説明

テレビ電話装置

【課題】 テレビ電話装置において通話保留を行う際に、相手先に応じた適切な保留データを送出でき、かつ、記憶容量を削減可能なテレビ電話装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 テレビ電話装置において、相手先の端末番号と保留映像データ及び保留音データとの対応を予め設定すると共に、通話開始時の呼接続において相手先の端末番号を取得しておき、オペレータにより通話保留が行われると、相手先の端末番号に対応した保留映像データと保留音データを自動的に送出する。また、保留映像データを留守番電話機能で使用する応答メッセージの映像データと共用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビ電話装置に係り、特に通話保留機能を有するテレビ電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビ電話装置では、送出する保留データとして予め一つの保留データを選択しておき、オペレータの操作により保留状態になると、相手先の区別なく選択された保留データを相手先のテレビ電話装置へ送出していた。
【0003】
以下、従来のテレビ電話装置について図面に基づき説明する。図4は従来例のテレビ電話装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
本図において401はテレビ電話装置全体を制御するCPU、402はテレビ電話装置の動作プログラムを記憶したROM、403はワークエリアとして使用されるRAM、404はオペレータがテレビ電話装置を操作するための操作部である。405はLCD等で構成された表示部、406は使用者の映像を撮影するためのカメラ、407は表示部405の表示制御や撮影映像の画像処理を行うグラフィック制御部、408は音声を出力するスピーカ、409は使用者の音声を入力するマイク、410は音声の入出力を制御するオーディオ制御部である。
【0005】
411は複数の保留データを記憶する保留データメモリ、413は保留時に送出する保留データを選択する保留データ選択部、414は音声データの符号化および復号化を行うオーディオコーデック、415は映像データの符号化および復号化を行うビデオコーデック、416は映像データと音声データの多重化および回線から受信した多重化データを映像データと音声データに分離する多重/分離部、417は回線とのインターフェースを行う回線インターフェース部、418は通信回線である。
【0006】
また、各ブロックは制御バス419に接続され、CPU401により制御されるものである。
【0007】
カメラ406から入力された映像はグラフィック制御部407によりA/D変換され、さらに所定の画像処理を施した後にビデオコーデック415で符号化される。また、マイク409から入力された音声はオーディオ制御部410でA/D変換され、オーディオコーデック414で符号化される。
【0008】
テレビ電話の通話において相手のテレビ電話装置へデータを送る場合は、ビデオコーデック415で符号化された映像データとオーディオコーデック414で符号化された音声データを多重/分離部416で多重化し、回線インターフェース部417と通信回線418を経由して相手先のテレビ電話装置に送信する。一方、保留時の保留データを自作するような場合は、ビデオコーデック415で符号化された映像データとオーディオコーデック414で符号化された音声データを保留データメモリ411にそれぞれ記憶する。
【0009】
テレビ電話での通話において、通信回線418を経由して相手装置から受信した多重化データは、回線インターフェース部417を経由して多重/分離部416に入力され、映像データと音声データに分離される。映像データはビデオコーデック415で復号化され、音声データはオーディオコーデック414で復号化される。ビデオコーデック415で復号化された映像データは、グラフィック制御部407に入力され所定の画像処理を施した後に表示部405で表示される。オーディオコーデック414で復号化された音声データは、オーディオ制御部410でD/A変換されスピーカ408から音声として出力される。
【0010】
次に、従来のテレビ電話装置における通話保留時の動作について説明する。図5は通話保留を行う際の動作を示すフローチャートである。
【0011】
先ず、保留動作時に送出する保留データを、保留データメモリ411に符号化データとして複数個記憶しておく。なお、それぞれの保留データは映像データと音声データから構成される。また、装置の初期設定として、複数の保留データの中から保留動作時に送出するデータを保留データ選択部413に設定しておく(ステップS501)。
【0012】
テレビ電話での通話中に、操作部404においてオペレータが保留操作を行うと(ステップS502)、テレビ通話の通話を中断して保留データの送出を開始する。保留データ選択部413は初期設定で設定された保留データを、保留データメモリ411から読み出し(ステップS503)、多重/分離部416に出力する。多重/分離部416では保留データの映像データ部分と音声データ部分を多重化し(ステップS504)、回線インターフェース部417と通信回線418を介して多重化データを相手先のテレビ電話装置へ送出する(ステップS505)。
【0013】
以降、オペレータにより保留が解除されるまでステップS503〜ステップS505を繰り返し、保留映像と保留音声が繰り返し送出される。操作部404においてオペレータにより保留が解除されると(ステップS506)、通常のテレビ電話での通話が再開される(ステップS507)。以上が、従来のテレビ電話装置における通話保留時の動作である。
【0014】
上記従来のテレビ電話装置では、初期設定において保留データ選択部に設定した保留データが送出されるため、通話中に送出する保留データを変更することはできない。これに対し、保留状態であっても複数の保留データを切り替えて送出する方法として、相手先に送出する保留映像に保留データの切り替えを促す文字情報を重ね合わせて送出し、相手のテレビ電話装置の操作部において切り替え指示が行われると、相手のテレビ電話装置に送出する保留データを切り替える方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−238188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来例のテレビ電話装置では、保留データとして予め一つの保留データを選択しておき、オペレータの操作により保留状態になると相手先の区別なく上記の保留データを相手先のテレビ電話装置へ送出するため、設定を変更しない限り保留データは常に一定であった。一方、相手先のテレビ電話装置の操作により保留データを切り替える方法の場合は、保留データの切り替えは可能であるが、特定の通話相手に対して送信側で好みの保留データを送出することはできなかった。
【0016】
また、送出する保留映像と保留音声を個別に設定することができないため、送出する保留データの種類が限られていた。
【0017】
さらに、保留データとして多数のデータを用意しておくためには、装置のメモリ容量を大きくする必要があった。
【0018】
本発明は、上述のような従来のテレビ電話装置の問題点を解決するためになされたもので、保留状態において相手端末に送出する保留データを、相手先に応じて適切なデータを送出することができ、かつ、記憶容量を削減可能なテレビ電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記の問題点を解決する事を目的としたもので、
本発明に係わる第1の発明(請求項1)では、通信回線を介して映像と音声を送受信するテレビ電話装置において、通話開始時の呼接続で相手先の端末番号を取得する手段と、複数の保留データを記憶する手段と、特定の通話相手先に対して送出する保留データを予め設定する保留データ設定手段と、通話保留時に相手先の端末番号と前記保留データ設定手段の設定に従い前記複数の保留データの中から特定の保留データを選択して相手先端末に送出する手段とを設けたものである。
【0020】
本発明に係わる第2の発明(請求項2)では、保留データは、複数の保留映像データと複数の保留音声データとから構成され、通話保留時には相手先の端末番号に応じて、前記保留映像データ、または前記保留音声データ、もしくはその両方のいずれかを、前記保留データ設定手段の設定に従い相手先端末に送出する手段を設けたものである。
【0021】
本発明に係わる第3の発明(請求項3)では、保留データ設定手段において、特定の端末番号に対して送出する保留映像データおよび前記保留音声データを、それぞれ独立して設定する手段を設けたものである。
【0022】
本発明に係わる第4の発明(請求項4)では、保留映像データは、テレビ電話装置の留守番電話機能で使用される応答メッセージの映像データと同一の映像データとしたものである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、通話開始時の呼接続で相手先の端末番号を取得し、その端末番号に応じて、特定の通話相手先に対しては、複数の保留データの中から所定の保留データを自動的に選択して相手先端末に送出することにより、保留中にオペレータによる切り替え操作を行わなくても、通信相手に応じた適切な保留メッセージを送出することが可能である。
【0024】
また、請求項2記載の発明によれば、通話保留時には相手先の端末番号に応じて、複数の保留映像データと複数の保留音声データの中から、保留映像データ、保留音声データ、もしくはその両方のいずれかを相手先端末に送出することにより、保留時に映像データもしくは音声データを必要としない通話相手に対して、不要な情報を送らなくても済ませることができると共に、テレビ電話機能のない相手端末に対しても対応することが可能である。
【0025】
また、請求項3記載の発明によれば、通話保留時に特定の端末番号に対して送出する保留映像データおよび保留音声データを、それぞれ独立して設定できるため、新たな保留データを用意することなしに、保留データの種類を増やすことが可能である。
【0026】
さらに、請求項4記載の発明によれば、保留映像データを留守番電話機能で使用する応答メッセージの映像データと共用できるため、テレビ電話装置で使用するメモリ容量を削減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0028】
図1は本発明のテレビ電話装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
本図において101はテレビ電話装置の各部の状態を監視し装置全体の制御を行うCPUである。102はテレビ電話装置の動作プログラムを記憶したROMであり、CPU101はROM102から読み出したプログラムに従い動作を行う。103は画像処理、音声処理、符号/復号化処理等のデータ処理においてワークエリアとして使用されるRAMである。104は操作キーやLED等から構成され、オペレータがテレビ電話装置を操作するための操作部である。
【0030】
105はLCD等で構成された表示部であり、操作画面や通話相手の映像等を表示するものである。106はCCD等で構成されたカメラであり、テレビ電話使用者の映像等を撮影するものである。107はカメラ106で撮影した映像の画像処理や、表示部105の制御を行うグラフィック制御部である。また、グラフィック制御部107は表示部105に表示する撮影映像、受信映像、操作画面等の映像の切り替え処理、およびそれらの映像を分割表示するための画像合成処理等も行う。
【0031】
108は音声を出力するスピーカ、109はテレビ電話使用者の音声を入力するマイクである。110はオーディオ制御部であり、音声データのA/D変換、D/A変換、ボリューム制御、ゲイン調整、エコーキャンセル処理、着信音の生成処理等、音声の入出力を制御する。
【0032】
111はFLASHメモリ等の不揮発性メモリで構成されたオーディオメモリであり、保留時や留守録モード時に相手端末に送出する音声データ、相手端末から送られてくる留守録メッセージの音声データ、通話録音時の音声データなどを符号化データとして記憶する。保留用の音声データとしては、メロディや保留中を示すアナウンス、またはマイク109から入力した音声などの符号化データを記憶する。
【0033】
112はFLASHメモリ等の不揮発性メモリで構成されたビデオメモリであり、オーディオメモリ111と同様に、保留時や留守録モード時に相手端末に送出する映像データ、相手端末から送られてくる留守録メッセージの映像データ、通話録音時の映像データなどを符号化したデータとして記憶する。保留用の映像データとしては、風景映像やカメラ106で撮影した映像、またはそれらに保留中を示す文字情報を重ね合わせた符号化データを記憶する。
【0034】
114は音声データの符号化と復号化を行うオーディオコーデックであり、ITU−Tで定めるG.711/G.722/G.728等の勧告に従い音声データの符号化と復号化を行う。115は映像データの符号化と復号化を行うビデオコーデックであり、ITU−Tで定めるH.261等の勧告に従い映像データの符号化と復号化を行う。
【0035】
116は映像符号化データと音声符号化データの多重化と、回線から受信した多重化データを映像符号化データと音声符号化データに分離する多重/分離部であり、ITU−Tで定めるH.221/H.225.0等の勧告に従い、フレーム単位で映像信号と音声信号の多重化および多重化データの分離を行う。
【0036】
117は通信回線とのインターフェースを行う回線インターフェース部、118は通信回線である。
【0037】
120は通信相手となるテレビ電話装置の端末番号と、保留時に送出する映像データおよび音声データの対応を設定した送出保留データ設定部である。121は通信開始時の呼接続において、接続相手であるテレビ電話装置の端末番号を検出する相手端末検出部である。
【0038】
113は保留時に送出する映像データと音声データを選択する保留データ選択部であり、相手端末検出部121で検出した端末番号と、送出保留データ設定部120の設定に従い、ビデオメモリ112とオーディオメモリ111から所定の保留データを読み出して、多重/分離部へ出力するものである。
【0039】
また、各ブロックは制御バス119に接続され、CPU101により制御されるものである。
【0040】
なお、通信回線との通信制御、接続先端末との呼制御は、ITU−TのH.323/H.320等の勧告に従いテレビ電話通信を行うものとする。また、図1ではオーディオメモリ111とビデオメモリ112を別々のメモリとしたが、これらのメモリは同一の不揮発性メモリ上にマッピングしても構わない。また、送出保留データ設定部の設定値も同一の不揮発性メモリに記憶してもよい。
【0041】
次に、本発明のテレビ電話装置における通話保留時の動作について説明する。図2は本発明のテレビ電話装置において、通話保留を行う際の動作を示すフローチャートである。
【0042】
先ず、保留動作時に送出する保留映像データと保留音声データを、ビデオメモリ112とオーディオメモリ111にそれぞれ符号化データとして複数個記憶しておく。また、装置の初期設定において、複数の保留データの中から保留動作時に送出する保留映像データと保留音声データを送出保留データ設定部120に設定しておく(ステップS101)。
【0043】
操作部104においてオペレータにより発呼の操作が行われた場合、もしくは他の端末から着信が発生した場合(ステップS102)、回線I/F部117において接続先の端末との呼接続を行う(ステップS103)。さらに、呼接続において相手端末検出部121で接続先の端末番号を検出する(ステップS104)。
【0044】
呼接続の終了後、通常のテレビ電話通話を開始し、接続先のテレビ電話装置と映像/音声の送受信を行う(ステップS105)。テレビ電話で通話する場合の動作は、従来技術で説明した動作と同様である。
【0045】
テレビ電話での通話中に、操作部104においてオペレータが保留操作を行うと(ステップS106)、テレビ通話の通話を中断して保留データの送出を開始する。保留データ選択部113は、相手端末検出部121で検出した端末番号と、送出保留データ設定部120の設定に従い、送出する保留データを決定する(ステップS107)。保留データ選択部113は、ビデオメモリ112とオーディオメモリ111から所定の保留映像データと保留音声データを読み出して(ステップS108)、多重/分離部116に出力する。多重/分離部116は映像データと音声データを多重化し(ステップS109)、回線インターフェース部117と通信回線118を介して多重化データを相手先のテレビ電話装置へ送出する(ステップS110)。
【0046】
以降、オペレータにより保留が解除されるまでステップS108〜ステップS110を繰り返すことで、保留映像と保留音声が繰り返し送出される。操作部104においてオペレータにより保留が解除されると(ステップS111)、通常のテレビ電話での通話が再開される(ステップS112)。
【0047】
図3は、送出保留データ設定部120に設定する、相手先の端末番号と保留時に送出する保留データの対応を示す具体例である。
【0048】
図3において、例えば相手先「A」は端末番号が「050−xxxx−xxxx」であり、保留時には映像データとして「映像A」、音声データとして「メロディA」が選択されることを示す。保留データとして自作のデータを送出したい場合は、相手先「C」のように、映像データとして「録画映像A」、音声データとして「録音音声A」を設定する。
【0049】
また、相手先がテレビ電話機能のない端末(音声のみの通信端末)の場合、相手先「E」のように、保留データとして「アナウンスB」のみを設定する。さらに、保留時に音声が必要ない相手に対しては、相手先「F」のように、保留データとして「映像C」のみを設定すればよい。
【0050】
以上が、本発明のテレビ電話装置における通話保留時の動作である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のテレビ電話装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明のテレビ電話装置において、通話保留を行う際の動作を示すフローチャート
【図3】本発明のテレビ電話装置において、通話相手の端末番号と保留時に送出する保留データの対応の具体例を示す表
【図4】従来のテレビ電話装置の構成を示すブロック図
【図5】従来のテレビ電話装置において、通話保留を行う際の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0052】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 操作部
105 表示部
106 カメラ
107 グラフィック制御部
108 スピーカ
109 マイク
110 オーディオ制御部
111 オーディオメモリ
112 ビデオメモリ
113 保留データ選択部
114 オーディオコーデック
115 ビデオコーデック
116 多重/分離部
117 回線インターフェース部
118 通信回線
119 制御バス
120 送出保留データ設定部
121 相手端末検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して映像と音声を送受信するテレビ電話装置において、通話開始時の呼接続で相手先の端末番号を取得する手段と、複数の保留データを記憶する手段と、特定の通話相手先に対して送出する保留データを予め設定する保留データ設定手段と、通話保留時に相手先の端末番号と前記保留データ設定手段の設定に従い前記複数の保留データの中から特定の保留データを選択して相手先端末に送出する手段とを備えたことを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項2】
前記保留データは、複数の保留映像データと複数の保留音声データとから構成され、通話保留時には相手先の端末番号に応じて、前記保留映像データ、または前記保留音声データ、もしくはその両方のいずれかを、前記保留データ設定手段の設定に従い相手先端末に送出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。
【請求項3】
前記保留データ設定手段において、特定の端末番号に対して送出する保留映像データおよび前記保留音声データを、それぞれ独立して設定する手段と有することを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。
【請求項4】
前記保留映像データは、テレビ電話装置の留守番電話機能で使用される応答メッセージの映像データと同一の映像データであることを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−211000(P2006−211000A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16664(P2005−16664)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】