説明

チューフィング及びチューフィング装置

【課題】蓋を開閉することの煩わしさを解消し、且つ不要な蓋の開放と蓋の閉め忘れを防止したチューフィング装置を提供する。
【解決手段】このチューフィング装置51は、図1の構成を備えたチューフィング50と、チューフィング50に人間が近接したことを検知する人感センサ20と、トング載置部6上のトングの有無を検知するトングセンサ21と、皿の重量を計測する皿重量計測器22と、人感センサ20、トングセンサ21、及び皿重量計測器22の状態に基づいて蓋部1の開閉を制御する制御部24と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューフィングに関し、さらに詳しくは、利用者がチューフィングに近接又は離れたことを検知して自動的にチューフィングの蓋部を開閉するチューフィング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホテル、レストラン、及び飲食店等では、人件費を削減して顧客に少しでも安価に食事を提供する試みとして、バイキング形式により料理を提供している。この形式では、各テーブルに料理ごとにチューフィングと呼ばれるフードパンが用意され、利用者は好きな料理が入れられたチューフィングの蓋を開けて皿に取り分けている。このとき、利用者は片手、或いは両手に食器類を手にした状態でチューフィングの蓋を開け閉めしなければならないため、煩わしいばかりでなく、中には蓋を閉め忘れたり、料理をこぼす利用者があり、フードパン内の料理が冷めたり、衛生面で問題があった。
そこで、食品用容器の蓋を自動的に開閉する従来技術として特許文献1には、重量のある蓋であっても開くことができる蓋自動開閉機能を有する食品用容器について開示されている。それによると、形状記憶バネを利用して、料理が完成したときの温度に達した場合に、形状記憶バネにより蓋を開ける構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−141990公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、形状記憶バネにより蓋を開閉する機構であるため、温度により開閉動作が左右されるため、自由に蓋を開閉できないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、蓋を開閉する駆動部、人感センサ、及びトングセンサを備え、利用者がチューフィングに近接し、且つトングを取り扱ったことを検知して初めて蓋を開放し、トングを所定位置に戻し、且つ利用者がチューフィングから離れたことで蓋を閉止することにより、蓋を開閉することの煩わしさを解消し、且つ不要な蓋の開放と蓋の閉め忘れを防止したチューフィング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、フードパンと、該フードパンを開閉する蓋部と、該蓋部を開閉自在に支持する蓋部開閉機構と、該蓋部開閉機構を駆動する駆動部と、これらを支持するベース部材と、を備えたチューフィングであって、前記蓋部開閉機構は、前記ベース部材に設けられた軸支部により中間部適所を軸支されることにより上下方向へ揺動し、且つ前部に前記蓋部を支持したアームと、前記アームの後部に配置された主錘部材と、を備え、前記駆動部は、前記主錘部材との離間距離を変化させる副錘部材を備え、該副錘部材を前記主錘部材と接近させた時に前記アームを前記蓋部を開放する方向へ揺動させ、該副錘部材を前記主錘部材から離間させた時に前記アームを前記蓋部を閉止する方向へ揺動させることを特徴とする。
蓋部開閉機構は、アームの両端に主錘部材と蓋部を備え、そのアームを軸支されることにより上下方向へ揺動する。そして、主錘部材との離間距離を変化させる副錘部材を備え、副錘部材を主錘部材に接近させることにより、アームを蓋部を開放する方向に揺動させ、副錘部材を主錘部材から離間させることにより、アームを蓋部を閉止する方向に揺動させる。これにより、蓋部の開放を間接的に行うため、蓋部に負荷がかかった場合でも、駆動部を破損することを防止することができる。
請求項2は、前記駆動部は、前記ベース部材に支持されたモータと、該モータの出力軸により一端を支持されて回動駆動される回動アームと、該回動アームの他端に支持された前記副錘部材と、を備え、前記副錘部材が前記軸支部よりも前記主錘部材側に接近している時に前記蓋部を開放し、前記副錘部材が前記軸支部よりも前記蓋部側に接近している時に前記蓋部を閉止することを特徴とする。
アームが主錘部材と蓋部により平衡している場合、何れかに重力を加えることにより、重心が移動してアームが揺動する。この原理を利用して、モータの出力軸により一端を支持されて回動駆動される回動アームを備え、その回動アームに副錘部材を取り付けて回動アームを回転することにより、副錘部材が蓋部、又は主錘部材側に移動して、結果的にアームの重心を移動させる。これにより、モータを回転することで、アームの重心を徐々に何れか一方に移動することにより、アームの揺動をスムーズに行うことができる。
【0006】
請求項3は、前記駆動部は、前記モータの回転速度を変化させることにより、前記蓋部の揺動速度を変化させることを特徴とする。
重心移動の速度は、回動アームの回転速度に比例する。従って、モータの回転速度を揺動開始時は遅くして、徐々に速くして、揺動終了間近で再び遅くすることにより、蓋部の動きをより滑らかにすることができる。
請求項4は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のチューフィングと、該チューフィングに人間が近接したことを検知する人感センサと、トング載置部上のトングの有無を検知するトングセンサと、前記人感センサ、及びトングセンサの状態に基づいて前記蓋部の開閉を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記人感センサの信号を所定の時間継続して検知した後に、前記トングセンサの信号を検知した場合、前記蓋部を開放するように前記駆動部を制御することを特徴とする。
利用者がチューフィングから料理を皿に盛り付ける手順としては、まず、利用者がチューフィングに近接し、その後に、トング載置部からトングを手にとってフードパン内の料理を皿に盛り付ける。従って、装置側としては、人感センサにより利用者の存在を検知して、トングセンサによりトングの動作を検知して蓋部を開放する。つまり、利用者はチューフィングに近づいて、そのまま離れてしまう場合もあるので、人感センサの信号だけで蓋部を開放したのでは、利用者が通過するたびに蓋部が動作してしまう。そこで本発明では、人感センサの信号を所定の時間以上検知し、且つトングセンサの信号を検知した場合のみ、蓋部を開放する。これにより、蓋部の不要な動作を防止して、正確に利用者を識別することができる。
【0007】
請求項5は、皿の重量を計測する皿重量計測器を更に備え、前記制御部は、前記人感センサの信号を所定の時間継続して検知した後に、前記皿重量計測器による値が減少したことを検知し、且つ前記トングセンサの信号を検知した場合、前記蓋部を開放するように前記駆動部を制御することを特徴とする。
利用者がチューフィングから料理を皿に盛り付ける手順としては、まず、利用者がチューフィングに近接し、皿を手にとった後に、トング載置部からトングを手にとってフードパン内の料理を皿に盛り付ける。従って、装置側としては、人感センサにより利用者の存在を検知して、皿重量計測器による値が減少したことを検知し、その後、トングセンサによりトングの動作を検知して蓋部を開放する。つまり、利用者はチューフィングに近づいて、トングを手にとったけど、気が変わってそのまま離れてしまう場合もあるので、人感センサとトングセンサの信号だけで蓋部を開放したのでは、真の利用者を識別することができない。そこで本発明では、人感センサの信号を所定の時間以上検知し、且つ、皿重量計測器による値が減少したことを検知し、且つトングセンサの信号を検知した場合のみ、蓋部を開放する。これにより、蓋部の不要な動作を防止して、更に正確に利用者を識別することができる。
請求項6は、前記制御部は、前記トングセンサにより前記トングが前記トング載置部に戻されたことを検知した後に、前記人感センサの信号を検知しなくなった場合、前記蓋部を閉止するように前記駆動部を制御することを特徴とする。
利用者は、皿に料理を盛り付け終わると、トングをトング載置部に戻して、チューフィングから離れる。そこで本発明では、トングセンサによりトングがトング載置部に戻されたことを検知した後に、人感センサの信号を検知しなくなった場合、蓋部を閉止する。これにより、料理の盛り付けを行う利用者がいないことを確実に検知することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主錘部材との離間距離を変化させる副錘部材を備え、副錘部材を主錘部材に接近させることにより、アームを蓋部を開放する方向に揺動させ、副錘部材を主錘部材から離間させることにより、アームを蓋部を閉止する方向に揺動させるので、蓋部の開放を間接的に行うため、蓋部に負荷がかかった場合でも、駆動部を破損することを防止することができる。
また、回動アームに副錘部材を取り付けて回動アームを回転することにより、副錘部材が蓋部、又は主錘部材側に移動して、結果的にアームの重心を移動させるので、モータを回転することで、アームの重心を徐々に何れか一方に移動することにより、アームの揺動をスムーズに行うことができる。
また、重心移動の速度は、回動アームの回転速度に比例するので、モータの回転速度を揺動開始時は遅くして、徐々に速くして、揺動終了間近で再び遅くすることにより、蓋部の動きをより滑らかにすることができる。
また、人感センサの信号を所定の時間以上検知し、且つトングセンサの信号を検知した場合のみ、蓋部を開放するので、蓋部の不要な動作を防止して、正確に利用者を識別することができる。
また、人感センサの信号を所定の時間以上検知し、且つ、皿重量計測器による値が減少したことを検知し、且つトングセンサの信号を検知した場合のみ、蓋部を開放するので、蓋部の不要な動作を防止して、更に正確に利用者を識別することができる。
また、トングセンサによりトングがトング載置部に戻されたことを検知した後に、人感センサの信号を検知しなくなった場合、蓋部を閉止するので、料理の盛り付けを行う利用者がいないことを確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るチューフィング装置の外観を示す斜視図である。
【図2】蓋部開閉機構の詳細を説明する図である。
【図3】(a)は、位置関係を側面から見た図、(b)は斜視図、(c)は重量を比較する図である。
【図4】(a)は、位置関係を側面から見た図、(b)は斜視図、(c)は重量を比較する図である。
【図5】本発明の実施形態に係るチューフィング装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るチューフィング装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るチューフィング装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明のチューフィング装置を利用する様子を説明する実施例である。
【図9】センサ部の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係るチューフィング装置の外観を示す斜視図である。このチューフィング装置50は、フードパン3と、フードパン3を開閉する蓋部1と、蓋部1を開閉自在に支持する蓋部開閉機構2と、蓋部開閉機構2を駆動する図示しない駆動部9と、これらを支持するベース部材4と、フードパン3を保温する保温器5と、図示しないトングを載置したか否かを検知したり、利用者が近接したか否かを検知するセンサ部6と、を備えて構成されている。尚、センサ部6はケーブル7により図示しない制御基板に接続されている。
【0012】
図2は蓋部開閉機構の詳細を説明する図である。蓋部開閉機構2は、ベース部材4に設けられた軸支部15により中間部適所を軸支されることにより上下方向へ揺動し、且つ前部に蓋部1を支持したアーム8と、アーム8の後部に配置された主錘部材10と、を備え、駆動部9は、主錘部材10との離間距離を変化させる副錘部材14を備え、副錘部材14を主錘部材10と接近させた時にアーム8を蓋部1を開放する方向へ揺動させ、副錘部材14を主錘部材10から離間させた時にアーム8を蓋部1を閉止する方向へ揺動させる。この図では、副錘部材14を主錘部材10から離間させてアーム8を蓋部1を閉止する方向に揺動している。
また、駆動部9は、ベース部材4に固定されたエンドプレート11支持されたモータ12と、モータ12の出力軸により一端を支持されて回動駆動される回動アーム13と、回動アーム13の他端に支持された副錘部材14と、を備え、副錘部材14が軸支部15よりも主錘部材10側に接近している時に蓋部1を開放し、副錘部材14が軸支部15よりも蓋部1側に接近している時に蓋部1を閉止する。尚、アーム8は支持棒18により連結され、蓋部1はサポート板17によりアーム8に固定されている。
【0013】
図3は蓋部が閉止されているときの各部の位置関係を示す図である。図3(a)は、位置関係を側面から見た図、図3(b)は斜視図である。ここで、主錘部材10を含む軸支部15の左側の重量をG1、蓋部1を含む軸支部15の右側の重量をG2、副錘部材14の重量をG3とする。そして、予めG1≒G2になるように設定しておく。この状態では、蓋部1と主錘部材10は平衡状態であるが、G3が軸支部15より右側にあるため、G1<G2+G3となり、蓋部1は副錘部材14の重量G3で閉止される。
【0014】
図4は蓋部が開放されているときの各部の位置関係を示す図である。図4(a)は、位置関係を側面から見た図、図4(b)は斜視図である。ここで、主錘部材10を含む軸支部15の左側の重量をG1、蓋部1を含む軸支部15の右側の重量をG2、副錘部材14の重量をG3とする。そして、予めG1≒G2になるように設定しておく。この状態では、蓋部1と主錘部材10は平衡状態であるが、G3が軸支部15より左側にあるため、G3+G1>G2となり、蓋部1は副錘部材14の重量G3で開放される。
即ち、蓋部開閉機構2は、アーム8の両端に主錘部材10と蓋部1を備え、そのアーム8を軸支部15により軸支されることにより、上下方向へ揺動する。そして、主錘部材10との離間距離を変化させる副錘部材14を備え、副錘部材14を主錘部材10に接近させることにより、アーム8を蓋部1を開放する方向に揺動させ、副錘部材14を主錘部材10から離間させることにより、アーム8を蓋部1を閉止する方向に揺動させる。これにより、蓋部1の開放を間接的に行うため、蓋部1に負荷がかかった場合でも、駆動部9を破損することを防止することができる。
【0015】
また、アーム8が主錘部材10と蓋部1により平衡している場合、何れかに重力を加えることにより、重心が移動してアーム8が揺動する。この原理を利用して、モータ12の出力軸により一端を支持されて回動駆動される回動アーム13を備え、その回動アーム13に副錘部材14を取り付けて回動アーム13を回転することにより、副錘部材14が蓋部1、又は主錘部材側10側に移動して、結果的にアーム8の重心を移動させる。これにより、モータ12を回転することで、アーム8の重心を徐々に何れか一方に移動することにより、アーム8の揺動をスムーズに行うことができる。
また、重心移動の速度は、回動アーム13の回転速度に比例する。従って、モータ12の回転速度を揺動開始時は遅くして、徐々に速くして、揺動終了間近で再び遅くすることにより、蓋部1の動きをより滑らかにすることができる。
【0016】
図5は本発明の実施形態に係るチューフィング装置の構成を示すブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。このチューフィング装置51は、図1の構成を備えたチューフィング50と、チューフィング50に人間が近接したことを検知する人感センサ20と、トング載置部6上のトングの有無を検知するトングセンサ21と、皿の重量を計測する皿重量計測器22と、人感センサ20、トングセンサ21、及び皿重量計測器22の状態に基づいて蓋部1の開閉を制御する制御部24と、を備えて構成されている。
【0017】
図6は本発明の第1の実施形態に係るチューフィング装置の動作を説明する図である。まず、チューフィング50の電源をONすると(S1でY)、制御部24は、蓋部(以下、カバーと呼ぶ)1の状態をチェックする(S2)。ここで、カバー1が開放されていた場合(S2でN)、カバー1を閉止して(S12)、人感センサ20がONかをチェックする(S3)。人感センサ20がOFFの場合は(S3でN)、タイマ23をリセットして(S13)、ステップS3に戻る。ステップS3で人感センサがONになると(S3でY)、タイマ23に所定の時間をセットして(S4)、人感センサ20が状態を維持しているかをチェックする(S5)。ここでタイムオーバになる前に人感センサ20がOFFになると(S5でN)、タイマ23を一旦リセットして最初からやり直す。ステップS5で人感センサ20がONで(S5でY)、所定の時間その状態が継続した場合(S6でY)、次にトング載置部26からトングが取り除かれたか否かをチェックする(S7)。トングセンサ21がONになると(S7でY)、カバー1を開放する(S8)。その後、トングがトング載置部26に戻され(S9でY)、人感センサ20がOFFになると(S11でY)、ステップS12に戻ってカバー1を閉止する。以下、この動作を繰り返す。
利用者がチューフィング50から料理を皿に盛り付ける手順としては、まず、利用者がチューフィング50に近接し、その後に、トング載置部26からトングを手にとってフードパン内の料理を皿に盛り付ける。従って、装置側としては、人感センサ20により利用者の存在を検知して、トングセンサ21によりトングの動作を検知してカバー1を開放する。つまり、利用者はチューフィング50に近づいて、そのまま離れてしまう場合もあるので、人感センサ20の信号だけでカバー1を開放したのでは、利用者が通過するたびにカバー1が動作してしまう。そこで本実施形態では、人感センサ20の信号を所定の時間以上検知し、且つトングセンサ21の信号を検知した場合のみ、カバー1を開放する。これにより、カバー1の不要な動作を防止して、正確に利用者を識別することができる。
【0018】
図7は本発明の第2の実施形態に係るチューフィング装置の動作を説明する図である。同じステップには同じステップ番号を付し説明を省略する。図7が図6と異なる点は、皿の重量を計測する皿重量計測器22を更に備え、ステップS5で人感センサ20がONで(S5でY)、所定の時間その状態が継続した場合(S6でY)、皿重量計測器22の値が減少したか否かをチェックし(S20)、利用者が皿を手にとることで皿重量計測器22の値が減少すると(S20でY)、ステップS7に進んでトングセンサの状態をチェックする点である。
即ち、利用者がチューフィング50から料理を皿に盛り付ける手順としては、まず、利用者がチューフィング50に近接し、皿を手にとった後に、トング載置部26からトングを手にとってフードパン内の料理を皿に盛り付ける。従って、装置側としては、人感センサ20により利用者の存在を検知して、皿重量計測器22による値が減少したことを検知し、その後、トングセンサ21によりトングの動作を検知してカバー1を開放する。つまり、利用者はチューフィング50に近づいて、トングを手にとったけど、気が変わってそのまま離れてしまう場合もあるので、人感センサ20とトングセンサ21の信号だけでカバー1を開放したのでは、真の利用者を識別することができない。そこで本実施形態では、人感センサ20の信号を所定の時間以上検知し、且つ、皿重量計測器22による値が減少したことを検知し、且つトングセンサ21の信号を検知した場合のみ、カバー1を開放する。これにより、カバー1の不要な動作を防止して、更に正確に利用者を識別することができる。
また、利用者は、皿に料理を盛り付け終わると、トングをトング載置部26に戻して、チューフィング50から離れる。そこで本実施形態では、トングセンサ21によりトングがトング載置部26に戻されたことを検知した後に、人感センサ20の信号を検知しなくなった場合、カバー1を閉止する。これにより、料理の盛り付けを行う利用者がいないことを確実に検知することができる。
【0019】
図8は、本発明のチューフィング装置を利用する様子を説明する実施例である。
(a):テーブル30の上にチューフィング装置51とセンサ部6が載置され、センサ部6は利用者が立つ位置に配置される。
(b):利用者31がセンサ部6の前に立つと、センサ部6の人感センサ20が人を検知する。
(c)次に、利用者31がトング載置部26にあるトング33を手32でつかむと、カバー1が自動的に開放する。
(d)そして、利用者はフードパン3内の料理を皿に盛り付け、トング33をトング載置部26に戻す。
(e)それを検知し、且つ利用者がセンサ部6から離れると、カバー1が自動的に閉止する。
【0020】
図9は、センサ部の実施例を示す図である。このセンサ部6は、ステンレス等で構成されたトング載置部26と、人感センサ20と、トングセンサ21とを備えて構成されている。トングセンサ21は、トング33を立てかけるバー34の近傍に手32が近接したことを検知するために、バー34の近傍で且つ上向きに設置される。また、人感センサ20は赤外線等の光を出射して、その反射を検知するセンサである。
【符号の説明】
【0021】
1 蓋部(カバー)、2 蓋部開閉機構、3 フードパン、4 ベース部材、5 保温器、6 センサ部、7 ケーブル、8 アーム、9 駆動部、10 主錘部材、11 エンドプレート、12 モータ、13 回動アーム、14 副錘部材、15 軸支部、16 支持体、17 サポート板、18 支持棒、50 チューフィング、51 チューフィング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードパンと、該フードパンを開閉する蓋部と、該蓋部を開閉自在に支持する蓋部開閉機構と、該蓋部開閉機構を駆動する駆動部と、これらを支持するベース部材と、を備えたチューフィングであって、
前記蓋部開閉機構は、前記ベース部材に設けられた軸支部により中間部適所を軸支されることにより上下方向へ揺動し、且つ前部に前記蓋部を支持したアームと、前記アームの後部に配置された主錘部材と、を備え、
前記駆動部は、前記主錘部材との離間距離を変化させる副錘部材を備え、該副錘部材を前記主錘部材と接近させた時に前記アームを前記蓋部を開放する方向へ揺動させ、該副錘部材を前記主錘部材から離間させた時に前記アームを前記蓋部を閉止する方向へ揺動させることを特徴とするチューフィング。
【請求項2】
前記駆動部は、前記ベース部材に支持されたモータと、該モータの出力軸により一端を支持されて回動駆動される回動アームと、該回動アームの他端に支持された前記副錘部材と、を備え、
前記副錘部材が前記軸支部よりも前記主錘部材側に接近している時に前記蓋部を開放し、前記副錘部材が前記軸支部よりも前記蓋部側に接近している時に前記蓋部を閉止することを特徴とする請求項1に記載のチューフィング。
【請求項3】
前記駆動部は、前記モータの回転速度を変化させることにより、前記蓋部の揺動速度を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のチューフィング。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のチューフィングと、該チューフィングに人間が近接したことを検知する人感センサと、トング載置部上のトングの有無を検知するトングセンサと、前記人感センサ、及びトングセンサの状態に基づいて前記蓋部の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記人感センサの信号を所定の時間継続して検知した後に、前記トングセンサの信号を検知した場合、前記蓋部を開放するように前記駆動部を制御することを特徴とするチューフィング装置。
【請求項5】
皿の重量を計測する皿重量計測器を更に備え、前記制御部は、前記人感センサの信号を所定の時間継続して検知した後に、前記皿重量計測器による値が減少したことを検知し、且つ前記トングセンサの信号を検知した場合、前記蓋部を開放するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項4に記載のチューフィング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記トングセンサにより前記トングが前記トング載置部に戻されたことを検知した後に、前記人感センサの信号を検知しなくなった場合、前記蓋部を閉止するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項4又は5に記載のチューフィング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−104247(P2011−104247A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264909(P2009−264909)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(509322465)有限会社サーマル (1)
【Fターム(参考)】