説明

ディーリング通話端末及びディーリング通話システム

【課題】少なくとも着信履歴の記録を行うか否かを個々の端末ごとにより柔軟に設定することが可能なディーリング通話端末を提供する。
【解決手段】ディーリング通話端末100は、回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として履歴記憶部142に登録するか否かが示された着信記録条件を記憶する発信元・発信先情報記憶部144と、着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する発信元・発信先情報記憶部144に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報を履歴記憶部142に登録する履歴登録部132と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行や証券会社等における為替、証券等の先物金融取引等の業務に使用されるディーリング通話システム及びディーリング通話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディーリング通話端末は、ワンタッチのボタン操作でオートダイヤル発信可能な複数の回線ボタンと、回線ボタン毎に異なる回線相手先の名称、すなわち異なる回線名称が示される複数の回線画面を切り替え表示可能な表示部とを備える。
【0003】
ディーリング通話端末は、同時に例えば2回線分の着信に対して応答できる機能を有する。また、業務の特殊上、複数の着信や発信が同時に行われることが多く、ユーザが顧客と通話中に新たな他の着信に応答できない場合もある。このような場合、一般的な通話システムであれば、代理応答により他のユーザが他の着信に対して応答を行うこともできる。
【0004】
ところが、ディーリング業務においては、機密性等の観点から他のユーザが代理応答することが難しい場合も多い。一方において、応答できなかった他の着信が重要な商談等に関する場合もあるため、着信履歴や発信履歴を記録し、着信履歴に基づいて重要な相手先に折り返し発信を可能にできることが望ましい。
【0005】
そこで、すべての発呼や着呼に関する情報を着信履歴や発信履歴として記録することも考えられる。しかし、上記の通り、業務の特殊上、複数の着信や発信が同時に行われることが多く、すべての着信履歴や発信履歴を記録するにはメモリ容量を必要以上に大きくする必要がある。また、多くの着信履歴や発信履歴の中から重要な商談等に関する情報を選択することも容易にできないことも考えられる。
【0006】
特許文献1には、ディーリング通話システムに関する技術ではないが、着信呼に関する情報を自動的に記録するように設定されたビジネスホンについて開示されている。特許文献1では、着信呼のすべてについて一様に記録し、記録された情報を読み出し表示するのではなく、予め設定された条件にしたがって選択的に記録するように制御して、着信履歴の量が膨大にならないようにする技術が開示されている。より具体的には、複数の外線キーや複数の内線キーに対してそれぞれ着信呼の発信元電話番号を含む履歴情報を記録するか否かを予め選択的に設定できるビジネスホンについて開示されている。
【特許文献1】特開2008−67180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたような技術では、個々の電話端末ごとに記録すべき着信履歴や発信履歴の内容を変更させることは想定していない。
【0008】
また、特許文献1に開示されたような技術では、履歴情報を記録すべき着信先の外線キーや内線キーを選択しており、選択されたキーに対応する電話番号に対して着信したすべての履歴情報が記録されてしまう。
【0009】
ところが、ディーリング通話端末では、業務の特殊上、個々の端末で対応する顧客が異なることも多く、端末によって記録すべき着信履歴や発信履歴の内容は異なることが想定される。また、ディーリング通話端末では、一つの回線ボタンに対して複数の顧客に対する回線名称が登録可能であるが、一つの回線ボタンに登録されたすべての顧客に対応する着信履歴や発信履歴を記録する必要があるとは限らない。
【0010】
本発明は、少なくとも着信履歴の記録を行うか否かを個々の端末ごとにより柔軟に設定することが可能なディーリング通話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るディーリング通話端末は、着呼応答時或いは発呼要求時に押下される複数の回線ボタンと、着信履歴を記憶する履歴記憶部と、回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された着信記録条件を記憶する発信元情報記憶部と、着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する前記発信元情報記憶部に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報を前記履歴記憶部に登録する履歴登録部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るディーリング通話端末によれば、回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として履歴記憶部に登録するか否かが示された着信記録条件を記憶する発信元情報記憶部が備えられ、着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する発信元情報記憶部に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報が履歴記憶部に登録されるので、着信履歴の記録を行うか否かを発信元ごとに柔軟に設定することができる。
【0013】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様では、回線ボタン毎にそれぞれ割り付けられた発信先情報それぞれに関連づけて、発信先情報を発信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された発信登録条件を記憶する発信先情報記憶部を備え、前記履歴登録部は、発信メッセージを送信したことに対応して、当該発信メッセージに含まれる発信先情報に対応する前記発信先情報記憶部に記憶された発信登録条件が発信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信先情報を前記履歴記憶部に登録することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様では、回線ボタン毎にそれぞれ割り付けられた発信先情報それぞれに関連づけて、発信先情報を発信履歴として履歴記憶部に登録するか否かが示された発信登録条件を記憶する発信先情報記憶部が備えられ、履歴登録部は、発信メッセージを送信したことに対応して、当該発信メッセージに含まれる発信先情報に対応する発信先情報記憶部に記憶された発信登録条件が発信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信先情報が履歴記憶部に登録されるので、発信履歴の記録を行うか否かを発信先ごとに柔軟に設定することができる。
【0015】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様では、前記履歴記憶部に対して登録可能な発信元情報及び発信先情報の合計登録数が予め定められており、前記履歴記憶部に対して着信履歴として登録する発信元情報の最大数と、発信履歴として登録する発信先情報の最大数との設定を、前記合計登録数の範囲で受け付ける登録数設定部を備え、前記履歴登録部は、発信元情報或いは発信先情報を登録する際にすでに登録された発信元情報或いは発信先情報の登録数が前記登録数設定部により設定された最大数に達している場合には、前記履歴登録部に登録された最古の発信元情報或いは発信先情報を削除して、新たな発信元情報或いは発信先情報を登録することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様によれば、履歴記憶部に対して着信履歴として登録する発信元情報の最大数と、発信履歴として登録する発信先情報の最大数とを、予め定められた合計登録数の範囲で設定されるので、記憶容量が限られている場合でも、効率的に限られた記憶容量を利用して着信履歴や発信履歴の登録を行うことができる。
【0017】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様では、着信履歴の表示要求に対応して、前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報のうち、記憶された数が多い順に発信元情報を表示部に表示させる履歴表示制御部を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様によれば、記憶された数が多い順に発信元情報が表示部に表示されるので、発信を行った回数が多い発信元ほど優先的に着信があったことを把握することができる。
【0019】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様では、呼び出し時間又は呼び出し回数に基づいて定まる呼出継続時間を計測する計測部と、着信履歴の表示要求に対応して前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報を表示部に表示させる履歴表示制御部と、を備え、前記履歴登録部は、発信元情報が着信履歴として登録対象の場合、前記計測部で計測された呼出継続時間を当該発信元情報と関連づけて、着信履歴として前記履歴記憶部に登録し、前記履歴表示制御部は、着信履歴の表示要求に対応して、前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報のうち、呼出継続時間が長い順に発信元情報を表示部に表示させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るディーリング通話端末の一つの態様によれば、発信元情報記憶部に記憶された発信元情報のうち、呼出継続時間が長い順に発信元情報が表示部に表示されるので、発信の際に呼び出しを行っている時間が長い発信元ほど優先的に着信があったことを把握することができる。
【0021】
本発明に係るディーリング通話システムは、複数のディーリング通話端末と、前記複数のディーリング通話端末を収容し交換動作を行う回線制御装置とを備えるディーリング通話システムにおいて、ディーリング通話端末ごとに着信履歴を記憶する履歴記憶部と、各ディーリング通話端末が備える回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された着信記録条件をディーリング通話端末ごとに記憶する発信元情報記憶部と、一のディーリング通話端末が着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する前記発信元情報記憶部に記憶された当該一のディーリング通話端末に対する着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報を当該一のディーリング通話端末に対する着信履歴として前記履歴記憶部に登録する履歴登録部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るディーリング通話システムによれば、着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する発信元情報記憶部に記憶された一のディーリング通話端末に対する着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報が当該一のディーリング通話端末に対する着信履歴として履歴記憶部に登録されるので、着信履歴の記録を行うか否かを発信元ごと且つディーリング通話端末ごとに柔軟に設定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する発信元情報記憶部に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報が履歴記憶部に登録されるので、着信履歴の記録を行うか否かを発信元ごとに柔軟に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と称す)について、以下図面を用いて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係るディーリング通話システムの全体構成を示す構成図である。図1において、ディーリング通話システム10は、構内交換機(PBX)を構成する回線制御装置20と、回線制御装置20に内線端末として接続されるディーリング通話端末100と、を備える。
【0026】
回線制御装置20は、交換接続動作を行う通話路スイッチSWと、通話路スイッチSWに通話路IP1〜IPnを介して接続されるライン回路LN1〜LNnと、通話路スイッチSWに通話路LP1〜LPkを介して接続されるトランクTR1〜TRkと、通話路スイッチSWとバスライン26を介して接続され、マイクロプロセッサを基本に各種処理機能、制御機能、シーケンス機能を備え、回線制御装置20全体を制御する制御装置22と、バスライン26に接続され、RAM、ROM等で構成された大容量のメモリを備え、交換動作制御プログラムなどの各種プログラム、交換接続動作に必要な各種データを格納する。
【0027】
ライン回路LN1〜LNnは、それぞれ内線LI1〜LInを介してディーリング通話端末100−1〜100−n(以下、総称する場合「ディーリング通話端末100」と称す。)と接続される。また、トランクTR1〜TRkは、それぞれ局線や専用線等の外線L1〜Lkに接続される。
【0028】
回線制御装置20は、通話路スイッチSWの交換接続動作を制御することにより、任意の通話路IP1〜IPn間を接続してディーリング通話端末100間の内線通話を実現する。また、回線制御装置20は、任意の通話路IP1〜IPnと任意の通話路LP1〜LPk間を接続してディーリング通話端末100と外線L1〜Lkの外線通話を実現する。
【0029】
ディーリング通話端末100は、銀行や証券会社等に設置され、為替、証券などの先物金融取引を行う際に内線端末として使用される。
【0030】
ここで、ディーリング通話端末100について、図2,図3を参照してさらに説明する。
【0031】
図2は、ディーリング通話端末100の盤面を示す説明図である。また、図3は、ディーリング通話端末100の機能ブロックを示す図である。
【0032】
図2において、ディーリング通話端末100の盤面には、操作エリア170と、着信時に着信音を鳴動するスピーカ162と、着信応答や発呼要求等の各種命令の入力を受け付ける操作部180とが設けられる。
【0033】
操作エリア170は、回線ボタンや機能ボタン等の複数のボタンで構成されるボタン操作部172と、回線ボタンや機能ボタン等のボタン毎に回線名称や機能名称等を表示するボタン表示部174と、発信元電話番号、発信先電話番号、着信履歴、発信履歴等の各種情報を表示する表示部176により構成される。ユーザは、例えば、ボタン表示部174に表示された回線名称を参照して、発信先を特定し、特定した発信先の回線名称が表示されたボタン表示部174に対応するボタン操作部172を押下することで、発呼を行うことができる。
【0034】
図3において、CPU110は、ROM112に記憶されたBIOSプログラムなどの基本的な制御プログラムをRAM114に展開して、バス160を介して各部を制御し、呼制御などを行う。さらに、CPU110は、記憶装置120に記憶されたプログラム130をRAM14に展開して、必要に応じてデータベース140に格納された各種データを参照して、各種機能を実現する。
【0035】
通信部150は、回線制御装置20との通信インタフェースであり、回線制御装置20から送信された着信メッセージを受信して、コーディック部156に中継する。また、通信部150は、ボタン操作部154を介して入力されたダイヤル番号、オートダイヤル番号または短縮ダイヤル番号等の発信先番号をコーディック部156に中継し、回線制御装置20に送信する。さらに、通信部150は、回線制御装置20との間で送受話の通話路を形成する。
【0036】
コーディック部156は、アナログ信号をデジタル信号に符号化する符号化手段と、デジタル信号を復号化する復号化手段とを有し、CPU110の制御に基づき、送受話部158を介して入力されたアナログの音声信号に符号化を施してデジタル信号の音声信号に変換し、通信部150を介して回線制御装置20に送信する。また、コーディック部156は、回線制御装置20から通信部150を介して受信したデジタルの音声信号に復号化を施してアナログの音声信号に変換して、送受話部158に入力する。
【0037】
送受話部158は、不図示の送話器或いはマイクを介して発生されたアナログの音声信号をコーディック部156に入力する。また、送受話部158は、コーディック部156から出力されたアナログの音声信号を不図示の受話器又はスピーカを介して出力する。
【0038】
表示部176は、着信時に着信元の名称等の着信元情報を表示したり、発呼時に発信先の名称等の発信先情報を表示したり、ユーザからの要求に応じて着信履歴情報や発信履歴情報を表示したりする。
【0039】
ボタン操作部172は、上記の通り、回線ボタンや機能ボタン等で構成される。また、ボタン表示部174は、ボタン操作部172を構成する各回線ボタンや各機能ボタンに対応する回線名称や機能名称を表示する。
【0040】
さらに、記憶装置120は、CPU110によって実行されるプログラム130およびCPU110がプログラム130を実行する際に必要に応じて参照されるデータベース140とを記憶する。
【0041】
本実施形態において、記憶装置120は、プログラム130として、履歴登録部132と、登録数設定部134と、履歴表示制御部136とを記憶する。
【0042】
履歴登録部132は、回線制御装置20から着信メッセージを受信したことに対応して、後述の発信元・発信先情報記憶部144に記憶された条件に基づいて当該着信メッセージに含まれる発信元の電話番号等の発信元情報を履歴情報記憶部142に登録するか否かを判定し、条件を満たす場合のみ発信元情報を履歴情報記憶部142に登録する。また、履歴登録部132は、発信メッセージを回線制御装置20に送信することに対応して、後述の発信元・発信先情報記憶部144に記憶された条件に基づいて当該発信メッセージに含まれる発信先の電話番号等の発信先情報を履歴情報記憶部142に登録するか否かを判定して、条件を満たす場合のみは発信先情報を、着信時或いは発信時の時刻と関連付けて履歴情報記憶部142に登録する。
【0043】
発信元・発信先情報記憶部144は、各回線ボタンに割り付けられた発信元や発信先となる電話番号に関連付けて、回線名称、当該電話番号に対する着信履歴の登録の有無及び当該電話番号に対する発信履歴の登録の有無が示される発信元・発信先情報を記憶する。
【0044】
図4は、発信元・発信先情報の一例を示す図である。図4に示すように、発信元・発信先情報には、電話番号100Fに関連付けて、会社名や顧客名等の回線名称102F、着信履歴を登録するか否かを示す着信登録条件104F、及び発信履歴を登録するか否かを示す発信登録条件106Fが示される。なお、履歴登録部132は、図4に示す発信元・発信先情報を参照する場合、着信登録条件104F或いは発信登録条件106Fに「○」が付与された電話番号について、登録対象として着信履歴或いは発信履歴の登録を行う。
【0045】
なお、着信履歴や発信履歴を登録するか否かの設定は、各回線ボタンにそれぞれ割り付けられた回線名称ごとに操作部180等を介してユーザに順次実行させればよい。
【0046】
図5は、回線制御装置20から着信メッセージを受信した際に履歴登録部132において実行される履歴登録処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
図5において、履歴登録部132は、回線制御装置20から着信メッセージを受信したことに対応して(S100)、着信メッセージに含まれる発信元電話番号を取得する(S102)。次いで、履歴登録部132は、発信元・発信先情報記憶部144を参照して、取得した発信元電話番号に対応する着信登録条件が登録対象となる設定になっているかどうかを判定する(S104)。判定の結果、登録対象でなければ(ステップS104の判定結果が、否定「N」)、処理を終了する。
【0048】
一方、判定の結果、登録対象であれば(ステップS104の判定結果が、肯定「Y」)、取得した発信元電話番号を着信履歴として着信メッセージの受信時刻とともに履歴情報記憶部142に登録する(S106)。
【0049】
以上の処理により、発信元の電話番号が予め着信履歴として登録するように設定された電話番号の場合のみ、発信元電話番号が履歴情報記憶部142に登録される。
【0050】
よって、必要以上に発信元情報が着信履歴として登録されないため、ユーザは着信履歴を参照すれば重要な顧客などからの着信があった場合に容易に着信があったことを把握することができる。
【0051】
図6は、回線制御装置20に発信メッセージを送信した際に履歴登録部132において実行される履歴登録処理の手順を示すフローチャートである。
【0052】
図6において、履歴登録部132は、回線制御装置20に発信メッセージを送信したことに対応して(S100)、発信メッセージに含まれる発信先電話番号を取得する(S202)。次いで、履歴登録部132は、発信元・発信先情報記憶部144を参照して、取得した発信先電話番号に対応する発信登録条件が登録対象となる設定になっているかどうかを判定する(S204)。判定の結果、登録対象でなければ(ステップS204の判定結果が、否定「N」)、処理を終了する。
【0053】
一方、判定の結果、登録対象であれば(ステップS204の判定結果が、肯定「Y」)、取得した発信先電話番号を発信履歴として発信メッセージの送信時刻とともに履歴情報記憶部142に登録する(S206)。
【0054】
以上の処理により、発信先の電話番号が予め発信履歴として登録するように設定された電話番号の場合のみ、発信先電話番号が履歴情報記憶部142に登録される。
【0055】
よって、必要以上に発信先情報が発信履歴として登録されないため、記憶装置120のメモリ消費を必要最低限に抑えることができる。
【0056】
さて、図3に戻り、登録数設定部134は、着信履歴の最大登録数と、発信履歴の最大登録数との設定を、予め設定された着信履歴および発信履歴の合計登録数の範囲でユーザから操作部180を介して受け付け、登録数記憶部146に登録する。例えば、合計登録数が、「100」の場合、着信履歴の最大登録数と発信履歴の最大登録数との合計が「100」の範囲で、それぞれの最大登録数の設定を受け付け、登録数記憶部146に登録する。つまり、着信履歴の最大登録数を「80」と設定した場合には、発信履歴の最大登録数の最大登録数の設定を「0」〜「20」の間で受け付ける。そして、履歴登録部132は、着信履歴或いは発信履歴を履歴情報記憶部142に登録する際に、登録数記憶部146を参照して、着信履歴或いは発信履歴の最大登録数を特定し、すでに履歴情報記憶部142に登録された数が最大登録数に達している場合には、最古に登録された着信履歴或いは発信履歴、つまり最古に登録された発信元電話番号或いは発信先電話番号を削除して、新たな発信元電話番号或いは発信先電話番号を履歴情報記憶部142に登録する。
【0057】
このように、着信履歴の最大登録数と、発信履歴の最大登録数とをユーザの希望に応じて設定することで、たとえ記憶装置120の記憶容量が限られている場合でも、ユーザの希望に応じて、着信履歴の登録数を発信履歴の登録数より多くする、或いは発信履歴の登録数を着信履歴の登録数より多くすることができる。つまり、たとえ記憶装置120の記憶容量が限られている場合でも、効率的に記憶容量を利用して着信履歴や発信履歴の登録を行うことができる。
【0058】
また、履歴表示部136は、操作部180を介してユーザから着信履歴の表示、或いは発信履歴の表示要求を受けて、履歴情報記憶部142に登録された着信履歴或いは発信履歴を表示部176に表示する。なお、着信履歴や発信履歴は機密性の高いことも多いため、閲覧を制限するために、表示要求を受けた場合に、ユーザに対してパスワードを要求して、正しいパスワードが入力された場合のみ、着信履歴或いは発信履歴を表示部176に表示するように構成してもよい。
【0059】
ここで、履歴表示部136は、ソート条件記憶部148に記憶されたソート条件に基づいて、履歴情報記憶部142に登録された着信履歴或いは発信履歴をソートして表示する。ソート条件としては、最古順或いは最新順などの条件がある。
【0060】
また、着信履歴については、履歴情報記憶部142に登録されている数が多い発信元電話番号順をソート条件としてもよい。履歴情報記憶部142に登録されている数が多ければ、発信者がそれだけ頻繁に発信を行っており、早急に応答をする必要がある可能性がある。そこで、履歴情報記憶部142に登録されている数が多い発信元電話番号を優先的に表示することで、早期の通話を希望している発信者に対して早急に対応することができる。
【0061】
さらに、ディーリング通話端末100に、着呼時における呼び出し時間や、呼び出し回数などの呼出継続時間を計測する計測部138を設け、履歴登録部132が着信履歴として発信元情報を履歴情報記憶部142に登録する際に、計測部138で計測された呼出継続時間を当該発信元情報に関連付けて登録するように構成してもよい。このように構成しておけば、呼出継続時間が長い順をソート条件とすることができる。呼び出し時間や呼び出し回数といった呼出継続時間が長いということは、それだけ長い間呼び出しを行っていたことを示し、発信者が着信者との通話を希望している可能性が高い。そこで、呼出継続時間が長い発信元情報を優先的に表示することで、早期の通話を希望している発信者に対して早急に対応することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、履歴情報記憶部142や発信元・発信先情報記憶部144等のデータベース140をそれぞれのディーリング通話端末100に設ける例について説明した。しかし、この例に限定されることはなく、それぞれのディーリング通話端末100に設けられたデータベース140は、回線制御装置20に集約して設けてもよい。また、ディーリング通話端末100とネットワークを介して接続されるデータベースサーバを設けて、当該データベースサーバに、それぞれのディーリング通話端末100に対応するデータベース140を設けてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、ディーリング通話端末100を用いた実施形態でのみ説明したが、通話端末がディーリング通話端末100に限定されるものではなく、履歴情報を表示する表示部を備え、履歴情報を記憶可能な電話機(通話端末)に、本実施形態の(履歴)登録数設定部や、履歴登録処理など必要な構成を設けることにより、例えば、ボタン電話装置や構内交換機に接続される多機能電話機などの通話端末や、無線公衆網に接続される携帯電話機、インターネット網に接続されるIP電話機などであっても実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する発信元情報記憶部に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報が履歴記憶部に登録されるので、着信履歴の記録を行うか否かを発信元ごとに柔軟に設定することができる。よって、本発明は、銀行や証券会社等における為替、証券等の先物金融取引等の業務に使用されるディーリング通話システム及びディーリング通話端末等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係るディーリング通話システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】ディーリング通話端末の盤面を示す説明図である。
【図3】ディーリング通話端末の機能ブロックを示す図である。
【図4】発信元・発信先情報の一例を示す図である。
【図5】回線制御装置から着信メッセージを受信した際に履歴登録部において実行される履歴登録処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】回線制御装置に発信メッセージを送信した際に履歴登録部において実行される履歴登録処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 ディーリング通話システム
20 回線制御装置
100 ディーリング通話端末
110 CPU
112 ROM
114 RAM
120 記憶装置
130 プログラム
132 履歴登録部
134 登録数設定部
136 履歴表示部
138 計測部
140 データベース
142 履歴情報記憶部
144 発信元・発信先情報記憶部
146 登録数記憶部
148 ソート条件記憶部
150 通信部
154 ボタン操作部
156 コーディック部
158 送受話部
160 バス
162 スピーカ
170 操作エリア
172 ボタン操作部
174 ボタン表示部
176 表示部
180 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着呼応答時或いは発呼要求時に押下される複数の回線ボタンと、
着信履歴を記憶する履歴記憶部と、
回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された着信記録条件を記憶する発信元情報記憶部と、
着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する前記発信元情報記憶部に記憶された着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報を前記履歴記憶部に登録する履歴登録部と、
を備えるディーリング通話端末。
【請求項2】
請求項1に記載のディーリング通話端末において、
回線ボタン毎にそれぞれ割り付けられた発信先情報それぞれに関連づけて、発信先情報を発信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された発信登録条件を記憶する発信先情報記憶部を備え、
前記履歴登録部は、発信メッセージを送信したことに対応して、当該発信メッセージに含まれる発信先情報に対応する前記発信先情報記憶部に記憶された発信登録条件が発信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信先情報を前記履歴記憶部に登録する、
ことを特徴とするディーリング通話端末。
【請求項3】
請求項2に記載のディーリング通話端末において、
前記履歴記憶部に対して登録可能な発信元情報及び発信先情報の合計登録数が予め定められており、
前記履歴記憶部に対して着信履歴として登録する発信元情報の最大数と、発信履歴として登録する発信先情報の最大数との設定を、前記合計登録数の範囲で受け付ける登録数設定部を備え、
前記履歴登録部は、発信元情報或いは発信先情報を登録する際にすでに登録された発信元情報或いは発信先情報の登録数が前記登録数設定部により設定された最大数に達している場合には、前記履歴登録部に登録された最古の発信元情報或いは発信先情報を削除して、新たな発信元情報或いは発信先情報を登録する、
ことを特徴とするディーリング通話端末。
【請求項4】
請求項1に記載のディーリング通話端末において、
着信履歴の表示要求に対応して、前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報のうち、記憶された数が多い順に発信元情報を表示部に表示させる履歴表示制御部を備えることを特徴とするディーリング通話端末。
【請求項5】
請求項1に記載のディーリング通話端末において、
呼び出し時間又は呼び出し回数に基づいて定まる呼出継続時間を計測する計測部と、
着信履歴の表示要求に対応して前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報を表示部に表示させる履歴表示制御部と、
を備え、
前記履歴登録部は、発信元情報が着信履歴として登録対象の場合、前記計測部で計測された呼出継続時間を当該発信元情報と関連づけて、着信履歴として前記履歴記憶部に登録し、
前記履歴表示制御部は、着信履歴の表示要求に対応して、前記発信元情報記憶部に記憶された発信元情報のうち、呼出継続時間が長い順に発信元情報を表示部に表示させることを特徴とするディーリング通話端末。
【請求項6】
複数のディーリング通話端末と、前記複数のディーリング通話端末を収容し交換動作を行う回線制御装置とを備えるディーリング通話システムにおいて、
ディーリング通話端末ごとに着信履歴を記憶する履歴記憶部と、
各ディーリング通話端末が備える回線ボタン毎に割り付けられた発信元情報それぞれに関連づけて、発信元情報を着信履歴として前記履歴記憶部に登録するか否かが示された着信記録条件をディーリング通話端末ごとに記憶する発信元情報記憶部と、
一のディーリング通話端末が着信メッセージを受信したことに対応して、当該着信メッセージに含まれる発信元情報に対応する前記発信元情報記憶部に記憶された当該一のディーリング通話端末に対する着信登録条件が、着信履歴の登録対象である場合のみ、当該発信元情報を当該一のディーリング通話端末に対する着信履歴として前記履歴記憶部に登録する履歴登録部と、
を備えるディーリング通話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−147915(P2010−147915A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324251(P2008−324251)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】