説明

タッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器

【課題】タッチ操作に対する応答を早くすることが可能なタッチ検出機能付き表示装置を得る。
【解決手段】一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号Vcomdに基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号Vcomtに基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部とを備える。上記走査駆動部は、第2の走査駆動を第1の走査駆動より速い走査速度で行い、第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部近接物体を検出可能な表示装置に係り、特に静電容量の変化に基づいてタッチを検出するタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、およびタッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、ならびにそれらを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指等の外部近接物体を検出するタッチ検出機能を液晶表示装置等の表示装置に搭載し、その表示装置に各種のボタン画像等を表示させることにより、通常の機械式ボタンの代わりとして情報入力を可能とした表示装置が注目されている。このようなタッチ検出機能を有する表示装置は、キーボードやマウス、キーパッドのような入力装置を必要としないため、コンピュータのほか、携帯電話のような携帯情報端末などでも、使用が拡大する傾向にある。
【0003】
タッチ検出方式にはいくつかの方式が存在するが、その一つとして静電容量式がある。例えば、特許文献1には、表示装置にもともと備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用し、他方の電極(タッチ検出電極)をこの共通電極と交差するように配置した表示装置が提案されている。この共通電極とタッチ検出電極との間には静電容量が形成され、外部近接物体に応じてその静電容量が変化する。この表示装置は、これを利用して、共通電極にタッチ検出用の駆動信号を印加したときにタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することにより、外部近接物体を検出するようになっている。この表示装置では、共通電極に駆動信号を順次印加し、線順次走査を行うことにより表示動作が行われるとともに、その駆動信号に応じてタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することによりタッチ検出動作が行われる。その際、複数の共通電極に対して駆動信号を印加することにより、タッチ検出におけるS/N比の改善、言い換えればタッチ検出の検出感度の向上を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にタッチ検出では、タッチ操作に対する素早い応答が望まれる。この素早い応答を実現するためには、例えば、タッチ検出動作の走査速度を速くして、タッチ操作を検出する頻度を増やす方法が考えられる。しかしながら、特許文献1に開示された表示装置では、表示動作およびタッチ検出動作において駆動信号を共用しているため、それらの走査速度を同じにせざるを得ず、走査速度を速くすることができないので、使用者がタッチ操作に違和感を覚える場合があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、タッチ操作に対する応答を早くすることが可能なタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置は、複数の共通駆動電極と、表示素子と、タッチ検出素子と、走査駆動部とを備えている。複数の共通駆動電極は、一方向に延在するように並設されたものである。表示素子は、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行うものである。タッチ検出素子は、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するものである。走査駆動部は、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行うものである。上記走査駆動部は、第2の走査駆動を第1の走査駆動より速い走査速度で行い、第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加するものである。
【0008】
本発明の駆動回路は、走査駆動部を備えている。走査駆動部は、一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子とを備えたタッチ検出機能付き表示部に対して、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行うものである。上記走査駆動部は、第2の走査駆動を第1の走査駆動より速い走査速度で行い、第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加するものである。
【0009】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置の駆動方法は、一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極に表示駆動信号を時分割的に順次印加するとともに、表示駆動信号の印加に同期してその表示駆動信号の印加下にある共通駆動電極に対応した画素電極に画素信号を印加する動作を時分割的に順次行うことにより、画素信号および表示駆動信号に基づく表示を行う第1の走査駆動動作と、第1の走査駆動より速い走査速度により、外部近接物体検出用のタッチ検出駆動信号を、複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動動作とを行い、第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加するものである。
【0010】
本発明の電子機器は、上記タッチ検出機能付き表示装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0011】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器では、共通駆動電極に対して、表示動作の際には、第1の走査駆動として表示駆動信号が順次印加され、タッチ検出動作の際には、第2の走査駆動として、表示駆動信号とは異なるタッチ検出駆動信号が順次印加される。その際、第2の走査駆動では、第1の走査駆動よりも速い走査速度で行われることにより、タッチ検出走査が表示走査よりも速く行われる。
【0012】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置では、例えば、表示駆動信号は矩形波信号であり、第2の走査駆動は、第1の走査駆動の基本動作クロックと同一の周波数を有する基本動作クロックに基づいて動作し、走査駆動部は、第2の走査駆動において、その走査駆動の対象となる共通駆動電極を複数本同時に選択するとともに、表示駆動信号のレベル遷移に対応したタイミングでその選択された共通駆動電極を2以上の本数ずつずらすことにより走査を行うようにすることが望ましい。
【0013】
例えば、走査駆動部は、第2の走査駆動を行うためのシフトレジスタ部と、シフトレジスタ部を制御する走査制御部とを有し、シフトレジスタ部が、走査制御部から供給された複数本に対応するパルス幅を有する制御信号を直列並列変換することにより、第2の走査駆動の対象となる複数の共通駆動電極を選択するようにするのが望ましい。
【0014】
直列並列変換は、例えば、走査ピッチに相当する期間において、2以上の本数に対応する回数だけ遷移するクロック信号に基づいて行うようにしてもよい。この場合、走査駆動部は、例えば、直列並列変換により生成された並列出力信号のそれぞれを、走査ピッチに相当する期間の開始タイミングに対応したタイミングで出力するタイミング調整部をさらに有するようにしてもよい。
【0015】
また、例えば、走査駆動部は、直列並列変換により生成された並列出力信号のそれぞれを、2以上の本数に対応する数に分配する分配手段をさらに有し、シフトレジスタ部がクロック信号に基づいて直列並列変換し、分配手段がその並列出力信号を分配することにより、第2の走査駆動の対象となる複数の共通駆動電極を選択するようにしてもよい。
【0016】
また、例えば、タッチ検出駆動信号は、表示駆動信号よりも大きい振幅を有する矩形波信号であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器によれば、第2の走査駆動において、表示駆動信号とは異なるタッチ検出駆動信号を用い、第2の走査駆動を第1の走査駆動よりも速い走査速度で行うようにしたので、タッチ操作に対する応答を早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接していない状態を表す図である。
【図2】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接した状態を表す図である。
【図3】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、駆動信号およびタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの画素配列を表す回路図である。
【図7】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの駆動電極およびタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図9】第1の実施の形態に係る表示走査部およびタッチ検出走査部の一構成例を表す回路図である。
【図10】第1の実施の形態に係る表示駆動信号、タッチ検出駆動信号、および直流駆動信号の一例を表す波形図である。
【図11】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図12】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図13】第1の実施の形態に係る表示走査部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図14】第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図15】第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図16】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表す模式図である。
【図17】第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図18】第1の実施の形態に係る走査駆動部の他の動作例を表す模式図である。
【図19】第1の実施の形態に係る駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図20】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図21】第1の実施の形態に係る走査駆動部の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図22】第2の実施の形態に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図23】第2の実施の形態に係る表示走査部およびタッチ検出走査部の一構成例を表す回路図である。
【図24】第2の実施の形態に係るタッチ検出走査部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図25】第2の実施の形態に係るタッチ検出走査部の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図26】実施の形態を適用したタッチ検出機能付き表示装置のうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
【図27】適用例2の外観構成を表す斜視図である。
【図28】適用例3の外観構成を表す斜視図である。
【図29】適用例4の外観構成を表す斜視図である。
【図30】適用例5の外観構成を表す正面図、側面図、上面図および下面図である。
【図31】各実施の形態等の変形例に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.適用例
【0020】
<1.静電容量型タッチ検出の基本原理>
まず最初に、図1〜図3を参照して、本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量型のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出回路)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数十kHz程度)の交流矩形波Sg(図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述するタッチ検出駆動信号Vcomtに相当するものである。
【0021】
指が接触(または近接)していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0022】
一方、指が接触(または近接)した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0023】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係る駆動回路およびタッチ検出機能付き表示装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。このタッチ検出機能付き表示装置は、表示素子として液晶表示素子を用いており、その液晶表示素子により構成される液晶表示デバイスと静電容量型のタッチ検出デバイスとを一体化した、いわゆるインセルタイプの装置である。
【0024】
タッチ検出機能付き表示装置1は、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、駆動信号生成部15と、駆動電極ドライバ14と、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、タッチ検出部40とを備えている。
【0025】
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動信号生成部15、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御するものである。
【0026】
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、後述するように、走査信号Vscanを、走査信号線GCLを介して、画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
【0027】
ソースドライバ13は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の各画素Pix(後述)に画素信号Vpixを供給するものである。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、画素信号Vpixを、画素信号線SGLを介して、ゲートドライバ12により順次選択される1水平ラインを構成する各画素Pixにそれぞれ供給するようになっている。
【0028】
駆動信号生成部15は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、駆動信号Vcomを生成するものである。具体的には、駆動信号生成部15は、後述するように、表示動作の為の表示駆動信号Vcomd、およびタッチ検出動作の為のタッチ検出駆動信号Vcomtを生成し、後述する駆動電極ドライバ14に供給するものである。
【0029】
駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の駆動電極COML(後述)に、駆動信号生成部15から供給された駆動信号Vcomを供給するものである。具体的には、駆動電極ドライバ14は、駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtを時分割的に順次印加する機能を有している。
【0030】
ゲートドライバ13および駆動電極ドライバ14は、走査駆動部50を構成する。走査駆動部50の構成については、後ほど詳細に説明する。
【0031】
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、タッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20と、タッチ検出デバイス30とを有する。液晶表示デバイス20は、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanおよび駆動電極ドライバ14から供給される表示駆動信号Vcomdに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。タッチ検出デバイス30は、上述した静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作するものであり、駆動電極ドライバ14から供給されるタッチ検出駆動信号Vcomtに基づいて、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。
【0032】
タッチ検出部40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出機能付き表示デバイス10のタッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出部40はアナログLPF(Low Pass Filter)部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを有している。アナログLPF部42は、タッチ検出デバイス30から供給されるタッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過アナログフィルタである。アナログLPF部42の入力端子のそれぞれと接地との間には、直流電位(0V)を与えるための抵抗Rが接続されている。なお、この抵抗Rに代えて、例えばスイッチを設け、所定の時間にこのスイッチをオン状態にすることにより直流電位(0V)を与えるようにしてもよい。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する回路である。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30におけるタッチの有無を検出する論理回路である。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、これらの回路が同期して動作するように制御するようになっている。
【0033】
(タッチ検出機能付き表示デバイス10)
次に、タッチ検出機能付き表示デバイス10の構成例を詳細に説明する。
【0034】
図5は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の要部断面構造の例を表すものである。このタッチ検出機能付き表示デバイス10は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
【0035】
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリックス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、図示していないものの、各画素の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)や、各画素電極22に画像信号Vpixを供給する画素信号線SGL、各TFTを駆動する走査信号線GCL等の配線が形成されている。
【0036】
対向基板3は、ガラス基板31と、このガラス基板31の一方の面に形成されたカラーフィルタ32と、このカラーフィルタ32の上に形成された複数の駆動電極COMLとを有する。カラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。駆動電極COMLは、液晶表示デバイス20の共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出デバイス30の駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLは、図示しないコンタクト導電柱によって画素基板2と連結され、このコンタクト導電柱を介して、画素基板2から駆動電極COMLに交流矩形波形の駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)が印加されるようになっている。ガラス基板31の他方の面には、タッチ検出デバイス30の検出電極であるタッチ検出電極TDLが形成され、さらに、このタッチ検出電極TDLの上には、偏光板35が配設されている。
【0037】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0038】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0039】
図6は、液晶表示デバイス20における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示デバイス20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。画素Pixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
【0040】
画素Pixは、走査信号線GCLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscanが供給されるようになっている。画素Pixは、画素信号線SGLにより、液晶表示デバイス20の同じ列に属する他の画素Pixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、ソースドライバ13と接続され、ソースドライバ13より画素信号Vpixが供給されるようになっている。
【0041】
さらに、画素Pixは、駆動電極COMLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ14と接続され、駆動電極ドライバ14より駆動信号Vcomが供給されるようになっている。
【0042】
この構成により、液晶表示デバイス20では、ゲートドライバ12が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、ソースドライバ13が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。この表示動作を行う際、駆動電極ドライバ14は、その1水平ラインに対応する駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。
【0043】
図7は、タッチ検出デバイス30の一構成例を斜視的に表すものである。タッチ検出デバイス30は、対向基板3に設けられた、駆動電極COMLおよびタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、図の左右方向に延在する複数(N本)のストライプ状の電極パターンに分割されている。タッチ検出動作を行う際は、各電極パターンには、駆動電極ドライバ14によってタッチ検出駆動信号Vcomtが順次供給され、走査駆動が行われるようになっている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びるストライプ状の電極パターンから構成されている。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出部40のアナログLPF部42の入力にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
【0044】
この構成により、タッチ検出デバイス30では、タッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14が駆動電極COMLを時分割的に順次走査するように駆動し、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力することにより、タッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極COMLは、図1〜図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。図7に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触または近接が生じた位置の検出も可能となっている。
【0045】
(走査駆動部50)
次に、ゲートドライバ12および駆動電極ドライバ14により構成される走査駆動部50の構成例を詳細に説明する。
【0046】
図8は、走査駆動部50の一構成例を表すものである。走査駆動部50は、走査制御部51と、表示走査部52と、タッチ検出走査部53と、駆動部540とを備えている。表示走査部52と、走査制御部51および駆動部540の一部はゲートドライバ12を構成している。また、タッチ検出走査部53と、走査制御部51および駆動部540の一部は駆動電極ドライバ14を構成している。駆動部540は、N個の駆動部54(1)〜54(N)から構成されている。以後、N個の駆動部54(1)〜54(N)のうちの任意の一つをさす場合には、単に駆動部54を用いるものとする。
【0047】
走査制御部51は、制御部11より供給された図示しない制御信号に基づいて、表示走査部52およびタッチ検出走査部53に対してそれぞれ制御信号を供給するものである。具体的には、走査制御部51は、表示走査部52に対してクロック信号CCKおよび制御信号VSTを供給するとともに、タッチ検出走査部53に対してクロック信号SCCKおよび制御信号SVST,SLATCHを供給するようになっている。
【0048】
表示走査部52は、シフトレジスタを含んで構成され、走査信号Vscanを順次印加する走査信号線GCLを選択するための信号Sdを生成するものである。また、この信号Sdは、表示駆動信号Vcomdを順次印加する駆動電極COMLを選択するためにも用いられるようになっている。具体的には、表示走査部52は、後述するように、走査制御部51から供給されたクロック信号CCKおよび制御信号VSTに基づいて、それぞれが各走査信号線GCLに対応する複数の信号Sdを生成する。そして、表示走査部52が高レベルの信号をn番目の信号Sd(n)としてn番目の駆動部54(n)に供給したときに、この駆動部54(n)は、n行目の走査信号線GCLに走査信号Vscan(n)を印加するととともに、n行目の駆動電極COML(n)に表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。すなわち、表示走査部52は、高レベルの信号Sdを出力することにより、駆動部540に対して表示駆動を指示するようになっている。
【0049】
タッチ検出走査部53は、シフトレジスタを含んで構成され、タッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する駆動電極COMLを選択するための信号Stを生成するものである。具体的には、タッチ検出走査部53は、後述するように、走査制御部51から供給されたクロック信号SCCKおよび制御信号SVST,SLATCHに基づいて、それぞれが各駆動電極COMLに対応する複数の信号Stを生成する。そして、タッチ検出走査部53が高レベルの信号をn番目の信号St(n)として駆動部54(n)に供給したときに、この駆動部54(n)は、n行目の駆動電極COML(n)に対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加するようになっている。すなわち、タッチ検出走査部53は、高レベルの信号Stを出力することにより、駆動部540に対してタッチ検出駆動を指示するようになっている。
【0050】
図9は、表示走査部52およびタッチ検出走査部53の一構成例を表すものである。
【0051】
表示走査部52は、複数のフリップフロップ58を有している。これらのフリップフロップ58は直列に接続され、シフトレジスタを構成している。これらのフリップフロップ58のクロック端子には、走査制御部51から供給されたクロック信号CCKが入力され、シフトレジスタの初段のフリップフロップ58(1)の入力端子Dには、走査制御部51から供給された制御信号VSTが供給される。そして、各フリップフロップ58は、その出力端子Oから出力する信号を次段のフリップフロップ58の入力端子Dに供給するとともに、信号Sdとして駆動部540に供給するようになっている。
【0052】
フリップフロップ58は、クロック信号CCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方のタイミングで、入力端子Dに入力されたデータ信号をサンプリングし出力端子Oから出力する回路である。
【0053】
タッチ検出走査部53は、複数のフリップフロップ59および複数のラッチ60を有している。これらのフリップフロップ59は直列に接続され、シフトレジスタを構成している。これらのフリップフロップ59のクロック端子には、走査制御部51から供給されたクロック信号SCCKが入力され、シフトレジスタの初段のフリップフロップ59(1)の入力端子Dには、走査制御部51から供給された制御信号SVSTが供給される。そして、各フリップフロップ59は、その出力端子Oから出力する信号を次段のフリップフロップ59の入力端子Dに供給するようになっている。複数のラッチ60は、その入力端子Dが各フリップフロップ59の出力端子Oに接続されている。これらのラッチ60のクロック端子には、走査制御部51から供給された制御信号SLATCHが入力される。そして各ラッチ60は、その出力端子Oから出力する信号を信号Stとして駆動部540に供給するようになっている。
【0054】
フリップフロップ59は、フリップフロック58と同様に、クロック信号SCCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方のタイミングで、入力端子Dに入力されたデータ信号をサンプリングし出力端子Oから出力する回路である。ラッチ60は、制御信号SLATCHの電圧レベルが高レベルのときに、入力端子Dに入力されたデータ信号を出力端子Oから出力し、制御信号SLATCHの電圧レベルが低レベルのときには、その出力電圧を維持する機能を有している。
【0055】
この構成により、表示走査部52は、後述するように、クロック信号CCKに基づいて、シフトレジスタにおいて制御信号VSTを順次転送することにより、信号Sdを生成するようになっている。また、タッチ検出走査部53は、後述するように、クロック信号SCCKに基づいて、シフトレジスタにおいて制御信号SVSTを順次転送し、制御信号SLATCHに基づいて、そのシフトレジスタの各段の出力をサンプリングすることにより、信号Stを生成するようになっている。
【0056】
駆動部540は、表示走査部52から供給された信号Sdおよびタッチ検出走査部53から供給された信号Stに基づいて、走査信号Vscanを走査信号線GCLに印加するとともに、駆動信号Vcomを駆動電極COMLに印加するものである。駆動部54は、表示走査部51およびタッチ検出走査部52の出力信号の組に対応して1つずつ設けられており、対応する走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加するとともに、対応する駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを印加するようになっている。駆動部54は、ゲートバッファ55と、表示優先回路56と、駆動信号バッファ57とを備えている。
【0057】
ゲートバッファ55は、表示走査部52から供給された信号Sdに基づいて、走査信号線GCLに走査信号Vscanを印加する回路である。具体的には、ゲートバッファ55は、信号Sdを、液晶表示デバイス20のTFT素子Trをオンオフ制御することができる振幅レベルに増幅する機能を有している。
【0058】
表示優先回路56は、表示走査部52から供給された信号Sdおよびタッチ検出走査部53から供給された信号Stに基づいて、駆動電極COMLに対する駆動信号Vcomの印加を制御する機能を有している。
【0059】
駆動信号バッファ57は、表示優先回路56から供給された信号に基づいて、駆動電極COMLに駆動信号Vcomを印加する回路である。具体的には、駆動信号バッファ57は、表示優先回路56から供給された信号に基づいて、駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomd、タッチ検出駆動信号Vcomt、直流駆動信号Vcomdcのうちのいずれか一つを印加するようになっている。
【0060】
図10(A)は表示駆動信号Vcomdを表すものであり、図10(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtを表すものであり、図10(C)は直流駆動信号Vcomdcの波形例を表すものである。表示駆動信号Vcomdは、図10(A)に示したように、振幅Vdを有する矩形波信号である。タッチ検出駆動信号Vcomtは、図10(B)に示した例では、表示駆動信号Vcomdと同様の矩形波信号であり、その振幅Vtが表示駆動信号Vcomdよりも大きいものである。直流駆動信号Vcomdcは、図10(C)に示した例では、0Vの直流信号である。
【0061】
この構成により、駆動部54(n)では、表示走査部52から供給される信号Sd(n)が高レベルの場合には、表示優先回路56が表示駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ57が駆動電極COML(n)に表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出走査部53から供給される信号St(m)が高レベルの場合には、表示優先回路56がタッチ検出駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ57が駆動電極COML(n)にタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。また、表示走査部52から供給される信号Sd(n)が高レベルであるとともに、タッチ検出走査部53から供給される信号St(m)が高レベルの場合には、駆動信号バッファ57は、駆動電極COML(n)に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、表示優先回路56は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先するようになっている。また、表示走査部52から供給される信号Sd(n)が低レベルであるとともに、タッチ検出走査部53から供給される信号St(m)が低レベルの場合には、表示優先回路56は表示駆動の指示でもタッチ検出駆動の指示でもないと解釈し、駆動信号バッファ57は駆動電極COML(n)に直流駆動信号Vcomdcを印加する。
【0062】
図11は、走査駆動部50の一動作例を表すものである。走査駆動部50は、表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtを、駆動電極COMLに順次印加する。その際、表示駆動信号Vcomdを印加する対象となる駆動電極COMLと、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加する対象となる駆動電極COMLとが重なった場合には(図11(B))、上述した表示駆動を優先するしくみにより、その重なった駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。
【0063】
ここで、駆動電極COMLは、本発明における「共通駆動電極」の一具体例に対応する。液晶素子LCは、本発明における「表示素子」の一具体例に対応する。タッチ検出走査部53は、本発明における「シフトレジスタ」の一具体例に対応する。制御信号SVSTは、本発明における「制御信号」の一具体例に対応する。クロック信号SCCKは、本発明における「クロック信号」の一具体例に対応する。ラッチ60は、本発明における「タイミング調整部」の一具体例に対応する。
【0064】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態のタッチ検出機能付き表示装置1の動作および作用について説明する。
【0065】
(全体動作概要)
まず、図4を参照して、タッチ検出機能付き表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動信号生成部15、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。ゲートドライバ12は、液晶表示デバイス20に走査信号Vscanを供給し、表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する。ソースドライバ13は、ゲートドライバ12により選択された、1水平ラインを構成する各画素Pixに、画素信号Vpixを供給する。駆動信号生成部15は、表示動作の為の表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出動作の為のタッチ検出駆動信号Vcomtを生成する。駆動電極ドライバ14は、表示動作では、表示駆動の対象となる1水平ラインに係る駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを順次印加し、タッチ検出動作では、タッチ検出動作に係る駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、および駆動電極ドライバ14により供給された信号に基づいて表示動作を行うとともに、駆動電極ドライバ14により供給されたタッチ検出駆動信号Vcomtに基づいてタッチ検出動作を行い、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。アナログLPF部42は、タッチ検出信号Vdetの高い周波数成分を除去して出力する。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10に対するタッチの有無を検出する。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める。検出タイミング制御部46は、アナログLPF部42、A/D変換部43、信号処理部44、座標抽出部45が同期して動作するように制御する。
【0066】
以下に、タッチ検出機能付き表示装置1の詳細動作を説明する。
【0067】
(表示動作およびタッチ検出動作)
図12は、タッチ検出機能付き表示装置1の表示動作およびタッチ検出動作の一例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(C)は駆動信号Vcomの波形を示し、(D)は走査信号Vscanの波形を示し、(E)は画素信号Vpixの波形を示し、(F)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。この例は、図12(C)に示したように、(n−2)行目から(n+2)行目の駆動電極COML(n-2)〜COML(n+2)が表示駆動の対象として順次選択されるとともに、(k−4)行目から(k+5)行目の駆動電極COML(k-4)〜COML(k+5)がタッチ検出駆動の対象として順次選択される場合を示している。
【0068】
タッチ検出機能付き表示装置1では、表示動作においては、ゲートドライバ12が、走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し(図12(D))、駆動電極ドライバ14が、その走査信号線GCLに対応する駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを順次印加することにより表示走査を行う(図12(C)における駆動信号Vcom(n-2)〜Vcom(n+2))。そして各1水平期間(1H)では、走査信号Vscanおよび表示駆動信号Vcomdが印加された1水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを供給することにより、その1水平ラインの表示が行われる。また、タッチ検出動作においては、駆動電極ドライバ14が、この例では6本の駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdよりも振幅が大きいタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し(図12(C)における駆動信号Vcom(k-4)〜Vcom(k+5))、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを、この例では1水平期間ごとに2本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行う。つまり、タッチ検出走査は、表示走査の2倍の走査速度で行われる。各1水平期間(1H)では、タッチ検出部40が、タッチ検出信号Vdetに基づいてタッチを検出する。以下に、その詳細を説明する。
【0069】
まず、駆動電極ドライバ14は、タイミングt1において、駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを印加する。具体的には、駆動電極ドライバ14は、(n−1)行目の駆動電極COML(n-1)に対して表示駆動信号Vcomd(駆動信号Vcom(n-1))を印加する(図12(C))。同時に、この駆動電極ドライバ14は、(k−4)行目から(k+1)行目の6本の駆動電極COML(k-4)〜COML(k+1)に対してタッチ検出駆動信号Vcomt(駆動信号Vcom(k-4)〜Vcom(k+1))を印加する(図12(C))。これにより、1水平期間(1H)が開始する。このとき、この表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図12(F))。
【0070】
次に、ゲートドライバ12は、タイミングt2において、(n−1)行目の走査信号線GCL(n-1)に対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n-1)が低レベルから高レベルに変化する(図12(D))。
【0071】
次に、ソースドライバ13は、タイミングt3において、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図12(E))、1水平ラインに対する表示を行う。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、(n−1)行目の走査信号線GCL(n-1)の走査信号Vscan(n-1)を高レベルから低レベルに変化させる(図12(D))。
【0072】
次に、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号Vdetが入力されたアナログLPF部42の出力信号をA/D変換する(図12(F))。
【0073】
次に、駆動電極ドライバ14は、タイミングt11において、駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを印加する。具体的には、駆動信号生成部15は、表示駆動信号Vcomdを反転させ(図12(A))、駆動電極ドライバ14は、n行目の駆動電極COML(n)に対してその表示駆動信号Vcomd(駆動信号Vcom(n))を印加する(図12(C))。同時に、駆動信号生成部15は、タッチ検出駆動信号Vcomtを反転させ(図12(B))、駆動電極ドライバ14は、(k−2)行目から(k+3)行目の6本の駆動電極COML(k-2)〜COML(k+3)に対してタッチ検出駆動信号Vcomt(駆動信号Vcom(k-2)〜Vcom(k+3))を印加する(図12(C))。これにより、次の1水平期間(1H)が開始する。このとき、この表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図12(F))。
【0074】
次に、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号Vdetが入力されたアナログLPF部42の出力信号をA/D変換する(図12(F))。タッチ検出部40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。
【0075】
次に、ゲートドライバ12が、タイミングt12において、n行目の走査信号線GCL(n)に対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化した後(図12(D))、ソースドライバ13が、タイミングt13において、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加する(図12(E))。なお、この例では、タッチ検出機能付き表示装置1は反転駆動を行うため、ソースドライバ13が印加する画素信号Vpixは、一つ前の1水平期間のものと比べて、その極性が反転している。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、n行目の走査信号線GCL(n)の走査信号Vscan(n)を高レベルから低レベルに変化させる(図12(D))。
【0076】
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、タッチ検出機能付き表示装置1は、液晶表示デバイス20の全面にわたり順次走査することによりその全面に対する表示動作を行うとともに、タッチ検出デバイス30の全面にわたり順次走査することによりその全面に対するタッチ検出動作を行う。
【0077】
このように、タッチ検出機能付き表示装置1では、タッチ検出駆動信号Vcomtの振幅Vtを、表示駆動信号Vcomdの振幅Vdよりも大きくしたので、表示駆動信号Vcomdをタッチ検出駆動信号としても共用する場合に比べて、タッチ検出信号Vdetの電圧変化量を大きくすることができ、タッチ検出感度を高めることができる。
【0078】
次に、上述した表示動作およびタッチ検出動作を行う際の走査駆動部50の動作について詳細に説明する。以下では、最初に走査駆動部50の構成要素である、表示走査部52、タッチ検出走査部53、および駆動部54の説明を行い、その後に走査駆動部50の説明を行う。
【0079】
(表示走査部52の詳細動作)
図13は、表示走査部52の一動作例を表すものであり、(A)は制御信号VSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)は信号Sdの波形を示す。
【0080】
走査制御部51は、クロック信号CCKの半周期に相当するパルス幅を有する制御信号VSTを生成し、表示走査部52に供給する(図13(A))。フリップフロップ58から構成されるシフトレジスタは、同じく走査制御部51から供給されたクロック信号CCK(図13(B))に基づいて、この制御信号VSTを直列並列変換する。具体的には、シフトレジスタの初段のフリップフロップ58(1)は、クロック信号CCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方でこの制御信号VSTをサンプリングし、出力端子Oから信号Sd(1)を出力する(図13(C))。このフリップフロップ58(1)の次段に接続されたフリップフロップ58(2)は、クロック信号CCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方でフリップフロップ58(1)の出力信号Sd(1)をサンプリングし、出力端子Oから信号Sd(2)を出力する(図13(C))。これにより、信号Sd(2)は、前段のフリップフロップ58(1)の出力信号Sd(1)を、クロックCCKの半周期分だけ遅延させたものとなる。
【0081】
このようにして、シフトレジスタ内の全てのフリップフロップ58が同様に動作することにより、制御信号VSTのパルスは、クロック信号CCKの半周期ごとにシフトレジスタ内において転送され、信号Sdに順次現れる。この信号Sdに基づいて、駆動部54が、走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加するとともに、駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加することにより、図12(C)および図12(D)に示した表示走査を行う。すなわち、走査駆動部50は、走査信号線GCLに対して走査信号Vscan(図12(D))を順次印加するとともに、駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomd(図12(C)における駆動信号Vcom(n-2)〜Vcom(n+2))を順次印加することにより表示走査を行う。
【0082】
(タッチ検出走査部53の詳細動作)
次に、いくつかの例を用いてタッチ検出走査部53の動作例を説明する
【0083】
図14は、タッチ検出走査部53の一動作例を表すものであり、(A)は制御信号SVSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)はクロック信号SCCKの波形を示し、(D)は制御信号SLATCHの波形を示し、(E)はフリップフロップ59の出力信号Ssの波形を示し、(F)は信号Stの波形を示す。
【0084】
走査制御部51は、表示走査部52に供給するクロック信号CCK(図14(B))の立ち上がりおよび立ち下がりの両方のタイミングにおいてパルスを有する制御信号SLACHを、タッチ検出走査部53に対して供給する(図14(D))。また、走査制御部51は、制御信号SLATCHの3周期分に相当するパルス幅を有する制御信号SVSTと、制御信号SLATCHの1周期において立ち上がりと立ち下がりをそれぞれ1回ずつ有するクロック信号SCCKを生成し、それぞれタッチ検出走査部53に供給する(図14(A),図14(C))。フリップフロップ59から構成されるシフトレジスタは、クロック信号SCCKに基づいて、この制御信号SVSTを直列並列変換する(図14(E))。そして、ラッチ60は、このシフトレジスタの出力信号を、制御信号SLATCHの立ち上がりのタイミング、すなわちクロック信号CCKの立ち上がりおよび立ち下がりのタイミングで、信号Stとして出力する(図14(F))。
【0085】
具体的には、シフトレジスタの初段のフリップフロップ59(1)は、クロック信号SCCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方で制御信号SVSTをサンプリングしてその結果を信号Ss(1)として出力し、このフリップフロップ59(1)の次段に接続されたフリップフロップ59(2)は、クロック信号SCCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方でフリップフロップ59(1)の出力信号Ss(1)をサンプリングしてその結果を信号Ss(2)として出力する(図14(E))。そして、制御信号SLATCHが高レベルのときに、ラッチ60(1)は、フリップフロップ59(1)の出力信号Ss(1)をサンプリングしてその結果を信号St(1)として出力し、ラッチ60(2)は、フリップフロップ59(2)の出力信号Ss(2)をサンプリングしてその結果を信号St(2)として出力する(図14(F))。これにより、信号St(1),St(2)は互いに同じ波形になる。次に、フリップフロップ59(2)の次段に接続されたフリップフロップ59(3)は、クロック信号SCCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方でフリップフロップ59(2)の出力信号Ss(2)をサンプリングしてその結果を信号Ss(3)として出力し、このフリップフロップ59(3)の次段に接続されたフリップフロップ59(4)は、クロック信号SCCKの立ち上がりおよび立ち下がりの両方でフリップフロップ59(3)の出力信号Ss(3)をサンプリングしてその結果を信号Ss(4)として出力する(図14(E))。そして、制御信号SLATCHが高レベルのときに、ラッチ60(3)は、フリップフロップ59(3)の出力信号Ss(3)をサンプリングしてその結果を信号St(3)として出力し、ラッチ60(4)は、フリップフロップ59(4)の出力信号Ss(4)をサンプリングしてその結果を信号St(4)として出力する(図14(F))。これにより、信号St(3),St(4)は、互いに同じ波形になるとともに、信号St(1),St(2)を制御信号SLATCHの1周期分だけ遅延させたものとなる。
【0086】
このようにして、シフトレジスタ内の全てのフリップフロップ59が同様に動作することにより、制御信号SVSTのパルスは、シフトレジスタ内において転送され、制御信号SLATCHに対応したタイミングで信号Stに順次現れる。この例では、制御信号SVSTが制御信号SLATCHの3周期分のパルス幅を有することに対応して、そのパルス幅を有するパルスが各信号Stに現れる。そして、クロック信号SCCKが制御信号SLATCHの1周期において立ち上がりと立ち下がりをそれぞれ1回ずつ有する(2つの遷移を有する)ことに対応して、2つの信号St(例えば信号St(1)および信号St(2))が同じタイミングで出力される。言い換えれば、タッチ検出走査部53は、6つ(=3×2)の信号Stが同時に高レベルになるとともに(波形A1)、その高レベルとなる信号Stが、制御信号SLATCHの周期ごとに2つずつシフトするように動作する。
【0087】
この信号Stに基づいて、駆動部54が、駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加することにより、図12(C)に示したタッチ検出走査を行う。すなわち、走査駆動部50は、6本の駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomt(図12(C)における駆動信号Vcom(k-4)〜Vcom(k+5))を印加し、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを1水平期間ごとに2本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行う。
【0088】
図15は、タッチ検出走査部53の他の動作例を表すものであり、(A)は制御信号SVSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)はクロック信号SCCKの波形を示し、(D)は制御信号SLATCHの波形を示し、(E)はフリップフロップ59の出力信号Ssの波形を示し、(F)は信号Stの波形を示す。図14に示した例では、制御信号SVSTは、制御信号SLATCHの3周期分に相当するパルス幅を有するとしたが、図15に示した例では、制御信号SLATCHの4周期分に相当するパルス幅を有している。
【0089】
この例では、制御信号SVSTが制御信号SLATCHの4周期分のパルス幅を有することに対応して、そのパルス幅を有するパルスが各信号Stに現れる(図15(F))。そして、クロック信号SCCKが制御信号SLATCHの1周期において立ち上がりと立ち下がりをそれぞれ1回ずつ有する(2つの遷移を有する)ことに対応して、2つの信号St(例えば信号St(1)および信号St(2))が同じタイミングで出力される(図15(F))。言い換えれば、タッチ検出走査部53は、8つ(=4×2)の信号Stが同時に高レベルになるとともに(波形A2)、その高レベルとなる信号Stが、制御信号SLATCHの周期ごとに2つずつシフトするように動作する。
【0090】
これにより、走査駆動部50は、8本の駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLが1水平期間ごとに2本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行うこととなる。
【0091】
以上に示した例では、走査駆動部50は、表示動作において、表示駆動信号Vcomdを駆動電極COMLに印加する際には、その印加対象となる駆動電極COMLを1水平期間ごとに1本ずつシフトすることにより順次走査を行い、タッチ検出動作において、タッチ検出駆動信号Vcomtを駆動電極COMLに印加する際には、1水平期間ごとに2本ずつシフトすることにより順次走査を行う。つまり、タッチ検出走査は、表示走査の2倍の走査速度で行われている。
【0092】
図16は、表示走査およびタッチ検出走査を模式的に表すものであり、タッチ検出走査が、表示走査の2倍の走査速度で行われる場合の一例を示す。タッチ検出機能付き表示装置1では、走査駆動部50が、表示走査Scandおよびタッチ検出走査Scantを独立して行うことができ、表示動作のための表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出動作の為のタッチ検出駆動信号Vcomtを、駆動電極COMLに対してそれぞれ別々に印加することができる。これにより、タッチ検出走査Scantの速度と表示走査Scandの速度とを別々に設定することができる。例えば、図16に示したように、タッチ検出の走査速度を表示走査よりも速くした場合には、外部近接物体によるタッチにすぐに応答することができ、タッチ検出に対する応答特性を改善することができる。
【0093】
次に、以上の例とは異なる走査速度でタッチ検出走査を行うタッチ検出走査部53の動作例を説明する。
【0094】
図17は、タッチ検出走査部53の他の動作例を表すものであり、(A)は制御信号SVSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)はクロック信号SCCKの波形を示し、(D)は制御信号SLATCHの波形を示し、(E)はフリップフロップ59の出力信号Ssの波形を示し、(F)は信号Stの波形を示す。図14に示した例では、クロック信号SCCKは、制御信号SLATCHの1周期において立ち上がりと立ち下がりをそれぞれ1回ずつ有する(2つの遷移を有する)ものを用いたが、図17に示した例では、4つの遷移を有するものを用いている。
【0095】
この例では、制御信号SVSTが制御信号SLATCHの3周期分のパルス幅を有することに対応して、制御信号SLATCHの3周期分のパルス幅を有するパルスが各信号Stに現れる(図17(F))。そして、クロック信号SCCKが制御信号SLATCHの1周期において4つの遷移を有することに対応して、4つの信号St(例えば信号St(1)〜St(4))が同じタイミングで出力される(図17(F))。言い換えれば、タッチ検出走査部53は、12個(=3×4)の信号Stが同時に高レベルになるとともに(波形A3)、その高レベルとなる信号Stが、制御信号SLATCHの周期ごとに4つずつシフトするように動作する。
【0096】
これにより、走査駆動部50は、12本の駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLが1水平期間ごとに4本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行うこととなる。つまり、この例では、タッチ検出走査は、表示走査の4倍の走査速度で行われる。
【0097】
図18は、表示走査およびタッチ検出走査を模式的に表すものであり、タッチ検出走査が、表示走査の4倍の走査速度で行われる場合の一例を示す。このように、タッチ検出走査の速度を速くすることにより、タッチ検出に対する応答特性をさらに改善することができる。
【0098】
(駆動部54の詳細動作)
図19は、駆動部54(n)の一動作例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(C)は直流駆動信号Vcomdcの波形を示し、(D)はクロック信号CCKの波形を示し、(E)は信号Sd(n)を示し、(F)は信号St(n)の波形を示し、(G)は走査信号Vscan(n)の波形を示し、(H)は駆動信号Vcom(n)の波形を示す。
【0099】
表示動作では、駆動部54は、表示走査部52が出力する信号Sdに基づいて、走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加するとともに、駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。タッチ検出動作では、駆動部54は、タッチ検出走査部53が出力する信号Stに基づいて、駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。表示駆動の対象に係る駆動電極COMLと、タッチ検出駆動の対象に係る駆動電極COMLが重なった場合には、駆動部54は、その駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。以下に、その詳細を説明する。
【0100】
駆動部54(n)は、表示走査部52から高レベルの信号Sd(n)が供給されたとき、タイミングt21〜t22に示したように、走査信号Vscan(n)を高レベルにするとともに(図19(G))、表示駆動信号Vcomdを駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。具体的には、ゲートバッファ55は、供給された信号Sd(n)を増幅して、走査信号Vscan(n)として出力する(図19(G))。また、高レベルの信号Sd(n)と低レベルの信号St(n)により、表示優先回路56は表示駆動の指示と解釈し、駆動信号バッファ57は表示駆動信号Vcomd(図19(A))を駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。
【0101】
駆動部54(n)は、タッチ検出走査部53から高レベルの信号St(n)が供給されたとき、タイミングt31〜t34に示したように、タッチ検出駆動信号Vcomtを駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。具体的には、高レベルの信号St(n)と低レベルの信号Sd(n)により、表示優先回路56はタッチ検出駆動の指示と解釈し、駆動信号バッファ57はタッチ検出駆動信号Vcomt(図19(B))を駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。
【0102】
駆動部54(n)は、表示走査部52から高レベルの信号Sd(n)が供給されるとともに、タッチ検出走査部53から高レベルの信号St(n)が供給されたとき、走査信号Vscan(n)を高レベルにするとともに(図19(G))、表示駆動信号Vcomdを駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。具体的には、まずタイミングt41において、信号St(n)が高レベルになったとき、高レベルの信号St(n)と低レベルの信号Sd(n)により、表示優先回路56がタッチ検出駆動の指示と解釈し、駆動信号バッファ57がタッチ検出駆動信号Vcomt(図19(B))を駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。次に、タイミングt42において、信号Sd(n)が高レベルになったとき、高レベルの信号St(n)と高レベルの信号Sd(n)により、表示優先回路56が表示駆動の指示と解釈し、駆動信号バッファ57が表示駆動信号Vcomd(図19(A))を駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。すなわち、表示優先回路56は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先する。次に、タイミングt43において、信号Sd(n)が低レベルになったとき、高レベルの信号St(n)と低レベルの信号Sd(n)により、表示優先回路56がタッチ検出駆動の指示と解釈し、駆動信号バッファ57がタッチ検出駆動信号Vcomt(図19(B))を駆動信号Vcom(n)として出力する(図19(H))。
【0103】
(走査駆動部50の詳細動作)
図20は、走査駆動部50のタッチ検出駆動動作の一例を表すものである。図20に示したように、走査駆動部50は、この例では6本の隣接する駆動電極COML(例えば(n−2)行目から(n+3)行目の駆動電極COML(n-2)〜COML(n+3))に対してタッチ検出駆動信号Vcomt(例えば駆動信号Vcom(n-2)〜Vcom(n+3))を印加する。そして、走査駆動部50は、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを、1水平期間ごとに2本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行う。
【0104】
図21は、走査駆動部50の表示駆動動作とタッチ検出駆動動作の一例を表すものであり、表示走査がタッチ検出走査に追い越される場合を示す。すなわち、図21は、図16において、タイミングW1付近の動作を示すものである。走査駆動部50は、表示駆動の対象に係る駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加するとともに、タッチ検出駆動の対象Aに係る駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。図21において、斜線部は、表示駆動の対象に係る駆動電極COMLに印加された表示駆動信号Vcomdを示しており、その期間において、ソースドライバ13が、その駆動電極COMLに対応する1水平ラインに対して画素信号Vpixを供給する。表示走査がタッチ検出走査に追い越される場合には、表示駆動の対象に係る駆動電極COMLとタッチ検出駆動の対象Aに係る駆動電極COMLとが重なることとなる。このとき、走査駆動部50は、表示駆動を優先するように動作し、図21に示したように、駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0105】
このように、タッチ検出機能付き表示装置1では、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLには、追い越し状態であるか否かにかかわらず表示駆動信号Vcomdが印加される。すなわち、タッチ検出機能付き表示装置1では、走査駆動部50が表示駆動を優先するように動作するため、追い越し状態において、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLにタッチ検出駆動信号Vcomtが印加されることがない。これにより、追い越しに起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0106】
[効果]
以上のように本実施の形態では、表示走査とタッチ検出走査を独立して行うことができるようにしたので、タッチ検出走査の走査速度を表示走査の走査速度よりも速くすることができ、タッチ検出の応答性能を改善することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、タッチ検出走査部に供給するクロック信号SCCKの遷移の数によってタッチ検出走査の速度を変更できるようにしたので、タッチ検出機能付き表示装置の製造後においても、タッチ検出特性を調整することができる。例えば、クロック信号SCCKにおける遷移の数を多くした場合には、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極の1水平期間ごとのシフト量が多くなり、タッチ検出走査の速度を速くすることができ、タッチ検出の応答特性を改善することができる。
【0108】
また、本実施の形態では、タッチ検出走査部に供給する制御信号SVSTのパルス幅により、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極COMLの本数を変更できるようにしたので、タッチ検出機能付き表示装置の製造後においても、タッチ検出特性を調整することができる。例えば、制御信号SVSTのパルス幅を広くした場合には、タッチ検出駆動信号を同時に印加する駆動電極COMLの本数が多くなり、外部近接物体による静電容量の変化を大きくすることができ、タッチ検出感度を向上することができる。
【0109】
また、本実施の形態では、駆動電極に対して、表示駆動信号とタッチ検出駆動信号とを別々に供給できるようにしたので、タッチ検出駆動信号の振幅を表示駆動信号の振幅よりも大きくすることができ、タッチ検出の検出感度を高めることができる。
【0110】
また、本実施の形態では、表示駆動の対象となる駆動電極とタッチ検出駆動の対象となる駆動電極が重なった場合には、表示駆動信号Vcomdをその重なった駆動電極に印加するようにしたので、追い越し走査に起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0111】
<3.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置7について説明する。タッチ検出機能付き表示装置7は、シンプルなタッチ検出走査部を有する走査駆動部70を用いて構成されたものである。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図1など)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0112】
図22は、本実施の形態に係る走査駆動部70の一構成例を表すものである。走査駆動部70は、走査制御部71と、タッチ検出走査部73とを備えている。
【0113】
走査制御部71は、制御部11より供給された図示しない制御信号に基づいて、表示走査部52およびタッチ検出走査部73に対してそれぞれ制御信号を供給するものである。具体的には、走査制御部71は、表示走査部52に対してクロック信号CCKおよび制御信号VSTを供給するとともに、タッチ検出走査部73に対して表示走査部52に供給したものと同じクロック信号CCK、および制御信号SVSTを供給するようになっている。
【0114】
タッチ検出走査部73は、よりシンプルな構成で、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53の図14,図15などに示した波形を実現するものである。すなわち、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53は、クロック信号SCCKを変更することにより、タッチ検出特性を調整できるようにしたが、本実施の形態に係るタッチ検出走査部73は、その調整自由度の代わりに、シンプルな回路構成を実現するものである。
【0115】
図23は、タッチ検出走査部73の一構成例を表示走査部52とともに表すものである。タッチ検出走査部73は、シフトレジスタを含んで構成され、タッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する駆動電極COMLを選択するための信号Stを生成するものである。走査制御部71から供給されたクロック信号CCKおよび制御信号SVSTに基づいて、それぞれが各駆動電極COMLに対応する複数の信号Stを生成する。
【0116】
タッチ検出走査部73は、複数のフリップフロップ79を有している。これらのフリップフロップ79は直列に接続され、シフトレジスタを構成している。これらのフリップフロップ79のクロック端子には、走査制御部71から供給されたクロック信号CCKが入力され、シフトレジスタの初段のフリップフロップ79(1)の入力端子Dには、走査制御部71から供給された制御信号SVSTが供給される。そして、各フリップフロップ79は、その出力端子Oから出力する信号を次段のフリップフロップ79の入力端子Dに供給するとともに、信号Stとして駆動部54に供給する。その際、各フリップフロップ79は、2つの駆動部54に対して信号Stを供給する。具体的には、例えば、フリップフロップ79(n)は、図22および図23に示したように、その出力信号を、n番目の駆動部54(n)に対して信号St(n)として供給するとともに、(n+1)番目の駆動部54(n+1)に対して信号St(n+1)として供給するようになっている。
【0117】
タッチ検出走査部73のシフトレジスタの長さは、各フリップフロップ79が2つの駆動部54に対して信号Stを供給していることに対応して、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53のものと比べて半分程度になっている。また、タッチ検出走査部73では、シフトレジスタがクロック信号CCKを用いて動作するため、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53において、クロック信号CCKに同期して信号Stを出力するために必要だったラッチ60を省くことが可能となっている。
【0118】
図24は、タッチ検出走査部73の一動作例を表すものであり、(A)は制御信号SVSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)は信号Stの波形を示す。
【0119】
走査制御部71は、クロック信号CCKの半周期の3倍に相当するパルス幅を有する制御信号SVSTを、タッチ検出走査部73に対して供給する(図24(A))。フリップフロップ79から構成されるシフトレジスタは、クロック信号CCKに基づいて、この制御信号SVSTを直列並列変換する。そして、各フリップフロップ79は、2つの駆動部54に対して信号Stを供給する。具体的には、例えば、フリップフロップ79(1)は、その出力信号を信号St(1)および信号St(2)として出力し、フリップフロップ79(2)は、その出力信号を信号St(3)および信号St(4)として出力する(図24(C))。これにより、信号St(3),St(4)は、信号St(1),St(2)をクロック信号CCKの1周期分だけ遅延させたものとなる。このようにして、シフトレジスタ内の全てのフリップフロップ79が同様に動作することにより、制御信号SVSTのパルスは、シフトレジスタ内において転送され信号Stに順次現れる。
【0120】
この例では、制御信号SVSTがクロック信号CCKの半周期の3倍のパルス幅を有することに対応して、そのパルス幅を有するパルスが各信号Stに現れる(図24(C))。そして、各フリップフロップ79が2つの駆動部54に対して信号Stを供給していることに対応して、2つの信号St(例えば信号St(1)および信号St(2))が同じタイミングで出力される(図24(C))。言い換えれば、タッチ検出走査部73は、6つ(=3×2)の信号Stが同時に高レベルになるとともに(波形A1)、その高レベルとなる信号Stが、クロック信号CCKの半周期ごとに2つずつシフトするように動作する。つまり、タッチ検出走査部73は、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53の図14(F)に示した波形Stと同等の波形を実現している。
【0121】
図25は、タッチ検出走査部73の他の動作例を表すものであり、(A)は制御信号SVSTの波形を示し、(B)はクロック信号CCKの波形を示し、(C)は信号Stの波形を示す。図24に示した例では、制御信号SVSTは、クロック信号CCKの半周期の3倍に相当するパルス幅を有するとしたが、図25に示した例では、クロック信号CCKの半周期の4倍に相当するパルス幅を有している。
【0122】
この例では、制御信号SVSTがクロック信号CCKの半周期の4倍のパルス幅を有することに対応して、そのパルス幅を有するパルスが各信号Stに現れる(図25(C))。そして、各フリップフロップ79が2つの駆動部54に対して信号Stを供給していることに対応して、2つの信号St(例えば信号St(1)および信号St(2))が同じタイミングで出力される(図25(C))。言い換えれば、タッチ検出走査部73は、8つ(=4×2)の信号Stが同時に高レベルになるとともに(波形A2)、その高レベルとなる信号Stが、クロック信号CCKの半周期ごとに2つずつシフトするように動作する。つまり、タッチ検出走査部73は、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出走査部53の図15(F)に示した波形Stと同等の波形を実現している。
【0123】
以上のように、本実施の形態では、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極COMLを2本ずつシフトする場合において、タッチ検出走査部73のフリップフロップ79の数を表示走査部52のフリップフロップ58の半分にし、各フリップフロップ79から2つの駆動部に対して信号Stを供給するようにしたので、よりシンプルな構成でタッチ検出走査部を実現できる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0124】
上記実施の形態では、タッチ検出走査部73のフリップフロップ79の数を表示走査部52のフリップフロップ58の半分にしたが、これに限定されるものではない。例えば、タッチ検出走査部のフリップフロップ79の数を表示走査部52のフリップフロップ58の1/3にし、各フリップフロップ79から3つの駆動部に対して信号Stを供給するようにした場合には、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極COMLを3本ずつシフトすることができる。このように、タッチ検出走査部73のフリップフロップ79の数と、表示走査部52のフリップフロップ58の数の比を変更することにより、タッチ検出走査の走査速度を変更することができる。
【0125】
<4.適用例>
次に、図26〜図30を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチ検出機能付き表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0126】
(適用例1)
図26は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0127】
(適用例2)
図27は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0128】
(適用例3)
図28は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0129】
(適用例4)
図29は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0130】
(適用例5)
図30は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0131】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0132】
上記の各実施の形態等では、TNやVA、ECB等の各種モードの液晶を用いた液晶表示デバイス20とタッチ検出デバイス30とを一体化してタッチ検出機能付き表示デバイス10を構成したが、これに代えて、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化しても良い。例えば、横電界モードの液晶を用いた場合には、タッチ検出機能付き表示デバイス90を、図31に示したように構成可能である。この図は、タッチ検出機能付き表示デバイス90の要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図5の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図5の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、TFT基板21の直ぐ上に形成され、画素基板2Bの一部を構成する。駆動電極COMLの上方には、絶縁層23を介して画素電極22が配置される。この場合、駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとの間の、液晶層6Bをも含むすべての誘電体が容量C1の形成に寄与する。
【符号の説明】
【0133】
1,7…タッチ検出機能付き表示装置、2,2B…画素基板、3,3B…対向基板、6,6B…液晶層、10タッチ検出機能付きデバイス、11…制御部、12…ゲートドライバ、13…ソースドライバ、14…駆動電極ドライバ、15…駆動信号生成部、20…液晶表示デバイス、21…TFT基板、22…画素電極、30…タッチ検出デバイス、31…ガラス基板、32…カラーフィルタ、35…偏光板、40…タッチ検出部、42…アナログLPF部、43…A/D変換部、44…信号処理部、45…座標抽出部、46…検出タイミング制御部、50,70…走査駆動部、51,71…走査制御部、52…表示走査部、53,73…タッチ検出走査部、54,540…駆動部、55…ゲートバッファ、56…表示優先回路、57…駆動信号バッファ、58,59,79…フリップフロップ、60…ラッチ、A…タッチ検出駆動の対象、A1,A2…波形、CCK,SCCK…クロック信号、COML…駆動電極、GCL…走査信号線、LC…液晶素子、Out…出力信号、Pix…画素、Sd,St…信号、SGL…画素信号線、SLATCH,SVST,VST…制御信号、Scand…表示走査、Scant…タッチ検出走査、TDL…タッチ検出電極、Tr…TFT素子、ts1,ts2…サンプリングタイミング、Vcom…駆動信号、Vcomd…表示駆動信号、Vcomdc…直流駆動信号、Vcomt…タッチ検出駆動信号、Vdet…タッチ検出信号、Vdisp…映像信号、Vpix…画素信号、Vscan…走査信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、
タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、
前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部と
を備え、
前記走査駆動部は、前記第2の走査駆動を前記第1の走査駆動より速い走査速度で行い、前記第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と前記第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、前記表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加する
タッチ検出機能付き表示装置。
【請求項2】
前記表示駆動信号は矩形波信号であり、
前記第2の走査駆動は、前記第1の走査駆動の基本動作クロックと同一の周波数を有する基本動作クロックに基づいて動作し、
前記走査駆動部は、前記第2の走査駆動において、その走査駆動の対象となる共通駆動電極を複数本同時に選択するとともに、前記表示駆動信号のレベル遷移に対応したタイミングでその選択された共通駆動電極を2以上の本数ずつずらすことにより走査を行う
請求項1に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項3】
前記走査駆動部は、
前記第2の走査駆動を行うためのシフトレジスタ部と、
前記シフトレジスタ部を制御する走査制御部と
を有し、
前記シフトレジスタ部が、前記走査制御部から供給された前記複数本に対応するパルス幅を有する制御信号を直列並列変換することにより、前記第2の走査駆動の対象となる複数の共通駆動電極を選択する
請求項2に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項4】
前記直列並列変換は、走査ピッチに相当する期間において、前記2以上の本数に対応する回数だけ遷移するクロック信号に基づいて行う
請求項3に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項5】
前記走査駆動部は、前記直列並列変換により生成された並列出力信号のそれぞれを、前記走査ピッチに相当する期間の開始タイミングに対応したタイミングで出力するタイミング調整部をさらに有する
請求項4に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項6】
前記走査駆動部は、
前記直列並列変換により生成された並列出力信号のそれぞれを、前記2以上の本数に対応する数に分配する分配手段をさらに有し、
前記シフトレジスタ部が前記クロック信号に基づいて直列並列変換し、前記分配手段がその並列出力信号を分配することにより、前記第2の走査駆動の対象となる複数の共通駆動電極を選択する
請求項3に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項7】
前記タッチ検出駆動信号は、前記表示駆動信号よりも大きい振幅を有する矩形波信号である
請求項2に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項8】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子とを備えたタッチ検出機能付き表示部に対して、前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部を備え、
前記走査駆動部は、前記第2の走査駆動を前記第1の走査駆動より速い走査速度で行い、前記第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と前記第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、前記表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加する
駆動回路。
【請求項9】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極に表示駆動信号を時分割的に順次印加するとともに、前記表示駆動信号の印加に同期してその表示駆動信号の印加下にある共通駆動電極に対応した画素電極に画素信号を印加する動作を時分割的に順次行うことにより、前記画素信号および前記表示駆動信号に基づく表示を行う第1の走査駆動動作と、
前記第1の走査駆動より速い走査速度により、外部近接物体検出用のタッチ検出駆動信号を、前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動動作と
を行い、
前記第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と前記第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、前記表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加する
タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法。
【請求項10】
タッチ検出機能付き表示装置と、
前記タッチ検出機能付き表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記タッチ検出機能付き表示装置は、
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、
タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、
前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部と
を有し、
前記走査駆動部は、前記第2の走査駆動を前記第1の走査駆動より速い走査速度で行い、前記第1の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極と前記第2の走査駆動の対象として選択された共通駆動電極とが重なる場合には、前記表示駆動信号を、その重複する共通駆動電極に印加する
電子機器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−43355(P2012−43355A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186198(P2010−186198)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】