説明

タングステンをケミカルメカニカルポリッシングするための方法

【課題】より良いトポグラフィー性能を達成するためのタングステンバフィング配合物として使用するための、新しいケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法を提供する。
【解決手段】タングステンを含む基板を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物と、研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンを含む基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に関する。更に詳しくは、本発明は、タングステンビアを含む半導体基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステンは、集積回路製作において中間層金属線を繋ぐコンタクトビア及びホールの形成のために半導体製造において広く使用される。典型的には、ビアホールは、インターレベル絶縁体(ILD)を通って相互接続線へ、又は半導体基板へとエッチングされる。次に例えば、窒化チタン又はチタンの薄い接着層が、ILD上に及びエッチングされたビアホール中に形成され得る。次いでタングステン膜が、接着層上に及びビア中にブランケット堆積される。次に過剰のタングステンは、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により除去されて、タングステンビアを形成する。
【0003】
CMPに使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、CMPの成功を左右する重要な変数である。砥粒及び他の添加物の選択に応じて、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、タングステンビアに隣接するインターレベル絶縁体の表面の不完全性、欠陥、コロージョン、及びエロージョンを最小限に抑えながら、所望の研磨速度で存在する種々の層の有効な研磨を提供するように調整することができる。更に、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、例えば、チタン、窒化チタン、窒化ケイ素などのような、研磨される基板の表面に存在する他の材料に対する制御された研磨選択比を提供するように使用することができる。
【0004】
典型的には、タングステンCMPプロセスは、砥粒及び化学試薬を包含するケミカルメカニカルポリッシング組成物を用いて達成される。従来のタングステンCMP用の研磨組成物は、苛酷な酸化環境でアルミナ(Al)又はシリカ(SiO)微粒子を砥粒材料として使用する。酸化剤の選択は、研磨組成物の全体の配合及びタングステンCMP集積プロセスに特定の要求に依存する。使用される研磨組成物は、組成物により示されるタングステン除去速度を増大させるために、タングステンをエッチングすることを目的とした成分の配合を増加させる。しかし多くの場合、生じる組成物は、タングステンを、機械的摩耗により表面から容易に除去されるソフト酸化膜に変換する代わりに、表面からタングステンを化学的にエッチングするやり方で、タングステンをエッチングする。この化学作用の強化に起因して、このような組成物は、タングステンプラグのリセスを引き起こしやすい。ビア中のタングステンの表面が、周囲の中間層絶縁材料の表面の下にある、リセスしたタングステンビアは、デバイスの他の領域への電気的接触問題を引き起こしうる。更には、タングステンビアの中心でのリセスは、デバイスの後続レベルでのデバイスの非平坦性の増大を招きうる。ビアの中心からのタングステンのエッチングはまた、不適切な「キーホール発生」を引き起こしうる。
【0005】
タングステンビア形成を改善するための1つの主張された解決策は、Grumbineらにより米国特許第6,136,711号に開示されている。Grumbineらは、以下を含むケミカルメカニカルポリッシング組成物を開示している:タングステンをエッチングできる化合物;及び少なくとも1種のタングステンエッチングのインヒビター(ここで、タングステンエッチングのインヒビターは、アルキルアンモニウムイオンを形成する3個以上の炭素原子を有する化合物、3個以上の炭素原子を有するアミノアルキル類、硫黄含有アミノ酸以外のアミノ酸及びこれらの混合物から選択される、窒素含有官能基を包含する化合物である)。
【0006】
タングステン研磨工程に続く酸化物バフィング工程の使用は、より良いタングステンビアトポグラフィーを達成するための代替手段を提供する。このような酸化物バフィング工程は、半導体基板上のコンタクトサイズが収縮し続けるため、ますます重要になっている。
【0007】
したがって、より良いトポグラフィー性能を達成するためのタングステンバフィング配合物として使用するための、新しいケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法に対するニーズは引き続き存在している。
【0008】
本発明は、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、タングステンを含む基板を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、水;0.1〜5重量%の砥粒;0.005〜0.1重量%の式(I):
【化1】


(式中、各Aは、N及びPから独立に選択され;Rは、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基から選択され;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基から選択され;そして式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の2+電荷と相殺する任意のアニオン又はアニオンの組合せであってよい)で示されるジ第4級化合物;0.001〜10重量%の少なくともフタル酸、無水フタル酸、フタラート化合物及びフタル酸誘導体の1種;並びに0.001〜10重量%のヨウ素酸カリウムを含む(本質的にこれらからなる))を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜4のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度及び≧100Å/分のタングステン除去速度を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、タングステンを含む基板を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、水;1.5〜3.5重量%の砥粒(ここで、砥粒は、10〜100nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);0.01〜0.1重量%のジ第4級化合物(ここで、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である);0.01〜1重量%のフタル酸水素アンモニウム;及び0.01〜1重量%のヨウ素酸カリウムを含む(本質的にこれらからなる))を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜3のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度及び≧100Å/分のタングステン除去速度を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される、方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、タングステンを含む基板を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、水;1.5〜3.5重量%の砥粒(ここで、砥粒は、25〜75nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);0.01〜0.03重量%の式(I)のジ第4級化合物(ここで、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である);0.05〜0.5重量%のフタル酸水素アンモニウム;及び0.1〜0.5重量%のヨウ素酸カリウムを含む(本質的にこれらからなる))を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜3のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度及び≧100Å/分のタングステン除去速度を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され;幾らかのタングステンは基板から除去され;ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用しての、≧300Å/分のタングステン除去速度を容易にし;そして基板は更にSiを含む(ここで、少なくとも幾らかのSiは基板から除去され;そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物は、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用して、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比を示す)を含む方法を提供する。
【0011】
詳細な説明
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、タングステンを含む基板、詳しくはタングステンビアを含む半導体ウェーハを研磨するために有用である。本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、望ましくは、非選択的で調整可能な配合で低いタングステン静的エッチング速度(≦5Å/分)を示す。
【0012】
本発明の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、タングステンを含む基板のケミカルメカニカルポリッシングのために有用である。本発明の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、詳しくはタングステンビアを有する半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングのために有用である。
【0013】
好ましくは、本発明の方法を用いて研磨される基板は、場合により更に、リンケイ酸ガラス(PSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、非ドープケイ酸塩ガラス(USG)、スピンオンガラス(SOG)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、プラズマ強化TEOS(PETEOS)、流動性酸化物(FOx)、高密度プラズマ化学蒸着(HDP−CVD)酸化物、及び窒化ケイ素(Si)から選択される追加の材料を含む。好ましくは、本発明の方法を用いて研磨される基板は更に、TEOS及びSiから選択される追加の材料を含む。
【0014】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物中の初期成分として使用される水は、不可避的不純物を制限するため、脱イオン及び蒸留の少なくとも一方が行われる。
【0015】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に使用するのに適切な砥粒は、例えば、無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化酸化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子及び前記の少なくとも1種を含む混合物を包含する。適切な無機酸化物は、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、酸化マンガン(MnO)、酸化チタン(TiO)又は前記酸化物の少なくとも1種を含む組合せを包含する。有機ポリマー被覆無機酸化物粒子及び無機被覆粒子のような、これらの無機酸化物の修飾形もまた、必要に応じて利用することができる。適切な金属炭化物、ホウ化物及び窒化物は、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン、又は前記金属炭化物、ホウ化物、及び窒化物の少なくとも1種を含む組合せを包含する。好ましくは、使用される砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である。更に好ましくは、使用される砥粒は、周知のレーザー光散乱法により測定するとき、1〜100nm(更に好ましくは10〜100nm、最も好ましくは25〜75nm)の平均粒径を有するコロイダルシリカである。
【0016】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として、0.1〜5重量%(更に好ましくは1.5〜3.5重量%)の砥粒を含む。好ましくは、砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.1〜5重量%(更に好ましくは1.5〜3.5重量%)の1〜100nm(更に好ましくは10〜100nm、最も好ましくは25〜75nm)の平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒を含む。
【0017】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として、式(I):
【化2】


(式中、各Aは、N及びPから独立に選択され、好ましくは各Aは、Nであり;Rは、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基(好ましくはC−C10アルキル基;更に好ましくはC−Cアルキル基;更になお好ましくは−(CH−基及び−(CH−基;最も好ましくは−(CH−基)から選択され;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基(好ましくは水素及びC−Cアルキル基;更に好ましくは水素及びブチル基;最も好ましくはブチル基)から選択され;そして式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の2+電荷と相殺する任意のアニオン又はアニオンの組合せであってよい(好ましくは式(I)中のアニオンは、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン及びリン酸アニオン;更に好ましくはハロゲン化物アニオン及び水酸化物アニオン;最も好ましくは水酸化物アニオンから選択される))で示されるジ第4級物質を含む。好ましくは、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.005〜0.1重量%(更に好ましくは0.01〜0.1重量%、最も好ましくは0.01〜0.03重量%)の式(I)のジ第4級物質を含む。最も好ましくは、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.005〜0.1重量%(更に好ましくは0.01〜0.1重量%、最も好ましくは0.01〜0.03重量%)の式(I)(式中、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である)のジ第4級物質を含む。本発明のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物にオプションの式(I)のジ第4級物質を含めると、(実施例に明記される研磨条件下で)酸化ケイ素除去速度が増大し、Si除去速度が減少し、そしてタングステン除去速度がわずかに増大する。
【0018】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として、0.001〜10重量%(更に好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜0.5重量%)の少なくともフタル酸、無水フタル酸、フタラート化合物及びフタル酸誘導体の1種を含む。好ましくは、フタル酸は、例えば、フタル酸水素カリウムのようなフタラート化合物の添加により;又は例えば、フタル酸水素アンモニウムのようなフタル酸誘導体の添加により、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に組み込まれる。最も好ましくは、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.001〜10重量%(更に好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜0.5重量%)のフタル酸水素アンモニウムを含む。
【0019】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として、0.001〜10重量%(更に好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%)のヨウ素酸カリウムを含む。
【0020】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは1〜4(更に好ましくは2〜3)のpHを有する。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するのに適切な酸は、例えば、硝酸、硫酸及び塩酸を包含する。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するのに適切な塩基は、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び重炭酸テトラメチルアンモニウム;好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウムを包含する。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により更に、消泡剤、分散剤、界面活性剤及び緩衝剤から選択される追加の添加剤を含む。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、ペルオキシ酸化剤フリーである。「ペルオキシ酸化剤」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、過酸化水素、尿素過酸化水素、過炭酸塩、過酸化ベンゾイル、過酢酸、過酸化ナトリウム、過酸化ジ−tert−ブチル、一過硫酸塩、二過硫酸塩、鉄(III)化合物から選択される酸化剤を意味する。「ペルオキシ酸化剤フリー」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、このケミカルメカニカルポリッシング組成物が、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有することを意味する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.0005重量%(更に好ましくは<0.0001重量%)のペルオキシ酸化剤を含有する。
【0023】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、コロージョンインヒビター剤フリーである。「コロージョンインヒビター剤」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、研磨すべき表面に吸着して、そこに膜を形成することにより、タングステンのコロージョンを阻害するために機能する成分である。コロージョンインヒビター剤は、例えば:ベンゾトリアゾール;1,2,3−ベンゾトリアゾール;5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール;1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール;1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール;又は1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールである。「コロージョンインヒビター剤フリー」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、このケミカルメカニカルポリッシング組成物が、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有することを意味する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%(更に好ましくは<0.0001重量%)のコロージョンインヒビター剤を含有する。
【0024】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、好ましくは:タングステンを含む基板(好ましくは、ここで基板は、タングステンビアを含む半導体ウェーハである)を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、水;0.1〜5重量%(好ましくは1.5〜3.5重量%)の砥粒(好ましくは、ここで砥粒は、10〜100nm(好ましくは25〜50nm)の平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);0.005〜0.1重量%(好ましくは0.01〜0.1重量%;更に好ましくは0.01〜0.03重量%)の式(I):
【化3】


(式中、各Aは、N及びPから独立に選択され(好ましくは、ここで各AはNである);Rは、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基から選択され(好ましくはRは、−(CH−基である);R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基から選択され(好ましくは、ここでR、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である);そして式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の2+電荷と相殺する任意のアニオン又はアニオンの組合せであってよい)で示されるジ第4級化合物;0.001〜10重量%(好ましくは0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%)の少なくともフタル酸、無水フタル酸、フタラート化合物及びフタル酸誘導体の1種(好ましくはフタル酸水素アンモニウム);並びに0.001〜10重量%(好ましくは0.01〜1重量%;更に好ましくは0.1〜0.5重量%)のヨウ素酸カリウムを含む(本質的にこれらからなる))を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜4(好ましくは2〜3)のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度(実施例に明記される条件下で測定するとき)及び≧100Å/分(好ましくは≧300Å/分)のタングステン除去速度(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される。好ましくは、ここで基板は更にTEOSを含み、少なくとも幾らかのTEOSは基板から除去され、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、5:1〜1:5のタングステン除去速度対TEOS除去速度の選択比(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示す。好ましくは、基板は更にSiを含み、ここで少なくとも幾らかのSiは基板から除去され、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示す。
【0025】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、好ましくは:タングステンを含む基板(好ましくは、ここで基板は、タングステンビアを含む半導体ウェーハである)を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、水;1.5〜3.5重量%の砥粒(ここで砥粒は、25〜75nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);0.01〜0.03重量%の式(I)(式中、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である)で示されるジ第4級化合物;0.05〜0.5重量%フタル酸水素アンモニウム;及び0.1〜0.5重量%のヨウ素酸カリウムを含む(本質的にこれらからなる))を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜3のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度(実施例に明記される条件下で測定するとき)及び≧100Å/分(好ましくは≧300Å/分)のタングステン除去速度(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される。好ましくは、ここで基板は更にTEOSを含み、少なくとも幾らかのTEOSは基板から除去され、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、5:1〜1:5のタングステン除去速度対TEOS除去速度の選択比(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示す。好ましくは、基板は更にSiを含み、ここで少なくとも幾らかのSiは基板から除去され、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比(実施例に明記される研磨条件下で測定するとき)を示す。
【0026】
本発明の幾つかの実施態様を、これから以下の実施例において詳細に説明する。
【0027】
実施例
ケミカルメカニカルポリッシング組成物
【0028】
試験したケミカルメカニカルポリッシング組成物(CMPC)は、表1に記載される。ケミカルメカニカルポリッシング組成物A〜Fは、比較配合物であり、これらは本発明の範囲に含まれない。
【0029】
【表1】

【0030】
静的エッチング試験
タングステンブランケットウェーハは、従来の過酸化水素含有バルクのタングステンスラリー(比較CMPC G)、実施例5のCMPC及び実施例7のCMPCに別々に30分間浸漬した。観測した静的エッチング速度は表2に報告する。
【0031】
【表2】

【0032】
研磨試験
研磨実験は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、窒化ケイ素(Si)及びタングステン(W)ブランケットウェーハ(それぞれSVTC、Advantiv及びSKW Associates Inc.から入手できる)で、表1に記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して実施した。研磨実験は、ISRM検出システムを取り付けたApplied Materials, Inc. Mirra(登録商標)200mm研磨機を使用して、IC1010(商標)ポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販されている)を2psi(13.8kPa)のダウンフォース、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、133rpmのプラテン速度及び111rpmのキャリヤ速度の下で用いて実施した。Diagrid(登録商標)AD3BG-150855ダイヤモンドパッドコンディショナー(Kinik Companyから市販されている)を使用して研磨パッドをコンディショニングした。研磨パッドは、7.0lbs(3.18kg)のダウンフォースを20分間使用してコンディショナーで慣らし運転した。研磨パッドは、5.2lbs(2.36kg)のダウンフォースを使用して、研磨に先立ち実験施設内で更にコンディショニングした。表3に報告されたW除去速度データは、Jordan Valley JVX-5200T計測ツールを使用して求めた。表3に報告されたSi及びTEOS除去速度は、KLA-Tencor FX200計測ツールを使用して研磨の前後に膜厚を測定することにより求めた。研磨試験の結果は、表3に提示する。
【0033】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、
タングステンを含む基板を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物(初期成分として、
水;
0.1〜5重量%の砥粒;
0.005〜0.1重量%の式(I):
【化4】


(式中、各Aは、N及びPから独立に選択され;Rは、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基及びC−C15アラルキル基から選択され;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、飽和又は不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基及びC−C15アルカリール基から選択され;そして式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオン上の2+電荷と相殺する任意のアニオン又はアニオンの組合せであってよい)で示されるジ第4級化合物;
0.001〜10重量%の少なくともフタル酸、無水フタル酸、フタラート化合物及びフタル酸誘導体の1種;並びに
0.001〜10重量%のヨウ素酸カリウムを含む)を提供すること(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜4のpHを有し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≦5Å/分のタングステン静的エッチング速度及び≧100Å/分のタングステン除去速度を示し;このケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.001重量%のペルオキシ酸化剤を含有し;そしてこのケミカルメカニカルポリッシング組成物は、<0.005重量%のコロージョンインヒビター剤を含有する);
研磨表面を持つケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基板との界面に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触を作り出すこと;及び
ケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面又は界面近くに分配することを含み;
ここで、基板は研磨され、そして幾らかのタングステンは基板から除去される、方法。
【請求項2】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、≧300Å/分のタングステン除去速度を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板が、更にオルトケイ酸テトラエチルを含み、そしてここで、少なくとも幾らかのオルトケイ酸テトラエチルが、基板から除去され、そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物が、5:1〜1:5のタングステン除去速度対オルトケイ酸テトラエチル除去速度の選択比を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基板が、更にSiを含み、そしてここで、少なくとも幾らかのSiが、基板から除去され;そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物が、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
提供されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期成分として、
水;
1.5〜3.5重量%の砥粒(ここで、砥粒は、10〜100nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);
0.01〜0.1重量%のジ第4級化合物(ここで、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である);
0.01〜1重量%のフタル酸水素アンモニウム;及び
0.01〜1重量%のヨウ素酸カリウムを含む(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜3のpHを有する)、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用しての、≧300Å/分のタングステン除去速度を容易にする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板が、更にオルトケイ酸テトラエチルを含み、そしてここで、少なくとも幾らかのオルトケイ酸テトラエチルが、基板から除去され、そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物が、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用して、5:1〜1:5のタングステン除去速度対オルトケイ酸テトラエチル除去速度の選択比を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板が、更にSiを含み、そしてここで、少なくとも幾らかのSiが、基板から除去され;そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物が、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用して、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
提供されるケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物が、初期成分として、
水;
1.5〜3.5重量%の砥粒(ここで、砥粒は、25〜75nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);
0.01〜0.03重量%の式(I)のジ第4級化合物(ここで、各Aは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である);
0.05〜0.5重量%のフタル酸水素アンモニウム;及び
0.1〜0.5重量%のヨウ素酸カリウムを含む(ここで、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜3のpHを有する)、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用しての、≧300Å/分のタングステン除去速度を容易にし;そして基板が、更にSiを含み、そしてここで、少なくとも幾らかのSiが、基板から除去され;そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物が、133回転/分のプラテン速度、111回転/分のキャリヤ速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び13.8kPaの公称ダウンフォースにより、200mm研磨機で、ポリウレタン含浸不織布研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを使用して、2:1〜1:2のタングステン除去速度対Si除去速度の選択比を示す、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2013−42131(P2013−42131A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173339(P2012−173339)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】