ディスク駆動装置
【課題】簡易構造で小型なディスク駆動装置にして、両面記録式ディスクの記録/再生を好適に行えるようにする。
【解決手段】ディスクDを回転自在に保持するターンテーブル61とクランプ部材7、およびディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ62とその送り機構63を備えたディスク駆動装置である。ディスクDは、ディスク移送機構3によりドライブ位置と該ドライブ位置から退出される位置との間で移送され、ドライブ位置ではターンテーブル61とクランプ部材7とによりディスクDが回転自在に保持される。又、ドライブ位置からディスクが退出されているとき、反転機構2の作動によりターンテーブル61とクランプ部材7および光ピックアップ62が反転軸21を中心として一体的に180度反転される。
【解決手段】ディスクDを回転自在に保持するターンテーブル61とクランプ部材7、およびディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ62とその送り機構63を備えたディスク駆動装置である。ディスクDは、ディスク移送機構3によりドライブ位置と該ドライブ位置から退出される位置との間で移送され、ドライブ位置ではターンテーブル61とクランプ部材7とによりディスクDが回転自在に保持される。又、ドライブ位置からディスクが退出されているとき、反転機構2の作動によりターンテーブル61とクランプ部材7および光ピックアップ62が反転軸21を中心として一体的に180度反転される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体としてのディスクにビジュアル信号などを記録したり、その記録情報を再生したりするのに用いられるディスク駆動装置に係わり、特に大きな記録容量を有する両面記録式ディスクに対応して情報の記録/再生を好適に行えるようにしたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長時間の映画などでも高品位の画質・音質で記録することのできる大容量のディスクが普及している。その種のディスクとしては、二層構造の記録面を片面側に形成した二層片面記録式のほか、記録面を両面側に形成した一層両面記録式や二層両面記録式といったものが知られるが、両面記録式のディスクでは両面に記録された情報を続けて再生する場合などに対応して、ディスクの両面側に光ピックアップを個別に設けたり、ディスクの一方の面側から他方の面側に光ピックアップの位置を自動反転させたりすることが必要になる。
【0003】
しかし、光ピックアップをディスクの両面側に設けるものでは装置のコストが高くなるばかりでなく、ディスクの両面側には光ピックアップのみならず、これをディスクの半径方向に移動させる機構を個別に装備することが必要になるために装置構造が複雑になるという不利がある。
【0004】
このため、両面記録式ディスクの記録/再生を行う装置では、単一の光ピックアップをディスクの一方の面側から他方の面側に自動反転させる方式が主流となっている。
【0005】
ここに、単一の光ピックアップをディスクの一方の面側から他方の面側に自動反転させる方式の装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されるものが知られる。
【0006】
尚、特許文献1では、光ピックアップをディスクの半径方向に移動させるための案内部材およびラック部材をディスクの両面側に配置する一方、ターンテーブル上に載置されたディスクの外周よりも外側となる位置に、案内部材と対応するピン状の保持部材をもつ円盤状の回転部材を設け、光ピックアップを反転させる時これを搭載したキャリッジをディスクの外周よりも外側に移動させることにより、キャリッジがディスクの片面側に配した案内部材から外れて保持部材に係合し、この状態で回転部材を回転させることによって光ピックアップの反転が行われるようにしている。
【0007】
又、特許文献2も特許文献1と基本的に同様であり、同文献2によれば、光ピックアップをディスクの半径方向に移動させるためのガイド軸(特許文献1の案内部材に相当)および直線ガイド(特許文献1のラック部材に相当)をディスクの両面側に配置する一方、ターンテーブル上に載置されたディスクの外周よりも外側となる位置に回転板(特許文献1の回転部材に相当)を設け、その回転板に光ピックアップと係合する保持軸(特許文献1の保持部材に相当)ほか、ディスク両面側の直線ガイドに対応する別の直線ガイドを設ける構成としている。
【0008】
【特許文献1】特許第2645518号公報
【0009】
【特許文献2】特開2005−100560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
然しながら、特許文献1、2の何れも単一の光ピックアップをディスク両面の記録/再生に併用することはできても、その送り機構をディスクの両面側に装備することから2つの光ピックアップを用いる装置と同じく構造が複雑になるという欠点を有する。
【0011】
又、ターンテーブルで支持されたディスクの外周より外側で光ピックアップを反転させるために、特許文献1では光ピックアップをディスクの外周より外側に誘導するべくラック部材を延長し、特許文献2では回転板からディスク側に向けて直線ガイドを延長するなどしていることから、いずれの装置も小型化が困難となる。
【0012】
更に、特許文献1、2では、反転前後の光ピックアップの位置がディスクを挟んで対称となるように、光ピックアップをディスクの両面から一定の距離だけ隔てた状態のまま反転させるようにしていることから、反転時における光ピックアップの回動半径が大きくなり、その反転領域を装置内に確保しなければならぬ関係上、装置が大型化するという欠点がある。
【0013】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は簡易構造で小型なディスク駆動装置にして、両面記録式ディスクの記録/再生を好適に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するため、
ディスクを回転自在に保持するディスク保持手段と、このディスク保持手段により保持されたディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する信号読取手段とを備えたディスク駆動装置において、
前記ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸21を有して前記ディスク保持手段と信号読取手段を前記反転軸21により反転自在に支持する反転機構2と、ディスクを前記ディスク保持手段により保持されるドライブ位置と該ドライブ位置から退出させる位置との間で移送するディスク移送機構3とを有し、前記ドライブ位置からディスクが退出されているとき前記反転機構2の作動により前記反転軸21を中心として前記ディスク保持手段と信号読取手段とが一体的に180度反転する構成としたことを特徴とする。
【0015】
加えて、前記ディスク保持手段と信号読取手段とは、反転機構2の反転軸21に対して交差する方向に移動可能とされ、その両手段が前記反転機構2による反転動作時に、前記反転軸21の延長線上近傍に集結されることを特徴とする。
【0016】
又、ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカ5が設けられると共に、そのディスクストッカ5に集積されたディスクの配列方向に、反転機構2とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸を有した反転機構により、ディスク保持手段と信号読取手段が一体的に180度反転されるようにしていることから、ディスクの両面側に光ピックアップの送り機構を設けず、信号読取手段を光ピックアップとその送り機構を含むユニットにして装置構造を簡素化することができ、しかもディスク保持手段と信号読取手段の反転動作がディスクのドライブ位置で行われるようにしていることから、従来のようにディスクの外周より外側に光ピックアップの反転領域を確保する必要がなくなり、以て装置の小型化を達成することが可能となる。
【0018】
特に、ディスク保持手段と信号読取手段が反転機構の反転軸に対して交差する方向に移動可能とされ、反転機構による反転動作時においてディスク保持手段と信号読取手段が反転軸の延長線上近傍に集結されるようにしていることから、ディスク保持手段と信号読取手段の反転のためにディスクのドライブ位置に大きな領域を確保せずして両手段の反転を確実に行え、装置の小型化(薄型化)を図ることも容易になる。
【0019】
又、ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカが設けられると共に、そのディスクストッカに集積されたディスクの配列方向に、反転機構とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることから、複数のディスクを装置内から取り出すことなく、それらディスクの両面に記録された情報を次々と再生することなどか可能となり、利便性を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は、本発明に係るディスク駆動装置の内部構造を示した平面概略図である。図1において、1は情報記録媒体としてのディスク(光ディスクや光磁気ディスクなど)を回転させながら該ディスクに対して所望の情報を記録したり当該記録情報を再生したりするためのドライブユニット、2はドライブユニット1を180度反転させるための反転機構であり、この反転機構2はドライブユニット1を反転自在に支持する反転軸(図1では省略)を有してドライブユニット1と一体的に組み合わされる。
【0021】
3はディスクDをドライブユニット1の位置(ドライブ位置)と該ドライブ位置から退出する位置(待機位置)との間で移送するディスク移送機構であり、このディスク移送機構3は、ディスクDの外周縁を把持する一対の把持アーム31,32と、その両把持アームを作動せしめるスライダ33とを有して構成される。把持アーム31,32は、装置の筐体4内に設けられる支点軸34を中心として回動自在に支持される可動部材であり、それら把持アーム31,32には支点軸34側の一端部においてそれぞれ案内ピン31A,32Aが突設される。一方、スライダ33は図示せぬ駆動源からの伝達動力を得て前後方向(図1の矢印Y1方向)にスライド走行されるもので、これには2つの把持アーム31,32に対応する2条のカム溝33Aが形成され、そのカム溝33Aに把持アームの案内ピン31A,32Aが係合されている。
【0022】
そして、係るディスク移送機構3によれば、ディスクDがドライブユニット1に隣接する待機位置(図1の位置)にあるとき、スライダ33がドライブユニット1側に移動することで一対の把持アーム31,32が閉じる方向に回動して図2の如く待機位置にあるディスクDの把持が行われ、スライダ33がドライブユニット1側に更に移動すると、ディスクDが把持アーム31,32で把持されたまま図3の如くドライブ位置まで移送されるようになっている。
【0023】
尚、ドライブ位置において、ディスクDは後述するターンテーブルとクランプ部材とにより中心部をクランプされて回転自在に保持されるようになっている。又、図3の状態でスライダ33を更に進行させると、カム溝33Aの形状によって一対の把持アーム31,32が開く方向に回動してディスクDを解放し、スライダ33を上記とは逆向きに移動させると、ドライブ位置のディスクDが待機位置まで移送されることとなる。
【0024】
図4は同ディスク駆動装置の内部構造を示した側面概略図である。この図で明らかなように、ディスクの待機位置には複数のディスクDを対面状にして配置するディスクストッカ5が設けられる。係るディスクストッカ5は複数のディスクDを個別に支持する棚部を有するキャビネット型であり、これは装置の筐体4に対して着脱自在とされる。
【0025】
一方、後述する信号読取手段とディスク保持手段を備えるドライブユニット1は、ディスクストッカ5との間でディスクの受け渡しを行えるよう上記反転機構2と一体としてディスクストッカ5に配置されたディスクDの配列方向(本例において上下方向)に移動可能とされる。尚、ドライブユニット1の移動はディスクストッカ5との間における相対的なもので、ディスクストッカ5がドライブユニット1に対してディスクDの配列方向に移動するようにしてもよい。
【0026】
又、図4において、筐体4内には図1〜図3に示したようなディスク移送機構3が複数のディスクDに対応して複数装備されるが、単一のディスク移送機構3とディスクストッカ5をディスクDの配列方向に相対移動させるようにしてもよい。
【0027】
次に、図5〜図7によりドライブユニット1の構成を説明すれば、係るドライブユニット1は、図5のようにベースユニット6と上記クランプ部材7を回動板8に一体に組み付けて構成される。図5および図6から明らかなように、ベースユニット6は、ディスクDを回転させるためのターンテーブル61、ディスクDに対する情報の書き込みや記録情報の読み出しを行う光ピックアップ62、および該光ピックアップ62をディスクDの盤面に沿ってその半径方向に移動させるピックアップ送り機構63などをシャーシ64に組み付けて構成される。
【0028】
このうち、光ピックアップ62は、ディスクDに対してレーザ光を照射したりディスクDからの反射光を検出したりする光学部品であり、これはピックアップユニットとして硬質のキャリッジ(可動台)に一体的に搭載されてピックアップ送り機構63と共に信号読取手段を構成する。
【0029】
又、ピックアップ送り機構63は、シャーシ64に取り付けられる制御モータ63A、この制御モータ63Aにより回転駆動されるリードスクリュー63B、及びリードスクリュー63Bに平行してシャーシ64に取り付けられるガイド軸63Cなどから構成されるもので、光ピックアップ62を搭載するキャリッジには、リードスクリュー63Bとガイド軸63Cに対して摺動自在に嵌合する軸受部63Dが設けられるほか、リードスクリュー63B側で該リードスクリューに係合するラック状のナット部品63Eが設けられる。
【0030】
一方、ターンテーブル61はスピンドルモータ61Aの駆動軸に固定される円盤状の部品であり、これは従動側のクランプ部材7と協同してディスクを回転自在に保持するディスク保持手段を構成する。
【0031】
図5および図7から明らかなように、クランプ部材7はターンテーブル61に対向する位置に設けられる円盤状の部品で、これは作動板71の先端部に回動自在に設けられている。尚、作動板71は回動板8に固設した一対のブラケット81により揺動自在に支持されており、その揺動支点部71Aには捩りコイルバネ72が設けられ、その捩りコイルバネ72によりクランプ部材7を設けた先端側がターンテーブル61側に付勢されている。又、作動板71には回動板8側に向けて延びるトリガアーム73が一体的に設けられており、その先端部がベースユニットを構成するシャーシ64の背面部64Aに設けられる突起64Bに係合するようにしてある。
【0032】
ここで、ターンテーブル61とクランプ部材7、および光ピックアップ62とピックアップ送り機構63を含んで構成されるドライブユニット1は、ターンテーブル61の回転軸線に対する直交方向(ターンテーブル61とクランプ部材7で保持されたディスクの半径方向)を指向する反転軸21を中心として一体的に180度反転可能とされるが、信号読取手段としての光ピックアップ62やその送り機構63ならびにディスク保持手段を構成するターンテーブル61を含むベースユニット1と、ターンテーブル61に対応するクランプ部材7とは、反転軸21に対して交差する方向(ベースユニット6は回動板8に沿う図5の矢印Y2方向、クランプ部材7は支点部71Aを中心とする図5の矢印Y3方向)に移動可能とされており、ベースユニット6が反転軸21の延長線に接近する向き(向心側)に移動するときには、捩りコイルバネ72の作用によりトリガアーム73の先端部が上記突起64Bに接触したままクランプ部材7も向心側(ターンテーブル61に接近する向き)に移動し、しかしてターンテーブル61とクランプ部材7によりディスクが回転自在に保持されるようになっている。又、ベースユニット6が反転軸21の延長線から離間する向き(遠心側)に移動するときには、上記突起64Bによりトリガアーム73の先端部が捩りコイルバネ72の弾力に抗して押圧されてクランプ部材7も遠心側(ターンテーブル61から離間する向き)に移動し、これによりターンテーブル61とクランプ部材7が開いてディスクを解放し、以ってドライブ位置からディスクDを退出させることが可能とされる。
【0033】
尚、本例において、ディスクDは反転軸21の延長線が該ディスクDの厚さ方向中央部を通る位置でターンテーブル61とクランプ部材7とにより保持されるが、反転軸21の位置はディスクDの保持位置よりディスクDの厚さ方向にずれていてもよい。要は、図5のY2方向に対するベースユニット6の移動により、該ベースユニット6とクランプ部材7が反転軸21の延長線周りに終結する構成であればよい。特に、ベースユニット6とクランプ部材7を最小限まで寄せ合わせたとき、それらの集合体の中心部分に反転軸21の延長線(軸線)が通るような位置に反転軸21を設けることが好ましく、これによればディスク保持手段と信号読取手段を構成する上記集合体を、反転軸21を中心に最小の回動半径でもって反転させることができる。
【0034】
次に、ドライブユニットの反転機構について説明すれば、図8は係る反転機構を正面側(ドライブユニット1の配置側)からみた透視図であり、図9には図8におけるX−X断面を示す。図8および図9において、22は反転機構2を構成する屈曲板状のベース部材で、このベース部材22にドライブユニット1の反転中心(回動板8の回転中心)となる反転軸21と該反転軸に平行する支軸23が保持されている。
【0035】
図8で明らかなように、ベース部材22には、反転軸21を中心とする半円弧状の曲線部分と該曲線部分の両端に連なる直線部分とを有する切欠孔22Aが形成される。
【0036】
又、ベース部材22には、支軸23側でステッピングモータなどの制御用モータから成る正逆回転可能な駆動源24と、その動力を伝達するための伝動部25が設けられる。本例において、伝動部25は、駆動源24のロータ軸に固定される原動プーリ25A、この原動プーリとの間にベルト25Bが巻き掛けられる従動プーリ25C、この従動プーリのギア部と噛合う大径ギア部を有する第1の二段ギア25D、二段ギア25Dの小径ギア部と噛合う大径ギア部を有する第2の二段ギア25E、および二段ギア25Eの小径ギア部と噛合う小径ギア部を有するメインギア25Fから構成される。
【0037】
メインギア25Fは、支軸23を回転中心として正逆に最大で一回転だけ回動される歯車で、その小径ギア部よりも大きな直径を有する部分は、図10のように全周に歯部25Fa1を有する全周ギア部25Faと、半周のみに歯部25Fb1を有する欠歯ギア部25Fbとの二段構造とされる。特に、メインギア25Fにはその角変位を検出すべきロータリエンコーダなどから成る図示せぬ回転センサが取り付けられ、その検出信号によりメインギア25Fの状態を検知し、メインギア25Fを後述する4つのポジションで静止させ得るようにしてある。
【0038】
一方、図8および図9から明らかなように、反転軸21上にはピッチ円直径が同一とされる2つのカムギア26,27が回転自在に設けられ、一方のカムギア26がメインギアの全周ギア部25Faの歯部25Fa1と噛合い、他方のカムギア27がメインギアの欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合うようにしてある。
【0039】
図11は、以上のような反転機構を背面側からみた状態を示す。図9および図11から明らかなように、メインギア25Fとカムギア27にはその表面側を覆う板状のカム部28,29が固設される。カム部28は、メインギア25F(欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1)の歯先円直径と同径の大径円弧部28Aおよびそれより小径の小径円弧部28Bを有する板状部材で、その小径円弧部28Bが欠歯ギア部25Fbの歯部形成位置に対応している。尚、小径円弧部28Bは必ずしも必要でなく、要は欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1がカムギア27と噛合い得るようカム部28より外側に露出されていればよい。
【0040】
一方、カム部29はカムギア27の歯先円直径と同径の略円形状を成すもので、その相対する周縁の二箇所がカム部28の大径円弧部28Aと摺接する凹部29Aとして切り欠かれており、その凹部29Aの位置ではカムギア27の歯部が欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合い得るよう露出されている。
【0041】
しかして、メインギア25Fを回動させると、その全周ギア部25Faに常時噛合うカムギア26はメインギア25Fに連動して逆向きに回動するが、他方のカムギア27はカム部29の凹部29Aに対してカム部28の大径円弧部28Aが摺接している間は静止状態を保ち、欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1とカムギア27が噛合った時はじめてカムギア27がカムギア26と同調的に回動することとなる。
【0042】
図12は、以上のような反転機構2とドライブユニット1の結合部分を示した斜視分解部である。この図で明らかなように、カムギア26にはその一端部から他端部まで延びる曲線状のカム溝26Aが形成される。又、カムギア27にはその半径方向に延びる直線溝27Aが形成される。尚、カム溝26Aはカムギア26の厚さ方向に貫通され、直線溝27Aもカムギア27の厚さ方向に貫通されている。
【0043】
一方、回動板8には、その軸線(反転軸21)に直交する方向にベースユニット6を移動可能にして保持するためのガイド溝82と、該回動板8の半径方向に延びる長孔83が形成されている。尚、長孔83はカムギア27の直線溝27Aに対向している。
【0044】
そして、回動板8とカムギア26,27は反転機構のベース部材22を挟んで同軸(反転軸21)上に回動自在に組み付けられ、回動板8には上記のようにベースユニット6とクランプ部材7を組み付けてドライブユニット1が構成される。特に、ベースユニット6を構成するシャーシ64の背面部64Aには、その幅方向中央部において位置決めピン65が設けられており、その位置決めピン65が回動板の長孔83、ベース部材の切欠孔22A、カムギアのカム溝26A、およびカムギアの直線溝27Aに挿入されるようにしている。
【0045】
ここで、反転機構によるドライブユニット1の反転動作について説明する。図13はメインギア25Fが初期位置(第1ポジション)にある状態であり、この状態では同図(a)のようにメインギア25F(欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1)とカムギア27は噛合っておらず、カム部28,29の大径円弧部28Aと凹部29Aが嵌合した状態にあって、メインギア25Fを回動させてもカムギア27が静止状態を保つようになっている。
【0046】
又、ベースユニットの位置決めピン65は、カムギア26,27のカム溝26Aと直線溝27Aの交差部分にあって位置決めされているが、その位置は反転軸21からの距離が最大のところにあり、このためベースユニット6とクランプ部材7が図13(b)のように回動板8の軸線を挟んで離間し、ターンテーブル61とクランプ部材7が開放してディスクDを待ち受ける状態となる。
【0047】
図14はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに30度回動された状態(第2ポジション)であり、この状態では同図(a)のように、カムギア27が未だ欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合わずカムギア26の回動のみ行われ、カムギア26のカム溝26Aによりベースユニット6の位置決めピン65が直線溝27Aに沿って回動板8の軸線側に移動(上昇)される。この結果、図14(b)のようにターンテーブル61と光ピックアップ62を含むベースユニット6が全体として回動板8の軸線に接近され、これに伴ってクランプ部材7も捩りコイルバネ72の作用で回動板8の軸線側に移動(降下)される。しかして、ターンテーブル61とクランプ部材7とによりディスクDが回転自在に保持される状態となり、この状態ではディスクDを回転させながら光ピックアップ62によってディスクDの片面(以下、当該面をA面とし、その逆側の面をB面とする)に所望の情報を記録したりA面の記録情報を再生したりすることが可能とされる。
【0048】
図15はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに90度回動された状態であり、この状態ではベースユニット6の位置決めピン65が直線溝27Aの内方端にあって回動板8の軸線に再接近される。尚、図15の状態はドライブユニット1を反転させる前の準備段階であり、ディスクDがドライブ位置にあってターンテーブル61とクランプ部材7で保持されているときには、必ずメインギア25Fが図13の第1ポジションに復帰し、ディスクDをドライブ位置から退出させた後で反転動作に移行する。ここに、ディスクDがドライブ位置にあるか否かは光ピックアップ62などにより検知することができる。そして、図15の状態によれば、クランプ部材7、ターンテーブル61、並びに光ピックアップ62などが回動板8の軸線上(反転軸21の延長線上)に集結し、それらの回動半径が反転時において最小となるのであり、このため狭小なスペース内でも反転動作を良好に行うことができる。
【0049】
図16はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに270回動してドライブユニット1の反転動作が完了した状態であり、この状態はカムギア27が図15の状態から半回転されることにより達成される。つまり、カムギア27はメインギア25Fが90度回動した状態(位置決めピン65が直線溝27Aの内方端に達した段階)で欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合って回動動作を開始するのであるが、カムギア27が回動すると、その直線溝27Aにより位置決めピン65がカムギア27の回動方向に押圧され、これによって位置決めピン65を有するベースユニット6と一体の回動板8が反転軸21を中心としてカムギア27と同方向に回動される。尚、このとき位置決めピン65は、ベース部材22に形成される切欠孔22Aの直線部分から曲線部分に誘導される。しかして、ベースユニット6とクランプ部材7は最小の回動半径を保った状態で回動板8と一緒に回動され、これによって光ピックアップ62、ターンテーブル61、並びにクランプ部材7を含むドライブユニット1の全体が一体的に180度反転され、図15の状態から図16の状態に転換する。ここで、メインギア25Fが初期位置から270度回動してドライブユニット1の反転が完了すると、欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1とカムギア27の噛合いが絶たれる一方、カム部28,29の大径円弧部28Aと凹部29Aが嵌合してカムギア27が静止状態となるが、メインギア25Fの回動動作はその後も続行されてカムギア27が静止された後もカムギア26の回動が行われる。
【0050】
図17は、メインギア25Fが初期位置から図の左回りに330度回動した状態(第3ポジション)であり、この状態ではメインギア25Fに常時連動して回動するカムギア26のカム溝26Aにより、位置決めピン65が静止状態におけるカムギア27の直線溝27Aに沿って回動板8の軸線から離間する方向に移動(上昇)される。尚、この状態では回動板8の軸線上にてターンテーブル61とクランプ部材7でディスクを保持した際に、そのB面に近接する光ピックアップ62でディスクのB面に情報を記録したりB面の記録情報を再生したりすることが可能とされるが、反転動作が終了した段階ではディスクがドライブ位置から退出された状態にあるので、メインギア25Fは第3ポジションに停止されることなく最終のポジション(第4ポジション)まで回動を続行される。
【0051】
図18はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに360度回動した状態(第4ポジション)であり、この状態ではカムギア26のカム溝26Aにより位置決めピン65が反転軸21からの距離が最大となる直線溝27Aの外方端まで移動されるようになっており、これによりベースユニット6とクランプ部材7が図18(b)のように回動板8の軸線を挟んで離間し、ターンテーブル61とクランプ部材7が開放してディスクDを待ち受ける状態となる。尚、クランプ部材7の移動はベースユニット6に設けた突起64Bでトリガアーム73の先端部が押圧されることにより行われる。そして、図18の状態では、ディスクDを待機位置からドライブ位置に移送することができ、ドライブ位置にディスクDが移送された後にメインギア25Fを逆転して第3ポジションにすれば、ディスクDをターンテーブル61とクランプ部材7により保持してディスクDのB面に情報を記録したりB面の記録情報を再生したりすることができる。又、図18の状態でディスクDのA面に情報を記録したりA面の記録情報を再生したりする場合には、メインギア25Fを逆転させて以上のような動作を逆向きに行わせればよい。
【0052】
ここで、以上のような一連の反転動作を図19に示されるタイミングチャートで整理すると、ディスクDがドライブ位置にあるとき、ターンテーブル61を含むベースユニット6はディスクDのA面側(又はB面側)にあってA面アンチャッキングポジションとA面チャッキングポジション(又はB面アンチャッキングポジションとB面チャッキングポジション)との間で移動可能とされる(メインギア25Fは0〜30度、又は330〜360度の回転角変位)。又、ディスクDがドライブ位置から退出された位置(待機位置)にあるとき、ベースユニット6(正確にはクランプ部材7を含むドライブユニット全体)の反転動作が可能とされ、ベースユニット6はA面側反転ポジションとB面側反転ポジションとの間で回転移動を許容される(メインギア25Fは30〜330度の回転角変位)。
【0053】
尚、メインギア25Fの初期位置(ベースユニットの初期位置)はマイコンにより自由に設定することができる。例えば、メインギア25Fの初期位置を図19における180度の位置に設定して、メインギア25Fを正逆に180度ずつ回動させるようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明について説明したが、係るディスク駆動装置はディスクストッカ5を備えるオートチェンジャ型に限らず、例えば一枚のディスクがトレイに載せられた状態で待機位置に配置されるようにしてもよい。又、ディスク移送機構として、ディスクを挟持して移送する送りローラを用い、その送りローラによりドライブ位置から退出されたディスクが当該送りローラで挟持されたまま筐体4から外部に露出されるようにしてもよい。
【0055】
更に、ディスクは両面記録式のものに限らず片面記録式でもよく、片面記録式ディスクではディスクの記録面をいずれの向きにしてセットしても、その記録面側に光ピックアップを自動的に移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るディスク駆動装置の内部(ディスクがドライブ位置から退出された状態)を示す平面概略図
【図2】ディスクがドライブ位置に移送される前の状態を示す平面概略図
【図3】ディスクがドライブ位置に移送された状態を示す平面概略図
【図4】本発明に係るディスク駆動装置の内部構造を示す側面概略図
【図5】ターンテーブルや光ピックアップを含んで構成されるドライブユニットの側面図
【図6】ドライブユニットを構成するベースユニットの平面概略図
【図7】ドライブユニットを構成するクランプ部材の装置態様を示す平面概略図
【図8】反転機構を正面側からみた透視図
【図9】図8のX−X断面図
【図10】反転機構の構成部品を示す斜視図
【図11】反転機構の背面図
【図12】反転機構とドライブユニットの結合部分を示す斜視分解図
【図13】反転機構の動作説明図(初期状態)
【図14】反転機構の動作説明図(ディスクのA面を再生可能な状態)
【図15】反転機構の動作説明図(反転直前の状態)
【図16】反転機構の動作説明図(反転直後の状態)
【図17】反転機構の動作説明図(ディスクのB面を再生可能な状態)
【図18】反転機構の動作説明図(反転後の最終状態)
【図19】反転機構による反転動作とディスクの位置を表すタイミングチャート
【符号の説明】
【0057】
D ディスク
1 ドライブユニット
2 反転機構
21 反転軸
24 駆動源
25 伝動部
25F メインギア
25Fa 全周ギア部
25Fb 欠歯ギア部
26 カムギア
27 カムギア
3 ディスク移送機構
4 筐体
5 ディスクストッカ
6 ベースユニット
61 ターンテーブル(ディスク保持手段)
62 光ピックアップ(信号読取手段)
63 ピックアップ送り機構(信号読取手段)
64 シャーシ
65 位置決めピン
7 クランプ部材
71 作動板
8 回動板
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体としてのディスクにビジュアル信号などを記録したり、その記録情報を再生したりするのに用いられるディスク駆動装置に係わり、特に大きな記録容量を有する両面記録式ディスクに対応して情報の記録/再生を好適に行えるようにしたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長時間の映画などでも高品位の画質・音質で記録することのできる大容量のディスクが普及している。その種のディスクとしては、二層構造の記録面を片面側に形成した二層片面記録式のほか、記録面を両面側に形成した一層両面記録式や二層両面記録式といったものが知られるが、両面記録式のディスクでは両面に記録された情報を続けて再生する場合などに対応して、ディスクの両面側に光ピックアップを個別に設けたり、ディスクの一方の面側から他方の面側に光ピックアップの位置を自動反転させたりすることが必要になる。
【0003】
しかし、光ピックアップをディスクの両面側に設けるものでは装置のコストが高くなるばかりでなく、ディスクの両面側には光ピックアップのみならず、これをディスクの半径方向に移動させる機構を個別に装備することが必要になるために装置構造が複雑になるという不利がある。
【0004】
このため、両面記録式ディスクの記録/再生を行う装置では、単一の光ピックアップをディスクの一方の面側から他方の面側に自動反転させる方式が主流となっている。
【0005】
ここに、単一の光ピックアップをディスクの一方の面側から他方の面側に自動反転させる方式の装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されるものが知られる。
【0006】
尚、特許文献1では、光ピックアップをディスクの半径方向に移動させるための案内部材およびラック部材をディスクの両面側に配置する一方、ターンテーブル上に載置されたディスクの外周よりも外側となる位置に、案内部材と対応するピン状の保持部材をもつ円盤状の回転部材を設け、光ピックアップを反転させる時これを搭載したキャリッジをディスクの外周よりも外側に移動させることにより、キャリッジがディスクの片面側に配した案内部材から外れて保持部材に係合し、この状態で回転部材を回転させることによって光ピックアップの反転が行われるようにしている。
【0007】
又、特許文献2も特許文献1と基本的に同様であり、同文献2によれば、光ピックアップをディスクの半径方向に移動させるためのガイド軸(特許文献1の案内部材に相当)および直線ガイド(特許文献1のラック部材に相当)をディスクの両面側に配置する一方、ターンテーブル上に載置されたディスクの外周よりも外側となる位置に回転板(特許文献1の回転部材に相当)を設け、その回転板に光ピックアップと係合する保持軸(特許文献1の保持部材に相当)ほか、ディスク両面側の直線ガイドに対応する別の直線ガイドを設ける構成としている。
【0008】
【特許文献1】特許第2645518号公報
【0009】
【特許文献2】特開2005−100560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
然しながら、特許文献1、2の何れも単一の光ピックアップをディスク両面の記録/再生に併用することはできても、その送り機構をディスクの両面側に装備することから2つの光ピックアップを用いる装置と同じく構造が複雑になるという欠点を有する。
【0011】
又、ターンテーブルで支持されたディスクの外周より外側で光ピックアップを反転させるために、特許文献1では光ピックアップをディスクの外周より外側に誘導するべくラック部材を延長し、特許文献2では回転板からディスク側に向けて直線ガイドを延長するなどしていることから、いずれの装置も小型化が困難となる。
【0012】
更に、特許文献1、2では、反転前後の光ピックアップの位置がディスクを挟んで対称となるように、光ピックアップをディスクの両面から一定の距離だけ隔てた状態のまま反転させるようにしていることから、反転時における光ピックアップの回動半径が大きくなり、その反転領域を装置内に確保しなければならぬ関係上、装置が大型化するという欠点がある。
【0013】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は簡易構造で小型なディスク駆動装置にして、両面記録式ディスクの記録/再生を好適に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するため、
ディスクを回転自在に保持するディスク保持手段と、このディスク保持手段により保持されたディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する信号読取手段とを備えたディスク駆動装置において、
前記ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸21を有して前記ディスク保持手段と信号読取手段を前記反転軸21により反転自在に支持する反転機構2と、ディスクを前記ディスク保持手段により保持されるドライブ位置と該ドライブ位置から退出させる位置との間で移送するディスク移送機構3とを有し、前記ドライブ位置からディスクが退出されているとき前記反転機構2の作動により前記反転軸21を中心として前記ディスク保持手段と信号読取手段とが一体的に180度反転する構成としたことを特徴とする。
【0015】
加えて、前記ディスク保持手段と信号読取手段とは、反転機構2の反転軸21に対して交差する方向に移動可能とされ、その両手段が前記反転機構2による反転動作時に、前記反転軸21の延長線上近傍に集結されることを特徴とする。
【0016】
又、ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカ5が設けられると共に、そのディスクストッカ5に集積されたディスクの配列方向に、反転機構2とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸を有した反転機構により、ディスク保持手段と信号読取手段が一体的に180度反転されるようにしていることから、ディスクの両面側に光ピックアップの送り機構を設けず、信号読取手段を光ピックアップとその送り機構を含むユニットにして装置構造を簡素化することができ、しかもディスク保持手段と信号読取手段の反転動作がディスクのドライブ位置で行われるようにしていることから、従来のようにディスクの外周より外側に光ピックアップの反転領域を確保する必要がなくなり、以て装置の小型化を達成することが可能となる。
【0018】
特に、ディスク保持手段と信号読取手段が反転機構の反転軸に対して交差する方向に移動可能とされ、反転機構による反転動作時においてディスク保持手段と信号読取手段が反転軸の延長線上近傍に集結されるようにしていることから、ディスク保持手段と信号読取手段の反転のためにディスクのドライブ位置に大きな領域を確保せずして両手段の反転を確実に行え、装置の小型化(薄型化)を図ることも容易になる。
【0019】
又、ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカが設けられると共に、そのディスクストッカに集積されたディスクの配列方向に、反転機構とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることから、複数のディスクを装置内から取り出すことなく、それらディスクの両面に記録された情報を次々と再生することなどか可能となり、利便性を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は、本発明に係るディスク駆動装置の内部構造を示した平面概略図である。図1において、1は情報記録媒体としてのディスク(光ディスクや光磁気ディスクなど)を回転させながら該ディスクに対して所望の情報を記録したり当該記録情報を再生したりするためのドライブユニット、2はドライブユニット1を180度反転させるための反転機構であり、この反転機構2はドライブユニット1を反転自在に支持する反転軸(図1では省略)を有してドライブユニット1と一体的に組み合わされる。
【0021】
3はディスクDをドライブユニット1の位置(ドライブ位置)と該ドライブ位置から退出する位置(待機位置)との間で移送するディスク移送機構であり、このディスク移送機構3は、ディスクDの外周縁を把持する一対の把持アーム31,32と、その両把持アームを作動せしめるスライダ33とを有して構成される。把持アーム31,32は、装置の筐体4内に設けられる支点軸34を中心として回動自在に支持される可動部材であり、それら把持アーム31,32には支点軸34側の一端部においてそれぞれ案内ピン31A,32Aが突設される。一方、スライダ33は図示せぬ駆動源からの伝達動力を得て前後方向(図1の矢印Y1方向)にスライド走行されるもので、これには2つの把持アーム31,32に対応する2条のカム溝33Aが形成され、そのカム溝33Aに把持アームの案内ピン31A,32Aが係合されている。
【0022】
そして、係るディスク移送機構3によれば、ディスクDがドライブユニット1に隣接する待機位置(図1の位置)にあるとき、スライダ33がドライブユニット1側に移動することで一対の把持アーム31,32が閉じる方向に回動して図2の如く待機位置にあるディスクDの把持が行われ、スライダ33がドライブユニット1側に更に移動すると、ディスクDが把持アーム31,32で把持されたまま図3の如くドライブ位置まで移送されるようになっている。
【0023】
尚、ドライブ位置において、ディスクDは後述するターンテーブルとクランプ部材とにより中心部をクランプされて回転自在に保持されるようになっている。又、図3の状態でスライダ33を更に進行させると、カム溝33Aの形状によって一対の把持アーム31,32が開く方向に回動してディスクDを解放し、スライダ33を上記とは逆向きに移動させると、ドライブ位置のディスクDが待機位置まで移送されることとなる。
【0024】
図4は同ディスク駆動装置の内部構造を示した側面概略図である。この図で明らかなように、ディスクの待機位置には複数のディスクDを対面状にして配置するディスクストッカ5が設けられる。係るディスクストッカ5は複数のディスクDを個別に支持する棚部を有するキャビネット型であり、これは装置の筐体4に対して着脱自在とされる。
【0025】
一方、後述する信号読取手段とディスク保持手段を備えるドライブユニット1は、ディスクストッカ5との間でディスクの受け渡しを行えるよう上記反転機構2と一体としてディスクストッカ5に配置されたディスクDの配列方向(本例において上下方向)に移動可能とされる。尚、ドライブユニット1の移動はディスクストッカ5との間における相対的なもので、ディスクストッカ5がドライブユニット1に対してディスクDの配列方向に移動するようにしてもよい。
【0026】
又、図4において、筐体4内には図1〜図3に示したようなディスク移送機構3が複数のディスクDに対応して複数装備されるが、単一のディスク移送機構3とディスクストッカ5をディスクDの配列方向に相対移動させるようにしてもよい。
【0027】
次に、図5〜図7によりドライブユニット1の構成を説明すれば、係るドライブユニット1は、図5のようにベースユニット6と上記クランプ部材7を回動板8に一体に組み付けて構成される。図5および図6から明らかなように、ベースユニット6は、ディスクDを回転させるためのターンテーブル61、ディスクDに対する情報の書き込みや記録情報の読み出しを行う光ピックアップ62、および該光ピックアップ62をディスクDの盤面に沿ってその半径方向に移動させるピックアップ送り機構63などをシャーシ64に組み付けて構成される。
【0028】
このうち、光ピックアップ62は、ディスクDに対してレーザ光を照射したりディスクDからの反射光を検出したりする光学部品であり、これはピックアップユニットとして硬質のキャリッジ(可動台)に一体的に搭載されてピックアップ送り機構63と共に信号読取手段を構成する。
【0029】
又、ピックアップ送り機構63は、シャーシ64に取り付けられる制御モータ63A、この制御モータ63Aにより回転駆動されるリードスクリュー63B、及びリードスクリュー63Bに平行してシャーシ64に取り付けられるガイド軸63Cなどから構成されるもので、光ピックアップ62を搭載するキャリッジには、リードスクリュー63Bとガイド軸63Cに対して摺動自在に嵌合する軸受部63Dが設けられるほか、リードスクリュー63B側で該リードスクリューに係合するラック状のナット部品63Eが設けられる。
【0030】
一方、ターンテーブル61はスピンドルモータ61Aの駆動軸に固定される円盤状の部品であり、これは従動側のクランプ部材7と協同してディスクを回転自在に保持するディスク保持手段を構成する。
【0031】
図5および図7から明らかなように、クランプ部材7はターンテーブル61に対向する位置に設けられる円盤状の部品で、これは作動板71の先端部に回動自在に設けられている。尚、作動板71は回動板8に固設した一対のブラケット81により揺動自在に支持されており、その揺動支点部71Aには捩りコイルバネ72が設けられ、その捩りコイルバネ72によりクランプ部材7を設けた先端側がターンテーブル61側に付勢されている。又、作動板71には回動板8側に向けて延びるトリガアーム73が一体的に設けられており、その先端部がベースユニットを構成するシャーシ64の背面部64Aに設けられる突起64Bに係合するようにしてある。
【0032】
ここで、ターンテーブル61とクランプ部材7、および光ピックアップ62とピックアップ送り機構63を含んで構成されるドライブユニット1は、ターンテーブル61の回転軸線に対する直交方向(ターンテーブル61とクランプ部材7で保持されたディスクの半径方向)を指向する反転軸21を中心として一体的に180度反転可能とされるが、信号読取手段としての光ピックアップ62やその送り機構63ならびにディスク保持手段を構成するターンテーブル61を含むベースユニット1と、ターンテーブル61に対応するクランプ部材7とは、反転軸21に対して交差する方向(ベースユニット6は回動板8に沿う図5の矢印Y2方向、クランプ部材7は支点部71Aを中心とする図5の矢印Y3方向)に移動可能とされており、ベースユニット6が反転軸21の延長線に接近する向き(向心側)に移動するときには、捩りコイルバネ72の作用によりトリガアーム73の先端部が上記突起64Bに接触したままクランプ部材7も向心側(ターンテーブル61に接近する向き)に移動し、しかしてターンテーブル61とクランプ部材7によりディスクが回転自在に保持されるようになっている。又、ベースユニット6が反転軸21の延長線から離間する向き(遠心側)に移動するときには、上記突起64Bによりトリガアーム73の先端部が捩りコイルバネ72の弾力に抗して押圧されてクランプ部材7も遠心側(ターンテーブル61から離間する向き)に移動し、これによりターンテーブル61とクランプ部材7が開いてディスクを解放し、以ってドライブ位置からディスクDを退出させることが可能とされる。
【0033】
尚、本例において、ディスクDは反転軸21の延長線が該ディスクDの厚さ方向中央部を通る位置でターンテーブル61とクランプ部材7とにより保持されるが、反転軸21の位置はディスクDの保持位置よりディスクDの厚さ方向にずれていてもよい。要は、図5のY2方向に対するベースユニット6の移動により、該ベースユニット6とクランプ部材7が反転軸21の延長線周りに終結する構成であればよい。特に、ベースユニット6とクランプ部材7を最小限まで寄せ合わせたとき、それらの集合体の中心部分に反転軸21の延長線(軸線)が通るような位置に反転軸21を設けることが好ましく、これによればディスク保持手段と信号読取手段を構成する上記集合体を、反転軸21を中心に最小の回動半径でもって反転させることができる。
【0034】
次に、ドライブユニットの反転機構について説明すれば、図8は係る反転機構を正面側(ドライブユニット1の配置側)からみた透視図であり、図9には図8におけるX−X断面を示す。図8および図9において、22は反転機構2を構成する屈曲板状のベース部材で、このベース部材22にドライブユニット1の反転中心(回動板8の回転中心)となる反転軸21と該反転軸に平行する支軸23が保持されている。
【0035】
図8で明らかなように、ベース部材22には、反転軸21を中心とする半円弧状の曲線部分と該曲線部分の両端に連なる直線部分とを有する切欠孔22Aが形成される。
【0036】
又、ベース部材22には、支軸23側でステッピングモータなどの制御用モータから成る正逆回転可能な駆動源24と、その動力を伝達するための伝動部25が設けられる。本例において、伝動部25は、駆動源24のロータ軸に固定される原動プーリ25A、この原動プーリとの間にベルト25Bが巻き掛けられる従動プーリ25C、この従動プーリのギア部と噛合う大径ギア部を有する第1の二段ギア25D、二段ギア25Dの小径ギア部と噛合う大径ギア部を有する第2の二段ギア25E、および二段ギア25Eの小径ギア部と噛合う小径ギア部を有するメインギア25Fから構成される。
【0037】
メインギア25Fは、支軸23を回転中心として正逆に最大で一回転だけ回動される歯車で、その小径ギア部よりも大きな直径を有する部分は、図10のように全周に歯部25Fa1を有する全周ギア部25Faと、半周のみに歯部25Fb1を有する欠歯ギア部25Fbとの二段構造とされる。特に、メインギア25Fにはその角変位を検出すべきロータリエンコーダなどから成る図示せぬ回転センサが取り付けられ、その検出信号によりメインギア25Fの状態を検知し、メインギア25Fを後述する4つのポジションで静止させ得るようにしてある。
【0038】
一方、図8および図9から明らかなように、反転軸21上にはピッチ円直径が同一とされる2つのカムギア26,27が回転自在に設けられ、一方のカムギア26がメインギアの全周ギア部25Faの歯部25Fa1と噛合い、他方のカムギア27がメインギアの欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合うようにしてある。
【0039】
図11は、以上のような反転機構を背面側からみた状態を示す。図9および図11から明らかなように、メインギア25Fとカムギア27にはその表面側を覆う板状のカム部28,29が固設される。カム部28は、メインギア25F(欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1)の歯先円直径と同径の大径円弧部28Aおよびそれより小径の小径円弧部28Bを有する板状部材で、その小径円弧部28Bが欠歯ギア部25Fbの歯部形成位置に対応している。尚、小径円弧部28Bは必ずしも必要でなく、要は欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1がカムギア27と噛合い得るようカム部28より外側に露出されていればよい。
【0040】
一方、カム部29はカムギア27の歯先円直径と同径の略円形状を成すもので、その相対する周縁の二箇所がカム部28の大径円弧部28Aと摺接する凹部29Aとして切り欠かれており、その凹部29Aの位置ではカムギア27の歯部が欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合い得るよう露出されている。
【0041】
しかして、メインギア25Fを回動させると、その全周ギア部25Faに常時噛合うカムギア26はメインギア25Fに連動して逆向きに回動するが、他方のカムギア27はカム部29の凹部29Aに対してカム部28の大径円弧部28Aが摺接している間は静止状態を保ち、欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1とカムギア27が噛合った時はじめてカムギア27がカムギア26と同調的に回動することとなる。
【0042】
図12は、以上のような反転機構2とドライブユニット1の結合部分を示した斜視分解部である。この図で明らかなように、カムギア26にはその一端部から他端部まで延びる曲線状のカム溝26Aが形成される。又、カムギア27にはその半径方向に延びる直線溝27Aが形成される。尚、カム溝26Aはカムギア26の厚さ方向に貫通され、直線溝27Aもカムギア27の厚さ方向に貫通されている。
【0043】
一方、回動板8には、その軸線(反転軸21)に直交する方向にベースユニット6を移動可能にして保持するためのガイド溝82と、該回動板8の半径方向に延びる長孔83が形成されている。尚、長孔83はカムギア27の直線溝27Aに対向している。
【0044】
そして、回動板8とカムギア26,27は反転機構のベース部材22を挟んで同軸(反転軸21)上に回動自在に組み付けられ、回動板8には上記のようにベースユニット6とクランプ部材7を組み付けてドライブユニット1が構成される。特に、ベースユニット6を構成するシャーシ64の背面部64Aには、その幅方向中央部において位置決めピン65が設けられており、その位置決めピン65が回動板の長孔83、ベース部材の切欠孔22A、カムギアのカム溝26A、およびカムギアの直線溝27Aに挿入されるようにしている。
【0045】
ここで、反転機構によるドライブユニット1の反転動作について説明する。図13はメインギア25Fが初期位置(第1ポジション)にある状態であり、この状態では同図(a)のようにメインギア25F(欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1)とカムギア27は噛合っておらず、カム部28,29の大径円弧部28Aと凹部29Aが嵌合した状態にあって、メインギア25Fを回動させてもカムギア27が静止状態を保つようになっている。
【0046】
又、ベースユニットの位置決めピン65は、カムギア26,27のカム溝26Aと直線溝27Aの交差部分にあって位置決めされているが、その位置は反転軸21からの距離が最大のところにあり、このためベースユニット6とクランプ部材7が図13(b)のように回動板8の軸線を挟んで離間し、ターンテーブル61とクランプ部材7が開放してディスクDを待ち受ける状態となる。
【0047】
図14はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに30度回動された状態(第2ポジション)であり、この状態では同図(a)のように、カムギア27が未だ欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合わずカムギア26の回動のみ行われ、カムギア26のカム溝26Aによりベースユニット6の位置決めピン65が直線溝27Aに沿って回動板8の軸線側に移動(上昇)される。この結果、図14(b)のようにターンテーブル61と光ピックアップ62を含むベースユニット6が全体として回動板8の軸線に接近され、これに伴ってクランプ部材7も捩りコイルバネ72の作用で回動板8の軸線側に移動(降下)される。しかして、ターンテーブル61とクランプ部材7とによりディスクDが回転自在に保持される状態となり、この状態ではディスクDを回転させながら光ピックアップ62によってディスクDの片面(以下、当該面をA面とし、その逆側の面をB面とする)に所望の情報を記録したりA面の記録情報を再生したりすることが可能とされる。
【0048】
図15はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに90度回動された状態であり、この状態ではベースユニット6の位置決めピン65が直線溝27Aの内方端にあって回動板8の軸線に再接近される。尚、図15の状態はドライブユニット1を反転させる前の準備段階であり、ディスクDがドライブ位置にあってターンテーブル61とクランプ部材7で保持されているときには、必ずメインギア25Fが図13の第1ポジションに復帰し、ディスクDをドライブ位置から退出させた後で反転動作に移行する。ここに、ディスクDがドライブ位置にあるか否かは光ピックアップ62などにより検知することができる。そして、図15の状態によれば、クランプ部材7、ターンテーブル61、並びに光ピックアップ62などが回動板8の軸線上(反転軸21の延長線上)に集結し、それらの回動半径が反転時において最小となるのであり、このため狭小なスペース内でも反転動作を良好に行うことができる。
【0049】
図16はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに270回動してドライブユニット1の反転動作が完了した状態であり、この状態はカムギア27が図15の状態から半回転されることにより達成される。つまり、カムギア27はメインギア25Fが90度回動した状態(位置決めピン65が直線溝27Aの内方端に達した段階)で欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1と噛合って回動動作を開始するのであるが、カムギア27が回動すると、その直線溝27Aにより位置決めピン65がカムギア27の回動方向に押圧され、これによって位置決めピン65を有するベースユニット6と一体の回動板8が反転軸21を中心としてカムギア27と同方向に回動される。尚、このとき位置決めピン65は、ベース部材22に形成される切欠孔22Aの直線部分から曲線部分に誘導される。しかして、ベースユニット6とクランプ部材7は最小の回動半径を保った状態で回動板8と一緒に回動され、これによって光ピックアップ62、ターンテーブル61、並びにクランプ部材7を含むドライブユニット1の全体が一体的に180度反転され、図15の状態から図16の状態に転換する。ここで、メインギア25Fが初期位置から270度回動してドライブユニット1の反転が完了すると、欠歯ギア部25Fbの歯部25Fb1とカムギア27の噛合いが絶たれる一方、カム部28,29の大径円弧部28Aと凹部29Aが嵌合してカムギア27が静止状態となるが、メインギア25Fの回動動作はその後も続行されてカムギア27が静止された後もカムギア26の回動が行われる。
【0050】
図17は、メインギア25Fが初期位置から図の左回りに330度回動した状態(第3ポジション)であり、この状態ではメインギア25Fに常時連動して回動するカムギア26のカム溝26Aにより、位置決めピン65が静止状態におけるカムギア27の直線溝27Aに沿って回動板8の軸線から離間する方向に移動(上昇)される。尚、この状態では回動板8の軸線上にてターンテーブル61とクランプ部材7でディスクを保持した際に、そのB面に近接する光ピックアップ62でディスクのB面に情報を記録したりB面の記録情報を再生したりすることが可能とされるが、反転動作が終了した段階ではディスクがドライブ位置から退出された状態にあるので、メインギア25Fは第3ポジションに停止されることなく最終のポジション(第4ポジション)まで回動を続行される。
【0051】
図18はメインギア25Fが初期位置から図の左回りに360度回動した状態(第4ポジション)であり、この状態ではカムギア26のカム溝26Aにより位置決めピン65が反転軸21からの距離が最大となる直線溝27Aの外方端まで移動されるようになっており、これによりベースユニット6とクランプ部材7が図18(b)のように回動板8の軸線を挟んで離間し、ターンテーブル61とクランプ部材7が開放してディスクDを待ち受ける状態となる。尚、クランプ部材7の移動はベースユニット6に設けた突起64Bでトリガアーム73の先端部が押圧されることにより行われる。そして、図18の状態では、ディスクDを待機位置からドライブ位置に移送することができ、ドライブ位置にディスクDが移送された後にメインギア25Fを逆転して第3ポジションにすれば、ディスクDをターンテーブル61とクランプ部材7により保持してディスクDのB面に情報を記録したりB面の記録情報を再生したりすることができる。又、図18の状態でディスクDのA面に情報を記録したりA面の記録情報を再生したりする場合には、メインギア25Fを逆転させて以上のような動作を逆向きに行わせればよい。
【0052】
ここで、以上のような一連の反転動作を図19に示されるタイミングチャートで整理すると、ディスクDがドライブ位置にあるとき、ターンテーブル61を含むベースユニット6はディスクDのA面側(又はB面側)にあってA面アンチャッキングポジションとA面チャッキングポジション(又はB面アンチャッキングポジションとB面チャッキングポジション)との間で移動可能とされる(メインギア25Fは0〜30度、又は330〜360度の回転角変位)。又、ディスクDがドライブ位置から退出された位置(待機位置)にあるとき、ベースユニット6(正確にはクランプ部材7を含むドライブユニット全体)の反転動作が可能とされ、ベースユニット6はA面側反転ポジションとB面側反転ポジションとの間で回転移動を許容される(メインギア25Fは30〜330度の回転角変位)。
【0053】
尚、メインギア25Fの初期位置(ベースユニットの初期位置)はマイコンにより自由に設定することができる。例えば、メインギア25Fの初期位置を図19における180度の位置に設定して、メインギア25Fを正逆に180度ずつ回動させるようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明について説明したが、係るディスク駆動装置はディスクストッカ5を備えるオートチェンジャ型に限らず、例えば一枚のディスクがトレイに載せられた状態で待機位置に配置されるようにしてもよい。又、ディスク移送機構として、ディスクを挟持して移送する送りローラを用い、その送りローラによりドライブ位置から退出されたディスクが当該送りローラで挟持されたまま筐体4から外部に露出されるようにしてもよい。
【0055】
更に、ディスクは両面記録式のものに限らず片面記録式でもよく、片面記録式ディスクではディスクの記録面をいずれの向きにしてセットしても、その記録面側に光ピックアップを自動的に移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るディスク駆動装置の内部(ディスクがドライブ位置から退出された状態)を示す平面概略図
【図2】ディスクがドライブ位置に移送される前の状態を示す平面概略図
【図3】ディスクがドライブ位置に移送された状態を示す平面概略図
【図4】本発明に係るディスク駆動装置の内部構造を示す側面概略図
【図5】ターンテーブルや光ピックアップを含んで構成されるドライブユニットの側面図
【図6】ドライブユニットを構成するベースユニットの平面概略図
【図7】ドライブユニットを構成するクランプ部材の装置態様を示す平面概略図
【図8】反転機構を正面側からみた透視図
【図9】図8のX−X断面図
【図10】反転機構の構成部品を示す斜視図
【図11】反転機構の背面図
【図12】反転機構とドライブユニットの結合部分を示す斜視分解図
【図13】反転機構の動作説明図(初期状態)
【図14】反転機構の動作説明図(ディスクのA面を再生可能な状態)
【図15】反転機構の動作説明図(反転直前の状態)
【図16】反転機構の動作説明図(反転直後の状態)
【図17】反転機構の動作説明図(ディスクのB面を再生可能な状態)
【図18】反転機構の動作説明図(反転後の最終状態)
【図19】反転機構による反転動作とディスクの位置を表すタイミングチャート
【符号の説明】
【0057】
D ディスク
1 ドライブユニット
2 反転機構
21 反転軸
24 駆動源
25 伝動部
25F メインギア
25Fa 全周ギア部
25Fb 欠歯ギア部
26 カムギア
27 カムギア
3 ディスク移送機構
4 筐体
5 ディスクストッカ
6 ベースユニット
61 ターンテーブル(ディスク保持手段)
62 光ピックアップ(信号読取手段)
63 ピックアップ送り機構(信号読取手段)
64 シャーシ
65 位置決めピン
7 クランプ部材
71 作動板
8 回動板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転自在に保持するディスク保持手段と、このディスク保持手段により保持されたディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する信号読取手段とを備えたディスク駆動装置において、
前記ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸を有して前記ディスク保持手段と信号読取手段を前記反転軸により反転自在に支持する反転機構と、ディスクを前記ディスク保持手段により保持されるドライブ位置と該ドライブ位置から退出させる位置との間で移送するディスク移送機構とを有し、前記ドライブ位置からディスクが退出されているとき前記反転機構の作動により前記反転軸を中心として前記ディスク保持手段と信号読取手段とが一体的に180度反転する構成としたことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
前記ディスク保持手段と信号読取手段とは、反転機構の反転軸に対して交差する方向に移動可能とされ、その両手段が前記反転機構による反転動作時に、前記反転軸の延長線上近傍に集結されることを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項3】
ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカが設けられると共に、そのディスクストッカに集積されたディスクの配列方向に、反転機構とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスク駆動装置。
【請求項1】
ディスクを回転自在に保持するディスク保持手段と、このディスク保持手段により保持されたディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する信号読取手段とを備えたディスク駆動装置において、
前記ディスク保持手段の回転軸線に直交する反転軸を有して前記ディスク保持手段と信号読取手段を前記反転軸により反転自在に支持する反転機構と、ディスクを前記ディスク保持手段により保持されるドライブ位置と該ドライブ位置から退出させる位置との間で移送するディスク移送機構とを有し、前記ドライブ位置からディスクが退出されているとき前記反転機構の作動により前記反転軸を中心として前記ディスク保持手段と信号読取手段とが一体的に180度反転する構成としたことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
前記ディスク保持手段と信号読取手段とは、反転機構の反転軸に対して交差する方向に移動可能とされ、その両手段が前記反転機構による反転動作時に、前記反転軸の延長線上近傍に集結されることを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項3】
ディスクがドライブ位置から退出される位置に複数のディスクを対面状に集積するディスクストッカが設けられると共に、そのディスクストッカに集積されたディスクの配列方向に、反転機構とディスク保持手段および信号読取手段が一体として相対的に移動する構成とされていることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスク駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−193914(P2007−193914A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12934(P2006−12934)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]