チップ抵抗器ならびにジャンパーチップ抵抗器およびその製造方法
【課題】本発明は、金電極と銀電極との重なり部分で拡散反応が生じても断線による特性不良を防止することができ、信頼性に優れているチップ抵抗器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】基板11と、前記基板11の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極12と、前記一対の第1上面電極12上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極13と、前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように設けられた抵抗体14とを備え、前記一対の第1上面電極12を金を主成分とする導電体で構成し、かつ前記一対の第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したものである。
【解決手段】基板11と、前記基板11の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極12と、前記一対の第1上面電極12上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極13と、前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように設けられた抵抗体14とを備え、前記一対の第1上面電極12を金を主成分とする導電体で構成し、かつ前記一対の第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ抵抗器ならびに抵抗値が低く高信頼性が要求されるジャンパーチップ抵抗器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のチップ抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図10は従来のチップ抵抗器の断面図を示したもので、この図10において、1はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板1の上面の左右両端部には金を主成分とする一対の第1上面電極2が設けられている。3は前記一対の上面電極2に一部が重なるように前記基板1の上面に設けられた粒状の銀粉からなる第2上面電極である。4は前記一対の第2上面電極3と電気的に接続されるように前記基板1の上面に設けられた厚膜ペーストからなる抵抗体である。5は前記一対の第1上面電極2と一対の第2上面電極3を電気的に接続するように設けられた樹脂銀からなる補助上面電極である。6は前記抵抗体4を覆う樹脂からなる保護層である。7は前記基板1の端面と裏面に前記一対の第1上面電極2と一対の補助上面電極5を電気的に接続するように設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。8は前記一対の第2上面電極3の表面の一部と一対の補助上面電極5の表面および一対の端面電極7の表面に設けられためっき層で、このめっき層8は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平5−205903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のチップ抵抗器においては、焼成前は図11(a)に示すように第1上面電極2と第2上面電極3との接続が確保されているものの、焼成後は図11(b)に示すように金からなる第1上面電極2と銀からなる第2上面電極3との重なり部分において、第2上面電極3の銀成分が第1上面電極2の方向へ拡散するため、第1上面電極2が合金化して第1上面電極2と第2上面電極3が断線することがあった。このため抵抗値に変化が生じて不良品の発生する割合が高くなっていた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、金電極と銀電極との重なり部分で拡散反応が生じても断線による特性不良を防止することができ、信頼性に優れているチップ抵抗器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極と、前記一対の第2上面電極と電気的に接続されるように設けられた抵抗体とを備え、前記一対の第1上面電極と一対の第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この構成によれば、第1上面電極と第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、銀を主成分とする導電体から金を主成分とする導電体への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体に占めるパラジウムの含有比率を5重量%以下としたもので、この構成によれば、高価なパラジウムの使用量を削減できるため、コスト的に有利となるものであり、また、銀電極中のパラジウム含有量が多い場合には銀電極自身の抵抗値が高くなるため、低抵抗値が要求されて銀電極中のパラジウム含有比率を上げられないジャンパーチップ抵抗器等の電子部品に容易に適用できるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、基板と、前記基板の上面に設けられた金レジネートからなる一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極を橋絡するように形成された銀を主成分とする第2上面電極と、前記第2上面電極を覆う保護層とを有し、前記第2上面電極を鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この構成によれば、第2上面電極が鱗片状の銀粉を含んでいるため、第2上面電極に含まれるパラジウムの含有量が少ない場合でも第2上面電極から第1上面電極への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、低抵抗で、かつ高信頼性が要求されるジャンパーチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、シート状の基板の上面に金レジネートからなる複数の第1上面電極を形成する工程と、前記複数の第1上面電極と一部が重なるように銀を主成分とする複数の第2上面電極を前記シート状の基板の上面に形成する工程と、前記複数の第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成する工程と、前記シート状の基板の裏面側の一部と前記スリットの内壁に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を個片状基板に分割する工程と、前記第1上面電極と端面電極の露出部分にめっき層を形成する工程とを有し、かつ前記第2上面電極を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この製造方法によれば、膜厚の薄い金レジネートからなる第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成するようにしているため、スリットの形成時において第1上面電極にバリが発生するということは少なくなり、また、第2上面電極は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、第2上面電極に含まれるパラジウムの含有量が少ない場合でも第2上面電極から第1上面電極への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたジャンパーチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明のチップ抵抗器は、第1上面電極と第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、銀を主成分とする導電体から金を主成分とする導電体への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたチップ抵抗器を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0015】
図1において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12に一部が重なるように前記基板11の上面に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成されている。14は前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。15は前記一対の第1上面電極12と一対の第2上面電極13を電気的に接続するように設けられた樹脂銀からなる補助上面電極である。16は前記抵抗体14のすべてと第2上面電極13の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12および一対の補助上面電極15と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第2上面電極13の表面の一部と一対の補助上面電極15の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0016】
上記した本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、第1上面電極12は膜厚の薄い金レジネートにより構成しているため、シート状の基板から短冊状基板あるいは個片状基板に分割する際に第1上面電極12をダイシング切断してもバリが発生し難く、これにより、信頼性に優れたチップ抵抗器を提供できるものである。
【0017】
図5は従来のチップ抵抗器と本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の特性ばらつきを比較した特性図を示したもので、この図5から明らかなように、本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器は、第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、粒状の銀粉を用いた従来のチップ抵抗器に比べてパラジウムの含有比率が5重量%以下という具合に低くても特性ばらつきは少なく、これにより、信頼性に優れたチップ抵抗器を安価に提供できるものである。
【0018】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図2は本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0020】
図2において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12の上の端部に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成されている。14は前記一対の第1上面電極12と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。16は前記抵抗体14のすべてと第1上面電極12の一部および第2上面電極13の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12および一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第2上面電極13の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0021】
上記した本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、銀電極の硫化断線対策として、保護層16と第2上面電極13との界面に金レジネートからなる第1上面電極12を設けているため、銀を主成分とする第2上面電極13が硫化雰囲気によって断線しても金レジネートからなる第1上面電極12で導通を確保することができ、これにより、特に硫化雰囲気中での使用において信頼性に優れたチップ抵抗器が得られるものである。
【0022】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図3は本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0024】
図3において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12に一部が重なるように前記基板11の上面に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は金を主成分とする導電体により構成されている。14は前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。16は前記抵抗体14のすべてと第2上面電極13の一部および第1上面電極12の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第1上面電極12の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造から構成されているものである。
【0025】
上記した本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器においては、第2上面電極13を金を主成分とする導電体で構成し、かつ第1上面電極12を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第1上面電極12から第2上面電極13への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、第1上面電極12と抵抗体14との間に金を主成分とする導電体からなる第2上面電極13を形成しているため、第1上面電極12から抵抗体14に銀の成分が拡散するということはなくなり、これにより、抵抗値特性の変動が少なく信頼性に優れたチップ抵抗器が得られるものである。
【0026】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項3,4に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(d)は本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示したもので、以下にその製造方法について説明する。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、純度約96%のアルミナからなるシート状の基板11aの上面に、金レジネートからなる第1上面電極12を升目状に形成する。
【0029】
次に、図6(b)に示すように、複数の第1上面電極12と一部が重なるように銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体からなる第2上面電極13をシート状の基板11aの上面に形成し、ピーク温度850℃のプロファイルで焼成することにより、前記第1上面電極12と第2上面電極13を安定な膜とする。
【0030】
次に、図6(c)に示すように、第2上面電極13の一部を覆うように、第1上面電極12と第2上面電極13が並ぶ方向と直交する方向に樹脂からなる保護層16を帯状に形成し、ピーク温度200℃のプロファイルで焼成することにより、保護層16を安定な膜とする。
【0031】
次に、図7(a)に示すように、複数の第1上面電極12のみが切断されるようにシート状の基板11aに基板11aを上下方向に貫通するスリット11bをダイシングにより複数形成する。この場合、第1上面電極12は薄膜化が容易な金レジネートで構成されているため、スリット11bの形成時において第1上面電極12にバリが発生するということは少なくなり、これにより、形状ならびに特性が安定するものである。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、シート状の基板11aの裏面に、複数のスリット11bと同一間隔でかつスリット11bの幅よりも広い幅のスリット19aを有するメタルマスク19を配置し、そしてシート状の基板11aの裏面側からスパッタ20を照射してシート状の基板11aの裏面側の一部とスリット11bの内壁に端面電極17を形成する。この時、端面電極17はシート状の基板11aの上面にまで回りこんで第2上面電極13の一部を覆うように形成してもよい。
【0033】
次に、図7(c)に示すように、前記第1上面電極12と第2上面電極13が切断されないように、前記複数のスリット11bと直交する方向に、シート状の基板11aに基板11aを上下方向に貫通するスリット11cをダイシングにより形成して個片状基板11dに分割する。
【0034】
最後に、図7(d)に示すように、端面電極17(図示せず)と第1上面電極12(図示せず)の露出部分にめっき層18を形成することにより、本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器を得る。
【0035】
図8は上記した本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の断面図を示したもので、上記した本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金レジネートで構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。
【0036】
図9は従来のジャンパーチップ抵抗器と本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の特性ばらつきを比較した特性図を示したもので、この図9から明らかなように、本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器は、第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、粒状の銀粉を用いた従来のジャンパーチップ抵抗器に比べて銀からなる第2上面電極13のパラジウムの含有比率が5重量%以下という具合に低くても、特性ばらつきは小さく低抵抗値が保証されるため、低抵抗値でかつ信頼性に優れたものが得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るチップ抵抗器は、鱗片状の銀粉を用いて銀電極から金電極への拡散反応を抑制することにより断線不良の発生頻度が少なくなるようにしたものであり、特に微小の低抵抗チップ抵抗器やジャンパーチップ抵抗器に適用することにより有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の断面図
【図2】本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器の断面図
【図3】本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器の断面図
【図4】(a)(b)本発明の実施の形態1〜3におけるチップ抵抗器の金電極と銀電極の接続状態を焼成前と焼成後で比較した部分断面図
【図5】従来例と本発明の実施の形態1〜3におけるチップ抵抗器の導電体材料中のパラジウムの含有比率の影響を示す特性図
【図6】(a)〜(c)本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図7】(a)〜(d)同ジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図8】同ジャンパーチップ抵抗器の断面図
【図9】従来例と本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の導電体材料中のパラジウムの含有比率の影響を示す特性図
【図10】従来のチップ抵抗器の断面図
【図11】(a)(b)従来のチップ抵抗器における金電極と銀電極の接続状態を焼成前と焼成後で比較した部分断面図
【符号の説明】
【0039】
11 基板
11a シート状の基板
11b スリット
11d 個片状基板
12 第1上面電極
13 第2上面電極
14 抵抗体
16 保護層
17 端面電極
18 めっき層
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ抵抗器ならびに抵抗値が低く高信頼性が要求されるジャンパーチップ抵抗器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のチップ抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図10は従来のチップ抵抗器の断面図を示したもので、この図10において、1はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板1の上面の左右両端部には金を主成分とする一対の第1上面電極2が設けられている。3は前記一対の上面電極2に一部が重なるように前記基板1の上面に設けられた粒状の銀粉からなる第2上面電極である。4は前記一対の第2上面電極3と電気的に接続されるように前記基板1の上面に設けられた厚膜ペーストからなる抵抗体である。5は前記一対の第1上面電極2と一対の第2上面電極3を電気的に接続するように設けられた樹脂銀からなる補助上面電極である。6は前記抵抗体4を覆う樹脂からなる保護層である。7は前記基板1の端面と裏面に前記一対の第1上面電極2と一対の補助上面電極5を電気的に接続するように設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。8は前記一対の第2上面電極3の表面の一部と一対の補助上面電極5の表面および一対の端面電極7の表面に設けられためっき層で、このめっき層8は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平5−205903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のチップ抵抗器においては、焼成前は図11(a)に示すように第1上面電極2と第2上面電極3との接続が確保されているものの、焼成後は図11(b)に示すように金からなる第1上面電極2と銀からなる第2上面電極3との重なり部分において、第2上面電極3の銀成分が第1上面電極2の方向へ拡散するため、第1上面電極2が合金化して第1上面電極2と第2上面電極3が断線することがあった。このため抵抗値に変化が生じて不良品の発生する割合が高くなっていた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、金電極と銀電極との重なり部分で拡散反応が生じても断線による特性不良を防止することができ、信頼性に優れているチップ抵抗器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極と、前記一対の第2上面電極と電気的に接続されるように設けられた抵抗体とを備え、前記一対の第1上面電極と一対の第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この構成によれば、第1上面電極と第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、銀を主成分とする導電体から金を主成分とする導電体への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体に占めるパラジウムの含有比率を5重量%以下としたもので、この構成によれば、高価なパラジウムの使用量を削減できるため、コスト的に有利となるものであり、また、銀電極中のパラジウム含有量が多い場合には銀電極自身の抵抗値が高くなるため、低抵抗値が要求されて銀電極中のパラジウム含有比率を上げられないジャンパーチップ抵抗器等の電子部品に容易に適用できるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、基板と、前記基板の上面に設けられた金レジネートからなる一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極を橋絡するように形成された銀を主成分とする第2上面電極と、前記第2上面電極を覆う保護層とを有し、前記第2上面電極を鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この構成によれば、第2上面電極が鱗片状の銀粉を含んでいるため、第2上面電極に含まれるパラジウムの含有量が少ない場合でも第2上面電極から第1上面電極への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、低抵抗で、かつ高信頼性が要求されるジャンパーチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、シート状の基板の上面に金レジネートからなる複数の第1上面電極を形成する工程と、前記複数の第1上面電極と一部が重なるように銀を主成分とする複数の第2上面電極を前記シート状の基板の上面に形成する工程と、前記複数の第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成する工程と、前記シート状の基板の裏面側の一部と前記スリットの内壁に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を個片状基板に分割する工程と、前記第1上面電極と端面電極の露出部分にめっき層を形成する工程とを有し、かつ前記第2上面電極を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したもので、この製造方法によれば、膜厚の薄い金レジネートからなる第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成するようにしているため、スリットの形成時において第1上面電極にバリが発生するということは少なくなり、また、第2上面電極は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、第2上面電極に含まれるパラジウムの含有量が少ない場合でも第2上面電極から第1上面電極への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたジャンパーチップ抵抗器を得ることができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明のチップ抵抗器は、第1上面電極と第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、銀を主成分とする導電体から金を主成分とする導電体への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極と第2上面電極との重なり部分での断線が生じ難くなるため、信頼性に優れたチップ抵抗器を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0015】
図1において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12に一部が重なるように前記基板11の上面に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成されている。14は前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。15は前記一対の第1上面電極12と一対の第2上面電極13を電気的に接続するように設けられた樹脂銀からなる補助上面電極である。16は前記抵抗体14のすべてと第2上面電極13の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12および一対の補助上面電極15と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第2上面電極13の表面の一部と一対の補助上面電極15の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0016】
上記した本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、第1上面電極12は膜厚の薄い金レジネートにより構成しているため、シート状の基板から短冊状基板あるいは個片状基板に分割する際に第1上面電極12をダイシング切断してもバリが発生し難く、これにより、信頼性に優れたチップ抵抗器を提供できるものである。
【0017】
図5は従来のチップ抵抗器と本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の特性ばらつきを比較した特性図を示したもので、この図5から明らかなように、本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器は、第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、粒状の銀粉を用いた従来のチップ抵抗器に比べてパラジウムの含有比率が5重量%以下という具合に低くても特性ばらつきは少なく、これにより、信頼性に優れたチップ抵抗器を安価に提供できるものである。
【0018】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図2は本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0020】
図2において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12の上の端部に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成されている。14は前記一対の第1上面電極12と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。16は前記抵抗体14のすべてと第1上面電極12の一部および第2上面電極13の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12および一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第2上面電極13の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造で構成されているものである。
【0021】
上記した本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金を主成分とする導電体である金レジネートにより構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、銀電極の硫化断線対策として、保護層16と第2上面電極13との界面に金レジネートからなる第1上面電極12を設けているため、銀を主成分とする第2上面電極13が硫化雰囲気によって断線しても金レジネートからなる第1上面電極12で導通を確保することができ、これにより、特に硫化雰囲気中での使用において信頼性に優れたチップ抵抗器が得られるものである。
【0022】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図3は本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器の断面図を示したものである。
【0024】
図3において、11はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する基板で、この基板11の上面の左右両端部には銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成された一対の第1上面電極12が設けられている。13は前記一対の第1上面電極12に一部が重なるように前記基板11の上面に設けられた第2上面電極で、この第2上面電極13は金を主成分とする導電体により構成されている。14は前記一対の第2上面電極13と電気的に接続されるように前記基板11の上面に設けられた酸化ルテニウム等の厚膜ペーストからなる抵抗体である。16は前記抵抗体14のすべてと第2上面電極13の一部および第1上面電極12の一部を覆う樹脂からなる保護層である。17は前記一対の第1上面電極12と電気的に接続されるように前記基板11の裏面と端面に設けられた薄膜スパッタからなる端面電極である。18は前記一対の第1上面電極12の表面および一対の端面電極17の表面に設けられためっき層で、このめっき層18は通常ニッケルめっき層とはんだめっき層の2層構造から構成されているものである。
【0025】
上記した本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器においては、第2上面電極13を金を主成分とする導電体で構成し、かつ第1上面電極12を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第1上面電極12から第2上面電極13への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。また、第1上面電極12と抵抗体14との間に金を主成分とする導電体からなる第2上面電極13を形成しているため、第1上面電極12から抵抗体14に銀の成分が拡散するということはなくなり、これにより、抵抗値特性の変動が少なく信頼性に優れたチップ抵抗器が得られるものである。
【0026】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項3,4に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(d)は本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示したもので、以下にその製造方法について説明する。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、純度約96%のアルミナからなるシート状の基板11aの上面に、金レジネートからなる第1上面電極12を升目状に形成する。
【0029】
次に、図6(b)に示すように、複数の第1上面電極12と一部が重なるように銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体からなる第2上面電極13をシート状の基板11aの上面に形成し、ピーク温度850℃のプロファイルで焼成することにより、前記第1上面電極12と第2上面電極13を安定な膜とする。
【0030】
次に、図6(c)に示すように、第2上面電極13の一部を覆うように、第1上面電極12と第2上面電極13が並ぶ方向と直交する方向に樹脂からなる保護層16を帯状に形成し、ピーク温度200℃のプロファイルで焼成することにより、保護層16を安定な膜とする。
【0031】
次に、図7(a)に示すように、複数の第1上面電極12のみが切断されるようにシート状の基板11aに基板11aを上下方向に貫通するスリット11bをダイシングにより複数形成する。この場合、第1上面電極12は薄膜化が容易な金レジネートで構成されているため、スリット11bの形成時において第1上面電極12にバリが発生するということは少なくなり、これにより、形状ならびに特性が安定するものである。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、シート状の基板11aの裏面に、複数のスリット11bと同一間隔でかつスリット11bの幅よりも広い幅のスリット19aを有するメタルマスク19を配置し、そしてシート状の基板11aの裏面側からスパッタ20を照射してシート状の基板11aの裏面側の一部とスリット11bの内壁に端面電極17を形成する。この時、端面電極17はシート状の基板11aの上面にまで回りこんで第2上面電極13の一部を覆うように形成してもよい。
【0033】
次に、図7(c)に示すように、前記第1上面電極12と第2上面電極13が切断されないように、前記複数のスリット11bと直交する方向に、シート状の基板11aに基板11aを上下方向に貫通するスリット11cをダイシングにより形成して個片状基板11dに分割する。
【0034】
最後に、図7(d)に示すように、端面電極17(図示せず)と第1上面電極12(図示せず)の露出部分にめっき層18を形成することにより、本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器を得る。
【0035】
図8は上記した本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の断面図を示したもので、上記した本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器においては、第1上面電極12を金レジネートで構成し、かつ第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、図4(a)に示すように焼成前に互いに接続されている第1上面電極12と第2上面電極13は焼成後においても図4(b)に示すように、第2上面電極13から第1上面電極12への拡散反応は抑制されることになり、これにより、第1上面電極12と第2上面電極13との重なり部分では金と銀との合金層12aを介して確実に接続されることになるため、断線は生じ難く、これにより、信頼性に優れたものが得られるものである。
【0036】
図9は従来のジャンパーチップ抵抗器と本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の特性ばらつきを比較した特性図を示したもので、この図9から明らかなように、本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器は、第2上面電極13を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成しているため、粒状の銀粉を用いた従来のジャンパーチップ抵抗器に比べて銀からなる第2上面電極13のパラジウムの含有比率が5重量%以下という具合に低くても、特性ばらつきは小さく低抵抗値が保証されるため、低抵抗値でかつ信頼性に優れたものが得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るチップ抵抗器は、鱗片状の銀粉を用いて銀電極から金電極への拡散反応を抑制することにより断線不良の発生頻度が少なくなるようにしたものであり、特に微小の低抵抗チップ抵抗器やジャンパーチップ抵抗器に適用することにより有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1におけるチップ抵抗器の断面図
【図2】本発明の実施の形態2におけるチップ抵抗器の断面図
【図3】本発明の実施の形態3におけるチップ抵抗器の断面図
【図4】(a)(b)本発明の実施の形態1〜3におけるチップ抵抗器の金電極と銀電極の接続状態を焼成前と焼成後で比較した部分断面図
【図5】従来例と本発明の実施の形態1〜3におけるチップ抵抗器の導電体材料中のパラジウムの含有比率の影響を示す特性図
【図6】(a)〜(c)本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図7】(a)〜(d)同ジャンパーチップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図8】同ジャンパーチップ抵抗器の断面図
【図9】従来例と本発明の実施の形態4におけるジャンパーチップ抵抗器の導電体材料中のパラジウムの含有比率の影響を示す特性図
【図10】従来のチップ抵抗器の断面図
【図11】(a)(b)従来のチップ抵抗器における金電極と銀電極の接続状態を焼成前と焼成後で比較した部分断面図
【符号の説明】
【0039】
11 基板
11a シート状の基板
11b スリット
11d 個片状基板
12 第1上面電極
13 第2上面電極
14 抵抗体
16 保護層
17 端面電極
18 めっき層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極と、前記一対の第2上面電極と電気的に接続されるように設けられた抵抗体とを備え、前記一対の第1上面電極と一対の第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したチップ抵抗器。
【請求項2】
銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体に占めるパラジウムの含有比率を5重量%以下とした請求項1記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
基板と、前記基板の上面に設けられた金レジネートからなる一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極を橋絡するように形成された銀を主成分とする第2上面電極と、前記第2上面電極を覆う保護層とを有し、前記第2上面電極を鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したジャンパーチップ抵抗器。
【請求項4】
シート状の基板の上面に金レジネートからなる複数の第1上面電極を形成する工程と、前記複数の第1上面電極と一部が重なるように銀を主成分とする複数の第2上面電極を前記シート状の基板の上面に形成する工程と、前記複数の第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成する工程と、前記シート状の基板の裏面側の一部と前記スリットの内壁に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を個片状基板に分割する工程と、前記第1上面電極と端面電極の露出部分にめっき層を形成する工程とを有し、かつ前記第2上面電極を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したジャンパーチップ抵抗器の製造方法。
【請求項1】
基板と、前記基板の上面の両端部に形成された一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極上に少なくとも一部が重なるように形成された一対の第2上面電極と、前記一対の第2上面電極と電気的に接続されるように設けられた抵抗体とを備え、前記一対の第1上面電極と一対の第2上面電極のうちいずれか一方を金を主成分とする導電体で構成し、かついずれか他方を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したチップ抵抗器。
【請求項2】
銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体に占めるパラジウムの含有比率を5重量%以下とした請求項1記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
基板と、前記基板の上面に設けられた金レジネートからなる一対の第1上面電極と、前記一対の第1上面電極を橋絡するように形成された銀を主成分とする第2上面電極と、前記第2上面電極を覆う保護層とを有し、前記第2上面電極を鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したジャンパーチップ抵抗器。
【請求項4】
シート状の基板の上面に金レジネートからなる複数の第1上面電極を形成する工程と、前記複数の第1上面電極と一部が重なるように銀を主成分とする複数の第2上面電極を前記シート状の基板の上面に形成する工程と、前記複数の第1上面電極のみが切断されるようにシート状の基板を上下方向に貫通するスリットを形成する工程と、前記シート状の基板の裏面側の一部と前記スリットの内壁に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を個片状基板に分割する工程と、前記第1上面電極と端面電極の露出部分にめっき層を形成する工程とを有し、かつ前記第2上面電極を銀を主成分とし鱗片状の銀粉を含む導電体で構成したジャンパーチップ抵抗器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−208029(P2007−208029A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25453(P2006−25453)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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