説明

チタン粉末及びチタン粉末合金に於けるインプラント製造法

【課題】インプラントのフィックスチャーとアパットメントを一体化成形して一回の手術にする事とランチャー(歯冠)との結合を容易に、且つ、精度よく恒久的に維持と手入れを容易にする。
【解決手段】インプラント上部はテーパーに成形し、センター部はスリットを入れ、インナーネジ部を射出成形して、ネジ部頭部は厚みを持つテーパーである。歯根の完治後インプラントにランチャー(歯冠)を被せ、ネジ部頭部を挿入し、ネジを締めることで、歯冠の固定化を図る。異形な形状に内径のネジ切やスリットは薄肉で機械加工は不可能であるので、粉末射出成形法に「中子」をインサートし、成形後、抽出して真空焼結で完成させる。チタン粉末にバインダーを混練することで、射出成形での量産化を可能にして、コストダウンを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、チタン粉末及びチタン粉末合金にバインダーを加圧混練して、金型を使用して射出成形後に、真空焼結炉内で脱脂・焼結を同一炉内でインプラントを製造するものである。
【0002】
この時、使用されるバインダーの容量は20%のSTF、20%のPW,22%のCB1,32%のP.P、6%のDOPである。
【0003】
混練方法と順序はチタン粉末や、チタン粉末合金を予め予熱された混練用容器に入れ、STFをなじませた後に、PW,CB1,P.P,と順次入れて混練を行い出来るだけ大気に触れさせないことである。馴染んだ時点で、最後にDOPを入れて加圧混練を約2時間。この時の温度は、室内温度にもよるが180℃〜200℃である。この温度は、射出時のシリンダー温度設定に重要である。
【0004】
上記の工程終了後、取り出し3〜5センチ角で冷ます。室温程度になると、粉砕や、ペレット化して、密封容器で保管する。特に、混練後残されたチタン粉末及びチタン粉末合金は密閉された容器や、保管庫に窒素封入して保存することも重要である。
【0005】
歯科用のインプラントの上部に、うちネジとスリットを設けるために、予めバインダーと同一材料での成形物を製作して、これをインサートされた金型でチタン粉末及びチタン粉末合金で射出成形する。
【0006】
射出成形されたインプラント(グリーン体)は、上記でのインサートされたまま取り出して、溶媒で摘出する。この時のバインダーは、インサートされた材種のみ抽出される事と、金属粉末に悪影響を与えないことが重要なポイントである。完全に抽出されたグリーン体を真空焼結炉内にセッター上にじかに設置するか、また、セッター上にセラミック粉を敷いて脱脂・焼結する。この時、真空容器の構造が加圧式か、減圧式かが重要なポイントになる。
【背景技術】
【0007】
従来、インプラントは精密鋳造(ロストワックス)製法か、機械加工の方法であった。これらは、主にチタン、ジルコニアやケイ素を主元素の材料であった。機能優先であり、機能回復と清掃性を重視した歯周補綴が出来なかった。
【0008】
一方、外科用の人工骨の材料として、ニューセラミックスと言われる素材があるが、この欠点は力学的性質として圧縮には強いが引っ張り強度に弱く、脆く、また成形性が困難で、かつ高価である。
【0009】
従来のチタン製インプラントの治療過程は(2回手術法)であり、第一回手術で顎骨の中にフィクスチャーが埋め込まれ、第二回手術でアパットメントが連結される。このアパットメントの上にインプラントブリッジが固定される。
【0010】
【非特許文献】山本尚吾、小峰太、五十嵐孝義著「インプラント上部構造への応用」 クインテッセンス出版 2001年11月 P27〜57 長谷川二郎、森 博史、石綿 勝著「歯科理工学」 医歯薬出版 2004年2月10日 発行 沖 猛雄 編「暮らしと新材料」 日刊工業新聞社 1994年7月29日 発行
【発明が解決使用とする課題】
【0011】
本発明は、インプラントの外形は単一な形状であるが、フィックスチャーとアパットメントを一体にして、フィクチャーの上部に内部にネジ部と外周はスリット部を設けて、歯冠(ランチャーあるいはブリッジ)を被せネジ部を締めることによって、インプラントの外部が歯冠を固定化する。その後に、ネジ部と歯冠に充填材で補強する。
【0012】
チタン粉末及びチタン粉末合金の射出成形では、フィクスチャー部とアパットメントを一体成形でランチャーやブリッジの冠固定用のネジも同種の材料で製作されて、医師は患者の抜歯後の回復を待つまでに歯冠の製作や調整を行うことが出来る。この間、患者の通院を短縮できる。
【0013】
従来は、抜歯後完治して差し歯、入れ歯等の処置をするときに、擦り合わせや、噛み合いの具合によっては、健康である歯を削り等の処置が不要である。
【0014】
骨結合型インプラントシステムは、二回の手術を必要としたが、一回の手術で済むようにする。
【問題を解決するための手段】
【0015】
その為の手段として、射出成形法でフィクスチャーとアパットメントを一体化する。上部に内ネジを設け、歯冠を被せネジで締め付けることによって上部スリット部が開閉して歯冠(ランチャーあるいはブリッジ)を固定する。
【0016】
上記のネジ、スリット部の加工は機械加工や精密鋳造である。この不可能部も金型でインサート成形して、これをインサート(置き中子)を溶媒で摘出して、グリーン体を真空焼結炉で脱脂・焼結してインプラント部、ネジを完成させる。
【0017】
インサート部位の除去は、溶媒で摘出させる。このときに溶媒の温度の管理が重要である。違うバインダーを数種使用することで、求める部位を保持し、次工程での真空焼結炉内での求める部位の変形を防ぎ、脱脂工程での時間短縮にもなり、トウタル焼結時間を短縮させる。
【0018】
通常の粉末射出成形では、混合→混練→ペレタイズ→射出成形→真空焼結(MIMのONE−STEP)。インサート部位のある場合は、射出成形後溶媒で摘出して、真空焼結の工程で行う。このときに重要なのは、低融点のバインダーと融点の高い
【発明の効果】
【0019】
この発明の、インプラントは、人体に良いとされるチタン材で複雑な形状な人口関節や骨折等にステムとしての難加工な部位を置き中子(インサート)を用いて成形処理することによる一体化し、部品テンスを減らす。
【0020】
例えば、インサート成形する事による、他材種の選択の自由度で医療器具や複数業界で難加工部位を一体化する事による部品点数を減らし、コスト削減、時間短縮になる。
【0021】
上述した医療器具や航空機業界等への部品製作を射出成形方法で、また、原料粉体を混合して、新素材としての製品開発も可能とする特徴がある。
【0022】
さらに、チタン元素に他の元素を添加することによる、耐熱性等の新素材・新用途にも成形することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の一実施の形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、医療器具の概観図を示し、a部とb部の開口部はそれぞれの目的を持つ器具での操作を行うことが出来る構造とする。
【0024】
a部b部の一体となる構造の金型を製作し、これをインサートできる構造での粉末射出成型用金型を製作する。
【0025】
射出成形するために容量で60%の金属粉と40%バインダーを20%のSTF・20%PW・22%CB1・32%PP・6%DOPを加圧ニーダーで180℃〜200℃を保持しながら、金属粉を数10分加熱後、それぞれのバインダーを馴染ませながら、順次挿入して加圧を続ける。
馴染んだところで、最後にDOPを添加して、加圧し、約2時間を混練加圧する。
【0026】
上記での操作後、取り出し、粉砕またはペレット状にして、成形機のスクリュウに馴染む大きさにすること。
【0027】
グリーン体(焼結前の成形体)からインサートを除去するには、融点の低い溶媒を80℃前後に保持し、この溶媒中にグリーン体を浸食させ、摘出後乾燥させる。このとき、バインダーのCB1でインサートを成形して、CB1のみを摘出することが重要である。次工程の焼結で形状の保持に重要なことである。
【0028】
焼結時のパターンは通常のパターンとインサート摘出後のパターンの温度は肉厚や形状にもよるが、真空度は基本に主元素に添加される元素にもよるが、通常蒸気圧曲線を参考にる。
【0029】
焼結物の用途、目的による合金は添加する金属元素によって、また、液相焼結、固相焼結を如何に創るかが重要である。チタンを主元素とした耐熱性合金としてTi−11V−3Al−2Cu−1Ni等も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 チタン製インプラントの模式図
【図2】 歯冠(ランチャーまたはブリッジ)の固定ネジ
【図3】 フィクスチャーとアパットメント一体図
【図4】 A−Aの断面図
【図5】 工程図
【図6】 インサートされた金型図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント(外科用・歯科用)のチタン粉末及びチタン粉末合金の射出成形製造法
【請求項2】
インプラント(歯科用)の上部に内ネジとスリットの製造法
【請求項3】
インプラント(外科用・歯科用)の射出成形用のバインダーとインナーネジ部の抽出法
【請求項4】
チタン粉末及びチタン粉末合金の真空焼結装置
【請求項5】
射出成形時のインナーネジ及びアンダーカット部の抽出装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−34473(P2009−34473A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224817(P2007−224817)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(594041623)
【出願人】(594117973)株式会社藤岡製作所 (4)
【Fターム(参考)】