説明

タービンバイパス制御装置及び制御方法

【課題】タービンに接続される高圧側ヘッダ及び低圧側ヘッダの圧力を制御するタービンバイパス制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置4は、圧力制御器41、42と、高値選択器50と、信号切り替え器51、52と、急開制御器40を備える。弁21、22は、タービンのバイパスラインに並列関係を有するように設けられる。タービンのトリップ開始前において、制御装置4は、高圧側圧力と低圧側圧力とに基づき、高値選択制御により弁21、22の開度を制御する。トリップ開始からT1時間の期間において、急開制御器40は、弁21を急開する。このとき、圧力制御器41、42は、弁22、21の開度に基づくトラッキングをそれぞれ実行する。トリップ開始からT1時間後において、制御装置4は、高圧側圧力に基づいて弁22の開度を制御し、低圧側圧力に基づいて弁21の開度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンバイパス制御に関し、特に、タービントリップ時に好適なタービンバイパス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
タービントリップ時における蒸気圧力の制御が従来から行われている。
【0003】
特許文献1は、コンバインドプラントのタービンバイパス制御方法を開示している。コンバインドプラントは、タービンバイパスと、タービンガバナを備える。タービンバイパスは、蒸気タービン入口に接続され、タービンバイパス弁を備える。タービンガバナは、タービンバイパス弁を制御する。タービンバイパス制御方法において、タービンガバナがタービンバイパス弁の自動制御を停止した時、その時のタービン入口蒸気圧力より所定値だけ高い圧力を設定圧力としてタービンバイパス弁を制御する。
【0004】
特許文献2は、蒸気タービン蒸気バイパス装置を開示している。蒸気タービン蒸気バイパス装置は、タービンバイパス弁と、センサと、流量弁開度変換手段と、バイパス弁制御手段とを備える。タービンバイパス弁は、高圧蒸気だめの蒸気を流出させて、高圧蒸気だめの圧力を調節する。センサは、高圧蒸気だめから蒸気タービンへ流入する蒸気流量を測定する。流量弁開度変換手段は、測定された蒸気流量に見合うタービンバイパス弁開度の増加分を算出する。バイパス弁制御手段は、高圧蒸気だめ内圧力に基づいて得られた弁開度と算出された増加分との和に基づいてタービンバイパス弁を制御する。
【0005】
【特許文献1】特開平7−229405号公報
【特許文献2】特開平11−257018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タービンに接続される高圧側ヘッダ及び低圧側ヘッダの両方の圧力を制御するタービンバイパス制御装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明によるタービンバイパス制御装置(4)は、バルブ開度に対応する第1操作量信号(MV1)を出力する高圧側圧力制御器(41)と、バルブ開度に対応する第2操作量信号(MV2)を出力する低圧側圧力制御器(42)と、第1操作量信号(MV1)及び第2操作量信号(MV2)のうち大きい開度を示す方に対応する高値操作量信号(MVH)を出力する高値選択器(50)と、高値操作量信号(MVH)及び第2操作量信号(MV2)が入力され、第1バイパス弁操作量信号(MV51)を出力する第1信号切り替え器(51)と、高値操作量信号(MVH)及び第1操作量信号(MV1)が入力され、第2バイパス弁操作量信号(MV52)を出力する第2信号切り替え器(52)と、急開制御器(40)を具備する。
【0009】
タービン(13)のトリップ開始前において、タービン(13)は、高圧側ヘッダ(11)からタービン(13)を通って低圧側ヘッダ(12)に流れる蒸気によって駆動される。高圧側圧力制御器(41)は、高圧側ヘッダ(11)内の高圧側圧力と高圧側圧力設定信号(SV1)に基づいて第1操作量信号(MV1))を出力する。低圧側圧力制御器(42)は、低圧側ヘッダ(12)内の低圧側圧力と低圧側圧力設定信号(SV2)に基づいて第2操作量信号(MV2)を出力する。第1信号切り替え器(51)は、高値操作量信号(MVH)を第1バイパス弁操作量信号(MV51)として出力する。第2信号切り替え器(52)は、高値操作量信号(MVH)を第2バイパス弁操作量信号(MV52)として出力する。高圧側ヘッダ(11)と低圧側ヘッダ(12)を接続するタービンバイパスライン(15)に設けられた第1バイパス弁(21)は第1バイパス弁操作量信号(MV51)に基づいて制御される。第1バイパス弁(21)と並列関係を有するようにタービンバイパスライン(15)に設けられた第2バイパス弁(22)は第2バイパス弁操作量信号(MV52)に基づいて制御される。
【0010】
トリップ開始からT1時間の期間において、急開制御器(40)は、第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)の少なくとも一方を急開させる。高圧側圧力制御器(41)は、第2バイパス弁(22)の開度に基づいて第1操作量信号(MV1)をトラッキングする。低圧側圧力制御器(42)は、第1バイパス弁(21)の開度に基づいて第2操作量信号(MV2)をトラッキングする。
【0011】
トリップ開始からT1時間経過後において、高圧側圧力制御器(41)は、高圧側圧力と高圧側圧力設定信号(SV1)に基づいて第1操作量信号(MV1)を出力する。低圧側圧力制御器(42)は、低圧側圧力と低圧側圧力設定信号(SV2)に基づいて第2操作量信号(MV2)を出力する。第1信号切り替え器(51)は、第2操作量信号(MV2)を第1バイパス弁操作量信号(MV51)として出力する。第2信号切り替え器(52)は、第1操作量信号(MV1)を第2バイパス弁操作量信号(MV52)として出力する。第1バイパス弁(21)は第1バイパス弁操作量信号(MV51)に基づいて制御され、第2バイパス弁(22)は第2バイパス弁操作量信号(MV52)に基づいて制御される。
【0012】
T1時間経過後における低圧側圧力設定信号(SV2)が示す設定圧力値は、トリップ開始前における低圧側圧力設定信号(SV2)が示す設定圧力値より低く定められていることが好ましい。
【0013】
本発明によるタービンバイパス制御装置(4)は、バルブ開度に対応する第3操作量信号(MV3)を出力する放風弁圧力制御器(43)を更に具備することが好ましい。低圧側ヘッダ(12)に放風ライン(16)が接続される。放風ライン(16)に放風弁(20)が設けられる。放風弁(20)は、第3操作量信号(MV3)に基づいて制御される。トリップ開始前及びトリップ開始からT2時間経過後において、放風弁圧力制御器(43)は、低圧側圧力と放風弁圧力設定信号(SV3)に基づいて第3操作量信号(MV3)を出力する。上記期間において、放風弁圧力制御器(43)は、所定の固定値に基づいて第3操作量信号(MV3)をトラッキングする。
【0014】
第1バイパス弁(21)は小弁であり、第2バイパス弁(22)は親弁であることが好ましい。
【0015】
本発明によるタービンバイパス制御方法は、タービン(13)のタービンバイパスライン(15)に設けられた第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)の第1制御を実行するステップと、タービン(13)のトリップ開始からT1時間、第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)の少なくとも一方を急開するステップと、トリップ開始からT1時間後、第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)の第2制御を実行するステップを具備する。タービン(13)は、高圧側ヘッダ(11)からタービン(13)を通って低圧側ヘッダ(12)に流れる蒸気によって駆動される。タービンバイパスライン(15)は、高圧側ヘッダ(11)と低圧側ヘッダ(12)とを接続する。第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)は並列関係を有する。高圧側圧力制御器(41)は、バルブ開度に対応する第1操作量信号(MV1)を出力する。低圧側圧力制御器(42)は、バルブ開度に対応する第2操作量信号(MV2)を出力する。
【0016】
第1制御を実行するステップ及び第2制御を実行するステップにおいて、高圧側圧力制御器(41)は、高圧側ヘッダ(11)内の高圧側圧力と高圧側圧力設定信号(SV1)に基づいて第1操作量信号(MV1)を出力する。低圧側圧力制御器(42)は、低圧側ヘッダ(12)内の低圧側圧力と低圧側圧力設定信号(SV2)に基づいて第2操作量信号(MV2)を出力する。
【0017】
第1制御を実行するステップにおいて、第1操作量信号(MV1)及び第2操作量信号(MV2)のうち大きい開度を示す一方に基づいて第1バイパス弁(21)及び第2バイパス弁(22)を制御する。
【0018】
少なくとも一方を急開するステップにおいて、高圧側圧力制御器(41)は第2バイパス弁(22)の開度に基づいて第1操作量信号(MV1)をトラッキングする。低圧側圧力制御器(42)は第1バイパス弁(21)の開度に基づいて第2操作量信号(MV2)をトラッキングする。
【0019】
第2制御を実行するステップにおいて、第1操作量信号(MV1)に基づいて第2バイパス弁(22)を制御し、第2操作量信号(MV2)に基づいて第1バイパス弁(21)を制御する。
【0020】
第2制御を実行するステップにおける低圧側圧力設定信号(SV2)が示す設定圧力値は、第1制御を実行するステップにおける低圧側圧力設定信号(SV2)が示す設定圧力値より低く定められていることが好ましい。
【0021】
本発明によるタービンバイパス制御方法は、低圧側ヘッダ(12)に接続された放風ライン(16)に設けられた放風弁(20)の放風弁第1制御を実行するステップと、トリップ開始からT2時間、放風弁(20)の開度を所定の固定値に制御するステップと、トリップ開始からT2時間後、放風弁(20)の放風弁第2制御を実行するステップとを更に具備することが好ましい。放風弁圧力制御器(43)は、バルブ開度に対応する第3操作量信号(MV3)を出力する。放風弁第1制御を実行するステップ及び放風弁第2制御を実行するステップにおいて、放風弁圧力制御器(43)は、低圧側ヘッダ(12)内の低圧側圧力と放風弁制御圧力設定信号(SV3)に基づいて第3操作量信号(MV3)を出力する。
【0022】
第1バイパス弁(21)は小弁であり、第2バイパス弁(22)は親弁であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、タービンに接続される高圧側ヘッダ及び低圧側ヘッダの両方の圧力を制御するタービンバイパス制御装置及び制御方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明によるタービンバイパス制御装置及びタービンバイパス制御方法を実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスチームシステム1を示す。スチームシステム1は、例えば、化学プラントや発電プラントに設けられる。スチームシステム1は、高圧側ヘッダ11と、低圧側ヘッダ12と、タービン13と、ボイラ14と、タービンバイパスライン15と、放風ライン16と、制御装置4と、安全弁25と、高圧側流入量制御弁26と、低圧側流出量制御弁27と、圧力センサ31〜33、36及び37と、と、圧力制御器46及び47を備える。
【0026】
タービン13は、発電機やコンプレッサのような負荷に接続されている。タービン13は、高圧側ヘッダ11からタービン13を通って低圧側ヘッダ12に流れる蒸気によって駆動される。スチームシステム1は、タービン13に加えて、高圧側ヘッダ11からの蒸気によって駆動される他のタービンを備える場合がある。タービン13は、タービン13のトリップを示すトリップ信号PSDを制御装置4へ出力する。
【0027】
安全弁25は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力が作動圧力P5に達した場合に作動し、低圧側ヘッダ12から蒸気を逃がす。作動圧力P5は、31.5kg/cm Gである。以下、「kg/cm G」を「K/G」と記す。
【0028】
高圧側流入量制御弁26は、ボイラ14から高圧側ヘッダ11に流入する蒸気流量を制御する。圧力センサ36は、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力を検出し、蒸気圧力を示す圧力検出信号PV6を出力する。圧力制御器46は、設定圧力P6を示す圧力設定信号SV6と圧力検出信号PV6とに基づいて高圧側流入量制御弁26の開度を制御することにより、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力について比例積分制御(以下、「PI制御」という)を実行する。設定圧力P6は、105K/Gである。
【0029】
低圧側流出量制御弁27は、低圧側ヘッダ12から流出する蒸気流量を制御する。圧力センサ37は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力を検出し、蒸気圧力を示す圧力検出信号PV7を出力する。圧力制御器47は、設定圧力P7を示す圧力設定信号SV7と圧力検出信号PV7とに基づいて低圧側流出量制御弁27の開度を制御することにより、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力についてPI制御を実行する。設定圧力P7は、26.5K/Gである。
【0030】
タービンバイパスライン15は、タービンバイパスライン15及びタービン13が並列関係を有するように、高圧側ヘッダ11と低圧側ヘッダ12とを接続する。タービンバイパスライン15にタービンバイパス弁10が設けられている。タービンバイパス弁10は、タービンバイパスライン15を通って高圧側ヘッダ11から低圧側ヘッダ12へ流れる蒸気流量を制御する。タービンバイパスライン15は、並列関係を有する第1ライン15a及び第2ライン15bを備える。タービンバイパス弁10は、第1ライン15aに設けられた第2タービンバイパス弁22と、第2ライン15bに設けられた第1タービンバイパス弁21を含む。第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22は、並列関係を有する。第1タービンバイパス弁21は第2ライン15bを流れる蒸気流量を制御し、第2タービンバイパス弁22は第1ライン15aを流れる蒸気流量を制御する。第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22は、親弁小弁の関係を有する。第1タービンバイパス弁21は小弁であり、第2タービンバイパス弁22は親弁である。第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22がともに全開の場合、第1ライン15aを流れる蒸気流量は第2ライン15bを流れる蒸気流量より多い。第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22の各々は、急開用のソレノイドを備える。
【0031】
放風ライン16は、低圧側ヘッダ12に接続されている。放風ライン16に放風弁20が設けられている。放風弁20は、低圧側ヘッダ12から放風ライン16を通って流出する蒸気流量を制御する。
【0032】
圧力センサ31は、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力を検出する。圧力センサ32及び圧力センサ33の各々は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力を検出する。制御装置4は、圧力制御器41、圧力制御器42及び高値選択器50を備え、これらはタービンバイパス弁10の開度(第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22の開度)を制御するために用いられる。制御装置4は、放風弁20の開度を制御するために用いられる圧力制御器43を備える。
【0033】
図2を参照して、制御装置4は、信号出力器40と、信号切り替え器51及び52と、関数発生器54及び55を備える。第1タービンバイパス弁21は、第1タービンバイパス弁21の開度を示す弁開度信号V1を圧力制御器42に出力する。第2タービンバイパス弁22は、第2タービンバイパス弁22の開度を示す弁開度信号V2を圧力制御器41に出力する。圧力センサ31は、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力を示す圧力検出信号PV1を圧力制御器41に出力する。圧力センサ32は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力を示す圧力検出信号PV2を圧力制御器42に出力する。圧力センサ33は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力を示す圧力検出信号PV3を圧力制御器43に出力する。信号出力器40は、トリップ信号PSDに基づいて、ソレノイド信号Sを第1タービンバイパス弁21に、自動手動切り替え信号SS11を圧力制御器41及び圧力制御器42に、自動手動切り替え信号SS12を圧力制御器43に、圧力制御切り替え信号SS21を信号切り替え器51及び信号切り替え器52に、それぞれ出力する。
【0034】
圧力制御器41は、自動手動切り替え信号SS11と、圧力検出信号PV1と、設定圧力P1を示す圧力設定信号SV1と、弁開度信号V2とが入力され、バルブ開度に対応する操作量信号MV1を高値選択器50及び信号切り替え器52に出力する。設定圧力P1は、110K/Gである。圧力制御器42は、自動手動切り替え信号SS11と、圧力検出信号PV2と、設定圧力P2を示す圧力設定信号SV2と、弁開度信号V1とが入力され、バルブ開度に対応する操作量信号MV2を高値選択器50及び信号切り替え器51に出力する。設定圧力P2は26K/Gである。高値選択器50は、操作量信号MV1及び操作量信号MV2のうち大きい開度を示す方を操作量信号MVHとして、信号切り替え器51及び信号切り替え器52にそれぞれ出力する。信号切り替え器51は、圧力制御切り替え信号SS21に基づいて、操作量信号MV51として関数発生器54に出力する信号を操作量信号MVH及び操作量信号MV2の間で切り替える。信号切り替え器52は、圧力制御切り替え信号SS21に基づいて、操作量信号MV52として関数発生器55に出力する信号を操作量信号MVH及び操作量信号MV1の間で切り替える。関数発生器54は、所定の第1規則に基づいて、操作量信号MV51から第1タービンバイパス弁21の開度を示す操作量信号MV21を生成し、操作量信号MV21を第1タービンバイパス弁21に出力する。関数発生器55は、所定の第2規則に基づいて、操作量信号MV52から第2タービンバイパス弁22の開度を示す操作量信号MV22を生成し、操作量信号MV22を第2タービンバイパス弁22に出力する。
【0035】
所定の第1規則によれば、操作量信号MV51が示す開度が0%から50%のとき、操作量信号MV21が示す開度は、操作量信号MV51が示す開度が大きいほど大きく、操作量信号MV51が示す開度が0%のとき操作量信号MV21が示す開度は0%であり、操作量信号MV51が示す開度が50%のとき操作量信号MV21が示す開度は100%である。また、操作量信号MV51が示す開度が50%から100%のとき、操作量信号MV21が示す開度は100%である。
【0036】
所定の第2規則によれば、操作量信号MV52が示す開度が0%から50%のとき、操作量信号MV22が示す開度は0%である。また、操作量信号MV52が示す開度が50%から100%のとき、操作量信号MV22が示す開度は、操作量信号MV52が示す開度が大きいほど大きく、操作量信号MV52が示す開度が50%のとき操作量信号MV22が示す開度は0%であり、操作量信号MV52が示す開度が100%のとき操作量信号MV22が示す開度は100%である。
【0037】
ソレノイド信号Sが急開を示す場合は、第1タービンバイパス弁21は急開する。ソレノイド信号Sが急開を示さない場合は、第1タービンバイパス弁21の開度は、操作量信号MV21に基づいて制御される。第2タービンバイパス弁22の開度は、操作量信号MV22に基づいて制御される。
【0038】
信号出力器40は、第1タービンバイパス弁21を急開させるから、急開制御器でもある。
【0039】
圧力制御器43は、自動手動切り替え信号SS12と、圧力検出信号PV3と、設定圧力P3を示す圧力設定信号SV3と、開度の固定値を示す弁開度信号V3とが入力され、放風弁20の開度に対応する操作量信号MV3を放風弁20に出力する。設定圧力P3は27K/Gである。弁開度信号V3が示す固定値は、0%より大きく100%より小さい開度を示す。
【0040】
図3乃至5を参照して、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法を説明する。
【0041】
(トリップ開始前のタービンバイパス弁10に関する制御)
図3を参照して、タービン13のトリップ開始前におけるタービンバイパス弁10に関する制御を説明する。トリップ開始前において、タービン13は、高圧側ヘッダ11からタービン13を通って低圧側ヘッダ12に流れる蒸気によって駆動される。トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示す前(トリップ開始前)において、信号出力器40は、急開を示さないソレノイド信号Sと、自動制御モード(PI制御モード)を示す自動手動切り替え信号SS11と、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21を出力する。圧力制御器41は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、圧力検出信号PV1及び圧力設定信号SV1に基づいて操作量信号MV1を生成して高値選択器50及び信号切り替え器52に出力する。圧力制御器42は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、圧力検出信号PV2及び圧力設定信号SV2に基づいて操作量信号MV2を生成して高値選択器50及び信号切り替え器51に出力する。高値選択器50は、操作量信号MV1及び操作量信号MV2のうち大きい開度を示す方を操作量信号MVHとして、信号切り替え器51及び信号切り替え器52にそれぞれ出力する。信号切り替え器51は、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MVHを操作量信号MV51として出力する。信号切り替え器52は、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MVHを操作量信号MV52として出力する。関数発生器54は、操作量信号MV51に基づく操作量信号MV21を出力する。関数発生器55は、操作量信号MV52に基づく操作量信号MV22を出力する。第1タービンバイパス弁21に急開を示さないソレノイド信号Sが入力されているので、第1タービンバイパス弁21の開度は操作量信号MV21に基づいて制御される。第2タービンバイパス弁22の開度は操作量信号MV22に基づいて制御される。上述のとおり、制御装置4は、トリップ開始前において、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力及び低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力についてオーバーライド制御(高値選択制御)を実行する。
【0042】
(トリップ開始後のタービンバイパス弁10に関する制御)
図3を参照して、タービン13のトリップ開始後におけるタービンバイパス弁10に関する制御を説明する。トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT1時間の期間、信号出力器40は、急開を示すソレノイド信号Sと、手動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11と、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21を出力する。第1タービンバイパス弁21に急開を示すソレノイド信号Sが入力されているので、第1タービンバイパス弁21は急開する。圧力制御器41は、手動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、弁開度信号V2(第2タービンバイパス弁の開度)に基づいて操作量信号MV1をトラッキングし、操作量信号MV1を高値選択器50及び信号切り替え器52に出力する。圧力制御器42は、手動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、弁開度信号V1(第1タービンバイパス弁の開度)に基づいて操作量信号MV2をトラッキングし、操作量信号MV2を高値選択器50及び信号切り替え器51に出力する。第1タービンバイパス弁21が急開状態であるため、操作量信号MV2は図3に示すようにトラッキングされる。高値選択器50は、操作量信号MV1及び操作量信号MV2のうち大きい開度を示す方を操作量信号MVHとして、信号切り替え器51及び信号切り替え器52にそれぞれ出力する。信号切り替え器51は、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MVHを操作量信号MV51として出力する。信号切り替え器52は、OFF状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MVHを操作量信号MV52として出力する。関数発生器54は、操作量信号MV51に基づく操作量信号MV21を出力する。関数発生器55は、操作量信号MV52に基づく操作量信号MV22を出力する。第2タービンバイパス弁22の開度は操作量信号MV22に基づいて制御される。
【0043】
T1時間は、高圧側ヘッダ11及び低圧側ヘッダ12の体積と、第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22の動作速度やレンジアビリティのような特性とから、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力が下がり過ぎないように決定される。
【0044】
トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT1時間経過後、信号出力器40は、急開を示さないソレノイド信号Sと、自動制御モード(PI制御モード)を示す自動手動切り替え信号SS11と、ON状態を示す圧力制御切り替え信号SS21を出力する。圧力制御器41は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、圧力検出信号PV1及び圧力設定信号SV1に基づいて操作量信号MV1を生成して高値選択器50及び信号切り替え器52に出力する。圧力制御器42は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS11が入力されているので、圧力検出信号PV2及び圧力設定信号SV2に基づいて操作量信号MV2を生成して高値選択器50及び信号切り替え器51に出力する。高値選択器50は、操作量信号MV1及び操作量信号MV2のうち大きい開度を示す方を操作量信号MVHとして、信号切り替え器51及び信号切り替え器52にそれぞれ出力する。信号切り替え器51は、ON状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MV2を操作量信号MV51として出力する。信号切り替え器52は、ON状態を示す圧力制御切り替え信号SS21が入力されているので、操作量信号MV1を操作量信号MV52として出力する。関数発生器54は、操作量信号MV51に基づく操作量信号MV21を出力する。関数発生器55は、操作量信号MV52に基づく操作量信号MV22を出力する。第1タービンバイパス弁21の開度は操作量信号MV21に基づいて制御される。すなわち、第1タービンバイパス弁21の開度は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力に基づいて制御される。第2タービンバイパス弁22の開度は操作量信号MV22に基づいて制御される。すなわち、第2タービンバイパス弁22の開度は高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力に基づいて制御される。上述のとおり、制御装置4は、トリップ開始からT1時間経過後において、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力及び低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力についての個別圧力制御を実行する。
【0045】
手動制御により第1タービンバイパス弁21をT1時間急開した後に個別圧力制御を実行することは、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力と低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の両方を適切に制御する上で重要である。また、操作量信号MV1及び操作量信号MV2のトラッキングを行うことで、手動制御モードから自動制御モードへの切り替えが円滑に行われる。
【0046】
本実施形態によれば、タービン13を流れる蒸気流量としてのタービン流量を用いずに、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力を下げることなく、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力及び低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の急激な上昇を抑制することができる。本実施形態によれば、タービン流量を計測するためのタービン流量計が不要となる。タービン流量計の破損及びメンテナンスを考える必要がないため、スチームシステム1はタービン流量計を必要とするシステムに比べて信頼性が高い。
【0047】
本実施形態においては、トリップ開始後の自動制御モードにおける設定圧力P2をトリップ開始前の自動制御モードにおける設定圧力P2より低くすることにより、更に制御が向上する。例えば信号出力器40は、図4に示されるように、トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT1時間経過する時の前は、26K/Gの設定圧力P2を示す圧力設定信号SV2を圧力制御器42に出力し、トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT1時間経過する時の後は、25K/Gの設定圧力P2を示す圧力設定信号SV2を圧力制御器42に出力する。設定圧力P2を下げることにより、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力が下がりにくくなる。更に、設定圧力P2と設定圧力P3との差が大きくなり、設定圧力P2と設定圧力P7との差が大きくなるため、圧力制御器42による第1タービンバイパス弁21の制御が圧力制御器43による放風弁20の制御や圧力制御器47による低圧側流出量制御弁27の制御と干渉することが防がれる。
【0048】
本実施形態においては、以下に説明する放風弁20に関する制御を追加することで、第1タービンバイパス弁21の急開による低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の急激な上昇を更に確実に抑制することでできる。
【0049】
(トリップ開始前の放風弁20に関する制御)
図5を参照して、タービン13のトリップ開始前における放風弁20に関する制御を説明する。トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示す前(トリップ開始前)において、信号出力器40は、自動制御モード(PI制御モード)を示す自動手動切り替え信号SS12を出力する。圧力制御器43は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS12が入力されているので、圧力検出信号PV3及び圧力設定信号SV3に基づいて操作量信号MV3を生成して放風弁20に出力する。上述のとおり、圧力制御器43は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力についてPI制御を実行する。
【0050】
(トリップ開始後の放風弁20に関する制御)
図5を参照して、タービン13のトリップ開始後における放風弁20に関する制御を説明する。トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT2時間の期間、信号出力器40は、手動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS12を出力する。圧力制御器43は、手動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS12が入力されているので、弁開度信号V3に基づいて操作量信号MV3をトラッキングし、操作量信号MV3を放風弁20に出力する。弁開度信号V3が開度の固定値を示すため、操作量信号MV3は図5に示すようにトラッキングされる。
【0051】
T2時間は、タービンバイパス弁10及び放風弁20の特性(例示:動作時間遅れ、レンジアビリティ)の違いを考慮して、第1タービンバイパス弁21の急開による低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の急激な上昇が抑制されるように決定される。T2時間がT1時間より短い場合、T2時間がT1時間と同じ場合、T2時間がT1時間より長い場合が考えられる。
【0052】
トリップ信号PSDがタービン13のトリップ開始を示してからT2時間経過後、信号出力器40は、自動制御モード(PI制御モード)を示す自動手動切り替え信号SS12を出力する。圧力制御器43は、自動制御モードを示す自動手動切り替え信号SS12が入力されているので、圧力検出信号PV3及び圧力設定信号SV3に基づいて操作量信号MV3を生成して放風弁20に出力する。上述のとおり、圧力制御器43は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力についてPI制御を実行する。
【0053】
図6及び7を参照して、本実施形態によるタービンバイパス制御を実行した場合におけるシミュレーション結果を説明する。ここで、T1時間及びT2時間はともに1秒間であり、弁開度信号V3が示す開度の固定値は35%である。
【0054】
図6は、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力の変化を示す。トリップ開始は2秒である。最初105K/Gであった高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力は、トリップ開始後に上昇し、10秒において114.16K/Gに達した。高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力は、その後低下し、110K/G程度で安定した。
【0055】
図7は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の変化を示す。最初26.5K/Gであった低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力は、トリップ開始後に上昇し、16秒において29.13K/Gに達した。低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力は、その後低下し、25K/Gから27K/Gの間で安定した。低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力が作動圧力P5に達しなかったので、安全弁25は作動しなかった。
【0056】
図8及び9を参照して、本実施形態とは異なるタービンバイパス制御を実行した場合におけるシミュレーション結果を説明する。この制御においては、トリップ開始から1秒間の期間、第1タービンバイパス弁21、第2タービンバイパス弁22、放風弁20を急開したのち、PI制御を再開する。再開したPI制御においても、制御装置4は、第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22についてオーバーライド制御を実行する。
【0057】
図8は、高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力の変化を示す。トリップ開始は2秒である。最初105K/Gであった高圧側ヘッダ11内の蒸気圧力は、106.4K/Gに達した後に低下し、最終的には20K/Gより低くなった。
【0058】
図9は、低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力の変化を示す。最初26.5K/Gであった低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力は、上昇して作動圧力P5に達した。安全弁25が作動した。低圧側ヘッダ12内の蒸気圧力は、最終的には15K/Gより低くなった。
【0059】
上述の作動圧力P5及び設定圧力P1〜P3、P5〜P7は、下記不等式で表される大小関係を満たせばよく、上記数値に限定されない。
P2<P7<P3<P5<P6<P1
【0060】
本実施形態に係るスチームシステム1及びタービンバイパス制御方法は、適宜変更することが可能である。
【0061】
例えば、トリップ開始からT1時間の期間、第1タービンバイパス弁21に加えて第2タービンバイパス弁22も急開することが可能である。
【0062】
上述のとおり第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22が親弁小弁の関係を有することが好ましいが、スチームシステム1が小規模である場合には第1タービンバイパス弁21及び第2タービンバイパス弁22が親弁小弁の関係を有しなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るスチームシステムの概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御装置のブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法を説明するタイミングチャートである。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法を説明する他のタイミングチャートである。
【図5】図5は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法を説明する他のタイミングチャートである。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法における高圧側ヘッダ内圧力の変化を示すグラフである。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るタービンバイパス制御方法における低圧側ヘッダ内圧力の変化を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例に係るタービンバイパス制御方法における高圧側ヘッダ内圧力の変化を示すグラフである。
【図9】図9は、比較例に係るタービンバイパス制御方法における低圧側ヘッダ内圧力の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1…スチームシステム
11…高圧側ヘッダ
12…低圧側ヘッダ
13…タービン
14…ボイラ
15…タービンバイパスライン
15a…第1ライン
15b…第2ライン
16…放風ライン
10…タービンバイパス弁
20…放風弁
21…第1タービンバイパス弁
22…第2タービンバイパス弁
25…安全弁
26…高圧側流入量制御弁
27…低圧側流出量制御弁
31〜33、36、37…圧力センサ
4…制御装置
40…信号出力器(急開制御器)
41〜43、46、47…圧力制御器
50…高値選択器
51、52…信号切り替え器
54、55…関数発生器
PV1〜PV3、PV6、PV7…圧力検出信号
SV1〜SV3、SV6、SV7…圧力設定信号
MV1〜MV3、MV21、MV22、MV51,MV52、MVH…操作量信号
V1〜V3…弁開度信号
PSD…トリップ信号
S…ソレノイド信号
SS11、SS12…自動手動切り替え信号
SS21…圧力制御切り替え信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ開度に対応する第1操作量信号を出力する高圧側圧力制御器と、
バルブ開度に対応する第2操作量信号を出力する低圧側圧力制御器と、
前記第1操作量信号及び第2操作量信号のうち大きい開度を示す方に対応する高値操作量信号を出力する高値選択器と、
前記高値操作量信号及び前記第2操作量信号が入力され、第1バイパス弁操作量信号を出力する第1信号切り替え器と、
前記高値操作量信号及び前記第1操作量信号が入力され、第2バイパス弁操作量信号を出力する第2信号切り替え器と、
急開制御器と
を具備し、
タービンのトリップ開始前において、
前記タービンは、高圧側ヘッダから前記タービンを通って低圧側ヘッダに流れる蒸気によって駆動され、
前記高圧側圧力制御器は、前記高圧側ヘッダ内の高圧側圧力と高圧側圧力設定信号に基づいて前記第1操作量信号を出力し、
前記低圧側圧力制御器は、前記低圧側ヘッダ内の低圧側圧力と低圧側圧力設定信号に基づいて前記第2操作量信号を出力し、
前記第1信号切り替え器は、前記高値操作量信号を前記第1バイパス弁操作量信号として出力し、
前記第2信号切り替え器は、前記高値操作量信号を前記第2バイパス弁操作量信号として出力し、
前記高圧側ヘッダと前記低圧側ヘッダを接続するタービンバイパスラインに設けられた第1バイパス弁は前記第1バイパス弁操作量信号に基づいて制御され、
前記第1バイパス弁と並列関係を有するように前記タービンバイパスラインに設けられた第2バイパス弁は前記第2バイパス弁操作量信号に基づいて制御され、
前記トリップ開始からT1時間の期間において、
前記急開制御器は、前記第1バイパス弁及び前記第2バイパス弁の少なくとも一方を急開させ、
前記高圧側圧力制御器は、前記第2バイパス弁の開度に基づいて前記第1操作量信号をトラッキングし、
前記低圧側圧力制御器は、前記第1バイパス弁の開度に基づいて前記第2操作量信号をトラッキングし、
前記トリップ開始から前記T1時間経過後において、
前記高圧側圧力制御器は、前記高圧側圧力と前記高圧側圧力設定信号に基づいて前記第1操作量信号を出力し、
前記低圧側圧力制御器は、前記低圧側圧力と前記低圧側圧力設定信号に基づいて前記第2操作量信号を出力し、
前記第1信号切り替え器は、前記第2操作量信号を前記第1バイパス弁操作量信号として出力し、
前記第2信号切り替え器は、前記第1操作量信号を前記第2バイパス弁操作量信号として出力し、
前記第1バイパス弁は前記第1バイパス弁操作量信号に基づいて制御され、
前記第2バイパス弁は前記第2バイパス弁操作量信号に基づいて制御される
タービンバイパス制御装置。
【請求項2】
前記T1時間経過後における前記低圧側圧力設定信号が示す設定圧力値は、前記トリップ開始前における前記低圧側圧力設定信号が示す設定圧力値より低く定められた
請求項1のタービンバイパス制御装置。
【請求項3】
バルブ開度に対応する第3操作量信号を出力する放風弁圧力制御器を更に具備し、
前記低圧側ヘッダに放風ラインが接続され、
前記放風ラインに放風弁が設けられ、
前記放風弁は、前記第3操作量信号に基づいて制御され、
前記トリップ開始前及び前記トリップ開始からT2時間経過後において、
前記放風弁圧力制御器は、前記低圧側圧力と放風弁圧力設定信号に基づいて前記第3操作量信号を出力し、
前記期間において、
前記放風弁圧力制御器は、所定の固定値に基づいて前記第3操作量信号をトラッキングする
請求項2のタービンバイパス制御装置。
【請求項4】
前記第1バイパス弁は小弁であり、
前記第2バイパス弁は親弁である
請求項3のタービンバイパス制御装置。
【請求項5】
バルブ開度に対応する第3操作量信号を出力する放風弁圧力制御器を更に具備し、
前記低圧側ヘッダに放風ラインが接続され、
前記放風ラインに放風弁が設けられ、
前記放風弁は、前記第3操作量信号に基づいて制御され、
前記トリップ開始前及び前記トリップ開始からT2時間経過後において、
前記放風弁圧力制御器は、前記低圧側圧力と放風弁圧力設定信号に基づいて前記第3操作量信号を出力し、
前記期間において、
前記放風弁圧力制御器は、所定の固定値に基づいて前記第3操作量信号をトラッキングする
請求項1のタービンバイパス制御装置。
【請求項6】
前記第1バイパス弁は小弁であり、
前記第2バイパス弁は親弁である
請求項1のタービンバイパス制御装置。
【請求項7】
タービンのタービンバイパスラインに設けられた第1バイパス弁及び第2バイパス弁の第1制御を実行するステップと、
前記タービンのトリップ開始からT1時間、前記第1バイパス弁及び前記第2バイパス弁の少なくとも一方を急開するステップと、
前記トリップ開始から前記T1時間後、前記第1バイパス弁及び前記第2バイパス弁の第2制御を実行するステップと
を具備し、
前記タービンは、高圧側ヘッダから前記タービンを通って低圧側ヘッダに流れる蒸気によって駆動され、
前記タービンバイパスラインは、前記高圧側ヘッダと前記低圧側ヘッダとを接続し、
前記第1バイパス弁及び前記第2バイパス弁は並列関係を有し、
高圧側圧力制御器は、バルブ開度に対応する第1操作量信号を出力し、
低圧側圧力制御器は、バルブ開度に対応する第2操作量信号を出力し、
前記第1制御を実行するステップ及び前記第2制御を実行するステップにおいて、
前記高圧側圧力制御器は、前記高圧側ヘッダ内の高圧側圧力と高圧側圧力設定信号に基づいて前記第1操作量信号を出力し、
前記低圧側圧力制御器は、前記低圧側ヘッダ内の低圧側圧力と低圧側圧力設定信号に基づいて前記第2操作量信号を出力し、
前記第1制御を実行するステップにおいて、前記第1操作量信号及び前記第2操作量信号のうち大きい開度を示す一方に基づいて前記第1バイパス弁及び前記第2バイパス弁を制御し、
前記少なくとも一方を急開するステップにおいて、前記高圧側圧力制御器は前記第2バイパス弁の開度に基づいて前記第1操作量信号をトラッキングし、前記低圧側圧力制御器は前記第1バイパス弁の開度に基づいて前記第2操作量信号をトラッキングし、
前記第2制御を実行するステップにおいて、前記第1操作量信号に基づいて前記第2バイパス弁を制御し、前記第2操作量信号に基づいて前記第1バイパス弁を制御する
タービンバイパス制御方法。
【請求項8】
前記第2制御を実行するステップにおける前記低圧側圧力設定信号が示す設定圧力値は、前記第1制御を実行するステップにおける前記低圧側圧力設定信号が示す設定圧力値より低く定められた
請求項7のタービンバイパス制御方法。
【請求項9】
前記低圧側ヘッダに接続された放風ラインに設けられた放風弁の放風弁第1制御を実行するステップと、
前記トリップ開始からT2時間、前記放風弁の開度を所定の固定値に制御するステップと、
前記トリップ開始から前記T2時間後、前記放風弁の放風弁第2制御を実行するステップと
を更に具備し、
放風弁圧力制御器は、バルブ開度に対応する第3操作量信号を出力し、
前記放風弁第1制御を実行するステップ及び前記放風弁第2制御を実行するステップにおいて、
前記放風弁圧力制御器は、前記低圧側ヘッダ内の低圧側圧力と放風弁制御圧力設定信号に基づいて前記第3操作量信号を出力する
請求項7又は8のタービンバイパス制御方法。
【請求項10】
前記第1バイパス弁は小弁であり、
前記第2バイパス弁は親弁である
請求項7乃至9のいずれかに記載のタービンバイパス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−185674(P2009−185674A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25660(P2008−25660)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】