説明

チロシンキナーゼ阻害剤

本発明は、細胞増殖性疾患を治療するため、MET活性に関連した疾患を治療するため、及び受容体チロシンキナーゼMETを阻害するために有用である、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン誘導体に関する。本発明はまた、これらの化合物を含んでなる組成物及び、哺乳動物の癌を治療するべくそれらを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼMETの阻害剤であり、細胞増殖性疾患、特に癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫疾患、及び炎症の治療において有用である、5H−ピリド[4,5]シクロヘプタ[1,2−5b]ピリジン化合物及び関連化合物に関する。
【0002】
シグナル伝達経路についての研究は、癌療法における治療的阻害のための、種々の有望な分子標的を生み出してきた。受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、かかる治療標的の1つの重要なクラスを代表する。最近、METプロトオンコジーンファミリーのメンバー、受容体チロシンキナーゼのサブファミリーが、浸潤と転移との間の関連に特別の関心を呼んでいる。MET(c−Metとも呼ばれる)及びRON受容体を含め、METファミリーは、殆どのチロシンキナーゼと同様に、発癌遺伝子として機能することが可能である。METは、様々な悪性疾患において、過剰発現及び/又は突然変異されることが示されている。多くのMET活性化突然変異は、その多くがチロシンキナーゼドメインに局在するが、種々の固形腫瘍において検出されており、腫瘍細胞の浸潤及び転移に関連づけられてきた。
【0003】
c−METプロトオンコジーンは、MET受容体チロシンキナーゼをコードしている。MET受容体は、190kDaのグリコシル化されたダイマー型の複合体であり、145kDaのベータ鎖へジスルフィド結合された50kDaのアルファ鎖からなる。アルファ鎖は、細胞外で検出されるのに対し、ベータ鎖は細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含有する。METは前駆体として合成され、タンパク質分解により切断されて、成熟型のアルファ及びベータサブユニットを生じる。それは、細胞−細胞相互作用に関与するリガンド−受容体ファミリー、セマフォリン及びプレキシンに構造上の類似性を示す。
【0004】
METの天然産リガンドは、肝細胞成長因子(HGF)であって、ジスルフィド結合された散乱因子ファミリーのヘテロダイマー型メンバーであり、大部分は間充織細胞によって産生され、主としてMET発現性の上皮及び内皮細胞に対し、内分泌及び/又はパラ分泌(paraendocrine)様式で作用する。HGFは、プラスミノーゲンに対しいくらかの相同性を有する。
【0005】
肝細胞成長因子(散乱因子、HGF/SFとしても知られる)によるMETの刺激は、結果として、細胞における生物学的及び生化学的影響である多血症を生じることが知られている。c−Metシグナリングの活性化は、増殖、生存、血管形成、損傷治癒、組織再生、散乱、運動性、浸潤、及び分枝形態形成を含む広く多様な細胞応答をもたらすことが可能である。HGF/METシグナリングはまた、軟骨、骨、血管、及びニューロンを含む、殆どの組織において検出される浸潤性増殖においても、重要な役割を果たす。
【0006】
様々なc−MET突然変異が、多数の固形腫瘍及びいくつかの血液学的悪性疾患において、充分に記述されてきた。プロトタイプ型c−MET突然変異の実例は、遺伝性及び散発性のヒト乳頭状腎癌において見られる(シュミット(Schmidt,L.)ら著、「(Nat.Tenet.)」、1997年、第16巻、p.68−73;ジェファース(Jeffers,M.)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc.Nat.Acad.Sci.)」、1997年、第94巻、p.11445−11500)。他の報告されたc−MET突然変異の実例は、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、及び胃癌を包含する。HGF/METは、頭頸部扁平上皮細胞癌細胞においてアノイキス、懸濁誘導性のプログラムされた細胞死(アポトーシス)、を阻害することが示されている。
【0007】
METシグナリングは、種々の癌、特に腎臓癌に関係する。METと結腸直腸癌との間の関連性もまた確立されている。結腸直腸癌進行の間のc−MET発現の分析は、分析された癌腫標本の50%が、隣接する正常な結腸粘膜に対し、5〜50倍高いレベルのMETmRNA転写物及びタンパク質を発現することを示した。加えて、原発腫瘍に比較した場合、結腸直腸癌肝転移の70%が、METの過剰発現を示した。
【0008】
METはまた、グリア芽細胞腫にも関連づけられる。高度悪性神経膠腫は、最も一般的な中枢神経系の癌である。外科的切除、放射線療法、及び化学療法による治療にもかかわらず、平均全生存は<1.5年であり、>3年を生存する患者は殆どない。ヒト悪性神経膠腫は、しばしばHGF及びMETの双方を発現し、生物学的に重要なオートクリンループを確立することが可能である。神経膠腫のMET発現は、神経膠腫の段階と相関関係があり、ヒト腫瘍標本の分析は、悪性神経膠腫が、低度神経膠腫よりも7倍高いHGF含量を有することを示した。多くの研究は、ヒト神経膠腫が、しばしばHGFとMETを同時発現すること、及び、高レベルの発現が悪性の進行に関連づけられることを証明してきた。さらに、HGF−METがAktを活性化することが可能であって、インビトロ及びインビボの双方において、神経膠腫細胞系をアポトーシス死から防御することが示された。
【0009】
RONは、METと類似した構造、生化学的特徴、及び生物学的性質を共有している。研究は、RONの過剰発現を、乳癌及び結腸直腸腺癌のかなりの部分において示してきたが、正常な乳腺上皮及び良性病変では示していない。架橋実験は、RON及びMETが、細胞表面上で非共有結合性の複合体を形成し、細胞内シグナリングにおいて協同作用することを示している。RON及びMET遺伝子は、卵巣癌細胞の運動性及び侵襲性において有意に同時発現される。このことは、これら2つの関連受容体の同時発現が、卵巣癌細胞に、腫瘍の発症又は進行を通して、選択的な利点を与え得ることを示唆している。
【0010】
MET及び、発癌遺伝子としてのその機能については、最近いくつかの総説が出版された:「キャンサー・アンド・メタスタシス・レビュー(Cancer and Metastasis Review)」、2003年、第22巻、p.309−325;「ネイチャー・レビューズ/モレキュラー・セル・バイオロジー(Nature Reviews/Molecular Cell Biology)」、2003年、第4巻、p.915−925;「ネイチャー・レビューズ/キャンサー(Nature Reviews/Cancer)」、2002年、第2巻、p.289−300。
【0011】
多くの腫瘍において、HGF/METシグナリングの異常調節が、腫瘍発生及び疾病進行の一因子として関係づけられてきたことから、この重要なRTK分子の治療的阻害に向けて、様々な戦略が研究されるべきである。HGF/METシグナリングに対する、またRON/METシグナリングに対する、特異的な低分子阻害剤は、浸潤性/転移性の表現型にMet活性が寄与している癌の治療のために、重要な治療的価値を有する。
【発明の開示】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、細胞増殖性疾患の治療のため、MET活性に関連する疾患の治療のため、及び受容体チロシンキナーゼMETを阻害するために有用である、5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン誘導体に関する。本発明化合物は、式I:
【0013】
【化1】

【0014】
によって説明され得る。
【0015】
(発明の詳細な記載)
本発明化合物は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼMETの阻害において有用であり、かつ、式I:
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、
A及びDは、独立して、−NR10−及び−CR−から選択され、ただし、Aが−NR10−のとき、Dは−CR−であり、Dが−NR10−のとき、Aは−CR−であり;
E、G、及びJは、独立して、O、S、−NR10−、及び−CR−から選択され;
Lは:結合、N、及び−CR−から選択され、ただし、E、G、及びJのうちの1つがO又はSのとき、Lは結合であり;
Mは:−CR−、−C(=O)−、−C(=N−OR)−、−NR10C(=O)−、及び−C(=O)NR10−から選択され;
Q、V、及びXは、独立して;N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、Q、及びVの少なくとも1つが−CR−ではないか、或いはA及びDの少なくとも1つが−(CR−ではないか、或いはMが−CR−、−C(=O)−、又は−C(=N−OR)−ではなく;
破線は、任意の二重結合を表し;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、−O−C1−6アルキル、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、独立して、水素、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、OH、NO、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)mR
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、
19)OSiR、又は
20)NO
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩又は立体異性体によって説明される。
【0018】
本発明のもう1つの実施態様は、式II:
【0019】
【化3】

【0020】
[式中、
E、G、及びJは、独立して、N及び−CR−から選択され;
Lは:N及び−CR−から選択され;
Mは:−CR−、−C(=O)−、及び−C(=N−OR)−から選択され;
Q、V、及びXは、独立して、N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、Q、及びVの少なくとも1つが−CR−ではなく;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、独立して、水素、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、水素、C1−6アルキル、OH、NO、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)mR
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、
19)OSiR、又は
20)NO
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩又は立体異性体によって説明される。
【0021】
本発明のもう1つの実施態様は、式III:
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、
E、G、及びJは、独立して、−NR10−及び−CR−から選択され;
Lは:N及び−CR−から選択され;
Q、及びXは、独立して、N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、及びQの少なくとも1つが−CR−ではなく;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)mR
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、又は
19)OSiR
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩によって説明される。
【0024】
本発明化合物の具体的な実例は:
3−クロロ−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
11−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
10−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−アミノ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N’−(3−クロロ−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)−N,N−ジメチルスルファミド;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N,N−ジメチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド;
7−メトキシ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;及び
3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[2’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N’−[3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N,N−ジメチルスルファミド;
N,N−ジメチル−N’−{5−オキソ−3−[1−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル}スルファミド;
3−クロロ−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,3−ジメチルベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
(2R)−N−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−2−(ピロリジン−1−イルメチル)ピロリジン−1−スルホンアミド;
N−(1,4−ジオキサン−2−イルメチル)−N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド;
N−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]ピリジン−2−カルボキシアミド;
N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)スルファミド;
N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメチル)スルファミド;
7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−3−[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
tert−ブチル 4−[5−(7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−3−イル)ピリジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート;
7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−3−(6−ピペラジン−1−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−[(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)アミノ]5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−{[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−(1−フルオロエチル)−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−(1−ヒドロキシエチル)−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−エチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
又は医薬的なその塩を包含する。
【0025】
本発明化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「ステレオケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Stereochemistry of Carbon Compounds)(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190に記述されたような)を有してよく、またラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じてもよく、光学異性体を含むその可能な異性体及びそれらの混合物とともに、かかる立体異性体の全てが本発明に包含される。加えて、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、一方の互変異性構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が、本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【0026】
任意の構造において、可変基(例えば、R、R、Rなど)が1回以上出現する場合、その出現ごとの定義は、他のあらゆる出現においては無関係である。同様に、置換基と変数との組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容され得る。置換基から環系内へ引かれた直線は、示された結合が任意の置換可能な環原子へ結合されてよいことを表している。環系が多環である場合、結合は、近位の環のみの、任意の適当な炭素原子へ結合されることが意図される。
【0027】
本発明化合物上の置換基及び置換パターンは、化学的に安定な化合物であり、かつ、当該技術分野における技術上既知の方法、並びに以下に示された方法により、容易に入手可能な出発原料から容易に合成可能である化合物を提供するべく、当業者により選択されることが可能であると理解される。置換基がそれ自体1以上の基によって置換されている場合、結果として安定な構造を生じる限り、こうした多数の基が、同一の炭素又は異なる炭素上にあってもよいと理解される。句「1以上の置換基で置換されていてもよい」は、句「少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい」と同等であると理解されるべきであり、かかる場合、もう1つの実施態様は、ゼロから3個までの置換基を有することができる。
【0028】
本明細書で使用される「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有する、分枝鎖及び直鎖双方の脂肪族飽和炭化水素基を包含することが意図される。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素を、直線的又は分枝した配列中に有する基を包含することが意図される。例えば、「C−C10アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルなどを包含する。用語「シクロアルキル」は、明示された数の炭素原子を有する、単環式の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどを包含する。本発明の1つの実施態様においては、用語「シクロアルキル」は、すぐ上に記述された基を包含し、さらに、単環式の脂肪族不飽和炭化水素基を包含する。例えば、本実施態様に定義された「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、及びシクロブテニルなどを包含する。
【0029】
用語「アルキレン」は、明記された数の炭素原子を含有する、炭化水素ジラジカル基を意味する。例えば、「アルキレン」は、−CH−、及び−CHCH−などを包含する。
【0030】
句「C−Cアラルキル」及び「C−Cヘテロアラルキル」において使用される場合、用語「C−C」は、成分のアルキル部分を指し、当該成分のアリール及びヘテロアリール部分の原子数は記述していない。
【0031】
「アルコキシ」は、1つの酸素架橋を介して結合された、明記された数の炭素原子からなる環式又は非環式のアルキル基を表す。それゆえ「アルコキシ」は、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0032】
炭素原子の数が明記されていない場合、用語「アルケニル」は、2から10個までの炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合とを含有する、直鎖、分枝鎖、又は環式の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。したがって、「C−Cアルケニル」は、2から6個までの炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル、及びシクロヘキセニルを包含する。アルケニル基の直鎖、分枝鎖、又は環式の部分は、二重結合を含有してもよく、置換アルケニル基が指示される場合には置換されていてもよい。
【0033】
用語「アルキニル」は、2から10個までの炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合とを含有する、直鎖、分枝鎖、又は環式の炭化水素基を指す。3個までの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。したがって、「C−Cアルキニル」は、2から6個までの炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、及び3−メチルブチニルなどを包含する。アルキニル基の直鎖、分枝鎖、又は環式の部分は、三重結合を含有してもよく、置換アルキニル基が指示される場合には置換されていてもよい。
【0034】
いくつかの例では、置換基は、(C−C)アルキレン−アリールのように、ゼロを含むある範囲の炭素を用いて定義され得る。アリールがフェニルであると理解される場合、この定義はフェニル自体、並びに、−CHPh、−CHCHPh、及びCH(CH)CHCH(CH)Phなどを包含するであろう。
【0035】
本明細書で用いられる「アリール」は、少なくとも一つの環が芳香族である、各環に7個までの原子を含有する、任意の安定な単環又は二環式の炭素環を意味することが意図されている。かかるアリール成分の実例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びビフェニルを包含する。アリール置換基が二環式であって、一方の環が非芳香族である場合、結合は芳香環を介すると理解される。
【0036】
本明細書で用いられる、用語ヘテロアリールは、各環7個までの原子からなる、安定な単環又は二環式の環を表し、少なくとも1つの環は芳香族であって、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する。この定義の範囲内にあるヘテロアリール基は、制限されることなく:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンを包含する。以下のヘテロ環の定義と同様に、「ヘテロアリール」はまた、任意の含窒素ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を包含すると理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族であるか、又はヘテロ原子を含有しない場合、結合は各々、芳香環を介するか、又はヘテロ原子含有環を介すると理解される。
【0037】
本明細書で用いられる、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する3〜10員の芳香又は非芳香族ヘテロ環を意味することが意図されており、かつ二環基を包含する。それゆえ「ヘテロシクリル」は、上述のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる実例は、制限されることなく以下:アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそのN−オキシドを包含する。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じることが可能である。
【0038】
1つの実施態様においては、本明細書で使用される、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香又は非芳香族ヘテロ環を意味することが意図され、かつ二環基を包含する。それゆえ、この実施態様においては「ヘテロシクリル」は、上述のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる実例は、制限されることなく以下:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキシエタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそのN−オキシドを包含する。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じることが可能である。
【0039】
もう1つの実施態様においては、ヘテロ環は、2−アゼピノン、ベンゾイミダゾリル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピぺリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びチエニルから選択される。
【0040】
当業者に理解されるように、本明細書で使用される「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを包含することが意図される。
【0041】
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル置換基は、他に特に定義されない限り、置換または無置換であってよい。例えば、(C−C)アルキルは、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はモルホリニル及びピペリジニルなどのようなヘテロシクリルから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよい。この場合、1つの置換基がオキソであり、他がOHである場合には、以下のものが定義に包含される:
−C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、及び−CH(OH)CHCH(O)など。
【0042】
同一炭素原子上の、定義内の2つのR又は2つのRが一緒になって、
−(CH−を形成する場合に形成される成分は、以下に例示される:
【0043】
【化5】

【0044】
さらに、かかる環式成分は、1又は2個のヘテロ原子を含有してもよい。かかるヘテロ原子含有環式成分の実例は、制限されることなく:
【0045】
【化6】

【0046】
を包含する。
いくつかの実例においては、R10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい単環又は二環式のヘテロ環を形成可能であると定義され、該ヘテロ環は、Rから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。そのように形成され得るヘテロ環の実例は、当該ヘテロ環がRから選択される1以上(別の実施態様では、1、2、又は3個)の置換基で置換されていてもよいことに留意して、制限されことなく以下:
【0047】
【化7】

【0048】
を包含する。
式Iにおける成分:
【0049】
【化8】

【0050】
は、制限されることなく以下の環系(以下の構造中のC及びN原子上の置換基は、式Iの化合物の定義によって存在するが(例えば、R、R、R、R、R、R、及びR)、説明を単純化する目的で、下図には示されていないことに注意されたい):
【0051】
【化9】

【0052】
【化10】

【0053】
によって説明される。
式IIにおける成分:
【0054】
【化11】

【0055】
は、制限されることなく以下の環系(以下の構造中のC及びN原子上の置換基は、式IIの化合物の定義によって存在するが(例えば、R、R、R、R、及びR)、説明を単純化する目的で、下図には示されていないことに注意されたい):
【0056】
【化12】

【0057】
によって説明される。
式IIの化合物の1つの実施態様においては、成分:
【0058】
【化13】

【0059】
は、以下の環系(以下の構造中のC及びN原子上の置換基は、式IIの化合物の定義によって存在するが(例えば、R、R、R、R、及びR)、説明を単純化する目的で、下図には示されていないことに注意されたい):
【0060】
【化14】

【0061】
から選択される。
式IIIにおける成分:
【0062】
【化15】

【0063】
は、制限されることなく以下の環系(以下の構造中のC及びN原子上の置換基は、式IIIの化合物の定義によって存在するが(例えばR、R、及びR)、説明を単純化する目的で、下図には示されていないことに注意されたい):
【0064】
【化16】

【0065】
によって説明される。
式IIIの化合物の1つの実施態様においては、成分:
【0066】
【化17】

【0067】
は、以下の環系(以下の構造中のC及びN原子上の置換基は、式IIIの化合物の定義によって存在するが(例えばR、R、及びR)、説明を単純化する目的で、下図には示されていないことに注意されたい):
【0068】
【化18】

【0069】
から選択される。
式Iの化合物の1つの実施態様においては、破線は二重結合を表する。
【0070】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、Rは、Cl、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。式Iの化合物のさらなる実施態様においては、Rは、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。式I及びIIのもう1つの実施態様においては、Rは、アリール及びヘテロ環から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。
【0071】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、R及びRは、水素である。
【0072】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、R及びRは、水素である。
【0073】
式I及びIIの化合物の1つの実施態様においては、R及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)mR、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011であり、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。
【0074】
式I及びIIの化合物のさらなる実施態様においては、Rは、水素、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。
【0075】
式I及びIIのさらなる実施態様においては、Rは水素である。
【0076】
本発明に包含されるのは、遊離型の式Iの化合物、並びに医薬的に許容され得るその塩及び立体異性体である。本明細書に列挙された具体的な化合物のいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩である。用語「遊離型」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される医薬的に許容され得る塩は、本明細書に記述された具体的な化合物に代表される塩のみならず、遊離型の式Iの化合物の、全ての典型的な医薬的に許容され得る塩も包含する。記述された具体的な塩化合物の遊離型は、当該技術分野における技術上公知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、塩を、適当な希釈塩基水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液を用いて処理することによって再生されてもよい。遊離型は、それぞれの塩型とは、極性溶媒中の溶解性といったいくつかの物理的性質が幾分異なってもよいが、本発明では、他の点では、酸性及び塩基性塩はその個々の遊離型と医薬的に同等である。
【0077】
本化合物の医薬的に許容され得る塩は、塩基性又は酸性成分を含有する本発明化合物から、通常の化学的方法によって合成されることが可能である。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を、化学量論量又は過剰の、所望の塩形成無機又は有機酸と、適当な溶媒又は種々の組合せの溶媒中で反応させることによって調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適当な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0078】
したがって、本発明化合物の医薬的に許容され得る塩は、塩基性の本発明化合物を、無機又は有機酸と反応させることにより形成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸など)から誘導される塩、並びに、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及びトリフルオロ酢酸など)から調製される塩を包含する。
【0079】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「医薬的に許容され得る塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、医薬的に許容され得る非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級のアミンの塩;天然産置換アミンを含む置換アミンの塩;環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどの塩を包含する。本発明化合物が酸性である場合、用語「遊離型」は、酸性官能基がまだプロトン化されているような、その非塩型の化合物を指す。
【0080】
上述の医薬的に許容され得る塩、及び他の典型的な医薬的に許容され得る塩の調製は、バーグ(Berg)ら著、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(J.Pharm.Sci.)(ファーマシューティカル・ソルツ(Pharmaceutical Salts))」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記述されている。
【0081】
生理的条件下では、本発明化合物中の脱プロトン化された酸性成分、例えばカルボキシル基はアニオン性であってよく、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性成分、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部でバランスがとられてもよいことから、当該化合物が、潜在的に内部塩又は両性イオンであってもよいこともまた注目されよう。内部的にバランス電荷を有しており、したがって分子間カウンターイオンと結合していない、単離された化合物もまた、「遊離型」の化合物であるとみなされてよい。
【0082】
スキーム及び実施例において使用される特定の略語が、以下に定義される:
APCI 大気圧化学的イオン化
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
NBS N−ブロモスクシンアミド
TFA トリフルオロ酢酸
TFA トリフルオロ酢酸無水物
【0083】
本発明化合物は、文献において周知であるか、又は実験法において例示された、他の標準的な操作に加えて、以下のスキームに示された反応を用いることにより製造され得る。それゆえ以下の例証的なスキームは、リストされた化合物により、或いは、説明を目的として用いられた任意の特定の置換基により制限されない。スキームに示された置換基の番号付けは、クレームにおいて使用されたものと必ずしも相関せず、しばしば明確さのため、上記の式Iの定義下に多数の置換基が可能である場合は、単一の置換基が化合物に結合して示される。
【0084】
スキーム
スキームAに示されたように、適宜置換された2−ブロモニコチンアルデヒドA−1と、ビニルトリフルオロボレートとのパラジウム媒介反応は、2−ビニルニコチンアルデヒドA−2を与える。適宜置換されたブロモピリジンとの反応は、アルコール中間体A−3を与える。続く酸化、及び第2のビニル成分の取込みは、中間体A−4を与える。ルテニウム触媒メタセシスは、中間体/本発明化合物A−5を与える。化合物A−5は、適宜置換されたアリールホウ酸と反応可能であり、本発明化合物A−6を与える。
【0085】
スキームBは、類似の一連の反応による、本発明化合物の位置異性体シリーズの製造を説明する。当該スキームはまた、右側の環の官能基化も説明する。したがって、5−ブロモ−2−メトキシピリジンは、スキームAに開示されたものと類似の一連の反応の後に、クロロメトキシ中間体化合物B−3に転換される。メトキシ成分は、塩化物へ転換され、それは次に、保護されたアミンで置換される。続く、左側の環のアリール化又はヘテロアリール化、及び、それに続くアミンの脱保護は、結果として本化合物B−6を生じる。スキームCは、類似の一連の反応による、本発明の化合物のもう1つの位置異性体シリーズの製造を説明する。
【0086】
環成分AがNである本発明化合物の製造は、スキームDに説明される。したがって、2−アミノニコチン酸は、ジアザイソクマリンD−1に転換される。続く、インシトゥで生じるリチオ−アレーンによる環化は、中間体/本化合物D−2を与え、それは次に上記のスキームに説明されたように官能基化されることが可能である。
【0087】
スキームEは、アミド成分として環成分Mを有する本化合物の製造を説明する。このホモロゲーションは、本発明化合物又は5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン(示された通り)のカルボニルを、ヒドロキシルアミンE−1に転換することにより達成され、それは次にPPAによる処理に際し転位して、本化合物E−2及びE−3を与える。
【0088】
右側の環が5員のヘテロアリール環(Lは結合である)である本化合物の製造は、スキームF〜Iに説明されている。したがって、スキームFでは、中間体F−1のチオエステルの、適当なヘテロアリールアルデヒドボロン酸による置換が、中間体F−2を与え、それは強塩基の存在下に環化を受け、本化合物F−3を生じる。スキームG及びHは、本化合物の位置異性体の、類似の製造を説明しており、一方スキームIは、2つのヘテロ原子の取込みを説明している(ピラゾリル(boranoic)酸を介して。
【0089】
スキームJは、QがNでありかつXがNである本化合物の、先に記述された合成に類似した合成経路における製造を説明する。
【0090】
【化19】

【0091】
【化20】

【0092】
【化21】

【0093】
【化22】

【0094】
【化23】

【0095】
【化24】

【0096】
【化25】

【0097】
【化26】

【0098】
【化27】

【0099】
【化28】

【0100】
有用性
本発明化合物は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼに結合し、及び/又は活性調節するために有用である。1つの実施態様においては、受容体チロシンキナーゼは、METサブファミリーの一員である。さらなる実施態様においては、当該METはヒトMETであるが、他の生物からの受容体チロシンキナーゼの活性もまた、本発明化合物により調節され得る。この状況において、調節は、METのキナーゼ活性を増大又は低減することを意味する。1つの実施態様においては、本発明化合物は、METのキナーゼ活性を阻害する。
【0101】
本発明化合物は、様々な適用に用途がある。当業者に理解されるように、METのキナーゼ活性は、種々の方法で調節されてよい;すなわち、当該タンパク質の最初のリン酸化を調節することによるか、又は当該タンパク質の別の活性部位の自己リン酸化を調節することにより、METのリン酸化/活性化に影響を及ぼすことが可能である。別法として、METのキナーゼ活性は、METリン酸化の基質結合に影響を及ぼすことにより調節されてもよい。
【0102】
本発明化合物は、細胞増殖性疾患を治療又は予防するべく使用される。本明細書に提供された方法及び組成物により治療可能な疾病状態は、制限されることなく、癌(下文にさらに議論される)、自己免疫疾患、関節炎、移植拒絶、炎症性腸疾患、制限されることなく外科手術及び血管形成などを含む、医学的処置の後に誘導される増殖を包含する。いくつかの症例では、細胞は高−又は低増殖状態(異常状態)にないが、なお治療を必要とし得ることが理解される。したがって、1つの実施態様においては、本発明は、これらの疾患又は状態の任意の1つに苦しんでいるか、又は最終的に苦しむことになるかもしれない、細胞又は個体に対する適用を包含する。
【0103】
本明細書における化合物、組成物、及び方法は、皮膚、乳、脳、頸部の癌、精巣癌などといった、固形腫瘍を含む癌の治療及び予防のために、特に有用であると考えられる。1つの実施態様においては、本化合物は癌の治療のために有用である。特に、本発明の化合物、組成物、及び方法によって治療されてもよい癌は、制限されることなく: 心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫; :気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫; 胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫、家族性腺腫性ポリポージス[FAP]); 尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛上皮腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫); 肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫; :骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄種、悪性巨細胞腫軟骨腫、(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫; 神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘種、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫); 婦人科系:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫); 血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球生白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]; 皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、色素性異形成毋斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維種、ケロイド、乾癬; 及び副腎:神経芽細胞腫を包含する。したがって、本明細書における、用語「癌性細胞」は、前文に定義された症状の任意の1つに苦しむ細胞を包含する。もう1つの実施態様においては、本発明化合物は:組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫、神経膠芽細胞腫、及び乳癌から選択される癌を、治療又は予防するために有用である。なおもう1つの実施態様においては、本発明化合物は、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫、神経膠芽細胞腫、及び乳癌から選択される癌を、治療するために有用である。
【0104】
もう1つの実施態様においては、本発明化合物は、癌細胞及び癌の、転移の予防又は調節のために有用である。特に、本発明化合物は、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮頚癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、及び肉腫の、転移を予防又は調節するために有用である。
【0105】
本発明化合物は、哺乳動物、好ましくはヒトに対し、単独で、又は、医薬組成物において、標準的薬学のプラクティスに従い、医薬的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤と組合せて投与され得る。当該化合物は、経口的に、又は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経直腸、及び局所の投与経路を含め、非経口的に投与されることが可能である。
【0106】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形状、例えば、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルジョン、硬若しくは軟カプセル、又は、シロップ又はエリキシルであってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための、当該技術分野における技術上既知の任意の方法により製造されてよく、かかる組成物は、医薬的に上品で美味な製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選ばれる1以上の薬剤を含有してもよい。タブレットは、活性成分を、タブレットの製造に適した非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例えば:不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えばマイクロクリスタリンセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、又はアラビアゴム;及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクでよい。タブレットは、被覆されていないか、又は既知の技術により被覆されて、薬剤の不快な味覚をマスクするか、又は、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより、より長期間の持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の味マスキング物質か、又はエチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのようなタイムディレイ物質が用いられてもよい。
【0107】
経口使用のための製剤はまた、硬ゼラチンカプセルとして、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されるか、或は、軟ゼラチンカプセルとして、活性成分が、ポリエチレングリコールのような水溶性の担体か、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されて提供されてもよい。
【0108】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は:懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えば、レシチンか、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1以上の保存剤、例えばエチル、又は、n−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1以上の着色剤、1以上の着香料、及び、スクロース、サッカリン、又はアスパルテームといった、1以上の甘味剤を含有してもよい。
【0109】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油か、又は鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤されてよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。前記の甘味剤及び着香剤が、美味な経口製剤を提供するべく添加されてよい。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール、又はアルファ−トコフェロールのような酸化防止剤の添加により、保存されてもよい。
【0110】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1以上の保存剤との混合物において提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、既に前記によって例示されている。付加的な賦形剤、例えば、甘味、着香、及び着色剤もまた存在してよい。これらの化合物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存されてよい。
【0111】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形状であってもよい、油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油か、又は鉱物油、例えば流動パラフィンか、或はそれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産のホスファチド、例えば大豆レシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0112】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤されてよい。かかる製剤はまた、粘滑薬、保存剤、着香剤、着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0113】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水溶液の形状でもよい。許容され得る担体及び溶媒の中でも、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液が使用されてよい。
【0114】
無菌の注射可能な製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでもよい。例えば、活性成分はまず、大豆油及びレシチンの混合物中に溶解されてよい。油性溶液は次に、水及びグリセロール混合物中に投入され、マイクロエマルジョンを形成するべく加工される。
【0115】
注射可能な溶液又はマイクロエマルジョンは、局所のボーラス注射により、患者の血流中へ導入されてよい。別法として、溶液又はマイクロエマルジョンを、本化合物の一定の循環濃度を維持する方法で投与することが有利であってもよい。かかる一定濃度を維持するためには、持続的な静脈内送達装置が利用されてもよい。かかる装置の実例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUSTMモデル5400静脈内ポンプである。
【0116】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与のための、無菌の注射可能な水性又は油脂性懸濁液の形状でもよい。この懸濁液は、当該技術分野における既知の方法により、前記の適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤を用いて製剤されてよい。無菌の注射可能な製剤はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、であってもよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として通常使用される、この目的のためには、合成モノ−又はジグリセリドを含め、任意の無刺激固定油が使用されてよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能な製剤において用途がある。
【0117】
式Iの化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形状で投与されてもよい。これらの化合物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、それゆえ直腸内では溶解して薬物を放出する、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより製剤可能である。かかる物質は、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0118】
局所使用には、式Iの化合物を含有する、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが用いられる(本出願では、局所適用は、マウスウォッシュ及びうがい剤を包含するものとする)。
【0119】
本発明に関する化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所的使用によるか、又は経皮経路により、当業者に周知の経皮パッチの形状のものを用いて投与可能である。経皮送達系の形状において投与されるためには、むろん用量投与は、薬剤投与レジメンを通して間欠的よりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルといった基剤を用いた、坐剤として送達されてもよい。
【0120】
本発明の化合物がヒトの患者へ投与される場合、一日用量は、通常、処方する医師により、個々の患者の年齢、体重、性別、及び応答、並びに患者の病状の厳しさによって変わる用量をもって決定されるであろう。
【0121】
1つの代表的な適用においては、適当量の化合物が、癌の治療を受けている哺乳動物へ投与される。投与は、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約60mg/kg体重の間か、好ましくは、1日当たり0.5mg/kg体重〜約40mg/kg体重の間の量で行なわれる。
【0122】
本化合物はまた、既知の治療薬及び抗癌剤との併用においても有用である。例えば、本化合物は、既知の抗癌剤との併用において有用である。本開示化合物と、他の抗癌剤又は化学療法剤との併用は、本発明の範囲内である。かかる薬剤の実例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編、「キャンサー・プリンシプルズ・アンド・プラクティス・オブ・オンコロジー(Cancer Principles and Practice of Oncology)(癌の原理及び腫瘍学の実際)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。かかる抗癌剤は、制限されることなく以下を含む:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管形成阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、アポトーシス誘導剤、及び、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本化合物は、放射線療法と同時投与された場合、特に有用である。
【0123】
1つの実施態様においては、本化合物はまた、以下を含む既知の抗がん剤との併用において有用である:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、及び他の血管形成阻害剤。
【0124】
「エストロゲン受容体モジュレータ」は、機構にかかわらず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレータの実例は、制限されることなく、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラジン、及びSH646を包含する。
【0125】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、機構にかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの実例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及びアビラテロンアセテートを包含する。
【0126】
「レチノイド受容体モジュレータ」は、機構にかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレータの実例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを包含する。
【0127】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能化を直接妨害するか又は細胞有糸分裂を阻害若しくは妨害することによって細胞死を引き起こすか、又は細胞増殖を阻害するか、或いは、細胞有糸分裂を阻害又は妨害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤;ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤を包含する。
【0128】
細胞傷害剤の実例は、制限なされることなく、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファン、トシレート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(trans,trans,trans)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、ジアリジジニル(diarizidinyl)スペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3‘−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)を包含する。
【0129】
低酸素活性化化合物の1つの実例は、チラパザミンである。
【0130】
プロテアソーム阻害剤の実例は、制限されることなく、ラクタシスチン及びボルテゾミブを包含する。
【0131】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の実例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3‘,4’−ジデヒドロ−4‘−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及び、BMS188797を包含する。
【0132】
トポイソメラーゼラーゼ阻害剤のいくつかの実例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−シャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキシアミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキシアミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及び、ジメスナである。
【0133】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシンKSP、の阻害剤の実例は、PCT
公開WO01/30768、WO01/98278、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678、及びWO03/039460、及び係属中のPCT出願第US03/06403(2003年3月4日出願)、US03/15861(2003年5月19日出願)、US03/15810(2003年5月19日出願)、US03/18482(2003年6月12日出願)、及びUS03/18694(2003年6月12日出願)に記述されている。1つの実施態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、制限されることなく、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、Kifl4の阻害剤、Mphosph1の阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0134】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の実例は、制限されることなく、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、バルプロ酸、及びスクリプタイドを包含する。他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤に関するさらなる参考文献は、以下の文書に見出されてよい;ミラー(Miller,T.A.)著、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)」、2003年、第46巻、第24号、p.5097−5116。
【0135】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、制限されることなく、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK)(特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。
【0136】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001;及び、代謝拮抗物質、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキシラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンを包含する。
【0137】
モノクローナル抗体標的化治療薬の実例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合された、細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療薬を包含する。実例は、ベクサール(Bexxar)を包含する。
【0138】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用され得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の実例は、制限されることなく、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、及びアトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)を包含する。これらの、及び、本方法において使用されてもよい付加的なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパニ(M.Yalpani)著、「コレステロール・ロワリング・ドラッグズ(Cholesterol Lowering Drugs)(コレステロール低下薬)」、(ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry&Industry))、1996年2月5日、p.85−89のP87、及び、米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記述されている。本明細書において使用される用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての医薬的に許容され得るラクトン及びオープンアシド型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を形成する)、並びに塩及びエステル型の化合物であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有するものであり、それゆえかかる塩、エステル、オープンアシド、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0139】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指し、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及び、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRab GGPTアーゼとも呼ばれる)を包含する。
【0140】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の実例は、以下の出版物及び特許に見出すことができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号、欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの実例については、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European J.of Cancer)」、1999年、第35巻、第9号、p.1394−1401参照。
【0141】
「血管新生阻害剤」は、機構にかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の実例は、制限されることなく、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)並びに、セレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤を含めた、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1992年、第89巻、p.7384;「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インチチュート(JNCI)」、1982年、第69巻、p.475;「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー(Arch.Opthalmol.)」、1990年、第108巻、p.573;「ディ・アナトミカル・レコード(Anat.Rec.)」、1994年、第238巻、p.68;「フェブス・レターズ(FEBS Letters)」、1995年、第372巻、p.83;「クリニカル・オルソペディックス(Clin.Orthop.)」、1995年、第313巻、p.76;「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(J.Mol.Endocrinol.)」、1996年、第16巻、p.107;「ザ・ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)」、1997年、第75巻、p.105;「キャンサー・リサーチ」、1997年、第57巻、p.1625;「セル」、1998年、第93巻、p.705;「インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディズン(Intl.J.Mol.Med.)」、1998年、第2巻、p.715;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(フェルナンデス(Fernandez)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディスン(J.Lab.Clin.Med.)」、1985年、第105巻、p.141−145参照)、及びVEGFに対する抗体(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年10月、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら著、「ネイチャー」、1993年、第362巻、p.841−844;WO00/44777;及び、WO00/61186参照)を包含する。
【0142】
血管新生を調整又は阻害し、かつ本発明化合物と組合せて使用されてもよい他の治療薬は、凝固及び線溶系を調整又は阻害する薬剤を包含する(「クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディスン(Clin.Chem.La.Med.)」、2000年、第38巻、p.678−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調整又は阻害する、かかる薬剤の実例は、制限されることなく、ヘパリン(「トロンボーシス・アンド・ヘモスタシス(Thromb.Haemost.)」、1998年、第80巻、p.10−23)、低分子ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(「トロンボーシス・リサーチ(Thrombosis Res.)」、2001年、第101巻、p.329−354)を包含する。TAFIa阻害剤は、PCT公開WO03/13,526、及び米国特許出願番号60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0143】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを変換するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し感受性化する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼの阻害剤、及び、cdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に代表される。
【0144】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、表面受容体と、これらの表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードとを阻害する医薬品を指す。かかる薬剤は、EGFRの阻害剤(の阻害剤)(例えばゲフィチニブ及びエルロチニブ)、EBR−2の阻害剤(例えばトラツズマブ)、IGFRの阻害剤、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kの阻害剤(例えばLY294002)、セリン/スレオニンキナーゼ(制限されることなく、Aktの阻害剤、例えばWO02/083064、WO02/083139、WO02/083140、及びWO02/083138に開示されたものを包含する)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、及びmTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779)を包含する。かかる薬剤は、低分子阻害剤化合物及び、抗体アンタゴニストを包含する。
【0145】
「アポトーシス誘導剤」は、TNF受容体ファミリーメンバー(TRAIL受容体を含めて)の活性剤を包含する。
【0146】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤である、NSAIDとの併用も包含する。本明細書では、選択的COX−2阻害剤であるNASAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価される、COX−1のIC50を上回る、COX−2のIC50の比率によって測定され、COX−1を超えて少なくとも100倍のCOX−2を阻害する特異性を有するものとして定義される。かかる化合物は、制限されることなく、米国特許5,474,995、米国特許5,861,419、米国特許6,001,843、米国特許6,020,343、米国特許5,409,944、米国特許5,436,265、米国特許5,536,752、米国特許5,550,142、米国特許5,604,260、米国特許5,698,584、米国特許5,710,140、WO94/15932、米国特許5,344,991、米国特許5,134,142、米国特許5,380,738、米国特許5,393,790、米国特許5,466,823、米国特許5,633,272、及び米国特許5,932,598に開示されているものを包含し、参照することにより全て本明細書に組み込まれる。
【0147】
本発明の治療法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は:3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は、医薬的に許容され得るその塩である。
【0148】
COX−2の特異的阻害剤として記述されており、それゆえ本発明において有用な化合物は、制限されることなく:パレコキシブ、セレブレックス(CELEBREX(登録商標))及びベクストラ(BEXTRA(登録商標))、又は医薬的に許容され得るそれらの塩を包含する。
【0149】
血管新生阻害剤の他の実例は、制限されることなく、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクタ−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)−フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスフェート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0150】
前記のとおり、「インテグリン阻害剤」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;及び、毛細血管内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物を指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0151】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な実例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、イマチニブ(STI571)、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0152】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、特定の悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現及び、血管新生におけるその関与は、文献に報告されている(「ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)」、1998年、第31巻、p.909−913;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116−9121;「インベスティゲイティブ・オフサルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol Vis.Sci.)」、2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが開示された;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、腎臓の血管新生の発生を阻害する(「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー」、2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの実例は、制限されることなく、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブレート、ゲンフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示されている)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示されている)を包含する。
【0153】
本発明のもう1つの実施態様は、本明細書に開示された化合物の、癌の治療のための遺伝子療法との併用における使用である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら(「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(Am.J.Hum,Genet.)」、1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「キャンサー・メディスン(Cancer Medicine)(癌医療)」、第5版、BCデッカー(Decker)、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法は、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達するべく使用可能である。かかる遺伝子の実例は、制限されることなく、組換えウィルス媒介遺伝子導入により送達可能であるp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)、(ジーン・セラピー(Gene Therapy))」、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)」、2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0154】
本発明化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、高レベルのトランスポータ−タンパク質の発現に関与しているMDRの阻害剤と併用して投与されてもよい。かかるMDR阻害剤は、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、及びPSC833(バルスポダール)を包含する。
【0155】
本発明化合物は、本発明化合物の、単独の又は放射線療法との使用の結果として生じ得る急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療するべく、抗嘔吐薬と一緒に用いられてもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物は、他の抗嘔吐薬、特にニューロキニン−I受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン;GABAB受容体アゴニスト、例えばバコルフェン;コルチコステロイド、例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は、他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの;抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノール、と一緒に使用されてもよい。もう1つの実施態様においては、ニューロキニン−I受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選ばれる抗嘔吐薬が、本化合物の投与の結果として生じ得る嘔吐の治療又は予防のためのアジュバントとして投与される。
【0156】
本発明化合物との併用において役立つニューロキニン−I受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、0、及び776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689に充分に記述されている。かかる化合物の調製は、上述の特許及び出版物において充分に記述されており、それらは参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0157】
1つの実施態様においては、本発明化合物との併用使用のためのニューロキニンI受容体アンタゴニストは:2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は、医薬的に許容され得るその塩から選ばれ、それらは米国特許第5,719,147号に記述されている。
【0158】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防のために有用であり得る。ビホスホネートの実例は、制限されることなく:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート(piridronate)、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、医薬的に許容され得るそれらの塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0159】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる貧血症治療薬は、例えば、持続性の(eythropoiesis)受容体活性化剤(例えばエポエチンアルファ)である。
【0160】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる好中球減少症治療薬は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの実例は、フィルグラスチムを包含する。
【0161】
本発明化合物はまた、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシン(Zadaxin)のような、免疫強化薬とともに投与されてもよい。
【0162】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防のために有用であり得る。ビホスホネートの実例は、制限されることなく:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート(piridronate)、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、医薬的に許容され得るそれらの塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0163】
本発明化合物はまた、アロマターゼ阻害剤と組合せて、乳癌を治療又は予防するために有用であり得る。アロマターゼ阻害剤の実例は、制限されることなく:アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタンを包含する。
【0164】
本発明化合物はまた、siRNA治療薬と組合せて、癌を治療又は予防するために有用であり得る。
【0165】
したがって本発明の範囲は、本明細書にクレームされた化合物と:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、アポトーシス誘導剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤から選ばれる、第2の化合物との併用における用途を包含する。
【0166】
用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、本発明化合物に関し、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内に投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグが1以上の他の活性成分(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて提供される場合、「投与」及びその変形は、各々、当該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の及び連続した投入を包含するものと理解される。
【0167】
本明細書で用いられる、用語「組成物」は、特定された量の特定された成分を含んでなる製品、並びに特定された量の特定された成分の組合せから、結果として直接又は間接的に得られる任意の製品を包含するべく意図される。
【0168】
本明細書において用いられる、用語「治療上有効な量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められる、組織、系、動物、又はヒトにおいて生物学的又は医学的応答を誘起する、活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0169】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」は、癌の症状に苦しむ哺乳動物への投与を指し、また癌性細胞を殺すことにより癌性症状を緩和する作用を指すが、また、結果として癌の増殖及び/又は転移の阻害を生じる作用も指す。
【0170】
1つの実施態様においては、第2の化合物として使用されるべき血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来成長因子の阻害剤、血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選ばれる。1つの実施態様においては、エストロゲン受容体モジュレータは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0171】
また本発明の範囲内に含まれるのは、癌を治療する方法であって、治療上有効な量の式Iの化合物を、放射線療法と併用して、及び/又は:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、アポトーシス誘導剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、から選ばれる化合物と組合せて投与することを含んでなる方法である。
【0172】
本発明のさらにもう1つの実施態様は、癌を治療する方法であって、治療上有効な量の式Iの化合物を、パクリタキセル又はトラツズマブと組合せて投与することを含んでなる方法である。
【0173】
本発明はさらに、癌を治療又は予防する方法であって、治療上有効な量の式Iの化合物を、COX−2阻害剤と組合せて投与することを含んでなる方法を包含する。
【0174】
本発明は又、癌の治療又は予防のために有用である医薬組成物であって、治療上有効な量の式Iの化合物と:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤から選ばれる化合物とを、含んでなる組成物も包含する。
【0175】
これらの、及び他の本発明の側面は、本明細書に含まれる教示から明らかとなるであろう。
【0176】
(アッセイ)
実施例に記述された本発明化合物は、下記のアッセイにより試験され、MET阻害活性を有することが判明した。他のアッセイは文献において公知であり、当業者により容易に実行され得る(例えば、米国特許出願公開US 2005/0075340A1、2005年4月7日、p.18−19;及びPCT公開WO2005/028475、2005年3月31日、p.236−248参照)。
【0177】
I.インビトロのキナーゼアッセイ
ヒトc−Met、及び他のマウスc−MET、ヒトRon、KDR、IGFR、EGFR、FGFR、Mer、TrkA及びTie2を含む他の受容体チロシンキナーゼの、細胞質ドメインのGSTタグ付き組換え体が使用され、本発明化合物がこれらのキナーゼの酵素活性を調節するかどうかが測定される。
【0178】
c−MET及び他の受容体チロシンキナーゼの、細胞質ドメインのGSTタグ付きの可溶性組換え体は、バキュロウイルス系(ファーミンジェン(Pharmingen))において、製造業者により推奨されたプロトコールに従って発現された。各細胞質ドメインをコードしているc−DNAは、インフレーム6xヒスチジンタグ及びGSTタグを含有するバキュロウイルス発現ベクター(pGcGHLT−A、B、又はC、ファーミンジェン)へサブクローニングされる。得られるプラスミド構築物及び、バキュロゴールド(BaculoGold)バキュロウイルスDNA(ファーミンジェン)は、Sf9又はSf21昆虫細胞をコトランスフェクトするべく使用される。GSTタグキナーゼ融合物の発現を確認した後、高力価の組換えバキュロウイルスストックが産生され、発現条件が最適化され、ラットKDR−GST融合物のスケールアップ発現が実行される。融合キナーゼは次に、昆虫細胞ライゼートから、グルタチオンアガロース(ファーミンジェン)を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製される。精製されたタンパク質は、50%グリセロール、2mM DTT、50mMトリス−HCl(pH7.4)に対し透析され、−20℃に貯蔵される。融合タンパク質のタンパク質濃度は、クーマシー・プラス・プロテイン・アッセイ(Coomassie Plus Protein Assay)(ピアース(Pierce))を使用し、BSAを標準として測定される。
【0179】
c−Met及び他のキナーゼのキナーゼ活性は、パーク(Park)ら(「アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)」、1999年、第269巻、p.94−104)に記述された、ホモジニアス時間分解チロシンキナーゼアッセイの修正バージョンを用いて測定される。
【0180】
化合物のc−Metキナーゼ阻害能を測定するための方法は、以下の工程を含んでなる:
1. 100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に3倍連続希釈された化合物溶液を、所望の終濃度の20倍に、96穴プレート中に調製する。
2. 6.67mM MgCl、133.3mM NaCl、66.7mM トリス−HCl(pH7.4)、0.13mg/BSA、2.67mM ジチオスレイトール、0.27nM 組換えc−Met、及び666.7nM ビオチニル化された合成ペプチド基質(ビオチン−ahx−EQEDEPEGDYFEWLE−CONH)(配列番号1)を含有する、マスター反応混合物を調製する。
3. 黒色のアッセイプレート中で、ウエル当たり2.5μlの化合物溶液(又はDMSO)及び、37.5μlのマスター反応混合物を添加する。ウエル当たり10μlの0.25mM MgATPを添加することにより、キナーゼ反応を開始する。室温で80分間反応を進行させる。反応のための最終的な条件は、0.2nM c−Met、0.5μM 基質、50μM MgATP、5mM MgCl、100mM NaCl、2mM DTT、0.1mg/ml BSA、50mM トリス(pH7.4)、及び5%DMSOである。
4. 10mM EDTA、25mM HEPES、0.1%トリトンX−100、0.126μg/mlのEuキレート標識された抗ホスホチロシン抗体PY20(カタログ番号AD0067、パーキンエルマー(PerkinElmer))、及び45μg/mlのストレプトアビジン−アロフィコシアニンコンジュゲート(カタログ番号PJ25S、プロザイム(Prozyme))を含有する、50μlの停止/検出用緩衝液により、キナーゼ反応を停止する。
5. 60分後、ビクター(Victor)リーダ(パーキンエルマー)のHTRFモードで、HTRFシグナルを読取る。
6. IC50は、化合物濃度とHTRFシグナルとの間に観察された関係を、4パラメータロジスティック式に当てはめることにより測定される。
【0181】
アッセイごとに酵素濃度が変わること(0.2nM マウスc−Met;2.5nM Ron;8nM KDR;0.24nM IGFR;0.24nM EGFR;0.14nM FGFR;16nM Mer;8nM TrkA;8nM Tie2)を除いて、本質的に同一の方法が、マウスc−Met、ヒトRon、KDR、IGFR、EGFR、FGFR、Mer、TrkA、及びTie2を阻害する化合物の能力を測定するべく使用された。
【0182】
実施例の化合物1〜32は、上記のアッセイにおいて試験され、IC50≦50μMを有することが判明した。
【0183】
II.細胞ベースのc−Met自己リン酸化アッセイ
サンドイッチELISAアッセイが、MKN45胃癌細胞におけるMET自己リン酸化を査定するべく使用され、これにおいてMETは、構成的に活性化される。手短にいえば、単層の細胞は、化合物又はビヒクルで前処理され、次いで溶解された。細胞ライゼート中のMETは、プラスチック表面に固定された抗MET抗体により捕捉された。次いで、包括的な抗ホスホチロシン抗体か、又はいくつかの特異的な抗ホスホMET抗体の1つが、捕捉されたMETに結合され、HRPコンジュゲートされた二次抗体を用いて検出された。
【0184】
化合物のMET自己リン酸化阻害能を、MKN45細胞において測定するための方法は、以下の工程を含んでなる:
1日目
1. 96穴ELISAプレートを、4℃において、100μl/ウエルの1μg/ml捕捉抗体溶液(Af276、R&D)で一晩コートする。
2. 個々の96穴培養プレートに、0.1mlの増殖培地(RPMI 1640、10%FBS、100ug/mL ペニシリン・ストレプトマイシン(Pen−Strep)、100ug/mL L−グルタミン、及び10mM HEPES)中に、90,000細胞/ウエルでMKN45細胞を播種し、37℃/5%COにおいて、80〜90%コンフルエントまで一晩培養する。
2日目
1. ELISAプレートを、200μl/ウエルの洗浄緩衝液(TBST+0.25%BSA)で4回洗浄する。ELISAプレートを、200μl/ウエルのブロッキング緩衝液(TBST+1.5%BSA)で、室温において3〜5時間インキュベートする。
2. DMSO中の200倍の化合物の、(half−long)希釈シリーズを調製する。該シリーズを、アッセイ緩衝液(RPMI 1640、10%FBS、及び10mM HEPES)で10倍に希釈する。
3. 10倍化合物溶液(11μl/ウエル)を、MKN45細胞を含有する培養プレートへ添加する。37℃/5%COにおいて、プレートを60分間インキュベートする。
4. 細胞を、100μl/ウエルの溶解緩衝液(30mM トリス、pH7.5、5mM EDTA、50mM NaCl、30mM リン酸ナトリウム、50mM NaF、0.5mM NaVO、0.25mM カリウムビスペルオキソ(1,10−フェナントロリン)−オキソバナデート、0.5%NP40、1%トリトンX−100、10%グリセロール、及びプロテアーゼ阻害剤カクテル)で、4℃において90分間溶解する。
5. ELISAプレートからブロッキング緩衝液を除去し、200μl/ウエルの洗浄緩衝液でプレートを4回洗浄する。90μl/ウエルのMKN45細胞ライゼートを、培養プレートからELISAプレートへ移す。密封したアッセイを、4℃で一晩、穏やかに振とうしながらインキュベートする。
3日目
1. ELISAプレートを、200μl/ウエルの洗浄緩衝液で4回洗浄する。
2. 100μl/ウエルの一次検出抗体(TBST+1%BSA中、1μg/ml)を用いて、室温で1.5時間インキュベートする。以下の一次抗体が使用されてきた:アップステート(UpState)からの4G10、ともにバイオソース(Biosource)からの抗pMet(1349)及び抗pMet(1369)。
3. ELISAプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄する。100μl/ウエルの二次抗体(4G10用には、TBST+1%BSA中に希釈されたI:1000抗マウスIgG−HRP、又は、抗pMet(1349)及び抗pMet(1365)用には、1:1000抗ウサギIgG−HRP)が添加される。穏やかに攪拌しながら、室温で1.5時間インキュベートする。200ul/ウエルの洗浄緩衝液で4回洗浄する。
4. 100μl/ウエルのクォンタ(Quanta)Blu試薬(ピアース)を添加し、室温で8分間インキュベートする。スペクトラマックス・ジェミニEMプレートリーダ(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices))で、蛍光を読取る(励起波長:314nm、放出波長:425nm)。
7. IC50は、化合物濃度と蛍光シグナルとの間の関係を、4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算される。
【0185】
III.MNK45細胞の増殖/生存度アッセイ
MKN45ヒト胃癌細胞は、構成的に活性化されたc−metを過剰発現することが知られている。c−Metの、siRNA媒介性の部分ノックダウンは、顕著な増殖阻害及びアポトーシスをMKN45細胞において誘導することが見出され、この細胞系におけるc−Metの、生命維持に必要な役割が示唆された。本明細書に記述されたアッセイは、MKN45細胞の増殖/生存度に対するc−Met阻害剤の影響を測定する。化合物の、MKN45細胞の増殖/生存度を阻害する能力を測定するための方法は、以下の工程を含んでなる。
【0186】
1日目、MKN45細胞を96穴プレートに、3000細胞/ウエル当たり95μlの培地(RPMI/10%FCS、100mM HEPES、ペニシリン、及びストレプトマイシン)にてプレートする。プレートを、37℃/5%COでインキュベータ中に維持する。3倍の連続希釈された化合物溶液を、所望の終濃度の1000倍において、DMSO中に調製する。
【0187】
2日目、1000倍の化合物溶液を培地で希釈することにより、50倍の化合物溶液を調製する。ウエル当たり5μlの20倍化合物溶液を、上記のMKN45細胞培養物へ添加する。プレートをインキュベータへ戻す。
【0188】
5日目、ウエル当たり、50μlの溶解緩衝液(バイアライト試薬キット(ViaLight Reagent Kit)(カタログ番号LT07−221)(キャンブレックス(Cambrex))を添加する。細胞を、室温で15分間溶解する。次いで、50μlの検出試薬(バイアライト試薬キット)を添加し、3分間インキュベートする。プレートは、トップカウント(TOPCOUNT)(パーキンエルマー)で、ルミネッセンスモードにおいて読取られる。IC50は、化合物濃度とルミネッセンスシグナルとの間の関係を、4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算される。
【0189】
IV.HGF誘導性の細胞移動アッセイ
HGFに誘導されるHPAF膵臓癌細胞の移動は、BDファルコン・フルオロブロック96マルチウエル・インサートプレート(BD Falcon Fluoroblock 96−Multiwell Insert plate)(カタログ番号351164、BDディスカバリ・ラボウエア(BD Discovery Labware)を用いて査定された。プレートは、各々が微孔性膜で上部及び下部チャンバーに仕切られているウエルからなる。膵臓癌細胞は、膜の上側にプレートされ、下部チャンバーに添加された化学誘引物質に反応して、膜の下側へ移動する。膜の下側の細胞は、蛍光色素で標識され、蛍光プレートリーダにより検出される。細胞移動を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、以下の工程を含んでなる。
【0190】
1. 終濃度の1000倍の試験化合物溶液を、100%DMSO中に調製する。
2. 上記の溶液を、50倍のDMEM/10%FCSで希釈し、終濃度の20倍の化合物溶液を得る。
3. フルオロブロック96マルチウエル・インサートプレートの下部チャンバーを、180μlのDMEM/10%FCSで満たし、上部チャンバーの各々に、50μlのDMEM/10%FCS中の、8000個のHPAF膵臓癌細胞をプレートする。
4. プレーティングの1〜2時間後、2.5μl及び10μlの20倍化合物溶液を、上部及び下部チャンバーにそれぞれ添加する。プレートを37℃で60分間インキュベートし、次いで濃縮されたHGFを、最終HGF濃度15ng/mlまで下部チャンバーに添加する。インサートプレートを一晩、20時間にわたり時間インキュベートする。
5. 濃縮カルセイン(Calcein)色素(モレキュラー・プローブ(Molecular Probes))のアリコートが各下部チャンバーに添加され、最終色素濃度5μg/mlを与え、細胞は1時間標識される。各下部チャンバーを、200μlのDMEM/10%FCSで洗浄する。
6. ビクターリーダ(パーキンエルマー)のボトムリードモードで、蛍光を読取る(励起波長:485nm、放出波長:535nm)。
7. IC50は、化合物濃度と蛍光シグナルとの間の関係を、4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算される。
【0191】
実施例
提供された実施例は、本発明のさらなる理解を手助けすることを意図したものである。使用した特定の材料、種類、及び条件は、本発明の例示となることを意図したものであって、その適正な範囲を制限するものではない。
実施例
提供された実施例は、本発明のさらなる理解を手助けすることを意図したものである。使用した特定の材料、種類、及び条件は、本発明の例示となることを意図したものであって、その適正な範囲を制限するものではない。
【0192】
【化29】

実施例1
【0193】
【化30】

【0194】
工程1:2−ビニルニコチンアルデヒド
nPrOH(70mL)中の2−ブロモニコチンアルデヒド(2.0g、11mmol)の攪拌された溶液に対し、カリウムビニルトリフルオロボレート(1.5g、11mmol)、PdCl(dppf)(0.17g、0.23mmol)、及びTEA(1.6mL、12mmol)が添加された。反応混合物は、3時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ10.39(s,1H);8.77(dd,1H);8.13(dd,1H);7.59(dd,1H);7.37(dd,1H);6.48(dd,1H);5.77(dd,1H)。
【0195】
工程2:(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノール
ジイソプロピルエーテル(20mL)中の、nBuLi(ヘキサン中1.6M、5.5mL、8.8mL)の攪拌された溶液に対し、ジイソプロピルエーテル(10mL)中の3−ブロモ−2,5−ジクロロピリジン(2.0g、8.8mmol)が、−78℃において徐々に添加された。得られた懸濁液は、THF(5mL)中の2−ビニルニコチンアルデヒド(1.2g、8.8mmol)で処理され、−78℃で30分間攪拌され、続いて室温まで温められた。混合物はEtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.58(dd,1H);8.32(d,1H);7.83(d,1H);7.54(dd,1H);7.21(dd,1H);7.06(dd,1H);6.42(dd,1H);6.37(br s,1H);5.58(dd,1H);2.79(br s,1H)。LRMS(ESI)(C1310ClO)[M+H]の計算値281.0;実測値280.7。
【0196】
工程3:(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノン
CHCl(50mL)中の(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノール(2.0g、7.1mmol)の攪拌された溶液に対し、NaHCO(50mg)及びデス・マーチン・ペルヨージナン(4.0g、9.4mmol)が添加された。反応混合物は30分間攪拌され、Na水溶液で処理され、EtOAcで希釈された。有機層は分離され、食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.77(dd,1H);8.53(d,1H);7.83(d,1H);7.66(dd,1H);7.27(dd,1H);7.21(dd,1H);6.54(dd,1H);5.63(dd,1H)。
【0197】
工程4:(5−クロロ−2−ビニルピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノン
PrOH(20mL)中の(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノン(0.98g、3.5mmol)の攪拌された溶液に対し、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.56g、4.2mmol)、PdCl(dppf)(54mg、0.074mmol)、及びTEA(0.50mL、3.6mmol)が添加された。反応混合物は3時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.77(dd,1H);8.67(d,1H);7.63(dd,1H);7.60(d,1H);7.27(dd,1H);7.10(dd,1H);6.94(dd,1H);6.52(dd,1H);6.47(dd,1H);5.58(dd,1H);5.54(dd,1H)。LRMS(ESI)(C1511ClNO)[M+H]の計算値271.1;実測値270.8。
【0198】
工程5:3−クロロ−5H−ピリド[3,2:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物1)
トルエン(90mL)中の(5−クロロ−2−ビニルピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノン(0.37g、1.4mmol)の攪拌された溶液に対し、チャン(Zhan)I触媒(0.18g、0.27mmol)が添加された。反応混合物は8時間加熱還流された。追加のチャン(Zhan)I触媒(0.18g、0.27mmol)が添加され、得られた混合物は一晩加熱還流され、室温に冷却され、SiOのパッドを通して濾過され、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.98(dd,1H);8.88(d,1H);8.59(dd,1H);8.56(d,1H);7.61(d,1H);7.57(d,1H);7.55(dd,1H)。LRMS(ESI)(C13ClNO)[M+H]の計算値243.0;実測値242.8。
実施例2
【0199】
【化31】

【0200】
3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物2)
ジオキサン(2mL)中の3−クロロ−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(50mg、0.21mmol)の攪拌された溶液に対し、フェニルボロン酸(38mg、0.31mmol)、Pd(PPh(12mg、0.010mmol)、及びKCO(37mg、0.27mmol)が添加された。反応混合物は5時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ9.21(d,1H);8.98(d,1H);8.79(br s,1H);8.63(d,1H);7.46−7.75(m,8H)。
実施例3
【0201】
【化32】

【0202】
11−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物3)及び10−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物4)
CHCl(2mL)中の、3−フェニル−5H−ピリド[3,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(0.25g、0.88mmol)及び硝酸テトラブチルアンモニウム(0.29g、0.97mmol)の攪拌された溶液に対し、TFAA(0.19g、0.92mmol)が0℃において滴下添加された。得られた溶液は、浴を行いながら室温に温められ、一晩攪拌された。反応混合物は次に、塩基性になるまで1N NaOHで希釈され、EtOAcで抽出された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。一方の異性体:H NMR(600MHz,CDCl)δ9.26(d,1H);8.98(dd,1H);8.72(dd,1H);8.57(dd,1H);8.07(s,1H);7.74(d,2H);7.68(dd,1H);7.56(t,2H);7.52(t,1H)。LRMS(ESI)(C1911)[M+H]の計算値330.1;実測値。他方の異性体:H NMR(600MHz,CDCl)δ9.20(brs,1H);9.03(brs,1H);8.72(br s,1H);8.57(d,1H);8.01(s、1H);7.72(d,2H);7.65(dd,1H);7.55(t,2H);7.51(t,1H)。LRMS(ESI)(C1911)[M+H]の計算値330.1;実測値330.0。
【0203】
【化33】

実施例4
【0204】
【化34】

【0205】
工程1:5−ブロモ−2−メトキシイソニコニンアルデヒド
THF(100mL)中のLDA(64mmol)の攪拌された溶液に対し、THF(20mL)中の5−ブロモ−2−メトキシピリジン(10g、53mmol)が、−78℃において徐々に添加された。反応混合物は−78℃において1時間攪拌され、THF(30mL)中のDMF(15.6g、213mmol)で徐々に処理され、−78℃において1時間攪拌され、浴を行いながら室温まで温められた。反応混合物は水で処理され、EtOAcで抽出され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ10.28(s,1H);8.41(s,1H);7.16(s,1H);3.95(s,3H)。
【0206】
工程2:2−メトキシ−5−ビニルイソニコチンアルデヒド
nPrOH(60mL)中の5−ブロモ−2−メトキシイソニコチンアルデヒド
(1.45g、6.71mmol)の攪拌された溶液に対し、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.899g、6.71mmol)、PdCl(dppf)(98mg、0.134mmol)、及びTEA(0.94mL、6.71mmol)が添加された。反応混合物は、3時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ10.08(s,1H);7.90(d,1H);7.70(dd,1H);6.93(d,1H);5.72(d,1H);5.43(d,1H);4.03(s,3H)。
【0207】
工程3:(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−メトキシ−5−ビニルピリジン−4−イル)メタノール
ジイソプロピルエーテル(30mL)中のnBuLi(ヘキサン中1.6M、10.4mL、16.6mL)の攪拌された溶液に対し、ジイソプロピルエーテル(10mL)中の3−ブロモ−2,5−ジクロロピリジン(3.78g、16.6mmol)が、−78℃において徐々に添加された。得られた懸濁液は、ジイソプロピルエーテル(10mL)中の2−メトキシ−5−ビニルイソニコチンアルデヒド(1.36g、8.33mmol)で処理され、−78℃において30分間攪拌され、室温に温められた。その混合物はEtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.32(d,1H);8.25(s,1H);7.69(d,1H);6.71(dd,1H);6.68(s,1H);6.21(s,1H);5.57(dd,1H);5.30(dd,1H);3.95(s,3H)。
【0208】
工程4:(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−メトキシ−5−ビニルピリジン−4−イル)メタノン
CHCl(100mL)中の(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−メトキシ−5−ビニルピリジン−4−イル)メタノール(2.58g、8.29mmol)の攪拌された溶液に対し、MnO(12.9g、148mmol)が添加された。反応混合物は一晩攪拌され、セライトのパッドを通して濾過され、濃縮されて標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.52(d,1H);8.44(s,1H);7.81(d,1H);6.85(dd,1H);6.63(s,1H);5.62(d,1H);5.30(dd,1H);3.97(s,3H)。
【0209】
工程5:(5−クロロ−2−ビニルピリジン−3−イル)(2−メトキシ−5−ビニルピリジン−4−イル)メタノン
nPrOH(25mL)中の(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)(2−メトキシ−5−ビニルピリジン−4−イル)メタノン(0.61g、2.0mmol)の攪拌された溶液に対し、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.26g、2.0mmol)、PdCl(dppf)(29mg、0.039mmol)、及びTEA(0.28mL、2.0mmol)が添加された。反応混合物は、3時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ8.66(d,1H);8.44(s,1H);7.58(d,1H);7.07(dd,1H);6.73(dd,1H);6.63(3,1H);6.48(dd,1H);5.60(d,1H);5.58(dd,1H);5.27(d,1H);3.97(s,3H)。
【0210】
工程6:3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン
トルエン(70mL)中の(5−クロロ−2−ビニルピリジン−3−イル)(2−ビニルピリジン−3−イル)メタノン(0.40g、1.3mmol)の攪拌された溶液に対し、チャン(Zhan)I触媒(88mg、0.13mmol)が添加された。反応混合物は6時間加熱還流され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.87(d,1H);8.61(s,1H);8.53(d,1H);7.55(s,1H);7.29(d,1H);7.25(d,1H);4.05(s,3H)。LRMS(ESI)(C14ClN)[M+H]の計算値273.0;実測値273.1。
【0211】
工程7:3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’;4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン
DMF(20mL)中の3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(0.28g、1.0mmol)の攪拌された溶液に対し、POCl(0.86mL、9.2mmol)が、0℃において添加された。反応混合物は0℃で1時間攪拌され、室温に温められ、100℃で7時間加熱された。混合物は、飽和NaHCO溶液へ注がれ、EtOAcで抽出された。合された有機物は水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.89(d,1H);8.78(s,1H);8.54(d,1H);8.12(s,1H);7.50(d,1H);7.29(d,1H)。
【0212】
工程8:3−クロロ−7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物5)
iPrOH(2mL)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’;4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(22mg、0.079mmol)の攪拌された溶液に対し、TEA(0.055mL、0.40mmol)及び2,4−ジメトキシベンジルアミン(0.060mL、0.40mmol)が、密閉試験管内で添加された。反応混合物は125℃で一晩加熱され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,v)δ8.79(d,1H);8.52(d,1H);8.47(s,1H);7.27(s,1H);7.23(d,1H);7.15(d,1H);7.13(d,1H);6.48(d,1H);6.44(dd,1H);5.79(br s,1H);4.54(d,2H);3.87(s,3H);3.79(s,3H)。LRMS(ESI)(C2218ClN)[M+H]の計算値408.1;実測値408.1。
実施例5
【0213】
【化35】

【0214】
工程1:7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン
DMF(8mL)中の3−クロロ−7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(0.13g、0.32mmol)の攪拌された溶液に対し、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.13g、0.64mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(9mg、0.032mg)、Pd(dba)(15mg、0.016mmol)、及びKF(61mg、1.1mmol)が添加された。反応混合物は135℃で24時間加熱され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C2623)[M+H]の計算値454.2;実測値454.2。
【0215】
工程2:7−アミノ−3−(1−メチル−1H−ピラソール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物6)
CHCl(2mL)中の7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(20mg、0.044mmol)の攪拌された溶液に対し、TFA(1mL)が添加された。反応混合物は2時間攪拌され、濃縮され、分取用HPLCにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDSOCD)δ9.19(d、1H);8.56(d,1H);8.54(s,1H);8.45(s,1H);8.12(s,1H);7.23(d,1H);7.13(s,1H);7.04(d,1H);6.87(s,2H);3.91(s,3H)。LRMS(ESI)(C1713O)[M+H]の計算値304.1;実測値304.1。
実施例6
【0216】
【化36】

【0217】
N’−(3−クロロ−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)−N,N−ジメチルスルファミド(化合物6)
ジオキサン(5mL)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(80mg、0.29mmol)の攪拌された溶液に対し、Pd(dba)(13mg、0.014mmol)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(25mg、0.043mmol)、N,N−ジメチルスルファミド(36mg、0.29mmol)、及びCsCO(0.28g、0.87mmol)が添加された。反応混合物は95℃で2時間加熱され、室温に冷却され、水で処理され、EtOAcで抽出された。合された有機物は、食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.79(d,1H);8.86(d,1H);8.76(s,1H);8.66(br s,1H);8.54(d,1H);7.96(s,1H);7.38(d,1H);7.27(d,1H);2.99(s,6H)。LRMS(ESI)(C1513ClNS)[M+H]の計算値365.0;実測値365.1。
実施例7
【0218】
【化37】

【0219】
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(化合物7)
DMF(3ミリ)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(40mg、0.14mmol)の攪拌された溶液に対し、2,4−ジメトキシベンジルアミン(0.12g、0.72mmol)及びKCO(0.10g、0.72mmol)が添加された。反応混合物は155℃で2時間加熱され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を副産物として得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.88(dd,1H);8.55(dd,1H);8.46(s,1H);7.41(dd,1H);7.26(s、1H);7.24(d、1H);7.18(d、1H);7.15(d、1H);6.48(d、1H);6.44(dd、1H);5.54(br s,1H),4.54(d,2H);3.86(s,3H);3.79(s,3H)。LRMS(ESI)(C2219)[M+H]の計算値374.1;実測値374.2。
【0220】
以下の化合物は、スキーム2に従って製造された。化合物12は、中間体として、3−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−カルバルデヒドを用いて製造された(ケリー(Kelly,S.A.);フォリカー(Foricher,Y.);マン(Mann,J.);ベントレイ(Bentley,J.M.)著、「オーガニック&バイオモレキュラー・ケミストリー(Org.Biomol.Chem.)」、2003年、第1巻、p.2865)。表1
【0221】
【表1】

【0222】
【表2】

【0223】
【表3】

【0224】
【表4】

【0225】
【化38】

実施例8
【0226】
【化39】

【0227】
工程1 3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール
MeOH(50mL)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(0.80g、2.9mmol)の攪拌された溶液に対し、NaBHが、LCMSが完全な転換を示すまで少量ずつ添加された。その混合物はNHCl水溶液で処理され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.50(d,1H);8.38(s,1H);8.10(d,1H);7.73(s,1H);7.35(d,1H);7.27(d,1H);5.29(d,1H);2.72(d,1H)。LRMS(ESI)(C13ClO)[M+H]の計算値279.0;実測値279.0。
【0228】
工程2 5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール
DMF(10mL)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール(0.79g、2.8mmol)の攪拌された溶液に対し、イミダゾール(0.58g、8.5mmol)及びTBDPSCl(1.6g、5.7mmol)が添加された。反応混合物は、75℃で4日間加熱され、水で処理され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.36(d,1H);8.23(s,1H);8.05(d,1H);7.69(s,1H);7.22−7.48(一連のm、10H);7.17(d,1H);7.11(d,1H);5.12(s,1H);1.28(s,9H)。LRMS(ESI)(C2926ClOSi)[M+H]の計算値517.1;実測値517.1。
【0229】
工程3 5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−7−(1−エトキシビニル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン
DMF(10mL)中の5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール(1.1g、2.1mmol)の攪拌された溶液に対し、トリブチル(1−エトキシビニル)スズ(0.79g、2.2mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(73mg、0.10mmol)が添加された。反応混合物はNで5分間パージされ、100℃で5時間加熱された。混合物はCHClで希釈され、KF水溶液で洗浄された。有機層は分離され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C3333ClNSi)[M+H]の計算値553.2;実測値553.2。
【0230】
工程4 1−(5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)エタノン
アセトン(25mL)中の5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−7−(1−エトキシビニル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジンの攪拌された溶液に対し、2N HCl(30mL)が添加された。反応混合物は1時間攪拌され、1N NaOHで中和され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ8.49(s,1H);8.43(s,1H);8.38(d,1H);8.08(d,1H);7.14−7.47(一連のm、12H);5.12(s,1H);2.68(s,1H);1.30(s,9H)。LRMS(ESI)(C3129ClNSi)[M+H]の計算値525.2;実測値525.2。
【0231】
工程5 1−(5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)エタノール
MeOH(20mL)中の1−(5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)エタノン(300mg、0.57mmol)の攪拌された溶液に対し、NaBHが、LCMSが完全な転換を示すまで少量ずつ添加された。混合物はNHCl水溶液で処理され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C3131ClNSi)[M+H]の計算値527.2;実測値527.1。
【0232】
工程6 5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン
CHCl(2mL)中の1−(5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−5H−ピリド[4‘,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)エタノール(200mg、0.38mmol)の攪拌された溶液に対し、DAST(86mg、0.53mmol)が0℃において滴下添加された。混合物は、浴を行いながら室温まで温められた。2時間後、混合物はNaHCO水溶液で処理され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C3130ClFNOSi)[M+H]の計算値529.2;実測値529.1。
【0233】
工程7 3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オール
THF(5mL)中の5−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン(155mg、0.29mmol)の攪拌された溶液に対し、TBAF(THF中1.0M、0.5mL、0.5mmol)が添加された。混合物は1時間攪拌され、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C1512ClFNO)[M+H]の計算値291.1;実測値291.0。
【0234】
工程8 3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オン
CHCl(7mL)中の3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オール(85mg、0.29mmol)の攪拌された溶液に対し、MnO(425mg、4.9mmol)が添加された。混合物は2時間攪拌され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C1510ClFNO)[M+H]の計算値289.0;実測値289.0
【0235】
工程9 7−(1−フルオロエチル)−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オン(化合物30)
DMF(3mL)中の3−クロロ−7−(1−フルオロエチル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オン(72mg、0.25mmol)の攪拌された溶液に対し、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(103mg、0.50mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(14mg、0.050mmol)、Pd(dba)(23mg、0.025mmol)、及びKF(48mg、0.82mmol)が添加された。反応混合物はNで5分間パージされ、135℃で一晩加熱され、室温に冷却され、水で希釈され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は乾燥され(NaSO)、濃縮され、分取用HPLCにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ9.07(d,1H);8.92(s,1H);8.58(d,1H);8.24(s,1H);7.94(s、1H);7.84(s、1H);7.52(d、1H);7.28(d、1H);5.81(dq,1H);4.00(s,3H);1.75(dd,3H)。LRMS(ESI)(C1915FNO)[M+H]の計算値335.1;実測値335.1。
【0236】
化合物31は、スキーム3に従って製造された。
【0237】
【表5】

実施例9
【0238】
【化40】

【0239】
工程1 3−クロロ−7−ビニル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン
nPrOH(30mL)中の3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(0.80g、2.9mmol)の攪拌された溶液に対し、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.41g、3.0mmol)、PdCl(dppf)(42mg、0.058mmol)、及びTEA(0.42mL、3.0mmol)が添加された。反応混合物は、3時間加熱還流され、室温に冷却され、EtOAcで希釈され、水及び食塩水で洗浄された。有機層は乾燥され(NaSO)、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C15ClNO)[M+H]の計算値269.0;実測値269.0。
【0240】
工程2 3−クロロ−7−エチル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール
MeOH(20mL)中の3−クロロ−7−ビニル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(400mg、1.49mmol)の攪拌された溶液に対し、NaBHが、LCMSが完全な転換を示すまで、徐々に添加された。混合物はNHCl水溶液で処理され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は食塩水で洗浄され、乾燥され(NaSO)、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。LRMS(ESI)(C1513ClNO)[M+H]の計算値273.1;実測値273.1。
【0241】
工程3 3−クロロ−7−エチル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン
CHCl(20mL)中の3−クロロ−7−エチル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オール(350mg、1.28mmol)の攪拌された溶液に対し、MnO(1.5g、17mmol)が添加された。混合物は1時間攪拌され、フラッシュクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を得た。
【0242】
工程4 7−エチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン5−オン(化合物32)
DMF(7mL)中の3−クロロ−7−エチル−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン(250mg、0.92mmol)の攪拌された溶液に対し、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.38g、1.8mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(54mg、0.19mmol)、Pd(dba)(85mg、0.092mmol)、及びKF(177mg、3.0mmol)が添加された。反応混合物はNで5分間パージされ、135℃で一晩加熱され、室温に冷却され、水で希釈され、CHClで抽出された(3回)。合された有機物は乾燥され(NaSO)、濃縮され、分取用HPLCにより精製されて、標題化合物を得た。H NMR(600MHz,CDCl)δ9.06(d,1H);8.90(s,1H);8.59(d,1H);7.96(s,1H);7.93(s,1H);7.83(s,1H);7.47(d,1H);7.27(d,1H);4.02(s,3H);3.00(q,2H);1.37(t,3H)。LRMS(ESI)(C1916O)[M+H]の計算値317.1;実測値317.1。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
A及びDは、独立して、−NR10−及び−CR−から選択され、ただし、Aが−NR10−のとき、Dは−CR−であり、Dが−NR10−のとき、Aは−CR−であり;
E、G、及びJは、独立して、O、S、−NR10−、及び−CR−から選択され;
Lは:結合、N、及び−CR−から選択され、ただし、E、G、及びJのうちの1つがO又はSのとき、Lは結合であり;
Mは:−CR−、−C(=O)−、−C(=N−OR)−、−NR10C(=O)−、及び−C(=O)NR10−から選択され;
Q、V、及びXは、独立して:N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、Q、及びVの少なくとも1つが−CR−ではないか、或いはA及びDの少なくとも1つが−(CR−ではないか、或いはMが−CR−、−C(=O)−、又は−C(=N−OR)−ではなく;
破線は、任意の二重結合を表し;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、−O−C1−6アルキル、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、独立して、水素、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、OH、NO、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、
19)OSiR、又は
20)NO
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩又は立体異性体。
【請求項2】
式II:
【化2】

[式中、
E、G、及びJは、独立して、N及び−CR−から選択され;
Lは:N及び−CR−から選択され;
Mは:−CR−、−C(=O)−、及び−C(=N−OR)−から選択され;
Q、V、及びXは、独立して、N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、Q、及びVの少なくとも1つが−CR−ではなく;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、独立して、水素、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、水素、C1−6アルキル、OH、NO、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)mR
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、
19)OSiR、又は
20)NO
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され;
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
で表される請求項1記載の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩又は立体異性体。
【請求項3】
式III:
【化3】

[式中、
E、G、及びJは、独立して、−NR10−及び−CR−から選択され;
Lは:N及び−CR−から選択され;
Q、及びXは、独立して、N及び−CR−から選択され、ただし、XがNのとき、E、G、J、L、及びQの少なくとも1つが−CR−ではなく;
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
は、ハロゲン、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され、該アリール及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、OH、−O−C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、及びNR1011から選択され、各アルキル及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)Oa(C=O)NR1011
12)S(O)mR
13)S(O)NR1011
14)OS(=O)R
15)オキソ、
16)CHO、
17)(N=O)R1011
18)(C=O)−Cシクロアルキル、又は
19)OSiR
であって、
該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR1011
から選択され、
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
同一の炭素原子に結合する2つのRは、一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは3〜6であって、1又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−、及び−N(COR)−から選択される成分によって置き換えられていてもよく;
10及びR11は、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、
該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、各環5〜7員の、窒素原子に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環又は二環式のヘテロ環を形成し、該単環又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択され;そして
は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択される]
で表される請求項2記載の化合物、又は医薬的に許容され得るその塩。
【請求項4】
以下から選択される化合物:
3−クロロ−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
11−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
10−ニトロ−3−フェニル−5H−ピリド[3’,2’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3,7−ジクロロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−アミノ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N’−(3−クロロ−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル)−N,N−ジメチルスルファミド;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N,N−ジメチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド;
7−メトキシ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;及び
3−クロロ−7−メトキシ−5H−ピリド[2’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
N’−[3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N,N−ジメチルスルファミド;
N,N−ジメチル−N’−{5−オキソ−3−[1−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル}スルファミド;
3−クロロ−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−[(2,3−ジメチルベンジル)アミノ]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
(2R)−N−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−2−(ピロリジン−1−イルメチル)ピロリジン−1−スルホンアミド;
N−(1,4−ジオキサン−2−イルメチル)−N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド;
N−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]ピリジン−2−カルボキシアミド;
N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)スルファミド;
N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメチル)スルファミド;
7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−3−[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
tert−ブチル 4−[5−(7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−5−オキソ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−3−イル)ピリジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート;
7−{[(3−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−3−(6−ピペラジン−1−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−[(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)アミノ]5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−クロロ−7−{[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]アミノ}−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−(1−フルオロエチル)−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−(1−ヒドロキシエチル)−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
7−エチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピリド[4’,3’:4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−5−オン;
又は医薬的に許容され得るその塩。
【請求項5】
請求項1の化合物と、医薬的に許容され得る担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項6】
癌を治療又は予防する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳動物において、治療上有効な量の請求項1の化合物を該哺乳動物へ投与することを含んでなる方法。
【請求項7】
癌を治療又は予防する請求項6の方法であって、該癌が、脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭、及び肺の癌から選択される方法。
【請求項8】
癌を治療又は予防する請求項6の方法であって、該癌が、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫、神経膠芽細胞腫、及び乳癌から選択される方法。
【請求項9】
請求項1の化合物を使用する方法であって、癌の治療又は予防を、かかる処置を必要とする哺乳動物において行うに際し有用な医薬品の調製のための方法。
【請求項10】
請求項1の化合物を使用する方法であって、受容体チロシンキナーゼMETの阻害を、かかる処置を必要とする哺乳動物において行うに際し有用な医薬品の調製のための方法。
【請求項11】
請求項1の化合物を使用する方法であって、癌の予防又は転移調節を、かかる処置を必要とする哺乳動物において行うに際し有用な医薬品の調製のための方法。
【請求項12】
請求項11の化合物を使用する方法であって、当該癌が、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮頚癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、及び肉腫から選択される方法。

【公表番号】特表2009−513580(P2009−513580A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536756(P2008−536756)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040667
【国際公開番号】WO2007/050383
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】