説明

ディスプレイ用光学フィルタ、その製造方法及びこのフィルタを備えたディスプレイ並びにプラズマディスプレイパネル

【課題】生産性に優れた電極部付き光学フィルタを提供すること。
【解決手段】少なくとも1枚の透明フィルムと、その一方の表面に設けられた導電層及び他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層を含むディスプレイ用光学フィルタであって、最表面の機能層の端部表面に、透明フィルムを介して導電層に到達する孔部が形成され、且つその孔部に導電性材料が導電層に接触するように充填されて電極部を形成していることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(電界発光)ディスプレイ、表面電界型ディスプレイ(SED)を含む電界放出型ディスプレイ(FED)等の各種ディスプレイに対して反射防止、近赤外線遮断、電磁波遮蔽等の各種機能を有する光学フィルタ、その製造方法及びこの光学フィルタを備えたディスプレイ、特にPDPに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、及びCRTディスプレイにおいては、外部からの光が表面で反射し、内部の視覚情報が見えにくいとの問題は、従来から知られており、反射防止膜等を含む光学フィルムの設置等、種々対策がなされている。
【0003】
近年、ディスプレイは大画面表示が主流となり、次世代の大画面表示デバイスとしてPDPが一般的になってきている。しかしながら、このPDPでは画像表示のため発光部に高周波パルス放電を行っているため、不要な電磁波の輻射や赤外線リモコン等の誤動作の原因ともなる赤外線の輻射のおそれがあり、このため、PDPに対しては、導電性を有するPDP用反射防止フィルム(電磁波シールド性光透過窓材)が種々提案されている。この電磁波シールド性光透過窓材の導電層としては、例えば、(1)金属銀を含む透明導電薄膜が設けられた透明フィルム、(2)金属線又は導電性繊維を網状にした導電メッシュを設けた透明フィルム、(3)透明フィルム上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、(4)透明フィルム上に導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等が知られている。
【0004】
さらに、従来のPDPを初めとする大型ディスプレイでは、反射防止フィルムや近赤外線カットフィルム等の種々のフィルムを貼り合わされている。例えば、特許文献1(特開2003−66854号公報)には、反射防止層又は防眩層を形成して成る第1フィルムと電磁波シールド機能層を形成して成る第2フィルムとを少なくとも有して成り、前記電磁波シールド機能層が形成されている側に第1フィルムが存在し、第2フィルムは第1フィルムよりも大きく、前記電磁波シールド機能層の縁部が露呈していることを特徴とする光学フィルタが記載されている。
【0005】
上記電磁波シールド性光透過窓材においては、上記導電層による電磁波シールド性を良好なものとするために、導電層(電磁波シールド材)、例えば導電性メッシュ、をPDP本体に接地(アース)する必要がある。そのために、上記公報では、電磁波シールド機能層の縁部が露呈させている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−66854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、長尺状のプラスチックフィルムを用いて上記PDP等のディスプレイ用光学フィルタを製造する場合、近赤外カットフィルム及び反射防止フィルム作製し、これらを電磁波シールド用導電性メッシュを介して積層することにより長尺状の光学フィルタを得ることになり、その後、各ディスプレイの全面の表示部の形状に合わせて矩形状に裁断される。このため、このような光学フィルタの裁断面、即ち端面(側面)には、全ての層の端面が露出しているが、当然極めて小さな面積でしかない。導電性メッシュも、メッシュ状の断面がほんのわずか覗いているに過ぎない。
【0008】
このようなディスプレイ用光学フィルタを、そのまま用いて、導電層による電磁波シールド性を良好なものとするために導電層(例えば導電性メッシュ)をPDP本体に接地(アース)することができれば、極めて高い生産性でアースが容易なディスプレイ用光学フィルタを得ることができる。
【0009】
特許文献1に記載されているような光学フィルタでは、電磁波シールド層(導電層)を有するフィルムを他の機能層を有するフィルムより大きく作製し、電磁波シールド層の縁部が露呈するように、正確に位置あわせして接合する必要があり、煩雑な工程を必要とするとの問題がある。
【0010】
従って、本発明は、容易に製造することができ、そして良好な電磁波シールド性を有し、またディスプレイに装着し易く且つ接地し易いアース電極を有するディスプレイ用光学フィルタを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、容易に製造することができ、そして軽量で薄く、良好な電磁波シールド性を有し、そしてディスプレイに装着し易く且つ接地し易いアース電極を有するディスプレイ用光学フィルタを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、容易に製造することができ、そして良好な電磁波シールド性を有し、またディスプレイに装着し易く且つ接地し易いアース電極を有するPDP用に好適な光学フィルタを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記ディスプレイ用光学フィルタを有利に得ることができるディスプレイ用光学フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、上記優れた特性の光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされたディスプレイを提供することを目的とする。
【0015】
さらにまた、本発明は、上記優れた特性の光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされたPDPを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明は、
少なくとも1枚の透明フィルムと、その表面に設けられた導電層及び少なくとも1層の機能層を含むディスプレイ用光学フィルタであって、
最表面の機能層の端部表面に、導電層に到達する孔部が形成され、且つその孔部に導電性材料が導電層に接触するように充填されて電極部を形成していることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ(I)(機能層は一般にハードコート層及び/又は近赤外線吸収層である);及び
少なくとも1枚の透明フィルムと、その一方の表面に設けられた導電層及び他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層を含むディスプレイ用光学フィルタであって、
最表面の機能層の端部表面に、透明フィルムを介して導電層に到達する孔部が形成され、且つその孔部に導電性材料が導電層に接触するように充填されて電極部を形成していることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ(II);
にある。
【0017】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの好適態様は以下の通りである。
(1)光学フィルタ(II)において、他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層が、近赤外線吸収層であり、さらに導電層上に機能層としてハードコート層が設けられている。
(2)光学フィルタ(II)において、他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層が、ハードコート層であり、さらに導電層上に機能層として近赤外線吸収層が設けられている。
(3)導電性材料が、最表面の機能層の孔部以外の端部表面も、孔部に充填された導電性材料と連結した状態で、被覆している。アースをとりやすい。ディスプレイへの装着が容易となる。
(4)導電性材料が、導電性ペースト又はハンダである。
(5)透明フィルム、導電層、及び少なくとも1層の機能層が、共に端面を形成するように積層されている。
(6)透明フィルム、導電層、及び少なくとも1層の機能層が、端面の少なくとも一部で面一となるように積層されている。
(7)透明フィルム、導電層、及び少なくとも1層の機能層が、その形状及び面積において同一であり、且つ端面で面一となるように積層されている。
(8)透明フィルム、導電層、及び少なくとも1層の機能層の形状が矩形である。
(9)孔部の断面形状が楔形である。孔部の表面形状は一般に矩形状で、幅(短辺)が、0.01〜10mm、特に0.05〜1mmであり、長辺(フィルタの辺方向)が、一般に0.1〜10mm、特に0.5〜1mmである。
(10)孔部が、端部に沿って、1列又は複数列で形成されている。
(11)孔部が、端部に沿って、複数列で、千鳥状に形成されている。
(12)孔部が、最表層の機能層の矩形状表面の少なくとも対向する2辺の端部領域に形成されている。対向する2辺の端部領域に形成することにより、連続的製造が有利となる。矩形状表面の4辺全ての端部領域に、即ち、額縁状に形成することにより、良好な導通性が確保することができる。
(13)導電層が、メッシュ状導電層である。
(14)ハードコート層の上に、さらにハードコート層より屈折率の低い低屈折率層が形成されている。
(15)透明フィルムがプラスチックフィルムである。
(16)近赤外線吸収層の透明フィルムと反対側の表面に透明粘着剤層が設けられている。ディスプレイへの装着が容易となる。近赤外線吸収層が粘着性を有していても良い。
(17)透明粘着剤層の上に剥離シートが設けられている。ディスプレイへの装着が容易となる。
(18)プラズマディスプレイパネル用フィルタである。
(19)ディスプレイ用光学フィルタがガラス基板に貼付されている。
(20)2枚の透明フィルムを使用する場合、ハードコート層を有する透明フィルムの裏面の全面に、近赤外線吸収層が設けられていることが好ましい。また、導電層を有する透明フィルムの裏面の全面に、近赤外線吸収層が設けられていることも好ましい。
【0018】
上記本発明のディスプレイ用光学フィルタは、例えば以下のようにして有利に得ることができる:
長尺状透明フィルム、その一方の表面に幅方向一杯に形成された導電層及び他方の表面に幅方向一杯に形成された少なくとも1層の機能層を有する積層体の走行下に、積層体の最表層の機能層の両側に、連続的に孔部を形成し、次いでその孔部に導電性材料を、導電性材料が導電層に接触するように充填することを特徴とするディスプレイ用光学フィルタの製造方法。
【0019】
さらに、本発明は、
上記のディスプレイ用光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされていることを特徴とするディスプレイ;及び
上記のディスプレイ用光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルにもある。
【発明の効果】
【0020】
本発明のディスプレイ用光学フィルタは、生産性に優れたアース電極(電極部)付き光学フィルタである。例えば、製造が容易な光学フィルタとしては、長尺状のプラスチックフィルム上に、導電層、及びハードコート層、反射防止層、近赤外吸収層等の機能層を形成して得られる長尺状積層体を裁断して得られるものがあるが、このような積層体(即ち製造が容易な光学フィルタ)に孔部を形成して、その中に導電性材料を充填することにより、簡便にアース電極を設けたアース電極付き光学フィルタはこれまで考えられておらず、本発明により初めて得られたものである。そしてこうして得られる本発明のディスプレイ用光学フィルタは、上述のように連続的製造が容易で、且つ簡便にアース電極を設けることができる、生産性に優れたアース電極付き光学フィルタである。
【0021】
特に、透明フィルムを1枚用いて上記光学フィルタを得た場合は、光学フィルタの厚さが極めて小さくなり、これに伴い質量も小さくなるため、ディスプレイに装着する際、そして装着後も取扱い上極めて有利である。
【0022】
従って、本発明のディスプレイ用光学フィルタは、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(電界発光)ディスプレイ、表面電界型ディスプレイ(SED)を含む電界放出型ディスプレイ(FED)等の各種ディスプレイに対して反射防止、近赤外線遮断、電磁波遮蔽等の各種機能を有する、生産性に優れた光学フィルタということができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の電極部(アース電極)が設けられた生産性に優れた電極部付きディスプレイ用光学フィルタについて、以下に詳細に説明する。
【0024】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの基本構成の1例の平面図を図1に示す。また図1のA−A’方向の部分断面図を図2に示す。矩形のディスプレイ用光学フィルタ11であり、透明フィルム12の一方の表面に、ハードコート層16及び低屈折率層等の反射防止層17がこの順で設けられ、他方の表面にはメッシュ状導電層13、近赤外線吸収層14(図2参照)が設けられている。図1ではこれらの層のうち低屈折率層17のみ見ることができる。低屈折率層17の端部表面には、多数の矩形状の孔部18が設けられ、これらは透明フィルム12を突き抜けてメッシュ状導電層13に達している。その中に導電性材料18Aが充填され、表面に露出し、且つその露出部分を連結して帯状の導電性材料18Aの層(電極部)が形成されている。このように表面に露出した導電性材料が、連続的に連結して帯状の導電性材料層を形成していることが好ましい。これにより、より導通が取りやすくなる。或いは露出した電極部導電性テープを貼り付けても良い。しかしながら、露出部分を連結して帯状の導電性材料18Aの層を形成しなくても良く、これにより導通をとることは可能である。この場合露出した電極部に導電性テープを貼り付けても良い。なお、上記孔部18を近赤外線吸収層14の表面にメッシュ状導電層13に到達するように設けても良い。
【0025】
上記光学フィルタにおいて、透明フィルム、導電層、及びハードコート層、低屈折率層、近赤外線吸収層等の機能層が、全て端面を形成するように積層されていることが好ましい。これにより製造が容易となる。また透明フィルム、導電層、及び上記機能層が、端面の少なくとも一部で面一、特に全端面で面一となるように積層されていることが好ましい。さらに製造が容易となる。またこれらのフィルム及び各層が、その形状及び面積において同一であり、且つ端面で面一となるように積層されていることが好ましい。より一層製造が容易となる。
【0026】
孔部の表面形状は、特に限定されないが、一般に矩形状、楕円状等の形状であり、矩形状が好ましい。その幅d(短辺)は、0.01〜10mm、特に0.05〜1mmであることが好ましく、長辺(フィルタの辺方向)は、0.1〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。孔部の表面における間隔は0.1〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。孔部の端部の縁からの距離は、一般に0.5〜10mm、特に1〜5mmであることが好ましい。
【0027】
上記本発明の光学フィルタにおいて、低屈折率層17は設けなくても良い。また近赤外線吸収層14の上に透明粘着剤層15を設けることも好ましい。ディスプレイの表示板表面に容易に貼付可能となる。また、メッシュ状導電層13と近赤外線吸収層14との間に、メッシュ状導電層13の凹部を埋める透明化層(一般に透明樹脂層)を設けることが好ましい。優れた透明性が得られる。或いは、メッシュ状導電層13の表面に近赤外線吸収層14を有する透明フィルムを、透明フィルムとメッシュ状導電層13とが対向するようにして、粘着剤層を用いて接着しても良い。なお、上記孔部18を近赤外線吸収層14の表面にメッシュ状導電層13に到達するように設けても良い。
【0028】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの基本構成の別の1例の部分断面図を図3に示す。矩形のディスプレイ用光学フィルタ31であり、透明フィルム32の一方の表面に、近赤外線吸収層34が設けられ、他方の表面にはメッシュ状導電層33、ハードコート層36及び低屈折率層等の反射防止層37がこの順で設けられている。孔部38が設けられる層は、図1の低屈折率層17と異なり近赤外線吸収層34上である。近赤外線吸収層34の端部表面には、多数の孔部18が設けられ、同様に孔部38は透明フィルム32を突き抜けてメッシュ状導電層33に達している。その中に導電性材料38Aが充填され、表面に露出し、且つその露出部分を連結して帯状の導電性材料38Aの層(電極部)が形成されている。このように表面に露出した導電性材料38Aが、連続的に連結して帯状の導電性材料層を形成していることが好ましい。これにより導通が取りやすくなる。
【0029】
上記本発明の光学フィルタにおいて、低屈折率層37は設けなくても良い。また近赤外線吸収層34の上に透明粘着剤層15を設けることも好ましい。ディスプレイの表示板表面に容易に貼付可能となる。
【0030】
なお、上記孔部38を反射防止層37の表面にメッシュ状導電層33に到達するように設けても良い。
【0031】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの基本構成の別の1例の平面図を図4に示す。またA−A’断面の部分断面図を図5に示す。矩形のディスプレイ用光学フィルタ41であり、透明フィルム42の一方の表面に、ハードコート層46及び低屈折率層47がこの順で設けられ、他方の表面にはメッシュ状導電層43、近赤外線吸収層44(図5参照)が設けられている。図4ではこれらの層のうち低屈折率層47のみ見ることができる。低屈折率層47の端部表面には、多数の孔部48が2列に千鳥状に設けられ、これらは透明フィルム42を突き抜けてメッシュ状導電層43に達している。孔部48を千鳥状に設けることにより、導電性材料を充填した場合に導電層との接触面積が大きくなり導通が一層取りやすくなる。また千鳥状設置は、直線的に孔部を設けるより、孔部周囲の剛性が高くなることから、ハンドリング時の折れに対して優位となる。孔部48の中には導電性材料48Aが充填され、表面に露出し、且つその露出部分を連結して帯状の導電性材料48Aの層(電極部)が形成されている。このように表面に露出した導電性材料が、連続的に連結して帯状の導電性材料層を形成していることが好ましい。これにより導通がより取りやすくなる。しかしながら、露出部分を連結して帯状の導電性材料48Aの層を形成しなくても良く、これにより導通をとることは可能である。この場合露出した電極部に導電性テープを貼り付けても良い。なお、上記孔部48を近赤外線吸収層44の表面にメッシュ状導電層43に到達するように設けても良い。
【0032】
孔部の表面形状は、特に限定されないが、一般に矩形状、楕円状等の形状であり、矩形状が好ましく、その幅(短辺)は、0.01〜10mm、特に0.05〜1mmであることが好ましく、長辺(フィルタの辺方向)は、0.1〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。孔部の表面における間隔(フィルタの辺方向)は0.1〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。また隣接する孔部の表面における間隔は0.1〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。孔部の端部の縁からの距離は、一般に0.5〜10mm、特に1〜5mmであることが好ましい。
【0033】
上記本発明の光学フィルタにおける他の態様は、前記図1、2に述べたとおりである。
【0034】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの基本構成の別の1例の部分断面図を図6に示す。矩形のディスプレイ用光学フィルタ61であり、透明フィルム62の一方の表面に、近赤外線吸収層64が設けられ、他方の表面にはメッシュ状導電層63、ハードコート層66及び低屈折率層67がこの順で設けられている。孔部68が設けられる層は、図5の反射防止層47と異なり近赤外線吸収層64上である。近赤外線吸収層64の端部表面には、多数の孔部68が2列で千鳥状に設けられ、同様に孔部68は透明フィルム62を突き抜けてメッシュ状導電層63に達している。多数の孔部68の中に導電性材料68Aが充填され、表面に露出し、且つその露出部分を連結して帯状の導電性材料68Aの層(電極部)が形成されている。このように表面に露出した導電性材料が、連続的に連結して帯状の導電性材料層を形成していることが好ましい。これにより導通がより取りやすくなる。しかしながら、露出部分を連結して帯状の導電性材料68Aの層を形成しなくても良く、これにより導通をとることは可能である。
【0035】
なお、上記孔部68を反射防止層67の表面にメッシュ状導電層63に到達するように設けても良い。
【0036】
メッシュ状導電層13は、例えば、メッシュ状の金属層又は金属含有層、又は塗工層であるが、メッシュ状でない導電層、例えば金属酸化物層(誘電体層)、又は金属酸化物層と金属層との交互積層膜であっても良い。メッシュ状の金属層又は金属含有層は、一般に、エッチングにより、又は印刷法により形成されているか、金属繊維層である。これにより低抵抗を得られやすい。一般に、メッシュ状の金属層又は金属含有層のメッシュの空隙は、ハードコート層16で埋められている。これにより透明性が向上する。ハードコート層16で埋めない場合は、他の層、例えば近赤外線吸収層14或いはそれ専用の透明樹脂層で埋められるのが好ましい。
【0037】
低屈折率層17は、反射防止層を形成する。即ち、ハードコート層16とその上に設けられた低屈折率層との複合膜により反射防止効果を示す。この低屈折率層とハードコート層16との間に高屈折率層を設けても良い。これにより反射防止機能は向上する。
【0038】
また反射防止層17は設けなくても良く、透明フィルムと、透明フィルムより屈折率の高い又は低い(好ましくは低い)ハードコート層16のみであっても良い。ハードコート層16、反射防止層17は、いずれも塗工により形成されていることが、生産性、経済性の観点から好ましい。
【0039】
或いはハードコート層16の代わりに防眩層を設けても良い。防眩層は、いわゆるアンチグレア層であり、一般に優れた反射防止効果を有し、反射防止層を設けなくて良い場合が多い。これにより、他の層の屈折率の自由度が向上し、層の材料の選択肢が広がるため、コスト低減効果もある。防眩層と低屈折率層とからなる場合は、防眩層のみよりさらに優れた反射防止効果が得られる。
【0040】
なお、防眩層の形成、又は封止層及び防眩層の形成は、樹脂及び有機溶剤に微粒子が分散した塗布液を塗布することにより行うことが好ましい。この際、光学フィルタの構成部分(メッシュ、下塗層、基板等)が有機溶剤により侵食されずに、高い透明性を有することが好ましい。
【0041】
近赤外線吸収層14は、PDPのネオン発光等の不要な光を遮断する機能を有する。一般に800〜1200nmに吸収極大を有する色素を含む層である。透明粘着層15は一般にディスプレイへの容易に装着するために設けられている。透明粘着剤層15の上に剥離シートを設けても良い。
【0042】
本発明の電極部等は、一般にアース電極と呼ばれるものであり、上記のように導電層に到達する孔部に充填された導電性材料である。この導電材料は、少なくともその一部が導電層と接触して導通可能な材料で有ればどのようなものでも良い。一般に、ハンダ、導電性ペースト等である。孔部の形状は、特に限定されないが、前述のようにその表面形状は、細長い矩形、或いは楕円状である。またその断面形状も特に限定されることはなく、例えば、表面形状がそのまま内部までほぼ維持されても良いが、一般に徐々にその表面積が縮小するような形、例えば楔形が、形成しやすく好ましい。
【0043】
上述のディスプレイ用光学フィルタは、例えば、長尺状透明フィルムのその幅方向一杯に、導電層を形成し、次いで導電層上にその幅方向一杯にハードコート層を形成し、その後長尺状透明フィルムの裏側にその幅方向一杯に近赤外線吸収層を形成することにより、導電層を有する積層体を形成し、その積層体の走行下に、近赤外線吸収層の両側に導電層に到達する孔部を形成し、次いでその孔部に導電性材料を塗布することにより得ることができる。或いは、例えば、長尺状透明フィルムのその幅方向一杯に、導電層を形成し、次いで導電層上にその幅方向一杯に近赤外線吸収層を形成し、その後長尺状透明フィルムの裏側にその幅方向一杯にハードコート層を形成することにより、導電層を有する積層体を形成し、その積層体の走行下に、ハードコート層の両側に導電層に到達する孔部を形成し、次いでその孔部に導電性材料を塗布することにより得ることができる。孔部の形成、導電性材料の塗布は、積層体を裁断後、バッチで行っても良い。
【0044】
孔部の形成は、例えば、スチールカッター(例、日本精密機械工作(株)製のリューター)を、走行する上記積層体の機能層(ハードコート層又は近赤外線吸収層)の端部に配置し、そのスチールカッターを機能層端部に間欠的に押圧することにより行われる。その場合、スチールカッター備えたロボットを用いることも好ましい。これにより、千鳥状等、適当な形状の孔部を、プログラミングにより形成することができる。また、一旦、上記積層体を幅方向に裁断して、矩形状の積層体を得、その後スチールカッター備えたロボットを用いて孔部を形成することもできる。
【0045】
導電性材料の塗布は、例えば、銀粒子等の導電性材料をバインダ、有機溶剤等に分散させた塗布液を、孔部が形成された機能層端部に塗布することにより行われる。或いは溶融したハンダを塗布してもよい。塗布は、上記積層体を走行させながら、連続的に行うことが好ましいが、裁断後行っても良い。
【0046】
上記幅方向に裁断した際の光学フィルタの裁断面である端面は、全ての層の端面が露出しているが、当然極めて小さな面積でしかなく、アース電極として使用するのは困難である。本発明によれば、光学フィルタの端部に導電材料を導電層に接触するように充填することにより、簡単に、接地及びディスプレイの装着に容易な電極部(アース電極)を設けることができる。
【0047】
矩形の透明フィルムの場合、各層はバッチ式で形成されても良いが、上記のように連続フィルム上に、各層を連続式、一般にロールトゥロール方式で形成し、裁断することが好ましい。
【0048】
本発明のディスプレイ用光学フィルタに使用される材料について以下に説明する。
【0049】
透明フィルムは、その材料としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)であれば特に制限はないが、一般にプラスチックフィルムが使用される。例えば、ポリエステル{例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート}、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる。これらの中でも、加工時の負荷(熱、溶剤、折り曲げ等)に対する耐性が高く、透明性が特に高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましい。特に、PETが、加工性が優れているので好ましい。
【0050】
透明フィルムの厚さとしては、光学フィルタの用途等によっても異なるが、一般に1μm〜10mm、1μm〜5mm、特に25〜250μmが好ましい。
【0051】
本発明の導電層は、得られる光学フィルタの表面抵抗値が、一般に10Ω/□以下、好ましくは0.001〜5Ω/□の範囲、特に0.005〜5Ω/□の範囲となるように設定される。メッシュ(格子)状の導電層も好ましい。或いは、導電層は、塗工層でもよく、気相成膜法により得られる層(金属酸化物(ITO等)の透明導電薄膜)でも良い。さらに、ITO等の金属酸化物の誘電体膜とAg等の金属層との交互積層体(例、ITO/銀/ITO/銀/ITOの積層体)であっても良い。
【0052】
メッシュ状の導電層としては金属繊維及び金属被覆有機繊維の金属を網状にしたもの、透明フィルム上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、透明フィルム上に導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等を挙げることができる。
【0053】
メッシュ状の導電層の場合、メッシュとしては、金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる線径1μm〜1mm、開口率40〜95%のものが好ましい。より好ましい線径は10〜500μm、開口率は50〜95%である。メッシュ状の導電層において、線径が1mmを超えると電磁波シールド性が向上するが、開口率が低下し両立させることができない。1μm未満では、メッシュとしての強度が下がり取扱いが困難となる。また開口率が95%を超えるとメッシュとしての形状を維持することが困難であり、40%未満では光透過性が低下し、ディスプレイからの光量も低下する。
【0054】
なお、導電性メッシュの開口率とは、当該導電性メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合を言う。
【0055】
メッシュ状の導電層を構成する金属繊維及び金属被覆有機繊維の金属としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステン、錫、鉛、鉄、銀、炭素或いはこれらの合金、好ましくは銅、ステンレス、ニッケルが用いられる。
【0056】
金属被覆有機繊維の有機材料としては、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニリデン、アラミド、ビニロン、セルロース等が用いられる。
【0057】
金属箔等の導電性の箔をパターンエッチングしたもの場合、金属箔の金属としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、真鍮、或いはこれらの合金、好ましくは銅、ステンレス、アルミニウムが用いられる。
【0058】
金属箔の厚さは、薄過ぎると取扱い性やパターンエッチングの作業性等の面で好ましくなく、厚過ぎると得られるフィルムの厚さに影響を及ぼし、エッチング工程の所要時間が長くなることから、1〜200μm程度とするのが好ましい。
【0059】
エッチングパターンの形状には特に制限はなく、例えば四角形の孔が形成された格子状の金属箔や、円形、六角形、三角形又は楕円形の孔が形成されたパンチングメタル状の金属箔等が挙げられる。また、孔は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。この金属箔の投影面における開口部分の面積割合は、20〜95%であることが好ましい。
【0060】
或いは、メッシュ状の導電層を、透明基板に導電性インキをパターン印刷して形成しても良い。次のような導電性インキを用い、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法等により透明基板の表面に印刷することができる。
【0061】
一般に、粒径100μm以下のカーボンブラック粒子、或いは銅、アルミニウム、ニッケル等の金属又は合金の粒子等の導電性材料の粒子を50〜90重量%濃度にPMMA、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂等のバインダ樹脂に分散させたものである。このインクは、トルエン、キシレン、塩化メチレン、水等の溶媒に適当な濃度に希釈または分散させて透明基板の板面に印刷により塗布し、その後必要に応じ室温〜120℃で乾燥させ基板上に塗着させる。上記と同様の導電性材料の粒子をバインダ樹脂で覆った粒子を静電印刷法により直接塗布し熱等で固着させる。
【0062】
このようにして形成される印刷膜の厚さは、薄過ぎると電磁波シールド性が不足するので好ましくなく、厚過ぎると得られるフィルムの厚さに影響を及ぼすことから、0.5〜100μm程度とするのが好ましい。
【0063】
このようなパターン印刷によれば、パターンの自由度が大きく、任意の線径、間隔及び開口形状の導電層を形成することができ、従って、所望の電磁波遮断性と光透過性を有するプラスチックフィルムを容易に形成することができる。
【0064】
導電層のパターン印刷の形状には特に制限はなく、例えば四角形の開口部が形成された格子状の印刷膜や、円形、六角形、三角形又は楕円形の開口部が形成されたパンチングメタル状の印刷膜等が挙げられる。また、開口部は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。この印刷膜の投影面における開口部分の面積割合は、20〜95%であることが好ましい。
【0065】
上記の他に、メッシュ状の導電層として、フィルム面に、溶剤に対して可溶な材料によってドットを形成し、フィルム面に溶剤に対して不溶な導電材料からなる導電材料層を形成し、フィルム面を溶剤と接触させてドット及びドット上の導電材料層を除去することによって得られるメッシュ状導電層を用いても良い。
【0066】
塗工による導電層としては、ポリマー中に無機化合物の導電性粒子が分散された塗工層を挙げることができる。
【0067】
導電性粒子を構成する無機化合物としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属、合金;或いはITO、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化スズ(ITO、いわゆるインジウムドープ酸化スズ)、酸化スズ−酸化アンチモン(ATO、いわゆるアンチモンドープ酸化スズ)、酸化亜鉛−酸化アルミニウム(ZAO;いわゆるアルミニウムドープ酸化亜鉛)等の導電性酸化物等を挙げることができる。特に、ITOが好ましい。平均粒径は10〜10000nm、特に10〜50nmが好ましい。
【0068】
ポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、含ケイ素樹脂等を挙げることができる。さらに、これらの樹脂のうち熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0069】
或いは、ポリマーは後述するハードコート層に使用される紫外線硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。
【0070】
上記塗工による導電層の形成は、ポリマー(必要により溶剤を用いて)中に上記導電性微粒子を混合等により分散させて塗工液を作製し、この塗工液を、透明基板上に塗工し、適宜乾燥、硬化させる。熱可塑性樹脂を用いた場合は、塗工後乾燥することにより、熱硬化型の場合は、乾燥、熱硬化することにより得られる。紫外線硬化性樹脂を用いた場合は、塗工後、必要に応じて乾燥し、紫外線照射することにより得られる。
【0071】
上記塗工形成された導電層の厚さとしては、0.01〜5μm、特に0.05〜3μmが好ましい。前記厚さが、0.01μm未満であると、電磁波シールド性が充分でないことがあり、一方5μmを超えると、得られるフィルムの透明性を低下させる場合がある。
【0072】
本発明の導電層は、塗工により形成される導電性ポリマーの層であることも好ましい。例えば、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリナフタレン等の炭化水素系ポリマー;ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン等のヘテロ原子含有ポリマーを挙げることができる。ポリピロール、ポリチオフェンが好ましい。上記導電性ポリマーの明導電層の厚さとしては、0.01〜5μm、特に0.05〜3μmが好ましい。前記厚さが、0.01μm未満であると、電磁波シールド性が充分でないことがあり、一方5μmを超えると、得られるフィルムの透明性を低下させる場合がある。
【0073】
導電層を気相成膜法により形成する場合(金属酸化物層)、その形成方法としては、特に制限はないが、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相製膜法や、印刷、塗工等が挙げることができるが、気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着)が好ましい。前記の無機化合物を用いて導電層を形成することができる。導電層を気相成膜法で形成した場合は、その層厚は、30〜50000nm、特に50nm程度が好ましい。
【0074】
導電層上に、さらに金属メッキ層を、導電性を向上させるためは設けても良い。金属メッキ層は、公知の電解メッキ法、無電解メッキ法により形成することができる。メッキに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。
【0075】
また導電層は、誘電体層(金属酸化物)と金属層との交互積層膜でも良い。特に、誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層の5層以上の積層体が好ましい。例えば、ITO等の金属酸化物の誘電体層とAg等の金属層との交互積層体(例、ITO/銀/ITO/銀/ITOの積層体)を挙げることができる。
【0076】
上記透明導電膜は、物理蒸着法または化学蒸着法により成膜することができる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法が挙げられるが、一般的にはスパッタリング法で成膜するのが好ましい。化学蒸着法としては、常圧CVD法、減圧CVD法、プラズマCVD法が挙げられる。
【0077】
導電層(特にメッシュ状導電層)をさらに低い抵抗値にして、電磁波シールド効果を向上させたい場合は、導電層上にメッキ層を形成することが好ましい。
【0078】
メッキ処理に使用される材料としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、銀及び金を上げることができる。これらは単独で使用しても、2種以上の合金として使用しても良い。メッキ処理としては通常の液相メッキ(電気メッキ、無電解メッキ等)により一般に行われる。
【0079】
また、防眩性能を付与させても良い。この防眩化処理を行う場合、(メッシュ)導電層の表面に黒化処理を行っても良い。例えば、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系のインクの塗布等を行うことができる。
【0080】
本発明の反射防止層は、一般に基板である透明フィルムより屈折率の低いハードコート層とその上に設けられた低屈折率層との複合膜であるか、或いはハードコート層と低屈折率層との間にさらに高屈折率層が設けられた複合膜である。反射防止層は基板より屈折率の低いハードコート層のみであっても有効である。但し、基板の屈折率が低い場合、透明フィルムより屈折率の高いハードコート層とその上に設けられた低屈折率層との複合膜、或いは低屈折率層上にさらに高屈折率層が設けられた複合膜としても良い。
【0081】
ハードコート層としては、アクリル樹脂層、エポキシ樹脂層、ウレタン樹脂層、シリコーン樹脂層等を挙げることができ、通常その厚さは1〜50μm、好ましくは1〜10μmである。熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂のいずれでもよいが、紫外線硬化性樹脂が好ましい。
【0082】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコン樹脂などを挙げることができる。
【0083】
紫外線硬化性樹脂(モノマー、オリゴマー)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類;ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4′−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2′−4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。これらの紫外線硬化性樹脂を、熱重合開始剤とともに用いて熱硬化性樹脂として使用してもよい。
【0084】
ハードコート層とするには、上記の紫外線硬化性樹脂(モノマー、オリゴマー)の内、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の硬質の多官能モノマーを主に使用することが好ましい。
【0085】
紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤として、紫外線硬化性樹脂の性質に適した任意の化合物を使用することができる。例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系叉は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184)が好ましい。
【0086】
光重合開始剤の量は、樹脂組成物に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0087】
ハードコート層は、透明フィルムより屈折率が低いことが好ましく、上記紫外線硬化性樹脂を用いることにより一般に基板より低い屈折率を得られやすい。従って、透明基板としては、PET等の高い屈折率の材料を用いることが好ましい。このため、ハードコート層は、屈折率を、1.60以下にすることが好ましい。膜厚は前記の通りである。
【0088】
高屈折率層は、ポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に、ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2,ZnO、AlをドープしたZnO、TiO2等の導電性金属酸化物微粒子(無機化合物)が分散した層とすることが好ましい。金属酸化物微粒子としては、平均粒径10〜10000nm、好ましくは10〜50nmのものが好ましい。特にITO(特に平均粒径10〜50nmのもの)が好ましい。屈折率を1.64以上としたものが好適である。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。
【0089】
なお、高屈折率層が導電層である場合、この高屈折率層2の屈折率を1.64以上とすることにより反射防止フィルムの表面反射率の最小反射率を1.5%以内にすることができ、1.69以上、好ましくは1.69〜1.82とすることにより反射防止フィルムの表面反射率の最小反射率を1.0%以内にすることができる。
【0090】
低屈折率層は、シリカ、フッ素樹脂等の微粒子、好ましくは中空シリカを10〜40重量%(好ましくは10〜30質量%)がポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に分散した層(硬化層)であることが好ましい。この低屈折率層の屈折率は、1.45〜1.51が好ましい。この屈折率が1.51超であると、反射防止フィルムの反射防止特性が低下する。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。
【0091】
中空シリカとしては、平均粒径10〜100nm、好ましくは10〜50nm、比重0.5〜1.0、好ましくは0.8〜0.9のものが好ましい。
【0092】
ハードコート層は、可視光線透過率が85%以上であることが好ましい。高屈折率層及び低屈折率層の可視光線透過率も、いずれも85%以上であることが好ましい。
【0093】
反射防止層が上記3層より構成される場合、例えば、ハードコート層の厚さは2〜20μm、高屈折率層の厚さは75〜90nm、低屈折率層の厚さは85〜110nmであることが好ましい。
【0094】
反射防止層の、各層を形成するには、前記の通り、ポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)に必要に応じ上記の微粒子を配合し、得られた塗工液を塗工し、次いで乾燥、必要により熱硬化させるか、或いは塗工後、必要により乾燥し、紫外線を照射する。この場合、各層を1層ずつ塗工し硬化させてもよく、全層を塗工した後、まとめて硬化させてもよい。
【0095】
塗工の具体的な方法としては、アクリル系モノマー等を含む紫外線硬化性樹脂をトルエン等の溶媒で溶液にした塗工液をグラビアコータ等によりコーティングし、その後乾燥し、次いで紫外線により硬化する方法を挙げることができる。このウェットコーティング法であれば、高速で均一に且つ安価に成膜できるという利点がある。このコーティング後に例えば紫外線を照射して硬化することにより密着性の向上、膜の硬度の上昇という効果が得られる。前記導電層も同様に形成することができる。
【0096】
紫外線硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等を挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加熱し、これに紫外線を照射してもよい。
【0097】
本発明の反射防止層は、上記のように塗工により形成することが好ましいが、気相成膜法により形成しても良い。通常、高屈折率層及び低屈折率層を、物理蒸着法または化学蒸着法により成膜することができる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法が挙げられるが、一般的にはスパッタリング法で成膜するのが好ましい。化学蒸着法としては、常圧CVD法、減圧CVD法、プラズマCVD法が挙げられる。
【0098】
高屈折率層及び低屈折率層等の組合せの例としては、下記のものを挙げることができる。
【0099】
(a) 高屈折率層/低屈折率層の順で各1層ずつ、合計2層に積層したもの、(b) 高屈折率層/低屈折率層を2層ずつ交互に、合計4層に積層したもの、(c) 中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順で各1層ずつ、合計3層に積層したもの、(d) 高屈折率層/低屈折率層の順で各層を交互に3層ずつ、合計6層に積層したもの。高屈折率層としては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の薄膜を採用することができる。また、低屈折折率層としては、SiO2、MgF2、Al23等の屈折率が1.6以下の薄膜を用いることができる。
【0100】
上記高屈折率層及び低屈折率層等は、物理蒸着法または化学蒸着法により成膜することができる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法が挙げられるが、一般的にはスパッタリング法で成膜するのが好ましい。化学蒸着法としては、常圧CVD法、減圧CVD法、プラズマCVD法が挙げられる。
【0101】
近赤外線吸収層は、一般に、透明フィルムの表面に色素等を含む層が形成することにより得られる。近赤外線吸収層は、例えば上記色素及びバインダ樹脂等を含む塗工液を塗工、必要により乾燥、そして硬化させることにより得られる。フィルムとして使用する場合は、一般に近赤外線カットフィルムであり、例えば色素等を含有するフィルムである。色素としては、一般に800〜1200nmの波長に吸収極大を有するもので、例としては、フタロシアニン系色素、金属錯体系色素、ニッケルジチオレン錯体系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、ポリアゾ系色素、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、アントラキノン系色素、を挙げることができ、特にシアニン系色素又はスクアリリウム系色素が好ましい。これらの色素は、単独又は組み合わせて使用することができる。バインダ樹脂の例としては、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0102】
本発明では、近赤外線吸収層に、ネオン発光の吸収機能を付与することにより色調の調節機能を持たせても良い。このために、ネオン発光の吸収層を設けても良いが、近赤外線吸収層にネオン発光の選択吸収色素を含有させても良い。
【0103】
ネオン発光の選択吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ポリアゾ系色素、アズレニウム系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素を挙げることができる。このような選択吸収色素は、585nm付近のネオン発光の選択吸収性とそれ以外の可視光波長において吸収が小さいことが必要であるため、吸収極大波長が575〜595nmであり、吸収スペクトル半値幅が40nm以下であるものが好ましい。
【0104】
また、近赤外線やネオン発光の吸収色素を複数種組み合わせる場合、色素の溶解性に問題がある場合、混合による色素間の反応ある場合、耐熱性、耐湿性等の低下が認められる場合には、すべての近赤外線吸収色素を同一の層に含有させる必要はなく、別の層に含有させても良い。
【0105】
また、光学特性に大きな影響を与えない限り、さらに着色用の色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を加えても良い。
【0106】
本発明の光学フィルタの近赤外線吸収特性としては、850〜1000nmの透過率を、20%以下、さらに15%するのが好ましい。また選択吸収性としては、585nmの透過率が50%以下であることが好ましい。特に前者の場合には、周辺機器のリモコン等の誤作動が指摘されている波長領域の透過度を減少させる効果があり、後者の場合は、575〜595nmにピークを持つオレンジ色が色再現性を悪化させる原因であることから、このオレンジ色の波長を吸収させる効果があり、これにより真赤性を高めて色の再現性を向上させたものである。
【0107】
近赤外線吸収層の層厚は、0.5〜50μmが一般的である。
【0108】
本発明の電極部は、一般にアース電極と呼ばれるものであり、孔部に充填された、或いは充填すると共にそれらを帯状の連続層とされた導電性材料である。その材料としては、導電性を有する金属材料を含む導電性ペースト或いはハンダが好ましい。
【0109】
導電性ペースト(導電材料含有接着剤)は、銅、銀、ニッケル等(好ましくは銀又は銀―銅合金)の金属粉末を、合成樹脂(及び適宜有機溶剤)中に分散させたものである。金属粉末の平均粒径は一般に、0.001〜100μm、特に0.01〜50μmである。合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。合成樹脂は熱可塑性であっても、熱硬化性であってもよい。全固形分に対する金属粉末の割合は、10〜95質量%の範囲、特に30〜90質量%が好ましい。
【0110】
導電性ペーストによる電極部の形成は、本発明の機能層の孔部を有する端面に、金属粉末が分散した合成樹脂等を含む導電性ペーストを塗工(塗布)し、常温〜150℃で1分〜5時間乾燥及び/又は硬化させることにより得られる。導電性材料層(帯状層とした場合)の厚さは一般に5〜500μm、特に10〜200μmの範囲が好ましい。得られる電極部の導電性は、1×10-6〜1×10-2Ω・cmの範囲が好ましい。導電性ペーストの塗布は、例えば、ディスペンサー塗布、スクリーン印刷、刷毛塗布等により行うことができる。
【0111】
上記導電性ペーストの市販品の例としては、ドータイトXA−9015、ドータイトXE−9000、ドータイトFE107、ドータイトFN―101(以上藤倉化成(株)製)、ECM−100、VI7901(以上太陽インキ(株)製)、DW−114L−1、DW−250H−5(以上東洋紡(株)製)を挙げることができる。
【0112】
ハンダとしては、一般にSnとPbからなるもの、及びPbフリーハンダ、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Bi系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Ag−Cu−Bi系、Sn−Zn−Bi系等を使用することができる。本発明ではPbフリーハンダが好ましい。融点が190〜250℃のものが好ましい。ハンダ付けは、フローソルダリング、リフローソルダリング、手ハンダ等の工法を用いて行うことができる。導電性材料層(帯状層とした場合)の厚さは一般に5〜500μm、特に10〜200μmの範囲が好ましい。得られる電極部の導電性は、1×10-6〜1×10-2Ω・cmの範囲が好ましい。
【0113】
導電性粘着テープの金属箔としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、ステンレス等の箔を用いることができ、その厚さは通常の場合、1〜100μmである。
【0114】
その粘着層は、この金属箔に、前記粘着剤と導電性粒子とを所定の割合で均一に混合したものをロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、マイカバーコーター、フローコーター、スプレーコーター等により塗工することにより容易に形成することができる。
【0115】
この粘着層の厚さは通常の場合5〜100μmである。
【0116】
本発明の透明粘着剤層は、本発明の光学フィルムをディスプレイに接着するための層であり、接着機能を有するものであればどのような樹脂でも使用することができる。例えば、ブチルアクリレート等から形成されたアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)及びSBS(スチレン/ブタジエン/スチレン)等の熱可塑性エラストマー(TPE)を主成分とするTPE系粘着剤及び接着剤等も用いることができる。
【0117】
その層厚は、一般に5〜500μm、特に10〜100μmの範囲が好ましい。光学フィルタは、一般に上記粘着剤層をディスプレイのガラス板に加熱圧着することによる装備することができる。
【0118】
本発明において透明フィルム2枚を使用する場合、これらの接着(粘着剤層)には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、アクリル樹脂(例、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、金属イオン架橋エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体を挙げることができる(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す。)。その他、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系粘着剤、SEBS及びSBS等の熱可塑性エラストマー等も用いることができるが、良好な接着性が得られやすいのはアクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂である。
【0119】
その層厚は、一般に10〜50μm、好ましくは、20〜30μmの範囲が好ましい。光学フィルタは、一般に上記粘着剤層をディスプレイのガラス板に加熱圧着することによる装備することができる。
【0120】
また低屈折率層等の反射防止層上には、保護層を設けても良い。保護層は、前記ハードコート層と同様にして形成することが好ましい。
【0121】
透明粘着剤層上に設けられる剥離シートの材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明のポリマーが好ましく、このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等のポリマーを主成分とする樹脂を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
【0122】
本発明の光学フィルタの積層体は、例えば、長尺状の透明フィルムの一方の表面に、導電層、ハードコート層及び反射防止層等を順次設け、次いで、透明フィルムの他方の表面に、近赤外線吸収層及び透明粘着剤層を設けることにより製造することができる。各層の設置は、連続的に行っても、バッチで行っても良い。長尺状の透明フィルムに、各層を塗工(塗布)する際に使用される塗工機としては、スリットダイ、リップダイレクト、リップリバース等使用することができる。また両面を同時に塗布する場合は、リップダイを両面に配置した両面同時塗工機が一般に使用される。
【0123】
また長尺状の透明フィルムを2枚用いた場合は、一方の長尺状の透明フィルムの表面に、ハードコート層及び反射防止層等を順次設け、別の長尺状の透明フィルムの一方の表面に導電層を、他方の表面に近赤外線吸収層(必要により透明粘着剤層)を設け(或いは近赤外線カットフィルムに透明粘着剤層を設けても良い)、これらの2枚の積層体を、前者の透明フィルムの裏面と後者の透明フィルムの導電層が粘着剤層を介して対向した状態で、競接着、一体化することにより容易に製造することができる。このようにして得られた長尺状の積層体に、前記のように電極部を設ければよい。
【0124】
このようにして得られる本発明のディスプレイ用光学フィルタは、PDP等のディスプレイの画像表示ガラス板の表面に貼り合わされて使用される。
【0125】
本発明の光学フィルタが、ディスプレイの1種であるプラズマディスプレイパネルの画像表示面に貼付された状態の1例を図7に示す。ディスプレイパネル80の表示面の表面に透明粘着剤層75を介して光学フィルタが接着されている。即ち、透明フィルム72の一方の表面に、メッシュ状導電層73、ハードコート76、低屈折率層77がこの順で設けられ、透明フィルム72の他方の表面には近赤外線吸収層74及び透明粘着剤層75が設けられた光学フィルタが表示面に設けられている。そしてフィルタの縁部(側縁部)に、導電層に到達する孔部78が設けられ、その中に充填された導電性材料の層78Aが露出している。この露出した導電性材料の層78Aにプラズマディスプレイパネル80の周囲に設けられた金属カバー79Bにシールドフィンガー(板バネ状金属部品)79Aを介して接触状態にされている。シールドフィンガー(板バネ状金属部品)の代わりに、導電性ガスケット等が用いても良い。これにより、光学フィルタと金属カバー79Bが導通し、アースが達成される。金属カバー79Bは金属枠、フレームでも良い。図7から明らかなように、メッシュ状導電層73は、視聴者側を向いている。金属カバー79Bは、導電層73の縁部の縁部から2〜20mm程度覆っている。また金属カバー79の形状を変更して、金属カバー79Bを導電性材料の層78Aに直接接触するようにしても良い。
【0126】
本発明のPDP表示装置においては、光学フィルタとして、透明基板としてプラスチックフィルムを使用したものをPDP表示装置の表面であるガラス板表面に直接貼り合わせることができるため、特に透明フィルムを1枚使用した場合は、PDP自体の軽量化、薄型化、低コスト化に寄与することができる。また、PDPの前面側に透明成形体からなる前面板を設置する場合に比べると、PDPとPDP用フィルタとの間に屈折率の低い空気層をなくすことができるため、界面反射による可視光反射率の増加、二重反射などの問題を解決でき、PDPの視認性をより向上させることができる。
【0127】
従って、本発明の光学フィルタは、反射防止効果、帯電防止性に優れ、危険な電磁波の放射もほとんどなく、見やすく、ホコリ等が付きにくく、安全なディスプレイを提供することも可能である。

【実施例】
【0128】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0129】
[実施例1]
<電極部のないディスプレイ用光学フィルタの作製>
(1)メッシュ状導電層の形成
表面に易接着層(ポリエステルポリウレタン;厚さ20nm)を有する厚さ100μmの長尺状ポリエチレンテレフタレートフィルム(幅:600mm、長さ100m)の易接着層上に、ポリビニルアルコールの20%水溶液をドット状に印刷した。ドット1個の大きさは1辺が234μmの正方形状であり、ドット同士間の間隔は20μmであり、ドット配列は正方格子状である。印刷厚さは、乾燥後で約5μmである。
【0130】
その上に、銅を平均膜厚4μmとなるように真空蒸着した。次いで、常温の水に浸漬し、スポンジで擦ることによりドット部分を溶解除去し、次いで水でリンスした後、乾燥してポリエチレンフィルム上にメッシュ状導電層を形成した。
【0131】
このフィルム表面の導電層は、正確にドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%であった。また、導電層(銅層)の平均厚さは4μmであった。
【0132】
(2)ハードコート層の形成
下記の配合:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 80質量部
ITO(平均粒径150nm) 20質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製) 4質量部

を混合して得た塗工液を、上記メッシュ状導電層上にバーコータを用いて塗布し、紫外線照射により硬化させた。これにより、メッシュ状導電層上に厚さ5μmのハードコート層(屈折率1.52)を形成した。
【0133】
(3)低屈折率層の形成
下記の配合:
オプスターJN―7212(JSR(株)製) 100質量部
メチルエチルケトン 117質量部
メチルイソブチルケトン 117質量部

を混合して得た塗工液を、上記ハードコート層上にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させ、次いでその紫外線照射により硬化させた。これにより、ハードコート層上に厚さ90nmの低屈折率層(屈折率1.42)を形成した。
【0134】
(4)近赤外線吸収層(色調補正機能を有する)の形成
下記の配合:
ポリメチルメタクリレート 30質量部
TP−2(山田化学工業(株)製) 0.4質量部
Plast Red 8380(有本化学工業(株)製) 0.1質量部
CIR−1085(日本カーリット(株)製) 1.3質量部
IR−10A((株)日本触媒製) 0.6質量部
メチルエチルケトン 152質量部
メチルイソブチルケトン 18質量部
を混合して得た塗工液を、上記PETフィルムの裏面にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させた。これにより、PETフィルム上に厚さ5μmの近赤外線吸収層(色調補正機能を有する)を形成した。
【0135】
(5)透明粘着剤層の形成
下記の配合:
SKダイン1811L(綜研化学(株)製) 100質量部
硬化剤L−45(綜研化学(株)製) 0.45質量部
トルエン 15質量部
酢酸エチル 4質量部
を混合して得た塗工液を、上記近赤外線吸収層上にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させた。これにより、近赤外線吸収層上に厚さ25μmの透明粘着剤層を形成した。
【0136】
これにより電極部のないディスプレイ用光学フィルタを得た。
【0137】
この長尺状の電極部のないディスプレイ用光学フィルタ(積層体)を横方向に裁断して、透明粘着剤層の周囲にスチールカッター(例、日本精密機械工作(株)製のリューター)を用いて多数の孔部を形成した。孔部の平面形状は、幅2μm、長さ5μmの矩形状、断面が楔形で、導電層まで達していた。孔部間距離は5μmであった(図1参照)。
【0138】
上記孔部が形成された端部に、導電材料含有接着剤(Ag−Cu粉末が分散したアクリル樹脂;商品名ドータイトFE−107;藤倉化成(株)製)を塗布し、60℃で1時間加熱し、表面厚さ50μmの導電材料含有接着剤の電極部を形成した。孔部に導電材料含有接着剤は完全に充填され、導電層に接触していた。
【0139】
電極部付きディスプレイ用光学フィルタを得た(図3参照)。
[実施例2]
実施例1で得られた長尺状の電極部のないディスプレイ用光学フィルタ(積層体)を横方向に裁断して、透明粘着剤層の周囲にスチールカッター(例、日本精密機械工作(株)製のリューター)を用いて多数の孔部を千鳥状に形成した。孔部の平面形状は、幅2μm、長さ5μmの矩形状、断面が楔形で、導電層まで達していた。孔部間距離は5μm、孔部隣接距離は5μmであった(図4参照)。
【0140】
上記孔部が形成された端部に、導電材料含有接着剤(Ag−Cu粉末が分散したアクリル樹脂;商品名ドータイトFE−107;藤倉化成(株)製)を塗布し、60℃で1時間加熱し、表面厚さ50μmの導電材料含有接着剤の電極部を形成した。孔部に導電材料含有接着剤は完全に充填され、導電層に接触していた。
【0141】
電極部付きディスプレイ用光学フィルタを得た(図6参照)
【0142】
[実施例3]
<電極部のないディスプレイ用光学フィルタの作製>
(1)メッシュ状導電層の形成
表面に易接着層(ポリエステルポリウレタン;厚さ20nm)を有する厚さ100μmの長尺状ポリエチレンテレフタレートフィルム(幅:600mm、長さ100m)の易接着層上に、ポリビニルアルコールの20%水溶液をドット状に印刷した。ドット1個の大きさは1辺が234μmの正方形状であり、ドット同士間の間隔は20μmであり、ドット配列は正方格子状である。印刷厚さは、乾燥後で約5μmである。
【0143】
その上に、銅を平均膜厚4μmとなるように真空蒸着した。次いで、常温の水に浸漬し、スポンジで擦ることによりドット部分を溶解除去し、次いで水でリンスした後、乾燥してポリエチレンフィルム上にメッシュ状導電層を形成した。
【0144】
このフィルム表面の導電層は、正確にドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%であった。また、導電層(銅層)の平均厚さは4μmであった。
【0145】
(2)ハードコート層の形成
下記の配合:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 80質量部
ITO(平均粒径150nm) 20質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製) 4質量部

を混合して得た塗工液を、上記PETフィルムの裏面(導電層の無い面)にバーコータを用いて塗布し、紫外線照射により硬化させた。これにより、メッシュ状導電層上に厚さ5μmのハードコート層(屈折率1.52)を形成した。
【0146】
(3)低屈折率層の形成
下記の配合:
オプスターJN―7212(JSR(株)製) 100質量部
メチルエチルケトン 117質量部
メチルイソブチルケトン 117質量部

を混合して得た塗工液を、上記ハードコート層上にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させ、次いでその紫外線照射により硬化させた。これにより、ハードコート層上に厚さ90nmの低屈折率層(屈折率1.42)を形成した。
【0147】
(2)近赤外線吸収層(色調補正機能を有する)の形成
下記の配合:
ポリメチルメタクリレート 30質量部
TP−2(山田化学工業(株)製) 0.4質量部
Plast Red 8380(有本化学工業(株)製) 0.1質量部
CIR−1085(日本カーリット(株)製) 1.3質量部
IR−10A((株)日本触媒製) 0.6質量部
メチルエチルケトン 152質量部
メチルイソブチルケトン 18質量部
を混合して得た塗工液を、上記メッシュ状導電層上にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させた。これにより、ポリエチレンフィルム上に厚さ5μmの近赤外線吸収層(色調補正機能を有する)を形成した。
【0148】
(4)透明粘着剤層の形成
下記の配合:
SKダイン1811L(綜研化学(株)製) 100質量部
硬化剤L−45(綜研化学(株)製) 0.45質量部
トルエン 15質量部
酢酸エチル 4質量部
を混合して得た塗工液を、上記近赤外線吸収層上にバーコータを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥させた。これにより、近赤外線吸収層上に厚さ25μmの透明粘着剤層を形成した。
【0149】
これにより電極部のないディスプレイ用光学フィルタを得た。
【0150】
この長尺状の電極部のないディスプレイ用光学フィルタ(積層体)を横方向に裁断して、透明粘着剤層の周囲にスチールカッター(例、日本精密機械工作(株)製のリューター)を用いて多数の孔部を形成した。孔部の平面形状は、幅2μm、長さ5μmの矩形状、断面が楔形で、導電層まで達していた。孔部間距離は5μmであった(図1参照)。
【0151】
上記孔部が形成された端部に、導電材料含有接着剤(Ag−Cu粉末が分散したアクリル樹脂;商品名ドータイトFE−107;藤倉化成(株)製)を塗布し、60℃で1時間加熱し、表面厚さ50μmの導電材料含有接着剤の電極部を形成した。孔部に導電材料含有接着剤は完全に充填され、導電層に接触していた。
【0152】
電極部付きディスプレイ用光学フィルタを得た(図2参照)。
【0153】
[実施例4]
実施例3で得られた長尺状の電極部のないディスプレイ用光学フィルタ(積層体)を横方向に裁断して、透明粘着剤層の周囲にスチールカッター(例、日本精密機械工作(株)製のリューター)を用いて多数の孔部を千鳥状に形成した。孔部の平面形状は、幅2μm、長さ5μmの矩形状、断面が楔形で、導電層まで達していた。孔部間距離は5μm、孔部隣接距離は5μmであった(図4参照)。
【0154】
上記孔部が形成された端部に、導電材料含有接着剤(Ag−Cu粉末が分散したアクリル樹脂;商品名ドータイトFE−107;藤倉化成(株)製)を塗布し、60℃で1時間加熱し、表面厚さ50μmの導電材料含有接着剤の電極部を形成した。孔部に導電材料含有接着剤は完全に充填され、導電層に接触していた。
【0155】
電極部付きディスプレイ用光学フィルタを得た(図5参照)
【0156】
得られたディスプレイ用光学フィルタを下記のように評価した。
【0157】
[光学フィルタの評価]
(1)導電性
光学フィルタの電極(相対する2個の電極部(銅棒の頂部)に抵抗計(商品名:ミリオームハイテスタ;日置電機(株)製)を接続して、抵抗値を測定した。
【0158】
上記結果を表1に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
また、実施例1〜4で得られたPDPフィルタは、実際にPDPに貼付しても透明性、電磁波遮蔽性等において、従来のものと遜色はなく、電極部設置については極めて容易に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の光学フィルタの基本構成の1例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’方向で切断した部分概略断面図である。
【図3】本発明の光学フィルタの基本構成の別の1例の示す(A−A’方向で切断した)部分概略断面図である。
【図4】本発明の光学フィルタの別の基本構成の1例を示す平面図である。
【図5】図4のA−A’方向で切断した部分概略断面図である。
【図6】本発明の光学フィルタの別の基本構成の別の1例の示す(A−A’方向で切断した)部分概略断面図である。
【図7】本発明の光学フィルタが、ディスプレイの1種であるプラズマディスプレイパネルの画像表示面に貼付された状態の1例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0162】
11、31、41、61 ディスプレイ用光学フィルタ
12、32、42、62 透明フィルム
13、33、43、66 導電層
16、36、46、66 ハードコート層
17、37、47、67 低屈折率層
14、34、44、64 近赤外線吸収層
18、38、48、68 孔部
18A、38A、48A、68A 導電性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の透明フィルムと、その表面に設けられた導電層及び少なくとも1層の機能層を含むディスプレイ用光学フィルタであって、
最表面の機能層の端部表面に、導電層に到達する孔部が形成され、且つその孔部に導電性材料が導電層に接触するように充填されて電極部を形成していることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項2】
機能層が、ハードコート層及び/又は近赤外線吸収層である請求項2に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項3】
少なくとも1枚の透明フィルムと、その一方の表面に設けられた導電層及び他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層を含むディスプレイ用光学フィルタであって、
最表面の機能層の端部表面に、透明フィルムを介して導電層に到達する孔部が形成され、且つその孔部に導電性材料が導電層に接触するように充填されて電極部を形成していることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項4】
他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層が、近赤外線吸収層であり、さらに導電層上に機能層としてハードコート層が設けられている請求項3に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項5】
他方の表面に設けられた少なくとも1層の機能層が、ハードコート層であり、さらに導電層上に機能層として近赤外線吸収層が設けられている請求項3に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項6】
導電性材料が、最表面の機能層の孔部以外の端部表面も、孔部に充填された導電性材料と連結した状態で被覆している請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項7】
透明フィルム、導電層、及び少なくとも1層の機能層が、共に端面を形成するように積層されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項8】
孔部の断面形状が楔形である請求項1〜7のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項9】
孔部が、端部に沿って、1列又は複数列で形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項10】
孔部が、端部に沿って、複数列で、千鳥状に形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項11】
孔部が、最表層の機能層の矩形状表面の少なくとも対向する2辺の端部領域に形成されている請求項8〜10のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項12】
ハードコート層の上に、さらにハードコート層より屈折率の低い低屈折率層が形成されている請求項2又は4〜11のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項13】
長尺状透明フィルム、その一方の表面に幅方向一杯に形成された導電層及び他方の表面に幅方向一杯に形成された少なくとも1層の機能層を有する積層体の走行下に、積層体の最表層の機能層の両側に、連続的に孔部を形成し、次いでその孔部に導電性材料を、導電性材料が導電層に接触するように充填することを特徴とするディスプレイ用光学フィルタの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされていることを特徴とするディスプレイ。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタが画像表示ガラス板の表面に貼り合わされていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−98521(P2009−98521A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271542(P2007−271542)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】