説明

テトラメチルシクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールを含むポリエステル組成物並びにその製造方法

本発明の一態様として、(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%を含むジカルボン酸成分と、(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;(iii)エチレングリコール残基;及び(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステル組成物を開示する。前記ポリエステルは物品に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テレフタル酸若しくはそのエステル及びそれらの混合物、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール並びにエチレングリコール又は化学的等価物から生成された、物品、例えば熱成形シート及びフィルム用途への形成が容易になる高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の2つ又はそれ以上の特定の組合せを有するポリエステル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスフェノールAポリカーボネートのような或る種の市販ポリマーは、熱成形フィルム及びシートに望ましいガラス転移温度及びノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有するが、熱成形前の乾燥が必要であると考えられる。アクリル樹脂及びいくつかの耐衝撃性改良アクリル樹脂のような他の市販ポリマーは、熱成形フィルム及びシートに望ましいガラス転移温度を有し、熱成形前の乾燥が必要ないと考えられるが、いくつかの最終用途には望ましくないことが多い、典型的には2ft−lb/in未満の室温ノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有すると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の2つ又はそれ以上の組合せを含む、熱成形フィルム及びシート用途に理想的なものとする性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0004】
更に、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の3つ又はそれ以上の組合せを含む、熱成形フィルム及びシート用途に望ましくなる性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0005】
更に、以下の性質:高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の全ての組合せを含む、熱成形フィルム及びシート用途に望ましくなる性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0006】
更に、一実施態様において、良好な色及び/又は良好な明澄度を有する、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、エッチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステル及びこれらのポリエステルの製造方法が当業界で必要とされている。
【0007】
更に、一実施態様において、泡立ち(bubbling)、スプレー(splay)形成、発色、発泡(foaming)、ガス放出及び異常な溶融レベル、即ちポリエステル又はポリエステル製造及び加工系の脈動の少なくとも1つを起こさずに、本発明のポリエステルの製造をより容易にする方法が、当業界で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の熱安定剤、その生成物及びそれらの混合物を含む、テレフタル酸、そのエステル及び/又はそれらの混合物、エチレングリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールから形成されたいくつかのポリエステル組成物は、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の1つ又はそれ以上に関して、いくつかの市販ポリマーより優れていると考えられる。
【0009】
本発明の他の実施態様において、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の2つ又はそれ以上の組合せを含む、特定の用途、例えば熱成形フィルム及びシート用途に望ましくする性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0010】
本発明の他の実施態様において、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の3つ又はそれ以上の組合せを含む、特定の用途、例えば熱成形フィルム及びシート用途に望ましくする性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0011】
本発明の他の実施態様において、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のガラス転移温度(Tg)及び特定の曲げ弾性率の2つ又はそれ以上の組合せを含む、特定の用途、例えば熱成形フィルム及びシート用途に望ましくする性質の組合せを有するポリマー材料が商業的に必要とされている。
【0012】
一実施態様において、本発明に係るポリエステルの製造方法の間に、本明細書中に記載した少なくとも1種の燐化合物を用いると、泡立ち、スプレー形成、発色、発泡、ガス放出及び異常な溶融レベル、即ちポリエステル又はポリエステル製造及び加工系の脈動の少なくとも1つを起こさずに、ポリエステルを容易に生成させることができると考えられる。別の実施態様において、本発明の少なくとも1つの方法は、前記問題の少なくとも1つを起こさずに、本発明において有用なポリエステルを大量に(例えばパイロットラン規模及び/又は商業生産)より容易に生成させる手段を提供すると考えられる。
【0013】
本明細書中で使用する用語「大量(large quantity)」は、100ポンドより多い量で生成される、本発明において有用なポリエステルの量を含む。一実施態様において、本明細書中で使用する用語「大量」は、1000ポンドより多い量で生成される、本発明において有用なポリエステルの量を含む。
【0014】
一態様において、本発明において有用なポリエステルの製造方法は回分法又は連続法を含むことができる。
【0015】
一態様において、本発明において有用なポリエステルの製造方法は連続法を含む。
【0016】
一態様において、本発明は、
(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステル組成物に関する。
【0017】
一態様において、本発明は、
(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;並びに
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであり;且つ前記ポリエステルの重合前及び/又は重合中に少なくとも1種の分岐剤が添加されたポリエステル組成物に関する。
【0018】
一態様において、
(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであり;且つ前記ポリエステルが、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率290,000psi超;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in超の少なくとも1つを有するポリエステル組成物に関する。
【0019】
一態様において、本発明は、
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステル;更に
(II)燐酸アルキルエステル、燐酸アリールエステル、燐酸アルキルアリール混合エステル(混合アルキルアリール燐酸エステル)(mixed alkyl aryl phosphate ester)、それらの反応生成物及びそれらの混合物のうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物
を含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであり;且つ前記ポリエステルが、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率290,000psi超;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in超の少なくとも1つを有するポリエステル組成物に関する。
【0020】
一態様において、本発明は、
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)と
(c)任意的に、少なくとも1種の分岐剤
を含む少なくとも1種のポリエステル;更に
(II)燐酸アルキルエステル、燐酸アリールエステル、燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物
を含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステル組成物に関する。
【0021】
一態様において、本発明は、以下の工程:
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種の錫化合物を含む少なくとも1種の触媒並びに、任意的に、チタン、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、且つ前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.0dL/gであるポリエステルの製造方法に関する。
【0022】
一態様において、本発明は、以下の工程:
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物を含む少なくとも1種の触媒並びに、任意的に、錫、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステルの製造方法に関する。
【0023】
一態様において、本発明は、以下の工程:
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物、少なくとも1種の錫化合物並びに、任意的に、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒を含む少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステルの製造方法に関する。
【0024】
一態様において、本発明において有用なポリエステル及び本発明において有用な方法に関しては、本発明において有用なポリエステルのb*値[一実施態様においては、1種又はそれ以上のトナーの存在下で且つ/又は不存在下で]は、CIE(International Commission on Illumination)(translated)のL***表色系(L*は明度(lightness)座標を表し、a*は赤/緑座標を表し、b*は黄/青座標を表す)によって測定した場合に、−12〜12未満であることができる。一実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値[一実施態様においては、1種又はそれ以上のトナーの存在下で且つ/又は不存在下で]は0〜10であることができる。一実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値[一実施態様においては、1種又はそれ以上のトナーの存在下で且つ/又は不存在下で]は0〜5であることができる。
【0025】
一態様において、本発明は、本発明の任意のポリエステル組成物を含むことができる熱成形シートを含む。
【0026】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは、熱安定剤として存在するか否かにかかわらず、少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。
【0027】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは、熱安定剤として存在する、本明細書中に記載した少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。
【0028】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは分岐剤を含まないか、或いは少なくとも1種の分岐剤をポリエステルの重合前又は重合中に添加してある。
【0029】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは、添加の方法又は順序にかかわらず、少なくとも1種の分岐剤を含む。
【0030】
一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、非晶質又は半結晶質であることができる。一態様において、本発明において有用な或る種のポリエステルは比較的低い結晶化度を有することができる。従って、本発明において有用ないくつかのポリエステルは実質的に非晶質の形態を有することができ、これは、ポリエステルが実質的に不規則なポリマー領域を含むことを意味する。
【0031】
一態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0032】
一態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又方法は燐原子を含むことができる。
【0033】
一態様において、本発明において有用なポリエステル及び/又はポリエステル組成物は錫原子を含むことができる。
【0034】
一態様において、本発明において有用なポリエステル及び/又はポリエステル組成物はチタン原子を含むことができる。
【0035】
一態様において、本発明において有用なポリエステル及び/又はポリエステル組成物はチタン原子及び錫原子を含むことができる。
【0036】
一態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子及び錫原子を含むことができる。
【0037】
一態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子及びチタン原子を含むことができる。
【0038】
一態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子、錫原子及びチタン原子を含むことができる。
【0039】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0040】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の錫化合物を含むことができる。
【0041】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の錫化合物及び少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0042】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種のチタン化合物を含むことができる。
【0043】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0044】
一態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の錫化合物並びに、任意的に、チタン、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒を含むことができる。
【0045】
一態様において、本発明において有用な任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法は少なくとも1種の錫化合物及び少なくとも1種のチタン化合物を含むことができる。
【0046】
一態様において、本発明において有用な任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法は少なくとも1種の錫化合物、少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0047】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は燐酸、亜燐酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスホン酸並びにそれらの種々のエステル及び塩を含む。エステルはアルキル、分岐アルキル、置換アルキル、二官能価アルキル、アルキルエーテル、アリール及び置換アリールであることができる。
【0048】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は置換若しくは非置換燐酸アルキルエステル、置換若しくは非置換燐酸アリールエステル、置換若しくは非置換燐酸アルキルアリール混合エステル、ジホスファイト、燐酸の塩、ホスフィンオキシド及び亜燐酸アルキルアリール混合エステル、それらの反応生成物並びにそれらの混合物の少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む。燐酸エステルは、燐酸が完全に又は一部分だけエステル化されたエステルを含む。
【0049】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は置換若しくは非置換燐酸アルキルエステル、置換若しくは非置換燐酸アリールエステル、置換若しくは非置換燐酸アルキルアリールエステル、それらの反応生成物並びにそれらの混合物の少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む。
【0050】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は燐酸アルキルエステル、燐酸アリールエステル、燐酸アルキルアリール混合エステル、それらの反応生成物及びそれらの混合物の少なくとも1種から選ばれる。
【0051】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の燐酸アリールエステルを含むことができる。
【0052】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の非置換燐酸アリールエステルを含むことができる。
【0053】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物はベンジル基で置換されていない少なくとも1種の燐酸アリールエステルを含むことができる。
【0054】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の燐酸トリアリールエステルを含むことができる。
【0055】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物はベンジル基で置換されていない少なくとも1種の燐酸トリアリールエステルを含むことができる。
【0056】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の燐酸アルキルエステルを含むことができる。
【0057】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は燐酸トリフェニル及び/又はMerpol Aを含むことができる。一実施態様において、本発明の任意のポリエステル組成物は燐酸トリフェニルを含むことができる。
【0058】
一態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、明細書中に記載した任意の方法は、少なくとも1種の亜燐酸アルキルアリール混合エステル、例えばDoverphos S−9228としても知られているビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(Dover Chemicals,CAS#154862−43−8)を含むことができる。
【0059】
一態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、明細書中に記載した任意の方法は少なくとも1種のホスフィンオキシドを含むことができる。
【0060】
一態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、明細書中に記載した任意の方法は少なくとも1種の燐酸塩、例えばKH2PO4及びZn3(PO42を含むことができる。
【0061】
本発明において有用なポリエステルの任意の製造方法は本発明において有用な任意のポリエステルの製造に使用できると考えられる。
【0062】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)に使用する圧力は0〜75psigから選ばれた少なくとも1つの圧力を含む。一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(I)に使用する圧力は0〜50psigから選ばれた少なくとも1つの圧力からなる。
【0063】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は20〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、10〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、5〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、3〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、20〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、10〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、5〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、3〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含む。
【0064】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜3.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜2.5/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜2.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜1.75/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜1.5/1.0である。
【0065】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜2.5/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜2.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜1.75/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜1.5/1.0である。
【0066】
本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1〜5時間であることができる。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1〜4時間であることができる。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1〜3時間であることができる。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1.5〜3時間であることができる。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1〜2時間であることができる。
【0067】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜20:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜20:1とすることができる。
【0068】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜15:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜15:1とすることができる。
【0069】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜10:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜10:1とすることができる。
【0070】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜5:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜5:1とすることができる。
【0071】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜3:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜3:1とすることができる。
【0072】
例えば最終ポリエステル中に存在する錫原子及び燐原子の重量は、最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を、前記重量比のいずれかにすることができる。
【0073】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を0〜20:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を1〜20:1とすることができる。
【0074】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を0〜15:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を1〜15:1とすることができる。
【0075】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を0〜10:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を1〜10:1とすることができる。
【0076】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を0〜5:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を1〜5:1とすることができる。
【0077】
一態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を0〜3:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を1〜3:1とすることができる。
【0078】
例えば、最終ポリエステル中に存在するチタン原子及び燐原子の重量は、最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比を、前記重量比のいずれかにすることができる。
【0079】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子0〜400ppmであることができる。
【0080】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子15〜400ppmであることができる。
【0081】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子0〜400ppmであることができる。
【0082】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子15〜400ppmであることができる。
【0083】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができる。
【0084】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ且つポリエステル中のチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる。
【0085】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ且つポリエステル中のチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜400ppmであることができる。
【0086】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ且つポリエステル中のチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる。
【0087】
一態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子1〜400ppmであることができ、且つポリエステル中のチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる。
【0088】
一態様において、ポリエステル組成物は、射出成形品、押出品、キャスト押出品、異形押出品、溶融紡糸品、熱成形品、押出成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、押出ブロー成形品及び押出延伸ブロー成形品を含む(これらに限定するものではないが)押出品、カレンダー加工品及び/又は成形品を含む(これらに限定するものではないが)製造品において有用である。これらの製造品としては、フィルム、ボトル、容器、シート及び/又は繊維が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0089】
一態様において、本発明において有用なポリエステル組成物は、押出フィルム及び/又はシート、カレンダードフィルム及び/又はシート、圧縮成形フィルム及び/又はシート、溶液キャストフィルム及び/又はシートを含む(これらに限定するものではないが)種々の型のフィルム及び/又はシートに使用できる。フィルム及び/又はシートの製造方法としては、押出、カレンダリング、圧縮成形及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0090】
一態様において、本発明は、本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物を含む熱成形フィルム及び/又はシートに関する。
【0091】
一態様において、本発明は、本発明の熱成形フィルム及び/又はシートを組み込む製造品に関する。
【0092】
また、一態様において、熱成形前のフィルム及び/又はシートの乾燥工程が排除された、熱成形フィルム及び/又はシートの製造方法が提供される。
【0093】
一態様において、本発明は改善された色及び/又は明澄度を有するエチレングリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルの製造方法を提供する。
【0094】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは非晶質又は半結晶質であることができる。一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは比較的低い結晶化度を有することができる。本発明において有用ないくつかのポリエステルは実質的非晶質の形態を有することができ、これはポリエステルが実質的に不規則なポリマー領域を含むことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明は、本発明のいくつかの実施態様についての以下の詳細な説明及び実施例を参照することによって、より理解し易くなるであろう。本発明の目的に従って、本発明のいくつかの実施態様を、前述の「発明の開示」において既に記載し、更に以下に記載する。更に、本発明の他の実施態様もここに記載する。
【0096】
テレフタル酸、そのエステル及び/又はそれらの混合物、エチレングリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールから形成され且つ任意的に特定の熱安定剤、その反応生成物及びその混合物を含む本発明のいくつかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、以下の性質:高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色のうち2つ又はそれ以上の独特の組合せを有することができると考えられる。本発明のいくつかの実施態様において、本発明のいくつかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色のうち3つ又はそれ以上の独特の組合せを有することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施態様において、本発明のいくつかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色のうち4つ又はそれ以上の独特の組合せを有することができる。
【0098】
本発明の他の実施態様において、本発明のいくつかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、以下の性質:高いノッチ付きアイゾッド衝撃強度、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度及び良好な色の全ての独特の組合せを有することができる。
【0099】
前記性質の一部又は全てを含むポリエステル及び/又はポリエステル組成物は多くの用途において有用であるが、これらの性質は特に熱成形シート用途に有用である。
【0100】
一実施態様において、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びエチレングリコールを含むコポリエステルは、チタン系触媒を用いて製造できる。別の実施態様において、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの混和及び/又は色は、チタン系触媒に加えて錫系触媒を用いることによって更に改善することができると考えられる。これらのポリエステルの色は、特定レベルの燐含有化合物を重合中に添加することによって改善できると考えられる。
【0101】
一実施態様において、本発明に係るポリエステルの製造方法の間に本明細書中に記載した少なくとも1種の燐化合物を用いると、泡立ち、スプレー形成、発色、発泡、ガス放出及び異常な溶融レベル、即ちポリエステル又はポリエステル製造及び加工系の脈動の少なくとも1つを起こさずに、ポリエステルを容易に生成させることができると考えられる。別の実施態様において、本発明の少なくとも1つの方法は、前記問題の少なくとも1つを起こさずに、本発明において有用なポリエステルを大量に(例えばパイロットラン規模及び/又は商業生産)より容易に生成させる手段を提供すると考えられる。本明細書中で使用する用語「大量」は、100ポンドより多い量で生成される、本発明において有用なポリエステルの量を含む。一実施態様において、本明細書中で使用する用語「大量」は、1000ポンドより多い量で生成される、本発明において有用なポリエステルの量を含む。
【0102】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルの製造方法は回分法又は連続法を含むことができる。
【0103】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルの製造方法は連続法を含む。
【0104】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物並びに/又はポリエステル製造方法に錫を加える場合には、錫は錫化合物の形態でポリエステル製造方法に加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加える錫化合物の量は、最終ポリエステル中に存在する錫原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0105】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物並びに/又はポリエステル製造方法にチタンを加える場合には、チタンはチタン化合物の形態でポリエステル製造方法に加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加えるチタン化合物の量は、最終ポリエステル中に存在するチタン原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0106】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物並びに/又はポリエステル製造方法に燐を加える場合には、燐は燐化合物の形態でポリエステル製造方法に加える。一実施態様において、この燐化合物は少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加える燐化合物(例えば燐酸エステル)の量は、最終ポリエステル中に存在する燐原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0107】
本明細書で使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含み、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸及び/又は多官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤との反応によって製造される合成ポリマーを意味するものと解釈する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールであることができる。本明細書中で使用する用語「グリコール」は、ジオール、グリコール及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤を含むが、これらに限定するものではない。或いは、二官能価カルボン酸はヒドロキシカルボン酸、例えばp−ヒドロキシ安息香酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は2個のヒドロキシル置換基を有する芳香核、例えばヒドロキノンであることができる。本明細書で使用する用語「残基」は、対応するモノマーから重縮合及び/又はエステル化反応によってポリマー中に組み入れられた任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基を介して結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、例えばジカルボン酸残基はジカルボン酸モノマー若しくはその関連酸ハライド、エステル、塩、無水物及び/又はそれらの混合物に由来することができる。更に、本明細書中で使用する用語「二酸」は、多官能価酸、例えば分岐剤を含む。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、ポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なジカルボン酸及びその関連酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物を含む任意のジカルボン酸誘導体並びに/又はそれらの混合物を含むものとする。本明細書中で使用する用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸自体及びその残基並びにポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なテレフタル酸の任意の誘導体、例えばその関連酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物並びに/又はそれらの混合物若しくはそれらの残基を含むものとする。
【0108】
本発明において使用するポリエステルは、典型的には、実質的に等しい比で反応し且つ対応する残基としてポリエステルポリマー中に組み入れられるジカルボン酸及びジオールから製造できる。従って、本発明のポリエステルは、実質的に等しいモル比の酸残基(100モル%)並びにジオール(及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含むことができるので、反復単位の総モルは100モル%に等しい。従って、本明細書の開示中に示すモル百分率は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えば、総酸残基に基づき10モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、ポリエステルが合計100モル%の酸残基のうちイソフタル酸残基を10モル%含むことを意味する。従って、酸残基100モル当たりイソフタル酸残基が10モル存在する。別の例において、総ジオール残基に基づき、30モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリエステルは、ポリエステルが合計100モル%のジオール残基のうち2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を30モル%含むことを意味する。従って、ジオール残基100モル当たり2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基が30モル存在する。
【0109】
本発明の別の態様において、本発明のポリエステル組成物において有用なポリエステルのTgは、以下の範囲:90〜120℃;95〜120℃;100〜120℃;105〜120℃;110〜120℃;90〜115℃;95〜115℃;100〜115℃;105〜115℃;90〜110℃;95〜110℃;100〜110℃;90〜100℃;90〜105℃;95〜105℃;及び90〜100℃の少なくとも1つであることができる。
【0110】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜60モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜35モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜60モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜30モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜60モル%;並びに2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜25モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜60モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0111】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール25〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜55モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール25〜35モル%、シクロヘキサンジメタノール120〜40モル%及びエチレングリコール30〜55モル%;並びに2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール25〜30モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜55モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0112】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール30〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜50モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール30〜35モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%及びエチレングリコール30〜50モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0113】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜35モル%及びエチレングリコール30〜60モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜30モル%及びエチレングリコール30〜60モル%;並びに2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール20〜25モル%及びエチレングリコール30〜60モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0114】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール25〜40モル%及びエチレングリコール30〜55モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール25〜35モル%及びエチレングリコール30〜55モル%;並びに2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール25〜30モル%及びエチレングリコール30〜55モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0115】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール30〜40モル%及びエチレングリコール30〜50モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜40モル%、シクロヘキサンジメタノール30〜35モル%及びエチレングリコール30〜50モル%;の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0116】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールを含み、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基とシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和は総グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満である。
【0117】
本発明の実施態様については、本発明において有用なポリエステルは、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、以下のインヘレント粘度:0.50〜1.2dL/g;0.50〜1.1dL/g;0.50〜1dL/g;0.50dL/g〜1dL/g未満;0.50〜0.98dL/g;0.50〜0.95dL/g;0.50〜0.90dL/g;0.50〜0.85dL/g;0.50〜0.80dL/g;0.50〜0.75dL/g;0.50dL/g〜0.75dL/g未満;0.50〜0.72dL/g;0.50〜0.70dL/g;0.50dL/g〜0.70dL/g未満;0.50〜0.68dL/g;0.50dL/g〜0.68dL/g未満;0.50〜0.65dL/g;0.55〜1.2dL/g;0.55〜1.1dL/g;0.55〜1dL/g;0.55dL/g〜1dL/g未満;0.55〜0.98dL/g;0.55〜0.95dL/g;0.55〜0.90dL/g;0.55〜0.85dL/g;0.55〜0.80dL/g;0.55〜0.75dL/g;0.55dL/g〜0.75dL/g未満;0.55〜0.72dL/g;0.55〜0.70dL/g;0.55dL/g〜0.70dL/g未満;0.55〜0.68dL/g;0.55dL/g〜0.68dL/g未満;0.55〜0.65dL/g;0.58〜1.2dL/g;0.58〜1.1dL/g;0.58〜1dL/g;0.58dL/g〜1dL/g未満;0.58〜0.98dL/g;0.58〜0.95dL/g;0.58〜0.90dL/g;0.58〜0.85dL/g;0.58〜0.80dL/g;0.58〜0.75dL/g;0.58dL/g〜0.75dL/g未満;0.58〜0.72dL/g;0.58〜0.70dL/g;0.58dL/g〜0.70dL/g未満;0.58〜0.68dL/g;0.58dL/g〜0.68dL/g未満;0.58〜0.65dL/g;0.60〜1.2dL/g;0.60〜1.1dL/g;0.60〜1dL/g;0.60dL/g〜1dL/g未満;0.60〜0.98dL/g;0.60〜0.95dL/g;0.60〜0.90dL/g;0.60〜0.85dL/g;0.60〜0.80dL/g;0.60〜0.75dL/g;0.60dL/g〜0.75dL/g未満;0.60〜0.72dL/g;0.60〜0.70dL/g;0.60dL/g〜0.70dL/g未満;0.60〜0.68dL/g;0.60dL/g〜0.68dL/g未満;0.60〜0.65dL/g;0.65〜1.2dL/g;0.65〜1.1dL/g;0.65〜1dL/g;0.65dL/g〜1dL/g未満;0.65〜0.98dL/g;0.65〜0.95dL/g;0.65〜0.90dL/g;0.65〜0.85dL/g;0.65〜0.80dL/g;0.65〜0.75dL/g;0.65dL/g〜0.75dL/g未満;0.65〜0.72dL/g;0.65〜0.70dL/g;0.65dL/g〜0.70dL/g未満;0.68〜1.2dL/g;0.68〜1.1dL/g;0.68〜1dL/g;0.68dL/g〜1dL/g未満;0.68〜0.98dL/g;0.68〜0.95dL/g;0.68〜0.90dL/g;0.68〜0.85dL/g;0.68〜0.80dL/g;0.68〜0.75dL/g;0.68dL/g〜0.75dL/g未満;0.68〜0.72dL/gの少なくとも1つを示すことができる。
【0118】
本発明において有用な組成物は、特に断らない限り、ここに記載したインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。また、本発明において有用な組成物は、特に断らない限り、ここに記載したTg範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。また、本発明において有用な組成物は、特に断らない限り、ここに記載したインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ、ここに記載したTg範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。
【0119】
一実施態様において、テレフタル酸を出発原料として使用できる。別の実施態様において、テレフタル酸ジメチルを出発原料として使用できる。更に別の実施態様において、テレフタル酸とテレフタル酸ジメチルとの混合物を出発原料として且つ/又は中間材料として使用できる。
【0120】
いくつかの実施態様においては、テレフタル酸若しくはそのエステル、例えばテレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸残基とそのエステルとの混合物が、本発明において有用なポリエステルの形成に使用するジカルボン酸成分の一部又は全てを構成することができる。いくつかの実施態様においては、テレフタル酸残基が本発明において有用なポリエステルの形成に使用するジカルボン酸成分の一部又は全てを構成することができる。いくつかの実施態様においては、衝撃強度がより高いポリエステルを生成するために、より多量のテレフタル酸残基を使用できる。この開示に関しては、用語「テレフタル酸」及び「テレフタル酸ジメチル」はここでは同義で使用する。一実施態様においては、テレフタル酸ジメチルが、本発明において有用なポリエステルの生成に使用するジカルボン酸成分の一部又は全てである。全ての実施態様において、70〜100モル%;又は80〜100モル%;又は90〜100モル%;又は99〜100モル%の範囲;又は100モル%のテレフタル酸及び/若しくはテレフタル酸ジメチル並びに/又はそれらの混合物を使用できる。
【0121】
テレフタル酸の他に、本発明において有用なポリエステルのジカルボン酸成分は、10モル%以下、5モル%以下又は1モル%以下の1種又はそれ以上の改質用芳香族ジカルボン酸を含むことができる。更に別の実施態様は、0モル%の改質用芳香族ジカルボン酸を含む。従って、存在する場合には、1種又はそれ以上の改質用芳香族ジカルボン酸の量は、これらの前述の端点値のいずれかからの範囲であることができ、例えば0.01〜10モル%、0.01〜5モル%及び0.01〜1モル%の範囲であることができると考えられる。一実施態様において、本発明において使用できる改質用芳香族ジカルボン酸としては、直鎖であるか、パラ配向であるか又は対称性を有することができる、炭素数20以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明において使用できる改質用芳香族ジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−ナフタレンジカルボン酸及びトランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸並びにそれらのエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、改質用芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。
【0122】
本発明において有用なポリエステルのカルボン酸成分は、更に、10モル%以下、例えば5モル%以下又は1モル%以下の、炭素数2〜16の1種又はそれ以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びドデカン二酸で改質することができる。いくつかの実施態様はまた、0.01〜10モル%、例えば0.1〜10モル%、1若しくは10モル%、5〜10モル%の1種又はそれ以上の改質用脂肪族ジカルボン酸を含むことができる。更に別の実施態様は0モル%の改質用脂肪族ジカルボン酸を含む。ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%である。一実施態様においては、アジピン酸及び/又はグルタル酸を、本発明の改質用脂肪族ジカルボン酸成分中に入れることができる。
【0123】
本発明の改質用ジカルボン酸は、インダンジカルボン酸、例えばインダン−1,3−ジカルボン酸及び/又はフェニルインダンジカルボン酸を含むことができる。一実施態様において、ジカルボン酸は、1,2,3−トリメチル−3−フェニルインダン−4’,5−ジカルボン酸及び1,1,3−トリメチル−5−カルボキシ−3−(4−カルボキシフェニル)インダンジカルボン酸の少なくとも1つから選ばれることができる。本発明に関しては、Shaikhらによる米国特許出願公開第2006/0004151A1号公報(発明の名称:”Copolymers Containing Indan Moieties and Blends Thereof”;General Electric Companyに譲渡)に記載されたインダンジカルボン酸のいずれかを本発明の範囲内で少なくとも1種の改質用ジカルボン酸として使用でき;米国特許出願公開第2006/0004151A1号公報を、ここに記載された全てのインダンジカルボン酸に関して引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0124】
テレフタル酸のエステル及び他の改質用ジカルボン酸又はそれらの対応するエステル及び/若しくは塩をジカルボン酸の代わりに使用できる。ジカルボン酸エステルの適当な例としては、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル及びジフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、エステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びフェニルエステルの少なくとも1つから選ばれる。
【0125】
望ましいポリエステルについては、シス/トランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル比はそれぞれの純粋な形態からそれらの混合物まで様々であることができる。いくつかの実施態様において、シス及び/又はトランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに関するモル百分率は、シスが50モル%より多く且つトランスが50モル%未満;又はシスが55モル%より多く且つトランスが45モル%未満;又はシスが30〜70モル%で且つトランスが70〜30モル%である;又はシスが40〜60モル%で且つトランスが60〜40モル%;又はトランスが50〜70モル%で且つシスが50〜30モル%;又はシスが50〜70モル%で且つトランスが50〜30モル%;又はシスが60〜70モル%で且つトランスが30〜40モル%;又はシスが70モル%より多く且つトランスが30モル%未満であり、シス−及びトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの総モル百分率は100モル%に等しい。更なる実施態様において、シス/トランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル比は、50/50〜0/100の範囲内で、例えば40/60〜20/80の範囲内で異なることができる。
【0126】
シクロヘキサンジメタノールはシス、トランス又はそれらの混合物、例えばシス/トランス比60:40〜40:60又は70:30〜30:70であることができる。別の実施態様においては、トランス−シクロヘキサンジメタノールが60〜80モル%の量で存在することができ且つシス−シクロヘキサンジメタノールが20〜40モル%の量で存在することができ、シス−シクロヘキサンジメタノールとトランス−シクロヘキサンジメタノールの総百分率は100モル%である。特定の実施態様においては、トランス−シクロヘキサンジメタノールが60モル%の量で存在し且つシス−シクロヘキサンジメタノールが40モル%の量で存在することができる。特定の実施態様においては、トランス−シクロヘキサンジメタノールが70モル%の量で存在し且つシス−シクロヘキサンジメタノールが30モル%の量で存在することができる。シクロヘキサンジメタノールの1,1−、1,2−、1,3−、1,4−異性体のいずれか又はそれらの混合物が本発明のグリコール成分中に存在できる。シス及びトランス異性体は1,1−シクロヘキサンジメタノールには存在しない。
【0127】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,3−シクロヘキサンジメタノールを含む。シス/トランス1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比は50/50〜0/100、例えば40/60〜20/80の範囲内で異なることができる。
【0128】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールでもシクロヘキサンジメタノールでもエチレングリコールでもない1種又はそれ以上の改質用グリコールを30モル%又はそれ以下で含むことができ;一実施態様において、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールでもシクロヘキサンジメタノールでもエチレングリコールでもない1種又はそれ以上の改質用グリコールを25モル%又はそれ以下で含むことができ;一実施態様において、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールでもシクロヘキサンジメタノールでもエチレングリコールでもない1種又はそれ以上の改質用グリコールを20モル%又はそれ以下で含むことができ;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、1種又はそれ以上の改質用グリコールを15モル%以下で含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは10モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは5モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは3モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは2モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは0モル%の改質用グリコールを含むことができる。
【0129】
本発明において有用なポリエステルにおいて有用な改質用グリコールは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコール以外のジオールを意味し、2〜16個の炭素原子を含むことができる。適当な改質用グリコールの例としては、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。別の実施態様において、改質用グリコールとしては、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールの少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、少なくとも1種の改質用グリコールはジエチレングリコールである。一実施態様において、ジエチレングリコールは別個のモノマーとして添加するのではなく、重合中に形成される。
【0130】
本発明において有用なポリエステルは、3個又はそれ以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基又はそれらの組合せを有する分岐剤とも称する分岐モノマーの1種又はそれ以上の残基を、それぞれジオール又は二酸残基の総モル百分率に基づき、0〜10モル%、例えば0.01〜5モル%、0.01〜1モル%、0.05〜5モル%、0.05〜1モル%又は0.1〜0.7モル%含むことができる。いくつかの実施態様においては、分岐モノマー又は分岐剤は、ポリエステルの重合前及び/又は重合の間及び/又は重合後に、添加することができる。従って、本発明において有用なポリエステルは線状又は分岐状であることができる。
【0131】
分岐モノマーの例としては、多官能価酸又は多官能価アルコール、例えばトリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、分岐モノマー残基は、以下:トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及び/又はトリメシン酸のうち少なくとも1種から選ばれた1つ又はそれ以上の残基を0.1〜0.7モル%含むことができる。分岐モノマーはポリエステル反応混合物に添加することもできるし、或いは例えば米国特許第5,654,347号及び第5,696,176号に記載されたように、コンセントレートの形態でポリエステルとブレンドすることもできる。分岐モノマーに関するこれらの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0132】
本発明のポリエステルは少なくとも1種の連鎖延長剤を含むことができる。適当な連鎖延長剤としては、多官能価(二官能価を含むが、これに限定するものではない)イソシアネート、多官能価エポキシド、例えばエポキシ化ノボラック及びフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施態様において、連鎖延長剤は、重合プロセスの最後に又は重合プロセスの後に、添加することができる。重合プロセス後に添加する場合には、連鎖延長剤は、射出成形又は押出のような転化プロセスの間に添加によって又は配合によって、組み入れることができる。使用する連鎖延長剤の量は、使用する具体的なモノマー組成及び目的とする物理的性質によって異なり得るが、一般にポリエステルの総重量に基づき、約0.1〜約10重量%、例えば約0.1〜約5重量%である。
【0133】
本発明において有用なポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analyst Instrument製のTA DSC 2920を用いて、20℃/分の走査速度で測定した。
【0134】
本発明において有用ないくつかポリエステルは170℃において長い半結晶化時間(例えば5分より長い)を示すので、射出成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、押出フィルム、押出シート、押出ブロー成形品、押出延伸ブロー成形品及び繊維を含む(これらに限定するものではないが)物品を製造することが可能である。熱成形性シートは本発明によって提供される製造品の一例である。本発明のポリエステルは非晶質又は半結晶質であることができる。一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、比較的低い結晶化度を有することができる。従って、本発明において有用ないくつかのポリエステルは実質的に非晶質の形態を有することができ、これは、ポリエステルが実質的に不規則なポリマー領域を含むことを意味する。
【0135】
一実施態様において、「非晶質」ポリエステルは、170℃において5分より長い、又は170℃において10分より長い、又は170℃において50分より長い、又は170℃において100分より長い半結晶化時間を有することができる。本発明の一実施態様においては、半結晶化時間(crystallization half-time)は170℃において1,000分より長いことができる。本発明の別の実施態様においては、本発明において有用なポリエステルの半結晶化時間は170℃において10,000分より長いことができる。本明細書中で使用する、ポリエステルの半結晶化時間は、当業者によく知られた方法を用いて測定できる。例えばポリエステルの半結晶化時間t1/2は、温度制御された高温ステージ上でレーザー及び光検知器によってサンプルの光透過率を時間の関数として測定することよって算出できる。この測定は、ポリマーを温度Tmaxに暴露し、次いでそれを所望の温度まで冷却することによって行うことができる。次に、サンプルを、高温ステージによって所望の温度に保持することができ、その間に透過率測定を時間の関数として行う。最初はサンプルは目視によって明澄であって高い光透過率を有することができ、サンプルが結晶化するにつれて不透明になる。半結晶化時間は、光透過率が初期透過率と最終透過率との中間である時間である。Tmaxはサンプルの結晶性ドメインを溶融させる(結晶性ドメインが存在するならば)のに必要な温度と定義する。半結晶化時間の測定前にサンプルを状態調整するために、サンプルをTmaxまで加熱することができる。絶対Tmax温度は組成毎に異なる。例えばPCTは、結晶性ドメインを溶融させるために、290℃より若干高い温度まで加熱することができる。
【0136】
一実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、目視によって明澄であることができる。本明細書中では、用語「目視によって明澄な(visually clear)」は、目視検査した場合に曇り(cloudiness)、濁り(haziness)及び/又はくすみ(muddiness)が存在しないことがはっきりと認められることと定義する。別の実施態様において、ポリエステルを、ビスフェノールAポリカーボネートを含む(これに限定するものではないが)ポリカーボネートとブレンドする場合には、ブレンドは目視によって明澄であることができる。
【0137】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物は、トナーの有無にかかわらず、本明細書中に記載したようなカラー値L*、a*及びb*を有することができ、それらは、Hunter Associates Lab Inc.(Reston,Va.)製のHunter Lab Ultrascan Spectra Colorimeterを用いて測定できる。カラー測定値は、ポリエステルのペレット又はそれらから射出成形若しくは押出されたプラック若しくは他の成形品について測定された値の平均値である。これらは、CIE(International Commission on Illumination)(translated)のL***表色系によって測定し、L*は明度座標を表し、a*は赤/緑座標を表し、b*は黄/青座標を表す。いくつかの実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値は−12から12未満までであることができ、L*値は50〜90であることができる。他の実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値は、以下の範囲:−10〜10;−10〜10未満;−10〜9;−10〜8;−10〜7;−10〜6;−10〜5;−10〜4;−10〜3;−10〜2;−5〜9;−5〜8;−5〜7;−5〜6;−5〜5;−5〜4;−5〜3;−5〜2;0〜9;0〜8;0〜7;0〜6;0〜5;0〜4;0〜3;0〜2;1〜10;1〜9;1〜8;1〜7;1〜6;1〜5;1〜4;1〜3;及び1〜2の1つに含まれることができる。他の実施態様において、本発明において有用なポリエステルのL*値は、以下の範囲:50〜60;50〜70;50〜80;50〜90;60〜70;60〜80;60〜90;70〜80;79〜90の1つに含まれることができる。
【0138】
有害な色の相互作用は、エチレングリコールを含むポリエステルの製造に使用された錫触媒又はチタン触媒によって起こると考えられる。本発明の一実施態様においては、本明細書中に記載したように少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の錫化合物を少なくとも1種の燐化合物と併用して製造した本発明において有用なポリエステルのb*カラー値は、これらのポリエステルの製造に錫触媒のみを使用するよりも著しく改善されると考えられる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルの製造に少なくとも1種のチタン触媒を少なくとも1種の燐化合物と併用することは、これらのポリエステルの製造にチタン触媒のみを使用するよりも著しい改善であると考えられる。
【0139】
ASTM D256に記載されるノッチ付きアイゾッド衝撃強度は、靭性を測定するための常法である。ノッチ付きアイゾッド衝撃強度は、ここではASTM D256に従って測定された、厚さ3.2mm(1/8インチ)のバー中の10milのノッチに関して23℃において測定されたものである。一実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、厚さ3.2mm(1/8インチ)のバー中の10milのノッチに関する23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも500J/m(10ft−lb/in)であることができる。一実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、厚さ3.2mm(1/8インチ)のバー中の10milのノッチに関する23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が約10〜約35ft−lb/inであることができる。別の実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、厚さ3.2mm(1/8インチ)のバー中の10milのノッチに関する23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が約10ft−lb/in〜破壊なしであることができる。
【0140】
一実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、23℃において1.2g/mlより大きい密度の少なくとも1つを示すことができる。
【0141】
一実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率が290,000又はそれ以上であることができる。別の実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率が約290,000〜約370,000であることができる。別の実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率が約290,000〜約350,000であることができる。
【0142】
本発明において有用ないくつかのポリエステルは、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率290,000psi又はそれ以上;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in又はそれ以上の少なくとも1つを有することができる。
【0143】
本発明において有用な他のポリエステルは、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率約290,000〜約370,000psi;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in超〜破壊なしの少なくとも1つを有することができる。
【0144】
本発明において有用な他のポリエステルは、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率約290,000〜約370,000psi;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in超〜35ft−lb/inの少なくとも1つを有することができる。
【0145】
一部の実施態様において、本発明において有用なポリエステル組成物の使用は溶融加工及び/又は熱成形前の乾燥工程を最小限に抑え且つ/又は排除する。
【0146】
本明細書中で使用する用語「燐化合物」はその反応生成物を含むものとする。
【0147】
一実施態様において、本発明において有用な燐化合物は、有機化合物、例えばハロゲン化又は非ハロゲン化有機置換基を含む燐含有酸エステル(phosphorus acid ester)であることができる。熱安定剤は、当業界で知られた広範囲の燐化合物、例えばホスフィン、亜燐酸エステル、亜ホスフィン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド及び燐酸エステルを含むことができる。
【0148】
本発明において有用な燐化合物の例としては、燐酸トリブチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブトキシエチル、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、エチルジメチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリラウリル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル、t−ブチルフェニル=ジフェニルホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、燐酸トリベンジル、フェニルエチルホスフェート、チオノ燐酸トリメチル、フェニルエチルチオノホスフェート、ジメチル=メチルホスホネート、ジエチル=メチルホスホネート、ジエチル=ペンチルホスホネート、ジラウリル=メチルホスホネート、ジフェニル=メチルホスホネート、ジベンジル=メチルホスホネート、ジフェニル=クレジルホスホネート、ジメチル=クレジルホスホネート、ジメチル=メチルチオノホスホネート、フェニル=ジフェニルホスフィネート、ベンジル=ジフェニルホスフィネート、メチル=ジフェニルホスフィネート、トリメチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、4−メチルジフェニルホスフィンオキシド、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリブチル、亜燐酸トリラウリル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリベンジル、フェニルジエチルホスファイト、フェニルジメチルホスファイト、ベンジルジメチルホスファイト、ジメチル=メチルホスホナイト、ジエチル=ペンチルホスホナイト、ジフェニル=メチルホスホナイト、ジベンジル=メチルホスホナイト、ジメチル=クレジルホスホナイト、メチル=ジメチルホスフィナイト、メチル=ジエチルホスフィナイト、フェニル=ジフェニルホスフィナイト、メチル=ジフェニルホスフィナイト、ベンジル=ジフェニルホスフィナイト、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィンが挙げられる。一実施態様において、トリフェニルホスフィンオキシドは、本発明において有用なポリエステルの製造方法及び本発明のポリエステル組成物における熱安定剤としては除外される。
【0149】
一実施態様において、本発明において有用な燐化合物は、酸化合物の水素原子(酸素又は燐原子のいずれかに結合している)の1つ又はそれ以上がアルキル、分岐鎖アルキル、置換アルキル、アルキルエーテル、置換アルキルエーテル、アルキル−アリール、アルキル置換アリール、アリール、置換アリール及びそれらの混合物で置換されている、前記の燐をベースとする酸のいずれかであることができる。別の実施態様において、本発明において有用な燐化合物は、化合物の酸素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが金属イオン又はアンモニウムイオンで置換された前記化合物を含むが、これらに限定するものではない。
【0150】
エステルはアルキル、分岐鎖アルキル、置換アルキル、アルキルエーテル、アリール及び/又は置換アリール基を含むことができる。エステルは、少なくとも1つのアルキル基及び少なくとも1つのアリール基を含むこともできる。特定の燐化合物中に存在するエステル基の数は、ゼロから、使用する燐化合物上に存在するヒドロキシル基の数に基づいて許容され得る最大まで様々であることができる。例えば燐酸アルキルエステルは燐酸のモノ−、ジ−及びトリアルキルエステルの1種又はそれ以上を含むことができ;燐酸アリールエステルは燐酸のモノ−、ジ−及びトリアリールエステルの1種又はそれ以上を含むことができ;燐酸アルキルエステル及び/又は燐酸アリールエステルはまた、少なくとも1つのアルキル及び1つのアリール基を有する燐酸アルキルアリール混合エステルを含むことができるが、これらに限定するものではない。
【0151】
一実施態様において、本発明において有用な燐化合物としては、燐酸、燐含有酸(phosphorus acid)、ホスフィン酸、ホスホン酸又は亜ホスホン酸のアルキルエステル、アリールエステル若しくはアルキルアリール混合エステル又は部分エステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。アルキル又はアリール基は1つ又はそれ以上の置換基を含むことができる。
【0152】
一態様において、本発明において有用な燐化合物は、少なくとも1種の置換又は非置換燐酸アルキルエステル、置換又は非置換燐酸アリールエステル、置換又は非置換燐酸アルキルアリール混合エステル、ジホスファイト、燐酸の塩、ホスフィンオキシド及び亜燐酸アリールアルキル混合エステル、それらの反応生成物並びにそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む。燐酸エステルは、燐酸が完全にエステル化された又は部分的にのみエステル化されたエステルを含む。
【0153】
一実施態様において、例えば本発明において有用な燐化合物は少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。
【0154】
一態様において、本発明において有用な燐化合物は、少なくとも1種の置換又は非置換燐酸アルキルエステル、置換又は非置換燐酸アリールエステル、置換又は非置換燐酸アルキルアリール混合エステル、それらの反応生成物及びそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む。燐酸エステルは、燐酸が完全にエステル化された又は部分的にのみエステル化されたエステルを含む。
【0155】
一実施態様において、例えば本発明において有用な燐化合物は少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。
【0156】
別の実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルとしては、燐酸アルキルエステル、燐酸アリールエステル、燐酸アルキルアリール混合エステル及び/又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0157】
いくつかの実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルは、燐酸エステル上の基がアルキル、アルコキシ−アルキル、フェニル又は置換フェニル基を含むものである。これらの燐酸エステルは、本明細書中では一般に燐酸アルキル及び/又はアリールエステルと称する。いくつかの好ましい実施態様は、燐酸トリアルキル、燐酸トリアリール、アルキルジアリールホスフェート、ジアルキルアリールホスフェート及びこのような燐酸エステルの混合物を含み、前記アルキル基は好ましくは炭素数2〜12のアルキル基であり、前記アリール基は好ましくはフェニルである。
【0158】
代表的なアルキル及び分岐鎖アルキル基は、好ましくは炭素数が1〜12のもの、例えばエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル及びドデシル(これらに限定するものではないが)である。置換アルキル基としては、少なくとも1つのカルボン酸基及びそのエステル、ヒドロキシル基、アミノ基、ケト基などを含むものが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0159】
代表的なアルキル−アリール及び置換アルキル−アリール基は、アルキル部分が1〜12個の炭素原子を含み且つアリール基がフェニル又は置換フェニル(フェニル環上の任意の炭素位置の水素がアルキル、分岐鎖アルキル、アリール、ヒドロキシなどのような基で置換されたもの)であるものである。好ましいアリール基としては、フェニル、又はフェニル環上の任意の位置の水素がアルキル、分岐鎖アルキル、アリール、ヒドロキシなどのような基で置換された置換フェニルが挙げられる。
【0160】
一実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルとしては、燐酸ジブチルフェニル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリブチル、燐酸トリ−2−エチルヘキシル、燐酸トリオクチル及び/又はそれらの混合物、例えば特に、燐酸トリブチルと燐酸トリクレジルとの混合物及びイソセチルジフェニルホスフェートと2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェートとの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0161】
一実施態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の燐酸アリールエステルを含む。
【0162】
一実施態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は少なくとも1種の非置換燐酸アリールエステルを含む。
【0163】
一態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物はベンジル基で置換されていない少なくとも1種の燐酸アリールエステルを含む。
【0164】
一態様において、本発明において有用な任意の燐化合物は少なくとも1種の燐酸アルキルエステルを含むことができる。
【0165】
一実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルとしては、燐酸トリアルキル、燐酸トリアリール、アルキルジアリールホスフェート及び燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0166】
一実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルとしては、燐酸トリアリール、アルキルジアリールホスフェート及び燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0167】
一実施態様において、本発明において有用な燐酸エステルとしては、燐酸トリアリール及び燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0168】
一実施態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は燐酸トリアリール、例えば燐酸トリフェニル(これに限定するものではないが)を含む。一実施態様において、少なくとも1種の燐化合物はMerpol Aを含むが、これに限定するものではない。一実施態様において、本発明において有用な少なくとも1種の燐化合物は燐酸トリフェニル及びMerpol Aのうち少なくとも1種を含むが、これらに限定するものではない。Merpol Aは、Stepan Chemical Co.及び/又はE.I. duPont de Nemours & Co.から市販されている燐酸エステルである。Merpol AのCAS登録番号は、CAS Registry #37208−27−8と考えられる。
【0169】
一態様において、本発明において有用な任意の燐化合物はベンジル基で置換されていない少なくとも1種の燐酸トリアリールエステルを含むことができる。
【0170】
一実施態様において、本発明のポリエステル組成物及び/又は方法は2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェートを含むことができる。
【0171】
一実施態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、本明細書中に記載した任意の方法は少なくとも1種の亜燐酸アルキルアリール混合エステル、例えばDoverphos S−9228としても知られているビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(Dover Chemicals,CAS#154862−43−8)を含むことができる。
【0172】
一実施態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、本明細書中に記載した任意の方法は少なくとも1種のホスフィンオキシドを含むことができる。
【0173】
一実施態様において、任意のポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するための、本明細書中に記載した任意の方法は少なくとも1種の燐酸塩、例えばKH2PO4及びZn3(PO42を含むことができる。
【0174】
用語「熱安定剤」はその反応生成物を含むものとする。本発明の熱安定剤に関連して使用する用語「反応生成物」はポリエステルの製造に使用する任意のモノマーと熱安定剤との間の重縮合又はエステル化反応の任意の生成物及び触媒と任意の他の型の添加剤との間の重縮合又はエステル化反応の生成物を意味する。
【0175】
本発明の一実施態様において、本発明において有用な燐化合物は熱安定剤として働くことができる。本発明の一実施態様において、本発明において有用な燐化合物は熱安定剤としては働かずに、色相安定剤として働くことができる。本発明の一実施態様において、本発明において有用な燐化合物は熱安定剤及び色相安定剤の両方として働くことができる。
【0176】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法に燐を加える場合には、燐は燐化合物、例えば少なくとも1種の燐酸エステルの形態で加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加える燐化合物(例えば少なくとも1種の燐酸エステル)の量は最終ポリエステル中に存在する燐原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0177】
重合中又は製造後に添加する燐化合物の量としては、ポリエステル組成物の総重量に基づき、1〜5000ppm;1〜1000ppm;1〜900ppm;1〜800ppm;1〜700ppm;1〜600ppm;1〜500ppm;1〜400ppm;1〜350ppm;1〜300ppm;1〜250ppm;1〜200ppm;1〜150ppm;1〜100ppm;10〜5000ppm;10〜1000ppm;10〜900ppm;10〜800ppm;10〜700ppm;10〜600ppm;10〜500ppm;10〜400ppm;10〜350ppm;10〜300ppm;10〜250ppm;10〜200ppm;10〜150ppm;10〜100ppmが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0178】
一実施態様において、重合の間に添加する本発明の燐酸エステルの量は、最終ポリエステル中の燐原子の形態で測定した場合に、ポリエステル組成物の総重量に基づき、以下:1〜5000ppm;1〜1000ppm;1〜900ppm;1〜800ppm;1〜700ppm;1〜600ppm;1〜500ppm;1〜400ppm;1〜350ppm;1〜300ppm;1〜250ppm;1〜200ppm;1〜150ppm;1〜100ppm;1〜60ppm;2〜5000ppm;2〜1000ppm;2〜900ppm;2〜800ppm;2〜700ppm;2〜600ppm;2〜500ppm;2〜400ppm;2〜350ppm;2〜300ppm;2〜250ppm;2〜200ppm;2〜150ppm;2〜100ppm;2〜60ppm;2〜20ppm;3〜5000ppm;3〜1000ppm;3〜900ppm;3〜800ppm;3〜700ppm;3〜600ppm;3〜500ppm;3〜400ppm;3〜350ppm;3〜300ppm;3〜250ppm;3〜200ppm;3〜150ppm;3〜100ppm;3〜60ppm;3〜20ppm;4〜5000ppm;4〜1000ppm;4〜900ppm;4〜800ppm;4〜700ppm;4〜600ppm;4〜500ppm;4〜400ppm;4〜350ppm;4〜300ppm;4〜250ppm;4〜200ppm;4〜150ppm;4〜100ppm;4〜60ppm;4〜20ppm;5〜5000ppm;5〜1000ppm;5〜900ppm;5〜800ppm;5〜700ppm;5〜600ppm;5〜500ppm;5〜400ppm;5〜350ppm;5〜300ppm;5〜250ppm;5〜200ppm;5〜150ppm;5〜100ppm;5〜60ppm;5〜20ppm;6〜5000ppm;6〜1000ppm;6〜900ppm;6〜800ppm;6〜700ppm;6〜600ppm;6〜500ppm;6〜400ppm;6〜350ppm;6〜300ppm;6〜250ppm;6〜200ppm;6〜150ppm;6〜100ppm;6〜60ppm;6〜20ppm;7〜5000ppm;7〜1000ppm;7〜900ppm;7〜800ppm;7〜700ppm;7〜600ppm;7〜500ppm;7〜400ppm;7〜350ppm;7〜300ppm;7〜250ppm;7〜200ppm;7〜150ppm;7〜100ppm;7〜60ppm;7〜20ppm;8〜5000ppm;8〜1000ppm;8〜900ppm;8〜800ppm;8〜700ppm;8〜600ppm;8〜500ppm;8〜400ppm;8〜350ppm;8〜300ppm;8〜250ppm;8〜200ppm;8〜150ppm;8〜100ppm;8〜60ppm;8〜20ppm;9〜5000ppm;9〜1000ppm;9〜900ppm;9〜800ppm;9〜700ppm;9〜600ppm;9〜500ppm;9〜400ppm;9〜350ppm;9〜300ppm;9〜250ppm;9〜200ppm;9〜150ppm;9〜100ppm;9〜60ppm;9〜20ppm;10〜5000ppm;10〜1000ppm;10〜900ppm;10〜800ppm;10〜700ppm;10〜600ppm;10〜500ppm;10〜400ppm;10〜350ppm;10〜300ppm;10〜250ppm;10〜200ppm;10〜150ppm;10〜100ppm;10〜60ppm;10〜20ppm;50〜5000ppm;50〜1000ppm;50〜900ppm;50〜800ppm;50〜700ppm;50〜600ppm;50〜500ppm;50〜400ppm;50〜350ppm;50〜300ppm;50〜250ppm;50〜200ppm;50〜150ppm;50〜100ppm;50〜80ppm;100〜5000ppm;100〜1000ppm;100〜900ppm;100〜800ppm;100〜700ppm;100〜600ppm;100〜500ppm;100〜400ppm;100〜350ppm;100〜300ppm;100〜250ppm;100〜200ppm;100〜150ppm;150〜5000ppm;150〜1000ppm;150〜900ppm;150〜800ppm;150〜700ppm;150〜600ppm;150〜500ppm;150〜400ppm;150〜350ppm;150〜300ppm;150〜250ppm;150〜200ppm;200〜5000ppm;200〜1000ppm;200〜900ppm;200〜800ppm;200〜700ppm;200〜600ppm;200〜500ppm;200〜400ppm;200〜350ppm;200〜300ppm;200〜250ppm;250〜5000ppm;250〜1000ppm;250〜900ppm;250〜800ppm;250〜700ppm;250〜600ppm;250〜500ppm;250〜400ppm;250〜350ppm;250〜300ppm;500〜5000ppm;300〜1000ppm;300〜900ppm;300〜800ppm;300〜700ppm;300〜600ppm;300〜500ppm;300〜400ppm;300〜350ppm;350〜5000ppm;350〜1000ppm;350〜900ppm;350〜800ppm;350〜700ppm;350〜600ppm;350〜500ppm;350〜400ppmから選ばれる。
【0179】
触媒の量は、特に断らない限り、触媒金属に基づき且つ最終ポリマーの重量に基づいて、10〜20,000ppm、又は10〜10,000ppm、又は10〜5000ppm、又は10〜1000ppm、又は10〜500ppm、又は10〜300ppm、又は10〜250ppmの範囲であることができる。この方法は、回分法又は連続法のいずれかで実施することができる。一実施態様において、この方法は連続法で実施する。
【0180】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルを製造するために本発明の方法に使用するのに適当な触媒は、少なくとも1種のチタン化合物を含む。本発明のポリエステル組成物は、また、本発明の方法において有用な少なくとも1種の錫化合物を含むことができる。一実施態様において、触媒は少なくとも1種の錫化合物と少なくとも1種のチタン化合物との組合せを含むことができる。他の触媒を、少なくとも1種のチタン化合物及び/又は少なくとも1種の錫化合物と組合せて本発明において使用することも可能であろう。他の触媒としては、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物が挙げられるが、これら限定するものではない。
【0181】
この方法は、回分法又は連続法のいずれかで実施することができる。一実施態様において、触媒は少なくとも1種の錫化合物から本質的になる。一実施態様において、触媒は少なくとも1種のチタン化合物から本質的になる。一実施態様において、触媒は少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の錫化合物から本質的になる。一実施態様において、錫化合物及び/又はチタン化合物を、エステル化反応若しくは重縮合反応又は両反応に、使用できる。一実施態様において、触媒はエステル化反応に使用するチタン化合物を含む。一般に、一実施態様において、チタン化合物触媒は、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルの重量に基づき、約0.005〜約0.2重量%の量で使用する。一般に、一実施態様において、最終ポリエステルの総重量に基づき、約700ppm未満の元素状チタンがポリエステル中に残基として存在することができる。
【0182】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法に錫を加える場合には、錫は錫化合物の形態でポリエステル製造方法に加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加える錫化合物の量は、最終ポリエステル中に存在する錫原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0183】
本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法にチタンを加える場合には、チタンはチタン化合物の形態でポリエステル製造方法に加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明の方法に加えるチタン化合物の量は、最終ポリエステル中に存在するチタン原子の形態で、例えば重量ppmで測定できる。
【0184】
別の実施態様において、触媒は、最終ポリエステル中のチタン原子の形態で測定した場合に、最終ポリエステルの重量に基づき、以下の量:10〜20,000ppm、又は10〜10,000ppm、又は10〜5000ppm、又は10〜4500ppm、又は10〜4000ppm、又は10〜3500ppm、又は10〜3000ppm、又は10〜2500ppm、又は10〜2000ppm、又は10〜1500ppm、又は10〜1000ppm、又は10〜500ppm、又は10〜300ppm、又は10〜250ppm、又は15〜20,000ppm、又は15〜10,000ppm、又は15〜5000ppm、又は15〜4500ppm、又は15〜4000ppm、又は15〜3500ppm、又は15〜3000ppm、又は15〜2500ppm、又は15〜2000ppm、又は15〜1500ppm、又は15〜1000ppm、又は15〜500ppm、又は15〜400ppm、又は15〜300ppm、又は15〜250ppm、又は20〜20,000ppm、又は20〜10,000ppm、又は20〜5000ppm、又は20〜4500ppm、又は20〜4000ppm、又は20〜3500ppm、又は20〜3000ppm、又は20〜2500ppm、又は20〜2000ppm、又は20〜1500ppm、又は20〜1000ppm、又は20〜500ppm、又は20〜300ppm、又は20〜250ppm、又は25〜20,000ppm、又は25〜10,000ppm、又は25〜5000ppm、又は25〜4500ppm、又は25〜4000ppm、又は25〜3500ppm、又は25〜3000ppm、又は25〜2500ppm、又は25〜2000ppm、又は25〜1500ppm、又は25〜1000ppm、又は25〜500ppm、又は25〜400ppm、又は25〜300ppm、又は25〜250ppm、又は30〜20,000ppm、又は30〜10,000ppm、又は30〜5000ppm、又は30〜4500ppm、又は30〜4000ppm、又は30〜3500ppm、又は30〜3000ppm、又は30〜2500ppm、又は30〜2000ppm、又は30〜1500ppm、又は30〜1000ppm、又は30〜500ppm、又は30〜300ppm、又は30〜250ppm、又は35〜20,000ppm、又は35〜10,000ppm、又は35〜5000ppm、又は35〜4500ppm、又は35〜4000ppm、又は35〜3500ppm、又は35〜3000ppm、又は35〜2500ppm、又は35〜2000ppm、又は35〜1500ppm、又は35〜1000ppm、又は35〜500ppm、又は35〜300ppm、又は35〜250ppm、又は40〜20,000ppm、又は40〜10,000ppm、又は40〜5000ppm、又は40〜4500ppm、又は40〜4000ppm、又は40〜3500ppm、又は40〜3000ppm、又は40〜2500ppm、又は40〜2000ppm、又は40〜1500ppm、又は40〜1000ppm、又は40〜500ppm、又は40〜300ppm、又は40〜250ppm、又は40〜200ppm、又は45〜20,000ppm、又は45〜10,000ppm、又は45〜5000ppm、又は45〜4500ppm、又は45〜4000ppm、又は45〜3500ppm、又は45〜3000ppm、又は45〜2500ppm、又は45〜2000ppm、又は45〜1500ppm、又は45〜1000ppm、又は45〜500ppm、又は45〜300ppm、又は45〜250ppm、又は50〜20,000ppm、又は50〜10,000ppm、又は50〜5000ppm、又は50〜4500ppm、又は50〜4000ppm、又は50〜3500ppm、又は50〜3000ppm、又は50〜2500ppm、又は50〜2000ppm、又は50〜1500ppm、又は50〜1000ppm、又は50〜500ppm、又は50〜300ppm、又は50〜250ppm、50〜200ppm、又は50〜150ppm、又は50〜125ppmの、エステル化反応に使用する少なくとも1種のチタン化合物を含む。
【0185】
別の実施態様において、本発明のポリエステルは少なくとも1種の錫化合物を触媒として用いて製造できる。例えば米国特許第2,720,507号を参照されたい。この特許の錫触媒に関する部分を、引用することによって本明細書中に組み入れる。これらの触媒は少なくとも1つの有機基を含む錫化合物である。これらの触媒としては下記一般式:
【0186】
【化1】

【0187】
を有する二価又は四価の錫の化合物が挙げられる。前記式において、Mはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム又はカリウムであり、M’はアルカリ土類金属、例えばMg、Ca又はSrであり、各Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、各R’基は、炭素数1〜8のアルキル基(即ちR基)及び炭素数6〜9のベンゼン系のアリール基(例えばフェニル、トリル、ベンジル、フェニルエチル基など)からなるものから選ばれた置換基を表し、Acは炭素数2〜18の有機酸に由来するアシル基(例えばアセチル、ブチリル、ラウロイル、ベンゾイル、ステアロイルなど)を表す。
【0188】
新規二金属アルコキシド触媒はMeerwein,Ann.476,113(1929)によって記載されたようにして製造できる。Meerweinによって示されるように、これらの触媒は2つの金属アルコキシドの単なる混合物ではない。これらは塩様構造を有する一定の化合物である。これらは、式A〜Hによって前に示した化合物である。Meerweinによって具体的には記載されていないこれらは、Meerweinによって記載された実施例及び方法に類似した手法で製造できる。
【0189】
他の錫化合物も、以下の文献に記載されたような種々の方法によって製造できる:ジアリール錫ジハライド(式P)の製造に関しては、Ber.62,996(1929);J.Am.Chem.Soc.49,1369(1927)を参照。ジアルキル錫ジハライド(式P)の製造に関しては、J.Am.Chem.Soc.47,2568(1925);C.A.41,90(1947)を参照。ジアリール錫オキシド(式M)の製造に関しては、J.Am.Chem.Soc.48,1054(1926)を参照。テトラアリール錫化合物(式K)の製造に関しては、C.A.32,5387(1938)を参照。錫アルコキシド(式J)の製造に関しては、C.A.24,586(1930)を参照。アルキル錫塩(式Q)の製造に関しては、C.A.31,4290を参照。アルキル錫化合物(式K及びL)の製造に関しては、C.A.35,2470(1941);C.A.33,5357(1939)を参照。混合アルキルアリール錫(式K及びL)の製造に関しては、C.A.31,4290(1937);C.A.38,331(1944)を参照。これらの引用によってカバーされない他の錫化合物の製造に関しては、Krause及びV.Grosseによる”Die Chemie der Metal−Organischen Verbindungen”(1937年にBerlinにおいてGebroder−Borntragerによって発行)を参照されたい。
【0190】
錫アルコキシド(式I及びJ)及び二金属アルコキシド(式A〜H)は、直鎖又は分岐鎖アルキル基であることができるR置換基を含み、例えばジエトキシド、テトラメトキシド、テトラブトキシド、テトラ−tert−ブトキシド、テトラヘキソキシド(tetrahexoxide)などである。
【0191】
アルキル誘導体(式K及びL)は、直接C−Sn結合によって錫原子に結合した1つ又はそれ以上のアルキル基を含み、例えばジブチル錫、ジヘキシル錫、テトラ−ブチル錫、テトラエチル錫、テトラメチル錫、ジオクチル錫などである。テトラアルキル基のうち2つが、酸素原子で置換されて、式Mを有する化合物、例えばジメチル錫オキシド、ジエチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、ジヘプチル錫オキシドなどを形成できる。一実施態様において、錫触媒はジメチル錫オキシドを含む。
【0192】
ジアルキル錫オキシドとアルカリ金属アルコキシドとをアルコール溶液中で反応させること(例えばジブチル錫オキシドとナトリウムエトキシドとを反応させることなど)によって錯体を形成して、特に有用な触媒である式Nを有する化合物を形成できる。この式は、前記反応生成物を表すものである。アルキル基及びアルコキシ基を含む錫化合物も有用な触媒であり(式Oを参照)、例えばジエチル錫ジエトキシド、ジブチル錫ジブトキシド、ジヘキシル錫ジメトキシドなどである。
【0193】
カルボン酸又は塩酸と反応させたジアルキル錫オキシドから得られる塩も触媒として特に有用である;例えば式P及びQを参照。これらの触媒縮合剤の例としては、ジブチル錫ジアセテート、ジエチル錫ジブチレート、ジブチル錫ジラウロエート、ジメチル錫ジベンゾエート、ジブチル錫ジクロリド、ジエチル錫ジクロリド、ジオクチル錫ジクロリド、ジヘキシル錫ジステアレートなどが挙げられる。
【0194】
R’基の1つ又はそれ以上がベンゼン系のアリール基、例えばフェニル、トリル、ベンジルなどを表す式K、L及びMを有する錫化合物を製造できる。例としては、ジフェニル錫、テトラフェニル錫、ジフェニルジブチル錫、ジトリルジエチル錫、ジフェニル錫オキシド、ジベンジル錫、テトラベンジル錫、ジ([B−フェニルエチル)錫オキシド、ジベンジル錫オキシドなどが挙げられる。
【0195】
本発明において有用な触媒の例としては、ブチル錫トリス−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド及びジメチル錫オキシドのうち1種又はそれ以上が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0196】
一実施態様において、本発明において有用な触媒としては、ブチル錫トリス−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド及びジメチル錫オキシドのうち1種又はそれ以上が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0197】
錫系触媒を用いたポリエステルの製造方法はよく知られており、前記米国特許第2,720,507号に記載されている。
【0198】
本発明において有用なチタン含有化合物は、チタンを含む任意の化合物、例えば、チタン酸テトラエチル、チタン酸アセチルトリプロピル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトラブチル、チタン酸ポリブチル、2−エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセト酢酸エステル=チタネート、チタン酸イソステアリル、アセチル=トリイソプロピル=チタネート、チタン=テトライソプロポキシド=チタングリコレート、チタンブトキシド、ヘキシレングリコールチタネート、及びチタン酸テトライソオクチル、二酸化チタン、二酸化チタン/二酸化珪素共沈物、並びに二酸化チタン/二酸化ジルコニウム共沈物(これらに限定するものではないが)を含む。本発明は、米国特許第6,559,272号に記載された二酸化チタン/二酸化珪素共沈物触媒を含むが、これに限定するものではない。
【0199】
本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分は、文献から周知の方法によって、例えば均質溶液中における方法によって、メルト中におけるエステル交換法によって及び2相界面法によって、生成させることができる。適当な方法は、1種又はそれ以上のジカルボン酸と1種又はそれ以上のグリコールとを、温度100〜315℃及び圧力0.1〜760mmHgにおいて、ポリエステルを形成するのに充分な時間反応させる工程を含むが、これに限定するものではない。ポリエステルの製造方法については米国特許第3,772,405号を参照されたい。この方法に関するこの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0200】
ポリエステル全般は、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとグリコールとを、不活性雰囲気中において、本明細書中に記載したチタン触媒及び/又はチタン−錫触媒の存在下で高温において(縮合の間に約225〜310℃の温度まで徐々に増加される)縮合させ、そして前記縮合を縮合の後半部分において低圧で実施することによって製造できる。更なる詳細は米国特許第2,720,507号に記載されており、この特許を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0201】
別の態様において、本発明は本発明のコポリエステルの製造方法に関する。一実施態様において、この方法はテレフタル酸、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むコポリエステルの製造に関する。この方法は、
(A)本発明のポリエステルにおいて有用なモノマーを含む混合物を少なくとも1種の錫触媒及び少なくとも1種の燐酸エステルの存在下、150〜250℃の温度で初期ポリエステルの生成に充分な時間加熱し;
(B)工程(A)の生成物を230〜320℃の温度で1〜6時間加熱することによって重縮合させ;そして
(C)未反応のグリコールを全て除去する
工程を含む。
【0202】
エステル化工程(A)の反応時間は、選択した温度、圧力及びグリコール対ジカルボン酸の供給モル比によって異なる。
【0203】
一実施態様において、工程(A)は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの50重量%又はそれ以上が反応するまで実施できる。工程(A)は、0〜100psigの範囲の圧力下で実施できる。本発明において有用な任意の触媒に関連して使用する用語「反応生成物」は、ポリエステルの製造に使用する任意のモノマー及び触媒による重縮合又はエステル化反応の任意の生成物及び触媒と任意の他の型の添加剤との重縮合又はエステル化反応の生成物を意味する。
【0204】
典型的には、工程(B)及び工程(C)は同時に実施できる。これらの工程は、当業界で知られた方法によって、例えば、反応混合物を0.002psig〜大気圧未満の範囲の圧力下に置くことによって、又は混合物全体に高温窒素ガスを吹き付けることによって、実施できる。
【0205】
一実施態様において、本発明は、以下の工程:
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物を含む少なくとも1種の触媒並びに任意的に、錫、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gである、ポリエステルを製造するための、以下において「チタンを含む方法」と称する方法に関する。
【0206】
一実施態様において、本発明は、以下の工程:
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物、少なくとも1種の錫化合物並びに任意的に、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒を含む少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gである、ポリエステルを製造するための、以下において「錫及びチタンを含む方法」と称する方法に関する。
【0207】
「チタンを含む方法」及び「チタン及び錫を含む方法」と称する本発明の方法において、少なくとも1種の燐化合物、例えば少なくとも1種の燐酸エステルは、工程(I)、工程(II)並びに/又は工程(I)及び(II)に、更に/或いは工程(I)及び(II)の後に添加できる。
【0208】
本発明において有用なポリエステルの製造において有用な本発明の任意の方法において、少なくとも1種の燐化合物及び/若しくはその反応生成物並びにそれらの混合物を、エステル化の間に、重縮合の間に又は両者に添加することができ、且つ/又は重合後に添加できる。一実施態様において、本発明の任意の方法において有用な燐化合物は、エステル化の間に添加できる。一実施態様において、本発明において有用な燐化合物をエステル化及び重縮合の両方の後に添加する場合には、最終ポリエステルの総重量に基づき、0.01〜2重量%の量で添加する。一実施態様において、燐化合物は少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。一実施態様において、燐化合物はエステル化工程において添加する少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。一実施態様において、燐化合物は、例えばエステル化工程の間に添加する、少なくとも1種の燐酸エステルを含むことができる。
【0209】
本発明において有用な任意のポリエステル製造方法は、本発明において有用な任意のポリエステルの製造に使用できると考えられる。
【0210】
本発明の任意の方法のエステル化工程(I)の反応時間は、選択した温度、圧力及びグリコール対ジカルボン酸の供給モル比によって異なる。
【0211】
一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は、20〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は10〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は5〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は3〜0.02トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は20〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は10〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は5〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含み;一実施態様において、本発明の任意の方法の工程(II)に使用する圧力は3〜0.1トル(絶対)から選ばれた少なくとも1つの圧力を含む。
【0212】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜3.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜2.5/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜2.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜1.75/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.0〜1.5/1.0である。
【0213】
一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜2.5/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜2.0/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜1.75/1.0であり;一態様において、本発明の任意の方法の工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜1.5/1.0である。
【0214】
本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法実施態様において、工程(II)の加熱時間は1〜5時間又は1〜4時間又は1〜3時間又は1.5〜3時間又は1〜2時間であることができる。一実施態様において、工程(II)の加熱時間は1.5〜3時間であることができる。
【0215】
一実施態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子を含むことができる。
【0216】
一実施態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は錫原子を含むことができる。
【0217】
一実施態様において、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法はチタン及び燐原子を含むことができる。
【0218】
一実施態様において、本発明において有用な本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子及びチタン原子を含むことができる。
【0219】
一実施態様において、本発明において有用な本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子及び錫原子を含むことができる。
【0220】
一実施態様において、本発明において有用な本発明のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は燐原子、錫原子及びチタン原子を含むことができる。
【0221】
一実施態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0222】
一実施態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種のチタン化合物を含むことができる。
【0223】
一実施態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種の錫化合物を含むことができる。
【0224】
一実施態様において、本発明の任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又は方法は少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0225】
一実施態様において、本発明において有用な任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法は少なくとも1種の錫化合物及び少なくとも1種のチタン化合物を含むことができる。
【0226】
一実施態様において、本発明において有用な任意のポリエステル、ポリエステル組成物及び/又はポリエステル製造方法は少なくとも1種の錫化合物、少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の燐化合物を含むことができる。
【0227】
一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜20:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜20:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜15:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜15:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜10:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜10:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜5:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜5:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を0〜3:1とすることができる。一実施態様において、本発明の方法における燐化合物の添加は最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を1〜3:1とすることができる。例えば最終ポリエステル中に存在する錫原子及び燐原子の重量はppmで測定することができ、最終ポリエステル中の総燐原子対総錫原子の重量比を前記重量比のいずれかにすることができる。
【0228】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子0〜400ppmであることができる。
【0229】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子15〜400ppmであることができる。
【0230】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子0〜400ppmであることができる。
【0231】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子15〜400ppmであることができる。
【0232】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができる。
【0233】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の錫原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子1〜400ppmであることができ且つ本発明において有用な最終ポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができる。
【0234】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ且つポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜400ppmであることができる。
【0235】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ且つポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる。
【0236】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル中の燐原子の量は、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができ、本発明において有なポリエステル中の錫原子の量は、ポリエステルの重量に基づき、錫原子1〜400ppmであることができ、且つポリエステル中のチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる。
【0237】
本発明は、更に、前記方法によって製造されるポリエステル組成物に関する。
【0238】
本発明は、更に、ポリマーブレンドに関する。このブレンドは、
(a)少なくとも1種の前記ポリエステル5〜95重量%;及び
(b)少なくとも1種のポリマー成分5〜95重量%
を含む。
【0239】
ポリマー成分の適当な例としては以下のもの:ナイロン;ここに記載したものとは異なるポリエステル;ポリアミド、例えばZYTEL(登録商標)(Dupont製);ポリスチレン;ポリスチレンコポリマー;スチレン・アクリロニトリルコポリマー;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル−イミド)、例えばULTEM(登録商標)(General Electric製のポリ(エーテル−イミド));ポリフェニレンオキシド、例えばポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)又はポリ(フェニレンオキシド)/ポリスチレンブレンド、例えばNORYL 1000(登録商標)(General Electric製のポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)とポリスチレン樹脂とのブレンド);ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル−カーボネート);ポリカーボネート、例えばLEXAN(登録商標)(General Electric製のポリカーボネート);ポリスルホン;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル−ケトン);又は前記ポリマーのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。ブレンドは、当業界で知られた従来の加工技術によって、例えば溶融ブレンド又は溶液ブレンドによって製造できる。一実施態様において、ポリカーボネートは、ポリエステル組成物中に存在しない。本発明のポリエステル組成物においてブレンド中にポリカーボネートを用いる場合には、ブレンドは目視によって明澄であることができる。しかし、本発明において有用なポリエステル組成物は、また、ポリカーボネートの除外もポリカーボネートの包含も考える。
【0240】
本発明において有用なポリカーボネートは、既知の方法に従って、例えばジヒドロキシ芳香族化合物とカーボネート前駆体、例えばホスゲン、ハロ蟻酸又は炭酸エステル、分子量調節剤、受酸剤及び触媒とを反応させることによって製造できる。ポリカーボネートの製造方法は当業界で知られており、例えば米国特許第4,452,933号に記載されている。ポリカーボネートの製造に関するこの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0241】
適当なカーボネート前駆体の例としては、臭化カルボニル、塩化カルボニル及びそれらの混合物;炭酸ジフェニル;ジ(ハロフェニル)カーボネート、例えばジ(トリクロロフェニル)カーボネート、ジ(トリブロモフェニル)カーボネートなど;ジ(アルキルフェニル)カーボネート、例えばジ(トリル)カーボネート;ジ(ナフチル)カーボネート;ジ(クロロナフチル)カーボネート及びそれらの混合物;並びに二価フェノールのビス−ハロホルメートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0242】
適当な分子量調節剤の例としては、フェノール、シクロヘキサノール、メタノール、アルキル化フェノール、例えばオクチルフェノール、p−tert−ブチル−フェノールなどが挙げられるが、これらの限定するものではない。一実施態様において、分子量調節剤はフェノール又はアルキル化フェノールである。
【0243】
受酸剤は有機又は無機受酸剤であることができる。適当な有機受酸剤は第三アミンであることができ、その例としてはピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリブチルアミンなどのような物質が挙げられるが、これらに限定するものではない。無機受酸剤はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は燐酸塩であることができる。
【0244】
使用できる本発明において有用なポリカーボネートの製造に使用する触媒としては、モノマーとホスゲンとの重合を典型的に助けるものが挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な触媒としては以下のもの:第三アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、第四アンモニウム化合物、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、セチルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムヨージド、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラ−メチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及び第四ホスホニウム化合物、例えばn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びメチルトリフェニルホスホニウムブロミドが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0245】
本発明のポリマーブレンドにおいて有用なポリカーボネートは、また、コポリエステルカーボネート、例えば米国特許第3,169,121号;第3,207,814号;第4,194,038号;第4,156,069号;第4,430,484号、第4,465,820号及び第4,981,898号に記載されたものであることができる。これらの米国特許のそれぞれからのコポリエステルカーボネートに関する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0246】
本発明において有用なコポリエステルカーボネートは、商業的に入手することができ且つ/又は当業界で知られた方法によって製造できる。例えば、これらは、典型的には、少なくとも1種のジヒドロキシ芳香族化合物と、ホスゲンと少なくとも1種のジカルボン酸塩化物、特に塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル又は両者との混合物との反応によって得ることができる。
【0247】
更に、本発明において有用なポリエステル組成物及びポリマーブレンド組成物は、また、組成物全体の0.01〜25重量%の一般的な添加剤、例えば着色剤、トナー、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、安定剤(UV安定剤、熱安定剤及び/又はそれらの反応生成物を含むが、これらに限定するものではない)、充填剤及び耐衝撃性改良剤を含むことができる。当業界でよく知られ且つ本発明において有用な、典型的な市販の耐衝撃性改良剤の例としては、エチレン/プロピレンターポリマー;官能基化ポリオレフィン、例えばアクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸グリシジルを含むもの;スチレン系ブロックコポリマー耐衝撃性改良剤;並びに種々のアクリルコア/シェル型耐衝撃性改良剤が挙げられるが、これらに限定するものではない。このような添加剤の残基もポリエステル組成物の一部と考えられる。
【0248】
更に、ポリマーをカラー化するある種の助剤をメルトに添加することができる。一実施態様において、得られるポリエステルポリマー溶融相生成物のb*を低下させるために、メルトに青味付けトナーを添加する。このような青味剤は無機及び有機トナーを含む。更に、赤色トナーもa*カラーの調整に使用できる。有機トナー、例えば米国特許第5,372,864号及び第5,384,377号に記載されたような青色及び赤色有機トナーを使用でき、これらの特許を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。有機トナーは予備混合組成物として供給できる。予備混合組成物は赤色及び青色化合物の純粋なブレンドであることもできるし、或いは組成物をポリエステルの原料の1つ、例えばエチレングリコール中に予め溶解するか又はスラリー化することもできる。
【0249】
添加するトナー成分の総量は、言うまでもなく、ベースポリエステル中の固有の黄色の量及びトナーの効力によって異なる。一般に、約15ppm以下の組合せ有機トナー成分の濃度及び約0.5ppmの最小濃度を使用する。青味剤の総量は、典型的には、0.5〜10ppmの範囲である。
【0250】
トナーはエステル化ゾーン又は重縮合ゾーンに添加できる。好ましくはトナーはエステル化ゾーン又は重縮合ゾーンの初期段階、例えば予備重合ゾーンに添加する。
【0251】
強化材は本発明の組成物中において有用であることができる。強化材の例としては、炭素フィラメント、シリケート、マイカ、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ及び繊維並びにポリマー繊維、更にそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、強化材としては、ガラス、例えばガラス繊維フィラメント、ガラスとタルクとの混合物、ガラスとマイカとの混合物、並びにガラスとポリマー繊維との混合物が挙げられる。
【0252】
本発明は、更に、本発明のポリエステル組成物及び/又はポリマーブレンドを含むフィルム及び/又はシートに関する。ポリエステル及び/又はブレンドからのフィルム及び/又はシートの形成方法は当業界でよく知られている。本発明のフィルム及び/又はシートの例としては、押出フィルム及び/又はシート、カレンダードフィルム及び/又はシート、圧縮成形フィルム及び/又はシート、溶液キャストフィルム及び/又はシートが挙げられるが、これらに限定するものではない。フィルム及び/又はシートの製造方法としては、押出、カレンダリング、圧縮成形及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0253】
本発明において有用な、フィルム及び/又はシートから製造される可能性のある物品の例としては、一軸延伸フィルイム、二軸延伸フィルム、収縮フィルム(一軸又は二軸延伸されていてもいなくても)、液晶ディスプレイフィルム(拡散板、補償フィルム及び保護フィルムを含むが、これらに限定するものではない)、熱成形シート、グラフィックアートフィルム、屋外サイン(屋外看板又は屋外標識)、天窓、コーティング、被覆物品、塗装物品、積層品、ラミネート加工品及び/又は多層フィルム若しくはシートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0254】
本明細書中で使用する「グラフィックアートフィルム」は、表面又は内部に、熱によって硬化し得る(thermally-curable)インキ(例えば熱硬化性(heat-curable)インキ又は空気硬化性インキ)又は放射線硬化性インキ(例えば紫外線硬化性インキ)が印刷されたフィルムである。「硬化性」又は「硬化し得る」は、重合を受ける且つ/又は架橋することができることを意味する。インキの他に、グラフィックアートフィルムは任意的にワニス、コーティング、積層品及び接着剤を含むこともできる。
【0255】
例となる熱硬化又は空気硬化インキは1種又はそれ以上の標準的なキャリア樹脂中に分散された顔料を含んでなる。顔料は、4B Toner(PR57)、2B Toner(PR48)、Lake Red C(PR53)、リソールレッド(PR49)、酸化鉄(PR101)、Permanent Red R(PR4)、Permanent Red 2G(PO5)、ピラゾロンオレンジ(PO13)、ジアリールイエロー類(PY12、13、14)、モノアゾイエロー類(PY3、5、98)、フタロシアニングリーン(PG7)、β型フタロシアニンブルー(PB15)、ウルトラマリン(PB62)、パーマネントバイオレット(PV23)、二酸化チタン(PW6)、カーボンブラック(ファーネスブラック/チャンネルブラック)(PB7)、PMTAピンク、グリーン、ブルー、バイオレット(PR81、PG1、PB1、PV3)、フェロシアン化銅染料錯体(PR169、PG45、PB62、PV27)などであることができる。(前記の括弧内識別表示は、Society of Dyers and Colouristsによって作成された一般的なカラーインデックスを意味する。)このような顔料及びそれらの組合せを用いて、ホワイト、ブラック、ブルー、バイオレット、レッド、グリーン、イエロー、シアン、マゼンタ又はオレンジを含む(これらに限定するものではないが)種々の色を得ることができる。
【0256】
放射線硬化インキを含む、他の例となるインキは、米国特許第5,382,292号に開示されており、この特許中のこのようなインキの開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0257】
標準的なインキに使用される典型的なキャリア樹脂の例としては、ニトロセルロース、アミド、ウレタン、エポキシド、アクリレート及び/又はエステル官能基を有するものが挙げられる。標準的なキャリア樹脂としては、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリウレタン、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、アクリレート、メタクリレート、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのうち1つ又はそれ以上が挙げられる。このような樹脂はブレンドすることができ、広く使用されているブレンドにはニトロセルロース/ポリアミド及びニトロセルロース/ポリウレタンなどがある。
【0258】
インキ樹脂は、通常、1種又はそれ以上の溶媒中で溶媒和させるか又は分散させることができる。使用する典型的な溶媒としては、水、アルコール(例えばエタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなど)、酢酸エステル(例えば酢酸n−プロピル)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素(例えばトルエン)及びケトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。このような溶媒は、典型的には、当業界で知られた#2 Zahnカップ上で測定された場合に、少なくとも15秒、例えば少なくとも20秒、少なくとも25秒又は25〜35秒の粘度を有するインキを提供するのに充分な量で混和することができる。
【0259】
一実施態様において、ポリエステルは、熱成形性を可能にし且つ印刷を容易にできる充分なTg値を有する。
【0260】
一実施態様において、グラフィックアートフィルムは熱成形性、靭性、明澄度、耐薬品性、Tg及び可撓性から選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0261】
グラフィックアートフィルムは例えばインモールド装飾品、エンボス加工品、ハードコート製品のような種々の用途に使用できる。グラフィックアートフィルムは平滑であることもできるし、又はテクスチャード加工することもできる。
【0262】
グラフィックアートフィルムの例としては、以下のもの:ネームプレート;メンブレンスイッチ・オーバーレイ(例えば家庭電化製品用の);店頭ディスプレイ;洗濯機上のフラット又はインモールド化粧パネル;冷蔵庫上のフラットタッチパネル(例えば容量式タッチパッドアレイ);オーブン上のフラットパネル;自動車用の装飾内装トリム(例えばポリエステルラミネート);自動車用のインストルメントクラスター;携帯電話機カバー;暖房及び換気制御ディスプレイ;自動車操作パネル;自動車ギアシフトパネル;自動車計器パネル用制御ディスプレイ又は警告信号;家庭電化製品の表面仕上げ材、文字盤又はディスプレイ;洗濯機の表面仕上げ材、文字盤又はディスプレイ;食器洗い機の表面仕上げ材、文字盤又はディスプレイ;電子装置用のキーパッド;携帯電話機、携帯情報端末(PDA若しくは携帯用コンピュータ)又はリモコン用のキーパッド;電子装置用ディスプレイ;電話機及びPDAのような携帯電子装置用のディスプレイ;携帯電話機又は標準電話機用のパネル及びハウジング;電子装置上のロゴ;並びに携帯電話機用のロゴが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0263】
多層フィルム又はシートは垂直なリブによって互いに接続された多層から成る形材として押出されたシートを意味する。多層フィルム又はシートの例としては、屋外シェルター(例えば温室及び商業用キャノピー)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0264】
本発明において有用なポリエステル組成物を含む押出品の例としては、熱成形シート、グラフィックアート用フィルム、屋外サイン、天窓、多層フィルム、プラスチックガラス積層品用プラスチックフィルム、及び液晶ディスプレイ(LCD)フィルム(LCD用の拡散板、補償フィルム及び保護フィルムを含むが、これらに限定するものではない)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0265】
一実施態様において、本発明は、本明細書中に記載した任意の組成物を含む、内部に埋め込まれた装飾材料を有する、典型的にはシート材料の形態の、熱可塑性樹脂製品を含む。
【0266】
本明細書中で使用する「屋外サイン」は、本明細書中に記載したポリエステルから形成した面、又は本明細書中に記載したポリエステル若しくはポリエステルフィルムをコーティングしたシンボル(例えば数字、文字、単語、写真若しくは絵など)、模様(pattern)又は図案(design)を含む面を意味する。一実施態様において、屋外サインは、印刷されたシンボル、模様又は図案を含むポリエステルを含む。一実施態様において、サインは、典型的な気象条件、例えば雨、雪、氷、みぞれ、高湿度、熱、風、日光又はそれらの組合せに充分な期間、例えば1日〜数年又はそれ以上の期間耐えられる。
【0267】
屋外サインの例としては、大型屋外広告看板(ビルボード)、ネオンサイン、エレクトロルミネセント・サイン、電光板、螢光サイン及び発光ダイオード(LED)ディスプレイが挙げられるが、これらに限定するものではない。サインの他の例としては、塗装看板(サイン)、ビニル装飾サイン、熱成形サイン及びハードコートサインが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0268】
一実施態様において、屋外サインは熱成形性、靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0269】
本明細書中で使用する用語「自動販売機用ディスプレイパネル」は、顧客に販売商品又はこのような商品に関する広告を見せることができる自動販売機上のフロント又はサイドパネルを意味する。一実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、目視によって明澄な、自動販売機のパネルであることができ、顧客はこのパネルを通して販売されている商品を見ることができる。他の実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、機械内に内容物を収容し且つ/又は破壊行為及び/若しくは盗難を妨げるのに充分な剛性を有することができる。
【0270】
一実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルはスナック、飲料、ポップコーン又はステッカー/チケット自動販売機における平面ディスプレイパネル、そして例えばガムボール販売機又はバルクキャンディー販売機の場合のようなカプセルディスプレイパネルのような、当業界でよく知られた寸法を有することができる。
【0271】
一実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、場合によっては、広告媒体又は製品識別印(indicia)を含むことができる。このような情報は、当業界でよく知られた方法、例えばスクリーン印刷によって適用できる。
【0272】
一実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、−100〜120℃の範囲の温度に抵抗性であることができる。別の実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、本明細書中に開示した、例えば少なくとも1種のUV添加剤の添加によってUV抵抗性であることができる。
【0273】
一実施態様において、自動販売機用ディスプレイパネルは、熱成形性、靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0274】
本明細書中で使用する用語「店頭ディスプレイ(point of purchase display)」は、品物を陳列するための、少なくとも1つの目視によって明澄なパネルを有する、完全に又は部分的に密閉されたケースを意味する。店頭ディスプレイは、顧客の目をとらえる目的で小売店でよく使用される。店頭ディスプレイの例としては、密閉壁掛け、カウンター、密閉ポスタースタンド、ディスプレイケース(例えばトロフィー・ディスプレイケース)、サインフレーム並びにCD及びDVDのようなコンピューターディスク用のケースが挙げられる。店頭ディスプレイは、棚及び雑誌又はパンフレット用のホルダーのような補助容器を含むことができる。当業者ならば、陳列する品物に応じて、店頭ディスプレイの形状及び寸法を容易に想定できる。例えば、ディスプレイは、宝石類用のケース程度の小さいサイズであることもできるし、又は多数のトロフィーの陳列のためのより大きい密閉キャビネットであることもできる。
【0275】
一実施態様において、店頭ディスプレイは、靭性、明澄度、耐薬品性、Tg及び加水分解安定性から選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0276】
本明細書中で使用する用語「家庭電気器具部品」は家庭電気器具と共に使用される硬質部品(rigid piece)を意味する。一実施態様において、家庭電気器具部品は家庭電気器具から一部分又は完全に分離可能である。別の実施態様において、家庭電気器具部品は、典型的にポリマーから生成されたものである。一実施態様において、家庭電気器具部品は目視によって明澄である。
【0277】
家庭電気器具部品の例としては、靭性及び耐久性を必要とするもの、例えばフードプロセッサー、ミキサー、ブレンダー及びチョッパーと共に使用されるカップ及びボウル;冷蔵庫及び冷凍庫温度(例えば0℃超(例えば2℃)〜5℃の範囲の冷蔵庫温度又は例えば0℃未満の温度、例えば−20〜0℃、例えば−18℃の冷凍庫温度)に耐えることができる部品、例えば冷蔵庫及び冷凍庫用トレイ、ふた付き容器(bin)及び棚;90℃以下の温度において充分な加水分解安定性を有する部品、例えば洗濯機の扉、スチームクリーナー用キャニスター、紅茶用ケトル及びコーヒーポット;並びに電気掃除機用キャニスター及びごみカップが挙げられる。
【0278】
一実施態様において、これらの家庭電気器具部品は靭性、明澄度、耐薬品性、Tg、加水分解安定性及びディッシュウォッシャー安定性から選ばれた少なくとも1つの性質を有する。家庭電気器具部品は、一実施態様において、靭性、明澄度、耐薬品性、Tg及び加水分解安定性から選ばれた少なくとも1つの性質を有することができるスチームクリーナー用キャニスターから選ばれることもできる。
【0279】
一実施態様において、家庭電気器具部品において有用なポリエステルは105〜140℃のTgを有する。
【0280】
本明細書中で使用する用語「天窓」は屋根面に固定されることによって天井の一部分を形成する光透過性パネルを意味する。一実施態様において、パネルは硬質であり、例えば安定性及び耐久性を達成するのに充分な寸法を有する。このような寸法は当業者ならば容易に算出できる。一実施態様において、天窓パネルは3/16インチより大きい厚さ、例えば少なくとも1/2インチの厚さを有する。
【0281】
一実施態様において、天窓パネルは目視によって明澄である。一実施態様において、天窓パネルは可視光線を少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%又は更には少なくとも95%透過することができる。別の実施態様において、天窓パネルは少なくとも1種のUV添加剤を含み、それによって紫外線を80%まで、90%まで又は95%まで遮断できる。
【0282】
一実施態様において、天窓は、熱成形性、靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0283】
本明細書中で使用する用語「屋外シェルター」は、自然力、例えば日光、雨、雪、風、寒さなどからの少なくとも若干の保護を与えることができる、少なくとも1つの硬質パネルを有する屋根付き及び/又は壁付き構造物を意味する。一実施態様において、屋外シェルターは少なくとも1つの屋根及び/又は1つ若しくはそれ以上の壁を有する。一実施態様において、屋外シェルターは、安定性及び耐久性を達成するのに充分な寸法を有する。このような寸法は、当業者ならば容易に算出できる。一実施態様において、屋外シェルターパネルは3/16インチより大きい厚さを有する。
【0284】
一実施態様において、屋外シェルターパネルは目視によって明澄である。一実施態様において、屋外シェルターパネルは可視光線を少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%又は更には少なくとも95%透過することができる。別の実施態様において、屋外シェルターパネルは少なくとも1種のUV添加剤を含み、それによって屋外シェルターは紫外線を80%まで、90%まで又は95%まで遮断できる。
【0285】
屋外シェルターの例としては、防犯窓ガラス、輸送機関の待合所(シェルター)(例えばバス待合所)、公衆電話室及び喫煙シェルターが挙げられる。一実施態様において、シェルターが輸送機関の待合所、公衆電話室又は喫煙シェルターである場合には、シェルターは熱成形性、靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。一実施態様において、シェルターが防犯窓ガラスである場合には、シェルターは靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質の性質を有する。
【0286】
本明細書中で使用する「キャノピー」は、自然力、例えば日光、雨、雪、風、寒さなどからの少なくとも若干の保護を与えることができる屋根付き構造物を意味する。一実施態様において、屋根付き構造物は全体的に又は部分的に少なくとも1つの硬質パネルを含み、例えば安定性及び耐久性を達成するのに充分な寸法を有する。このような寸法は当業者ならば容易に算出できる。一実施態様において、キャノピーパネルは3/16インチより大きい、例えば少なくとも1/2インチの厚さを有する。
【0287】
一実施態様において、キャノピーパネルは目視によって明澄である。一実施態様において、キャノピーパネルは可視光線を少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%又は更には少なくとも95%透過することができる。別の実施態様において、キャノピーパネルは少なくとも1種のUV添加剤を含み、それによってキャノピーは紫外線を80%まで、90%まで又は95%まで遮断できる。
【0288】
キャノピーの例としては、屋根付き歩道、ル−フライト(roof light)、サンルーム、飛行機キャノピー及びオーニングが挙げられる。一実施態様において、キャノピーは靭性、明澄度、耐薬品性、Tg及び可撓性から選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0289】
本明細書中で使用する用語「防音壁」は、構造物の側面の1点から他の側面の別の点までの音響透過量を、防音壁のない場合の同じ距離の2点間の音響透過に比較して、低下させることができる硬質構造物を意味する。音響透過低下の有効性は、当業界で知られた方法によって評価できる。一実施態様において、低下される音響透過量は25〜90%の範囲である。
【0290】
別の実施態様において、防音壁は、例えばASTM E90,”Standard Test Method for Laboratory Measurement of Airborne Sound Transmission Loss of Building Partitions and Elements”及びASTM E413,”Classification of Rating Sound Insulation”に記載されたように、音響透過階級値(sound transmission class value)として等級付けできる。STC 55バリアは、ジェットエンジンの音(〜130dBA)を、典型的なオフィス内の騒音レベルである60dBAまで低下させることができる。防音室は0〜20dBAの範囲の騒音レベルを有することができる。当業者ならば、所望のSTC評価を実現するように、防音壁を造り且つ配置することができる。一実施態様において、防音壁は少なくとも20のSTC評価、例えば20〜60の範囲の評価を有する。
【0291】
一実施態様において、防音壁は所望のバリア外形を達成するように接続及び配置された複数のパネルを含む。防音壁は、通り及び幹線道路に沿って使用して、自動車騒音を減衰させることができる。或いは、防音壁は、家庭又はオフィスで1つの又は複数の別個のパネルとして使用することもできるし、或いは壁、床、天井、ドア及び/又は窓の構造内に挿入することもできる。
【0292】
一実施態様において、防音壁は目視によって明澄である。一実施態様において、防音壁は可視光線を少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%又は更には少なくとも95%透過することができる。別の実施態様において、防音壁は少なくとも1種のUV添加剤を含み、それによって紫外線を80%まで、90%まで又は95%まで遮断できる。
【0293】
一実施態様において、防音壁は靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0294】
本明細書中で使用する用語「温室」は、植物の栽培及び/又は保護のために使用する密閉構造を意味する。一実施態様において、温室は、植物の栽培に望ましい湿度及び/又はガス(酸素、二酸化炭素、窒素など)量を維持できると共に、自然力、例えば日光、雨、雪、風、寒さなどからの少なくとも若干の保護を与えることができる。一実施態様において、温室の屋根は、全体的に又は部分的に少なくとも1つの硬質パネルを含み、例えば、安定性及び耐久性を達成するのに充分な寸法を有する。このような寸法は、当業者ならば容易に算出できる。一実施態様において、温室パネルは3/16インチより大きい、例えば少なくとも1/2インチの厚さを有する。
【0295】
一実施態様において、温室パネルは目視によって明澄である。別の実施態様において、温室の屋根及び壁の実質的に全てが目視によって明澄である。一実施態様において、温室パネルは可視光線を少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%又は更には少なくとも95%透過することができる。別の実施態様において、温室パネルは少なくとも1種のUV添加剤を含み、それによって紫外線を80%まで、90%まで又は95%まで遮断できる。
【0296】
一実施態様において、温室パネルは靭性、明澄度、耐薬品性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0297】
本明細書中で使用する用語「光媒体」は、レーザー光線、例えば可視波長域の光、例えば600〜700nmの範囲の波長を有する光の照射によって情報が記録される情報記憶媒体を意味する。レーザー光線の照射によって、記録層の照射領域を局所的に加熱してその物理特性又は化学特性を変化させ、記録層の照射領域にピット(pit)を形成する。形成されたピットの光学特性は、照射されなかった領域の光学特性とは異なるので、デジタル情報が光学的に記録される。記録された情報は、記録方法に使用されたのと同じ波長を有するレーザー光線を記録層に照射し且つピットとその周囲との光反射の差を検知する工程を一般に含む再生方法によって読み取ることができる。
【0298】
一実施態様において、光媒体はらせん状のプリグルーブ、レーザー光線の照射によって情報が記録される、プリグルーブ中に配置された記録色素層(recording dye layer)、及び光反射層を含む透明なディスクを含む。光媒体は、場合によっては、消費者によって記録可能である。一実施態様において、光媒体はコンパクトディスク(CD)及びデジタルビデオディスク(DVD)から選ばれる。光媒体は事前記録情報と共に又は記録可能なディスクとして販売することができる。
【0299】
一実施態様において、基材、光媒体の少なくとも1つの保護層及び光媒体の記録層の少なくとも1つが、本発明のポリエステルを含む。
【0300】
一実施態様において、光媒体は靭性、明澄度、耐薬品性、Tg及び加水分解安定性から選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0301】
本明細書中で使用する用語「ガラスラミネート」は、ガラス上の少なくとも1つの被膜であって、被膜の少なくとも1つがポリエステルを含むものを意味する。被膜はフィルム又はシートであることができる。ガラスは明澄であるか、薄い色がついているか又は反射性であることができる。一実施態様において、ラミネートはガラスに永久的に結合させ、例えばラミネートを加熱及び加圧下で適用して単一の一体化ガラスラミネート製品を形成する。ガラスの片面又は両面に貼り合わせることができる。いくつかの実施態様においては、ガラスラミネートは本発明のポリエステル組成物を含む被膜を1つより多く含む。他の実施態様においては、ガラスラミネートは複数のガラス基材と本発明のポリエステル組成物を含む1つより多い被膜を含む。
【0302】
ガラスラミネートの例としては、窓(例えば高層建築の窓、ビルの入り口の窓)、安全ガラス、輸送機関(例えば自動車、バス、ジェット機、装甲車)用の風防ガラス、防弾又は耐弾ガラス、防犯ガラス(例えば銀行用の)、防ハリケーン又は耐ハリケーンガラス、飛行機のキャノピー、鏡、ソーラーガラスパネル、フラットパネルディスプレイ及び耐ブラスト性窓が挙げられる。ガラスラミネートは目視によって明澄であるか、艶消であるか、エッチング加工されているか、又は模様が付けられていることができる。
【0303】
一実施態様において、ガラスラミネートは−100〜120℃の範囲の温度に抵抗性であることができる。別の実施態様において、ガラスラミネートは、例えば本明細書中に開示した少なくとも1種のUV添加剤の添加によって、UV抵抗性であることができる。
【0304】
本発明のフィルム及び/又はシートをガラスに貼り合わせる方法は当業者にはよく知られている。接着剤層を使用しない貼り合わせは、真空ラミネート法によって実施できる。ガラス層とラミネートとの効果的な結合を得るために、一実施態様において、ガラスは表面粗度が低い。
【0305】
別法として、例えばホットメルト接着剤、感圧接着剤若しくは感熱接着剤又はUV若しくは電子ビーム硬化性接着剤の適用によって得られる両面接着テープ、接着剤層又はゼラチン層を用いて、本発明のラミネートをガラスに結合させることができる。接着剤層はガラスシート、ラミネート又は両者に適用することができ、貼り合わせの直前に除去できる剥離層によって保護することができる。
【0306】
一実施態様において、ガラスラミネートは靭性、明澄度、耐薬品性、加水分解安定性及びTgから選ばれた少なくとも1つの性質を有する。
【0307】
本発明に関しては、用語「wt」は「重量」を意味する。
【実施例】
【0308】
以下の例は本発明のポリエステルの製造方法及び評価方法を更に示す。これらは、本発明の単なる代表例であって、本発明の範囲を限定するものではない。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は℃で表すか又は室温であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
【0309】
以下の実施例は、全体として、本発明のコポリエステルの製造方法、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを基材とする他のコポリエステルに比較した、ガラス転移温度、ノッチ付きアイゾッド衝撃強度及び曲げ弾性率のような種々のコポリエステルの性質に対する2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールの使用の効果を説明する。更に、以下の実施例に基づけば、当業者ならば、特定の触媒系及び熱安定剤を、本発明のポリエステルの製造にどのようにして使用できるかがわかるであろう。
【0310】
測定方法
ポリエステルのインヘレント粘度は、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mlの濃度で測定した。これをdL/gで報告する。
【0311】
特に断らない限り、ガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analyst Instruments製のTA DSC 2920計測器を用いてASTM D3418に従って20℃/分の走査速度で測定した。
【0312】
組成物のグリコール含量及びシス/トランス比はプロトン核磁気共鳴(NMR)分光分析法によって測定した。全てのNMRスペクトルを、ポリマーについてはクロロホルム−トリクロロ酢酸(容量/容量70−30)を又はオリゴマーサンプルについては60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン(ロックのために重水素化クロロホルムが添加されている)を用いて、JEOL Eclipse Plus 600MHz核磁気共鳴分光計上に記録した。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの共鳴のピーク指定は、モデルとなる、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモノ安息香酸エステル及びジ安息香酸エステルと比較することによって行った。これらのモデル化合物はポリマー及びオリゴマー中に見られる共鳴位置に非常に似ている。
【0313】
特に断らない限り、ポリマーを、デシカントドライヤー(dessicant dryer)中で80の温度において一晩乾燥させてから、Boy 22S成形機上で射出成形して、1/8×1/2×5インチの曲げバー(flexure bar)を形成した。これらのバーを長さ2.5インチに切断し、幅1/2インチに10milのノッチ(切り欠き)を入れた。アイゾッド衝撃強度を、ASTM D256に従って5つの試験片に関する測定値からの平均として求めた。曲げ弾性率は、ASTM D790の方法に従って求めた。
【0314】
ここに報告したカラー値は、ASTM D6290−98及びASTM E308−99に従って、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)観測角10°、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大きいエリアビュー、(5)ポートサイズ1”を用いたHunter Lab Ultrascan XE Spectrophotometer(Hunter Associates Laboratory Inc., Reston,VA.)からの測定値を用いて求めたCIELAB L*、a*及びb*値である。特に断らない限り、測定は、6mmの篩を通るように粉砕したポリマー顆粒について実施した。ヘイズは、ASTM D−1003に従って4×4×1/8”のプラックについて測定した。
【0315】
以下の例中の錫(Sn)及びチタン(ti)の量は、金属の百万分率(ppm)で報告してある。これは、PANanalytical Axios Advanced波長分散型螢光X線スペクトロメーターを用いて螢光X線(xrf)によって測定した。燐の量も同様に元素状燐のppmとして報告してある。これも、同じ計測器を用いてxrfによって測定した。以下の例中のカラム「P測定値」に記録した値は、ここに記載したようにして燐を測定することによって得た。
【0316】
特に断らない限り、以下の例中で用いる1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス/トランス比は約30/70であり、35/65〜25/75の範囲であることもできた。特に断らない限り、以下の例中で用いる2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのシス/トランス比は約50/50であり、45/55〜55/45であることもできた。
【0317】
実施例及び図の全体を通じて、以下の略語を適用する。
【0318】
【表1】

【0319】
例1
この例は、テレフタル酸ジメチル(DMT)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCD)及びエチレングリコール(EG)を含むポリエステルの製造を例示する。
【0320】
DMTはCape Industriesから購入し、CHDM(min.98%)、EG及びTMCD(min.98%)はEastman Chemical Company製であった。錫化合物はジブチル錫(IV)オキシド(Fascat 4201;Aldrich製)であった。チタン化合物はチタン(IV)イソプロポキシド(Aldrich)であった。燐化合物は燐酸トリフェニル(TPP,Aldrich(98%)又はFERRO、Corp.製)であった。以下に特に示さない限り、燐源は、他のポリエステル試薬と共に前もって添加した。CHDM及びTMCDのシス/トランス比は前述の通りとした。
【0321】
例1A
この例は、テレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基30モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基30モル%及び残りはエチレングリコール残基の目標組成を有するコポリエステルの製造を例示する。
【0322】
テレフタル酸ジメチル99.71g、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.63g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール37.86g及びエチレングリコール20.95gの混合物を、窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mLフラスコに入れた。更に、ジブチル錫(IV)オキシド0.0077g、チタン(IV)イソプロポキシド0.0218g及び燐酸トリフェニル0.50gをこの500mLフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴に入れた。撹拌の速度は、実験の初めに200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃において60分間加熱し、次いで温度を5分にわたって210℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を210℃に60分間保持し、次に90分で275℃まで昇温させた。275℃に達したら、真空を、100mmHgの整定値で次の10分にわたって徐々に適用し、撹拌速度も100RPMまで低下させた。フラスコ内の圧力を更に次の5分にわたって0.3mmHgの整定値まで低下させ、撹拌速度を50RPMまで低下させた。過剰の未反応ジオールを除去するために、この圧力を合計220分間保持した。この方法によって、107℃のガラス転移温度及び0.67dL/gのインヘレント粘度を有する、溶融粘度が高く、目視によって明澄であり且つ無色〜極めてわずかに黄色のポリマーが得られた。NMR分析はこのコポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基30モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基30モル%及びエチレングリコール残基40モル%から構成されることを示した。
【0323】
例1B〜例1K
種々のポリエステルを、テレフタル酸ジメチル100モル%から前述のようにして製造した。ただし、最初の反応混合物には、表Iに示すように異なる量の燐酸トリフェニルを加えた。この例の実験に関するTMCD及びCHDMのモル%も表Iに記録し、グリコールバランスはEGである。グリコール/酸比は1.5/1とし、グリコール供給材料はCHDM 20モル%、TMCD 35モル%及びEG 45モル%を含んでいた。整定値及びデータ収集はCamileプロセス制御システムによって容易にした。反応体が溶融したら、撹拌を開始し、ゆっくりと増加させた。これらのコポリエステルの製造には、以下に示すCamileシーケンス(sequence)を用いた。
【0324】
【表2】

【0325】
段階10において、撹拌速度を25rpmに低下させ、粘度が高すぎる場合には更に10rpmまで低下させた。例G及びHの段階10における滞留時間は130分とした。
【0326】
【表3】

【0327】
例2
この例は、錫触媒とチタン触媒の組合せを用いた、テレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基30モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基30モル%及びエチレングリコール残基40モル%の目標組成を有するコポリエステルのポリマーカラー及びインヘレント粘度に対する熱安定剤レベルの影響を説明する。特に断らない限り、モノマ−、触媒及び熱安定剤の供給源は例1と同じである。
【0328】
例2A
テレフタル酸ジメチル99.71g、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.63g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール37.86g及びエチレングリコール20.95gの混合物を、窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mLフラスコに入れた。更に、ジブチル錫(IV)オキシド0.0077g及びチタン(IV)イソプロポキシド0.0218gをこの500mLフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴に入れた。撹拌の速度は実験の初めに200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃において60分間加熱し、次いで温度を5分にわたって210℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を210℃に60分間保持し、次に90分で275℃まで昇温させた。275℃に達したら、真空を、100mmHgの整定値で次の10分にわたって徐々に適用し、また撹拌速度も100RPMまで低下させた。フラスコ内の圧力を更に次の5分にわたって0.3mmHgの整定値まで低下させ、撹拌速度を50RPMまで低下させた。過剰の未反応ジオールを除去するために、この圧力を合計220分間保持した。この方法によって、117.7℃のガラス転移温度及び1.011dL/gのインヘレント粘度を有するポリマーが得られた。NMR分析は、このコポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基29モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基37モル%及びエチレングリコール残基34モル%から構成されることを示した。
【0329】
例2B〜例2E
種々のポリエステルを、テレフタル酸ジメチル100モル%から前述のようにして製造した。ただし、最初の反応混合物には、表IIに示すように異なる量の燐酸トリフェニルを加えた。この例の実験に関するTMCD及びCHDMのモル%も表IIに記録し、グリコールバランスはEGである。グリコール/酸比は1.5/1とし、グリコール供給材料はCHDM 20モル%、TMCD 35モル%及びEG 45モル%を含んでいた。整定値及びデータ収集は、Camileプロセス制御システムによって容易にした。反応体が溶融したら、撹拌を開始し、ゆっくりと増加させた。これらのコポリエステルの製造には、以下に示すCamileシーケンスを用いた。
【0330】
【表4】

【0331】
段階10において、撹拌速度を25rpmに低下させ、粘度が高すぎる場合には更に10rpmまで低下させた。
【0332】
【表5】

【0333】
例3
この例は、テレフタル酸ジメチル(DMT)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCD)及びエチレングリコール(EG)を含むポリエステルの製造を更に例示する。これらのポリエステルはパイロットプラント規模で製造した。更に、この例は、本発明に係るポリエステルの性質を、TMCDを基材とする他のコポリエステルと比較して示す。
【0334】
例3A
この例のポリエステルは、DMT 100モル%並びにTMCD 30モル%、CHDM 20モル%及びEG 50モル%のジオール成分の目標組成で製造した。この製造に用いたTMCDは、手持ちの種々のTMCDグリコールサンプルの40ポンド・ブレンドの結果であった。サンプルを粉砕、ブレンドし、シス異性体55%及びトランス異性体45%を含むTMCDバッチを得た。CHDM、DMT、触媒及び熱安定剤の供給源は例1と同じであった。反応器中に装填した各成分の量を以下の表IIIに示す。これらの量の原料は、TMCDを50モル%過剰で装入し且つCHDMは7モル%過剰で装入することによって、グリコール:酸モル比を2:1とした。このバッチの目標触媒はジブチル錫オキシドからのSn 200ppmであった。エステル交換段階を、200℃において2時間の滞留時間を用いて、次いで220℃において1時間の滞留時間を用いて、大気圧下で25RPMの撹拌の速度で行った。温度を次いで280℃まで上昇させた。温度が240℃に達したら、撹拌機を25RPMにおいて逆方向に6分間運転し、次いで順方向に更に6分間運転した。次に、温度を280℃まで増加させ続けながら、13mmHg/分の速度で真空を適用した。重縮合段階を280℃及び0.2〜0.3mmHgの真空において実施した。これらの条件下で45分後、撹拌速度を10RPMに設定し、混合物を更に45分間保持し、その後にポリエステルをドライアイス上に押出した。冷却された押出ポリマーを、6mmのスクリーンを通過するように粉砕した。得られたコポリエステルは0.667dL/gのIVを有していた。これは、押出の最初と最後におけるポリエステルのインヘレント粘度の平均を表す。このポリエステルを、TOYO 90A成形機上で試験片に成形し、試験に供した。最終ポリエステルのNMR組成及び試験結果を以下の表IVに示す。
【0335】
【表6】

【0336】
例3B
この例のポリエステルは、CHDMを用いない以外は、例3Aのポリエステルと同様にして製造した。このポリエステルは、DMT 100モル%並びにTMCD 20モル%及びEG 80モル%のジオール成分の目標組成で製造した。このポリエステルの製造に用いた原料の量を前記表IIIに示し、最終ポリエステルのNMR組成及びその性質を以下の表IVに示す。
【0337】
例3C
この例のポリエステルは、DMT 100モル%並びにTMCD 20モル%及びCHDM 80モル%のジオール成分の目標組成で製造した。このポリエステルは、EGの代わりにCHDMを用いた以外は、例3Bと同様にして製造した。材料の性質を以下の表IVに記録する。
【0338】
【表7】

【0339】
前記表中の結果は、本発明のコポリエステルが、同様なガラス転移温度においては、DMT及びTMCDを基材とし且つCHDM又はEGを含む他のコポリエステルと比較して、曲げ弾性率(剛性)及び衝撃強度(靭性)の優れた組合せを有することを示している。例えば、本発明のコポリエステルは、TMCD及びEGを基材とするコポリエステルよりも1000%超大きい衝撃強度を有し、曲げ弾性率は87%未満しか低下していない。また、本発明のコポリエステルは、許容され得るノッチ付きアイゾッド衝撃強度を依然として保持しながら、TMCD及びCHDMを基材とするコポリエステル(例C)よりも約25%高い曲げ弾性率を有する。
【0340】
表IVの結果はまた、剛性及び靭性の所望の性質を有するポリエステルが良好なヘイズ特性を保持することを示している。当業者ならば、表IV中のコポリエステルの製造に使用した触媒系及び/熱安定剤が、曲げ弾性率の値にもノッチ付きアイゾッド衝撃強度の値にもほとんど影響を与えないと期待されることがわかるであろう。
【0341】
例4
この例は、テレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基30モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基30モル%及びエチレングリコール残基40モル%の目標組成を有するコポリエステルの最終カラー及びインヘレント粘度に対する、触媒の選択及び熱安定剤の量の影響を説明する。
【0342】
テレフタル酸ジメチル99.71g、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.63g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール37.86g及びエチレングリコール20.95gの混合物を、窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mLフラスコに入れた。種々の量のジブチル錫(IV)オキシド、チタン(IV)イソプロポキシド及び燐酸トリフェニルをこの500mLフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴に入れた。撹拌の速度は、実験の初めに200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃において60分間加熱し、次いで温度を5分にわたって210℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を210℃に60分間保持し、次に90分で275℃まで昇温させた。275℃に達したら、真空を、100mmHgの整定値で次の10分にわたって徐々に適用し、撹拌速度も100RPMまで低下させた。フラスコ内の圧力を更に次の5分にわたって0.3mmHgの整定値まで低下させ、撹拌速度を50RPMまで低下させた。過剰の未反応ジオールを除去するために、この圧力を合計220分間保持した。全てのサンプルは、同じ方法で表Vに記録した触媒及び燐酸トリフェニルレベルを用いて製造した。これらのコポリエステルに関する最終TMCD及びCHDMモル%も表Vに記録してある。ジオールバランスはEGである。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの混和、コポリエステルの色及びインヘレント粘度に対する触媒系及び熱安定剤の影響を表Vに示す。以下の表V中の例G、H及びIは、それぞれ、例2A、例2D及び例1Aに相当する。これらを、種々の触媒系及び種々の燐レベルを用いて製造したポリエステル間の比較を容易にするために、表Vに含める。
【0343】
【表8】

【0344】
最初に申請した「特許請求の範囲」の範囲内であるが、例B及びCは、TMCDの混和、色及びインヘレント粘度に対する触媒系及び熱安定剤のレベルの影響を示すために、ここに含める。
【0345】
本発明を、本明細書中に開示した実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内で変形及び変更が可能であることがわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステル組成物。
【請求項2】
エチレングリコールが約30〜約60モル%の量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
エチレングリコールが約30〜約50モル%の量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
エチレングリコールが約35〜約45モル%の量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記ポリエステルのインヘレント粘度が0.5〜1dL/gである請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記ポリエステルのインヘレント粘度が0.5〜0.75dL/gである請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルのインヘレント粘度が0.60〜0.75dL/gである請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
前記ポリエステルが100〜110℃のTgを有する請求項1、2及び6のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
前記ポリエステルが102〜108℃のTgを有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
燐酸アルキルエステル、燐酸アリールエステル、燐酸アルキルアリール混合エステル(混合アルキルアリール燐酸エステル)、それらの反応混合物及びそれらの混合物のうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1、2及び6のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
燐酸トリアルキル、燐酸トリアリール、燐酸アルキルジアリール及び燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
燐酸トリアリール、燐酸アルキルジアリール及び燐酸アルキルアリール混合エステルのうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
燐酸ジブチルフェニル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリブチル、燐酸トリ−2−エチルヘキシル、燐酸トリオクチル、イソセチルジフェニルホスフェート及び2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートのうち少なくとも1種から選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
燐酸ジブチルフェニル、燐酸トリフェニル、イソセチルジフェニルホスフェート及び2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートから選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
燐酸トリフェニル、Merpol A及び2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートから選ばれた少なくとも1種の燐化合物を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の熱安定剤を、前記ポリエステルの総重量に基づき、約1〜約500ppmの量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の燐化合物を、前記ポリエステルの総重量に基づき、約1〜約300ppmの量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の燐化合物を、前記ポリエステルの総重量に基づき、約1〜約100ppmの量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項19】
前記ポリエステルがジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオール又はそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種の改質用グリコールを含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項20】
前記ポリエステルがジエチレングリコールを含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項21】
前記2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基がシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基40〜60モル%とトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基40〜60モル%を含む混合物である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項22】
ポリ(エーテルイミド)、ポリフェニレンオキシド、ポリ(フェニレンオキシド)/ポリスチレンブレンド、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド/スルホン、ポリ(エステル−カーボネート)、ポリカーボネート、ポリスルホン;ポリスルホンエーテル、ポリ(エーテル−ケトン)、請求項1に記載したポリエステル以外のポリエステル及びそれらの混合物のうち少なくとも1種のポリマーを含む請求項1に記載のポリエステル組成物を含んでなるブレンド。
【請求項23】
少なくとも1種のポリカーボネートを更に含む請求項1に記載のポリエステル組成物を含んでなるブレンド。
【請求項24】
前記ポリエステル組成物が前記ポリエステル用の分岐剤を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項25】
前記ポリエステルの曲げ弾性率が290,000psi又はそれ以上である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項26】
前記ポリエステルが非晶質である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項27】
前記ポリエステルが170℃において5分より長い半結晶化時間を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項28】
前記ポリエステルが23℃において1.2g/mlより大きい密度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項29】
前記ポリエステル組成物が着色剤、離型剤、請求項1に記載した燐化合物以外の燐化合物、可塑剤、成核剤、UV安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、充填剤、耐衝撃性改良剤又はそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種の添加剤を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項30】
前記ポリエステルが、ASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合に、少なくとも3ft−lbs/inのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項31】
前記ポリエステルが、ASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合に、少なくとも10ft−lbs/inのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項32】
前記ポリエステルが、以下の性質:TA 2100 Thermal Analyst Instrumentによって20℃/分の走査速度で測定した場合のTg約100〜約110℃;ASTM D790によって定義された23℃における曲げ弾性率290,000psi超;及びASTM D256に従って23℃において厚さ1/8インチのバーを用いて10milのノッチに関して測定した場合のノッチ付きアイゾッド衝撃強度10ft−lbs/in超の2つ又はそれ以上を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項33】
本発明において有用なポリエステルのb*カラー値が、L***表色系によって測定した場合に、−12〜12未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項34】
フィルム又はシートを含んでなる請求項1に記載のポリエステル組成物を含む製造品。
【請求項35】
熱成形フィルム又はシートを含んでなる請求項1に記載のポリエステル組成物を含む製造品。
【請求項36】
(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであり;且つ前記ポリエステルが少なくとも1種の分岐剤を含むポリエステル組成物。
【請求項37】
前記ポリエステルが分岐剤を、前記ポリエステルの総重量に基づき、0.01〜5重量%の量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項38】
前記ポリエステルが分岐剤を、前記ポリエステルの総重量に基づき、0.01〜1重量%の量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項39】
前記の少なくとも1種の燐化合物が、前記ポリエステルの総重量に基づき、約1〜約500ppmの量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項40】
少なくとも1種のチタン化合物を、前記ポリエステルの総重量に基づき、約1〜約100ppmの量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項41】
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物を含む少なくとも1種の触媒並びに、任意的に、錫、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)工程を含んでなり、最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満であり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステルの製造方法。
【請求項42】
工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比が1.01〜2/1.0である請求項41に記載の方法。
【請求項43】
工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比が1.01〜1.5/1.0である請求項41に記載の方法。
【請求項44】
工程(II)の加熱時間が1〜4時間である請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が0〜20:1である請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が1〜10:1である請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が0〜5:1である請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が1〜5:1である請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が1〜3:1である請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記最終ポリエステル中に存在するチタン原子の量が、前記最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記最終ポリエステル中に約30〜約60モル%のエチレングリコールが存在する請求項41に記載の方法。
【請求項52】
工程(I)において使用する触媒が少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の錫化合物を含む請求項41に記載の方法。
【請求項53】
工程(I)において使用する触媒が少なくとも1種のチタン化合物から本質的になる請求項41に記載の方法。
【請求項54】
本発明において有用なポリエステルのb*カラー値が、L***表色系によって測定した場合に、−12〜12未満である請求項41に記載のポリエステル組成物。
【請求項55】
本発明において有用なポリエステルのb*カラー値が、L***表色系によって測定した場合に、−10〜10未満である請求項41に記載のポリエステル組成物。
【請求項56】
(I)(a)(i)テレフタル酸残基約90〜約100モル%;
(ii)炭素数20以下の芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基約0〜約10モル%
を含むジカルボン酸成分と
(b)(i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基約20〜約40モル%;並びに
(ii)シクロヘキサンジメタノール残基約20〜約40モル%;
(iii)エチレングリコール残基;及び
(iv)炭素数3〜16の改質用グリコール約2モル%未満
を含むグリコール成分
を含む混合物(ここで工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01〜3.0/1.0である)を、150〜250℃から選ばれた少なくとも1つの温度及び0〜75psigの範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力において、(i)少なくとも1種のチタン化合物、少なくとも1種の錫化合物並びに、任意的に、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを含むアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の触媒を含む少なくとも1種の触媒と(ii)少なくとも1種の燐化合物の存在下に、加熱し;
(II)工程(I)の生成物を、230〜320℃の温度において工程(I)の最終圧力〜0.02トル(絶対)の範囲から選ばれた少なくとも1つの圧力下で1〜6時間加熱して、最終ポリエステルを形成する(ここで最終ポリエステルのジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり且つ最終ポリエステルのグリコール成分の総モル%は100モル%である)工程を含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.25g/50mlの濃度で測定した場合に、0.50〜1.2dL/gであるポリエステルの製造方法。
【請求項57】
工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比が1.01〜2/1.0である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
工程(I)において添加するグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比が1.01〜1.5/1.0である請求項56に記載の方法。
【請求項59】
工程(II)の加熱時間が1〜4時間である請求項56に記載の方法。
【請求項60】
最終ポリエステルの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールのモル百分率の和が、前記グリコール成分の総モル%の40モル%〜70モル%未満である請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子対総錫原子の重量比が0〜20:0〜10:1である請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子対総錫原子の重量比が1〜10:1〜10:1である請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子対総錫原子の重量比が1〜10:1〜5:1である請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子対総錫原子の重量比が1〜5:1〜4:1である請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記最終ポリエステル中の総錫原子対総チタン原子の重量比が0〜4:1である請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記最終ポリエステル中の総錫原子対総チタン原子の重量比が1〜10:1である請求項56に記載の方法。
【請求項67】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が0〜5:1である請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記最終ポリエステル中の総燐原子対総チタン原子の重量比が1〜5:1である請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記最終ポリエステル中に存在するチタン原子の量が、前記最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができる請求項56に記載の方法。
【請求項70】
前記最終ポリエステル中に存在する錫原子の量が、前記最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子1〜400ppmであることができる請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記最終ポリエステル中に存在する燐原子の量が、前記最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができる請求項56に記載の方法。
【請求項72】
前記最終ポリエステル中に存在するチタン原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、チタン原子1〜100ppmであることができ;前記最終ポリエステル中に存在する錫原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、錫原子1〜400ppmであることができ;且つ前記最終ポリエステル中に存在する燐原子の量が、最終ポリエステルの重量に基づき、燐原子1〜500ppmであることができる請求項56に記載の方法。
【請求項73】
前記最終ポリエステル中に約30〜約60モル%のエチレングリコールが存在する請求項56に記載の方法。
【請求項74】
工程(I)において使用する触媒が少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の錫化合物から本質的になる請求項56に記載の方法。
【請求項75】
本発明において有用なポリエステルのb*カラー値が、L***表色系によって測定した場合に、−12〜12未満である請求項56に記載のポリエステル組成物。
【請求項76】
本発明において有用なポリエステルのb*カラー値が、L***表色系によって測定した場合に、−10〜10未満である請求項56に記載のポリエステル組成物。

【公表番号】特表2010−507716(P2010−507716A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534565(P2009−534565)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/015701
【国際公開番号】WO2008/051320
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】