説明

テストエレメント用の交換式マガジンを備えた分析装置

【課題】分析装置に連結可能な複数の消費要素を収容するマガジンを備えた測定システムを提供する。
【解決手段】測定システム110が提供され、この測定システム110は、少なくとも測定機能および/または試料採取機能を有する分析装置114と、少なくとも1つの消費要素122を収容する少なくとも1つのマガジン112を有する。マガジンは、少なくとも1つの開口128、130を備えたマガジンハウジング120を有する。マガジンは、分析装置114に連結可能な交換式マガジン112として構成されている。分析装置114は、少なくとも1つの密封要素118を備えた密閉手段116を有し、密封要素は、少なくとも1つの消費要素122、を開口128、130から供給し、また密封要素は、マガジン112が密閉状態にあるとき、開口128、130に留まって、そこを密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、および分析装置に連結可能であるとともに、少なくとも一つの消費要素を収容することができるマガジンを備えた測定システムに関する。このような測定システムと分析装置は、たとえば含有される少なくとも1つの検体を調べるための液体試料の検査に用いられる。代替的に、このような測定システムは、たとえば交換式の、多数の使い捨てランセットの一式を備えたランセットシステムとしても用いられる。この種の測定システムは、たとえば血中グルコース濃度をモニタリングするためなど、とりわけ医療の分野において、または化学的分析、生物学的分析または環境分析の分野に用いられる。
【背景技術】
【0002】
血中グルコース濃度のモニタリングは、糖尿病患者にとっては毎日の日課の中でも必須の要件である。血中グルコース濃度は、必要な場合には適切な医療上の対策を施すことができるよう、一般には、一日に数回速やかにかつ正確に判定できるようになっていなければならない。糖尿病患者が日課をこなす上で必要以上の妨げとならないよう、携帯と操作が容易で携帯に好適な装置がしばしば用いられる。携帯型の装置の場合、血中グルコース濃度を、たとえば職場においても、また余暇の最中でも測定することが可能である。
【0003】
種々の携帯型装置が現在市販されているが、中には、異なる測定方法で動作する装置もある。これらの装置では、種々の分析法、たとえば光学測定法または電気化学測定法さえもが用いられる。このために、たとえば適切な試料を塗布する試験片のようなテストエレメントを用いることも可能である。そのような試験片(ここでは電気化学試験片)は、米国特許第5286362号に例示されている。光学試験システムは、国際公開第01/48461号に例示されている。
【0004】
このように、たとえばテストエレメント、とりわけ試験片のような消費要素は、そのような測定システムにとって、とりわけ携帯型の測定システムにとって重要な要素である。一般に、糖尿病患者は、一日に約5つから7つのテストエレメントを必要とする。試験片は、汚染、または湿気の作用によって血中グルコース濃度の測定結果が不正確にならないよう、清潔かつ乾燥状態に保持することが不可欠である。同様なことが、特に滅菌状態で保管しなければならない、消費要素としての使い捨てランセットについても当てはまる。
【0005】
このために、消費要素を通常は適切な容器に保管しておいて、ユーザが、使用時に容器から取り出して、測定のための好適な分析装置に挿着する。そのようなシステムは、たとえば米国特許出願公開第2002/0170823号から知ることができる。システムによっては、試験片を収容しかつ供給するために、マガジンシステムが用いられる。そのようなシステムの例については、米国特許出願公開第2003/0116583号、米国特許第6908008号、欧州特許第0640393号および米国特許第4911344号から知ることができる。これらのシステムにおいては、数個の試験片がマガジンに収容されている。さらに、欧州特許出願公開第1488736号には、個々の試験片に替えて、複数の試験領域を備えた1つの、テープ状の長い試験片を収容したシステムについての説明がある。
【0006】
個別のマガジンと測定装置を格納するシステムの他に、数個の試験片をマガジンに収容するだけでなく、これらの試験片の評価も同時に可能にする一体型のシステムもある。この種の一体型システムの例は、米国特許第6827899号または同第6159424号に開示されている。
【0007】
種々の方法で収容することにより、テストエレメントは、マガジン自体または分析装置によって外部からの影響を受けないよう防護される。前者の場合、マガジン本体が、密封に必要な全ての手段を備えるとともに、開封できるようになっていなければならないために、マガジンは、比較的複雑で高価なものになってしまう。そのようなシステムの例は、欧州特許出願公開第1488736号に説明されているテープ式のカセットシステムや密封膜を備えたシステムがある。
【0008】
先に説明した、分析装置によって密封される第2のケースの場合、分析装置は、マガジンの交換時にユーザが開封し、その後再度密封することができる密封チャンバを備えることが必要である。米国特許第6827899号は、そのようなシステムの例を開示している。しかし、そのようなシステムの不都合な点は、技術的に非常に複雑になる、または比較的大きいシールが必要になることであり、そのようなシールの場合、ユーザが容易に操作することが可能であるために、誤った取り扱い、不十分な手入れ、または清浄度の低下によって、その機能が損なわれる。さらに、たとえば米国特許第6827899号に説明されている方法を含む、先に説明した密封システムの多くにおいて、マガジンの交換ができるようになっていないために、テストエレメントを使い切った場合、システム全体を交換しなければならない。
【0009】
上述した米国特許第6908009号明細書には、試験片を収容したマガジンが格納された検査装置が開示されている。このマガジンは、上端(供給側)が開いており、この開口の周縁にゴムシールが延在するように構成されている。マガジンが閉鎖状態のとき、このゴムシールは、検査装置の対応した密封面に押圧される。試験片を取り出すとき、マガジンを密封面から持ち上げ、そして摺動体によって試験片がマガジンから押し出される。しかし、米国特許第6908008号に示されている構成は、マガジンを検査装置の密封面から持ち上げるための適切な手段を用いる必要があるために、技術的にきわめて複雑である。さらに、持上げ動作と試験片の供給時に、きわめて大きい開口が形成され、湿気がマガジンの内部に浸入する可能性があるために、全体としての検査システムの密封手段に対する要求がきわめて厳しいものになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、先行技術が有する、先に説明した不都合な点の少なくとも大部分を回避する測定システムを提供することである。特に、この測定システムは、分析装置に加えて、交換式であるとともに、分析装置に容易かつ迅速に連結されて密封することができる少なくとも1つのマガジンを含むように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、独立請求項1の特徴を備えた測定システムによって達成される。単独でまたは組み合わせて達成可能な、有利な発展例は、従属請求項に記載されている。
【0012】
たとえば機能的には、先に説明した装置に相当する測定システムが提案される。例として、それは、たとえば血中グルコース濃度のような少なくとも1つの検体を分析するための、血液またはその他の体液の測定システムに関する。この「測定システム」は、代替または追加の形態をとって、患者の皮膚の一部に刺傷を形成して、たとえば1滴の血液を採取するための、少なくとも1つの試料採取機能を備えた試料採取システムであってもよい。用語「測定システム」は、最大限広い意味に解釈されるものとする。
【0013】
測定システムは、少なくとも分析機能および/または試料採取機能を備えた分析装置を有する。この測定機能は、たとえばテストエレメントによる液体試料を分析する操作を含んでいてもよい。試料採取機能は、たとえばランセットのような刺傷形成要素によって皮膚の一部に、たとえば所定の刺傷を形成する操作を含んでいてもよい。用語「分析装置」は、最大限広い意味に解釈されるものとする。
【0014】
測定システムは、また、少なくとも1つの消費要素を収容した少なくとも1つのマガジンを有する。消費要素は、分析装置の機能を実現するように構成されており、そのために、テストエレメント、特に、たとえば導入部で説明した、先行技術による光学および/または電気化学試験片のような試験片を含む。代替としてまたは追加して、消費要素は、たとえばランセット、特にたとえば欧州特許出願公開第1203563号および/または欧州特許第1333756号に説明されている種類の使い捨てランセットのような刺傷形成器を含んでいてもよい。
【0015】
マガジンは、消費要素を環境の影響、とりわけ汚染および/または湿気から少なくとも実質的に防護するマガジンハウジングを有する。マガジンハウジングは、少なくとも1つの開口を有し、消費要素の取出しおよび/または供給は、この少なくとも1つの開口を介して行われる。測定システムは、開口を密閉するために、少なくとも1つの密封要素(以下、装置側の密封要素とも呼ぶ)を備えた密閉手段を有する。
【0016】
マガジンは、分析装置に連結可能な交換式マガジンとして構成されている。このために、分析装置および/またはマガジンは、とりわけ、たとえばバヨネット式留め金、フック、掛け金またはその他の固定要素のような、対応した形状の連結手段を有する。分析装置は、マガジンを受承し、それによりマガジンを分析装置に連結するように構成されたマガジン受承部、とりわけマガジン用開口またはマガジン用区画を有することが好ましい。
【0017】
この種の測定システムは、たとえば米国特許第6908008号に説明されている測定システムに相当する。しかし、上述の明細書に記載されている構造と比較した場合、本発明による密封要素は、2つの機能を果たすように構成されている。1つには、密封要素(または密閉手段全体)は、開口から少なくとも1つの消費要素を供給することである。このために、密封要素は、たとえばマガジンの第1の開口に挿入することによって、第2の開口から消費要素を取り出すことを可能にする。この場合、密封要素は、たとえば摺動体またはラムを備えていてもよい。しかし、たとえば消費要素を開口から引き出すことができるよう把持部を設けるなど、その他の供給手段を設けることも可能である。
【0018】
もう1つには、密封要素(または密閉手段全体)は、マガジンが密閉状態にあるとき、少なくとも1つの開口に挿着され、そしてその開口とまたは開口領域でマガジンと相互に作用し合って開口を密閉することである。「密閉する」とは、汚染と空気中の湿気からは防護するものの、必ずしも完全に気密ではない密閉状態にすることを意味すると了解されるものとする。マガジン内に収容された任意の乾燥剤の効果を考慮した上での、湿気が密閉開口を介して浸入する速さは、消費要素の機能が一般的な保管期間内に、即ち消費期限までにまたは数日から数週間内に事実上損なわれないように設定しなければならない。ランセットシステムの場合には、滅菌状態であることの方が乾燥状態にあることより重要であるために、密封については別の要請に応えなければならない。
【0019】
公知の先行技術と比較した場合、ここで説明する測定システムは、一方では、消費要素を収容したマガジンは交換式であるために、空になったマガジンだけを交換し、分析装置そのものは再利用が可能である。複雑な構造の密閉手段は、分析装置に装着されており、マガジンとともに廃棄されることもなく、分析装置に組み込まれた構造部品として再利用される。これにより、大幅な節約が可能になる。これらの、特に軽量安価で携帯型の測定システムについては、その使用に伴う費用を最小限に抑えることができる。同時に、密閉手段を、ユーザの手が届かない、たとえばマガジン用開口つまりマガジンの受承部のような、分析装置のハウジングの内部に配置することが可能であるために、不具合や誤作動を回避することができる。
【0020】
本発明によると、測定システムが密閉状態にあるとき、密封要素は、少なくとも1つの開口と相互に作用し合って、この少なくとも1つの開口を密封する。この相互作用は、種々の方法で実現することができる。たとえば開口または開口領域のマガジンおよび/または密封要素は、各々密封面を有し、密封面は、密閉状態にあるとき互いに当接し合って密封作用を及ぼす。密封要素および/または開口、または開口領域のマガジンも、代替または追加の形態をとって、たとえば弾性密封要素のような密封要素を備えていてもよい。このために、密封要素および/または開口は、互いに適切な条件で押圧されたとき密封作用を及ぼすことができるよう、完全にまたは部分的に変形可能であり、とりわけ弾性を備えるように構成される。たとえば平滑な密封面と変形可能な密封要素の組合せのように、技術要素を組み合わせることも可能であり、この場合、これらの要素を、要望に合わせて密封要素と開口のいずれにも用いることができる。
【0021】
しかし、密封要素は、密封面、好ましくは平滑な密封面を有することがとりわけ望ましい。開口には、係合部品として変形可能な密封要素がマガジン側に設けられており、密封要素は、密封面と相互に作用を及ぼす。開口には、たとえば少なくとも1つの間隙密封部材、とりわけ密封用リップが設けられていてもよい。ここで、「密封用リップ」とは、たとえば開口の周縁に延在し、密封要素をその中に挿通させることができるゴムシールであると了解されるものとする。
【0022】
別の好ましい実施形態は、密封要素そのものに関する。この場合、密封動作を改良するために、密封要素は、たとえば開口に挿入される方向に、つまり密封要素が密閉手段によって開口の中に押進される方向に、少なくとも部分的に(つまり、たとえば密封要素の一部において)漸減する断面を有する方が有利であることが証明されている。これにより、密閉手段が加える力の成分によって、密封要素は開口の壁面に押圧される。
【0023】
密封要素は、一部の領域において一定の断面を有するのに対し、その他の領域においては上述のように、たとえば円錐形断面のように漸減する断面を有するように形成してもよい。この場合、たとえば一定断面を有する第1の部分によって消費要素を供給し(押し出し)、その同じ1回の動きの後段において、円錐形部を開口に挿入することによって開口を密閉することができる。
【0024】
密閉手段は、とりわけ密封要素によって消費要素を搬送する、つまり消費要素をマガジンから押し出して使用位置に配置するように構成することができる。この使用位置において、たとえば液体試料に含まれる検体の濃度が、試験片として構成された消費要素によって測定される。ランセットとして構成された消費要素を、代替または追加の形態をとって用いることができ、そうすれば使用位置にあるとき、一滴の血液を採取するための刺傷を皮膚の一部に形成することができる。その他の種類の用途に用いることも可能である。
【0025】
密封要素によって、消費要素が使用位置にマガジンから押し出されるように構成されている場合、密封要素には他の仕事も行わせることができる。密封要素は、たとえば消費要素を使用位置から、使用後に廃棄位置および/または廃棄物ユニットに移送するために用いることもできる。このために、測定システムは、たとえば使用済み消費要素を受承することができる廃棄物容器を有していてもよい。この廃棄物容器は、定期的に空にするために、たとえば測定システムおよび/または分析装置に脱着可能に取り付けるように構成されている。廃棄物容器は、代替または追加の形態をとって、マガジンの構成要素の一部としてもよい。廃棄物容器を用いる代わりに、使用済み消費要素を直接廃棄するようにすることも可能である。廃棄物容器に関しては、種々の実施の形態が考えられる。
【0026】
上述したように、消費要素を供給して開口を密封する機能に加えて、密封要素は、その他の仕事と機能を果たすようにすることもできる。これらの機能は、たとえば消費要素の供給に係っており、この場合、密封要素は、たとえば把持部や摺動部などを含んでいてもよい(上記内容も参照されたい)。密封要素は、代替または追加の形態をとって、その他の電気的、光学的または機械的機能を果たすようになっていてもよく、その他の機能は、消費要素の用途と使用形態によって決まる。
【0027】
特に、密封要素は、開口を密封するための少なくとも1つの密封面を備えたジャケット、および密封要素の軸方向に延在する受承路を内部に有していてもよい。この受承路は、種々の機能を有する構成要素を配置できるようになっており、またその断面は、任意の形状であってよい。
【0028】
また、消費要素と接続するための、たとえば少なくとも1つの、たとえば給電線用の電気接点を受承路に配置してもよい。これにより、たとえば対象とする測定を実施するために、密封要素を介して電気化学試験片に接続することが可能になる。
【0029】
代替としてまたは追加して、光学装置を受承路に配置することもできる。この光学装置は、たとえば光学試験片を励起するおよび/または光学試験片が発した光を集めて検出装置に送るための、たとえば光源および/または光導波路を含む。また別の種類の光学装置も考えられる。
【0030】
第3のまたは別の可能な形態において、機械装置を少なくとも1つの受承路の中に配置してもよい。この機械装置は、たとえば消費要素を取り扱う装置を含む。ここで説明している装置の一例は、テストエレメントと電気接続を確立するために機械的な運動を起こす装置である。この構成は、たとえば軽い接触によって接続できるために、たとえばテストエレメントに非常に薄い接点が用いられている場合には有利である。別のまたは追加して組み込むことができる機械的機能は、受承路内に配置してランセットシステムを操作するために用いられる駆動ラムまたは別の駆動装置に係る機能である。少なくとも1つのマガジンは、たとえば使い捨てランセットを受承するようになっていてもよく、使い捨てランセットは、密封要素によって使用位置に移動させられ、たとえば密封要素の他の部分に対して移動できるよう受承路内に装着された駆動ラムが、移動させられた使い捨てランセットに急速な刺傷形成運動を起こさせる。密封要素については、その他の構成も考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明のさらなる詳細と特徴については、従属請求項に関連して例示した好ましい実施形態において、次に説明する。しかし、本発明は、例示した実施形態に限定されるものではない。例示としての実施形態は、図面では模式的に描かれている。個々の図面の同一の参照番号は、同一の要素であることを意味する、または同一の機能を有するまたは機能的に互いに関連し合う要素であることを意味する。
【0032】
図1は、本発明の例示としての第1の実施形態による測定システム110の詳細を示す略図である。測定システム110は、マガジン112と分析装置114を有する。この略図において、分析装置114は、密封要素118を備えた密閉手段116の一部だけが示されている。分析装置114のその他の機能と、たとえばその構成については、例示する別の実施形態についての下記説明を参照されたい。
【0033】
マガジン112は、マガジンハウジング120を備える。このマガジンハウジングは、原則的には密封ハウジングとして構成されていて、平行に積層された、この例示した実施形態においては試験片として形成されている数個のテストエレメント122を収容するために用いられる。別の種類の消費要素を収容することも可能である。
【0034】
例示した実施形態において、マガジン112は、棒状または直線形に形成されていて、テストエレメント122の積層体に付勢するマガジンバネ124を有する。
【0035】
この例のマガジン112は、分析装置114のマガジン用開口126(図1に象徴的に図示)に挿入できるようになっている。しかし、マガジン112と分析装置114のあいだの連結を別の構成にすることも考えられる。
【0036】
マガジンハウジング120は、その上端部に2つの開口128、130を有し、その部分を除くと概ね密封されている。試験片として構成されたテストエレメント122に対応し、これらの開口128、130、とりわけ供給用開口として機能する開口130は、スリット状の開口である。
【0037】
図1に例示した実施形態によると、マガジン112は、マガジン側の密封要素132も有する。例示した実施形態において、これらのマガジン側の密封要素は、開口128を囲繞する密封リップに形成されているが、開放状態にあるときには、互いに強く押圧し合うことはなく、開口128を極僅かに小さくするだけである。簡単な密封リップの代わりに、たとえば密封リングや発泡シールなど、好適な状態の周縁シールを用いることができる。平滑で簡単な開口、即ちマガジン側に別体としての密封要素を備えない構成にすることも考えられる。
【0038】
これらのマガジン側の密封要素132に対する係合部品として、ここでは簡単な棒または密封摺動体に形成された装置側の密封要素118は、平滑な密封面134を有する。密封要素118は、たとえば一定の矩形断面を有する棒であり、この矩形断面は、たとえば開口128、130の断面形状に概ね対応する、または極僅かに断面形状より小さい。その代わりに、密閉状態において密封要素118が開口128、130に圧入された状態になるよう、僅かに大きい断面を選択することもできる。
【0039】
図1および2は、測定システム110の異なる動作状態を示す。図1は、密封要素118が開口128、130から抜き出されたために、これらの開口128、130が開放された開放状態を示す。この状態のとき、たとえばマガジン112の交換が可能である。また、この状態のとき、最上部のテストエレメント122は、マガジンバネ124により付勢されて、マガジンの蓋の内面に当接する。
【0040】
図2は、装置側の密封要素118が、密閉手段116の部品(図1および2には図示せず)によって左側の開口128にまず挿入され、最上部のテストエレメント122を右側の開口130から排出し、そして右側の開口130を密閉する様子を示す。この密閉動作を行うとき、密封面134(図1参照)はマガジン側の密封要素132と相互に作用し合う。密封要素118は、排出を終えると図2に示す密閉位置に留まる。このように、テストエレメント122を排出する短い時間(一般には数秒以内)だけ開放されており、その後は密封要素118によって密閉され、測定システム110は、長時間の不使用状態に置かれる。
【0041】
マガジン側の密封要素132は、先に説明したように、密封リップとして構成することができるが、この密封リップは、柔軟で可撓性を有するとともに、たとえばゴムまたはその他のプラスチックで形成することができる。従って、図2に示す密閉状態において、装置側の密封要素118は、マガジン112を完全に密閉することによって、マガジン112内のテストエレメント122を汚染および湿気の影響を受けないよう防護する。マガジンバネ124は、これらのテストエレメント122の最上部のテストエレメントを、装置側の密封要素118の平滑な下側密封面134に向けて押圧する。
【0042】
図2に示す密閉状態において、装置側の密封要素118は、マガジン112をマガジン用開口126に固定できるようにもなっていることが好ましい。これにより、マガジン112は分析装置114に確実に連結される。図1に示すように、一般には短時間に限られる開放状態においても、マガジン112をマガジン用開口126に固定するために、別の固定要素を設けることもできる。
【0043】
装置側の密封要素118によってテストエレメント122の1つを排出する操作は、図2に象徴的に示されている。図2は非常に単純化されている。少なくとも1つの測定機能を有する、提案している測定システムにおいて、このテストエレメント122は、たとえば電気的に接続するために、または別の目的に合うよう供給するために、測定機能部に送給するように構成してもよい。この件については、後述する、別の実施形態の中でより詳細に説明する。
【0044】
未使用のテストエレメント122が収容された新しいマガジン112を測定システム110に装着するためには、そのようなマガジン112を包装する、たとえばブリスター包装のような1次包装を取り除かなければならない。開口128、130は、別の密封用フィルムで密封されている。密封用フィルムは、たとえばブリスター包装のような包装材とともに取り外すようにすることもできる。
【0045】
マガジン112をマガジン用開口126に挿入する前に、これらの密封用フィルムは、開口128、130から取り外される。このとき、マガジン112の内部が短時間外気に曝される。浸入する湿気を吸収するため、先に説明したように、湿気を容易に吸収可能な乾燥剤が、マガジン112の内部に収容される。
【0046】
マガジン112をマガジン用開口126に挿入した後に密閉手段116を駆動することによって、装置側の密封要素118が開口128、130に挿入される。図2に示す密閉状態は、不使用時に測定システム110が置かれる状態である。新しいマガジン112を初めて挿入し、そして装置側の密封要素118によって固定するとき、最上部のテストエレメント122が無駄になることを回避するために、新しい各々のマガジン112の最上部のテストエレメント122は、最初の使用時に排出し、そして廃棄できるようにするために擬似の要素として、たとえば安価なプラスチックまたは厚紙を用いて形成して構成したものも採用できる。
【0047】
マガジン112は、たとえば使い捨てのマガジンとして構成することができるが、再利用も可能である。密封要素118、132をこのように構成にする利点は、これらの密封要素118、132によって形成された密封部も、各々のマガジン112とともに交換可能であり、同時に密閉手段116のような高価な部品を、再利用するために分析装置114に留めることができることである。
【0048】
図1および2に例示した測定システム110の実施形態において、装置側の密封要素118は、軸方向にほぼ一定の断面を有する。従って、この例示した実施形態においては、密封要素118は、マガジン側の密封要素132と相互に作用し合うようになっていることが好ましい。しかし、マガジン側の密封要素132を相互に作用し合うように製作することは、マガジン112のコストを上昇させる。従って、図3および4は、図1および2に例示した実施形態にほぼ類似の、測定システム110の例示としての第2の実施形態を示す。
【0049】
図1および2に例示した実施形態に対し、図3および4に例示した実施形態には、「円錐形」の密封要素118が設けられている。この円錐形の密封要素118は、断面が、図3において象徴的に矢印135で示した挿入方向に漸減するよう形成されている。挿入された状態において、密封要素は、たとえば開口128と開口130のあいだで断面が10〜90%減少するが、一般にはこの減少幅は、30〜50%の範囲にある。しかし、図3の開放状態も含め、常時、上から2番目の消費要素122が開口128から滑り出すことなく、マガジン112内に確実に保持されるようにしなければならない。従って、開口128(密封要素118の対応した断面)は、消費要素122の厚さの2倍より小さくなければならない。
【0050】
密封要素118をこのように漸減させる、つまり円錐形に形成することによって、図4において象徴的に参照番号133で示した挿入力が、密封面134に直交する成分を有するために、密封要素118は、開口128、130の領域においてマガジンハウジング120に押圧される。この押圧によって、密封作用が大幅に向上する。図3および4の測定システム110の構造と動作は、その他の点においては図1および2のそれにほぼ類似している。
【0051】
しかし、密封要素118は、密封要素118(または密封摺動体)の全長にわたって円錐形の形状である必要はない。密封要素118は、その軸方向で異なる形状部を有するように構成することもできる。たとえば、密封要素118の角柱部によって、まず消費要素122をマガジン112から使用位置に押し出すようにすることができる。従って、密封要素118は、密封要素118の長さ方向で最後の部分だけが円錐形であって、この円錐形部が、マガジンの開口128、130を密閉するようになっている(たとえば図6に例示した実施形態を参照されたい)。この場合、マガジン112は、測定を行う短時間だけ開放されるが、2つの測定のあいだに長時間開放しておくこともできる。
【0052】
軸方向で異なる断面形状を有する類似構造の密封要素118を、図1および2に例示した実施形態と組み合わせる、つまりマガジン側に、たとえばエラストマのシールのような密封要素132を追加することもできる。この場合、密封摺動体つまり密封要素118は、先端部が小さい断面を有する。密封要素118がマガジン112に完全に、つまり大きい断面の後端部が挿入されて初めて、開口128、130は密閉される。
【0053】
図1〜4の各々の図面において、実態としての分析装置114は、象徴的にだけ示されているが、図5は、マガジン112が内部に収容されている完全な分析装置114を有する完全な測定システム110を示す。マガジン112は、たとえば図1および2に例示した実施形態のように構成されていている。図5は、測定システム110の模式図であり、たとえばマガジン112用の、たとえばマガジン用開口126のような保持/固定するための他の部品も含まれる。
【0054】
分析装置114は、たとえば図1または図2に示すように構成された密封要素118に加えて、密封要素118用の駆動装置136を備えた密閉手段116を有する。この駆動装置136によって、密封要素118は、挿入方向135(図5には示さず。例えば図3を参照。)に、または挿入方向135とは反対の方向に直線的に駆動される。これにより、密封要素118は、この例示としての実施形態においてもマガジン側の密封要素132を有するように構成された、第1の開口128を介してマガジン112に挿着される。これに関連する事項については、上述した図1および2についての説明を参照されたい。駆動装置136は、当業者には周知の種類の、たとえば機械的なおよび/または電気化学的な駆動装置を含む。
【0055】
例として図2に示したように、密封要素118を第1の開口128に挿入したとき、テストエレメント122が、同様にマガジン側の密封要素132が設けられた第2の開口130から押し出される。密封要素118は、テストエレメント122が測定位置138に移動するまで、それを押進する。この測定位置138において、図5においては象徴的にだけ示された液体試料140が、外側から、分析装置114のハウジング144の塗布開口142を介して測定位置138のテストエレメント122に塗布される。塗布開口142は、たとえば一滴だけ出血している親指をテストエレメント122に押し当てて、その一滴の血液をテストエレメント122に転移できるように構成されている。
【0056】
図5に例示した実施形態において、テストエレメント122は、たとえば光学試験片である。光学試験片を用いたとき、液体試料140は、検体が含まれる場合には、たとえば検出対象の検体が試験片122のそのための試薬と反応することによって色変化を起こす。
【0057】
この反応に伴う色変化は、たとえば分析装置114の検出器148に設けられた適切な発光ダイオード146によって検出される。別の励起源を用いることもできるが、これらの発光ダイオード146の場合には、テストエレメント122に対して励起光が照射される。この励起により、たとえばテストエレメント122に蛍光発光が生じ、この蛍光発光の有無および/または強さは、検出対象の検体の有無と濃度に依存する。図5に参照番号150を付して象徴的に示したこの蛍光発光は、たとえばフォトダイオードのような光学検出器152によって検出される。このようにして発生した信号は、光学検出器152から、図5に「CPU」として象徴的に示した制御/評価ユニット151に伝送される。制御/評価ユニット151は、これらの信号に基づき、液体試料140中の検出対象の検体の有無または濃度を判定する。
【0058】
図5に例示した実施形態を基にして説明した検出方法は、単に一例であると了解されるものとする。蛍光発光の代わりに、反射光成分、リン光成分または別の種類の光を検出するように構成することもできる。図5には示されていないが、別の電気、機械、電気化学または光学要素を分析装置114に設けることもできる。図5に例示した実施形態において、分析装置114の全体にはバッテリ153から電力が供給される。しかし、たとえば有線による給電、無線給電、別の種類のエネルギー蓄積器からの動力の供給、または別の種類のエネルギー供給のような別の実施形態も考えられる。
【0059】
テストエレメント122に替えてまたはそれに追加して、図5に示した分析装置114は、別の種類のテストエレメント122を使用するように構成することもできる。例としては、電気化学テストエレメント122の使用がある。測定位置138にあるテストエレメント122を、たとえば対応した電気接点に接続することもできる。これらの接点は、たとえば密封要素118の先端にも設けることができる。
【0060】
図5の密封要素118は、最上部のテストエレメント122をマガジン112内から測定位置138まで移送するだけではなく、使用済みテストエレメント122を測定位置138から廃棄位置まで搬送するように構成されている。このために、分析装置114は、たとえば使用済みテストエレメント122を分析装置114のハウジング144から排出するための廃棄開口として作用する排出口を備える。代替としてまたは追加して、図5に示した分析装置114は、廃棄位置として廃棄物容器154も備える。廃棄物容器154は、廃棄開口156を有する。密封要素118は、テストエレメント122を、測定位置138から廃棄開口156を介して廃棄物容器154内まで押進できる長さを有する。廃棄物容器154は、定期的にまたは必要に応じて、図5には示されていないがフラップを介して、および/または分析装置114のハウジング144から廃棄物容器154を取り外して空にされる。これにより、使用済みテストエレメント122は、感染の危険性のない衛生的な方法で確実に廃棄することが可能になる。このように、図5に例示した実施形態において、密封要素118は、テストエレメント122をマガジン112から測定位置138まで送給する、テストエレメント122を測定位置138から廃棄物容器154内まで移送する、およびマガジン112を密封するという3つの機能を有する。
【0061】
ここまでに例示した実施形態において、使用する消費要素は、少なくとも1つの試料140の少なくとも1つの検体を検出するためのテストエレメントであった。しかし、これらのテストエレメント122の代替としてまたはそれに追加して、消費要素は、たとえば皮膚の一部に刺傷を形成するランセットシステムのような別の種類の消費要素であってもよい。この種の測定システム110は、図6〜9に例示されている。
【0062】
図6は、図4と類似の構成であるとともに、同様に示された測定システム110を示す。この例示としての実施形態による消費要素は、ランセットシステム158であり、ランセットシステム158は、棒状または直線形のマガジン112に収容され、マガジンバネ124によって付勢されている。マガジン112は、2つの開口128、130を有し、図3および4同様に、第1の開口128は第2の開口130より大きい。また、図3および4同様に、円錐形の密封要素を、マガジン112の中まで挿入方向135に差し込むことができるようになっている。最上部のランセットシステム158は、マガジン112内から押し出され、使用位置160まで押進される。この使用位置160は、分析装置114のハウジング144内に好適に形成された案内構造162の内部に位置する。
【0063】
この例示としての実施形態によるランセットシステム158は、使い捨てのランセットシステムとして構成されており、欧州特許第1333756号で説明されている種類のものである。図7および8は、ランセットシステム158の詳細を示す。それは、ランセット針166が摺動可能に収容されたランセットハウジング164を有する。
【0064】
図6に示すように、この例示としての実施形態による密封要素118は、受承路170が挿入方向135に平行に延在するジャケット168を有する。この実施形態において、この受承路170には、駆動ラム172が摺動可能に配置されている。この駆動ラム172の先端には、ランセットハウジング164に侵入する拡径部174が設けられている。皮膚の一部に刺傷を形成するために駆動ラム172を前に押し出したとき、ランセット針166がランセットハウジング164内を前進して突出する。ランセットシステム158が持つ別の機能、およびランセットシステム158の別の実施形態については、上述の欧州特許第1333756号を参照されたい。
【0065】
さらに、図6に例示した実施形態の密封要素118は、全長にわたって同一寸法には形成されていない。密封要素118の先端部176は、角柱であって、同一断面を有する。この部分には円錐形部178が連結しており、上述のように、円錐形部178は、開口128、130を密封するためには好適である。図6は、マガジン112が密封要素118によってほぼ完全に密封された密閉状態を示す。ジャケット168の外面134はマガジン112を密封できるために、駆動ラム172を受承路170に密封状態で収容する必要はない。
【0066】
図6には、分析装置114のその他の構成要素が示されていない。特に、密閉手段116は、その完全な形状が示されていないが、たとえば図5に関連して説明したように、駆動装置136を含んでいてもよい。この駆動装置136は、密封要素118用の直線駆動装置だけではなく、駆動ラム172用の駆動ユニットも含むことが好ましい。この場合、密封要素118からは独立して、駆動ラム172は挿入方向135にまたはそれとは反対方向に運動することが可能になる。
【0067】
図6に例示した実施形態の駆動ラム172は、密封要素118の挿入方向135と平行に運動する。しかし、このことは、たとえば図9に例示した実施形態に示すように、絶対条件ではない。この例示としての実施形態の測定システム110は、複合消費要素180を使用する、欧州特許出願公開第1203563号に記載されている測定システムの変更例である。
【0068】
これらの複合消費要素は、先に例示した実施形態同様、たとえば棒状または直線形に形成されたマガジン112に収容されている。マガジン112は、ここでも2つの開口128、130を有する。最上部の消費要素180をマガジン112から測定位置138まで押し出すために、密封要素118は、第1の開口128からマガジン112の内部に挿入できるようになっている。密封要素118は、ここでも、テストエレメントが押し出された密閉状態にあるとき、開口128、130に留まって密封するように構成されている。図9には、密閉手段116用の駆動装置136は示されていない。
【0069】
複合消費要素180は、欧州特許出願公開第1203563号の説明のように構成されていて、テストエレメントとランセットシステムの両方を含む。測定位置138にあるとき、ランセットシステムの一部は、下向きに折れ曲がり、そして駆動ラム172により駆動可能である。駆動したとき、ランセットは、塗布開口142から複合消費要素180の長さ方向に直交する方向に突出して、たとえば指の皮膚の一部に刺傷を形成し、そして刺傷は塗布開口142の上に置かれる。たとえば電気化学試験または光学試験を行う場合、血液の小滴が、複合消費要素180の一部であるテストエレメント上に直接塗布される。複合消費要素180のさらなる詳細については、上述の特許明細書を参照されたい。
【0070】
先に説明したように、密封要素118は、密閉状態のとき両方の開口128、130を密閉する。欧州特許出願公開第1203563号に説明されている測定システムは、この特徴を持っていない。さらに、欧州特許出願公開第1203563号に説明されているシステムは排出装置を有するが、それは、図9に例示した実施形態にも、参照番号182で示すように設けられている。この排出装置は、使用済み消費要素180を、排出口184から排出するときに用いられる。図9に例示した実施形態の発展例においては、図5の例と同様に、密封要素118または密閉手段116が使用済み消費要素180を測定位置138から排出口184を介して押進するよう構成されているために、この排出装置182は省略される。このように、排出装置182の機能は、別の機械的要素を用いることなく実現できる。
【0071】
先に例示した実施形態において、各々の例のマガジン112は、棒状または直線形に形成されている。それに対し、図10は、マガジン112が円筒形に形成されている測定システム110の例示としての実施形態を示す。ここでも、この測定システム110は、最も重要な構造上の要素と機能を表すために、模式的に示されている。
【0072】
測定システム110も分析装置114を有し、この例においても、分析装置114は血中グルコース濃度測定器であると想定されている。テストエレメント122は、ここではたとえば電気化学試験片として構成されている。このために、分析装置114も測定位置138を有し、テストエレメント122は、電気接点186を介して接続されるとともに、体液試料(図示せず)を塗布できるように構成されている。また、分析装置114は、図10では簡略化して示されているが、制御/評価ユニット150を有する。測定システム110には、たとえば図5または図9に例示した実施形態の場合にもそうであるが、たとえば評価用マイクロコンピュータ、操作要素、出力要素などの別の装置を設けることもできる。
【0073】
図10に示したこの例においてもマガジン112が設けられているが、先に説明したように、このマガジン112は、先に例示した実施形態とは異なり、円筒形に構成されている。この円筒形マガジン112の場合、テストエレメント122は、たとえば星型に、そして円筒形の中心線に対して対象に装着される。このとき、円筒形マガジン122の内部には、たとえばテストエレメント122を互いに分離して個別に収容するためのチャンバを設けてもよい。代替として、マガジン112の内部を単一の大きいチャンバとし、そのチャンバ空間にテストエレメント122をまとめて収容してもよい。
【0074】
図10には示されていないが、格納装置を設けてもよい。この格納装置は、マガジン112をたとえばモータ190によって回転させるための各々の軸188と相互に作用し合うことができる。図10には示されていないが、先に例示した実施形態の場合にもそうであるが、乾燥剤をマガジン112に配置してもよい。
【0075】
ここでも、円筒形マガジン112は、ハウジング120に2つの開口128、130を有する。図10の例においては、先に例示した実施形態同様、密封面134を備えた密封要素118を有する密閉手段116が設けられている。密封要素118は、駆動装置136によって第1の開口130に挿入され、それにより、テストエレメント122が、第2の開口128から押し出され、そして測定位置138に移送される。そこで、このテストエレメント122は電気接点186に接続されて、測定が実施される。図10に示した、短時間だけ継続する開放状態とは異なり、この状態のときに、密封要素118は、開口128、130に完全に挿入されて、密閉する。このために、開口128、130には、別のマガジン側密封要素132(図10には図示せず)を装着してもよい。代替としてまたはこれに追加して、マガジンハウジング120のこれらの開口128、130に隣接する領域を、少なくとも部分的に変形可能なプラスチックを用いて形成し、密封要素118を開口128、130に圧入することによってマガジン112を密閉することもできる。先に説明したように、代替としてまたは追加して、密封作用を向上させるために、密封要素118を、少なくとも部分的に円錐形に形成することもできる。さらに、図5または図6に例示した実施形態同様、密封要素118は、使用済みテストエレメント122を、測定位置138における測定終了後、分析装置114から押し出すように構成することもできる。
【0076】
図10に示した実施形態の利点は、マガジン112の構造を比較的簡単にすることが可能であり、そして各々の要素の密封および/または駆動に係る部品は、全て分析装置114側に設けることができることである。これにより、消費要素のコストが大幅に低減される。さらに、マガジン用開口126の全長に密封処理を行うケースと比較した場合、シールの全長が大幅に短くなる。この場合、開放手段192の取付け開口を分析装置114本体に設けることが必要になるが、新しいマガジン112挿着後に開放手段を密閉するときに必要な力の大きさは、大幅に低減可能である。これにより、分析装置114の操作が容易になり、また分析装置114とマガジン112の機械的構造が大幅に簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態による測定システムの、マガジンが開放状態にあるときの詳細図である。
【図2】図1の測定システムが密閉状態にあるときの詳細図である。
【図3】円錐形の密封要素を有する図1の代替の実施形態による測定システムの詳細図である。
【図4】図3の測定システムが密閉状態にあるときの詳細図である。
【図5】光学検出器と廃棄物容器を備えた、別の実施形態による測定システムの模式図である。
【図6】ランセットシステムと中空の密封要素を備えた、実施形態による測定システムの模式図である。
【図7】ランセット用ラムとランセットシステムのあいだの相互作用の例を示す略図である。
【図8】ランセット用ラムとランセットシステムのあいだの相互作用の例を示す略図である。
【図9】複合消費要素を有する、実施形態による測定システムの模式図である。
【図10】円筒形マガジンを有する、実施形態による測定システムの模式図である。
【符号の説明】
【0078】
110 測定システム
112 マガジン
114 分析器
116 密閉手段
118 (装置側の)密封要素
120 マガジンハウジング
122 テストエレメント
124 マガジンバネ
126 マガジン用開口
128 開口
130 開口
132 マガジン側の密封要素
133 挿入力
134 密封面
135 挿入方向
136 駆動装置
138 測定位置
140 液体試料
142 塗布開口
144 ハウジング
146 発光ダイオード
148 検出器
150 蛍光発光
151 制御/評価ユニット
152 光学検出器
153 バッテリ
154 廃棄物容器
156 廃棄開口
158 ランセットシステム
160 使用位置
162 案内構造
164 ランセットハウジング
166 ランセット針
168 ジャケット
170 受承路
172 駆動ラム
174 拡径部
176 先端部
178 円錐形部
180 複合消費要素
182 排出装置
184 排出口
186 電気接点
188 軸
190 モータ
192 開放手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも測定機能および/または試料採取機能を有する分析装置(114)と、少なくとも1つの消費要素(122、158、180)を収容する少なくとも1つのマガジン(112)とを有し、
前記マガジン(112)は、少なくとも1つの開口(128、130)を備えたマガジンハウジング(120)を有し、
前記マガジン(112)は、前記分析装置(114)に連結可能な交換式マガジン(112)として構成されており、
前記分析装置(114)は、少なくとも1つの密封要素(118)を備えた密閉手段(116)を有する測定システム(110)において、
前記密封要素(118)は、前記少なくとも1つの消費要素(122、158、180)を前記開口(128、130)から供給し、
前記密封要素(118)は、前記マガジン(112)が密閉状態にあるとき、前記開口(128、130)に留まって、そこを密閉することを特徴とする測定システム(110)。
【請求項2】
前記密封要素(118)および/または前記開口(128、130)は、少なくとも部分的に変形可能である、とりわけ弾性を有することを特徴とする請求項1記載の測定システム(110)。
【請求項3】
前記密封要素(118)は密封面(134)を有し、また前記開口(128、130)は、変形可能な、マガジン側の密封要素(132)を有することを特徴とする請求項1または2記載の測定システム(110)。
【請求項4】
前記密封要素(118)は、摺動体またはラムを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項5】
前記密封要素(118)は、挿入方向(135)に漸減する断面を少なくとも部分的に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項6】
前記密閉手段(116)は、前記密封要素(118)によって前記消費要素(122、158、180)を前記マガジン(112)から押し出して、測定または使用位置(138、160)まで移送するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項7】
前記密閉手段(116)は、前記密封要素(118)によって前記消費要素(122、158、180)を前記測定または使用位置(138、160)から廃棄位置(184)および/または廃棄物ユニット(154)までさらに移送するように構成されていることを特徴とする請求項6記載の測定システム(110)。
【請求項8】
前記密封要素(118)は、少なくとも1つの密封面(134)、および前記密封要素(118)内において軸方向に延在する少なくとも1つの受承路(170)を備えたジャケット(168)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項9】
前記消費要素(122、158、180)と接続するための、少なくとも1つの電気接点が、前記受承路(170)内に配置されていることを特徴とする請求項8記載の測定システム(110)。
【請求項10】
光学装置が、前記受承路内に配置されていることを特徴とする請求項8または9記載の測定システム(110)。
【請求項11】
機械装置、とりわけランセットシステム(158)のための駆動ラム(172)が、前記受承路内に配置されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項12】
前記消費要素(122、158、180)は、テストエレメント(122)、とりわけ試験片、さらには電気化学および/または光学試験片、試料採取要素、とりわけランセットシステム(158)、さらには使い捨てランセットシステム、複合消費要素(180)、とりわけランセットシステムとテストエレメントを備える複合消費要素の中の少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項13】
少なくとも最上部の消費要素(122、158、180)は、擬似要素であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項14】
前記分析装置(114)は、マガジン(112)を受承するよう構成されたマガジン受承部、とりわけマガジン用開口(126)またはマガジン用区画を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項15】
前記マガジン(112)は、マガジンバネ(124)を備えた直線形のまたは棒状のマガジンを含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の測定システム(110)。
【請求項16】
前記マガジン(112)は、円筒形のマガジンを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の測定システム(110)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−253752(P2008−253752A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−63276(P2008−63276)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】