説明

デザインされた粒子凝集

本発明は、デザインされたサイズおよび分布のフラクタル構造体への粒子の凝集方法を記載する。本発明は一般に、初めに分散された粒子からの、特異的サイズおよび構造に合わせられた粒子凝集体の製造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散系中のデザインされたサイズおよび分布のフラクタル構造体への粒子の凝集方法を記載する。本発明は一般に、特定のサイズおよび構造に合わせられた、かつ、分散粒子からの粒子凝集体のスラリーの製造に関する。より具体的には、それは、不安定なまたは不安定化スラリーを特異的構造に凝集させるための、媒体ミリング、回転子−固定子ミキサー、高速分散機および流体ジェットミルのようなミリング装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子の分散系はしばしば不安定である、すなわち粒子は無秩序に集まる(aggregate)または凝集(agglomerate)する傾向がある。しばしば粉末は、単一粒子よりもむしろ粒子の集まりを含んでなり、これらの粒子は通常集まっている。かかる集まりは商業上限定的に利用され、さらに処理されなければならない。集合体(aggregates)では、粒子が一緒にきつく、例えば焼結されて、およびランダム構造で保持されているので、かかる処理はしばしば困難である。凝集体(agglomerates)は、粒子間の接触面積がより少ないので、それらが再分散するのにより容易であり、かつ、粒子がより弱い粒子間力によって適所に保持されているという点で有用な構造体である。
【0003】
本発明は液体中の粉末の分散系に関する。テキスト(非特許文献1)は、この分散法での典型的な技術を記載している。パーフィット(Parfitt)がこのテキストの第1章で該方法を記載しているように、該分散法は3段階(液体中への顔料の湿潤、コロイド状粒子への粒子の分散、およびフロック化からの粒子の安定化)を有する。該分散法で用いられるミルは該方法の最初の2部分を成し遂げ、そして様々な化学添加剤がフロック化から分散系を安定化するために使用される。パーフィットによって記載されているように、これらの添加剤が添加されていない場合、液体中に分散された粒子が粒子のブラウン(Brownian)運動および粒子間のファンデルワールス(Van der Waals)引力によって大きな粒子クラスターへ速やかに凝集するであろうことは一般に理解される。これらの添加剤は、粒子の表面に電荷を与え、それによって粒子を別々に保つ静電気反発力を生み出すことよって分散された粒子を安定化する。別の例は、添加剤が粒子の表面に吸着し、粒子を物理的に別々に保つ(通常立体安定化と呼ばれる)場合である。
【0004】
多くの用途で、分散法の目標は、できるだけ細かいサイズに粒子を分散させることにある。これが通常所望の目標ではない用途がある。例えば、伝導性である必要があるペイント(例えば、自動車電気塗装)に用いられるスラリーに導電性粒子を添加する場合、粒子形伝導性ネットワークを有することが望ましい。最小数の粒子でこれが起こるためには、粒子は十分に分散されている(この場合それらは相互作用しないであろう)または非常に大きな塊に凝集している(それは多数の粒子が所望の伝導率目標を達成することを必要とする)のどちらであってもならない。
【0005】
材料が上記の周知の方法に従ってミルにかけられ、次に製品を形成するために再凝集させられる公知の幾つかの例がある。一例は、水中のプラスチック粒子のスラリーを媒体ミルにかけ、次に、乾燥によって水を除去する前に、粉体塗装に好適なより大きな粒子を形成するためにそれを加熱することによってスラリーを不安定化することによる粉体塗装材料の製造を記載している、特許文献1に見いだされる。凝集は、ミルにかけられたスラリーの後処理であり、形成される構造を制御するのを助けるために追加ミリングの使用を考えていない。別の例は、医薬品化合物を粒状にするためのボールミルの使用を彼らが記載している非特許文献2に見いだされる。彼らが記載している方法は、医薬品材料を細かいサイズに乾式研磨し、次に顆粒を形成するためにそれをより大きなサイズに凝集させることを含む。彼らは、この方法および凝集力とミルの脱凝集とをバランスさせるような類似の方法を記載している。彼らは、凝集を制御するために界面活性剤および表面電荷の周知の使用を記載しているが、固有の性質の凝集体を形成するために意図的に安定化を混乱させるというアイディアを述べていない。類似の方法は、グリーンテープの孔密度を制御するためにボールミル中でのセラミック粉末の凝集を記載している、非特許文献3に見いだされる。これらの方法に特有であるように、凝集は比較的制御されず、所望の構造を確立するのにミリング時間に単に依存している。
【0006】
様々な金属工作工業では、金属粉末を焼結させるためのミリングの使用(ここで、焼結は本質的に凝集の特殊化した形である)は周知である。特許文献2は、金属粉末が大きな粒子へ凝集させられ、最終的にはフレークを形成する典型的な方法を記載している。凝集およびフレーク形成は界面活性剤を添加することによって時々制御される。類似の方法が幾つかの金属粉末について非特許文献4に記載されている。彼らは、条件に依存して、粉末かフレークかのどちらかで、異なる焼結粒子モルフォロジーにつながるミリング条件と溶媒選択との組合せを記載している。これらの典型的な方法では、粉末は、焼結が始まるプロセス工程の前に決して安定化されない。
【0007】
【特許文献1】国際公開第9528435(A1)号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,402,066号明細書
【非特許文献1】G.D.パーフィット(G.D.Parfitt)編、「液体中の粉末の分散系(Dispersion of Powders in Liquids)」、第3版、ロンドン・アンド・ニュージャージー(London & New Jersey)、アプライド・サイエンス・パブリッシャーズ(Applied Science Publishers)、1981年
【非特許文献2】ハーセイおよびクライサー(Hersey and Krycer)著、「微細研磨および粗粒子の製造(Fine Grinding and the Production of Coarse Particulates)」、ケミカル・エンジニア(Chemical Engineer)V351(1979)
【非特許文献3】リューおよびリン(Liu and Lin)著、「粒子充填および焼結挙動に対する異なる特性のセラミック粉末の影響(Influence of ceramic powders of different characteristics on particle packing and sintering behavior)」、材料科学雑誌(Journal of Materials Science)、34(1999)、1959−1972ページ
【非特許文献4】ヘおよびシェーヌング(He and Schoenung)著、「ナノ構造化コーティング(Nanostructured Coatings)」、材料科学およびエンジニアリング(Materials Science and Engineering)、A336(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特異的構造のより大きな凝集体のスラリーを生み出すために、既に分散された粒子スラリーからスタートし、不安定化分散系の再凝集傾向と継続するミリングの再安定化効果とをバランスさせることによってそれを所与の用途向けに最適化する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
a)粒子を液体中でその場で(in situ)形成して不安定なスラリーを形成する
工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成(configuration)、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法に関する。
【0010】
本発明はまた、
a)粒子を液体中に分散させて不安定なスラリーを形成する工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法にも関する。
【0011】
本発明はまた、
a)粒子を含んでなる安定なスラリーを不安定化して不安定なスラリーを形成する工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法にも関する。
【0012】
本発明はまた、粒子凝集体およびそれらから製造される製品にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本方法では次の定義および説明が適用される。
【0014】
「スラリー」とは、液体中の粒子の分散系を意味する。例えば、アール.ディー.ネルソン(R.D.Nelson)著、「液体中での粉末の分散(Dispersing Powders in Liquids)」、エルスヴィール(Elsevier)、1988年、13ページを参照されたい。
【0015】
「安定なスラリー」とは、そのサイズおよび構造が関連タイムスケールにわたって変化しない、一次粒子か凝集体かのどちらかであり得る、微粒子の分散系を意味する。このタイムスケールは、処理の時間に、または製品に適用できるなら製品の貯蔵寿命に関する。
【0016】
「不安定なスラリー」とは、上記のような「安定なスラリー」の反対を意味する。
「凝集体」とは、凝集体の表面積が個々の成分粒子の合計と似ている、結びついたまたは結合した粒子の集団を意味する。粒子凝集体のサイズは、一次粒子のサイズ(一般にナノメートル・サイズの)からサイズで数百マイクロメートル以下の範囲であり得る。粒度分布は単峰型または多峰型であることができ、再びナノメートルから数百マイクロメートルの範囲であり得る。凝集体はフラクタル構造を示しても示さなくてもよい。フラクタル、または自己相似構造体は、結合した粒子の線状鎖を特徴づける1から、内部構造なしの濃密な中身の詰まった本体(すなわち、例えば中身の詰まった球)を構成する3という最大値までの範囲にある質量フラクタル次元(凝集体の質量をその特徴的なサイズに関係づけ
る指数法則)を有する。これに関連してフラクタル次元は、ヒーメンツおよびラジャゴパラン(Hiemenz & Rajagopalan)著、「コロイドおよび表面化学の原理(Principles of Colloid and Surface Chemistry)」、第3版、1997年に記載されているように凝集体の構造を記載するために用いられる。
【0017】
「スラリーの不安定化」とは、サイズを大きくする性向を有するように粒子または凝集体をもたらすスラリーの組成または状態の変化を意味する。
【0018】
「剪断装置」とは、流体に速度勾配を与える任意の装置を一般に意味する。これは、互いに移動中である2つもしくはそれ以上の表面に流体を曝すことによって機械的に行うことができる。表面が互いに移動する時、それらは流体中で表面間のギャップに速度勾配を生み出し、それ故流体は剪断される。剪断装置の非限定的な例には、タンク中のかき混ぜ機;回転子−固定子ミキサー;ギャップ間に流体入りの同心シリンダー(クエット(Couette)の形状としても知られる);櫂または翼の形状、互いに独立して移動する平行板付きクエット;円錐および板の形状;プラウ(plough)および/またはスクレーパ;ポンプが挙げられる。これらの例には、ミル、高圧ホモジナイザー、回転子−固定子ミキサー、タービンミキサー、パドルミキサー、海刃ミキサー、およびスクレーパブレード・ミキサーのような、しかしそれらに限定されない一般名の装置が挙げられる。あるいはまた、速度勾配は、導管を通して流体を流すことによってか、流体本体中に相対運動を生み出すことによって生み出すことができる。非限定的な例には、パイプまたはチャネルを通した流体のポンプ送液;流体の本体中への流体のジェットの導入;流体中に渦巻きまたはランダム運動の生成(例えば、振盪によって)が挙げられる。
【0019】
剪断装置の「エネルギー入力」は重要であり、分散された材料のKw/Kgと定義することができる。典型的には、範囲は、方法および/または分散対象に依存して、約1〜約100,000Kw/Kgであろう。
【0020】
剪断装置は媒体を使用することができる。典型的には、媒体はガラス、非限定的にジルコニア、イットリウム−安定化ジルコニア、他の安定化ジルコニア、ジルコニア・シリカを含む特殊セラミックス、ナイロンおよびポリウレタンのようなプラスチック、ならびに砂のようなシリカでできていることができる。典型的には、かかる媒体のサイズは約0.05マイクロメートル〜約5ミリメートルである。
【0021】
「改善された固−液分離」とは、液体からの固体粒子の分離を意味し、ここで、該改善は改善された濾過性、改善された沈降などによって定量化することができる。
【0022】
「改善された濾過性」は、次の非限定的パラメーターの1つもしくはそれ以上を測定することによって定量化することができる。多孔性材料を通り抜ける流量は、透過性およびフィルターケーキを通り抜ける液体の流れの容易さの尺度である。より高い流量は生産性を高めるために好ましい。一般に、流量は約1mL/分〜1000L/分であり得る。固形分残留率は、濾過で保留された不溶性固体粒子の百分率によって定量化される。また、濾過工程目的が液体から固体粒子を除去することにある場合、濾液の透明性も重要である。透明性は、不溶性固形分百分率によってまたは光後方散乱技術による濁度測定値によって定量化することができる。さらに、脱水または脱湿は、ガス置換によってのまたは圧縮による気孔率の低下によっての多孔性固形分システムからの液体の除去である。濾過圧力低下または圧力損失は、多孔性システムでの流体摩擦によって引き起こされる圧力の損失を意味する。これは一般に約1〜約30psi程度である。ケーキ透過性は、多孔性システムの流動抵抗であり、ダーシー(Darcy)方程式または関連技術で一般に見いだされる他の経験的関係を用いるフィルター試験で測定することができる。
【0023】
「改善された沈降」は、次の非限定的パラメーターの1つを測定することによって定量化することができる。沈降速度は、重力または遠心分離力による液体中での固体粒子の沈降速度を意味する。層流中の単一球形粒子については、沈降速度はストークス(Stokes)法則によって計算することができる。不規則な形状のおよび凝集した粒子ならびにより高濃度でについては、他の経験的関係を用いて沈降挙動を推定することができる。また、バルク挙動は固−液分離工程後の粒子状固形分の取扱い適性(例えば、沈降またはフィルターケーキ)をも記載する。バルク挙動は、スラリー−、ペースト−、粘土−、湿った砂−から乾いた粉末−様までおよびそれらの間の変形に及ぶことができる。密度は質量対体積の比と定義される。沈降過程目的が固体粒子を液体から完全に除去することにある場合、上澄液の透明性は重要である。透明性は、不溶性固形分百分率によってまたは光後方散乱技術による濁度測定値によって定量化することができる。
【0024】
本明細書で開示される方法は、それがナノ粒子の制御されたサイズおよびサイズ分布(フラクタル凝集体のフラクタル次元を含めて)の凝集体を生み出すという点で新規である。本方法は、剪断誘起またはオルトキネティック凝集、ブラウンまたはペリキネティック凝集、および剪断誘起分解の活性化エネルギーの差に基づいている。これは、水中の50nmシリカ粒子に適切なDLVO計算の結果(図1)によって例示され、粒子を一緒に動かすために必要とされるエネルギー、ΔEinが粒子を障壁から引き出すために必要とされるエネルギー、ΔEoutよりはるかに低いことを示す。このことから、理論臨界凝集濃度(CCC)は理論と実験との良好な一致で約0.8M KNOであると理解することができる。一次極小(凝集状態)から粒子を引き出すために利用可能な流体力は、凝集体の流体力学的半径に対応する。従って、ミリングは、十分に大きな凝集体が形成されるまで粒子を一緒に動かし(図2)、その時点ではかなりの速度の凝集体破壊が起こるであろう(図3)。平均粒度が十分に大きくなった時、凝集および破壊の速度はバランスし、定常状態の凝集体サイズおよびサイズ分布が制御可能なやり方で達成されるであろう。
【0025】
ナノ粒子の凝集体の粒度および粒度分布の両方の制御は、凝集体分解に対する粒子凝集の速度を制御することによって撹拌媒体ミルで達成することができる。これらの速度は、コロイド科学という脈絡の中で理解することができる、粒子間力の関数であることが示される(DLVO理論、ビー.ヴィ.ダーヤグインおよびエル.ディー.ランダウ(B.V.Deryaguin and L.D.Landau)、Acta Physicochim URSS、14(1941)、633ページ、イー.ジェー.ダブリュ.ヴァーウェイおよびジェイ.ス.ジー.オーバービーク(E.J.W.Verwey & J.Th.G.Overbeek)著、「疎液性コロイドの安定性の理論(Theory of the Stability of Lyophobic Colloids)」アムステルダム(Amsterdam)、エルスヴィール、1948年)。
【0026】
図1は、1重量%ルドックス(Ludox)(登録商標)コロイド状シリカ(ダブリュ.アール.グレース社、メリーランド州コロンビア(W.R.Grace and Co.,Columbia,MD))および0.4M KNOについての計算されたDLVO相互作用ポテンシャルを示す。該図では、次の記号が用いられる:
ε=液体の誘電率
βAeff=凝集カーネルとハメイカー(Hamaker)定数との積
a=粒子半径
|ζ|=ゼータ電位の大きさ
φ=固形分体積分率
η=液体の粘度
=速い凝集での安定比
Φ=kTの単位での粒子間相互作用ポテンシャル
h=粒子間分離
【0027】
DLVO相互作用は、上に引用された参考文献に記載されている方程式を用いて計算される。
【0028】
撹拌媒体ミル中のナノ粒子はおそらく乱流剪断(オルトキネティック)中にある。これらのミルでのサイズ低下がいわゆる「研磨限界」によって制限されることは公知である。環状ギャップ・ミル(Annular Gap Mill)でのナノ粒子の凝集の研究は、当該分散系の凝集および安定性に関してコロイド力および流体力に影響を及ぼす因子の影響の試験を可能にした。
【0029】
臨界凝集濃度の実験による測定は、凝集体半径を塩濃度の関数として測定することによって成し遂げられ、CCCは、凝集体サイズがこのケース1M KNOで横ばいになる濃度である。
【0030】
安定比、Wは、水中のポリスチレンについて(図4)と同じハメイカー定数を仮定して、プリーブおよびルッケンステイン(Prieve and Ruckenstein)近似とラッセル、サビルおよびショーウォルター(Russel,Savile and
Schowalter)著、「コロイド分散系(Colloidal Dispersion)」、ケンブリッジ、ケンブリッジ大学出版(Cambridge,Cambridge University Press)、1989年から取られた速い凝集安定比Winfとを用いて求められる。ペリキネティック凝集動力学は、37nmの一次粒度のルドックス(登録商標)からスタートして光散乱によって測定され、反応限定凝集であることが分かった(図5)。
【0031】
オルト動力学の測定は異なる剪断速度で行われ、剪断誘起凝集がブラウン凝集よりはるかに速いことを実証する。これらの凝集データはマスター曲線に変形することができる(図7)。
【0032】
粒子の小角中性子散乱研究は、一次粒子の形状が球形に近いことを示す。フラクタル構造体の散乱強度は、均質球についてのそれと構造因子との積である(図8)。構造因子は、ジェー.テイクセイラ(J.Teixeira)、応用結晶学雑誌(J.Applied Crystallography)、21(1988)、781ページに従って計算される。
【0033】
これらのデータのプロットはフラクタル次元が凝集時間と共に増加していくことを示し、一次粒子の長さスケールでの非フラクショナル・オーダーと解釈することができる。図9を参照されたい。
【0034】
最後に、小角中性子データ(図10)をシフト化光散乱データと合わせると、フラクタル次元、凝集体サイズおよび一次粒度が求められることを可能にする。図11を参照されたい。
【0035】
凝集体の異なる構造は、ピー.シー.ヒーメンツおよびアール.ラジャゴパラン(P.C.Hiemenz and R.Rajagopalan)著、「コロイドおよび表面化学の原理」、第3版、ニューヨーク、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、1997年によって記載されている。
【0036】
最後にブラウン凝集についてのフラクタル次元が図12にプロットされている。フラクタル次元は長時間で2.42に近づき、拡散限定モノマー・クラスター凝集に対応する。
【0037】
低い塩濃度および低い剪断で成長モデルは、乱流剪断流れではそれが反応限定モノマー・クラスター凝集になる、反応限定クラスター−クラスター凝集である。ブラウン凝集後の剪断は、凝集体の緻密化につながる(図13)。
【0038】
残りの図(図14)は、粘度が粒子成長と共に上昇する凝集中の粘度推移を示す。
【0039】
いったん不安定なスラリーが達成されると(安定なスラリーを不安定化することによって、不安定なスラリーから始めることによって、または液体中で粒子をその場で形成して不安定なスラリーを形成することによってのどれかで)、それは剪断装置で処理される。剪断装置は、スラリーに剪断を与える任意の装置であることができ、かかる装置の非限定的な例は、ミル(例えば、媒体ミル、撹拌媒体ミル、コロイドミル、ミクロ流動化剤ミル、回転子−固定子ミルなど)、およびミキサー(タービン、櫂、海刃など)である。撹拌媒体ミルが本発明で特に有用であることが示されてきた。
【0040】
上記のおよび本明細書に開示される参考文献での方法は、他の材料および最終用途に適用することができる。粒子の表面化学は、次のもの:表面電位(pH,塩タイプ、界面活性剤による);イオン強度(塩濃度およびタイプ、界面活性剤による);対イオン、オリゴマー、高分子電解質、ブロックコポリマー、マクロモノマー、分散相の溶解力、および立体安定性(界面活性剤、グラフトされたもしくは吸着されたポリマーもしくは高分子、または対イオンによる)を含むが、それらに限定されない因子を調節することによって調整することができる。
【0041】
スラリーのレオロジー特性は本発明で重要である。これらの特性は、次のパラメーターの1つもしくはそれ以上を単独でまたは組み合わせて調節することによって改質することができる。かかる一パラメーターは、固−液混合物中の固形分含有率の尺度である粒子ローディングである。質量関連値について、これは、固形分質量と固−液システムの総質量との比である。スラリー粒子ローディングは一般に約1重量%〜70重量%である。別のパラメーターは、粒子なしの純液体相の粘度である連続相粘度である。別のパラメーターは添加剤の添加であり、ここで、添加剤はシステムのレオロジー特性を実質的に変える物質と定義される。かかる添加剤の非限定的な例には、ヒドロコロイド、タンパク質、ポリマー、界面活性剤および塩が挙げられる。温度および粒度分布もまた重要なパラメーターである。温度は一般に約10℃〜約120℃である。
【0042】
連続相の溶解力(solvency)もまた重要なパラメーターであり、一般に溶解性パラメーターを用いて定義される(例えば、ハンセン溶解性パラメーター(Hansen
Solubility Parameters)、チャールス・ハンセン(Charles Hansen)、CRCプレス、2000年を参照されたい)。これらは一般に極性の、非極性の、および水素結合要素を有し、所与の連続相または連続相の混合物のシステムの溶解力を明確にする。2つの連続相が混合される時、システムの溶解力は溶解性パラメーターの1つもしくはそれ以上の変化によって変えられる。±0.1単位程度での小さな変化でさえも分散剤のような他の溶解した物質の相平衡を変え、それ故、分散系安定性に影響を及ぼす。
【0043】
粒子安定性と上記の凝集因子とを操作すること、およびそれによって調節される様々なパラメーターをバランスさせることによって、所望のサイズ分布および構造の粒子を形成することができる。上記のような、規則的コロイド分散理論と実際とは、残りの粒子安定性部分についての枠組を提供するが、ミリング理論と実際とは、凝集部分についての枠組を提供する。例えば、凝集体の粒度の増加は、塩を分散系に添加することによって達成することができよう。同じ目標はまた、ミル中の比エネルギーを減らすことによっても達成
することができよう。
【0044】
様々な構造の粒子を本発明の方法によって製造することができる。これらは、その例がコア−シェル構造体である微細構造化粒子を含むがそれに限定されない。
【0045】
本方法は食品粒子を調製するために用いることができる。「食品粒子」とは、それらが分散されている液体に不溶性である食用粒子を意味する。それらは、結晶形または非晶形にあることができる。かかる粒子の組成物は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、芳香および風味物質、ビタミン、ミネラル、風味相乗剤、砂糖代用品および甘味料、食品色素、酸およびその塩、塩基およびその塩、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、界面活性剤(乳化剤)、増粘剤および安定剤、湿潤剤および可塑剤、人工脂肪、固化防止剤、ならびに漂白剤および清澄剤を含むがそれらに限定されない。
【0046】
本方法はタンパク質粒子を調製するために用いることができる。「タンパク質粒子」とは、タンパク質またはタンパク質混合物の沈殿したまたは結晶化した粒子を一般に意味する。タンパク質粒子はまた、脂質または炭水化物のような、他の成分を含有してもよい(例えば、リポタンパク質または糖タンパク質)。
【0047】
本方法は医薬品粒子を調製するために用いることができる。「医薬品粒子」とは、ビタミン、栄養補助食品、ミネラル、酵素、タンパク質、ペプチド、抗体、ワクチン、プロバイオティクス、気管支拡張薬、タンパク同化ステロイド、興奮薬、鎮痛薬、麻酔薬、制酸薬、抗蠕虫薬(antihelmintics)、抗不整脈薬(anti−arrthymics)、抗生物質、抗凝血剤、抗コリン薬(anticolonergics)、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、下痢止め薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗ホルモン剤、降圧剤、抗炎症薬、抗ムスカリン薬、抗真菌薬、抗腫瘍薬、抗肥満薬、抗原虫薬、抗精神病薬、抗痙薬(antispasmotics)、抗トロンビン剤(anti−thrombics)、抗甲状腺薬、鎮咳薬、抗ウィルス薬、抗不安薬、収れん剤、ベータ−アドレナリン作動性受容体遮断薬、胆汁酸、気管支鎮痙薬、カルシウムチャネル遮断薬、強心配糖体、避妊薬、コルチコステロイド、診断薬、消化剤、利尿薬、ドーパミン作動薬、電解質、催吐薬、止血剤、ホルモン、ホルモン補充療法薬、睡眠薬、血糖降下薬、免疫抑制剤、インポテンス薬、下剤、脂質調整剤、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、副交感神経緊張剤(parasympathicolytics)、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、精神刺激薬、鎮静剤、性ステロイド、鎮痙薬、スルホンアミド、交感神経緊張薬剤(sympathicolytics)、交感神経作用薬、交感神経興奮剤、甲状腺ホルモン様作動薬(thyreomimetics)、甲状腺ホルモン抑制薬(thyreostaticdrugs)、血管拡張薬(vasodialators)、およびキサンチンを一般に意味するが、それらに限定されない。
【0048】
本方法は農薬粒子を調製するために用いることができる。「農薬粒子」とは、除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、殺線虫剤および植物成長調節剤を一般に意味するが、それらに限定されない。あるいはまた、本発明の固体作物保護粒子は作物保護微生物であってもよい。かかる微生物には、有益なウィルス、細菌、線虫、真菌類および原生動物が含まれる。
【0049】
本方法は顔料粒子を調製するために用いることができる。「顔料粒子」とは、光吸収と光散乱との組合せによって色または外観の他の変化を材料に与える任意の粒子を一般に意味するが、それらに限定されない。
【0050】
本方法は伝導性フィルムを調製するために用いることができる。「伝導性フィルム」とは、電気または熱を非伝導性フィルムよりはるかにより容易に導く任意のフィルムを意味
する。導電性フィルムの導電率は、非伝導性フィルムのそれより100倍もしくはそれ以上大きいかもしれない。フィルムの熱伝導率は非伝導性フィルムのそれより10倍大きいかもしれない。これらのフィルムは銀を含んでなってもよい。
【0051】
分析方法
凝集動力学は、動的光散乱(DLS、ブルックハーベン・インスツルメンツ社(Brookhaven Instruments Corp.)製のゼータパルス(ZetaPals))を用いて粒子および電解質濃度の関数として測定される。凝集過程および凝集体の構造についてのさらなる情報はまた、小角中性子散乱(SANS、機器NG−3を用いてNISTの中性子研究センター(NIST’s Center for Neutron Research)で20MW研究反応器で、そして応用結晶学雑誌、31(1998)、430ページ)にグリンカ(Glinka)らによって記載されている)および流動光学光散乱(ROA)実験からも得られる。測定された量は、分解および凝集メカニズムを含み、かつ、コロイド安定性の基本的メカニズムを含むように修正されている、粒子母集団収支モデルで凝集および分解カーネルにおけるパラメーターを測定するために用いることができる。
【0052】
様々なミルを本明細書に記載されるような方法のために用いることができ、その非限定的な例には、媒体、ミリング、回転子−固定子ミキサー、高速分散機、高圧媒体ミルおよび流体ジェットミルが挙げられる。
【0053】
特に明記しない限り、すべての化学薬品および試薬はアルドリッチ・ケミカル社、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI.)から受け取ったまま使用する。
【実施例】
【0054】
実施例1〜4:凝集速度および粒度の測定
実施例1
異なる剪断応力での粒子凝集速度を動的光散乱(DLS)によって測定した。コロイド状シリカ(ルドックスTM−50)をKOH水溶液中5重量%に8.84のpHおよび0.2M KNOに希釈し、懸濁液を本目的のために1000s−1で高剪断流動計で剪断した。懸濁液のサンプルを異なる時間に取り出し、凝集体のサイズをDLSで測定した。ペリキネティック凝集もまた各サンプルについて測定した。凝集体のサイズは加えた剪断応力なしでは安定であった。
【0055】
実施例2
実施例1を、0.2M KNOの代わりに0.4M KNOの塩濃度で繰り返す。0.4M KNOでエネルギー障壁ΔEinは、0.2M KNOでのエネルギー障壁よりはるかに低い。凝集速度は同様に測定され、はるかにより速い。
【0056】
実施例3
次の実験は、非イオン界面活性剤をシステムに添加することによってエネルギー障壁ΔEoutを下げる。エネルギー障壁を下げることによって、凝集体の最終サイズは制御される。障壁が粒子周りの界面活性剤の層によって下げられる時に、粒子は障壁をより容易に乗り越えることができる。こういう訳で、最終粒度はより小さい。
【0057】
実施例4
流動計での対照実験を成功裡に行った後、剪断応力を、流動計の代わりに撹拌媒体ミル中で分散系にかける。凝集および破壊速度を上記のようにDLSで測定する。
【0058】
実施例5:伝導性フィルムの製造
安定なカーボンブラック分散系を、10重量%の伝導性カーボンブラック、5重量%アクリル分散剤、および75重量%キシレンを使用して製造した。これを、スラリーがミル中30分の滞留時間を有するようにミルを通してスラリーを再循環させることによって媒体ミル法で製造した。ミルは、SEPR(エス.イー.ファイアストン・アソシェーション、ラッセル・フィネックス社、ノースカロライナ州シャーロット(S.E.Firestone Assoc.,Russell Finex Inc.,Charlotte,NC))製の85%ローディングの0.6〜0.8mmジルコニア・シリカ媒体を有し、14m/秒の先端速度で運転された。
【0059】
分散系を製造した後、それを、酢酸ブチルおよびポリ(メタクリル酸メチル)ベースのバインダー樹脂の50/50混合物の溶液を加えることによって不安定化した。分散系対樹脂溶液の比は、カーボンブラック対バインダー樹脂の比が1対20であるように1:4であった。この混合物を、スラリーがミル中5分の滞留時間を有するような再循環によって媒体ミル中で処理した。ミルは、SEPR(エス.イー.ファイアストン・アソシェーション、ラッセル・フィネックス社、ノースカロライナ州シャーロット)製の85%ローディングの1.0〜1.2mmジルコニア・シリカ媒体を有し、10m/秒の先端速度で運転された。
【0060】
これらの条件は、生じた混合物を2ミル厚さのフィルムへ引く時にフィルムの厚さを通して最善の伝導率を与えた。これらの条件の変動は、より低いフィルム伝導率をもたらした。
【0061】
実施例6:タンパク質粒子凝集
大豆タンパク質抽出
すべての実験に使用した大豆タンパク質源は、すり砕いた脱脂大豆フレークであった。抽出を室温(21〜23℃)で1:10大豆粉対水比で実施した。水のpHを1N NaOHおよび0.03Mの亜硫酸水素ナトリウム(Na)で約8.5に調節する。30gの大豆粉を300mlの水に加え、一定温度水浴中で1時間オーバーヘッド羽根車で撹拌した。懸濁液を、ベックマン・コウルター(カリフォルニア州フラートン)(Beckman Coulter(Fullerton,CA))アレグラ21R遠心分離機(Allegra 21R Centrifuge)で、15000rpmで30分間遠心分離した。タンパク質抽出液の最終pHはおおよそ7.5であった。何の亜硫酸水素ナトリウムも加えなかった時の抽出液の最終pHはおおよそ6.5であった。
【0062】
流動計での大豆アイソレート凝集
大豆アイソレート凝集体を、タンパク質抽出液のpHを1N HClで4に下げることによって形成した。凝集をパール・フィジカ(Paar Physica)MCR300を用いてクエット・シリンダーの形状の制御された剪断場で行った。凝集を下端については10 1/秒および上端については3000 1/秒の剪断速度で行った。酸を剪断下のクエット・シリンダー中へ直接ピペットで添加した。酸添加の後、剪断を一定の剪断速度で5分間保った。温度を流動計温度調節器によって一定(22℃)に保った。凝集体のサンプルを光学顕微鏡およびpsdによって特徴づけた。
【0063】
低剪断生成物は、ゆっくりと沈降し、かつ、かなりの同伴で不十分に濾過される弱いオープン・フロックを含んでなった。増加する剪断速度と共に、凝集体はより多孔性でなくなり、広いギャップで3000秒−1で剪断される時に凝集体はより濃密に、そして約10〜50μmになった。構造化凝集体は効率よく濾過された。
【0064】
実施例7:作物保護化学薬品凝集体形成
キシレン(86g)、40.4gイソプロピルアルコールをビーカー中で混合し、75℃に加熱した。この混合物に30gのファモゼイト(famoxate)(デュポン社、デラウェア州ウィルミントン(DuPont Co.,Wilmington,DE))を加えた。ファモゼイトはすべてこれらの条件下で溶解した。溶液を、同心シリンダーの形状(CC27ボブ半径13.33mm、CC27カップ半径14.46mm、CC17ボブ半径8.33mm)を用いるパール・フィジカMCR300流動計に移した。
【0065】
低剪断速度実施例は、流動計でCC27ボブおよびCC27カップで行い、10秒−1、75℃で約6分間運転した。剪断応力は6〜8mPaで安定していた。温度を75℃から20℃まで15分にわたって下降させた。
【0066】
高剪断速度実施例は流動計でCC27ボブおよびCC27カップで行った。それを3300rpmでスタートし、次に温度を75℃から20℃まで15分にわたって下降させた。
【0067】
高剪断乱流実施例は流動計でCC17ボブおよびCC27カップで行った。RPM(剪断速度ではない)を3300rpmという最大値で制御した。剪断応力が250,000mPaで横ばいになるまで(約2分間)、温度を75℃に保持した。温度を75℃から20℃まで15分で下降させた。
【0068】
低剪断速度実施例は冷却サイクルの終わりに大部分は依然として溶解したままであり、溶質は、ファモゼイトに特有の特徴的な針状粒子に顕微鏡下で結晶化した。その間に高い層流剪断で、粒子は、中心から放射状に広がる針を含んでなる球状粒子へ凝集した。乱流剪断実施例は、不明確な形状の、しかし(先行実施例とは違って)ほとんどまたは何のフリーな連続相も持たないような針ではない大きな粒子を形成した。
【0069】
実施例8:銀粒子
銀のナノ粒子を、静止容器中で硝酸銀溶液を水素化ホウ素ナトリウムで還元することによって調製する。ポリビニルピロリドン(PVP)が生じた懸濁液を安定化するために存在した。粒度分布は、20nmの中央粒度で、非常に狭かった。ポリビニルピロリドンなしでこの方法を繰り返すと、より大きな粒子をもたらした。このペアの実験を激しく撹拌される容器中で繰り返すと、両ケースでより大きな凝集体をもたらした。
【0070】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ルドックス(登録商標)およびKNOについての塩濃度の関数としてのDLVO相互作用エネルギーのグラフ図である。
【図2】粒子の凝集を描く漫画である。
【図3】親粒子からの娘粒子の生成を描く漫画である。
【図4】KNO中のルドックス(登録商標)についての安定性比のグラフ図である。
【図5】KNOの様々な濃度でのルドックス(登録商標)のペリキネティック凝集の測定のグラフ図である。
【図6】異なる剪断でのルドックス(登録商標)のオルトキネティック凝集動力学のグラフ図である。
【図7】KNO中のルドックス(登録商標)の凝集値のグラフ図である。
【図8】ルドックス(登録商標)の小角中性子散乱(SANS)のグラフ図である。
【図9】時間と共にルドックス(登録商標)のフラクタル次元の増加を示すグラフ図である。
【図10】ルドックス(登録商標)についての小角中性子散乱および光散乱実験を比較するグラフ図である。
【図11】時間の関数としての1M KNO中の1重量%ルドックス(登録商標)についてのフラクタル次元を示すグラフ図である。
【図12】時間の関数としての0.4M KNO中の5重量%ルドックス(登録商標)についてのフラクタル次元を示すグラフ図である。
【図13】剪断装置で様々な時間について[KNO]の関数としてのルドックス(登録商標)の凝集のグラフ図である。
【図14】制御された凝集の間のルドックス(登録商標)分散系の粘度のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)粒子を液体中でその場で形成して不安定なスラリーを形成する工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法。
【請求項2】
a)粒子を液体中に分散させて不安定なスラリーを形成する工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法。
【請求項3】
a)粒子を含んでなる安定なスラリーを不安定化して不安定なスラリーを形成する工程と、
b)前記スラリーを、流量、エネルギー入力、機器構成、形状、媒体サイズ、媒体タイプ、圧力降下、温度、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるプロセスパラメーターによって制御される剪断装置で処理する工程と、
c)所望のサイズ、サイズ分布、構造および安定性を有する粒子凝集体を形成する工程と
を含んでなる、粒子凝集体の製造方法。
【請求項4】
前記剪断装置がタンク中のかき混ぜ機;回転子−固定子ミキサー;ギャップ間に流体入りの同心シリンダー;互いに独立して移動する平行板;円錐および板の形状;プラウ、スクレーパ;およびポンプよりなる群から選択される請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
剪断装置が媒体ミルである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
媒体ミルが撹拌媒体ミルである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
剪断装置が回転子−固定子ミキサーである請求項4に記載の方法。
【請求項8】
剪断装置がスクレーパブレード・ミキサーである請求項4に記載の方法。
【請求項9】
形成された凝集体が改善された固−液分離を示す請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
固−液分離が改善された濾過性によって実証される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
固−液分離が改善された沈降によって実証される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
スラリーの不安定化が前記粒子の表面化学を調節することによって達成される請求項3に記載の方法。
【請求項13】
粒子の表面化学が塩、酸、塩基、界面活性剤、対イオン、オリゴマー、高分子電解質、ブロックコポリマー、高分子、またはそれらの組合せの添加によって調節される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粒子の表面化学が連続相の溶解力を改質することによって調節される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
凝集が工程(a)のスラリーのレオロジー特性、スラリー粒子ローディング、剪断装置のプロセスパラメーター、またはそれらの組合せを変えることによって調節される請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
スラリーのレオロジー特性が粒子ローディング、連続相粘度、温度、添加剤の添加、粒度分布、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるパラメーターを調節することによって改質される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される伝導性フィルム。
【請求項18】
粒子凝集体が銀を含んでなる請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
前記粒子が銀を含んでなる、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体。
【請求項20】
前記粒子が金を含んでなる、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体。
【請求項21】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される食品粒子。
【請求項22】
粒子凝集体がアミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、芳香および風味物質、ビタミン、ミネラル、風味相乗剤、砂糖代用品および甘味料、食品色素、酸およびその塩、塩基およびその塩、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、界面活性剤(乳化剤)、増粘剤および安定剤、湿潤剤および可塑剤、人工脂肪、固化防止剤、漂白剤および清澄剤、ならびにそれらの混合物を含んでなる請求項21に記載の食品粒子。
【請求項23】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製されるタンパク質粒子。
【請求項24】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される医薬品粒子。
【請求項25】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される農薬粒子。
【請求項26】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される顔料粒子。
【請求項27】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される粒子分散系。
【請求項28】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法によって製造される粒子凝集体を用いて調製される粒子であって、コア−シェル構造を含んでなる粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−524503(P2007−524503A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517861(P2006−517861)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/021931
【国際公開番号】WO2005/016506
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】