説明

タンパク質シトビリンの抗ウィルス活性及び使用方法

本発明は、対象におけるウィルス感染を治療又は予防する方法、生体試料中のウィルスを阻害する方法、及び皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスに起因するウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。本発明は、ウィルス感染、特に高マンノース型エンベロープを有するウィルス、例えば、C型肝炎ウィルス(HCV)に起因する感染、を治療するための新規な方法を記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年7月31日に出願された米国仮特許出願第61/137,511号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に取り込まれている。
【0002】
(連邦政府支援研究によってなされた発明に対する権利の陳述)
本願の研究支援は、保健社会福祉省長官によって代表される、アメリカ合衆国によってなされた。政府は本発明にある特定の権利を有している。
【0003】
(参照による取り込み)
本願明細書で引用されているそれぞれの出願及び特許、更にはそれぞれの出願及び特許で引用されているそれぞれの参考文献又は引用文献(それぞれの登録特許の審査手続き中の「出願引用文献」を包含する)、及びこれらの出願及び特許のぞれぞれに対応する及び/又はから段階的に優先権主張しているPCT及び外国出願又は特許、及びそれぞれの出願引用文献で引用或いは参照されたそれぞれの参考文献は、ここで参照により本明細書中に明確に取り込まれている。より一般的には、参考文献又は引用文献は参考文献リスト中に、又は明細書自体の中での何れかにおいて、本明細書に引用されていて;これらの参考文献又は引用文献(「本明細書で引用されている文献」)のそれぞれが、更には本明細書に引用されている文献に引用されている参考文献または引用文献のそれぞれ(製造会社の仕様書、説明書等の何れをも含む)が、参照により本明細書に明確に取り込まれている。
【背景技術】
【0004】
C型肝炎ウィルス(HCV)は蔓延している健康問題で、世界の人口の約1%がこのウィルスに感染している。C型肝炎ウィルス(HCV)感染の約30,000の新規症例が毎年米国で発生すると推定されている(Kolykhalov, A.A.; Mihalik, K.; Feinstone, S.M.; Rice, C.M.; 2000; J. Virol. 74: 2046-2051)。HCVは宿主の免疫防御によっては容易に除去できず、HCVに感染している人の85%もが慢性的に感染する。これら持続的な感染の多くは、肝硬変及び幹細胞癌を包含する、慢性肝疾患をまねく(Hoofnagle, J.H.; 1997; Hepatology 26:15S-20S)。HCVに関連している末期の肝疾患が今や、肝臓移植の主因となっている。米国だけでも、C型肝炎は年間8,000〜10,000人の死亡原因になっている。有効な治療介入がないと、この数は今後10〜20年間に3倍になると予想される。
【0005】
現在、HCV感染を阻止するワクチンはない。現在用いられているHCVの治療は十分な効果がなく、そして著しくコンプライアンスを減少させる重篤な併発する副作用を有している。インターフェロン又はインターフェロンとリバビリンによる慢性感染患者の長期にわたる治療だけが現在承認されている治療法であるが、わずかに50%未満の症例において持続的な応答が達成されている(Lindsay, K.L.; 1997; Hepatology 26: 71S-77S*、及び Reichard, O; Schvarcz, R.; Weiland, O.; 1997; Hepatology 26: 108S-111S*)。インターフェロン治療は、治療される患者の生活の質を下げる重篤な副作用(すなわち、網膜症、甲状腺炎、急性膵炎、鬱病)も誘発する。最近になって、INF単独には応答しない患者に対してリバビリンと併用したインターフェロンが承認されている。しかしながら、INFに起因する副作用はこの併用治療によって軽減されない。PEG−INTRON及びPEGASYSのようなインターフェロンのペグ化形態はこれら有害な副作用に部分的に対処できると思われるが、抗ウィルス剤はHCVの経口治療に対する選択肢を未だ残している。
【0006】
小さなエンベロープされたプラス鎖RNAウィルスの3つの属を含む、HCVはフラビウィルス科、ヘパシウィルス属に属している(Rice, C.M.; 1996; "Flaviviridae: the viruses and their replication"; pp. 931-960 in Fields Virology; Fields, B.N.; Knipe, D.M.; Howley, P.M. (eds.); Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia Pa.*)。HCVの9.6kbゲノムは、5’及び3’非翻訳領域(NTR’s)に隣接している長いオープンリーディングフレーム(ORF)からなっている。HCVの5’NTRは長さが341ヌクレオチドで、キャップ非依存的翻訳開始の内部リボソーム侵入部位として機能する(Lemon, S.H.; Honda, M.; 1997; Semin. Virol. 8: 274-288)。HCVポリタンパク質は、翻訳と同時に及び翻訳後に少なくとも10の個別のポリペプチドに開裂する(Reed, K.E.; Rice C.M.; 1999; Curr. Top. Microbiol. Immunol. 242: 55-84*)。構造タンパク質がポリタンパク質のN末端部分でシグナルペプチダーゼによって生じる。2つのウィルスプロテアーゼが下流の開裂に介在して、HCV RNAレプリカーゼの成分として機能する非構造(NS)タンパク質を産生する。NS2−3プロテアーゼは、NS2の半分のC−末端とNS3の3分の1のN−末端を橋渡しして、NS2/3部位のシス開裂を触媒する。NS3の同じ部位はまた、4つの下流部位で開裂するNS3−4Aセリンプロテアーゼの触媒ドメインをコードする。NS3の3分の2のC−末端は、RNA結合、RNA誘発NTPアーゼ、及びRNA巻き戻し活性を有して、HCV単離株の中で高度に保存される。NS4B及びNS5Aリンタンパク質もレプリカーゼの成分であると考えられるが、これらの特異的な機能は未知である。C−末端ポリタンパク質開裂産物である、NS5Bは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)活性を所有するHCVレプリカーゼの伸長サブユニットである(Behrens, S.E.; Tomei, L.; DeFrancesco, R.; 1996; EMBO J. 15: 12-22; 及び Lohmann, V.; Koener, F.; Herian, U.; Bartenschlager, R.; 1997; J. Virol. 71: 8416-8428)。チンパンジーモデルにおいて、NS5B活性を破壊する突然変異株がRNAの感染力を無効にすることが最近明らかにされた(Kolykhalov, A.A.; Mihalik, K.; Feinstone, S.M.; Rice, C.M.; 2000; J. Virol. 74: 2046-2051)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、HCVの新規な治療法又は補助治療法は公衆衛生の要望を満たすだろう。より有効で、そして前記の欠点と関連しない改善されたHCVの治療方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
抗ウィルス性タンパク質シトビリン(scytovirin;SVN)及び抗ウィルス性タンパク質グリフィスシン(griffithsin;GRFT)の両方がC型肝炎ウィルス(HCV)に対して強力な(ナノモル)活性を有しているこがこの度明らかにされた。本願発明者等は、ウィルス感染、特に高マンノース型エンベロープされたウィルス、例えば、HCVに起因する感染を治療する新規な組成物及び方法を開発した。この組成物は、ウィルス感染、例えば、HCV感染又はHIV感染の治療又は予防に、又は現在の治療剤の補助剤として、或いは精製方法、例えば、対象からウィルス粒子を除去するための又は生体液からウィルス粒子を除去するための透析系の一部として用いることができる。
【0009】
第1の態様では、本発明は、1つ又はそれ以上の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している、単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している、単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している、単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸、又はこれらの断片:の有効量を対象に投与して、それによって対象のウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、対象のウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。
【0010】
配列番号1、2及び3を以下に明記する。
配列番号1
1 gsgptycwne annpggpnrc snnkqcdgar tcsssgfcqg tsrkpdpgpk gptycwdeak
61 npggpnrcsn skqcdgartc sssgfcqgta ghaaa
【0011】
配列番号2
1 lgkfsqtcyn saiqgsvlts tcertnggyn tssidlnsvi envdgslkwq psnfietcrn
61 tqlagssela aecktraqqf vstkinlddh ianidgtlky e
【0012】
配列番号3
1 slthrkfggs ggspfsglss iavrsgsyld xiiidgvhhg gsggnlsptf tfgsgeyisn
61 mtirsgdyid nisfetnmgr rfgpyggsgg santlsnvkv iqingsagdy ldsldiyyeq
121 y
【0013】
本発明の一実施態様では、ウィルス感染は、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有するウィルスによって引き起こされる。別の実施態様では、ウィルスがC型肝炎ウィルス(HCV)である。他の実施態様では、ウィルスはヒト免疫不全ウィルス(HIV)である。
【0014】
別の実施態様では、方法は更に(i)、(ii)又は(iii)の変異体を含有していて、変異体は1つ又はそれ以上の同類又は中性のアミノ酸置換、或いはN−末端又はC−末端に1つ又はそれ以上のアミノ酸付加を含有しており、変異体は実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなっている抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している。
【0015】
関連する実施態様では、方法は更に、(i)、(ii)又は(iii)と少なくとも1つのエフェクター成分の融合タンパク質を含有していて、融合タンパク質は実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなっている抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している。
【0016】
更に別の実施態様では、融合タンパク質はアルブミンを含有している。
【0017】
本発明の更なる実施態様では、配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している核酸はベクターに含まれている。関連する実施態様では、ベクターは、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、又はレンチウィルスベクターである。別の関連する態様では、ベクターは、哺乳動物細胞内で発現するのに適しているプロモーターを含有している。
【0018】
別の実施態様では、本明細書に記載される本発明の方法は、更に1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を含有している。関連する実施態様では、追加薬剤は:抗ウィルス剤、免疫刺激剤、及びトキシン:よりなる群から選ばれる。別の関連する実施態様では、1つ又はそれ以上の追加薬剤は、上記態様のアミノ酸又は核酸の投与の前に、それと同時に、或いはそれに引き続いて投与する。
【0019】
別の態様では、本発明は、生体試料を、1つ又はそれ以上の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している、単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している、単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸、又はこれらの断片:の有効量と接触させ、それによって生体試料中のウィルスを阻害することを含有してなる、生体試料中のウィルスを阻害する方法を特徴としている。
【0020】
別の態様では、本発明は、感染領域を、1つ又はそれ以上の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸、又はこれらの断片:の有効量を含有している局所組成物と接触させて、ウィルスによって引き起こされた皮膚又は粘膜の中又は上のウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、ウィルスによって引き起こされた皮膚又は粘膜の中又は上のウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。
【0021】
一実施態様では、ウィルス感染は、抗マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有しているウィルスによって引き起こされる。別の実施態様では、ウィルスはHCVである。他の実施態様では、ウィルスはHIVである。
【0022】
一実施態様では、局所組成物はフォーム又はゲルである。
【0023】
別の態様では、本発明は、対象物を、1つ又はそれ以上の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸、又はこれらの断片:の有効量と接触させて、対象物の中又は上のウィルスを阻害することを含有してなる、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法を特徴としている。
【0024】
一実施態様では、生体試料は:血液、血液製剤、細胞、組織、臓器、精液、ワクチン製剤、及び体液よりなる群から選ばれる。
【0025】
別の態様では、本発明は、血液を、1つ又はそれ以上の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製した核酸、又はこれらの断片:の有効量と接触させて、血液からウィルスを除去することを含有してなる、対象の血液からウィルスを除去する方法を特徴としている。
【0026】
一実施態様では、対象物は、溶液、医療用品、又は医療機器である。
【0027】
上記態様の別の実施態様では、ウィルスは高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有している。更に関連する実施態様では、ウィルスはC型肝炎ウィルス(HCV)である。別の更なる態様では、ウィルスはヒト免疫不全ウィルス(HIV)である。
【0028】
上記態様の何れか1つの一実施態様では、方法は更に(i)、(ii)又は(iii)の変異体を含有していて、変異体は、1つ又はそれ以上の同類又は中性のアミノ酸置換、或いはN−末端又はC−末端に1つ又はそれ以上のアミノ酸付加を含有しており、変異体は、実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなっている抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している。
【0029】
上記態様の何れか1つの別の実施態様では、方法は更に、(i)、(ii)又は(iii)と少なくとも1つのエフェクター成分の融合タンパク質を含有していて、融合タンパク質は、実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなっている抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している。
【0030】
一実施態様では、融合タンパク質はアルブミンを含有している。
【0031】
上記態様の何れか1つの別の実施態様では、方法は、更に1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を含有している。関連する実施態様では、追加薬剤は:抗ウィルス剤、免疫刺激剤、及びトキシン:よりなる群から選ばれる。
【0032】
別の態様では、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与して、対象のウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、対象のウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。
【0033】
一実施態様では、ウィルス感染は、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有しているウィルスによって引き起こされる。別の実施態様では、ウィルスはC型肝炎ウィルス(HCV)である。他の実施態様では、ウィルスはヒト免疫不全ウィルス(HIV)である。
【0034】
別の実施態様では、方法は更に1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を含有している。関連する実施態様では、追加薬剤は:抗ウィルス剤、免疫刺激剤、及びトキシン:よりなる群から選ばれる。
【0035】
別の態様では、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与して、生体試料中のウィルスを阻害することを含有してなる、生体試料中のウィルスを阻害する方法を特徴としている。
【0036】
一実施態様では、生体試料は:血液、血液製剤、組織、臓器、精液、ワクチン製剤、及び体液:よりなる群から選ばれる。
【0037】
別の態様では、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与して、血液からウィルスを除去することを含有してなる、対象の血液からウィルスを除去する方法を特徴としている。
【0038】
一実施態様では、血液は輸血からのものである。
【0039】
別の態様では、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与して、ウィルによって引き起こされた皮膚又は粘膜の中又は上のウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、ウィルによって引き起こされた皮膚又は粘膜の中又は上のウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。
【0040】
一実施態様では、局所組成物はフォーム又はゲルである。
【0041】
別の態様では、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸は配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与して、対象物の中又は上のウィルスを阻害することを含有してなる、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法を特徴としている。
【0042】
一実施態様では、対象物は、溶液、医療用品、又は医療器具である。
【0043】
上記態様の何れか1つの別の実施態様では、ウィルスは高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有している。別の実施態様では、ウィルスはC型肝炎ウィルスである。他の実施態様では、ウィルスはヒト免疫不全ウィルスである。
【0044】
前記態様の何れか1つの別の実施態様では、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列又はそれらの断片を含有している、単離された或いは精製された抗ウィルス性タンパク質を、5〜250ng/mlの濃度で投与する。
【0045】
前記態様の何れか1つの別の実施態様では、対象はヒトである。
【0046】
本発明のその他の特徴及び利点は、詳細な説明から又は特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1A〜Cは、C型肝炎ウィルス(HCV)に対する、シアノビリン(A)、シトビリン(B)、又はグリフィスシン(C)の活性を示す3つのグラフのパネルである。
【図2】図2は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3の配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、抗ウィルス性タンパク質シトビリン(SVN)がC型肝炎ウィルス(HCV)に対して強力な活性を有することが見出されたという知見に基づいている。本発明は、ウィルス感染、特に高マンノース型エンベロープを持ったウィルス、例えば、C型肝炎ウィルス(HCV)に起因する感染、を治療する新規な方法を記載している。
【0049】
定義
以下の定義は、以下の明細書で用いられている特定の用語について提供されている。
【0050】
特段定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されている意味を有している。以下の参考文献は、当業者に、多くの本発明で用いられる用語の一般的な定義を提供している:Singeleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds), Springer Verlag (1991); 及び Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で用いられているような、以下の用語は、別段特定しない限り、以下のそれらに帰する意味を有している。
【0051】
明細書及び特許請求の範囲で用いられているような、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈に明白に別の方法で示されない限り、複数の参照も包含する。
【0052】
本開示において、「含有する」、「含有している」、「含んでいる」及び「有している」等は、米国特許法がそれらに帰している意味を有していて、「包含する」、「包含している」等を意味してもよい;「実質的に〜から成る」又は「実質的に存在する」等は米国特許法がそれらに帰している意味を有していて、この用語には制約がなく、列挙されているものの基本的な或いは新規な特徴が列挙されているもの以上が存在することによって変更されない限り、列挙されているもの以上のものの存在を許容するが、先行技術の実施態様は除外している。
用語「投与(adminstration)」又は「投与すること(adminstring)」は、治療を必要としている対象に、本発明の化合物又は医薬組成物を提供する形態を示すように意図されている。
【0053】
語句「〜と組合わせて」は、阻害核酸分子と化学療法剤を一緒に供給する投与の全ての形態を示すように意図されていて、あらゆる順序の連続投与を包含できる。
【0054】
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」又は本明細書で用いられているようなタンパク質は、アミノ酸残基のポリマーを示すことを意図し、そして産物の最小長に限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体、等はこの定義に含まれる。全長のタンパク質及びそれらの断片の両方がこの定義に包含される。この用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等も包含する。更に、本発明の目的上、「ポリペプチド」は、タンパク質が望ましい活性を保持している限り、天然の配列に対する、欠失、付加及び置換(一般に天然保存的に)のような修飾を含んでいるタンパク質を示す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発であるような、意図的であっても、或いはタンパク質を産生する宿主の突然変異又はPCR増幅に起因するエラーのような、偶発的であってもよい。
【0055】
本明細書で用いられる用語「シトビリン」(SVN)は、天然の、遺伝子組み換えで生産された、又は合成されたものから単離又は精製されたかどうかにかかわらず、実質的に配列番号1からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一又は相同なタンパク質(本明細書で定義されるような)を示すように意図されている。抗ウィルス性断片は、例えば、1〜20個の、好ましくは1〜10個の、より好ましくは1、2、3、4、又は5個の、そして最も好ましくは1個又は2個のアミノ酸を、配列番号1の野生型シトビリンのような、野生型シトビリンの一端又は両端から、好ましくは一端だけから、最も好ましくはアミノ末端から除去することによって作り出すことができる。
【0056】
本明細書で用いられる用語「シアノビリン」(CV−N)は、天然の、遺伝子組み換えで生産された、又は合成されたものから単離又は精製されたかどうかにかかわらず、実質的に配列番号2からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一又は相同なタンパク質(本明細書で定義されるような)を示すように意図されている。抗ウィルス性断片は、例えば、1〜20個の、好ましくは1〜10個の、より好ましくは1、2、3、4、又は5個の、そして最も好ましくは1個又は2個のアミノ酸を、配列番号2の野生型シアノビリンのような、野生型シアノビリンの一端又は両端から、好ましくは一端だけから、最も好ましくはアミノ末端から除去することによって作り出すことができる。
【0057】
本明細書で用いられる用語「グリフィスシン」(GRFT)は、天然の、遺伝子組み換えで生産された、又は合成されたものから単離又は精製されたかどうかにかかわらず、実質的に配列番号3からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一又は相同なタンパク質(本明細書で定義されるような)を示すように意図されている。抗ウィルス性断片は、例えば、1〜20個の、好ましくは1〜10個の、より好ましくは1、2、3、4、又は5個の、そして最も好ましくは1個又は2個のアミノ酸を、配列番号3の野生型グリフィスシンのような、野生型グリフィスシンの一端又は両端から、好ましくは一端だけから、最も好ましくはアミノ末端から除去することによって作り出すことができる。
【0058】
用語「粘膜(mucous membranes、mucosal membranes)」及び「粘膜組織」は互換的に用いられて、鼻の(前鼻孔、鼻咽頭腔、等を包含する)、口腔の(例えば、唇の裏側、口腔及び歯茎を包含する口)、膣の、及びその他の同様の組織の表面を示す。
【0059】
本明細書で用いられる用語「断片」は、無傷の全長ポリペプチド配列及び構造の1部分のみからなるポリペプチドを包含するように意図されている。断片は、天然ポリペプチドのC−末端欠失及び/又はN−末端欠失を包含できる。特定タンパク質、例えば、...の「免疫原性断片」又は「抗原断片」は、一般に、本明細書に記載されているアッセイ又は当該技術分野で公知の何れかの標準的なアッセイで測定される時に、問題の断片が免疫原性又は抗原活性を保持している限り、エピトープ、或いは全長配列と5アミノ酸の間の何れの整数も定義する全長分子の少なくとも約5〜10個の連続したアミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25の連続したアミノ酸残基、そして最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個又はそれ以上の連続したアミノ酸残基を包含する。
【0060】
本明細書で用いられる用語「抗ウィルス剤」は、哺乳動物においてウィルスの形成及び/又は複製阻害に有効な薬剤(化合物又は生物製剤)を包含するように意図されている。これは哺乳動物においてウィルスの形成及び/又は複製に不可欠な宿主又はウィルスのメカニズムの何れかを妨げる薬剤を包含する。抗ウィルス剤は、例えば、リバビリン、アマンタジン、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、VX−498(Vertex Pharmaceuticals)、レボビリン(Levovirin)、ビラミジン(Viramidine)、セプレン(Ceplene, maxamine)、XTL−001及びXTL−002(XTL Biopharmaceuticals)を包含する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「治療」又は「治療する」は、対象におけるウィルス感染の症状を軽減或いは取り除くために及び/又は対象におけるウィルス量を減少するために、本発明の化合物又は組成物の投与を示すように意図されている。ある特定の例では、治療は対象におけるHCVの症状を軽減或いは取り除くこと、及び/又は対象におけるウィルス量を減少することを示すように意図されている。
【0062】
本明細書で用いられる用語「予防」又は「予防する」は、個体のウィルスへの曝露後であるが疾患の症状が現れる前の、及び/又は血液中にウィルスが検出される前の、本発明の化合物又は組成物の投与を示すように意図されている。ある特定の例では、予防はHCVの予防を示すように意図されている。
【0063】
「核酸」分子又は「ポリヌクレオチド」は、二重及び一重のらせん配列の両方を包含できて、これに限定されないが、ウィルス由来のcDNA、原核生物又は真核生物のmRNA、ウィルス(例えば、DNAウィルス及びレトロウィルス)由来のゲノムDNA配列、又は原核生物のDNA、そして特に合成DNA配列を示す。この用語は、公知のDNA及びRNAの塩基類似体の何れもを包含する配列も捉える。
【0064】
「コード配列」又は選択されたペプチドを「コードする」配列は、適切な調節配列の制御下に置かれたときに、インビトロ又はインビボでポリペプチドに転写(DNAの場合)及び翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端にある開始コドン及び3’(カルボキシ)末端にある翻訳停止コドンによって確認される。転写終結配列はコード配列の3’に位置することができる。
【0065】
本明細書で用いられる用語「相同性(homology)」は、2つのポリヌクレオチドの間又は2つのポリペプチド部分の間の同一性パーセントを示すように意図されている。2つのDNA又は2つのポリペプチド配列は、定義した分子の長さにわたって、配列が少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%、或いはそれ以上の配列同一性を示す場合に、互いに「実質的に相同」である。本明細書で用いられている、実質的に相同は、特定のDNA又はポリペプチド配列と全く同一であることを示している配列も示す。
【0066】
本明細書で用いられる用語「同一性」又は「同一の」は、2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列のそれぞれの正確なヌクレオチド−ヌクレオチド又はアミノ酸−アミノ酸の一致を示す。同一性パーセントは、配列を整列し、2つの整列させた配列間でマッチする正確な数を数え、短い方の配列の長さで割り、そしてその結果に100を掛けることによる、2つの分子の間の配列情報の直接比較によって決定することができる。容易に入手できるコンピュータクログラム、例えば、ペプチド分析のための Smith and Waterman Advances in Appl. Math. 2:482-489, 1981 のローカル相同性アルゴリズムに適合している、ALIGN, Dayhoff, M. O. in Atlas of Protein Sequence and Structure M. O. Dayhoff ed., 5 Supple. 3:353-358, National biomedical Research Foundation, Washington, D.C., のようなものを分析を補助するために用いることができる。ヌクレオチド配列同一性を確認するプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 (Genetics Computer Group, Madison, Wis. から入手可能)、例えば、これも Smith and Waterman アリゴリズムに依存している、BESTFIT, FASTA and GAP プログラムを利用できる。これらのプログラムは、製造会社が推奨し、そして上記の Wisconsin Sequence Analysis Package に記載されているデフォルトパラメータと共に容易に利用できる。例えば、参照配列に対する特定ヌクレオチド配列の同一性パーセントは、デフォルトスコア表と6つのヌクレオチドの位置のギャップペナルティーと共にSmith and Waterman の同一性アルゴリズムを用いて確認することができる。
【0067】
同一性パーセントを確立する別の方法は、John F. Collins and Shane S. Sturrok が開発し、エジンバラ大学が著作権を有し、IntelliGenetics, Inc. (Mountain View, Calif.) が販売している、プログラムのMPSRCHパッケージを用いることである。このパッケージ一式から、デフォルトパラメータをスコア表に用いる(例えば、12のギャップ開始ペナルティー、1つのギャップ延長ペナルティー、及び6つのギャップ)Smith-Waterman アルゴリズムを使用できる。作成されたデータから「一致」値が「配列同一性」を示す。配列間の同一性又は相似性のパーセントを算定するその他の適切なプログラムは、当該技術分野で一般に知られていて、例えば、他の整列プログラムは、デフォルトパラメータと共に用いられる、BLASTである。例えば、BLASTN及びBLASTPは、以下のデフォルトパラメータを使用して用いることができる:遺伝コード=標準;フィルター=なし;らせん構造=両方;カットオフ値=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記述=50配列;ソート手段=HIGH SCORE;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translation+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は以下のインターネットアドレスから入手できる:http://www.ncbi.nln.gov/cgi-bin/BLAST。
【0068】
或いは、相同性は、相同領域間に安定な二本鎖を形成する条件下でポリヌクレオチドのハイブリダイゼイションにより、続く一本鎖特異的ヌクレアーゼで消化、及び消化された断片のサイズ決定によって確認できる。実質的に相同なDNA配列は、例えば、その特定のシステムについて定義される、ストリンジェント条件下の、サウザンハイブリダイゼイション実験において同定できる。適切なハイブリダイゼイション条件の定義付けは当該技術分野の技術の範囲内である。例えば、Sambrook et al., supra; DNA Cloning, supra; Nucleic Acid Hybridization, supra を参照されたい。
【0069】
シトビリン(SVN)
SVNは、シアノバクテリアのサイトネマ・バリウム(Scytonema varium)から単離されるレクチンである。SVNの一本鎖は、95個のアミノ酸を含有し;そのうちの10個はシスティンであり、5つの鎖間ジスルフィド結合を形成する。トリプシン消化で得られる断片の質量分析によって解明された、それらのパターンは、C7−C55、C20−C26、C32−C38、C68−C74、及びC80−C86であると示された(Bokesch et al. 2003 A Potent novel antiHIV protein from the cultured cyanobacterium Scytonema varium. Biochemistry 42: 2578-2584)。SVNは、C7−C55ジスルフィド結合によって結合している2つの機能的なドメインの存在を示唆する、内部配列重複を明らかにしている。分子のN−末端部(残基1〜48)とC−末端部(残基49〜95)の配列の同一性の程度は非常に高い(75%)。
【0070】
SVNは、グリコシル化されたgp160、gp120及びgp41と結合して、オリゴ糖、特にα1−2、α1−2、α1−6結合した四糖類ユニットと相互作用するが、α1−2、α1−2結合した三糖類と結合するという報告はない(Adams et al., 2003. Encoded fiber-optic microsphere arrays for probing protein-carbohydrate interactions. Angew Chem Int Ed Engl 42: 5317-5320)。マンノース又はN−アセチルグルコサミンに対して有意な特異性を示さなくても、そのgp120への結合は、Man8GlcNAc2又はMan9GlcNAc2によって阻害できる。SVNは、T指向性(T-tropic)株及びHIV−1の一次分離株に対してナノモルの活性を示し、HIV結合及び/又は融合の優れた阻害剤であると考えられる(Bokesch et al., 2003)。
【0071】
SVNの一次構造は、ボルボックスカルテリレクチンのキチン結合ドメインと55%の類似性及びセイヨウイラクサ(Urtica dioica; UDA)由来レクチンの配列とやや低いレベルの類似性を示す。SVNをコードする合成遺伝子が構築されて、大腸菌(E. coli)内で発現した。組み換えタンパク質は正確なジスルフィド結合パターンを有していて、gp160結合活性と抗HIV活性の両方を示すことが見出された。
【0072】
ある特定の実施態様では、本明細書で用いられる用語「シトビリン」(SVN)は、天然から単離又は精製されたか、組み換え技術で産出されたか、又は合成されたかにかかわらず、実質的に配列番号1からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一であるか又は相同であるタンパク質(本明細書で定義したように)を示すように意図されている。抗ウィルス活性断片は、例えば、配列番号1の野生型シトビリンのような、野生型シトビリンの1端又は両端、好ましくは1端のみから、そして最も好ましくはアミノ末端から、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1、2、3、4、又は5個、最も好ましくは1又は2個のアミノ酸を除去することによって作成できる。配列番号1は以下に示され、NCBIAccession No.2QT4_Aに対応している。
【0073】
配列番号1
1 gsgptycwne annpggpnrc snnkqcdgar tcsssgfcqg tsrkpdpgpk gptycwdeak
61 npggpnrcsn skqcdgartc sssgfcqgta ghaaa
【0074】
シアノビリン−N(CV−N)
シアノビリン−N(CV−N)は、元来、培養されたシアノバクテリアのノストック・エリプソスポラム(Nostoc ellipsoporum)の水性抽出液から単離及び同定され(米国特許第6,420,336号;参照により、その全てが本明細書に取り込まれている)、そしてHIV阻害剤の新規な供給源を目的としたスクリーニングの取り組みで同定された(Boyd, M.R. In AIDS, etilogy, diagnosis, treatmentand prevention. (DeVia, V.R., Hellman, S. & Rosenberg, S.A., eds) 305-319 (Alan Liss, New York; 1988))、レクチン、及び強力なHIV不活性化タンパク質である。
【0075】
CV−Nは、101残基を含む一本鎖からなり、そのアミノ酸配列は明瞭な重複を示す。CV−Nの第一次構造は、それぞれ1〜50及び50〜101残基からなる非常によく似た部分に分けることができる。一次配列及びジスルフィド結合パターンは、従来の生化学的手法によって確認された(Boyd, M.R. et al. Discovery of cyanovirin-N, a novel human immunodeficiency virus-inactivating protein that binds viral surface envelope glycoprotein gp120: potential applications to microbicide development. Antimicrob. Agents Chemother. 41, 1521-1530 (1997); Gustafson, K.R. et al. Isolation, primary sequence determination, and disulfide bond structure of cyanovirin-N, an anti-HIV protein from the cyanobacterium Nostoc ellipsosporum. Biochem. Biophys. Res. Comm. 238, 223-228 (1997))、そしてタンパク質の過剰発現に対する合成遺伝子が構築された(Mori, T. et al. Recombinant production of cyanovirin-N, a potent human immunodeficiency virus-inactivating protein derived from a cultured cyanobacterium. Protein Exp. Purific. 12, 151-158 (1998))。50個と51個のアミノ酸の内部反復が、互いに強力な配列類似性、及びジスルフィド結合の等価位置を示している(Gustafson, K.R. et al. Isolation, primary sequence determination, and disulfide bond structure of c
yanovirin-N, an anti-HIV protein from the cyanobacterium Nostoc ellipsosporum. Biochem. Biophys. Res. Comm. 238, 223-228 (1997))。更に、シアノビリン−Nは、物理化学的劣化に対して優れた耐性があって、その後の抗ウィルス活性を損なわずに、変性剤、洗浄剤、アセトニトリル又はメタノールのような有機溶媒、複数の凍結溶解サイクル、及び熱(100℃までの)による処理に耐え得ることが示されている(Boyd et al.上記)。シアノビリン−Nの一次配列は、現在までタンパク質データベースに蓄積されている他のタンパク質と類似していない(Bewley et al. Nature Structural Biology 5, 571 - 578 (1998))。
【0076】
ある特定の実施態様では、本明細書で用いられる用語「シアノビリン」(CV−N)は、天然から単離又は精製されたか、組み換え技術で産出されたか、又は合成されたかによらず、実質的に配列番号2からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一であるか又は相同であるタンパク質(本明細書で定義したように)、を示すように意図されている。抗ウィルス活性断片は、例えば、配列番号2の野生型シアノビリンのような、野生型シアノビリンの1端又は両端、好ましくは1端のみから、そして最も好ましくはアミノ末端から、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1、2、3、4、又は5個、最も好ましくは1又は2個のアミノ酸を除去することによって作成できる。配列番号2は以下に示され、NCBIAccession No.P81180に対応している。
【0077】
配列番号2
1 lgkfsqtcyn saiqgsvlts tcertnggyn tssidlnsvi envdgslkwq psnfietcrn
61 tqlagssela aecktraqqf vstkinlddh ianidgtlky e
【0078】
シアノビリン−NとHIVエンベロープ糖タンパク質gp120の間の相互作用がシアノビリン−Nの抗ウィルス活性を明らかにすることが示唆されている(上記のBewley et al. (1998))。多様な実験手法により、シアノビリン−Nは、組み換え、非グリコシル化gp120を含む、gp120と貪欲に結合することが示された。更に、シアノビリン−Nの外因性で、ウィルスフリーのgp120による前処理が、抗ウィルス活性4の濃度依存性の減少をもたらした。NMRによる構造研究に用いた組み換えシアノビリン−Nは、その天然源から単離したシアノビリン−Nのものと区別できなかった、gp120結合及び抗HIV特性を有していた(Boyd, M.R. et al. Discovery of cyanovirin-N, a novel human immunodeficiency virus-inactivating protein that binds viral surface envelope glycoprotein gp120: potential applications to microbicide development. Antimicrob. Agents Chemother. 41, 1521-1530 (1997))。
【0079】
その同定以来、大腸菌におけるシアノビリン−Nの遺伝子組み換え産生のための方法が開発されてきた。(Mori, T. et al., Protein Expr. Purif. 12:151-158, 1998)。シアノビリン−Nは、2つの鎖間ジスルフィド結合を含有している101のアミノ酸の一本鎖からなる、11kDaのタンパク質である。CV−Nは、内部2つ折り疑似対称性を示し、及びHIV表面エンベロープタンパク質、gp120に対して高い親和性及び特異性で結合する、細長い、概してβシート型のタンパク質である(Bewley, C. R. et al., Nature Structural Biology 5(7): 571-578, 1998)。
【0080】
その観察された抗ウィルス活性にも関わらず、シアノビリン−Nタンパク質治療法の開発は、投与後のその比較的短い半減期、更にそのインビボ免疫原性及び潜在的な毒性副作用によって阻まれている。大部分のタンパク質、特に循環血液中に導入される比較的低分子量のタンパク質は、腎臓によって哺乳動物対象からすぐに除去される。この問題は、大量の治療タンパク質の投与により或いは頻回投与を通して部分的に解消できる。しかしながら、タンパク質の高用量は、タンパク質と結合してそれを不活性化してしまう抗体を生じさせ、そして/或いは対象の身体からタンパク質の除去を促進してしまう。このように、このような治療タンパク質の繰返し投与は本質的に効果を無くしてしまう。さらに、このような手法は、アレルギー反応を引き起こし得るので危険性がある。タンパク質治療に関連する問題点を解決するための多様な試みは、マイクロカプセル化、リポソーム送達システム、融合タンパク質の投与、及び化学修飾を包含する。これまでで、これらのうち最も期待できるのは、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、特にポリエチレングリコール(「PEG」)の共有結合による治療タンパク質の修飾である。例えば、Roberts, M. et al., Adv. Drug Delivery Reviews 54 (2002), 459-476は、PEGによる生物学的高分子の共有修飾が生理学的に活性で、非免疫原性の水溶性PEG複合体をもたらすことを記載している。タンパク質を含む、治療用分子にPEGを結合する方法は、例えば、米国特許第4,179,337号、同第5,122,614号、同第5,446,090号、同第5,990237号,同第6,214,966号、同第6,376,604号、同第6,413,507号、同第6,495,659号、及び同第6,602,498にも記載されていて、これらはそれぞれ、参照によりその全てが本明細書に取り込まれている。
【0081】
グリフィスシン(GRFT)
GRFTは、ニュージーランド沖の海域で採取した紅藻グリフィスシア sp.(Griffithsia sp.)から単離された。GRFTはHIV−1に対してピコモルの活性を示し(Mori et al., 2005)、gp120のsCD4への結合と中等度に相互作用することが明らかにされた。可溶性gp120へのGRFTの結合は、グルコース、マンノース、及びN−アセチルグルコサミンによって阻害された(Mori et al., 2005 Isolation and characterization of griffithsin, a novel HIV-inactivating protein, from the red alga Griffithsia sp. J Biol Chem 280: 9345-9353)。HIV−1を阻害することに加えて、GRFTは、SARSを引き起こすコロナウィルスの複製及び細胞変性を阻害することが示された(Ziolkowska et al., 2006. Domain-swapped structure of the potent antiviral protein griffithsin and its mode of carbohydrate binding. Structure 7: 1127-1135.)。GRFTをコードする遺伝子は単離されていないが、アミノ酸配列はシアノバクテリアから精製したタンパク質から直接得られた。GRFT分子は121個のアミノ酸一本鎖から成っている。GRFTの配列分析は、レクチンのβ−プリズム−Iファミリーの全メンバーである、(Raval et al., 2004. A database analysis of jacalin-like lectins: sequence-structure function relationships. Glycobiology 14: 1247-1263; Chandra, 2006. Common scaffolds, diverse recognition profiles. Structure 14: 1093-1094)、ジャカリン(Aucouturier et al., 1987. Characterization of jacalin, the human IgA and IgD binding lectin from jackfruit. Mol Immunol 24:503-511.)、菊芋塊茎レクチン(heltuba;Bourne et al., 1999. Helianthus tuberosus lectin reveals a widespread scaffold for mannose-binding lectins. Structure Fold Des 7: 1473-1482)又はアルトカルピン(artcarpin ; Jeyaprakash et al., 2004. Helianthus tuberosus lectin reveals a widespread scaffold for mannose-binding lectins. Structure Fold Des 7: 1473-1482.) のようなタンパク質に対して僅かな相同性(同一性30%未満)を示した。
【0082】
生物学的及び構造的研究に用いられるGRFTは、大腸菌(Giomarelli et al., 2006. Recombinant production of anti-HIV protein, griffithsin, by auto-induction in a fermentor culture. Protein Expr Purif 47:194-202)又はベンサミアナタバコ(Nicothiana benthamiana;Ziolkowska et al., 2006)の何れかで組み換えタンパク質として製造されている。2つの構築物では、GRFTの残基31がアラニンに置換されていて、この置換はレクチンの炭水化物結合特性に影響しないと思われた。大腸菌で発現したGRFTは、17個のアミノ酸でタンパク質配列を延長している、推定トロンビン開裂部位が続く、N−末端6−His親和性標識を含有していた(Mori et al., 2005 Isolation and characterization of griffithsin, a novel HIV-inactivating protein, from the red alga Griffithsia sp. J Biol Chem 280: 9345-9353; Giomarelli et al., 2006);追加の配列は除去できずに、結晶化タンパク質に存在していた。植物で発現した構築物は標識を何も含んでいなかったので、アセチル化されたN末端及び変異残基31を有していてるものの、真正のタンパク質により類似している(Ziolkowska et al., 2006)。His−標識化及び植物発現GRFTの両方は容易に結晶化するが、植物産生物質から成長した結晶は著しくより良く回析した。これは恐らくポリペプチド鎖の伸長が存在していないことに起因しているようだ。His−標識化グリフィスシンの結晶は非対称ユニット内に単一の分子のみを含有している(PDB code 2gux)のに対して、植物産生物質から成長した全ての結晶形態は2つの分子を含有していた(PDB codes 2gty, 2gue, 2guc, 2gud, 2hyr, 2hyq)(Ziolkowska et al., 2006; 2007. Crystallographic, thermodynamic, and molecular modeling studies of the mode of binding of oligosaccharides to the potent antiviral protein griffithsin. Proteins: Struct Funct Bioinform.)。
【0083】
GRFTの折り畳みはβ−プリズム−Iに対応していて(Chothia & Murzin, 1993. New folds for all-β proteins. Structure 1: 217-22)、多種のレクチン中で、さらに別のいくつかのタンパク質中でも観察された(Shimizu et al. 1996. The β-prism: a new folding motif. Trends Biochem Sci 21: 3-6)。モチーフは、三角のプリズムを形成する逆並行4−らせんβ−シートの3つの反復から成っている。ファミリーの他のメンバーとは違って、GRFTは、1本の鎖の最初の2つのβらせんが別の鎖の10のらせんと結合している(逆の場合も)ドメインを交換した二量体を形成する(Ziolkowska et al., 2006)。
【0084】
同じ折り畳みファミリーに属する別のタンパク質と違って、GRFTの単一分子は、それぞれが複数の接触点を介して単糖類と結合可能な、3つの殆ど同一な炭水化物結合部位を包含している。GRFTの必須二量体にある6つの主要な部位は、非常に似ていて、3組の全てのモノマーに配置されている。炭水化物結合部位は広範囲に及ぶ配列保存を示す構造の部分から形成されるが、主鎖原子の幾つかは、特異的であるが配列非依存性の炭水化物分子との接触に関与していて;これらの接触は3つの部位全てで非常に類似している。
【0085】
GRFTは、それぞれのβシートの第1及び第4らせんを結び付けるループに位置している配列GGSGGの3つの完全に保存されている反復を含有している。これらの配列それぞれの最終残基の主鎖アミドは、リガンド結合部位の作出に関与し、この配列の完全な保存がGRFTのそれぞれの分子上に3つの糖結合部位が存在する最も重要な理由であろう。公知の1つを除いて、GRFTと構造的に近似しているその他のレクチンのそれぞれの分子は、単一の炭水化物結合部位だけを含有している。従って、結合部位1の存在はβ−プリズム−Iレクチン全てについて報告され、結合部位2はバナナレクチンのみで見出された(Meagher et al., 2005. Crystal structure of banana lectin reveals a novel second sugar binding site. Glycobiology 15: 1033-1042.)のに対して、結合部位3はGRFTに固有である。GRFTの3つの糖結合部位は、タンパク質の端部に、互いに約15Å離れた炭水化物分子を有する、殆ど完璧な正三角形を形成する。GRFTと二糖類の複合体中にも非常に類似した相互作用が存在し、そこでは追加の糖ユニットがタンパク質と0〜2個の水素結合を作る(Ziolkowska et al., 2007)。
【0086】
報告されているGRFTのHIVに対する生物活性は、単糖類に特異的な幾つかのレクチンについて報告されている活性より>1000倍高い(Charan et al., 2000. Isolation and characterization of Myrianthus holstii lectin, a potent HIV-1 inhibitory protein from the plant Myrianthus holstii. J Nat Prod 63: 1170-1174.; Ziolkowska et al., 2006)。GRFTは別個の結合部位を二量体中のマンノースにもたらすので、HIV gp120上に見出される高マンノース型オリゴ糖に対する結合能力は顕著である。
【0087】
ある特定の実施態様では、本明細書で用いられる用語「グリフィスシン」(GRFT)は、天然から単離又は精製されたか、組み換え技術で産出されたか、又は合成されたかにかかわらず、実質的に配列番号3からなる単離又は精製されたタンパク質、更にそれらの抗ウィルス性断片、及び実質的に同一であるか又は相同であるタンパク質(本明細書で定義したように)を示すように意図されている。抗ウィルス活性断片は、例えば、配列番号3の野生型グリフィスシンのような、野生型グリフィスシンの1端又は両端、好ましくは1端のみから、そして最も好ましくはアミノ末端から、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1、2、3、4、又は5個、最も好ましくは1又は2個のアミノ酸を除去することによって作成できる。配列番号3は以下に示され、NCBIAccession No.P84801に対応している。
【0088】
配列番号3
1 slthrkfggs ggspfsglss iavrsgsyld xiiidgvhhg gsggnlsptf tfgsgeyisn
61 mtirsgdyid nisfetnmgr rfgpyggsgg santlsnvkv iqingsagdy ldsldiyyeq
121 y
【0089】
変異体
本発明は、ある特定の実施態様において、CV−N、SVN、GRFTの変異体を特徴としている。
【0090】
本発明は、ある特定の実施例において、(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約60%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約60%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約60%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約60%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、又はその断片を含有している単離又は精製された核酸;を特徴としている。
【0091】
本明細書で用いられる用語「相同性」は、2つのポリヌクレオチドの間又は2つのポリペプチド部分の間の同一性パーセントを示すように意図されている。2つのDNA又は2つのポリペプチド配列は、定義した分子の長さにわたって、配列が、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%、或いはそれ以上の配列同一性を示す場合に、互いに「実質的に相同」である。本明細書で用いられている、実質的に相同は、特定のDNA又はポリペプチド配列と全く同一であることを示している配列も示す。
【0092】
本明細書で用いられる用語「同一性」又は「同一の」は、2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列のそれぞれの正確なヌクレオチド−ヌクレオチド又はアミノ酸−アミノ酸の一致を示す。
【0093】
上の単離又は精製された核酸を「配列同一性の%」の用語で特定する場合、上記のような所定の核酸分子は、比較ウィンドウ(comparison window)にわたり核酸配列を最適に整列することによって、対応遺伝子(すなわち参照配列)をコードする核酸分子と比較される、ここでは2つの配列の最適な整列のために、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の部分が、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいない参照配列と比較して付加又は欠失を含有していてもよい。配列同一性のパーセントは、同一の核酸塩基が両方の配列中に生じる位置の数、すなわち、マッチした位置の数を確認すること、マッチした位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数で割ること、そして結果に100を掛けて配列同一性パーセントを得ることによって算定される。比較のための配列の最適な整列は、公知アルゴリズムのコンピュータによる実行によって(例えば、 Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, Wis.,中のGAP, BESTFIT, FASTA, 及び TFASTA 、又はthe National Center for Biotechnology Information, Bethesda, Md. から入手できる BlastN 及び BlastX)又は検定によって実施できる。配列は通常、デフォルトパラメータと共にBESTFIT又はBlastNを用いて比較する。
【0094】
「実質的な配列同一性」は、所定の核酸分子の配列の約60%、好ましくは約65%、より好ましくは約70%、さらにより好ましくは約75%、もっとより好ましくは約80%、さらにもっとより好ましくは約85%、そして最も好ましくは約90%又はそれ以上が所定の参照配列と同一であることを意味している。通常、ポリペプチドの比較しているアミノ酸の約60%、好ましくは約65%、より好ましくは約70%、さらにより好ましくは約75%、もっとより好ましくは約80%、さらにもっとより好ましくは約85%、そして最も好ましくは約90%又はそれ以上が所定の参照配列のアミノ酸と同一であるか或いは同類置換を示す場合は、二つのポリペプチドは実質的に同一であると考えられる。
【0095】
ポリヌクレオチド配列が実質的に同一であるという別の目安は、二つの分子がストリンジェントな条件下で互いに選択的にハイブリダイズするか否かである。語句「選択的にハイブリダイズする」は、異種DNA及び/又はRNAの調製中に標的配列が存在しているときに、一本鎖核酸プローブが、相補配列の一本鎖標的DNA又はRNA配列と選択的に結合することを示す。ストリンジェントな条件は配列依存性で、異なった環境では異なるだろう。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度及びpHで特定配列に対する熱融解温度(Tm)より低い約20℃になるように選択される。Tmは標的配列の50%が完全にマッチしているプローブとハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度及びpH下で)である。
【0096】
上のことを考慮すると、「ストリンジェントな条件」は、好ましくは約25%以下のミスマッチ、より好ましくは約15%以下のミスマッチ、そして最も好ましくは約10%以下のミスマッチを許容する。「少なくとも中程度のストリンジェントな条件」は、好ましくは約約40%のミスマッチ、より好ましくは約30%のミスマッチ、そして最も好ましくは約20%のミスマッチを許容する。「低度のストリンジェントな条件」は、好ましくは約約60%のミスマッチ、より好ましくは約50%のミスマッチ、そして最も好ましくは約40%のミスマッチを許容する。この程度のストリンジェント性をもたらすハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、とりわけ以下の「実施例」で引用されている参考資料を用いて当業者が選択できる。
【0097】
しかしながら、同一ではなくても、実質的に類似しているアミノ酸配列をコードしているにも関わらず、遺伝子コードの縮重によって、2つのポリヌクレオチド配列が核酸レベルで実質的に異なりうるということを、当業者は理解できるだろう。本発明はこのようなポリヌクレオチド配列を包含するように意図されている。
【0098】
本発明のオリゴヌクレオチドを合成するために用いる多種の技術は当該技術分野で公知である。例えば、Lemaitre et al., PNAS USA 84: 648-652 (1987)を参照されたい。
【0099】
本願の開示を考慮すると、ある特定の修飾したシトビリン遺伝子配列が、十分に機能性の、すなわち、抗HCVのような、抗ウィルス性のシトビリン同族体をコードするだろうということは、当業者に明らかであろう。機能的なシトビリンのための最小必須DNAコード配列は、例えば、野生型シトビリンを含有するサブ配列の合成及び評価によって、そしてシトビリンDNAコード配列の部位特異的突然変異誘発の検討によって、当業者は容易に確認できるだろう。
【0100】
ある特定の実施例では、変異体は、1つ又はそれ以上の同類又は中性アミノ酸置換、又はN−末端又はC−末端の1つ又はそれ以上のアミノ酸付加を包含していて、そこでは変異体は、配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列から実質的に成る抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している。
【0101】
ある特定の実施例では、変異体は1つ又はそれ以上のアミノ酸置換を有するCV−N、SVN、GRFTポリペプチドを包含している。
【0102】
アミノ酸置換
天然の配列にある1つ又はそれ以上のアミノ酸を、変化を生じさせずに、同様の電荷及び極性を有している別のアミノ酸で置換、すなわち同類アミノ酸置換できることは当該技術分野で周知である。天然のポリペプチド配列内のアミノ酸についての同類置換は、そのアミノ酸が属しているクラスの別のメンバーから選ばれてもよい。
【0103】
天然のタンパク質に見られる20のアミノ酸は一般に極性(S、T、C、Y、D、N、E、Q、R、H、K)又は非極性(G、A、V、L、I、M、F、W、P)として分類できる。これらは更に、4つの主要なクラスに分類でき;すなわち、酸性、塩基性、中性/極性、及び中性/非極性、ここで最初の3つのクラスは上記「極性」の一般的な標題の下に分類される。これら4つのクラスは以下の特性を有している。
【0104】
酸性:生理的pHの水溶液中で分子のかなりの割合(例えば、少なくとも25%)がマイナスに帯電してる(Hイオンの損失による)。
【0105】
塩基性:生理的pHの水溶液中で分子のかなりの割合(例えば、少なくとも25%)がプラスに帯電してる(Hイオンとの結合による)。
【0106】
生理的pHの水性媒体中でペプチドの立体配座における外表位置を求めるために、酸性残基と塩基性残基の両方は水溶液によって引き付けられる。
【0107】
中性/極性:残基は生理的pHでは耐電していないが、水性媒体中でペプチドの立体配座における外表位置を求めるために、水溶液によって引き付けられる.
【0108】
中性/非極性:残基は生理的pHでは耐電していなく、そして水性媒体中でペプチドの立体配座における内部位置を求めるために、水溶液によってはじかれる。これらの残基は「疎水性」とも表される。
【0109】
アミノ酸残基は、残基の側鎖置換基に関して、環式/非環式及び芳香族/非芳香族として、そして小さい又は大きいとして更に下位分類できる。残基はカルボキシルの炭素を含めて、炭素原子を総数4個以下含有している場合に小さいと考えられる。
【0110】
前記の体系に従う天然タンパク質アミノ酸の下位分類は以下の通りである。
酸性:アスパラギン酸及びグルタミン酸
塩基性/非環式:アルギニン及びリジン
塩基性/環式:ヒスチジン
中性/極性/小:スレオニン、セリン及びシステイン
中性/極性/大/非芳香族:アスパラギン及びグルタミン
中性/極性/大/芳香族:チロシン
中性/非極性/小:アラニン
中性/非極性/大/非芳香族:バリン、イソロイシン、ロイシン、及びメチオニン
中性/非極性/大/芳香族:フェニルアラニン及びトリプトファン
理論的には、中性/非極性/大/環式及び非芳香族に含まれる、プロリンはペプチド鎖の二次立体構造におけるその公知の効果に起因する特特殊なケースと考えられていて、ゆえにこの定義された群に包含されないが、それ自身の群として見なされる。
【0111】
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のアミノ酸のハイドロパシックインデックスの役割を考慮できる。例えば、 Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982) を参照されたい。アミノ酸の相対的なハイドロパシック特性が、その得られるタンパク質の二次構造に関与し、次いでタンパク質と、その他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原等との相互作用を規定するということが認められている。タンパク質の最も大きい局所平均親水性がタンパク質の生物学的特性に関連していることが知られているので、類似したアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的に行えることも当該技術分野で理解されている。例えば、参照によりその全てが本明細書に取り込まれている、米国特許第4,554,101号を参照されたい。それぞれのアミノ酸は、以下に挙げられているように、ハイドロパシックインデックス及び親水性値を割り当てられている。アラニン+1.8−0.5、システイン+2.5−1.0、アスパラギン酸−3.5+3.0.+−.1、グルタミン酸−3.5+3.0.+−.1、フェニルアラニン+2.8−2.5、グリシン−0.40、ヒスチジン−3.2−0.5、イソロイシン+4.5−1.8、リジン−3.9+3.0、ロイシン+3.8−1.8、メチオニン+1.9−1.3、アスパラギン−3.5+0.2、プロリン−1.6−0.5.+−.1、グルタミン−3.5+0.2、アルギニン−4.5+3.0、セリン−0.8+0.3、スレオニン−0.7−0.4、バリン+4.2−1.5,トリプトファン−0.9−+3.4、チロシン−1.3−2.3。
【0112】
ある特定のアミノ酸は、同様なハイドロパシック又は親水性インデックス、スコア又は値を有している別のアミノ酸で置換することができて、同様な生物活性を有するタンパク質をもたらすことが当該技術分野で知られている。ハイドロパシックインデックス又は親水性値が+−.2以内のアミノ酸の置換が好ましく、+−.1以内のものがより好ましく、そして+−.0.5以内のものがもっとも好ましい。
【0113】
上記のように、同類アミノ酸置換は、従って、アミノ酸側鎖置換の相対的な類似性、例えば、その疎水性、親水性、荷電、大きさ等に基づいている。上記の多種の特性を考慮に入れた典型的な置換は当業者に公知であって、アルギニ/リジン;グルタミン酸塩/アスパラギン酸塩;セリン/スレオニン;グルタミン/アスパラギン;及びバリン/ロイシン/イソロイシンを包含する。
【0114】
本発明のCV−N変異体は、4−アミノ酪酸等のような、β−アラニン、その他のω−アミノ酸;a−アミノイソ酪酸(Aib)、サルコシン(Sar)、オルニチン(Om)、シトルリン(Cit)、t−ブチルアラニン(t−BuA)、t−ブチルグリシン(t−BuG)、N−メチルイソロイシン(N−MeIle)、フェニルグリシン(Phg)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、ノルロイシン(Nle)、システイン酸(Cya)、及びメチオニンスルホキシド(MSO)のような、タンパク質中で天然に発生しない、一般に見かけるアミノ酸も包含できる。これらのアミノ酸も上記の体系により、以下のように分類できる:Sar及びβ−Alaは中性/非極性/小;t−BuA、t−BuG、N−MeIle、Nle及びChaは中性/非極性/大/非芳香族;Omは塩基性/非環式/Cyaは酸性;Cit、アセチルLys、及びMSOは中性/極性/大/非芳香族そしてPhgは中性/非極性/大/芳香族である。
【0115】
各種ω−アミノ酸は、中性/非極性/小(β−Ala、4−アミノ酪酸)、又は大(その他全て)のように大きさにより分類される。従って、これらのアミノ酸を用いる同類置換を確認することができる。
【0116】
本発明の好ましい態様では、ポリペプチド又はその断片の生物学的機能等価物は、約25又はそれ以下の同類アミノ酸置換を、より好ましくは約15又はそれ以下の同類アミノ酸置換を、そして最も好ましくは約10又はそれ以下の同類アミノ酸置換を有している。更に好ましい実施態様では、ポリペプチドは1〜10、1〜7、又は1〜5の同類置換を有している。選択した実施態様では、ポリペプチドは1、2、3、4又は5つの同類アミノ酸置換を有している。それぞれ場合に、天然のCV−Nの、以下に示す好ましいアミノ酸残基における置換が好ましい。
【0117】
非同類置換は、付加、欠失及び同類置換について上で挙げた基準内に含まれない置換を包含する。非同類置換は、CV−Nのgp120及びその他の高マンノースタンパク質との結合を許容するマンノース結合部位(以下を参照されたい)から、三次元的に、遠いところにあるタンパク質の領域に限定されるのが好ましい。タンパク質が15又はそれ以下の非同類アミノ酸置換を有することが好ましく、10又はそれ以下の非同類アミノ酸置換を有することがより好ましい。更に好ましい実施態様では、ポリペプチドは5つ未満の非同類置換を有している。選択した実施態様では、ポリペプチドが0、1、2、又は3つの非同類アミノ酸置換を有している。
【0118】
ウィルスベクター及び形質転換
ウィルスベクターは、核酸と恐らくタンパク質を細胞内に導入するためにウィルス配列を利用する発現構築物の1種である。ある特定のウィルスの、受容体介在エンドサイトーシスを介して細胞を感染するか或いは細胞に侵入し、そして宿主細胞ゲノム内に取り込まれてウィルス遺伝子を安定に効率よく発現する能力により、それらを、外来の核酸を細胞(例えば、哺乳動物の細胞)内に転移するための興味深い候補としている。本発明のベクター成分は、1つ又はそれ以上の候補物質、又は、例えば、候補物質に対する免疫調節剤又は補助剤のようなその他の成分をコードするウィルスベクターでよい。本発明の核酸を送達するために用いられるウィルスベクターの限定されない例が、本明細書に記載されている。
【0119】
核酸を送達するための1つの方法は、アデノウィルス発現ベクターの使用を包含している。「アデノウィルス発現ベクター」は、(a)構築物のパッケージングを保持して(b)そこにクローン化されている組織又は細胞特異的構築物を最終的に発現するのに十分なアデノウィルス配列を含有している構築物のようなものを包含するように意図されている。遺伝子構成、又はアデノウィルス、36kb、直線、二本鎖DNAウィルスの知見が、大きなアデノウィルス性DNAを7kbまでの外来遺伝子で置換することを可能にしている(Grunhaus and Horwitz, 1992)。
【0120】
アデノウィルス支援トランスフェクションを用いて核酸を細胞内に導入することができる。アデノウィルス結合系を用いる細胞系におけるトランスフェクション効率の増大が報告されている(Kelleher and Vos, 1994; Cotten et al., 1992; Curiel, 1994)。アデノ関連ウィルス(AAV)は、高頻度の組み込みを有していて、非分割細胞を感染できるので、遺伝子を哺乳動物の細胞へ送達するのに、例えば細胞培養(Muzyczka, 1992)又はインビボにおいて有用であるので、本発明の候補物質に用いるのに魅力的なベクター系である。rAAVベクターの作成及び使用に関する詳細は、それぞれが参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第5,139,941号及び同第4,797,368号に記載されている。
【0121】
レトロウィルスを用いることができる。レトロウィルスベクターを構築するために、核酸(例えば、本明細書に記載されている一本鎖抗体をコードするもの)をある特定のウィルス配列の代わりにウィルスゲノムに挿入して、複製に欠陥があるウィルスを産出する。ウィルス粒子を産出するために、gag、pol、及びenv遺伝子を含有するがLTRがないパッケージング細胞株及びパッケージング成分を構築する(Mann et al., 1983)。
【0122】
レンチウィルスは複合レトロウィルスで、これは、通常のレトロウィルス遺伝子、gag、pol及びenvに加えて、制御又は構造機能を有する他の遺伝子を含有している。レンチウィルスベクターは当該技術分野において周知である(例えば、Naldini et al., 1996; Zufferey et al., 1997; Blomer et al., 1997; U.S. Pat. Nos. 6,013,516 and 5,994,136 を参照されたい)。レンチウィルスの幾つかの例は、ヒト免疫不全ウィルス:HIV−1、HIV−2、及びサル免疫不全ウィルス:SIVを包含する。レンチウィルスベクターは、HIV毒性遺伝子を多重に弱毒化することによって産出されている。例えば遺伝子env、vif、vpr、vpu及びnefを欠失させて、ベクターを生物学的に安全にする。
【0123】
組み換えレンチウィルスベクターは非分割細胞を感染でき、そしてインビボ及びエクスビボの両方での遺伝子転写及び核酸配列の発現に用いることができる。例えば、非分割細胞を感染する組み換えレンチウィルスの能力は、参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第5,994,136号に記載されている。
【0124】
使用できるその他のウィルスベクターはワクシニアウィルス(Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986; Coupar et al., 1988)、シンドビスウィルス、サイトメガロウィルス及び単純ヘルペスウィルスのようなウィルス由来のベクターを包含する。これらは多種の哺乳動物細胞に対して幾つかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann, 1989; Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986; Coupar et al., 1988; Horwich et al., 1990)。
【0125】
送達
本発明で用いるための、細胞、組織又は生命体を形質変換するために核酸を送達する適切な方法は、本明細書に記載されているか或いは当業者に公知であるような、核酸(例えば、DNA)を細胞、組織又は生命体に導入できる何れの方法も実質的に包含すると考えられる。このような方法は、これに限定されないが、エクスビボトランスフェクションによる(Wilson et al., 1989, Nabel et al., 1989);マイクロインジェクション(Harlan and Weintraub, 1985; 参照により本明細書に取り込まれている米国特許第 5,789,215号)を包含する注射による(それぞれが参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号及び同第5,580,859号);電気穿孔法による(参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第5,384,253号;Tur-Kaspa et al., 1986; Potter et al., 1984);リン酸カルシウム沈殿法による(Graham and Van Der Eb, 1973; Chen and Okayama, 1987; Rippe et al., 1990);DEAE−デキストラン、続いてポリエチレングリコールを用いることによる(Gopal, 1985);直接超音波負荷による(Fechheimer et al., 1987);リポソーム介在トランスフェクション(Nicolau and Sene, 1982; Fraley et al., 1979; Nicolau et al., 1987; Wong et al., 1980; Kaneda et al., 1989; Kato et al., 1991)及び受容体介在トランスフェクションによる(Wu and Wu, 1987; Wu and Wu, 1988);微粒子銃による(それぞれが参照により本明細書に取り込まれている、国際特許出願公開WO94/09699号及び同WO95/06128号;米国特許第 5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号、及び同第5,538,880号);炭化ケイ素繊維で撹拌して(Kaeppler et al., 1990; 参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第 5,302,523号及び同第5,464,765号);プロトプラストのPEG介在トランスフェクションで(Omirulleh et al., 1993; それぞれが参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第4,684,611号、及び第4,952,500号);乾燥/阻害介在DNA取込みによって(Potrykus et al., 1985)、及びこのような方法の何れかの組み合わせのような、DNAの直接送達を包含する。これらのような技術の適用を通して、細胞、組織又は生命体を安定に或いは一時的に形質転換することができる。
【0126】
宿主細胞
本明細書で用いられている用語「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」は互換的に用いられている。これらの用語全ては、ありとあらゆる次世代である、それらの子孫も包含する。全ての子孫が、意図的な又は偶発性の突然変異によって同一ではないかもしれない。異種核酸配列を発現することに関連して、「宿主細胞」は原核又は真核細胞を示して、ベクターを複製すること及び/又はベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することができる何れの形質転換可能な生命体も包含する。宿主細胞はベクターの受容体として用いることができ、そして用いられている。宿主細胞は、外来の核酸が宿主細胞内へ転移又は導入される過程を示す「トランスフェクト」又は「形質転換」することができる。形質転換細胞は、第一次対象細胞及びその子孫を包含する。本明細書で用いられる用語「遺伝子操作された」及び「組み換え」細胞又は宿主細胞は、その中に例えば、ベクターのような外来の核酸配列が導入されている細胞を示すように意図されている。従って、組み換え細胞は、組み換え技術によって導入された核酸を含んでいない天然の細胞と区別される。
【0127】
RNA又はタンパク性配列が、同じ宿主細胞中で選択した別のRNA又はタンパク性配列と同時発現されることも意図されている。同時発現は、宿主細胞を2つ又はそれ以上の異なった組み換えベクターで同時に形質転換することによって達成できる。あるいは、単一組み換えベクターは、RNAに対する複数の異なったコード領域を包含するように構築することができ、このRNAは次いでこの単一ベクターで形質転換された宿主細胞中に発現する。
【0128】
ある特定の実施態様では、宿主細胞又は組織は、少なくとも1つの生命体に含まれていてもよい。ある特定の実施態様では、生命体は、これに限定されないが、当該技術分野の当業者が理解できるような(例えば、ウェブ・ページphylogeny.arizona.edu/tree/phylogeny.htmlを参照されたい)、原核生物(例えば、真正細菌、古細菌)又は真核生物であってもよい。
【0129】
宿主細胞として用いるために、多くの細胞株及び培養物を入手することができ、そしてこれらは生体培養物及び遺伝物質の保管所として機能している、American Type Culture Collection (ATCC,www.atcc.org)を通して、又は各種の細胞発現系の供給メーカー及び供給源を通して入手することができる。適切な宿主は、ベクター骨格及び所望の結果に基づいて当業者が決定することができる。プラスミド又はコスミドは、例えば、多くのベクターを複製するために原核宿主細胞中に導入することができる。ベクター複製及び/又は発現に使用可能な細胞型は、これに限定されないが、大腸菌(例えば、E. coli 株RR1、E. coli LE392、E. coli B、E. coli X1776 (ATCC No. 31537) 更に、E. coli W3110 (F-, lambda-, prototrophic, ATCC No. 273325)、DH5-alpha、JM109、及びKC8)、枯草菌のような棹菌、及びサルモネラチフス菌、セラチア・マルセッセンス、各種緑膿菌種のようなその他の腸内細菌科、更に多数の市販細菌宿主のような細菌を包含する。
【0130】
ベクターの複製及び/又は発現のための真核宿主細胞の例は、これに限定されないが、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、及びPC12 を包含する。多種の細胞型及び生命体由来の多くの宿主細胞が、利用可能で、当業者に公知である。同様に、ウィルス性ベクターを、真核又は原核宿主細胞の何れか、特にベクターの複製又は発現を許容状態にあるものと組み合わせて用いることができる。
【0131】
幾つかのベクターは、それが原核及び真核細胞の両方において複製及び発現されることを可能にする制御配列を利用していてよい。当業者は更に、上記宿主細胞の全てをそれらを保持してベクターの複製を可能にするように培養するための条件を理解されるだろう。また、ベクター、更にベクターがコードする核酸及びそれらの同族ポリペプチド、タンパク質又はペプチドの大量生産を可能にする技術及び条件も理解され、そして公知である。
【0132】
本明細書に記載されている核酸組成物を宿主細胞と組合わせて用いることがことができることが本発明の1つの態様である。例えば、宿主細胞は、配列番号1、2又は3、断片、変異体又は類似配列の全部又は一部分を用いてトランスフェクトできる。
【0133】
発現系
上記検討の組成物の少なくとも一部分又は全てを含有する多くの発現系が存在する。原核生物及び/又は真核生物からなる系を本発明で用いて、核酸配列、又はその同族ポリペプチド、タンパク質及びペプチドを産生することができる。このような系の多くは市販されそして広く利用されている。
【0134】
例えば、昆虫細胞/バキュロウィルス系は、米国特許第5,871,986号、及び同4,879,236号(両者は参照により本明細書に取り込まれている)に記載されているように、異種核酸断片の高レベルのタンパク質発現を産生できるが、これは市販されている。
【0135】
発現系のその他の例は、合成エクジソン誘導受容体を含有している、Inducible Mammalian Expression Systems (例えば、STRATAGENE から入手可能)、又はそのpET Expression System、大腸菌発現系を包含する。誘導性発現系の別の例は、CMVプロモータの全長を用いるテトラサイクリン調節発現を遂行するもので、INVITROGEN から入手できる。当業者は、如何にして発現構築物のようなベクターを発現させて、核酸配列、又はその同族ポリペプチド、タンパク質、又はペプチドを産生するかを理解しているだろう。
【0136】
本発明の方法で産生されるタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを「過剰発現」、すなわち、細胞内でその自然の発現と比べて増加したレベルで発現させることが、できることが意図されている。このよな過剰発現は、放射性標識及び/又はタンパク質精製を含む、多種の方法によって評価できる。しかしながら、単純で、直接的な方法、例えば、SDS/PAGE及びタンパク質染色又はウェスタンブロッティング、それに続く得られたゲル又はブロットの密度スキャンのような定量分析を包含するようなもの、が好ましい。
【0137】
抗体
特許請求する方法に用いるための抗シトビリン、抗シアノビリン又は抗グリフィスシン抗体も提供される。
【0138】
本明細書で用いられる用語「エピトープ」は、少なくとも約3〜5個の、好ましくは約5〜10個又は15個の、そして約1,000個未満(又は3と1,000の間の整数値)のアミノ酸の配列を示し、これは、単独で又は大きい配列の1部として、このような配列に応答して生じた抗体と結合する配列を規定する。断片の長さに上限臨界値はなく、これはタンパク質配列のほぼ全長、或いは2つ又はそれ以上のエピトープを含有している融合タンパク質でさえ含んでいる。本主題発明で用いるためのエピトープは、それが由来する親タンパク質の部分の正確な配列を有しているポリペプチドに限定されない。実際に、ウィルスゲノムは一定流量の状態の中にあり、そして分離株間に比較的高度の変動性を示す幾つかの可変領域を含んでいる。従って、用語「エピトープ」は、天然配列と同一の配列を、更に欠失、付加及び置換(一般に天然のものと同類)のような天然配列の改変も包含する。
【0139】
所定ポリペプチドのエピトープを含んでいる領域は、当該技術分野で周知の多くのエピトープマッピング手法を用いて同定できる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996) Humana Press, Totowa, N.J. を参照されたい。例えば、直線状エピトープは、多数のペプチドを固体支持体上で同時に合成して、ペプチドをタンパク質分子の部分に対応させ、そしてペプチド支持体に結合させたままペプチドを抗体と反応させることによって、確認することができる。このような手法は当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号;Geysen et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002; Geysen et al. (1986) Molec. Immunol. 23:709-715 (全てが参照によりその全てを本明細書に取り込まれている)を参照されたい。同様に、立体構造エピトープは、アミノ酸の空間配座を、例えばX線結晶解析及び二次元核磁気共鳴によるように、確認して容易に同定される。例えば、上記のEpitope Mapping Protocols を参照されたい。タンパク質の抗原性領域も、例えば Oxford Molecular Group から入手できる Omiga バージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて算出されるような、標準抗原性及びヒドロパシープロットを用いて同定できる。このコンピュータプログラムは、抗原性プロファイルを測定するために、Hopp/Woods method, Hopp et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1981) 78:3824-3828 を、そしてヒドロパシープロットのために、Kyte-Doolittle technique, Kyte et al., J. Mol. Biol. (1982) 157:105-132 を利用する。
【0140】
ある特定の例では、試料中のウィルスを阻害する方法で、マトリックスに固定した抗シトビリン、抗シアノビリン又は抗グリフィスシン抗体を用いることができる。抗体が、本質的に配列番号1,配列番号2又は配列番号3からなるエピトープと結合することが好ましい。シトビリンを固体の支持マトリックスに結合させるための上記と同じ方法を用い、そして同じ配慮をして、抗体を固体の支持マトリックスに結合することができる。一つの例では、抗シトビリン抗体を、電磁ビーズ又はフロースルーマトリックスのような固体の支持マトリックスに結合させるのに用いた結合方法及び分子を、ビオチン/ストレプタジビン結合、又はポリエチレングリコール、アルブミン又はデキストランのような分子を介する結合に利用することができる。また同様に、そのような結合後に、マトリックスに固定された抗シトビリン抗体は、ウィルスを阻害できるタンパク質である、実質的に配列番号1からなるシトビリンと結合する能力を保持していることを示すことができる。マトリックスが電磁ビーズ又はフロースルーマトリックスのような固体の支持マトリックスであることが好ましい。抗シトビリン抗体が結合する固体の支持マトリックスが磁性ビーズを含有している場合は、抗体−シトビリン複合体の除去は磁石を用いて容易に遂行できる。
【0141】
本明細書に記載されているような抗体は本発明の方法で役に立つ。例えば、抗体を、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象にウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与し、それによって対象のウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、対象のウィルス感染を治療又は予防する方法で使用することができる。
【0142】
ある特定の例では、ウィルス感染は、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有するウィルスによって引き起こされる。例えば、ある特定の実施態様におけるウィルスはC型肝炎ウィルス(HCV)である。別の特定の例では、ウィルスがヒト免疫不全ウィルス(HIV)である。
【0143】
よって、シトビリン、シアノビリン、又はグリフィスシンを動物に投与して、動物が対応する抗体を産生する(例えば、シトビリンを投与して抗シトビリン抗体を産生する)ことができる。抗体のあるものはHCV又はHIV中の標的部位、例えば、標的エピトープを認識する内部イメージを有している。周知の方法に従って、ポリクローナル又はモノクローナル抗体を得て、単離し、そして選択できる。このような抗体を、本明細書に提供されている方法に従って、ウィルス感染を阻害するために動物に投与することができる。
【0144】
非ヒト型抗イディオタイプ抗体はヒトのワクチン抗原として有用であることが証明されているが、最近、Vaughan, (Nature Biotech. 16: 535-539 (1998))によって概説されたもののような、「ヒト化」戦略によって、それらの有利な特性を、場合によっては、更に増強し、そして/或いはそれらの有害な特性を更に減少できるかもしれない。あるいは、シトビリン又はシアノビリン又はグリフィスシンを、処理した動物それ自体が、対応する抗体、例えば、抗シトビリン抗体を産生するように、本明細書に提供されている方法に従い、動物に直接投与して、ウィルス感染を阻害することができる。
【0145】
対象の血液からウィルスを除去する方法、生体試料中のウィルスを阻害する方法、皮膚又は粘膜の中又は上にあるウィルスによって引き起こされるウィルス感染を治療又は予防する方法、及び対象物の中又は上にあるウィルスを阻害する方法も、本発明の特徴である。上記方法の全ては、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有するタンパク質と結合する抗体、又はそれらの断片から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象にウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与することを含有していて;それによって生体試料中のウィルスを阻害する。
【0146】
本発明の方法は更に、1つ又はそれ以上の追加の薬剤、例えば、これに限定されないが、追加の治療薬剤又は免疫刺激剤の投与を含有してもよい。
【0147】
上記の方法に関して、当該技術分野で公知の方法に従って、十分な量を決定できる。同様に、動物においてウィルス感染の阻害における免疫応答の十分性も当該技術分野で公知の方法に従って評価できる。
【0148】
上記の方法の何れも更に、免役刺激剤のような、ウィルスに対する免疫応答を誘発する効果がある抗ウィルス剤又はその他の薬剤の、同じ或いは異なった経路による、前、同時又は後の投与のような、免疫応答を増強する補助剤による前、同時又は後の治療を含有している。例えば、Harlow et al., 1988(前出)を参照されたい。
【0149】
方法
本願発明者らはウィルス感染、特に高マンノース型エンベロープを持ったウィルスによる感染を治療及び予防する新規な組成物及び方法を開発した。
【0150】
高マンノース型エンベロープを持ったウィルスは、その表面糖タンパク質上に高マンノース型構造を有しているウィルスである。「高マンノース」は、少なくとも6個の、通常は6〜9個の、連鎖したマンノース環を示すように意図されている。ウィルスの糖タンパク質上に存在する高マンノース型グリカンを有しているウィルスは何れも、本明細書に記載されているような本発明における使用が考慮される。高マンノース型エンベロープを持ったウィルスは、これに限定されないが、HCV、HIV、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、ヘルペスウィルス6、マールブルグウィルス、及びエボラウィルスを包含するように意図されている。特定の実施態様では、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有するウィルスは、これに限定されないが、HCV又はHIVから選ばれる。
【0151】
配列番号1、配列番号2、又は配列番号3、或いはこれらの組み合わせ(例えば配列番号1及び2、配列番号1及び3、配列番号2及び3、配列番号1,2及び3)を含有している組成物を用いる、対象におけるウィルス感染を治療又は予防する方法が本発明で使用可能である。
【0152】
配列番号1、配列番号2、又は配列番号3、或いはこれらの組み合わせ(例えば配列番号1及び2、配列番号1及び3、配列番号2及び3、配列番号1,2及び3)を含有している組成物を用いる、生体試料中のウィルスを阻害する方法も本発明で使用可能である。
【0153】
配列番号1、配列番号2、又は配列番号3、或いはこれらの組み合わせ(例えば配列番号1及び2、配列番号1及び3、配列番号2及び3、配列番号1,2及び3)を含有している組成物を用いる、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法も本発明で使用可能である。
【0154】
ある特定の例では、方法は、次の(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸又はそれらの断片の少なくとも1つの有効量を対象に投与して、それによって対象のウィルス感染を治療又は予防することを含有している。
【0155】
本発明のある特定の方法は、対象が性感染性微生物に曝露されたことを確認又は同定すること、又は対象が性感染性微生物に感染する危険性があるかを確定することに関する段階を含むことができる。従って、感染について検査する段階又は患者の病歴を聴取する段階は本発明の実施態様に含まれる。
【0156】
ある特定の実施態様では、本発明は、感染領域を、次の(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸、又はそれらの断片の少なくとも1つの有効量を含有している局所組成物と接触させて、それによって皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスによって引き起こされたウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスによって引き起こされたウィルス感染を治療又は予防する方法を特徴としている。
【0157】
生体試料は、これに限定されないが、血液、血液製剤、細胞、組織、臓器、精液、ワクチン製剤、及び体液から選ぶことができる。
【0158】
C型肝炎
C型肝炎ウィルス(HCV)は、米国において慢性肝疾患の最も重大な要因の1つである。これは急性ウィルス肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、そして肝硬変、末期肝疾患、及び肝癌の最大50%を占めている。アメリカの人口の1.6%、或いは推定410万人のアメリカ人が、HCVに対する抗体(抗−HCV)を有していて、このウィルスによる継続的感染又は以前の感染を示している。C型肝炎は、米国において年間、推定10,000〜12,000人の死亡を引き起こす。
【0159】
HCVは、公知の6つの肝炎ウィルス;A、B、C、D、E、Gの1つである。HCVの発見は1989年に発表された(Isolation of a cDNA clone derived from a blood-borne non-A, non-B viral hepatitis genome; Choo et al., Science 244 (4902): 359-62. 1989)。C型肝炎ウィルス(HCV)は小さく(大きさ50nm)、エンベロープを持ち、一本鎖で、プラス鎖RNAウイルスである。これはフラビウィルス科のHCV属で唯一公知のメンバーである。C型肝炎ウィルスに6つの主要な遺伝子型があり、これは数字で示されている(例えば、遺伝子型1,遺伝子型2等)。
【0160】
HCVの情報は、digestive.niddk.nih.gov/ddiseases/pubs/chronichepc/ にてワールドワイドなウェブ上で公的に入手できる。
【0161】
C型肝炎の特性は、肝臓の損傷が、生涯とは言わないまでも、長期に渡って存続する慢性肝疾患を引き起こすその性向である。急性C型肝炎患者の約75%が慢性感染を発症する。
【0162】
慢性C型肝炎はその進行及び転帰において変化する。スペクトルの一端には、肝疾患の兆候又は症状を有さず、完全に正常な血清酵素濃度を有している感染者がいて、通常の血液検査は肝疾患を示す。肝臓の生検は通常、ある程度の肝臓損傷を示すが、程度は通常軽度であって、全体的な予後は良いかもしれない。スペクトルの他端には、症状、血清中に高濃度のウィルス(HCV RNA)及び上昇した血清酵素を有している重篤なC型肝炎の患者がいて、彼らは最終的に肝硬変及び末期の肝疾患を発症する。スペクトルの中程には、症状が僅かか又は無く、肝酵素の軽度〜中等度の上昇、及び不明確な予後を有している多くの患者がいる。
【0163】
慢性C型肝炎は、肝硬変、肝不全、及び肝臓癌を引き起こす可能性がある。研究者は慢性C型肝炎患者の少なくとも20%が肝硬変を発症し、その経過は少なくとも10〜20年かかると推定している。慢性C型肝炎からの肝不全は、米国における肝臓移植の最も多い理由の1つである。20〜40年後には、ほんの一握りの患者が肝臓癌を発症する。C型肝炎は先進国における原発性肝臓癌の症例の約半分の原因である。男性、アルコール依存症患者、肝硬変患者、40歳以上の人、20〜40年間に渡って感染している人は、HCV−関連肝臓癌発症の危険性がより高い。
【0164】
HCVは主に感染した血液及び血液製剤との接触によって伝播する。輸血及び共用した、滅菌していない、滅菌が不足している針、注射器及び注射器具又は道具が、米国におけるHCVの伝播の主な経路であった。HCVは性的行為によって感染可能であり、そしてSTD(HIVのような)も存在してより多くの血液接触がなされるときに、更に生じやすい。
【0165】
患者又は対象がHCV感染の危険性があるか否かを評価又は確認することは多種の危険因子の評価を必要とする。幾つかの活動及び習慣がHCVへの曝露の潜在的な原因であると認定されている。
【0166】
薬物注射器を違法薬物の送達経路として最近使用したか或いは使用しているものは、彼らは恐らく、HCV感染血液で汚染されているかもしれない、注射針又はその他の道具(調理器具、コットン、スプーン、水等を包含する)を共有しているかもしれないので、C型肝炎になる危険性が高い。米国において全静注薬物使用者の60〜80%がHCVに感染していると推定されている。
【0167】
使用者間でストロー(粘液及び血液が微量含まれていても)を共有すると、コカイン及び結晶メタンフェタミンのような違法薬物の鼻腔吸入によってHCVの伝染が可能である。
【0168】
HCVは1989年に最初に単離され、そしてウィルスをスクリーニングする確実な検査は1992年まで利用できなかった。従って、HCVをもたらす血液のスクリーニングを実施する以前に血液又は血液製剤を受けた人たちはこのウィルスに曝されていた可能性がある。血液製剤は、凝固因子(血友病患者によりもたらされた)、免疫グロブリン、血小板、及び血漿を含有している。2001年に、疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)は、米国において、輸血された血液1単位からのHCV感染の危険性は、100万輸血単位対1より少ない(100万分の1以下)と報告した。
【0169】
医療及び歯科従事者、第1応答者(例えば、消防士、救急医療隊員、救急技師、捜査官)、及び戦闘従事者は、不測の針刺し、眼又は傷口への血液飛散を介して、血液への不測の曝露によってHCVに曝露されうる。このような不測の曝露に対する普遍的な予防策がHCVへ曝露する危険性を有意に減少する。
【0170】
剃刀、歯ブラシ、爪切り、その他のマニキュア又はペディキュア道具のような個人的なケア用品は血液に汚染されやすい。このような用品の共有は潜在的にHCVへの曝露に導く。
【0171】
感染源が不明の場合の、散発性伝染は、急性C型肝炎症例の約10%及び慢性C型肝炎症例の約30%の根拠である。これらの症例は通常、散発型又は地域感染型感染と呼ばれている。これらの感染は、切り傷、外傷、又は医療的な注射或いは処置によるウィルスへの曝露によってもたらされうる。
【0172】
慢性C型肝炎患者の多くは肝臓疾患の症状がない。症状がある場合は、通常軽度で、非特異的で、そして一時的である。これらは、倦怠感、右上四半部の不快感或いは圧痛(「肝臓痛」)、悪心、食欲不振、筋関節痛を包含する。同様に、健康診断は正常であるか、或いは肝臓の軽度の肥大又は圧痛のみを示しやすい。幾らかの患者はクモ状血管腫又は手掌紅斑を有している。
【0173】
患者がいったん肝硬変を発症すると、或いは患者が重症ならば、症状及び兆候がより顕著である。倦怠感に加えて、患者は筋力低下、食欲不振、悪心、体重減少、掻痒、暗色尿、体液貯留、及び腹部膨満を訴えることもある。肝硬変の身体所見は、肥大肝、肥大化脾臓、黄疸、筋萎縮、表皮剥離(皮膚上の引っかき傷又は擦り傷)、腹水症(体液膨満腹部)、くるぶし腫脹を包含する可能性がある。
【0174】
C型肝炎は、血清アミノトランスフェラーゼが上昇していて血清に抗HCVが存在する場合に最も容易に診断される。この診断は血清におけるHCV RNAの検出によって確認される。
【0175】
慢性C型肝炎は、抗HCVが存在していいて血清アミノトランスフェラーゼが6ヶ月以上に渡って上昇を維持している場合に診断される。HCV RNAの(PCRによる)の検査は、ウィルス血漿が存在しているという診断及び立証を確認する;慢性感染患者の殆ど全てがPCRによって血清中に検出可能なウィルスゲノムを有しているだろう。
【0176】
抗HCVを産生できない患者の診断は、彼らが免疫反応を抑制されているか又は免疫非応答性であるので、問題がある。従って、固形臓器を移植されている、透析中の、コルチコステロイドを摂取している、又は無ガンマグロブリン血症である患者に対してはHCV RNA検査が必要であろう。アルコール依存症、鉄過剰負荷、又は自己免疫のような、肝障害に関連し得る肝臓疾患の別の形態を有している、抗HCVを有する患者においても診断は難しい。これらの状況では、以前のHCV感染、又は軽度のC型肝炎がその他の肝疾患に加えて生じている場合に、抗HCVは擬陽性反応を示すだろう。このような状況で、HCV RNA検査は、C型肝炎が肝疾患に関わっていることを確認するのに役立つ。
【0177】
10年以上前に、αインターフェロンがHCVに使用することを最初に承認されてから、慢性C型肝炎の治療は着実に進化している。現時点で、最適な投与計画は、24又は48週にわたるペグ化αインターフェロンとリバビリンの併用治療であると考えられる。
【0178】
αインターフェロンは、ウィルス感染に応答して作られて天然の抗ウィルス活性を有している宿主タンパク質である。αインターフェロンの組み換え形態が生産されていて、C型肝炎の治療として幾つかの製剤(α−2a、α−2b、コンセンサスインターフェロン)を入手できる。しかしながら、これらのインターフェロンの標準的形態は現在、ペグ化インターフェロン(ペグインターフェロン)に置き換わっている。
【0179】
ペグインターフェロンは、ポリエチレングリコールの大きい内部分子の付加によって化学的に改変されているαインターフェロンである。ペグ化は、インターフェロンの吸収、分布及び排泄を変化させて、その半減期を延長する。ペグインターフェロンは週に1回投与で血中に一定濃度のインターフェロンをもたらすことができるのに対して、標準的なインターフェロンは、週に数回投与しなければならず間欠的で変動する濃度をもたらす。さらに、ペグインターフェロンはHCVの阻害において標準的なインターフェロンより活性があり、そして同様な副作用を有して、より高い持続的な奏功率を生じる。その投与の容易性及び優れた有効性により、ペグインターフェロンは、C型肝炎に対する単独療法及び併用治療法の両方として標準的なインターフェロンと置き換わっている。
【0180】
リバビリンは広範囲のウィルスに対して活性を有している経口抗ウィルス剤である。それ自体では、リバビリンはHCVに対して殆ど効果を有していないが、それをインターフェロンに加えると、持続的奏功率を2〜3倍に増大する。この理由のために、現在、併用治療がC型肝炎に対する治療に推奨されていて、インターフェロンの単独治療は、リバビリンを使用できない特定の理由があるときのみに適用されている。
【0181】
主に、両方のウィルスは血液感染性で類似した集団に存在しているという理由で、米国においてHIVに感染している患者のほぼ35%がC型肝炎ウィルスにも感染していると推測されている。HCVは米国において慢性肝疾患の主な原因である。HIV感染は慢性C型肝炎から肝硬変そして肝不全へのより速い発症を引き起こすということが臨床研究で明らかにされている。
【0182】
その他の感染性疾患及びこのような疾患を引き起こす多種の微生物の詳細については、それぞれが参照により本明細書に取り込まれている、Mandell, Douglas and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases--5TH edition, Churchill Livingstone, Inc., September 1998; Sexually Transmitted Diseases, Vol. 5 Gerald L. Mandell (Editor), Michael F. Rein (Editor), Churchill Livingstone, Inc., January 1996; Sexually Transmitted Diseases in Obstetrics and Gynecology, Sebastian Faro, Lippincott Williams & Wilkins, June 2001; 又は Sexually Transmitted Diseases, King K. Holmes, Per-Anders Mardh (Editor), Judith Wasserheit, McGraw-Hill, January 1999 を参照されたい。
【0183】
本発明は更に、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法を提供する。対象物は、これに限定されないが、溶液、医療用品、又は医療器具の何れかであってよい。
【0184】
濾過透析システム
本発明の方法は、本明細書に記載されているような組成物の、患者から感染性のウィルス粒子を除去するための濾過透析システムの一部としての使用を包含している。
【0185】
腎不全を患っている患者の治療に、精製するために患者の身体から血液を採り出して、次いで身体に戻すという、多種の血液精製方法が提案されている。
【0186】
腎臓透析機は当該技術分野で周知であって、例えば、米国特許第3,598,727号、同第4,172,033号、同第4,267,040号、及び同第4,769,134号に解説されている。
【0187】
ある特定の例では、透析システムは、ハウジング、血液注入口、血液排出口、及び膜の一方の側面上に血液注入口と血液排出口の間の流路を規定しているハウジング内の少なくとも1つの膜、及び膜の別の側面上に規定されている第2流路を含有している血液透析機のような、流入血液処理装置を含有している。ある特定のこのような装置は米国特許第5,643,190号に記載されている。
【0188】
ある態様では、本発明は、血液を、次の(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同であるアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有している単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有している単離又は精製された核酸、又はそれらの断片の少なくとも1つの有効量と接触させて、それによって血液からウィルスを除去することを含有してなる、血液からウィルスを除去する方法を特徴としている。
【0189】
本発明の方法は、汚染された血液又は体液から感染性ウィルスを除去するために用いることができる。
【0190】
医薬組成物
更に別の態様では、本発明の組成物を、高マンノース型エンベロープを有するウィルス、例えばHCV又はHIV、による感染を治療、予防又は軽減するのに有用な医薬組成物として製剤化できる。「高マンノース型」は、少なくと6個、通常は6〜9個、連鎖するマンノース環を示すように意図されている。高マンノース型エンベロープを有するウィルスは、これに限定されないが、HCV、HIV、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、ヘルペスウィルス6、マーブルグウィルス、及びエボラウィルスを包含するように意図されている。
【0191】
本発明の医薬組成物の治療的に又は予防的に有効な量を投与することを含有する、このようなウィルスによる感染を治療、予防又は軽減する方法も提供される。
【0192】
本発明の医薬組成物は、特定の投与方法及び剤形に依存して、追加の賦形剤、溶剤、安定化剤、補助剤、希釈剤等と共に投与され又は製剤化できる。本発明のタンパク質変異体及び/又は複合体を、非経口で、更には経口でも投与できる。特定の投与経路は、経口、眼内、膣内、直腸内、頬内、局所、経鼻、点眼、皮下、筋肉内、静脈内、脳内、経皮、及び経肺を包含する。
【0193】
本発明の医薬組成物は、一般に本発明の組成物の治療的に又は予防的に有効な量を、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体と共に含有している。本発明の製剤、例えば、非経口投与用のものは、最も典型的に溶液又は懸濁液である。一般に、非経口投与用の医薬組成物は、非毒性、不活性の、薬学的に許容される水性担体媒質中で、好ましくは約5〜8の、より好ましくは6〜8のpHで、製剤化される。経肺投与用の吸入可能な製剤は、通常液体又は粉末であって、粉末製剤が一般に好ましい。本発明の医薬組成物は、投与前に生理的に適している溶媒を用いて再構築される凍結乾燥された固体としても製剤化できる。あまり好ましくはないが、本発明のタンパク質及び/又はタンパク質−ポリマー複合体の更なる製剤は、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤などを包含する。
【0194】
用語「薬学的に許容される担体」は、抗体、又はポリペプチド、遺伝子、及びその他の薬剤のような、治療薬剤を投与するための担体を示す。この用語は、それ自体が、組成物を受ける個体に有害な抗体の産生を誘発せず、そして過度の毒性なしで投与できるあらゆる医薬用担体を示す。適切な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性化ウィルス粒子のような、大きくて、ゆっくり代謝される巨大分子でもよい。薬学的に許容される担体は、投与する特定の組成物によって、更には組成物を投与するために用いる特定の方法によっても部分的に決定される。従って、本発明の医薬組成物には多種多様な適切な製剤が存在する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. 1985 を参照されたい)。
【0195】
治療組成物における薬学的に許容される担体は、水、食塩水、グリセロール及びエタノールのような液体を含むことができる。また、湿潤又は乳化剤、pH緩衝物質等のような補助物質をそのような賦形剤中に存在させることができる。一般に、医薬組成物は、液体溶液又は懸濁液の何れかで、注射剤として調製され;注射の前に液体賦形剤中に溶解又は懸濁するのに適している固体としても調製できる。リポソームは薬学的に許容される担体の定義内に含まれる。
【0196】
本明細書で用いられる用語「治療的に又は予防的に有効な量」は、所望の疾患又は病気を治療、軽減、又は予防する、或いは検出可能な治療又は予防の効果を表す、治療薬剤の量を示す。この効果は、例えば、化学マーカー又は抗原濃度によって検出できる。治療効果は、低下した体温のような、身体症状の減少も包含する。ある対象に対する正確な有効量は、対象の大きさ、健康状態、疾患の性質及び程度、及び投与のために選択された治療薬又は治療薬の組み合わせによって決まるだろう。従って、前もって綿密に有効量を特定することは有益ではない。しかしながら、与えられた状況に対する有効量は、日常の実験によって決定でき、そして臨床医の判断の範囲内にある。
【0197】
あらゆる化合物に対して、治療的に有効な用量は、最初に、例えばHCVに感染した細胞の細胞培養アッセイで、又は動物モデル、通常はマウス、ウサギ、イヌ、又はブタのモデルの何れかで、最初に見積もることができる。動物モデルは、適切な濃度範囲及び投与経路を確認するためにも用いることができる。このような情報は次いで、ヒトへ投与するために有用な用量及び経路を決定するために用いられる。
【0198】
治療的に有効な用量は、症状又は疾患を軽減するか、或いは感染に対する防御をもたらす、活性成分、例えば、本明細書に記載されているような本発明の組成物の量を示す。
【0199】
治療効果及び毒性は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学手法によって、例えばED50(集合の50%に治療有効な用量)及びLD50(集合の50%を致死する用量)によって確認できる。治療及び毒性の効果の間の用量比が治療指数であり、これを比、ED50/LD50で表現できる。大きい治療指数を表す医薬組成物が好ましい。細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒト使用のための用量範囲に製剤化するために用いられる。そのような組成物に含まれる用量は、殆ど又は全く毒性がない、ED50を含んでいる循環濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、用いられる剤形、患者の感受性、及び投与経路に依存してこの範囲内で変化する。
【0200】
正確な用量は医師によって決定され、そして組成物の十分な濃度を提供するように、或いは所望の効果を保持するように決定及び調節されるだろう。考慮に入れられる因子は、病状の重篤度、対象の一般健康状態、対象の年齢、体重、及び性別、食事、投与の回数及び頻度、薬剤の組み合わせ、反応感受性、及び治療に対する耐性/応答を包含する。長時間作用型医薬組成物は、特定製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて、3〜4日おきに、週に1回、又は2週間に1回投与することができる。
【0201】
標準的な投与量は、投与経路に応じて、約1g未満の総投与量で、0.1〜100μgに変化してよい。特定の用量及び送達方法についてのガイダンスは、文献中に提供されていて、当該技術分野の熟練者が一般的に利用できる。
【0202】
ある特定の好ましい例では、本発明の組成物は全身投与される。好ましい例では、組成物は非経口投与で、例えば筋肉内又は静脈内注射することによって、ゆえに胃腸管を避けることが好ましい。その他の投与方法は、パッチ及び/又は局所クリーム組成物によってもたらされる、経皮又は経粘膜投与を包含する。経粘膜投与は、本発明のタンパク質が経鼻製剤中に含まれていて、これが鼻腔膜に接触してこれらの膜を介して心臓血管系に直接拡散する、鼻腔スプレー製剤も包含する。肺内送達用のエアゾール製剤も用いることができる。
【0203】
本明細書に記載されているような本発明の製剤は、目的の部位に組成物を固定或いは送達するデバイスに含まれていてもよい。このようなデバイスは、粒子、磁性ビーズ、フロースルーマトリックス、コンドーム、ペッサリー、子宮頸管キャップ、膣リング、スポンジ、フォーム、及びゲルを包含できる。より詳細には、本発明の組成物は、デバイスの表面に加水分解に安定か或いは不安定な結合を介して共有結合させることができる。あるいは、本発明の組成物は、組成物をその核構造の不可欠な部分として用いる、フォーム及びゲルの形成を介するようにして、機械的なデバイス内に組み込ませることができる。次いでこのようなデバイスは、それらの通常の手段で変異体及び/又は複合体を特定の位置に固定するか、或いは本発明の変異体及び/又は複合体を所望の位置へ送達することができる。
【0204】
本発明の組成物及び製剤は、HCVが引き起こしたウィルス感染を治療及び予防するために有用である。
【0205】
適切な製剤は、これに限定されないが、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏、ローション、バルム、ワックス、軟膏(salves)、溶液、懸濁液、分散液、油中液型又は液中油型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ペースト、粉末、油、トローチ剤、ボーラス、及びスプレー等を包含できる。
【0206】
好ましい実施態様では、組成物はクリーム、ゲル又は軟膏である。
【0207】
ある特定の好ましい例では、このような組成物は、身体組織(すなわち、皮膚及び粘膜組織のような哺乳動物の組織)によく付着するので、局所的に非常に有効である。従って、本発明は、組成物の多種多様な使用を提供する。特に好ましい方法は、局所適用、特に粘膜及び皮膚、例えば口腔、鼻腔、又は膣腔への適用を包含する。
【0208】
本明細書に記載されている組成物は、効果的な局所抗ウィルス活性をもたらし、そしてそれによってHCVを治療及び/又は予防するために用いることができる。
【0209】
本明細書に記載されている組成物は、効果的な局所抗ウィルス活性又は抗菌活性をもたらし、そしてそれによって多種多様な苦痛を治療及び/又は予防するために用いることができる。
本明細書に記載されている組成物は、1つ又はそれ以上の微生物に起因する感染又はその他の苦痛を予防及び/又は治療するために用いることができる。
本明細書に記載されている組成物は、効果的な局所抗菌活性をもたらし、そしてそれによって多種多様な苦痛を治療及び/又は予防するために用いることができる。
例えば、これらは、鼻、口、又はその他の類似組織内のもののような、皮膚及び/又は粘膜上の微生物(例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、原虫、マイコプラズマ、酵母、エンベロープを有するウィルス)に起因し、又はこれによって悪化する苦痛の治療及び/又は予防に用いることができる。
【0210】
ある特定の実施態様では、本発明の組成物は感染部位のウィルス負荷を減少できる。
【0211】
ある特定の別の実施態様では、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏、ローション、バルム、ワックス、軟膏(salves)、溶液、懸濁液、分散液、油中液型又は液中油型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ペースト、粉末、油、トローチ剤、ボーラス、及びスプレー等を包含する組成物は、その他の薬剤を含んでいる。
【0212】
組成物はその他の治療薬剤を含んでいる。
【0213】
従って、例えば、組成物は、併用療法のための追加の適合性のある医薬活性物質(補充の抗菌剤、抗寄生虫剤、鎮痒薬、収斂剤、治療促進剤、ステロイド、非ステロイド抗炎症剤、又は他の抗炎症剤)を含有することできるか、又は賦形剤、染料、顔料、香料、芳香剤、滑沢剤、増粘剤、安定化剤、皮膚浸透促進剤、保存料、フィルム形成ポリマー、又は抗酸化剤のような、本発明の各種剤形を物理的に製剤化するのに有用な物質を含有することができる。組成物は、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、及びこれらの誘導体のようなビタミン類も含有することができる。
【0214】
当然のことながら、追加の消毒薬、殺菌剤、抗ウィルス剤、又は抗生物質も包含でき、これも意図されている。
【0215】
組成物は浸透剤を含有していてもよい。浸透剤は、組織の抗菌成分及び医薬活性剤(存在するなら)への浸透性を増大して、薬剤が組織内へ又は組織を通って浸透する速度を増大することによって、皮膚又は粘膜組織内への又は皮膚又は粘膜組織を通しての消毒薬の拡散を増強する化合物である。浸透剤の例は、PCT特許出願第US2006/008953号に記載されている。
【0216】
一般に、ゲル、クリーム又は軟膏組成物は、これに限定されないが、以下の通りである。
【0217】
疎水又は親水軟膏:組成物は、疎水性の基剤(例えば、ワセリン、増粘化又はゲル化水不溶性油、等)を用いて製剤化され、そして随意に少量の水溶性相を有している。親水軟膏は通常、1つ又はそれ以上の界面活性剤又は湿潤剤を含有している。
【0218】
疎水軟膏は、疎水性賦形剤を有する無水の或いは殆ど無水の製剤である。一般に、軟膏の成分は、皮膚温で軟化又は溶解して塗布に役立つ、室温で半固体の稠度をもたらすように選択される。これを達成するのに適している成分は、少量〜中程度の量の天然又は合成のワックス、例えば、蜜蝋、カルナバロウ(carnuba wax)、キャンデリラロウ(candelilla wax)、セレシン(ceresine)、オゾケライト、微結晶ワックス、及びパラフィンを包含する。ワセリン及びラノリンのような粘性の半結晶性物質はより多い量に有用である。軟膏の粘度も、疎水的に改質された粘土を包含する油相増粘剤を用いて調整できる。
【0219】
本発明のある特定の好ましい実施態様では、組成物は容易に塗布できて比較的速く表皮内に吸収されるように選択される。
【0220】
水中油型エマルジョン:組成物は、抗ウィルス性脂肪成分が、疎水性成分の不連続相と、水及び随意に1つ又はそれ以上の極性親水性物質、更に塩、界面活性剤、乳化剤及びその他の成分を含有している連続水相を含有しているエマルジョンに乳化されている製剤であってよい。これらのエマルジョンは水溶性又は水膨潤性ポリマーを、更にエマルジョンを安定化するのに役立つ1つ又はそれ以上の乳化剤も含有できる。これらのエマルジョンは、米国特許7,030,203号に記載されているように、より高い伝導率を有している。
【0221】
油中水型エマルジョン:組成物は、抗ウィルス性脂肪成分が、疎水性成分の連続相と、水及び随意に1つ又はそれ以上の極性親水性物質、更に塩又はその他の成分を含有している水相を含有しているエマルジョンに取り込まれている、製剤であってよい。これらのエマルジョンは、脂溶性又は脂肪膨潤性ポリマーを、更にエマルジョンを安定化するのに役立つ1つ又はそれ以上の乳化剤も含有できる。
【0222】
増粘化水性ゲル:これらの系は、以下に記載されているような、適切な、天然の、改質天然の、又は合成ポリマーによって増粘化されている水相を含有している。あるいは、増粘化水性ゲルは、組成物を効率的に増粘する、適切なポリエトキシ化アルキル鎖界面活性剤及びその他の非イオン系、陽イオン系、又は陰イオン系乳化剤系を用いて増粘化することができる。幾つかのポリエトキシ化乳化剤は特により高濃度で抗ウィルス性脂肪を不活性化するので、陽イオン系又は陰イオン系乳化剤系を選択することが好ましい。
【0223】
親水性ゲル:これらは、連続相が水以外に少なくとも1つの水溶性又は水分散性の親水性成分を含有している系である。この製剤は、最大20重量パーセントまでの水を随意に含有することもできる。より高い濃度が幾つかの組成物では適しているかもしれない。適切な親水性成分は、1つ又はそれ以上の、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のようなポリオールのようなグリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキシドのランダム又はブロック共重合体、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド、分子当たり1つ又はそれ以上の疎水性部分を有しているポリアルコキシル化界面活性剤、シリコン共重合体及びこれらの組み合わせ等を包含する。エトキシル化の程度が、親水性成分を23℃で水溶性又は水分散性の状態にするのに十分にすべきであるということを当業者は認識できるだろう。大部分の実施態様では、水の含量は組成物の重量に対して、20%未満、好ましくは10%未満、そしてより好ましくは5%未満である。
【0224】
本発明の組成物は、組成物を乳化して、表面を湿潤するのを補助しそして/又は微生物と接触するのに役立つように1つ又はそれ以上の界面活性剤を随意に含有することができる。本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、水の表面張力及び/又は水と非混合性液体との間の界面張力を減少することが可能な両親媒性物質(共有結合している極性と非極性の両方の領域を所有している分子)を意味している。この用語は、石けん、洗剤、乳化剤、表面活性剤、等を包含するように意図されている。界面活性剤は、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、又は両イオン系であってよい。好ましい実施態様では、界面活性剤は、ポロキサマー、エトキシル化ステアリン酸、オレイン酸ソルビタン、アクリル酸と疎水性コモノマーの高分子量架橋共重合体、及び共界面活性剤としてのセチル及びステアリルアルコールを包含する。
【0225】
多種多様な従来の界面活性剤を用いることができるが;ある特定のエトキシ化界面活性剤は抗ウィルス性脂肪成分の抗微生物効力を減少又は除去できる。この精密なメカニズムは知られておらず、全てのエトキシ化界面活性がこのマイナス効果を示すわけではない。例えば、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド)界面活性剤は抗ウィルス性脂肪成分と適合することが示されているが、TWEENの商品名でICIにより市販されているもののようなエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステルは適合性ではない。これらは大まかな一般化であって、活性は製剤依存性であるだろうということに留意されたい。当業者は、米国特許公開第2005/0089539−A1に記載されているように、製剤を作成して抗微生物活性を試験することによって、界面活性剤の適合性を容易に確認することができる。所望により、多種の界面活性剤の組み合わせを用いることができる。
【0226】
ある特定の抗ウィルス性脂肪成分は両親媒性であって、表面活性であり得ることに留意されたい。例えば、本明細書に記載されている特定の抗ウィルス性アルキルモノグリセリドは表面活性である。抗ウィルス性脂肪成分と界面活性剤の両方を含有している実施多様について、抗ウィルス性脂肪成分は「界面活性剤」成分とは異なっていると考えられる。
【0227】
ある特定の適用について、ポリアクリル酸、ポリ(N−ビニルピロリドン)、セルロース誘導体、及びキサンタン又はグアーガムを含む天然及び合成ポリマーのような可溶性、膨潤性又は不溶性有機高分子増粘剤、又はシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカエロゲル及びカーボンブラック等のような無機増粘剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、酸化鉄及び酸化亜鉛、粘土等のようなその他の粒子増量剤;セラミック小球体又はガラスマイクロバブル;3M Company, St Paul, Minn. から、商品名「ZEOSPHERES」又は「Z−LIGHT」で入手できるもののような、セラミック小球体を用いて増粘した組成物中で抗ウィルス性脂肪を製剤化することが望ましい。上記の増量剤は本明細書に記載されている組成物中で単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0228】
当業者は、本明細書で論じた公知の技術又は同等の技術の詳細な説明に関する一般的な参考テキストを参照できる。これらのテキストは、Poly(ethylene glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, Harris (ed.), Plenum Press, New York (1992); Wong, Chemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking, CRC Press (1991); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999); Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual, Clark (ed.), Springer, New York (1997); Richards et al., Plant Breeding Systems (2d ed.), Chapman & Hall, The University Press, Cambridge (1997); and Maliga et al., Methods in Plant Molecular Biology, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1995)を包含する。
【0229】
用量及び投与
本発明の組成物は全身投与できる。本明細書で用いられる用語「全身投与」は、薬物の血流中のインビボ全身吸収又は蓄積、それに続く全身に渡る分布を含むように意図されている。全身吸収をもたらす投与経路は、静脈内、皮下、腹腔内、鼻腔内、吸入、経口、肺内、及び筋肉内を含むが、これに限定されない。これらそれぞれの投与経路は、所望の負に荷電したポリマー、例えば、核酸を接触可能な疾患の組織へ曝露する。循環系への薬剤の侵入速度は、分子量又は大きさの関数であることが示されている。
【0230】
本発明の組成物は、これに制限されないが、リポソーム内へのカプセル化;イオントホレシスによること;又はハイドロゲル、シクロデキストリン、生物分解性ナノカプセル、及び生体接着性ミクロスフェアのような、その他の賦形剤への取り込みによること;或いはタンパク性ベクターによること(O'Hare and Normand、PCT公開第WO00/53722号)、を包含する当業者に公知の多種の方法によって、細胞へ投与することができる。
【0231】
あるいは、核酸/賦形剤の組み合わせは、直接注射によって又は点滴ポンプを用いて、局所に送達することができる。本発明の複合体の直接注射は、皮下、筋肉内、又は皮内の何れであっても、標準的な針及び注射器の技法を用いて、又はConry, et al., Clin. Cancer Res. 5:2330-2337, 1999, 及び Barry, et al., PCT公開第WO99/31262号に記載されているような無針技術によって、実施することができる。
【0232】
本発明は、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾、又は長期循環型リポソーム或いはステルスリポソーム)を含有する表面修飾リポソームを含む組成物の使用も特徴としている。これらの製剤は、標的組織内へ薬剤の蓄積を増大する方法を提供する。薬物担体のこの類は、単核性食細胞系(MPS又はRES)によるオプソニン化及び排出に抵抗し、それによってより長い血中循環時間及びカプセル化されている薬剤に対する増強された組織曝露を可能にする。 Lasic, et al., Chem. Rev. 95:2601-2627, 1995; Ishiwata, et al., Chem. Pharm. Bull. 43:1005-1011, 1995。このようなリポソームは、恐らく血管新生標的組織内へ溢出及び捕捉によって、腫瘍内へ選択的に蓄積することが示されている。Lasic, et al., Science 267:1275-1276, 1995; Oku, et al., Biochim. Biophys. Acta 1238:86-90, 1995。長期循環リポソームは、特にMPSの組織内に蓄積することが知られている従来の陽イオン性リポソームと比較すると、DNA及びRNAの薬物動態及び薬力学的作用を増強する。Liu, et al., J. Biol. Chem. 42:24864-24870, 1995; Choi, et al., PCT公開第WO96/10391号; Ansell, et al., PCT公開第WO96/10390号;及び Holland, et al.,PCT公開第WO96/10392号。長期循環リポソームは、陽イオン性リポソームと比較して、より高い程度にヌクレアーゼ分解から薬剤を保護して、肝臓及び腎臓のような代謝的に活性なMPS組織への蓄積を防ぐそれらの能力におけるヌクレオチドの可能性がある。
【0233】
皮膚又は粘膜組織への適用について、例えば、組成物を組織へ、柔らかいチューブ、成型同時充填(blow/fill/seal)容器、ポーチ、カプセル等のような折り畳み式容器から直接塗布することができる。この実施態様では、一次容器それ自体は組織上に組成物を直接分配するために用いるか、或いは組成物を別個の塗布器に分配するために用いることができる。その他の塗布器具も、発泡体のチップ、ブラシ等を有する塗布器を含めて適切である。重要なことは、塗布器が、組成物の必要量を組織へ送達できなければならないということである。
【0234】
本発明の組成物は、組織へ送達するための様々な基質から送達することができる。例えば、組織に接触すると組成物の少なくとも1部分を組織に送達する拭き取り繊維又はパッドから送達することができる。
【0235】
本明細書の開示は、薬学的に許容される担体又は希釈剤中に所望の化合物の薬学的有効量を含有している、保管又は投与用に調製された組成物も包含する。治療的使用のための許容される担体又は希釈剤は、医薬の技術分野において周知であって、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., A. R. Gennaro ed., 1985 に記載されている。例えば、保存剤、安定化剤、染料及び着香料を充当することができる。これらは、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを包含する。更に、抗酸化剤及び懸濁化剤を使用することができる。
【0236】
薬学的有効用量は、病態の発症を予防、阻止、又は治療する(症状をある程度まで、好ましくは全ての症状を緩和する)のに必要なその用量である。ある特定の例では、この病態は癌であってよい。薬学的有効用量は、疾患のタイプ、用いる組成物、投与経路、治療する哺乳動物のタイプ、考慮中の哺乳動物の身体特性、併用治療、及び医療分野の当業者が認識するであろうその他の因子によって決まる。一般に、活性成分の、0.1mg/体重kg/日〜100mg/体重kg/日の量が、負に荷電しているポリマーの効力に応じて投与される。
【0237】
患者のモニタリング
疾患又は障害、例えば、腫瘍を有する患者の病態又は治療を、本発明の方法及び組成物を用いてモニタリングすることができる。
【0238】
1つの実施態様では、患者の腫瘍進行を、本発明の方法及び組成物を用いてモニタリングすることができる。このようなモニタリングは、例えば、患者における特定薬剤の効力の評価において、有用であろう。例えば、腫瘍内で過剰に発現している標的ポリペプチドの発現を変える治療法が本発明において特に有用であるとされる。
【実施例】
【0239】
抗ウィルス性タンパク質シトビリン(SVN)及びグリフィスシン(GRFT)がC型肝炎ウィルス(HCV)に対して(ナノモルの)活性を有していることが本発明の新規な知見である。
【0240】
本発明を、限定を意図していない、以下の実施例によって更に説明する。本明細書で言及している全ての文献は、参照により本明細書に取り込まれている。
【実施例1】
【0241】
本発明は概ね、ウィルス感染、例えば、C型肝炎ウィルス(HCV)及びヒト免疫不全ウィルス(HIV)を治療するための組成物及び方法を特徴としている。HCVには数字で表示されるの6つの主要な遺伝子型がある(例えば、遺伝子型−1〜遺伝子型6)、しかし、本発明は単一のHCV株に限定されることを意図していない。
【0242】
シアノビリン(CV−N)、シトビリン(SVN)、又はグリフィスシン(GRFT)のHCVに対する活性を確認するために、サブゲノムレプリコンアッセイを実施した。
【0243】
結果は図1(A〜C)に示されている。図1は、HCVに対するシアノビリン(A)、シトビリン(B)、又はグリフィスシン(C)の活性を示す3つのグラフのパネルを示す。化合物の分子量は以下の通りであった:シアノビリン、11,009Da(天然);シトビリン、9317Da(天然);グリフィスシン、14496Da(His−標識化)。実験では、HCV JFH−1(遺伝子型2a)を用いた。試料を水又はPBS中に希釈した。Huh7.5.1細胞を、表示した濃度(μg/mL)でCV−N、SVN又はGRFTで処理した。72時間時点で、HCV産出量を確認して、表示した濃度における化合物の抗HCV効力を測定した。72時間時点で、WST細胞増殖アッセイ(分裂細胞の細胞膜を通過する電子伝達によるWST−1テトラゾリウム塩の水溶性フォルマザンへの還元に基づく)を表示された濃度における化合物の細胞毒性を評価するために用いた。
【0244】
図1A〜1Cに示されるように、CN−Vは、μg/mLオーダー以下のEC−50だが、SVN及びGRFTより高い細胞毒性を示した。SVN及びGRFTは、低い細胞毒性及び良いSI、及びμg/mLオーダーのEC−50を示す。概して、本明細書に記載した実験において、SVNはやや高い活性を示し、そしてGRFTはかなり高い活性を示した。
【0245】
本明細書に記載されている実験は、ナノモル或いはナノモル以下の濃度におけるGRFTの抗HCV活性を明らかにした(例えば、図1を参照されたい)。これらの化合物の生物学的性質(すなわち、これらが炭水化物結合タンパク質であること)のために、観測されたGRFTの強力な抗HCV活性は、HCVの侵入又はHCVの付着過程の阻害に起因していて、侵入後の複製メカニズムの阻害には起因していないようである。更に、ウィルスの侵入又は付着過程の阻害は、先に記載されているような、サブゲノムレプリコンアッセイでは評価できないと考えられる。GRFTは更なる標的と結合すること、そしてそのようなものとして結合の乱雑性が、記載している実験における低い活性についての主な原因である可能性がある。更なる標的は、高マンノース型オリゴ糖で糖鎖付加されたタンパク質を包含するだろう。
【0246】
別の実施態様
前記より、本明細書に記載されている発明を多種の用途及び条件に適合するように変更及び修正を行うことができることは明らかである。このような実施態様も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0247】
本明細書の変数の定義の何れかにおける要素のリストの列挙は、単一要素又は列挙された要素の組み合わせ(又は副結合)の何れかとしてのその変数の定義を包含している。本明細書の実施態様の列挙は、何れかの単一の実施態様又は別の実施態様或いはその一部との組み合わせの何れかとしての実施態様を包含する。
【0248】
本明細書で言及している全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が具体的にそして個々に参照により取り込まれていると表記されていたような同じ範囲で、参照により本明細書に取り込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;又はこれらの断片:の1つ又はそれ以上の有効量を対象に投与すること、それによって対象におけるウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、対象におけるウィルス感染を治療又は予防する方法。
【請求項2】
ウィルス感染が高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有しているウィルスに起因している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウィルスがC型肝炎ウィルス(HCV)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ウィルスがヒト免疫不全ウィルス(HIV)である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
(i)、(ii)又は(iii)の変異体を更に含有してなり、その変異体が1つ又はそれ以上の同類又は中性のアミノ酸置換、或いはN末端又はC末端における1つ又はそれ以上のアミノ酸付加を含有してなり、その変異体が実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなる抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(i)、(ii)又は(iii)と少なくとも1つのエフェクター成分との融合タンパク質を更に含有してなり、融合タンパク質が実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなる抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
融合タンパク質がアルブミンを含有している、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸がベクターに含有されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ベクターが、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、又はレンチウィルスのベクターである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ベクターが、哺乳動物の細胞内で発現するのに適しているプロモータを含有している、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を更に含有してなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
追加薬剤が、抗ウィルス剤、免疫刺激剤及びトキシンよりなる群から選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ又はそれ以上の追加薬剤を、請求項1に記載のアミノ酸又は核酸の投与の前に、同時に又はその後に投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
生体試料を、以下の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;又はこれらの断片:の1つ又はそれ以上の有効量と接触させること、それによって生体試料中のウィルスを阻害することを含有してなる、生体試料中のウィルスを阻害する方法。
【請求項15】
感染領域を、以下の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;又はこれらの断片:の1つ又はそれ以上の有効量を含有している局所組成物と接触させること、それによって皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスに起因するウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスに起因するウィルス感染を治療又は予防する方法。
【請求項16】
ウィルス感染が高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有しているウィルスに起因している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ウィルスがHCVである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
局所組成物がフォーム又はゲルである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
対象物を、以下の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;又はこれらの断片:の1つ又はそれ以上の有効量と接触させること、それによって、対象物の中又は上のウィルスを阻害することを含有してなる、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法。
【請求項20】
生体試料が、血液、血液製剤、細胞、組織、臓器、精液、ワクチン製剤、及び体液よりなる群から選ばれる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
血液を、以下の:(i)配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号1と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(ii)配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(iii)配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2と約(に)90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号2と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(iv)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;(v)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上同一のアミノ酸配列、配列番号3と約90%又はそれ以上相同のアミノ酸配列、又はこれらの断片を含有する単離又は精製された抗ウィルス性タンパク質;(vi)配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有する単離又は精製された核酸;又はこれらの断片:の1つ又はそれ以上の有効量と接触させること、それによって血液からウィルスを除去することを含有してなる、対象の血液からウイルスを除去する方法。
【請求項22】
対象物が、溶液、医療用品、又は医療機器である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ウィルスが、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有している、請求項14、15、19又は21に記載の方法。
【請求項24】
ウィルスがC型肝炎ウィルス(HCV)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ウィルスがヒト免疫不全ウィルス(HIV)である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
(i)、(ii)又は(iii)の変異体を更に含有してなり、その変異体が1つ又はそれ以上の同類又は中性のアミノ酸置換、或いはN末端又はC末端における1つ又はそれ以上のアミノ酸付加を含有してなり、その変異体が実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなる抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している、請求項14、15、19又は21に記載の方法。
【請求項27】
(i)、(ii)又は(iii)と少なくとも1つのエフェクター成分との融合タンパク質を更に含有してなり、融合タンパク質が実質的に配列番号1、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列からなる抗ウィルス性タンパク質の抗ウィルス活性特性を有している、請求項14、15、19又は21に記載の方法。
【請求項28】
融合タンパク質がアルブミンを含有している、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を更に含有してなる、請求項14、15、19又は21に記載の方法。
【請求項30】
追加薬剤が、抗ウィルス剤、免疫刺激剤及びトキシンよりなる群から選ばれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はその断片:から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与すること、それによって対象におけるウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、対象におけるウィルス感染を治療又は予防する方法。
【請求項32】
ウィルス感染が高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有しているウィルスに起因している、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ウィルスが、C型肝炎ウィルス(HCV)である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
ウィルスが、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
1つ又はそれ以上の追加薬剤の投与を更に含有してなる、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
追加薬剤が、抗ウィルス剤、免疫刺激剤及びトキシンよりなる群から選ばれる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はその断片:から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与すること、それによって生体試料中のウィルスを阻害することを含有してなる、生体試料中のウィルスを阻害する方法。
【請求項38】
生体試料が、血液、血液製剤、細胞、組織、臓器、精液、ワクチン製剤、及び体液よりなる群から選ばれる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はその断片:から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与すること、それによって血液からウィルスを除去することを含有してなる、対象の血液からウィルスを除去する方法。
【請求項40】
血液が輸血由来である、請求項21又は39に記載の方法。
【請求項41】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はその断片:から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与すること、それによって皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスに起因するウィルス感染を治療又は予防することを含有してなる、皮膚又は粘膜の中又は上のウィルスに起因するウィルス感染を治療又は予防する方法。
【請求項42】
局所組成物がフォーム又はゲルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含有しているタンパク質と結合する抗体、又はその断片:から選ばれる1つ又はそれ以上の抗体を、対象においてウィルスに対する免疫応答を誘発するのに十分な量で、対象に投与すること、それによって対象物の中又は上のウィルスを阻害することを含有してなる、対象物の中又は上のウィルスを阻害する方法。
【請求項44】
対象物が、溶液、医療用品、又は医療機器である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ウィルスが、高マンノース型オリゴ糖を含有している外被タンパク質を有している、請求項37、39、41又は43に記載の方法。
【請求項46】
ウィルスが、C型肝炎ウィルス(HCV)である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ウィルスが、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
アミノ酸配列1、2、又は3或いはそれらの断片を含有している単離又は精製した抗ウィルス性タンパク質を、5〜250ng/mLの濃度で投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項49】
対象がヒトである、前記請求項の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529882(P2011−529882A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521126(P2011−521126)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/004420
【国際公開番号】WO2010/014248
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(506200382)ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ・アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー・デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ (4)
【Fターム(参考)】