説明

ディファレンシャルエッチング層の除去を含む電子デバイスの形成方法

電子デバイスを形成する方法は、基材、ディファレンシャルエッチング層、及び半導体層を含むワークピースのある面上に金属層を形成する工程を含むことができる。ディファレンシャルエッチング層は基材と半導体層の間に位置することができ、半導体層はワークピースのある面に沿って位置することができる。本方法は、基材と半導体層の間からディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程、及び基材から半導体層と金属層を分離する工程をさらに含むことができる。選択的な除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、又は電気化学的な技術を用いて実施することができる。特定の実施形態では、金属層のメッキ及びディファレンシャルエッチング層の選択的な除去に同じメッキ浴を使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電子デバイスに関し、特には基材から分離された層の上に電子デバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上に転写された半導体層又は種々の成長プロセスを用いて厚くされた基材がシリコン・オン・インシュレータ(SOI)技術等の技術において利用されている。この場合の層の転写は、劈開面のプロセスの取り込み、異質基材への付着、及び表面層の分離を伴う。劈開面の取り込みは、イオン注入プロセス又は多孔質層の形成によって実施される。異質基材への結合は、極めて滑らかな表面上のファン・デル・ワールス力、適切な材料を用いた共晶接合、又は適切な材料、高温及び高圧を用いた熱圧着を伴う。分離は、イオン注入の際に形成される気泡及び亀裂のアニーリングを伴う。デバイスの形成においては、イオン注入及び滑らかな表面の形成などのプロセスはサイクル時間が長くコストが高い。
【発明の概要】
【0003】
以下の実施形態は、例として示されるものであり、添付の図面には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】基材、ディファレンシャルエッチング層、及び半導体層を含むワークピースの一部の断面を示す。
【図2】導電層を形成した後の図1のワークピースの断面を示す。
【図3】ディファレンシャルエッチング層の一部を除去した後の図2のワークピースの断面を示す。
【図4】ウェットエッチング技術を用いたディファレンシャルエッチング層の選択的除去の際の断面を示す。
【図5】電気化学的技術を用いたディファレンシャルエッチング層の選択的除去の際の断面を示す。
【図6】基材から半導体を分離した後の図4又は5のワークピースの断面を示す。
【図7】実質的に完成した半導体デバイスの断面を示す。
【図8】図1〜図7に関して記載される手順のいずれかを用いて半導体層が反対側から分離された実施形態の断面を示す。
【図9】インゴットの形態の基材、ドープ領域、及び導電層を含むワークピースの一部の断面を示す。
【図10】半導体層、ドープ領域、導電層の組み合わせを基材から分離した後の図9のワークピースの断面を示す。
【0005】
当業者であれば、図中の要素は簡単かつ明確にするよう示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の要素の一部の寸法は、本発明の実施形態の理解を助けるために他の要素に比べて誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、図面とともに、本明細書において開示される教示の理解を助けるよう提供される。以下の記載は、教示の具体的な実施及び実施形態に焦点を合わせている。この焦点は、教示を説明する上で助けとなるように提供されるものであって、教示の範囲又は利用可能性に関する限定として解されるべきではない。しかしながら、確かに他の教示が本願において利用できる。
【0007】
以下に説明する実施形態の詳細に入る前に、幾つかの用語が規定又は明確にされる。元素の周期表中の列に対応する族番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000−2001)に示される「新表記法」を使用している。
【0008】
「金属」という用語及びその他の表現は、(1)第1族〜第12族のいずれか若しくは(2)第13族〜第15族の元素、原子番号13(Al)、50(Sn)及び83(Bi)により画定されるラインに沿ってそしてそれよりも下にある元素、又はそれらの任意の組み合わせを含む材料を指すものである。金属にはシリコン又はゲルマニウムは含まれない。しかしながら、金属シリサイドは金属材料であることに留意されたい。
【0009】
「半導体元素」という用語は、単独の元素を意味するか又は半導体を形成する1つ若しくは複数の元素と組み合わせた元素を意味するものである。第14族半導体については、半導体元素としてSi、Ge及びCが含まれるものの、第13族又は第15族の元素は含まれない。第14族半導体内のこのような第13族又は第15族の元素は、第14族半導体の導電性及び他の電子的特性に影響を及ぼすドーパントである。第13族〜第15族(III−V)半導体については、半導体元素として第13族及び第15族元素が含まれるが、第14族元素は含まれない。
【0010】
本明細書で使用される場合には、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語又はそれらの他の表現は、非排他的な包括を意図するものである。例えば、特徴の列挙を含む方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるのではなく、明示的に列挙されていないか又はこのような方法、物品又は装置に固有の他の特徴を含むことができる。さらに、明示的に相反する定めのない限り、「又は」とは、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を意味する。例えば、条件A又はBが以下のうちのいずれか1つによって満たされる。すなわち、Aが真(又は存在する)でBが偽(又は存在しない)である、Aが偽(又は存在しない)でBが真(又は存在する)である、及びAとBの両方が真(又は存在する)である。
【0011】
同様に、「a」又は「an」の使用は、本明細書で記載される要素及び構成要素を説明するのに利用される。これは、単に便宜上及び本発明の範囲の一般的意味を示すのに利用されるものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきものであり、相反する意味が明白でない限り、単数は複数も同様に含み、逆もまた同様である。例えば、単一の物品が本明細書に記載されている場合、単一の物品の代りに2つ以上の物品を用いてもよい。同様に、2つ以上の物品が本発明に記載されている場合、その2つ以上の物品の代わりに単一の物品を用いてもよい。
【0012】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲において「正面」、「背面」、「上部」、「底部」、「上」、「下」等の用語がある場合、それらは便宜的に使用されるものであって、必ずしも不変の相対位置を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、本明細書で記載される本発明の実施形態が、例えば、本明細書で例示又は他の方法で記載されるもの以外の配向において操作できるように適切な状況下で置き換え可能であると解される。
【0013】
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解するものと同じ意味を有する。材料、方法及び実施例は単なる例示であって、限定を意図するものではない。本明細書に記載されていない範囲では、具体的な材料及び処理行為に関する多くの詳細は、従来のものであって、半導体及び電子技術の範囲内にある教本及び他の情報源の中に見出すことができる。
【0014】
電子デバイスを形成する方法は、基材、ディファレンシャルエッチング層、及び半導体層を含むワークピースのある面上に金属層を形成する工程を含むことができる。ディファレンシャルエッチング層は、基材と半導体層の間に位置することができ、半導体層はワークピースのある面に沿って位置することができる。本方法は、基材と半導体層の間からディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分(半分超)を選択に除去する工程、並びに基材から半導体層及び金属層を分離する工程をさらに含むことができる。選択的な除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、又は電気化学的な技術を用いて実施することができる。特定の実施形態では、金属層のメッキ及びディファレンシャルエッチング層の選択的な除去に同じ浴を使用してもよい。別の実施形態では、化学エッチングと電気化学プロセスの組み合わせが、本明細書で後述するように、ディファレンシャルエッチング層を選択的に除去するのに使用可能である。本発明のこの及び他の実施形態は、図面及び特許請求の範囲を参照することでより良く理解されるであろう。
【0015】
本明細書で記載される実施形態では、半導体層の厚さは、他の技術に比べてより再現性の高いものにすることができる。以下の記載では特定の数値及び構成を含む多くの詳細が提供されるが、本明細書を読んだ後、当業者は、本明細書において記載される実施形態が単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではないと理解するであろう。
【0016】
図1は、基材102、ディファレンシャルエッチング層104、及び半導体層106を含むワークピース100を示す。基材102は硬質又は軟質であることができ、それでもなおディファレンシャルエッチング層104及び半導体層106のための適切な機械的支持を提供するのに十分な厚さを有する。
【0017】
基材102は、第14族元素(シリコン、ゲルマニウム又は炭素)、第14族元素の任意の組み合わせ(シリコンゲルマニウム、炭素−ドープシリコンなど)、又は第13族−第15族の半導体(ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化ガリウムインジウムなど)を含む半導体基材であることができる。基材102は、実質的に単結晶、非晶質又は多結晶の半導体基材を含むことができる。別の実施形態では、基材102は、ガラス、ポリマー、金属若しくはセラミック材料、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、材料の種々の組み合わせによって基材102を形成することができる。
【0018】
続いて、ディファレンシャルエッチング層104は、基材102及び半導体層106に対して選択的に除去される。そうして、ディファレンシャルエッチング層104は、基材102及び半導体層106のそれぞれとは異なる組成を有する。それゆえ、ディファレンシャルエッチング層104のために幅広い種類の材料を使用することができる。例示的な限定的でない材料としては、酸化物、窒化物、酸窒化物、金属元素又は化合物、半導体材料などが挙げられる。特定の実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104は、実質的に基材102、半導体層106又はその両方に適合した格子であることができる。
【0019】
特に、基材102及び半導体層106は、同じ半導体材料又は異なる半導体材料を含むことができ、ディファレンシャルエッチング層104は、金属酸化物又は異なる半導体元素の酸化物を含むことができる。別の実施形態では、基材102及び半導体層106はシリコンを含み、ディファレンシャルエッチング層104はゲルマニウムを含む。特定の実施形態では、シリコンが基材102及び半導体層106の主材料であり、ゲルマニウム(実質的に別の第14族元素を含まない)又はシリコンゲルマニウムがディファレンシャルエッチング層104の主材料である。さらに特定の実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104の内部で、シリコンゲルマニウム材料中のゲルマニウム含有量は、合計の元素半導体含有量の少なくとも約0.01原子%であるか、又は合計の半導体元素含有量の少なくとも約10原子%であり、別のさらに特定の実施形態では、シリコンゲルマニウム材料中のゲルマニウム含有量は、合計の半導体元素含有量の約99原子%以下であるか、又は合計の半導体元素含有量の約90原子%以下である。さらに別の実施形態では、1つ又は複数の第14族元素が基材102及び半導体層106の主材料であり、スピネル材料がディファレンシャルエッチング層104の主材料であり、基材102、ディファレンシャルエッチング層104及び半導体層106は同じ結晶方位を有する(例えば、界面に沿ったそれぞれの表面は(100)結晶面に沿って配向されている)。
【0020】
さらに別の実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104は多孔質材料を含むことができる。ディファレンシャルエッチング層104は、形成されたままの多孔質材料であってもよいし又は多孔質材料に変換されてもよい。例えば、パターニングされたマスキング層(図示せず)を基材102上に形成してもよい。パターニングされたマスキング層としては、酸化物、窒化物、酸窒化物又はそれらの組み合わせを挙げることができる。基材102の各部分は、パターニングされたマスキング層を貫通する開口部において露出させることができる。ディファレンシャルエッチング層104は、基材102の露出部分から選択的に成長又は堆積させることができる。次いで、パターニングされたマスキング層をエッチングすることができる。そうして、基材102は実質的に単結晶の半導体材料を含むことができ、ディファレンシャルエッチング層104は同じか又は異なる組成の多孔質半導体材料を含むことができる。さらなる実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104は、基材102の表面領域を多孔質材料に変換することによって形成することができる。この特定の実施形態では、1つ又は複数の特定の結晶面に沿って基材102を優先的にエッチングするエッチング化合物を使用することができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、基材102はn型又は低濃度p型ドープ半導体材料を含むことができ、ディファレンシャルエッチング層104は高濃度p型ドープ半導体材料を含むことができる。1つ又は複数の特定の結晶面に沿って高濃度p型ドープ半導体材料を優先的にエッチングするのにエッチング化合物を使用することができる。あるいはまた、高濃度p型ドープ半導体材料を陽極酸化するのに電気化学プロセスを使用することができる。このように、異なるプロセスを用いて多孔質層としてディファレンシャルエッチング層104を形成することができる。本明細書を読んだ後、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、材料及び濃度の他の組み合わせが使用できることを理解するであろう。
【0022】
ディファレンシャルエッチング層104は、層の除去がエッチング又は別の除去種の拡散速度に制限されないよう十分厚いものであるべきである。厚さに関する理論的な上限は存在しないが、ディファレンシャルエッチング層が厚くなり過ぎると、製造コスト、時間又はその両方が増大する場合がある。ある実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104は少なくとも約1nm又は少なくとも約20nmの厚さを有することができ、別の実施形態では、ディファレンシャルエッチング層104は約200nm以下又は約200nm以下であることができる。
【0023】
半導体層106は、基材102用の半導体基材に関して先に記載されたような単一の半導体材料又は半導体材料の組み合わせを含むことができる。半導体層106の厚さは、形成される半導体デバイス(例えば、光電池、発光デバイス、放射線検出器など)及び半導体層106内の1つ又は複数の半導体元素により左右され得る。ある実施形態では、半導体層106は少なくとも約0.1ミクロンの厚さを有するか又は少なくとも約1ミクロンであり、別のさらに特定の実施形態では、半導体層106は約10ミクロン以下の厚さを有するか又は約100ミクロン以下である。
【0024】
図示されていないが、任意選択のドープ領域を半導体層106の内部、半導体層106の上又はその両方に形成することができる。ドープ領域は半導体層106と比べて反対の導電型のドーパントを含むことができ、その結果、pn接合が形成される。ドープ領域はn型又はp型ドーパントを含むことができる。ドープ領域は、気相炉ドーピング、スピンオンドーパント、ドープ層(ドープガラス、ドープ半導体層(非晶質、多結晶、実質的に単結晶))の堆積若しくは成長、又は注入により形成することができる。必要な場合又は所望される場合には、アニール又はドーパントドライブを実施することができる。ある実施形態では、ドープ領域のピーク濃度は少なくとも約1017、1018又は1019原子/cm3である。ある実施形態では、ドープ領域の接合深さは少なくとも約0.01ミクロン又は少なくとも約0.1ミクロンであり、別の実施形態では、ドープ領域の接合深さは約5ミクロン以下又は約1ミクロン以下である。他の実施形態では、ドープ領域は、先に記載した以外のドーパント濃度又は接合深さを有することができる。ドープ領域のためのドーパント源が半導体層106上に形成された層を含む場合、その層は、ドープ領域の形成後に除去されてもよいし又は除去されなくてもよい。例えば、ドープシリコン層を半導体層106の上に形成したままにしてもよい。この特定の実施形態では、ドープ領域は主としてドープシリコン層の内部に存在することができる。
【0025】
図2に示されるように、導電層208が半導体層106上に形成される。導電層208は金属層を含み、1つ又は複数の膜を内部に有することができる。例えば、金属層は、接着膜、バリア膜、シード膜、別の適切な膜又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。接着膜は、耐火性金属(チタン、タンタル、タングステンなど)を含むことができ、バリア膜は金属窒化物(TiN、TaN、WNなど)又は金属半導体窒化物(TaSiN、WSiNなど)を含むことができる。シード膜は、遷移金属又は遷移金属合金を含むことができ、特定の実施形態では、シード膜はチタン、ニッケル、パラジウム、タングステン、銅、銀又は金を含むことができる。他の実施形態では、接着膜、バリア膜、シード膜又はそれらの任意の組み合わせの内部に他の材料を使用することができる。金属含有膜は、物理気相成長(PVD、例えば蒸発又はスパッタリング)、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、電気化学、スピンオン技術、金属ペースト堆積、別の適切な方法又はそれらの任意の組み合わせによって形成することができる。別の実施形態では、金属含有膜は、ワークピース100上に金属膜を形成させ、当該金属膜を反応させて金属シリサイドを形成することにより半導体層106に結合させることができる。金属含有膜は少なくとも約1nm又は少なくとも約10nmであることができ、別の実施形態では、金属含有膜は約0.1ミクロン以下又は約10ミクロン以下である。
【0026】
導電層208は、金属含有膜上に形成された導電膜をさらに含むことができる。特定の実施形態では、導電層208又は導電膜は、いずれか単独で所定の厚さを有することができ、ディファレンシャルエッチング層104を除去した後に半導体層106に対して十分な機械的支持を提供するようにされる。したがって、導電層208及びその導電膜のそれぞれは半導体層106よりも実質的に厚い。導電膜は、金属含有膜と比べて実質的により厚くかつ比較的より高いコンダクタンスを有することができる。特定の実施形態では、導電膜は金属含有膜よりも少なくとも約11倍、約50倍又は約500倍厚い。
【0027】
導電膜は、金属含有膜に関して先に記載した金属又は金属合金のいずれかを含むことができる。特定の実施形態では、導電膜は、スズ、ニッケル、クロム、銅、銀、金又はそれらの組み合わせを含む。金属含有膜と同様に、導電膜は単一の膜又は複数の膜を含むことができる。特定の実施形態では、導電膜は、金から本質的になることができ、別の実施形態では、導電膜は、主として、以降の結合操作の際の半田付けを改善する助けとなるよう比較的薄いインジウム−スズ合金を有する銅であることができる。導電膜の組成を特定の用途に適合させるよう他の材料の組み合わせを使用することができる。導電膜は、PVD、CVD、ALD、電気化学、スピンオン技術、金属ペースト堆積(すなわち半導体層106の上に金属ペーストを機械的に適用すること)、別の適切な方法又はそれらの任意の組み合わせによって形成することができる。導電膜及び金属含有膜は、同じ組成又は異なる組成を含むことができ、同じ技術又は異なる技術を用いて形成することができる。ある実施形態では、導電膜は少なくとも約10ミクロン又は少なくとも約30ミクロンであり、別の実施形態では、導電膜は約2mm以下又は約100mm以下である。さらに別の実施形態では、金属含有層を省いてもよく、導電層208は導電膜から本質的になることができる。
【0028】
図3に示されるように、ディファレンシャルエッチング層104は選択的に除去される。ディファレンシャルエッチング層104が選択的に除去されると、基材102と106の間にギャップ310が形成される。この選択的な除去は、等方性プロセスとして実施することができる。
【0029】
図4は、ウェットエッチング技術を用いてディファレンシャルエッチング層104を選択的に除去するのに使用できるウェットエッチング装置400を示す。ワークピースは、水平(図4に示されるとおり)又は垂直(図示せず)に配向することができる。図4に示される実施形態では、装置400は、矢印416により示されるように、エッチング溶液412が動的に移動する容器410を含む。動的な移動は、攪拌子414、パドル、循環ポンプ、超音波又はメガソニック攪拌、他の適切な機械的攪拌、又はそれらの任意の組み合わせを用いて行うことができる。別の実施形態では、静止浴を使用することができる。ディファレンシャルエッチング層104が選択的に除去されるため、溶液412に関して用いられるエッチャントは、基材102、半導体層106及び導電層208に比べて有意に速くディファレンシャルエッチング層104をエッチングする。エッチャントとしては、過酸化水素、フッ化水素酸、水、硫酸、別の適切なエッチャント又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。別の実施形態では、ドライエッチングプロセスを使用することができる。ドライエッチングは、プラズマとともに又はプラズマなしで実施することができる。プラズマが使用される場合には、反応性イオンエッチング技術が使用される場合に比べてエッチングプロセスをより等方性にするのに助けとなるよう下流側エッチングシステムを使用することができる。
【0030】
ウェット及びドライエッチング技術は、一度に又はバッチ処理システムとして単一のワークピースに実施することができる。特定の実施形態では、装置400は、同時に複数のワークピースを処理するよう構成することができる。例えば、装置400は、25個、50個又は別の数のワークピースのカセット(図示せず)を収容することができる。同様に、一度に1個以上のワークピースを処理するようドライエッチング装置を構成してもよい。ドライエッチング装置に関しては、石英ボードを使用してもよい。ドライエッチングでは、100個そして潜在的にはそれ以上のワークピースを同一のバッチにおいて処理することができる。このように、複数のワークピースを少なくともある期間に実質的に同時に処理することができる。それゆえ、ワークピース1個あたりベースでの合計の処理時間を実質的に低減することができる。
【0031】
図5は、ディファレンシャルエッチング層104を選択的に除去するのに使用できる電気化学装置500の図を含む。特定の実施形態では、電気化学装置は、ワークピース100上に材料をメッキするか、ワークピース100から材料をメッキ除去するか又はその両方のために使用することができる。装置510は、イオン溶液512を含む容器510を含むことができる。電極504及び508が装置内に浸漬している。ある実施形態では、電極504及び508のいずれか一方又は両方をイオン溶液512中に部分的又は完全に浸漬させてもよい。電極504は元素金属又は金属合金を含むことができる。特定の実施形態では、電極504は、鉄、ニッケル、クロム、スズ、銅、銀、金、別の適切な導電性材料又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。電極508は、導電層208の内部に導電膜として堆積される材料のための供給源であることができ、それゆえ、電極508は、導電層208の内部の膜、特には導電膜に関して先に記載した材料を含むことができる。
【0032】
電極504及び508、導電層208(例えば、シード膜)及び基材100のそれぞれは異なる電圧端子に接続することができる。表1は、特定の実施形態に従ってメッキを行ない選択的に除去する場合の端子のための相対的な電圧を示す。電圧は図5内のV1、V2、V3及びV4として表される。比較的より高い電圧及び比較的より低い電圧を示すために表中ではプラスとマイナスが用いられているが、絶対電圧は、両方とも正(例えば+2Vと+5V)、両方とも負(例えば−2Vと−5V)、正と負の組み合わせ(例えば−1Vと+1V)、又は接地(若しくは0V)と負若しくは正の電圧の組み合わせであることができることに留意されたい。さらに、端子が電気的に浮遊状態にあるか又は端子が高抵抗回路内にあることを示すのに「浮遊(float)」が用いられる(すなわち「浮遊」と表示された端子を流れる電流の量は実質的にゼロであるか又はわずかである)。
【0033】
【表1】

【0034】
図5に示される構成では、先に記載したように、導電層208内の導電膜の形成及びディファレンシャルエッチング層104の選択的除去は同じ装置500内で実施することができる。したがって、電極508の組成は、導電層208の一部としてワークピース上にメッキされた材料を含むことができる。ディファレンシャルエッチング層104から選択的に除去された材料が電極504上にメッキされる。導電層208のための導電膜を形成する場合に基材102及び電極504上に電極508からの材料がメッキされる可能性を低減するために、基材104及び電極504のための端子を浮遊させる(すなわちV3及びV4が浮遊状態にある)。逆に言うと、ディファレンシャルエッチング層104を選択的に除去(すなわちメッキ除去)する場合に導電層208及び電極508上にディファレンシャルエッチング層104からの材料がメッキされる可能性を低減するために、導電層208及び電極508のための端子を浮遊させる(すなわちV1及びV2が浮遊状態にある)。
【0035】
別の実施形態では、化学エッチングと電気化学プロセスの組み合わせを使用してもよい。例えば、ディファレンシャルエッチング層104を陽極酸化してディファレンシャルエッチング層の少なくとも一部を選択的に除去することができる。例えば、陽極酸化は、ディファレンシャルエッチング層104からゲルマニウムを選択的に除去し得る。ディファレンシャルエッチング層104がシリコンゲルマニウムを含む場合、シリコンは多孔質層としてとどまってもよい。以降のウェットエッチングによって多孔質シリコンを比較的迅速に除去することができる。あるいはまた、ウェットエッチングプロセスの選択性を改善するのに陽極酸化を使用することができる。例えば、ディファレンシャルエッチング層104は高濃度p型ドープ半導体材料を含むことができる。陽極酸化は、n型又は低濃度ドープp型半導体材料に対比してp型半導体材料を除去することができる。特定の実施形態では、基材102及び半導体層106はn型又は低濃度ドープp型シリコンを含むことができ、ディファレンシャルエッチング層104は高濃度p型ドープシリコンゲルマニウムを含むことができる。したがって、ハイブリッド陽極酸化ウェットエッチングプロセスにより、ディファレンシャルエッチング層104を基材102及び半導体層106に対して選択的に除去することが可能である。
【0036】
図6は、ディファレンシャルエッチング層の実質的に全てが除去された後の断面を示す。図6に示される実施形態では、半導体層106と導電層208の組み合わせは、基材102から分離されている。基材102はハンドル基材として再利用できる。半導体層106と導電層208の組み合わせをさらに処理することができる。半導体層106に関して先に記載したのと同様に、半導体層106の反対側に沿って形成された又は形成されるドープ領域に加えて又はその代りに、半導体層106の露出表面に沿ってドープ領域を形成させることができる。他の実施形態では、別個のドープ領域は使用しなくてもよい。
【0037】
別の実施形態(図示せず)では、ディファレンシャルエッチング層104の全部ではなく大部分が選択的に除去されるように、選択的な除去を実施することができる。基材102から半導体層106及び導電層208の組み合わせを完全に分離するのに機械的な分離操作を使用することができる。特定の実施形態では、分離は、分離が実施される場所又はその近くで基材102を劈開又は破砕することによって行うことができる。機械的な分離を補助するために、くさび、ワイヤ又はのこぎりを使用してもよい。別の実施形態では、ワークピース上に機械的に金属ペーストを適用することができ、硬化された基材又はハンドリング基材を金属ペーストに付着させ、これを使用して分離操作を補助することができる。
【0038】
図7は、介在層716及びパターニングされた相互接続層718を形成した後の半導体デバイス700を示す。介在層716は、不動態化又は反射防止コーティングとして使用することができる。介在層716は、酸化物、窒化物、エピタキシャル層若しくは非エピタキシャル層、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。介在層716は、開口(図示せず)を画定するようパターニングすることができ、これらの開口を通して、相互接続層718は、半導体層106又はその中のドープ領域若しくはそのドープ領域に対して電気接続を有することができる。相互接続層718は従来の又は独占所有権のある技術を用いて形成することができる。特定の実施形態では、半導体デバイス700は、1つ又は複数の光電池、発光ダイオード、又は放射線センサーとして使用することができる。別の実施形態では、半導体デバイス700をさらに処理し、単体化して発光デバイスを形成することもできる。
【0039】
電子デバイスは、半導体デバイス700又はそれと類似した若しくはそれとは異なる複数の半導体デバイスを含むことができる。電子デバイスは、1つ又は複数の半導体デバイスを含み、当該半導体デバイスが光起電デバイスであるソーラーパネルであることができる。別の実施形態では、電子デバイスは、1つ又は複数の半導体デバイスを含み、当該半導体デバイスが発光デバイスであるディスプレイであることができる。さらに別の実施形態では、電子デバイスは、1つ又は複数の半導体デバイスを含み、当該半導体デバイスが放射線センサーである放射線検出器であることができる。電子デバイスは、異なるタイプの半導体デバイスを含むことができる。例えば、電子デバイスは、室内の周辺光レベルに基づいてディスプレイの強度を調整するための制御論理を含むディスプレイを含むことができる。この特定の電子デバイスでは、発光デバイスと放射線センサーの両方を使用することができる。本明細書を読んだ後、当業者であれば、多くの異なる構成を用いて種々の用途を達成できることを理解するであろう。
【0040】
図8は、半導体層の分離方法が基材102の両側に沿って行なわれる別の実施形態におけるワークピース800を示す。先に記載したプロセスのいずれも本方法に使用することができる。図8に示す実施形態は、特定の限定的でない実施形態を含む。本明細書を読んだ後、当業者であれば、本明細書に記載された概念から逸脱することなく他の実施形態を使用できることを理解するであろう。
【0041】
図8に示される実施形態では、ディファレンシャルエッチング層(図示せず)及び半導体層106及び806は、基材102の両側に沿って形成される。ディファレンシャルエッチング層及び半導体層106及び806は、図1のディファレンシャルエッチング層104及び半導体層106に関して先に記載した技術のいずれかを用いて形成することができる。ディファレンシャルエッチング層は同じ組成又は異なる組成を有することができ、同じ形成技術又は異なる形成技術を用いて形成することができ、実質的に同時に又は異なる時点で形成することができる。半導体層106及び806は同じ組成又は異なる組成を有することができ、ドープ領域を有していてもよいし又は有していなくてもよく、同じ形成技術又は異なる形成技術を用いて形成することができ、実質的に同時に又は異なる時点で形成することができる。
【0042】
導電層208及び808は、ワークピースの露出した両側に沿って形成される。金属層208及び808は、図3中の導電層208に関して先に記載した技術のいずれかを用いて形成することができる。導電層208及び808は、同じ膜及び組成又は異なる膜又は異なる組成を有することができ、同じ厚さ又は異なる厚さを有することができ、1つの同じ若しくは異なる形成技術又は複数の異なる形成技術を用いて形成することができ、実質的に同時に又は異なる時点で形成することができる。
【0043】
必要な場合又は所望される場合、半導体層106、806又は両方の層を基材102から分離することを助けるのに、先に記載した機械的な操作のいずれかを用いることができる。以降の処理、例えば、半導体層106及び806に隣接するパターニングされた相互接続層の形成は、半導体デバイス810及び820を形成する際に実施することができる。
【0044】
デュアルプロセッシングの実施形態、例えば、図8において先に記載及び示した実施形態により、1つ又は複数の処理操作を同時に実施することが可能であり、したがって設備の処理能力を増大させることが可能である。基材102の両側に沿って同じタイプ又は異なるタイプの半導体デバイスを形成してもよい。
【0045】
先に記載した実施形態では、ウェハの形態の基材を使用することができる。別の実施形態では、基材はインゴットの形態であってもよい。図9に示される特定の実施形態では、基材902は実質的に円筒形であることができる。このような基材は、チョクラルスキー成長技術を用いて成長させたブール(boule)から製造し、所望の形状に機械加工することができる。インゴットは、約50mm〜約300mm又はそれよりも大きい直径を有することができる。インゴットの長さは、直径よりも大きいものであり得、約150mm〜約5mであることができる。基材902は、基材102に関して先に記載した材料のいずれかを含むことができる。ワークピース900は、ドープ領域904、金属含有膜906及び導電膜908をさらに含み、それぞれ先に記載したドープ領域204、金属含有膜206及び導電膜308に関して先に記載したいずれかの材料を含むことができ、いずれかの厚さを有することができ、そしていずれかの技術を用いて形成することができる。分離促進種(図示せず)を、イオン注入操作の際、導電膜308の形成の際又はそれらの両方においてワークピース中に導入することができる。本明細書を読んだ後、当業者であれば、ワークピース900の領域又は膜のうち1つ又は複数が必要条件ではなく、使用されなくてもよいこと、そして図示していないが先に説明した他の領域又は膜を使用できることを理解するであろう。
【0046】
導電膜908は、分離をより容易に開始できる弱化した場所を提供するために切り込み線を入れるか、せん孔するか又は切断することができる。次いで、ワークピース900は、先に記載したアニーリング条件を用いてアニールされる。アニール後の加熱又は冷却の際、基材902の内部で応力が徐々に高まり、図10に示されるように、導電膜908、金属含有膜906、ドープ領域904、及び基材902の分離した部分である半導体層1010の組み合わせを基材902の残りの部分から分離するのを助けることができる。得られたワークピース1000をさらに処理して半導体デバイスを形成することができる。この特定の実施形態では、半導体デバイスは、円形ディスクではなく、長方形のシートの形態であることができる。さらに別の実施形態では、基材は、実質的に長方形であり、エッジ規定成長(edge−defined growth)技術を用いて形成することができる。
【0047】
ここまでで、別個の基材を必要とせずに裏面に金属支持体を備えた半導体デバイスを形成するための方法が提供されたと解されるべきである。半導体デバイスは、ディファレンシャルエッチング層が選択的に除去されるプロセスによって基材から分離される。
【0048】
本明細書で記載される実施形態により、半導体デバイスを形成しそしてより容易に基材から分離することができる。分離のために機械的な操作を実施する必要をなくすことができる。さらに、ディファレンシャルエッチング層を使用することで、半導体デバイスから半導体デバイスまでの半導体層の厚さの制御及び再現性を改善することができる。ディファレンシャルエッチング層は、ウェットエッチング、ドライエッチング及び電気化学を含む種々の異なる技術によって除去することができる。さらに、本明細書で記載される実施形態を用いた場合には、機械的な引裂操作に比べてより滑らかな半導体層の表面を得ることができる。したがって、本明細書を読んだ後、当業者であれば、本明細書に記載の方法を用いて、機械的な引裂操作の際のように別個の基材又はハンドルを使用する必要なく、支持体としての金属層を備えた半導体デバイスを形成できることを理解するであろう。
【0049】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態の一部が以下で説明される。本明細書を読んだ後、当業者であれば、これらの態様及び実施形態が単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものでないことを理解するであろう。
【0050】
第1の態様では、方法は、ワークピース上に電気化学プロセスにより金属層を形成する工程を含むことができる。ワークピースは、半導体基材、実質的に半導体基材に適合した格子であるディファレンシャルエッチング層、及び実質的にディファレンシャルエッチング層に適合した格子である半導体層を含むことができる。この方法はまた、ディファレンシャルエッチング層を除去して分離した半導体層を形成する工程を含むことができる。
【0051】
第1の態様のある実施形態では、ディファレンシャルエッチング層を除去する工程は、ウェットエッチングプロセスによってディファレンシャルエッチング層を除去する工程を含む。別の実施形態では、金属層は、物理気相成長、原子層堆積、化学気相成長又はそれらの任意の組み合わせによって形成される。さらに別の実施形態では、金属層は、チタン、タングステン、パラジウム、銅、スズ、ニッケル又はそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態では、金属層を形成する工程は、半導体基材上に金属ペーストを機械的に適用する工程をさらに含む。
【0052】
第1の態様のさらなる実施形態では、半導体基材は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム又はそれらの任意の組み合わせを含む。なおさらなる実施形態では、ディファレンシャルエッチング層は、ゲルマニウム又は多孔質半導体材料を含む。なおさらなる実施形態では、本方法は、分離した半導体層に接点を加えて光電池を形成する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、分離した半導体層に接点を加えて発光デバイスを形成する工程をさらに含む。
【0053】
第2の態様では、方法は、半導体基材上にディファレンシャルエッチング層を形成する工程、ディファレンシャルエッチング層上に半導体層を形成する工程、及びワークピース上に電気化学プロセスにより金属層を形成する工程を含むことができる。本方法はまた、等方性プロセスによりディファレンシャルエッチング層を除去する工程、及び半導体基材から半導体層と金属層を分離する工程を含むことができる。
【0054】
第2の態様のある実施形態では、ディファレンシャルエッチング層を除去する工程は、ウェットエッチングプロセスによりディファレンシャルエッチング層を除去する工程を含む。別の実施形態では、金属層は、物理気相成長、原子層堆積、化学気相成長、電気化学プロセス又はそれらの任意の組み合わせによって形成される。さらに別の実施形態では、金属層は、チタン、タングステン、パラジウム、銅、スズ、ニッケル又はそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態では、金属層を形成する工程は、半導体基材上に金属ペーストを機械的に適用する工程をさらに含む。
【0055】
第2の態様のさらなる実施形態では、半導体基材は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム又はそれらの任意の組み合わせを含む。なおさらなる実施形態では、ディファレンシャルエッチング層は、ゲルマニウム又は多孔質半導体材料を含む。なおさらなる実施形態では、本方法は、分離した半導体層に接点を加えて光電池を形成する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、分離した半導体層に接点を加えて発光デバイスを形成する工程をさらに含む。
【0056】
第3の態様では、電子デバイスを形成する方法は、基材、第1のディファレンシャルエッチング層、及び第1の半導体層を含むワークピースの第1の面上に第1の金属層を形成する工程を含むことができる。第1のディファレンシャルエッチング層は、基材と第1の半導体層の間に位置することができ、第1の半導体層はワークピースの第1の面に沿って位置することができる。本方法はまた、基材と第1の半導体層の間から第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程、及び基材から第1の半導体層と第1の金属層を分離する工程を含むことができる。
【0057】
第3の態様のある実施形態では、基材は実質的に単結晶の半導体基材である。別の実施形態では、基材は第1の面に隣接する実質的に単結晶の領域を含み、第1のディファレンシャルエッチング層は実質的に表面領域に適合した格子である。特定の実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層は、第1の半導体層と比べて異なる半導体元素を含む。さらに別の実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層は、基材と比べて異なる半導体元素を含む。さらに別の実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層はゲルマニウムを含み、基材は実質的にゲルマニウムを含まない。さらなる実施形態では、第1の半導体層は主としてシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム又はそれらの任意の組み合わせを含む。なおさらなる実施形態では、基材及び第1の半導体層は同じ半導体元素を含む。なおさらなる実施形態では、基材は主としてシリコンを含み、ディファレンシャルエッチング層はゲルマニウムを含み、第1の半導体層は第13族〜第15族の半導体材料を含む。さらに別の実施形態では、ディファレンシャルエッチング層は多孔質半導体材料を含む。
【0058】
第3の態様の別の実施形態では、本方法は、第1の半導体層の一部をドープ部分に直ぐ隣接する第1の半導体層の残りの部分の導電型とは反対の導電型を有するドーパントでドープする工程をさらに含む。さらに別の実施形態では、本方法は、第1の金属層を形成する前に第1の半導体層の上にドープされた半導体層を堆積する工程をさらに含み、当該ドープされた半導体層は、第1の半導体層の導電型とは反対の導電型を有する。
【0059】
第3の態様の別の実施形態では、第1の金属層は、チタン、タングステン、パラジウム、銅、スズ、ニッケル、銅、銀、金又はそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、接着膜、バリア膜又はその両方を第1の半導体層上に形成する工程をさらに含む。さらに別の実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、第1の半導体層上にシード膜を形成する工程をさらに含む。さらなる実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、第1の半導体層上に導電性の支持膜を形成する工程をさらに含む。なおさらなる実施形態では、第1の金属膜を形成する工程は、電気化学プロセス、物理気相成長、原子層堆積、化学気相成長又はそれらの任意の組み合わせによって実施される。なおさらなる実施形態では、金属層を形成する工程は、半導体上に金属ペーストを機械的に適用する工程をさらに含む。
【0060】
第3の態様の別の実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、第1の金属層の厚さが第1の半導体層の厚さよりも厚くなるように実施される。別の実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、第1の金属層の厚さが第1の半導体層の厚さよりも少なくとも約11倍厚くなるように実施される。さらに別の実施形態では、第1の金属層を形成する工程は、第1の金属層の厚さが単独で第1の半導体層に十分な機械的支持を提供するように実施される。
【0061】
第3の態様のさらなる実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程は等方性エッチングを用いて実施される。特定の実施形態では、選択的に除去する工程はウェットエッチング技術を用いて実施される。より特定の実施形態では、選択的に除去する工程は、容器内部を動的に移動するエッチング溶液を用いて実施される。別の特定の実施形態では、選択的に除去する工程はドライエッチング技術を用いて実施される。なおさらなる実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程は電気化学プロセスを用いて実施される。特定の実施形態では、第1の金属層を形成する工程及び第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程は同じ浴を用いて実施される。なおさらなる実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程において、第1の半導体層と基材の間に位置する第1のディファレンシャルエッチング層の実質的に全てが除去される。別の実施形態では、第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去しそして基材から第1の半導体層と第1の金属層を分離する工程は、特定の期間に実質的に同時に行われる。
【0062】
第3の態様のさらに別の実施形態では、基材から第1の半導体層と第1の金属層を分離する工程は、基材から第1の半導体層と第1の金属層を機械的に分離する工程を含む。特定の実施形態では、基材から第1の半導体層と第1の金属層を機械的に分離する工程は、くさび、ワイヤ、のこぎり又はそれらの任意の組み合わせを用いて実施される。さらに別の実施形態では、本方法は、基材から第1の半導体層と第1の金属層を分離した後に第1の半導体層に接点を加える工程をさらに含む。さらなる実施形態では、電子デバイスは、第1の半導体層と第1の金属層を含む光電池を含む。なおさらなる実施形態では、電子デバイスは、第1の半導体層と第1の金属層を含む発光デバイスを含む。なおさらなる実施形態では、電子デバイスは、第1の半導体層と第1の金属層を含む放射線検出器を含む。
【0063】
第1の態様の別の実施形態では、本方法は、第2のディファレンシャルエッチング層及び第2の半導体層をさらに含むワークピースの第2の面上に第2の金属層を形成する工程をさらに含み、第2の面は第1の面の反対側にあり、第2のディファレンシャルエッチング層は基材と第2の半導体層の間に位置し、第2の半導体層はワークピースの第2の面に沿って位置する。本方法は、基材と第2の半導体層の間から第2のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程、及び第2の半導体層と第2の金属層を基材から分離する工程をさらに含む。
【0064】
特定の実施形態では、第1の金属層を形成する工程及び第2の金属層を形成する工程は第1の期間に実質的に同時に実施され、第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程及び第2のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程は第2の期間に実質的に同時に実施される。別の特定の実施形態では、第1の半導体層と第1の金属層の組み合わせは第1の半導体デバイスタイプのものであり、第2の半導体層と第2の金属層の組み合わせは第1の半導体デバイスタイプのものであり、第1の半導体層の厚さは第2の半導体層の厚さと実質的に同じである。さらに別の特定の実施形態では、第1の半導体層と第1の金属層の組み合わせは第1の半導体デバイスタイプのものであり、第2の半導体層と第2の金属層の組み合わせは第2の半導体デバイスタイプのものであり、第1の半導体層の厚さは第2の半導体層の厚さとは異なる。
【0065】
一般的な記載又は実施例において上に記載した活動の全てが必要とされるわけではないこと、具体的な活動の一部は必要とされない場合があること、1つ又は複数のさらなる活動を記載されたものに加えて実施できることに留意されたい。さらに、活動が列挙された順序は必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0066】
利益、他の利点及び課題の解決策を具体的な実施形態に関して上に記載した。しかしながら、利益、利点及び課題の解決策、及び任意の利益、利点又は解決策を生じさせ得るか又はより顕著にし得る任意の1つ又は複数の特徴は、特許請求の範囲のいずれか又は全ての重要な、必須の又は本質的な特徴として解されるべきではない。
【0067】
本明細書及び本明細書に記載される実施形態の説明は、種々の実施形態の構造の一般的な理解を提供するよう意図されるものである。本明細書及び説明は、本明細書に記載される構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴の全ての網羅的かつ包括的な記載として役立つようには意図されていない。別の複数の実施形態を単一の実施形態において組み合わせて提供してもよく、逆に、簡潔にするため単一の実施形態に関して記載される種々の特徴を個別に又は任意の小さな組み合わせにおいて提供してもよい。さらに、範囲の形で記載されている値に対する言及は、その範囲内のそれぞれ及び全ての値を包含するものである。他の多くの実施形態は、本明細書を読んだ後においてのみ当業者にとって明らかであり得る。他の実施形態を使用でき、またそれは本開示から導くことができ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的な置換、論理的な置換又は別の変更を行なうことができる。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、第1のディファレンシャルエッチング層、及び第1の半導体層を含むワークピースの第1の面上に第1の金属層を形成する工程であって、前記第1のディファレンシャルエッチング層が前記基材と前記第1の半導体層の間に位置し、前記第1の半導体層が前記ワークピースの第1の面に沿って位置する工程、
前記基材と前記第1の半導体層の間から前記第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程、並びに
前記基材から前記第1の半導体層と前記第1の金属層を分離する工程
を含む、電子デバイスを形成する方法。
【請求項2】
ワークピース上に電気化学プロセスにより第1の金属層を形成する工程であって、前記ワークピースが、基材、実質的に該基材に適合した格子である第1のディファレンシャルエッチング層、及び実質的に該第1のディファレンシャルエッチング層に適合した格子である第1の半導体層を含む工程、並びに
前記第1のディファレンシャルエッチング層を選択的に除去して前記基材から前記第1の半導体層を分離する工程
を含む、電子デバイスを形成する方法。
【請求項3】
基材上に第1のディファレンシャルエッチング層を形成する工程、
該第1のディファレンシャルエッチング層上に第1の半導体層を形成する工程、
ワークピース上に電気化学プロセスにより第1の金属層を形成する工程、
等方性プロセスにより前記第1のディファレンシャルエッチング層を選択的に除去する工程、及び
前記基材から前記第1の半導体層と前記金属層を分離する工程
を含む、電子デバイスを形成する方法。
【請求項4】
前記第1の金属層を形成する工程が、前記第1の金属層の厚さが単独で前記第1の半導体層に十分な機械的支持を提供するように実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属層を形成する工程が、前記第1の半導体層の上に接着膜、バリア膜、シード膜又はそれらの任意の組み合わせを形成する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程が等方性エッチングを用いて実施される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
選択的に除去する工程がウェットエッチング又はドライエッチング技術を用いて実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程が電気化学プロセスを用いて実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属層を形成する工程及び前記第1のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程が同じ浴を用いて実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基材から前記第1の半導体層と前記第1の金属層を分離する工程が、前記基材から前記第1の半導体層と前記第1の金属層を機械的に分離する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のディファレンシャルエッチング層が、前記第1の半導体層、前記基材又はその両方と比べて異なる半導体元素を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のディファレンシャルエッチング層がゲルマニウムを含み、前記第1の半導体層、前記基材又はその両方が実質的にゲルマニウムを含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のディファレンシャルエッチング層が多孔質の半導体材料を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記電子デバイスが、前記第1の半導体層及び前記第1の金属層を含む光電池、発光ダイオード、又は放射線センサーを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のディファレンシャルエッチング層及び第2の半導体層をさらに含む前記ワークピースの第2の面上に第2の金属層を形成する工程であって、前記第2の面が前記第1の面と反対側にあり、前記第2のディファレンシャルエッチング層が前記基材と前記第2の半導体層の間に位置し、前記第2の半導体層が前記ワークピースの第2の面に沿って位置する工程、
前記基材と前記第2の半導体層の間から前記第2のディファレンシャルエッチング層の少なくとも大部分を選択的に除去する工程、並びに
前記基材から前記第2の半導体層と前記第2の金属層を分離する工程
をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−520291(P2011−520291A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508638(P2011−508638)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/043025
【国際公開番号】WO2009/137610
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510294058)アストロワット,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】