説明

タンパク質結晶およびイオン性ポリマーの複合体

【課題】種々のタンパク質結晶の徐放性組成物を開発すること。
【解決手段】本発明は、タンパク質結晶とイオンポリマーとの複合体、およびそのような複合体を含んで成る組成物に関する。本発明はさらに、これらの複合体および組成物を製造する方法も提供する。本発明はさらに、タンパク質に基づく療法の持続放出を必要とするかまたはそれによって改善される疾患を有する個体の治療法も提供する。種々のタンパク質結晶の徐放性組成物を開発するために、本発明は、タンパク質の両性性質を利用する。また、本発明は、薬物療法の持続放出を必要とするかまたはそれによって改善される疾患状態の治療法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、タンパク質結晶とイオンポリマーとの複合体、ならびにそれを含んで成る組
成物であって、徐放性組成物を包含する組成物に関する。さらに、本発明は、これらの複
合体および組成物を製造する方法も提供する。本発明の複合体および組成物は、タンパク
質に基づく療法の持続放出による治療に敏感に反応する疾患状態の治療に特に有効である

【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
種々の疾患状態を標的とするタンパク質療法の開発において、大きな障害がある。その
ような障害のいくつかの例は、商業的に実現性のない処方物、短い生体内半減期および極
僅かな経口生物学的利用能である。これまで、短い生体内半減期は、静脈内または皮下投
与によって一般に輸送される徐放性タンパク質処方物の開発を制限してきた。
【0003】
例えばヒト成長ホルモン(hGH)の徐放性処方物を提供するために、ヒドロゲル[非特許文献1]、リポソーム、油エマルジョン、生分解性ポリマーミクロスフェア、ならびにポリエチレングリコール修飾[非特許文献2]を組み込む技術が開発された。しかし、それによって得られる処方物は、薬剤のバースト放出を示し、厳しい製造条件を使用し、そして/または製造を複雑にしうる。これは、DL−乳酸コ−グリコール酸(PLGA)ミクロスフェア技術に基づくhGH処方物に特に当てはまり、なぜなら、該ミクロスフェアの製造に使用される方法は、高温、界面活性剤、有機溶媒および水性/有機溶媒界面のような条件を使用する傾向があるからであり、それらは全てタンパク質の変性を生じる[非特許文献3;非特許文献4]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】KatakamらJ.Controlled Release,49(1)、21−26(1997)
【非特許文献2】RossらJ.Biol.Chem.,271(36),21696−21977(1996)
【非特許文献3】HerbergerらProc.Intl.Symp.Controlled Release of Bioactive Materials,23,835−836(1996)
【非特許文献4】KimらIntl.J.Pharmaceutics,229(1−2),107−116(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
徐放性タンパク質処方物を開発する代替法は、処方物の一部として結晶化したタンパク
質を使用することを含む。例えば、亜鉛およびプロタミンと複合体化させた結晶化インス
リンは、長時間放出挙動を示す[Krayenbuhl and Rosenberg,
Rep.Steno.Mem.Hosp.Nord.Insulinlab.1:60−
73(1946)]。種々の結晶は、所定のタンパク質結晶の溶解度および溶解速度を調
節しうるので、種々の溶解プロフィールを有する種々の結晶に基づく徐放性処方物を開発
することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
種々のタンパク質結晶の徐放性組成物を開発するために、本発明は、タンパク質の両性
性質を利用する。例えば、タンパク質鎖上の利用可能な塩基性および酸性残基の数、なら
びにpH環境が、タンパク質の全体的正味電荷を決定する。従って、等電pH値(pI)
、またはタンパク質の正味電荷が0である場合の特定pH(タンパク質の水への溶解度が
最も低く、結晶化が最も起こりやすいpH)は、全てのタンパク質に固有である。低pI
を有するタンパク質(タンパク質中の酸性基の数が、塩基性基の数より多い)へのポリカ
チオンの複合体、または、高pIを有するタンパク質(タンパク質中の塩基性基の数が、
酸性基の数より多い)へのポリアニオンの複合体は、有利な溶解挙動を包含する有利な物
理的性質を有するタンパク質を生じうる。タンパク質は、ほぼそれらのpIか、またはそ
のpI値の極めて近くで結晶化することができる。しかし、タンパク質の等電点に近い溶
液のpHにおける、タンパク質結晶へのポリアニオンまたはポリカチオンの付加は、低複
合を生じうる。
【0007】
一般的な複合法のそのような欠点は、本発明の方法を使用することによって回避しうる
。タンパク質結晶およびイオンポリマーの生理学的適合性徐放性複合体、およびそれを含
んで成る組成物を得ることが好都合である。その目的のために、本発明は、そのような複
合体および組成物を準備する方法、および薬物療法の持続放出を必要とするかまたはそれ
によって改善される疾患状態の治療法を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
タンパク質結晶およびイオン性化合物を含む、複合体。
(項目2)
前記タンパク質が、以下:治療タンパク質、融合タンパク質、糖タンパク質、レセプター、合成抗原、組換え抗原、ウイルス表面タンパク質、ホルモン、抗体、酵素、Fabフラグメント、環状ペプチドおよび直鎖状ペプチドからなる群より選択される、項目1に記載の複合体。
(項目3)
前記治療タンパク質が、以下:グルカゴン様ペプチド1、抗体、組織適合性抗原、インテ
グリン、セレクチン、インヒビター、成長因子、ポストリディカルホルモン、神経成長ホ
ルモン、血液凝固因子、接着分子、骨形態形成タンパク質、レクチン、栄養因子、サイト
カイン(例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、α−IFN、β−IFN、γ−IF
N、TNF、IL−6、IL−8、リンホトキシン、IL−5、遊走阻止因子、GMCS
F、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激
因子、多剤耐性タンパク質、他のリンホカイン)、トキソイド、エリスロポエチン、第V
III因子、アミリン、TPA、ドルナーゼ−α、α−1−アンチトリプシン、ヒト成長
ホルモン、神経成長ホルモン、骨形態形成タンパク質、成長分化因子、ニューレグリン、
ウレアーゼおよびトキソイドからなる群より選択される、項目2に記載の複合体。
(項目4)
前記ホルモンが、以下:ヒト成長ホルモン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、排卵誘導ホ
ルモン、黄体化ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンからなる群より選択される、項目2に
記載の複合体。
(項目5)
前記抗体が、以下:インフリキシマブ、エタネルセプト、リタキシマブ、トラスツズマブ
、アブシキシマブ、パリビズマブ、ムルモナブ−CD3、ゲムツズマブ、バシリキシマブ
、ダクリズマブ、ゼバリンおよびミロタルグからなる群より選択される、項目2に記載
の複合体。
(項目6)
前記酵素が、以下:ラスブリカーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ヒドロラーゼ、オキシダー
ゼ、イソメラーゼ、リアーゼ、リガーゼ、アデニレートシクラーゼ、トランスフェラーゼ
、オキシドレダクターゼ、ニトリラーゼ、ラッカーゼ、デヒドロゲナーゼ、ペルオキシダ
ーゼおよびヒダントイナーゼからなる群より選択される、項目2に記載の複合体。
(項目7)
前記イオン性化合物が、以下:ポリマー、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質お
よびデンドリマーからなる群より選択される、項目1に記載の複合体。
(項目8)
前記イオン性化合物の前記ポリペプチドまたはタンパク質成分が、約2kDより大きい分
子量を有する、項目7に記載の複合体。
(項目9)
前記イオン性化合物の前記ポリペプチドまたは前記タンパク質成分が、ポリカチオンおよ
びポリアニオンからなる群より選択される、項目7に記載の複合体。
(項目10)
前記ポリカチオンが、以下:プロタミン、ポリアルギニン、ポリリシン、ポリヒスチジン
、ヒストン、ミエリン塩基性タンパク質、硫酸ポリミキシンB、臭化ドデシルトリメチル
アンモニウム、ブラジキニン、スペルミン、プトレシン、オクチルアルギニンおよび合成
ペプチドおよびデンドリマーからなる群より選択される、項目9に記載の複合体。
(項目11)
前記ポリアニオンが、以下:ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリアクリレート
、ポリシアノアクリレート、ポリラクテート、ポリ−B−ヒドロキシブチレート、ポリビ
ニルピロリドン、ヒアルロン酸、ヘパリン、硫酸化ポリサッカリド、硫酸デキストラン、
硫酸ヘパリンおよびデンドリマーからなる群より選択される、項目9に記載の複合体。
(項目12)
溶液相に懸濁した不溶相を含有する組成物であって、該不溶相が、タンパク質結晶、イオ
ン性化合物および賦形剤を含む複合体であり、該溶液相が、以下:水、緩衝剤、防腐剤、
等張剤、安定剤およびこれらの組合せからなる群より選択される、組成物。
(項目13)
前記タンパク質が、以下:治療タンパク質、融合タンパク質、糖タンパク質、レセプター
、合成抗原、組換え抗原、ウイルス表面タンパク質、ホルモン、抗体、酵素、Fabフラ
グメント、環状ペプチドおよび直鎖状ペプチドからなる群より選択される、項目12に
記載の組成物。
(項目14)
前記治療タンパク質が、以下:グルカゴン様ペプチド1、抗体、組織適合性抗原、インテ
グリン、セレクチン、インヒビター、成長因子、ポストリディカルホルモン、神経成長ホ
ルモン、血液凝固因子、接着分子、骨形態形成タンパク質およびレクチン、栄養因子、サ
イトカイン(例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、α−IFN、β−IFN、γ−
IFN、TNF、IL−6、IL−8、リンホトキシン、IL−5、遊走阻止因子、GM
CSF、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー
刺激因子、多剤耐性タンパク質、他のリンホカイン)、トキソイド、エリスロポエチン、
第VIII因子、アミリン、TPA、ドルナーゼ−α、α−1−アンチトリプシン、ヒト
成長ホルモン、神経成長ホルモン、骨形態形成タンパク質、ウレアーゼおよびトキソイド
からなる群より選択される、項目13に記載の組成物。
(項目15)
前記ホルモンが、以下:ヒト成長ホルモン、ヒト成長ホルモン、グルカゴン、副甲状腺ホ
ルモン、排卵誘導ホルモン、黄体化ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンからなる群より選択
される、項目13に記載の組成物。
(項目16)
前記抗体が、以下:インフリキシマブ、エタネルセプト、リタキシマブ、トラスツズマブ
、アブシキシマブ、パリビズマブ、ムルモナブ−CD3、ゲムツズマブ、バシリキシマブ
、ダクリズマブ、ゼバリンおよびミロタルグからなる群より選択される、項目13に記
載の組成物。
(項目17)
前記酵素が、以下:ラスブリカーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ヒドロラーゼ、オキシダー
ゼ、イソメラーゼ、リアーゼ、リガーゼ、アデニレートシクラーゼ、トランスフェラーゼ
、オキシドレダクターゼ、ニトリラーゼ、ラッカーゼ、デヒドロゲナーゼ、ペルオキシダ
ーゼおよびヒダントイナーゼからなる群より選択される、項目13に記載の組成物。
(項目18)
前記イオン性化合物が、以下:ポリマー、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質お
よびデンドリマーからなる群より選択される、項目12に記載の組成物。
(項目19)
前記イオン性化合物の前記オリゴペチド成分が、約2kDより小さい分子量を有する、請
求項18に記載の組成物。
(項目20)
前記イオン性化合物の前記ポリペチドまたはタンパク質成分が、約2kDより大きい分子
量を有する、項目18に記載の組成物。
(項目21)
前記イオン性化合物の前記ポリペプチドまたは前記タンパク質成分が、ポリカチオンおよ
びポリアニオンからなる群より選択される、項目18に記載の組成物。
(項目22)
前記ポリカチオンが、以下:プロタミン、ポリアルギニン、ポリリシン、ポリヒスチジン
、ヒストン、ミエリン塩基性タンパク質、硫酸ポリミキシンB、臭化ドデシルトリメチル
アンモニウム、ブラジキニン、スペルミン、プトレシン、オクチルアルギニン、および合
成ペプチドおよびデンドリマーからなる群より選択される、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記ポリアニオンが、以下:ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリアクリレート
、ポリシアノアクリレート、ポリラクテート、ポリ−B−ヒドロキシブチレート、ポリビ
ニルピロリドン、ヒアルロン酸、ヘパリン、硫酸化ポリサッカリド、硫酸デキストラン、
硫酸ヘパリンおよびデンドリマーからなる群より選択される、項目21に記載の組成物

(項目24)
前記賦形剤が、以下:界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリオール、グリコアミノ
グリカン、アミノ酸、デンプン、グリセロール、糖類、セルロース、ポビドンデキストリ
ン、ポリソルベート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアスコルビン酸からなる群よ
り選択される、項目12に記載の組成物。
(項目25)
前記安定剤が、以下:糖類、ポリオール、アミノ酸、可溶性タンパク質および界面活性剤
からなる群より選択される、項目12に記載の組成物。
(項目26)
哺乳動物における疾患状態を処置するための方法であって、項目1〜11のいずれか1
項に記載の複合体の治療有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
(項目27)
哺乳動物における疾患状態を処置するための方法であって、項目12〜25のいずれか
1項に記載の組成物の治療有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
(項目28)
前記複合体または組成物が、経口経路または非経口経路によって前記哺乳動物に投与され
る、項目26または27に記載の方法。
(項目29)
前記複合体または組成物が、皮下または筋肉内経路によって前記哺乳動物に投与される、
項目28に記載の治療法。
(項目30)
前記複合体または組成物が、27より大きいゲージを有する針を使用して、皮下経路によ
って前記哺乳動物に投与される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記複合体または組成物が、無針注射によるかまたは経皮的手段によって、前記哺乳動物
に投与される、項目26または27に記載の方法。
(項目32)
前記複合体または組成物が、前記哺乳動物に1週間に1回投与される、項目26または
27に記載の方法。
(項目33)
前記複合体または組成物が、前記哺乳動物に2週間に1回投与される、項目26または
27に記載の方法。
(項目34)
前記複合体または組成物が、前記哺乳動物に1ヶ月に1回投与される、項目26または
27に記載の方法。
(項目35)
前記哺乳動物が、ヒトである、項目26または27に記載の方法。
(項目36)
タンパク質複合体を生成するための方法であって、以下の工程:
(a)タンパク質の溶液と結晶化試薬混合物とを混合して溶液を生成する工程;
(b)脱イオン水を該溶液に添加する工程;
(c)タンパク質結晶が形成されるまで、該溶液を約4℃と約40℃との間の温度で約
2時間と約48時間との間の時間インキュベートする工程;および、
(d)イオン性化合物を該溶液に添加する工程、
を包含する、方法。
(項目37)
タンパク質複合体を生成するための方法であって、以下の工程:
(a)タンパク質の溶液と結晶化緩衝剤とを混合して溶液を生成する工程;
(b)脱イオン水を該溶液に添加する工程;
(c)イオン性化合物を該溶液に添加する工程;および、
(d)タンパク質結晶が形成されるまで、該溶液を約4℃と約40℃との間の温度で、
約2時間と約48時間との間の時間インキュベートする工程、
を包含する、方法。
(項目38)
工程(b)と(c)との間で、賦形剤を前記溶液に添加する工程をさらに包含する、請求
項35または36に記載の方法。
(項目39)
溶液相に懸濁したタンパク質複合体を含有する組成物を生成するための方法であって、以
下:水、緩衝剤、防腐剤、等張剤、安定剤およびこれらの組合せからなる群より選択され
る溶液相において、項目35または36に従って調製した前記複合体を混合する工程を
包含する、方法。
(項目40)
工程(a)において、前記タンパク質が、前記溶液中に約0.5mg/mlと約200m
g/mlとの間の濃度で存在する、項目35または36に記載の方法。
(項目41)
工程(a)において、前記結晶化試薬混合物が、以下:Tris−HCl、HEPES、
酢酸塩、リン酸塩、クエン酸ホウ酸塩、イミダゾール、Bis−tris、重炭酸塩、炭
酸塩、N−(2−アセトアミド)−イミノジ酢酸およびMESからなる群より選択される
、項目35または36に記載の方法。
(項目42)
前記結晶化試薬混合物が、前記溶液中に、約0.5mMと約500mMとの間の濃度で存
在する、項目35または36に記載の方法。
(項目43)
前記結晶化試薬混合物が、約2と約10との間のpHを有する、項目35または36に
記載の方法。
(項目44)
工程(d)において、前記溶液のpHが、前記結晶化試薬混合物のpHと同じである、請
求項35または36に記載の方法。
(項目45)
項目35の工程(c)および項目36の工程(d)において、前記溶液が、約4℃と
約37℃との間の温度で、約1日と約2日との間の時間インキュべートされる、項目3
5または36に記載の方法。
(項目46)
前記イオン性化合物が、以下:ポリマー、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質お
よびデンドリマーからなる群より選択される、項目35または36に記載の方法。
(項目47)
前記イオン性化合物の前記オリゴペプチド成分が、約2kDより小さい分子量を有する、
項目45に記載の方法。
(項目48)
前記イオン性化合物の前記ポリペプチドまたはタンパク質成分が、約2kDより大きい分
子量を有する、項目45に記載の方法。
(項目49)
前記イオン性化合物の前記ポリペプチドまたは前記タンパク質成分が、ポリカチオンおよ
びポリアニオンからなる群より選択される、項目45に記載の方法。
(項目50)
前記ポリカチオンが、以下:プロタミン、ポリアルギニン、ポリリシン、ポリヒスチジン
、ヒストン、ミエリン塩基性タンパク質、硫酸ポリミキシンB、臭化ドデシルトリメチル
アンモニウム、ブラジキニン、スペルミン、プトレシン、オクチルアルギニンおよび合成
ペプチドおよびデンドリマーからなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目51)
前記ポリアニオンが、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリアクリレート、ポリ
シアノアクリレート、ポリラクテート、ポリ−B−ヒドロキシブチレート、ポリビニルピ
ロリドン、ヒアルロン酸、ヘパリン、硫酸化ポリサッカリド、硫酸デキストラン、硫酸ヘ
パリンおよびデンドリマーポリグルタメートおよびポリアスパルテートから選択される、
項目48に記載の方法。
(項目52)
前記賦形剤が、以下:界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリオール、グリコアミノ
グリカン、アミノ酸、デンプン、グリセロール、糖類、セルロース、ポビドンデキストリ
ン、ポリソルベート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアスコルビン酸からなる群よ
り選択される、項目37に記載の方法。
(項目53)
前記安定剤が、以下:糖類、ポリオール、アミノ酸、可溶性タンパク質、界面活性剤およ
びこれらの組合せからなる群より選択される、項目38に記載の方法。
(項目54)
前記タンパク質が以下:治療タンパク質、融合タンパク質、糖タンパク質、レセプター、
合成抗原、組換え抗原、ウイルス表面タンパク質、ホルモン、抗体、酵素、Fabフラグ
メント、環状ペプチドおよび直鎖状ペプチドからなる群より選択される、項目35また
は36に記載の方法。
(項目55)
前記治療タンパク質が、以下:グルカゴン様ペプチド1、抗体、組織適合性抗原、インテ
グリン、セレクチン、インヒビター、成長因子、ポストリディカルホルモン、神経成長ホ
ルモン、血液凝固因子、接着分子、骨形態形成タンパク質、レクチン、栄養因子、サイト
カイン(例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、α−IFN、β−IFN、γ−IF
N、TNF、IL−6、IL−8、リンホトキシン、IL−5、遊走阻止因子、GMCS
F、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激
因子、多剤耐性タンパク質、他のリンホカイン)、トキソイド、エリスロポエチン、第V
III因子、アミリン、TPA、ドルナーゼ−α、α−1−アンチトリプシン、ヒト成長
ホルモン、神経成長ホルモン、骨形態形成タンパク質、成長分化因子、ニューレグリン、
ウレアーゼおよびトキソイドからなる群より選択される、項目35または36に記載の
方法。
(項目56)
前記ホルモンが、以下:ヒト成長ホルモン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、排卵誘導ホルモン、黄体化ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンからなる群より選択される、項目35または36に記載の方法。
(項目57)
前記抗体が、以下:インフリキシマブ、エタネルセプト、リタキシマブ、トラスツズマブ、アブシキシマブ、パリビズマブ、ムルモナブ−CD3、ゲムツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ゼバリンおよびミロタルグからなる群より選択される、項目35または36に記載の方法。
(項目58)
前記酵素が、以下:ラスブリカーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ヒドロラーゼ、オキシダーゼ、イソメラーゼ、リアーゼ、リガーゼ、アデニレートシクラーゼ、トランスフェラーゼ、オキシドレダクターゼ、ニトリラーゼ、ラッカーゼ、デヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼおよびヒダントイナーゼからなる群より選択される、項目35または36に記載の方法。
(項目59)
前記酵素が、以下:Aspergillus oryzaeアミラーゼ、Burkhol
deria cepaciaリパーゼ、シュウ酸オキシダーゼおよび尿酸オキシダーゼか
らなる群より選択される、項目35または36に記載の方法。
(項目60)
前記タンパク質結晶が、インスリンタンパク質結晶でない、項目1または2に記載の複合体。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、光学顕微鏡によって画像化した、85mM酢酸カルシムおよび100mM Tris−HCl(pH8.6)および硫酸プロタミン(1mg/ml)の存在下のhGH結晶生長を示す。実施例4参照。
【図2】図2は、280nmにおいて監視した、リン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウムおよび酢酸カルシウム/プロタミン塩へのhGHの溶解度を、時間の関数として示す。実施例5参照。
【図3】図3は、光学顕微鏡によって画像化した、85mM酢酸カルシム、6%(v/v)PEG−6000、100mM Tris−HCl(pH8.6)および硫酸プロタミン(1mg/ml)の存在下のhGH結晶生長を示す。実施例9参照。
【図4】図4は、280nmにおいて監視した、実施例6〜10によって生長させたhGH結晶の溶解度を、時間(分)の関数として示す。実施例11参照。
【図5】図5は、種々の量の硫酸プロタミンを添加した際の、hGH結晶(85mM酢酸カルシム、2%(v/v)PEG−6000および100mM Tris−HCl(pH8.6)の存在下に形成)の溶解特性を示す。硫酸プロタミンをhGH結晶に添加し、そして、上澄みにおける可溶性hGH濃度を1時間静置し、RP−HPLC(面積(Area))によって測定した。実施例12参照。
【図6】図6は、光学顕微鏡によって画像化した、5%エタノールおよび15%PEG−6000(pH8.5)の存在下に生長したラスブリカーゼ(rasburicase)結晶を示す。実施例14参照。
【図7】図7は、単独か、またはイオンポリマー、例えば、ポリアルギニン、ポリリシン、プロタミンおよびポリオルチニンと複合体化させた、ラスブリカーゼの累積溶解%を示す。実施例18参照。
【図8】図8は、光学顕微鏡によって画像化した、100mMリン酸クエン酸緩衝液(pH4.2)中の40%PEG−600の存在下に生長した蓚酸オキシダーゼ結晶を示す。実施例19参照。
【図9A】図9Aは、表6に従って、可溶性hGH(群1)、ポリアルギニンと複合体化させたhGHのナトリウム結晶(群2)およびプロタミンと複合体化させたhGHのナトリウム結晶(群3)を毎日皮下投与された幼若雌カニクイザルの血清中のhGH濃度を、時間の関数として示す。実施例26参照。
【図9B】図9Bは、表8に従って、可溶性hGH(群1)、ポリアルギニンと複合体化させたhGHのナトリウム結晶(群2)およびプロタミンと複合体化させたhGHのナトリウム結晶(群3)を毎日皮下投与された幼若雌カニクイザルについての血清中のIGF−1濃度を、時間の関数として示す。実施例26参照。
【図10A】図10Aは、表10に従って、対照(群1;7日間にわたって1日1回)、可溶性hGH(群4および5;7日間にわたって1日1回)および結晶hGH(群6、7、9および10;7日間に1回)を皮下投与された雄ウィスターラットの7日間の成長を示す。実施例27参照。注:サル用量は、高用量、即ち5.6mg/kg/週を意味する。
【図10B】図10Bは、表11に従って、対照(群1;7日間にわたって1日1回)、可溶性hGH(群4および5;7日間にわたって1日1回)および結晶hGH(群6、7、9および10;7日間に1回)を皮下投与された雄ウィスターラットについての、7日間にわたる毎日の誘導体重増加(g)を示す。実施例27参照。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において特に記載しなければならない限り、本発明に関して使用される科学お
よび技術用語は、当業者に一般に理解される意味を有する。さらに、文脈によってそうで
ないことが必要とされなければ、単数形用語は複数形を含み、複数形用語は単数形を含む
。概して、本明細書に記載されるカラムクロマトグラフィー、光学顕微鏡検査法、UV−
VIS分光学、薬物動態分析、組換えDNA法、ペプチドおよびタンパク質化学、核酸化
学および分子生物学に関して使用される命名法および技術は、当業者によく知られており
、当分野で一般に使用されるものである。
【0010】
以下の用語は、他に指示しなければならない限り、下記の意味を有するものと理解され
る。
【0011】
「複合体」という用語は、タンパク質の結晶およびイオン化合物を意味する。または、
該用語は、タンパク質の結晶、イオン化合物および賦形剤を意味しうる。
【0012】
「タンパク質結晶」という用語は、三次元結晶格子を有する結晶固体状態の一つの状態
を意味する。タンパク質が結晶状態であるかどうかは、当分野で既知の任意の方法、例え
ば、X線回折または粉末X線回折によって決定しうる。
【0013】
「非晶質固形物」または「非晶質沈殿物」という用語は、結晶固体状態に特徴的な三次
元結晶格子構造を有さないタンパク質の非結晶固体形態である。
【0014】
「球状タンパク質粒子(SPP)」という用語は、ナノメートルのオーダーの球半径を
有するタンパク質複合体を意味する。該複合体は、1つまたはそれ以上の医薬的または診
断的に許容される成分または賦形剤と組み合わした結晶タンパク質を含有する。
【0015】
「イオン化合物」という用語は、所定のpH環境下に、少なくとも2個の荷電基および
少なくとも2の正味電荷を有するペプチドを包含するあらゆるポリマー(ホモポリマーま
たはヘテロポリマー)または小分子を意味する。イオン化合物という用語は、高分子電解
質も包含する。
【0016】
「治療タンパク質」という用語は、処方物または組成物、または医薬処方物または組成
物において、生体に投与されるタンパク質を意味する。治療タンパク質または予防用タン
パク質の例は、ホルモングルカゴン、例えばグルカゴン様ペプチド1および副甲状腺ホル
モン、抗体、融合タンパク質、エンブレル(エタネルセプト)を包含する(注:エンブレ
ルは、ヒトIgG1のFc部分に連鎖したヒト75キロダルトン(p75)腫瘍壊死因子
レセプター(TNFR)の細胞外リガンド結合部分から成るダイマー融合タンパク質であ
る)。エタネルセプトのFc成分は、IgG1のC2ドメイン、C3ドメインおよび
ちょうつがい部位(C1ドメインは含まない)、インヒビター、増殖因子、神経成長ホ
ルモン、血液凝固因子(例えば、第IX因子)、接着分子、骨形態形成タンパク質および
レクチン栄養因子、サイトカイン、例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、α−IF
N、β−IFN、γ−IFN、TNF、IL−6、IL−8、リンホトキシン、IL−5
、遊走阻止因子、GMCSF、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコロニー刺激
因子、顆粒球コロニー刺激因子(例えば、CSF−3)、多剤耐性タンパク質、他のリン
ホカイン、トキソイド、エリスロポエチン、第VIII因子、アミリン、TPA、ドルナ
ーゼ−α、α−1−アンチトリプシン、ヒト成長ホルモン、神経成長ホルモン、骨形態形
成タンパク質、ウレアーゼ、トキソイド、排卵誘導ホルモン、FSH、LSH、アルテプ
ラーゼ(Alteplase)および組織プラスミノゲンアクチベータ(TPA)を含む

【0017】
下記のような治療タンパク質も包含する:
白血球マーカー、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8
、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD18、CD19、C
E20、CD22、CD23、CD27およびそのリガンド、CD28およびそのリガン
ド、B7.1、B7.2、B7.3、CD29およびそのリガンド、CD30およびその
リガンド、CD40およびそのリガンドgp39、CD44、CD45およびアイソフォ
ーム、Cdw52(Campath抗原)、CD56、CD58、CD69、CD72、
CTLA−4,LFA−1およびTCR;
組織適合性抗原、例えば、MHCクラスIまたはII抗原、ルイスY抗原、SLex、
SLey、SLeaおよびSLeb;
インテグリン、例えば、VLA−1、αIIβ、βIIIα VLA−2、VLA−3
、VLA−4、VLA−5、VLA−6およびLFA−1;
接着分子、例えば、Mac−1およびp150、95;
セレクチン、例えば、L−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチンならびに
それらのカウンターレセプターVCAM−1、ICAM−1、ICAM−2およびLFA
−3;
インターロイキン、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、I
L−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL
−14およびIL−15;
インターロイキンレセプター、例えば、IL−1R、IL−2R、IL−4R、IL−
5R、IL−6R、IL−7R、IL−8R、IL−10R、IL−11R、IL−12
R、IL−13R、IL−14R、IL−15R、IL−1 trap、IL−4 tr
ap、IL−6 trapおよびIL−13 trap;
ケモカイン、例えば、PF4、RANTES、MIP1α、MCP1、NAP−2、G
roα、GroβおよびIL−8;
増殖因子、例えば、TNFα、TGFβ、BMPs、GDFs、ニューレグリン、TS
H、VEGF/VPF、PTHrP、EGFファミリー、EGF、PDGFファミリ−、
エンドセリン、ペグビソマントおよびガストリン放出ペプチド(GRP);
増殖因子レセプター、例えば、TNFαR、RGFβR、TSHR、VEGFR/VP
FR、VEGF trap、FGFR、EGFR、PHTrPR、PDGFRファミリー
、EPO−R、GCSF−R、組換えヒト可溶性p55TNFレセプター(TBP−1タ
ンパク質)および他の造血因子レセプター;
インターフェロンレセプター、例えば、IFNαR、IFNβRおよびIFNγR;
融合タンパク質;
Igおよびそれらのレセプター、例えば、IgE、FceRIおよびFceRII;お
よび
血液因子、例えば、補体C3b、補体C5a、補体C5b−9、Rh因子、フィブリノ
ーゲン、フィブリンおよびミエリン関連増殖因子。
【0018】
「糖タンパク質」という用語は、糖鎖およびタンパク質様成分を含んで成る分子として
定義される。
【0019】
本発明の複合体および組成物のタンパク質成分は、任意の天然、合成または組換えタン
パク質抗原であってよく、例えば下記のものである:破傷風トキソイド、ジフテリアトキ
ソイド、ウイルス表面タンパク質、例えば、CMV糖タンパク質B、HおよびgCIII
、HIV−1エンベロープ糖タンパク質、RSVエンベロープ糖タンパク質、HSVエン
ベロープ糖タンパク質、EBVエンベロープ糖タンパク質、VZVエンベロープ糖タンパ
ク質、HPVエンベロープ糖タンパク質、インフルエンザウイルス糖タンパク質、肝炎フ
ァミリー表面抗原;ウイルス構造タンパク質、ウイルス酵素、寄生生物タンパク質、寄生
生物糖タンパク質、寄生生物酵素および細菌タンパク質を包含する。
【0020】
腫瘍抗原、例えば、her2−neu、ムチン、CEAおよびエンドシアリンも包含さ
れる。アレルゲン、例えば、ハウスダウトダニ抗原、lol p1(草)抗原、およびウ
ルシオールが包含される。
【0021】
毒素、例えば、プソイドモナスエンドトキシンおよびオステオポンチン/ウロポンチン
、蛇毒液および蜂毒液が包含される。
【0022】
糖タンパク質腫瘍関連抗原、例えば、癌胎児抗原(CEA)、ヒトムチン、her−2
/neuおよび前立腺特異抗原(PSA)も包含される[R.A.Henderson
and O.J.Finn,Advances in Immunology,62,p
p.271−56(1996)]。
【0023】
ポリマーという用語は、分子量約5,000またはそれ以上を有する分子であって、共
有結合した分子量5,000未満のモノマー単位2個またはそれ以上から成る分子を意味
する。本発明の選択的実施形態によれば、ポリマーは、2個またはそれ以上のモノマーか
ら成ることができ、ダイマー、トリマー、テトラマー等を包含する。ポリマーは、ホモポ
リマーまたはヘテロポリマーであってよく、コポリマーを包含する。
【0024】
コポリマーという用語は、1つの鎖につき2種またはそれ以上のモノマー単位を有する
ポリマーを意味する。コポリマーの全組成中のモノマー単位の配列は、交互、ブロックま
たは統計的であってよい[Odian,Principles of Polymeri
zation,第3版、142−149(1991)]。
【0025】
ポリペプチドは、互いに連結した50個より多いアミノ酸および/またはイミノ酸の連
鎖として定義される。オリゴペプチドは、互いに連結した2〜50個のアミノ酸および/
またはイミノ酸として定義される。
【0026】
タンパク質は、2,000より大きい分子量を有する巨大分子であり、1個またはそれ
以上のポリペプチド鎖から成る。
【0027】
「デントリマー」という用語は、高分子を意味し、簡単な分岐モノマー単位から段階的
に生成される合成三元巨大分子であり、その性質および機能性は容易に調節することがで
き、変化させることができる。デンドリマーの独特の構造および単分散構造は、一般的な
直鎖状ポリマーと比較した場合に、有意に向上した物理的および化学的性質を生じること
が示されている。その結果、現在、デンドリマーは、進歩した薬剤輸送システム用の主要
なナノメートル規模の構成単位の1つであると考えられている。
【0028】
デンドリマーは、最初の3世代において、一般的な有機分子に類似している。それらは
、小さく、一貫したまたは特定の三次元構造を有していない。第4世代までに、デンドリ
マーは球状になり始め、好ましい三次元構造をとり始める。第5世代までに、デンドリマ
ーは、一貫した特定の三次元構造を有し、第5世代を超えると、デンドリマーは高度に構
造化された球形になる。本発明の1つの実施形態は、少なくとも2世代のデンドリマーに
関する。本発明の他の実施形態において、デンドリマーは、陽荷電または陰荷電すること
ができる。
【0029】
「ポリカチオン」という用語は、適切なpH環境下に正味陽電荷を有するオリゴマー鎖
(少なくとも2個のモノマー単位)またはポリマー鎖を意味する。ポリカチオンの例は、
プロタミン、ポリアルギニン、ポリリシン、ポリヒスチジン、ヒストン、ミエリン塩基性
タンパク質、硫酸ポリミキシンB、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ブラジキニン
、スペルミン、プトレシン、オクチルアルギニンおよび合成ペプチドおよびデンドリマー
である。
【0030】
「ポリアニオン」という用語は、適切なpH環境下に正味陰電荷を有するオリゴマー鎖
(少なくとも2個のモノマー単位)またはポリマー鎖を意味する。ポリアニオンの例は、
ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、
ポリラクテート、ポリ−B−ヒドロキシブチレート、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン
酸、ヘパリン、硫酸化ポリサッカリド、硫酸デキストラン、硫酸ヘパリン、ポリホスフェ
ートおよびデンドリマーである。
【0031】
「懸濁液」という用語は、可溶相に分散した不溶相を意味する。
【0032】
等張溶液は、ヒト生理液と同じ浸透圧を有する。「等張剤」は、所定液における浸透圧
を調節するために使用することができるあらゆる分子または化合物である。
【0033】
本発明の複合体および組成物は、あらゆる医薬的に許容される賦形剤と組み合わすこと
ができる。本発明によれば、「医薬的に許容される賦形剤」は、医薬組成物に使用される
充填剤または充填剤組合せとして作用する賦形剤である。好ましい賦形剤は、下記のもの
を包含する:1)アミノ酸、例えば、グリシン、アルギニン、アルパラギン酸、グルタミ
ン酸、リシン、アスパラギン、グルタミン、プロリン;2)炭水化物、例えば、単糖類、
例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロ
ース、リボース;二糖類、例えば、ラクトース、トレハロース、マルトース、スクロース
;多糖類、例えば、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、グリコーゲン;アル
ジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール;ならび
に3)グルクロン酸およびガラクツロン酸。他の賦形剤は、下記のものを包含する:シク
ロデキストリン、例えば、メチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン等;無機塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、
ナトリウムおよびカリウムのリン酸塩、硼酸、炭酸アンモニウムおよびリン酸アンモニウ
ム;有機塩、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩;乳化または可溶
化/安定化剤、例えば、アラビアゴム、ジエタノールアミン、グリセリルモノステアレー
ト、レシチン、モノエタノールアミン、オレイン酸、オレイルアルコール、ポロキサマー
、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ソルビタンモノラウレート
、ソルビタンモノステアレートおよびソルビタン誘導体、ポリオキシル誘導体、ワックス
、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン誘導体;および粘度上昇剤、例えば、寒天、ア
ルギン酸およびその塩、グアールゴム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
オキシド、セルロースおよびその誘導体、プロピレンカーボネート、ポリエチレングリコ
ール、ヘキシレングリコール、チロキサポール。任意の前記化合物の塩も使用しうる。他
の好ましい賦形剤群は、下記のものを包含する:スクロース、トレハロース、ラクトース
、ソルビトール、ラクチトール、イノシトール、ナトリウムおよびカリウムの塩、例えば
、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、硼酸塩、グリシン、アルギニン、ポリエチレンオキシ
ド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、メトキシ
ポリエチレングリコール、ゼラチン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポ
リリシン、ポリアルギニン。
【0034】
本発明の1つの実施形態において、賦形剤は、下記から成る群から選択される:塩、ア
ルコール、炭水化物、タンパク質、脂質、界面活性剤、ポリマーおよびポリアミノ酸。他
の実施形態において、賦形剤は、下記から成る群から選択される:界面活性剤、プルロニ
ックポリオール、ポリオール、グリコアミノグリカン、アミノ酸、デンプン、グリセロー
ル、単糖類、二糖類、セルロース、プロビドンデキストリン、ポリソルベート、ヒドロキ
シプロピルセルロースおよびアスコルビン酸。
【0035】
本発明の複合体および組成物は、担体または補助剤、治療薬に添加した場合にその作用
を加速するかまたは向上させる物質と組み合わすこともできる。補助剤の例は、フロイト
補助剤、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、緩衝物質、例
えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸およびソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部
分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナト
リウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、マグネシウム、ケイ酸塩、セルロー
スに基づく物質およびポリエチレングリコール。ゲルベース形態用の補助剤は、例えば、
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレン−ブロックコポリマー、ポリエチレングリコールおよびウッドワックス
(wood wax)アルコールである。
【0036】
本発明の複合体および組成物は、安定剤と組み合わすこともできる。本発明の1つの実
施形態において、安定剤は、下記から成る群から選択される:糖類、ポリオール、アミノ
酸、可溶性タンパク質および界面活性剤。
【0037】
「結晶化試薬混合物」という用語は、塩、PEG、緩衝剤、およびタンパク質またはポ
リマーの結晶化に必要とされる他の成分を含有する組成物として定義される。
【0038】
本発明の1つの実施形態は、タンパク質結晶およびイオン化合物を含んで成る複合体に
関する。他の実施形態は、複合体、および医薬的に許容される賦形剤または担体を含んで
成る組成物に関する。本発明の他の実施形態は、溶液相に懸濁した不溶相を含んで成る組
成物であって、該不溶相が、タンパク質結晶、イオン化合物および賦形剤を含んで成る複
合体であり、該溶液相が、水、緩衝剤、防腐剤、等張剤、安定剤およびそれらの組合せか
ら成る群から選択される組成物に関する。さらに、本発明は、これらの複合体および組成
物を製造する方法も提供する。
【0039】
本発明は、タンパク質結晶対応物または従来処方のタンパク質対応物と比較して、長時
間溶解特性を有する複合体および組成物を示す。その溶解挙動は、結晶化工程の前または
後に、タンパク質結晶にポリカチオンまたはポリアニオン化合物を付加することによって
得られる。ポリカチオン化合物またはポリアニオン化合物の使用の選択は、タンパク質の
PIおよび結晶化環境のpHに依存する。
【0040】
イオン化合物をタンパク質結晶に複合体化させることに加えて、ポリカチオンおよびポ
リアニオンを使用して、非晶質タンパク質沈殿物および球状タンパク質粒子の複合体およ
び組成物を準備することもできる。
【0041】
本発明によれば、徐放性組成物用のタンパク質の種々の結晶の発生は、タンパク質の両
性性質に依存する。例えば、タンパク質鎖上の利用可能な塩基性および酸性残基の数、な
らびにpH環境が、タンパク質の全体的正味電荷を決定する。従って、等電pH値(pI
)、またはタンパク質の正味電荷が0である場合の特定pHは、全てのタンパク質に固有
である。ポリカチオンまたはポリアニオンを、それぞれ、低pIまたは高pIを有するタ
ンパク質に複合体化させることは、好ましい溶解挙動を包含する有利な物理的性質を有す
るタンパク質を生じうる。
【0042】
例えば、ヒト成長ホルモン(pI=5.2)を、pH7において緩衝液中で結晶化させ
るかまたは沈殿させる場合、タンパク質は陰に荷電され、従って、ポリカチオンと相互作
用するかまたは複合体化しうる。同様に、9より高いpIを有するモノクローナル抗体、
例えばリタキサンおよびハーセプチンは、中性緩衝液中でポリアニオンと複合体化しうる

【0043】
一旦アミノ酸配列が確認されると、タンパク質正味電荷の推定値を算出することができ
る。公的に得られるプログラムにアクセスして、これを行なうことができる(参照: h
ttp://www−biol.univ−mrs.fr/d abim/compo−
p.htmlおよびhttp://www.infobiogen.fr/servic
e/deambulum)。酸性タンパク質、アスパラギン酸(pKa4.5)およびグ
ルタミン酸(pKa4.5)の高含有量を有するタンパク質は、一般に6〜6.4未満の
pIを有する。一方、塩基性タンパク質、ヒスチジン(pKa6.2)、リシン(pKa
10.4)およびアルギニン(pKa12)の高含有量を有するタンパク質は、約7.5
〜8より高いpIを有する。それらの両方に対して、中性タンパク質、同量の酸残基およ
び塩基性アミノ酸残基を一般に有するタンパク質は、中性pIを有する(pIは一般に約
6.5〜7.4である)。
【0044】
包括的ではないが、種々の治療タンパク質のpIの例は以下の通りである:組換えヒト
エリスロポエチン(pI=4);エタネルセプト(エンブレル)(pI=5.1);イン
スリン(pI=5.4);顆粒球コロニー刺激因子(pI=5.5〜5.9);TNF−
α(pI=5.6);フィブロラーゼ(pI=6.7);IL−1β(pI=6.9);
組換え組織プラスミノゲン活性化因子(pI=6.5〜8.5);オルトクロン OKT
3(pI=6.7〜7.2);第VIII因子(pI=7〜7.6);ウシソムトトロピ
ン(pI=7.4);インターロイキン2(pI=7.44);インスリン様成長因子−
1(pI=8.4)およびアプロチニン(pI=10.5)。
【0045】
本発明の1つの実施形態は、タンパク質結晶およびイオン化合物を含んで成る複合体に
関する。本発明の実施形態によれば、タンパク質結晶およびイオン化合物は、約1:25
0〜約1:20のタンパク質/イオン化合物のモル比で存在する。他の実施形態において
、タンパク質結晶およびイオン化合物は、約5:1〜約40:1(w/w)のタンパク質
/イオン化合物比率で存在する。他の実施形態において、タンパク質結晶およびイオン化
合物は、約10:1〜約20:1(w/w)のタンパク質/イオン化合物比率で存在する
。他の実施形態において、タンパク質結晶およびイオン化合物は、約12:1〜約15:
1(w/w)のタンパク質/イオン化合物比率で存在する。選択的実施形態によれば、そ
の比率は5:1(w/w)である。
【0046】
好ましい実施形態において、タンパク質結晶は、下記から成る群から選択される:治療
タンパク質、融合タンパク質、糖タンパク質、レセプター、合成抗原、組換え抗原、ウイ
ルス表面タンパク質、ホルモン、抗体、酵素、Fabフラグメント、環状ペプチドおよび
直鎖状ペプチド。
【0047】
より好ましい実施形態において、治療タンパク質は、下記から成る群から選択される:
グルカゴン様ペプチド1、抗体、組織適合性抗原、インテグリン、セレクチン、インヒビ
ター、成長因子、ポストリディカル(postridical)ホルモン、神経成長ホル
モン、血液凝固因子(例えば、第IX因子)、接着分子、骨形態形成タンパク質およびレ
クチン、栄養因子、サイトカイン、例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、α−IF
N、β−IFN、γ−IFN、TNF、IL−6、IL−8、リンホトキシン、IL−5
、遊走阻止因子、GMCSF、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコロニー刺激
因子、顆粒球コロニー刺激因子(例えば、CSF−3)、多剤耐性タンパク質、他のリン
ホカイン、エリスロポエチン、第VIII因子、アミリン、TPA、ドルナーゼ−α、α
−1−アンチトリプシン、ヒト成長ホルモン、神経成長ホルモン、骨形態形成タンパク質
、ウレアーゼおよびトキソイド。
【0048】
他のより好ましい実施形態において、治療タンパク質は、下記から成る群から選択され
る:グルカゴン様ペプチド1、抗体、組織適合性抗原、インテグリン、セレクチン、イン
ヒビター、成長因子、ポストリディカルホルモン、神経成長ホルモン、血液凝固因子(例
えば、第IX因子)、接着分子、骨形態形成タンパク質およびレクチン、栄養因子、サイ
トカイン、例えば、TGF−β、IL−2、IL−4、TNF、IL−6、IL−8、リ
ンホトキシン、IL−5、遊走阻止因子、IL−7、IL−3、単球−マクロファージコ
ロニー刺激因子、多剤耐性タンパク質、他のリンホカイン、第VIII因子、アミリン、
TPA、ドルナーゼ−α、α−1−アンチトリプシン、ヒト成長ホルモン、神経成長ホル
モン、骨形態形成タンパク質、ウレアーゼおよびトキソイド。
【0049】
他の好ましい実施形態において、ホルモンは、下記から成る群から選択される:ヒト成
長ホルモン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、排卵誘導ホルモン(fertility
hormone)、黄体化ホルモンおよび卵胞刺激ホルモン。
【0050】
さらに他の好ましい実施形態において、抗体は、下記から成る群から選択される:イン
フリキシマブ、エンタネルセプト(エンブレル)、リタキシマブ、トラスツズマブ、アブ
シキシマブ、パリビズマブ、ムルモナブ−CD3、ゲムツズマブ、バシリキシマブ、ダク
リズマブ、ゼバリンおよびミロタルグ。
【0051】
さらに他の好ましい実施形態において、酵素は、下記から成る群から選択される:ラス
ブリカーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ヒドロラーゼ、オキシダーゼ、イソメラーゼ、リア
ーゼ、リガーゼ、アデニレートシクラーゼ、トランスフェラーゼ、オキシドレダクターゼ
、ニトリラーゼ、ラッカーゼ、デヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼおよびヒダントイナ
ーゼ。
【0052】
より好ましい実施形態において、アミラーゼは、鞠菌(Aspergillus or
yzae)に由来する。他の好ましい実施形態において、リパーゼは、セパシア菌(Bu
rkholderia cepacia)に由来する。さらに他の好ましい実施形態にお
いて、オキシダーゼは、蓚酸オキシダーゼおよび尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)から成
る群から選択される。
【0053】
1つの実施形態において、リアーゼはヒスチダーゼであり、ヒドロラーゼはL−アスパ
ラギナーゼIIである。他の実施形態において、酵素はアデノシンデアミナーゼまたはセ
レダーゼである。
【0054】
1つの実施形態によれば、本発明のタンパク質結晶およびイオンポリマーの複合体は、
順次に吸収され反対に荷電された高分子電解質の多層被膜を有するタンパク質結晶(EP
1190123 B1)ではない。
【0055】
複合体のイオン化合物成分は、下記から成る群から選択される:ポリマー、ポリペプチ
ド、オリゴペプチド、タンパク質およびデンドリマー。好ましい実施形態において、オリ
ゴペプチドは、約2kD未満の分子量を有し、ポリペプチドまたはタンパク質は、約2k
Dより高い分子量を有する。さらに、本発明のイオン化合物のオリゴペプチドまたはポリ
ペプチドまたはタンパク質成分は、ポリカチオンおよびポリアニオンから成る群から選択
することができる。
【0056】
より好ましい実施形態において、ポリカチオンは、下記から成る群から選択される:プ
ロタミン、ポリアルギニン、ポリリシン、ポリヒスチジン、ヒストン、ミエリン塩基性タ
ンパク質、硫酸ポリミキシンB、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ブラジキニン、
スペルミン、プトレシン、オクチルアルギニンおよび合成ペプチドおよびデンドリマー。
他のより好ましい実施形態において、ポリアニオンは、下記から成る群から選択される:
ポリグルタメート、ポリアスパルテート、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、
ポリラクテート、ポリ−B−ヒドロキシブチレート、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン
酸、ヘパリン、硫酸化ポリサッカリド、硫酸デキストラン、硫酸ヘパリンおよびデンドリ
マー。
【0057】
本発明の他の実施形態は、溶液相に懸濁した不溶相を含んで成る組成物であって、該不
溶相が、タンパク質結晶、イオン化合物および賦形剤を含んで成る複合体であり、前記溶
液相が、水、緩衝剤、防腐剤、等張剤、安定剤およびそれらの組合せから成る群から選択
される組成物に関する。または、そのような組成物は、賦形剤を使用せずに準備すること
もできる。
【0058】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、賦形剤が下記から成る群から選択される組成物
も包含する:界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリオール、グリコアミノグリカン
、アミノ酸、デンプン、グリセロール、糖類、セルロース、ポビドンデキストリン、ポリ
ソルベート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアスコルビン酸。
【0059】
他の好ましい実施形態は、安定剤が下記から成る群から選択される組成物を包含する:
糖類、ポリオール、アミノ酸、可溶性タンパク質および界面活性剤。
【0060】
本発明は、タンパク質に基づく療法の持続放出を必要とするかまたはそれによって改善
される疾患状態を有する哺乳動物に、複合体または組成物を投与する方法も提供する。該
方法は、タンパク質結晶およびイオン化合物を含んで成る本発明の複合体の治療有効量を
哺乳動物に投与する工程を含んで成る。または、該方法は、イオン化合物に複合体化させ
たタンパク質結晶および賦形剤を含んで成る組成物の有効量を哺乳動物に投与する工程を
含んで成る。
【0061】
本発明の1つの実施形態において、タンパク質結晶およびイオン化合物の複合体、なら
びにそれらを含んで成る賦形剤含有または不含有組成物を、単独か、または医薬的、獣医
学的または予防的調製物の一部として、投与する。それらは、非経口、経口、肺、鼻、耳
、肛門、膣、皮膚、眼、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、粘膜、舌下、皮下、経皮、局
所、口腔または頭蓋内経路で投与しうる。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、タンパク質結晶およびイオン化合物、ならびにそれ
らを含んで成る組成物を、賦形剤を添加するかまたは添加せずに、経口経路または非経口
経路によって投与する。好ましい実施形態において、タンパク質結晶およびイオン化合物
を含んで成る複合体、およびそれらを含んで成る組成物を、賦形剤を添加するかまたは添
加せずに、皮下または筋肉内経路によって投与する。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明の複合体または組成物を、27かまたはそれより大
きいゲージの針を使用して皮下経路によって投与する。または、複合体または組成物を、
無針注射器または経皮的手段によって投与しうる。
【0064】
本発明は、好都合にも、本発明の複合体または組成物の哺乳動物への持続放出を可能に
する。1つの実施形態において、本発明の複合体または組成物を1週間に1回投与する。
他の実施形態において、本発明の複合体または組成物を2週間ごとに投与する。さらに他
の実施形態において、本発明の複合体または組成物を1ヶ月ごとに投与する。特定の治療
計画は、複合体の薬物動態特性、治療される疾患、治療される患者の年齢および体重、患
者の総合的健康状態および主治医の判断のような要因に依存することは当業者に理解され
る。
【0065】
本発明は、タンパク質結晶とイオン化合物との複合体を準備する方法も提供する。1つ
のそのような方法は、下記の工程を含んで成る:(a)タンパク質の溶液と結晶化試薬混
合物とを混合して溶液を調製し;(b)脱イオン水を前記溶液に添加し;(c)タンパク
質結晶が形成されるまで、前記溶液を約4℃〜約40℃の温度で約2時間〜約48時間イ
ンキュベーションし;(d)イオン化合物を前記溶液に添加して、前記タンパク質結晶と
前記イオン化合物との複合体を形成する。
【0066】
代表的に、タンパク質の結晶化は、タンパク質の全電荷が0であるタンパク質pIに近
い溶液のpHにおいて生じる可能性が高い。しかし、ポリアニオンまたはポリカチオンの
タンパク質結晶への、それらのpI値における付加は、そのpHにおいて低複合を生じう
る。その結果、タンパク質結晶およびイオンポリマーの複合体は、弱く、哺乳動物への投
与に有用でない場合がある。このような理由から、上記の方法におけるそれぞれ工程(c
)および(d)である結晶化工程と複合体化工程の間に、付加的任意工程を含むことが好
都合である。その付加的任意工程において、付加的賦形剤を、工程(c)で形成されたタ
ンパク質結晶の懸濁液に添加して、結晶化のpHと異なるpHにおいてタンパク質結晶の
溶解度を減少させ、それと同時に、結晶の電荷を変化させ、それによって、次の工程(d
)における高分子イオンとの複合体化を促進する。次に、得られた複合体を非経口投与用
に処方することができ、その場合、pHは生理的pH、例えば、pH6.5〜7.5、ま
たは経口投与に好適な他の任意のpHにすべきである。選択的実施形態によれば、上記の
任意工程は、賦形剤を前記溶液に添加して、タンパク質結晶の結晶度は維持するが、工程
(c)と(d)の間のタンパク質結晶のpHは変化させることを含む。
【0067】
本発明は、タンパク質結晶とイオン化合物との複合体を準備する選択的方法も提供する
。この方法は、下記の工程を含んで成る:(a)タンパク質の溶液と結晶化試薬混合物と
を混合して溶液を調製し;(b)脱イオン水を前記溶液に添加し;(c)イオン化合物を
前記溶液に添加し;そして(d)タンパク質結晶が形成されるまで、前記溶液を約4℃〜
約40℃の温度で約2時間〜約48時間インキュベーションする。いずれかの本発明の方
法によって準備される複合体は、タンパク質およびイオン化合物の共結晶であってもよく
、または単に、タンパク質結晶とイオン化合物との物理的会合(即ち、静電相互作用)で
あってもよい。
【0068】
タンパク質結晶とイオン化合物との複合体を製造する上記の方法の他の実施形態におい
て、賦形剤または塩を工程(b)と(c)の間の溶液に添加することができる。
【0069】
他の好ましい実施形態において、上記の方法におけるイオン化合物を添加する工程にお
いて、ポリカチオンおよびポリアニオンを、タンパク質/ポリアニオンまたはポリカチオ
ン(mg:mg)の比率約1:5〜約1:25で添加する。
【0070】
上記の方法の工程(b)と(c)の間で賦形剤を添加する場合、好ましい賦形剤は、界
面活性剤、プルロニックポリオール、ポリオール、グリコアミノグリカン、アミノ酸、デ
ンプン、グリセロール、糖類、セルロース、ポビドンデキストリン、ポリソルベート、ヒ
ドロキシプロピルセルロースおよびアスコルビン酸を包含する。
【0071】
好ましい実施形態において、上記の方法の工程(a)におけるタンパク質は、前記溶液
に約0.5mg/mlおよび約200mg/mlの濃度で存在する。
【0072】
他の好ましい実施形態において、上記の方法の工程(a)における結晶化試薬混合物は
、Tris−HCl、HEPES、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸ホウ酸塩、イミダゾール
、Bis−tris、重炭酸塩、炭酸塩、N−(2−アセトアミド)−イミノジ酢酸およ
びMESから成る群から選択される。さらに他の好ましい実施形態において、結晶化試薬
混合物は、約0.5mM〜約500mMの濃度で溶液に存在する。他の好ましい実施形態
において、結晶化試薬混合物は、約2〜約10のpHを有する。
【0073】
他の好ましい実施形態において、上記方法の工程(d)における溶液のpHは、前記結
晶化試薬混合物と同じである。
【0074】
上記の方法の他の実施形態において、溶液を約4℃〜約37℃の温度で約1日〜約2日
間インキュベーションする。
【0075】
本発明は、溶液相に懸濁したタンパク質複合体を含んで成る組成物を製造する方法も提
供し、上記方法は、下記の工程を含んで成る:水、緩衝液、防腐剤、等張剤、安定剤およ
びそれらの組合せから成る群から選択される溶液相に、上記の方法によって製造した前記
複合体を混合する工程を含んで成る方法である。
【0076】
好ましい実施形態において、安定剤を下記から成る群から選択する:糖類、ポリオール
、アミノ酸、可溶性タンパク質、界面活性剤およびそれらの組合せ。
【0077】
本発明をより深く理解しうるように、下記実施例を示す。これらの実施例は、例示目的
にすぎず、本発明の範囲をいかなる方法においても限定するものではないと理解すべきで
ある。
【実施例】
【0078】
下記の物質を下記実施例において使用した。
【0079】
(材料)
商業的に入手可能な組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を、BresaGen Lt
d.(Thebarton、オーストラリア)から得、平均分子量6000(PEG−6
000)のポリエチレングリコールをHampton Research(Laguna
Niguel,カリフォルニア)から得、硫酸プロタミンをICN Biomedic
als Inc.(Pittsburgh,PA)からFisherを通じて購入した。
リン酸アンモニウム、Tris−HCl、クエン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、
酢酸カルシウム、塩化カルシウム、HEPES、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよびナ
トリウムアジドモノメチルエーテルを、Fisher(Pittsburgh,PA)か
ら得た。ポリアルギニンをSigma(St.Louis,MO)から得た。
【0080】
(分析技術およびアッセイ)
逆相高性能液体クロマトグラフィー。 逆相高性能液体クロマトグラム(RP−HPL
C)を、C5、5cm x 4.6mm、3μmカラム(Supelco,Bellef
onte,PA)を取り付けたAgilent 1100シリーズHPLC(Palo
Alto,CA)によって得た。サンプルを溶解緩衝液(50mM HEPES pH7
.2、140mM NaCl、10mM KClおよび0.02%(v/v)NaN
に溶解し、注入の前に濾過した(0.2μm)。溶媒AおよびBの勾配法を使用して21
4および280nmにおいて溶離プロフィールを監視した。溶媒Aは、99.9%dH
O/0.1%TFAから成っていた。溶媒Bは、99.9%アセトニトリル/0.1%T
FAから成っていた。全ての化学物質は、Fisherから入手したHPLCグレードで
あった。溶離は、0〜2分 40〜50%B、2〜12分 50〜60%B、および12
〜15分 60〜85%Bの勾配デザインを使用して、15分間にわたって行なった。流
量1ml/分およびカラム温度20℃の操作を通して維持した。Agilent Che
mstationソフトウェア(Palo Alto,CA)を使用してデータを分析し
た。
【0081】
サイズ排除クロマトグラフィー。 高性能サイズ排除クロマトグラム(SEC−HPL
C)を、TSK−Gel G2000SWXLカラム(part# 08450、Tos
oh Biosep LLC,Montgomeryville,PA)(7.8mm
x 30cm、5μm)を取り付けたAgilent 1100シリーズHPLC(Pa
lo Alto,CA)、およびAgilent 1100シリーズMWD(UV)によ
って得た。サンプルを溶解緩衝液0.2mlに溶解し、注入の前に0.2μm濾過して、
Agilent 1100シリーズ温度制御オートサンプラーに取った。50mM Tr
is−HCl、150mM NaCl、0.05% NaN、pH7.5の移動相を使
用して、214および280nmにおいて溶離プロフィールを監視した。カラム温度を2
5℃に維持し、Agilent 1100シリーズ脱ガス剤を使用して脱気した。
【0082】
UV−VIS吸収および光学顕微鏡検査法。 UV−VIS分光写真を、Beckma
n DU 7400分光光度計(Beckman Coulter Inc.,Full
erton,CA)によって得た。Olympus BX−51顕微鏡を使用する明視野
画像化によって光学顕微鏡写真を得、Image−Prosoftware(Media
Cybernetics L.P.,Silver Springs,Marylan
d)を使用して40x〜400xの倍率で、Sony DXC−970MD 3CCDカ
ラーデジタルビデオカメラによって保存した。
【0083】
(実施例1)
リン酸アンモニウムを使用するhGHの結晶化。 商業的に入手可能なhGH(50m
g)を、15ml Tris−HCl(10mM、pH8.0)に先ず溶解し、10,0
00の分子量カットオフ(MWCO)を有するPierce透析器を使用して2x400
0ml Tris−HCl(10mM、pH8.0)に対して透析した。Millipo
re濃縮器(MWCO 10,000)を4000rpmにおいて20〜30分間にわた
って使用して、タンパク質濃度を遠心分離によって調節した。hGHの濃度は、280n
m/0.813(1mg/ml hGH A280=0.813吸収単位)での吸収によ
って測定して30〜45mg/mlであった。脱イオン水をその溶液に添加して、最終タ
ンパク質濃度10〜20mg/mlを得た。最終濃度860mM NHPOが得
られるようにリン酸アンモニウム(NHPO)(2.5M)を溶液に添加するこ
とによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間インキュベーシ
ョンした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ約8〜15μ
mであり、結晶収量は90%より大であった。
【0084】
(実施例2)
クエン酸ナトリウムを使用するhGHの結晶化。 実施例1に記載のように、商業的に
入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃縮した。脱イオン水をh
GHの濃縮溶液に添加して、最終タンパク質濃度17.5mg/mlを得た。最終濃度3
90mM Na−シトレートが得られるようにクエン酸ナトリウム(Na−シトレート)
(1.5M)をその溶液に添加することによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶
液を25℃で16時間にわたってインキュベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で
画像化した。得られた結晶は、長さ約8μm未満であり、結晶収量は85%より大であっ
た。
【0085】
(実施例3)
リン酸ナトリウムを使用するhGHの結晶化。 実施例1に記載のように、商業的に入
手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃縮した。脱イオン水を濃縮
hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度12.5〜17.5mg/mlを得た。Tr
is−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。最終濃度6
00mM NaHPOが得られるように第二リン酸ナトリウム(NaHPO)(
1M)をその溶液に添加することによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を2
5℃で16時間にわたってインキュベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画像化
した。得られた結晶は、長さ5〜25μmであり、結晶収量は75%より大であった。
【0086】
(実施例4)
酢酸カルシウムおよび硫酸プロタミンを使用するhGHの結晶化。 実施例1に記載の
ように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃縮した
。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15mg/mlを得た。
Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。この溶
液に硫酸プロタミンを添加して、最終濃度2mg/mlとした。最終濃度85mM Ca
−アセテートが得られるように酢酸カルシウム(Ca−アセテート)(1M)を溶液に添
加することによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を37℃で8時間インキュ
ベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ20μ
m未満であり、結晶収量は70%より大であった。図1参照。
【0087】
(実施例5)
塩誘導結晶化によって製造されたhGH結晶の溶解プロフィール。 実施例1〜4の結
晶化溶液のインキュベーション後に、結晶をペレット化し、残る上澄みを除去した。ピペ
ッティングまたはボルテックスによって、0.200ml溶解緩衝液(50mM HEP
ES(pH7.2)、140mM NaCl、10mM KClおよび0.02%(v/
v)NaN)に結晶ペレットを再懸濁し、次に、37℃で約15分間平衡させた。ペレ
ット再懸濁後のタンパク質濃度は、約2mg/mlであった。次に、サンプルを10,0
00 x gで2分間遠心分離し、上澄みを完全に除去して、280nmにおいて、RP
−HPLC、SEC−HPLCまたはUV−VISによってタンパク質濃度を測定した。
結晶ペレットを、溶解緩衝液0.200mlにさらに再懸濁し、該方法を、検出しうるタ
ンパク質が上澄み中に測定されなくなるまで繰り返した。この方法は連続的溶解と呼ばれ
る。
【0088】
図2は、上記実施例1〜4において、一価(NaまたはNH)または二価(Ca)の
塩を使用して製造した種々のhGH結晶の溶解挙動を、時間(分)の関数として示す。h
GH溶解を、蓄積率として測定し、AUC値またはUV−VIS mg/ml測定値から
導いた。結果は、hGHの二価カルシウム結晶が、hGHの一価ナトリウムまたはアンモ
ニウム結晶より有意に遅い速度で溶解することを示す。データは、390mM Na−シ
トレートを添加して製造したhGH結晶が、60分後に完全に溶解されていることを示す
。さらに、600mM NaHPOまたは860mM NHPOの添加によ
って製造したhGH結晶は、それぞれ60分後または75分後に完全に溶解されている。
一方、85mM Ca−アセテートおよび硫酸プロタミンを添加して製造したhGH結晶
は、390分後に完全に溶解されている(下記の表1参照)。
【0089】
(表1.溶解緩衝液中のhGHの塩についての、280nmで測定した連続的溶解試験

【0090】
【表1−1】

【0091】
【表1−2】


(実施例6)
酢酸カルシウムおよび2%PEG−6000を使用するhGHの結晶化。 実施例1に
記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃
縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15mg/mlを
得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。
この溶液に2%(v/v)PEG−6000を添加した。最終濃度85mM Ca−アセ
テートが得られるようにCa−アセテート(1M)をその溶液に添加することによって、
hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間インキュベーションした。針
状結晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ約25〜約75μmであり
、結晶収量は85%より大であった。
【0092】
(実施例7)
酢酸ナトリウムおよび6%PEG−6000を使用するhGHの結晶化。 実施例1に
記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃
縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15mg/mlを
得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。
この溶液に6%(v/v)PEG−6000を添加した。最終濃度500mM Na−ア
セテートが得られるように酢酸ナトリウム(Na−アセテート)(2M)をその溶液に添
加することによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間インキ
ュベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ約2
5〜約75μmであり、結晶収量は85%より大であった。
【0093】
(実施例8)
塩化カルシウムおよび6%PEG−6000を使用するhGHの結晶化。 実施例1に
記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃
縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15mg/mlを
得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。
この溶液に6%(v/v)PEG−6000を添加した。最終濃度85mM CaCl
が得られるようにCaCl(1M)をその溶液に添加することによって、hGHの結晶
を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間インキュベーションした。針状結晶を得、
光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ約100μmより大であり、結晶収量は
90%より大であった。
【0094】
(実施例9)
酢酸カルシウム、6%PEG−6000および硫酸プロタミンを使用するhGHの結晶
化。 実施例1に記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または
透析し、そして濃縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度
15mg/mlを得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度1
00mMとした。この溶液に、硫酸プロタミン(1mg/ml)および6%PEG−60
00(v/v)を添加した。最終濃度85mM Ca−アセテートが得られるようにCa
−アセテート(1M)をその溶液に添加することによって、hGHの結晶を生長させた。
次に、溶液を37℃で16時間インキュベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画
像化した。得られた結晶は、長さ25μm未満であり、結晶収量は70%より大であった
。図3参照。
【0095】
(実施例10)
酢酸カルシウムおよび6% PEG−MME−5000を使用するhGHの結晶化。
実施例1に記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し
、そして濃縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15m
g/mlを得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100m
Mとした。この溶液に、6%(v/v)ポリエチレングリコールモノメチルエーテル−5
000(PEG−MME−5000)を添加した。最終濃度125mM Ca−アセテー
トが得られるようにCa−アセテート(1M)をその溶液に添加することによって、hG
Hの結晶を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間インキュベーションした。針状結
晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶は、長さ50μm未満であり、結晶収量
は90%より大であった。
【0096】
(実施例11)
ポリエチレングリコールを使用して製造したhGH結晶の溶解プロフィール。 実施例
6〜10で製造した結晶化溶液のインキュベーション後に、結晶をペレット化し、残る上
澄みを除去した。ピペッティングまたはボルテックスによって、溶解緩衝液(実施例5参
照)0.2mlに結晶ペレットを再懸濁し、次に、37℃で約15分間平衡させた。次に
、サンプルを10,000 x gで2分間遠心分離し、上澄みを除去して、280nm
において、RP−HPLC、SEC−HPLCまたはUV−VISによってタンパク質濃
度を測定した。結晶ペレットを、溶解緩衝液にさらに再懸濁し、該方法を、検出しうるタ
ンパク質が上澄み中に測定されなくなるまで繰り返した。
【0097】
図4および表2は、2% PEG−6000/85mM Ca−アセテート、6%PE
G−6000/500mM Na−アセテート、6%PEG−6000/85mM Ca
Cl、6%PEG−6000/85mM Ca−アセテート/プロタミンおよび6%P
EG−MME−5000/125mM Ca−アセテートを使用して製造したhGH結晶
の溶解挙動を、時間(分)の関数として示す。hGH溶解を、蓄積率として測定し、AU
C値またはUV−VIS mg/ml測定値から導いた。結果は、6%PEG−6000
/85mM Ca−アセテート/プロタミンを添加して製造したhGH結晶が、最も遅く
溶解し、495分後に完全に溶解したことを示している。他の結晶は、2%PEG−60
00/85mM Ca−アセテート結晶については300分で溶解し、他のhGH結晶に
ついてはそれより短い時間で溶解した。
【0098】
(表2.溶解緩衝液中のPEGおよびhGHの塩についての、280nmで測定した連
続的溶解試験)
【0099】
【表2−1】

【0100】
【表2−2】


(実施例12)
hGH結晶の溶解特性における硫酸プロタミンの作用。 図5は、先に存在するカルシ
ウムhGH結晶溶液にある量の硫酸プロタミンを添加した後に、37℃で1時間にわたっ
て溶解緩衝液中でインキュベーションした後に溶解した、hGH結晶(85mM酢酸カル
シウム、2%(v/v)PEG−6000および100mM Tris−HCl(pH8
.6))の量を示す。hGH/プロタミン(mg:mg)の比率を図5に示す。グラフは
、プロタミンがhGH結晶の溶解に有意に作用することを示す。
【0101】
(実施例13)
グルコースオキシダーゼの結晶化および複合体化。 グルコースオキシダーゼ(pI4
.6)は、ポリカチオンおよびポリアニオンの両方に結合することができる。グルコース
オキシダーゼ(Sigma)を、フィルターに通して水に入れ、15mg/mlに濃縮し
た。次に、酵素(10ml)を、pH5.0における0.2M酢酸ナトリウム緩衝液中に
18% PEG−6000、32%イソプロパノールを含有する結晶化試薬と混合した(
1:1)。混合した後、溶液を4℃にし、100rpmで攪拌しながら24時間にわたっ
て結晶化を進ませた。
【0102】
グルコースオキシダーゼ結晶を、1000rpmで10分間の遠心分離によって収集す
る。次に、これらの結晶を10%PEG−6000および16%イソプロパノールに再懸
濁させて、懸濁液中のタンパク質濃度を15mg/mlとする。次に、結晶を4x1ml
量および100μlにする。グリシン(pH2.5)、アセテート(pH4.6)、ME
S(pH6.5)またはHEPES(pH7.5)の1M緩衝剤保存溶液を、4つの量の
1つに添加する。結晶が溶解していないことを確認するために、上澄み中のタンパク質の
濃度をA280nmにおいて測定する。タンパク質の結晶度のどのような減少も、顕微鏡
で測定する。必要であれば、PEGまたはイソプロパノールの濃度を増加させて、結晶度
を維持する。
【0103】
pH2.5、4.6、6.5および7.5の結晶懸濁液に、ポリアニオン、例えばポリ
アスパルテートまたはポリグルタメートを添加する。各pHについて、下記のタンパク質
/ポリアニオン(w/w)比率を試験する:0.1:1、1:1、5:1および10:1
。次に、タンパク質/ポリアニオンの溶液を、4℃で一晩平衡させる。次に、サンプルを
100rpmで10分間遠心分離し、次に、上澄みを除去する。得られたペレットを、溶
解緩衝液(10mM Tris、pH7.5)10mlに37℃で再懸濁する。ポリアニ
オンを添加せずに、タンパク質結晶1mlを取り、上澄みを除去し、溶解緩衝液(10m
M Tris、pH7.5)10mlにペレットを37℃で再懸濁することによって、対
照サンプルを調製する。複合体および非複合体化タンパク質の両方を、新しい溶解緩衝液
に4時間ごとに再懸濁する。複合体化および非複合体化タンパク質のタンパク質濃度を、
完全な溶解が得られるまでの時間にわたって測定する。
【0104】
(実施例14)
ポリアルギニンを使用するラスブリカーゼの結晶化および複合体化。 5%エタノール
および15%PEG−6000を使用して、最終タンパク質濃度10mg/mlにおいて
pH8.5で、ラスブリカーゼ(ビオチーム)を結晶化した。次に、結晶を2000rp
mで5分間にわたって遠心分離して、可溶性タンパク質を取り、次に、新しい母液に再懸
濁する。得られた結晶を光学顕微鏡で画像化した(図6参照)。
【0105】
5mg/mlの結晶の懸濁液1mlに、ポリアルギニンを、タンパク質/ポリマー比率
(w/w)1:0、0.05:1、1:1、5:1で添加し、6時間にわたって平衡させ
る。次に、サンプルを遠心分離して上澄みを除去し、150mM NaClを含有する1
0mM Tris緩衝液に37℃で溶解させる。次に、UV−VISまたはRP HPL
Cによって完全溶解時間を測定する。その比率を超えると溶解が生じないタンパク質/ポ
リマー比率の飽和点も測定しうる。
【0106】
5mg/mlの結晶の懸濁液1mlに、ポリアルギニンを、タンパク質/ポリマー比率
(w/w)4:1で添加し、6時間にわたって平衡させる。次に、サンプルを遠心分離し
て上澄みを除去し、150mM NaClを含有する10mM Tris緩衝液(pH8
.5)に37℃で溶解させる。次に、UV−VISまたはRP HPLCによって完全溶
解時間を測定した。
【0107】
(実施例15)
ポリリシンを使用するラスブリカーゼの結晶化および複合体化。 5%エタノールおよ
び15% PEG−6000を使用して、最終タンパク質濃度10mg/mlにおいてp
H8.5で、ラスブリカーゼ(ビオチーム)を結晶化した。次に、結晶を2000rpm
で5分間にわたって遠心分離して、可溶性タンパク質を取り、次に、新しい母液に再懸濁
する。
【0108】
5mg/mlの結晶の懸濁液1mlに、ポリリシンを、タンパク質/ポリマー比率(w
/w)1:0、0.05:1、1:1、5:1で添加し、6時間にわたって平衡させる。
次に、サンプルを遠心分離して上澄みを除去し、150mM NaClを含有する10m
M Tris緩衝液に37℃で溶解させる。次に、UV−VISまたはRP HPLCに
よって完全溶解時間を測定する。その比率を超えると溶解が生じないタンパク質/ポリマ
ー比率の飽和点も測定しうる。
【0109】
(実施例16)
ポリアスパルテートおよびポリグルタメートを使用するリタキシマブの結晶化および複
合体化。 リタキシマブ(10mg/ml)を、該抗体1mlと、0.2M 酢酸カルシ
ウム、0.1M イミダゾール(pH8.0)、10% PEG−8000を含有する溶
液1mlとの混合によって結晶化した。混合物を、血液学/化学ミキサー(モデル346
、Fisher Scientific)によって室温で225rpmでタンブルした。
室温で24時間後に、針状クラスターを有するリタキシマブ結晶が形成された。
【0110】
5mg/mlの結晶の懸濁液0.5mlに、ポリグルタメートを、タンパク質/ポリマ
ー比率(w/w)1:0、0.05:1、1:1、5:1で添加し、6時間にわたって平
衡させる。次に、サンプルを遠心分離し、上澄みを除去する。次に、結晶複合体を、15
0mM NaClを含有する10mM Tris緩衝液に37℃で溶解させる。次に、U
V−VISまたはRP HPLCによって完全溶解時間を測定する。その比率を超えると
溶解が生じないタンパク質/ポリマー比率の飽和点も測定しうる。他のポリアニオンを使
用して類似調製物を形成しうる。
【0111】
(実施例17)
ヒスチジン、トレハロースおよびポリソルベートを使用するトラスツズマブの結晶化お
よび複合体化。 緩衝溶液(0.495mg/ml L−ヒスチジンHCl、0.32m
g/ml L−ヒスチジン、20mg/ml トレハロース、0.09mg/ml ポリ
ソルベート20)中の10mlのトラスツズマブ(22mg/ml)を、10mlの結晶
化緩衝液(25%PEG−400、10%ポリプロピレングリコール、0.1M Tri
s(pH8.5)および5%PEG−8000)と混合し、室温で一晩インキュベーショ
ンした。混合物を、血液学ミキサーでタンブルし、プロピレングリコール1mlをさらに
補足した。トラスツズマブ結晶を翌日に得た。
【0112】
5mg/mlの結晶の懸濁液0.5mlに、ポリグルタメートを、タンパク質/ポリマ
ー比率(w/w)1:0、0.05:1、1:1、5:1で添加し、6時間にわたって平
衡させる。次に、サンプルを遠心分離し、上澄みを除去する。次に、結晶複合体を、15
0mM NaClを含有する10mM Tris緩衝液に37℃で溶解させる。次に、U
V−VISまたはRP HPLCによって完全溶解時間を測定する。その比率を超えると
溶解が生じないタンパク質/ポリマー比率の飽和点も測定しうる。
【0113】
(実施例18)
イオンポリマーを使用するラスブリカーゼの結晶化および複合体化。 5%エタノール
および15%PEG−6000を使用して、最終タンパク質濃度10mg/mlで、pH
8.5においてラスブリカーゼ(ビオチーム)を結晶化した。次に、結晶を2000rp
mで5分間にわたって遠心分離して、可溶性タンパク質を取り、次に、新しい母液に再懸
濁した。
【0114】
ウリカーゼ(上記のラスブリカーゼより)を、32mg/ml精製ウリカーゼ、10%
PEG−6000および25mMグリシン(pH9.0)を含有するバッチ1ml中で結
晶化した。4℃で48時間インキュベーションした後に、15%PEG−6000、10
%エタノールおよび25mMグリシン(pH9.0)を含有する修飾母液を使用して、結
晶を洗浄した。結晶吸収を280nmで測定し、結晶の濃度は38.8mg/mlであっ
た。次に、結晶を、各20μlの5つの量に分け、各量は、ラスブリカーゼ結晶の総重量
0.78mg/試験管を含有していた。対照試験管(非複合(bare)ラスブリカーゼ
結晶)に母液10μlを添加した。残りの各試験管に、0.2mg(20mg/ml溶液
10μl)の下記複合体化成分の1つを添加した:ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポ
リリシンまたはプロタミン。次に、各試験管を4℃で一晩インキュベーションした。
【0115】
種々のイオンポリマーと複合体化させたラスブリカーゼの溶解挙動を試験するために、
下記の試験をデザインした。上記の各試験管中の結晶を、下記の順序で、ウリカーゼ溶解
緩衝液(150mM NaCl、10mM Tris(pH8.5))で洗浄した:1)
溶解緩衝液50μlを各試験管に添加し;2)再懸濁した結晶を室温で2分間インキュベ
ーションし:3)次に、試験管を7000rpmで10分間にわたって遠心分離し;4)
上澄みを除去し、分析用に取り;5)結晶が完全に溶解するまで、工程1〜4を繰り返し
た。各洗浄サイクルからの上澄みを、SEC−HPLCによって分析し(約6.7分にお
いて溶離した130kDのタンパク質ピーク)、各群の累積溶解%を表3に示し、図7に
グラフで示す。
【0116】
(表3.イオンポリマーと複合体化させたラスブリカーゼの累積溶解%)
【0117】
【表3−1】

【0118】
【表3−2】


各サンプルは、非複合体化または複合ラスブリカーゼ結晶を完全に溶解させるために異
なる洗浄サイクル数を必要とした。非処理対照または非複合体化結晶は、10回以内の洗
浄で溶解した。ラスブリカーゼのポリアルギニン、ポリオルニチンおよびプロタミン−複
合体化結晶は、複合体化結晶の完全溶解のために30回の洗浄を必要とした。これに対し
て、ラスブリカーゼのポリリシン複合体化結晶は、複合体化結晶の完全溶解のために15
回の洗浄を必要とした。さらに、ポリアルギニン複合体化ラスブリカーゼは、最良の溶解
プロフィールを示し、結晶が長時間にわたって極めて緩やかに放出された。ポリオルニチ
ン−複合体化ラスブリカーゼは、溶解するのにほぼ同じ洗浄回数を要するが、突然のバー
ストの後に遅い溶解が生じた。ポリリシン複合体化ラスブリカーゼは、対照非複合体化結
晶と比較して、極めて少ない向上を示し、ほとんどすぐに溶解した。
【0119】
(実施例19)
蓚酸オキシダーゼの結晶化および複合体化。 酵母に極僅かに発現される蓚酸オキシダ
ーゼを、12mg/mlに濃縮した。次に、酵素1mlの1つの部分を、pH4.2のリ
ン酸クエン酸緩衝剤100mM中の40%PEG−600を含有する結晶化試薬の2つの
部分と混合した。混合した後、結晶が1時間後に現れた。得られた結晶を光学顕微鏡で画
像化した(図8参照)。
【0120】
4時間後、蓚酸オキシダーゼ結晶を、25%PEG−6000および100mM Tr
is緩衝剤(pH8.5)で洗浄し、次に、25%PEG−6000および100mM
Tris緩衝剤(pH8.5)に再懸濁させて、20mg/ml結晶懸濁液を得た。結晶
懸濁液の20μl量を除去し、20mg/mlポリアルギニン(MW=7.5kD)10
μlをそれに添加した。混合物を17時間インキュベーションした。次に、複合体を5分
間にわたって微量遠心分離し、上澄みを除去した。得られたペレットを200μlの溶解
緩衝液(50mM HEPES、140mM NaCl、10mM KCl、pH7.2
)に再懸濁させた。
【0121】
(実施例20)
Burkholderia cepaciaリパーゼの結晶化および複合体化。 Bu
rkholderia cepaciaリパーゼをダイアフィルトラーションを行い、4
4mg/mlに濃縮した。次に、100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)中の酵素1m
lの1つの部分を、50%t−ブタノールを含有する結晶化試薬の1つの部分と混合した
。混合した後、結晶が1時間以内に現れた。
【0122】
3時間後、リパーゼ結晶を、35%t−ブタノールおよび100mM Tris緩衝剤(pH8.5)で洗浄し、次に、35%t−ブタノールおよび100mM Tris緩衝剤(pH8.5)に再懸濁させて、22mg/ml結晶懸濁液を得た。結晶懸濁液の20μl量を除去し、20mg/mlポリアルギニン(MW=7.5kD)10μlをそれに添加した。混合物を17時間インキュベーションした。次に、複合体を5分間にわたって遠心分離し、上澄みを除去した。得られたペレットを200μlの溶解緩衝液(50mM HEPES、140mM NaCl、10mM KCl、pH7.2)に再懸濁させた。
【0123】
(実施例21)
アミラーゼの結晶化および複合体化。 アミラーゼ(Aspergillus Ory
zae)を、80mg/mlに濃縮した。次に、酵素1mlの1つの部分を、pH6.0
の300mM酢酸カルシウム中の42%PEG−8000を含有する結晶化試薬の1つの
部分と混合した。2時間後、結晶化が終了し、結晶を、100mM Tris緩衝液(p
H8.5)中の25%PEG−8000で洗浄し、100mM Tris緩衝剤(pH8
.5)中の25%PEG−8000に懸濁させて、40mg/ml結晶懸濁液を得た。
【0124】
2時間後、40mg/ml結晶懸濁液量10μlを取り、40mg/mlポリアルギニ
ン(MW=9.5kD)10μlをそれに添加した。混合物を17時間インキュベーショ
ンした。次に、複合体を5分間にわたって遠心分離し、上澄みを除去した。得られたペレ
ットを200μlの溶解緩衝液(50mM HEPES、140mM NaCl、10m
M KCl、pH7.2)に再懸濁させた。
【0125】
(実施例22)
トラスツズマブの結晶化および複合体化。 トラスツズマブ(抗体CHO細胞由来)を
、水22mg/mlにおいて再形成する。次に、抗体1mlの1つの部分を、50%PE
G−400、10%PEG−8000、20%プロピレングリコール、0.2%Twee
n−80、0.1M Tris pH8.6を含有する結晶化試薬の2つの部分と混合す
る。混合物を室温で一晩インキュベーションする。トラスツズマブ結晶を翌日に得る。結
晶化が終了した後に、結晶を、結晶化緩衝液(30%PEG−400、7%PEG−80
00、30%プロピレングリコール、0.1%Tween−80、0.1M MES p
H5.5)で洗浄する。結晶の200μl量を取り、緩衝液(MES緩衝液、pH5.5
)で洗浄する。
【0126】
20mg/ml結晶懸濁液20μlに、ポリグルタミン酸(10μl、20mg/ml
、MW90kD)またはアスパラギン酸(10μl、20mg/ml、MW90kD)を
添加する。混合物を室温で17時間インキュベーションする。次に、複合体を5分間にわ
たって微量遠心分離し、上澄みを除去する。得られたペレットを200μlの溶解緩衝液
(50mM HEPES、140mM NaCl、10mM KCl、pH7.2)に再
懸濁させる。
【0127】
(実施例23)
エタネルセプト(エンブレル)の結晶化および複合体化。 エンタネルセプト(エンブ
レル)(ヒト組換えCHO細胞由来)を、10mM Tris緩衝剤(pH8.0)にお
いて脱塩し、30mg/mlに濃縮する。次に、抗体0.5mlの1つの部分を、16%
PEG−4000、200mM塩化マグネシウムおよび100mM Tris緩衝剤 p
H8.6を含有する結晶化試薬の3つの部分と混合する。混合物を室温で一晩インキュベ
ーションする。エンタネルセプト(エンブレル)結晶を翌日に得る。結晶化が終了した後
に、結晶を、緩衝液(20%PEG−6000、0.1M Tris、pH8.6)で洗
浄する。結晶の200μl量を取り、緩衝液(20%PEG−6000および100mM
Tris緩衝液、pH8.6)で洗浄する。
【0128】
30mg/ml結晶懸濁液13μlに、ポリアルギニン(10μl、20mg/ml、
MW90kD)またはポリリシン(10μl、20mg/ml、MW90kD)を添加す
る。混合物を室温で17時間インキュベーションする。次に、複合体を5分間にわたって
微量遠心分離し、上澄みを除去する。得られたペレットを200μlの溶解緩衝液(50
mM HEPES、140mM NaCl、10mM KCl、pH7.2)に再懸濁さ
せる。
【0129】
(実施例24)
酢酸ナトリウムおよび6%PEG−6000を使用するhGHの結晶化。 実施例1に
記載のように、商業的に入手可能なhGHを、精製し、そして/または透析し、そして濃
縮した。脱イオン水を濃縮hGH溶液に添加して、最終タンパク質濃度15mg/mlを
得た。Tris−HCl(1M、pH8.6)を添加して、最終濃度100mMとした。
この溶液に、6%(v/v)PEG−6000を添加した。最終濃度500mM Na−
アセテートが得られるように酢酸ナトリウム(Na−アセテート)(2M)をその溶液に
添加することによって、hGHの結晶を生長させた。次に、溶液を25℃で16時間にわ
たってインキュベーションした。針状結晶を得、光学顕微鏡で画像化した。得られた結晶
は、長さ約25〜約75μmであり、結晶収量は85%より大であった。
【0130】
(実施例25)
酢酸ナトリウムを使用するhGHの結晶化。 この場合、可溶性組換え産生hGH(r
hGH)の凍結バルクフィード溶液を、下記の2つの株から得た:1つはE.コリ(No
vartis)由来、もう1つは酵母(Lucky Gold)由来である。E.コリお
よび酵母保存溶液に由来するrhGHの分離分析は、その生物源に関係なく、同じ結晶化
特性および溶解特性を有するrhGHであることを示した。約3.3mlの解凍rhGH
供給溶液(未知緩衝剤中に供給された10〜20mg/ml rhGH)を、BioRa
dによって供給される10DG−脱塩カラムを使用して精製した。サンプルを充填する前
に、30mlのTris−HCl(10mM、pH8.0)でカラムを洗浄することによ
ってカラムを馴化した。次に、rhGHサンプルを充填し、重力によってカラムに入れた
。最初の3mlの溶離剤を捨てた後、別の5.0mlの10mM Tris−HCl p
H8.0を添加した。脱塩rhGH4.5mlを溶離し、収集した。次に、3500rp
mで20〜30分間にわたってMillipore濃縮器(MWCO 10,000)を
使用して、遠心分離による濃縮を行なった。hGHの濃度は、280nm/0.813で
の吸収によって測定して30mg/mlの範囲であった(1mg/ml hGH A28
0 = 0.813吸収単位)。最終タンパク質濃度15mg/mlを有する全溶液にお
いて、それぞれ、最終濃度100mM、6%(v/v)および500mMになるように、
脱イオン水、Tris−HCl(pH8.6)、PEG−6000およびNa−アセテー
トを添加することによって、結晶を生長させた。次に、溶液をゆっくり混合し、33℃で
12〜16時間インキュベーションした。針状または棒状結晶を得、TEMで画像化した
(図18Aおよび図18B)。結晶の長さは、約2〜25μmであった。結晶を遠心分離
し、ペレット化した後に、上澄みを抽出し、結晶収量は85%より大であった。結晶は3
3℃〜15℃の温度においても形成しうるが、長い結晶化時間を必要とし、おそらくは収
量の減少を生じる。
【0131】
イオンポリマー添加剤を使用するナトリウムhGH結晶の複合体化。 一旦、結晶収量
が求められると、ナトリウムrhGH結晶を、母液(250mM NaOAc、25mM
Tris−HCl(pH8.6)、6%PEG−6000、および7mg/ml硫酸プ
ロタミンまたは4.2mg/mlポリアルギニン)に再懸濁して、ナトリウムrhGH結
晶の最終濃度21mg/mlを得た。rhGH/硫酸プロタミンについてのタンパク質/
添加剤の比率は約3:1(mg:mg)であり、rhGH/ポリアルギニンについては5
:1(mg:mg)であった。これらの比率から算出されるモル比は、rhGH/プロタ
ミンにつては約1:1.715であり、rhGH/ポリアルギニンについては約1:0.
587である。上記のrhGHペレットを、適切な母液に均質に再懸濁し、2〜8℃で一
晩インキュベーションし、次に、遠心分離して、圧縮ぺレットを得た。上澄みを除去し、
同じ母液(イオンポリマー添加剤不含)にペレットを再懸濁し、4℃で保存した。
【0132】
21mg/mlのrhGHに再懸濁しながら、母液の添加剤濃度(mg/ml)を変化
させることによって、付加的rhGH/イオンポリマー添加剤の比率が得られる。例えば
、母液における硫酸プロタミンの増加した濃度(10.5mg/ml)を使用して、再懸
濁の際のrhGH/添加剤の比率2:1が得られる。
【0133】
(実施例26)
幼若雌のカニクイザルの比較薬理学試験。 この試験の目的は、雌カニクイザルに皮下
投与した場合の、結晶組換えヒト成長ホルモン(rhGH)の生体内薬物動態プロフィー
ルを評価することであった。これらのデータは、血清中の結晶rhGHの制御放出、およ
び結晶rhGH放出の関数としての体重増加のモデルを確立するために得た。
【0134】
(表4.霊長類試験Iの試験デザイン)
【0135】
【表4】


商業的に入手可能なhGH(可溶性、非結晶化形態)をNovartisから入手し、
フィルターに通してWFIに入れた。群1(正の対照)は各投与日に可溶性hGHを投与
された。
製造については実施例25を参照。
全ての用量は、毎日の採血後に投与された。
【0136】
12匹の幼若雌のカニクイザルを、各群に4頭の3つの群に分け、可溶性rhGH(群
1)、PEGおよびポリアルギニンを使用したrhGHのナトリウム結晶(群2、実施例
25による)、またはPEGおよびプロタミンを使用したrhGHのナトリウム結晶(群
3、実施例25による)を投与した。処置の開始時に体重2〜6kg、年齢4〜7のサル
を、自動給水装置または水ボトルを備えたステンレス鋼ケージに一匹ずつ入れた。動物の
室内環境を調節し(約21±3℃;湿度30〜70%;各24時間のうち12時間は明所
および12時間は暗所;1時間につき12〜20回の換気)、1日2回サルに標準保証市
販霊長類固形試料(Harlan Teklad Certified Primate
Diet #2055C)を与えた。
【0137】
この霊長類試験は、可溶性rhGH(群1)、PEGおよびポリアルギニンを使用した
rhGHのナトリウム結晶(群2)ならびにPEGおよびプロタミンを使用したrhGH
のナトリウム結晶(群3)の投与後の、hGHおよびインスリン様成長因子(IGF−1
)の血清濃度を測定し比較するために行なわれた。上記の表5に示した時点における投与
に移行する際および投与の前に、全ての動物の体重を記録した。各動物の血液サンプル(
約1ml)を、−216、−120、0、2、4、6、8、10、24、48、72、9
6、120、144、168、192、216、240、264、288および312時
間における朝に、大腿静脈、上腕静脈または伏在静脈から採取した。血液を、血清分離試
験管に採取し、室温に30〜45分間置いて凝固させ、2〜8℃において3000rpm
で10分間遠心分離した。各血清サンプルを、100μl量および残りの量に分け、両方
の量を分析前に−70±10℃で保存した。一般に、より小さい100μl量をrhGH
測定に使用し、より大きい残りの量をIGF−1測定に使用した。必要とされる複製の容
量により、いくつかの例外があった。
【0138】
次に、収集した血清サンプルを、hGH濃度について分析した(表5参照)。注:標準
値範囲を超えたrhGH濃度については、適切な希釈を行なった。全ての数値を使用して
、霊長類hGHの個々の各動物平均バックグラウンドレベルを得た。この各動物平均値を
、その試験対象に関して各時点で測定した血清レベルから引いた。次に、各時点について
の補正値を平均して、血清中のrhGHの補正平均値を得た。次に、補正平均値の標準偏
差を使用して標準誤差を計算し、N=4の平方根で割った。
【0139】
(表5.群1(毎日可溶性)、群2(ナトリウム rhGH/ポリアルギニン)および
群3(ナトリウム rhGH/プロタミン)についてのrhGHレベル)
【0140】
【表5】


注: rhGH値は、ベースラインを調整した動物4頭の平均値、即ちベースラインを引
いた数値である。ベースラインは、−216、−120および0時間における数値の平均
である。
【0141】
図9Aは、群1、2および3に関する、時間(時)の関数としての、ベースライン調節
後の血清中rhGHレベルを示す。
【0142】
(表6.表5のデータに基づく薬物動態パラメーターの概要)
【0143】
【表6】


商業的に入手可能なhGH(可溶性、非結晶化形態)をフィルターに通してWFIに
入れた。群1(正の対照)は可溶性hGHを7日間毎日投与された。
【0144】
上記のデータは、血清中に最大hGHが現れた時間(Tmax)が、ポリアルギニン複
合ナトリウム結晶hGHについては10時間、プロタミン複合ナトリウム結晶hGHにつ
いては10時間、可溶性hGHについては2時間であったことを示す。可溶性hGHは結
晶投与用量の1/7で輸送されたが、上記表6に示したCmax値は、いずれかの複合体
化結晶形態で投与されたhGHが、初期血清濃度上昇を有意に減少させることを示す。さ
らに、可溶性および結晶群について、T90%値も算出した。群1(可溶性形態)のT
0%は20時間であり、群2および3(複合体化結晶形態)のT90%はそれぞれ74お
よび77時間であった。これらの結果は、複合体化結晶形態が、可溶性形態よりかなり長
い時間にわたって、高いhGHレベルを生じることを明らかに示している。
【0145】
hGHの血清濃度の測定に加えて、IGF−1のレベルも時間の関数ととして測定した
。IGF−1の産生を測定することによって、rhGHの有効性を確かめた。下記の表7
は、群1〜3の動物についてのIGF−1濃度を示す。図9Bは、内因性IGF−1レベ
ルのベースライン控除後に、複合体化結晶処方物が、毎日の可溶性投与と比較しうるIG
F−1放出刺激能力を有することを示している。非ヒト霊長類におけるこれらの結果は、
本発明の処方物を使用して、好都合にもヒトにおいて同様の効果が得られることを示唆し
ている。
【0146】
(表7.毎日可溶性、ナトリウムrhGH/ポリアルギニン、およびナトリウムrhG
H/プロタミンの群についてのIGF−1レベル)
【0147】
【表7】


注: IGF−1値は、動物4頭のベースラインを調整した平均値、即ちベースラインを
引いた数値である。ベースラインは、−216、−120および0時間における数値の平
均である。
【0148】
(実施例27)
下垂体を切除した雄ラットに、単回または毎日の皮下注射によって投与したヒト成長ホ
ルモンの薬力学試験。 この試験の目的は、下垂体を切除した雄ウィスターラットに、1
回または7日連続で毎日投与した場合の、種々のhGH処方物の有効性を比較することで
あった。試験デザインは以下の通りであった:
(表8.試験デザイン−サンプルの説明)
【0149】
【表8−1】

【0150】
【表8−2】


滅菌条件下にWFIを使用して、全てのサンプルを調整した。賦形剤および可溶性h
GHサンプルを、それらの各最終容量にした後に0.22μmフィルターで濾過した。
【0151】
(表9.試験デザイン−投与)
【0152】
【表9−1】

【0153】
【表9−2】


体重約90〜100g、日齢約25〜30の雄ウィスターラット138匹の到着後、制
御条件(約23±3℃;相対湿度30〜70%;各24時間のうち12時間は明所および
12時間は暗所;1時間につき10〜15回の換気)下に群で飼育し、試験中、精製水お
よび実験室用餌を適宜、摂取しうるようにした。ラットを、試験前2週間にわたって、環
境に順応させた。
【0154】
表9の濃度、容量および投与計画によって、138匹のラットにサンプルを投与した。
被験物質を、1回、または1日1回で7日連続で、単回ボーラス注射として背領域に皮下
投与した。投与の3日前まで、およびその後、必要に応じて、注射部位を剃り、印をつけ
て、注射を容易にした。300μlのシリンジに取り付けた30ゲージx8mmの針を使
用して、被験物質を投与した。シリンジに吸引する前、および投与の前に、被験物質を注
意深く逆さにして、泡立たせずに懸濁液または溶液の均質性を確実にした。
【0155】
−3および−2週において週2回、そして−7〜14日において毎日、体重増加を測定
し、記録した。ラット体重は、投与時において約100g±10%であった。誘導成長%
の結果を、図10Aおよび10Bに示し、表10および11に示す。表10において、「
高用量」は5.6mg/kg/週である。データは、rhGH:ポリアルギニン(群7、
実施例25)、またはrhGH:プロタミン(群9および10、実施例25)結晶の単回
注射を受けたラットの7日間の体重増加と、対照(群1、無hGH)または可溶性hGH
サンプル(群4および5)の注射を毎日受けたラットの同じ7日間の体重増加との比較を
示す。群1、偽下垂体切除ラットは、7日間にわたって正常な成長を示す。さらに、7日
間で1回の注射によってrhGH:ポリアルギニンを投与されたラット(群7)は、可溶
性hGH(群5)を7日間毎日投与されたラットより高い%の誘導成長を示した。毎日の
可溶性注射と、ポリアルギニン複合体化結晶rhGHの単回注射との、観測差異は、統計
的に立証できない。これらの結果は、本発明のhGH結晶および処方物が、1週間にわた
って毎日投与された可溶性rhGHと同じ有効性であることを示す。
【0156】
(表10.下垂体切除ラットにおける8日目の誘導体重増加)
【0157】
【表10】


(表11.下垂体切除ラットにおける毎日の誘導体重増加(g))
【0158】
【表11−1】

【0159】
【表11−2】


(実施例28)
酢酸ナトリウムおよび硫酸プロタミンを使用するhGHの結晶化。 この場合、可溶性
組換え産生hGH(rhGH)の凍結バルクフィード溶液を、下記の2つの株から得た:
1つはE.コリ(Novartis)由来、もう1つは酵母(Lucky Gold)由
来である。E.コリおよび酵母保存溶液に由来するrhGHの分離分析は、その生物源に
関係なく、同じ結晶化特性および溶解特性を有するrhGHであることを示した。約3.
3ml(10〜20mg/ml)の解凍rhGH供給溶液を、BioRadによって供給
されている10DG−脱塩カラムを使用して精製した。サンプルを充填する前に、30m
lのTris−HCl(10mM、pH8.0)でカラムを洗浄することによってカラム
を馴化した。次に、rhGHサンプルを充填し、重力によってカラムに入れた。最初の3
mlの溶離剤を捨てた後、別の5.0mlの10mM Tris−HCl pH8.0を
添加した。脱塩rhGH4.5mlを溶離し、収集した。次に、3500rpmで20〜
30分間にわたってMillipore濃縮器(MWCO 10,000)を使用して、
遠心分離による濃縮を行なった。hGHの濃度は、280nm/0.813での吸収によ
って測定して30mg/mlの範囲であった(1mg/ml hGH A280 = 0
.813吸収単位)。最終タンパク質濃度15mg/mlを有する全溶液において、それ
ぞれ、最終濃度100mM、6%(v/v)、2mg/mlおよび500mMになるよう
に、脱イオン水、Tris−HCl(pH8.6)、PEG−4000、硫酸プロタミン
およびNa−アセテートを添加することによって、結晶を生長させた。次に、溶液をゆっ
くり混合し、33℃で12〜16時間インキュベーションした。長さ約2〜25μmの針
状結晶を得た。結晶を遠心分離し、ペレット化した後に、上澄みを抽出し、結晶収量は9
0%より大であった。
【0160】
(実施例29)
酢酸ナトリウムおよびポリアルギニンHClを使用するhGHの結晶化。 この場合、
可溶性組換え産生hGH(rhGH)の凍結バルクフィード溶液を、下記の2つの株から
得た:1つはE.コリ(Novartis)由来、もう1つは酵母(Lucky Gol
d)由来である。E.コリおよび酵母保存溶液に由来するrhGHの分離分析は、その生
物源に関係なく、同じ結晶化特性および溶解特性を有するrhGHであることを示した。
約3.3ml(10〜20mg/ml)の解凍rhGH供給溶液を、BioRadによっ
て供給される10DG−脱塩カラムを使用して精製した。サンプルを充填する前に、30
mlのTris−HCl(10mM、pH8.0)でカラムを洗浄することによってカラ
ムを馴化した。次に、rhGHサンプルを充填し、重力によってカラムに入れた。最初の
3mlの溶離剤を捨てた後、別の5.0mlの10mM Tris−HCl pH8.0
を添加した。脱塩rhGH4.5mlを溶離し、収集した。次に、3500rpmで20
〜30分間にわたってMillipore濃縮器(MWCO 10,000)を使用して
、遠心分離による濃縮を行なった。hGHの濃度は、280nm/0.813での吸収に
よって測定して30mg/mlの範囲であった(1mg/ml hGH A280 =
0.813吸収単位)。最終タンパク質濃度15mg/mlを有する全溶液において、そ
れぞれ、最終濃度100mM、2%(v/v)、2mg/mlおよび500mMになるよ
うに、脱イオン水、Tris−HCl(pH8.6)、PEG−4000、ポリアルギニ
ンHClおよびNa−アセテートを添加することによって、結晶を生長させた。次に、溶
液をゆっくり混合し、33℃で12〜16時間インキュベーションした。長さ約2〜25
μmの針状結晶を得た。結晶を遠心分離し、ペレット化した後に、上澄みを抽出し、結晶
収量は90%より大であった。
【0161】
明確な理解のために、図表および実施例によって本発明を幾分詳しく説明したが、記載
した実施形態を含む本明細書の開示の真意または範囲を逸脱せずに、本発明に変更または
改変を加えうることは、本発明の開示に照らして当業者に極めて明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2010−174036(P2010−174036A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105966(P2010−105966)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2004−564910(P2004−564910)の分割
【原出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【出願人】(505245494)アルタス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】