説明

タンパク質キナーゼの阻害剤としての置換ピリミジンおよびピリミジン誘導体を調製する方法

【課題】三置換または四置換ピリミジン誘導体を大量に調製するのに容易に使用できる
合成方法を提供すること。また、最小限の工程を使用しかつ容易に入手できる出発物質お
よび簡単な反応媒体を利用する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、三置換および四置換ピリミジンを調製する容易な方法を提供す
る。この方法は、タンパク質キナーゼ(特に、Auroraキナーゼ)の阻害剤を調製す
るのに有用である。これらの阻害剤は、Auroraが媒介する疾患または病気を治療す
るかその重症度を軽減するのに有用である。本発明は、患者における癌を処置する方法を
提供し、該方法は、該患者に、式Vの化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含
する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年6月20日に出願された米国仮特許出願第60/390,658号
および2002年9月18日に出願された米国仮特許出願第60/411,609号から
優先権を主張しており、それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、置換ピリミジンを調製する容易な方法を提供する。この方法は、タンパク質
キナーゼ(特に、FLT−3のタンパク質キナーゼおよびAurora系統タンパク質キ
ナーゼ、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ)の阻害剤を調製するのに有用である。
本発明はまた、FLT−3、Aurora−1、Aurora−2およびAurora−
3タンパク質キナーゼの阻害剤、およびそれらの組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新しい治療剤の研究は、近年、標的疾患に関連した酵素および他の生体分子の構造をよ
く理解することにより、非常に促進されている。広範囲な研究の対象となっている1つの
重要な種類の酵素には、タンパク質キナーゼがある。
【0004】
タンパク質キナーゼは、細胞内の情報伝達を媒介する。それらは、ヌクレオシド三リン
酸から情報伝達経路に関与しているタンパク質へのホスホリルの移動に影響を与えること
により、これを行う。そこを通って細胞外および他の刺激による種々の細胞応答が細胞の
内側で起こるようにする多数のキナーゼおよび経路が存在している。このような刺激の例
には、環境および化学ストレス信号(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射
、菌体内毒素およびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−
1)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α))、成長因子(例えば、顆粒球マクロフ
ァージコロニー刺激因子(GM−CSF)および線維芽細胞成長因子(FGF))が挙げ
られる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、
筋肉の収縮、グルコースの代謝、タンパク質合成の抑制および細胞分裂周期の調節に関連
した1種またはそれ以上の細胞応答に影響し得る。
【0005】
多くの疾患状態は、タンパク質キナーゼ媒介事象により誘発される異常な細胞応答に関
連している。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症疾患、骨疾患、代謝疾患、神経疾患
および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病および
ホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学において、治療薬として有効なタン
パク質キナーゼ阻害剤を発見する相当な努力がなされている。
【0006】
セリン/トレオニンキナーゼのAuroraファミリーは、細胞増殖に必須である[B
ischoff,J.R.およびPlowman,G.D.(The Aurora/I
pl1p kinase family:regulators of chromos
ome segregation and cytokinesis)Trends i
n Cell Biology 9,454−459(1999);Giet,R.およ
びPrigent,C.(Aurora/Ipl1p−related kinases
, a new oncogenic family of mitotic seri
ne−threonine kinases)Journal of Cell Sci
ence 112,3591−3601(1999);Nigg,E.A.(Mitot
ic kinases as regulators of cell divisio
n and its checkpoints)Nat.Rev.Mol.Cell B
iol.2,21−32(2001);Adams,R.R,Carmena,M.,お
よびEarnshaw,W.C.(Chromosomal passengers a
nd the(aurora)ABCs of mitosis)Trends in
Cell Biology 11,49−54(2001)]。従って、Auroraキ
ナーゼファミリーの阻害剤は、全ての腫瘍型の増殖をブロックする能力を有する。
【0007】
3つの公知の哺乳動物ファミリーメンバーであるAurora−A(「1」)、B(「
2」)およびC(「3」)は、染色体分離、有糸分裂紡錘体機能および細胞質分裂に応答
性の、高度に相同なタンパク質である。Aurora発現は、休止細胞においては低いか
または検出不能であり、細胞の周期におけるG2期および有糸分裂期の間にピークになる
発現および活性を有する。哺乳動物細胞において、Auroraの基質として提唱された
ものとしては、ヒストンH3(染色体凝縮に関するタンパク質)、およびCENP−A、
ミオシンII調節性軽鎖、タンパク質ホスファターゼ1、TPX2(これら全ては細胞分
裂に必要である)が挙げられる。
【0008】
1997年に発見されて以来、哺乳動物Auroraキナーゼファミリーは、腫瘍形成
と密接に関連付けられてきた。これに関する最も強力な証拠は、Aurora−Aの過剰
発現が、げっ歯類の線維芽細胞を形質転換させることである(Bischoff,J.R
.ら,A homologue of Drosophila aurora kina
se is oncogenic and amplified in human c
olorectal cancers.EMBO J.17,3052−3065(19
98))。このキナーゼを上昇したレベルで有する細胞は、多くの中心体および多極紡錘
体を含み、そして急速に異数体になる。Auroraキナーゼの腫瘍形成活性は、おそら
くこのような遺伝的不安定性の誘発と関連付けられる。実際、哺乳動物の胃腫瘍において
、aurora−A遺伝子座の増幅と染色体不安定性との相関関係が、観察されている(
Miyoshi,Y.,Iwao,K.,Egawa,C.およびNoguchi,S.
Association of centrosomal kinase STK15/
BTAK mRNA expression with chromosomal in
stability in human breast cancers.Int.J.
Cancer 92,370−373(2001).(Sakakura,C.ら Tu
mor−amplified kinase BTAK is amplified a
nd overexpressed in gastric cancers with
possible involvement in aneuploid forma
tion.British Journal of Cancer 84,824−83
1(2001))。Auroraキナーゼは、広範な範囲のヒト腫瘍において過剰発現さ
れることが報告されている。Aurora−Aの上昇した発現は、50%を超える結腸直
腸腫瘍(Bischoff,J.R.ら,A homologue of Drosop
hila aurora kinase is oncogenic and ampl
ified in human colorectal cancers.EMBO J
.17,3052−3065(1998))(Takahashi,T.ら,Centr
osomal kinases,HsAIRk1 and HsAIRK3,are o
verexpressed in primary colorectal cance
rs.Jpn.J.Cancer Res.91,1007−1014(2000))、
卵巣腫瘍(Gritsko,T.M.ら,Activation and overex
pression of centrosome kinase BTAK/Auror
a−A in human ovarian cancer.Clinical Can
cer Research 9,1420−1426(2003))、および胃腫瘍(S
akakura,C.ら,Tumor− amplified kinase BTAK
is amplified and overexpressed in gastr
ic cancers with possible involvement in
aneuploid formation.British Journal of C
ancer 84,824−831(2001))、ならびに乳房の侵襲性の腺管癌の9
4%(Tanaka,T.ら,Centrosomal kinase AIK1 is
overexpressed in invasive ductal carcin
oma of the breast.Cancer Research.59,204
1−2044(1999))において検出されている。高レベルのAurora−Aはま
た、腎腫瘍細胞株、子宮頚腫瘍細胞株、神経芽腫細胞株、黒色腫細胞株、リンパ腫細胞株
、膵臓腫瘍細胞株および前立腺腫瘍細胞株においても報告されている(Bischoff
,J.R.ら,A homologue of Drosophila aurora
kinase is oncogenic and amplified in hum
an colorectal cancers.EMBO J.17,3052−306
5(1998)(Kimura,M.,Matsuda,Y.,Yoshioka,T.
およびOkano,Y.Cell cycle−dependent expressi
on and centrosomal localization of a thi
rd human Aurora/Ipl1−related protein kin
ase,AIK3.Journal of Biological Chemistfy
274,7334−7340(1999))(Zhouら,Tumour ampli
fiec kinase STK15/BTAK induces centrosom
e amplification,aneuploidy and transform
ation Nature Genetics 20:189−193(1998))(
Liら,Overexpression of oncogenic STK15/BT
AK/Aurora−A kinase in human pancreatic c
ancer Clin Cancer Res.9(3):991−7(2003))。
Aurora−Aの増幅/過剰発現は、ヒト膀胱癌において観察され、そしてAuror
a−Aの増幅は、異数性および攻撃的臨床行動に関連する(Sen S.ら Ampli
fication/overexpression of a mitotic kin
ase gene in human bladder cancer J Natl
Cancer Inst.94(17):1320−9(2002))。さらに、aur
ora−A遺伝子座(20q13)の増幅は、結節陰性乳癌(node−negativ
e breast cancer)を有する患者の悪い予後と相関する(Isola,J
.J.ら Genetic aberrations detected by com
parative genomic hybridization predict o
utcome in node−negative breast cancer.Am
erican Journal of Pathology 147,905−911(
1995))。Aurora−Bは、白血病性細胞を含む複数のヒト腫瘍細胞株において
高度に発現される(Katayamaら Human AIM−1:cDNA clon
ing and reduced expression during endomi
tosis in megakaryocyte−lineage cells.Gen
e 244:1−7))。この酵素のレベルは、原発性直腸結腸癌のDuke’s段階の
関数として上昇する(Katayama,H.ら Mitotic kinase ex
pression and colorectal cancer progressi
on.Journal of the National Cancer Instit
ute 91,1160−1162(1999))。通常、生殖細胞でのみ見出されるA
urora−Cもまた、原発性直腸結腸癌および種々の腫瘍細胞株(子宮頚腺癌腫細胞お
よび乳癌腫細胞が挙げられる)において高い割合で過剰発現される(Kimura,M.
,Matsuda,Y.,Yoshioka,T.およびOkano,Y.,Cell
cycle−dependent expression and centrosom
al localization of a third human Aurora/
Ipl1−related protein kinase,AIK3.Journal
of Biological Chemistry 274,7334−7340(1
999)(Takahashi,T.,ら,Centrosomal kinases,
HsAIRkI and HsAIRK3, are overexpressed i
n primary colorectal cancers.Jpn.J.Cance
r Res.91,1007−1014(2000))。
【0009】
Auroraキナーゼの公知の機能に基づき、その活性の阻害は、有糸分裂を破壊させ
、細胞周期の停止をもたらす。従って、インビボにおいて、Aurora阻害剤は、腫瘍
増殖の速度を下げ、そして退縮を誘導する。
【0010】
全てのAuroraファミリーメンバーの上昇したレベルは、広範な種々の腫瘍細胞株
において観察される。Auroraキナーゼは、多くのヒト腫瘍において過剰発現され、
そしてこれは、哺乳動物腫瘍における染色体不安定性に関連することが報告されている(
Miyoshiら 2001 92,370−373)。
【0011】
Aurora−2は、ヒト腫瘍細胞株において高度に発現され、レベルが原発性直腸結
腸癌のDuke’s段階の関数として上昇する[Katayama,H.ら(Mitot
ic kinase expression and colorectal canc
er progression)Journal of the National C
ancer Institute 91,1160−1162(1999)]。Auro
ra−2は、有糸分裂の間、染色体の正確な分離の制御において役割を果たす。細胞周期
の誤った調節は、細胞増殖および他の異常に導き得る。ヒト結腸癌組織において、Aur
ora−2タンパク質は、過剰発現されることが見出されている[Bischoffら,
EMBO J.,17,3052−3065(1998);Schumacherら,J
. Cell Biol.,143,1635−1646(1998);Kimuraら
,J.Biol.Chem.,272,13766−13771(1997)]。Aur
ora−2は、形質転換細胞の大部分で過剰発現される。Bischoffらは、肺腫瘍
、結腸腫瘍、腎腫瘍、黒色腫および乳房腫瘍に由来する細胞株の96%において、高レベ
ルのAurora−2を見出した(Bischoffら EMBO J.1998 17
,3052−3065)。2つの大規模な研究が、結腸直腸腫瘍における54%および6
8%(Bishoffら,EMBO J.1998 17,3052−3065)(Ta
kahashiら 2000 Jpn J Cancer Res.91,1007−1
014)および乳房の侵襲性腺管癌の94%(Tanakaら 1999 59,204
1−2044)において、上昇したAurora−2を示した。
【0012】
Aurora−1発現は、結腸、乳房、肺、黒色腫、腎臓、卵巣、膵臓、CNS、胃の
腫瘍および白血病に由来する細胞株において上昇する(Tatsukaら 1998 5
8,4811−4816)。
【0013】
高レベルのAurora−3は、幾つかの腫瘍細胞株において検出されているが、これ
は正常細胞における精巣に制限される(Kimuraら 1999 274,7334−
7340)。高い割合(c.50%)の結腸直腸癌でのAurora−3過剰発現もまた、
述べられている(Takahashiら 2000 Jpn J Cancer Res
.91,1007−1014)。対照的に、Auroraファミリーは、分裂細胞の高い
割合を有する組織(例えば、胸腺および精巣)を除く正常組織の大部分で低レベルで発現
される(Bischoffら EMBO J.1998 17,3052−3065)。
【0014】
Auroraキナーゼが増殖性障害において果たす役割のさらなる総説については、B
ischoff,J.R.およびPlowman,G.D.(The Aurora/I
pl1p kinase family:regulators of chromos
ome segregation and cytokinesis)Trends i
n Cell Biology 9,454−459(1999);Giet,R.およ
びPrigent,C.(Aurora/Ipl1p−related kinases
,a new oncogenic family of mitotic serin
e−threonine kinases)Journal of Cell Scie
nce 112,3591−3601(1999);Nigg,E.A.(Mitoti
c kinases as regulators of cell division
and its checkpoints)Nat.Rev.Mol.Cell Bi
ol.2,21−32(2001);Adams,R.R,Carmena,M.,およ
びEarnshaw,W.C.(Chromosomal passengers an
d the(aurora) ABCs of mitosis)Trends in
Cell Biology 11,49−54(2001);ならびにDutertre
,S.,Descamps,S.,およびPrigent,P.(On the rol
e of aurora−A in centrosome function)Onc
ogene 21,6175−6183(2002)を、参照のこと。
【0015】
III型レセプターチロシンキナーゼであるFlt3は、造血細胞および非造血細胞の
維持、増殖および発生において、重要な役割を果たす[Scheijen:B,Grif
fin JD,Oncogene,2002,21:3314−3333およびReil
ly,JT,British Journal of Haematology,200
2,116,744−757]。FLT−3は、幹細胞/初期前駆体細胞プールの維持、
および成熟リンパ球および骨髄性細胞の発生を調節する[Lyman,S,Jacobs
en,S,Blood,1998,91,1101−1134]。FLT−3は、レセプ
ターのリガンド媒介性二量体化の際に活性化される内因性キナーゼドメインを含む。活性
化において、キナーゼドメインは、レセプターの自己リン酸化および増殖、分化および生
存に導く活性化シグナルの伝播を助ける種々の細胞質タンパク質のリン酸化を誘導する。
FLT−3レセプターシグナル伝達の下流調節因子の一部には、PLCγ、PI3−キナ
ーゼ、Grb−2、SHIPおよびSrc関連キナーゼが含まれる[Scheijen,
B,Griffin JD,Oncogene,2002,21,3314−3333]
。FLT−3キナーゼは、種々の造血性悪性疾患および非造血性悪性疾患において役割を
果たす。FLT−3のリガンド非依存性活性化を誘導する変異は、急性骨髄性白血病(A
ML)、急性リンパ性白血病(ALL)、肥満細胞症および消化管間質腫瘍(GIST)
に関係している。これらの変異としては、キナーゼドメインにおける1アミノ酸変異また
は内部タンデム重複、点変異またはレセプターの膜近傍領域のインフレーム欠失が挙げら
れる。突然変異の活性化に加え、過剰発現された野生型FLT−3のリガンド依存性(オ
ートクラインまたはパラクライン)刺激が、悪性の表現型に寄与する[Scheijen
,B,Griffin JD,Oncogene,2002,21,3314−3333
]。Sawyer,C.1.(Finding the next Gleevec:F
LT3 targeted kinase inhibitor therapy fo
r acute myeloid leukaemia)Cancer Cell.1,
413−415(2002)もまた、参照のこと。
【0016】
キナーゼ阻害剤として有用な三置換または四置換ピリミジン誘導体は、当該技術分野で
公知である。典型的には、これらのピリミジン誘導体は、以下で示すように、2,4,6
−または2,4,5,6−置換されている:
【0017】
【化3】


このようなピリミジン誘導体を調製する公知方法は、多くの合成的欠点(例えば、その
2位置、4位置または6位置で高収率で位置選択的に置換基を導入する性能に欠けること
)を有する。M.Botta,Nucleosides Nucleotides,13
,8,1994,1769−78;M.Ban,Bioorg.Med.Chem.,6
,7,1998,1057−68;Y.Fellahi,Eur.J.Med.Chem
.Chim.Ther.,31,1,1996,77−82;T.J.Delia,J.
Het.Chem.,35,2,1998,269−74;H.Uchel,Tetra
heron Lett.,36,52,1995,9457−60;およびY.Nezu
,Pestic.Sci.,47,2,1996,115−24を参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
三置換または四置換ピリミジン誘導体を大量に調製するのに容易に使用できる合成方法
が必要とされている。また、最小限の工程を使用しかつ容易に入手できる出発物質および
簡単な反応媒体を利用する方法が必要とされている。理想的には、このような方法は、必
要なら、スケールアップしやすく、安価である。また、レギオ異性体中間体混合物(これ
は、例えば、クロマトグラフィー方法で分離しなければならない)を生じない方法が必要
とされている。このような分離は、全体的な収率を低下させる。
【0019】
上記利点を有し、それにより、現在利用可能な方法を改善する三置換または四置換ピリ
ミジン誘導体を生成する合成方法を獲得することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
式Iの化合物:
【0021】
【化4】


を調製する方法であって、ここで:QおよびTは、それぞれ別個に、酸素、イオウまたは
N(R)から選択される;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択され、こ
こで:
同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、窒素と一緒になって、必要に応じ
て置換した3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完
全不飽和環を形成し、該環は、それに結合した窒素に加えて、0個〜3個のヘテロ原子を
有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
は、U−Rである;
は、ハロゲン、NO、CN、RまたはArから選択される;
各Uは、別個に、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで:U
の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−SO−、−S
−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−N(R)−、−C(O)−、−C
−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CON(R)−、
−N(R)SON(R)−、−N(R)N(R)−、−C(O)N(R)−、−OC(
O)N(R)−、−C(R)=NN(R)−または−C(R)=N−O−で置き換えられ
る;
各Arは、別個に、必要に応じて置換した環から選択され、該環は、3員〜7員の単環
式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該
環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオ
ウから選択される;
は、−N(R、−ORまたは−SRである;
各Rは、別個に、R、または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または10
員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個
〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択
され、ここで;
各Rは、必要に応じて、別個に、4個までの置換基で置換されており、該置換基は、
別個に、Rから選択される;
各Rは、別個に、−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲ
ン、−N(R、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−SO
、−SON(R、−N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O
)N(R、−OC(O)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(
O)R、−NRC(O)N(Rまたは−NRCO(R)から選択される

各Rは、別個に、RまたはArから選択される;
z1は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または
10員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、
0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素またはイオウから
選択され、ここで:
z1は、0個〜4個の別個に選択されたR基で置換されている;
z2は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式または8員〜10員の二環式の
飽和、部分不飽和または完全不飽和環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、
該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで:
z2は、0個〜4個の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソまたは
U−Rから選択される;
該方法は、適当な媒体中にて、式IIの化合物と式R−Hの化合物とを混ぜ合わせる
工程を包含する:
【0022】
【化5】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である、
方法。
(項目2)
式IIの前記化合物が、適当な媒体中にて、式IIIの化合物と式Rz1−Q−Hの化合
物とを混ぜ合わせることにより、調製される、項目1に記載の方法:
【0023】
【化6】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である、
方法。
(項目3)
式IIIの前記化合物が、適当な媒体中にて、式IVの化合物と式Rz2−T−Hの化合
物とを混ぜ合わせることにより、調製される、項目2に記載の方法:
【0024】
【化7】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である、
方法。
(項目4)
が、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必要に応じて置換し
たアルキルスルホニルから選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
が、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、パラトルエンスルホニル、メタンスルホニ
ル、パラニトロフェニルスルホニル、パラブロモフェニルスルホニルまたはトリフルオロ
メタンスルホネートである、項目4に記載の方法。
(項目6)
が、クロロまたはヨードである、項目5に記載の方法。
(項目7)
が、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必要に応じて置換し
たアルキルスルホニルである、項目2に記載の方法。
(項目8)
が、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、パラトルエンスルホネート、メタンスルホ
ネート、パラニトロフェニルスルホニル、パラブロモフェニルスルホニルまたはトリフル
オロメタンスルホネートである、項目7に記載の方法。
(項目9)
が、クロロまたはヨードである、項目8に記載の方法。
(項目10)
が、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必要に応じて置換し
たアルキルスルホニルである、項目3に記載の方法。
(項目11)
が、必要に応じて置換したアルキルスルホニルである、項目10に記載の方法。
(項目12)
が、メタンスルホニルである、項目11に記載の方法。
(項目13)
Qが、N(R)である、項目1に記載の方法。
(項目14)
Tが、酸素またはイオウである、項目1に記載の方法。
(項目15)
Tが、イオウである、項目14に記載の方法。
(項目16)
が、−ORまたは−N(Rである、項目1に記載の方法。
(項目17)
が、−N(Rである、項目16に記載の方法であって、ここで:
は、R、または3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽
和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ
原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;または
各Rは、同じ窒素原子上の2個のRが一緒になって必要に応じて置換した4員〜7員
飽和環を形成するように、Rであり、該環は、2個までの追加ヘテロ原子を有し、該ヘテ
ロ原子は、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで:
各Rは、必要に応じて、別個に、4個までの置換基で置換されており、該置換基は、
−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R
−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−SO、−SON(R
、−N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O)N(R、−O
C(O)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(O)R、−NR
(O)N(Rまたは−NRCO(R)から選択される、
方法。
(項目18)
が、N(Rであり、ここで:各Rが、別個に、Rから選択され、ここで、R
が、水素または必要に応じて置換したC1〜4脂肪族基である、項目17に記載の方法。
(項目19)
が、N(Rであり、ここで:各Rが、2個のR基が一緒になって必要に応じ
て置換した4員〜7員飽和環を形成するように、Rであり、該環が、2個までの追加ヘテ
ロ原子を有し、該ヘテロ原子が、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される、項目
17に記載の方法。
(項目20)
が、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモ
ルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ジアゼパニルまたはテトラヒドロイソキノ
リニルから選択され、ここで、各環が、必要に応じて、1個または2個の基で置換されて
おり、該基が、別個に、メチル、エチル、メチルスルホニル、(CHSOCH
、シクロプロピル、CHシクロプロピル、(CHOH、COt−ブチル、CH
フェニル、フェニル、NH、NH(CH)、N(CH、(CHNH
、(CHモルホリン−4−イル、(CHN(CH、イソプロピル、プ
ロピル、t−ブチル、(CHCNまたは(CHC(O)モルホリン−4−イ
ルから選択される、項目19に記載の方法。
(項目21)
z1が、3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完
全不飽和環であり、該環が、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が、別個に、
酸素、窒素またはイオウから選択され、ここで、該環が、必要に応じて、別個に、3個ま
での置換基で置換されており、該置換基が、−R、−OR、−SR、−CN、−N
、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(O)R、−OC(O)R、−CO
、−SO、−SON(R、−N(R)SO、−C(O)N
R(R)、−C(O)N(R、−OC(O)NR(R)、−OC(O)N(R
、−NRC(O)R、−NRC(O)N(Rまたは−NRCO
から選択される、項目1に記載の方法。
(項目22)
z1が、5員〜6員の完全不飽和環であり、該環が、1個〜3個のヘテロ原子を有し、
該ヘテロ原子が、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、該環が、必要
に応じて、別個に、3個までの置換基で置換されており、該置換基が、−R、−OR
、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(O)R
−OC(O)R、−CO、−SO、−SON(R、−N(R
SO、−C(O)NR(R)、−C(O)N(R、−OC(O)NR(R
)、−OC(O)N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R
または−NRCOから選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
z1が、必要に応じて置換した環であり、該環が、ピラゾールまたは以下の5員〜6員
環:
【0025】
【化8】


のいずれか1種から選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
z1が、ピラゾール環であり、該環が、2個までの置換基を有し、該置換基が、別個に
、−N(R、−ORまたはC〜C脂肪族基から選択される、項目23に記載
の方法。
(項目25)
z1が、ピラゾールであり、該ピラゾールが、必要に応じて、1個の置換基で置換され
ており、該置換基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、シクロプ
ロピルまたはフェニルから選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
z2が、必要に応じて置換した環であり、該環が、5員〜6員の単環式または8員〜1
0員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環が、0個〜4個
のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、
ここで、該環が、必要に応じて、3個までの置換基で置換されており、該置換基が、別個
に、ハロゲン、−CN、−NO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR(R
)、−NRC(O)R、−N(R、−N(R)SO、−NRC(
O)N(Rまたは−NRCOから選択される、項目1に記載の方法。
(項目27)
z2が、フェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル
、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニ
ル、キナゾリニル、ベンゾジオキシニル、イソベンゾフラン、インダニル、インドリル、
インドリニル、インダゾリルまたはイソキノリニルから選択され、ここで:
z2が、必要に応じて、3個までの置換基で置換されており、該置換基が、別個に、
−Cl、−Br、−F、−CN、−CF、−COOH、−CONHMe、−CONHE
t、−NH、−NHAc、−NHSOMe、−NHSOEt、−NHSO(n−
プロピル)、−NHSO(イソプロピル)、−NHCOEt、−NHCOCHNHC
、−NHCOCHN(COt−Bu)CH、−NHCOCHN(CH
、−NHCOCHCHN(CH、−NHCOCHCHCHN(CH
、−NHCO(シクロプロピル)、−NHCO(イソプロピル)、−NHCO(イソブ
チル)、−NHCOCH(モルホリン−4−イル)、−NHCOCHCH(モルホ
リン−4−イル)、−NHCOCHCHCH(モルホリン−4−イル)、−NHC
(t−ブチル)、−NH(シクロヘキシル)、−MHMe、−NMe、−OH、−
OMe、メチル、エチル、シクロプロピル、イソプロピルまたはt−ブチルから選択され
る、項目26に記載の方法。
(項目28)
z2が、1個の置換基を有し、該置換基が、−NRC(O)Rから選択され、ここ
で:
各Rが、別個に、RまたはArから選択され、ここで:
Rが、水素または必要に応じて置換したC1〜4脂肪族基である、項目27に記載の方
法。
(項目29)
前記適当な溶媒が、プロトン性溶媒、ハロゲン化炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素、
極性または非極性の非プロトン性溶媒、またはそれらの任意の混合物である、項目1に記
載の方法。
(項目30)
前記溶媒が、C1〜5直鎖または分枝アルキルアルコール、エーテル、または極性または
非極性の非プロトン性溶媒である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記適当な塩基が、有機アミン、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属水素化物ま
たはアルカリ土類金属水酸化物から選択される、項目1に記載の方法。
(項目32)
前記適当な塩基が、トリアルキルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリ
ウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選択される、項目3
1に記載の方法。
(項目33)
前記方法が、以下の表1および表2の化合物:
【0026】
【化9】

【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
【化17】


から選択される化合物を調製するのに使用される、項目1に記載の方法。
(項目34)
式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩:
【0035】
【化18−1】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、
化合物。
(項目35)
が、水素、メチル、エチル、t−ブチルまたはイソプロピルから選択される、項目3
4に記載の化合物。
(項目36)
が、メチル、エチルまたはシクロプロピルから選択される、項目35に記載の化合物

(項目37)
が、メチル、エチル、t−ブチルまたはシクロプロピルから選択される、項目36に
記載の化合物。
(項目38)
以下の表1の化合物:
【0036】
【化19】

【0037】
【化20】


から選択される、化合物。
(項目39)
以下の表3の化合物:
【0038】
【化21】


から選択される、化合物。
(項目40)
項目34に記載の化合物と、薬学的に受容可能な担体、補助剤またはビヒクルとを含有す
る、組成物。
(項目41)
さらに、抗増殖薬または化学療法薬を含有する、項目40に記載の組成物。
(項目42)
生体試料におけるAurora−1を阻害する方法であって、該方法は、該試料を、以下

(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
と接触させる工程を包含する、方法。
(項目43)
生体試料におけるAurora−2を阻害する方法であって、該方法は、該試料を、以下

(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
と接触させる工程を包含する、方法。
(項目44)
生体試料におけるAurora−3を阻害する方法であって、該方法は、該試料を、以下

(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
と接触させる工程を包含する、方法。
(項目45)
生体試料におけるFLT−3を阻害する方法であって、該方法は、該試料を、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
と接触させる工程を包含する、方法。
(項目46)
患者におけるAurora−1を阻害する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
を投与する工程を包含する、方法。
(項目47)
患者におけるAurora−2を阻害する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
を投与する工程を包含する、方法。
(項目48)
患者におけるAurora−3を阻害する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
を投与する工程を包含する、方法。
(項目49)
患者におけるFLT−3を阻害する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
を投与する工程を包含する、方法。
(項目50)
患者におけるAurora−1、Aurora−2、Aurora−3およびFLT−3
を阻害する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
(a)項目34に記載の化合物;または
(b)項目40に記載の組成物、
を投与する工程を包含する、方法。
(項目51)
患者における癌を治療する方法であって、該患者に、項目40に記載の組成物を投与する
工程を包含する、方法。
(項目52)
前記患者に、追加化学療法薬または抗増殖薬を投与する工程を包含する、項目51に記載
の方法。
(項目53)
前記癌が、黒色腫、リンパ腫、神経芽細胞腫、白血病、もしくは大腸癌、乳房癌、肺癌、
腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、CNS癌、頚部癌、前立腺癌から選択される癌、また
は消化器の癌から選択される、項目51に記載の方法:。
(項目54)
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、肥満細胞症ま
たは胃腸間質性腫瘍(GIST)から選択される、項目51に記載の方法。
(項目55)
患者における癌を治療するかその重症度を減らす方法であって、Auroraタンパク質
キナーゼを項目34に記載の化合物で阻害することにより、該癌細胞の有糸分裂を中断さ
せる工程を包含する、方法。
(項目56)
前記患者に、項目40に記載の組成物を投与する工程を包含する、項目55に記載の方法

【0039】
(発明の要旨)
本発明は、式Iの化合物を調製する方法を提供する:
【0040】
【化22】


ここで:QおよびTは、それぞれ別個に、酸素、イオウまたはN(R)から選択される

各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択され、こ
こで:
同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、窒素と一緒になって、必要に応じ
て置換した3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完
全不飽和の環を形成し、該環は、それに結合した窒素に加えて、0個〜3個のヘテロ原子
を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
は、U−Rである;
は、ハロゲン、NO、CN、RまたはArから選択される;
各Uは、別個に、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで:U
の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−SO−、−S
−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−N(R)−、−C(O)−、−C
−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CON(R)−、
−N(R)SON(R)−、−N(R)N(R)−、−C(O)N(R)−、−OC(
O)N(R)−、−C(R)=NN(R)−または−C(R)=N−O−で置き換えられ
る;
各Arは、別個に、必要に応じて置換した環から選択され、該環は、3員〜7員の単環
式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、
該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイ
オウから選択される;
は、−N(R、−ORまたは−SRである;
各Rは、別個に、R、または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または10
員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0
個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選
択され、ここで;
各Rは、必要に応じて、別個に、4個までの置換基で置換されており、該置換基は、
別個に、Rから選択される;
各Rは、別個に、−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲ
ン、−N(R、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−SO
、−SON(R、−N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O
)N(R、−OC(O)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(
O)R、−NRC(O)N(Rまたは−NRCO(R)から選択される

各Rは、別個に、RまたはArから選択される;
z1は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または
10員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は
、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウか
ら選択され、ここで:
z1は、0個〜4個の別個に選択されたR基で置換されている;
z2は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式または8員〜10員の二環式の
飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子
を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで:
z2は、0個〜4個の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソまたは
U−Rから選択される;
該方法は、適当な媒体中にて、式IIの化合物と式R−Hの化合物とを混ぜ合わせる
工程を包含する:
【0041】
【化23】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である。
【発明の効果】
【0042】
三置換または四置換ピリミジン誘導体を大量に調製するのに容易に使用できる合成方法
が提供される。また、最小限の工程を使用しかつ容易に入手できる出発物質および簡単な
反応媒体を利用する方法が提供される。理想的には、このような方法は、必要なら、スケ
ールアップしやすく、安価である。また、レギオ異性体中間体混合物(これは、例えば、
クロマトグラフィー方法で分離しなければならない)を生じない方法が提供される。この
ような分離は、全体的な収率を低下させる。
【0043】
上記利点を有し、それにより、現在利用可能な方法を改善する三置換または四置換ピリ
ミジン誘導体を生成する合成方法を獲得し得る。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(発明の説明)
本発明は、式Iの化合物を調製する方法を提供する:
【0045】
【化24】


ここで:QおよびTは、それぞれ別個に、酸素、イオウまたはN(R)から選択される

各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択され、こ
こで:
同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、窒素と一緒になって、必要に応じ
て置換した3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完
全不飽和の環を形成し、該環は、それに結合した窒素に加えて、0個〜3個のヘテロ原子
を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
は、U−Rである;
は、ハロゲン、NO、CN、RまたはArから選択される;
各Uは、別個に、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで:U
の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−SO−、−S
−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−N(R)−、−C(O)−、−C
−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CON(R)−、
−N(R)SON(R)−、−N(R)N(R)−、−C(O)N(R)−、−OC(
O)N(R)−、−C(R)=NN(R)−または−C(R)=N−O−で置き換えられ
る;
各Arは、別個に、必要に応じて置換した環から選択され、該環は、3員〜7員の単環
式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、
該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイ
オウから選択される;
は、−N(R、−ORまたは−SRである;
各Rは、別個に、R、または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または10
員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0
個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選
択され、ここで;
各Rは、必要に応じて、別個に、4個までの置換基で置換されており、該置換基は、
別個に、Rから選択される;
各Rは、別個に、−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲ
ン、−N(R、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−SO
、−SON(R、−N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O
)N(R、−OC(O)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(
O)R、−NRC(O)N(Rまたは−NRCO(R)から選択される

各Rは、別個に、RまたはArから選択される;
z1は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式、8員〜10員の二環式または
10員〜12員の三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は
、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素またはイオウか
ら選択され、ここで:
z1は、0個〜4個の別個に選択されたR基で置換されている;
z2は、C1〜6脂肪族基または3員〜8員の単環式または8員〜10員の二環式の
飽和、部分不飽和または完全不飽和の環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し
、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで:
z2は、0個〜4個の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソまたは
U−Rから選択される;
該方法は、適当な媒体中にて、式IIの化合物と式R−Hの化合物とを混ぜ合わせる
工程を包含する:
【0046】
【化25】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である。
【0047】
他の実施態様によれば、式IIの化合物は、適当な媒体中にて、式IIIの化合物と式
z1−Q−Hの化合物とを混ぜ合わせることにより、調製される:
【0048】
【化26】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である。
【0049】
さらに他の実施態様によれば、式IIIの化合物は、適当な媒体中にて、式IVの化合
物と式Rz2−T−Hの化合物とを混ぜ合わせることにより、調製される:
【0050】
【化27】


ここで:該適当な媒体は、以下を含有する:
i)適当な溶媒;および
ii)必要に応じて、適当な塩基;そして
は、適当な脱離基である。
【0051】
適当な溶媒には、配合した化合物と組み合わせてそれらの間での反応の進行を促進し得
る溶媒または溶媒混合物がある。適当な溶媒は、1種またはそれ以上の反応成分を可溶化
し得るか、あるいは、適当な溶媒は、1種またはそれ以上の反応成分の懸濁液の混ぜ合わ
せを促進し得る。本発明で有用な適当な溶媒の例には、プロトン性溶媒、ハロゲン化炭化
水素、エーテル、芳香族炭化水素、極性または非極性の非プロトン性溶媒、またはそれら
の任意の混合物がある。これらの溶媒または他のこのような適当な溶媒は、当該技術分野
で周知であり、例えば、「Advanced Organic Chemistry」、
Jerry March,4th edition,John Wiley and S
ons,N.Y.(1992)を参照。
【0052】
好ましくは、適当な溶媒は、C1〜7直鎖または分枝アルキルアルコール、エーテル、
または極性または非極性の非プロトン性溶媒である。
【0053】
式IIの化合物と化合物R−Hとの間の反応については、さらに好ましい適当な溶媒
は、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、n−ブタノールまたはテトラヒド
ロフランから選択される。
【0054】
式IIIの化合物と化合物Rz1−Q−Hとの間の反応については、さらに好ましい適
当な溶媒は、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、N,N
−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはテトラヒドロフランから選択され
る。
【0055】
式IVの化合物と化合物Rz2−T−Hとの間の反応については、さらに好ましい適当
な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはテトラヒドロフ
ランから選択される。
【0056】
代替実施態様によれば、この適当な溶媒は、R−Hである。それゆえ、このような実
施態様では、試薬R−Hは、一部では、式IIの化合物と併用して適当な溶媒として作
用し、また、一部では、試薬として作用し、そして式IIの化合物と反応して、式Iの化
合物を生成する。
【0057】
他の代替実施態様によれば、適当な溶媒は、Rz1−Q−Hである。それゆえ、このよ
うな実施態様では、試薬Rz1−Q−Hは、一部では、式IIIの化合物と併用して適当
な溶媒として作用し、また、一部では、試薬として作用し、そして式IIIの化合物と反
応して、式IIの化合物を生成する。
【0058】
他の代替実施態様によれば、適当な溶媒は、Rz2−T−Hである。それゆえ、このよ
うな実施態様では、試薬Rz2−T−Hは、一部では、式IVの化合物と併用して適当な
溶媒として作用し、また、一部では、試薬として作用し、そして式IVの化合物と反応し
て、式IIIの化合物を生成する。
【0059】
適当な塩基には、プロトン受容体となる性能を有する化学要素がある。例には、有機ア
ミン、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属水素化物およびアルカリ土類金属水酸
化物が挙げられる。これらのおよび他のこのような適当な塩基は、当該技術分野で周知で
あり、例えば、「Advanced Organic Chemistry」、Jerr
y March,4th Ed.,pp.248−253,John Wiley an
d Sons,N.Y.(1992)を参照。好ましい適当な塩基には、トリアルキルア
ミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナト
リウムまた水酸化カリウムが挙げられる。さらに好ましくは、この適当な塩基は、ジイソ
プロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンである。
【0060】
適当な脱離基には、所望の入来化学部分と容易に置き換えられる化学基がある。それゆ
え、特定の適当な脱離基の選択は、それがR−Hの入来化学部分R、Rz1−Q−H
のRz1−QまたはRz2−T−HのRz2−Tで容易に置き換えられる性能に基づいて
決められる。適当な脱離基は、当該技術分野で周知であり、例えば、「Advanced
Organic Chemistry」、Jerry March,4th Ed.,
pp.351−357,John Wiley and Sons,N.Y.(1992
)を参照。このような脱離基には、ハロゲン、アルコキシ、スルホニルオキシ、必要に応
じて置換したアルキルスルホニル、必要に応じて置換したアルケニルスルホニル、必要に
応じて置換したアリールスルホニルおよびジアゾニウム部分が挙げられるが、これらに限
定されない。適当な脱離基の例には、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、メタンスルホ
ニル(メシル)、トシル、トリフレート、ニトロフェニルスルホニル(ノシル)およびブ
ロモフェニルスルホニル(ブロシル)が挙げられる。
【0061】
例えば、式Iの化合物を調製する方法では、Lは、R−Hの入来部分Rで置き換
えられる。それゆえ、もし、R−Hが、例えば、ピペラジンであるなら、Lは、ピペ
ラジンの−NH−部分で容易に置き換えられる脱離基である。
【0062】
好ましいL脱離基は、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必
要に応じて置換したアルキルスルホニルから選択される。さらに好ましくは、Lは、ク
ロロ、ヨードまたはメタンスルホニルである。最も好ましくは、Lは、クロロである。
【0063】
例えば、式IIの化合物を調製する方法では、Lは、Rz1−Q−Hの入来部分R
−Qで置き換えられる。それゆえ、もし、Rz1−Q−Hが、例えば、3−アミノピラ
ゾールであるなら、Lは、3−アミノピラゾールで容易に置き換えられる脱離基である

【0064】
好ましいL脱離基は、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必
要に応じて置換したアルキルスルホニルから選択される。さらに好ましくは、Lは、ク
ロロ、ヨードまたはフルオロである。最も好ましくは、Lは、クロロである。
【0065】
例えば、式IIIの化合物を調製する方法では、Lは、Rz2−T−Hの入来部分R
z2−Tで置き換えられる。それゆえ、もし、Rz2−Tが、例えば、必要に応じて置換
したアリールチオールであるなら、Lは、必要に応じて置換したアリールチオールのチ
オール基で容易に置き換えられる脱離基である。
【0066】
好ましいL脱離基は、ハロゲン、必要に応じて置換したアリールスルホニルまたは必
要に応じて置換したアルキルスルホニルから選択される。さらに好ましくは、Lは、ク
ロロ、ヨードまたはメタンスルホニルである。最も好ましくは、Lは、メタンスルホニ
ルである。
【0067】
代替実施態様によれば、適当な脱離基は、その反応媒体内にて、その場で生成され得る
。例えば、式IIの化合物のLは、式IIの化合物の前駆体から、その場で生成され得
、ここで、該前駆体は、その場でLで容易に置き換えられる基を含有する。このような
置換の特定の例示では、式IIの化合物の該前駆体は、その場でL(例えば、ヨード基
)で置き換えられる基(例えば、クロロ基または水酸基)を含有する。このヨード基の供
給源は、例えば、ヨウ化ナトリウムであり得る。従って、LおよびLはまた、類似の
様式で、その場で形成され得る。適当な脱離基のこのようなその場での生成は、当該技術
分野で周知である。例えば、「Advanced Organic Chemistry
」、Jerry March,pp.430−431,第4版,John Wiley
and Sons,N.Y.(1992)を参照。
【0068】
さらに他の代替実施態様によれば、R−HのR、Rz1−Q−HのRz1−Qまた
はRz2−T−HのRz2−Tのいずれかのアニオンは、その反応媒体を加える前に、形
成され得る。該アニオンの調製は、当業者に周知である。例えば、Tが酸素であるとき、
z2−T−Hのアニオンは、Rz2−T−Hを塩基(例えば、水素化ナトリウム)で処
理することにより、容易に形成される。次いで、この酸素アニオンは、式IVの化合物と
混ぜ合わされて、式IIIの化合物を形成し得る。
【0069】
他の実施態様によれば、本明細書中で記述した反応は、その反応媒体の還流温度に等し
い温度かそれ未満の温度で実行される。従って、他の実施態様によれば、該反応媒体は、
該適当な溶媒の沸点未満の温度を有するか、または該反応媒体中で適当な溶媒を還流する
ことにより達する温度を有する。他の実施態様では、該反応媒体は、約0℃と約190℃
の間の温度を有する。さらに他の実施態様によれば、該反応媒体は、約40℃と約120
℃の間の温度を有する。本発明の他の実施態様によれば、該反応媒体は、約70℃と約1
15℃の間の温度を有する。
【0070】
特に明記しない限り、本明細書中で使用する以下の定義を適用する。
【0071】
「Aurora」との用語は、Aurora系統のタンパク質キナーゼの任意のイソ型
であり、これには、Aurora−1、Aurora−2およびAurora−3が挙げ
られる。「Aurora」との用語はまた、Aurora−A、Aurora−Bおよび
Aurora−Cとして知られているAurora系統のタンパク質キナーゼのイソ型を
意味する。
【0072】
「必要に応じて置換した」とは、「置換または非置換」との語句と交換可能に使用され
る。特に明記しない限り、必要に応じて置換した基は、その基の各置換可能部分にて、置
換基を有し得、各置換は、他のものと無関係である。
【0073】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖または分枝C
〜C炭化水素鎖(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽
和単位を含有する)または単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素
(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する
)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シク
ロアルキル」とも呼ぶ)、これは、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、該二環式
の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。例えば、適当な脂肪族基には、直
鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例え
ば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキ
ル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
「アルキル」、「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」「アルコキシアルル」および
「アルコキシカルボニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として
使用されるが、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む。「ア
ルケニル」および「アルキニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部
として使用されるが、2個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む

【0075】
「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素またはイオウを意味し、そして窒素およびイオ
ウの任意の酸化形状、および任意の塩基性窒素の四級化形状を含む。「窒素」との用語は
また、複素環の置換可能窒素を含む。一例として、酸素、イオウまたは窒素から選択され
る0個〜3個のヘテロ原子を有する飽和環または部分不飽和環では、その窒素は、N(3
,4−ジヒドロ−2H−ピロールにおけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように
)またはNR(N−置換ピロリジニルにおけるように)であり得る。
【0076】
「アリール」または「アリール環」との用語は、全体で5個〜14個の環炭素原子を有
する単環式、二環式または三環式の環系を意味し、ここで、少なくとも1個の環は、芳香
族であり、ここで、その系内の各環は、3個〜7個の環メンバーを含む。「アリール」と
の用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。例には、フェニル、イン
ダニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、2−アントラシルおよびビシ
クロ[2.2.2]オクト−3−イルが挙げられる。
【0077】
アリール環にさらに好ましい環の大きさは、式Iの化合物の種々の好ましい実施態様に
ついて以下で述べたとおりである。
【0078】
「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「
アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部
で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この環系
内の少なくとも1つの環は、芳香族であり、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を
含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る
。「アリール」との用語はまた、以下で定義するヘテロアリール環系を意味する。
【0079】
本明細書中で使用する「複素環」、「ヘテロシクリル」または「複素環の」との用語は
、5員〜14員を有する非芳香族の単環式、二環式または三環式の環系であって、1員ま
たはそれ以上がヘテロ原子であるものを意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7
員を含有する。
【0080】
「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロ
アリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5
員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少
なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれ
以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテ
ロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用
語と交換可能に使用され得る。
【0081】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含めて)基また
はヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含めて)基
は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラル
キル基またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、ハロゲン、−R
、−OR、−SR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、必要
に応じてRで置換したフェニル(Ph)、必要に応じてRで置換した−O(Ph)、
必要に応じてRで置換した−CH(Ph)、必要に応じてRで置換した−CH
(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NR
(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNR
C(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(
O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−
OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R
−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(
=NH)−N(Rまたは−(CHNHC(O)Rから選択され、ここで、
各Rは、別個に、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、非置換5員〜6員ヘ
テロアリール環または複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH(Ph)から選択
される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C
1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO
CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC
〜4脂肪族から選択される。
【0082】
脂肪族基または非芳香族複素環は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。脂肪族
基または非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基には、アリール基またはヘテロアリ
ール基の不飽和炭素について上で列挙したものおよび以下から選択される:=O、=S、
=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)
、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水
素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される。Rの脂肪族基上の任
意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、
1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C
〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択される

【0083】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R
、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO
、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R
または−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換し
たC1〜6脂肪族基、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph
)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−CHCH(P
h)、または非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環である。Rの脂肪族基ま
たはフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4
肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、C
H、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4
肪族)から選択される。
【0084】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得
るか1個またはそれ以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するも
のを意味する。
【0085】
置換基または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可
能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化
合物とは、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、少なくとも1週間にわたって、
40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0086】
本発明の特定の化合物が互変異性形状を示し得、これらの化合物のこのような互変異性
形状の全てが本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。
【0087】
特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化
学形状(すなわち、各非対称中心に対するR形状およびS形状)を含むことを意味する。
従って、本発明の化合物の単一立体化学異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレ
オマーの混合物もまた、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、本明細書中で描写
した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体的に富んだ原子の存在だけが異なる化合物
を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置換したこと以外または
炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合
物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物検定での分析器具また
はプローブとして、有用である。
【0088】
他の実施態様によれば、式IのQは、NH、酸素またはイオウである。
【0089】
好ましい実施態様によれば、式IのQは、NRである。さらに好ましくは、式IのQは
、NHである。
【0090】
他の好ましい実施態様によれば、式IのTは、酸素またはイオウである。さらに好まし
くは、式IのTは、イオウである。
【0091】
他の実施態様によれば、式IのTは、酸素であり、そしてRZ2−T−Hのアニオンは
、式IVの化合物と混ぜ合わせて式IIIの化合物を形成する前に、形成される。
【0092】
他の実施態様によれば、式IのRは、U−Rであり、ここで、Uは、原子価、−O
−または−NR−であり、そしてRは、RまたはArである。
【0093】
他の好ましい実施態様によれば、式IのRは、R、Arまたは−N(R)から選択
される。さらに好ましくは、式IのRは、水素である。
【0094】
他の好ましい実施態様によれば、式IのRは、−ORまたは−N(Rから選
択される。
【0095】
他の実施態様によれば、式IのRは、N(Rから選択され、ここで、各R
、別個に、R、または3員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽
和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ
原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。好ましい置換基各Rは、−
OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(O)
、または3員〜6員の芳香環または非芳香環から選択され、該環は、0個〜2個のヘ
テロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。R
上のさらに好ましい置換基は、5員〜6員の非芳香環であり、該環は、1個〜2個のヘ
テロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。R
1〜4脂肪族基上の最も好ましい置換基は、NH(CH)、NH、OH、OCH
、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルおよびチオモルホリニル
である。
【0096】
他の好ましい実施態様によれば、式IのRは、N(Rから選択され、ここで、
各Rは、2個のRが一緒になって必要に応じて置換した4員〜7員非芳香環を形成する
ように、Rであり、該環は、2個までの追加ヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に
、窒素、酸素またはイオウから選択される。該環上の好ましい置換基は、−R、−OR
、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(O)R
、−CO、−SO、または3員〜6員の芳香環または非芳香環(これは、0
個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選
択される)から選択される。該環のさらに好ましい置換基は、必要に応じて置換したC
〜4脂肪族、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、必要に応じて
置換したフェニル、CO(C1〜4脂肪族)またはSO(C1〜4脂肪族)から選択
される。該環上の最も好ましい置換基は、メチル、エチル、メチルスルホニル、(CH
SOCH、シクロプロピル、CHシクロプロピル、(CHOH、CO
t−ブチル、CHフェニル、フェニル、NH、NH(CH)、N(CH、(
CHNH、(CHモルホリン−4−イル、(CHN(CH
イソプロピル、プロピル、t−ブチル、(CHCNまたは(CHC(O)モ
ルホリン−4−イルから選択される。
【0097】
最も好ましくは、式IのRは、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モル
ホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ジアゼパニルま
たはテトラヒドロイソキノリニルであり、ここで、各環は、必要に応じて、1個または2
個の基で置換されており、該基は、別個に、メチル、エチル、メチルスルホニル、(CH
SOCH、シクロプロピル、CHシクロプロピル、(CHOH、CO
t−ブチル、CHフェニル、フェニル、NH、NH(CH)、N(CH
(CHNH、(CHモルホリン−4−イル、(CHN(CH
、イソプロピル、プロピル、t−ブチル、(CHCNまたは(CHC(O)
モルホリン−4−イルから選択される。
【0098】
他の実施態様によれば、式IのRz1は、3員〜7員の単環式または8員〜10員の二
環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を
有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素またはイオウから選択され、ここで、該環は
、必要に応じて、別個に、3個までの置換基で置換されており、該置換基は、−R、−
OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(O)
、−OC(O)R、−CO、−SO、−SON(R、−N(
)SO、−C(O)NR(R)、−C(O)N(R、−OC(O)N
R(R)、−OC(O)N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(
または−NRCOから選択される。
【0099】
他の実施態様によれば、式IのRz1は、5員〜6員の単環式または8員〜10員の二
環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、1個〜4個のヘテロ
原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素またはイオウから選択され、ここで、
該環は、必要に応じて、別個に、3個までの置換基で置換されており、該置換基は、−R
、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C
(O)R、−OC(O)R、−CO、−SO、−SON(R
−N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O)N(R、−OC(
O)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(O)R、−NRC(O
)N(Rまたは−NRCO(R)から選択される。
【0100】
さらに好ましい実施態様によれば、式IのRz1は、5員または6員の完全不飽和環で
あり、該環は、1個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素ま
たはイオウから選択され、ここで、該環は、必要に応じて、別個に、3個までの置換基で
置換されており、該置換基は、−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ
、ハロゲン、−N(R、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−S
、−SON(R、−N(R)SO、−C(O)NR(R)、
−C(O)N(R、−OC(O)NR(R)、−OC(O)N(R、−N
C(O)R、−NRC(O)N(Rまたは−NRCO(R)から選
択される。
【0101】
式Iの好ましいRz1環は、必要に応じて置換した環であり、該環は、ピラゾールまた
は以下の5員〜6員環のいずれか1種から選択される:
【0102】
【化28】


最も好ましくは、式IのRz1は、ピラゾール環であり、該環は、上で定義した3個ま
での置換基を有する。
【0103】
他の好ましい実施態様によれば、式IのRz1は、2個までの置換基を有し、ここで、
該置換基は、上で述べたとおりである。さらに好ましくは、式IのRz1は、1個の置換
基を有し、ここで、該置換基は、上で述べたとおりである。
【0104】
式IのRz1部分上の好ましい置換基は、−N(R、−OR、Ar、または必
要に応じて置換したC〜C脂肪族基であり、ここで、Arは、必要に応じて置換した
5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ
原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。式Iの
z1部分上のさらに好ましい置換基は、C〜C脂肪族基である。式IのRz1部分
上の最も好ましい置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、シ
クロプロピルまたはフェニルから選択される。
【0105】
他の実施態様によれば、式IのRz1は、0個〜4個のR基で置換されたC1〜6
肪族基である。好ましくは、Rz1は、0個〜3個のR基で置換されており、ここで、
各Rは、別個に、R、オキソ、ハロゲン、N(R、CNまたはCOから
選択される。
【0106】
好ましい実施態様によれば、式IのRz2は、5員〜6員の単環式または8員〜10員
の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ原
子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、該
環は、必要に応じて、3個までの置換基で置換されており、該置換基は、別個に、−R
、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R、−C(
O)R、−OC(O)R、−CO、−SO、−SON(R、−
N(R)SO、−C(O)NR(R)、−C(O)N(R、−OC(O
)NR(R)、−OC(O)N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)
N(Rまたは−NRCO(R)から選択される。
【0107】
さらに好ましくは、式IのRz2は、5員〜6員の単環式または9員〜10員の二環式
の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択される必要に応じて置換した環から選択
され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素ま
たはイオウから選択される;ここで、該環は、必要に応じて、3個までの置換基で置換さ
れており、該置換基は、別個に、上で述べたようにして選択される。最も好ましくは、式
IのRz2は、フェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジ
ニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノ
リニル、キナゾリニル、ベンゾジオキシニル、イソベンゾフラン、インダニル、インドリ
ル、インドリニル、インダゾリルまたはイソキノリニルから選択され、ここで、式IのR
z2部分は、必要に応じて、別個に、上で述べたような3個までの置換基で置換されてい
る。
【0108】
式IのRz2上の好ましい置換基は、存在するとき、別個に、ハロゲン、−CN、−N
、−C(O)R、−CO、−C(O)NR(R)、−NRC(O)R
、−N(R、−N(R)SO、−NRC(O)N(Rまたは−N
COから選択される。式IのRz2部分上のさらに好ましい置換基は、別個に
、−Cl、−Br、−F、−CN、−CF、−COOH、−CONHMe、−CONH
Et、−NH、−NHAc、−NHSOMe、−NHSOEt、−NHSO(n
−プロピル)、−NHSO(イソプロピル)、−NHCOEt、−NHCOCHNH
CH、−NHCOCHN(COt−Bu)CH、−NHCOCHN(CH
、NHCOCHCHN(CH、−NHCOCHCHCHN(CH
、−NHCO(シクロプロピル)、−NHCO(イソプロピル)、−NHCO(イソブ
チル)、−NHCOCH(モルホリン−4−イル)、−NHCOCHCH(モルホ
リン−4−イル)、−NHCOCHCHCH(モルホリン−4−イル)、−NHC
(t−ブチル)、−NH(シクロヘキシル)、−NHMe、−NMe、−OH、−
OMe、メチル、エチル、シクロプロピル、イソプロピルまたはt−ブチルから選択され
る。
【0109】
別の好ましい実施態様によれば、式IのRz2は、2個までの置換基を有し、ここで、
該置換基は、上で述べたとおりである。さらに好ましくは、式IのRz2は、1個の置換
基を有し、ここで、該置換基は、上で述べたとおりである。最も好ましくは、式IのR
は、−NRC(O)Rから選択される1個の置換基を有し、ここで、各Rは、別
個に、RまたはArから選択され、ここで、Rは、水素または必要に応じて置換したC
〜4脂肪族基である。
【0110】
別の実施態様によれば、式IのRz2は、0個〜3個の基で置換したC1〜6脂肪族基
であり、該基は、別個に、ハロゲン、オキソ、−CN、−NO、−C(O)R、−C
、−C(O)NR(R)、−NRC(O)R、−N(R、−N(R
)SO、−NRC(O)N(Rまたは−NRCOから選択され
る。さらに好ましくは、式IのRz2は、0個〜3個の基で置換したC1〜4脂肪族基で
あり、該基は、別個に、ハロゲン、−CN、−NO、−C(O)R、−CO
−N(Rまたは−NRCOから選択される。
【0111】
式IIにおけるR、T、Q、Rz1およびRz2の好ましい実施態様は、式Iにおけ
るこれらの部分について述べたとおりである。
【0112】
−HのR部分の好ましい実施態様は、式IにおけるR基について述べたとおり
である。
【0113】
式IIIにおけるR、L、TおよびRz2の好ましい実施態様は、式Iにおけるこ
れらの部分について述べたとおりである。
【0114】
z1−Q−HのQおよびRz1部分の好ましい実施態様は、式Iにおけるこれらの部
分について述べたとおりである。
【0115】
式IVにおけるR、L、LおよびQの好ましい実施態様は、式Iにおけるこれら
の部分について述べたとおりである。
【0116】
z2−T−HにおけるRz2およびTの好ましい実施態様は、式Iにおけるこれらの
部分について述べたとおりである。
【0117】
好ましくは、本発明の方法におけるRは、適当な脱離基以外のものである。
【0118】
本発明の方法を使用して調製される式Iの好ましい化合物は、式I’またはそれらの薬
学的に受容可能な誘導体または塩を有する:
【0119】
【化29】


ここで、RおよびRは、上で定義したとおりである。
【0120】
式I’の好ましいR基は、別個に、Rから選択され、ここで、Rは、水素または必要
に応じて置換したC1〜4脂肪族基である。式I’のR部分のC1〜4脂肪族基上の好
ましい置換基は、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロゲン、−N(R
、−C(O)R、または3員〜6員の芳香環または非芳香環から選択され、該環
は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウ
から選択される。式I’のR部分のC1〜4脂肪族基上のさらに好ましい置換基は、5
員〜6員の非芳香環であり、該環は、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、
別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。式I’のR部分のR1〜4脂肪
族基上の最も好ましい置換基は、NH(CH)、NH、OH、OCH、モルホリニ
ル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルおよびチオモルホリニルである。
【0121】
別の好ましい実施態様によれば、式I’の各Rは、2個のRが一緒になって必要に応
じて置換した4員〜7員非芳香環を形成するようなRであり、該環は、2個までの追加ヘ
テロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。該
環の好ましい置換基は、−R、−OR、−SR、−CN、−NO、オキソ、ハロ
ゲン、−N(R、−C(O)R、−CO、−SO、または3員〜6
員の芳香環または非芳香環(これは、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、
別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される)から選択される。該環のさらに好まし
い置換基は、必要に応じて置換したC1〜4脂肪族、NH、NH(C1〜4脂肪族)、
N(C1〜4脂肪族)、必要に応じて置換したフェニル、CO(C1〜4脂肪族)ま
たはSO(C1〜4脂肪族)から選択される。該環上の最も好ましい置換基は、メチル
、エチル、メチルスルホニル、(CHSOCH、シクロプロピル、CHシク
ロプロピル、(CHOH、COt−ブチル、CHフェニル、フェニル、NH
、NH(CH)、N(CH、(CHNH、(CHモルホリン−4
−イル、(CHN(CH、イソプロピル、プロピル、t−ブチル、(CH
CNまたは(CHC(O)モルホリン−4−イルから選択される。
【0122】
さらに好ましくは、式I’のN(Rにより形成される環は、ピロリジニル、ピペ
リジニル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、
ジアゼパニルまたはテトラヒドロイソキノリニルであり、ここで、各環は、必要に応じて
、1個またはそれ以上の基で置換されており、該基は、別個に、メチル、エチル、メチル
スルホニル、(CHSOCH、シクロプロピル、CHシクロプロピル、(C
OH、COt−ブチル、CHフェニル、フェニル、NH、NH(CH
、N(CH、(CHNH、(CHモルホリン−4−イル、(CH
N(CH、イソプロピル、プロピル、t−ブチル、(CHCNまたは(
CHC(O)モルホリン−4−イルから選択される。
【0123】
本発明の方法を使用して調製される式Iの化合物の範囲内のさらに好ましい化合物は、
式Vまたはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を有する:
【0124】
【化30】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される。
【0125】
式Vの好ましいR基は、水素、メチル、エチル、t−ブチル、プロピル、シクロプロ
ピル、シクロプロピルメチルまたはイソプロピルから選択される。式Vのさらに好ましい
基は、水素またはメチルから選択される。最も好ましくは、式VのRは、メチルで
ある。
【0126】
式Vの好ましいR基は、メチル、エチルまたはシクロプロピルから選択される。式V
のさらに好ましいR基は、メチルまたはシクロプロピルである。最も好ましくは、式V
のRは、メチルである。
【0127】
式Vの好ましいR基は、メチル、エチル、t−ブチルまたはシクロプロピルから選択
される。式Vのさらに好ましいR基は、エチルまたはシクロプロピルから選択される。
最も好ましくは、式VのRは、シクロプロピルである。
【0128】
別の実施態様によれば、本発明は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘
導体または塩に関する:
【0129】
【化31】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される;但し、該化合物は、N−{4−[4−(4−
メチル−ピペラジン−1−イル)−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミ
ノ)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル)−プロピオンアミド以外のもの
である。
【0130】
式Vの好ましいR基は、水素、メチル、エチル、t−ブチルまたはイソプロピルから
選択される。式Vのさらに好ましいR基は、水素またはメチルから選択される。最も好
ましくは、式VのRは、メチルである。
【0131】
式Vの好ましいR基は、メチル、エチルまたはシクロプロピルから選択される。式V
のさらに好ましいR基は、メチルまたはシクロプロピルである。最も好ましくは、式V
のRは、メチルである。
【0132】
式Vの好ましいR基は、メチル、エチル、t−ブチルまたはシクロプロピルから選択
される。式Vのさらに好ましいR基は、エチルまたはシクロプロピルから選択される。
最も好ましくは、式VのRは、シクロプロピルである。
【0133】
式Vの化合物は、PCT公報WO02/057259で記述された属の化合物に入る。
しかしながら、出願人は、本発明の化合物が、Auroraタンパク質キナーゼおよび/
またはFLT−3タンパク質キナーゼの阻害剤として、驚くべき予想外の高い有効性を有
することを発見した。
【0134】
式Vの代表的な構造は、以下の表1で示す。
【0135】
(表1)
【0136】
【化32】

【0137】
【化33】

【0138】
【化34】


本発明の方法に従って調製される式Iの他の代表的な化合物は、以下の表2で示す。
【0139】
(表2.式Iの代表的な化合物)
【0140】
【化35】

【0141】
【化36】

【0142】
【化37】

【0143】
【化38】

【0144】
【化39】

【0145】
【化40】

【0146】
【化41】


好ましくは、本発明の方法は、表1および2から選択される化合物を調製するのに使用
される。さらに好ましくは、本発明の方法は、表1から選択される化合物を調製するのに
使用される。
【0147】
代替実施態様によれば、本発明は、式II、式IIIまたは式IVの化合物またはそれ
らの薬学的に受容可能な塩を提供する:
【0148】
【化42】


ここで、R、R、L、L、L、T、Rz2およびQおよびそれらの好ましい実
施態様は、上で定義したとおりである。
【0149】
好ましい実施態様によれば、本発明は、式IIの中間体を提供する。
【0150】
他の好ましい実施態様によれば、本発明は、式IIIの中間体を提供する。
【0151】
さらに他の好ましい実施態様によれば、本発明は、式IVの中間体を提供する。
【0152】
他の実施態様によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導
体と、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または
薬学的に受容可能な組成物を提供する。本発明の組成物中での化合物の量は、生体試料ま
たは患者において、タンパク質キナーゼ(特に、Auroraおよび/またはFLT−3
キナーゼ)を検出可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、
このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の
組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0153】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好まし
くは、ヒトを意味する。
【0154】
「薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、処方する化合
物の薬理学的な活性を損なわない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを意味する
。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル
には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(
例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン
酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解
質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナ
トリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、
セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロ
ース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重
合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
本明細書中で使用する「検出可能に阻害する」との用語は、該組成物およびタンパク質
キナーゼを含有する試料と、該組成物なしでタンパク質キナーゼを含有する等価試料との
間のタンパク質キナーゼ活性の測定可能な変化を意味する。
【0156】
「薬学的に受容可能な誘導体または塩」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の薬学的
に受容可能な塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投
与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間
接的のいずれかで提供できるものを意味する。本明細書中で使用する「それらの阻害活性
代謝物または残留物」とは、その代謝物または残留物がまた、Auroraおよび/また
はFLT−3タンパク質キナーゼの阻害剤でもあることを意味する。
【0157】
他の実施態様によれば、本発明は、式I、I’またはVの化合物の薬学的に受容可能な
塩を調製する方法を提供し、該方法は、本発明の方法に従って調製した式I、I’または
Vの化合物を所望の薬学的に受容可能な塩に変換する工程を包含する。このような変換は
、当該技術分野で周知である。一般に、「Advanced Organic Chem
istry」、Jerry March,4th Ed.,John Wiley an
d Sons,N.Y.(1992)を参照。
【0158】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸
および塩基から誘導したものが挙げられる。適当な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩
、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪
酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオ
ン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、
グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、
ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン
酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホ
ン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチ
ン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩
、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、ト
シレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体
は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な
酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0159】
適当な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、ア
ルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1〜4アルキ
ル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒
素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性または油溶性または
水分散性または油分散性の生成物を得ることができる。
【0160】
以下の表3は、本発明の式Vの化合物の代表的な塩を示す。
【0161】
(表3.式Vの化合物の代表的な塩)
【0162】
【化43】

【0163】
【化44】


本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻か
ら、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与できる。本明細書中で使用す
る「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘
内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成
物は、経口的または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形状は、水
性懸濁液または油性懸濁液であり得る。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および
懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、処方できる。この無菌の注射可能
な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に適
当な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる適
当な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。
さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0164】
この目的には、いずれかのブランドの非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグ
リセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリ
セリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油
、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用であ
る。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例え
ば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液
を含めた薬学的に受容可能な剤形を処方する際に、通例、使用される)を含有できる。他
の通例使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)ま
たは生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の剤形を製造
する際に、通例使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0165】
本発明の医薬組成物は、いずれかの経口的に適当な剤形(これには、カプセル、錠剤、
および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与できる
。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用される担体には、ラクトースおよびコーン
スターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的に
は、添加される。カプセル形状での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥
コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳
化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤
を添加してもよい。
【0166】
あるいは、本発明の医薬組成物はまた、直腸投与のための座剤の形状で投与するとき、
この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体で
あり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。
このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる

【0167】
本発明の医薬組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスで
きる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含むとき、局所的に投
与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適当な局所製剤は、容易に調製される。
【0168】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適当な浣腸処方に
て、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0169】
局所的に適用するためには、この医薬組成物は、1種またはそれ以上の担体に懸濁する
かまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与
用の担体には、鉱油、液状石油、白色鉱油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限
定されない。あるいは、この医薬組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適当な担体に
懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当なローションまたはクリームで処方できる
。適当な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエ
ステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコ
ールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
眼科用途には、この医薬組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド
)と共にまたはそれなしで、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の微細化懸濁
液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の溶液と
して、処方できる。あるいは、眼科用途には、この医薬組成物は、軟膏(例えば、ペトロ
ラタム)に処方できる。
【0171】
鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与するには、本発明の医薬組成物は、製薬処方の当
該技術分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアル
コールまたは他の適当な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカ
ーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製できる。
【0172】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0173】
単一剤形の組成物を製造する担体物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、治療
する患者および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、こ
れらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量の阻害
剤が投与できるように、処方されるべきである。
【0174】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用され
る特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率
、薬物の組合せ、疾患の重篤度および経過、および患者の疾患に対する素因、および処置
する医師の判断を含む)に依存することが理解できるはずである。この組成物中の本発明
の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物および他の治療剤(もし存在するなら
)に依存する。
【0175】
治療または予防する特定の病気または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その病
気を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬もまた、存在し得る。本明細書中
で使用するように、その病気を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬は、「
治療する疾患または病気に適当である」として、知られている。
【0176】
例えば、増殖性疾患および癌を治療するために、化学療法薬または他の抗増殖薬が本発
明の化合物と併用され得る。公知の化学療法薬の例には、GleevecTM、アドリア
マイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、
トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0177】
本発明の阻害剤がまた併用され得る薬剤の他の例には、アルツハイマー病の治療薬(例
えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン
病の治療薬(例えば、L−DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピンロール、プロミ
ペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェンジルおよびアマンダジン
);多発性硬化症(MS)の治療薬(例えば、β−インターフェロン(例えば、Avon
ex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)およ
びミトキサントロン);喘息の治療薬(例えば、アルブテロールおよびSingulai
r(登録商標));精神分裂病の治療薬(例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエ
ルおよびハロペリドール);抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、I
L−1 RA、アザチオプリンおよびスルファサラジン);免疫調節薬または免疫抑制薬
(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチ
ル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよ
びスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、M
AO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断薬、リルゾールおよび
抗パーキンソン病薬);循環器病の治療薬(例えば、β−遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬
、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断薬およびスタチン);肝臓病の治療薬(例えば、コ
ルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス薬);血液疾患
の治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病薬および成長因子);および免疫不全
疾患の治療薬(γ−グロブリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
増殖性疾患および癌を処置するための本発明の化合物と組合せ得る化学療法薬剤または
他の抗増殖性薬剤のさらなる例としては、例えば、本発明の抗癌剤と組み合わせて使用さ
れ得る他の治療もしくは抗癌剤が挙げられるが、これらに限定されず、他の治療もしくは
、抗癌剤としては、手術、放射線治療(少しだけ名前を挙げると、少数の例を除いて、γ
線照射、中性子ビーム放射線治療、電子ビーム放射線治療、プロトン治療、近接照射療法
および全身性放射性同位元素)、内分泌療法、生物的反応修飾物質(少しだけ名前を挙げ
ると、インターフェロン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子(TNF))、高熱療法
および寒冷療法、いずれかの副作用を弱める薬剤(例えば、鎮吐薬)ならびに他の認可さ
れた化学療法薬物(これらとしては、アルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、
シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサー
ト)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、
5−フルオロウラシル、シタラビン(Cytarabile)、ゲムシタビン)、紡錘体
毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロト
キシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオ
マイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素類(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオ
ン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)およびホルモン(タモ
キシフェン、ロイプロリド、フルタミドおよびメゲストロール)、GleevecTM
アドリアマイシン、デキサメタゾン、シクロホスファミドが挙げられるが、これらに限定
されない。)が挙げられる。最新の癌療法のより包括的な議論については、http:/
/www.nci.nih.gov/を参照のこと、FDAに認可された腫瘍薬物の一覧
表は、http://www.fda.gov/cder/cancer/drugli
stframe.htm、およびThe Merck Manual、第17版、199
9を参照のこと、これらの内容は全て本明細書に参考として援用される。
【0179】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有
する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加
治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物中で存在する量の約50
%〜100%の範囲である。
【0180】
他の実施態様によれば、本発明は、生体試料において、Aurora−1、Auror
a−2、Aurora−3および/またはFLT−3キナーゼ活性を検出可能に阻害する
方法に関し、該方法は、該生体試料を、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物と
接触させる工程を包含する。
【0181】
本明細書中で使用する「生体試料」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺
乳動物またはその抽出物から得られる生検材料;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙
液、または他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
生体試料でのAurora−1、Aurora−2、Aurora−3および/または
FLT−3キナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。この
ような目的の例には、輸血、臓器移植、生体試料の保存および生物検定が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0183】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、Aurora−1キナーゼ活性を阻
害する方法に関し、該方法は、該患者に、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物
を投与する工程を包含する。
【0184】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、Aurora−2キナーゼ活性を阻
害する方法に関し、該方法は、該患者に、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物
を投与する工程を包含する。
【0185】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、Aurora−3キナーゼ活性を阻
害する方法に関し、該方法は、該患者に、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物
を投与する工程を包含する。
【0186】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、FLT−3キナーゼ活性を阻害する
方法に関し、該方法は、該患者に、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物を投与
する工程を包含する。
【0187】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、Aurora−1、Aurora−
2、Aurora−3およびFLT−3キナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、
該患者に、式Vの化合物または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0188】
他の実施態様によれば、本発明は、患者におけるAuroraが媒介する疾患または病
気を治療するかその重症度を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、式Vの化合物
または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0189】
本明細書中で使用する「Auroraが媒介する疾患」とは、Aurora属のタンパ
ク質キナーゼが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態
を意味する。このような疾患または状態には、黒色腫、白血病、または以下から選択され
る癌が挙げられるが、これらに限定されない:結腸、乳房、胃、卵巣、頚部、黒色腫、腎
臓、前立腺、リンパ腫、神経芽細胞腫、膵臓、白血病および膀胱。
【0190】
他の実施態様によれば、本発明は、患者における癌を処置する方法に関し、該方法は、
該患者に、式Vの化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含する。
【0191】
他の実施態様によれば、本発明は、患者における黒色腫、リンパ腫、神経芽細胞腫、白
血病、または以下から選択される癌、または消化管の癌を処置する方法に関し、該方法は
、該患者に、式Vの化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含する:大腸、乳房
、肺、腎臓、卵巣、膵臓、腎臓、CNS、頚部、前立腺。
【0192】
他の実施態様によれば、本発明は、患者における急性骨髄性白血病(AML)、急性リ
ンパ性白血病(ALL)、肥満細胞症または胃腸間質性腫瘍(GIST)を治療する方法
に関し、該方法は、該患者に、式Vの化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含
する。
【0193】
本発明の別の局面は、患者における癌細胞の有糸分裂を中断させることに関し、該方法
は、該患者に、式Vの化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含する。
【0194】
別の実施態様によれば、本発明は、患者における癌を処置するかその重症度を軽減する
方法に関し、該方法は、Aurora−1、Aurora−2および/またはAuror
a−3を式Vの化合物またはそれらの組成物で阻害することにより、該癌細胞の有糸分裂
を中断させる工程を包含する。
【0195】
代替実施態様では、追加治療剤を含有しない組成物を利用する本発明の方法は、前記患
者に、追加治療剤を別々に投与する追加工程を包含する。これらの追加治療剤は、別々に
投与されるとき、本発明の組成物の投与前、投与と連続して、または投与後に、患者に投
与され得る。
【0196】
本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示
の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明を限定するものとして解釈すべきで
はないことが理解できるはずである。
【実施例】
【0197】
(一般的なスキーム)
【0198】
【化45】


(実施例1)
4,6−ジクロロピリミジン−2−メチルスルホン(A):以下のようにして、Kop
pellら、JOC,26,1961,792で述べられた方法と実質的に類似の方法に
より、調製した。4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(50g、0.26
mol)のジクロロメタン(1L)攪拌溶液に、0℃で、20分間にわたって、メタ−ク
ロロ過安息香酸(143.6g、0.64mol)を加えた。この溶液を室温まで温め、
そして4時間攪拌した。その混合物をジクロロメタン(1.5L)で希釈し、次いで、5
0%Na/NaHCO溶液(2×200mL)、NaHCO飽和溶液(4
×300mL)およびブライン(200mL)で連続的に処理し、次いで、乾燥した(M
gSO)。真空中で溶媒を除去して、灰白色固形物を得、これを、EtOAc(1L)
に再溶解し、そしてNaHCO飽和溶液(3×300mL)およびブライン(100m
l)で連続的に処理し、次いで、乾燥した(MgSO)。真空中で溶媒を除去して、白
色固形物(55.6g、収率96%)として、表題化合物(A)を得た。H NMR
CDCl δ3.40(3H,s,CH3),7.75(1H,s,ArH)。
【0199】
(実施例2)
シクロプロパンカルボン酸[4−(4,6−ジクロロ−ピリミジン−2−イルスルファ
ニル)−フェニル]−アミド(C):化合物A(10g、44.04mmol)およびシ
クロプロパンカルボン酸(4−メルカプト−フェニル)−アミド(B、8.51g、44
.04mmol)のt−ブタノール(300mL)懸濁液を真空排気により脱気し、次い
で、窒素でフラッシュした。その混合物を、90℃で、窒素雰囲気下にて、1時間攪拌し
、次いで、真空中で溶媒を除去した。その残留物を酢酸エチル(600mL)に溶解し、
そして炭酸カリウムおよび塩化ナトリウムの水溶液で洗浄した。その有機抽出物を硫酸マ
グネシウムで乾燥し、低容量まで濃縮し、そして結晶化させた。無色結晶として、生成物
Cを集めた(11.15g、74%)。H−NMR DMSO−d,δ0.82−0
.89(4H,m),1.80−1.88(1H,m),7.55(2H,d),7.7
0−7.76(3H,m),10.49(1H,s);M+H,340。
【0200】
(実施例3)
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−クロロ−6−(5−メチル−2H−ピラゾール
−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル} アミド(D)
:ジメチルホルムアミド(6mL)中の化合物C(1.0g、2.94mmol)および
3−アミノ−5−メチルピラゾール(314mg、3.23mmol)の混合物を、ジイ
ソプロピルエチルアミン(0.614mL、3.53mmol)およびヨウ化メチル(5
30mg、3.53mmol)で処理した。この混合物を、窒素下にて、85℃で、4時
間攪拌し、室温まで冷却し、そして酢酸エチルで希釈した。その溶液を水(×4)で洗浄
し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして5mlまで濃縮して、結晶化し無色結晶を収集す
ると、表題化合物D(920mg、78%)が得られた。
【0201】
【化46】


(実施例4)
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−6−
(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニ
ル]−フェニル}−アミド(V−1):化合物D(2.373g、5.92mmol)を
N−メチルピペラジン(10mL)で処理し、その混合物を、110℃で、2時間攪拌し
た。真空中で過剰のN−メチルピペラジンを除去し、その残留物を酢酸エチルに溶解し、
炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。その
残留物をメタノールから結晶化して、所望生成物V−1の無色結晶(1.82g、66%
)を得た。
【0202】
【化47】


(実施例5)
【0203】
【化48】


N−{4−[4−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルメチル)−6−(4−プ
ロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル}−
プロピオンアミド(V−5):n−BuOH(5mL)中のエタンカルボン酸{4−[4
−クロロ−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−
イルスルファニル]−フェニル}アミド(119mg、0.306mmol、これは、実
施例1、2および3で示した方法と類似の方法により、調製した)を、N−プロピルピペ
ラジン二臭化水素塩(887mg、3.06mmol)に続いて、ジイソプロピルエチル
アミン(1.066mL、6.12mmol)で処理した。得られた混合物を、110℃
で、20時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、その残留物を、分取HPLCを使用し
て精製して、表題化合物を得た。
【0204】
【化49】


(実施例6)
【0205】
【化50】


N−[4−(4,6−ジクロロ−ピリミジン−2−イルオキシ)−フェニル]−アセト
アミド:4−アセトアミドフェノール(666mg、4.40mmol)の無水THF(
40mL)溶液を、室温で攪拌しつつ、水素化ナトリウムの60%鉱油分散体(176m
g、4.40mmol)で処理した。次いで、その反応混合物を、室温で、30分間攪拌
した後、4,6−ジクロロ−2−メタンスルホニル−ピリミジン(1.0g、4.40m
mol)を加えた。次いで、その反応物をさらに3時間攪拌した後、NHCl飽和水溶
液およびEtOAcで希釈した。その有機層を分離し、NaCl飽和水溶液で洗浄し、そ
して硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで、真空中で濃縮した。その残留物をカラムクロマト
グラフィー(シリカゲル、MeOH:CHCl、5:95)で精製して、固形物とし
て、表題化合物1.25g(95%)を得た。
【0206】
【化51】


(実施例7)
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−(4−メチル−4−オキシ−ピペラジン−1−
イル)−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イ
ルスルファニル]−フェニル}−アミド(V−19):化合物V−1(1g、2.1mm
ol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、0℃まで冷却し、そして10分間隔にて
、10アリコートで、mCPBAのジクロロメタン溶液で処理した(各アリコートは、D
CM(1mL)中の100mg、0.44mmolからなる)。アリコートを加えるたび
に、その溶液は褐色になり、そしてmCPBAが消費されるたびに、徐々に、黄色に戻っ
た。一旦、全ての出発物質が消費されると、真空中で溶媒を除去し、得られた橙色オイル
を分取HPLCで精製して、灰白色固形物(69mg、7%)として、表題化合物を得た

【0207】
【化52】


(実施例8)
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−6−
(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニ
ル]−フェニル}−アミドメタンスルホネート(V−1ii):化合物V−1(515m
g、1.1lmmol)をエタノール(80mL)に懸濁し、そして還流状態まで加熱し
た。この透明溶液に、メタンスルホン酸(106mg、1.11mmol)を加え、その
反応混合物をさらに10分間還流した。その混合物を室温まで冷却し、そして沈殿物が形
成し始めるまで、溶媒を蒸発させた。次いで、この混合物を0℃まで冷却し、そして得ら
れた沈殿物を濾過により集めた後、真空中で乾燥して、白色固形物(290mg、47%
)として、表題化合物を得た;
【0208】
【化53】


(実施例9)
本発明の手順に従い、そして上記実施例1〜8で示した方法と実質的に類似の方法によ
り、下記の表4で示した以下の化合物を調製した。これらの化合物の特性付けデータを以
下の表4で要約するが、これは、H NMR、融点(m.p.)および質量スペクトル
(MS)データを含む。
【0209】
特に明記しない限り、表4で示した各注釈付きのH NMRは、重水素化したジメチ
ルスルホキシド(dmso−d)中にて、400MHzで得た。
【0210】
(表4.代表的な化合物の特性付けデータ)
【0211】
【化54】

【0212】
【化55】

【0213】
【化56】

【0214】
【化57】

【0215】
【化58】

【0216】
【化59】

【0217】
【化60】

【0218】
【化61】

【0219】
【化62】

【0220】
【化63】

【0221】
【化64】

【0222】
【化65】

【0223】
【化66】


(生物学的アッセイ)
本発明の化合物のキナーゼ阻害剤としての活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株
内でアッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、活性化されたAurora酵素お
よび/もしくはFLT−3酵素のキナーゼ活性またはATPase活性のどちらかの阻害
を決定するアッセイが挙げられる。代替的なインビトロアッセイは、阻害剤のAuror
aおよび/またはFLT−3に結合する能力を定量化し、そして、結合の前に阻害剤を放
射標識する工程、阻害剤/Aurora複合体および/もしくは阻害剤/FLT−3複合
体を単離し、放射標識の結合量を決定する工程、または、公知の放射性リガンドに結合す
るAuroraおよび/もしくはFLT−3とともに新規の化合物をインキュベートする
競争実験を実施する工程のいずれかによって測定され得る。どのAurora型もしくは
どのアイソフォームが阻害されるかに依存して、Auroraの任意の型もしくはアイソ
フォームを使用し得る。酵素アッセイに使用される条件の詳細は、以下の実施例に示す。
【0224】
(実施例10)
(Auroraの阻害に対するKの決定)
標準結合酵素アッセイ(Foxら、(1998)、Protein Sci 7、22
49)を使用して、化合物のAuroraを阻害する能力について、以下の様式で化合物
をスクリーニングした。0.1M HEPES 7.5、10mM MgCl、1mM
DTT、25mM NaCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300mM
NADH、30mg/ml ピルビン酸キナーゼ、10mg/ml 乳酸脱水素酵素、4
0mM ATPおよび800μM ペプチド(LRRASLG、American Pe
ptide、Sunnyvale、CA)を含有するアッセイストック緩衝溶液に、本発
明の化合物のDMSO溶液を添加し、最終濃度30μMにした。生じた混合物を、30℃
で10分間インキュベートした。10μLのAuroraストック溶液を添加することに
より反応を開始し、アッセイ中で70nMの最終濃度を得た。BioRad Ultra
markプレートリーダー(Hercules、CA)を用いて、30℃で5分間より長
い読み取り時間にわたって、340nmで吸光度をモニタリングすることにより、反応速
度を得た。K値を、インヒビター濃度の関数として、速度データから決定した。
【0225】
本発明の式Vの化合物は、Aurora−1、Aurora−2、およびAurora
−3のインヒビターであることが見出された。
【0226】
(実施例11)
(FLT−3の阻害に対するKの決定)
放射測定フィルター結合アッセイを使用して、化合物のFLT−3活性を阻害する能力
について、化合物をスクリーニングした。このアッセイは、33Pの基質ポリ(Glu、
Tyr)4:1(pE4Y)への取り込みをモニタリングする。反応を、100mM H
EPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、1mM DTT
、0.01% BSAおよび2.5% DMSOを含有する溶液中で行なった。このアッ
セイの最終基質濃度は、90μM ATPおよび0.5mg/ml pE4Y(両方とも
Sigma Chemicals、St Louis、MOから入手した)であった。本
発明の化合物の最終濃度は、一般的に、0.01μMと5μMとの間である。代表的に、
試験化合物の10mM DMSOストックから連続希釈を調製することによって、12点
滴定を行なった。反応は、室温で行った。
【0227】
2つのアッセイ溶液を調製した。溶液1は、100mM HEPES(pH7.5)、
10mM MgCl、25mM NaCl、1mg/ml pE4Yおよび180μM
ATP(各反応に対して、0.3μCiの[γ−33P]ATPを含有する)を含有す
る。溶液2は、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25m
M NaCl、2mM DTT、0.02% BSAおよび3nM FLT−3を含有す
る。このアッセイを、50μlの各溶液1と2.5mlの本発明の化合物とを混合するこ
とにより、96ウェルプレートで行なった。反応を、溶液2を用いて開始した。室温での
20分間のインキュベーションの後、0.4mMのATPを含有する20% TCAを5
0μl用いて反応を停止させた。次いで、全ての反応体積をフィルタープレートに移し、
TOMTEC(Hamden、CT)製のHarvester 9600により、5%
TCAを用いて洗浄した。33PのpE4yへの取り込み量を、Packard Top
Count Microplate Scintillation Counter(
Meriden、CT)により分析した。IC50またはKを得るために、Prism
ソフトウェアを使用して、データを合わせた。
【0228】
本発明の式Vの化合物は、FLT−3のインヒビターであることが見出された。
【0229】
(実施例12)
(Colo205細胞アッセイにおけるAuroraの阻害に対するIC50の決定)
化合物はまた、細胞増殖の阻害についてアッセイした。このアッセイにおいて、RPM
I1640培地(Sigma)に10% ウシ胎仔血清、L−グルタミンおよびペニシリ
ン/ストレプトマイシン溶液を添加することによって、完全培地を調製した。結腸癌細胞
(COLO−205細胞株)を、1.25×10細胞/ウェル/150μLの播種濃度
で、96ウェルプレートに添加した。試験化合物の溶液を、連続希釈によって、完全培地
中に調製し、試験化合物溶液(50μL)を各ウェルに添加した。
【0230】
各プレートは、最大増殖量を測定するために、完全培地(200μL)のみを添加して
コントロール群を形成した一連のウェルを含んだ。ビヒクルコントロール群もまた、各プ
レートに加えた。プレートを37℃で、2日間インキュベートした。H−チミジン(1
mCi/mL、Amersham Phamacia、UK)のストック溶液をRPMI
培地中に、20μCi/mLまで希釈し、次いで、25μLのこの溶液を各ウェルに添加
した。さらに、プレートを37℃で3時間インキュベートし、次いで回収し、液体シンチ
レーションカウンターを使用して、H−チミジンの取り込みについて分析した。
【0231】
本発明の式Vの化合物は、Colo205癌細胞の増殖のインヒビターであることが見
出された。
【0232】
(実施例13)
(腫瘍細胞型および正常細胞型のパネルにおける細胞増殖の測定:Hチミジン取り込
みアッセイ)
細胞増殖決定のよく特徴付けられた方法として、Hチミジン取り込みアッセイを選択
した。正常組織および広範な種々の腫瘍型由来の細胞を、分析のために選択した。腫瘍細
胞は、高レベルのAuroraタンパク質を発現し(例えば、MCF−7、PC3、A3
75、A549)(節5.3.5およびBischoffら、EMBO J.1998、
17、3052〜3065を参照のこと)、そして/または、ヌードマウスおよびヌード
ラットにおいて腫瘍を形成し得る(例えば、HCT116、MCF−7およびMDA−M
B−231)ので、多数の腫瘍細胞を選択した。
【0233】
対数的に増殖する細胞を、化合物とともに96時間インキュベートした。細胞増殖を測
定するために、実験の終了の3時間前に、0.5μCiのHチミジンを各ウェルに添加
した。次いで、細胞を回収し、洗浄し、Wallacマイクロプレートβカウンターによ
り、取り込まれた放射活性を計数した。増殖の阻害を決定するために、cpmを化合物濃
度に対してプロットし、IC50を、グラフから決定した。
【0234】
以下の表5は、上記の細胞増殖アッセイで利用した細胞株を示す。各細胞株について、
細胞増殖の阻害およびHチミジンの取り込み(96時間の時点で)を決定した。
【0235】
【化67】


本発明の多数の実施態様が記述されているものの、基本的な例は、他の実施態様(これ
らは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更し得ることが明らか
である。従って、本発明の範囲は、特定の実施態様(これらは、一例として、表わされて
いる)よりもむしろ、添付の請求の範囲で規定され得ることが理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料におけるAurora−1を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−2】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物
【請求項2】
生体試料におけるAurora−2を阻害するための組成物であって、組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−3】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物
【請求項3】
生体試料におけるAurora−3を阻害するための組成物であって、組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−4】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物
【請求項4】
生体試料におけるFLT−3を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−5】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物
【請求項5】
患者におけるAurora−1を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−6】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項6】
患者におけるAurora−2を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−7】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項7】
患者におけるAurora−3を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−8】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項8】
患者におけるFLT−3を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−9】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項9】
患者におけるAurora−1、Aurora−2、Aurora−3およびFLT−3を阻害するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−10】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項10】
患者における癌を治療するための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−11】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項11】
追加化学療法薬または抗増殖薬を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記癌が、黒色腫、リンパ腫、神経芽細胞腫、白血病、もしくは大腸癌、乳房癌、肺癌、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、CNS癌、頚部癌、前立腺癌から選択される癌、または消化器の癌から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、肥満細胞症ま
たは胃腸間質性腫瘍(GIST)から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
Auroraタンパク質キナーゼを阻害することで、該癌細胞の有糸分裂を中断させることによる、患者における癌を治療するかその重症度を減らすための組成物であって、該組成物は、式Vの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体または塩を含み、
【化18−12】


ここで:
は、水素またはC1−4脂肪族から選択される;
は、C1〜3脂肪族から選択される;そして
は、C1〜4脂肪族から選択される、組成物。
【請求項15】
前記組成物が前記患者に投与されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−202673(P2010−202673A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143227(P2010−143227)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2005−211959(P2005−211959)の分割
【原出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】