説明

ディーゼルエンジンの燃料調量装置

【課題】エンジンの出力調整作業が簡単になるディーゼルエンジンの燃料調量装置を提供する。
【解決手段】エンジン回転数が所定のトルクライズ回転領域まで低下すると、トルクライズスプリング力14aとガバナ力9aとの不釣合い力で、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック2を燃料増量側に調量移動させるようにし、エンジン回転数が所定の逆アングライヒ回転領域まで低下すると、トルクライズスプリング力14aとガバナ力9aとの不釣合い力で、ガバナ力入力レバー6を燃料増量側に揺動させながら、ホルダ12からトルクライズピン13の大径部19を突出させることにより、この大径部19先端の揺動中心寄り隅角部24でピン挿通孔21の周肉部25を押して逆アングライヒレバー18を待機姿勢から燃料減量側に揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック2を燃料減量側に調量移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの燃料調量装置に関し、詳しくは、エンジンの出力調整作業が簡単になるディーゼルエンジンの燃料調量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のディーゼルエンジンの燃料調量装置として、本発明と同様、エンジン回転数が所定のトルクライズ回転領域まで低下すると、トルクライズスプリング力とガバナ力との不釣合い力で、トルクライズピンの押し出し量に応じてガバナ力入力レバーを揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラックを燃料増量側に調量移動させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来のディーゼルエンジンの燃料調量装置では、ガバナレバーに逆アングライヒ装置を取り付け、逆アングライヒ装置はホルダに逆アングライヒピンと逆アングライヒスプリングとを収容して構成し、エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の逆アングライヒ領域まで低下すると、逆アングライヒスプリング力とガバナ力との不釣合い力で、ガバナレバーを揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラックを燃料減量側に調量移動させるようにしているため、問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−276391号公報(図1〜図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、次の問題がある。
《問題》 エンジンの出力調整作業が繁雑である。
エンジンの出力調整時には、トルクライズピンとトルクライズスプリングの選択と取り付け、トルクライズスプリングのセット荷重の調節に加え、逆アングライヒピンと逆アングライヒスプリングの選択と取り付け、逆アングライヒスプリングのセット荷重の調節を行う必要があり、エンジンの出力調整作業が繁雑である。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決することができるディーゼルエンジンの燃料調量装置、すなわち、エンジンの出力調整作業が簡単になるディーゼルエンジンの燃料調量装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、燃料噴射ポンプ(1)の燃料調量ラック(2)をメカニカルガバナ(3)のガバナレバー(4)に連動連結し、このガバナレバー(4)を構成するスプリング力入力レバー(5)とガバナ力入力レバー(6)のうち、スプリング力入力レバー(5)をガバナスプリング(7)を介して調速レバー(8)に連動連結するとともに、ガバナ力入力レバー(6)をガバナ力発生手段(9)に連携させ、スプリング力入力レバー(5)にその燃料増量揺動側から燃料制限具(10)を臨ませ、ガバナ力入力レバー(6)にトルクライズ装置(11)を取り付け、トルクライズ装置(11)はホルダ(12)にトルクライズピン(13)とトルクライズスプリング(14)とを収容して構成し、トルクライズピン(13)をトルクライズスプリング力(14a)でホルダ(12)から押し出す方向に付勢し、トルクライズピン(13)をスプリング力入力レバー(5)に接当させ、
図1に示すように、ガバナスプリング力(7a)が機能する調速制御回転領域(15)ではガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)とでトルクライズピン(13)をホルダ(12)に限界まで押し込んだまま、ガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)との不釣合い力でガバナレバー(4)を揺動させ、
エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の定格回転数(16)まで低下すると、燃料増量側に揺動するスプリング力入力レバー(5)を燃料制限具(10)で受け止め、
エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が所定のトルクライズ回転領域(17)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、トルクライズピン(13)の押し出し量に応じてガバナ力入力レバー(6)を揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料増量側に調量移動させるようにした、ディーゼルエンジンの燃料調量装置において、
図1に示すように、ガバナ力入力レバー(6)に逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付け、この逆アングライヒレバー(18)に燃料調量ラック(2)を連動連結し、トルクライズピン(13)の大径部(19)の先端に小径部(20)を設け、逆アングライヒレバー(18)にピン挿通孔(21)をあけ、このピン挿通孔(21)にトルクライズピン(13)の小径部(20)を貫通させ、
図1及び図2に示すように、調速制御回転領域(15)とトルクライズ回転領域(17)では、逆アングライヒレバー(18)を増量揺動側ストッパ(22)で受け止めた待機姿勢で燃料調量ラック(2)を調量移動させ、
図3に示すように、エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が所定の逆アングライヒ回転領域(23)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、ガバナ力入力レバー(6)を燃料増量側に揺動させながら、ホルダ(12)からトルクライズピン(13)の大径部(19)を突出させることにより、この大径部(19)の揺動中心寄り隅角部(24)でピン挿通孔(21)の周肉部(25)を押して逆アングライヒレバー(18)を待機姿勢から燃料減量側に揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料減量側に調量移動させるようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料調量装置。
【発明の効果】
【0008】
(請求項1に係る発明)
《効果》 エンジンの出力調整作業が容易になる。
図3に例示するように、エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の逆アングライヒ回転領域(23)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(7a)との不釣合い力で、逆アングライヒの機能が得られるので、エンジンの出力調整時には、トルクライズピン(13)とトルクライズスプリング(14)の選択と取り付け、トルクライズスプリング(14)のセット荷重の調節を行えば足り、エンジンの出力調整作業が容易になる。
【0009】
(請求項2に係る発明)
請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 メカニカルガバナの磨耗が起こりにくい。
図1に例示するように、トルクスプリング力(26a)で逆アングライヒレバー(18)を燃料増量揺動側に付勢したので、エンジン運転中に逆アングライヒレバー(18)が微振動しにくく、これに起因するメカニカルガバナの磨耗が起こりにくい。
【0010】
《効果》 ガバナレバーの組み付け間違いが起こりにくい。
図1に例示するように、トルクスプリング力(26a)で逆アングライヒレバー(18)を燃料増量揺動側に付勢したので、逆アングライヒレバー(18)を待機姿勢に近づけてガバナレバー(4)をエンジンに組み付けることができ、逆アングライヒレバー(18)が燃料減量側に大きく揺動した不適正な姿勢のままで、ガバナレバー(4)がエンジンに組み付けられる不備がなく、ガバナレバー(4)の組み付け間違いが起こりにくい。
【0011】
(請求項3に係る発明)
請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 メカニカルガバナによる燃料調量の精度が高い。
図5(A)に例示するように、ガバナ力入力レバー(6)に転がり軸受(27)を介して逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付けたので、逆アングライヒレバー(18)の枢支部分の偏磨耗が起こりにくく、これに起因する逆アングライヒレバー(18)の不適正な傾きも抑制され、メカニカルガバナ(3)による燃料調量の精度が高い。
【0012】
(請求項4に係る発明)
請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ガバナレバーの組み付け間違いが起こりにくい。
図5(B)に例示するように、ガバナ力入力レバー(6)に減量揺動側ストッパ(28)を設け、この減量揺動側ストッパ(28)で逆アングライヒレバー(18)の減量側揺動が受け止められるようにしたので、逆アングライヒレバー(18)が燃料減量側に大きく揺動した不適正な姿勢のままで、ガバナレバー(4)がエンジンに組み付けられる不備がなく、ガバナレバー(4)の組み付け間違いが起こりにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの燃料調量装置を説明する図である。
【0014】
本発明の実施形態の概要は、次の通りである。
図1に示すように、燃料噴射ポンプ(1)の燃料調量ラック(2)をメカニカルガバナ(3)のガバナレバー(4)に連動連結し、このガバナレバー(4)を構成するスプリング力入力レバー(5)とガバナ力入力レバー(6)のうち、スプリング力入力レバー(5)をガバナスプリング(7)を介して調速レバー(8)に連動連結するとともに、ガバナ力入力レバー(6)をガバナ力発生手段(9)に連携させ、スプリング力入力レバー(5)にその燃料増量揺動側から燃料制限具(10)を臨ませ、ガバナ力入力レバー(6)にトルクライズ装置(11)を取り付け、トルクライズ装置(11)はホルダ(12)にトルクライズピン(13)とトルクライズスプリング(14)とを収容して構成し、トルクライズピン(13)をトルクライズスプリング力(14a)でホルダ(12)から押し出す方向に付勢し、トルクライズピン(13)をスプリング力入力レバー(5)に接当させている。ガバナ力発生手段(9)はクランク軸で連動されるフライウェイトである。
燃料噴射ポンプ(1)はボッシュの列型ポンプである。燃料制限具(10)はガバナ室壁(29)に取り付けた燃料制限ボルトである。
【0015】
図1に示すように、調速レバー(8)を最高速位置にセットした全負荷運転で、ガバナスプリング力(7a)が機能する調速制御回転領域(15)ではガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)とでトルクライズピン(13)をホルダ(12)に限界まで押し込んだまま、ガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)との不釣合い力でガバナレバー(4)を揺動させ、エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の定格回転数(16)まで低下すると、燃料増量側に揺動するスプリング力入力レバー(5)が燃料制限具(10)に受け止められる。
定格回転数(16)とはエンジンの最大出力が得られる回転数である。調速制御回転領域(15)とは、定格回転数(16)から無負荷最高回転数(30)までの回転領域で、ガバナスプリング力(9a)とガバナ力(6a)との不釣合い力で燃料調量ラック(8)の調量を制御する領域をいう。
スプリング力入力レバー(5)をガバナ力入力レバー(6)で受け止めている場合には、トルクピン(13)がホルダ(12)に限界まで押し込まれている。
【0016】
図2に示すように、エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定のトルクライズ回転領域(17)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、トルクライズピン(13)の押し出し量に応じてガバナ力入力レバー(6)を揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料増量側に調量移動させるようにしている。
トルクライズ装置(11)は、定格負荷(定格回転数での全負荷)を越えるエンジン負荷がかかった場合に、エンジン回転数を緩やかに低下させ、エンジントルクを高めて、エンストを抑制するためのものである。
【0017】
図1、図2に示すように、ガバナ力入力レバー(6)に逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付け、この逆アングライヒレバー(18)に燃料調量ラック(2)を連動連結し、トルクライズピン(13)の大径部(19)の先端に小径部(20)を設け、逆アングライヒレバー(18)にピン挿通孔(21)をあけ、このピン挿通孔(21)にトルクライズピン(13)の小径部(20)を貫通させる。
調速制御回転領域(15)とトルクライズ回転領域(17)では、逆アングライヒレバー(18)を増量揺動側ストッパ(22)で受け止めた待機姿勢で燃料調量ラック(2)を調量移動させる。
【0018】
図3に示すように、エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の逆アングライヒ回転領域(23)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、ガバナ力入力レバー(6)を燃料増量側に揺動させながら、ホルダ(12)からトルクライズピン(13)の大径部(19)を突出させることにより、この大径部(19)先端の揺動中心寄り隅角部(24)でピン挿通孔(21)の周肉部(25)を押して逆アングライヒレバー(18)を待機姿勢から燃料減量側に揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料減量側に調量移動させるようにしている。
逆アングライヒ機構は、燃料噴射ポンプの高圧噴射化に伴うトランペットQ特性を緩和するための手段であり、トランペットQ特性とは、燃料噴射ポンプの同じ燃料調量ラック位置で、エンジン回転数が低下するほど、燃料噴射量が増大する特性をいう。このトランペットQ特性を緩和するには、逆アングライヒ機構により、エンジン回転数が低下するほど、燃料調量ラック位置を燃料減量側に移動させる必要がある。
【0019】
図5(B)に示すように、ガバナ力入力レバー(6)と逆アングライヒレバー(18)との間にトルクスプリング(26)を配置し、トルクスプリング力(26a)で逆アングライヒレバー(18)を燃料増量揺動側に付勢している。
【0020】
図5(A)に示すように、ガバナ力入力レバー(6)に転がり軸受(27)を介して逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付けている。
図5(B)に示すように、ガバナ力入力レバー(6)に減量揺動側ストッパ(28)を設け、この減量揺動側ストッパ(28)で逆アングライヒレバー(18)の減量揺動が受け止められるようにしている。
【0021】
図4に示すように、このメカニカルガバナによれば、調速制御回転領域(15)ではエンジン負荷の増加によってエンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック位置が燃料増量方向に移動し、エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が低下したトルクライズ回転領域(17)では、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック位置が増量方向に緩やかに移動し、エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が低下した逆アングライヒ回転領域(23)では、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック位置が燃料減量方向に緩やかに移動する。これにより、トルクライズ回転領域(17)と逆アングライヒ回転領域(23)の境界の回転数(31)付近で最大噴射量と最大トルクとが得られるとともに、逆アングライヒ機能によりスモークの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの燃料調量装置を説明する図で、調速制御回転時の模式図である。
【図2】図1の燃料調量装置を説明するトルクライズ回転時の模式図である。
【図3】図1の燃料調量装置を説明する逆アングライヒ回転時の模式図である。
【図4】図1の燃料調量装置のエンジン回転数に対する燃料調量ラック位置と燃料噴射量とトルクとスモークの特性を説明する図である。
【図5】図1の燃料調量装置で用いる逆アングライヒレバーの取付構造を説明する図で、図5(A)は正面図、図5(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0023】
(1) 燃料噴射ポンプ
(2) 燃料調量ラック
(3) メカニカルガバナ
(4) ガバナレバー
(5) スプリング力入力レバー
(6) ガバナ力入力レバー
(7) ガバナスプリング
(7a) ガバナスプリング力
(8) 調速レバー
(9) ガバナ力発生手段
(9a) ガバナ力
(10) 燃料制限具
(11) トルクライズ装置
(12) ホルダ
(13) トルクライズピン
(14) トルクライズスプリング
(14a)トルクライズスプリング力
(15) 調速制御回転領域
(16) 定格回転数
(17) トルクライズ回転領域
(18) 逆アングライヒレバー
(19) 大径部
(20) 小径部
(21) ピン挿通孔
(22) 増量揺動側ストッパ
(23) 逆アングライヒ回転領域
(24) 揺動中心寄り隅角部
(25) 周肉部
(26) トルクスプリング
(26a) トルクスプリング力
(27) 転がり軸受
(28) 減量揺動側ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射ポンプ(1)の燃料調量ラック(2)をメカニカルガバナ(3)のガバナレバー(4)に連動連結し、このガバナレバー(4)を構成するスプリング力入力レバー(5)とガバナ力入力レバー(6)のうち、スプリング力入力レバー(5)をガバナスプリング(7)を介して調速レバー(8)に連動連結するとともに、ガバナ力入力レバー(6)をガバナ力発生手段(9)に連携させ、スプリング力入力レバー(5)にその燃料増量揺動側から燃料制限具(10)を臨ませ、ガバナ力入力レバー(6)にトルクライズ装置(11)を取り付け、トルクライズ装置(11)はホルダ(12)にトルクライズピン(13)とトルクライズスプリング(14)とを収容して構成し、トルクライズピン(13)をトルクライズスプリング力(14a)でホルダ(12)から押し出す方向に付勢し、トルクライズピン(13)をスプリング力入力レバー(5)に接当させ、
ガバナスプリング力(7a)が機能する調速制御回転領域(15)ではガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)とでトルクライズピン(13)をホルダ(12)に限界まで押し込んだまま、ガバナ力(9a)とガバナスプリング力(7a)との不釣合い力でガバナレバー(4)を揺動させ、
エンジン負荷の増加によってエンジン回転数が所定の定格回転数(16)まで低下すると、燃料増量側に揺動するスプリング力入力レバー(5)を燃料制限具(10)で受け止め、
エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が所定のトルクライズ回転領域(17)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、トルクライズピン(13)の押し出し量に応じてガバナ力入力レバー(6)を揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料増量側に調量移動させるようにした、ディーゼルエンジンの燃料調量装置において、
ガバナ力入力レバー(6)に逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付け、この逆アングライヒレバー(18)に燃料調量ラック(2)を連動連結し、トルクライズピン(13)の大径部(19)の先端に小径部(20)を設け、逆アングライヒレバー(18)にピン挿通孔(21)をあけ、このピン挿通孔(21)にトルクライズピン(13)の小径部(20)を貫通させ、
調速制御回転領域(15)とトルクライズ回転領域(17)では、逆アングライヒレバー(18)を増量揺動側ストッパ(22)で受け止めた待機姿勢で燃料調量ラック(2)を調量移動させ、
エンジン負荷の増加によって更にエンジン回転数が所定の逆アングライヒ回転領域(23)まで低下すると、トルクライズスプリング力(14a)とガバナ力(9a)との不釣合い力で、ガバナ力入力レバー(6)を燃料増量側に揺動させながら、ホルダ(12)からトルクライズピン(13)の大径部(19)を突出させることにより、この大径部(19)先端の揺動中心寄り隅角部(24)でピン挿通孔(21)の周肉部(25)を押して逆アングライヒレバー(18)を待機姿勢から燃料減量側に揺動させ、エンジン回転数が低下するにつれて燃料調量ラック(2)を燃料減量側に調量移動させるようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料調量装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディーゼルエンジンの燃料調量装置において、
ガバナ力入力レバー(6)と逆アングライヒレバー(18)との間にトルクスプリング(26)を配置し、トルクスプリング力(26a)で逆アングライヒレバー(18)を燃料増量揺動側に付勢した、ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料調量装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したディーゼルエンジンの燃料調量装置において、
ガバナ力入力レバー(6)に転がり軸受(27)を介して逆アングライヒレバー(18)を揺動自在に取り付けた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料調量装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載したディーゼルエンジンの燃料調量装置において、
ガバナ力入力レバー(6)に減量揺動側ストッパ(28)を設け、この減量揺動側ストッパ(28)で逆アングライヒレバー(18)の減量側揺動が受け止められるようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料調量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−236071(P2009−236071A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85713(P2008−85713)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】