テープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法
【課題】テープ切片の貼着作業を中断させる機会を少なくして作業効率を向上させることができるようにしたテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2つの貼着ヘッド14の少なくともひとつにリール31が取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、リール取り付け時点において各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出した後(ステップST2)、その算出した各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくようなヘッド作動順序を設定する(ステップST4)。
【解決手段】2つの貼着ヘッド14の少なくともひとつにリール31が取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、リール取り付け時点において各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出した後(ステップST2)、その算出した各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくようなヘッド作動順序を設定する(ステップST4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板が備える複数の電極部のそれぞれにACFテープの切片(テープ切片)を貼着するテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル製造システムによる液晶パネル製造作業では、基板の上面に設けられた複数の電極部のそれぞれにACF(Anisotropic Conductive Film)と呼ばれる異方性導電膜のテープ(ACFテープ)の切片(テープ切片)を貼着するテープ切片貼着工程があり、このテープ切片貼着工程におけるテープ切片の貼着作業にはテープ切片貼着装置としてのACF貼着装置が用いられる。
【0003】
ACF貼着装置は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられた貼着ヘッドを備えており、ACFテープは、その粘着面にセパレータと呼ばれる保護テープが貼り付けられたテープ部材の状態でリールに巻き付けられて供給される。リールは貼着ヘッドに取り付けられ、貼着ヘッドは、その取り付けられたリールから繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出して基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する。このようなACF貼着装置の中には複数の貼着ヘッドを備えたものもあり(例えば、特許文献1)、複数の電極部に対して複数の貼着ヘッドによりテープ切片の同時貼着を行うことで、基板の生産効率を向上させることができるようになっている。
【0004】
ACF貼着装置では、リールに残っているACFテープの長さがテープ切片を切り出すことができない程度に少なくなった(テープ切れとなった)ときには、テープ切れとなったリールを貼着ヘッドから取り外して新たなリールを取り付けるテープ交換作業を行う。このテープ交換作業はACF貼着装置によるテープ切片の貼着作業を停止させたうえで行い、テープ交換作業が終わったら、改めて貼着作業を開始させる。
【0005】
ここで、貼着ヘッドが複数設けられている場合には、通常、各貼着ヘッドはそれぞれ等分の割合でテープ切片の貼着動作を行うので、各貼着ヘッドそれぞれに新しいリールを同時に取り付けてテープ切片の貼着作業を開始すれば、複数の貼着ヘッドは同時期にテープ切れとなってテープ交換のためにテープ切片の貼着作業を中断させる機会は少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−168145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のACF貼着装置において、リールはテープ切れとなる前に貼着ヘッドから取り外されることがあり、またテープ切れとなる前に取り外されたリールが別の貼着ヘッドに取り付けられて使用されることもある。このため、リールに残っているACFテープの長さが互いに異なる複数の貼着ヘッドがそれぞれ等分の割合でテープ切片の貼着動作を行った場合には、貼着ヘッド間でテープ切れが起きるタイミングが異なるケースが多く、テープ交換作業のためにテープ切片の貼着作業を中断させる機会が頻繁になってテープ切片の貼着作業の作業効率が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、テープ切片の貼着作業を中断させる機会を少なくして作業効率を向上させることができるようにしたテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のACF貼着装置は、複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置であって、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において、各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段と、初期残切片数算出手段により算出された各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定するヘッド作動順序設定手段と、ヘッド作動順序設定手段により設定された貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる貼着動作実行手段とを備えた。
【0010】
請求項2に記載のテープ切片貼着方法は、複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置によるテープ切片貼着方法であって、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する工程と、算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定する工程と、設定した貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出し、その算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序(ヘッド作動順序)を設定して、その設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせるようになっているので、貼着ヘッド間でテープ切れとなるタイミングをほぼ一致させることができる。このため、テープ切片の貼着作業を中断させる機会が少なくなり、テープ切片の貼着作業の作業効率、ひいては液晶パネル製造システムによる基板の生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大斜視図
【図4】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大正面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大正面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の制御系統を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の制御系統を示すブロック図
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するテープ切片の貼着作業の実行手順を示す図
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するテープ切片の貼着作業の実行手順を示す図
【図10】本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の設定手順を示すフローチャート
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の流れを示すフローチャート
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すテープ切片貼着装置の一例としてのACF貼着装置1は、その上流工程側に配置された電極部洗浄装置や下流工程側に配置された仮圧着装置や本圧着装置等とともに液晶パネル製造システム(いずれも図示せず)を構成しており、上流工程側の電極部洗浄装置から長方形の液晶パネルの基板2を受け取った後、その基板2に設けられた複数の電極部3B(各電極部は複数の電極3から成る)のそれぞれにACFテープ4を短冊状に切断して得られるテープ切片4sを貼着して下流工程側の仮圧着装置に受け渡すものである。
【0014】
図1、図2及び図3において、ACF貼着装置1は、基台10、基台10上に設けられた基板保持部移動機構11によって移動自在に設けられた基板保持部12、基台10の上方を水平方向に延びた横フレーム13aを有する門型フレーム13、門型フレーム13の横フレーム13aに沿って移動自在に設けられた2つの貼着ヘッド14及び2つの貼着ヘッド14の下方に設けられたバックアップステージ15を備えている。以下、説明の便宜上、横フレーム13aの延びる方向であって2つの貼着ヘッド14が移動する水平方向をACF貼着装置1の左右方向(X軸方向)とし、2つの貼着ヘッド14の移動方向と直交する水平方向をACF貼着装置1の前後方向(Y軸方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。更に、左右方向(X軸方向)のうち、図1の紙面左側を左方、図1の紙面右側を右方とし、前後方向(Y軸方向)のうち、図1の紙面手前側(オペレータが作業をする側であって、図2の紙面左方)を前方、図1の紙面奥側(図2の紙面右方)を後方とする。
【0015】
図1において、ACFテープ4は片面に保護テープであるセパレータSpが貼り付けられたテープ部材Tpの状態で供給される。基板2上の複数の電極部3Bは、一の長辺と一の短辺のそれぞれの端部に一列に並んで設けられており、基板2の一の長辺と一の短辺のそれぞれには、複数の電極部3Bから成る電極部列3Lが形成された状態となっている。
【0016】
図1、図2及び図3において、基板保持部移動機構11はXテーブル11a、Yテーブル11b及びθテーブル11cの相互の相対移動によって基板保持部12を(すなわち基板2を)水平面内で移動させる。基板保持部12は、基板2上の長辺側若しくは短辺側に設けられた電極部列3LがX軸方向に延びるように(すなわち複数の電極部3BがX軸方向に並ぶように)基板2を水平姿勢に保持する。すなわち本実施の形態において、基板保持部12は、複数の電極部3Bを有した基板2を保持するものとなっている。
【0017】
図2及び図4において、各貼着ヘッド14は門型フレーム13の横フレーム13aに沿って移動自在な平板状のベース部20に、テープ搬送部21、ツール昇降シリンダ22によって昇降される押し付けツール23、テープ切断部24及び撮像カメラ25を備えている。
【0018】
図4において、テープ搬送部21は、テープ部材Tpを繰り出して供給するリール31、リール31より供給されるテープ部材Tpを真空吸引して回収するテープ回収部32及びリール31からテープ回収部32までの間のテープ部材Tpを案内する複数の案内ローラ(第1案内ローラ33a、第2案内ローラ33b、第3案内ローラ33c及び一対の第4案内ローラ33d)から成る。
【0019】
図4において、第1案内ローラ33aはベース部20の左方上部に上下方向に延びて形成されたローラ移動溝20a内を移動自在であり、図示しない付勢部材によって上方に付勢されている。第2案内ローラ33bは第1案内ローラ33aの下方のベース部20の左側下部に設けられており、第3案内ローラ33cは第2案内ローラ33bの右方のベース部20の右側下部に設けられている。一対の第4案内ローラ33dは第3案内ローラ33cの上方のベース部20の右側中央部に左右方向に並んで設けられている。
【0020】
図4において、リール31から供給されるテープ部材Tpは、第1案内ローラ33a、第2案内ローラ33b、第3案内ローラ33c及び一対の第4案内ローラ33dによってこの順で案内され(一対の第4案内ローラ33dではテープ部材Tpは両面が左右方向から挟まれた状態となる)、テープ回収部32に送られる。
【0021】
図4において、テープ部材Tpは、第1案内ローラ33aがローラ移動溝20a内で上方に付勢されることによって適度なテンションが与えられ、第1案内ローラ33aと第2案内ローラ33bの間ではベース部20の左側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持され、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cの間では、ベース部20の下側領域を左右方向(X軸方向)に延びた水平姿勢に保持される。またテープ部材Tpは、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間及び一対の第4案内ローラ33dとテープ回収部32との間では、ベース部20の右側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持される。
【0022】
図4において、テープ搬送部21は、テープ回収部32によってテープ部材Tpを吸引するとともに一対の第4案内ローラ33dでテープ部材Tpの流れの下流側へ送りながらリール31からテープ部材Tpを繰り出すことによってテープ部材Tpを順方向(第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cとの間の水平搬送領域を左から右に流れる方向。図4中に示す矢印A)に搬送することができ、テープ回収部32によってテープ部材Tpを吸引するとともに一対の第4案内ローラ33dでテープ部材Tpの流れの上流側へ送りながらリール31によりテープ部材Tpを巻き取ることによってテープ部材Tpを逆方向(上記水平搬送領域を右から左に流れる方向)に搬送することができる。
【0023】
図4において、押し付けツール23はツール昇降シリンダ22により所定の初期位置(図4に示す位置)とその下方のテープ押し付け位置との間で移動され、押し付けツール23は、初期位置にあるときには第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cによって水平方向に案内されるテープ部材Tpよりも上方の位置に位置し、テープ押し付け位置にあるときには、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cによって水平方向に案内されるテープ部材Tpよりも下方の位置に位置する。
【0024】
図4において、押し付けツール23にはヒータ23hが内蔵されており、このヒータ23hを作動させることによって押し付けツール23の全体を加熱することができる。
【0025】
図4において、テープ切断部24は第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間の位置に設けられており、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間を垂直に延びるテープ部材Tpの右方領域に設けられたカッター24a及びテープ部材Tpの左方領域においてカッター24aと水平方向に対向する位置(すなわちカッター24aとの間でテープ部材Tpを挟む位置)に設けられた背板部24bを有して成る。
【0026】
図4において、カッター24aは左方の切断位置と右方の待機位置との間で水平方向(すなわち、テープ部材Tpの面に直交する方向)に移動自在であり、切断位置に位置した状態において、セパレータSpを切断することなく、ACFテープ4のみを切断する。なお、カッター24aがACFテープ4に押し付けられたとき、背板部24bはテープ部材Tpの左面のセパレータSpを支持してテープ部材Tpに対するカッター24aの押し付け荷重の反力をとる当て板として機能する。
【0027】
図5において、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間を垂直方向に延びるテープ部材Tpの右面のACFテープ4は、その先端部がカッター24aによるACFテープ4の切断位置Mよりも長さLsだけ引き上げられた状態でテープ切断部24によって切断される。この長さLsは、基板2上のテープ切片4sを貼着しようとする電極部3BのX軸方向の寸法に対応する長さ(すなわち電極部3Bの長さに応じた長さ)であり、テープ部材TpからACFテープ4のみがテープ切断部24によって切断されることによって、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sが形成される。
【0028】
図4において、撮像カメラ25はベース部20の右側下方に撮像視野を下方に向けて設けられており、ベース部20の水平方向への移動に応じて移動し、基板保持部12に保持された基板2の左右両端部に設けられた位置決め用のマーク(図示せず)の撮像を行う。
【0029】
基板保持部12に保持された基板2の移動(位置決め)動作は、ACF貼着装置1が備える制御装置40(図1及び図6)が前述の基板保持部移動機構11の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
各貼着ヘッド14の門型フレーム13の横フレーム13aに対する左右方向(X軸方向)への移動は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るベース部移動機構41(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0031】
テープ搬送部21によるテープ部材Tpの搬送動作は、制御装置40がリール31を駆動するリール駆動モータ42(図2及び図6)とテープ回収部32を駆動するテープ回収部駆動機構43(図2及び図6)及び一対の第4案内ローラ33dを駆動するローラ駆動機構44(図2及び図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0032】
テープ部材TpにおけるACFテープ4の先頭部の位置は、回転数検出センサ45(図6)によって検出される一対の第4案内ローラ33dのうちの一方の回転数の情報と、この一方の第4案内ローラ33dの半径のデータ等から制御装置40において算出される。
【0033】
テープ切断部24におけるカッター24aの左右方向への移動動作、すなわちカッター24aによるACFテープ4の切断動作は、制御装置40がカッター24aを左右方向に移動させるカッター駆動シリンダ46(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0034】
押し付けツール23の昇降動作は、制御装置40がツール昇降シリンダ22の作動制御を行うことによってなされる(図6)。また、押し付けツール23に内蔵されたヒータ23h(図4)による押し付けツール23の加熱動作は、制御装置40がヒータ作動機構47(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
撮像カメラ25による撮像動作制御は制御装置40によってなされる(図6)。撮像カメラ25によって撮像された画像データは制御装置40に送られ、制御装置40の画像認識部40a(図6)において画像認識される。
【0036】
図6において、制御装置40には入出力装置としてのタッチパネル48が接続されており、オペレータOP(図3)はこのタッチパネル48を介して制御装置40からのメッセージを受けることができるとともに、タッチパネル48を介して制御装置40に対して必要な指令入力を行うことができる。
【0037】
図6において、制御装置40の貼着動作実行部40bは、貼着動作プログラム記憶部40cに記憶された貼着動作プログラムに従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着作業(基板2の各電極部3Bにテープ切片4sを貼着させる作業)を行わせる。ここで、2つの貼着ヘッド14がどうような順序で作動してテープ切片4sの貼着作業を行っていくかについては、後述するヘッド作動順序設定部40kで設定された2つの貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)に従うことから、貼着動作プログラムには定められていない(但し、ヘッド作動順序設定部40kでヘッド作動順序が設定された後、その設定されたヘッド作動順序を貼着動作プログラムに反映させることで、ヘッド作動順序を貼着動作プログラムの一部として管理するようにしてもよい)。
【0038】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、テープ切片4sの貼着作業を実行する場合には、先ず、基板2上の一方の電極部列3Lがバックアップステージ15の直上に位置するように基板保持部12を移動させて基板2の位置決めを行った後、これからテープ切片4sの貼着作業を行わせようとする貼着ヘッド14を左右方向(X軸方向)に移動させ、その貼着ヘッド14が備える押し付けツール23の左端がテープ切片4sを貼着しようとする電極部3Bの左端の直上に位置するようにして貼着ヘッド14の位置決めを行う(図8(a))。
【0039】
制御装置40は、上記貼着ヘッド14の位置決めと並行して、テープ搬送部21によりテープ部材Tpを順方向に搬送し(図8(a)中に示す矢印B1)、ACFテープ4の先頭部がテープ切断部24によるACFテープ4の切断位置Mを通り過ぎて電極部3BのX軸方向の長さに相当する長さLsだけ上方の位置に位置するようにしてACFテープ4の先頭部の位置決めを行う(図8(a))。そして、制御装置40は、カッター駆動シリンダ46の作動制御を行ってカッター24aを待機位置から切断位置に移動させ(図8(a)中に示す矢印C)、ACFテープ4の切断を行って、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sを形成させる(図8(a))。
【0040】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sを形成させたら、テープ搬送部21によってテープ部材Tpを逆方向に搬送し(図8(b)中に示す矢印B2)、セパレータSp上に形成させたテープ切片4sを押し付けツール23の下方(これからテープ切片4sを貼着しようとする電極部3Bの直上)に位置決めする(図8(b))。
【0041】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、上記のようにしてテープ切片4sの位置決めを行ったら、ツール昇降シリンダ22の作動制御を行って初期位置に位置した押し付けツール23をテープ押し付け位置まで下降させ(図8(c)中に示す矢印D1)、ヒータ23hで予め加熱しておいた押し付けツール23によってテープ切片4sを基板2上の電極部3Bに貼着させる(図8(c))。このテープ切片4sの貼着動作では、制御装置40は、テープ切片4sをセパレータSpごと基板2の縁部(この基板2の縁部の下面はバックアップステージ15によって支持されている)に押し付けるようにする。
【0042】
制御装置40は、押し付けツール23によって基板2上の電極部3BにACFテープ4を貼着させたら、押し付けツール23を初期位置まで上昇させる(図9(a)。図中に示す矢印D2)。図9(a)に示すように、押し付けツール23を初期位置に上昇させても、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cの間のテープ部材Tpは、テープ切片4sが電極部3Bに貼着されていることから、下方に引っ張られた状態が維持される。
【0043】
制御装置40は押し付けツール23を初期位置まで上昇させたら、貼着ヘッド14を左方に移動させつつ(図9(b)及び図9(c)中に示す矢印E)、テープ搬送部21によってテープ部材Tpを順方向に搬送する(図9(b)及び図9(c)中に示す矢印B3)。これにより、基板2上に貼着されたテープ切片4sの上面に貼り付いているセパレータSpは上方に引っ張り上げられながら、電極部3Bに貼着されたテープ切片4sから剥離される(図9(c))。
【0044】
このように各貼着ヘッド14は、ACFテープ4に保護テープであるセパレータSpが貼り付けられて成るテープ部材Tpが巻き付けられたリール31を有し、リール31より繰り出されるテープ部材Tpから電極部3Bの長さに応じた長さのACFテープ4をテープ切片4sとして切り出してその切り出したテープ切片4sを基板保持部12に保持された基板2の電極部3Bに貼着するものとなっている。
【0045】
図4及び図7において、各リール31の側面にはリール側メモリ31mが設けられている。このリール側メモリ31mには、そのリール31に残っているACFテープ4の長さ(以下、「テープ残長」と称する)のデータが記憶される。リール側メモリ31mには、リール31のACFテープ4が全く使用されていない状態ではACFテープ4の未使用時の長さが記録されており、その後、そのリール31が貼着ヘッド14に取り付けられて使用された(テープ切片4sが切り出された)後、貼着ヘッド14から取り外されるときに、その貼着ヘッド14の取り外しの時点でリール31に残っているACFテープ4の長さがテープ残長として記録される(後述)。
【0046】
図6及び図7において、制御装置40には、リーダライタ制御部40d、テープ残長記憶部40e、切片長さ記憶部40f、初期残切片数算出部40g、初期残切片数記憶部40h、ヘッド作動順序設定部40k、貼着動作カウンタ40m、残切片数算出部40p及びテープ残長算出部40qが設けられている。
【0047】
制御装置40にはオペレータOPによって操作されるリーダライタLWを接続させることができ(図6及び図7)、リーダライタ制御部40dは、オペレータOPによって操作されるリーダライタLWを介して各リール31のリール側メモリ31mにアクセスし、オペレータOPによる所定の操作に応じ、リール側メモリ31mに記憶されたテープ残長のデータを読み出して制御装置40のテープ残長記憶部40eに書き込むアップロード動作と、制御装置40のテープ残長記憶部40eに記憶されたテープ残長のデータを読み出してリール側メモリ31mに書き込むダウンロード動作を行う(図7)。
【0048】
制御装置40の切片長さ記憶部40fには、ACFテープ4から切り出そうとするテープ切片4sの長さ(以下、「切片長さ」と称する。この切片長さはLsに等しい)のデータが記憶されている。
【0049】
初期残切片数算出部40gは、2つの貼着ヘッド14の少なくとも一方についてリール31の取り付け(例えば、リール交換時におけるリール31の取り付け)を行ったリール取り付け時に、テープ残長記憶部40eに記憶された各リール31のテープ残長のデータを読み出すとともに切片長さ記憶部40fから切片長さを読み出し、各リール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を「初期残切片数」として算出して、その算出した残切片数を初期残切片数記憶部40hに記憶させる(図7)。
【0050】
ヘッド作動順序設定部40kは、2つの貼着ヘッド14の少なくとも一方についてリール31の取り付けがなされたことを検知した場合に、初期残切片数算出部40gにより算出された(初期残切片数記憶部40hに記憶された)各リール31の初期残切片数に基づいて、後述の要領によってヘッド作動順序を設定する。
【0051】
貼着動作カウンタ40mは、各貼着ヘッド14について、テープ切片4sの貼着動作の実行数をカウントする。
【0052】
残切片数算出部40pは、初期残切片数記憶部40hに記憶された各リール31の初期残切片数を初期の残切片数とし、以後、貼着動作カウンタ40mによって貼着ヘッド14による貼着動作がカウントされるたびに残切片数の数を減じて各貼着ヘッド14における現在の残切片数を求める。
【0053】
テープ残長算出部40qは、テープ残長記憶部40eに記憶された各リール31のACFテープ4のテープ残長に対し、貼着動作カウンタ40mによって貼着ヘッド14の貼着動作がカウントされるたびにACFテープ4のテープ残長からテープ切片4sのひとつ分の長さに相当する長さLsを減じてテープ残長記憶部40eに記憶(上書き記憶、すなわち更新記憶)させる。これによりテープ残長記憶部40eには、常に各貼着ヘッド14の現在のテープ残長が記録された状態となる。
【0054】
なお、このように各ACFテープ4のテープ残長がそのACFテープ4のリール31側面に設けられたリール側メモリ31mに記憶される構成に変えて、各リール31にはID(識別符)が記載されたバーコードのみが設けられ、別のデータ管理装置でリール31のIDとテープ残長とが関連付けて記憶されるようにしてもよい。
【0055】
ヘッド作動順序の設定では、先ず、初期残切片数算出部40gが、テープ残長記憶部40eに記憶された各貼着ヘッド14のリール31のACFテープ4のテープ残長を読み出すとともに(図10に示すステップST1)、切片長さ記憶部40fに記憶された切片長さを読み出す(図10に示すステップST2)。このときテープ残長記憶部40eから読み出すテープ残長のデータは、2つの貼着ヘッド14のうち、テープ交換を行った方では新たに取り付けるリール31のテープ残長記憶メモリ31mからリーダライタLWによって読み出されてテープ残長記憶部40eに書き込まれたデータであり、テープ交換を行った方でない方では、もともとテープ残長記憶部40eに記憶されていたデータである。
【0056】
制御装置40の初期残切片数算出部40gは、テープ残長記憶部40eから各貼着ヘッド14のACFテープ4のテープ残長を読み出すとともに、切片長さ記憶部40fから切片長さを読み出したら、その読み出した各貼着ヘッド14のACFテープ4のテープ残長と切片長さとに基づいて、各貼着ヘッド14の初期残切片数を算出し、その値を初期残切片数記憶部40hに記憶させる(図10に示すステップST3)。
【0057】
このように、本実施の形態において、制御装置40の初期残切片数算出部40gは、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段として機能し、上記のステップST3は、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を残切片数として算出する残切片数算出工程となっている。
【0058】
初期残切片数算出部40gが、各貼着ヘッド14の初期残切片数を算出してその値を初期残切片数記憶部40hに記憶させたら、ヘッド作動順序設定部40kが、初期残切片数記憶部40hに記憶された各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序(ヘッド作動順序)を設定する(図10に示すステップST4)。
【0059】
このように、本実施の形態において、制御装置40のヘッド作動順序設定部40kは、残切片数算出手段である初期残切片数算出部40gにより算出された各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)を設定するヘッド作動順序設定手段として機能し、上記のステップST4は、ステップST3の残切片数算出工程で算出した各貼着ヘッド14の残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくようなヘッド作動順序を設定するヘッド作動順序設定工程となっている。
【0060】
ヘッド作動順序設定部40kにおいて行うヘッド作動順序の設定では、例えば、初期残切片数記憶部40hに記憶された左右2つの貼着ヘッド14のリール31についてテープ切片4sの残切片数を比較した結果、オペレータOPから見て右側に位置する貼着ヘッド14(以下、右側の貼着ヘッド14)のリール31のテープ切片4sの残切片数が、オペレータOPから見て左側に位置する貼着ヘッド14(以下、左側の貼着ヘッド14)のリール31のテープ切片4sの残切片数の2倍であった場合には、右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作と左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作の実行頻度が2:1(すなわちテープ切片4sの消費比率が2:1)の比率となるサイクルでテープ切片4sの貼着動作を実行させるヘッド作動順序(図11(a)又は図11(b)のフローチャート参照)を設定する。
【0061】
図11(a)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST11)を行った後、更に左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST12)を行い、その後、右側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着(ステップST13)を行うサイクルでテープ切片4sの貼着を行うものであり、図11(b)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST21)と右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST22)を同時に行った後、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST23)を行うサイクルでテープ切片4sの貼着を行うものである。
【0062】
或いはヘッド作動順序設定部40kは、上記のケースにおいて、最初に、残切片数が多い方の左側の貼着ヘッド14のみによってテープ切片4sの貼着動作を実行し、2つの貼着ヘッド14における残切片数が等しくなったところで、2つの貼着ヘッド14による同時貼着(2つの貼着ヘッド14を同時に動作させて行うテープ切片4sの貼着)或いは2つの貼着ヘッド14による交互貼着(2つの貼着ヘッド14を交互に動作させて行うテープ切片4sの貼着)を実行するヘッド作動順序(図12(a)又は図12(b)のフローチャート参照)を設定することもできる。
【0063】
図12(a)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST31)を行った後、残切片数算出部40pにより検出される各貼着ヘッド14における現在の残切片数に基づいて、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になったかどうかの判断を行い(ステップST32)、その結果、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていなかった場合にはステップST21に戻って左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作を行い、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていた場合には、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST33)と右側のみの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST34)を交互に行う動作(交互貼着)を繰り返すものである。
【0064】
一方、図12(b)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST41)を行った後、残切片数算出部40pにより検出される各貼着ヘッド14における現在の残切片数に基づいて、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になったかどうかの判断を行い(ステップST42)、その結果、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていなかった場合にはステップST21に戻って左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作を行い、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていた場合には、左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着(ステップST43)と右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着(ステップST44)を同時に行う動作(同時貼着)を繰り返すものである。
【0065】
上述のようにしてヘッド作動順序設定部40kがヘッド作動順序を設定したら、貼着動作実行部40bが、ヘッド作動順序設定部40kにおいて設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせる。
【0066】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、残切片数算出部40pにおいて算出される2つのリール31それぞれの残切片数の少なくとも一方が「0」となったことを検知したときには、貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作を停止させるとともに、前述のタッチパネル48に、オペレータOPにテープ交換作業が必要である方の貼着ヘッド14の名称(「右側の貼着ヘッド」、「左側の貼着ヘッド」など)と、その貼着ヘッド14についてテープ交換作業を行うように促すメッセージを表示させる。
【0067】
オペレータOPは、タッチパネル48にテープ交換作業が必要である方の貼着ヘッド14の名称とその貼着ヘッド14についてテープ交換作業を行うよう促すメッセージが出力されたら、テープ交換を行うべきリール31を貼着ヘッド14から取り外したうえで、リーダライタLWを用いて、取り外したリール31が備えるテープ残長記憶メモリ31mにそのリール31のACFテープ4のテープ残長のデータを書き込む。これにより、貼着ヘッド14から取り外されたリール31のテープ残長記憶メモリ31mには、そのリール31が貼着ヘッド14から取り外された時点でのACFテープ4のテープ残長が記録され、リール31を取り外したときでもそのリール31のテープ残長のデータがそのリール31に(テープ残長記憶メモリ31mに)保持されることとなり、次に同一又は別の貼着ヘッド14に取り付けられたときに行われるヘッド作動順序の設定の際に必要なデータとして用いることができる(前述したように、各リール31に設けたIDのバーコードとデータ管理装置を用いた構成でも同様のことが行える)。
【0068】
次に、ACF貼着装置1により基板2上に形成された電極部列3Lを構成する各電極部3Bにテープ切片4sを貼着する作業(テープ切片貼着方法)の実行手順を説明する。このテープ切片4sを貼着する作業では、制御装置40は、先ず、上流工程側の電極部洗浄装置から送られてきた基板2を図示しない基板搬入機構によって搬入し、基板保持部12の上面に保持させる。
【0069】
制御装置40は、基板2の搬入及び保持を行ったら、基板2上に形成された電極部列3Lがバックアップステージ15の直上に位置するように基板保持部移動機構11を作動させて基板保持部12を移動させ、基板2の位置決めを行う。この基板2の位置決めの際、制御装置40は2つの貼着ヘッド14をそれぞれX軸方向に移動させ、各貼着ヘッド14に備えられた撮像カメラ25によって、基板2の左右両端部に設けられた位置決め用のマークを撮像する。そして、得られた位置決め用のマークの画像データを画像認識部40aにおいて画像認識することによって、基板2のバックアップステージ15に対する位置ずれを求め、位置ずれが起きている場合には基板2の位置決めを改めて行う。
【0070】
制御装置40は、基板2の位置決めを行ったら、2つの貼着ヘッド14の作動制御を行って、バックアップステージ15の直上に位置させた電極部列3Lを構成する各電極部3Bを対象とするテープ切片4sの貼着作業を行う。このテープ切片4sの貼着作業では、制御装置40の貼着動作実行部40bが、貼着動作プログラム記憶部40cに記憶された貼着動作プログラムと、前述の手順によりヘッド作動順序設定部40kで設定されたヘッド作動順序に従って、基板2上の電極部3B(基板2の長辺側及び短辺側それぞれに設けられた電極部列3Lの各電極部3B)にテープ切片4sを貼着する。
【0071】
このように本実施の形態において、制御装置40の貼着動作実行部40bは、ヘッド作動順序設定手段であるヘッド作動順序設定部40kにより設定されたヘッド作動順序に従って2つの貼着ヘッドにテープ切片4sの貼着動作を行わせる貼着動作実行手段として機能し、上記のテープ切片4sの貼着作業は、ステップST4のヘッド作動順序設定工程で設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせる工程となっている。
【0072】
制御装置40は、テープ切片4sの貼着作業が終了したら、図示しない基板搬出機構によって基板2を下流工程側の仮圧着装置に搬出する。これにより基板2の1枚当たりのテープ切片4sの貼着作業が終了する。
【0073】
このように本実施の形態におけるACF貼着装置1を用いたテープ切片4sの貼着作業では、搬入した1枚の基板2についてのテープ切片4sの貼着が終わるとその基板2を搬出し、また新たに基板2を搬入してテープ切片4sの貼着を行うが、このようなテープ切片4sの貼着作業において、少なくとも一方の貼着ヘッド14がテープ切れとなったときには、その旨の報知がタッチパネル48を通じてなされてオペレータOPはテープ切れとなった方のテープ交換を行う。この少なくとも一方の貼着ヘッド14におけるテープ交換時にはヘッド貼着順序が新たに設定されて2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が再開されるので、仮にテープ交換時に2つの貼着ヘッド14の間にテープ残量の差が生じていたとしても、そのまま2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が進めば、一方の貼着ヘッド14がテープ交換時期になったときには他方の貼着ヘッド14もテープ交換時期となり、2つの貼着ヘッド14について同時にテープ交換を行うことができるので、テープ交換のためにACF貼着装置1によるテープ切片4sの貼着作業を中断する機会は一度で済む。
【0074】
また、テープ交換後、2つの貼着ヘッド14がともにテープ切れとなる前に、何らかの理由によって一方の貼着ヘッド14についてテープ交換を行ったとしても、そのテープ交換を行った時点からまた新たにヘッド貼着順序が設定されるので、その後、2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が進行すれば、やはり2つの貼着ヘッド14はほぼ同時にテープ切れとなり、1回の作業中断で2つの貼着ヘッド14のテープ交換を行うことができる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態におけるテープ切片貼着装置であるACF貼着装置1(及びACF貼着装置1によるテープ切片貼着方法)では、2つの貼着ヘッド14の少なくともひとつにリール31が取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、リール取り付け時点において各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出し、その算出した各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)を設定して、その設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせるようになっているので、貼着ヘッド14間でテープ切れとなるタイミングをほぼ一致させることができる。このため、テープ切片4sの貼着作業を中断させる機会が少なくなり、テープ切片4sの貼着作業の作業効率、ひいては液晶パネル製造システムによる基板2の生産性の向上を図ることができる。
【0076】
なお、ACF貼着装置1のタイプによっては、各貼着ヘッド14の可動範囲が異なることがあり(例えば、装置サイズのコンパクト化のため)、或る貼着ヘッド14によればテープ切片4sの貼着を行うことができる場所であっても他の貼着ヘッド14ではテープ切片4sの貼着を行うことができないといったケースも起り得る。このような場合には本発明の適用を部分的に外さざるをえないケースも出てくるが、そのようなケースであっても本発明を適用することでACF貼着装置1による作業全体における上記効果は十分に得られる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
テープ切片の貼着作業を中断させる機会を少なくして作業効率を向上させることができるようにしたテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法を提供する。
【符号の説明】
【0078】
1 ACF貼着装置(テープ切片貼着装置)
2 基板
3B 電極部
4 ACFテープ
4s テープ切片
12 基板保持部
14 貼着ヘッド
31 リール
40b 貼着動作実行部(貼着動作実行手段)
40g 初期残切片数算出部(初期残切片数算出手段)
40k ヘッド作動順序設定部(ヘッド作動順序設定手段)
Tp テープ部材
Sp セパレータ(保護テープ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板が備える複数の電極部のそれぞれにACFテープの切片(テープ切片)を貼着するテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル製造システムによる液晶パネル製造作業では、基板の上面に設けられた複数の電極部のそれぞれにACF(Anisotropic Conductive Film)と呼ばれる異方性導電膜のテープ(ACFテープ)の切片(テープ切片)を貼着するテープ切片貼着工程があり、このテープ切片貼着工程におけるテープ切片の貼着作業にはテープ切片貼着装置としてのACF貼着装置が用いられる。
【0003】
ACF貼着装置は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられた貼着ヘッドを備えており、ACFテープは、その粘着面にセパレータと呼ばれる保護テープが貼り付けられたテープ部材の状態でリールに巻き付けられて供給される。リールは貼着ヘッドに取り付けられ、貼着ヘッドは、その取り付けられたリールから繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出して基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する。このようなACF貼着装置の中には複数の貼着ヘッドを備えたものもあり(例えば、特許文献1)、複数の電極部に対して複数の貼着ヘッドによりテープ切片の同時貼着を行うことで、基板の生産効率を向上させることができるようになっている。
【0004】
ACF貼着装置では、リールに残っているACFテープの長さがテープ切片を切り出すことができない程度に少なくなった(テープ切れとなった)ときには、テープ切れとなったリールを貼着ヘッドから取り外して新たなリールを取り付けるテープ交換作業を行う。このテープ交換作業はACF貼着装置によるテープ切片の貼着作業を停止させたうえで行い、テープ交換作業が終わったら、改めて貼着作業を開始させる。
【0005】
ここで、貼着ヘッドが複数設けられている場合には、通常、各貼着ヘッドはそれぞれ等分の割合でテープ切片の貼着動作を行うので、各貼着ヘッドそれぞれに新しいリールを同時に取り付けてテープ切片の貼着作業を開始すれば、複数の貼着ヘッドは同時期にテープ切れとなってテープ交換のためにテープ切片の貼着作業を中断させる機会は少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−168145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のACF貼着装置において、リールはテープ切れとなる前に貼着ヘッドから取り外されることがあり、またテープ切れとなる前に取り外されたリールが別の貼着ヘッドに取り付けられて使用されることもある。このため、リールに残っているACFテープの長さが互いに異なる複数の貼着ヘッドがそれぞれ等分の割合でテープ切片の貼着動作を行った場合には、貼着ヘッド間でテープ切れが起きるタイミングが異なるケースが多く、テープ交換作業のためにテープ切片の貼着作業を中断させる機会が頻繁になってテープ切片の貼着作業の作業効率が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、テープ切片の貼着作業を中断させる機会を少なくして作業効率を向上させることができるようにしたテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のACF貼着装置は、複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置であって、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において、各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段と、初期残切片数算出手段により算出された各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定するヘッド作動順序設定手段と、ヘッド作動順序設定手段により設定された貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる貼着動作実行手段とを備えた。
【0010】
請求項2に記載のテープ切片貼着方法は、複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置によるテープ切片貼着方法であって、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する工程と、算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定する工程と、設定した貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出し、その算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序(ヘッド作動順序)を設定して、その設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせるようになっているので、貼着ヘッド間でテープ切れとなるタイミングをほぼ一致させることができる。このため、テープ切片の貼着作業を中断させる機会が少なくなり、テープ切片の貼着作業の作業効率、ひいては液晶パネル製造システムによる基板の生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大斜視図
【図4】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大正面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分拡大正面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の制御系統を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の制御系統を示すブロック図
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するテープ切片の貼着作業の実行手順を示す図
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するテープ切片の貼着作業の実行手順を示す図
【図10】本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の設定手順を示すフローチャート
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の流れを示すフローチャート
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるヘッド作動順序の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すテープ切片貼着装置の一例としてのACF貼着装置1は、その上流工程側に配置された電極部洗浄装置や下流工程側に配置された仮圧着装置や本圧着装置等とともに液晶パネル製造システム(いずれも図示せず)を構成しており、上流工程側の電極部洗浄装置から長方形の液晶パネルの基板2を受け取った後、その基板2に設けられた複数の電極部3B(各電極部は複数の電極3から成る)のそれぞれにACFテープ4を短冊状に切断して得られるテープ切片4sを貼着して下流工程側の仮圧着装置に受け渡すものである。
【0014】
図1、図2及び図3において、ACF貼着装置1は、基台10、基台10上に設けられた基板保持部移動機構11によって移動自在に設けられた基板保持部12、基台10の上方を水平方向に延びた横フレーム13aを有する門型フレーム13、門型フレーム13の横フレーム13aに沿って移動自在に設けられた2つの貼着ヘッド14及び2つの貼着ヘッド14の下方に設けられたバックアップステージ15を備えている。以下、説明の便宜上、横フレーム13aの延びる方向であって2つの貼着ヘッド14が移動する水平方向をACF貼着装置1の左右方向(X軸方向)とし、2つの貼着ヘッド14の移動方向と直交する水平方向をACF貼着装置1の前後方向(Y軸方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。更に、左右方向(X軸方向)のうち、図1の紙面左側を左方、図1の紙面右側を右方とし、前後方向(Y軸方向)のうち、図1の紙面手前側(オペレータが作業をする側であって、図2の紙面左方)を前方、図1の紙面奥側(図2の紙面右方)を後方とする。
【0015】
図1において、ACFテープ4は片面に保護テープであるセパレータSpが貼り付けられたテープ部材Tpの状態で供給される。基板2上の複数の電極部3Bは、一の長辺と一の短辺のそれぞれの端部に一列に並んで設けられており、基板2の一の長辺と一の短辺のそれぞれには、複数の電極部3Bから成る電極部列3Lが形成された状態となっている。
【0016】
図1、図2及び図3において、基板保持部移動機構11はXテーブル11a、Yテーブル11b及びθテーブル11cの相互の相対移動によって基板保持部12を(すなわち基板2を)水平面内で移動させる。基板保持部12は、基板2上の長辺側若しくは短辺側に設けられた電極部列3LがX軸方向に延びるように(すなわち複数の電極部3BがX軸方向に並ぶように)基板2を水平姿勢に保持する。すなわち本実施の形態において、基板保持部12は、複数の電極部3Bを有した基板2を保持するものとなっている。
【0017】
図2及び図4において、各貼着ヘッド14は門型フレーム13の横フレーム13aに沿って移動自在な平板状のベース部20に、テープ搬送部21、ツール昇降シリンダ22によって昇降される押し付けツール23、テープ切断部24及び撮像カメラ25を備えている。
【0018】
図4において、テープ搬送部21は、テープ部材Tpを繰り出して供給するリール31、リール31より供給されるテープ部材Tpを真空吸引して回収するテープ回収部32及びリール31からテープ回収部32までの間のテープ部材Tpを案内する複数の案内ローラ(第1案内ローラ33a、第2案内ローラ33b、第3案内ローラ33c及び一対の第4案内ローラ33d)から成る。
【0019】
図4において、第1案内ローラ33aはベース部20の左方上部に上下方向に延びて形成されたローラ移動溝20a内を移動自在であり、図示しない付勢部材によって上方に付勢されている。第2案内ローラ33bは第1案内ローラ33aの下方のベース部20の左側下部に設けられており、第3案内ローラ33cは第2案内ローラ33bの右方のベース部20の右側下部に設けられている。一対の第4案内ローラ33dは第3案内ローラ33cの上方のベース部20の右側中央部に左右方向に並んで設けられている。
【0020】
図4において、リール31から供給されるテープ部材Tpは、第1案内ローラ33a、第2案内ローラ33b、第3案内ローラ33c及び一対の第4案内ローラ33dによってこの順で案内され(一対の第4案内ローラ33dではテープ部材Tpは両面が左右方向から挟まれた状態となる)、テープ回収部32に送られる。
【0021】
図4において、テープ部材Tpは、第1案内ローラ33aがローラ移動溝20a内で上方に付勢されることによって適度なテンションが与えられ、第1案内ローラ33aと第2案内ローラ33bの間ではベース部20の左側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持され、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cの間では、ベース部20の下側領域を左右方向(X軸方向)に延びた水平姿勢に保持される。またテープ部材Tpは、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間及び一対の第4案内ローラ33dとテープ回収部32との間では、ベース部20の右側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持される。
【0022】
図4において、テープ搬送部21は、テープ回収部32によってテープ部材Tpを吸引するとともに一対の第4案内ローラ33dでテープ部材Tpの流れの下流側へ送りながらリール31からテープ部材Tpを繰り出すことによってテープ部材Tpを順方向(第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cとの間の水平搬送領域を左から右に流れる方向。図4中に示す矢印A)に搬送することができ、テープ回収部32によってテープ部材Tpを吸引するとともに一対の第4案内ローラ33dでテープ部材Tpの流れの上流側へ送りながらリール31によりテープ部材Tpを巻き取ることによってテープ部材Tpを逆方向(上記水平搬送領域を右から左に流れる方向)に搬送することができる。
【0023】
図4において、押し付けツール23はツール昇降シリンダ22により所定の初期位置(図4に示す位置)とその下方のテープ押し付け位置との間で移動され、押し付けツール23は、初期位置にあるときには第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cによって水平方向に案内されるテープ部材Tpよりも上方の位置に位置し、テープ押し付け位置にあるときには、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cによって水平方向に案内されるテープ部材Tpよりも下方の位置に位置する。
【0024】
図4において、押し付けツール23にはヒータ23hが内蔵されており、このヒータ23hを作動させることによって押し付けツール23の全体を加熱することができる。
【0025】
図4において、テープ切断部24は第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間の位置に設けられており、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間を垂直に延びるテープ部材Tpの右方領域に設けられたカッター24a及びテープ部材Tpの左方領域においてカッター24aと水平方向に対向する位置(すなわちカッター24aとの間でテープ部材Tpを挟む位置)に設けられた背板部24bを有して成る。
【0026】
図4において、カッター24aは左方の切断位置と右方の待機位置との間で水平方向(すなわち、テープ部材Tpの面に直交する方向)に移動自在であり、切断位置に位置した状態において、セパレータSpを切断することなく、ACFテープ4のみを切断する。なお、カッター24aがACFテープ4に押し付けられたとき、背板部24bはテープ部材Tpの左面のセパレータSpを支持してテープ部材Tpに対するカッター24aの押し付け荷重の反力をとる当て板として機能する。
【0027】
図5において、第3案内ローラ33cと一対の第4案内ローラ33dの間を垂直方向に延びるテープ部材Tpの右面のACFテープ4は、その先端部がカッター24aによるACFテープ4の切断位置Mよりも長さLsだけ引き上げられた状態でテープ切断部24によって切断される。この長さLsは、基板2上のテープ切片4sを貼着しようとする電極部3BのX軸方向の寸法に対応する長さ(すなわち電極部3Bの長さに応じた長さ)であり、テープ部材TpからACFテープ4のみがテープ切断部24によって切断されることによって、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sが形成される。
【0028】
図4において、撮像カメラ25はベース部20の右側下方に撮像視野を下方に向けて設けられており、ベース部20の水平方向への移動に応じて移動し、基板保持部12に保持された基板2の左右両端部に設けられた位置決め用のマーク(図示せず)の撮像を行う。
【0029】
基板保持部12に保持された基板2の移動(位置決め)動作は、ACF貼着装置1が備える制御装置40(図1及び図6)が前述の基板保持部移動機構11の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
各貼着ヘッド14の門型フレーム13の横フレーム13aに対する左右方向(X軸方向)への移動は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るベース部移動機構41(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0031】
テープ搬送部21によるテープ部材Tpの搬送動作は、制御装置40がリール31を駆動するリール駆動モータ42(図2及び図6)とテープ回収部32を駆動するテープ回収部駆動機構43(図2及び図6)及び一対の第4案内ローラ33dを駆動するローラ駆動機構44(図2及び図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0032】
テープ部材TpにおけるACFテープ4の先頭部の位置は、回転数検出センサ45(図6)によって検出される一対の第4案内ローラ33dのうちの一方の回転数の情報と、この一方の第4案内ローラ33dの半径のデータ等から制御装置40において算出される。
【0033】
テープ切断部24におけるカッター24aの左右方向への移動動作、すなわちカッター24aによるACFテープ4の切断動作は、制御装置40がカッター24aを左右方向に移動させるカッター駆動シリンダ46(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0034】
押し付けツール23の昇降動作は、制御装置40がツール昇降シリンダ22の作動制御を行うことによってなされる(図6)。また、押し付けツール23に内蔵されたヒータ23h(図4)による押し付けツール23の加熱動作は、制御装置40がヒータ作動機構47(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
撮像カメラ25による撮像動作制御は制御装置40によってなされる(図6)。撮像カメラ25によって撮像された画像データは制御装置40に送られ、制御装置40の画像認識部40a(図6)において画像認識される。
【0036】
図6において、制御装置40には入出力装置としてのタッチパネル48が接続されており、オペレータOP(図3)はこのタッチパネル48を介して制御装置40からのメッセージを受けることができるとともに、タッチパネル48を介して制御装置40に対して必要な指令入力を行うことができる。
【0037】
図6において、制御装置40の貼着動作実行部40bは、貼着動作プログラム記憶部40cに記憶された貼着動作プログラムに従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着作業(基板2の各電極部3Bにテープ切片4sを貼着させる作業)を行わせる。ここで、2つの貼着ヘッド14がどうような順序で作動してテープ切片4sの貼着作業を行っていくかについては、後述するヘッド作動順序設定部40kで設定された2つの貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)に従うことから、貼着動作プログラムには定められていない(但し、ヘッド作動順序設定部40kでヘッド作動順序が設定された後、その設定されたヘッド作動順序を貼着動作プログラムに反映させることで、ヘッド作動順序を貼着動作プログラムの一部として管理するようにしてもよい)。
【0038】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、テープ切片4sの貼着作業を実行する場合には、先ず、基板2上の一方の電極部列3Lがバックアップステージ15の直上に位置するように基板保持部12を移動させて基板2の位置決めを行った後、これからテープ切片4sの貼着作業を行わせようとする貼着ヘッド14を左右方向(X軸方向)に移動させ、その貼着ヘッド14が備える押し付けツール23の左端がテープ切片4sを貼着しようとする電極部3Bの左端の直上に位置するようにして貼着ヘッド14の位置決めを行う(図8(a))。
【0039】
制御装置40は、上記貼着ヘッド14の位置決めと並行して、テープ搬送部21によりテープ部材Tpを順方向に搬送し(図8(a)中に示す矢印B1)、ACFテープ4の先頭部がテープ切断部24によるACFテープ4の切断位置Mを通り過ぎて電極部3BのX軸方向の長さに相当する長さLsだけ上方の位置に位置するようにしてACFテープ4の先頭部の位置決めを行う(図8(a))。そして、制御装置40は、カッター駆動シリンダ46の作動制御を行ってカッター24aを待機位置から切断位置に移動させ(図8(a)中に示す矢印C)、ACFテープ4の切断を行って、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sを形成させる(図8(a))。
【0040】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、セパレータSp上に長さLsのテープ切片4sを形成させたら、テープ搬送部21によってテープ部材Tpを逆方向に搬送し(図8(b)中に示す矢印B2)、セパレータSp上に形成させたテープ切片4sを押し付けツール23の下方(これからテープ切片4sを貼着しようとする電極部3Bの直上)に位置決めする(図8(b))。
【0041】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、上記のようにしてテープ切片4sの位置決めを行ったら、ツール昇降シリンダ22の作動制御を行って初期位置に位置した押し付けツール23をテープ押し付け位置まで下降させ(図8(c)中に示す矢印D1)、ヒータ23hで予め加熱しておいた押し付けツール23によってテープ切片4sを基板2上の電極部3Bに貼着させる(図8(c))。このテープ切片4sの貼着動作では、制御装置40は、テープ切片4sをセパレータSpごと基板2の縁部(この基板2の縁部の下面はバックアップステージ15によって支持されている)に押し付けるようにする。
【0042】
制御装置40は、押し付けツール23によって基板2上の電極部3BにACFテープ4を貼着させたら、押し付けツール23を初期位置まで上昇させる(図9(a)。図中に示す矢印D2)。図9(a)に示すように、押し付けツール23を初期位置に上昇させても、第2案内ローラ33bと第3案内ローラ33cの間のテープ部材Tpは、テープ切片4sが電極部3Bに貼着されていることから、下方に引っ張られた状態が維持される。
【0043】
制御装置40は押し付けツール23を初期位置まで上昇させたら、貼着ヘッド14を左方に移動させつつ(図9(b)及び図9(c)中に示す矢印E)、テープ搬送部21によってテープ部材Tpを順方向に搬送する(図9(b)及び図9(c)中に示す矢印B3)。これにより、基板2上に貼着されたテープ切片4sの上面に貼り付いているセパレータSpは上方に引っ張り上げられながら、電極部3Bに貼着されたテープ切片4sから剥離される(図9(c))。
【0044】
このように各貼着ヘッド14は、ACFテープ4に保護テープであるセパレータSpが貼り付けられて成るテープ部材Tpが巻き付けられたリール31を有し、リール31より繰り出されるテープ部材Tpから電極部3Bの長さに応じた長さのACFテープ4をテープ切片4sとして切り出してその切り出したテープ切片4sを基板保持部12に保持された基板2の電極部3Bに貼着するものとなっている。
【0045】
図4及び図7において、各リール31の側面にはリール側メモリ31mが設けられている。このリール側メモリ31mには、そのリール31に残っているACFテープ4の長さ(以下、「テープ残長」と称する)のデータが記憶される。リール側メモリ31mには、リール31のACFテープ4が全く使用されていない状態ではACFテープ4の未使用時の長さが記録されており、その後、そのリール31が貼着ヘッド14に取り付けられて使用された(テープ切片4sが切り出された)後、貼着ヘッド14から取り外されるときに、その貼着ヘッド14の取り外しの時点でリール31に残っているACFテープ4の長さがテープ残長として記録される(後述)。
【0046】
図6及び図7において、制御装置40には、リーダライタ制御部40d、テープ残長記憶部40e、切片長さ記憶部40f、初期残切片数算出部40g、初期残切片数記憶部40h、ヘッド作動順序設定部40k、貼着動作カウンタ40m、残切片数算出部40p及びテープ残長算出部40qが設けられている。
【0047】
制御装置40にはオペレータOPによって操作されるリーダライタLWを接続させることができ(図6及び図7)、リーダライタ制御部40dは、オペレータOPによって操作されるリーダライタLWを介して各リール31のリール側メモリ31mにアクセスし、オペレータOPによる所定の操作に応じ、リール側メモリ31mに記憶されたテープ残長のデータを読み出して制御装置40のテープ残長記憶部40eに書き込むアップロード動作と、制御装置40のテープ残長記憶部40eに記憶されたテープ残長のデータを読み出してリール側メモリ31mに書き込むダウンロード動作を行う(図7)。
【0048】
制御装置40の切片長さ記憶部40fには、ACFテープ4から切り出そうとするテープ切片4sの長さ(以下、「切片長さ」と称する。この切片長さはLsに等しい)のデータが記憶されている。
【0049】
初期残切片数算出部40gは、2つの貼着ヘッド14の少なくとも一方についてリール31の取り付け(例えば、リール交換時におけるリール31の取り付け)を行ったリール取り付け時に、テープ残長記憶部40eに記憶された各リール31のテープ残長のデータを読み出すとともに切片長さ記憶部40fから切片長さを読み出し、各リール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を「初期残切片数」として算出して、その算出した残切片数を初期残切片数記憶部40hに記憶させる(図7)。
【0050】
ヘッド作動順序設定部40kは、2つの貼着ヘッド14の少なくとも一方についてリール31の取り付けがなされたことを検知した場合に、初期残切片数算出部40gにより算出された(初期残切片数記憶部40hに記憶された)各リール31の初期残切片数に基づいて、後述の要領によってヘッド作動順序を設定する。
【0051】
貼着動作カウンタ40mは、各貼着ヘッド14について、テープ切片4sの貼着動作の実行数をカウントする。
【0052】
残切片数算出部40pは、初期残切片数記憶部40hに記憶された各リール31の初期残切片数を初期の残切片数とし、以後、貼着動作カウンタ40mによって貼着ヘッド14による貼着動作がカウントされるたびに残切片数の数を減じて各貼着ヘッド14における現在の残切片数を求める。
【0053】
テープ残長算出部40qは、テープ残長記憶部40eに記憶された各リール31のACFテープ4のテープ残長に対し、貼着動作カウンタ40mによって貼着ヘッド14の貼着動作がカウントされるたびにACFテープ4のテープ残長からテープ切片4sのひとつ分の長さに相当する長さLsを減じてテープ残長記憶部40eに記憶(上書き記憶、すなわち更新記憶)させる。これによりテープ残長記憶部40eには、常に各貼着ヘッド14の現在のテープ残長が記録された状態となる。
【0054】
なお、このように各ACFテープ4のテープ残長がそのACFテープ4のリール31側面に設けられたリール側メモリ31mに記憶される構成に変えて、各リール31にはID(識別符)が記載されたバーコードのみが設けられ、別のデータ管理装置でリール31のIDとテープ残長とが関連付けて記憶されるようにしてもよい。
【0055】
ヘッド作動順序の設定では、先ず、初期残切片数算出部40gが、テープ残長記憶部40eに記憶された各貼着ヘッド14のリール31のACFテープ4のテープ残長を読み出すとともに(図10に示すステップST1)、切片長さ記憶部40fに記憶された切片長さを読み出す(図10に示すステップST2)。このときテープ残長記憶部40eから読み出すテープ残長のデータは、2つの貼着ヘッド14のうち、テープ交換を行った方では新たに取り付けるリール31のテープ残長記憶メモリ31mからリーダライタLWによって読み出されてテープ残長記憶部40eに書き込まれたデータであり、テープ交換を行った方でない方では、もともとテープ残長記憶部40eに記憶されていたデータである。
【0056】
制御装置40の初期残切片数算出部40gは、テープ残長記憶部40eから各貼着ヘッド14のACFテープ4のテープ残長を読み出すとともに、切片長さ記憶部40fから切片長さを読み出したら、その読み出した各貼着ヘッド14のACFテープ4のテープ残長と切片長さとに基づいて、各貼着ヘッド14の初期残切片数を算出し、その値を初期残切片数記憶部40hに記憶させる(図10に示すステップST3)。
【0057】
このように、本実施の形態において、制御装置40の初期残切片数算出部40gは、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段として機能し、上記のステップST3は、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、各貼着ヘッド14が備えるリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を残切片数として算出する残切片数算出工程となっている。
【0058】
初期残切片数算出部40gが、各貼着ヘッド14の初期残切片数を算出してその値を初期残切片数記憶部40hに記憶させたら、ヘッド作動順序設定部40kが、初期残切片数記憶部40hに記憶された各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序(ヘッド作動順序)を設定する(図10に示すステップST4)。
【0059】
このように、本実施の形態において、制御装置40のヘッド作動順序設定部40kは、残切片数算出手段である初期残切片数算出部40gにより算出された各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)を設定するヘッド作動順序設定手段として機能し、上記のステップST4は、ステップST3の残切片数算出工程で算出した各貼着ヘッド14の残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくようなヘッド作動順序を設定するヘッド作動順序設定工程となっている。
【0060】
ヘッド作動順序設定部40kにおいて行うヘッド作動順序の設定では、例えば、初期残切片数記憶部40hに記憶された左右2つの貼着ヘッド14のリール31についてテープ切片4sの残切片数を比較した結果、オペレータOPから見て右側に位置する貼着ヘッド14(以下、右側の貼着ヘッド14)のリール31のテープ切片4sの残切片数が、オペレータOPから見て左側に位置する貼着ヘッド14(以下、左側の貼着ヘッド14)のリール31のテープ切片4sの残切片数の2倍であった場合には、右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作と左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作の実行頻度が2:1(すなわちテープ切片4sの消費比率が2:1)の比率となるサイクルでテープ切片4sの貼着動作を実行させるヘッド作動順序(図11(a)又は図11(b)のフローチャート参照)を設定する。
【0061】
図11(a)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST11)を行った後、更に左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST12)を行い、その後、右側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着(ステップST13)を行うサイクルでテープ切片4sの貼着を行うものであり、図11(b)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST21)と右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST22)を同時に行った後、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST23)を行うサイクルでテープ切片4sの貼着を行うものである。
【0062】
或いはヘッド作動順序設定部40kは、上記のケースにおいて、最初に、残切片数が多い方の左側の貼着ヘッド14のみによってテープ切片4sの貼着動作を実行し、2つの貼着ヘッド14における残切片数が等しくなったところで、2つの貼着ヘッド14による同時貼着(2つの貼着ヘッド14を同時に動作させて行うテープ切片4sの貼着)或いは2つの貼着ヘッド14による交互貼着(2つの貼着ヘッド14を交互に動作させて行うテープ切片4sの貼着)を実行するヘッド作動順序(図12(a)又は図12(b)のフローチャート参照)を設定することもできる。
【0063】
図12(a)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST31)を行った後、残切片数算出部40pにより検出される各貼着ヘッド14における現在の残切片数に基づいて、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になったかどうかの判断を行い(ステップST32)、その結果、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていなかった場合にはステップST21に戻って左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作を行い、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていた場合には、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST33)と右側のみの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作(ステップST34)を交互に行う動作(交互貼着)を繰り返すものである。
【0064】
一方、図12(b)のフローチャートに示すヘッド作動順序は、左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作(ステップST41)を行った後、残切片数算出部40pにより検出される各貼着ヘッド14における現在の残切片数に基づいて、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になったかどうかの判断を行い(ステップST42)、その結果、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていなかった場合にはステップST21に戻って左側の貼着ヘッド14のみによるテープ切片4sの貼着動作を行い、左側の貼着ヘッド14における残切片数と右側の貼着ヘッド14における残切片数とが同数になっていた場合には、左側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着(ステップST43)と右側の貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着(ステップST44)を同時に行う動作(同時貼着)を繰り返すものである。
【0065】
上述のようにしてヘッド作動順序設定部40kがヘッド作動順序を設定したら、貼着動作実行部40bが、ヘッド作動順序設定部40kにおいて設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせる。
【0066】
制御装置40の貼着動作実行部40bは、残切片数算出部40pにおいて算出される2つのリール31それぞれの残切片数の少なくとも一方が「0」となったことを検知したときには、貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着動作を停止させるとともに、前述のタッチパネル48に、オペレータOPにテープ交換作業が必要である方の貼着ヘッド14の名称(「右側の貼着ヘッド」、「左側の貼着ヘッド」など)と、その貼着ヘッド14についてテープ交換作業を行うように促すメッセージを表示させる。
【0067】
オペレータOPは、タッチパネル48にテープ交換作業が必要である方の貼着ヘッド14の名称とその貼着ヘッド14についてテープ交換作業を行うよう促すメッセージが出力されたら、テープ交換を行うべきリール31を貼着ヘッド14から取り外したうえで、リーダライタLWを用いて、取り外したリール31が備えるテープ残長記憶メモリ31mにそのリール31のACFテープ4のテープ残長のデータを書き込む。これにより、貼着ヘッド14から取り外されたリール31のテープ残長記憶メモリ31mには、そのリール31が貼着ヘッド14から取り外された時点でのACFテープ4のテープ残長が記録され、リール31を取り外したときでもそのリール31のテープ残長のデータがそのリール31に(テープ残長記憶メモリ31mに)保持されることとなり、次に同一又は別の貼着ヘッド14に取り付けられたときに行われるヘッド作動順序の設定の際に必要なデータとして用いることができる(前述したように、各リール31に設けたIDのバーコードとデータ管理装置を用いた構成でも同様のことが行える)。
【0068】
次に、ACF貼着装置1により基板2上に形成された電極部列3Lを構成する各電極部3Bにテープ切片4sを貼着する作業(テープ切片貼着方法)の実行手順を説明する。このテープ切片4sを貼着する作業では、制御装置40は、先ず、上流工程側の電極部洗浄装置から送られてきた基板2を図示しない基板搬入機構によって搬入し、基板保持部12の上面に保持させる。
【0069】
制御装置40は、基板2の搬入及び保持を行ったら、基板2上に形成された電極部列3Lがバックアップステージ15の直上に位置するように基板保持部移動機構11を作動させて基板保持部12を移動させ、基板2の位置決めを行う。この基板2の位置決めの際、制御装置40は2つの貼着ヘッド14をそれぞれX軸方向に移動させ、各貼着ヘッド14に備えられた撮像カメラ25によって、基板2の左右両端部に設けられた位置決め用のマークを撮像する。そして、得られた位置決め用のマークの画像データを画像認識部40aにおいて画像認識することによって、基板2のバックアップステージ15に対する位置ずれを求め、位置ずれが起きている場合には基板2の位置決めを改めて行う。
【0070】
制御装置40は、基板2の位置決めを行ったら、2つの貼着ヘッド14の作動制御を行って、バックアップステージ15の直上に位置させた電極部列3Lを構成する各電極部3Bを対象とするテープ切片4sの貼着作業を行う。このテープ切片4sの貼着作業では、制御装置40の貼着動作実行部40bが、貼着動作プログラム記憶部40cに記憶された貼着動作プログラムと、前述の手順によりヘッド作動順序設定部40kで設定されたヘッド作動順序に従って、基板2上の電極部3B(基板2の長辺側及び短辺側それぞれに設けられた電極部列3Lの各電極部3B)にテープ切片4sを貼着する。
【0071】
このように本実施の形態において、制御装置40の貼着動作実行部40bは、ヘッド作動順序設定手段であるヘッド作動順序設定部40kにより設定されたヘッド作動順序に従って2つの貼着ヘッドにテープ切片4sの貼着動作を行わせる貼着動作実行手段として機能し、上記のテープ切片4sの貼着作業は、ステップST4のヘッド作動順序設定工程で設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせる工程となっている。
【0072】
制御装置40は、テープ切片4sの貼着作業が終了したら、図示しない基板搬出機構によって基板2を下流工程側の仮圧着装置に搬出する。これにより基板2の1枚当たりのテープ切片4sの貼着作業が終了する。
【0073】
このように本実施の形態におけるACF貼着装置1を用いたテープ切片4sの貼着作業では、搬入した1枚の基板2についてのテープ切片4sの貼着が終わるとその基板2を搬出し、また新たに基板2を搬入してテープ切片4sの貼着を行うが、このようなテープ切片4sの貼着作業において、少なくとも一方の貼着ヘッド14がテープ切れとなったときには、その旨の報知がタッチパネル48を通じてなされてオペレータOPはテープ切れとなった方のテープ交換を行う。この少なくとも一方の貼着ヘッド14におけるテープ交換時にはヘッド貼着順序が新たに設定されて2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が再開されるので、仮にテープ交換時に2つの貼着ヘッド14の間にテープ残量の差が生じていたとしても、そのまま2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が進めば、一方の貼着ヘッド14がテープ交換時期になったときには他方の貼着ヘッド14もテープ交換時期となり、2つの貼着ヘッド14について同時にテープ交換を行うことができるので、テープ交換のためにACF貼着装置1によるテープ切片4sの貼着作業を中断する機会は一度で済む。
【0074】
また、テープ交換後、2つの貼着ヘッド14がともにテープ切れとなる前に、何らかの理由によって一方の貼着ヘッド14についてテープ交換を行ったとしても、そのテープ交換を行った時点からまた新たにヘッド貼着順序が設定されるので、その後、2つの貼着ヘッド14によるテープ切片4sの貼着作業が進行すれば、やはり2つの貼着ヘッド14はほぼ同時にテープ切れとなり、1回の作業中断で2つの貼着ヘッド14のテープ交換を行うことができる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態におけるテープ切片貼着装置であるACF貼着装置1(及びACF貼着装置1によるテープ切片貼着方法)では、2つの貼着ヘッド14の少なくともひとつにリール31が取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4の長さ(テープ残長)及び切り出そうとするテープ切片4sの長さ(切片長さ)から、リール取り付け時点において各貼着ヘッド14のリール31に残っているACFテープ4から切り出すことができるテープ切片4sの数を初期残切片数として算出し、その算出した各貼着ヘッド14の初期残切片数に基づいて、2つの貼着ヘッド14間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッド14の作動順序(ヘッド作動順序)を設定して、その設定したヘッド作動順序に従って各貼着ヘッド14にテープ切片4sの貼着動作を行わせるようになっているので、貼着ヘッド14間でテープ切れとなるタイミングをほぼ一致させることができる。このため、テープ切片4sの貼着作業を中断させる機会が少なくなり、テープ切片4sの貼着作業の作業効率、ひいては液晶パネル製造システムによる基板2の生産性の向上を図ることができる。
【0076】
なお、ACF貼着装置1のタイプによっては、各貼着ヘッド14の可動範囲が異なることがあり(例えば、装置サイズのコンパクト化のため)、或る貼着ヘッド14によればテープ切片4sの貼着を行うことができる場所であっても他の貼着ヘッド14ではテープ切片4sの貼着を行うことができないといったケースも起り得る。このような場合には本発明の適用を部分的に外さざるをえないケースも出てくるが、そのようなケースであっても本発明を適用することでACF貼着装置1による作業全体における上記効果は十分に得られる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
テープ切片の貼着作業を中断させる機会を少なくして作業効率を向上させることができるようにしたテープ切片貼着装置及びテープ切片貼着方法を提供する。
【符号の説明】
【0078】
1 ACF貼着装置(テープ切片貼着装置)
2 基板
3B 電極部
4 ACFテープ
4s テープ切片
12 基板保持部
14 貼着ヘッド
31 リール
40b 貼着動作実行部(貼着動作実行手段)
40g 初期残切片数算出部(初期残切片数算出手段)
40k ヘッド作動順序設定部(ヘッド作動順序設定手段)
Tp テープ部材
Sp セパレータ(保護テープ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置であって、
複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において、各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段と、
初期残切片数算出手段により算出された各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定するヘッド作動順序設定手段と、
ヘッド作動順序設定手段により設定された貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる貼着動作実行手段とを備えたことを特徴とするテープ切片貼着装置。
【請求項2】
複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置によるテープ切片貼着方法であって、
複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する工程と、
算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定する工程と、
設定した貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる工程とを含むことを特徴とするテープ切片貼着方法。
【請求項1】
複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置であって、
複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において、各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する初期残切片数算出手段と、
初期残切片数算出手段により算出された各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定するヘッド作動順序設定手段と、
ヘッド作動順序設定手段により設定された貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる貼着動作実行手段とを備えたことを特徴とするテープ切片貼着装置。
【請求項2】
複数の電極部を有した基板を保持する基板保持部と、ACFテープに保護テープが貼り付けられて成るテープ部材が巻き付けられたリールを有し、リールより繰り出されるテープ部材から電極部の長さに応じた長さのACFテープをテープ切片として切り出してその切り出したテープ切片を基板保持部に保持された基板の電極部に貼着する複数の貼着ヘッドとを備えたACF貼着装置によるテープ切片貼着方法であって、
複数の貼着ヘッドの少なくともひとつにリールが取り付けられたリール取り付け時点における各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープの長さ及び切り出そうとするテープ切片の長さから、リール取り付け時点において各貼着ヘッドのリールに残っているACFテープから切り出すことができるテープ切片の数を初期残切片数として算出する工程と、
算出した各貼着ヘッドの初期残切片数に基づいて、複数の貼着ヘッド間における初期残切片数の差が次第に小さくなっていくような貼着ヘッドの作動順序を設定する工程と、
設定した貼着ヘッドの作動順序に従って各貼着ヘッドにテープ切片の貼着動作を行わせる工程とを含むことを特徴とするテープ切片貼着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−21003(P2013−21003A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150659(P2011−150659)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]