説明

ディスク装置

【課題】 移送機構によって、ディスクを回転駆動部または支持体に確実に移送でき、またディスクが装填完了位置に至ったことを検知できる「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 移送ユニット17の移送ローラ112,113によってディスクDを筐体内に送り込むと、ディスクDによって装填検知部材200が押されて回動する。ディスクDが支持体に保持できる装填完了位置に完全に移動する前に、装填検知部材200により検知素子Feの出力が切換えられる。検知素子Feの検知出力が切換えられた後に、移送ローラ112,113でさらにディスクDが押されて装填完了位置に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送ローラなどを備えた移送機構によって、ディスクが筐体内に搬入され、搬入されたディスクが回転駆動部にクランプされて保持されるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用などのディスク装置は、筐体の前面にスリット状の挿入口が開口しており、挿入口の内側には移送ローラなどを備えた移送機構が設けられている。挿入口から挿入されたディスクは、移送ローラと挟持部とで挟持され、移送ローラの回転力によって筐体の内部に移送され、筐体の内部に設けられた回転駆動部にディスクの中心穴がクランプされる。
【0003】
また特許文献1に記載のような、筐体内に複数のディスクが収納されるディスク収納型ディスク装置では、筐体内に、それぞれがディスクを保持する支持体(トレイ)がディスクの厚み方向に重ねられて配置されている。筐体内には、支持体選択手段が設けられ、この支持体選択手段によっていずれかの支持体が選択される。そして、挿入口から挿入されたディスクが、移送機構の移送力によって筐体内に搬入されて選択された支持体に支持される。
【特許文献1】特開2001−307406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挿入口からディスクが挿入されて搬入されるディスク装置では、ディスクの中心穴が回転駆動部でクランプ可能な位置に至ると、ディスクの外周縁が筐体内に設けられたストッパ部に当たり、この時点で移送機構によるディスク搬入動作が停止するのが一般的である。また、特許文献1に記載のように、搬入したディスクが支持体に保持されるディスク収納型ディスク装置においても、搬入されたディスクが支持体に設けられたストッパ部に当たったときに移送機構によるディスク搬入が停止するように構成されている。
【0005】
しかし、上記のようにディスクがストッパ部に当たったときに移送機構によるディスク搬送を停止するものでは、ディスクの中心穴が回転駆動部でクランプ可能な位置に至る前にディスクへの搬送力が断たれるおそれがあり、ディスク収納型ディスク装置では、ディスクが支持体に完全に保持される前にディスクへの搬送力が断たれるおそれがある。
【0006】
また、移送機構で搬入されるディスクの中心穴が回転駆動部でクランプ可能な位置に至ったときに、ディスクで押されて動作する検知機構を設けることも考えられる。しかしながら、光学検知方式の検知機構や、機械式スイッチの検知機構は、いずれも検知機構の検出出力が切り換わるタイミングを高精度に設定することが難しい。例えば、ディスクの中心穴が回転駆動部上にちょうど至ったときに検知機構の検知出力が切り換わるように設定しようとしても、組み立て誤差や検知機構の動作タイミングのばらつきにより、ディスクの位置と検知機構の動作タイミングを常に一定に保つことが難しい。
【0007】
また、特許文献1に示されるようなディスク収納型ディスク装置では、ディスクが設置されるべき支持体が複数設けられ、この支持体が厚み方向に重ねて配置されているものであるため、個々の支持体にそれぞれ検知機構を設けると機構が複雑になる。またそれぞれの支持体に検知機構を設けたとしても、この検知機構の動作タイミングが支持体ごとにばらつくのを避けることができず、検知機構の検知出力に基づいてディスクの移送位置を決めた場合に、支持体によっては、ディスクが完全に装填されていない状態で検知機構の検知動作が行われる可能性がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ディスクが回転駆動部でクランプ可能な位置に至ったこと、およびディスクが支持体に保持されたことを確実に検知できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、ディスク(D)をクランプする回転駆動部(82)と、ディスクを前記回転駆動部でクランプ可能な装填完了位置へ向けて移送する移送機構(17)とが設けられたディスク装置において、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)の外周縁に押されて動作する装填検知部材(200)と、この装填検知部材(200)によって検知出力が切換えられる検知部(Fe)とが設けられ、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)が装填完了位置に至る前に、装填検知部材(200)が動作して前記検知部(Fe)の検知出力が切換えられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後に、さらに移送機構(17)によるディスク移送動作が継続されて、ディスク(D)が装填完了位置に設置されることを特徴とするものである。
【0010】
第2の本発明は、ディスク(D)を保持する支持体(21)と、ディスクを前記支持体(21)で保持可能な装填完了位置へ向けて移送する移送機構(17)とが設けられたディスク装置において、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)の外周縁に押されて動作する装填検知部材(200)と、この装填検知部材(200)によって検知出力が切換えられる検知部(Fe)とが設けられ、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)が装填完了位置に至る前に、装填検知部材(200)が動作して前記検知部(Fe)の検知出力が切換えられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後に、さらに移送機構(17)によるディスク移送動作が継続されて、ディスク(D)が装填完了位置に設置されることを特徴とするものである。
【0011】
例えば、上記発明は、ディスク(D)が装填完了位置に至ったときに、ディスクの外周縁が当たるストッパ部が設けられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後の移送機構(17)の移送力により、ディスクが前記ストッパ部に押し付けられるものである。
【0012】
本発明のディスク装置では、ディスクが装填完了位置に至ったことが検知部(Fe)で検知されるため、機構制御部においてディスクが装填完了位置に至ったことを確認できる。そのため、その後の動作に移行したときに、装填完了位置に完全に至っていないディスクを損傷させるなどの不都合が生じなくなる。
【0013】
また、ディスクが装填完了位置へ移動する前に検知部(Fe)の検知出力が切り換わり、その後のディスク移送力によって、装填検知部材が動作しながら、ディスクが装填完了位置へ移動する。そのため、検知部(Fe)の検知出力が切り換わる動作タイミングに時間的な誤差があっても、検知部を確実に動作させることができる。また検知部の動作タイミングは、ディスクが装填完了位置に至る前であるならば、その時間的誤差にかなり余裕が生じる。よって、検知部や装填検知部材の組み立て精度などをラフに設定でき、設計の自由度を持たせることができる。
【0014】
なお、検知素子(Fe)は光学検知素子であっても機械動作型のスイッチであってもよい。また装填検知部材(200)は回動方式のものであっても、スライドア方式のものであってもよい。また第1の本発明は、複数のディスクが筐体内に収納されたディスク収納型ディスク装置であってもよいし、ディスクが1枚のみ筐体内に搬入されるディスク装置であってもよい。
【0015】
さらに本発明は、移送機構(17)は、ディスクに移送力を与える移送ローラ(112,113)と、この移送ローラとでディスクを挟持して保持する挟持部(106)とを有しており、
移送機構(17)でディスク移送動作を継続した後に、移送ローラの回転を停止させ、移送ローラと挟持部とでディスクを挟持したままの状態で、ディスク(D)が回転駆動部(82)にクランプされるものが好ましい。
【0016】
上記発明では、検知部(Fe)の検知出力が切り換わった後に、移送機構でディスクが装填完了位置に押さえ付けられた後に、そのまま移送ローラを停止して、ディスクを動かないように保持したまま、ディスクを回転駆動部にクランプできる。そのため、装填完了位置に移動したディスクが回転駆動部によって確実にクランプされる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のディスク装置では、回転駆動部にクランプできる装填完了位置、または支持体に支持される装填完了位置へ、ディスクを確実に供給することができ、しかもディスクが装填完了位置に至ったことを検知することで、その後の制御動作を誤動作なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明のディスク収納型ディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、図2は本発明のディスク収納型ディスク装置を筐体の前面から見た正面図であり、(A)は主に筐体内の移送ユニットを示し、(B)は主に支持体と支持体選択手段および駆動ユニットさらにはシャッタを示すものである。図3は本発明のディスク収納型ディスク装置全体の平面図、図4と図5は、駆動ユニットに搭載された回転駆動部およびクランプ機構を示す側面図である。図6と図7は、第2の動力伝達部の構造を動作別に示す平面図、図8は第3の動力伝達部を示すものであり、移送ユニットの回動支点の構造を示す分解斜視図である。図9は、ディスク収納型ディスク装置に搭載されている検知手段を示す平面図である。図10と図11はディスク収納型ディスク装置の動作を示す平面図である。図12は電気回路の回路ブロック図である。図13ないし図16は検知動作およびこの検知動作に基づく動作制御を示すフローチャートである。
【0019】
(全体構造)
図1に示すディスク収納型ディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、図示Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。また、図示X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
【0020】
筐体2は下側から上側に向けて下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は筐体2の前面7と右側面8を有している。上部筐体5は筐体2の左側面9と後面10および天井面11を有している。
【0021】
下部筐体3の底面6の上面には第1の動力伝達部12が設けられている。第1の動力伝達部12の上にはユニット支持ベース13が支持され、ユニット支持ベース13の上に駆動ユニット14が搭載されている。中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の動力伝達部16が設けられている。中間筐体4では、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。移送ユニット17の図示X1側の端部と、下部筐体3の底面6との間に、第3の動力伝達部19が設けられている。第3の動力伝達部19はローラ駆動手段として機能している。
【0022】
上部筐体5では、左側面9と後面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、それぞれがディスクDを支持可能な複数の支持体21が厚み方向(図示Z1−Z2方向)に重ねられて配置されている。以下では、支持体21が6枚設けられている場合を例にとって説明する。
【0023】
上部筐体5には支持体選択手段22が設けられており、支持体選択手段22の動作により、6枚の支持体21のいずれかが選択されて図2(B)に示す選択位置(a)に移動させられるとともに、選択された支持体21とその下に隣接する支持体21との間隔が広げられる。
【0024】
ディスクDは、直径が12cmであり、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などである。
【0025】
図1および図2(A),(B)に示すように、筐体2の前面7には挿入口23が開口している。挿入口23はスリット状であり、上下方向の幅寸法がディスクDの厚み寸法よりもわずかに大きく、横方向の開口幅寸法WがディスクDの直径よりもわずかに広い。図2(B)に示すように、筐体2の前面7の内側には、シャッタ24が設けられている。このシャッタ24はZ1−Z2方向へ摺動自在であり、中間筐体4に設けられた第2の動力伝達部16の動力によって動作させられる。ディスクDが挿入口23から挿入されて筐体2の内部に搬入されるとき、および筐体2内のディスクDが挿入口23から排出されるときに、シャッタ24が上方へ摺動して挿入口23が開放され、それ以外のときはシャッタ24が下降して挿入口23が閉鎖される。
【0026】
図2(A)に示すように、移送ユニット17は挿入口23と同じ高さ位置にあり、挿入口23から挿入されたディスクDが、移送ユニット17によってディスク収納領域20に向けて移送される。図2(B)に示すように、複数枚の支持体21のうちの、選択位置(a)に至った支持体21は、挿入口23と同じ高さ位置となり、挿入口23から挿入されたディスクDは、移送ユニット17で移送されて、選択位置(a)にある支持体21の下面に供給されて保持される。
【0027】
図10に示すように、挿入口23の幅寸法Wを二分し且つ前面7と直交して筐体2の内方に延びる仮想線を挿入中心線Oaとしたときに、ディスク収納領域20の支持体21に支持されているディスクDの中心D0は、挿入中心線Oaから左側(X1側)へ距離δだけ離れている。
【0028】
(ユニット支持ベースと駆動ユニット)
図1と図3に示すように、下部筐体3の底面6上に支持されているユニット支持ベース13は、金属板を折り曲げて形成したものである。ユニット支持ベース13の手前には前方折曲げ片13aが設けられ、前方折曲げ片13aは、下部筐体3の前方折曲げ片3aの内側に平行に設置される。ユニット支持ベース13の後方には後方折曲げ片13bが形成されており、後方折曲げ片13bが、下部筐体3の後方折曲げ片3bの内側に平行に設置される。ユニット支持ベース13の右側には側部折曲げ片13cが設けられ、この側部折曲げ片13cは、下部筐体3の右側折曲げ片3cの内側に平行に設置される。
【0029】
図1と図3に示すように、ユニット支持ベース13の内縁13dは、凹状の円弧形状であり、図1に示す支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れた位置にある。そして、支持体選択手段22によって各支持体21が上下に移動させられる間に、ユニット支持ベース13がディスクDの外周縁に当たらないようになっている。
【0030】
図1および図3に示すように、下部筐体3の底面6上の3箇所には,弾性支持部材であるダンパー71,72,73が固定されている。ダンパー71,72,73は、ゴムなどの可撓性の袋体の内部に、オイルなどの液体または気体が封入されているものである。あるいは前記袋体と共に圧縮コイルスプリングが組み合わされているものである。
【0031】
図3に示すように、ユニット支持ベース13の底面の3箇所には支持軸74,75,76が下方に向けて垂直に固定されており、支持軸74はダンパー71に支持され、支持軸75はダンパー72に支持され、支持軸76はダンパー73に支持されている。ユニット支持ベース13は、各ダンパー71,72,73によって、筐体2の底面6上で弾性支持可能となっている。
【0032】
ユニット支持ベース13の後方折曲げ片13bには図示Y2方向へ突出する1本の拘束軸77が設けられており、拘束軸77が、図1に示したロック部材54のロック制御穴56内に挿入されている。ユニット支持ベース13の前方折曲げ片13aには図示Y1方向へ突出する一対の拘束軸78,78が設けられており、それぞれの拘束軸78は、図2(B)に示すロック部材61のロック制御穴62内に挿入されている。
【0033】
図1に示すロック部材54に形成されているロック制御穴56は、X1側に延びて且つ底面6に近づく拘束部56aと、この拘束部56aよりもX2側に連続して、底面6から離れた位置にある持ち上げ部56bと、この持ち上げ部56bのX2側に連続して、拘束軸77よりも十分に大きい面積で開口した逃げ部56cとが形成されている。同様に、図2(B)に示すロック制御穴62は、X1側に延び且つ底面6に近づく拘束部62aと、それよりもX2側に連続して底面6から離れた位置にある持ち上げ部62bと、さらにX2側に連続する逃げ部62cとが形成されている。
【0034】
ロック部材54およびロック部材61がX2側に移動しているときには、拘束軸77が拘束部56aに保持され、拘束軸78,78が拘束部62a,62aに保持されて、ユニット支持ベース13が筐体2の底面6に接近する位置に下降させられている。このときダンパー71,72,73が底面6に向けて押しつぶされた状態となる。ロック部材54およびロック部材61がX1側に移動すると、持ち上げ部56bによって拘束軸77が持ち上げられ、持ち上げ部62b,62bによって拘束軸88,88が持ち上げられて、ユニット支持ベース13が上昇させられる。ロック部材54およびロック部材61がさらにX1側に移動すると、拘束軸77が逃げ部56c内に移動し、拘束軸78,78が逃げ部62c,62c内に移動して、ユニット支持ベース13の拘束が解除され、ユニット支持ベース13は、ダンパー71,72,73によって弾性支持される。
【0035】
図3に示すように、駆動ユニット14は、細長い駆動ベース81を有している。ユニット支持ベース13の奥側には支持軸84が上向きに垂直に突出しており、駆動ベース81が支持軸84に支持されて、駆動ユニット14がX−Y平面に沿って回動自在となっている。
【0036】
駆動ユニット14の回動範囲は、図3において実線で示す退避位置から、破線で示す介入位置までである。駆動ユニット14は、退避位置にあるとき、支持体21に保持されているディスクDの外周縁からわずかに離れている。駆動ユニット14が介入位置へ回動すると、駆動ユニット14の回動自由端側に設けられた回転駆動部82が、ディスク収納領域20の内部へ移行し、回転駆動部82の回転中心が、選択位置(a)に移動している支持体21に保持されたディスクDの中心穴と上下方向において一致する。
【0037】
図4と図5に示すように、回転駆動部82では、前記駆動ベース81の回動自由端側の上面にスピンドルモータMsが固定され、このスピンドルモータMsのモータ軸に回転テーブル86が固定されている。回転テーブル86には、ディスクDの下面が設置される円盤状の支持面86aと、この支持面86aの中心部から上方へ突出してディスクDの中心穴内に介入する凸部86bとが一体に形成されている。支持面86aの下面には円周方向へ等ピッチで形成されてモータ軸に対して放射状に延びる複数の歯部86cが一体に設けられている。
【0038】
回転テーブル86の凸部86b内には、複数のクランプ爪86dが設けられ、このクランプ爪86dは、図4に示すように凸部86b内に退行した非クランプ姿勢と、図5に示すように凸部86bの周囲から外側へ突出したクランプ姿勢とに動作可能となっている。またクランプ爪86dは、前記クランプ姿勢に向けてばねで付勢されている。
【0039】
支持面86aの下には切換え回転体86eが設けられ、この切換え回転体86eは、モータ軸を支点として、このモータ軸および回転テーブル86とは独立して回転自在に設けられている。切換え回転体86eの上面にはカム(図示せず)が設けられ、このカムによって、クランプ爪86dが、非クランプ姿勢とクランプ姿勢との間で動作させられる。この切換え回転体86eの外周面には、円周方向へ等ピッチに配列する切換え歯86fが一体に形成されている。また駆動ベース81には、ロック板ばね87が固定されており、このロック板ばね87の先端に折り曲げられたロック片87aが、前記歯部86cに掛止可能とされている。
【0040】
図3に示すように、駆動ユニット14では、駆動ベース81における右側面8に対向する側辺に、クランプ切換え部材80が設けられ、このクランプ切換え部材80は、駆動ベース81の側辺に沿って摺動自在に設けられている。このクランプ切換え部材80の先端部には、前記切換え回転体86eに向けられた駆動歯80aが設けられている。
【0041】
クランプ切換え部材80が、駆動ベース81の回動支点側(支持軸84側)に移動しているときには、クランプ切換え部材80の駆動歯80aが、切換え回転体86eの切換え歯86fに嵌合し、且つロック板ばね87のロック片87aが、支持面86aの下面に形成された歯部86cと噛み合っている。このように、切換え回転体86eが駆動歯80aで拘束され、回転テーブル86がロック片87aで拘束されているとき、クランプ爪86dが凸部86b内に退行して非クランプ姿勢となる。
【0042】
図3において破線で示すように、駆動ユニット14の介入位置への回動が完了した後に、さらにクランプ切換え部材80が、駆動ベース81の回動自由端側へ移動すると、クランプ切換え部材80の駆動歯80aが、切換え回転体86eの切換え歯86fから外れ、さらに、図5に示すように、クランプ切換え部材80の先部が、ロック板ばね87の上に乗り上がって、ロック板ばね87が押し下げられ、ロック片87aが、支持面86aの下面の歯部86cから外れる。よって、回転テーブル86と切換え回転体86eが共に自由状態となり、クランプ爪86dが、ばねの力で凸部86bの周囲に突出してクランプ姿勢となる。このとき、ディスクDの中心穴Daの周囲部分が、支持面86aと複数のクランプ爪86dとで挟まれて、ディスクDが回転テーブル86にクランプされる。
【0043】
駆動ベース81には光ヘッド83が設けられており、光ヘッド83は互いに平行に配置された一対の案内部材(図示せず)によって案内されている。光ヘッド83の上面には対物レンズ83aが設けられている。駆動ベース81にはスレット機構が設けられ、このスレット機構はステットモータで駆動され、光ヘッド83が、回転駆動部82に接近する位置から、回転駆動部82から離れる方向へ向けて移動させられる。このとき、対物レンズ83aは、回転駆動部82にクランプされたディスクDの記録面に対向しながら半径方向に移動する。
【0044】
(第1の動力伝達部)
図1に示すように、下部筐体3の底面6上に設けられた第1の動力伝達部12では、前記底面6上に第1のモータM1(図示せず)が固定されており、この第1のモータM1の動力によってラック部材32がY1−Y2方向へ移動させられる。前記底面6上には、切換え部材38が設けられており、この切換え部材38がラック部材32と共にY1方向へ移動可能となっている。この切換え部材38には上方へ突出する駆動ピン41が設けられている。
【0045】
図3に示すように、前記ユニット支持ベース13の下面には、駆動スライダ85がY1−Y2方向へ摺動自在に設けられ、この駆動スライダ85に前記駆動ピン41が嵌合している。前記駆動ユニット14では、駆動ベース81の下面に回動駆動軸81aが下向きに固定されており、この回動駆動軸81aが、ユニット支持ベース13に形成された円弧案内穴13e内を移動自在となっている。
【0046】
第1の動力伝達部12に設けられたラック部材32が、図1に示すように、Y2側に位置している始端からY1方向へ移動していくと、切換え部材38も一緒にY1方向へ移動し、切換え部材38に設けられた駆動ピン41によって、ユニット支持ベース13の下面に設けられた駆動スライダ85がY1方向へ移動させられる。この駆動スライダ85のY1方向への移動力によって、前記回動駆動軸81aに時計方向への回動力が与えられて、駆動ユニット14が、図3において実線で示す退避位置から、破線で示す介入位置に回動させられる。
【0047】
図1に示すように、第1の動力伝達部12では、底面6上に連結回動レバー43が回動自在に支持されている。ラック部材32と連結回動レバー43とはカムを介して連結されており、ラック部材32がY1方向への所定位置へ移動すると、このラック部材32のY1方向への移動力によって、連結回動レバー43が反時計方向へ回動させられる。
【0048】
図1に示すように、底面6上には、ロック切換え部材42が回動軌跡に沿って往復移動自在に設けられ、前記連結回動レバー43の先端部がロック切換え部材42に連結されている。底面6では、Y2側に連結部材52が回動自在に支持されており、ロック切換え部材42は、連結部材52の一端に連結されており、また連結部材52の他端は、前記ロック部材54に連結されている。また、ロック切換え部材42のY1側の端部は、図示しない連結部材に連結され、この連結部材が図2(B)に示すロック部材61に連結されている。
【0049】
第1の動力伝達部12では、ラック部材32が図1に示す始端からY1方向へ移動し、駆動ユニット14が図3で破線で示す介入位置へ回動した後に、さらにラック部材32がY1方向へ移動するときに、切換え部材38が移動せずに、連結回動レバー43が反時計方向へ回動させられる。よって、ロック切換え部材42がY1方向へ向けて移動させられ、前記連結部材52が回動させられ、ロック部材54とロック部材61がX1方向へ移動させられる。このとき、ユニット支持ベース13に設けられた拘束軸77が、ロック部材54に形成されたロック制御穴56の拘束部56aから持ち上げ部56bに移動させられ、且つ拘束軸78,78が、図2(B)に示すロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の拘束部62a,62aから持ち上げ部62bに移動させられる。これにより、ユニット支持ベース13が持ち上げられ、介入位置にある駆動ユニット14に設けられた回転テーブル86の凸部86bが、選択位置(a)にあるディスクDの中心穴Da内に入り込む。
【0050】
その後にラック部材32がY1方向へ移動すると、今度は連結回動レバー43が回動せずに、切換え部材38がY1方向へ移動させられ、図3に示す駆動スライダ85が、駆動ピン41によってY1方向へ移動させられる。このとき、駆動スライダ85によって、介入位置にある駆動ユニット14のクランプ切換え部材80が、駆動ベース81の回動自由端側へ移動させられ、図5に示すようにクランプ爪86dがクランプ姿勢に突出させられる。
【0051】
さらに、ラック部材32がY1方向へ移動するときに、駆動スライダ85が動くことはなく、連結回動レバー43が反時計方向へ回動させられて、ロック切換え部材42がさらにY1方向へ移動させられる。これにより、ロック部材54とロック部材61がさらにX1側へ移動させられ、ユニット支持ベース13に設けられた拘束軸77が、ロック制御穴56の逃げ部56c内に移動し、拘束軸78,78がロック制御穴62,62の逃げ部62c,62c内に移動させられて、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73によって弾性支持された状態となる。このとき、駆動ピン41は、図3に示す駆動スライダ85の逃げ穴85a内に向けて回動し、下部筐体3側に位置している駆動ピン41と、ユニット支持ベース13に設けられている駆動スライダ85との連結が外れる。
【0052】
よって、介入位置にある駆動ユニット14は、回転テーブル86にディスクDを支持した状態で、ユニット支持ベース13と共に、ダンパー71,72,73で弾性支持される。この状態で、支持体21によるディスクDの保持が解除され、スピンドルモータMsによって回転テーブル86が回転させられ、光ヘッド83によって、ディスクDに記録された信号の再生や信号の記録が可能となる。
【0053】
(第2の動力伝達部)
次に、図6と図7を参照して、中間筐体4に設けられた第2の動力伝達部16の構造を説明する。
【0054】
第2の動力伝達部16では、中間筐体4の機構ベース15の上に、円弧形状の切換え部材91が設けられている。切換え部材91には、円弧軌跡に沿って延びる一対の案内長穴91a,91aが形成されている。機構ベース15上には一対の案内軸92,92が上向きに突出して固定されており、それぞれの案内軸92が案内長穴91a内に挿入されている。切換え部材91は円弧軌跡に沿って図示(d)方向および(e)方向へ摺動自在に案内されている。また、切換え部材91の外周側の縁部には円弧軌跡に沿ってラック歯91bが形成されている。
【0055】
機構ベース15上には、第2のモータM2が設けられている。第2のモータM2の回転軸にはウォーム歯車93が固定されている。機構ベース15上には出力歯車94が設けられ、出力歯車94がウォーム歯車93に常に噛み合っている。
【0056】
第2のモータM2の回転動力は、出力歯車94から歯車95,96を経てピニオン歯車97に減速して伝達される。ピニオン歯車97は、切換え部材91のラック歯91bと常に噛み合っている。また、出力歯車94の側方には切換え歯車98が設けられている。
【0057】
図2(B)に示すように、上部筐体5には、支持体選択手段22に回転動力を伝達するための伝達歯車99が回転自在に設けられており、図6に示すように、伝達歯車99は、出力歯車94の側方に位置している。機構ベース15上には、切換え歯車98を、出力歯車94と伝達歯車99の双方に噛み合わせ、また出力歯車94と伝達歯車99との噛み合いを解除する位置へ移動させる切換え手段(図示せず)が設けられている。
【0058】
図6と図7に示すように、機構ベース15の下には移送ユニット17が設けられている。図8に示すように、移送ユニット17は、図示X1−X2方向へ向けて細長く延びる金属製のユニット枠100を有している。ユニット枠100は、上面101と下面102および支点側の側面103と自由端側の側面104を有し、ユニット枠100の内部は図示Y1−Y2方向に貫通している。ユニット枠100の内部には、低摩擦係数の合成樹脂で形成された摺動部材105が設けられている。摺動部材105は、ユニット枠100の上面101の内面に沿って延びる挟持部106と、支点側の側面103の内側に位置する側部案内部107と、自由端側の側面104の内側に位置する側部案内部108とを有している。側部案内部107と108との対向間隔は、ディスクDの直径よりも広く、また図2(A)に示すように、挿入口23の開口幅寸法とほぼ同じか、それよりもやや広く形成されている。
【0059】
移送ユニット17では、ユニット枠100内にローラ軸111が設けられている。ローラ軸111は、ユニット枠100の上面101と平行に延び、その両端は支点側の側面103と自由端側の側面104に回転自在に支持されている。図9に示されるように、ローラ軸111の外周には、合成ゴムや天然ゴムなどの摩擦係数の高い材料で形成された第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113が設けられている。移送ローラ112と移送ローラ113は、軸方向に間隔を空けて配置されている。
【0060】
第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との中間に位置する中間部114は、ディスクDに対して実質的に移送力を与えない部分である。中間部114は、両移送ローラ112,113と一体で且つ両移送ローラ112,113よりも小径に形成されているか、またはローラ軸111が直接に露出して形成されている。
【0061】
第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113は、図8に示す摺動部材105の挟持部106に対向している。移送ローラ112,113と挟持部106の少なくとも一方がばねで付勢されて、移送ローラ112,113と挟持部106とが互いに弾性的に圧接されている。よって、移送ローラ112と挟持部106、および移送ローラ113と挟持部106とでディスクDを挟持可能である。なお、この圧接状態では、中間部114と挟持部106との隙間が、ディスクDの厚み寸法よりも広くなっており、中間部114と挟持部106との間でディスクDが挟持されることはない。
【0062】
第1の移送ローラ112および第2の移送ローラ113は、ローラ軸111の外周に接着することなくローラ軸111の外周に回転自在に挿通されている。ディスクDに対する挟持圧が移送ローラ112,113に作用しているときには、移送ローラ112,113とローラ軸111との摩擦力が増大して、ローラ軸111と移送ローラ112,113が一体となって回転する。また、挟持中のディスクDが人の指で掴まれたときのように、移送されるディスクDに大きな抵抗力が与えられると、移送ローラ112,113に対してローラ軸111がスリップ回転できるように構成されている。
【0063】
なお、上記においては、挟持部106が低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されているが、挟持部106が、自由に回転できるローラであってもよい。
【0064】
移送ユニット17は、X1側の端部を支点として、図6に示す待機位置から図7に示す移送動作位置に向けて回動できるようになっている。図6に示す待機位置では、ローラ軸111がほぼ図示X1−X2方向へ延びている。また、待機位置にある移送ユニット17は、ユニット枠100が、支持体21に支持されているディスクDの外周縁からわずかに離れている。
【0065】
図7に示すように、移送ユニット17がX1側を支点として反時計方向へ回動して移送動作位置に至る間に、移送ローラ112,113が回転を継続し、移送ローラ112,113の自転力と、移送ユニット17の回動力とによって、ディスクDが、選択位置(a)にある支持体21に向けて移送される。
【0066】
図8に示すように、移送ユニット17の回動支点となる支点軸131は、下部筐体3の底面6において、上方へ垂直に延びるように固定されている。移送ユニット17には、図示X1側の端部にローラ軸111と直交する方向に延びる軸受部125が設けられており、軸受部125が支点軸131に回動自在に支持されている。
【0067】
図6と図7に示すように、第2の動力伝達部16では、中間筐体4の機構ベース15の図示X1側に円弧状の案内穴15bが開口し、図示X2側にも円弧状の案内穴15cが開口している。案内穴15bと15cは、共に支点軸131を曲率中心とした円弧軌跡に沿って延びている。
【0068】
移送ユニット17のユニット枠100の上面101には、支点軸131に近い位置に上方へ垂直に延びる案内軸132が固定され、支点軸131から離れた自由端側には、同じく上方へ垂直に延びる駆動軸133が固定されている。案内軸132は案内穴15b内に下方から上方に向けて挿通され、駆動軸133も案内穴15c内に下方から上方に向けて挿通されている。駆動軸133の先端は機構ベース15の上方へ突出しており、機構ベース15の上において、駆動軸133に回動リング134が回動自在に設けられている。
【0069】
機構ベース15の上には駆動レバー135が設けられている。駆動レバー135の基部は、軸136を介して機構ベース15の上面に回動自在に支持されている。駆動レバー135には駆動長穴135aが開口しており、駆動軸133の外周に設けられた回動リング134が駆動長穴135aの内部に挿入されている。
【0070】
切換え部材91にはユニット制御長穴137が開口している。駆動レバー135の上面には伝達軸138が垂直に突出しており、この伝達軸138がユニット制御長穴137に下方から上方へ向けて挿入されている。
【0071】
ユニット制御長穴137には、非作用部137aが形成されている。非作用部137aは円弧軌跡に沿って形成されているが、この円弧軌跡の曲率中心は、切換え部材91が図示(d)−(e)方向へ摺動するときの円弧軌跡の曲率中心に一致している。したがって、図6に示すように、伝達軸138が非作用部137a内に位置しているときに、切換え部材91が図示(d)−(e)方向へ摺動しても、その移動力が伝達軸138には作用しない。また、非作用部137aの曲率中心と、駆動レバー135の回転中心である軸136は同じ位置に存在していない。そのため、伝達軸138が非作用部137a内に位置し、切換え部材91が図示(d)−(e)方向へ摺動するときに、駆動レバー135は、図6に示すように、時計方向へ回動した状態に保持され、移送ユニット17は待機位置に停止した状態に維持される。
【0072】
ユニット制御長穴137では、非作用部137aの図示Y1側に連続して駆動傾斜部137bが設けられ、さらにその図示Y1側の端部に保持部137cが形成されている。保持部137cは、非作用部137aよりも、切換え部材91の摺動軌跡の曲率中心に近い側に位置している。
【0073】
したがって、切換え部材91が、図6の位置からさらに図示(e)方向へ摺動して図7の位置に至る間に、伝達軸138が駆動傾斜部137bに移行し、駆動傾斜部137bによって伝達軸138が反時計方向へ移動させられ、駆動レバー135が反時計方向へ回動させられる。その結果、図7に示すように、移送ユニット17が、支点軸131を支点として反時計方向へ回動させられ、移送動作位置に至る。図7に示す移送動作位置では、駆動軸133が案内穴15cの図示Y2側端部に位置し、伝達軸138がユニット制御長穴137の保持部137cに保持され、さらに伝達軸138が、ユニット制御長穴137の保持部137cに保持されるため、移送ユニット17は、図7に示す移送動作位置で拘束される。
【0074】
本発明では、切換え部材91に設けられたユニット制御長穴137および駆動レバー135とで、移送ユニット移動手段が構成されている。
【0075】
(第3の動力伝達部)
次に、下部筐体3の底面6に設けられた第3の動力伝達部19の構造を説明する。
【0076】
図3と図8に示すように、下部筐体3の底面6に固定された支点軸131の下方には一体ギヤ141が回転自在に支持されている。一体ギヤ141は、上方部分が垂直ウォーム歯車141aであり、下方部分が下部歯車141bである。図3に示すように、底面6には中間歯車142が回転自在に設けられ、中間歯車142が下部歯車141bに噛み合っている。底面6には第3のモータM3が設けられており、その回転軸に固定されたウォーム歯車143が中間歯車142と噛み合っている。
【0077】
図8に示すように、移送ユニット17では、ローラ軸111の一端が、ユニット枠100の支点側の側面103から外方へ突出しており、側面103から突出したローラ軸111の端部に平歯車であるローラ歯車144が固定されている。側面103には軸145が固定され、軸145に一体ギヤ146が回転自在に支持されている。一体ギヤ146は、小径平歯車146aと大径平歯車146bとが一体化されたものであり、小径平歯車146aがローラ歯車144と噛み合っている。
【0078】
ユニット枠100の下面102には下方に突出する支持片102aが一体に折り曲げ形成されており、支持片102aに軸148が固定されている。軸148はローラ軸111と平行に延びている。軸148には一体ギヤ147が回転自在に支持されている。一体ギヤ147は平歯車147aとウォームホイール147bとが一体化されたものである。平歯車147aが大径平歯車146bと噛み合っている。
【0079】
移送ユニット17に設けられた軸受部125が支点軸131に回動自在に挿通された状態で、ウォームホイール147bとウォーム歯車141aとが噛み合う。第3のモータM3の回転動力は、中間歯車142から下部歯車141bおよびウォーム歯車141aに伝達され、さらにウォーム歯車141aからウォームホイール147bに伝達される。その動力は、平歯車147aから一体ギヤ146の大径平歯車146bに伝達され、さらに小径平歯車146aからローラ歯車144に伝達される。
【0080】
第3のモータM3の回転動力が、支点軸131と同軸に回転する一体ギヤ141を介してローラ歯車144に伝達されるため、移送ユニット17を、支点軸131を支点として待機位置から移送動作位置へ回動させる動作と独立させて、ローラ軸111を駆動することができる。本発明のディスク収納型ディスク装置1は、移送ユニット17を待機位置から移送動作位置へ回動させる移送ユニット移動手段と、移送ローラ112,113を自転させるローラ駆動手段とが別個に設けられ、互いに独立して動作できるようになっている。
【0081】
(ディスク収納領域)
次に、上部筐体5に設けられているディスク収納領域20および支持体選択手段22の構造について説明する。
【0082】
図1、図2(B)および図10に示すように、上部筐体5の天井面11には、互いに平行に下方へ向けて延びる3本の選択軸151が回転自在に支持されている。それぞれの選択軸151の外周には、選択溝152が形成されている。図2(B)に示すように、選択溝152はスパイラル状に形成されている。選択溝152は、選択軸151の上方において密ピッチ部152aを形成し、下方において密ピッチ部152bを形成している。密ピッチ部152a,152bでは、選択溝152が短ピッチで形成され、それぞれの密ピッチ部152a,152bでは、選択溝152が少なくとも5周(5ピッチ)以上形成されている。選択溝152の中間部は疎ピッチ部152cであり、この疎ピッチ部152cでは、両密ピッチ部152a,152bの間で、選択溝152が1ピッチ分だけ形成されている。
【0083】
支持体21は上下方向に重ねられて6枚設けられており、それぞれの支持体21の3箇所には挿通穴21aが開口している。それぞれの挿通穴21aは、前記選択軸151の外周に挿通されるが、この挿通穴21aには、選択溝152に摺動自在に掛止される突状の掛止部が設けられている。6枚の支持体21のそれぞれの前記掛止部は、選択溝152の隣接する5ピッチのそれぞれのピッチに掛止されるように配置されている。よって、選択軸151が上方から見たときの反時計方向へ回転すると、支持体21が選択軸151に沿って1枚ずつ下向きに送られ、選択軸151が時計方向へ回転すると支持体21が選択軸151に沿って1枚ずつ上向きに送られる。そして、疎ピッチ部152cに掛止されているいずれかの支持体21が図2(B)に示す選択位置(a)に至ると、選択位置(a)にある支持体21と、その下の密ピッチ部152bに位置する支持体21との間に駆動ユニット14が入り込める上下方向の間隔が空けられる。
【0084】
3本の前記選択軸151は、互いに同期して回転させられる。その機構としてそれぞれの選択軸151の上端には、薄い小歯車(図示せず)が一体に固定されている。また上部筐体5の天井面11の下面には大径の薄いリング状歯車が回転自在に設けられ、このリング状歯車に、全ての前記小歯車が噛み合っている。
【0085】
図2(B)に示すように、上部筐体5の天井面11の下面には回転軸99aが回転自在に支持されている。この回転軸99aの下端には、前記伝達歯車99が固定されており、この伝達歯車99が、図6に示す第2の動力伝達部16の切換え歯車98と噛み合うことが可能となっている。回転軸99aの上端には、薄型歯車99bが固定されており、この薄型歯車99bが、前記リング状歯車に噛み合っている。すなわち、6枚の支持体21のいずれかを選択位置(a)へ移動させる選択動作は、第2の動力伝達部16に設けられた第2のモータM2を駆動し、その動力を、切換え歯車98から伝達歯車99に伝達し、さらに前記リング状歯車を回転させることにより行われる。
【0086】
図10に示すように、個々の支持体21には、保持爪155,156,157が設けられている。この保持爪155,156,157はそれぞれ、前記選択軸151の周囲を回動できるように前記支持体21に支持されている。移送ユニット17によって移送されたディスクDが、選択位置(a)にある支持体21に供給されると、このディスクDは、支持体21と保持爪155,156,157とで保持される。筐体2内には保持解除機能が設けられており、選択位置(a)の支持体21に支持されたディスクDの中心穴Daが、回転テーブル86にクランプされると、それぞれの保持爪155,156,157が回動させられて、支持体21でのディスクDの保持が解除される。
【0087】
(検知手段)
図9には、ディスク収納型ディスク装置1の各部に設けられた検知手段が示されている。
【0088】
筐体2の内部では、左側面9と後面10との角部に装填完了検知用の検知素子Feが設けられている。この検知素子Feでは、発光素子と受光素子とが対向して設けられている。この検知素子Feは、筐体2内に1箇所だけ設けられ、選択位置(a)に移動した支持体21と同じ高さ位置に配置されている。
【0089】
ディスク収納領域20内の支持体21には、装填検知部材200が設けられている。装填検知部材200は、全ての支持体21に個別に設けられており、それぞれの支持体21では、装填検知部材200が、前記選択軸151の周囲を回動できるように支持されている。各支持体21に設けられたそれぞれの装填検知部材200は、図示しないトーションばねによって、図9に示すように常に時計方向へ回動付勢されている。装填検知部材200から延びる一方の腕部201の先部には、図10に示した保持爪156が一体に形成されている。
【0090】
また、装填検知部材200から延びる他方の腕部202の先部には遮光部203が設けられており、図9に示すように、装填検知部材200が時計方向へ回動しているときには、前記遮光部203が、装填完了検知用の検知素子Fe内に入り込み、発光素子からの光が遮光部203で遮光され、この光が受光素子で受光できない状態(OFF)に設定される。この実施の形態では、装填検知部材200と検知素子Feとで、装填完了検知機構が構成されている。
【0091】
ディスク収納領域20に設けられたそれぞれの支持体21では、その支持体21に支持されたディスクDが回転駆動部82の回転テーブル86にクランプされているとき以外は、図10に示すように各保持爪155,156,157が、ディスクDを保持できる位置に突出しており、図9に示すように、保持爪156が設けられた装填検知部材200も時計方向へ回動し、遮光部203が、検知素子Feの内部に入り込める状態となっている。
【0092】
複数の支持体21のいずれもが選択位置(a)に移動していないときには、検知素子Fe内には前記遮光部203が介入せず、検知素子Feでは、発光素子から発生された光が受光素子で検出されて検知出力がONとなる。支持体選択手段22の動作によって、いずれかの支持体21が選択されて選択位置(a)に至ると、選択された支持体21に設けられた遮光部203が、検知素子Fe内に介入し、発光素子から受光素子への光が遮られて、検知素子Feの検知出力がOFFに切換えられる。よって、図12に示す機構制御部301では、検知素子Feの検知出力を監視することによって、選択すべき支持体21が選択位置(a)に至ったか否かを確認することができる。
【0093】
また、支持体21が選択位置(a)に移動して停止した状態で、移送ユニット17で搬入されたディスクDが、支持体21に送り込まれると、このディスクDが、支持体21と各保持爪155,156,157とで保持されると共に、送り込まれてくるディスクDの外周縁で腕部201が押される。よって、装填検知部材200が反時計方向へ回動して、遮光部203が検知素子Fe内から抜け出て、検知素子Feの検知出力がOFFからONに切り換わる。この検知動作によって、選択位置(a)にある支持体21へのディスクDの装填が完了したことを認識できる。
【0094】
図9および図10に示すように、前記移送ユニット17には一対の光学検知素子F1,F2が設けられている。この光学検知素子F1,F2は、図8に示す移送ユニット17のユニット枠100に設けられ、摺動部材105の挟持部106と、各移送ローラ112,113との間を通過するディスクを挟んで、一方の側に発光素子が、他方の側に受光素子が、互いに対向して設けられている。
【0095】
図9と図10に示すように、光学検知素子F1,F2は、移送ユニット17におけるディスクDの移送可能幅の中心(図1に示す挿入口23の幅寸法Wの中心)に対して、左右に等距離を開けて配置されている。それぞれの光学検知素子F1,F2は、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との間に設けられた中間部114に対向し、この中間部114よりも挿入口23側に設けられている。
【0096】
図10に示すように、移送ユニット17が待機位置にあるとき、前記光学検知素子F1,F2は、前記中間部114と挿入口23との間に位置する。挿入口23からディスクDが挿入されると、その前方の周縁部が第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113に当たる前に、このディスクDによって、光学検知素子F1,F2が遮られ、両光学検知素子F1,F2の検知出力がONからOFFに切り換わる。これによって、挿入口23からディスクDが挿入されたことを検知できる。
【0097】
この検知動作に基づいて、図3に示す第3のモータM3が始動し、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113が搬入方向へ自転を開始する。ディスクDが第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113に至った時点で、両移送ローラ112,113が搬入方向への自転を開始しているため、挿入口23から挿入されたディスクDは、移送ローラ112,113の回転力によって筐体2内にスムースに送り込まれる。
【0098】
このように、中間部114と挿入口23との間に、光学検知素子F1,F2を設け、この光学検知素子F1,F2でディスク挿入検知を行わせることにより、挿入口23からディスクDを挿入するときに、大きな抵抗を受けることなく、ディスクDを筐体2内に搬入することができる。
【0099】
また、移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持されたディスクが、この移送ローラ112,113の自転と、移送ユニット17の反時計方向への回動力によって、筐体2の内部に向けて搬入されるときに、光学検知素子F1と光学検知素子F2は、ディスクDの中心D0の移動線を挟んで左右に等距離に位置する。また、光学検知素子F1による検知領域と光学検知素子F2による検知領域との間隔は、ディスクDの中心穴Daの直径よりも十分に広く設定されている。
【0100】
そのため、ディスクDが搬入されているときに、ディスクDの中心穴Daが、光学検知素子F1とF2を通過することがなく、ディスクDが筐体2内に搬入されていくときに、両光学検知素子F1,F2がディスクDで遮られる状態を継続する。よって、両光学検知素子F1,F2の検知出力がOFFを継続していることを監視することにより、ディスクDが、移送ユニット17によって、確実に搬入され続けていることを認識できる。
【0101】
ただし、実際のディスクDでは、中心穴Daの周囲に透明な領域Dbが形成されているものが多い。よって、光学検知素子F1の検知領域と、光学検知素子F2の検知領域との距離を、前記領域Dbの直径よりも十分に広くしておけば、ディスクDが搬入されるときに、光学検知素子F1とF2が共にOFFの状態を継続でき、光学検知素子F1,F2を監視することによって、ディスクDが適正に搬入されていることを検出できる。
【0102】
ただし、この実施の形態では、光学検知素子F1とF2との間隔を比較的狭くして、図10に示すように、移送ユニット17が待機位置にあるときに、挿入口23から挿入されたディスクDを、光学検知素子F1,F2によって直ちに検知できるようにしている。そのため、光学検知素子F1と光学検知素子F2との間隔を、ディスクDの中心穴Daの直径および通常想定される透明な領域Dbの直径よりは広くしてはいるものの、通常よりも直径の大きい透明な領域Dbを有するディスクDの場合、この領域Dbが、いずれかの光学検知素子F1,F2を通過するおそれがある。
【0103】
このような現象に対応するために、この実施の形態では、後に図13と図14のフローチャートで示すように、ディスクDの透明な領域Dbが、移送ユニット17を通過するまでは、挿入口23の内側に設けられた検知スイッチSW1とSW2およびSW4を使用して、ディスクDが正常に搬入されているか否か、および異常な外径寸法のディスクDが搬入されていないかを監視し、ディスクDがある程度筐体2内に搬入されて、透明な領域Dbが光学検知素子F1,F2を通過するおそれがなくなったときに、光学検知素子F1,F2の検知出力を監視して、ディスクDが正常に搬入されているか否か、および異常な外径寸法のディスクDが搬入されていないか否かの検知動作を可能としている。
【0104】
図9に示すように、移送ユニット17が移送動作位置に回動した後の移送ローラ112,113の自転によって、選択位置(a)にある支持体21にディスクDが装填されると、前記装填検知部材200が、ディスクDで押され、遮光部203が検知素子Feから離れ、検知素子FeがOFFからONに切り換わる。このように、検知素子FeがONに切り換わったときに、光学検知素子F1,F2が、正常な外径寸法のディスクDの挿入口23側の周縁部の直ぐ内側に位置するように、検知素子Feと光学検知素子F1,F2の位置関係が設定されている。よって、検知素子FeがONに切り換ってディスクDの装填完了が検知されたときに、光学検知素子F1,F2の検知出力がOFFを継続していれば、装填完了状態のディスクDの外径寸法が正常なものであると認識できる。逆に、検知素子FeがONに切り換わる以前に、光学検知素子F1,F2がOFFからONに切換わることがあれば、搬送中のディスクDの外径寸法が異常であると判断できる。
【0105】
光学検知素子F1,F2がOFFからONに切り換わった直後では、ディスクDは、未だ移送ローラ112,113と挟持部106とで保持されているため、外径寸法が異常であると判断されたときに、移送ローラ112,113を直ちに排出方向へ自転させれば、異常と判断されたディスクDを挿入口23に向けて排出することができる。
【0106】
図9ないし図11に示すように、挿入口23の直ぐ内側には、一対の検知部材251と252が設けられている。この検知部材251と252は、垂直に延びる検知ピンであり、それぞれの検知ピンは、筐体2の内側において、前記挿入口23を上下に横断している。前記検知部材251と検知部材252は、図示しないスライダに搭載されて、互いに独立してX1−X2方向へ直線的に移動自在に支持されている。そして、検知部材251と検知部材252は、ばねによって互いに接近する方向へ付勢されている。
【0107】
一方の検知部材251には、X1−X2方向に延びる検知板253が固定され、他方の検知部材252にも、X1−X2方向に延びる検知板254が固定されている。筐体2内には、検知板253によって動作させられる機械動作式の検知スイッチSW1,SW3,SW4が設けられ、また他方の検知板254によって動作させられる同じく機械動作式の検知スイッチSW2が設けられている。
【0108】
図11では、検知部材251と検知部材252が、前記ばねによって最も接近した初期位置にある。このとき、検知板253によって検知スイッチSW1がONに切換えられており、検知板254によって検知スイッチSW2がONに切換えられている。そして、ディスクDが筐体2内に搬入されると、ディスクDの外周縁によって、検知部材251がX2方向へ押され、検知部材252がX1方向へ押されて、検知スイッチSW1とSW2が直ちにOFFになる。この検知スイッチSW1,SW2が共にOFFであることを確認することにより、ディスクDが筐体内に搬入されている動作が行われていること、およびディスクDが挿入口23に向けて搬出される動作が行われていることを認識できる。
【0109】
ディスクDの中心D0が挿入口23よりもやや内側に移動すると、検知部材251がX2方向へ最も長い距離移動させられ、検知板253によって検知スイッチSW4が短時間だけOFFからONに切換えられる。そして、図11に示すように、ディスクDが筐体2の内部へ搬入されて、検知部材251と検知部材252が初期位置へ復帰すると、検知スイッチSW1とSW2が再びOFFからONに切換えられる。よって、ディスクDが搬入されているときに、まず検知スイッチSW1とSW2が共にONからOFFに切換えられ、その後に検知スイッチSW4が短時間だけOFFからONになってさらにOFFとなり、また検知スイッチSW1とSW2がOFFからONに復帰することを確認することにより、正常な外径寸法のディスクDが搬入されたと判断できる。
【0110】
逆に、検知スイッチSW1とSW2がONからOFFに切換えられた後の所定時間内に検知スイッチSW4がONにならないと判断したとき、あるいは、検知スイッチSW1とSW2がONからOFFに切換えられた後に、検知スイッチSW4がONとなることなく、検知スイッチSW1とSW2がOFFからONに復帰したときには、異常な外径寸法のディスクD(規定よりも小径のディスク)が装填されていると判断できる。この場合には、直ちに、移送ローラ112,113が排出方向へ駆動され、移送ユニット17が、移送動作位置から待機位置へ回動させられて、ディスクDが挿入口23から排出される。
【0111】
また、筐体2内にあるディスクDが挿入口23から排出されるときは、ディスクDの外周縁によって検知部材251がX2方向へ移動させられて、検知板253によって検知スイッチSW3がOFFからONに切換えられ、ディスクDが排出されていく後半の行程で、検知部材251がX1方向へ復帰し、検知スイッチSW3がONからOFFに切り換わる。ディスクの搬出動作時には、移送ユニット17が図10に示す待機位置へ復帰した後に、前記検知スイッチSW3がONからOFFに切り換った時点で、第3のモータM3を停止し、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113の自転を停止する。図10では、このときの検知部材251の位置を(i)で示している。検知部材251が(i)の位置に復帰したときに、移送ローラ112,113の回転を停止させることにより、ディスクDはその一部が筐体2の内部に保持されている状態で、排出動作を停止させることができる。
【0112】
なお、ディスクDの挿入を待機しているときには、図10に示すように、検知部材251と252の対向間隔は、前記光学検知素子F1とF2との対向間隔よりも広く設定されている。よって、ディスクDが挿入口23から挿入されると、先に光学検知素子F1,F2がOFFとなってディスク挿入が検知され、移送ローラ112,113が搬入方向へ始動する。そして、ディスクDに搬入力が与えられた後に、ディスクDの外周縁が、検知部材251,252に当たる。したがって、ディスクDを手で挿入するときに、検知部材251と252を動かすための抵抗力を手で感じることがなく、ディスクの挿入感触を良好にできる。
【0113】
図3に示すように、下部筐体3にも動作検知スイッチSWaが設けられている。第1の動力伝達部12のラック部材32がY1方向へ所定距離移動し、ラック部材32と共に移動する切換え部材38の駆動ピン41によって駆動スライダ85がY1方向へ移動させられ、さらに駆動スライダ85の移動力によって、クランプ切換え部材80が動作させられて、図5に示すように、クランプ爪86dがクランプ姿勢となったときに、動作検知スイッチSWaがOFFからONに切り換えられる。
【0114】
(電気回路)
図12は、ディスク収納型ディスク装置1の電気回路構成を示すブロック図である。このディスク装置1では、マイクロコンピュータで構成された機構制御部301が全ての動作の制御処理を分担する。光ヘッド83からの読み取り信号は、ヘッド制御部302に与えられ、さらに信号処理部であるデコーダ303において、ディスクDに記録された信号の復調処理が行われて、復調信号がバッファメモリであるDRAM304に一時的に保持された後に、スピーカから発音される。また、光ヘッド83内には、対物レンズ83aを光軸方向へ微動させて、対物レンズ83aから照射される検知光をディスクDの記録面に合焦させるフォーカスサーボ機構、および前記検知光のスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ機構が設けられており、このフォーカスサーボ機構およびトラッキングサーボ機構も、ヘッド制御部302によって制御される。
【0115】
サーボモータドライバ305はヘッド制御部302によって制御される。このサーボモータドライバ305によって、駆動ユニット14に搭載されたスレットモータ、スピンドルモータMsが制御され、さらに移送ローラ112,113を回転させる第3のモータM3も制御される。なお、スレットモータ、スピンドルモータMsおよび第3のモータM3には、FG(周波数検出器)が設けられており、それぞれのモータの回転数は、このFGによって検知されて、その検知信号がヘッド制御部302に与えられる。FGからの回転数検出信号がヘッド制御部302にフィードバックすることにより、ヘッド制御部302によって、それぞれのモータの回転数を制御できる。
【0116】
また、第1のモータM1と第2のモータM2は、それぞれモータドライバで駆動制御され、前記検知素子Fe、光学検知素子F1,F2、検知スイッチSW1,SW2,SW3,SW4、および動作検知スイッチSWaの検知出力は、機構制御部301に与えられる。
【0117】
(動作)
次に、本発明のディスク収納型ディスク装置1の全体動作について説明する。
【0118】
図10は、ディスク収納型ディスク装置1が、ディスクの挿入を待機するホームポジションに設定された状態を示す平面図、図9と図11は、ディスク挿入および搬入動作を示す平面図である。図13ないし図17に示すフローチャートでは、機構制御部301が司る各動作段階をステップ(S)で示している。
【0119】
(ディスク挿入待機モード)
このディスク収納型ディスク装置1におけるディスクDの挿入を待機するホームポジションは、図10にて実線で示すように、駆動ユニット14がディスク収納領域20内に介入する介入位置にあり、移送ユニット17が筐体2の前面7の内側に沿う待機位置にある。
【0120】
筐体2の前面7の図示Y1側に位置する操作部あるいはリモートコントローラを使用して、複数の支持体21のいずれかを指定する操作を行うと、図1に示す第1の動力伝達部12の第1のモータM1が始動し、ラック部材32と切換え部材38がY2方向へ駆動され、切換え部材38に固定された駆動ピン41によって、ユニット支持ベース13の下面に設けられた駆動スライダ85が、図3に示すようにY2方向へ移動させられて、駆動ユニット14が、図10において破線で示すように、筐体2の右側面8の内側に沿う退避位置に回動する。
【0121】
そして、図6に示す第2の動力伝達部16の第2のモータM2が始動し、その動力が切換え歯車98から伝達歯車99に作用し、支持体選択手段22の選択軸151が駆動される。この選択軸151のスクリュー溝である選択溝152によって支持体21が上下に移動させられ、ディスクDを保持させようとする支持体21が選択位置(a)に至る。支持体21が選択位置(a)で停止した後に、第1の動力伝達部12の第1のモータM1によって、ラック部材32と切換え部材38がY1方向へ移動させられ、図10に実線で示されるように、駆動ユニット14が図10に示す介入位置へ回動させられて、ホームポジションが設定される。
【0122】
このホームポジションでは、図1に示す第1の動力伝達部12のロック切換え部材42がY2側へ移動しており、ロック部材54がX2側へ移動し、図2(B)に示すロック部材61がX2側へ移動しており、ユニット支持ベース13に固定された拘束軸77が、ロック部材54に形成されたロック制御穴56の拘束部56aに保持され、拘束軸78,78が、ロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の拘束部62a,62aに保持されている。よって、ユニット支持ベース13は、筐体2の底面6に接近するように下降した姿勢で保持されている。ユニット支持ベース13に搭載されている駆動ユニット14も底面6に接近する位置に下降しており、図10に示すように、介入位置に移動した駆動ユニット14上の回転駆動部83は、選択位置(a)にある支持体21よりも下方に位置している。
【0123】
(ディスク搬入動作)
図10に示すように、駆動ユニット14が介入位置にあり、移送ユニット17が待機位置にあるホームポジションで、ディスクが挿入される。図13において、S1(ステップ1)で示すディスク挿入操作は、操作部の表示を参照して、筐体2内の空いている支持体21を指定する操作によって行われる。指定された支持体21が、既に選択位置(a)にあるときには、直ちにS2へ移行するが、指定された支持体21が選択位置(a)に無いときは、前記のように、駆動ユニット14が退避位置へ移動し、支持体選択手段22によって、指定された支持体21が選択位置(a)に至った後に、S2に移行する。
【0124】
ディスク搬入動作が始動する前に、移送ユニット17に搭載されている一対の光学検知素子F1,F2の動作確認が行われる。この動作確認は、駆動ユニット14が介入位置に設定され且つ移動ユニット17が待機位置に設定されていること、図11に示すように、検知部材251と検知部材252が最も接近した位置にあって検知スイッチSW1とSW2が共にONであること、図示しないシャッタ検出手段によって、図2(B)に示すように、挿入口23がシャッタ24で閉鎖されていることが検知されていること、の全ての条件が満たされているとき、すなわち、ディスクDが挿入口23から挿入されていないと判断されているときに実行される。
【0125】
機構制御部301では、上記の条件が満たされていることを前提として、図13に示すS2において、挿入口23のシャッタ24が閉じているかを確認し、閉じていないと判断したときには、S3に移行してシャッタ24を閉鎖する。シャッタ24が閉じていると判断したときには、S4に移行し、光学検知素子F1,F2の動作確認を行う。前記動作確認を行った後に、挿入口23のシャッタ24を開放する。
【0126】
この動作確認は、光学検知素子F1,F2のそれぞれの発光素子を発光させ、受光素子で受光させて、その受光出力が規定値(しきい値)を越えているか否かを検出することで行われる。動作確認では、発光素子の発光動作が短時間で少なくとも1回行われる。好ましくは、発光動作を間欠的に複数回行い、全ての発光時に受光出力が規定値を越えているときに正常と判断し、1度でも規定値を越えないときには異常(不良)と判断する。
【0127】
前記動作確認によって、「2つの光学検知素子F1,F2が共に正常な場合」「2つの光学検知素子F1,F2の一方のみが正常で、他方が不良な場合」「2つの光学検知素子F1,F2が共に動作不良である場合」の3通りの状態が確認される。
【0128】
「2つの光学検知素子F1,F2が共に正常な場合」のディスク搬入動作では、光学検知素子F1,F2を使用して、ディスクDが挿入口23から搬入されたか否かの検知が行われると共に、光学検知素子F1,F2を使用して、搬入動作中のディスクDが正常な、すなわち直径寸法や中心穴Daの直径寸法などが規定内のものであるかを常に監視し、搬入途中のディスクが規定外のディスクDであると判断されたときには、ディスクDを直ちに強制排出できるようにしている。
【0129】
この種のディスク収納型ディスク装置1では、挿入口23から筐体2内にディスクDが搬入されたときに、正常な形状のディスクのみが支持体21に保持されることが必要である。例えば、外形が異常に小さいディスクDが搬入されると、移送ローラ112,113から支持体21にディスクDが確実に受け渡されず、ディスクDが自由状態のまま筐体2内に残留するおそれがある。このような動作不良が発生すると、新たなディスクDを挿入できなくなるのみならず、既に支持体21に保持されているディスクを搬出できなくなる。また、異常な形状のディスクが支持体21に保持されてしまうと、その後の支持体選択動作の際に、ディスクDが支持体21から落下したり、あるいはこのディスクDを搬出するときに、支持体21から移送ユニット17にディスクを確実に受け渡すことができなくなる、などの問題が生じる危険性がある。
【0130】
異常な形状のディスクの搬入を検知して強制排出できるようにするためには、光学検知素子F1,F2が正常に動作していることが必要である。そのため、ディスクDの挿入操作が行われるたびに、または機構制御部301からディスク搬入動作指令が出されるたびに、光学検知素子F1,F2の動作確認が行われる。
【0131】
前記動作確認の結果、光学検知素子F1,F2のいずれか一方が動作不良であると判断したとき、あるいは双方が動作不良であると判断したときには、ディスクの挿入を受け入れず、且つ搬入動作に移行せずに、ディスク収納型ディスク装置1が故障状態であることを表示部に表示し、直ちに修理に移行させることも可能である。ただし、光学検知素子F1,F2が動作不良であっても、他の検知素子や機構が正常であるときには、ディスクの挿入を拒否することが必ずしも適切とはいえない。そこで、この実施の形態では、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方が動作不良と判断されたときであっても、故障状態であることを表示し、または故障状態であることを機構制御部301の保守点検用のメモリに記憶させた状態で、ディスク搬入動作を実行させ、修理までの間、ディスクDの選択動作や、ディスクDの再生動作を通常通りに行えるようにしている。
【0132】
すなわち、図13のS6において、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方が動作不良であると判断したときには、S7の「検知異常対応フロー」へ移行し、図15に示す制御動作、すなわち図13および図14に示す光学検知素子F1,F2が正常なときの制御動作とは別の制御に移行する。
【0133】
S4における光学検知素子F1,F2の動作確認は、ディスクを挿入する操作が行われる度に実行されるため、例えば、光学検知素子F1,F2にゴミが付着するなどして一時的に検知不良となっていたときは、検知異常対応フロー7に移行するが、次の動作確認の際に、光学検知素子F1,F2が正常であると判断されたときには、図13と図14に示す正常な制御動作に復帰できる。
【0134】
図13と図14に示す制御動作では、S6において、光学検知素子F1,F2の双方が正常に動作していると判断されたときに、その後、両光学検知素子F1,F2の発光素子に通電し、両発光素子の発光を継続して、S8以下のフローに移行する。光学検知素子F1,F2が正常に動作しているときには、この光学検知素子F1,F2および、機械動作型の検知スイッチSW1,SW2およびSW4を監視して、ディスクDが正常に搬入されているか、および搬入中のディスクDが正常なものであるか否かの判定が行なわれる。
【0135】
S8では、光学検知素子F1,F2のいずれかがONからOFFに切り換わるかを監視する。S9では、S5においてシャッタが開放されたことが検知されたときにタイマーを始動し、所定時間以内に光学検知素子F1とF2がOFFになるか否かを監視し、いずれもOFFにならないと判断したときには、ディスクDが挿入されないものと判断し、S10に移行してシャッタ24を閉鎖し、S1に戻って新たにディスク挿入操作が行われるのを待つ。
【0136】
S8において、光学検知素子F1とF2のいずれかがOFFに切り換わったと判断したときには、S11に移行してディスク搬入動作に移行する。このディスク搬入動作では、まず、移送ユニット17が図10に示すように前面7に接近した待機位置に停止した状態で、図3に示す第3の動力伝達部19の第3のモータM3が始動し、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113がディスク搬入方向へ自転する。
【0137】
光学検知素子F1,F2は、両移送ローラ112,113の間に位置する中間部114に対向しているため、ディスクDが中間部114内に入り込んだときに光学検知素子F1,F2がOFFになる。この時点ではディスクDに搬送力が作用せず、両移送ローラ112,113が始動した後、さらにディスクDが押し込まれたときに、このディスクDが両移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持されて搬送される。そのため、挿入口23からディスクDを手で挿入するときに、手に抵抗を受けることなく、ディスクDが筐体2内にスムースに送り込まれる。
【0138】
図13に示すS12では、第3のモータM3が始動して、移送ローラ112,113が始動したときに、機構制御部301でタイマーを始動し、所定時間以内に検知スイッチSW1とSW2の一方がONからOFFに切り換わるかを監視する。第3のモータM3が始動した後の所定時間以内に検知スイッチSW1とSW2のいずれもOFFに切り換わらないときには、ディスクDが移送ローラ112,113に至る前に引き抜かれたと判断し、S14に移行して第3のモータM3を停止して、移送ローラ112,113を停止する。
【0139】
S12において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFに切り換わったときには、そのまま移送ローラ112,113の自転を継続して、ディスクDが図10に示す挿入中心線Oaに沿って筐体2内に搬入される。このとき、ディスクDの外周縁で、検知部材251がX2方向へ押され、検知板253によって検知スイッチSW3または検知スイッチSW4がOFFからONに切換えられると、図6と図7に示す第2の動力伝達部16の第2のモータM2が始動し、且つ切換え歯車98と出力歯車94の噛み合いが解除され、切換え部材91が(e)方向へ駆動される。そして、切換え部材91に形成されたユニット制御長穴137の駆動傾斜部137bによって、駆動レバー135が反時計方向へ回動させられ、移送ユニット17が、支点軸131を中心として反時計方向へ回動し、図9と図11に示す移送動作位置に設定される。
【0140】
移送ユニット17が移送動作位置に設定されたて停止した後も、第3のモータM3の動作が継続し、移送ローラ112,113の自転力によって、ディスクDが筐体2内に搬入されて、ディスクDが選択位置(a)にある支持体21に送り込まれる。
【0141】
移送ユニット17に設けられた一対の光学検知素子F1,F2の検知領域は、搬入されるディスクDの中心Doの移動軌跡に対して左右に等距離を空けて配置され、且つ両検知領域の間隔は、ディスクDの中心穴Daよりも広く、且つ通常想定されるディスクDの透明な領域Dbの直径よりも大きく設定されている。そのため、ディスク搬送中に光学検知素子F1,F2が常にOFFであるかを監視することにより、ディスクDが正常に搬入されているか否か、および中心穴Daが過大である異常ディスクが搬入されていないか否かの判断が可能である。ただし、透明な領域Dbが通常よりも広くしかも正常に読み取りができるディスクDが搬入されたときに、この透明な領域Dbが、光学検知素子F1,F2のいずれかを横切ってその検出出力がONに切り換わるおそれがある。
【0142】
よって、この実施の形態では、透明な領域Dbが光学検知素子F1とF2を横切るおそれがある時間帯は、機械動作式の検知スイッチSW1,SW2およびSW4の検知出力を監視して、ディスクDが正常に搬入されているか否か、および正常な形状のディスクであるか否かの検知を行い、透明な領域Dbが光学検知素子F1,F2の検知領域を通過した後に、光学検知素子F1,F2の検知出力を使用して前記監視を行っている。
【0143】
すなわち、図9に示すように、ディスクDの搬入が開始された後の検知スイッチSW1とSW2がOFFのときには、透明な領域Dbが光学検知素子F1,F2を通過する可能性があるため、このときは光学検知素子F1,F2の検知出力を無視する。そこで、S12において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFになった後に、機構制御部301ではS15に移行して、検知スイッチSW1とSW2が共にOFFからONに復帰したか否かを監視し、この間は光学検知素子F1,F2の検知出力を無視する。
【0144】
なお、搬入されているディスクDが直径12cmの正常なものであるときには、S12とS15との間で、ディスクDの外周縁で検知部材251がX2方向へ押され、検知スイッチSW4がONになるはずである。よって、S12において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFとなった後で、SW15で両検知スイッチSW1,SW2が共にONになる前に、検知スイッチSW4が一度もONにならなかったら、ディスクDを強制的に搬出する(この動作は図13のフローチャートで省略している)。
【0145】
また、S12において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFに切り換わったと判断した後に機構制御部301でタイマーを始動し、S16において所定時間以内に検知スイッチSW1とSW2が共にONに復帰しないときには、ディスクDが正常に搬入されていないものと判断し、S17に移行して、ディスクDを強制的に搬出する。S17の強制搬出動作では、第3のモータM3を逆転させて、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113を搬出方向へ自転させ、さらに第2のモータM2を始動して、図6と図7に示す切換え部材91を(d)方向へ移動させ、移送ユニット17を時計方向へ回動させて、図10に示す待機位置へ復帰させる。
【0146】
この強制排出動作では、ディスクDが挿入口23から完全に排出され、検知部材251と252が最も接近した初期位置に復帰し、検知スイッチSW1とSW2が共にONになった時点で排出動作を停止させてもよいし、検知部材251が図10において(i)で示す位置に復帰して、検知スイッチSW3がONからOFFになった時点で、強制排出動作を停止させ、ディスクDの一部が筐体2内に保持されている状態で排出動作を停止してもよい。
【0147】
図9から解るように、移送ユニット17が移送動作位置に移動し、移送ローラ112,113の自転によってディスクDが搬入されている途中で、検知部材251と252が初期位置に復帰し、S15において検知スイッチSW1とSW2が共にONとなったことが検知された時点で、ディスクDの中心穴Daおよび透明な領域Dbは、共に光学検知素子F1,F2で検知される可能性のない位置まで進行している。よって、S15で、検知スイッチSW1とSW2が共にONになったと判断されたら、図14のS18に移行し、光学検知素子F1,F2の検知出力を監視する。
【0148】
ただし、S15において検知スイッチSW1とSW2が共にONに切り換わった後に、S19において時間を計測し、S15から所定時間以内に光学検知素子F1とF2が共にOFFにならないと判断したときには、ディスクDが正常に搬入されていないと判断し、S17へ移行して、ディスクDの強制排出操作に移行する。
【0149】
(ディスクDの装填検知)
S18以降は、光学検知素子F1,F2と、装填完了検知用の検知素子Feを監視して、選択位置(a)にある支持体21にディスクDが正常に装填されたか否かの検出を行う。
【0150】
まず、S20において、光学検知素子F1とF2が共にOFFを継続していることを検知することにより、図9に示すように、移送ユニット17が移送動作位置に設定されている状態で、ディスクDが正常に搬入されていることを認識できる。また、S21において、装填完了検知用の検知素子FeがOFFに切り換わったことを検知する前の時点で、S20において、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方がOFFからONに切り換わったことを検知したときには、直ちにS17へ移行してディスクDを強制排出する。これは、搬送中のディスクDが、その先端が図9に示す装填検知部材200に到達する前に、ディスクDの外周が光学検知素子F1,F2から外れたことを意味し、外径寸法が規定値以下のディスクDが搬入されたときに生じる。このように、装填完了検知用の検知素子FeがOFFに切り換わるまで、光学検知素子F1,F2の検知出力を監視し続けることにより、規定値よりも小径のディスクDが、選択位置(a)にある支持体21に受け渡されるのを阻止できる。
【0151】
なお、ディスクDを強制排出する際には、S20において光学検知素子F1,F2のいずれかがONとなったことが検知された直後に、移送ローラ112,113を排出方向へ逆転させれば、その時点で、ディスクDは移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持されているはずであるため、ディスクDが筐体2内に落下することなく、ディスクDを挿入口23から排出することができる。
【0152】
また、S22では、S15において検知スイッチSW1とSW2が共にONに切り換わったときを起点としてタイマーを始動させ、光学検知素子F1,F2の検知出力が共にOFFの状態を継続していることを条件として、所定時間以内に検知素子FeがONになるか否かを監視する。所定時間以内に検知素子FeがONにならないときには、搬送中のディスクDが支持体21内に移動できずに停止している可能性があるため、この場合も、S17に移行して、直ちにディスクDを強制的に排出する。
【0153】
光学検知素子F1,F2のOFFが継続したまま、S21において、検知素子FeがONになったことが検知されると、機構制御部301では、正常な外径寸法のディスクDが、選択位置(a)にある支持体21に装填されたものと判断する。このとき、直ちに移送ローラ112,113の回転を停止させるのではなく、S23に移行し、第3のモータM3への通電を継続させて、所定時間移送ローラ112,113に対して搬入方向への駆動力を与えつづける。その時間は、検知素子FeがOFFからONに切り換わったときを起点として、数百msec程度である。この移送ローラ112,113の回転継続時間は、移送ローラ112,113の1回転分以上であり、さらに好ましくは2回転分以上である。
【0154】
図9に示すように、装填完了検知用の検知素子Feは、装填検知部材200の回動動作によって動作させられる。支持体21にディスクDが装填されていないときには、装填検知部材200の遮光部203が検知素子Feの光を遮断しており、選択位置にある支持体21にディスクDが装填されると、このディスクDで装填検知部材200の腕部201が押されて反時計方向へ回動し、検知素子FeがOFFからONに切り換わる。ただし、光学検知方式の検知素子Feは、装填検知部材200が反時計方向へ完全に回動する前にOFFからONに切り換わるものであり、また検知回動部材200および検知素子Feの取付位置にも公差が見込まれる。そのために、ディスクDが支持体21に完全に挿入されて、保持爪155,156,157でディスクDが完全に保持される前に検知素子FeがOFFからONに切り換わる可能性がある。
【0155】
そこで、S23では、検知素子FeがONに切り換わった後に短時間だけ移送ローラ112,113の搬入方向への回転を継続させることにより、ディスクDを支持体21内に確実に保持させることができる。すなわち、移送ローラ112,113でディスクDに移送力を与えることにより、ディスクDの外周縁が、ストッパ部に押し付けられ、このときディスクDの中心穴Daが、その下に位置する回転テーブル86の凸部86bと一致する。なお、このストッパ部は、支持体21に一体に形成され、または支持体21に固定されて設けられているものであってもよいし、装填検知部材200の反時計方向への回動動作を規制する規制部が設けられ、装填検知部材200がストッパ部として機能するものであってもよい。
【0156】
また、このような制御を行うと、ディスクDが支持体21内に完全に保持される前の時点で、検知素子FeがOFFからONに切り換わるように、この検知素子Feと装填検知部材200とを組み込むことが可能になる。検知素子Feと装填検知部材200を実際のディスク装填完了前に動作させることにより、検知素子Feの切換え検出出力を確実に得ることができる。例えば、ディスクDが支持体21に完全に装填されたときにタイミングを合わせて検知素子Feの検知出力が切り換わるように設定しようとすると、検知素子Feや検知回転部材200の位置ずれなどで、検知素子Feの切換え出力が得られないという誤動作が発生するおそれがある。これに対し、この実施の形態では、検知素子Feの検知出力の切換え時点を、実際のディスクDの装填完了時よりも前となるよう設定できるため、検知素子Feや装填検知部材200の取付け公差も比較的ラフに設定できる。
【0157】
なお、検知素子FeがONに切り換わった後に移送ローラ112,113の回転を継続しているときに、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方の検知出力がOFFからONに切り換わったときは、支持体21に装填されようとしているディスクDの外径寸法が異常であると判断し、直ちにS17へ移行してディスクDを強制排出することが好ましい。
【0158】
このようにして、選択された支持体21にディスクDが装填された後に、S24で、第3のモータM3を停止させて、移送ローラ112,113の自転を停止させる。このとき、移送ユニットは図9と図11に示す移送動作位置にあり、停止している移送ローラ112,113と挟持部106によってディスクDは挟持されたままである。このとき、ディスクDの中心穴Daが、その下に位置する回転テーブル86の凸部86bに一致しているため、S25に移行してディスククランプ動作に移行する際に、凸部86bを中心穴Da内に確実に導くことができる。
【0159】
(検知異常対応フロー)
図13のS6において、動作確認の結果、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方が動作不良であると判断したときには、S7の検知異常対応フローに移行する。
【0160】
光学検知素子F1,F2のいずれか一方のみが動作不良のときには、図13と図14の正常動作フローにおいて、S8、S18およびS20の検知動作を、光学検知素子F1,F2のうちの正常に動作している一方のみで行うことが可能である。光学検知素子F1,F2の一方のみを使用することで、図13と図14と同じ動作フローを実現できる。
【0161】
ただし、この実施の形態のディスク収納型ディスク装置1の検知異常対応フローでは、図15に示すように、ディスクDが正常に搬入されているか否かの検知、および搬入されているのが正常な外径のディスクであるか否かの検知に、光学検知素子F1,F2の検知出力を使用していない。このように、光学検知素子F1,F2の少なくとも一方が動作不良を起こしているときであっても、図15に示すフローを実行することにより、ディスク装置1を正常に動作させることが可能である。
【0162】
検知異常対応フローでは、図13に示すS6において光学検知素子F1,F2の一方のみが動作不良と判断されたときには、S31に移行する。S31以下では、光学検知素子F1のみが正常で光学検知素子F2が動作不良の場合について説明する。ただし、光学検知素子F2のみが正常である場合も同じである。
【0163】
この場合、正常に動作する光学検知素子F1を使用してディスクDの挿入検知を行う。すなわち、正常な光学検知素子F1の発光素子に通電し、発光素子の発光を継続し、S32において、正常な光学検知素子F1を監視する。光学検知素子F1の検知出力がONからOFFに切り換わったときには、ディスクDが挿入されたと判断し、S34に移行して、第3のモータM3を始動して、ディスクDの搬入動作に移行する。S33では、シャッタ開放後に時間を計測し、所定時間内に光学検知素子F1がOFFに切り換わらなかったら、S10に移行してシャッタ24を閉鎖する。
【0164】
このように一方の光学検知素子F1を使用してディスクDの挿入検知を行えば、ディスクDが移送ローラ112,113に当たる前に移送ローラ112,113を搬入方向へ始動でき、挿入口23へ手で挿入したディスクDが大きな抵抗力を受けることなく、スムースに筐体2内に搬入される。
【0165】
ディスクを搬入しているときには、S35で検知スイッチSW1またはSW2がOFFとなったか否か確認し、S36において所定時間以内に検知スイッチSW1またはSW2がOFFにならないと判断したときには、S17へ移行して移送ローラ112,113を停止する。
【0166】
S35において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFになったら、S37において、検知スイッチSW4がONになるか否かを判断し、S38において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFになった後の所定時間以内に検知スイッチSW4がONにならないと判断したときはS17へ移行してディスクDを強制的に排出する。検知スイッチSW4がONになったら、次にS39において、検知スイッチSW1とSW2が共にONになったかを監視し、S40では、検知スイッチSW1またはSW2がOFFになった後の所定時間以内に検知スイッチSW1とSW2が共にONに復帰しなかったら、S17に移行して、ディスクDを強制的に排出する。
【0167】
S35からS40までのフローでは、ディスクDの外周縁によって、検知部材251と252が互いに離れる方向へ移動したか否か、さらには正常な外径のディスクによって検知部材252がX2方向へ押されて検知スイッチSW4がONになったか否かを検出でき、さらにディスクDが筐体2の内部に搬入されて、検知部材251,252が互いに接近する初期位置に復帰したか否かを確認できる。このように、光学検知素子F1,F2のいずれか一方が動作不良のときには、検知スイッチSW1,SW2およびSW4を監視することにより、ディスクDが搬入されているか、また外径寸法が正常なディスクDであるかを、光学検知素子F1,F2と併用したときほど高精度ではないにしても、検知することができる。
【0168】
図15に示すS41では、検知スイッチSW1とSW2が共にONに復帰した後の所定時間以内に装填完了検知用の検知素子FeがOFFからONに切り換わったか否かを監視する。S42において所定時間以内に検知素子FeがONに切り換わらなかったらS17へ移行してディスクDを強制的に排出する。検知素子FeがONになったら、選択位置(a)にある支持体21にディスクDが装填されたものと判断し、S23のディスク押し込み動作へ移行する。
【0169】
S7の検知異常対応フローでは、光学検知素子F1とF2の双方が動作不良であると判断されたときにはS45以下のフローへ移行する。
【0170】
このフローでは、光学検知素子F1,F2を挿入検知に使用できないため、検知スイッチSW1,SW2の検知出力を監視して、ディスクDが挿入口23から挿入されたか否かを検知する。すなわち、S5においてシャッタ24が開放されたときを起点として時間を計測し、S46では、所定時間以内に検知スイッチSW1またはSW2がONからOFFに切り換わるか否かを監視する。S47において所定時間以内に検知スイッチSW1またはSW2が切り換わらないと判断したときは、S10へ移行してシャッタ24を閉鎖する。S46において、検知スイッチSW1またはSW2がOFFに切り換わったことが検知されたときには、S48に移行して、ディスク搬入動作に移行する。
【0171】
光学検知素子F1,F2の双方が動作不良を発生しているときに、検知スイッチSW1とSW2をディスクの挿入検知に使用すると、図10に示すように、ディスクDを挿入口23からやや筐体2の内方へ押し込み、さらにディスクDを移送ローラ112,113と挟持部106との間に押し込んだ後に、検知部材251と252が動き、検知スイッチSW1またはSW2がOFFになって、移送ローラ112,113が始動する。したがって、光学検知素子F1,F2をディスク挿入検知に使用しているときに比べて、ディスク挿入時に手で感じる抵抗力が大きくなる。しかし、その後ディスクDを筐体2内に搬入させることは可能である。
【0172】
図15に示すように、S48においてディスク搬入動作に移行した後は、S37に移行し、その後は、光学検知素子F1,F2の一方のみが動作不良のときと同じフローの動作制御が行われる。
【0173】
(ディスククランプ動作)
図14のS25に示す、ディスク搬入後のクランプ動作は図16に示すフローに基づいて行われる。
【0174】
ディスククランプ動作では、図9および図11に示すように、駆動ユニット14が介入位置で停止し、移送ユニット17が移送動作位置で停止した状態で、さらに図1に示す第1の動力伝達部12のラック部材32がY1方向へ駆動される。この行程では、最初に切換え部材38がY1方向へ移動せず、連結回動レバー43が反時計方向へ駆動されて、ロック部材54がX1方向へ移動させられ、図2(B)に示すロック部材61もX1方向へ移動させられる。そして、ロック部材54に設けられたロック制御穴56の持ち上げ部56bによって拘束軸77が持ち上げられ、ロック部材61に設けられたロック制御穴62の持ち上げ部62bによって拘束軸78,78が持ち上げられる。よって、ユニット支持ベース13が持ち上げられ、介入位置にある駆動ユニット14に設けられた回転テーブル86の凸部86b(図4参照)が、選択位置(a)の支持体21に保持されているディスクDの中心穴Da内に入り込む。
【0175】
その後は、連結回動レバー43が停止し、ロック切換え部材42が停止して、ユニット支持ベース13が持ち上げられた状態を維持し、さらにラック部材32のY1方向への移動に追従して切換え部材38がY1方向へ移動し、切換え部材38に固定された駆動ピン41によって、ユニット支持ベース13の下面に位置する駆動スライダ85が、Y1方向へ移動させられる。このとき、介入位置にある駆動ユニット14に設けられたクランプ切換え部材80が、駆動ユニット14の回動自由端側へ移動し、図5に示すように回転テーブル86内のクランプ爪86dが周囲に突出したクランプ姿勢となり、ディスクDは、回転テーブル86の支持面86aとクランプ爪86dとで挟持されてクランプされる。
【0176】
この一連のクランプ動作が完了したか否かは、Y1方向へ移動するラック部材32がクランプ動作完了位置に移動し、図3に示す動作検知スイッチSWaが、ラック部材32によってOFFからONに切換えられることで検知される。動作検知スイッチSWaがONになった時点で、第1の動力伝達部12の第1のモータM1が停止し、ラック部材32が停止する。
【0177】
S51において、前記動作検知スイッチSWaがONになったことが検知されると、S52において、機構制御部301は、図12に示すサーボモータドライバ305に駆動指令を与え、駆動ユニット14に設けられた回転駆動部82のスピンドルモータMsが短時間だけ通電される。S53では、このときにスピンドルモータMsが回転したか否かの検出が行われる。スピンドルモータMsはサーボモータであり、回転検出部にFGが設けられているため、スピンドルモータMsが回転すれば、FGからの回転検出パルスがサーボモータドライバ305にフィードバックされ、これにより機構制御部301では、スピンドルモータMsが回転したことを認識できる。またスピンドルモータMsのコイルへ与えられる駆動電流を監視することによってもスピンドルモータMsが回転したか否かの検出が可能である。
【0178】
図5に示すクランプ爪86dがクランプ姿勢となりクランプ動作が完了した時点で、ディスクDは、移送ユニット17の移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持されているため、スピンドルモータMsに通電してもスピンドルモータMsは本来は回転しないはずである。よって、S54において、スピンドルモータMsを始動した後の所定時間内にスピンドルモータMsの回転が検出されたときには、S55に移行し、正常な寸法のディスクDが回転テーブル86に正常にクランプされたものと判断する。
【0179】
S53において、スピンドルモータMsが回転したときは、支持体21に保持されているディスクDの中心穴Daの内径が規定のものよりも大きく、クランプ爪86dでディスクDの中心穴Daを適切にクランプできないディスクDである可能性が高い。
【0180】
この場合には、S56に移行して、図1に示す第1の動力伝達部12の第1のモータM1を始動し、ラック部材32をY2方向へ移動させ、切換え部材38の駆動ピン41で、図3に示す駆動スライダ85をY2方向へ移動させ、クランプ切換え部材80を動作させて、図4に示すようにクランプ爪86dを回転テーブル86の凸部86b内に対向させてクランプを解除する。さらに、ラック部材32をY2方向へ移動させ、連結回動レバー43を回動させてロック切換え部材42をY2方向へ移動させ、ロック部材54とロック部材61をX2方向へ移動させる。そして、ロック部材54に設けられたロック制御穴56の拘束部56aで拘束軸77を拘束し、ロック部材61に設けられたロック制御穴62の拘束部62aで拘束軸78,78を拘束して、ユニット支持ベース13を下降させる。よって駆動ユニット14も下降し、回転テーブル86の凸部86bがディスクDの中心穴Daからに抜け出る。
【0181】
その後、S57に移行し、第3のモータM3を始動して移送ローラ112,113を排出方向へ自転させ、さらに第2のモータM2を動作させて、移送ユニット17を図10に示す待機位置へ復帰させて、ディスクDを挿入口23から排出する。この排出動作では、ディスクDの外周縁で検知部材251がX2方向へ移動し、検知板253によって検知スイッチSW3がONに切換えられ、さらにディスクDが挿入口23から排出されるに伴って検知部材251がX1方向へ復帰し、検知スイッチSW3がOFFとなった時点で、移送ローラ112,113の回転を停止する。よって排出されるディスクDは一部が筐体2内に残った状態で保持される。
【0182】
なお、S53において、スピンドルモータMsが回転したことが検知される場合として、前述のように中心穴Daの内径寸法が大きすぎる異常寸法のディスクDが搬入されたときのみならず、正常な寸法のディスクでありながら、クランプ動作完了時に、回転テーブル86の凸部86bがディスクDの中心穴Da内に入りきれていない状態で、クランプ爪86dがクランプ姿勢に突出したクランプ動作不良の場合も想定できる。
【0183】
しかし、この実施の形態では、図14のS25のクランプ動作の後に、S53に示すように、スピンドルモータMsが回転したと検知されたときには、再度クランプ動作を繰り返すというリトライを行うことなく、直ちにS56に移行し、クランプ動作を解除してディスクDを排出している。このように、新たなディスクDが搬入されたときに、S53においてスピンドルモータMsが回転したと判断されたときには、たとえそれが正常なディスクDであってとしても、必ず排出動作に移行させる。このように、一度でもクランプミスが発生したディスクを再度クランプ動作を行わせることなく強制排出することにより、クランプ動作に支障をきたすおそれのある異常なディスクが支持体21内に保持されて、ディスク収納領域20内に収納される可能性をきわめて低くしている。
【0184】
なお、S57において強制的に排出されたディスクDが挿入口23から突出しているときには、そのディスクDが手で引き抜かれるまでその保持を継続する。挿入口23から突出したディスクが再度指で押され、検知部材251がX2方向へ移動し、検知スイッチSW3が再度ONになった場合でも、移送ローラ112,113を駆動する第3のモータM3を始動させず、強制排出したディスクDの再度の搬入を阻止できるようにしている。これは、図13に示すS17でのディスク強制排出の後も同じである。
【0185】
このように、ディスク収納型ディスク装置1では、図13と図14に示すフローによって、外径寸法が規格よりも極端に小さい異常ディスクが、選択位置(a)にある支持体21に保持されるのを阻止し、図16のフローによって、中心穴Daの内径寸法が大きかったり、中心穴Daが変形しているようなクランプ不能なディスクが支持体21に保持されるのを阻止できるようにしている。さらに、図14のS20により、ディスクDが搬入されているときに、光学検知素子F1,F2を常に監視することにより、記録面が損傷してディスクが部分的に透明となっているような異常ディスクが支持体21に保持されるのも防止できる。
【0186】
(支持体選択後のクランプ動作)
ディスク収納領域20内に収納されているディスクDのいずれかを選択して駆動するときには、図10に示すように、駆動ユニット14を退避位置へ移動させ、且つ移送ユニット17を待機位置へ移動させる。そして、図6に示す切換え歯車98を、出力歯車94と伝達歯車99とに噛み合わせ、第2のモータM2の動力により支持体選択手段22の選択軸151を駆動し、いずれかの支持体21を選択位置(a)へ移動させる(図17のS60)。
【0187】
そして図10に示すように、駆動ユニット14を介入位置へ回動させ、さらにロック部材54,61によってユニット支持ベース13を持ち上げて、回転テーブル86の凸部86bを、選択位置(a)の支持体21に保持されているディスクの中心穴Daに入り込ませ、さらにクランプ切換え部材80を動作させてクランプ爪86dをクランプ姿勢に突出させる(図17のS61)。
【0188】
図17のS62において、図3に示す動作検知スイッチSWaがONになったことが検知されたら、S63へ移行して、図6、図7に示す第2のモータM2を始動し、切換え部材91を(e)方向へ移動させ、移送ユニット17を反時計方向へ少しだけ回動させる。このとき、第3のモータM3を始動せず、移送ローラ112,113は回転させない。この動作により、移送ユニット17の挟持部106あるいは移送ローラ112,113などの移送ユニット17の一部が、クランプ完了後のディスクの外周面に押し当てられて、回転駆動部82にクランプされているディスクDが回転しないように保持される。
【0189】
移送ユニット17でディスクDの外周が押さられた状態で、S64に移行して、スピンドルモータMsに駆動電流を与える。S66において、所定時間以内にスピンドルモータMsの回転が検出されないときは、S67に移行して、選択された支持体21に保持されているディスクDが正常にクランプされたと判断する。
【0190】
S65において、スピンドルモータMsの回転が検知されたときは、選択された支持体21に保持されているディスクDの中心穴Daに対して、回転テーブル86の凸部86bが完全に入り込んでいないなどの、クランプ動作不良である確率が高い。すなわち、新たなディスクDが搬入されるときに、図13と図14に示すフロー、および図16に示すフローを実現することで、異常寸法のディスクが支持体21に保持されることなく、未然に排出されているはずであり、ディスク収納領域20内に収納されているディスクDは正常な寸法である確率が高い。よって、この場合には、次のような確認動作とリトライが行われる。
【0191】
S65においてスピンドルモータMsの回転が検知されたときには、S68に移行し、光ヘッド83のフォーカスサーボ機構をロックさせる。フォーカスサーボ機構では、対物レンズ83aを保持するレンズホルダが線ばねなどの弾性部材で光軸に沿う方向へ微動できるように保持されており、レンズホルダにはフォーカスサーボコイルが、固定側には、フォーカスサーボコイルに磁界を与えるマグネットが対向している。フォーカスサーボコイルの所定の電流が与えられ、フォーカスサーボ機構がロックされると、対物レンズ83aが、検知光をディスクの記録面に合焦できる位置で保持される。光ヘッド83内の発光素子から発せられた検知光を対物レンズ83aからディスクの記録面に与え、その戻り光を受光素子で検知することで、合焦位置にディスクDの記録面が存在しているか否かを検知できる。
【0192】
S69において、ディスクの記録面から正常な合焦戻り光が検知されたと判断されたときには、ディスクDの下面が回転テーブル86の支持面86aに正常に設置された状態であると判断できる。よって、このときはS67に移行し、ディスクが正常にクランプされたと判断する。
【0193】
S69において、ディスクの記録面から正常な合焦戻り光が検知されないと判断したときには、S70に移行し、フォーカス動作による前記確認が所定回数(例えば3回)を越えたか否か判断し、超えていない場合には、再度S65に移行し、スピンドルモータMsを回転駆動する。S70において、所定回数を越えたと判断したときには、S71に移行し、ディスクの排出動作に移行する。
【0194】
S71のディスク排出動作は、選択位置(a)にある支持体21に保持されているディスクDを排出する通常の排出動作と同じである。
【0195】
すなわち、移送ローラ112,113を排出方向へ回転させながら、移送ユニット17を反時計方向へ回動させて、図9と図11に示す移送動作位置まで移動させる。移送ローラ112,113を排出方向へ回転させることにより、この移送ローラ112,113と挟持部106とでディスクDを挟持することができる。ディスクDを挟持した状態で移送ローラ112,113を停止し、クランプ爪86dを図4に示す非クランプ姿勢へ退行させる。その後、保持爪155,156,157を回動させて、支持体21におけるディスクDの保持を解除する。さらにロック部材54,61をX2方向へ移動させて、ユニット支持ベース13を下降させて、駆動ユニット14に設けられた回転テーブル86の凸部86bをディスクDの中心穴Daから下方へ抜き出す。そして、移送ローラ112,113を排出方向へ回動させ、移送ユニット17を図10に示す待機位置へ回動させ、ディスクDを挿入口23から排出する。このとき、検知スイッチSW3がONとなりさらにOFFとなったときに、移送ローラ112,113を停止する。
【0196】
(ディスク駆動動作)
図16のS55または図17のS67において、ディスクDが回転テーブル86に正常にクランプされていると判断したときには、図10に示す保持爪155,156,157を回動させて、選択位置(a)にある支持体21でのディスクDの保持を解除する。
【0197】
その後、図1に示す第1の動力伝達部12の第1のモータM1を始動し、ロック切換え部材42をY1方向へさらに移動させる。このとき、切換え部材38は動かず、駆動スライダ85も駆動されず、駆動ユニット14は介入位置に移動した状態を維持する。そして、連結回動レバー43が反時計方向へ駆動され、ロック切換え部材42がY1方向へ駆動される。このときロック部材54がX1方向へ移動させられ、図2(B)に示すロック部材61が図示X1方向へ移動させられる。
【0198】
ロック部材54に設けられたロック制御穴56の逃げ部56c、およびロック部材61に設けられたロック制御穴62の逃げ部62cによって、ユニット支持ベース13に設けられた拘束軸77および拘束軸78,78が自由状態とされ、ユニット支持ベース13およびこれに支持されている駆動ユニット14がダンパー71,72,73によって弾性支持された状態となる。よって、スピンドルモータMsでディスクDを回転駆動し、光ヘッド83で、再生動作や記録動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の実施の形態のディスク収納型ディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、
【図2】本発明のディスク収納型ディスク装置を筐体の前面から見た正面図であり、(A)は主に筐体内の移送ユニットを示し、(B)は主に支持体と支持体選択手段および駆動ユニットさらにはシャッタを示す、
【図3】ディスク収納型ディスク装置全体のユニット支持ベースおよび駆動ユニットを示す平面図、
【図4】非クランプ状態の回転駆動部を示す側面図、
【図5】クランプ状態の回転駆動部を示す側面図、
【図6】第2の動力伝達部の構造を示すものであり、移送ユニットが待機位置に移動した平面図、
【図7】第2の動力伝達部の構造を示すものであり、移送ユニットが移送動作位置に移動した平面図、
【図8】第3の動力伝達部を示すものであり、移送ユニットの回動支点の構造を示す分解斜視図、
【図9】各種検知手段の構造を示す平面図、
【図10】ディスク収納型ディスク装置の、ディスクの挿入を待機するホームポジションを示す平面図、
【図11】ディスク収納型ディスク装置の、ディスクが支持体に装填された状態を示す平面図、
【図12】ディスク収納型ディスク装置の回路構成を示すブロック図、
【図13】ディスク搬入時の検知動作のフローチャート、
【図14】ディスク搬入時の検知動作のフローチャート、
【図15】検知異常対応フローを示すフローチャート、
【図16】ディスク搬入時のクランプ動作を示すフローチャート、
【図17】ディスク選択後のクランプ動作を示すフローチャート、
【符号の説明】
【0200】
1 ディスク収納型ディスク装置
2 筐体
14 駆動ユニット
16 第2の動力伝達部
17 移送ユニット
21 支持体
23 挿入口
24 シャッタ
32 ラック部材
41 駆動ピン
42 ロック切換え部材
43 連結回動レバー
54 ロック部材
61 ロック部材
80 クランプ切換え部材
85 駆動スライダ
86 回転テーブル
86a 支持面
86b 凸部
86d クランプ爪
91 切換え部材
200 装填検知部材
112 第1の移送ローラ
113 第2の移送ローラ
301 機構制御部
F1,F1 光学検知素子
Fe 検知素子
SW1,SW2,SW2,SW4 検知スイッチ
SWa 動作検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク(D)をクランプする回転駆動部(82)と、ディスクを前記回転駆動部でクランプ可能な装填完了位置へ向けて移送する移送機構(17)とが設けられたディスク装置において、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)の外周縁に押されて動作する装填検知部材(200)と、この装填検知部材(200)によって検知出力が切換えられる検知部(Fe)とが設けられ、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)が装填完了位置に至る前に、装填検知部材(200)が動作して前記検知部(Fe)の検知出力が切換えられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後に、さらに移送機構(17)によるディスク移送動作が継続されて、ディスク(D)が装填完了位置に設置されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク(D)を保持する支持体(21)と、ディスクを前記支持体(21)で保持可能な装填完了位置へ向けて移送する移送機構(17)とが設けられたディスク装置において、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)の外周縁に押されて動作する装填検知部材(200)と、この装填検知部材(200)によって検知出力が切換えられる検知部(Fe)とが設けられ、
移送機構(17)で移送されるディスク(D)が装填完了位置に至る前に、装填検知部材(200)が動作して前記検知部(Fe)の検知出力が切換えられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後に、さらに移送機構(17)によるディスク移送動作が継続されて、ディスク(D)が装填完了位置に設置されることを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
ディスク(D)が装填完了位置に至ったときに、ディスクの外周縁が当たるストッパ部が設けられ、検知部(Fe)の検知出力が切換えられた後の移送機構(17)の移送力により、ディスクが前記ストッパ部に押し付けられる請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
移送機構(17)は、ディスクに移送力を与える移送ローラ(112,113)と、この移送ローラとでディスクを挟持して保持する挟持部(106)とを有しており、
移送機構(17)でディスク移送動作を継続した後に、移送ローラの回転を停止させ、移送ローラと挟持部とでディスクを挟持したままの状態で、ディスク(D)が回転駆動部(82)にクランプされる請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−66347(P2007−66347A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247459(P2005−247459)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】