説明

ディーゼルエンジン発電機用排気ガス浄化装置

【課題】 ディーゼルエンジン発電機を間欠動作で使用する場合、ディーゼルエンジンの燃焼温度が余り上昇せず、間欠動作時に大電流が流れるので多量の黒鉛微粒子(PM)が排出される。この黒鉛微粒子(PM)を有効に捕集して排気ガスを浄化する装置が望まれている。
【解決手段】 ディーゼルエンジン発電機の排気出力をディーゼル・パテキュレート・フィルター(DPF)に流入させて黒鉛微粒子(PM)を有効に捕集し、ディーゼル・パテキュレート・フィルター(DPF)の目詰まりを圧力センサーで検出し、高速に大電力用半導体リレーをスイッチングして電気ヒーターに同じ発電機から電流を供給する。DPFの前段に温度センサーを配置して温度計測を行い、PMが燃焼するに十分な温度になっているかを監視すると供に同時に必要以上に温度上昇を防止するための監視に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機等の動力源として使用されているディーゼルエンジンからの排気ガスの黒鉛微粒子(以下、PMと記述する)を浄化し、大気汚染を防止して、環境悪化を低減するに効果的なディーゼルエンジン排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン発電機を数秒の間隔で負荷に電力を供給する間欠動作の場合、負荷に電力を供給している時は最大定格までになるが、平均電力の使用は最大定格の50%以下となり、エンジンの燃焼温度が定常的に余り上昇しない。この燃焼温度が上昇しない状態で最大定格の電力を間欠的に負荷に供給すると、多量のPMが排出される。このPMを有効に捕集し、燃焼させて、排気ガスを浄化する装置が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ディーゼルエンジン発電機から排出されるPMをディーゼル・パテキュレート・フィルター(以下、DPFと記述する)で捕集する、PMを捕集したDPFは使用経過と供に次第に目詰まりを起こして、PMの捕集能力を低下させ、エンジンの運転効率を低下させる。さらに、排気系統の背圧が上昇して装置の危険度が増加する。
DPFの前段に電気ヒーターを配置して、DPFに捕集されたPMは600℃以上の温度で燃焼すると排気ガスは浄化され、DPFは再生される。再生されたDPFは再び効率よくPMを捕集するようになる。
しかしながら、間欠動作で使用される発電機は最大定格の50%以下となるので、余剰電力の使用は可能であるが、数秒間毎に最大定格の電力を負荷に供給しているために同じ発電機からは電気ヒーターに定常的な電力を供給する事ができない。小型な発電機を別にもう1台用意すると技術的には可能だが、操作の手間が増加し、コスト・アップになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ディーゼルエンジン発電機の負荷電流を高速に検出、計測して、負荷電流がオフになると高速に大電力用半導体リレーをスイッチングして電気ヒーターに同じ発電機から電流を供給する。発電機の排気ガスは排気ガス浄化装置の入力部に配置した圧力センサーにより、圧力計測を行い、背圧が上昇すると電気ヒーターにより排気ガスを加熱する。さらに、排気ガスが通過するDPFの前段に温度センサーを配置して温度計測を行い、PMが燃焼するに十分な温度になるように加熱すると供に同時に必要以上に温度が上昇しないようにするための温度監視に使用する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の排気ガス浄化装置によれば、燃焼用電気ヒーターのために別に電力源を用意することなく、ディーゼルエンジン発電機の余剰電力を利用して燃焼用電気ヒーターに電力を安定に供給する事ができる。
同時に圧力センサーと温度センサーによって背圧と温度を監視する事により、排気ガス浄化装置内の背圧を5キロパスカル(以下、kPと記述する)〜10kP以下に、温度は600℃〜650℃に制限する事ができ、操作を複雑にさせることなく、安全で安定性の高い、かつ安価に大気汚染を防止して、環境悪化を低減するに効果的なディーゼルエンジン排気ガス浄化装置を実現できる。
【実施例】
【0006】
以下に本発明によるディーゼルエンジン発電機の実施例を添付した図面に参考にして詳細に説明する。
排気ガスにPMを多く含む発電機の電気出力は一般的に三相の交流であり、数10キロワットと比較的に大型なものである。図1は本発明のエンジン排気ガス浄化装置の全体構成を示す。図では単線で描かれているが、単相乃至三相である。
ディーゼルエンジン発電機3は、ディーゼルエンジン31、発電機32で構成される。この発電機の負荷4は間欠動作の多い電気溶接機である事が多いが、これに限定されるものではない。
排気ガス浄化装置本体1は排気ガス吸力部12と排気ガス浄化装置11から構成されている。排気ガス浄化装置11は燃焼用電気ヒーター13、DPF14および排気管15から構成されている。エンジン排気ガス浄化装置の制御部2は計測制御部21と電気ヒーター電流制御部22から構成されている。ディーゼルエンジンの排気ガスは排気管33により排気ガス吸力部12へ吸入されて、エンジン排気ガス浄化装置本体1を通過して排気管15から排出される。負荷電流を検出する電流検出器23、背圧を検出する圧力センサー24と温度センサー25の各々の出力は計測制御部21へ接続される。
発電機の負荷4と加熱用電気ヒーター13へ流れる電流を図2および図3に示す。電流は交流であるがその実効値の1相を概略的に示している。負荷電流aはパルス状に間欠的に流れる。ヒーター電流bは負荷電流aがオフの時に同様に間欠的に流れ、温度センサー25の出力を計測して、PMが十分に燃焼するように電気ヒーター13に流れる。
ディーゼルエンジン発電機が運転されて継続的に使用されるとDPF14は次第に目詰まりを起こし始める。背圧が5kP〜10kP以上に上昇すると負荷電流がない場合でも温度を計測しながら燃焼用電気ヒーター13に電流を供給して、排気ガスを加熱し、PMを燃焼させる。背圧が5kP〜10kP以下の場合は電流をオフにして無駄なエネルギーの使用を避けるようにする。
また、間欠動作の間隔が長くなると使用する負荷は最大定格の50%よりさらに低下して20〜30%程度になる事がある。このような場合にも十分にPMを燃焼させる事ができるように電気ヒーター13は図4に示すように複数個の電気ヒーターを並列に接続して十分に電流を供給する能力を有する構成とする。さらに、ヒーター電流bはDPFの温度が必要以上に上昇しないように時分割スイッチング制御されるようになっている。こ様子を図2および図3の点線で示す。また、これらの図2および図3の縦軸は電流値で横軸は時間であり、パルス状電流の間隔は凡そ数秒間である。
このように排気ガスのPMは十分に燃焼させて浄化する事ができ、安定な動作が確保できて安価なディーゼルエンジン発電機を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【007】
本発明は、ディーゼルエンジン発電機に使用されているディーゼルエンジンの排気ガスの浄化に効果的であり、環境浄化に貢献し、特に間欠動作で使用する溶接機負荷の場合は大気汚染を防止して非常にその利用は極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【008】
【図1】本発明のエンジン排気ガス浄化装置の全体構成を示す図。
【図2】燃焼用電気ヒーターの電流をオン・オフする制御を示す図。
【図3】燃焼用電気ヒーターの電流をオン・オフ制御する他の方法を示す図。
【図4】複数の燃焼用電気ヒーターと大電力半導体リレーの接続例を示す図。
【符号の説明】
【009】
1.エンジン排気ガス浄化装置本体
2.エンジン排気ガス浄化装置の制御部
3.ディーゼルエンジン発電機
4.負荷
11.排気ガス浄化装置
12.排気ガス吸入部
13.電気ヒーター
14.DPF
15.排気管
21.計測制御部
22.電気ヒーター電流制御部
23.電流検出器
24.圧力センサー
25.温度センサー
31.ディーゼルエンジン
32.発電機
33.排気管
131〜136.大電力半導体リレー
141〜146.電気ヒーター
SW1.大電力半導体リレー制御入力
SW2.大電力半導体リレー制御入力
U、W、V.発電機の3相出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン発電機の排気ガスの黒煙微粒子(PM)を除去する排気ガス浄化装置であって、該装置は排気ガスを吸入する入力部と、前記吸入された排気ガスを燃焼させる燃焼用電気ヒーターと、黒煙微粒子(PM)捕集用のディーゼル・パテキュレート・フィルター(DPF)とで、前記黒煙微粒子(PM)を浄化処理する浄化装置本体と、浄化された排気ガスを排出する排気管と、前記ディーゼルエンジン発電機の負荷電流を検出する電流検出器と、前記排気ガスが吸入する入力部の背圧を検出する圧力センサーと、前記浄化装置本体に配置されるディーゼル・パテキュレート・フィルター(DPF)に流入する排気ガスの温度を検出する温度センサーと、前記電流検出器と前記圧力センサーと前記温度センサーの各々の検出信号を計測制御する計測制御部と、これらの検出信号に基づき前記燃焼用電気ヒーターの電流制御を行う電気ヒーター電流制御部と、を設けることを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記電気ヒーター電流制御部は、時分割に電流をオン・オフする制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジン排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記燃焼用電気ヒーターは、前記ディーゼルエンジン発電機の出力に複数個を並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジン排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記電気ヒーター電流制御部の時分割に電流をオン・オフ制御する素子は大電流半導体リレー素子であることを特徴とする請求項2に記載のエンジン排気ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−216075(P2009−216075A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100842(P2008−100842)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(304041415)株式会社クリーン・イー (4)
【出願人】(000109819)デンヨー株式会社 (88)
【Fターム(参考)】