説明

ディーゼルエンジン排気ガス用ろ過装置

【課題】従来技術の欠点を補正し、深層ろ過金属フォームを用いて低い圧力降下で高いろ過効率を達成する。
【解決手段】吸気管(2)及び排気管(3)を伴うキャビティを画定する金属シェル(1)と、吸気管(2)と排気管(3)の間の連絡経路の中にセットされた層状金属フォームシートで作られたろ過装置本体(4)とを含むろ過装置において、ろ過装置本体が、シェル(1)の内側で外部チャンバ(6)と内部チャンバ(7)とを画定する形でシェルの長手方向軸(5)を中心にしてセットされている、複数の金属フォームシート層を含む少なくとも一つのろ過装置セグメント(8)から作り上げられており、各チャンバは、使用中にエンジン排気ガスの流れが外部チャンバ(6)から内部チャンバ(7)へ(又はその逆方向に)強制され、シェル(1)の長手方向軸(5)との関係における半径方向の速度成分をとるように吸気管(2)及び排気管(3)と連絡している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気管および排気管を伴うキャビティを画定する金属シェルと、前記吸気管と前記排気管の間の連絡経路の中にセットされた、層状金属フォームシートで作られたろ過装置本体とを含む、金属フォームに基づくディーゼルエンジン排気ガス用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
考慮されている金属フォーム材料および製造プロセスは、国際公開第2004/089564号パンフレットおよび国際公開第2005/037467号パンフレットの中でそれぞれ記述されている。このプロセスに従うと、金属フォームは所望の長さおよび幅をもつシートの形で生産される。
【0003】
フォームベースのフィルタがディーゼル微粒子ろ過の利用分野向けに知られているが、それらの大部分がセラミック材料に基づいている。優れたろ過効率を達成するのに充分な小さい気孔サイズをもつ標準的なセラミック製のフォームは、閉鎖気孔の数の多さに起因して比較的高い圧力降下を示す。その上、フィルタ内により多くの煤が蓄積されるにつれて、かかるフォームは、「ブローオフ(blow−off)」挙動すなわち負の効率が観察されるまでそのろ過効率を低下させることがわかっている。
【0004】
セラミックフォームのもう一つの欠点は、最終フィルタ(final filter)の整形に関する制限にある。したがって、自動車の利用分野で必要とされる、制限された空間内での大きなろ過エリアを獲得するのは非常に困難である。
【0005】
表面ろ過メカニズムに基づいて機能する大部分の市販のディーゼル微粒子フィルタとは異なり、フォームフィルタは、深層ろ過に基づいて作動する。このことはすなわち、煤が、フォーム構造体の表面上ではなく内部で捕集されるということを意味している。エンジンテストに基づいた最近の実験に基づくと、小さな気孔をもつ高効率のフィルタは、その出口に向かってではなくむしろその入口近くではるかに多くの煤を蓄積させる傾向をもつものである。この不均一な煤の分布は、フィルタの高ローディング(highly−loaded)領域の圧力降下を非比例的に増大させることから、不利である。
【0006】
既知の先行技術においては、提案されている材料は一般に、多孔質金属として言及されているが、生産プロセスは特定的に評定されていない。
【0007】
その上、一部の既知の実施形態は、電熱器を使用してフィルタの熱再生を支援する必要性によって定義づけされている。したがって、少なくとも二つの円筒形フィルタエレメントの使用が求められる。材料に関する制限、フィルタエレメントの生産プロセスおよび多数のフィルタエレメントの必要性に起因して、フィルタエレメントの厚みは、0.5〜20mmの範囲内、好ましくは1mm以上に制限される。
【0008】
使用すべきものとして提案されている、特に好ましくは100〜600μmという気孔サイズの範囲は、かなり小さいものである。同様にしてろ過厚みは非常に狭い。その上、「3Dトラップ効果(3−D trapping effect)」に言及するだけでは、実際のろ過メカニズムの把握を実証するのに不充分である。
【0009】
さらなる既知の先行技術においては、いわゆる「多孔率勾配(porosity gradient)」の原理と触媒コーティングされたフォーム材料の使用とから成る、基本的なものとしてみなすべき二つの要素が扱われていない。
【0010】
さらにもう一つの既知の先行技術は、セラミックフォームの使用に関するものであり、結果としてこれは勾配多孔率を提供していない。
【特許文献1】国際公開第2004/089564号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/037467号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点を補正し、深層ろ過金属フォームを用いて低い圧力降下で高いろ過効率を達成することにある。これは、軸方向および/または横断方向での「多孔率勾配」を用いた半径方向流(radial flow)の概念に基づいている。利用分野に応じて、煤の酸化(再生)ならびにその他の排気ガス汚染物質、例えばCO、炭化水素、窒素酸化物の削減を促進するために、フォームに触媒活性材料をコーティングすることも可能である。これは、好ましくは、対象とする利用分野に応じてフィルタ内部で不均一な量の触媒材料を使用することによって達成され得る。提案されている発明の一つの変形形態においては、フィルタは、清浄な場合には非常に高いろ過効率を確保し、例えば長時間にわたる低温運転などのさまざまな理由でフィルタ内の煤のローディング(loading)が極端に高い値に達した場合にも非閉塞挙動を確保するような形で設計可能である。
【0012】
これまで、実環境での試験により、およそ80〜95%という深層ベースの微粒子ろ過効率が、半径方向での流れを可能にするように適切に整形されたコーティング済みのフォームフィルタを用いて、受容可能な圧力降下で可能であるということが示されてきた。支配的な拡散ベースのろ過メカニズムに起因して、ろ過効率は、例えば20nm未満の、より小さな粒径について100%に近い最高のものである。フィルタの煤受容限界は、1リットルあたり15グラムを超える可能性があり、これは標準的な壁流システムに比べてほぼ二倍である、という評価が下されている。250〜450℃の間の低温でのこのフィルタの再生能(regeneration potential)は、標準的な触媒セラミック壁流フィルタに比べて高いものであることが証明されている。触媒コーティングは、同様に、およそ200℃の温度でCOおよび炭化水素の100%に近い変換を達成することもできる。同時に、600ミクロン以下の気孔サイズをもつフォームベースのフィルタは、考えられるあらゆる現実的な走行条件中に蓄積された煤のブローオフ傾向を全く示さない。
【0013】
強制再生の可能性が全く無い既存のエンジンの改造といったような一部の利用分野において、第一の必要条件は、フィルタが極端に高い背圧を及ぼすことによりエンジンを閉塞することがないという点にある。かかる高い背圧は、高効率で煤を蓄積し、市街地の走行中に標準的に遭遇する例えば100〜250℃といった低い温度条件で作動するあらゆるフィルタの中で発生するものである。この問題を回避するための一つの可能性は、煤ローディングが増大するにつれてろ過効率の減少を示すフィルタを使用することである。かかるフィルタは、エンジンにとっての受容可能な背圧レベルでバランスを保つ傾向を有するものである(ゼロ効率)。入念に選択されたフォーム多孔率の組合せを用いると、上述の目標に達するような形でフィルタを設計することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、序文で上述されたタイプのろ過装置により達成されるものであり、該ろ過装置は、前記ろ過装置本体が、シェルの内側で外部チャンバおよび内部チャンバを画定するような形でシェルの長手方向軸を中心にしてセットされている、複数の金属フォームシート層を含む少なくとも一つのろ過装置セグメントから作り上げられている点で卓越している。前記各チャンバは、使用中にエンジン排気ガスの流れが外部チャンバから内部チャンバへ(またはその逆方向に)強制され、かくしてシェルの長手方向軸との関係における半径方向の速度成分をとるような形で前記吸気管および前記排気管と連絡している。
【0015】
前記成果は、流れを強制的に横断方向に通過させる管状フィルタ設計に基づいて達成される。流れが利用できるろ過エリアの大きさは、ガス速度の低下と結びつけられる。流体力学から、低い流速は、特により小さいサイズの粒子について、はるかに低い圧力損失とろ過効率の増大を導くものであるということがわかっている。フィルタは、多孔質金属管であり得る軸対称金属支持体のまわりに金属フォームシートを巻回することにより形成される。流れの入口に隣接するフォームの層は、より大きい気孔サイズをもつフォームで作られ、一方流れの出口に隣接する層は、より小さな気孔サイズのフォームで作られており、これは、ローディングされた状態にあるフィルタ内の均等な煤分布を目指したものである。
【0016】
多孔質管の使用を取込んだ本発明に従ってこのように提案されているフィルターセグメントは、多孔質金属管支持体の周囲に巻回されている。
【0017】
代替的には、エンジン排気ガスの流れは、内部チャンバから外部チャンバに(すなわちその逆方向に)強制されてもよい。
【0018】
本発明の一つの有利な実施形態に従うと、フォームの気孔サイズは400〜1800ミクロンの間の範囲内で変動し得る。提案されている気孔サイズの範囲は、前記既知の先行技術において使用されるべく示唆されているものよりもはるかに広く、先行技術の制約条件は本発明にはあてはまらない。
【0019】
有利には、各フォームシートの厚みは最低気孔サイズについては1.5mmであり、最大気孔サイズについては4mmである。このフォームは、巻回により円筒形構造体を形成するように容易に整形可能である。
【0020】
なおも有利には、排気ガス流が半径方向に横断するような形でフィルタが管状のコンフィギュレーションに整形された場合、大きなろ過エリアを得ることができる。これは、本発明で考慮されている金属フォームの場合には技術的に可能である。
【0021】
一方、フォームシートの流れ入口近くにより大きな気孔を、そして流れ出口近くに漸進的に小さくなる気孔を伴った、さまざまなフォーム構造体の組合せを用いることで、ろ過された煤のより均等な分布を達成することが可能である。「多孔率勾配」と呼ばれるこのコンフィギュレーションは、ここで考慮されている金属フォーム材料で技術的に実現可能である。本発明に従った装置の卓越した特長は、金属フォーム層の多孔率がろ過深さ(filtration depth)に沿って可変的であるという点にある。
【0022】
さらに、本発明の一つの好ましい実施形態に従うと、自動車の利用分野で標準的に用いられる触媒活性材料をフォームに容易にコーティングでき、その結果、触媒によりフィルタの再生を開始し得る触媒コーティングされたフォームが得られる。本発明に従った装置は、触媒効果を最大限に利用するように設計されており、したがって電熱器といったような熱再生用の付加的支援の必要性は全くなく、少なくとも二つの円筒形エレメントを使用することに制限されることもない。
【0023】
本発明の一つの好ましい実施形態においては、一次フィルタの金属支持体内に付加的な二次フィルタが設置される。外部シェルの入口および出口にある金属ダイヤフラムは、それぞれの流れ抵抗にしたがって一次フィルタと二次フィルタの間で流れを分割できるような形で設計されている。このコンフィギュレーションはさらに、一定の与えられた外部フィルタ体積について流れ面積をさらに増大させ、付加的な圧力降下の利点を提供する。これは、フィルタ厚みにおける妥協と共に行なわれ得る。結果として生じる、ろ過効率に対する不利な効果は、フォーム多孔率の適切な選択により最小限におさえることができる。
【0024】
さらに代替的には、前記ろ過本体がさらに、前記の要領で前記長手方向軸を中心にしてセットされた複数の金属フォームシート層および内部チャンバを各々含む少なくとも一つの二次ろ過セグメントを含み、前記各チャンバは、使用中にエンジン排気ガスの流れが中央チャンバからおよび外部チャンバから前記内部チャンバへ(またはその逆方向に)強制されるような形で前記吸気管および前記排気管と連絡している。
【0025】
後者のケースでは、前記シェルが、前述の吸気管を画定するネックを有する構造体に対し一方の端部で連結されている壁を有しており、前記構造体は、シェルに入る気体流をろ過装置セグメントの外側にセットされた外部チャンバ内へ強制的に通す周辺開口部を有するダイヤフラムによってその反対側の端部で閉鎖されており、円筒壁の反対側の端部は、排気管を画定し内部チャンバと連絡する中央ネックを有するダイヤフラムによって閉鎖されていること、が想定されている。
【0026】
ただし、前者(またはその逆)のケースでは、前記気体流はシェルから出るように強制される。
【0027】
ローディングされた条件下でろ過効率が低減された、低温利用分野に適した本発明のもう一つの実施形態においては、二次フィルタの気孔構造は、ローディングされた条件下でのろ過効率の低減を示すべく選択され得る。長時間の低温運転の場合、高効率用に設計された主フィルタは、閉塞状態(極めて高い流れ抵抗)に達し得る。その結果、流れは、そのより開放した構造およびその制限された煤ローディング容量に起因してより小さい流れ抵抗を示す、二次フィルタの方に自動的に誘導されることになる。
【0028】
−図1は、本発明の第一の実施形態を例示する。
−図2は、流れ方向でのフィルタの設置が反対である状態での、図1に示されたものと類似した本発明の第二の実施形態を例示する。
−図3は、本発明の第三の実施形態を例示する。
−図4は、流れ方向でのフィルタの設置が反対である状態での、図3に示されたものに類似した本発明の第四の実施形態を例示する。
【実施例1】
【0029】
図1を参照すると、金属シェル1が吸気管2および排気管3を伴うキャビティを画定し、層状金属フォームシートで作られたろ過本体4が前記吸気管2と前記排気管3の間の連絡経路内にセットされている。これには、一つのフィルターセグメントが含まれ、ここで排気はフィルターセグメントの外径から排気管に向かって流れるように強制されている。
【0030】
図1では、ろ過本体4は、好ましくは40%超の多孔率をもつ、多孔質金属支持体9の周囲に巻回された複数の金属フォームシートを含む一つのセグメント8で作られている。フォームが数ミリメートルの厚みのフォームシートの形で利用可能である場合には、標準的には数センチメートルである半径方向流の方向での所望の厚みが得られるまで、多孔質金属支持体9の周囲に多数のフォームシートを巻回すべきである。フォーム材料が、すでに金属支持体の外径に等しい内径をもつ管状形状で利用可能である場合には、これを容易に金属支持体の周囲に適用することができる。
【0031】
フィルターセグメントは、シェル1の内側に外部チャンバ6と内部チャンバ7を画定するような形でシェル1の長手方向軸5を中心にしてセットされ、前記各チャンバは、使用中に、エンジン排気ガスの流れが外部チャンバ6から内部チャンバ7へ強制され、かくしてシェル1の長手方向軸5との関係における半径方向の速度成分をとるような形で前記吸気管2および前記排気管3と連絡している。
【実施例2】
【0032】
図2に示されているシステムは、図1のものと同じ幾何学的コンフィギュレーションを有するが、流れ方向におけるフィルタの設置は反対である。これには一つのフィルターセグメントが内含されており、ここで、排気はフィルタ本体4の内径から排気管3に向かって流れるように強制される。
【0033】
図1および図2に示されている両方のコンフィギュレーションについて、フォーム層の多孔率は、好ましくは可変的であり、流れ入口近くの層はより大きな気孔を有し、流れ出口近くの層はより小さな気孔を有している。こうして、フォーム構造体内部の煤のより均等な分布が確保され、その結果、圧力降下の利点がもたらされる。フォーム材料は好ましくはPtベースの触媒のコーティングを受ける。使用すべきPt負荷(loading)の好ましい量は、入口近くでフォーム1リットルあたりおよそ2〜5グラム、中央で1〜2グラム/リットル、そして流れ出口近くでゼロになる。
【0034】
こうして、触媒の大部分が確実に、実環境の運転中に蓄積する煤のすぐ近くにくるようになっており、これにより触媒活性の活用が増大すると同時にPtの所要量を最小限におさえることが可能となる。
【実施例3】
【0035】
図3に示されているフィルタ設計の変形形態は、二つのフィルターセグメント、外部チャンバ、中央チャンバおよび内部チャンバを内含し、該各チャンバは、エンジン排気ガスの流れが中央チャンバからおよび外部チャンバから内部チャンバに強制されるような形で吸気管および排気管と連絡する。二つのフィルターセグメント間の所望の流れ分布を制御するために、有孔金属コーンを実施することができる。ろ過本体4は、少なくとも一つの主フィルターセグメント8と、好ましくは少なくとも一つの二次フィルターセグメント13とで作られており、これらは各々複数の金属フォームシート層を含み、シェル1の内側で外部チャンバ6、中央チャンバ14および内部チャンバ7を画定するような形でシェルの長手方向軸5を中心にしてセットされており、前記各チャンバは、使用中に、エンジン排気ガスの流れが中央チャンバ14からおよび外部チャンバ6から内部チャンバ7へ強制され、かくしてシェル1の長手方向軸5との関係における半径方向の速度成分をとるような形で前記吸気管2および前記排気管3と連絡している。
【0036】
この設計は、ろ過深さにおける妥協を伴って、同じ全体的体積についてより大きいろ過エリアを達成する。この設計は、80%超のろ過効率を確保するのにおよそ1〜2cmのろ過深さで通常充分である比較的低い気孔サイズの場合においてより好ましい。排気流は、それぞれの流れ抵抗にしたがって主フィルターセグメントと二次フィルターセグメントの間で分配されるものである。主セグメントのフェイスエリア(face area)がさらに大きいものであることに起因して、流れは、少なくともフィルタが清浄であるか煤があまり多くローディングされていない場合、優先的にこのセグメントを通過するものである。主フィルターセグメントおよび二次フィルターセグメントの内部寸法および外部寸法は、ろ過および圧力降下の必要条件を考慮に入れて好ましい流れ分布を達成するように適切に設計可能である。フォームの多孔率および触媒分布に関しては、図1および図2のケースですでに言及したものと同じ考慮事項があてはまる。
【実施例4】
【0037】
図4に示されているシステムは、図3のものと同じ幾何学的コンフィギュレーションを有するが、流れ方向におけるフィルタの設置は反対である。
【0038】
図3のコンフィギュレーションで高いろ過効率を達成するためには、主フィルターセグメント8の流れ抵抗が受容可能なほどに低いかぎり、主フィルターセグメント8の中を可能なかぎり多くの流れが通過することが好ましい。これは、図3に示されているようなフィルタ入口にある有孔金属コーン17を使用することによって促進することが可能である。このコーンの機能は、まず第一に、流れ入口近くの流れの分離を最小限におさえ、流れを主フィルターセグメント8に向かって案内すること、そして第二に、小さい孔を通して付加的な流れ抵抗を課すことで二次フィルターセグメント13を通る流量を低下させることにある。したがって、正常な運転の下で、60%超の流れの最大部分が、主フィルターセグメントを通って案内されることになる。例えば長時間にわたる市街地走行中の過度の煤蓄積に起因する受容できないほどに高い流れ抵抗といったような、主フィルターセグメントの閉塞の場合には、流れは有孔金属コーンの孔および二次フィルターセグメント13中を優先的に通過する。フィルターセグメントの寸法およびコーンの孔の適正な設計により、フィルタのろ過効率が正常な走行条件中に高いものである一方で、このフィルタが正常運転中に決して閉塞しないような形で、流れ分布を調整することが可能である。
【0039】
図3および図4に示した実施形態は、引用した先行技術においては扱われていない運転原理に基づくものである。これらは、ローディングされた条件下でろ過効率が低減されるため、低温利用分野に適している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第一の実施形態を例示する図である。
【図2】流れ方向でのフィルタの設置が反対である状態での、図1に示されたものと類似した本発明の第二の実施形態を例示する図である。
【図3】本発明の第三の実施形態を例示する図である。
【図4】流れ方向でのフィルタの設置が反対である状態での、図3に示されたものに類似した本発明の第四の実施形態を例示する図である。
【符号の説明】
【0041】
1 金属シェル
2 吸気管
3 排気管
4 フィルタ本体
6 外部チャンバ
7 内部チャンバ
8、13 セグメント
9 多孔質金属支持体
14 中央チャンバ
17 有孔金属コーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気管(2)および排気管(3)を伴うキャビティを画定する金属シェル(1)と、前記吸気管(2)と前記排気管(3)の間の連絡経路の中にセットされた層状金属フォームシートで作られたろ過装置本体(4)とを含むディーゼルエンジン排気ガス用ろ過装置において、前記ろ過装置本体が、シェル(1)の内側で外部チャンバ(6)および内部チャンバ(7)を画定するような形でシェルの長手方向軸(5)を中心にしてセットされている、複数の金属フォームシート層を含む少なくとも一つのろ過装置セグメント(8)から作り上げられており、前記各チャンバは、使用中にエンジン排気ガスの流れが外部チャンバ(6)から内部チャンバ(7)へ(またはその逆方向に)強制され、かくしてシェル(1)の長手方向軸(5)との関係における半径方向の速度成分をとるような形で前記吸気管(2)および前記排気管(3)と連絡していることを特徴とする、ろ過装置。
【請求項2】
前記ろ過本体がさらに、前記の要領で前記長手方向軸(5)を中心にしてセットされた複数の金属フォームシート層および内部チャンバ(7)を各々含む少なくとも一つの二次ろ過セグメント(13)を含み、前記各チャンバは、使用中にエンジン排気ガスの流れが中央チャンバ(14)からおよび外部チャンバ(6)から前記内部チャンバ(7)へ(またはその逆方向に)強制され、かくしてシェル(1)の長手方向軸(5)との関係における半径方向の速度成分をとるような形で前記吸気管(2)および前記排気管(3)と連絡していることを特徴とする、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記ろ過セグメント(8;13)が金属フォームシート層で構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記金属フォームシート層が実質的に同心的であることを特徴とする、請求項3に記載のろ過装置。
【請求項5】
金属フォーム層の多孔率が、基本的に前記長手方向軸(5)に対し直角の方向で可変的であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項6】
金属フォーム層の多孔率が、基本的に前記長手方向軸(5)の方向に沿って可変的であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項7】
金属フォーム層の多孔率が可変的であり、流れ入口近くの層はより大きな気孔を有し、流れ出口近くの層はより小さな気孔を有していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項8】
ろ過セグメント(8)が多孔質金属管支持体(9)の周囲に巻回されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項9】
金属フォーム層に触媒活性材料がコーティングされていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項10】
金属フォーム層に貴金属ベースの触媒活性材料がコーティングされていることを特徴とする、請求項9に記載のろ過装置。
【請求項11】
前記貴金属が白金であることを特徴とする、請求項10に記載のろ過装置。
【請求項12】
金属フォーム層の触媒負荷(loading)が、基本的に前記長手方向軸(5)に対し直角の方向で可変的であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項13】
金属フォーム層の触媒負荷が、基本的に前記長手方向軸(5)の方向に沿って可変的であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項14】
金属フォーム層の触媒負荷が可変的であり、流れ入口近くの層はより高い負荷を有し、流れ出口近くの層はより低い負荷を有していることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項15】
前記シェル(1)が、前述の吸気管(2)を画定するネックを有する構造体(10)に対し一方の端部で連結されている壁を有しており、前記構造体(10)は、シェル(1)に入る(またはシェルから出る)気体流をろ過装置セグメント(8)の外側にセットされた外部チャンバ(6)内へ強制的に通す周辺開口部を有するダイヤフラム(11)によってその反対側の端部で閉鎖されており、円筒壁の反対側の端部は、排気管(3)を画定し内部チャンバ(7)と連絡する中央ネックを有するダイヤフラム(12)によって閉鎖されていること、
を特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項16】
シェル(1)に入る流れを中央チャンバ(14)および外部チャンバ(6)へと誘導し分配する金属コーン(17)を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項17】
請求項2〜15のいずれか一つに従属している場合、前記金属コーン(17)が有孔であることを特徴とする、請求項16に記載のろ過装置。
【請求項18】
各フォームシートが、管状設計への成形を可能にする適切な機械的特性をもつ金属合金で作られていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項19】
ろ過装置の複数の組合せを含み、各組合せが請求項1〜18に記載のろ過装置を内含している、ディーゼルエンジン排気ろ過装置システム。
【請求項20】
各々直列の配置(in serial arrangement)で装置を内含している複数の組合せを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
各々並列の配置(in parallel arrangement)で装置を内含している複数の組合せを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
各々直列と並列の配置で前記装置を内含している複数の組合せを含む、請求項19〜21のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項23】
内部表面により画定されたキャビティを有する導管をさらに含み、各々の組合せが該キャビティ内に収容される、請求項19〜22のいずれか一つに記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−513872(P2009−513872A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537208(P2008−537208)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/GR2006/000058
【国際公開番号】WO2007/052084
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508129698)アリストートル ユニヴァーシティー テッサロニキ (1)
【氏名又は名称原語表記】ARISTOTLE UNIVERSITY THESSALONIKI
【出願人】(508129687)ヴェイル インコ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VALE INCO LIMITED
【Fターム(参考)】