説明

チップレットを備えるフレキシブルOLEDディスプレイ

フレキシブル放射ディスプレイデバイスは、デバイス基板よりも薄い接着層と、接着層に接着される複数のチップレットであって、接着層の少なくとも一部がチップレットの一部の上に延在する、複数のチップレットと、接着層上に形成されるOLEDであって、接着層よりも薄い、OLEDと、OLED上に配置され、デバイス基板に接着される、接着層よりも厚いカバーとを有し、チップレット及びOLEDはデバイスの中立応力面に、又はその近くにあり、デバイスの曲げ半径は2cm未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス基板上に分散配置される別々の基板を有する独立した制御素子を用いるフレキシブル発光ディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイデバイスは、コンピューティングデバイスと共に、そしてポータブルデバイスにおいて、そしてテレビのような娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。各ピクセルは、各画素を表すために、通常赤色光、緑色光、及び青色光を放射する、一般的にサブピクセルと呼ばれるいくつかの異なる色の発光素子を組み込んでいる。種々のフラットパネルディスプレイ技術、たとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び発光ダイオードディスプレイが知られている。
【0003】
発光素子を形成する発光材料の薄膜を組み込んだ発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。Tang他に対して2002年5月7日に発行された特許文献1は、有機LED(OLED)発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示している。代替的には、無機材料を用いることができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。有機材料又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷の注入、輸送、又は遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は基板上において電極間に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料に電流が通電するときに、サブピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性に依存する。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)、又は封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0004】
LEDデバイスから光を放射するために、少なくとも一方の電極は透明である。透明電極は通常、酸化インジウムスズ(ITO)のような透明な導電性酸化物から形成される。しかしながら、透明な導電性酸化物は脆弱であり、応力が加えられるときにクラックが入るので、フレキシブルデバイスの場合に特に問題となる。クラックは電極の導電率を下げ、発光材料を劣化させる可能性がある。
【0005】
フラットパネルディスプレイデバイス内のピクセルを制御するための2つの異なる方法、すなわち、アクティブマトリックス制御及びパッシブマトリックス制御が一般的に知られている。アクティブマトリックスでは、制御素子はフラットパネル基板の上に分散配置される。通常、各サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。たとえば、簡単な従来技術のアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及びパワートランジスタ)と、サブピクセルの輝度を指定する電荷を蓄えるための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を用いる。
【0006】
アクティブマトリックス制御素子を形成する1つの一般的な従来技術の方法は通常、シリコン等の半導体材料の薄膜をガラス基板上に堆積させ、次いでフォトリソグラフィ工程を通じて半導体材料をトランジスタ及びキャパシタに形成する。薄膜シリコンは、アモルファス又は多結晶のいずれかとすることができる。アモルファスシリコン又は多結晶シリコンから作製される薄膜トランジスタ(TFT)は、結晶シリコンウェハーにおいて作製される従来のトランジスタと比較して相対的に大きく、かつ性能が低い。さらに、そのような薄膜デバイスは通常、ガラス基板全体にわたって局所的な又は広域の不均一性を示し、結果として、そのような材料を用いるディスプレイの電気性能及び外観に不均一性が生じる。フレキシブルへの応用例では、相対的に大きな薄膜構成材料は大きな応力を受けやすく、その応力が薄膜構成材料の性能を変更し、劣化させる。
【0007】
Matsumura他は、特許文献2において、LCDディスプレイの駆動に用いられる結晶シリコン基板を記述している。その出願は、第1の半導体基板から作製されるピクセル制御デバイスを第2の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移送し、固定するための方法を記述している。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示されている。ピクセル制御デバイスは、約600ミクロンの厚みを有する。研磨技法を用いて、その厚みを約200ミクロンまで低減することができる。しかしながら、この厚みでも依然として厚すぎるので、有用な曲げ半径が2cm未満であるフレキシブル基板において、そのようなピクセル制御デバイスを実効的に用いることはできない。
【0008】
基板上に堆積された材料内の応力を低減するための技法が、非特許文献1において記述される。この論文は、フレキシブル基板上の無機材料が少なくとも3つの破損モード:クラック、スリップ及び層間剥離を有することを実証する。記述され、試験された材料は、ディスプレイ内の発光構成要素を制御することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,384,529号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0055864号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Park他著「Theoretical and Experiment Studies of Bending of Inorganic Electronic Materials on Plastic Substrates」(Advanced Functional Materials 2008, 18, 2673-2684)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえ、チップレットを組み込んだ改善されたフレキシブルな放射デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、フレキシブル放射ディスプレイデバイスであって、
a)表示エリアを有する基板と、
b)前記基板の表面上に形成される、該基板よりも薄い接着層と、
c)前記接着層に接着される、2ミクロンよりも厚く、200ミクロンよりも薄い厚みを有する複数のチップレットであって、各チップレットは少なくとも1つの接続パッドを有し、該複数のチップレットは前記表示エリア内に分散配置され、前記接着層の少なくとも一部は該チップレットの一部の上に延在する、複数のチップレットと、
d)前記表示エリア内の前記接着層上に形成される複数のボトム電極であって、各ボトム電極は、1つのチップレットの接続パッドに電気的に接続され、それにより前記チップレットは該ボトム電極のそれぞれに電流を与える、複数のボトム電極と、
e)前記ボトム電極上に形成される少なくとも1つの発光材料層と、
f)前記少なくとも1つの材料層上に形成されるトップ電極であって、前記ボトム電極、前記少なくとも1つの材料層、及び該トップ電極は合わせても、前記接着層よりも薄い、トップ電極と、
g)前記トップ電極上に配置され、前記基板に接着される、前記接着層よりも厚いカバーとを備え、
h)前記チップレット、前記ボトム電極、前記少なくとも1つの材料層、及び前記トップ電極は、前記層a〜gによって形成される構造の中立応力面に、又はその近くにあり、前記フレキシブル放射ディスプレイデバイスの曲げ半径は2cm未満である、フレキシブル放射ディスプレイデバイスが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、曲げ半径を小さくしたフレキシブル発光ダイオードデバイスのための改善された構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による、デバイスの部分断面図である。
【図2】本発明の代替の実施形態による、デバイスの平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による、曲面を成すデバイスの立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(断面図)及び図2(平面図)を参照すると、本発明の一実施形態において、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が、表示エリア21を有する基板10と、基板10よりも薄く、基板10の表面上に形成される接着層18とを備える。2ミクロンよりも厚く、200ミクロンよりも薄い厚みTを有する複数のチップレット20が、接着層18に接着され、各チップレット20は少なくとも1つの接続パッド24を有し、複数のチップレット20が表示エリア21内に分散配置され、接着層18の少なくとも一部18cがチップレット20上に延在する。複数のボトム電極12が表示エリア21内の接着層18上に形成され、各ボトム電極12は1つのチップレット20の接続パッド24に電気的に接続される。少なくとも1つの発光材料層14がボトム電極12上に形成され、少なくとも1つの発光材料層14上にトップ電極16が形成される。電極12、16及び少なくとも1つの発光材料層14は、接着層18よりも薄い発光ダイオード15、たとえば、有機発光ダイオード(OLED)を形成する。チップレット20は、接続パッド24を通してLED15のボトム電極12に電流を与え、少なくとも1つの発光材料層14を駆動して、光を放射する。チップレット20は、バスワイヤ28(図2)によって、チップレット20に接続される外部コントローラー26によって制御することができる。チップレット20の上側部分、接続パッド24からボトム電極12への電気的接続、及びLED15は、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の動作構成材料を形成する。
【0016】
接着層18よりも厚いカバー30がトップ電極16上に配置され、基板10に接着される。チップレット20の少なくとも一部、ボトム電極12、少なくとも1つの発光材料層14、及びトップ電極16が、構成要素10、18、20、12、14、16、30によって形成される構造の中立応力面に、又はその近くに配置され、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の曲げ半径は2cm未満である。基板及びカバーはフレキシブルにすることができる。本明細書において用いられるときに、用語「フレキシブル」は、クラック、層間剥離又は機械的な破損を生じることなく、2cm以下の曲げ半径を有することを指している。別の層よりもフレキシブルである層は、該別の層よりも小さな弾性係数を有する。ボトム電極12をパターニングして、図2に示される、個々に制御可能な発光ダイオードピクセル15を形成することができる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、トップ電極16と、トップ電極16上に形成される任意の層との間にバッファー層40を用いることができる。チップレット20は最大で200ミクロン厚にすることができるが、チップレット20の厚みは50ミクロン未満であることが好ましく、20ミクロン未満であることがさらに好ましく、12ミクロン未満、たとえば、8ミクロン〜12ミクロンであることが最も好ましい。薄いチップレットほど、大きなフレキシビリティを与える。しかしながら、同時に、チップレットは、チップレット24内に集積回路22を構成するだけの十分な厚みを有しなくてはならない。
【0018】
中立応力面は、構成要素スタックが曲げられるときに応力を受けない平坦な構成要素のスタック内にある面である。平坦な構成要素のスタックは、その隣接する表面にわたって接着される。たとえば、基板に接着されるカバーが2つの平坦な構成要素のスタックを形成する。カバーの外側表面が凹形の形状を形成し、基板の外側表面が凸形の形状を形成するように(上面及び底面)、スタックが曲げられるとき、そのカバーは、凹形の曲面の方向に対して直交する横方向圧縮力を受け、基板は凸形の曲面の方向に対して直交する横方向引張力を受ける。言い換えると、基板が引っ張られるときに、カバーは圧縮される。その圧縮力は、カバーの外側表面において最も大きく、外側表面から離れるのに応じて0まで小さくなり、その後、その力は引張力になり、基板の外側表面まで増加する。そのスタックが反対方向に曲げられる場合には、逆のことが生じる。力が0である構成要素スタック内の点は、中立応力面を形成する。中立応力面は必ずしも平坦ではなく、その位置はスタック内の他の構成要素に依存することに留意されたい。しかしながら、曲げの方向又は量にかかわらず、通常、中立応力面は平坦な構成要素のスタック内の同じ場所を占めることになる。デバイスの曲げ半径は、デバイスが曲げられても動作し続けることができる最小曲率半径である。
【0019】
LED15の中に水蒸気が透過するのを防ぐか又は低減する封入層を用いることができる。たとえば、本発明の一実施形態において、接着層18の上に、かつボトム電極12の下に、封入層42を形成することができる。トップ電極16の上に、かつバッファー層40(存在する場合)及びカバー30の下に封入層44を形成することができる。チップレット20内の回路22は、付加的な接続パッド24を通して与えられる、コントローラー26からの外部信号に応答して、LED15を駆動し、光を放射することができる。
【0020】
代替の実施形態では、封入層42及び44はそれぞれ、基板10及び30の内側表面上に直に取り付けることができる。
【0021】
本発明は、トップエミッター、ボトムエミッターのいずれかの実施形態において用いることができる。ボトムエミッター実施形態では、基板10及びボトム電極12が透明であり、光2は基板10を通して放射される。トップエミッター実施形態では、カバー30及びトップ電極12が透明であり、光3はカバー30を通して放射される。代替の実施形態では、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1は、上面発光及び底面発光の両方である。カバー30は、トップ電極16上に直に形成することができる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、機械的にロバストで、かつフレキシブルな実施態様を提供するために、基板10及びカバー30は接着層18及びオプションのバッファー層40よりも著しく厚い。接着層18及びオプションのバッファー層40は同様に、電極12、16及び材料層14よりも著しく厚い。「著しく厚い」は、その厚みが少なくとも2倍だけ厚く、好ましくは5倍だけ厚いことを意味する。いくつかの実施形態において、用語「著しく厚い」は、10倍以上厚いことを意味することができる。たとえば、本発明の種々の実施形態において、基板10及びカバー30は、100ミクロン厚、200ミクロン厚、500ミクロン厚、1mm厚、又は2mm厚にすることができる。接着層18及びバッファー層40は、2ミクロン厚、10ミクロン厚、20ミクロン厚又は50ミクロン厚以上にすることができる。電極12、16及び発光層14は通常、2ミクロン厚未満であり、1ミクロン厚未満であることが好ましい。
【0023】
中立応力面は、それぞれが個々の応力係数を有する複数の層からなる接着されたスタック内の理論的な面である。Kim他によってScience(vol. 320, 25 April 2008, p.507)において記述されるように、中立応力面の位置は、材料及び層厚を選択することによって制御することができる。
【0024】
デバイス厚は、カバー及び基板を含む、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の全体の厚みと見なされる。中立応力面は概ね中立域の中心に位置し、中立域は、中立応力面のいずれかの側から延在する。用語「中立応力面に、又はその近くに(ある)」は中立域を指しており、「中立応力面に、又はその近くに」ある層は中立域内にある。中立域は、デバイス厚、又は200ミクロンのいずれかの20%のうちの大きい方の全厚を有する。たとえば、ε<1%の破損歪み限界を有するディスプレイはSi、すなわち、その上に集積回路チップが構成され、約ε=0.7%の歪み限界を有する材料を含み、そのディスプレイは、R=10mmの曲率半径で曲がらなければならない。一般的に、非常に簡単な近似の場合、デバイスの中立域厚tはt=2・e・Rと定義される。ただし、Rは、そのディスプレイのための望まれる最大曲げ半径である。それゆえ、一例のディスプレイは、200μmの中立域厚tを有する(t=2・1%・10mm)。本発明の一実施形態では、中立応力面は、トップ電極16及び少なくとも1つの材料層14が接触する場所(構成要素17)に位置する。
【0025】
フレキシブル基板上の無機構成要素は、クラック、スリップ又は層間剥離に起因する破損を生じる。チップレット20を接着層18内に配置し、接着層18の少なくとも一部18cがチップレット20の一部の上に延在することによって、スリップ及び層間剥離の問題は低減される。詳細には、接着層18(すなわち、18b)内にチップレット20を有することによって、スリップの問題が低減され、チップレット20が接着層18の表面に沿って摺動できないようになる。チップレット20の少なくとも一部の上に延在する接着層の部分18cを有することによって、層間剥離の問題が低減され、チップレット20は、接着層18から容易に剥離されないようになる。チップレット20の少なくとも一部、好ましくは上側部分(たとえば、接続パッド24)、さらに好ましくは表面を中立応力面に、又はその近くに配置することによって、クラックが低減される。接続パッド24及び配線接続が配置され、接続障害を最小限に抑えることが望ましいので、チップレット20の上側表面が特に対象となる。
【0026】
本発明の一実施形態では、フレキシブル基板10は、接着層18よりも小さな弾性係数を有する。本発明の別の実施形態では、カバー30はバッファー層40よりも小さな弾性係数を有する。本発明のさらに別の実施形態では、接着層18は、チップレット20よりも小さな弾性係数を有する。基板10及びカバー30が接着層18及びオプションのバッファー層40よりも小さな弾性係数を有することを要求することによって、接着層18及びオプションのバッファー層40において応力が低減される。接着層18がチップレット20よりも小さな弾性係数を有し、さらには、基板10が接着層18よりも小さな弾性係数を有することを要求することによって、チップレット20において、応力、クラック、並びにスリップ及び層間剥離が低減される。チップレット20は光エミッターを制御するのに欠かせない構成要素であるので、チップレット20(及びチップレットへの接続)において応力を低減することによって、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の応力下での性能が改善されるであろう。同様に、オプションのバッファー層40がカバー30よりも小さな弾性係数を有することを要求することによって、薄い電極12、16及び1つ又は複数の材料層14において応力が低減される。これらの層が破損すると、ピクセルにおいて、又はフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の全体において破損が生じる可能性があるので、バッファー層40において応力を低減することによって、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の応力下での性能が改善されるであろう。
【0027】
図1に示される構造の応力のモデル化は、例示される構造を有するOLEDデバイスが、中立域内の所与の臨界歪み限界を超えることなく、より小さな曲率半径で曲がることができることを実証する。
【0028】
本発明の実施形態において、1つ又は複数の材料層14の下、又は上、又はその両方に封入層が形成される。既知のように、有機発光材料は水分によって悪影響を及ぼされる。それゆえ、1つ又は複数の発光層14への水分の透過率を小さくする封入層を使用することによって、ディスプレイの寿命が改善される。そのような封入層は通常、無機薄膜であり、非常に脆弱である。これらの封入層は、基板10及びカバー30において頻繁に用いられる。しかしながら、基板10及びカバー30は、本発明の一実施形態によれば、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が曲げられるときに最も大きな応力を受け、それゆえ、基板10及びカバー30内の任意の無機材料層は破損する可能性が高い。それゆえ、本発明の一実施形態では、封入層42及び44によってそれぞれ示されるように、接着層18上に、又はトップ電極16上に、無機封入層が設けられる。これらの位置では、封入層が受ける応力は小さく、それゆえ、屈曲応力に耐える可能性が高い。接着層18上に配置される封入層42は、スパッタリング、化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって設けることができる。無機材料(二酸化シリコン等)をスパッタリングすることは或る程度の保護を与え、一方、化学気相成長は改善された性能を与える。しかしながら、原子層堆積は、水分透過に対して最も良好な保護を与える。封入層42は、層内に形成されると、をフォトリソグラフィ技法によってパターニングして、ビア19を形成することができ、該ビアを通して、ボトム電極をチップレット接続パッド24に接続することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、外部コントローラー26からチップレットに信号(たとえば、電源、グランド、データ及び選択信号)を与えるためにチップレット接続パッド24に接続されるワイヤ28の1つ又は複数の層が接着層18上に形成される。好ましい実施形態では、ワイヤ28の単一の層が用いられる。ワイヤ28の導電率は応力によって影響を及ぼされる可能性があるので、接着層18の上にワイヤ28を設けることによって、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が曲げられるときに、ワイヤが受ける応力を低減する。ワイヤ28上にオプションの封入層42を形成することができる。
【0030】
チップレット20は基本的に接着層18内に埋め込まれ、チップレット20にかかる応力を低減する。しかしながら、チップレット20も、製造工程の一部として、フレキシブル基板10に接着される。第1の接着層18aを用いて、チップレット20をフレキシブル基板10に接着することができ、その後、第2の層18bを設けて、チップレット20を接着層18の中に埋め込むことができる。接着層18の一部18cがチップレット20の少なくとも一部の上に配置される。
【0031】
フレキシブル基板10、接着層18、オプションのバッファー層40及びフレキシブルカバー30の材料及び厚みを注意深く選択し、適合させることによって、チップレット20の少なくとも一部、たとえば、接続パッド24が配置される表面、オプションの封入層42、ボトム電極12、少なくとも1つの発光材料層14、トップ電極16及びオプションの封入層44を、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面に、又はその近くに配置することができる。1つの簡単な実施形態では、フレキシブルカバー30及び基板10は同一の、又は同じ材料を含み、それぞれ接着層18及びバッファー層40よりも5倍だけ厚い。たとえば、カバー30及び基板10はそれぞれ100ミクロン厚とすることができ、一方、接着層18及びバッファー層40はそれぞれ20ミクロン厚とすることができる。チップレット20は5ミクロン〜18ミクロン厚とすることができ、LED15は2ミクロン厚未満である。それゆえ、チップレット20及びLED15は20ミクロン厚未満であり、一方、その構造の残りの部分は240ミクロン厚である。それゆえ、その性能が最も不可欠である、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の無機構成要素は、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1そのものの厚みの10分の1未満である。それゆえ、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が、たとえば、巻かれることによって応力を加えられるときに、不可欠な無機構成要素が受ける応力を大幅に削減することができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、フレキシブル基板10及びカバー30は類似の、又は同じ材料、たとえば、PET又はPENのようなポリマーを含む。「類似の、又は同じ材料」を含むことは、それらの層が同じタイプの材料を含み、類似の機械的特性を有することを意味する。付加的な無機層を設けて、基板10及びカバー30の剛性を高める材料に対する水蒸気透過率を低減することもできる。20ミクロン未満の厚みを有するチップレットと共に、接着層18のために硬化性ポリマー(たとえば、ベンゾシクロブテン)を、バッファー層40のために類似の材料を用いることによって、2cm未満の曲げ半径を有するフレキシブル放射ディスプレイデバイス1を形成することができる。この実施形態では、基板10及びカバー30は、同じ厚みを有することができ、接着層18及びバッファー層40は同じ厚みを有することができる。「同じ厚みを有する」は、それらの層が同じ値の10%以内の厚みを有することを意味する。
【0033】
1つのそのようなデバイスは、清浄な200ミクロン厚PET基板を用いることによって構成することができる。オプションで、ALD又はCVDを用いて、基板上に、酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛の薄い(1ミクロン未満の)層を堆積することができる。ベンゾシクロブテン(BCB)の2ミクロンの層を堆積することができ、BCB上にチップレットのアレイを印刷することができ、第1の層及びチップレット上にBCBの20ミクロンの下層を堆積することができる。BCB上に、酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛の薄い、1ミクロン厚未満のオプションの無機コーティングを堆積することができる。フォトリソグラフィ法を用いて、BCB及びオプションの酸化物コーティングにビアを開けて、チップレットの上に接続パッドを露出させることができる。BCB層又はオプションの酸化物のいずれかの表面上に金属を堆積し、標準的なフォトリソグラフィ法を用いてワイヤをパターニングすることによって、アクティブマトリックス制御システムを形成するためにチップレット上の接続パッドに接続される配線層を形成することができる。それらのワイヤ上に薄い(約1ミクロンの)平坦化層をコーティングすることができる。その後、フォトリソグラフィ法を用いて、ワイヤへのビアを開け、ITOを堆積し、パターニングして、透明電極を形成することができる。有機材料及び反射性金属電極を堆積して、OLED構造を形成することができる。酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛の第3のオプションの無機コーティングを被着することができ、その後、トップ電極及び無機層(存在する場合)上にBCBの22ミクロンの上層を被着することができる。その後、200ミクロン厚のPETカバーをPET基板に接着することができる。オプションで、PETカバーは、OLEDに面する側に、ALD又はCVDを用いて堆積される酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛の薄い(1ミクロン未満の)層を有することができる。基板及びカバーの厚みは一致させるべきであり、BCB上層及び下層の厚みも同様である。代替の実施形態では、PETカバー及び基板は、他の共通の材料を含むことができ、他の共通の厚みを有することができる。詳細には、基板及びカバー材料は、市販の多層の耐湿性材料を含むことができる。層厚が一致する限り、BCBと同じように有用な接着性、硬化性及び透明性を有する代替の材料を用いることができる。カバー及び基板は材料及び厚みに関して一致し、かつBCB上層及び下層は材料及び厚みに関して一致するので、中立域は、チップレットの上端、配線層、電極及び有機層、並びに、存在する場合には第2及び第3の無機層を含む。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態では、基板10又はカバー30のいずれか一方を金属薄膜、たとえば、ステンレス鋼とすることができる。金属薄膜は、水の透過に対して不浸透性であることが知られており、不透明でもある。それゆえ、金属薄膜が、たとえば、基板10として用いられる場合には、カバー30は、異なる透明な材料を含まなければならない。この場合、フレキシブル放射ディスプレイデバイスの構造は、動作構成材料について対称ではない。それゆえ、基板10及びカバー30の弾性係数は異なるので、それらの厚みは同じではない場合があり、それゆえ、中立応力面の位置は基板10の外側表面とカバー30の外側表面との間の中間にはない。同様に、接着層18及びバッファー層40において用いられる材料が異なる可能性があり、それゆえ、2つの層の厚みは異なる可能性がある。さらに、バッファー層40又は接着層18のいずれかの厚みを調整して、基板10及びカバー30の材料又は厚みの差を補償することができ、動作構成材料の場所に、又はその近くにフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面に、又はその近くに配置することができる。他の実施形態では、中立応力面の位置を変更することもできる。そのような場合には、補償としてバッファー層40又は接着層18の厚みが変わる。
【0035】
50ミクロン厚金属箔基板を用いることによって、非対称デバイスを構成することができる。ベンゾシクロブテン(BCB)の2ミクロン層が堆積され、BCB上にチップレットのアレイを印刷することができ、第1の層及びチップレット上にBCBの20ミクロンの下層を堆積することができる。フォトリソグラフィ法を用いて、BCB内にビアを開けて、チップレットの上端に接続パッドを露出させることができる。表面、すなわち、いずれかのBCB層上に金属を堆積し、標準的なフォトリソグラフィ法を用いてワイヤをパターニングすることによって、アクティブマトリックス制御システムを形成するためにチップレット上の接続パッドに接続される配線層を形成することができる。薄い(約1ミクロンの)平坦化層をワイヤ上にコーティングすることができる。その後、フォトリソグラフィ法を用いて、ワイヤへのビアを開けることができ、ITOを堆積し、パターニングして、透明電極を形成することができる。有機材料及び反射性金属電極を堆積して、OLED構造を形成することができる。酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛のオプションの無機コーティングを被着し、その後、トップ電極及び無機層(存在する場合)上に低い弾性率の接着剤の30ミクロンの上層を被着することができる。その後、約275ミクロン厚のPETカバーを金属基板に接着することができる。PETカバーは、オプションで、OLEDに面する側に、ALD又はCVDを用いて堆積される酸化アルミニウム、二酸化シリコン又は酸化亜鉛の薄い(1ミクロン未満の)層を有することができる。代替の実施形態では、PETカバー及び金属基板は、他の共通の材料を含み、他の共通の厚みを有することができる。詳細には、基板及びカバー材料は市販の多層の耐湿性材料を含むことができる。BCBと同じように有用な接着性、硬化性及び透明性を有する代替の材料を用いることができる。
【0036】
この例では、カバー及び基板は材料及び厚みに関して一致しないが、中立域がチップレットの上端、配線層、電極及び有機層、並びに、存在する場合には第2及び第3の無機層を含むように、その材料及び厚みが選択される。一番上に第1の層があるn個の層を有する多層スタックにおいて、中立域の位置は以下の式によって与えられる。
【0037】
【数1】

【0038】
ただし、中立域bの位置はスタックの上から測定され、第iの層は高さhi及び弾性率Eiを有する。ステンレス鋼は約78Gpaの弾性係数を有し、一方、PET封入カバーは約4GPaの弾性係数を有する。BCBは約4GPaの弾性係数を有し、一方、低弾性率接着剤は、1GPaの弾性係数を有する。それゆえ、概ねBCB層と上側接着層との間に中立域の中心を配置するために、式(1)によって定義されるように、PET封入カバーのために275μmの厚みが必要とされる。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態では(図3を参照)、チップレット20は相対的に長い側面20a及び相対的に短い側面20bを有し、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1は好ましい軸4を有し、その軸を中心にして、巻物のように巻かれる。この実施形態によれば、チップレットの長い方の側面20aは好ましいフレキシブルデバイス軸4と位置合わせされる。
【0040】
トップエミッター、ボトムエミッターのいずれの構成でも、オプションのカラーフィルターを用いて、少なくとも1つの発光材料層14によって放射される光をフィルタリングすることができる。基板10の少なくとも一部とボトム電極12との間にカラーフィルターを形成することができる。カラーフィルターは基板10の一部の上に直に、又は基板10上に形成される他の層の部分の上に形成することができる。トップエミッター実施形態では、カラーフィルターはカバー上に、又はトップ電極上に直に配置することができる。ディスプレイデバイスでは、複数のチップレット、及び独立して制御される複数のボトム電極12と共に、複数のカラーフィルターを用いて、異なる色のサブピクセルを有する複数のピクセル構成要素を形成することができる。カラーフィルターは、基板上で発光材料がパターニングされない場合に特に有用である。代替的には、ボトム電極に合わせて、基板上で異なる発光材料をパターニングすることができ、各発光材料が異なる色の光を放射して多色ディスプレイを形成する。
【0041】
今日、LCD産業用の「カラーフィルターガラス」を形成し、販売するために、大量生産インフラストラクチャが存在する。これらの製品は、パターニングされた透明導体、一般的にはITOで覆われる、ガラス上にパターニングされたカラーフィルターを含む。本発明の低コストの実施形態は、その上にカラーフィルターガラス及びパターニングされた下側電極が堆積された支持材料が、所望のディスプレイ用途のための十分なフレキシビリティを有するという条件で、放射デバイスのための基板10として、このカラーフィルターガラス及びパターニングされた下側電極を用いて開始する。
【0042】
本発明の1つの方法によれば、フレキシブル放射ディスプレイデバイスは、表示エリアを有する基板を配設するステップと、基板表面上に基板よりも薄い接着層を形成するステップと、2ミクロンよりも厚く、200ミクロンよりも薄い厚みを有する複数のチップレットを接着層に接着するステップであって、各チップレットは1つ又は複数の接続パッドを有し、複数のチップレットが表示エリアにわたって分散配置され、接着層の少なくとも一部はチップレットの上に延在する、接着するステップと、表示エリア内の接着層上に複数のボトム電極を形成するステップであって、各ボトム電極は1つのチップレットの接続パッドに電気的に接続され、それにより、チップレットは各ボトム電極に電流を与える、形成するステップと、ボトム電極上に少なくとも1つの発光材料層を形成するステップと、1つ又は複数の材料層上にトップ電極を形成するステップであって、その電極及び少なくとも1つの発光材料層は合わせても接着層よりも薄い、形成するステップと、トップ電極上に接着層よりも厚いカバーを配置するステップと、カバーを基板に接着するステップによって形成することができ、チップレット、ボトム電極、1つ又は複数の材料層、及びトップ電極は、層a〜gによって形成される構造の中立応力面に、又はその近くにあり、フレキシブル放射ディスプレイデバイスの曲げ半径は2cm未満である。
【0043】
本発明の種々の実施形態において、ボトム電極はワイヤと共通のステップにおいて形成することができ、それにより、製造コストを削減する。1つ又は複数のバスを基板上に形成することができ、バスは、ボトム電極と共通のステップにおいて形成することができるか、又はワイヤと共通のステップにおいて形成することができる。1つ又は複数のバスとボトム電極との間にバス絶縁層を形成することができる。チップレット及び接続パッド上に、かつ1つ又は複数の発光層又はトップ電極下にチップレット絶縁層を形成することができる。バス絶縁層は、チップレット絶縁層と共通のステップにおいて形成することができる。本発明の構成要素を共通のステップにおいて形成することによって、処理ステップ及びコストが削減される。同様に、チップレット上の接続パッドとボトム電極との間に形成される電気導体は、ボトム電極の前に、又はボトム電極の後に、又は最も望ましくは、処理ステップ及びコストを削減するためにボトム電極と同じステップにおいて形成することができる。
【0044】
基板10はフレキシブルガラスを含むことができる。ワイヤ及びトップ電極16又はボトム電極12は、蒸着又はスパッタリングされた金属、たとえば、アルミニウム、銀又は合金から形成することができる。チップレット20は、集積回路産業において十分に確立されている従来の技法を用いて形成することができ、同時係属で、本発明と同じ譲受人に譲渡される米国特許出願公開第12/191,478号において記述される方法を用いて基板10上に配置することができる。
【0045】
チップレットは、ディスプレイ基板とは別に製造され、その後、ディスプレイ基板に取り付けられる。チップレットは、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハーを用いて製造されることが好ましい。各チップレットは、その後、フレキシブル基板に取り付けられる前に分離される。それゆえ、各チップレットの結晶性基部は、チップレットの回路部22がその上に配置されるデバイス基板とは別の基板と見なすことができる。詳細には、独立した基板は、その上にピクセルが形成される基板10とは別であり、マルチチップレットデバイスの独立したチップレット基板の面積は、合わせても、フレキシブル基板10より小さい。チップレットは、たとえば、薄膜アモルファスシリコンデバイス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる能動構成要素よりも、高い性能の能動構成要素を提供する結晶基板を有することができる。チップレットは100μm以下の厚みを有することができることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。これにより、チップレットの一部の上に接着層18の一部18cを形成することが容易になる。
【0046】
チップレット20は半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部は、最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に手に入れることができる。たとえば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に用いることができる。それゆえ、各ピクセルにつき2つのトランジスタのような、ピクセルを駆動するチップレットの回路部を小さく作製することができる。しかしながら、チップレットは、ディスプレイ基板上に組み付けられると、チップレット上に設けられた配線層への電気的接続を作製するための接続パッドも必要とする。接続パッドのサイズは、ディスプレイ基板上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(たとえば、5μm)、及び配線層に対するチップレットの位置合わせ(たとえば、±5μm)に基づいて決められなくてはならない。それゆえ、接続パッドは、たとえば、15μm幅にすることができ、パッド間に5μmの間隔をあけることができる。これは、パッドが一般的には、チップレット20内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きいことを意味する。
【0047】
接続パッド24は一般的に、トランジスタを覆う、チップレット20上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げることができるように、できる限り小さな表面積を有するチップレットを作製することが望ましい。それゆえ、一般的には、トランジスタではなく、接続パッドのサイズ及び数が、チップレットのサイズを制限することになる。
【0048】
本発明はマルチピクセルインフラストラクチャ又はマルチチップレットインフラストラクチャを有するデバイスにおいて用いることができ、チップレットが、各ピクセルをアクティブマトリックス素子として制御する回路部を有するアクティブマトリックス構成で、又はパッシブマトリックスコントローラーとして用いることができる。本発明は、コスト削減及び性能改善が重要であるときに利点を提供する。特に、本発明は、有機又は無機いずれかのアクティブマトリックスLEDデバイスで実施することができ、情報表示デバイスにおいて特に有用である。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、Tang他に対して1988年9月6日に発行された米国特許第4,769,292号及びVan Slyke他に対して1991年10月29日に発行された米国特許第5,061,569号において開示されるような小分子又はポリマーOLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて用いられる。たとえば、多結晶半導体マトリックス内に形成される量子ドットを用いる無機デバイス(たとえば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、及び有機若しくは無機電荷制御層を用いるデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを用いることができる。有機又は無機発光ディスプレイの数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッターアーキテクチャ又はボトムエミッターアーキテクチャのいずれかを有するアクティブマトリックスディスプレイを含む、そのようなデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0049】
T チップレットの厚み
1 フレキシブル放射ディスプレイデバイス
2、3 光線
4 好ましい軸
10 フレキシブル基板
12 ボトム電極
14 発光層(複数可)
15 発光ダイオード
16 トップ電極
17 インターフェース構成要素
18 接着層
18a 接着層部
18b 接着層部
18c 接着層部
19 ビア
20 チップレット
20a チップレットの長い方の側面
20b チップレットの短い方の側面
21 表示エリア
22 回路部
24 接続パッド
26 コントローラー
28 ワイヤ
30 フレキシブルカバー
40 バッファー層
42 封入層
44 封入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル放射ディスプレイデバイスであって、
a)表示エリアを有する基板と、
b)前記基板の表面上に形成される、該基板よりも薄い接着層と、
c)前記接着層に接着される、2ミクロンよりも厚く、200ミクロンよりも薄い厚みを有する複数のチップレットであって、各チップレットは少なくとも1つの接続パッドを有し、該複数のチップレットは前記表示エリア内に分散配置され、前記接着層の少なくとも一部は該チップレットの一部の上に延在する、複数のチップレットと、
d)前記表示エリア内の前記接着層上に形成される複数のボトム電極であって、各ボトム電極は、1つのチップレットの接続パッドに電気的に接続され、それにより前記チップレットは該ボトム電極のそれぞれに電流を与える、複数のボトム電極と、
e)前記ボトム電極上に形成される少なくとも1つの発光材料層と、
f)前記少なくとも1つの発光材料層上に形成されるトップ電極であって、前記ボトム電極、前記少なくとも1つの材料層、及び該トップ電極は合わせても、前記接着層よりも薄い、トップ電極と、
g)前記トップ電極上に配置され、前記基板に接着される、前記接着層よりも厚いカバーとを備え、
h)前記チップレット、前記ボトム電極、前記少なくとも1つの発光材料層、及び前記トップ電極は、前記層a〜gによって形成される構造の中立応力面に、又はその近くにあり、前記フレキシブル放射ディスプレイデバイスの曲げ半径は2cm未満である、フレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記基板及び前記カバーは同じ材料を含む、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記基板及び前記カバーは同じ厚みを有する、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記基板及び前記カバーは異なる材料を含む、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記基板及び前記カバーは異なる厚みを有する、請求項4に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記トップ電極と前記カバーとの間に配置されるバッファー層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記バッファー層及び前記接着層は同じ材料を含む、請求項6に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記バッファー層及び前記接着層は同じ厚みを有する、請求項6に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記バッファー層は前記カバーよりもフレキシブルでない、請求項6に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記バッファー層及び前記接着層は異なる材料を含む、請求項6に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記バッファ層及び前記接着層は異なる厚みを有する、請求項10に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記バッファー層は2ミクロン〜50ミクロンの厚みを有する、請求項6に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記接着層は前記基板よりもフレキシブルでない、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記接着層上、又は該接着層内に形成される封入層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記チップレット及び前記接着層上に形成される封入層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記接続パッドに接続されるワイヤ上に形成される封入層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記接着層は2ミクロン〜50ミクロンの厚みを有する、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記基板は50ミクロン〜500ミクロンの厚みを有するか、又は前記カバーは50ミクロン〜500ミクロンの厚みを有する、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記中立応力面は、前記トップ電極及び前記1つ又は複数の材料層が接触する場所に配置される、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記接着層上に形成される配線層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射ディスプレイデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−518892(P2012−518892A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552064(P2011−552064)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024060
【国際公開番号】WO2010/098992
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】