説明

タンパク質を経口投与するための方法及び組成物

【課題】インスリンなどのタンパク質製剤を経口投与できる組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る組成物は、インスリンなどの治療用のタンパク質と、オメガ3脂肪酸と、プロテアーゼ阻害剤と、腸の粘膜防壁からのタンパク質を促進する物質とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物、及び前記組成物を投与する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
生命工学の発展により、製薬工業において生物ペプチドの利用が増加してきた。しかしながら、ペプチド薬剤の開発では、ペプチド薬剤の経口投与が比較的有効ではないという制限要因がある。ほとんどのペプチド薬剤は非経口的に投与されるが、通常、非経口投与されるペプチド薬剤の服用順守は低い。
【0003】
インスリンは糖尿病を患っている患者を治療するための薬剤であり、その投与はインスリン依存性糖尿病に対する唯一の治療法である。糖尿病は、インスリンの完全又は相対的な欠乏によって発生する病態であり、高血糖を引き起こす。糖尿病は、21世紀におけるヒトの健康に対する最も大きな脅威である。全世界の糖尿病患者は、2010年に2億2000万人に増加し、2025年には3億人に達するとされている。I型糖尿病は、主に膵臓のインスリン合成障害によって発生する。II型糖尿病は、体がインスリン作用に応答しないことに関与する。
【0004】
全糖尿病患者の約20〜30%は、グルコースレベルを正常に保つために毎日インスリン注射を行う。全糖尿病患者の推定10%は、インスリン注射に完全に依存している。
【0005】
現在、インスリン投与の唯一の経路は、注射である。インスリンの連日注射は、患者に大きな苦痛をもたらす。インスリンの連日注射によって、リポジストロフィ(注射部位で)、脂肪増多症、脂肪肥大、及び時折に低血糖などの副作用が起きると知られている。また、インスリンを皮下投与しても、インスリンが膵臓から門脈を介して肝臓に直接分泌されるときに通常起きる優れた連続的な代謝調節が生じない。
【0006】
本発明は、インスリン投与のための代替策を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物、前記組成物を投与するステップを含む糖尿病を治療する方法、及び前記組成物を経口投与するステップを含む、酵素活性を有するタンパク質を経口投与する方法を提供する。
【0008】
ある実施形態では、本発明は、インスリンタンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、酵素活性を有するタンパク質を対象に経口投与し、且つ前記タンパク質の大部分が前記対象の腸の粘膜防壁から吸収された後も酵素活性を維持する方法であって、前記タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、対象における糖尿病を治療する方法であって、インスリンとオメガ3脂肪酸とを含有する医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物及び方法を提供する。ある実施形態では、前記タンパク質の分子量は、最大200000ダルトンである。好ましい実施形態では、前記タンパク質の分子量は、最大100000ダルトンである。ある実施形態では、本発明は、腸からの吸収を促進するエンハンサーをさらに提供する。
【0012】
ある実施形態では、前記タンパク質は酵素である。幾つかの実施形態では、前記タンパク質は、受容体リガンド、輸送タンパク質、又は貯蔵タンパク質である。ある実施形態では、前記タンパク質は、構造タンパク質である。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記酵素は、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、リア−ゼ、イソメラーゼ、又はリガーゼである。幾つかの実施形態では、酸化還元酵素は、ドナーのアルデヒド又はオキソ基、ドナーのCH−CH基、ドナーのCH−NH(2)基、ドナーのCH−NH基、NADH若しくはNADPH、ドナーのCH−OH基、ドナーとしての窒素化合物、ドナーの硫黄基、ドナーのヘム基、ドナーとしてのジフェノール及び関連する物質、受容体としての過酸化物、ドナーとしての水素、1つのドナー(single donor)(酸素分子をと込むことで)、ドナー対(paired donor)、受容体としての超酸化物、酸化金属イオン、CH若しくはCH(2)基、ドナーとしての鉄硫黄タンパク質、ドナーとしての還元フラボドキシン、ドナーにおけるリン若しくはヒ素、又はx−H及びy−H(x−y結合を形成)に対して作用する。
【0014】
幾つかの実施形態では、トランスフェラーゼは、アシルトランスフェラーゼ又はグリコシルトランスフェラーゼである。幾つかの実施形態では、トランスフェラーゼは、アルデヒド残基又はケトン残基を転位する。幾つかの実施形態では、トランスフェラーゼは、メチル基以外のアルキル基又はアリル基を転位する。幾つかの実施形態では、トランスフェラーゼは、窒素、リン、硫黄、又はセレンを含有する基を転位する。
【0015】
幾つかの実施形態では、加水分解酵素は、グリコシラーゼである、又はエーテル結合、ペプチド結合、ペプチド結合以外の炭素−窒素結合、酸無水物、炭素−炭素結合、ハロゲン結合、リン−窒素結合、硫黄−窒素結合、炭素−リン結合、硫黄−硫黄結合、又は炭素−硫黄結合に対して作用する。
【0016】
幾つかの実施形態では、リアーゼは、炭素−炭素リアーゼ、炭素−酸素リアーゼ、炭素−窒素リアーゼ、炭素−硫黄リアーゼ、炭素−ハロゲンリアーゼ、リン−酸素リアーゼ、又は他のリアーゼである。
【0017】
幾つかの実施形態では、イソメラーゼは、ラセマーゼ若しくはエピメラーゼ、シス−トランス−イソメラーゼ、分子内酸化還元酵素、分子内トランスフェラーゼ、分子内リアーゼ、又は他のイソメラーゼである。
【0018】
幾つかの実施形態では、リガーゼは、炭素−硫黄結合、炭素−窒素結合、炭素−炭素結合、リンエステル結合、又は窒素−金属結合を形成する。
【0019】
幾つかの実施形態では、輸送タンパク質は、アネキシン、ATP結合カセット・トランスポーター、ヘモグロビン、ATPアーゼ、カルシウム・チャンネル、カリウム・チャンネル、ナトリウム・チャンネル、又は溶質担体である。
【0020】
幾つかの実施形態では、貯蔵タンパク質には、アルブミン、ラクトグロブリン、カゼイン、オボムチン、フェリチン、ホスビチン、ラクトフェリン、又はビテロジェニンが含まれる。ある実施形態では、アルビミンには、アビディン、オバルブミン、血清アルブミン、パルブアルブミン、C反応性タンパク質、プレアルブミン、コンアルブミン、リシン、ラクトアルブミン、メトヘムアルブミン、又はトランスサイレチンが含まれる。
【0021】
幾つかの実施形態では、構造タンパク質には、アミロイド、コラーゲン、エラスチン、又はフィブリンが含まれる。
【0022】
ある実施形態では、タンパク質は、ウイルスタンパク質、バクテリアのタンパク質、又は無脊椎動物のタンパク質である。幾つかの実施形態では、タンパク質は、組み換えタンパク質である。ある実施形態では、タンパク質は、組み換えタンパク質である。ある実施形態では、組み換えタンパク質は、ヒトの組み換えタンパク質である。
【0023】
ある実施形態では、本発明は、インスリンタンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物を提供する。本明細書(実施例)に記載したように、そのような組成物は、インスリンの経口投与に有用であり、インスリンは活性状態を維持したまま腸から血流へと吸収される。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、酵素活性を有するタンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む組成物を提供する。
【0025】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインスリンは、ヒト・インスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、組み換えインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、組み換えのヒト・インスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、ウシのインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、ブタのインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、クジラのインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、インスリンの金属錯体(例えば、インスリンの亜鉛錯体、プロタミン亜鉛インスリン、グロビン亜鉛インスリン)である。
【0026】
他の実施形態では、前記インスリンは、レギュラー・インスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、即効性のインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、レンテインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、セミレンテインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、ウルトラレンテインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、NPHインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、グラルギンインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、リスプロインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、アスパルトインスリンである。他の実施形態では、前記インスリンは、上記のインスリンの2つ以上の組み合わせである。他の実施形態では、前記インスリンは、当該技術分野で公知の他の任意のインスリンである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0027】
ある実施形態では、本発明の方法及び組成物で使用されるインスリンの量は、ヒトにおいて0.5〜3単位(u)/kgである。ある実施形態では、本発明の方法及び組成物でのインスリンの測定に使用される単位は、USP(米国薬局方)インスリン単位である。
ある実施形態では、インスリンの測定に使用される単位は、ミリグラムである。他の実施形態では、1USPインスリン単位は、45.5mgのインスリンに相当する。
【0028】
他の実施形態では、前記インスリンの量は、0.1〜1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.2〜1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.3〜1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.5〜1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.1〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.2〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.3〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.5〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.7〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1.2〜2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜1.2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜1.5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜2.5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜3u/kgである。他の実施形態では、前記量は、2〜3u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1〜5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、2〜5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、3〜5u/kgである。
【0029】
他の実施形態では、前記インスリンの量は、0.1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.3u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.4u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.6u/kgである。他の実施形態では、前記量は、0.8u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1.2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1.4u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1.6u/kgである。他の実施形態では、前記量は、1.8u/kgである。他の実施形態では、前記量は、2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、2.2u/kgである。他の実施形態では、前記量は、2.5u/kgである。他の実施形態では、前記量は、3u/kgである。
【0030】
他の実施形態では、前記インスリンの量は、1〜10uである。他の実施形態では、前記量は、2〜10uである。他の実施形態では、前記量は、3〜10uである。他の実施形態では、前記量は、5〜10uである。他の実施形態では、前記量は、1〜20uである。他の実施形態では、前記量は、2〜20uである。他の実施形態では、前記量は、3〜20uである。他の実施形態では、前記量は、5〜20uである。他の実施形態では、前記量は、7〜20uである。他の実施形態では、前記量は、10〜20uである。他の実施形態では、前記量は、12〜20uである。他の実施形態では、前記量は、12〜20uである。他の実施形態では、前記量は、10〜12uである。他の実施形態では、前記量は、10〜15uである。他の実施形態では、前記量は、10〜25uである。他の実施形態では、前記量は、10〜30uである。他の実施形態では、前記量は、20〜30uである。他の実施形態では、前記量は、10〜50uである。他の実施形態では、前記量は、20〜50uである。他の実施形態では、前記量は、30〜50uである。他の実施形態では、前記量は、20〜100uである。他の実施形態では、前記量は、30〜100uである。他の実施形態では、前記量は、100〜150uである。他の実施形態では、前記量は、100〜250uである。他の実施形態では、前記量は、100〜300uである。他の実施形態では、前記量は、200〜300uである。他の実施形態では、前記量は、100〜500uである。他の実施形態では、前記量は、200〜500uである。他の実施形態では、前記量は、300〜500uである。他の実施形態では、前記量は、200〜1000uである。他の実施形態では、前記量は、300〜1000uである。
【0031】
他の実施形態では、前記インスリンの量は、1uである。他の実施形態では、前記量は、2uである。他の実施形態では、前記量は、3uである。他の実施形態では、前記量は、4uである。他の実施形態では、前記量は、5uである。他の実施形態では、前記量は、6uである。他の実施形態では、前記量は、8uである。他の実施形態では、前記量は、10uである。他の実施形態では、前記量は、12uである。他の実施形態では、前記量は、14uである。他の実施形態では、前記量は、16uである。他の実施形態では、前記量は、18uである。他の実施形態では、前記量は、20uである。他の実施形態では、前記量は、22uである。他の実施形態では、前記量は、25uである。他の実施形態では、前記量は、30uである。他の実施形態では、前記量は、50uである。他の実施形態では、前記量は、80uである。他の実施形態では、前記量は、100uである。他の実施形態では、前記量は、120uである。他の実施形態では、前記量は、140uである。他の実施形態では、前記量は、160uである。他の実施形態では、前記量は、180uである。他の実施形態では、前記量は、200uである。他の実施形態では、前記量は、300uである。他の実施形態では、前記量は、500uである。
【0032】
他の実施形態では、持続放出型の剤形(例えば、持続放出型のマイクロカプセル)を使用すると、治療頻度を1日当たり1回又は2回に減らすことができる。他の実施形態では、インスリンの投与量は、投与頻度の減少に応じて増加する。
【0033】
インスリンのそれぞれの量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0034】
インスリンのレベルを測定する方法は、当該技術分野で公知である。ある実施形態では、組み換えインスリンのレベルは、ヒト・インスリンの放射免疫測定(radio-immunoassay:RIA)キット(例えば、Linco Research Inc(St. Charles, Missour)製造のキット)を使用することで測定される。他の実施形態では、内因性及び外因性インスリンのインスリン・レベルの上昇に対する相対的な寄与を評価するために、Cペプチドのレベルも測定される。他の実施形態では、インスリンのELISAキットが使用される。他の実施形態では、インスリン・レベルは、当該技術分野で公知の他の任意の方法で測定される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0035】
幾つかの実施形態では、オメガ3脂肪酸は、植物源(チーアの種、エゴマの種、亜麻の種、クルミの種、スベリヒユの種、コケモモの種、サージの種、及び麻の種など)から得られる。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、ワカバキャベツヤシの果実にも含まれる。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、合成オメガ3脂肪酸の形で提供される。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のオメガ3脂肪酸は、魚油の形で組成物に提供される。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、菜種油の形で提供される。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、アマニ油の形で提供される。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、当該技術分野で公知の他の高オメガ3脂肪酸源の形で提供される。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、合成オメガ3脂肪酸の形で提供される。それぞれの形のオメガ3脂肪酸は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0036】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のオメガ3脂肪酸は、オメガ3ポリ不飽和脂肪酸である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、オメガ3不飽和及び22炭素の脂肪酸であるDHA(4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸とも呼ばれる)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、αリノレン酸(9,12,15−オクタデカトリエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、ステアリドン酸(6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、エイコサトリエン酸(ETA、11,14,17−エイコサトリエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、エイコサテトラエン酸(8、11、14、17−エイコサテトラエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、エイコサヘキサエン酸(「EPA」とも呼ばれる。5,7,9,11,14,17−エイコサヘキサエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、ドコサペンタエン酸(DPA、7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、テトラコサヘキサエン酸(6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸)である。他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸は、当該技術分野で公知の他の任意のオメガ3脂肪酸である。各オメガ3脂肪酸は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0037】
他の実施形態では、本発明に係る組成物は、プロテアーゼ阻害剤をさらに含む。本明細書で記載したように、プロテアーゼ阻害剤は、オメガ3脂肪酸がインスリンを保護する能力を高め、腸でのインスリンの吸収を促進する。
【0038】
幾つかの実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、ペプチダーゼの機能を阻害する。ある実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、オメガ3脂肪酸が本発明に係るタンパク質を保護する能力を高め、腸での前記タンパク質の吸収を促進する。幾つかの実施形態では、本発明に係るプロテアーゼ阻害剤は、タンパク質である。幾つかの実施形態では、プロテアーゼ阻害剤として、システイン・プロテアーゼ阻害剤、セリン・プロテアーゼ阻害剤(セルピン)、トリプシン阻害剤、スレオニン・プロテアーゼ阻害剤、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤がある。幾つかの実施形態では、プロテアーゼ阻害剤には、自殺型阻害剤、遷移状態阻害剤、又はキレート剤が含まれる。
【0039】
ある実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(soybean trypsin inhibitor:SBTI)である。他の実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤は、AEBSF−HClである。他の実施形態では、前記阻害剤は、(エピシロン)−アミノカプロン酸である。他の実施形態では、前記阻害剤は、(アルファ)1−抗キモトリプシンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、アンチパインである。他の実施形態では、前記阻害剤は、抗トロンビンIIIである。他の実施形態では、前記阻害剤は、(アルファ)1−抗トリプシン([アルファ]1−プロティナーゼ阻害剤)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ARMSF−HCl(4−アミジノフェニル−メタンスルホニルフルオリド)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、アプロチニンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、ベンズアミジン−HClである。他の実施形態では、前記阻害剤は、キモスタチンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、DFP(ジイソプロピルフルオロリン酸)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ロイペプチンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、PEFABLOC SC(登録商標)(4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、TLCK(1クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノンHCl)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、TPCK(1クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、卵白由来のトリプシン阻害剤(オボムコイド)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ダイズ由来のトリプシン阻害剤である。他の実施形態では、前記阻害剤は、アプロチニンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、イセチオン酸ペンタミジンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、ペプスタチンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、グアニジウムである。他の実施形態では、前記阻害剤は、アルファ2−マクログロブリンである。他の実施形態では、前記阻害剤は、亜鉛のキレート剤である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ヨード酢酸である。他の実施形態では、前記阻害剤は、亜鉛である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0040】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物で使用されるプロテアーゼ阻害剤の量は、0.1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤の量は、0.2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.4mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.6mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.8mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1.5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2.5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、7mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、12mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、15mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、70mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、100mg/投与単位である。
【0041】
他の実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤の量は、0.1〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤の量は、0.2〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.5〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.1〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.2〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.5〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は3〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、100〜200mg/投与単位である。
【0042】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物に使用されるプロテアーゼ阻害剤の量は、1000k.i.u.(カリクレイン不活性化単位(kallikrein inactivator units)/錠)である。他の実施形態では、前記量は、10k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、12k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、15k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、40k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、70k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、100k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、150k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、200k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、300k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、500k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、700k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1500k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3000k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、4000k.i.u./投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5000k.i.u./投与単位である。
【0043】
プロテアーゼ阻害剤の各量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0044】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のプロテアーゼ阻害剤の標的となるプロテアーゼは、セリンプロテアーゼである。他の実施形態では、前記プロテアーゼは、トリプシンである。他の実施形態では、前記プロテアーゼは、キモトリプシンである。他の実施形態では、前記プロテアーゼは、カルボキシペプチダーゼである。他の実施形態では、前記プロテアーゼは、アミノペプチダーゼである。他の実施形態では、前記プロテアーゼは、十二指腸及び小腸で作用する他の任意のプロテアーゼである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0045】
他の実施形態では、本発明に係る組成物は、腸の粘膜防壁からのインスリンの吸収を高める物質をさらに含む。そのような物質を、本明細書で「エンハンサー」と呼ぶことにする。本明細書に記載したように、オメガ3脂肪酸と共にエンハンサーを使用すると、腸によるインスリンの吸収が高まる。
【0046】
ある実施形態では、エンハンサーは、ジデカノイルホスファチジルコリン(didecanoylphosphatidylcholine:DDPC)である。ある実施形態では、エンハンサーは、エチレンジアミン4酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid:EDTA)、又はエグタズ酸(egtazic acid:EGTA)などのキレート剤である。好ましい実施形態では、EDTAは、EDTAナトリウムである。幾つかの実施形態では、エンハンサーは、NOドナーである。幾つかの実施形態では、エンハンサーは、胆汁酸、グリシン抱合型の胆汁酸、又は胆汁酸のアルカリ金属塩である。ある実施形態では、αガラクトシダーゼとβマンナナーゼとの組み合わせを使用することで、インスリンの吸収を高めることができる。幾つかの実施形態では、エンハンサーは、カプリン酸ナトリウムなどの脂肪酸である。ある実施形態では、エンハンサーは、グリココール酸ナトリウムである。ある実施形態では、エンハンサーは、サルチル酸ナトリウムである。ある実施形態では、エンハンサーは、n−ドデシル−β−D−マルトピラノシドである。幾つかの実施形態では、界面活性剤が吸収エンハンサーとして機能する。ある実施形態では、エンハンサーは、N,N,N−トリメチルキトサンクロライド(trimethyl chitosan chloride:TMC)である。
【0047】
ある実施形態では、本発明に係るNOドナーには、3−(2−ヒドロキシ−1−(1−メチルエチル)−2−ニトロソヒドラジノ)−1−プロパンアミン、N−エチル−2−(1エチル−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジノ)−エタンアミン、又はS−ニトロソ−N−アセチルペニシラミンが含まれる。
【0048】
他の実施形態では、前記胆汁酸は、コール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、ケノデオキシコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、タウロコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、タウロケノデオキシコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、グリココール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、グリコケノコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、3ベータ−モノ塩酸(3 beta-monohydroxychloric acid)である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、リトコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、5ベータ−コラン酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、3,12−ジオール−7−オン−5ベータ−コラン酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、3アルファ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、3ベータ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、12アルファ−3ベータ−ジヒドロコール酸である。他の実施形態では、前記胆汁酸は、ウルソデスオキシコール酸である。
【0049】
ある実施形態では、前記エンハンサーは、非イオン界面活性剤である。ある実施形態では、前記エンハンサーは、非イオン性ポリオキシエチレンエーテル界面活性剤(例えば、親水性・親油性バランス(HLB)が6〜19であり、オキシエチレンの平均単位が4〜30であるもの)である。他の実施形態では、前記エンハンサーは、陰イオン界面活性剤である。他の実施形態では、前記エンハンサーは、陽イオン界面活性剤である。他の実施形態では、前記エンハンサーは、両性界面活性剤である。ある実施形態では、アシルカルニチンなどの両性イオン界面活性剤が吸収エンハンサーとしての機能を果たす。
【0050】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物に使用されるエンハンサーの量は、0.1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記エンハンサーの量は、0.2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.4mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.6mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.8mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1.5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2.5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、7mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、12mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、15mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、70mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、100mg/投与単位である。
【0051】
他の実施形態では、前記エンハンサーの量は、0.1〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記エンハンサーの量は、0.2〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.5〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.5〜1mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.1〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.2〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.3〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、0.5〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜2mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5〜10mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、1〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、2〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、3〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、5〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜20mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50〜100mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、10〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、20〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、30〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、50〜200mg/投与単位である。他の実施形態では、前記量は、100〜200mg/投与単位である。
【0052】
各種類及び各量のエンハンサーは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0053】
他の実施形態では、本発明に係る組成物は、対象の胃で前記組成物が消化されるのを防止するコーティングをさらに含む。
【0054】
ある実施形態では、コーティングは、対象の胃で前記組成物が消化されるのを防止する。ある実施形態では、コーティングされた本発明の剤形は、pHがアルカリの領域に変わる際に薬剤を放出する。ある実施形態では、コーティングは、単分子層である。一方、他の実施形態では、コーティングは、多分子層である。ある実施形態では、コーティングは、選択的に腸粘膜に結合することによって付着部位で薬剤を放出する生体接着ポリマーである。ある実施形態では、腸溶コーティングは、腸溶膜コーティングである。幾つかの実施形態では、コーティングは、生体分解性の多糖、キトサン、水溶液、アクアコートECD、アゾポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、酢酸フタル酸ポリビニル、ヒドロゲル、Pulsincap(登録商標)、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、所望の放出部位及び/又は放出特性に応じてpH感受性コーティングが使用される(当業者であれば周知であろう)。
【0055】
ある実施形態では、前記コーティングは、腸溶コーティングである。腸溶コーティングは、当該技術分野では公知であり、例えば、「Blends of aqueous polymer dispersions used for pellet coating: importance of the particle size. J Control Release 2005; 105(3): 226-39(Siepmann F, Siepmann J et al.)」及び「In vitro evaluation of coating polymers for enteric coating and human ileal targeting. Int J Pharm 2005; 298(1): 26-37(Huyghebaert N, Vermeire A, Remon JP.)」に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0056】
他の実施形態では、アクリルポリマーであるEudragit(商標登録)が腸溶コーティングとして使用される。医薬組成物のためのアクリルポリマーの使用は、当該技術分野では公知である。Eudragitアクリルポリマーは、安全であり、且つ体内に吸収されること無く、又は体内で代謝されること無く排出されると知られている。
【0057】
他の実施形態では、前記コーティングは、ゼラチンコーティングである。他の実施形態では、インスリンが胃で分解されるのを防止するためにマイクロカプセル化技術が使用される。マイクロカプセル化のためにゼラチンコーティングを使用する方法は、当該技術分野で公知である。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0058】
他の実施形態では、前記コーティングは、フィルムコーティングである。他の実施形態では、前記コーティングは、エチルセルロースである。他の実施形態では、前記コーティングは、エチルセルロースの水性分散体(water based dispersion)である(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcelullose:HPMC)E15)。他の実施形態では、前記コーティングは、胃耐性である(カルボン酸基を官能基として含有するポリマー)。他の実施形態では、前記コーティングは、モノリシック・マトリックスである。他の実施形態では、前記コーティングは、セルロースエーテル(例えば、ヒプロメルロース(hypromellose:HPMC))である。各種類のコーティングは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0059】
他の実施形態では、胃で前記組成物が分解されるのを防止するために、複数の微粒子(multiparticulate)の剤形が使用される。
【0060】
胃での前記組成物の消化を防止する各種類のコーティング、剤形などは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、酵素活性を有するタンパク質を対象に経口投与し、且つ前記対象の腸粘膜防壁から吸収された後の前記タンパク質の大部分が酵素活性を維持する方法であって、前記対象に、前記タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含有する医薬組成物を経口投与する方法を提供する。
【0062】
ある実施形態では、前記タンパク質は、組み換えタンパク質である。ある実施形態では、前記タンパク質は、インスリンである。他の実施形態では、前記タンパク質は、インターフェロンガンマである。他の実施形態では、前記タンパク質は、インターフェロンアルファである。他の実施形態では、前記タンパク質は、成長ホルモンである。他の実施形態では、前記タンパク質は、エリスロポエチンである。他の実施形態では、前記タンパク質は、顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor:G−CSF)である。他の実施形態では、前記タンパク質は、当該技術分野で公知の他のタンパク質である。
【0063】
他の実施形態では、前記タンパク質は、成長ホルモンである。ある実施形態では、前記成長ホルモンは、ソマトトロピンである。他の実施形態では、前記成長ホルモンは、インスリン様成長(増殖)因子(Insulin Growth Factor-I:IGF−I)である。他の実施形態では、前記成長ホルモンは、当該技術分野で公知の他の成長ホルモンである。
【0064】
他の実施形態では、前記タンパク質の分子量(molecular weight:MW)は、1〜50キロダルトン(kDa)である。他の実施形態では、前記MWは、1〜45kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜40kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜35kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜30kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜25kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜20kDaである。他の実施形態では、前記MWは、10〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、15〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、20〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、25〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、30〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、35〜50kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜90kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜80kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜70kDaである。他の実施形態では、前記MWは、1〜60kDaである。他の実施形態では、前記MWは、10〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、15〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、20〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、25〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、30〜100kDaである。他の実施形態では、前記MWは、10〜80kDaである。他の実施形態では、前記MWは、15〜80kDaである。他の実施形態では、前記MWは、20〜80kDaである。他の実施形態では、前記MWは、25〜80kDaである。他の実施形態では、前記MWは、30〜80kDaである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0065】
他の実施形態では、前記MWは、20kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、25kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、30kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、35kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、40kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、45kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、50kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、55kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、60kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、65kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、70kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、75kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、80kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、85kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、90kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、95kDa未満である。他の実施形態では、前記MWは、100kDa未満である。
【0066】
上記の幾つかののたんぱく質の分子量は次の通りである。インスリンは6キロダルトン(kDa)、グルカゴンは3.5kDa、インターフェロンは28kDa、成長ホルモンは21.5〜47kDa、ヒト血清アルブミンは69kDa、エリスロポエチンは34kDa、G−CSFは30〜34kDaである。したがって、ある実施形態では、これらのタンパク質の分子量は、本発明の方法による投与に対して適切である。
【0067】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物は、ヒト血清アルブミンの投与に使用される。ある実施形態では、ヒト血清アルブミンは医薬的に有効な成分とは見なされないが、本発明において有効成分のための治療上有用な担体として使用することができる。
【0068】
各種類のタンパク質は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、対象における糖尿病を治療する方法であって、インスリンとオメガ3脂肪酸とを含有する医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含む方法を提供する。
【0070】
ある実施形態では、前記糖尿病はI型糖尿病である。他の実施形態では、前記糖尿病は、II型糖尿病である。他の実施形態では、前記糖尿病は、インスリン依存の糖尿病である。他の実施形態では、前記糖尿病は、非インスリン依存の糖尿病である。他の実施形態では、前記糖尿病は、当該技術分野で公知の他の種類の糖尿病である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0071】
ある実施形態では、本発明に係るインスリン組成物による治療は、1日に3回行われる。他の実施形態は、前記治療は、1日に4回行われる。他の実施形態は、前記治療は、1日に1回行われる。他の実施形態は、前記治療は、1日に4回以上行われる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0072】
様々な実施形態では、本発明の任意の方法においては、本発明の任意の組成物が使用される。
【0073】
他の実施形態では、本発明は、インスリンを経口投与するための組成物であって、インスリンタンパク質とオメガ3脂肪酸とを含有し、前記対象の腸粘膜防壁からの吸収後の前記インスリンの大部分が酵素活性を維持する組成物を提供する。
【0074】
他の実施形態では、本発明は、タンパク質を経口投与するための組成物であって、タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含有し、前記対象の腸粘膜防壁からの吸収後の前記タンパク質の大部分が酵素活性を維持する組成物を提供する。
【0075】
ある実施形態では、本発明は、酵素活性を有するタンパク質を対象に経口投与するための医薬を製造するためのタンパク質及びオメガ3脂肪酸の使用であって、前記対象の腸粘膜防壁からの吸収後の前記タンパク質の大部分が酵素活性を維持する使用を提供する。
【0076】
ある実施形態では、本発明は、対象における糖尿病を治療する医薬を製造するためのインスリンタンパク質及びオメガ3脂肪酸の使用を提供する。
【0077】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物は、膵臓からのインスリンの生理分泌をさらにうまく疑似するという利点を有する。インスリンが門脈に分泌されると、肝臓は末梢組織よりもさらに大量のインスリンに晒されることになる。同様に、本発明にしたがって投与されたインスリンは、腸に到達し、そこで体内に吸収され、門脈系を介して肝臓に吸収される。この吸収経路は、膵臓によるインスリンの生理的な分泌に類似する。したがって、この実施形態では、インスリンに制御される血中グルコースの濃度、並びに肝臓及び末梢組織の代謝活性の微妙な調節が可能となる。一方、インスリン欠乏の糖尿病患者にインスリンが末梢静脈系を介して投与されると、門脈におけるインスリンの濃度は末梢循環系のインスリン濃度と同じとなり、門脈及び肝臓で低インスリン血症が生じ、末梢静脈系で高インスリン血症が生じる。これは、ある実施形態では、異常なパターンのグルコース処理を引き起こす。
【0078】
他の実施形態では、本発明の異なる構成の組成物は、腸管腔から血流へと異なる速度で吸収される。胆汁酸の吸収は、ある実施形態では、インスリンの吸収よりも著しく速い。
【0079】
そのため、他の実施形態では、間隔を置きながら一組の錠剤を摂取する投薬計画では、例えば、最初の錠剤を摂取した後の所定の間隔(例えば、30分間)でより高濃度エンハンサーを含む第2の錠剤を摂取する。他の実施形態では、系へのインスリンの吸収を促進するために、所定の構成物がマイクロカプセル化される。
【0080】
ある実施形態では、本発明の治療プロトコールは、治療するためのものである。他の実施形態では、前記プロトコールは、予防するためのものである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0081】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物に使用される固形担体/希釈剤として、それらに限定されるものではないが、例えば、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、予めゲル化された(pregeletanized)デンプン)、糖(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖)、セルロース系材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、又はこれらの混合物がある。
【0082】
他の実施形態では、前記組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、種々のpH及びイオン強度の緩衝液(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面吸収(absorption to surfaces)を予防するためのアルブミン又はゼラチンのような添加物、洗剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度増加剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、被覆及び膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩)、及び/又はアジュバントをさらに含む。上記の各賦形剤は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0083】
幾つかの実施形態では、本発明に係る剤形は、即時型の放出特性、持続型の放出特性、又は遅延型の放出特性を示すように構成されている。幾つかの実施形態では、組成物の放出特性は、例えば結合剤、崩壊剤、充填剤、又はコーティング剤として働く特定の賦形剤を使用することによって決まる。ある実施形態では、当業者に周知なように、前記組成物は、特定の放出特性を示すように構成される。
【0084】
ある実施形態では、前記組成物は、経口投与用剤形として構成されている。ある実施形態では、前記組成物は、錠剤、チュアブル錠剤、又はカプセルを含む固形の経口投与用剤形として構成されている。ある実施形態では、前記カプセルは、軟ゼラチンカプセルである。
【0085】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物に使用される制御放出型又は持続放出型のコーティングとしては、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)の製剤が挙げられる。
【0086】
他の実施形態においては、前記組成物では、ポリアクチン酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル等のようなポリマー化合物の粒子状製剤中に若しくはその上に、またはリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単膜若しくは多重膜リポソーム、赤血球ゴースト、若しくはスフェロプラスト上に有効物質が取り込まれている。このような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボ放出の速度、及びインビボクリアランスの速度に影響を与えるであろう。他の実施形態では、有効成分の粒子状組成物は、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)でコーティングされている。
【0087】
他の実施形態では、インスリン及びオメガ3脂肪酸を含む組成物は、小胞(例えば、リポソーム)中で送達される(Langer, Science 249:1527-1533 (1990)、Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989)、Lopez-Berestein, ibid., pp. 317-327;一般に同書を参照されたい)。
【0088】
有効成分を含有する医薬組成物の作成(例えば混合、整粒、又は錠剤形成プロセスによる作成)は、当該技術分野で公知である。治療効果を有する成分は、通常、医薬的に許容でき、且つ有効成分と適合する賦形剤と混合される。経口投与においては、本発明に係る組成物の有効成分は、混合のために慣例的に使用される添加物(賦形剤、安定剤、又は不活性希釈剤)と混合され、従来の方法で投与に適した形態(錠剤、硬若しくは軟ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール若しくは油性溶液など)に変形される。
【0089】
上記のそれぞれの添加剤、賦形剤、製剤、及び投与方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0090】
ある実施形態では、「治療」は、疾患が治癒するようにすることを意味する。他の実施形態では、「治療」は、疾患の発生率を減少させることを意味する。他の実施形態では、「治療」は、疾患の症状を改善することを意味する。他の実施形態では、「治療」は、寛解を誘発することを意味する。他の実施形態では、「治療」は、疾患の進行を遅らせることを意味する。
【実施例】
【0091】
≪実施例1:プロテアーゼからのインスリンの保護、及び犬の十二指腸を介した投与の成功≫
【0092】
<材料及び実験方法>
【0093】
製剤:
【0094】
100ミリグラム(mg)のEDTA(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)と、100mgのダイズトリプシン阻害剤(SBTI、Sigma)と、2ミリリットル(ml)の魚油に溶解した5mgのインスリン(組み換え型の結晶)とを含有する製剤を投与日に作成し、透明なゼラチンカプセル内に挿入した。
【0095】
<結果>
【0096】
インスリンがプロテアーゼから保護されて十二指腸から吸収されるか否かを検査するために、インスリンとSBTIとEDTAと魚油とを含有する組成物を作成し、8.8kgのビーグル犬の十二指腸に直接投与した。投与後、10分ごとに血中グルコースのレベルを測定した。下記の表1に示されているように、血中グルコースのレベルは、インスリンに応答して著しく低下した。
【0097】
したがって、オメガ3脂肪酸を含有する組成物は、小腸のプロテアーゼからインスリンを保護することができ、経口投与されたインスリンの直接吸収を可能にする。
【0098】
表1.実験1においてインスリンを十二指腸に投与した後の血中グルコース濃度

【0099】
≪実施例2≫
【0100】
<材料及び実験方法>
【0101】
製剤:
【0102】
投与の4日前に、125mgのEDTAと、100mgのSBTIと、5mgインスリン含有の2mlの魚油とをゼラチンカプセルに含む製剤を作成した。投与するときまでにこの製剤を冷蔵庫(4℃)で保存した。
【0103】
<結果>
【0104】
この実験では、投与の4日前に、SBTIとEDTAと魚油とを含む製剤を作成し、9.0kgのビーグル犬の十二指腸に直接投与した。下記の表2に示されているように、血中グルコースのレベルは、インスリンに応答して著しく低下した。
【0105】
これらの結果は、実施例1の結果を確証するものであり、オメガ3脂肪酸を含む組成物が小腸内のプロテアーゼからインスリンを保護し、経口投与されたインスリンの直接吸収を可能にすることを示す。また、これらの結果は、本発明に係る組成物が調製後に効能を失うこと無く保存可能であることを示す。
【0106】
表2.実験2においてインスリンを十二指腸に投与した後の血中グルコース濃度

【0107】
≪実施例3:インスリンとオメガ3脂肪酸とを含有する錠剤の投与≫
【0108】
錠剤コアの作成
【0109】
当該技術分野で公知の方法を使用してインスリン及びオメガ3脂肪酸を含む錠剤コアを作成した。錠剤コアは、例えば、実施例1の記載にしたがって作成してもよい。
【0110】
コーティング:
【0111】
コーティングは、当該技術分野で公知の如何なる遅延放出型コーティングであってもよい。コーティングは、例えば、下記の成分から成るポリマーであってもよい。
−4mgのEudragit L-100(アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー)
−4mgのタルクNF
−0.4mgのポリエチレングリコール6000NF
【0112】
ある実施形態では、腸溶コーティング・ポリマーの溶液は、前記ポリマーを塩化メチレンとイソプロピルアルコールとの混合物に溶解することで作成した。軽く温めたジャーに入ったこのポリマーを絶えず振りながら錠剤に噴射して錠剤をコーティングした。溶媒の蒸気を絶えず吸引した。
【0113】
対象の血漿中における組み換えインスリンのレベル及び活性の測定:
【0114】
ヒト・インスリンの放射免疫測定(radio-immunoassay:RIA)キット(Linco Research inc. St. Charles, Missouri)を使用して組換え型のインスリンのレベルを測定した。観察されたインスリン・レベルの上昇に対する内因性及び外因性インスリンの寄与を評価するために、Cペプチドのレベルも同様に測定した。
【0115】
<結果>
【0116】
魚油に溶解したEDTAとSBTIとインスリンとの混合物を、腸溶コーティング又はゼラチンコーティングでコーティングされた錠剤又はカプセルコア状に調剤し、ヒトに投与した。前の実施例で説明したように対象の血中グルコースのレベルを定期的に測定した。また、対象の血漿における組換え型インスリンのレベル及びその活性を検査した。その結果、コーティングされた錠剤によって有効なインスリンが対象の体内にうまく送達され、インスリンによって対象の血中グルコースのレベルが著しく低下することが確認された、これは、有効なインスリンを、経口投与を介して血流に送達することができることを示す。最も優れたインスリンの送達を可能にするコーティングを決定するために、異なる種類の市販の遅延放出型コーティングを調べ、そのコーティングを次の実施例に使用した。
【0117】
≪実施例4:オメガ3脂肪酸源の最適化≫
【0118】
本発明に係る方法及び組成物において、口頭投与後のインスリンを維持する能力に関して様々なオメガ3脂肪酸又はオメガ3脂肪酸源(例えば、本明細書の上記のもの)を比較した。魚油の代わりに他の液体にインスリンを溶解した点を除いて、上記の実施例に記載したようにインスリン錠剤又はカプセルを作成した。最も有効なオメガ3脂肪酸源を次の実施例に使用した。
【0119】
≪実施例5:プロテアーゼ阻害剤の最適化≫
【0120】
本発明に係る方法及び組成物において、口頭投与後のインスリンを維持する能力に関して様々なプロテアーゼ阻害剤(例えば、無毒性又は許容できる毒性プロフィールを有するもの(例えば、本明細書の上記のもの))を比較した。SBTIの代わりに他のプロテアーゼ阻害剤を使用した点を除いて、上記の実施例に記載したようにインスリン錠剤又はカプセルを作成した。また、プロテアーゼ阻害剤の量をも変えて最適な量を決めた。最も有効なプロテアーゼ阻害剤/量を次の実施例に使用した。
【0121】
≪実施例6:エンハンサーの最適化≫
【0122】
本発明に係る方法及び組成物において、口頭投与後のインスリンの吸収を促進する能力に関して様々なエンハンサー(例えば、本明細書の上記のもの)を比較した。EDTAの代わりに他のエンハンサーを使用した点を除いて、上記の実施例に記載したようにインスリン錠剤又はカプセルを作成した。エンハンサーの量をも変えて最適な量を決めた。最も有効なエンハンサー/量を次の実施例に使用した。
【0123】
≪実施例7:インスリンの種類及び量の最適化≫
【0124】
本発明に係る方法及び組成物において、血糖を調節する能力に関して様々な種類及び量のインスリン(例えば、本明細書の上記のもの)を比較した。インスリンの種類及び量を変えた点を除いて、上記の実施例に記載したようにインスリン錠剤又はカプセルを作成した。最も有効な種類/量のインスリンを臨床試験に使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
最大100000ダルトンの分子量のタンパク質とオメガ3脂肪酸とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
実施例1に記載の組成物であって、
前記タンパク質は、インスリンであることを特徴とする組成物。
【請求項3】
実施例1に記載の組成物であって、
前記オメガ3脂肪酸は、魚油由来であることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、
プロテアーゼ阻害剤をさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、
前記阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)であることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の組成物であって、
前記阻害剤は、AEBSF−HCl、(エプシロン)−アミノカプロン酸、(アルファ)1−抗キモトリプシン、アンチパイン、抗トロンビンIII、(アルファ)1−抗トリプシン([アルファ]1−プロテイナーゼ阻害剤)、APMSF−HCl(4−アミジノフェニル−メタンスルホニルフルオリド)、ベンズアミジン−HCl、キモスタチン、DEP(ジイソプロピルフルオロリン酸)、ロイペプチン、PEFABLOC SC(登録商標)(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド)、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、TLCK(1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノンHCl)、TPCK(1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン)、卵白由来のトリプシン阻害剤(オボムコイド)、ダイズ由来のトリプシン阻害剤、アプロチニン、イセチオン酸ペンタミジン、ペプスタチン、グアニジウム、アルファ2−マクログロブリン、亜鉛のキレート剤、ヨード酢酸、又は亜鉛であることを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項4に記載の組成物であって、
前記プロテアーゼは、セリンプロテアーゼであることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項4に記載の組成物であって、
前記プロテアーゼは、トリプシンであることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、
腸の粘膜防壁からの前記インスリンタンパク質の吸収を促進する物質をさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物であって、
前記物質は、EDTAであることを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の組成物であって、
前記物質は、胆汁酸又は胆汁酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物であって、
前記胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコール酸、グリコケノコール酸、3ベータ−モノヒドロキシコール酸、リトコール酸、3アルファ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、3ベータ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、12アルファ−3ベータ−ジヒドロコール酸、又はウルソデスオキシコール酸であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物であって、
対象の胃における当該組成物の消化を阻害するコーティングをさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物であって、
前記コーティングは、腸溶コーティング又はゼラチンコーティングであることを特徴とする組成物。
【請求項15】
最大100000ダルトンの分子量を有するタンパク質を経口投与し、且つ前記タンパク質の大部分が前記対象の腸粘膜防壁から吸収された後も活性を保持する方法であって、
前記タンパク質とオメガ3脂肪酸とを含む医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記タンパク質は、酵素であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記タンパク質は、インスリンであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記タンパク質は、グルカゴン、インターフェロンガンマ、インターフェロンアルファ、成長ホルモン、エリスロポエチン、又は顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)であることを特徴とすることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、
前記タンパク質は、1〜50キロダルトンの分子量を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記タンパク質は、受容体リガンド、輸送タンパク質、貯蔵タンパク質、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法であって、
前記組成物は、魚油由来のオメガ3脂肪酸をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項15に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、プロテアーゼ阻害剤をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、
前記阻害剤は、AEBSF−HCl、(エプシロン)−アミノカプロン酸、(アルファ)1−抗キモトリプシン、アンチパイン、抗トロンビンIII、(アルファ)1−抗トリプシン([アルファ]1−プロテイナーゼ阻害剤)、APMSF−HCl(4−アミジノフェニル−メタンスルホニルフルオリド)、ベンズアミジン−HCl、キモスタチン、DEP(ジイソプロピルフルオロリン酸)、ロイペプチン、PEFABLOC SC(登録商標)(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド)、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、TLCK(1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノンHCl)、TPCK(1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン)、卵白由来のトリプシン阻害剤(オボムコイド)、ダイズ由来のトリプシン阻害剤、アプロチニン、イセチオン酸ペンタミジン、ペプスタチン、グアニジウム、アルファ2−マクログロブリン、亜鉛のキレート剤、ヨード酢酸、又は亜鉛であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、
前記プロテアーゼは、セリンプロテアーゼであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、
前記プロテアーゼは、トリプシンであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項15に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、腸の粘膜防壁からの前記タンパク質の吸収を促進する物質をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記物質は、EDTAであることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、
前記物質は、胆汁酸又は胆汁酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
前記胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコール酸、グリコケノコール酸、3ベータ−モノヒドロキシコール酸、リトコール酸、3アルファ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、3ベータ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、12アルファ−3ベータ−ジヒドロコール酸、又はウルソデスオキシコール酸であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項15に記載の方法であって、
前記組成物は、対象の胃における前記組成物の消化を阻害するコーティングをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求31に記載の方法であって、
前記コーティングは、腸溶コーティング又はゼラチンコーティングであることを特徴とする方法。
【請求項33】
対象における糖尿病を治療するための方法であって、
インスリンとオメガ3脂肪酸とを含む医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、
前記組成物は、魚油由来のオメガ3脂肪酸をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、プロテアーゼ阻害剤をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であって、
前記阻害剤は、AEBSF−HCl、(エプシロン)−アミノカプロン酸、(アルファ)1−抗キモトリプシン、アンチパイン、抗トロンビンIII、(アルファ)1−抗トリプシン([アルファ]1−プロテイナーゼ阻害剤)、APMSF−HCl(4−アミジノフェニル−メタンスルホニルフルオリド)、ベンズアミジン−HCl、キモスタチン、DEP(ジイソプロピルフルオロリン酸)、ロイペプチン、PEFABLOC SC(登録商標)(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド)、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、TLCK(1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノンHCl)、TPCK(1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン)、卵白由来のトリプシン阻害剤(オボムコイド)、ダイズ由来のトリプシン阻害剤、アプロチニン、イセチオン酸ペンタミジン、ペプスタチン、グアニジウム、アルファ2−マクログロブリン、亜鉛のキレート剤、ヨード酢酸、又は亜鉛であることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法であって、
前記プロテアーゼは、セリンプロテアーゼであることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項35に記載の方法であって、
前記プロテアーゼは、トリプシンであることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項33に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、腸の粘膜防壁からの前記インスリンタンパク質の吸収を促進する物質をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、
前記物質は、EDTAであることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、
前記物質は、胆汁酸又は胆汁酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、
前記胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコール酸、グリコケノコール酸、3ベータ−モノヒドロキシコール酸、リトコール酸、3アルファ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、3ベータ−ヒドロキシ−12−ケトコール酸、12アルファ−3ベータジヒドロコール酸、又はウルソデスオキシコール酸であることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項33に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、対象の胃における前記組成物の消化を阻害するコーティングをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項41に記載の方法であって、
前記コーティングは、腸溶コーティング又はゼラチンコーティングであることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2009−507067(P2009−507067A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529778(P2008−529778)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001019
【国際公開番号】WO2007/029238
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508070367)オーラメッド・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ORAMED PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】c/o Nadav Kidron, 2 Elza Street, 93706 Jerusalem, Israel
【Fターム(参考)】