説明

チューブ形状保持具

【課題】チューブを所定形状に保持して、燃料タンクの内壁に接触することを確実に防止することができる、チューブ保持具を提供する。
【解決手段】このチューブ形状保持具10は、バルブケース6の外周を抱持する一対のバルブ保持体21,22を有するバルブホルダ20と、チューブ8のチューブ接続管8aとの接続部分から所定長さまでの外周部分を抱持して、チューブ8を所定形状に保持する一対のチューブ保持体31,32を有するチューブホルダ30とを有し、バルブ保持体21とチューブ保持体31、及び、バルブ保持体22とチューブ保持体32が一体形成されており、一体化されたものどうしを連結するクリップ40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の燃料タンク内に配設されるバルブと、このバルブに接続されるチューブに装着され、バルブに対してチューブを位置決めするための、チューブ形状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンク内には、燃料の外部漏出を防止するためのカットバルブや、燃料給油時の満タン規制を図るための満タン規制バルブ、タンク内圧を調整するためのチェックバルブなどの、様々なバルブが配設されている。このようなバルブは、燃料タンクの容量を確保すべく、燃料タンクのなるべく上方に配設されることが要求されており、例えば、燃料タンクの上壁の一部が盛り上った形状をなす場合、この盛り上がった部分の内側に配設することもある。そして、これらのバルブには、他のバルブやタンク外に設けられたキャニスタ等と連結させるための、チューブが接続されている。
【0003】
このようなチューブは、燃料タンクの内壁の形状に沿って、内壁と所定のクリアランスをあけて配設されることが一般的である。図7には、そのようなチューブの配設状態の一例が示されている。すなわち、燃料タンク1の上方に突出部2が設けられており、この突出部2の内側に図示しないバルブが配設され、このバルブのチューブ接続管7にチューブ8の一端が接続され、このチューブ8の他端は、燃料タンク1内に配設された他のバルブのチューブ接続管7に接続されている。そして、チューブ8の中間部分が、燃料タンク1の内壁3との間に所定のクリアランスをあけ、内壁3の形状に沿って屈曲されて配設されている。なお、このようなチューブ8は、予め熱曲げ加工されて所定の屈曲形状に付形されていることが多い。
【0004】
しかしながら、予め熱曲げ加工されたチューブ8に、燃料タンク1の焼付塗装等によって高熱が付加されると、熱曲げ加工前の元の形状に戻ってしまって(スプリングバックという)、燃料タンク1の内壁3に接触してしまうことがあった(図7の想像線参照)。特にチューブ8の両端部が、チューブ接続管7,7により保持されている場合には、チューブ8の中間部分が変形しやすく、図7の想像線で示すように、燃料タンク1の内壁3に接触しやすいという不都合があった。また、スプリングバックによる変形だけでなく、チューブ8に燃料が付着した場合には、チューブ8が膨潤してしまって、燃料タンク1の内壁3に接触してしまうこともある。このように、チューブ8が燃料タンク1の内壁3に接触してしまうと、燃料タンク1の内壁3が摩耗して、さびたり、損傷してしまうことがあった。
【0005】
そこで、チューブを所定形状に保持するためのチューブ形状保持具が用いられることがある。従来のこの種のチューブ形状保持具として、下記特許文献1には、チューブが挿入されて所定形状に保持する凹部を有する保持具本体と、凹部に挿入されたチューブを抜け止めする押え部材と、この押え部材を保持具本体に係止させる係止手段とを備えた、チューブ形状保持具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−112495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のチューブ形状保持具を用いて、チューブの保持を行った場合は、保持具により、チューブの中間部分が保持され、バルブのチューブ接続管により、チューブの両端部が保持される。しかしながら、チューブの、保持具で保持される部分とチューブ接続管で保持される部分との間の部分は、何ら保持されていないので、この部分の変形を確実に防止することは難しく、燃料タンクの内壁に接触する虞れは解消できない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、チューブを所定形状に保持して、燃料タンクの内壁に接触することを確実に防止することができる、チューブ保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のチューブ形状保持具は、バルブケース及びチューブ接続管を有し、燃料タンク内に配設されるバルブと、前記チューブ接続管に接続されるチューブとに装着され、前記バルブに対して前記チューブを位置決めするものであって、前記バルブケースの外周を抱持する一対のバルブ保持体を有するバルブホルダと、前記チューブの、前記チューブ接続管との接続部分から所定長さまでの外周部分を抱持して、前記チューブを所定形状に保持する一対のチューブ保持体を有するチューブホルダとを有し、前記バルブ保持体の一方と前記チューブ保持体の一方、及び、前記バルブ保持体の他方と前記チューブ保持体の他方が一体形成されており、一対のバルブ保持体及び/又は一対のチューブ保持体には、保持体どうしを連結するクリップが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のチューブ形状保持具においては、前記バルブ保持体は、前記バルブケースの周方向に沿って伸び、軸方向に所定間隔をあけて配置された複数のバンド部と、前記バルブケースの軸方向に沿って伸びると共に周方向に所定間隔で複数設けられ、前記複数のバンド部どうしを連結する連結壁とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一体形成されたバルブ保持体の一方とチューブ保持体の一方、及び、同じく一体形成されたバルブ保持体の他方とチューブ保持体の他方で、バルブ外周及びチューブ外周を挟み込み、クリップによって、一対のバルブ保持体どうし及び/又は一対のチューブ保持体どうしを連結することにより、バルブにバルブホルダを取付けることができると共に、チューブホルダによってチューブを所定形状に保持することができ、例えば、熱曲げ加工され所定形状に保持されたチューブがスプリングバック(熱曲げ加工前の元の形状に戻ろうとすること)で変形したり、燃料の浸漬による膨潤でチューブが変形したりすることを防止することができる。その結果、チューブが燃料タンク内壁に接触することを効果的に防止することができ、燃料タンクの錆や摩耗を抑制して、孔が開くのを防ぐことができる。
【0012】
また、チューブホルダのチューブ保持体とバルブホルダのホルダ保持体とが一体形成されているので、バルブに取付けられたバルブホルダ及びチューブ形状を保持するチューブホルダによって、バルブに対してチューブを所定形状にしっかりと保持させることができ、燃料タンク内壁へのチューブの接触を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るチューブ形状保持具の、一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同チューブ形状保持具を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】同チューブ形状保持具を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】同チューブ形状保持具において、クリップの連結状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】同チューブ形状保持部を用いて、燃料タンク内にチューブを配設した状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係るチューブ形状保持具の他の実施形態を示す正面図である。
【図7】従来の、燃料タンク内に配設されたチューブの問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜5を参照して、本発明に係るチューブ形状保持具の一実施形態について説明する。
【0015】
図5に示すように、このチューブ形状保持具10は、燃料タンク1の内部に配設されたバルブ5と、このバルブ5に接続されるチューブ8とに装着されて、バルブ5に対してチューブ8を位置決めするためのものである。前記燃料タンク1は、その上方に突出部2が設けられており、この突出部2の内側にバルブ5が配設されるようになっている(図5参照)。
【0016】
この実施形態におけるバルブ5は、図示しないフロート弁が内蔵された有底円筒状のバルブケース6と、このバルブケース6の上方から突出し、チューブ8が接続されるチューブ接続管7(図2参照)とを有しており、自動車が旋回したり傾いたりしたときに、燃料タンク内の燃料が燃料タンク外へ漏れるのを防止するカットバルブとして機能するものである。なお、バルブとしては、給油時に給油量の上限値で給油を停止させるための満タン規制バルブや、燃料タンク内の圧力が上昇したときに、燃料蒸気を外部に排出して燃料タンクの破裂等を防ぐ一方、燃料タンク内の圧力が低下したときには、燃料タンク外から外気を流入させて、燃料タンクの潰れ等を防止するチェックバルブとして機能するものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0017】
一方、前記チューブ8は、前記バルブ5と同様に燃料タンク1の内部に配設されるもので、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどの耐熱性、耐油性に優れた合成樹脂で形成されたものを好ましく用いることができる。また、この実施形態におけるチューブ8は、予め熱曲げ加工されており、所定の屈曲形状に付形されている。
【0018】
図1〜3に示すように、このチューブ形状保持具10は、前記バルブ5を保持するバルブホルダ20と、前記チューブ8を所定形状に保持するチューブホルダ30と、両ホルダ20,30どうしを互いに連結するクリップ40とを備えている。なお、図1及び図2には、便宜上、バルブ5を底面側から見た状態が示されている。
【0019】
前記バルブホルダ20は、バルブ5のバルブケース6の外周を抱持する、すなわち、抱え込むようにして保持する、一対のバルブ保持体21,22を有している。図2及び図3(a),(b)に示すように、この実施形態における各バルブ保持体21,22は、円筒状のバルブケース6の外周を均等に抱持すべく、半割の円筒形状をなしており、両者を対向させて配置したときに円筒状になるようになっている。
【0020】
より具体的に説明すると、各バルブ保持体21,22は、バルブケース6の周方向に沿って、半円弧状に湾曲して伸びると共に、軸方向に所定間隔をあけて配置された上下一対のバンド部23,24と、バルブケース6の軸方向に沿って伸びると共に、周方向に所定間隔で複数設けられ、バンド部23,24どうしを連結する連結壁25,26,27とを有している。
【0021】
この実施形態では図1に示すように、バルブケース6に形成されたケース内外を連通させる通気孔6aよりも、バルブ上方側(図1の下側)がバンド部23により保持され、同通気孔6aよりもバルブ下方側(図1の上側)がバンド部24に保持されており、両バンド部23,24により通気孔6aが塞がれないようになっている。
【0022】
また、図2及び図3(b)に示すように、一方のバンド部23の、バルブケース6の軸方向に沿った幅は、他方のバンド部24よりも幅広に形成されている。更に各連結壁25,26,27の両端部25a,26a,27aは、バンド部23,24の軸方向端面から所定長さで突出している(図3(b)参照)。また、図3(a)に示すように、各連結壁25,26,27のバルブケース6の周方向に沿った幅は、周方向一端側に配置された連結壁27が最も幅広で、周方向他端側に配置された連結壁25が前記連結壁27よりも幅狭で、周方向中央に配置された連結壁26が最も幅狭となっている。
【0023】
更に図2及び図3(a)に示すように、周方向一端側(チューブホルダ30側)に配置された連結壁27は、バルブケース6の周方向に沿って伸びる横壁27bと、同バルブケース6の半径方向外方に向けて延出した縦壁27cとから構成されており、この縦壁27cのバンド部23寄りの位置に(バルブ上方側)、略L字状をなしたチューブホルダ接続部28がそれぞれ突設されている。
【0024】
なお、この実施形態では、各バルブ保持体21,22は、一対のバンド部23,24及び3つの連結壁25,26,27で構成され、これらのバンド部及び連結壁の幅も、上述のように設定されているが、この態様に限定されるものではなく、バンド部や連結壁の個数や幅は適宜選択することができる。また、各バルブ保持体21,22は半割円筒形状をなしているが、この形状に限定されるものではない。
【0025】
一方、チューブホルダ30は、チューブ8の、バルブ5のチューブ接続管7との接続部分8a(図2参照)から所定長さまでの外周部分を抱持して、チューブ8を所定形状に保持する一対のチューブ保持体31,32を有している。
【0026】
図2に示すように、この実施形態における各チューブ保持体31,32は、円筒状のチューブ8の外周を均等に抱持すべく、半割の円筒形状をなしており、両者を対向させて配置したときに円筒状になるようになっている。また、各チューブ保持体31,32は、平面的に見てエルボ状に屈曲した形状をなしている(図3(b)参照)。更に各チューブ保持体31,32の長手方向の基端部34は、それ以外の部分よりもやや拡径した形状をなしており、チューブ接続管7が差し込まれて拡径したチューブ8の、チューブ接続管7との接続部分8a(図2参照)の外周を保持可能となっている。
【0027】
そして、図2及び図3(b)に示すように、チューブ保持体31の先端部35をバルブ下方側(図中上側)に向けて、チューブ保持体31の基端部34がバルブ保持体21のチューブホルダ接続部28に接続されて、バルブ保持体21とチューブ保持体31とが一体形成されていると共に、同じくチューブ保持体32の先端部35をバルブ下方側(図中上側)に向けて、チューブ保持体32の基端部34がバルブ保持体22のチューブホルダ接続部28に接続されて、バルブ保持体22とチューブ保持体32とが一体形成されている。
【0028】
また、この実施形態でのチューブ保持体31,32は、エルボ状に屈曲した形状をなし、その先端部35が燃料タンク1の下方側に向けて配置されるようになっているが(図5参照)、保持すべきチューブ8の形状やバルブ5に対する向き等に応じて、様々な形状とすることができ、特に限定されるものではない。
【0029】
更に図2の部分拡大図に示すように、各チューブ保持体31,32の長手方向の先端部35,35どうしは、薄肉のヒンジ37により連結されており、このヒンジ37を介してチューブ保持体31,32を近接離反させることが可能となっている。
【0030】
また、この実施形態では、ヒンジ37を介して、チューブ形状保持具10の全体が一体成形されている。
【0031】
なお、この実施形態での各チューブ保持体31,32は半割円筒形状をなしているが、例えば、チューブ保持体の一方を断面U字形で樋状に伸びる形状とし、他方を蓋状としてもよく、チューブを抱持可能な形状であれば特に限定されない。また、薄肉のヒンジ37の位置は、チューブ保持体31,31の先端部35,35に限られず、チューブ保持体31の基端部34側や長手方向途中に設けてもよく、また、複数設けてもよい。
【0032】
上記のように、一体化されたバルブ保持体21とチューブ保持体31、及び、一体化されたバルブ保持体22とチューブ保持体32は、クリップ40によって連結されるようになっている。
【0033】
この実施形態におけるクリップ40は、バルブ保持体21に設けられた係合爪41と、バルブ保持体22に設けられた係合保持部45とから構成されている。より具体的には、図1及び図2に示すように、バルブ保持体21の、幅広のバンド部23の周方向他端側の端面から、バルブケース6の周方向に沿って係合爪41が延出されている。この係合爪41の先端部43の外面には、先端に向かって次第に高さが低くなるように傾斜するテーパ面43aが形成されている(図2の部分拡大斜視図参照)。
【0034】
一方、バルブ保持体22の、幅広のバンド部23の周方向他端側の端面からは、バルブケース6の周方向に沿って、略コ字形の枠状をなした係合保持部45が延出されている。また、図2の部分拡大斜視図に示すように、この係合保持部45の裏面側には、前記係合爪41が挿入される挿入溝46が形成されていると共に、係合爪41が係合する開口部47が形成されている。
【0035】
そして、図4に示すように、両バルブ保持体21,22でバルブケース6の外周を抱持すると共に、挿入溝46を通して前記係合爪41を係合保持部45の開口部47の周縁に係合させることにより、両バルブ保持体21,22が閉じた状態に保持されるようになっている。
【0036】
なお、前記クリップ40は、上述したような係合爪41及び枠状の係合保持部45に限定されるものではなく、例えば、バルブ保持体21,22の一方に係止孔や係止段部を設け、他方にこれに係合する係合爪を設けたりしてもよく、バルブの形状や大きさ等に応じて適宜選択することができる。また、この実施形態では、バルブホルダ20側にクリップ40が設けられているが、チューブホルダ30側にクリップ40を設けてもよく、バルブホルダ20及びチューブホルダ30の双方にクリップ40を設けてもよい。
【0037】
以上説明したバルブホルダ20、チューブホルダ30、クリップ40は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタート(PBT)等の合成樹脂により一体形成されている。
【0038】
次に上記構造からなるチューブ形状保持具の使用方法及び作用効果について説明する。
【0039】
まず、燃料タンク1の内部に配設されるチューブ8の一端部側を、チューブホルダ30の屈曲形状に合わせてエルボ形状に予め熱曲げ加工しておき、このチューブ8の一端部内周にバルブ5のチューブ接続管7を圧入して、チューブ接続管7にチューブ8を接続する(図2参照)。
【0040】
そして、図2及び図3に示すように、一体化されたバルブ保持体21とチューブ保持体31、及び、一体化されたバルブ保持体22とチューブ保持体32を、薄肉のヒンジ37を介して互いに離して開いた状態とする。この状態で、バルブ保持体21をバルブケース6の外周に被せると共に、チューブ保持体31をチューブ8の外周に被せることで、バルブケース6の外周半分がバルブ保持体21により保持され、チューブ8の外周半分がチューブ保持体31により保持される。
【0041】
次いで、バルブ保持体21とチューブ保持体31に対して、薄肉のヒンジ37の部分で曲げて、バルブ保持体22とチューブ保持体32を近づけて閉じていき、チューブ保持体32をチューブ8の外周に被せると共に、バルブ保持体22をバルブケース6の外周に被せていく。すると、チューブ8の外周がチューブ保持体31により覆われていくと共に、バルブケース6の外周がバルブ保持体32により覆われていく。そして、バルブ保持体22から延出した係合保持部45が、バルブ保持体21から延出した係合爪41に近づき、係合保持部45の挿入溝46内に係合爪41の先端部43が挿入されると、そのテーパ面43aにより係合保持部45が押圧されて外方にやや広がり、係合爪41が係合保持部45の開口部47に至ると、係合保持部45が弾性復帰して、図4に示すように係合爪41が開口部47の周縁に係合する。その結果、バルブ保持体21,22が閉じて、バルブケース6の外周が抱持され、バルブ5にバルブホルダ20を取付けることができると共に、チューブ保持体31,32が閉じて、チューブ8の外周が抱持されて、チューブ8を所定の屈曲形状に保持しつつ、チューブホルダ30を取付けることができる。なお、バルブ保持体21,22及びチューブ保持体31,32の取付け作業は、上記手順に限定されるものではない。
【0042】
その後、図5に示すように、燃料タンク1の上方の突出部2の内壁3に、ブラケット9を介してバルブ5を取付けると共に、チューブ8の所定位置をチューブクリップ4で保持し、このチューブクリップ4をブラケット9を介して燃料タンク1の内壁3に取付け、更に図示しない他のバルブを燃料タンク1の所定位置に取付けて、燃料タンク1の内部にチューブ8を配設させる。
【0043】
このとき、チューブ8は、チューブホルダ30のチューブ保持体31,32により抱持されて、所定の屈曲形状に保持されるので、例えば、燃料タンク1の焼付塗装等によって、予め熱曲げ加工されて所定形状に付形されたチューブ8に高熱が付加されても、チューブ8がスプリングバックして変形することを防止することができ、或いは、チューブ8に燃料が浸漬して膨潤してもチューブ8の変形を防止することができ、燃料タンク1の内壁3とチューブ8とのクリアランスを十分に確保することができる(図5参照)。その結果、チューブ8が、燃料タンク1の内壁3に接触することを効果的に防止することができ、燃料タンク1の内壁3が摩耗して錆が生じたり、損傷したりすることを抑制して、内壁3に孔が開くのを防ぐことができる。
【0044】
そして、このチューブ形状保持具10においては、バルブ保持体21とチューブ保持体31とが一体形成され、バルブ保持体22とチューブ保持体32とが一体形成されているので、バルブ5に対してチューブ8を所定の屈曲形状にしっかりと保持させることができ、特に、チューブ8のチューブ接続管7との接続部分8aを含めた、チューブ8の一端部から所定長さの範囲を確実に保持することができ、燃料タンク1の内壁3にチューブ8が接触することを、より確実に防止することができる。
【0045】
また、この実施形態においては、バルブホルダ20を構成する各バルブ保持体21,22は、バルブケース6の周方向に沿って伸び、所定間隔をあけて配置された複数のバンド部23,24を有しているので、バルブケース6に形成された通気孔6aが塞がれることを防止することができ(図1参照)、バルブケース6内への燃料蒸気や燃料の流通をスムーズに行わせることができる。更に、バルブケース6の軸方向に伸びる複数の連結壁25,26,27を有しているので、これら連結壁25,26,27が、バルブケース6の外周に当接して、バルブケース6に対してバルブホルダ20及びチューブホルダ30をガタ付きなくしっかりと保持させることができ、チューブ8をより確実に所定の屈曲形状に保持することができる。特にこの実施形態では、バンド部23,24の軸方向端面から、各連結壁25,26,27の両端部25a,26a,27aが所定長さで突出しているので、バルブ5が傾いたり振動したりしても、各連結壁25,26,27の両端部25a,26a,27aがバルブケース6の外周に効果的に当接して、ガタ付きをより確実に防止することができる。
【0046】
なお、この実施形態では、チューブ8の一端部側が、チューブホルダ30の屈曲形状に合わせてエルボ形状に予め熱曲げ加工されているが、例えば、チューブホルダ30の屈曲形状と整合するように正確に熱曲げ加工せずに、チューブ8を適当に曲げておき、チューブ保持体31,32で抱持させることで、その屈曲形状に沿ってチューブ8を屈曲させてもよい。
【0047】
図6には、本発明に係るチューブ形状保持具の他の実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0048】
この実施形態におけるチューブ形状保持具10aは、クリップ40の構造が異なっている。すなわち、図6に示すように、チューブ保持体31の拡径した基端部34の周方向両端部に、係合爪41,41がそれぞれ設けられていると共に、チューブ保持体32の基端部34の周方向両端部に、係合保持部45,45がそれぞれ設けられている。
【0049】
そして、一体化されたバルブ保持体21とチューブ保持体31、及び、一体化されたバルブ保持体22とチューブ保持体32を閉じて、バルブ保持体21側の係合爪41を、バルブ保持体22側の係合保持部45に係合させると共に、チューブ保持体31側の係合爪41,41を、チューブ保持体32側の係合保持部45,45にそれぞれ係合させることで、バルブホルダ20及びチューブホルダ30を取付けることができる。
【0050】
この場合、チューブ保持体31,32の基端部34,34どうしが、一対のクリップ40,40によって連結されるので、チューブ保持体31とチューブ保持体32との連結強度を高めることができる。
【0051】
なお、このようにクリップ40を複数箇所に設けた場合には、ヒンジ37を設けることなく、バルブ保持体21及びチューブ保持体31の部分と、バルブ保持体22及びチューブ保持体32の部分とを分離して、2部品で構成することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 燃料タンク
5 バルブ
6 バルブケース
10,10a チューブ形状保持具
20 バルブホルダ
21,22 バルブ保持体
23,24 バンド部
25,26,27 連結壁
30 チューブホルダ
31,32 チューブ保持体
40 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブケース及びチューブ接続管を有し、燃料タンク内に配設されるバルブと、前記チューブ接続管に接続されるチューブとに装着され、前記バルブに対して前記チューブを位置決めするチューブ形状保持具であって、
前記バルブケースの外周を抱持する一対のバルブ保持体を有するバルブホルダと、
前記チューブの、前記チューブ接続管との接続部分から所定長さまでの外周部分を抱持して、前記チューブを所定形状に保持する一対のチューブ保持体を有するチューブホルダとを有し、
前記バルブ保持体の一方と前記チューブ保持体の一方、及び、前記バルブ保持体の他方と前記チューブ保持体の他方が一体形成されており、
一対のバルブ保持体及び/又は一対のチューブ保持体には、保持体どうしを連結するクリップが設けられていることを特徴とするチューブ形状保持具。
【請求項2】
前記バルブ保持体は、前記バルブケースの周方向に沿って伸び、軸方向に所定間隔をあけて配置された複数のバンド部と、前記バルブケースの軸方向に沿って伸びると共に周方向に所定間隔で複数設けられ、前記複数のバンド部どうしを連結する連結壁とを有している請求項1記載のチューブ保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43498(P2013−43498A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181257(P2011−181257)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】