説明

チップ駆動機構を内蔵しているディスプレイデバイス

ディスプレイデバイスであって、基板と、前記基板上に配置される1つ又は複数のピクセルであって、各ピクセルは制御電極を含む、該1つ又は複数のピクセルと、前記基板上に配置される配線層であって、該配線層は、その中に形成される連続線及び不連続パススルー線を有する、配線層とを備える。アクティブマトリックスデバイスは、前記基板上に配置され、第1の接続パッド、第2の接続パッド、第3の接続パッド及び制御接続パッドを含む少なくとも1つのチップレットであって、前記制御接続パッドを前記制御電極に電気的に接続する制御線と、前記第1の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第1の端部及び前記第2の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第2の端部と、前記第1の接続パッド及び前記第2の接続パッドを電気的に接続する回路部と、前記第3の接続パッドに電気的に接続される連続線であって、該連続線は前記チップレットの両側に延在する、連続線とを含む、チップレットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した制御素子が分散して配置される基板を有するディスプレイデバイスに関し、詳細には、そのような制御素子を基板にわたって最適に配置することに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイは、コンピューティングデバイスと共に、そしてポータブルデバイスにおいて、さらにはテレビのような娯楽装置のために広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散して配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。各ピクセルは、各画像素子を表示するために、一般的にサブピクセルと呼ばれ、赤色光、緑色光及び青色光を放射する、いくつかの異なる色の発光素子を組み込む。種々のフラットパネルディスプレイ技術、たとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ及び発光ダイオードディスプレイが知られている。アクティブマトリックス素子は必ずしもディスプレイには限定されず、空間的な分散制御を必要とする他の用途においても、基板上に分散して配置し、利用することができる。
【0003】
発光素子を形成する発光材料の薄膜を組み込む発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。タン(Tang)等に対して2002年5月7日に発行された米国特許第6,384,529号は、有機LED発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示す。代替的には、無機材料を利用することができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。有機又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷注入、輸送又は遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は電極間の基板上に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料の中に電流が流れるときに、ピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性による。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)、又は封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0004】
LEDデバイスは、パターニングされた発光層を含むことができ、材料の中に電流が流れるときに異なる色の光を放射するために、そのパターンにおいて異なる材料が用いられる。代替的には、「効率が改善した積層OLED(Stacked OLED Display having Improved Efficiency)」と題するコック(Cok)による米国特許第6,987,355号において教示されるように、フルカラーディスプレイを形成するために、カラーフィルターと共に単一の発光層、たとえば、白色発光体を用いることができる。たとえば、「パワー効率が改善したカラーOLEDディスプレイ(Color OLED Display with Improved Power Efficiency)」と題するコック他による米国特許第6,919,681号において教示されるように、カラーフィルターを含まない白色サブピクセルを利用することも知られている。デバイスの効率を改善するために、赤色、緑色及び青色カラーフィルター及びサブピクセルと、フィルターを備えない白色サブピクセルとを含む4色ピクセルと共に、パターニングされない白色発光体を利用する設計が提案されている(ミラー(Miller)他に対して2007年6月12日に発行された米国特許第7,230,594号を参照されたい)。
【0005】
フラットパネルディスプレイデバイス内のピクセルを制御するための2つの異なる方法、すなわち、アクティブマトリックス制御及びパッシブマトリックス制御が一般的に知られている。アクティブマトリックスデバイスでは、制御素子がフラットパネル基板上に分散して配置される。通常、各サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。たとえば、簡単なアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及びパワートランジスタ)と、サブピクセルの輝度を指定する電荷を格納するための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を利用する。
【0006】
従来技術のアクティブマトリックス制御素子は通常、フォトリソグラフィ工程を通じてトランジスタ及びキャパシタに形成される、シリコンのような薄膜半導体材料を含む。薄膜シリコンは、アモルファス、多結晶のいずれかとすることができる。アモルファス又は多結晶シリコンから形成される薄膜トランジスタは、結晶シリコンウェハーから形成される従来のトランジスタよりも相対的に大きく、かつ性能が低い。さらに、そのような薄膜デバイスは通常、局所的な、又は広域にわたる不均一性を示し、結果として、そのような材料を利用するディスプレイにおいて、目に見えるほどの不均一性が生じる。製造工程及び材料処理において改善は成されるが、製造工程には費用がかかり、薄膜デバイス性能は依然として結晶シリコンデバイスの性能よりも低い。
【0007】
松村(Matsumura)等は、特許文献1において、LCDディスプレイと共に用いられる結晶シリコン基盤の1つの従来技術について説明する。その特許出願は、第1の半導体基板から作製されるピクセル制御デバイスを第2の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移送し、固定するための方法を記述する。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示される。しかしながら、ディスプレイのアパーチャ比を最適化すること、又はディスプレイデバイスと協働して、そのようなピクセル制御デバイスのコストを最小限に抑えることに関しては教示されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0055864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、アクティブマトリックスデバイス内の発光素子又は光応答素子を制御するための改善された方法、詳細には発光ディスプレイのための改善された方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この必要性は、本発明の1つの実施の形態において、
ディスプレイデバイスであって、
a)基板と、
b)前記基板上に配置される1つ又は複数のピクセルであって、各ピクセルは制御電極を含む、1つ又は複数のピクセルと、
c)前記基板上に配置される配線層であって、該配線層は、その中に形成される連続線及び不連続パススルー線を有する、配線層と、
d)前記基板上に配置され、第1の接続パッド、第2の接続パッド、第3の接続パッド及び制御接続パッドを含む少なくとも1つのチップレットであって、
i)前記制御接続パッドを前記制御電極に電気的に接続する制御線と、
ii)前記第1の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第1の端部及び前記第2の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第2の端部と、
iii)前記第1の接続パッド及び前記第2の接続パッドを電気的に接続する回路部と、
iv)前記第3の接続パッドに電気的に接続される連続線であって、該連続線は前記チップレットの両側に延在する、連続線と、
を含む、チップレットと、
を備える、ディスプレイデバイスによって満たされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、フラットパネル基板内の制御素子の性能を改善し、コストを削減し、パネルアパーチャ比を高めるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態による、制御素子を備える基板の一部の平面図である。
【図1B】本発明の一実施形態による、図1Aに示される制御素子を備える基板の一部の断面図である。
【図2】本発明の代替的な実施形態による、制御素子を備える基板の一部の平面図である。
【図3】図1Aの配置に対する1つの代替的な配置を用いる制御素子の平面図である。
【図4】図1Aの配置に対する第2の代替的な配置を用いる制御素子の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aの平面図、及び図1Aの線Aを通じて見た図1Bの断面図を参照すると、本発明の一実施形態によれば、アクティブマトリックスデバイスは、基板10と、基板10上に配置される1つ又は複数のピクセル50とを備える。各ピクセル50は、制御電極51を備える。基板10上に、基板10に対して概ね平行に配線層20が配置され、配線層20は、その中に形成される、連続線26、28、及び不連続パススルー線22、23を有する。制御電極51は配線層20内に存在することができるか、代替的には、配線層20とは別の層内に存在することができる。
【0014】
少なくとも1つのチップレット40が基板10上に配置され、回路部42、44と、第1の接続パッド30と、第2の接続パッド32と、第3の接続パッド36、38と、制御接続パッド34とを含む。制御線24が制御接続パッド34をピクセル50の制御電極51に電気的に接続する。不連続パススルー線22、23の一端22A、23Aが第1の接続パッド30に接続され、不連続パススルー線22、23の第2の一端22B、23Bが第2の接続パッド32に接続される。回路部42、44は、第1の接続パッド30及び第2の接続パッド32を電気的に接続する。連続線26、28は第3の接続パッド36、38に電気的に接続され、連続線はチップレット40の向かい合う長い辺40A、40Bまで延在する。連続線26、28及びパススルー線22、23は、電力バス又は制御信号、たとえば、電力及びグランドバス又はデータ及び選択信号として利用される場合がある。
【0015】
本明細書において用いられるときに、ピクセルは、基板上の任意の発光素子又は光応答素子である。たとえば、本発明の一実施形態では、任意の色の光を放射し、基板上に形成される単一の有機又は無機発光ダイオード素子が、本明細書において意図されるようなピクセルである。本明細書において用いられるときに、用語「ピクセル」、「サブピクセル」、又は発光素子若しくは光応答素子は、全てピクセルを指す。ディスプレイでは、そのような発光ピクセルのアレイを見ることができる。本発明の代替的な実施形態では、光応答素子、たとえば、感光ダイオード又は感光トランジスタをピクセルとすることができる。そのような感光ピクセルのアレイはイメージセンサー又は太陽電池において見ることができる。ピクセルは通常、発光材料又は光応答材料の両側に形成される一対の電極を備える。いくつかの実施形態(たとえば、ディスプレイ)において、一方の電極は電気的に共通に接続され、基板のアクティブエリア上にはパターニングされないのに対して、第2の制御電極51は各ピクセル50のアクティブエリア上にのみ形成される。
【0016】
配線層20は基板10に対して概ね平行である。概ね平行であることは、基板エリアにわたって配線層20と基板10との間の距離は幾分変化する可能性があるものの、1つ又は複数のピクセルサイズのエリアにわたって配線層20と基板10との間の平均距離は均一であることを意味する。パススルー線(たとえば、22、23)は不連続として示される。本明細書において意図しているように、パススルー線は配線層20において物理的に不連続であり、すなわち、それらの線は一連の線セグメントを形成する。しかしながら、配線層20内のパススルー線セグメントはチップレット40内の接続パッド30、32及び回路部44を通じて電気的に接続されるので、電気的に連続している。
【0017】
本明細書において意図されるようなアクティブマトリックスデバイスは、基板上に形成される、分散して配置される複数の制御素子、たとえば、薄膜制御回路のアレイを含むデバイスであり、各制御回路は制御信号及び電力バスに応答して、発光素子を制御する。しかしながら、本発明によれば、分散して配置される制御素子はチップレットである。チップレットは、基板10に比べて相対的に小さな集積回路であり、独立した基板上に形成される、配線、接続パッド、抵抗器若しくはキャパシタのような受動構成要素、又はトランジスタ若しくはダイオードのような能動構成要素を含む、回路を含む。チップレットは、ディスプレイ基板とは別に製造され、後に、ディスプレイ基板に張り付けられる。チップレットは、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハーを用いて製造されることが好ましい。その後、各チップレットは分離され、その後、ディスプレイ基板に取り付けられる。それゆえ、各チップレットの結晶性支持体は、デバイス基板とは別に存在し、かつチップレットの回路部が配置される基板と見なすことができる。それゆえ、複数のチップレット40は、デバイス基板10とは別に存在し、かつ互いに別に存在する、対応する複数の基板を有する。詳細には、独立した基板は、その上にピクセルが形成される基板10とは別であり、独立したチップレット基板の面積は、合わせてもデバイス基板10より小さい。チップレットは、結晶性基板を有し、たとえば、薄膜アモルファス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる能動構成要素よりも高い性能の能動構成要素を提供することができる。チップレットは、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは20μm以下の厚みを有することができる。これは、チップレット上に接着剤及び平坦化材料12を形成するのを容易にし、その材料は、従来のスピンコーティング技法を用いて後に塗布することができる。本発明の一実施形態によれば、結晶シリコン基板上に形成されるチップレットは、幾何学的なアレイに配列され、接着剤又は平坦化材料12を用いて基板(たとえば、10)に接着される。パススルー及び連続線22、23、26、28を用いて各チップレット40を制御信号及び電力バスに接続すると共に、基板10上に形成される制御線配線24を通じてピクセル50を駆動するために、チップレット40の表面上の接続パッド30、32、34、36、38が利用される。チップレット40は、1つ、いくつか、又は多数のピクセル50を制御することができる。しかしながら、各チップレット40は少なくとも2つのピクセル50を制御することが好ましい。
【0018】
チップレット40は半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部は、最新のリソグラフィ手段を用いて形成することができる。そのような手段によれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に手に入れることができる。たとえば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に用いることができる。それゆえ、ピクセルあたり2つのトランジスタのような、ピクセルを駆動するためのチップレットの回路部は小さくすることができる。しかしながら、チップレットは、ディスプレイ基板上に組み付けられたときにチップレット上に設けられる配線層への電気的接続を形成するための接続パッドも必要とする。接続パッドは、ディスプレイ基板上で用いられるリソグラフィ手段の機構サイズ(たとえば、5μm)、及びチップレットと配線層との位置合わせ(たとえば、±5μm)に基づいて、その大きさを決められなければならない。それゆえ、接続パッドは、たとえば、15μm幅にすることができ、パッド間に5μmの間隔があけられる。これは、パッドが一般的に、チップレット内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きくなることを意味する。
【0019】
パッドは一般的に、トランジスタにわたってチップレット上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げられるように、チップレットの表面積をできる限り小さくすることが望ましい。それゆえ、一般的には、トランジスタではなく、接続パッドのサイズ及び数がチップレットのサイズを制限するであろう。
【0020】
本発明は、チップレット40のサイズが接続パッド30、32、34、36及び38のサイズ及び数によって制限されるときに特に好都合である。この場合、チップレット40のサイズを小さくするには、接続パッドの数を削減するか、接続パッドのサイズを小さくするか、又は接続パッドの間隔を制限するデザインルールを採用しなければならない。たとえば、図1A及び図1Bに示されるように、回路部42、44を小さくしても、チップレット40のサイズを小さくすることはできない。
【0021】
第1の接続パッド30及び第2の接続パッド32並びに第3の接続パッド36、38に接続されるパルスルー線及び連続線22、23、26、28のために単一の配線層20が設けられるときにも、本発明は好都合である。単一の配線層を設けることによって、たとえば、パススルー線及び連続線22、23、26、28をパターニングするために用いられるフォトリソグラフィステップが削減され、それに応じてコストも削減される。複数の配線層のために複数の金属層を使用すると、パターニングコストが増加し、バイアを形成する必要がある。同じ配線層20内に制御線24及び制御電極51をパターニングするのも役に立つことがあるが、必ずしもその必要はない。
【0022】
チップレット40の厚みを最小限に抑えることも役に立つことがある。チップレット40は通常、接着剤を用いて基板10に固定され、上から平坦化層12によって覆われる。平坦化層は、チップレットのエッジにおいてデバイス表面高変動を平坦にするための役割を果たす。チップレットのエッジにおいて段差があまりにも大きいか、又はあまりにも急峻である場合には、配線層が連続的に形成されなくなる場合があり、結果として開放回路欠陥が生じる場合がある。しかしながら、有用な平坦化層12の厚みは、その粘度及び堆積技術(たとえば、スピンコーティング又は溶射)によって制限される可能性があり、それにより、チップレット40の厚み、又はチップレット40上の後続の処理が制限される。平坦化層12があまりにも薄い場合には、配線層内の配線(たとえば、パススルー線及び連続線22、23、26、28)が共に直接的に短絡するか、又はチップレット40そのものを通じて間接的に短絡する可能性がある。市販の材料(たとえば、ベンゾシクロブテン)がチップレット40を実効的に接着し、封入し、かつ平坦化できるようにする有用なチップレット40の厚みは20ミクロン以下である。接続パッド30、32、34、36、38と、配線層20内のパススルー線、制御線及び連続線22、23、24、26、28との間を電気的に接続できるようにするために、平坦化接着剤内にバイア16を形成することができる。
【0023】
チップレット40及び基板10の両方の上に形成される好ましい構成において、配線層20が示される。この構成は、配線層20とチップレット40との間に高品質の電気的接続を形成するのを容易にする。一実施形態では、この単一の配線層は、水平(行)方向及び垂直(列)方向の両方において、必要とされる全てのパススルー線、制御線及び連続線22、23、24、26、28を設けるための役割を果たす。したがって、複数の配線層は不要であり、ディスプレイデバイスを製造するコストが削減される。代替的には、配線層20は、チップレット40と基板10との間に配置することができる。そのような実施形態は、たとえば、トップエミッションディスプレイデバイス又はボトムエミッションディスプレイデバイスを形成する際に役に立つことがある。
【0024】
本発明の1つの好都合の実施形態では、ピクセル50は基板10上に規則的な長方形のアレイとして形成される。パススルー線22、23は、連続線26、28と直交することができる。チップレット40は高いアスペクト比を有することができ、すなわち、隣り合う辺が大きく異なる長さを有する。そのような高アスペクト比の実施形態では、チップレット40は長方形であり、それぞれ長い寸法及び短い寸法を決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺40A及び40Bと、2つの向かい合う相対的に短い辺40C及び40Dとを有する。本発明の一実施形態では、かつ図1A及び図1Bに示されるように、不連続パススルー線22、23をチップレット40の長い寸法と揃えることができる(すなわち、長い辺及び不連続パススルー線22、23は同じ次元においてその最大長を有する)。さらに、図1A及び図1Bに示されるように、連続線26、28をチップレット40の短い寸法と揃えることができる(すなわち、短い辺及び連続線26、28は同じ次元においてその最大長を有する)。さらに、図1A及び図1Bに示されるように、チップレット40は基板10上で、第3の接続パッド36、38がチップレット40の短い辺にではなく、中心に近いように、又は第3の接続パッド38が短い寸法若しくは長い寸法のいずれかにおいてチップレット40の中心にあるように、又は第3の接続パッド38が短い寸法及び長い寸法の両方においてチップレット40の中心にあるように(図2)配向することができる。いずれの場合も、制御接続パッド34は、第1の接続パッド30と第3の接続パッド38との間に、又は第2の接続パッド32と第3の接続パッド38との間に位置することができる。
【0025】
この実施形態では、第1の接続パッド30と第2の接続パッド32との間の電気的接続は、回路部44、たとえば、チップレット40内の配線又は金属層によって保持され、それにより、パススルー線22、23の電気的な連続性が保持される。パススルー線の配置を簡単にするために、第1の接続パッド30は、短い辺のうちの一方40Cに対し、任意の他の接続パッド(たとえば、34、36、38)と同程度に又はそれよりも近づけることができ、かつ第2の接続パッド32は、短い辺のうちの他方40Dに対し、任意の他の接続パッド(たとえば、34、36、38)と同程度に又はそれよりも近づけることができる(図1A及び図1Bに示される)。
【0026】
本発明のデバイスでは、種々の数の線を用いることができる。図1A及び図1Bに示されるように、2つのパススルー線22、23及び3つの連続線26、28が用いられ、たとえば、従来の薄膜アクティブマトリックス回路において見られるように、選択信号及びデータ信号並びに電力接続を与える。しかしながら、0よりも大きな任意の数の不連続線又は連続線を用いることができる。本発明の1つの有用な実施形態では、不連続線の数は連続線の数に等しい。そのような構成は、改善されたアドレス指定能力を与えることができる。代替的には、パススルー線の数は、連続線の数以下にすることができる。上記のように、接続パッドの数、サイズ及び間隔がチップレットのサイズを制限するときに、そのような構成は、チップレットのサイズを最小限に抑えることができる。それは、連続線のうちの1つを電力バスとして利用し、接続パッドの中で生じるか、又はチップレット内で生じる電圧降下を小さくし、それにより、デバイスの電力分配均一性を高めるのに特に有用である。電力バスは、ディスプレイの動作中に外部電源から発光素子への電流源を与える線である。したがって、電力バスは、他のタイプの線に比べて、相対的に多くの量の電流を効率的に供給できなければならない。他の連続信号線(複数可)はデータ制御信号を搬送することができ、パススルー線は選択制御信号線を搬送することができるか、又は代替的には、連続線は選択制御信号を搬送することができ、パススルー線はデータ制御信号を搬送することができる。選択制御信号はピクセルの行を起動する線であり、データ制御信号は、ピクセルに輝度情報を搬送する線である。それゆえ、選択制御信号及びデータ制御信号は直交する方向に配置される。パススルー線を用いる構成は、チップレット内の金属接続を利用して、この直交構成を可能にし、同時に複数の配線層を不要にする。頑強な構成を支援するために、線、特に連続線は、複数の、又はより多くの接続パッドを有する場合がある(たとえば、図1Aの接続パッド行において接続パッド36、38をさらに多くすることができるか、又は繰り返すことができる)。
【0027】
図1A及び図1Bに示されるように、チップレット40は短い寸法において2つのみの接続パッドを有し、長い寸法において2つの接続パッド行を形成する。図2に示される代替的な実施形態では、チップレットは、短い寸法において1つのみの接続パッドを有することができ、長い寸法において1つの接続パッド行を形成する(図2は、その図の下側において、第2のそのようなチップレットの一部を示す)。代替的な実施形態では、単一の行がさらに多くの制御接続パッドを有することができ、たとえば、4つの制御接続パッドを含む9つの接続パッドを利用して、4つのピクセルへの接続を設けることができる。
【0028】
本発明は、改善された性能を有する分散制御デバイスを提供する。基板(たとえば、アモルファス又は多結晶シリコン)上に直に形成される回路よりも高い性能の回路部を有する独立した基板(たとえば、結晶シリコンを含む)を備えるチップレットを利用することによって、より高い性能を有するデバイスが提供される。結晶シリコンは、より高い性能を有するだけでなく、はるかに小さな能動素子(たとえば、トランジスタ)を有するので、回路部サイズは非常に小さくなり、チップレットサイズは、デバイスを制御するために、かつデバイスに電力を供給するために必要とされる接続パッドの数及び間隔によって決定されるようになる。たとえば、ヨーン(Yoon)、リー(Lee)、ヤン(Yang)及びチャン(Jang)著「AMOLEDの駆動におけるMEMsスイッチの新規の使用(A novel use of MEMs switch in driving AMOLED)」(Digest of Technical Papers of the Society for Information Display, 2008, 3.4, p.13)において記述されるように、微小電気機械(MEMS)構造を用いて有用なチップレットを形成することもできる。
【0029】
本発明によれば、チップレットを通じて配線される不連続パススルー線、及び直交する方向にある連続線を設けることによって、チップレットのサイズ及びコストが削減されると共に、配線の複雑度が低減される。さらに、デバイスのアパーチャ比も改善することができ、効率を高め、寿命を延ばすことができる。単一の配線層を有するデバイスを可能にすることによって、さらにコストが削減される。
【0030】
以下の表は、従来技術において提案される代替的な解決策と比較した本発明の利点を示す。計算は、任意の単位において、間隔が1でサイズ4を有する接続パッドを仮定する。設計A(本発明)は、図1A(11個の接続パッドを備える)に示されるように、3つの連続線(たとえば、1つの電源バス及び2つのデータ制御信号)、2つのパススルー線(たとえば、選択制御信号)、及び4つの制御線を利用する。連続線36、38のための接続パッドは、チップレットサイズを変更することなく、さらに大きくできることに留意されたい。従来技術において提案されるように、設計Bは、チップレットの周辺に配置される接続パッドを使用し(図3)、任意の連続線を仮定しない。設計C(図4)は、設計Bのアスペクト比に対して、代替的なアスペクト比を使用する。これらのパラメーターを用いて、寸法毎に以下の式が成り立つ。
【0031】
式1: 全パッド幅 =パッド数×4
式2: 全間隔幅 =パッド数+1
式3: 全幅 =全パッド幅+全間隔幅
式4: 全面積 =全幅(長い寸法)×全幅(短い寸法)
【0032】
【表1】

【0033】
第2の例では、2つの連続線(たとえば、1つの電力線及び1つのデータ線)、2つのパススルー線(たとえば、選択線)及び4つの制御線(10個の接続パッド)を利用する設計が、例1と同様の代替形態と比較される。
【0034】
【表2】

【0035】
第3の例では、図2の本発明の設計が、先行する2つの例と同様の代替形態と比較される。
【0036】
【表3】

【0037】
表から明らかなように、本発明において特許請求されるようなパススルー線及び連続線の組み合わせを利用する設計は、チップレットのための面積を減少させる。さらに、配線が多くの場合に単純化され、いくつかの実施形態、たとえば、ボトムエミッターでは、デバイスのアパーチャ比が改善される。チップレットの長い寸法の端部の最も近くにおいてのみパルスルー接続パッドを有する高アスペクト比設計を用いることによって、配置効率がさらに最適化され、コストが削減される。
【0038】
基板10は、ガラスと、当該技術分野において知らされているフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングされる平坦化層(たとえば、樹脂)上に形成される、蒸着又はスパッタリングされる金属、たとえば、アルミニウム又は銀から作製される配線層とを備えることができる。チップレット40は、集積回路業界において十分に確立された従来の技法を用いて形成することができる。
【0039】
1つの発光実施形態では、本発明は以下のように動作することができる。チップレット40のアクティブマトリックス制御素子は、電荷格納素子(たとえば、キャパシタ)、電荷格納素子に電荷を蓄積するために信号に応答する能動素子(たとえば、トランジスタ)、電力バス、及び電力バスからの電流又は電圧を制御するための駆動素子を含む回路部(たとえば、42、44)を含む。駆動素子(たとえば、パワートランジスタ)は、電荷格納素子に応答して、制御線を通じて電流を流す。たとえば、有機又は無機発光ダイオードデバイスを駆動するそのような回路が当該技術分野において知られている。図1Aを参照すると、線22、23、26(たとえば、データ及び選択制御信号)が信号を与えられ、電荷格納素子内に電荷を蓄積する。駆動トランジスタは電荷格納素子に応答して、制御線24を通じて制御電極51及びピクセル50に電流を流す。有用な信号及び制御方法は当該技術分野において知られている。そのような動作は、たとえば、有機又は無機LEDディスプレイデバイスにおいて役に立つことがある。
【0040】
代替的な光応答実施形態では、本発明は以下のように動作することができる。ピクセルは感光ダイオード又はトランジスタを含むことができる。チップレット40のアクティブマトリックス制御素子は、制御信号及び電力バスに接続される回路部を含む。ピクセルの感光ダイオード又はトランジスタが露光されるとき、線を通ってチップレット40まで電流が流れ、電荷格納素子(たとえば、キャパシタ)に格納することができる。その電荷を、線を通じて外部コントローラーまで移送することができる。有用な信号及び制御方法は当該技術分野において知られている。そのような動作は、たとえば、広域のイメージセンシングの用途において役に立つことがある。
【0041】
本発明はアクティブマトリックスインフラストラクチャを必要とするデバイスにおいて利用することができる。本発明は、高いアパーチャ比、改善されたアクティブマトリックス性能、及びコスト削減が重要であるときに利点を提供する。詳細には、本発明は、有機又は無機いずれかのアクティブマトリックスLEDデバイスで実施することができ、情報表示デバイスにおいて特に有用である。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、タン他に対して1988年9月6日に発行された米国特許第4,769,292号及びヴァンスライク(VanSlyke)他に対して1991年10月29日に発行された米国特許第5,061,569号において開示されるような小分子又はポリマーLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて利用される。たとえば、多結晶半導体マトリックス内に形成される量子ドットを利用する無機デバイス(たとえば、カーヘン(Kahen)による米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、有機若しくは無機電荷制御層を利用するデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを利用することができる。有機又は無機発光ディスプレイの数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッター又はボトムエミッターいずれかのアーキテクチャを有するアクティブマトリックスディスプレイを含む、そのようなデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0042】
A 断面線
10 基板
12 接着剤及び平坦化材料
16 バイア
20 配線層
22 パススルー線
23 パススルー線
22A 一端
22B 一端
23A 一端
23B 一端
24 制御線
26 連続線
28 連続線
30 第1の接続パッド
32 第2の接続パッド
34 制御接続パッド
36 第3の接続パッド
38 第3の接続パッド
40 チップレット
40A 長い辺
40B 長い辺
40C 短い辺
40D 短い辺
42 回路部
44 回路部
50 ピクセル
51 制御電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
a)基板と、
b)前記基板上に配置される1つ又は複数のピクセルであって、各ピクセルは制御電極を含む、1つ又は複数のピクセルと、
c)前記基板上に配置される配線層であって、該配線層は、その中に形成される連続線及び不連続パススルー線を有する、配線層と、
d)前記基板上に配置され、第1の接続パッド、第2の接続パッド、第3の接続パッド及び制御接続パッドを含む少なくとも1つのチップレットであって、
i)前記制御接続パッドを前記制御電極に電気的に接続する制御線と、
ii)前記第1の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第1の端部及び前記第2の接続パッドに接続される前記不連続パススルー線の第2の端部と、
iii)前記第1の接続パッド及び前記第2の接続パッドを電気的に接続する回路部と、
iv)前記第3の接続パッドに電気的に接続される連続線であって、該連続線は前記チップレットの両側に延在する、連続線と、
を含む、チップレットと、
を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記チップレットのサイズは前記接続パッドのサイズ及び数によって制限される、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項3】
信号及び電力を分配するためのバス線をさらに含み、該バス線は全て前記配線層内に形成される、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項4】
前記チップレットは20ミクロン未満の厚みを有する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項5】
前記チップレットは長方形であり、長い寸法及び短い寸法をそれぞれ決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記パススルー線は前記チップレットの前記長い寸法と揃えられる、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項6】
前記チップレットは長方形であり、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記チップレットは前記基板上で、第1の接続パッドが前記短い辺のうちの一方に対し任意の他の接続パッドと同程度に又はそれよりも近く、かつ前記第2の接続パッドが前記短い辺のうちの他方に対し任意の他の接続パッドと同程度に又はそれよりも近いように配向される、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項7】
前記チップレットは長方形であり、長い寸法及び短い寸法をそれぞれ決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記チップレットは前記基板上で、前記連続線が前記チップレットの前記短い寸法と揃えられるように配向される、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項8】
前記チップレットは長方形であり、長い寸法及び短い寸法をそれぞれ決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記チップレットは前記基板上で、前記第3の接続パッドが前記チップレットの前記短い辺にではなく、中心に近いように、又は前記第3の接続パッドが前記短い寸法若しくは前記長い寸法のいずれかにおいて前記チップレットの中心にあるように、又は前記第3の接続パッドが前記短い寸法及び前記長い寸法の両方において前記チップレットの中心にあるように配向される、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項9】
前記パススルー線の数は前記連続線の数以下である、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項10】
前記チップレットは長方形であり、長い寸法及び短い寸法をそれぞれ決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記チップレットは前記短い寸法において2つの接続パッドのみを有し、前記長い寸法において2つの接続パッド行を形成する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項11】
前記チップレットは長方形であり、長い寸法及び短い寸法をそれぞれ決定する、2つの向かい合う相対的に長い辺及び2つの向かい合う相対的に短い辺を有し、前記チップレットは前記短い寸法において1つの接続パッドのみを有し、前記長い寸法において1つの接続パッド行を形成する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項12】
前記パススルー線は前記連続線に直交する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項13】
前記チップレットは前記配線層と前記基板との間に位置する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項14】
前記配線層は前記チップレットと前記基板との間に位置する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項15】
前記制御接続パッドは前記第1の接続パッドと前記第3の接続パッドとの間にあるか、又は前記第2の接続パッドと前記第3の接続パッドとの間にある、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項16】
前記連続線のうちの1つは電力線である、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項17】
前記連続線はデータ信号を搬送し、前記パススルー線は選択信号を搬送するか、又は前記連続線は選択信号を搬送し、前記パススルー線はデータ信号を搬送する、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項18】
前記ピクセルは有機若しくは無機発光ダイオード、感光ダイオード、又は感光トランジスタを含む、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項19】
前記制御電極は前記配線層内にある、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。
【請求項20】
前記制御電極は前記配線層とは異なる層内にある、請求項1に記載のアクティブマトリックスデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−530723(P2011−530723A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522964(P2011−522964)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/004201
【国際公開番号】WO2010/019183
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】