貼付しただけでは、読み取り不良が生じ得る可能性が高いが、本実施形態のようにRFIDタグ2を左右前後に計4枚貼付しておけば、このような場合でも読み取り不良を生ずることなく、物品5の左右前後の状態が検知可能となる。
【0068】
以上説明した上記第1〜3実施形態においては、物品5に最低2枚のRFIDタグ2を貼付し、リーダライタ3が送信する電波の指向性とRFIDタグ2に記憶されたIDとにより物品5の物品方向を検知するとしたが、下記に説明するように、物品5にRFIDタグ2を1枚だけ貼付しても物品5の天地あるいは左右の状態を検知可能であるし、また、IDがなくても物品5のこれら状態を検知可能である。以下にRFIDタグ2を物品5に1枚だけ貼付して物品5の天地の状態を検知する形態を第4実施形態、左右の状態を検知する形態を第5実施形態として説明するが、上記第1〜3実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
≪第4実施形態≫
図14は本発明の第4の実施形態に係るタグ通信装置を適用したRFID通信システムの概要を示す説明図である。本実施形態は、上記第1実施形態と略同様であるが、大きく異なる点は、物品5にRFIDタグ2は1枚しか貼付されていない点と、物品5の天地の状態を検知するのに、IDを必要としない点である。
【0070】
本実施形態においては、側面52Aの天側のみにRFIDタグ2Aを1枚貼付すると予め決めておく。なお、天側ではなく地側にのみ貼付すると決めておいてもよい。よって、物品5の天地が正常な状態であれば、スキャンアンテナ4から送信される電波のビームがMαのときにリーダライタ3は物品5からの返信波を受信することとなる。本実施形態においても、スキャンアンテナ4のスキャン処理は上記第1実施形態と同様であり、図5に示すスキャンパターンテーブルT1に基づきスキャンするが、RFIDタグ2が1枚のみであり、しかもIDを用いていないため、測定データテーブル及び物品方向判定テーブルの構成が上記第1実施形態とは相違する。具体的には、図16に示すように測定データテーブルT22は、テーブルNO.に対応付けて受信の有無が読取時刻とともに蓄積される。そして、この測定データテーブルT22に蓄積された情報から、図17に示す物品方向判定テーブルT33に基づいて物品5の天地の状態が判定される。
【0071】
具体的には、図14の物品5Aにおいては、物品5Aがリーダライタ3の前を通過する際には、指向性αのときに“受信有り”で指向性βのときに“受信なし”となるので、物品方向判定テーブルT33を参照した結果、判定結果は、“正常”となる。一方、物品5Bにおいては、指向性αのときに“受信なし”で指向性βのときに“受信有り”となるので、物品方向判定テーブルT33を参照すると、“異常”との判定結果が出力されることとなる。
【0072】
≪第5実施形態≫
図15は本発明の第5の実施形態に係るタグ通信装置を適用したRFID通信システムの概要を示す説明図である。本実施形態は、上記第2実施形態と略同様であるが、大きく異なる点は、物品5にRFIDタグ2は1枚しか貼付されていない点と、物品5の左右の状態を検知するのに、IDを必要としない点である。
【0073】
本実施形態においては、正面51から見て上面53の左側のみにRFIDタグ2Cを1枚貼付すると予め決めておく。なお、左側ではなく右側にのみ貼付すると決めておいてもよい。この場合も上記第4実施形態と同様、物品5の左右が正常な状態であれば、スキャンアンテナ4から送信される電波のビームがMαのときにリーダライタ3は物品5からの返信波を受信することとなる。その他の処理は、上記第4実施形態と同様である。
【0074】
以上説明した第4及び第5実施形態においては、RFIDタグ2を1枚だけ物品5に貼付しただけで物品5の天地あるいは左右の状態を検知可能なので、上記第1〜3実施形態に比べコストが削減できる。また、第4及び第5実施形態においても、IDを読み取りIDを用いて物品方向を検知するようにしてもよい。
【0075】
なお、第4及び第5実施形態においては、RFIDタグ2を1枚しか物品5に貼付しないので、RFIDタグ2を2枚貼付する上記実施形態に比べ、物品5がリーダライタ3の前を通過したのにも関わらず返信波を受信しない可能性が高くなるので、物品5の通過を検知するセンサを別途設け、センサで検知したにも関わらず測定データテーブルに何ら情報が蓄積されない場合には、“異常”との判定結果を外部装置に送信するようにしておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態に係るRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図。
【図2】RFIDタグの概略構成を示すブロック図。
【図3】リーダライタの概略構成を示すブロック図。
【図4】スキャンアンテナの概要を示す模式図。
【図5】スキャンパターンテーブルを示す図。
【図6】測定データテーブルを示す図。
【図7】物品方向判定テーブルを示す図。
【図8】(a)は、スキャンアンテナにおけるスキャン処理を示すフローチャート、(b)は、物品方向判定処理を示すフローチャート。
【図9】本発明を適用した第2の実施形態に係るRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図。
【図10】本発明を適用した第3の実施形態に係るRFID通信システムの概要を示す説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)はスキャンアンテナのスキャンの状態を模式的に示した斜視図。
【図11】スキャンパターンテーブルを示す図。
【図12】測定データテーブルを示す図。
【図13】(a)及び(b)は物品方向判定テーブルを示す図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るRFIDシステムの概要を示す説明図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係るRFIDシステムの概要を示す説明図。
【図16】測定データテーブルを示す図。
【図17】物品方向判定テーブルを示す図。
【符号の説明】
【0077】
1A〜1E RFID通信システム
2、2A〜2F RFIDタグ
3 リーダライタ(タグ通信装置)
32 タグ通信制御部
36 記録部
37 物品方向判定部
4、4A スキャンアンテナ
40A、40B、・・・40K アンテナ素子
41A、41B、・・・41K 位相器
5、5A〜5D 物品
6 ベルトコンベア
T1、T11 スキャンパターンテーブル
T2、T21、T22 測定データテーブル
T3、T31、T32、T33 物品方向判定テーブル
M、Mα、Mβ、Mα、Mα、Mβ、Mβ ビーム
α、β、α、β、α、β スキャン角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
RFIDタグは予め特定された物品の天側あるいは地側のいずれか一方に貼付されており、
送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその天地方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、
スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性により物品の天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えること
を特徴とするタグ通信装置。
【請求項2】
物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、
RFIDタグは前記正面に対して物品の左側あるいは右側のいずれか一方に貼付されており、
送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその搬送方向と交差する方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、
スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性により物品の向きが正常状態か否かを判定する物品方向判定手段と、を備えること
を特徴とするタグ通信装置。
【請求項3】
物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
RFIDタグは予め特定された物品の天側及び地側に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、
送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその天地方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、
スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えること
を特徴とするタグ通信装置。
【請求項4】
物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、
RFIDタグは前記正面に対して物品の左側あるいは右側のいずれか一方に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、
送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に対しその搬送方向と交差する方向に当該電波をスキャンするスキャンアンテナと、
スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の向きが正常状態か否かを判定する物品方向判定手段と、を備えること
を特徴とするタグ通信装置。
【請求項5】
物品に貼付されたRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
物品はその正面が予め特定されているとともに、この正面が前方を向いた状態を正常状態として搬送され、
RFIDタグは予め特定された物品の天側あるいは地側の少なくとも一方及び正面側あるいは背面側の少なくとも一方に貼付されているとともに、それぞれのRFIDタグには識別データが記憶されており、
送信する電波の指向性を電気的に制御可能であるとともに、物品に貼付された全てのRFIDタグに向けて当該電波を二次元的にスキャンするスキャンアンテナと、
スキャンアンテナがRFIDタグから電波を受信した際の指向性と識別データとにより物品の向きが正常状態にあるか否か及び天地の向きを判定する物品方向判定手段と、を備えること
を特徴とするタグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−86726(P2009−86726A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251935(P2007−251935)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】