説明

ディスプレイ用光学シート及びその製造方法

【課題】光学シート同士を接着させた際の接着強度が低下することがなく、簡易な工程で、かつ高品質に製造するのに好適な光学シート、ディスプレイ用光学シート及びディスプレイ用光学シートの製造方法を提供する。
【解決手段】シートの平面サイズが製品サイズ以上である光学シート12、14、16、18に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を、乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成し、この光学シートを積層した後、この光学シート同士を少なくとも1以上の接合箇所10Aにおいて接着し、接着後の光学シートの積層体の周縁を製品サイズに裁断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ用光学シート及びその製造方法に係り、例えばプリズムシート及び光拡散シートが一体的に形成されたディスプレイ用光学シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子や有機EL等の電子ディスプレイの用途に、導光板等の光源からの光を拡散させるフィルムや、正面方向に光を集光するレンズフィルム等が用いられている。
【0003】
この場合、各種の光学フィルム(シート)を積層して使用する例が多い。たとえば、特許文献1においては、反射型偏光フィルムと位相差フィルムと半透過半反射層とが任意の順番で積層され、更に、これら3層の外側に吸収型偏光フィルムが積層されてなる半透過半反射性偏光フィルムが提供されている。そして、光源装置と液晶セルとの間に5層ものフィルムが介在しており、この構成により、画面輝度が高められ、又は消費電力が抑えられるとされている。
【0004】
また、特許文献2〜4においては、1枚の光拡散フィルムとレンズフィルムの機能を一体化したフィルムが開示されている。
【特許文献1】特開2004−184575号公報
【特許文献2】特開平7−230001号公報
【特許文献3】特許第3123006号公報
【特許文献4】特開平5−341132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の構成において、何層ものフィルムを積層するには多数の工程を経ることが求められ、工程が複雑になるとともにコストアップは避けられない。
【0006】
また、レンチキュラーレンズやプリズムシートのような平板レンズは表面が傷つき易く、また汚れ易いので、表面に保護シートが貼られた状態で納品される形態が一般的である。
【0007】
ところが、このような保護シートは、平板レンズから剥離された後には、廃却されるのみであり、資源として無駄であるのみならず、コストアップの要因ともなり、好ましくない。また、保護シートを平板レンズから剥離する作業が必要であり、その分だけ生産性を落すことともなる。更に、保護シートを平板レンズから剥離する際に剥離帯電により塵埃等のコンタミネーションを平板レンズに付着させ易く、品質面でも問題が多い。
【0008】
また、何層ものフィルム(シート)を積層する際に、積層時の擦れ、熱膨張・熱収縮による擦れ、ハンドリングによる擦れ等の原因でフィルムに傷を生じさせ易い。
【0009】
そして、液晶表示パネル用バックライトライトユニットの組み立て工程や、それに用いる光学シートを所定の形状に打ち抜いたり切断する加工工程では、シート表面への塵埃付着の防止のために、イオナイザ−等による除電エアを吹き付けたり、帯電防止剤の水溶液を塗布したり、スプレ−等により帯電防止剤の被膜を設けたりすることが行われている。
【0010】
しかしながら、除電エアによる方法は組立てラインや加工工程での一時的帯電防止であるため、組み立てメーカーへの運送後など長期間経過後の使用時(組み立て時)においては帯電防止効果はなく、また、帯電防止剤の被膜を設けたディスプレイ用光学シートは、光学的性能の均一性に欠け、また、拡散シートとプリズムシートを貼り合わせて複合化する二次加工において、表面に付着した帯電防止剤によって接着強度が低下するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液晶表示素子等のディスプレイ用途に使用されるシート状物の積層体を、シート状物同士の接着強度が低下することがなく、簡易な工程で、かつ高品質に製造するのに好適なディスプレイ用光学シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る本発明は、2枚以上の光学シートが積層されており、前記光学シート同士が少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、前記光学シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シートを提供する。
【0013】
ここで、光学シートとは、光学的な機能を備える各種シートの総称であり、拡散シート、偏光版(拡散シートフィルム)、各種レンズシート(レンチキュラーレンズ、フライアイレンズ(蠅の目レンズ)、プリズムシート等)が代表的であるが、殆ど光学的な機能を果たさない保護シート(保護フィルム)等も含むものとする。
【0014】
本発明によれば、光学シートの少なくともそれぞれの合わせ面の一方には、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることにより、光学シートに帯電防止効果が付与され、さらには、2枚以上の光学シート同士を接着させることで貼り合わせて複合化する二次加工において、接着面が通常の取り扱いでは剥がれることがなくなる。即ち、本発明者は、水溶性帯電防止剤だけでなくフッ素系界面活性剤を含む塗膜により、帯電防止効果が付与されるだけでなく、帯電防止剤によって接着強度が低下することが抑制され、接着性が向上するということを見出した。つまり、帯電防止剤によるフィルム同士の付着性の低下を、フッ素系界面活性剤により濡れ性を出すことで帯電防止効果を損なうことなく改善することができる。ここで、塗膜の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲であるのは、0.03g/m2 よりも薄いと帯電防止効果が得られないばかりでなく濡れ性が得られないからであり、0.2g/m2 よりも厚いと可視光により光学特性および外観に影響してしまうからである。
【0015】
よって、本発明に係るディスプレイ用光学シートは、長期にわたって帯電防止性に優れることはもちろん、互いの光学シート同士との接着性にも優れ、しかも膜厚が可視光線波長以下のものであるため基材の透明性樹脂の透明性を何ら損なわず、表面外観も未処理品と全く同様であり、更には防曇性が良好で温度変化などによるバックライトユニット内部での曇りが著しく改善され、耐擦傷性も向上するという効果がある。これにより、加工工程だけでなく、バックライト組み立て工程においても光学シートの取り扱い時の塵埃付着が減り、品質が向上する。
【0016】
また、請求項2に係る本発明は、1軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたレンズシートの少なくとも1枚の表面及び/又は裏面に光拡散シートが積層されており、前記レンズシートと前記光拡散シートとが少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、前記レンズシートと、前記光拡散シートと、のそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シートを提供する。
【0017】
さらに、請求項3に係る本発明は、1軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたレンズシートの2枚が積層されており、光拡散シートが前記レンズシートの積層体の表面及び/又は裏面に積層されており、前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記拡散シートとが少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記拡散シートとのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シートを提供する。
【0018】
これらの発明は、請求項1のディスプレイ用光学シートの発明において、光学シートを、光拡散シートとレンズシートとについて記載したものである。
【0019】
なお、「レンズシート」とは、レンチキュラーレンズやプリズムシートが代表的であり、他に回折格子等も含まれる。
【0020】
そして、請求項4は、請求項1〜3の発明において、前記水溶性帯電防止剤は、カチオン系帯電防止剤であることを特徴とする。
【0021】
光学シートの帯電防止においては、水溶性帯電防止剤がカチオン系帯電防止剤であることで、薄い膜厚でも十分な帯電防止効果を出すことができる。
【0022】
請求項5に係る本発明は、シートの平面サイズが製品サイズ以上である2枚以上の光学シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、シートの平面サイズが製品サイズ以上である前記2枚以上の光学シートを積層する積層工程と、前記2枚以上の光学シート同士を少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、前記2枚以上の光学シートの積層体を製品サイズに裁断する裁断工程と、を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法を提供する。
【0023】
本発明によれば、平面サイズが製品サイズ以上の2枚以上の光学シートを積層し、この積層体を製品サイズに裁断し、光学シート同士を少なくとも1以上の箇所において接合する。
【0024】
したがって、何枚ものフィルム(シート)をそれぞれ製品サイズに裁断する工程が省け、何層ものフィルム(シート)を位置決めしながら積層する工程も省ける。また、保護シートによる上記の問題も生じず、コスト面及び品質面でも有利である。
【0025】
さらに、塗布工程において、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗布するので、フィルム同士の接着性が向上する。
【0026】
以上より、本発明によれば、シート状物同士の接着強度が低下することがなく、簡易な工程で、かつ高品質に製造するのに好適なディスプレイ用光学シートの製造方法を提供することができる。
【0027】
ここで、「シートの平面サイズが製品サイズ以上」とあることより、レンズシート又は拡散シートの平面サイズが製品サイズより大である場合のみならず、レンズシート又は拡散シートの平面サイズが製品サイズと同一の場合も含まれる。このような場合、裁断工程において、レンズシート又は拡散シートの1辺以上が裁断されないこともあり得る。
【0028】
また、請求項6に係る本発明は、軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたシートの平面サイズが製品サイズ以上であるレンズシートとシートの平面サイズが製品サイズ以上である光拡散シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記レンズシートの少なくとも1枚に対し、光拡散シートを前記レンズシートの表面及び/又は裏面に配して積層する積層工程と、前記レンズシートと光前記拡散シートとを少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、前記光拡散シートと前記レンズシートとの積層体を製品サイズに裁断する裁断工程と、を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法を提供する。
【0029】
さらに、請求項7に係る本発明は、軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたシートの平面サイズが製品サイズ以上であるレンズシートとシートの平面サイズが製品サイズ以上である光拡散シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記レンズシートの2枚を積層し、光拡散シートを前記レンズシートの積層体の表面及び/又は裏面に配して積層する積層工程と、前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記光拡散シートとを少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、前記光拡散シートと前記レンズシートとの積層体の周縁を製品サイズに裁断する裁断工程と、を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法を提供する。
【0030】
これらの発明は、請求項5のディスプレイ用光学シートの製造方法の発明において、光学シートを、光拡散シートとレンズシートとについて記載したものである。
【0031】
そして、請求項8は、請求項5〜7の発明において、前記塗膜工程は、エアロゾル噴霧法により塗布を行うことを特徴とする。
【0032】
このエアロゾル噴霧法では、光拡散シートやプリズムシートなどの光学シートの表面に優れた濡れ特性が得られ、粒子が凝集することもなく均一な薄膜状に広がるため、各種の多様な表面形状の光学シートであっても、エアロゾル噴霧下に曝すだけで、該シートに極薄膜の均一な塗膜を容易に形成させることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、光学シート同士を接着させた際の接着強度が低下することがなく、簡易な工程で、かつ高品質に製造するのに好適なディスプレイ用光学シート及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施態様について説明する。先ず、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの例(第1〜第6実施形態)の構成を説明し、次いでこれらのディスプレイ用光学シートの製造方法について説明する。
【0035】
図1は、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの例(第1実施形態)の構成を示す断面図である。
【0036】
このディスプレイ用光学シート10は、下から順に、第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18が積層されてなる光学シートのモジュールである。
【0037】
第1の拡散シート12及び第2の拡散シート18は、透明なフィルム(支持体)の表面(片面)にビーズをバインダーで固定したシートであり、所定の光拡散性能を有するものである。第1の拡散シート12と第2の拡散シート18とはビーズの径(平均粒径)が異なっており、光拡散性能も異なっている。
【0038】
第1の拡散シート12及び第2の拡散シート18に使用される透明なフィルム(支持体)には、樹脂フィルムを使用できる。樹脂フィルの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート等の公知のものが使用できる。これらのうち、特に、ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンが好ましく使用できる。
【0039】
第1の拡散シート12及び第2の拡散シート18のビーズの径は、100μm以下であることが必要であり、25μm以下であることが好ましい。たとえば所定の分布7〜38μmの範囲で、平均粒径が17μmとできる。
【0040】
第1のプリズムシート14及び第2のプリズムシート16は、1軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたレンズシートであり、たとえば、ピッチを50μmと、凹凸高さを25μmと、凸部の頂角を90度(直角)とできる。
【0041】
この第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16とは、凸状レンズ(プリズム)の軸が略直交する向きに配されている。すなわち、図1において、第1のプリズムシート14の凸状レンズの軸は紙面に垂直方向に配されており、第2のプリズムシート16の凸状レンズの軸は紙面に平行方向に配されている。なお、図1においては、第2のプリズムシート16の断面が凸状のレンズである旨が理解できるように、実際とは異なった向きに示されている。
【0042】
第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16の材質及び製法は、公知の各種態様が採り得る。たとえば、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、この樹脂材料の押し出し速度と略同速度で回転する転写ローラ(プリズムシートの反転型が表面に形成されている)と、この転写ローラに対向配置され同速度で回転するニップローラ板とで挟圧し、転写ローラ表面の凹凸形状を樹脂材料に転写する樹脂シートの製造方法が採用できる。
【0043】
また、ホットプレスにより、プリズムシートの反転型が表面に形成されている転写型板(スタンパー)と樹脂板とを積層し、熱転写によりプレス成形する樹脂シートの製造方法が採用できる。
【0044】
このような製造方法に使用される樹脂材料としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、たとえば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、MS樹脂、AS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0045】
また、他の製造方法として、第1の拡散シート12及び第2の拡散シート18に使用されるのと同様の透明なフィルム(ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィン等)の表面に、凹凸ローラ(プリズムシートの反転型が表面に形成されている)表面の凹凸を転写形成する樹脂シートの製造方法が採用できる。
【0046】
より具体的には、表面に接着剤と樹脂とが順次塗布されることにより、接着剤層と樹脂層(たとえばUV硬化性樹脂)とが2層以上に形成されている透明なフィルムを連続走行させ、この透明なフィルムを回転する凹凸ローラに巻き掛け、樹脂層に凹凸ローラ表面の凹凸を転写し、透明なフィルムが凹凸ローラに巻き掛けられている状態で樹脂層を硬化させる(たとえばUV照射する)凹凸状シートの製造方法が採用できる。なお、接着剤はなくてもよい。
【0047】
なお、第1のプリズムシート14及び第2のプリズムシート16の製法は、上記の例に限定される訳ではなく、表面に所望の凹凸形状が形成できる方法であれば、他の製法も採用できる。
【0048】
図1に示されるように、ディスプレイ用光学シート10の左右の端部は、接合部10Aにより各層が一体化されている。この接合部10Aは、例えば、各シート(第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16)の上面に接着剤を塗布し接着されている。
【0049】
以上に説明したディスプレイ用光学シート10は、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。この場合、既述した各種のメリット(ディスプレイ用光学シートを従来より簡易な工程で低コストで、かつ高品質に製造できる)に加え、液晶表示素子のアセンブル作業も非常に容易となるというメリットが得られる。
【0050】
次に、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの他の例(第2実施形態)について説明する。図2は、ディスプレイ用光学シート20の構成を示す断面図である。なお、図1(第1実施形態)と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
このディスプレイ用光学シート20は、下から順に、拡散シート12、第1のプリズムシート14、及び第2のプリズムシート16が積層されてなる光学シートである。既述のディスプレイ用光学シート10のような広い拡散性能が求められない場合に第2の拡散シート18が省略されている。
【0052】
図2に示されるように、ディスプレイ用光学シート20の左右の端部は、接合部20Aにより各層が一体化されている。この接合方法は、第1実施形態と略同様である。
【0053】
以上に説明したディスプレイ用光学シート20は、第1実施形態と同様に、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。
【0054】
次に、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの更に他の例(第3実施形態)について説明する。図3は、ディスプレイ用光学シート30の構成を示す断面図である。なお、図1(第1実施形態)及び図2(第1実施形態)と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
このディスプレイ用光学シート30は、下から順に、第1の拡散シート12、プリズムシート14、及び第2の拡散シート18が積層されてなる光学シートである。
【0056】
このディスプレイ用光学シート30は、既述のディスプレイ用光学シート10のような紙面に垂直方向の拡散性能が求められない場合に、第2のプリズムシート16が省略されているものである。
【0057】
図3に示されるように、ディスプレイ用光学シート30の左右の端部は、接合部30Aにより各層が一体化されている。この接合方法は、第1実施形態と略同様である。
【0058】
以上に説明したディスプレイ用光学シート30は、第1実施形態と同様に、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。
【0059】
次に、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの更に他の例(第4実施形態)について説明する。図4は、ディスプレイ用光学シート40の構成を示す断面図である。なお、図1(第1実施形態)、図2(第2実施形態)等と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
このディスプレイ用光学シート40は、下から順に、拡散シート12、及びプリズムシート14が積層されてなる光学シートである。既述のディスプレイ用光学シート10のような広い拡散性能が求められない場合に第2の拡散シート18が省略され、既述のディスプレイ用光学シート10のような紙面に垂直方向の拡散性能が求められない場合に、第2のプリズムシート16が省略されている。
【0061】
図4に示されるように、ディスプレイ用光学シート40の左右の端部は、接合部40Aにより各層が一体化されている。この接合方法は、第1実施形態と略同様である。
【0062】
以上に説明したディスプレイ用光学シート40は、第1実施形態と同様に、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。
【0063】
次に、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの他の例(第5実施形態)について説明する。図5は、ディスプレイ用光学シート50の構成を示す断面図である。なお、図1(第1実施形態)、図2(第2実施形態)等と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
このディスプレイ用光学シート50は、下から順に、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び拡散シート18が積層されてなる光学シートである。既述のディスプレイ用光学シート10のような広い拡散性能が求められない場合に第1の拡散シート12が省略されている。
【0065】
図5に示されるように、ディスプレイ用光学シート50の左右の端部は、接合部50Aにより各層が一体化されている。この接合方法は、第1実施形態と略同様である。
【0066】
以上に説明したディスプレイ用光学シート50は、第1実施形態と同様に、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。
【0067】
次に、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法により製造されたディスプレイ用光学シートの他の例(第6実施形態)について説明する。図6は、ディスプレイ用光学シート50の構成を示す断面図である。なお、図1(第1実施形態)、図2(第2実施形態)等と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
このディスプレイ用光学シート60は、下から順に、第1のプリズムシート14、及び拡散シート18が積層されてなる光学シートである。既述のディスプレイ用光学シート10のような広い拡散性能が求められない場合に第1の拡散シート12が省略され、既述のディスプレイ用光学シート10のような紙面に垂直方向の拡散性能が求められない場合に、第2のプリズムシート16が省略されている。
【0069】
図6に示されるように、ディスプレイ用光学シート60の左右の端部は、接合部60Aにより各層が一体化されている。この接合方法は、第1実施形態と略同様である。
【0070】
以上に説明したディスプレイ用光学シート60は、第1実施形態と同様に、たとえば光源装置と液晶セルとの間に配され、全体で液晶表示素子を形成するように使用される。
【0071】
次に、ディスプレイ用光学シートの製造方法(第1〜第6の製造方法)について説明する。この製造方法は、既述のディスプレイ用光学シート10〜60に共通して適用できるものであるが、説明の便宜より4層構成のディスプレイ用光学シート(第1実施形態)に適用した場合について説明する。
【0072】
図7は、第1の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン11の構成図である。図の左端部に設けられているロール12B、14B、16B、及び18Bは、それぞれ、既述の図1に示される第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18が巻回されたロールである。
【0073】
このロール12B、14B、16B、及び18Bは、図示しない繰り出し手段の回転軸にそれぞれ軸支されており、ロール12B、14B、16B、及び18Bより第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18がそれぞれ略同一速度で繰り出し可能となっている。
【0074】
繰り出された第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18は、それぞれ後述する塗膜形成手段P、P…で水溶性帯電防止剤およびフッ素系界面活性剤からなる塗膜が形成され(塗膜形成工程)、ガイドローラG、G…に支持されながら、最終的には、後述するレーザヘッド24の上流側において積層されるようになっている(積層工程)。
【0075】
塗布手段Pでは、それぞれ第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18の少なくとも表面に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように形成される。
【0076】
また、水溶性帯電防止剤およびフッ素系界面活性剤の水溶液を光拡散シート12、18およびプリズムシート14、16に塗膜を形成する方法は特に限定されず、ハケ等による塗布法、浸漬法、スプレ−法、エアロゾル噴霧法など各種の方法が可能であるが、エアロゾル噴霧法とりわけ超音波発振器を利用したミスト発生法によるエアロゾル噴霧法が光学性能の維持および外観の点で、最も好ましい。このエアロゾル噴霧法では、光拡散シート12、18およびプリズムシート14、16表面に優れた濡れ特性が得られ、粒子が凝集することもなく均一な薄膜状に広がるため、各種の多様な表面形状の光拡散シート12、18およびプリズムシート14、16であっても、エアロゾル噴霧下に曝すだけで、該シートの表裏両面に同時に極薄膜の均一な塗膜を容易に形成させることが可能となる。このエアロゾル噴霧法それ自体は従来公知の方法が適用される。
【0077】
使用される水溶性帯電防止剤は、合成樹脂の帯電防止に通常使用される水溶性の帯電防止剤であって、たとえばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジエタノ−ルアミン、ステアリルアミン塩酸塩等のカチオン系帯電防止剤、アルキルリン酸ジエタノ−ルアミン、アルキルリン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト等の非イオン系帯電防止剤を挙げることができるが、これらの中でも特にカチオン系帯電防止剤が好ましく使用される。光拡散シートやプリズムシートなどの光学シートの帯電防止においては、水溶性帯電防止剤がカチオン系帯電防止剤であることで、薄い膜厚でも十分な帯電防止効果を出すことができる。
【0078】
また、フッ素系界面活性剤としては、例えばフロロアルキルカルボン酸塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属得、アミン塩)、パ−フロロアルキルカルボン酸塩、フロロアルキル燐酸エステル塩、パ−フロロアルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレ・パ−フロロアルキル燐酸エステル塩、パ−フロロアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレ・パ−フロロアルキル硫酸エステル塩、パ−フロロアルキルスルホンアミド誘導体、パ−フロロアルキルアミン塩、パ−フロロアルキル第4級アンモニウム塩、パ−フロロアルキルイミダゾリジン誘導体、パ−フロロアルキルベタイン、ポリオキシエチレパ−フロロアルキルフェノ−ル、ポリオキシエチレパ−フロロアルキルアミン、パ−フロロアルキルカルボン酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0079】
このような界面活性剤の具体例としては、16−フロロヘキサデシルカルボン酸ナトリウム、パ−フルオロオクチルカルボン酸N,N−ジエタノ−ルアミン、パ−フロロデシル燐酸エステルナトリウム、パ−フルオロオクチル燐酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンパ−フロロオクチル燐酸エステルナトリウム、N−ポリオキシエチレン−N−エチルパ−フロロオクチルスルホンアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)パ−フロロオクチルスルホンアミド、N−ポリオキシエチレン−N−ブチルパ−フロロデシルスルホンアミド、N−ポリオキシエチレン−N−エチルパ−フロロオクタデシルスルホンアミド、パ−フロロオクタデシル−N−エチルジメチルアンモニウム塩、パ−フロロドデシルトリメチルアンモニウム塩、パ−フロロオクタデシルベタイン、ポリオキシエチレンパ−フロロオクチルエ−テル、ポリオキシエチレンパ−フロロオクタデセニルエ−テル、ポリオキシエチレンパ−フロロヘキシルアミンおよびパ−フロロドデシルカルボン酸ソルビタンエステル等があり、これらは単独あるいは2種類以上を組合せて使用される。
【0080】
また、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜の膜厚は、水溶液中の水溶性帯電防止剤やフッ素系界面活性剤の濃度あるいは処理時間等の塗布条件により適宜調整することができるが、乾燥後に0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるようすることにより、拡散シートやプリズムシートなどの光学シートに帯電防止効果を付与することができ、さらには、後述する光学シート同士を接着させることで貼り合わせて複合化する二次加工において、接着面が通常の取り扱いでは剥がれることがなくなる。即ち、水溶性帯電防止剤だけでなくフッ素系界面活性剤を含む塗膜により、帯電防止効果が付与されるだけでなく、帯電防止剤によって接着強度が低下することが抑制され、接着性が向上する。つまり、帯電防止剤によるフィルム同士の付着性の低下を、フッ素系界面活性剤により濡れ性を出すことで帯電防止効果を損なうことなく改善することができる。ここで、塗膜の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲であるのは、0.03g/m2 よりも薄いと帯電防止効果が得られないばかりでなく濡れ性が得られないからであり、0.2g/m2 よりも厚いと可視光により光学特性および外観に影響してしまうからである。
【0081】
なお、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液の塗膜の形成を塗膜形成手段P、P…で行ったのち、これを乾燥することにより塗膜が形成されるが、乾燥方法自体は、たとえば室温での風乾、所定の温度条件下での放置、温風吹きつけなどの通常公知の方法で行えばよい。
【0082】
レーザヘッド24を含むレーザ光照射装置としては、波長が355〜1064nmのYAGレーザ照射装置、半導体レーザ照射装置、波長が9〜11μmの炭酸ガスレーザ照射装置等が採用できる。発振方式は連続発振でもパルス発振でもよいが、裁断と略同時に溶着を行うにはパルス発振による点付けが、外見上の仕上がりもよく好適である。
【0083】
裁断(裁断工程)と略同時に溶着(接合工程)を行うのに必要な出力及び周波数は、素材の送り速度、レーザ光のスキャン速度、素材の厚さ等により異なるが、概ね、出力は2〜50Wが、周波数は100kHz以下の条件で良好な溶着結果が得られる。
【0084】
レーザヘッド24は、X方向(シート幅方向)又はXY方向に移動できるX駆動ロボット軸又はXY駆動ロボット軸に取り付けられており、任意の位置への位置決めや任意の軌跡移動を行うことができる。レーザ光の照射パターンに応じてレーザヘッド24ごと移動させてもよいが、レーザヘッド24を別置き(固定)にして、レーザ光のみを光ファイバーにより導波することでXY方向の移動機構を簡素化することもできる。
【0085】
なお、レーザヘッド24による裁断時及び溶着時に発生する煙を吸引する公知の機構(吸引装置等)を設けることもできる。
【0086】
このレーザヘッド24よりレーザ光を積層体周縁の被裁断・接合箇所に照射し、照射ス
ポット一定の速度で移動させながら、積層体の周縁を製品サイズに裁断するとともに溶融させて接合する。
【0087】
一方、レーザヘッド24によりディスプレイ用光学シート10が打ち抜かれたシートの積層体34は、巻き取り装置(詳細は不図示)の巻き取りロール36に巻き取られる。
【0088】
以上のディスプレイ用光学シートの第1の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0089】
1)傷故障削減効果
レンズシート(第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16)の上面、下面に傷がつくとレンズ効果のせいもあって、傷が目立ってしまう。一方、拡散シート(第1の拡散シート12、第2の拡散シート18)の下面に傷がついた場合は、光が拡散されるので傷は目立たない。このようなことから、レンズシートへの傷付きを防止することが傷故障削減に繋がる。傷は、シート加工後の取扱時に付くことが多いが、レンズシートを拡散シートと複合化することにより、拡散シートが保護シートの役割を果たすため、傷付きによる故障が削減できる。特に、レンズシートが表面に出ない、第1の例のディスプレイ用光学シート10(図1参照)、及び第2の例のディスプレイ用光学シート30(図3参照)においてその効果が大きい。
【0090】
さらに、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液の塗布によって、塗膜はシート表面を保護し、塗膜を設けないものと比べ、耐擦傷性が向上する。よって、さらに、傷付きによる故障が削減できる。
【0091】
2)組立工数削減効果
たとえば、液晶表示素子の組み立てにおいて、第1の例のディスプレイ用光学シート10(図1参照)を使用した場合には、組立工数はディスプレイ用光学シート10を組み込む1工程だけなのに対し、従来品を使用した場合には、第1の拡散シートの組み込み⇒第1のレンズシートの裏面保護シート剥し⇒第1のレンズシートの表面保護シート剥し⇒第1のレンズシートの組み込み⇒第2のレンズシートの裏面保護シート剥し⇒第2のレンズシートの表面保護シート剥し⇒第2のレンズシートの組み込み⇒第2の拡散シートの組み込み、と8工程必要となる。このように、第1の製造方法によれば、大幅な組立工数削減を達成でき、製品コストの低減ができる。
【0092】
3)保護シートの削減効果
レンズシートには、傷付き防止のために保護シートを表裏に貼着することが多い。この保護シートは、レンズシートを組み込んだ後は廃却するものであり、非常に無駄である。本実施形態によれば、拡散シートを保護シートの役割とすることで、この保護シートを節約することができる。
【0093】
具体的には、第4の例のディスプレイ用光学シート40(図4参照)、及び第6の例のディスプレイ用光学シート60(図6参照)において保護シートを1枚削減でき、第3の例のディスプレイ用光学シート30(図3参照)において保護シートを2枚削減でき、第2の例のディスプレイ用光学シート20(図2参照)、及び第5の例のディスプレイ用光学シート50(図5参照)において保護シートを3枚削減でき、第1の例のディスプレイ用光学シート10(図1参照)において保護シートを4枚削減できる。
【0094】
4)塵埃付着防止効果
レンズシートや拡散シートなどの光学フィルムは、加工工程においてフィルム表面は帯電しやすいため、塵埃が付着しやすい。このような塵埃の付着を防止することができるので、塵埃が混入しない高品質なディスプレイ用光学シートを提供することができる。
【0095】
5)接着性の向上効果
レンズシートや拡散シートなどの光学シート同士を接着させることで複合化する二次加工において、フッ素系界面活性剤を含む塗布層によって、接着面が通常の取り扱いでは剥がれることがなくなる。よって、ディスプレイ用光学シートの加工後の取扱時に剥がれてしまうことで対応を要する時間的コストの削減に繋がる。
【0096】
次に、ディスプレイ用光学シートの第2の製造方法について説明する。図8は、第2の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン21の構成図である。なお、第1の製造方法に係るディスプレイ用光学シート製造ライン11(図7参照)と同一、類似の部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0097】
このディスプレイ用光学シート製造ライン21においては、ディスプレイ用光学シート製造ライン11のレーザヘッド24に代えて、ディスペンサ42、44、46及び打ち抜きプレス装置48が採用されている。
【0098】
このディスペンサ42、44及び46は、それぞれ接着剤を先端より吐出する供給装置である。ディスペンサ42は、第1の拡散シート12と第1のプリズムシート14とを接着するために、第1の拡散シート12に接着剤を供給するものであり、ディスペンサ44は、第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16とを接着するために、第1のプリズムシート14に接着剤を供給するものであり、ディスペンサ46は、第2のプリズムシート16と第2の拡散シート18とを接着するために、第2のプリズムシート16に接着剤を供給するものである。
【0099】
ディスペンサ42、44及び46より供給される接着剤は、熱又は触媒の助けにより接着される接着剤であることが好ましい。具体的には、シリコン系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤など一般的な接着剤を用いることができる。
【0100】
ディスプレイ用光学シート10〜60は、高温で使用する可能性があるため、常温〜120°Cでも安定している接着剤が好ましい。これらの中で、エポキシ系接着剤は強度、耐熱性に優れているため、好適に利用できる。シアノアクリレート系接着剤は、即効性と強度に優れているため、効率的なディスプレイ用光学シートの作製に利用できる。ポリエステル系接着剤は、強度、加工性に優れているため、特に好適である。
【0101】
これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホットメルト型、2液混合型に大別されるが、好ましくは連続生産が可能な熱硬化型又はホットメルト型が使用される。どの接着剤を使用した場合でも、その塗布厚さは、0.5μm〜50μmが好ましい。
【0102】
また、下流のプレスローラ(ガイドローラG)までの間に、接着剤を乾燥させる乾燥手段を設けるのが好ましい。この乾燥手段としては、特に制限はなく、公知の乾燥方法、たとえば、温風や熱風による乾燥、脱湿風による乾燥、等が挙げられる。
【0103】
ディスペンサ42、44及び46はX方向(シート幅方向)又はXY方向に移動できるX駆動ロボット軸又はXY駆動ロボット軸に取り付けられ、任意の位置への位置決めや任意の軌跡移動を行うことができるようになっている。
【0104】
これらのディスペンサ42、44及び46より接着剤を積層体周縁の被接合箇所に供給し、積層体を搬送しながら下流のプレスローラ(ガイドローラG)により積層体の周縁を接合する。
【0105】
ディスペンサ42、44及び46の下流の打ち抜きプレス装置48は、積層体の周縁を製品サイズに裁断する装置である。この打ち抜きプレス装置48では、接着された部分の中心部分に刃物が入るようにすることにより、打抜かれたシート(ディスプレイ用光学シート10〜60)の全片又は任意の片の端部分だけが接着された複合シートを得ることができる。
【0106】
次に、ディスプレイ用光学シートの第3の製造方法について説明する。図9は、第3の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン31の構成図である。なお、第1の製造方法に係るディスプレイ用光学シート製造ライン11及び第2の製造方法に係るディスプレイ用光学シート製造ライン21(図7及び図8参照)と同一、類似の部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0107】
このディスプレイ用光学シート製造ライン31においては、ディスプレイ用光学シート製造ライン21のディスペンサ42、44、46に代えてテープ供給装置52、54、56が採用されている。このテープ供給装置52、54及び56は、それぞれ両面テープを先端より供給する供給装置である。
【0108】
テープ供給装置52は、第1の拡散シート12と第1のプリズムシート14とを接着するために、第1の拡散シート12の表面に両面テープを供給するものであり、テープ供給装置54は、第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16とを接着するために、第1のプリズムシート14の表面に両面テープを供給するものであり、テープ供給装置56は、第2のプリズムシート16と第2の拡散シート18とを接着するために、第2のプリズムシート16に両面テープを供給するものである。
【0109】
テープ供給装置52、54及び56より供給される両面テープは、両面に粘着剤が塗布されたものである。この両面テープの粘着剤としては、高粘着性アクリル共重合樹脂が使用できるが、それ以外にはたとえば、シリコン系、天然ゴム系、合成ゴム系等の粘着剤が使用でき、耐熱性、耐クリープ性等の物理強度、価格等を総合的に考慮すればアクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。
【0110】
両面テープを供給するテープ供給装置52、54及び56は、市販されている汎用のテープディスペンサーを使うことで対応可能である。テープ供給装置52、54及び56はX方向(シート幅方向)の任意の位置に移動可能な1軸の移動機構に取り付けられており、打抜きパターンに応じて両面テープ貼りの位置を可変させることができる。
【0111】
また、テープ供給装置52、54及び56の固定部分にはピボット機構があり、シートの送り速度に同期させてテープ供給装置52、54及び56の位置をかえることで、斜め方向へのテープ貼りパターンにも対応可能な機構となっている。
【0112】
次に、ディスプレイ用光学シートの第4の製造方法について説明する。図10は、第4の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン41の構成図である。なお、第1の製造方法〜第3の製造方法に係るディスプレイ用光学シート製造ライン(図7〜図9参照)と同一、類似の部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0113】
このディスプレイ用光学シート製造ライン41においては、ディスプレイ用光学シート製造ライン21のディスペンサ42、44、46に代えて超音波ホーン62、64、66が採用されている。この超音波ホーン62、64及び66は、それぞれプレスローラ(ガイドローラG)の下流側に配されている。
【0114】
この超音波ホーン62、64及び66は、2枚以上の積層されたシートを融着させる装置である。すなわち、超音波ホーン62は、第1の拡散シート12と第1のプリズムシート14とを融着させるものであり、超音波ホーン64は、第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16とを融着させるものであり、超音波ホーン66は、第2のプリズムシート16の接合部19と第2の拡散シート18とを融着させるものである。
【0115】
超音波ホーン62、64及び66(超音波溶着装置)としては、従来より公知であり、エアシリンダでホーンを昇降させる形式のものや、サーボモータによりホーンを昇降させる型式のものが知られているが、シートに荷重を加えながら超音波振動を付与してシート同士を溶着できるものであれば、どのような型式の超音波溶着装置でも適用可能である。
【0116】
超音波ホーン62、64及び66の位置制御は、打抜きパターンがシートの送り方向に対して水平の場合は、シートの幅方向への位置切替だけでよいが、斜めに打抜くようなパターンに対応する場合には、超音波ホーン62、64及び66の走行方向が任意の向きに可変できるような首振り機構を設け、シートの移動量と同期させて幅方向へ移動させることで対応可能である。
【0117】
超音波ホーン62、64及び66の設定条件は、融着部分が熱により溶け切れたりしない範囲で定めればよく、必要に応じて接着(融着)後にエア吹き付けなどの空冷機構により接着部分を冷却してもよい。
【0118】
次に、ディスプレイ用光学シートの第5の製造方法について説明する。図11は、第5の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン51の構成図である。第1の製造方法〜第4の製造方法のディスプレイ用光学シート製造ラインと同一、類似の部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0119】
このディスプレイ用光学シート製造ライン51においては、ディスプレイ用光学シート製造ライン41の超音波ホーン62、64及び66に代えてレーザヘッド72、74、76が採用されている。このレーザヘッド72、74、76は、超音波ホーン62、64及び66と同様に、それぞれプレスローラ(ガイドローラG)の下流側に配されている。
【0120】
このレーザヘッド72、74、76は、超音波ホーン62、64及び66と同様に、2枚以上の積層されたシートを融着させる装置である。すなわち、レーザヘッド72は、第1の拡散シート12と第1のプリズムシート14とを融着させるものであり、レーザヘッド74は、第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16とを融着させるものであり、レーザヘッド76は、第2のプリズムシート16と第2の拡散シート18とを融着させるものである。
【0121】
なお、レーザヘッド72、74、76は、図7(第1の製造方法)のディスプレイ用光学シート製造ライン11におけるレーザヘッド24と異なり、接合工程にのみ使用され、裁断工程は打ち抜きプレス装置48により行われる。ただし、レーザヘッド72、74、76の基本的な仕様や周辺の構成は、第1の製造方法と略同様である。
【0122】
レーザヘッド72、74及び76の設定条件は、融着部分が熱により溶け切れたりしない範囲で定めればよく、必要に応じて接着(融着)後にエア吹き付けなどの空冷機構により接着部分を冷却してもよい。
【0123】
次に、ディスプレイ用光学シートの第6の製造方法について説明する。図12は、第6の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ライン61の構成図である。なお、第1の製造方法〜第5の製造方法に係るディスプレイ用光学シート製造ライン(図7〜図11参照)と同一、類似の部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0124】
このディスプレイ用光学シート製造ライン61においては、ディスプレイ用光学シート製造ライン51の3台のレーザヘッド72、74及び76に代えて1台のレーザヘッド78が採用されている。このレーザヘッド78は、プレスローラ(ガイドローラG)の下流側に配されている。
【0125】
このレーザヘッド78は、2枚以上の積層されたシートを融着させる装置である。すなわち、レーザヘッド78は、第1の拡散シート12と第1のプリズムシート14と第2のプリズムシート16と第2の拡散シート18との積層体を融着させるものである。
【0126】
なお、レーザヘッド78は、図7(第1の製造方法)のディスプレイ用光学シート製造ライン11におけるレーザヘッド24と異なり、接合工程にのみ使用され、裁断工程は打ち抜きプレス装置48により行われる。ただし、レーザヘッド78の基本的な仕様や周辺の構成は、第1の製造方法と略同様である。
【0127】
レーザヘッド78の設定条件は、融着部分が熱により溶け切れたりしない範囲で定めればよく、必要に応じて接着(融着)後にエア吹き付けなどの空冷機構により接着部分を冷却してもよい。
【0128】
図13は、第1の製造方法において、積層体より打抜かれるシート(ディスプレイ用光学シート10〜60)の平面配置を説明する図であり、図14は、第2〜第6の製造方法において、積層体より打抜かれるシート(ディスプレイ用光学シート10〜60)の平面配置を説明する図である。
【0129】
図13において、(A)は、積層体の搬送方向に対して平行な融着(接合工程)及び打ち抜き(裁断工程)を行う状態を示し、(B)は、積層体の搬送方向に対して斜め方向に融着(接合工程)及び打ち抜き(裁断工程)を行う状態を示す。図において、積層体より打抜かれるシートの周縁部の点は、融着箇所を示す。
【0130】
図14において、(A)は、積層体の搬送方向に対して平行および直交する方向に融着又は接着(接合工程)を行う状態を示し、(B)は、積層体の搬送方向に対して斜め方向に融着又は接着(接合工程)を行う状態を示す。図において、積層体より打抜かれるシートの周縁部の点は、融着箇所又は接着箇所を示す。
【0131】
以上、説明したように、本発明によれば、ディスプレイ用光学シートを製造する際に、光学シート同士を接着させた際の接着強度が低下することがなく、簡易な工程で、かつ高品質に製造することができる。
【0132】
また、本発明によれば、以下の効果も得られる。
【0133】
1)コストの削減、薄型化による製品価値の向上
大型液晶テレビに用いられる光学シートは剛性が必要なため、支持体の厚さをそれぞれ従来より2倍程度に厚くしたものが用いられている。しかしながら、本発明による光学シートは、シートを複合化したものであるため、それぞれの厚さを厚くせずとも充分に剛性を持たせることができ、各層の厚さを減らすことができる。
【0134】
2)集光効果の低減防止による性能の向上
レンズシートの傷付き防止(傷を目立たなくする目的)のために、裏面をマット処理している製品もある。本発明による光学シートではその必要がなく、生産コストが削減できるのみならず、マット処理による集光効果低減防止が可能であり、性能が向上する。
【0135】
3)防曇性の向上
光学シートの少なくとも表面に水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることで、液晶表示装置のバックライトユニット内部で本発明に係るディスプレイ用光学シートを使用したときの温度変化などによる曇りが著しく改善された。
【0136】
以上、本発明に係るディスプレイ用光学シートの製造方法の実施形態の各例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0137】
たとえば、本実施形態の例では、いずれの場合においても第1のプリズムシート14及び第2のプリズムシート16のプリズムが上向きになっているが、このプリズムを下向きにして積層することもできる。
【0138】
また、ディスプレイ用光学シートの層構成も実施形態の例に限定されるものではなく、たとえば、保護シートを上下面に積層することもできる。
【0139】
さらに、本実施形態の例では、ディスプレイ用光学シート製造ラインにおいて水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を塗布手段P、P…で塗布を行っているが、プリズムシートや拡散シートの製造において塗布する形態も可能である。
【0140】
以上のような構成であっても、本実施形態と同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
【実施例】
【0141】
[プリズムシートの作成]
第1のプリズムシート14及び第2のプリズムシート16に使用するプリズムシートを作成した。このプリズムシートは、第1のプリズムシート14及び第2のプリズムシート16に共通して使用する。
【0142】
・樹脂液の調整
図15の表に示す化合物を記載の重量比にて混合し、50°Cに加熱して撹拌溶解し、樹脂液を得た。なお、各化合物の名称と内容は以下の通りである。
【0143】
EB3700:エベクリル3700、ダイセルUC(株)製、
ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、
(粘度:2200mPa・s/65°C)
BPE200:NKエステルBPE−200、新中村化学(株)製、
エチレンオキシド付加ビスフェノールAメタクリル酸エステル、
(粘度:590mPa・s/25°C)
BR−31 :ニューフロンティアBR−31、第一工業製薬工業(株)製、
トリブロモフェノキシエチルアクリレート、
(常温で固体、融点50°C以上)
LR8893X:Lucirin LR8893X、BASF(株)製の北ラジカル発生
剤、
エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルオスフィンオキシド
MEK :メチルエチルケトン
図16に示される構成のプリズムシートの製造装置を使用してプリズムシートの製造を行った。
【0144】
シートWとして、幅500mm、厚さ100μmの透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを使用した。
【0145】
エンボスローラ83として、長さ(シートWの幅方向)が700mm、直径が300mmのS45C製で表面の材質をニッケルとしたローラを使用した。ローラの表面の略500mm幅の全周に、ダイヤモンドバイト(シングルポイント)を使用した切削加工により、ローラ軸方向のピッチが50μmの溝を形成した。溝の断面形状は、頂角が90度の三角形状で、溝の底部も平坦部分のない90度の三角形状である。すなわち、溝幅は50μmであり、溝深さは約25μmである。この溝は、ローラの周方向に継ぎ目がないエンドレスとなるので、このエンボスローラ83により、シートWに断面が三角形のレンチキュラーレンズ(プリズムシート)が形成できる。ローラの表面には、溝加工後にニッケルメッキを施した。
【0146】
塗布手段82として、エクストルージョンタイプの塗布ヘッド82Cを用いたダイコータを使用した。
【0147】
塗布液F(樹脂液)として、図15の表に記載した組成の液を使用した。塗布液F(樹脂)の湿潤状態の厚さは有機溶剤乾燥後の膜厚が20μmになるように、塗布ヘッド82Cへの各塗布液Fの供給量を、供給装置82Bにより制御した。
【0148】
乾燥手段89として熱風循環式の乾燥装置を用いた。熱風の温度は100°Cとした。
ニップローラ84として、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したローラを使用した。エンボスローラ83とニップローラ84とでシートWを押圧するニップ圧(実効のニップ圧)は、0.5Paとした。
樹脂硬化手段85として、メタルハライドランプを使用し、1000mJ/cmのエネルギーで照射を行った。
【0149】
以上により、凹凸パタ−ンが形成されたプリズムシートを得た。
【0150】
[第1の拡散シート12の作成]
下塗り層、バックコート層、光拡散層の順に、以下の方法により各層を形成することにより、第1の拡散シート12(下用拡散シート)を作製した。
・下塗り層
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)の片面に、下記組成
の下塗り層用塗布液としてのA液を、ワイヤーバー(ワイヤーサイズ:#10)で塗布し、120°Cで2分間乾燥させて、膜厚が1.5μmの下塗り層を得た。
【0151】
(下塗り層用塗布液)
メタノール 4165g
ジュリマーSP−50T(日本純薬社製) 1495g
シクロヘキサノン 339g
ジュリマーMB−1X(日本純薬社製) 1.85g
(有機粒子:ポリメチルメタクリレート架橋タイプ、重量平均粒子径6.2μmの球状超微粒子)
・バックコート層
前記支持体の、下塗り層を塗布した反対側の面に、下記組成のバックコート層用塗布液としてのB液を、ワイヤーバー(ワイヤーサイズ:#10)で塗布し、120°Cで2分間乾燥させて、膜厚が2.0μmのバックコート層を得た。
【0152】
(バックコート層用塗布液)
メタノール 4171g
ジュリマーSP−65T(日本純薬社製) 1487g
シクロヘキサノン 340g
ジュリマーMB−1X(日本純薬社製) 2.68g
(有機粒子:ポリメチルメタクリレート架橋タイプ、重量平均粒子径6.2μmの球状超微粒子)
・光拡散層
上記で作成した支持体の下塗り層側に、下記組成の光拡散層用塗布液としてのC液を、ワイターバー(ワイヤーサイズ:#22)で塗布し、120°Cで2分間乾燥させて、光拡散層を得た。なお、後述するが、この光拡散層は、C液を調製した直後に塗布したものと、C液を調整して2時間静置した後に塗布したものとをそれぞれ得た。
【0153】
(光拡散層用塗布液)
シクロヘキサノン 20.84g
ディスパロンPFA−230 固形分濃度20質量% 0.74g
(粒子沈降防止剤:脂肪酸アミド、楠本化成社製)
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−117、三菱レーヨン社製)20質量%メチルエチルケトン溶液 17.85g
ジュリマーMB−20X(日本純薬社製) 11.29g
(有機粒子;ポリメチルメタクリレート架橋タイプ、重量平均粒子径18μmの球状超微粒子)
F780F(大日本インキ社製) 0.03g
(メチルエチルケトン 30質量%溶液)
[第2の拡散シート18の作成]
上記の第1の拡散シート12の光拡散層のジュリマーMB−20Xの添加量を11.29gから、1.13gに変更した以外は、上記の第1の拡散シート12と同一の条件及び同一のフローで第2の拡散シート18(上用拡散シート)を作製した。
【0154】
[ディスプレイ用光学シート10の作成:実施例]
市販の超音波発振型エアロゾル噴霧装置を使用し、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを2重量%、フッ素系非イオン系界面活性剤を0.2重量%含む水溶液の微細なミスト下に、各シート(第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18)を5秒間曝し、その後自然乾燥して、膜厚0.04g/m2 の塗膜を有するシートを得た。これらのサンプルの表面固有抵抗値を測定し、また、光拡散シートとプリズムシートを重ね合わせて4辺を市販の超音波溶着シール装置により接着して複合シートを作製した。
【0155】
[ディスプレイ用光学シートの作成:比較例]
各シート(第1の拡散シート12、第1のプリズムシート14、第2のプリズムシート16、及び第2の拡散シート18)を重ね合わせて4辺を市販の超音波溶着シール装置により接着して複合シートを作製した。
【0156】
[ディスプレイ用光学シートの評価]
実施例のディスプレイ用光学シートは、表面固有抵抗値は2.5×1010Ωと、塵埃付着を防止するのに十分な小さい抵抗値となり、接着強度も通常の取り扱いで剥がれることはなく十分で、光学性能および外観についても問題はなかった。
【0157】
接着強度の比較として、通常の取り扱いを、実施例、比較例それぞれ100セット行い、剥がれが認められたものをNGとした。実施例は100セットのうち、NGは1セットのみであった。これに対し、比較例は100セットのうち、NGは24セットであった。以上の比較結果より、本発明の実施例によれば、帯電防止効果があり、シート同士の接着性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】第1の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図2】第2の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図3】第3の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図4】第4の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図5】第5の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図6】第6の例に係るディスプレイ用光学シートの断面構成を示す図
【図7】第1の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図8】第2の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図9】第3の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図10】第4の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図11】第5の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図12】第6の製造方法に適用されるディスプレイ用光学シート製造ラインの構成図
【図13】第1の製造方法において、積層体より打抜かれるシートの平面配置を説明する図
【図14】第2〜第6の製造方法において、積層体より打抜かれるシートの平面配置を説明する図
【図15】プリズムシートの作成に使用される樹脂液の組成を示す表
【図16】プリズムシートの製造装置の構成図
【符号の説明】
【0159】
10…ディスプレイ用光学シート、11…ディスプレイ用光学シート製造ライン、12…第1の拡散シート、12B…ロール、14…第1のプリズムシート、16…第2のプリズムシート、18…第2の拡散シート、20…ディスプレイ用光学シート、20…固形分濃度、21…ディスプレイ用光学シート製造ライン、24…レーザヘッド、26…コンベア、28…吸着横移載装置、30…ディスプレイ用光学シート、31…ディスプレイ用光学シート製造ライン、32…集積装置、34…積層体、36…ロール、40…ディスプレイ用光学シート、41…ディスプレイ用光学シート製造ライン、42…ディスペンサ、44…ディスペンサ、46…ディスペンサ、48…プレス装置、50…融点、51…ディスプレイ用光学シート製造ライン、52…テープ供給装置、54…テープ供給装置、56…テープ供給装置、60…ディスプレイ用光学シート、61…ディスプレイ用光学シート製造ライン、62…超音波ホーン、64…超音波ホーン、66…超音波ホーン、72…レーザヘッド、74…レーザヘッド、76…レーザヘッド、78…レーザヘッド、82…塗布手段、82B…供給装置、82C…塗布ヘッド、83…エンボスローラ、84…ニップローラ、85…樹脂硬化手段、G…ガイドローラ、P…塗膜形成手段(エアロゾル噴霧装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚以上の光学シートが積層されており、前記光学シート同士が少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、
前記2枚以上の光学シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、
水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シート。
【請求項2】
1軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたレンズシートの少なくとも1枚の表面及び/又は裏面に光拡散シートが積層されており、前記レンズシートと前記光拡散シートとが少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、
前記レンズシートと、前記光拡散シートと、のそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、
水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シート。
【請求項3】
1軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたレンズシートの2枚が積層されており、光拡散シートが前記レンズシートの積層体の表面及び/又は裏面に積層されており、前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記拡散シートとが少なくとも1以上の箇所において接着されているディスプレイ用光学シートであって、
前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記拡散シートとのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方には、
水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む塗膜が、0.03〜0.2g/m2 の範囲の厚みになるように設けられていることを特徴とするディスプレイ用光学シート。
【請求項4】
前記水溶性帯電防止剤は、カチオン系帯電防止剤であることを特徴とする請求項1〜3に記載のディスプレイ用光学シート。
【請求項5】
シートの平面サイズが製品サイズ以上である2枚以上の光学シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、
シートの平面サイズが製品サイズ以上である前記2枚以上の光学シートを積層する積層工程と、
前記2枚以上の光学シート同士を少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、
前記2枚以上の光学シートの積層体を製品サイズに裁断する裁断工程と、
を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法。
【請求項6】
軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたシートの平面サイズが製品サイズ以上であるレンズシートとシートの平面サイズが製品サイズ以上である光拡散シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記レンズシートの少なくとも1枚に対し、光拡散シートを前記レンズシートの表面及び/又は裏面に配して積層する積層工程と、
前記レンズシートと光前記拡散シートとを少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、
前記光拡散シートと前記レンズシートとの積層体を製品サイズに裁断する裁断工程と、
を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法。
【請求項7】
軸方向に形成された凸状レンズが隣接して略全面に配列されたシートの平面サイズが製品サイズ以上であるレンズシートとシートの平面サイズが製品サイズ以上である光拡散シートのそれぞれの合わせ面の少なくとも一方に、水溶性帯電防止剤とフッ素系界面活性剤とを含む水溶液を乾燥後の厚みが0.03〜0.2g/m2 の範囲になるように塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記レンズシートの2枚を積層し、光拡散シートを前記レンズシートの積層体の表面及び/又は裏面に配して積層する積層工程と、
前記レンズシート同士及び前記レンズシートと前記光拡散シートとを少なくとも1以上の箇所において接着する接合工程と、
前記光拡散シートと前記レンズシートとの積層体の周縁を製品サイズに裁断する裁断工程と、
を備えることを特徴とするディスプレイ用光学シートの製造方法。
【請求項8】
前記塗膜を形成する塗膜形成工程は、エアロゾル噴霧法により塗布を行うことを特徴とする請求項5〜7の何れか1に記載のディスプレイ用光学シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−78885(P2007−78885A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264460(P2005−264460)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】