説明

チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法、チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体及びチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲット

【課題】結晶相が均一で、高密度なPbO含有量の多いチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法は、化学量論組成で混合したチタン酸ジルコン酸鉛の原料粉末を900℃以上1200℃以下の温度で焼結した予備焼結体を作製し、前記予備焼結体を粉砕し、前記粉砕した予備焼結体の粉末に鉛酸化物粉末を添加して鉛過剰の混合粉末を作製し、前記鉛過剰の混合粉末を前記予備焼結体の焼結温度よりも低い温度で焼結する。焼結工程を二段階に分けることにより、PbZrO、PbTiO、ZrO、TiO、PbOその他の中間化合物が存在しない化学量論組成のPZTと過剰分のPbOの2種の結晶相のみからなる高密度(例えば95%以上)のPZT焼結体を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛酸化物(PbO)成分を過剰に含むペロブスカイト構造のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法、チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体及びチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸ジルコン酸鉛(以下「PZT」ともいう。)は、大きな誘電率、圧電性、強誘電性を有し、圧電素子、誘電体メモリー、アクチュエータ、センサ等の分野を中心に薄膜デバイスとして広く工業的に利用されている。PZT薄膜の製造方法としては、スパッタリング法が多く用いられている。
【0003】
しかし、PZTをスパッタリング法で成膜する場合、ターゲット組成中に含まれるPbO(鉛酸化物)量に比べて、膜中のPbO量が減少してしまうという問題がある。すなわち、PZTの高配向膜を得るためには、成膜時あるいは成膜後に、PZTが成膜される基板を加熱する必要があり、この際、熱によりPZT(Pb(ZrTi1−x)O)の組成に含まれるPbOが分解してPbが揮発、もしくはPbO自体が揮発する現象が生じる。したがって、スパッタリングによりPZTを成膜した場合、ターゲットの組成と薄膜の組成が相違することとなる。
【0004】
例えば、PZTを誘電体メモリーに使用する場合、残留分極、抗電場等の特性が重要となるが、このためにはPZT薄膜が化学量論組成であることが望ましい。しかし、化学量論組成のターゲットを使用した場合、膜の組成は、化学量論組成からPbO量が減少したものとなる。
【0005】
そこで、PbOの揮発による減少分を補うために、ターゲット中のPbOを過剰に添加させることが知られている(特許文献1〜3参照)。PbOを過剰に含有したPZT(以下、PbO過剰PZT)からなるバルク材を用いてターゲットを作製することで、化学量論組成の薄膜を成膜することが可能となる。
【0006】
具体的に、特許文献1には、Pbを過剰に含む原料粉末を混合して予備焼結(仮焼)した後、この予備焼結体を粉砕し、仮焼温度よりも高温で第1次焼結及び第2次焼結を行うPZT焼結体の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、化学量論組成の原料粉末を800℃で仮焼した後、過剰酸化鉛としてPb粉末を混合して1100℃で焼結するPZT焼結体の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3は、Pbの結晶構造に着目し、過剰のPbOの主体を正方晶系結晶構造とすることが記載されている。
【0007】
一方、スパッタリングターゲットの品質に関しては、以下の条件が要求されている。第1に、結晶組織分布が微細かつ均一で、組成分布が均一であること、第2に、純度が制御されていること、そして第3に、粉末を原料とする場合には相対密度が95%以上と高密度であることである。ここで、相対密度とは、多孔質体の密度とそれと同一組成の材料の気孔のない状態における密度との比をいう(以下同じ)。
【0008】
【特許文献1】特開平11−335825号公報([0035]段落)
【特許文献2】特開平11−1367号公報([0011]、[0012]段落)
【特許文献3】特開平7−18427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PbOを過剰に含むPZTからなるスパッタリングターゲットは、充分なPbO量と、高密度かつ均一な結晶構造を有することが必要となる。
【0010】
しかし、上述のようにPbOは熱的安定性に劣るため、特許文献1に記載のように化学量論組成よりも過剰にPbOを含有したPZT混合粉末を1000℃以上の高温で焼結すると、後述するように、PbOの減少量が多く、組成制御が困難になるという問題がある。また、PbOの欠損を原因として、焼結体の相対密度を向上させることが困難である。
【0011】
また、特許文献1には、結晶組織の均一化の方策として、焼結と粉砕を複数回繰り返す方法が記載されている。しかし、焼結・粉砕の回数とともに組成ずれが生じるという問題や、工程を増やすことによる不純物増の問題が新たに発生するという問題がある。
【0012】
特許文献2に記載された方法も同様に、化学量論組成の仮焼粉とPbO粉末との混合粉末の焼結を1100℃で実施するようにしているため、PbOの減少による組成制御が難しく、高い相対密度が得られにくいという問題がある。
【0013】
なお、焼結時におけるPbOの飛散を抑制するために、低温で仮焼し低温度で本焼結する方法が考えられる。しかし、この方法で得られた焼結体は、低密度(相対密度70%程度)であり、完全なPZT相が形成されず、原料粉を反映した多くの結晶相を含み、かつ、組成分布が不均一な組織となる場合が殆どである。
【0014】
さらに、特許文献3には、PbOの結晶構造を規定するにとどまり、得られた焼結体の密度やPbOの揮発量については記載がない。
【0015】
以上のように、PbOを過剰に含むPZT焼結体を作製する場合、最終焼結工程前の結晶相がそのまま残存し、焼結体密度が低い。これだけでなく、PbOの揮発性に起因してPZT焼結体の組成及び密度が不均一で、結晶相が3相以上の混合組織になる。これらの好ましくない状態が同時に生じている場合、スパッタによる成膜時の電圧・電流の変動、パーティクルの発生、ターゲットの割れが生じていた。このため、焼結体の結晶相が均一でしかも高密度な高品質焼結体ターゲットの開発が求められている。
【0016】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、結晶相が均一で、高密度なPbO含有量の多いチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法、チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体及びチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以上の目的を達成するため、本発明のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法は、化学量論組成になるようにPbO、ZrO、TiOを混合したチタン酸ジルコン酸鉛の原料粉末を900℃以上1200℃以下の温度で焼結した予備焼結体を作製し、前記予備焼結体を粉砕し、前記粉砕した予備焼結体の粉末にPbO粉末を添加して鉛過剰の混合粉末を作製し、前記鉛過剰の混合粉末を前記予備焼結体の焼結温度よりも低い温度で焼結する。
【0018】
焼結工程を二段階に分けることにより、PbZrO、PbTiO、ZrO、TiO、PbOその他の中間化合物が存在しない化学量論組成(Pb(ZrTi)O)のPZTと過剰分のPbOの2種の結晶相のみからなる高密度(例えば95%以上)のPZT焼結体を得ることができる。
【0019】
本発明において、予備焼結体は、鉛酸化物粉末、ジルコン酸化物粉末及びチタン酸化物粉末を化学量論組成で混合し、その混合した原料粉末を900℃以上1200℃以下の温度で焼結することで作製される。これにより、PbOの揮発を抑え、かつ、相対密度を向上させることが可能となる。
【0020】
一方、予備焼結体を粉砕して得られる粉末と鉛酸化物の粉末との混合粉末を焼結する工程では、予備焼結体の焼結温度よりも低い温度で焼結する。これにより、添加したPbOの揮発を抑制し、かつ、相対密度の高いPbO過剰のチタン酸ジルコン酸鉛焼結体を製造することができる。また、PbOの揮発を抑制することができるので、チタン酸ジルコン酸鉛焼結体の組成制御が容易になり、2相ではあるが結晶相が均一に分散した微細な結晶組織を得ることができる。
【0021】
予備焼結体の焼結及び鉛過剰の混合粉末の焼結を酸化性雰囲気で行うことで、PbOの揮発を更に抑制することができる。ここで、酸化性雰囲気とは、例えば、大気雰囲気や酸素ガス雰囲気が該当する。大気雰囲気に比べて、酸素ガス雰囲気の方がより、PbOの揮発を抑制する効果が高い。
【0022】
以上のようにして製造されるチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体は、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛でなる第1の結晶相と、前記第1の結晶相中に分布している鉛酸化物でなる第2の結晶相とを具備する。すなわち、化学組成及び結晶構造が均一かつ高密度なPbOを過剰に含むチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係るチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲットは、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛でなる第1の結晶相と、前記第1の結晶相中に分布している鉛酸化物でなる第2の結晶相とを具備する。チタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲットが2種類の結晶相を有する場合、その結晶が大きくなると(>〜10μm)スパッタ時に異常放電、パーティクルの発生が生じ易くなる。しかし、本発明によれば、2種類の結晶を各々微細で且つ均一に分散させる事が可能なので、これにより、結晶相が均一かつ高密度なPbOを過剰に含むチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲットを得ることができる。また、スパッタ時の電圧・電流の変動、パーティクルの発生、ターゲットの割れを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上述べたように、本発明によれば、PbOの揮発を抑制して、結晶相が均一で相対密度の高い、PbOを過剰に含むチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態によるチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)焼結体の製造方法を説明する工程フロー図である。本実施形態のPZT焼結体の製造方法は、化学量論組成のPZT予備焼結体の作製工程(ステップ101)と、予備焼結体の粉砕工程(ステップ102)と、鉛酸化物(PbO)の添加工程(ステップS103)と、成形工程(ステップ104)と、焼結工程(ステップ105)とを有する。
【0027】
[予備焼結体の作製工程]
まず、化学量論組成のPZT焼結体からなる予備焼結体を作製する(ステップ101)。
【0028】
予備焼結体を得るには、原料粉末として、鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物をPb(Zr0.52Ti0.48)Oとなるような配合比で混合し、一定の加圧力を負荷して、900℃以上1200℃以下の温度で焼結する。加圧力としては、500kg/cm以上であることが好ましい。これにより、PbOの揮発が抑えられ、Pb量を一定に保つことができる。
【0029】
ここで、PbOを過剰に含む(以下「過剰PbO」ともいう。)PZTターゲットを製作するために、従来では、原材料粉の混合時にPbOを過剰に加えて焼結していた。PZTの焼結に通常用いられる温度条件(例えば1200℃)を適用すると、PbOは揮発・飛散してしまい、配合組成からのずれ、すなわち、平均組成・組成分布の均一性の劣化が生じるとともに、密度としても低い値になってしまう。
【0030】
図2は、過剰PbOのPZT焼結体のPbO仕込み量に対するPbO減少量を測定した一実験結果である。実験では、化学量論組成(Pb(Zr0.52Ti0.48)O、以下同じ。)にPbOをモル比で0.15から1.0の範囲で過剰に仕込んだPZT粉末を用い、これらを1ton/cmで予備成形し、大気中で1200℃、0.5時間焼結したときのPZTのPbO量の減少量をモル比で表した。
【0031】
図2から明らかなように、PbOの過剰量が多いほど、PbOの減少割合が多く、組成制御が難しいことがわかる。また、PbOの過剰量が少ないほどPbOの減少量は少なく、Pb量が化学量論量の場合、PbOの減少はほとんど見られないことが推察される。
【0032】
以上のように、原料粉末を化学量論組成で混合したPZT焼結体は、PbOの減少量を低く抑えられ、組成制御性に優れることがわかる。なお、予備成形体の焼結には、セラミック坩堝やMgO坩堝を用いることができる。
【0033】
次に、予備焼結体の焼結温度について説明する。
【0034】
ステップ101における予備焼結体の作製に際して、焼結温度は900℃以上1200℃以下の温度範囲とする。焼結温度が900℃より低いと、低温であるために焼結が進行せず、処理時間が長くなるとともに密度が上がらない。また、焼結温度が1200℃より高いと、PbOの揮発飛散速度が速く、PbOの減少量が大きくなって配合組成からの組成ずれが生じる。
【0035】
図3は、焼結温度に対する化学量論組成のPZTの相対密度及びPbO量の変化を示す一実験結果である。実験では、化学量論組成のPZT粉末を1ton/cmで予備成形した後、酸素ガス中で1時間焼結した。図中、黒丸は相対密度を表し、白丸はPbO量(モル比)を表している。
【0036】
図3に示されるように、焼結温度が高いほど相対密度が高くなり、1200℃のとき、95%以上の相対密度が得られる。なお、焼結温度が1200℃を超えても相対密度は向上せず、逆に、PbOの減少量が多くなる傾向が認められる。
【0037】
ステップ101における予備焼結体の焼結は、酸化性雰囲気で行われることが好ましい。特に、大気中よりも酸素ガス雰囲気中の方が、1100℃以上の焼結温度において相対密度が高まることが確認されている。
【0038】
図4に、化学量論組成PZTの焼結温度による相対密度の変化を測定した一実験結果を示す。実験では、化学量論組成のPZT粉末を1ton/cmで予備成形した後、大気中及び酸素中でそれぞれ1時間焼結した。図中、黒丸は酸素雰囲気中での相対密度を表し、白丸は大気雰囲気中での相対密度を表している。図4の結果から、予備焼結体の焼結雰囲気を酸素雰囲気とすることで、より高温での焼結が可能であり、組成変動が生じない、より好ましい条件であることがわかる。
【0039】
ステップ101における予備焼結体の作製に際して、化学量論組成のPZT粉末の成形圧力は、500kg/cm以上であることが好ましい。図5は、化学量論組成のPZT粉末を大気中で1000℃、1時間焼結したものの成形荷重に対するPbO量の変化を測定した一実験結果である。図5の結果から明らかなように、500kg/cm以上の荷重で成形すれば、PbOの揮発が抑えられ、Pb量を一定に保てることが確認できる。
【0040】
[粉砕工程]
次に、得られた予備焼結体を粉砕する工程が行われる(ステップ102)。
【0041】
予備焼結体の粉砕には、適当な粉砕機が用いられる。粉砕された予備焼結体の粉末は、任意の大きさに分級される。本実施形態では、予備焼結体は、平均粒径5μm以下に粉砕される。これにより、後述するように、後のPbO粉末との2次焼結において相対密度を高め、かつ、PbO量の減少を抑制することが可能となる。
【0042】
[PbO添加・混合工程]
次に、上述の粉砕工程で得られた予備焼結体の粉末と、過剰量分のPbOの粉末を添加及び混合する工程が行われる(ステップ103)。予備焼結体の粉末とPbOの粉末は、ロッドミル及びミキサーにより均一に混合される。添加するPbOの過剰量は特に限定されないが、例えば、得られるPZT焼結体をPb1+y(ZrTi1−x)O3+yで示した場合、0.3≦y≦1.0の範囲とされる。
【0043】
[成形・焼結工程]
続いて、混合した予備焼結体の粉末とPbOの粉末の混合粉末を所定形状に加圧成形する工程が行われる(ステップ104)。それから、得られた混合粉末の圧縮成形体を焼結する工程が行われる(ステップ105)。なお、予備成形体の焼結には、セラミック坩堝やMgO坩堝又は板状のセラミックスを用いることができる。
【0044】
ステップ105における焼結工程は、ステップ101における予備焼結体の焼結温度よりも低い温度で上記混合粉末の圧縮成形体を焼結する。本実施形態では、その焼結温度は850℃以上1000℃以下、好ましくは、850℃以上950℃以下の範囲とされる。成形体の焼結にはMgOを含むセラミックス板を用いることが出来る。
【0045】
図6は、ステップ105における焼結工程の焼結温度に対するPbO量及び相対密度の変化をそれぞれ示す一実験結果である。実験では、PbO過剰量がモル比で0.8の混合粉末を1ton/cmで予備成形した後、常圧近傍の酸素雰囲気中で1時間焼結した。図中、黒丸は相対密度を表し、白丸はPbOの減少量を表している。図6の結果から明らかなように、焼結温度が850℃以上で相対密度95%以上を示すが、1000℃超ではPbOの減少量が多くなるとともに、相対密度の低下が見られる。
【0046】
図7に、ステップ105における大気雰囲気中及び常圧近傍の酸素雰囲気中での焼結工程の焼結温度に対する相対密度の変化を測定した一実験結果を示す。実験では、化学量論組成のPZT粉末を1ton/cmで予備成形した後、大気中及び酸素中でそれぞれ1時間焼結した。図中、黒丸は酸素雰囲気中での相対密度を表し、白丸は大気雰囲気中での相対密度を表している。図7の結果から、予備焼結体の焼結雰囲気を酸素雰囲気とすることで、より高温での焼結が可能であり、組成変動が生じない、より好ましい条件であることがわかる。
【0047】
図8(A)〜(C)は、ステップ105における焼結工程によって得られた焼結体の焼結状態を模式的に示す図である。ここで、(A)は焼結前の状態、(B)は予測された焼結状態、(C)は実際の焼結状態をそれぞれ示している。組成がPb1.50Zr0.52Ti0.483.30を焼結して得られた焼結体を研磨した後、750℃で0.5時間サーマルエッチング(アニール処理)したPZTのSEM写真を図9に示す。組織的に均質な様子が観察される。粒子間の欠落した領域は過剰のPbOの存在した領域である。この図から、過剰PbOも良好な分布であることがわかる。
【0048】
PbO自体の融点が888℃であり、PbO過剰量によっては、融点近傍の温度では局部的に溶融し、不均質な焼結が進行すると予測されたが、上述した本発明の焼結体の製造方法を採用することで、実際には緻密な焼結体を得られることがわかった。なお、800℃以下の温度条件では、PbOの焼結に長時間を要し、妥当と考えられる時間の数倍程度温度を保持しても、相対密度は上がらなかった。
【0049】
ステップ104における成形工程において、予備焼結体を粉砕して得られる粉末の粒径は、5μm以下であることが好ましい。図10は、化学量論組成のPZTの平均粒径に対する焼結体の相対密度及びPbO量の変化を示す一実験結果である。実験では、化学量論組成のPZT粉末を1ton/cmで予備成形した後、常圧近傍の酸素雰囲気中で1200℃、1時間焼結した。図中、黒丸は相対密度を表し、白丸はPbO量を表している。平均粒径5μm以下の場合、相対密度が高く、PbO量の減少が抑制されていることがわかる。
【0050】
一方、図11は、本焼成前の平均粒径に対する焼結体の相対密度及びPbO量の変化を示す一実験結果である。実験では、PbO過剰量がモル比で0.5の混合粉末を1ton/cmで予備成形した後、常圧近傍の酸素雰囲気中で900℃、1時間焼結した。図中、黒丸は相対密度を表し、白丸はPbO量を表している。図11の結果から、粒径が大きいほど焼結が進行せず、密度が低くなることがわかる。PbO量の低下は、予備成形体が低密度であるため、加熱によりPbOの揮発量が増加したからであると考えられる。PbOの平均粒径は、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0051】
ステップ104における予備成形体の作製に際しても、化学量論組成の粉末とPbOとの混合粉末の成形圧力は、500kg/cm以上であることが好ましい。図12は、PbO過剰量がモル比で0.5の混合粉末を常圧近傍の酸素雰囲気中で900℃、1時間焼結したものの成形荷重に対する焼結体の相対密度及びPbO量を測定した一実験結果である。図12の結果から明らかなように、500kg/cm以上の成形荷重によって、相対密度が90%以上で、PbO量の変化が殆ど見られず均質な過剰PbO含有PZTを得ることができる。
【0052】
更に、ステップ105の焼結工程における焼結時間について検討した。図13は、1200℃で焼結した予備焼結体の粉末とPbOの混合粉末を予備成形したときの焼結時間に対するPbO過剰PZTの相対密度及びPbO量を測定した一実験結果である。実験では、PbO過剰量がモル比で0.5の混合粉末を1ton/cmで予備成形した後、常圧近傍の酸素雰囲気中900℃で0.5時間から30時間焼結した。図13の結果から明らかなように、0.5時間以上3時間以下の範囲では、相対密度及びPbO濃度が一定であり大きな変化が見られないことがわかる。
【0053】
以上のようにして、PbO過剰のPZT焼結体を製造することができる。また、このPZT焼結体を所定形状に切り出し、図示しないバッキングプレートに接合することによって、スパッタリングターゲットが構成される。
【0054】
本実施形態によれば、焼結工程を二段階に分けることにより、図8(C)及び図9に示したように、化学量論組成のPZTからなる第1の結晶相P1と、この第1の結晶相P1中に分布しているPbOからなる第2の結晶相P2との均一な2相混合組織構造を有し、かつ、相対密度の高い、過剰PbOを含有するPZT焼結体を得ることができる。
【0055】
図14は、化学量論組成の原料粉末を予備成形し、1200℃で予備焼結(仮焼)、粉砕後、過剰分PbOを加えPb1.50Zr0.52Ti0.483.50 となるように混合した後に、1ton/cmで成形し、900℃、1時間保持の条件で焼結して得られたPZT焼結体の外観写真である。また、図9は、当該PZT焼結体を研磨し、アニール処理したときのSEM写真である。本実施形態によれば、PbZrO、PbTiO、ZrO、TiO、PbOその他の中間化合物が介在する3相以上の混合組織化を防止できる。これにより、当該PZT焼結体をスパッタリングターゲットとして用いて成膜を行った際の電流・電圧の変動、パーティクルの発生及びターゲットの割れ等の不具合の発生を防止することができる。
【0056】
また、上述のようにして作製されたPZT焼結体を切削盤、研削盤を用いて機械加工することでスパッタリングターゲット用板を作製し、これをバッキングプレートへボンディングした。この際、従来の低密度(80%以下)のPZT焼結体では、10個中3個の頻度でターゲットの割れが発生していたのに対し、本実施形態のPZT焼結体では、割れの発生頻度は10個中0個であった。
【0057】
なお、以上の説明では、化学量論組成のPZT予備焼結体の作製、及び、PbO過剰のPZT焼結体の作製に、混合粉末の加圧成形工程と焼結工程を別々の工程で行ったが、これら加圧成形と焼結を同時に行うホットプレス法(真空高温高圧焼結法)を採用してもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0059】
(実施例1)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1200℃で1.0時間予備焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が2.00:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、900℃で0.5時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0060】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果98.0%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0061】
(実施例2)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1100℃で1.0時間予備焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が2.00:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、850℃で0.5時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0062】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果97.2%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0063】
(実施例3)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1100℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.80:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、850℃で0.5時間燒結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0064】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果97.2%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
(実施例4)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成型体をAl坩堝に入れ、大気中、900℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.80:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、大気中、850℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0065】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果95.3%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0066】
(実施例5)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1200℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.50:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、900℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0067】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果96.2%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0068】
(実施例6)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1200℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.30:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、大気中、850℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果95.1%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0069】
(実施例7)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、酸素雰囲気中、1100℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.30:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、900℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0070】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果97.2%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0071】
(実施例8)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、1200℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.30:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。この混合粉末を850℃で1.0時間、真空高温高圧焼結(HP)し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0072】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果97.5%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相のピークのみが確認できた。
【0073】
(比較例1)
PbO、ZrO、TiOの各々の原料粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.00:0.40:0.60の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をAl坩堝に入れ、800℃で1.0時間焼結し、化学量論組成のPZT予備焼結体を得た。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、上記モル比が1.50:0.52:0.48となるようにPbO粉末を加えて混合した。得られた混合粉末を2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、大気中、700℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0074】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果74.5%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相の他に多くの異相を示すピークが確認できた。
【0075】
(比較例2)
PbO、ZrO、TiOの粉末をモル比Pb:Zr:Ti=1.30:0.52:0.48の割合で混合し、その混合粉末を1000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形して予備成形体を得た。この予備成形体をMgO坩堝に入れ、900℃で1.0時間焼結した。これを平均粒径5μmにまで粉砕し、2000kg/cmの圧力で静水圧加圧成形した。この成形体をMgO板上に置き、酸素雰囲気中、950℃で1.0時間焼結し、PbO過剰PZT焼結体を得た。
【0076】
このPbO過剰PZT焼結体の相対密度を測定した結果70.0%であった。また、一部を粉末とし、粉末XRD測定をした結果、PZTとPbOの2相の他に多くの異相を示すピークが確認できた。
【0077】
上記の各実施例のうち、実施例1〜8は本発明の実施形態に記載の方法でPbO過剰PZT焼結体を作製したものであり、比較例1はより低い温度で焼結したものである。また、比較例2は従来の作製方法、即ち原料混合の段階から過剰PbOを添加したものである。
【0078】
図15に本実施例で作製したPbO過剰PZT焼結体の相対密度及、XRDパターン、及びその焼結体からターゲット(TG)を作製し、スパッタリングした際の許容電力負荷及び異常放電の様子を示す。実施例1〜8に記載の方法で作製したPbO過剰PZT焼結体は高い相対密度、電気的耐久性、物理的強度を有している。比較例1、2に記載の方法で作製したPbO過剰PZT焼結体は相対密度が低く、通常の電力パワー密度(21.2W/cm)程度しか負荷することができず、それ以上負荷した場合、異状放電が生じてターゲットが破損した。
【0079】
一方、実施例7に記載の方法で作製したPZT焼結体(相対密度97%)と、比較例2に記載の方法で作成したPZT焼結体(相対密度70%)のそれぞれの機械的強度を比較検討した。実験では、各焼結体のターゲットへの加工時とバッキングプレートへのボンディング時における焼結体の不良(焼結体の割れ発生)枚数を調べた。その結果を図16に示す。実験の結果、比較例2に係る焼結体については、10枚中3枚について不良が発生し、実施例7に係る焼結体については、まったく不良が発生しなかった。これは、両焼結体の相対密度の差に起因すると考えられ、実施例7に係る焼結体については、比較例2に係る焼結体に比べて、曲げ強度が2倍程度高いことが確認された(図16)。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】発明の実施形態によるチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)焼結体の製造方法を説明する工程フロー図である。
【図2】本発明の実施形態において説明する過剰PbOのPZT焼結体のPbO仕込量に対するPbO減少量を測定した一実験結果である。
【図3】本発明の実施形態において説明する焼結温度に対する化学量論組成のPZTの相対密度及びPbO量の変化を示す一実験結果である。
【図4】本発明の実施形態において説明する化学量論組成PZTの焼結温度による相対密度の変化を測定した一実験結果である。
【図5】本発明の実施形態において説明する化学量論組成PZTの成形荷重に対するPbO量の変化を測定した一実験結果である。
【図6】本発明の実施形態において説明するPbO過剰PZT焼結体の焼結温度に対するPbO量及び相対密度の変化をそれぞれ示す一実験結果である。
【図7】本発明の実施形態において説明するPbO過剰PZT焼結体の大気雰囲気中及び酸素雰囲気中での焼結温度に対する相対密度の変化を測定した一実験結果である。
【図8】本発明の実施形態において説明するPbO過剰PZT焼結体の焼結状態を模式的に示す図である。
【図9】本発明に係るPbO過剰PZT焼結体サンプルのSEM写真である。
【図10】本発明の実施形態において説明する化学量論組成のPZTの平均粒径に対する焼結体の相対密度及びPbO量の変化を調べた結果を示す一実験結果である。
【図11】本発明の実施形態において説明するPbO粉末の平均粒径に対する焼結体の相対密度及びPbO量の変化を示す一実験結果である。
【図12】本発明の実施形態において説明する成形荷重に対する焼結体の相対密度及びPbO量を測定した一実験結果である。
【図13】1200℃で焼結した予備焼結体の粉末とPbOの混合粉末を予備成形したときの焼結時間に対するPbO過剰PZTの相対密度及びPbO量を測定した一実験結果である。
【図14】本発明に係るPbO過剰PZT焼結体サンプルの外観写真である。
【図15】本発明の実施例の結果を示す図表である。
【図16】本発明の他の実施例の結果を示す図表である。
【符号の説明】
【0081】
P1・・・第1の結晶相、P2・・・第2の結晶相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学量論組成になるようにPbO、ZrO、TiOを混合したチタン酸ジルコン酸鉛の原料粉末を900℃以上1200℃以下の温度で焼結した予備焼結体を作製し、
前記予備焼結体を粉砕し、
前記粉砕した予備焼結体の粉末にPbO粉末を添加して鉛過剰の混合粉末を作製し、
前記鉛過剰の混合粉末を前記予備焼結体の焼結温度よりも低い温度で焼結する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記予備焼結体を作製する工程は、
前記原料粉末を500kg/cm以上の加圧力で成形する工程を有する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記予備焼結体を作製する工程は、前記原料粉末を酸化性雰囲気で焼結する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記予備焼結体を粉砕する工程は、前記予備焼結体を平均粒径5.0μm以下に粉砕する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記鉛過剰の混合粉末を作製する工程は、前記粉砕した予備焼結体の粉末に平均粒径5.0μm以下のPbO粉末を添加する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記鉛過剰の混合粉末を焼結する工程は、
前記混合粉末を500kg/cm以上の加圧力で成形し、
前記混合粉末を850℃以上1000℃以下の温度で焼結する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法であって、
前記混合粉末を焼結する工程は、前記混合粉末を酸化性雰囲気で焼結する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体の製造方法。
【請求項8】
化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛でなる第1の結晶相と、
前記第1の結晶相中に分布している鉛酸化物でなる第2の結晶相と
を具備するチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体。
【請求項9】
請求項8に記載のチタン酸ジルコン酸鉛系焼結体であって、
前記チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体は、95%以上の相対密度を有する
チタン酸ジルコン酸鉛系焼結体。
【請求項10】
化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛でなる第1の結晶相と、
前記第1の結晶相中に分布している鉛酸化物でなる第2の結晶相と
を具備するチタン酸ジルコン酸鉛系スパッタリングターゲット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−155171(P2009−155171A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336437(P2007−336437)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000192372)アルバックマテリアル株式会社 (21)
【Fターム(参考)】