説明

テープライブラリ装置を有する記憶装置の制御方法、および記憶装置

【課題】テープライブラリ装置を有する記憶装置のハードウェア障害、あるいは信号送受のタイミングのずれ等によりREADY_ATN信号が正しく目的のホストに送信できない問題を解決し、かつ、ホストへのレスポンスを早く行なう。
【解決手段】テープライブラリ装置を有する記憶装置に、ホストからのドライブ(または論理ドライブ)のアサインコマンドとボリューム(または論理ボリューム)のマウントコマンドにホストを識別する識別子(ホスト識別子)が付加されたコマンドを受信し、両コマンドに含まれるドライブ(または論理ドライブ)を識別する識別子(ドライブ識別子)とホスト識別子とから異常を検出し、異常が検出された場合は当該ホストに通知して、アサインコマンドやマウントコマンドをキャンセルあるいは再発行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを保持する磁気テープ媒体を収めた複数のカートリッジテープ(ボリューム)を備えるテープライブラリ装置を有する記憶装置とホストコンピュータとを接続するシステムにおける記憶装置の制御方法、および記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置としてテープライブラリ装置を有し、ホストコンピュータ(以下、ホストと呼ぶ)と接続して使用するシステム構成の例を、図6の従来の構成例1に示す。説明のため、図6には、ホスト67として2台のホストAとホストBに接続されている記憶装置であるテープライブラリ装置60を示す。図6に示されている実線矢印は、制御の流れを示す。テープライブラリ装置60は、テープライブラリ装置60の制御を行う制御部61、複数のボリュームを格納する格納庫63、制御部61の指示で特定のボリューム63−1を格納庫63から取り出してドライブ64にマウントあるいはドライブ64からデマウントして格納庫63へ格納するロボット62を有する。通常、ドライブは複数あり、マウントされたボリュームからのデータの読み出し(リード)あるいはボリュームへのデータの書き込み(ライト)(以下、R/Wと称す)を行う。
【0003】
制御部61は図示省略されているCPU、メモリ、メモリに記憶されているアサインテーブルを有する。ホスト67と制御部61との信号パスは、ロボット62に関わる信号の送受等をするアクセサパス65と、ドライブに関わる信号の送受等をするドライブパス66とに大別されている。
【0004】
複数のホスト67のうち、例えばホストAから制御部61へボリュームのマウント要求を出す前に、ホストAからドライブパス66経由で指定のドライブ64のアサイン要求が行われてから、ドライブ64がホストAにアサインされる。ホスト間によるドライブ64のアサインが重複することのないように、複数台のホスト間においては排他制御が行われている。そして、ドライブ64がホストAにアサインされ、制御部61が有するアサインテーブルにその旨が記録される。
【0005】
例えばリード要求の場合であれば、ホストAが特定するボリュームをホストAの特定するドライブ64にマウント要求するためのマウントコマンドがアクセッサパス65を経由してホストAから制御部61へ発行される。ライト要求の場合であれば、制御部61がボリュームを指定する。制御部61がマウントコマンドを受領し、マウントが完了してR/W可能な状態(READY状態)になると、ホスト67に対してドライブパス66経由でREADY_ATN信号(ドライブまたは論理ドライブに、ボリュームまたは論理ボリュームのマウントが完了し、R/W可能なREADY状態になったことを記憶装置からホストへ知らせる信号)を送信する。READY_ATN信号を受け取ったホスト67は、マウントされたボリューム名をチェックし、ボリューム名がホストAが特定または制御部61が指定するボリューム名であれば、そのボリュームにホストAがR/Wする。
【0006】
さらに近年では、ホストとテープライブラリ装置との間に、高速なアクセスが可能なハードディスク上で磁気テープをエミュレートする仮想テープ装置を介在させることが行われている。構成例を、図7の従来の構成例2に示す。
【0007】
図7は、テープライブラリ装置72を有する記憶装置70が複数のホスト73(ここでは、説明のためにホストCとホストDとする)と接続された構成例を示す。仮想テープ装置71は階層制御サーバ71−1とディスクアレイ装置71−2とを有する。
【0008】
ホストC、Dと階層制御サーバ71−1は、ドライブパスおよびアクセッサパスを備えた通信線で結ばれ、階層制御サーバ71−1とテープライブラリ装置72もアクセッサパスとドライブパスを備えたケーブルを経由して接続されている。
【0009】
ホストCからデータのR/W要求があった場合、階層制御サーバ71−1はホストCに対し、テープライブラリ装置として振舞い、各ホストと階層制御サーバ71−1との間のドライブパスを経由して、ディスクアレイ装置71−2の論理ドライブにある特定の論理ボリュームにデータをR/Wするようになっている。その後、階層制御サーバ71−1はホストCを介さずにバックグエンドでディスクアレイ装置71−2に書き込まれたデータを、物理ドライブであるドライブ72−5にマウントした物理的なボリューム72−4へ保存(マイグレーション処理)をする。
【0010】
しかし、図6、図7に示すテープライブラリ装置や記憶装置においては、ホストからアサインコマンド、マウントコマンドを正しく送信しているにもかかわらず、ハードウェア
の故障等によりREADY_ATN信号をホストに返せない場合や、要求しているホストとは別のホストがREADY_ATN信号を受けてR/W要求を送信し、R/Wしてしまう場合がある。
【0011】
通常、ホストはR/W要求を出すドライブパスを経由してドライブまたは論理ドライブをアサインしてから、アクセッサパスを経由してマウントコマンドを送信するが、ハードウェアの構成上、マウントコマンドを送信するアクセッサパスとR/W要求を出すドライブパスは別々のパスが用意されているため、タイミングのずれ等によりドライブのアサインのミスが起こる可能性がある。
【0012】
また、ホストがマウントコマンドを発行する時に、アサインされているはずのドライブあるいは論理ドライブがアサインを解除されてしまっていて、未アサイン状態となっていたり、他のホストにアサインされているというミスが起こると、READY_ATN信号に対し、別のホストがR/W要求を送信し、他のホストから指定したボリュームまたは論理ボリュームが使われてしまう恐れがある。
【0013】
さらに、ホストがマウントコマンドを発行した時に、ドライブあるいは論理ドライブが正しくアサインされていても、マウント完了の時点でハード故障等でアサインが解除されている場合がある。従来は全ホスト(接続されている全パス)にREADY_ATN信号が返されるため、各ホストはREADY_ATN信号を受領したならば、マウントされているボリュームあるいは論理ボリュームをチェックし、自ホストが発行したマウントコマンドに関わるボリュームあるいは論理ボリュームに対して不要なR/Wはしないようにしている。しかし、未初期化ボリューム、ノンラベルボリューム、スクラッチボリュームなどボリューム名あるいは論理ボリューム名が不定の場合は、複数のホストから同時に使用される可能性があり、ホスト間のデータの保全性が確保できない。テープライブラリ装置や仮想テープ装置に関連する公知例として、例えば下記の特許文献があるが、いずれも上記の問題点に注目したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−310618号公報
【特許文献2】特開2000−99276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
テープライブラリ装置を有する記憶装置のハードウェア障害、あるいは信号送受のタイミングのずれ等により、ドライブまたは論理ドライブが他のホストにアサインされている、あるいはアサインされているはずのドライブまたは論理ドライブのアサインが解除されてしまっている場合がある。このような場合には、READY_ATN信号を正しく目的のホストに送信することができず、他のホストによる過誤のR/Wが行なわれる可能性もある。本発明は、このような問題を解決し、かつ、ホストへのレスポンスを早く行なえることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、記憶装置の一実施形態は、テープライブラリ装置を有する記憶装置が、ホストからのドライブ(または論理ドライブ)のアサインコマンドとボリューム(または論理ボリューム)のマウントコマンドにホストを識別する識別子(ホスト識別子)が付加されたコマンドを受信し、両コマンドに含まれるドライブ(または論理ドライブ)を識別する識別子(ドライブ識別子)とホスト識別子の比較等から異常を検出する。異常が検出された場合は両コマンドに含まれるホスト識別子を有するホストに対して異常が発生していることを知らせる通知を出して、アサインコマンドやマウントコマンドをキャンセルあるいは再発行させる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように開示の記憶装置によれば、正当なドライブ(または論理ドライブ)のアサイン、ボリューム(または論理ボリューム)のドライブへのマウントが間違っている、あるいはアサインが解除されていることが判明した時点で、アサインコマンドとマウントコマンドに含まれているホスト識別子を有するホストに対し、アサイン要求あるいはマウント要求を再度行わせ、READY_ATN信号を目的とするホストに正しく迅速に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態における第1の実施例
【図2】実施形態における第2の実施例
【図3】実施形態における仮想テープ装置を有する記憶装置のハードウェア構成図
【図4】実施形態におけるホストと階層制御サーバ間の機能ブロック図の例
【図5】実施形態におけるフローチャートの例
【図6】従来の構成例1
【図7】従来の構成例2
【図8】実施形態におけるアサインテーブルの例
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ一実施形態を説明する。
【0020】
図1は実施形態における第1の実施例を示す。図1記憶装置としてテープライブラリ装置10が複数のホスト16と接続されている例である。
【0021】
図1には、複数のホスト16に接続されている記憶装置としてのテープライブラリ装置10を示す。図中に示されている実線矢印は、制御の流れを示す。
【0022】
テープライブラリ装置10は、制御部11、ロボット12、カートリッジテープよりなる複数のボリューム(その中の1つをボリューム14とする)を格納する格納庫13、複数のドライブ(その中の1つをドライブ15とする)を有する。制御部11はホスト16との情報のやりとりや、テープライブラリ装置10の制御を行う。ロボット12は、ボリュームを格納庫13から取り出してドライブにマウントしたり、ドライにマウントされたボリュームをデマウントして再び格納庫13の所定の位置に格納する。ドライブは、マウントされたカートリッジテープに収められている磁気テープ媒体のR/W(磁気テーブ媒体からのデータの読み取り、あるいは磁気テーブ媒体へのデータの書き込み)を行う。
【0023】
ロボットは複数台であっても1台であっても構わないが、ここでは説明のため、1台のロボット12がテープライブラリ装置10に設けられているとする。例えばホストEからの指示により、制御部11からボリューム14、ドライブ15が指定される。制御部11は、図1の制御部11の詳細図に示されるように、アサインコマンド受付部11−1、マウントコマンド受付部11−2、識別子比較部11−3、アサインテーブル11−4、異常通知送信部11−5、CPU11−6、メモリ11−7、電源部11−8、アクセッサパスI/F部17−1、ドライブパスI/F部18−1を有する。
【0024】
ホスト16と制御部11との間の信号パスは、主にロボット12に関係する信号を送受するアクセスパス17と主にドライブに関係する信号を送受するドライブパス18とに大別される。アクセッサパスI/F部17−1、ドライブパスI/F部18−1はホスト16とのインタフェース部である。
【0025】
まず、ホストEからドライブパス18経由でテープライブラリ装置10に特定のドライブ15のアサインを要求するアサインコマンドを送信する。制御部11がホストEからの アサインコマンドを受信し、制御部11によってドライブ15がホストEにアサインされる。ドライブをアサインするアサインコマンドは、少なくともホストとドライブとをそれぞれ特定するホスト識別子、ドライブ識別子とを含む。識別子は、例えば、ドライブ名、ドライブ番号、ホスト名、ホスト番号等であって、制御部11が各ドライブやホストを識別できるものであれば足る。
【0026】
ホストEからのアサインコマンドは、アサインコマンド受付部11−1にて受け付けられる。制御部11は、ドライブ、ボリューム、ロボット等がアサインされているか否かの状態をホスト識別子と対応付けて記録保持するアサインテーブル11−4を参照し、ドライブ15が非アサイン状態(いずれのホストにもアサインされていない状態)であることを確認し、アサインテーブル11−4にアサインされている状態のマークを付け(例えばビットを立てる)、ホストEにアサインコマンド受領の信号を送信する。
【0027】
どのホストからの要求かを制御部が知ることなく受領したコマンドを実行かつ全ホストに通知する従来の制御装置と異なり、本実施形態のアサインテーブル11−4には、ドライブ、ボリューム、ロボット等がアサインされているか否かの状態をホスト識別子と対応づけて記録保持されている。このため、本実施形態ではプロセスの途中段階において、異常が生じたことを、例えばアサインされたホストに絞って通知できるようになっている。
【0028】
ホストEの発行するアサインコマンドによってドライブ15がホストEにアサインされ、ホストEが制御部11からアサインコマンド受領に対する応答を受け取る。
【0029】
続いてホストEは、アサインされたドライブ15にボリューム14をマウント要求するマウントコマンドを、アクセッサパス17を経由して制御部11へ発行する。ボリューム14は、リード要求の場合であればホストEが特定するボリュームである。ライト要求の場合は、マウントコマンドを制御部11が受領してから制御部11によってボリュームが指定されるので、指定されたボリューム名等が制御部11によって確定されて通知される間までのこの段階では、例えば無指定である。説明上、制御部61が指定するボリュームもボリューム14とする。マウントコマンドには、少なくともホストと、ドライブと、ボリューム(リード要求の場合)とをそれぞれ特定する識別子を含む。これら識別子をそれぞれホスト識別子、ドライブ識別子、ボリューム識別子とする。識別子は、例えば、ドライブ名、ドライブ番号、ボリューム名、ボリューム番号、ホスト名、ホスト番号等であって、制御部11が各ドライブ、ボリュームおよびホストを識別できるものであれば足る。ホストEから送信されるマウントコマンドは、マウントコマンド受付部11−2で受領される。
【0030】
アサインコマンド受付部11−1にて受領されたアサインコマンド、およびマウントコマンド受付部11−2で受領されたマウントコマンドに含まれるホスト識別子、ドライブ識別子、ボリューム識別子等は、制御部11の指示によりアサインコマンド受付部11−1、マウントコマンド受付部11−2にて読み取られる。そして、アサインテーブル11−4に書き込まれる。それぞれのコマンドは一時的にアサインコマンド受付部11−1、マウントコマンド受付部11−2に保存されるようにしてもよい。
【0031】
制御部11は、例えばアサインコマンドに含まれるホスト名とドライブ名、マウントコマンドに含まれるホスト名とドライブ名を識別子比較部11−3にてそれぞれ比較する。1)二つのコマンドに含まれるホスト識別子の間に相違がある場合、2)二つのコマンドに含まれるドライブ識別子の間に相違がある場合、あるいは、アサインテーブル11−4を参照し、3)ドライブのアサインが解除されている場合には、異常通知送信部11−5からアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホストの識別子に対応するホストに異常通知を送信する。
【0032】
1)のホストを特定する識別子の間に相違がある場合とは、一方のホスト識別子がホストAを特定する識別子であり、他方のホスト識別子がホストA以外のホストを特定する識別子である場合、あるいはホスト識別子が読み取れないか空の場合等である。制御部11は、アサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホストの識別子に対応するホストへ異常通知を送信する。ホスト識別子が読み取れないか空の場合等には、ホスト識別子が特定できず、したがって、ホスト識別子が読み取れないか空の場合にはホストへの異常通知を送信することはできないため送信しない。
【0033】
2)のドライブを特定する識別子の間に相違がある場合とは、ドライブ識別子の間に相違があったり、あるいはドライブ識別子が読み取れないか空の場合等である。これらの場合にも、制御部11はアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホスト識別子が特定できるホストへ異常通知を送信する。
【0034】
3) ドライブのアサインが解除されている場合とは、制御部11がアサインテーブル11−4を参照して、ドライブのアサインを行なったホストによるドライブのアサインが解除されている場合である。制御部11はアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホスト識別子に対応するホストへ異常通知を送信する。そして、1)に該当しないホスト(正当ホストと呼ぶ)Eにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させ、正当ホストではないホストにはアサインコマンドおよびマウントコマンドの取り消しのためのアンアサインコマンドおよびデマウントコマンドを発行させる。
【0035】
あるいは、制御部11は異常通知をホストに送信した後は、受領しているアサインコマンドおよびマウントコマンドを破棄し、正当ホストEだけにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させるようになっていても構わない。
【0036】
上記のように、正当ホストEが異常通知を受信したとき、再びアサインコマンドおよびマウントコマンドを制御部11へ送信可能としている。ここで、正当ホストEが再び発行するアサインコマンドおよびマウントコマンドは、先に特定したドライブ、ボリュームと同じであっても異なったものを特定するものであっても構わない。
【0037】
制御部11から異常通知をホストに送信する場合を除き、マウントコマンドにもとづきロボット12はドライブ15へ指定されたボリューム14を搬送しマウントする。そして、ボリューム14をドライブ15へマウントしたことを報告するマウント完了報告を制御部11から正当ホストに送信する。
【0038】
ここで、さらに制御部11は、ボリューム14がマウントされているドライブ15のアサインが解除されている場合は、アサインされているはずのドライブのアサインが解除されている旨を知らせる未アサイン通知を正当ホストEに送信する。未アサイン通知を受信した正当ホストEは、アサインコマンドとマウントコマンドを再発行する。再発行するアサインコマンドとマウントコマンドは、先に特定したドライブ、ボリュームと同じドライブ、ボリュームを特定するものであっても、異なったものを特定するものであっても構わない。
【0039】
正当ホストEが未アサイン通知を制御部11から受信しなかった場合には、正当ホストEは制御部11からドライブパス18を経由して通知されるREADY_ATN信号を受領する。
【0040】
正当ホストEは、ドライブ15にボリューム14の識別子、例えばボリューム番号を読み出させる。マウント要求時に特定したボリューム番号あるいは制御部11によって指定され通知のあったボリューム番号と読み出したボリューム番号とが一致すれば、正当ホストはR/W要求コマンドを制御部11に送信し、R/W要求コマンドに対する制御部11からのR/W許可の信号を受領後に、ボリューム14に対してR/Wを開始する。
【0041】
CPU11−6は制御部11の動作を制御する。メモリ11−7はテープライブラリ装置11のボリュームのデータ等が一時的に読み込まれる不揮発性の記憶領域である。
【0042】
図2は実施形態における第2の実施例を示す。図2は、テープライブラリ装置21を有する記憶装置20が複数のホスト23(ここでは、説明のためにホストGとホストHとする)と仮想テープ装置22を介して接続された構成例である。仮想テープ装置22は階層制御サーバ22−1とディスクアレイ装置22−2とを有する。図2中に示されている実線矢印は、制御の流れを示す。
【0043】
仮想テープ装置22は、フロントエンドにおいてはホスト23からのR/W要求に対する応答、バックエンドにおいてはテープライブラリ装置21に対するR/W要求を行なう。
【0044】
階層制御サーバ22−1は、テープライブラリ装置21にあるドライブおよびボリュームと、仮想テープ装置22にあるディスクアレイ装置22−2に対応づけられ形成されている論理ドライブ、論理ボリュームとの関係づけと制御を行なっている。例えばディスクアレイ装置22−2の複数の磁気ディスク装置を各論理ドライブ、磁気ディスク装置毎あるいはディスク装置のセクタ領域を論理ボリュームとして、テープライブラリ装置21にある物理的なドライブおよび物理的なボリュームと対応づけを行なっている。階層制御サーバ22−1は、ホストGからのR/W要求において、リード要求の場合は、ディスクアレイ装置22−2の論理ボリュームにデータが存在すれば、データ読み出しをしてホストGへ転送し、存在しなければ、例えばテープライブラリ装置21からディスクアレイ装置22−2に要求のあったデータの書き込みを行い、データの書き込みが完了した後、データをディスクアレイ装置22−2からホストGへ転送する。ライト要求の場合は、ホストGから転送されたデータはディスクアレイ装置22−2の所定の論理ボリュームに一旦書き込まれ、書き込みが完了すると、ホストに書き込み完了が報告される。その後、論理ボリュームに一旦書き込まれたデータは、ホストGを介さずにバックグラウンドで、ディスクアレイ装置22−2からテープライブラリ装置21のボリュームへ書き込み保存するマイグレーション処理が行なわれる。
【0045】
ここで、ホスト23からのライト要求に関わるデータのデータ量が大きく、ディスクアレイ装置22−2に膨大な論理ボリュームを必要とする場合や、または、ディスクアレイ装置22−2にデータを書き込まずにテープライブラリ装置21のボリュームの幾つかに書き込む方が良い場合が生ずる。このような場合には、例えばライト要求に関わるデータ量に閾値を設定し、閾値より小さな量のデータはディスクアレイ装置22−2に書き込み、閾値以上の量のデータはテープライブラリ装置21に書き込むといったことを行なう。このような場合、テープライブラリ装置21においては、階層制御サーバ22−1からのマウント指示により、テープライブラリ装置21の制御部21−1はロボット21−2に指定のカートリッジテープ21−4を格納庫21−3から取り出して指定のドライブ21−5へマウントさせ、また、ドライブ21−5にマウントされているカートリッジテープ21−4をデマウント指示によりデマウントして再び格納庫212−3の所定の場所へ格納させる。
【0046】
このように、仮想テープ装置22の階層制御サーバ22−1からのR/W指示により、テープライブラリ装置21の制御部21−1は、例えばドライブ21−5にマウントされたボリューム21−4のデータをドライブ21−5に読み出させてディスクアレイ装置22−2へ転送させたり、あるいは階層制御サーバ22−1から転送されるデータをドライブ21−5にマウントされたボリューム21−4へ書き込ませる。
【0047】
階層制御サーバ22−1は、階層制御サーバ22−1の詳細図に示すように、アサインコマンド受付部22−1−1、マウントコマンド受付部22−1−2、識別子比較部22−1−3、アサインテーブル22−1−4、異常通知送信部22−1−5、CPU22−1−6、メモリ22−1−7、ホストとのインタフェース部としてのアクセッサパスI/F部22−1−8とドライブパスI/F部22−1−9、電源部22−1−10を有する。
【0048】
ホスト23と階層制御サーバ22−1との間の信号パスは、マウントに関係する信号等を送受するアクセスパスと、ドライブに関係する信号等を送受するドライブパスとに大別され、これらはホストとの間の通信線で互いのインタフェース部に接続されている。
【0049】
ホスト23は、ユーザーにより操作され、階層制御サーバ22−1に対し、データのR/Wの指示を行う。階層制御サーバ22−1では、ホスト23からの論理ドライブのアサイン指示、論理ボリュームの論理ドライブへのマウント指示は、ホスト間の排他制御により、複数のホストによる同一論理ドライブのアサイン、同一論理ボリュームのマウント指示が同時にはできないようになっている。
【0050】
まず、ホストGからドライブパス経由で階層制御サーバ22−1に特定の論理ドライブをアサイン要求するアサインコマンドを送信する。階層制御サーバ22−1がアサインコマンド受付部22−1−1にてホストGからのアサインコマンドを受信する。アサインコマンドは、少なくとも論理ドライブとホストGをそれぞれ特定する識別子を含む。識別子は、例えば、論理ドライブ名、論理ドライブ番号、ホスト名、ホスト番号等であって、階層制御サーバ22−1が各論理ドライブやホストを識別できるものであれば足る。
【0051】
ここで、アサインテーブル22−1−4について、図8に示す実施形態におけるアサインテーブルの例をもって説明する。
【0052】
図8に示されるアサインテーブルにおいて、縦の欄には上から順に、論理ボリューム、物理ボリューム、論理ドライブ、物理ドライブ、ロボット等の見出しを掲げてある。図8に示されるアサインテーブルの横の欄には、縦の欄の見出しに属する各構成要素が記号で示されている。また、縦の欄の各見出しの下には、各見出しの構成要素と関連付けられている他の見出しの構成要素を表す記号、あるいは、アサインしているホスト名が表示されている。
【0053】
図8に示される表においては、物理ボリューム、物理ドライブ、ロボットはそれぞれテープライブラリ装置21のカードリッジテープ21−4の1つ1つ、ドライブ21−5の1つ1つ、ロボット21−2(ここにおいては1台と仮定している)に対応している。また、論理ドライブは、例えばディスクアレイ装置22−2を構成する物理的なハードディスクドライブに1対1に対応付けられ、L3、L5、・・・と名付けられている。これらL3、L5、・・・は、さらに内部の複数セクターを幾つかのグループに分けられ、階層制御サーバ22−1によって、L3は101から105の5つの論理ボリュームに、そして、L5は106から110の5つの論理ボリュームに分けられ対応付けられている。
【0054】
以上のように、ディスクアレイ装置22−2における論理ドライブL3、L5、・・・は、L3は101から105へ、L5は106から110へと複数の論理ボリュームに分割され、論理ボリューム101から105はテープライブラリ装置21のカートリッジテープ301から305へ、また、論理ボリューム106から110はテープライブラリ装置21のカートリッジテープ501から505へと対応付けられている。これが、論理ボリュームの欄の(関連付け8−1)に示されている。
【0055】
また、図8に示される表においては、テープライブラリ装置21のカートリッジテープの中のボリューム502は、ホストGによりアサインされ(アサイン8−2)、テープライブラリ装置21のドライブP1もホストGによりアサインされていることを示している(アサイン8−4)。
【0056】
階層制御サーバ22−1は、上記のようなアサインテーブル22−1−4を参照し、まず、アサインコマンデで特定された論理ドライブが非アサイン状態であることを確認し、アサインテーブル22−1−4にアサインされている状態のマークを付け(例えばホストの識別子として記号Gを記録する)、ホストGにアサインコマンド受領の信号を送る。
【0057】
アサインテーブル22−1−4は、ディスクアレイ装置22−2の論理ドライブおよび論理ボリュームがアサインされているか否かの状態を、論理ドライブ識別子および論理ボリューム識別子とホスト識別子とを対応付けて記録保持している。さらに、テープライブラリ装置21のドライブ、ボリュームとディスクアレイ装置22−2の論理ドライブ、論理ボリュームとの対応づけも記録保持している。どのホストからの要求かを階層制御サーバ22−1が知ることなく受領したコマンドを実行かつ全ホストに通知する従来の階層制御サーバ22−1と異なり、アサインテーブル22−1−4にはホスト識別子とディスクアレイ装置22−2の論理ドライブ識別子、論理ボリューム識別子、およびホスト識別子とのテープライブラリ装置21のドライブ、ボリューム等との対応づけがされている。このため、プロセスの途中段階において、異常が生じたことをアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホスト識別子をもつホストに絞って通知できるようになっている。
【0058】
ホスト23に対して仮想テープ装置22はテープライブラリ装置として振舞い、ホストGから仮想テープ装置22にデータのR/W要求をした場合、ホストGと階層制御サーバ22−1との間のドライブパスを経由して、ディスクアレイ装置22−2に形成されている論理ドライブにある特定の論理ボリュームに対してホストGからR/Wするようになっている。その後、ホストGを介さずにバックエンドでディスクアレイ装置22−2に書き込まれたデータは、ドライブ21−5にマウントされるボリューム21−4へ保存(マイグレーション処理)される。
【0059】
また、CPU22−1−6は階層制御サーバ22−1の動作を制御する。メモリ22−1−7は、テープライブラリ装置21の物理的なボリュームへ書き込まれるデータが一時的に保持されたり、ライト要求に関わるデータ量に対して設けられる閾値等が記録保持されている不揮発性の記憶領域である。
【0060】
テープライブラリ装置21は、制御部21−1、ロボット21−2、ボリューム21−4を含む複数のボリュームを格納する格納庫21−3、複数のドライブ(その中の1つをドライブ21−5とする)を有する。制御部21−1はアクセッサパス24、ドライブパス25を経由して階層制御サーバ22−1との情報のやりとりや、テープライブラリ装置21の制御を行う。ロボット21−2は、ボリューム21−4をはじめとする複数のボリュームの中から階層制御サーバ22−1により制御部21−1を経由して指定されるボリュームを格納庫21−3から取り出してドライブ21−5をはじめとするドライブにマウントしたり、ドライブにマウントされたボリュームをデマウントして再び格納庫21−3の所定の位置に格納する。ロボットは複数台であっても1台であっても構わないが、ここでは説明のため、1台のロボット21−2が設けられているものとする。ドライブ21−5はマウントされたボリューム内のデータのR/Wを行う。
【0061】
例えばホストGからのR/W指示により、階層制御サーバ22−1から制御部21−1を経由してボリューム21−4、ドライブ21−5が指定されると、ドライブ21−5はマウントしたボリューム21−4内に格納されているデータを読み出して階層制御サーバ22−1へ転送し、あるいは階層制御サーバ22−1から転送されるデータをボリューム21−4へ書き込む。
【0062】
ホストGは、アサインした論理ドライブに論理ボリュームをマウントするマウントコマンドをアクセッサパスを経由して階層制御サーバ22−1へ発行する。論理ボリュームは、リード要求の場合にはホストGにより特定され、ライト要求の場合には階層制御サーバ22−1により指定される。したがって、ライト要求の場合は、階層制御サーバ22−1がマウントコマンドを受領してから論理ボリュームが指定されるので、マウントコマンドをホストGから発行する段階では、例えば論理ボリュームは無指定である。マウントコマンドには、少なくとも論理ドライブと、論理ボリューム(リード要求の場合)と、ホストとをそれぞれ特定する識別子を含む。識別子は、例えば、論理ドライブ名、論理ドライブ番号、論理ボリューム名、論理ボリューム番号、ホスト名、ホスト番号等であって、階層制御サーバ22−1が各論理ドライブ、論理ボリュームおよびホストを識別できるものであれば足る。ホストGから送信されたマウントコマンドは、マウントコマンド受付部22−1−2にて受領される。
【0063】
階層制御サーバ22−1は、アサインコマンドとマウントコマンドのそれぞれに含まれるホスト識別子と論理ドライブ識別子を識別子比較部22−1−2にてそれぞれ比較し、1)ホストを特定する識別子の間に相違がある場合、2)論理ドライブを特定する識別子の間に相違がある場合、あるいは、アサインテーブル22−1−4を参照して、3)論理ドライブのアサインが解除されている場合には、異常通知送信部22−1−5からアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホストの識別子に対応するホストに異常通知を送信する。
【0064】
1)のホストを特定する識別子の間に相違がある場合とは、一方のホスト識別子がホストGを特定する識別子であり、他方のホスト識別子がホストG以外のホストを特定する識別子である場合、あるいはホスト識別子が読み取れないか空の場合等である。これらの場合には、階層制御サーバ22−1はアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホストの識別子に対応するホストへ異常通知を送信する。ホスト識別子が読み取れないか空の場合等にはホスト識別子が特定できず、したがって、ホスト識別子が読み取れないか空の場合にはホストへの異常通知を送信することはできないため送信しない。
【0065】
2)の論理ドライブを特定する識別子の間に相違がある場合とは、論理ドライブを特定する識別子の間に相違があったり、あるいは論理ドライブ識別子が読み取れないか空の場合等である。これらの場合には、階層制御サーバ22−1はアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホスト識別子に対応するホストへ異常通知を送信する。
【0066】
3) 論理ドライブのアサインが解除されている場合とは、階層制御サーバ22−1がアサインテーブルを参照して、論理ドライブのアサインを行なったホストによる論理ドライブのアサインが解除されている場合である。
【0067】
上記の各場合には、階層制御サーバ22−1はアサインコマンドとマウントコマンドに含まれるホスト識別子に対応するホストへ異常通知を送信する。そして、1)に該当しないホスト(正当ホストと呼ぶ)Gにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させ、正当ホストではないホストにはアサインコマンドおよびマウントコマンドの取り消しのためのアンアサインコマンドおよびデマウントコマンドを発行させる。あるいは、階層制御サーバ22−1は異常通知をホストGに送信した後は、受領しているアサインコマンドおよびマウントコマンドを破棄し、正当ホストGだけにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させるようになっていても構わない。
【0068】
上記のように、正当ホストGが異常通知を受信したとき、再びアサインコマンドおよびマウントコマンドを階層制御サーバ22−1へ送信可能としている。ここで、正当ホストGによるアサインコマンドおよびマウントコマンドの再発行は、先に特定した論理ドライブ、論理ボリュームと同じであっても異なったものを特定するものであっても構わない。
【0069】
階層制御サーバ22−1から異常通知をホストGに送信する場合を除き、マウントコマンドにもとづき特定あるいは指定の論理ボリュームを、アサインされている論理ドライブへマウントしたことを報告するマウント完了報告を階層制御サーバ22−1から正当ホストGに送信する。
【0070】
ここで、さらに階層制御サーバ22−1は、論理ボリュームがマウントされている論理ドライブのアサインが解除されている場合は、アサインされているはずの論理ドライブのアサインが解除されている旨を知らせる未アサイン通知を正当ホストGに送信する。未アサイン通知を受信した正当ホストGは、アサインコマンドとマウントコマンドを再発行する。再発行するアサインコマンドとマウントコマンドは先に特定したドライブ、ボリュームと同じであっても、異なったものを特定するものであっても構わない。
【0071】
正当ホストGが未アサイン通知を階層制御サーバ22−1から受信しなかった場合には、正当ホストGは階層制御サーバ22−1から通知されるREADY_ATN信号を受領する。
正当ホストGは、論理ドライブに論理ボリュームの識別子、例えば論理ボリューム名を読み出させる。正当ホストGがマウント要求時に特定した論理ボリューム名あるいは階層制御サーバ22−1によって指定され通知のあった論理ボリューム名と、読み出した論理ボリューム名とが一致すれば、正当ホストGはR/W要求コマンドを階層制御サーバ22−1に送信し、R/W要求コマンドに対する階層制御サーバ22−1からのR/W許可の 信号を受領後に、論理ボリュームに対してR/Wを開始する。
【0072】
上述のように、仮想テープ装置22は、ハードウェアはディスクベースのストレージでありながら、搭載されたソフトウェア機能によってテープドライブをエミュレーションし、仮想のテープドライブとしてのストレージ領域を提供している。ハードディスク内にテープライブラリ装置21のドライブ、ボリュームに対応づけた論理ドライブ、論理ボリュームを作成でき、仮想テープ装置22のフロントエンドのホスト23からはテープライブラリ装置として認識される。実際には、ホスト23からデータのR/W要求があれば、ディスクアレイ装置22−2を利用してデータのR/Wを行う。ディスクアレイ装置22−2をキャッシュとして用いて、ホスト23から特定され、または階層制御サーバ22−1によって指定された論理ボリュームへアクセスする。ホスト23が要求したデータがディスクアレイ装置22−2内に保持されていない場合には、階層制御サーバ22−1は、要求されたデータが記憶されているテープライブラリ装置21にある物理的なボリュームを物理的なドライブにマウントし、物理的なボリュームからデータをディスクアレイ装置22−2に読み出す。また、ディスクアレイ装置22―2は、テープライブラリ装置21へデータを書き込む際にキャッシュとして使用される。
仮想テープ装置22へのデータの入出力要求はホスト23からテープフォーマットで行なうことができ、テープライブラリ装置21に接続した場合のホスト23と同様のコマンドが使える。仮想テープ装置22は、ホスト23からデータのR/W要求があった場合、ホスト23に対し、仮想的にテープライブラリ装置として振舞う。仮想テープ装置は、実際には、ディスクアレイ装置22−2を利用してデータを論理ボリュームにR/Wする。テープライブラリ装置よりもデータアクセスが速いディスクアレイ装置を用いて、ホストに対して応答するため、テープライブラリ装置のみを使用する場合に比べ、高速に処理を行うことができる。
【0073】
上述のように、図1、図2の実施例において、ホストから見た記憶装置は、仮想テープ装置の介在するテープライブラリ装置と仮想テープ装置を介在しないテープライブラリ装置で構成されていてもどちらも同じように扱うことができる。図3は実施形態における仮想テープ装置を有する記憶装置のハードウェア構成図を示す。
記憶装置30は、フロントエンドでドライブパス30−1、アクセッサパス30−2によりホストと信号の送受を行なう。ドライブパス30−1はR/W制御、アクセッサパス30−2はマウント制御に関わる信号のパスである。バックエンドではドライブパス32−1、アクセッサパス32−2によりテープライブラリ装置32と信号の送受を行なう。
【0074】
記憶装置30は、ディスクアレイ装置31、テープライブラリ装置32、そして階層制御サーバ33(図示省略)を有する。
【0075】
階層制御サーバ33は、4つのサーバICP(Integrated Channel Processor)33−1、VLP(Virtual Library Processor)33−2、IDP(Integrated Drive Processor) 33−3、PLP(Physical Library Processor)33−4を有する。
【0076】
ICP33−1はフロントエンドのドライブパスを制御する階層制御サーバであってR/Wの制御を行なう。VLP33−2はフロントエンドのアクセッサパスを制御する階層制御サーバであってマウント制御の制御を行なう。IDP33−3はバックエンドのドライブパスを制御する階層制御サーバであってR/Wの制御を行なう。そして、PLP33−4はバックエンドのアクセッサパスを制御する階層制御サーバでであってロボット(キャリッジ)制御を行なうものである。
【0077】
図4は実施形態におけるホストと階層制御サーバ間の機能ブロック図の例を示す。ホストとして、ホスト401、ホスト402を示し、階層制御サーバとして、階層制御サーバ403を示す。
【0078】
ホスト401、ホスト402の有する機能として、共に同じ、論理ドライブ割り付け制御41、マウント・デマウント要求42、ボリューム番号リード43の機能を図示している。論理ドライブ割り付け制御41は論理ドライブのアサインコマンドあるいはアンアサインコマンド発行を制御する機能である。マウント・デマウント要求42は、論理ボリュームを論理ドライブにマウントまたはデマウントすることを要求する機能である。そして、ボリューム番号リード43は論理ボリュームのボリューム番号を読み取る機能である。
【0079】
階層制御サーバ403の有する機能として、識別子比較等44は、アサインコマンド、マウントコマンドに含まれるホスト識別子、論理ドライブ識別子をそれぞれ比較する機能、およびアサインテーブル48を参照して当該論理ドライブのアサイン有無のチェック機能である。アサインテーブル48は、論理ドライブ、論理ボリューム毎にどのホストにアサインされているかどうかのアサイン状態を記録保持しておくテーブルである。また、アサインテーブル48には、論理ドライブとドライブ、論理ボリュームとボリュームとの対応を記録しておいても構わない。マウント処理45は、論理ボリューム46を論理ドライブ47にマウントする機能である。論理ボリューム46はディスクアレイ(図示省略)に論理的に割り付けられた論理ボリュームであり、論理ドライブ47はディスクアレイに論理的に割り付けられた論理ドライブである。
【0080】
マウント完了49は、論理ボリューム46を論理ドライブ47にマウント完了したことをホストに通知する機能である。
【0081】
二重線の枠をもった機能である識別子比較等44は従来の階層サーバには無い機能、アサインテーブル48は従来と異なるアサインテーブルであることを示している。階層制御サーバ403の中に示す(VLP)、(ICP)は前述のVLP(Virtual Library Processor)、ICP(Integrated Channel Processor)が持つ機能であることを示している。
【0082】
図5は実施形態におけるフローチャートの例を示す。前述の図1および図2の構成例に対応している。図中の右側にある制御部/階層制御サーバのプロセス開始にはじまる縦方向の列は、制御部のプロセスまたは階層制御サーバのプロセスである。制御部のプロセスは図1におけるテープライブラリ装置の制御部のプロセスを表し、階層制御サーバのプロセスは図2における階層制御サーバのプロセスを示している。説明上、制御部/階層制御サーバを制御装置と呼ぶことにする。また、図中のホストのプロセス開始にはじまる縦方向の列は、上記の制御装置に接続しているホストのプロセスを表す。図において、ドライブおよびボリュームはそれぞれドライブ/論理ドライブおよびボリューム/論理ボリュームを意味するものとする。
【0083】
複数のホストのそれぞれは、アサインするドライブの割り付けを他ホストとの排他制御の下に行う(S501)。自ホストは、アサインコマンドをドライブパスを経由して制御装置へ発行する(S502)。アサインコマンドは、アサインするドライブを特定する識別子(ここではドライブ名とする)の他に自ホストを特定する識別子(ここではホスト名とする)が含まれている。
【0084】
制御装置はアサインコマンドを受領し(S503)、さらに、自ホストからマウントコマンドがアクセッサパスを経由して発行され(S504)、制御装置はマウントコマンドを受領する(S505)。マウントコマンドには、アサインしたドライブを特定するドライブ名、自ホストのホスト名、READ要求の場合には要求するデータが含まれる特定のボリュームの識別子(WRITE要求の場合には制御装置がボリュームを指定するので、この段階ではボリュームの識別子の部分は例えば空白)が含まれる。ボリュームの識別子はここではボリューム名とする。
【0085】
制御装置はアサインコマンドおよびマウントコマンドに含まれるホスト名とドライブ名を読み出し、ホスト名の間、ドライブ名の間をそれぞれ比較する(S506)。1)ホスト名の間に相違がある場合、2)ドライブ名の間に相違がある場合、さらに、3)制御装置がアサインテーブルを参照して当該ドライブのアサインが解除されている場合(S507)には、制御装置はアサインコマンドおよびマウントコマンドに含まれるホスト名に対応するホストへ異常通知を送信する(S508)。異常通知には、1)に該当しない、すなわち正当ホストにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させるリトライ処理を行なわせ(S509)、他のホストにはアサインコマンドおよびマウントコマンドの取り消しのためのアンアサインコマンドおよびデマウントコマンドを発行させる指示をする。あるいは、制御装置はホストに異常通知を送信した後に、受領しているアサインコマンドおよびマウントコマンドを破棄し、正当ホストにアサインコマンドおよびマウントコマンドを再び発行させるようになっていても構わない。
【0086】
上記の1)乃至3)に該当せず、異常通知を発行しない正常な場合には、制御装置はマウントを実行し、マウントが完了したら、マウント完了報告を正当ホストに送信する(S510)。マウント完了報告を受領(S511)し、かつ、制御装置がボリュームのマウントされているドライブのアサインがアサインテーブルを参照して(S512)、解除されている場合は、正当ホストに未アサイン通知を送信する(S513)。未アサイン通知を受信(S514)した正当ホストは、アサインコマンド、マウントコマンドを再発行する(S515)。再発行するアサインコマンドとマウントコマンドは先に特定したドライブ、ボリュームと同じであっても異なったものを特定するものであっても構わない。
【0087】
正当ホストが未アサイン通知を制御装置から受信しなかった場合には、正当ホストは制御装置が発信するREADY_ATN信号(S516)を受領し(S517)、ドライブにボリューム名を読み出させ(S518)、マウント要求時に特定したボリューム名あるいは制御装置によって指定され通知のあったボリューム名と一致すれば(S519)、R/W要求コマンドを制御装置に送信(S521)し、制御装置からの許可後にボリュームから、またはボリュームへR/Wを開始する(S522)。S519において、マウント要求時に特定したボリューム名あるいは制御装置によって指定され通知のあったボリューム名と一致しない場合は、アンアサイン、デマウント要求のコマンドを制御装置に送る(S520)。
【0088】
ここで、図5のフローチャートにおいて、二重線の枠が付けられたプロセス、(S502)、(S504)、(S506)、(S507)、(S508)、(S509)、(S512)、(S513)、(S514)、(S515)は、従来においては行なわれていなかったプロセスである。
【0089】
上述のように、テープライブラリ装置を有する記憶装置において、仮想テープ装置あるいはテープライブラリ装置のハードウェア障害、あるいはアクセサパスとドライブパスとの分離に起因する信号送受のタイミングのずれ等により、ドライブまたは論理ドライブが他のホストにアサインされている、あるいはアサインされているはずのドライブまたは論理ドライブのアサインが解除されてしまって、READY_ATN信号が正しく目的のホストに送信されない場合が従来において発生していた。従来は、制御装置がホストから受信するアサインコマンド、マウントコマンド、また、制御装置がホストへ送信するマウント完了報告、READY_ATN信号には、ホストを特定する情報は付加されておらず、各ホストはREADY_ATN信号を受取り、ドライブまたは論理ドライブにマウントされた、ボリュームまたは論理ボリューム名を読み取り、自ホストの要求したものと異なることが判明してからリトライを行なわざるを得なかった。
【0090】
上記で説明した実施態様によれば、前述のような問題点を解決し、他のホストによる過誤のR/Wを防止し、さらには、リトライを早期に行なわせることにより、ホストへのレスポンスを早くすることができる。
【0091】
請求項において、ドライブおよびボリュームは、特に断りのない限り、それぞれ論理ドライブと論理ボリュームを含むものとする。
【符号の説明】
【0092】
10、21、32、60、72 テープライブラリ装置
11、61 制御部
12、62 ロボット
13、63 格納庫
14 ボリューム
15、64 ドライブ
16、67、73、401 ホスト
17、65、74 アクセッサパス
18、66、75 ドライブパス
20、30、70 記憶装置
22、71 仮想テープ装置
31 ディスクアレイ装置
41 論理ドライブ割り付け制御
42 マウント・デマウント要求
43 ボリューム番号リード
44 ホストID・論理ドライブ名・アサイン有無比較
45 マウント処理
46 論理ボリューム
47 論理ドライブ
48 アサインテーブル
49 マウント完了
403 階層制御サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストと接続する記憶装置であって、
前記記憶装置は仮想テープ装置とテープライブラリ装置とを有し、
前記仮想テープ装置は階層制御サ−バとディスクアレイ装置を有し、
前記階層制御サ−バは前記テープライブラリ装置の有するドライブとボリュームを前記ディスクアレイ装置の論理ドライブと論理ボリュームとに各々対応づけ、
前記階層制御サ−バは、
前記仮想テープ装置の論理ドライブを前記ホストがアサイン要求するコマンドとして、前記ホストを特定するホスト識別子と前記論理ドライブを特定するドライブ識別子とを含むアサインコマンドを前記ホストから受け付けるアサインコマンド受付部と、
前記仮想テープ装置の前記論理ボリュームを前記ホストが前記論理ドライブにマウント要求するコマンドとして、少なくとも、前記ホスト識別子と前記ドライブ識別子とを含むマウントコマンドを前記ホストから受け付けるマウントコマンド受付部と、
前記アサインコマンドと前記マウントコマンドに含まれる前記ホスト識別子の間および前記ドライブ識別子の間をそれぞれ比較する識別子比較部とを有し、
前記ホスト識別子の間に相違がある場合、または、
前記ドライブ識別子の間に相違がある場合、
あるいは、少なくとも前記ドライブ識別子と前記ドライブをアサインしている前記ホスト識別子とを対応づけて前記ドライブのアサインの有無を記録保持している前記記憶装置の有するアサインテーブルを参照して、前記ドライブがアサインされていない場合には、
前記コマンドを送信したホストに異常通知を行なうことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記階層制御サ−バから前記異常通知を行なわない場合、
前記マウントコマンドにもとづき前記論理ボリュームを前記論理ドライブにマウントしたことを報告するマウント完了報告を、前記マウントコマンドを送信したホストに前記階層制御サ−バから送信し、
さらに前記階層制御サ−バは、
前記論理ボリュームのマウントされている前記論理ドライブがアサインされていない場合には、
前記前記マウントコマンドを送信したホストに未アサイン通知を行なうことを特徴とする請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
ホストと接続するテープライブラリ装置であって、
前記テープライブラリ装置は、
前記テープライブラリ装置を制御する制御部と、
複数のボリュームを格納する格納庫と、
前記格納庫から前記ボリュームを取り出し、前記取り出したボリュームをR/Wするドライブへマウントするロボットとを有し、
前記制御部は、
前記ドライブを前記ホストがアサイン要求するコマンドとして、前記ホストを特定するホスト識別子と前記ドライブを特定するドライブ識別子とを含むアサインコマンドを前記ホストから受け付けるアサインコマンド受付部と、
前記ボリュームを前記ホストが前記特定ドライブにマウント要求するコマンドとして、少なくとも、前記ホスト識別子と前記ドライブ識別子とを含むマウントコマンドを前記ホストから受け付けるマウントコマンド受付部と、
前記アサインコマンドと前記マウントコマンドに含まれる前記ホスト識別子の間および前記ドライブ識別子の間をそれぞれ比較する識別子比較部とを有し、
前記制御部は、
前記アサインコマンドと前記マウントコマンドに含まれる前記ホスト識別子の間および前記ドライブ識別子の間を前記識別子比較部にて比較し、
前記ホスト識別子の間に相違がある場合、または、
前記ドライブ識別子の間に相違がある場合、
あるいは、少なくとも前記ドライブ識別子と前記ドライブをアサインしている前記ホスト識別子とを対応づけて前記ドライブのアサインの有無を記録保持している前記制御部の有するアサインテーブルを参照して、前記ドライブがアサインされていない場合には、
前記制御部の有する異常通知送信部から前記コマンドを送信したホストに異常通知を送信することを特徴とするテープライブラリ装置。
【請求項4】
前記制御部から前記異常通知を行なわない場合、前記マウントコマンドにもとづき前記ボリュームを前記ドライブにマウントしたことを報告するマウント完了報告を前記制御部から前記ホストに行ない、
さらに前記制御部は、
前記ボリュームのマウントされている前記ドライブがアサインされていない場合には、
前記コマンドを送信したホストに未アサイン通知を行なうことを特徴とする請求項3記載のテープライブラリ装置。
【請求項5】
ホストと接続される、テープライブラリ装置を備える記憶装置の制御方法において、
前記記憶装置は、
前記テープライブラリ装置のドライブのアサインを要求する、ホストを識別するホスト識別子とドライブを識別するドライブ識別子とを含むアサインコマンドを、前記ホストから受信し、
前記テープライブラリ装置のボリュームの前記ドライブヘのマウントを要求する、ホストを識別するホスト識別子とドライブを識別するドライブ識別子とを含むマウントコマンドを、前記ホストから受信し、
前記アサインコマンドと前記マウントコマンドとに含まれるホスト識別子同士、あるいは前記アサインコマンドと前記マウントコマンドとに含まれるドライブ識別子同士を比較し、
前記ホスト識別子同士が相違する場合、あるいは前記ドライブ識別子同士が相違する場合に、前記コマンドを送信したホストに異常通知を行なうことを特徴とする、記憶装置の制御方法。
【請求項6】
前記記憶装置から前記異常通知を行なわない場合、前記マウントコマンドにもとづき前記ボリュームを前記ドライブにマウントしたことを報告するマウント完了報告を前記記憶装置から前記コマンドを送信したホストに行ない、
さらに前記記憶装置は、
前記ボリュームのマウントされている前記ドライブがアサインされていない場合は、
前記マウントコマンドを送信したホストに未アサイン通知を送信することを特徴とする請求項1記載の記憶装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−186957(P2011−186957A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53851(P2010−53851)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】