説明

デジタルカメラ

【課題】衝撃で光学筐体が移動してもバリア部材に影響を及ぼさないデジタルカメラを提供する。
【解決手段】第1の光軸に沿って入射する被写体光を第1の光軸と垂直な第2の光軸方向へ反射させその光束を第2の光軸上に位置する撮像素子25へ結像させるレンズ群とこれを駆動し第1の光軸に沿う入射光束を遮蔽する位置と同光束の入射を許容する位置とに移動するバリア部材51を駆動する駆動力発生手段42,43,43a,57とを有し全体が扁平形状の光学筐体4と、光学筐体を第2の光軸方向にのみ摺動可能に収納する収納部2xとバリア部材とが配置され駆動力発生手段の駆動力をバリア部材に伝達する伝達手段50とを有するカメラ本体と、収納部の内面と光学筐体の外面との間に設けた衝撃吸収手段24とを備え、衝撃により収納部の内部で光学筐体が相対的に第2の光軸方向にのみ摺動変位しても駆動力発生手段と伝達手段との連結関係を維持するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り曲げ光学系とカメラ本体内部に収納されたレンズバリア部材とを有するデジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光学レンズ等からなるレンズ鏡枠ユニットと、光学レンズによって結像される被写体の光学像を光電変換する撮像素子を含む撮像ユニット等を備えたデジタルカメラが種々実用化されている。
【0003】
これらのデジタルカメラは、使用者が常に携行して持ち運び、気軽に場所を選ばずに使用することができるように、常に機器全体の小型化が望まれている。
【0004】
一方、使用者がデジタルカメラを常に携行するようになると、例えばデジタルカメラの携行中に誤って落下させたり、意図せずに壁等に衝突させてしまう等の可能性が多くなる。しかしながら、このようなデジタルカメラは極めて精密に構成される機器であるので、外部から衝撃力を受けると、その外力の影響は内部構成物にまで及ぶことがあり、それによって内部構成物を破損させたり故障させてしまうことにもなりかねない。
【0005】
そこで、従来のデジタルカメラ等の小型機器においては、落下等の衝撃に対応するために、機器本体内の内部構成物が移動可能となるように構成すると共に、この移動可能な内部構成物の外面と機器本体の内面との間に緩衝部材を設けた、いわゆるフローティング構造で構成したものが、(例えば特開2003−258971号公報,特開2005−306078号公報,特開2006−80987号公報,特開2006−40503号公報等)種々提案されている。
【0006】
このようなフローティング構造の小型機器では、外力による衝撃力が機器本体外部に加わったとき、緩衝部材が圧縮されることで、その衝撃力が吸収されるようになっている。
【0007】
上記特開2003−258971号公報によって開示されている小型機器は、カメラユニットを保持しかつ輪郭を画定する本体ケースを備えた携帯電話機等であって、本体ケースを通してカメラユニットへ加わる衝撃力を緩和させるために、ユニットケースと本体ケースとの間であって、レンズの移動方向(光軸方向;X軸方向)及びそれと垂直な方向(Y軸方向)のそれぞれに沿う面に緩衝部材を設けて構成している。なお、当該公報に記載の機器においては、カメラユニットに設けられた撮影光学系をガイド軸に沿って移動させる駆動手段としてカム部材が採用されている。
【0008】
上記特開2005−306078号公報によって開示されている小型機器は、車室内のダッシュパネルに設置される車載用プレーヤ装置であって、ダッシュパネルに組み込まれる外筐体と、この外筐体に収納される装置本体とのあいだに緩衝部材を介在させて構成している。
【0009】
上記特開2006−80987号公報及び上記特開2006−40503号公報によって開示されている小型機器は、機器本体内に収納されるディスク状記録媒体カートリッジを着脱自在に収納するスロット部の外面と、他の内部構成物との間に緩衝部材を介在させて構成している。
【特許文献1】特開2003−258971号公報
【特許文献2】特開2005−306078号公報
【特許文献3】特開2006−80987号公報
【特許文献4】特開2006−40503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記特開2003−258971号公報によって開示されている手段では、レンズの移動方向(X軸方向)及びそれと垂直な方向(Y軸方向)のそれぞれに沿う面に緩衝部材を配設したので、レンズ移動方向(X軸方向)に衝撃力が加わった場合、緩衝部材にかかる力は押圧力と剪断力となる。この場合には、緩衝部材が圧縮された際の反発力と剪断力とが互いにその効力を打ち消し合ってしまうことになる。
【0011】
また、デジタルカメラ等においては、光学レンズ等を有する光学筐体がカメラ本体内部に収納して構成されているのであるが、この光学筐体は、レンズ移動方向(X軸方向)以外の方向、即ちY軸方向,Z軸方向については、カメラ本体等によって、外部からの衝撃力に対する強度が確保されていると言える。その一方で、光学筐体内の光学レンズは、例えば合焦動作や変倍動作等のために所定の方向(光軸方向)への移動が自在となるように構成されている。このことは、特に光軸に沿う方向の外力が光学筐体に加わった場合には、強度的に不利な構成であると言える。また、上述のように緩衝部材の圧縮力により衝撃を吸収する手段では、緩衝部材の圧縮に伴って生じる反発力が光学筐体に影響を及ぼすことも考えられる。
【0012】
さらに、機器内面に緩衝部材を設ける場合、その厚み分だけ機器内部の空間が必要となる。特に光学レンズが移動する方向である光軸方向の寸法は確実に確保しなければならないという事情から、光軸方向と直交する方向に沿う面に緩衝部材を設けた場合、長手方向の大型化につながってしまうという問題点もある。
【0013】
一方、緩衝部材を圧縮させることで衝撃を吸収させる手段では、緩衝部材の厚みが衝撃吸収性に寄与しており、緩衝部材が薄くなるほどその効果は少なくなるという傾向がある。
【0014】
その反面、携行して使用するデジタルカメラ等にあっては、機器本体の小型化や薄型化への要求が常にあるため、機器本体と内部構成物との間に充分な衝撃吸収性能を有する緩衝部材を配設する空間を確保することは困難な状況となっているという問題点もある。
【0015】
他方、デジタルカメラにおいては、カメラの不使用時には撮影用の光学レンズの最前面を保護する閉位置に配置される一方、カメラの使用時には撮影用の光学レンズの最前面から退避する開位置に移動自在に構成されるレンズバリア部材を有するものがある。このレンズバリア部材は、モータ等の動力源及びギヤー列等の動力伝達手段等からなる駆動手段によって開閉動作が行われるようになっている。
【0016】
このようなこのレンズバリア部材を有する従来のデジタルカメラにおいては、外部からの衝撃がカメラ本体に加わって、その衝撃の影響がレンズバリア部材に及んだ場合、例えばレンズバリア部材の配置がずれしまうようなことも考えられる。
【0017】
通常は、このような場合を考慮して、撮影用の光学レンズの最前面の領域よりもレンズバリア部材が大きくなるように設定することによって、多少のずれ等をカバーする等の対処がとられている。
【0018】
しかしながら、レンズバリア部材を不必要に大きく設定することは、これを配設すべきカメラ本体の小型化を阻害する要因になるという問題点がある。
【0019】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、カメラ本体に衝撃が加わった際に、カメラ本体に対して光学筺体及びカメラ本体側に配置されたレンズバリア部材への衝撃を緩和することができるデジタルカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明によるデジタルカメラは、第1の光軸に沿って入射してきた被写体光を当該第1の光軸と垂直な第2の光軸方向へ反射させ、当該反射された被写体光を第2の光軸上に位置する撮像素子へ結像させるためのレンズ群と、当該レンズ群を駆動すると共に上記第1の光軸に沿って入射してくる被写体光を遮蔽する位置と上記第1の光軸に沿って入射してくる被写体光の入射を許容する位置とに移動するバリア部材を駆動するための駆動力を発生する駆動力発生手段と、を有し、全体として扁平な形状をした光学筐体と、上記光学筐体を上記第2の光軸方向にのみスライド可能に収納する収納部と、上記バリア部材と、が配置されていて、上記駆動力発生手段からの駆動力を上記バリア部材に伝達する伝達手段と、を有するカメラ本体と、上記カメラ本体の上記収納部の内面部分と上記扁平な光学筐体の外面部分と、の間に設けられた衝撃吸収手段と、を具備し、衝撃により上記カメラ本体収納部の内部で上記光学筐体が相対的に第2の光軸方向にのみスライド変位したときであっても、上記駆動力発生手段と上記伝達手段との連結関係が維持されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、レンズ鏡枠ユニットを含む光学筺体に配置されたレンズ等を駆動する駆動手段からの駆動力の一部をレンズバリア部材の駆動にも用いるデジタルカメラにおいて、カメラ本体に衝撃が加わった際に、カメラ本体に対して光学筺体を衝撃が緩和するように移動させるとともに、当該光学筺体が移動してもその移動に影響が及ぼされないレンズバリア機構を備えたデジタルカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0023】
まず、図1〜図7を用いて本実施形態の概略構成を説明する。図1は、本実施形態のデジタルカメラの外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態のデジタルカメラの背面を示す背面図である。この図2においては、デジタルカメラの背面側の一部を破いて内部に設けられる光学筐体の配置を示している。図3は、本デジタルカメラのカメラ本体に対する光学筐体の配置状態を概略的に示す要部拡大図である。図4は、本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体と光学筐体の組み立て構造を示す分解斜視図である。図5,図6は、本実施形態のデジタルカメラの光学筐体を取り出してその前面側から見た外観斜視図であって、図5は光学筐体の前面に配設される衝撃吸手段を分解して示す図である。図6は、光学筐体の前面レンズバリア部材と衝撃吸手段とが取り付けられた状態を示す組立図である。図7は、本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の衝撃吸収材の取り付け部位の断面(図6の[7]−[7]線に沿う断面)を拡大して示す要部拡大断面図である。
【0024】
図1及び図2において、本実施形態のデジタルカメラ(以下、カメラと略記する)1は、略直方体の箱型形状からなるカメラ本体と、このカメラ本体の内部に組み付けられる全体として扁平な形状をした光学筐体4等や各種のユニット,電気回路等の内部構成物と、カメラ本体の表面上に配設され内部構成物に連繋する各種の操作部材(14,15)等によって主に構成されている。
【0025】
本実施形態のカメラ1を構成する光学筐体4(図8で詳述する)は、第1の光軸に沿って入射してきた被写体光を、この第1の光軸O1に対して直交する第2の光軸O2方向へと折り曲げて、この第2の光軸O2上に配置される撮像素子の受光面に光学的な被写体像を結像させるように構成される折り曲げ光学系や、シャッタ,レンズ駆動装置等を含むレンズ鏡枠ユニットによって主に構成されている。
【0026】
また、本実施形態のカメラ1を構成するカメラ本体は、図1に示すように、前面,両側面,上面,底面を覆うように形成される前面カバー部材2と、主に背面側を覆うように形成される背面カバー部材3とを組み合わせた形態で箱形状に構成されている。そして、このカメラ本体内部の所定の部位には光学筐体4が移動可能に配置されている。
【0027】
カメラ本体の背面側の背面カバー部材3には、例えばズーム用のTボタン及びWボタン,動作モード設定ボタン,撮影及び再生動作切換ボタン,メニュー表示操作ボタン,撮影領域切換ボタン(マクロボタン),ストロボモード切換ボタン,セルフタイマーボタン,露出補正切換ボタン等等、撮影及び再生時に実行すべき各種の操作入力を行う際に用いられる複数の操作部材13と、表示装置の表示部16が設けられている。
【0028】
背面カバー部材3の略中央部には、表示部16の表示が外部に向けて露出し得るように表示窓16a(図4参照)が開口している。カメラ本体の上面側にはシャッターボタン14,電源操作ボタン15等の操作部材が配設されている。
【0029】
前面カバー部材2には、当該カメラ本体内部に設けられる光学筐体4(図1では図示せず)に対して光束を入射させるための撮影用窓2dや閃光発光装置の発光用窓2e等が開口されている。
【0030】
カメラ1は、前面カバー部材2と背面カバー部材3とを組み合わせた状態で、両者の四隅の部位をネジ等の連結部材を用いて互いに固設することで箱形状のカメラ本体が形成されるようになっている。
【0031】
このように形成されるカメラ本体の内部空間には、光学筐体4や表示装置等の複数の内部構成ユニットや、各種の電気回路を形成する複数の回路基板及び電気部材等(例えば図4に示すメイン基板18やストロボコンデンサ17等)が各所定の部位に配設されている。
【0032】
光学筐体4は、全体として扁平な形状をしており、折り曲げ光学系を構成する複数の光学レンズ及びそのレンズ保持枠等からなるレンズ鏡枠ユニットを有し、前面カバー部材2の撮影用窓2d(図1参照)から第1の光軸O1に沿って入射してきた被写体からの光束を、反射プリズム(後述する。図1では図示せず)によって第1の光軸O1に対して直交する方向へと折り曲げて、折り曲げられた後の第2の光軸O2上であって当該光学筐体4の底面側へ配設されている撮像素子25(図3参照)側へと導き、その受光面上に光学的な被写体像を結像させる。
【0033】
光学筐体4の主要構成の詳細は後述する(図8等参照)が、この光学筐体4は、このほかにも例えばシャッタユニット,このシャッタユニットを駆動するシャッタ駆動モータ,フォーカシングモータ,ズーミングモータ,これら各モータの駆動力を各所定の部位へと伝達する駆動力伝達手段,レンズバリア部材(図6の符号51参照)を備えたレンズバリアユニット,撮像素子25(図3参照)を実装した電気基板等が一体に、光軸O2方向に移動可能となるように構成されている。
【0034】
この光学筐体4は、本カメラ1のカメラ本体の内部において、例えば図2に示すようにカメラ本体内部の一方の側面に寄った所定の部位に配設されている。なお、光学筐体4のカメラ本体内部における配置については、本実施形態の例に限ることはなく、例えばカメラ本体内部の略中央部分に配設するようにしてもよい。
【0035】
この場合において、カメラ1の前面カバー部材2の内面には、図3に示すように光学筐体4をその第2の光軸O2に沿う方向にのみ摺動自在に収納するように収納部2xが形成されている。なお、図3において斜線で示される枠内の部位が、収納部2xに相当することを示している。
【0036】
この収納部2xは、カメラ1の前面カバー部材2の内面に光学筐体4の外形形状に合わせて段差をつけて形成されており、光学筐体4の第2の光軸O2を挟んで両側に支持部2f,2g,2h,2iが設けられている。
【0037】
そして、この収納部2x内に光学筐体4が配置された状態では、これらの支持部2f,2g,2h,2iに対して光学筐体4の四隅の近傍部位、即ち図3に示す符号4f,4g,4h,4iの部位が面接触するようになっている。
【0038】
つまり、光学筐体4の四隅に近い部位4f,4g,4h,4iのそれぞれが収納部2xの支持部2f,2g,2h,2iに対して面接触することによって、光学筐体4は、前面カバー部材2の収納部2x内において第2の光軸O2に沿う方向にのみ摺動自在に支持されており、かつ第2の光軸O2に対して直交する方向であって図4に示すY軸方向への移動が規制されている。
【0039】
さらに、当該光学筐体4の背面側の外面には、図4に示す板状オサエ部材21(図3では図示せず)が配設されており、この板状オサエ部材21は、前面カバー部材2の内面側に設けられる固定部2j,2k,2lに対して複数のビス31(図4参照)によってネジ止め固定されている。
【0040】
つまり、光学筐体4は、前面カバー部材2の収納部2x内に配置された状態で、前面カバー部材2の内面と板状オサエ部材21との間に挟持された形態で配設されている。したがって、これにより光学筐体4は、第2の光軸O1に沿う方向であって、図4に示すZ軸に沿う方向への移動が規制されている。
【0041】
一方、光学筐体4の前面側には、図4,図5に示すように、弾性を有するブチル系ゴム部材等からなり薄平板状に形成される衝撃吸収部材24が金属若しくは樹脂等からなる二枚の薄板状部材(22,23)に挟持された形態で構成される衝撃吸収手段が配設されている。
【0042】
この衝撃吸収手段は、光学筐体4が本カメラ1のカメラ本体の収納部2xに配置された状態となったとき、光学筐体4の外面(前面)と、これに対向する前面カバー部材2の内面の収納部2xとの間に配置されるようになっている。
【0043】
この場合において、二枚の薄板状部材のうちの一方の第1の薄板22は、光学筐体4と前面カバー部材2との間で光学筐体4の前面にビス32(図4参照)によってネジ止めされている。
【0044】
二枚の薄板状部材のうちの他方の第2の薄板23は、前面カバー部材2の収納部2x(カメラ本体側)の所定の部位に固定されている。即ち、第2の薄板23には、衝撃吸収手段が光学筐体4に組み付けられた状態で、第2の光軸O2を挟んで対向する両側縁に切欠部23m,23nが形成されている。
【0045】
これに対して、前面カバー部材2の収納部2xの内面側には、衝撃吸収手段を組み付けた光学筐体4が前面カバー部材2の収納部2x(カメラ本体側)に収納された状態となったとき、切欠部23m,23nに対向する部位に係止突部2m,2nが形成されている。
【0046】
これにより、衝撃吸収手段が組み付けられた状態の光学筐体4を前面カバー部材2の収納部2xに収納した状態においては、第2の薄板23の切欠部23m,23nのそれぞれが、収納部2xの係止突部2m,2nにそれぞれに係止されるようになっている。これにより、第2の薄板23は、第2の光軸O2に沿う方向(図4のX軸方向)への移動が規制された状態で前面カバー部材2に対して固定されている。
【0047】
そして、第1の薄板22と第2の薄板23の間には、略中央部分に衝撃吸収部材24が挟持されており、この衝撃吸収部材24は、二枚の薄板状部材22,23のそれぞれに対して接着剤等によって接着固定されている。
【0048】
なお、第2の薄板23の略中央部近傍には、図5に示すように複数の孔部が形成されている。これらの孔部は、衝撃吸収部材24と第2の薄板23との間を接着固定した際に、余分な接着剤等を逃がすために設けられているものである。
【0049】
このように構成される衝撃吸収手段は、前面カバー部材2の内面(収納部2x内)と光学筐体4の前面(少なくとも一つの外面)との間に挟持されている。
【0050】
したがって、これにより、衝撃吸収手段は、例えば衝撃により本カメラ1のカメラ本体内部で光学筐体4が相対的に第2の光軸O2に沿う方向にスライド変位したとき、カメラ本体の内面部分、即ち前面カバー部材2の収納部2xの内面と光学筐体4の外面部分、即ち光学筐体4の前面との間に生じる第2の光軸O2方向の剪断力によって衝撃を吸収することができるようになっている。
【0051】
換言すれば、衝撃吸収部材24は、上述したように弾性を有するゴム系部材からなるものであるので、剪断方向、即ち光学筐体4の第2の光軸O2に沿う方向(図4に示すX軸に沿う方向;光学レンズが移動する方向)の外力(なお、X軸方向の分力を含む)が加わった場合には、衝撃吸収部材24が剪断変形することによって光学筐体4をカメラ本体(前面カバー部材2)に対して相対的に同方向(第2の光軸O2に沿う方向であってX軸に沿う方向)に若干移動させ得るようになっている。
【0052】
そして、この場合において、光学筐体4が第2の光軸O2に沿う方向(X軸に沿う方向)に移動することを許容して光学筐体4がカメラ本体と干渉するのを避けるために、光学筐体4の移動方向(第2の光軸方向)の両端部とカメラ本体内面との間の所定の部位、即ち図2,図3の符号A,Bで示す部位には、若干の隙間空間が形成されるように、前面カバー部材2の内面に対する光学筐体4の配置が規定されている。
【0053】
なお、この隙間空間A,Bは、衝撃吸収部材24の素材によって決まる弾性力や剪断方向の衝撃吸収力や、光学筐体4の重量や、カメラ1自体の重量や、衝撃等による加わる外力の力量等等、様々な要因によって設定されるものである。
【0054】
そして、当該隙間空間A,Bは、例えば光学筐体4の移動量を考慮すると充分な寸法を確保すべきものではあるが、より大きな衝撃力量を想定する等によって必要以上に広い隙間寸法を確保すると、カメラ本体を小型化するという要求に応えることができない。したがって、設計に際しては、装置の小型化をも合わせて考慮すると、本実施形態で例示するような小型カメラ等においては、例えば隙間空間A,Bの寸法としては、それぞれ約1mm(ミリメートル)程度を確保している。
【0055】
なお、衝撃吸収部材24は、光学筐体4の背面側と板状オサエ部材21との間に配置してもよいし、光学筐体4の前面と背面との両方に配置するようにしてもよい。
【0056】
次に、レンズバリア部材と光学筐体4の詳細構成について、図6,図8〜図10を用いて以下に説明する。
【0057】
図8は、本実施形態のデジタルカメラにおける光学筐体を取り出して示す外観斜視図である。図6,図9は、本実施形態のデジタルカメラにおけるレンズバリア部材の配置を示す図である。図10は、本実施形態のデジタルカメラにおける光学筐体のうち、レンズ枠ユニット及びレンズバリア駆動ユニットを取り出して示す斜視図である。
【0058】
図8に示すように、本実施形態のカメラ1における光学筐体4の上部には、第1のレンズ保持枠30が連結固定されていて、当該第1の保持枠30には、前面側から入射する光束を受けて、その第1の光軸O1を第2の光軸O2に沿う方向に、つまり当該光学筐体4の底面側へと導くプリズム30aが配置されている。
【0059】
この光学筐体4の主要構成部材としては、入射光束の光軸を折り曲げるプリズム30a及びこれを保持する第1レンズ保持枠30と、被写体像を所定の位置に結像させるための複数の光学レンズ群(34a,35a,36a)及び各レンズ群を構成する光学レンズを保持する複数のレンズ保持枠(34,35,36),各レンズ保持枠(34,35,36)を光軸O2に沿う方向に移動自在となるように保持する複数の軸部材(37,38)等からなるレンズ枠ユニットと、シャッタ装置等を有するシャッタ枠39と、このシャッタ枠39に固設されシャッタ装置を駆動するシャッタ駆動モータ40と、このシャッタ駆動モータ40の駆動力をシャッタ枠39のシャッタ装置に伝達するシャッタ駆動手段(図示せず)と、合焦用のレンズ群を駆動させるフォーカシングモータ41と、このフォーカシングモータ41の駆動力を合焦用レンズ群に伝達するフォーカス駆動手段(図示せず)と、レンズバリア部材51(後述する。図6,図9等参照)を備えたレンズバリア駆動ユニット50と、変倍用のレンズ群及びレンズバリア部材51を駆動させるズーミングモータ42と、このズーミングモータ42の駆動力を変倍用レンズ群へと伝達するズーミング駆動手段(第1の駆動手段)と、撮像素子25を実装した電気基板等によって主に構成されている。
【0060】
レンズ枠ユニットは、図8に示すように、前面に向けて配設される保護レンズを含む第1レンズ群(図8では図示せず)やプリズム30a等を保持しカメラ本体に固設されている第1レンズ保持枠30と、図8の矢印X方向、即ち第2の光軸O2に沿う方向に移動可能な可動レンズ群である第2レンズ群34aを保持する第2レンズ保持枠34と、同方向に移動可能な第3レンズ群35aを保持する第3レンズ保持枠35と、第4レンズ群36aを保持する第4レンズ保持枠36と、第2レンズ保持枠34及び第3レンズ保持枠35とは摺動自在に嵌合し、第4レンズ保持枠36とは回転止めの機能を付与しつつ第2の光軸O2方向にガイドする第1の支持軸37と、第4レンズ保持枠36とは固定部36cの孔に嵌合し第3レンズ保持枠35とは回転止めの機能を付与しつつ第2の光軸O2方向にガイドする第2の支持軸38と、一端が第2レンズ保持枠34の固定部34bに係止され他端が第3レンズ保持枠35の固定部35bに係止され当該第2レンズ保持枠34と第3レンズ保持枠35との間に張架される第1ばね45と、一端が光学筐体4の固定部4cに係止され他端が第4レンズ保持枠36の固定部36cに係止されて当該第4レンズ保持枠36と光学筐体4との間に張架される第2ばね46と、第2レンズ保持枠34と第3レンズ保持枠35との間に固設されているシャッタユニット39等によって構成される。
【0061】
そして、第2レンズ保持枠34及び第3レンズ保持枠35の各々には、後述するズーム駆動カム軸43a(図10等参照)に設けられたカムに駆動されるカムピン(図示せず)が設けられている。
【0062】
ここで、第1の支持軸37と嵌合していない第2のレンズ保持枠34の他端側には、突状の被ガイド部(図示せず)が設けられ、光学筐体4の固定壁部4dには、第2の光軸O2に沿う方向に溝部(特に図示せず)が設けられていて、当該被ガイド部が溝部(いずれも図示せず)にガイドされることにより、第2レンズ保持枠34の第2の光軸O2方向への移動がガイドされると共に、第2レンズ保持枠34が第1支持軸37周りに回転するのが規制されている。
【0063】
第3レンズ保持枠35は、一端側が第1支持軸37に摺動自在に嵌合し、他端側が第2の支持軸38周りに回転しないようにガイドされ、第4レンズ保持枠36は、一端側が第1の支持軸37周りに回転しないようにガイドされ、他端側の固定部36cが第2の支持軸38に摺動自在に嵌合している。なお、第4レンズ保持枠36は、フォーカシングモータ41からの駆動力により図示しない駆動機構によってフォーカシング時に駆動される。
【0064】
また、第1ばね45により第2レンズ保持枠34と第3レンズ保持枠35とが圧縮方向の弾性力により光軸O2に沿う方向であって、図8において上方に向けて付勢され、さらに、第2レンズ保持枠34及び第3レンズ保持枠35の各々に設けられた各カムピン(図示せず)がズーム駆動カム軸43aに設けられた第2枠カム43b及び第3枠カム43cとに押し付けられるように付勢している。また、第2ばね46は、第4レンズ保持枠36を光学筐体4に対して第2の光軸O2に沿う方向であって図8において上方に向けて付勢している。
【0065】
次に、図8〜図12を用いて本実施形態のデジタルカメラにおける駆動力発生手段と伝達手段とに係る構成について詳述する。
【0066】
なお、図11は、本実施形態のデジタルカメラにおけるバリアカム53,第2枠カム43b及び第3枠カム43cのカム展開図である。また、図12は、本実施形態のデジタルカメラにおけるレンズバリア駆動ユニットの衝撃吸収メカニズムを説明するための要部拡大断面図である。
【0067】
図8の符号42はズーミングモータである。減速ユニット43は、ズーミングモータ42からの回転駆動力を減速制御する。ズーム駆動カム軸43aは、減速ユニット43で減速された駆動力により回転駆動する。このズーム駆動カム軸43aには、第3レンズ保持枠35及び第4レンズ保持枠36へ駆動力を伝達する第2枠カム43b及び第3枠カム43cが設けられていると共に、その先端部には最終出力ギアーであり後述する第2バリアギア56(第2の歯車)へ駆動力を伝達する第1バリアギア57(第1の歯車)が固設されている。
【0068】
第1バリアギア57(第1の歯車)からの駆動力は、第2バリアギア56(第2の歯車)に伝達され、この第2バリアギア56が固設されているバリアカム軸55を介してレンズバリア駆動ユニット50に伝達され、所定のシーケンスでズーミングモータ42が制御されることによりレンズバリア部材51を開閉させる。
【0069】
上述のレンズバリア駆動ユニット50は、図9に示すように第1レンズ保持枠30近傍のカメラ本体に配設され、ズーミングモータ42からの駆動力が第1バリアギア57(第1の歯車)を介して伝達される。
【0070】
このレンズバリア駆動ユニット50は、図10に示すように第1バリアギア57(第1の歯車)と噛合する第2バリアギア56(第2の歯車)と、この第2バリアギア56を固設すると共に光学筐体4の一部分である固定部4aに配置されていて当該固定部4aに対して回転可能かつ第2の光軸O2方向に移動可能に配置されたバリアカム軸55と、カメラ本体に配置されていてバリアカム軸55の先端部55aとは回転不可能で、かつ光軸O2方向に移動可能となるように嵌合するための穴部54aを有するバリアカム部材58と、このバリアカム部材58からの駆動力を受けて回動するバリアレバー52とによって、本カメラ1における伝達手段を構成している。なお、レンズバリア駆動ユニット50の各構成はカメラ本体(本実施形態では前面カバー部材2)に設けられている。
【0071】
そして、これらのズーミングモータ42,減速ユニット43,駆動カム軸43a及び第1バリアギア57によって駆動力発生手段が構成され、レンズバリア駆動ユニット50によって伝達手段が構成されている。
【0072】
レンズバリア部材51は、レンズバリア駆動ユニット50の一部を構成するバリアレバー52に固設されている。そして、レンズバリア部材51は、バリアレバー52によって図9に示すように本カメラ1の前面カバー部材2に設けられた撮影用窓である開口2d(図9では二点鎖線で示す)を遮蔽する位置(図9の実線で示す位置)と、同開口2dを開放する位置(図9では二点鎖線で示す)との間で移動するように構成されている。
【0073】
上述したバリアカム軸55及びバリアカム部材58について、図12を用いてより詳細に説明する。
【0074】
バリアカム軸55には、バリアカム部材58と反対側の他端部55bに当該バリアカム軸55が衝撃により光学筐体4と共に第2の光軸O2方向へ移動した際に、当該光学筐体4から抜け出ないようにEリング55cが固設されている。また、第2バリアギア56とEリング55cとの間には光学筐体4の一部である固定部4aに対して回転可能かつ第2の光軸O2方向に移動可能に配置された抜け止めフランジ4a1が凹部4a2に設けられている。そして、Eリング55cと凹部4a2との距離は、図12に示した凹部4a2と光学筐体4の固定部4aの先端部との距離Aより長くなるようになっている。
【0075】
一方、バリアカム部材58には、その外周面上にバリアカム53が形成され、バリアカム軸55の他端部が挿入される位置に穴部54aが形成されている。
【0076】
このバリアカム53には、バリアレバー52のカムフォロワ52bがカムに沿って移動するように接触しており、バリアカム部材58がバリアカム軸55によって回転させられることによりバリアカム53も回転し、バリアカム53に沿ってバリアレバー52のカムフォロワ52bが接合状態を保ちつつ所定の位置まで回転するようになっている。そして、この回転によりバリアレバー52の回転中心と同軸上に固設されたレンズバリア部材51も所定の範囲で回動する。
【0077】
ここで、バリアカム軸55の回転中心は、バリアレバー52の穴部54aの回転中心と一致しており、図9の断面図A−Aに示すように、軸方向には互いに移動自在で回転時には共に回転するように係合されている。
【0078】
次に、カムフォロワ52bを介してレンズバリア部材51を駆動するバリアカム53と、ズームカム軸43aに設けられていて、第2レンズ枠34を駆動する第2枠カム43b及び第3レンズ保持枠35を駆動する第3枠カム43cの動作について図11を用いて説明する。なお、図11(A)はバリアカムのカム展開図を示し、図11(B)は第2レンズ保持枠34を駆動する第2枠カム43bのカム展開図を示し、図11(C)は第3レンズ保持枠35を駆動する第3枠カム43cのカム展開図を示している。
【0079】
図11に示す符号Cは、本カメラ1の電源状態がオフ状態とされて、レンズバリア部材51が本カメラ1の撮影用窓である開口2d(図9では二点鎖線で示す)を遮蔽する位置にある場合(図9参照)のカムフォロワ52bの位置及び各レンズ群が沈胴位置(符号C)にある場合のカムの位置を示している。
【0080】
図11において、本カメラ1の電源状態がオン状態とされてズーム駆動カム軸43aが駆動されると、まずバリアカム軸55が回転し、これに連動してバリアカム部材58が回転し、バリアカム部材58の外周に設けられたバリアカム53によってカムフォロワ52bが駆動される。そして、このカムフォロワ52bの駆動によりバリア部材51がバリア閉位置からバリア開位置へと変位する。
【0081】
バリア部材51がバリア閉位置へと変位した後、ズームスイッチが操作されると、その操作による信号に応じて、ズーム駆動カム軸43aに設けられた第2枠カム43b及び第3枠カム43cによって、ワイド位置Wに位置していた第2レンズ保持枠34及び第3レンズ保持枠35がテレ位置Tとの間で駆動される。
【0082】
このように、バリアカム53は、ズーム駆動カムである第2枠カム43b及び第3枠カム43cのズーミング動作に寄与しないように設定され、ズーミング動作をおこなっているとき、即ち符号Tで示すテレ位置から同図符号Wで示すワイド位置の間で動作しているときには、バリアカム53は、レンズバリア部材51を常に開位置で維持するように作用している。
【0083】
以上説明した本カメラ1の作用の概略を説明する。
【0084】
カメラ1の電源がオン状態にされ、ズーミングモータ42が回転すると、ズーミングモータ42の駆動力は減速ユニット43で減速され、ズーム駆動カム軸43aに伝達される。そして、ズーム駆動カム軸43aが回転を開始し、上述したバリア部材51がバリア閉位置からバリア開位置へと変位するまで第3,第4レンズ保持枠35,36は駆動力が伝達されないように制御される。
【0085】
一方、ズーム駆動カム軸43aの回転により第1バリアギア57が駆動され、この第1バリアギア57と噛合している第2バリアギア56が回転駆動される。第2バリアギア56は、バリアカム軸55に固定されているため、バリアカム軸55が回転駆動され、それに連動してバリアカム部材58が回転する。そして、バリアカム部材58の外周に設けられたバリアカム53によってカムフォロワ52bが駆動され、このカムフォロワ52bの駆動によりバリア部材51がバリア閉位置からバリア開位置へと変位する。
【0086】
また、バリア部材51がバリア閉位置からバリア開位置へと変位した後、ズームスイッチが操作されると、その操作による信号に応じてズーミングモータ42が制御され、各レンズ保持枠のズーム位置がワイド位置Wからテレ位置Tの間で制御される。
【0087】
次に、カメラ本体外部に衝撃が加わった場合の光学筐体4と、レンズバリア駆動ユニット50及びレンズバリア部材51の動きについて説明する。
【0088】
上述したように、本実施形態のデジタルカメラにおける光学筐体4は、カメラ本体、即ち前面カバー部材2の収納部2x内において、第2の光軸O2に沿う方向のみへの移動が許容されている。
【0089】
したがって、落下等によりカメラ本体外部に衝撃が加わると、第2の光軸O2に沿う方向の力(分力を含む)によって光学筐体4が相対的に前面カバー部材2の収納部2x内部で第2の光軸O2に沿う方向にスライド変位する。この場合、光学筐体4の側に設けられているズーム駆動カム43aに固設された第1のバリアギア57と、前面カバー部材2の側に設けられている第2のバリアギア56との間で噛合が外れて駆動力の伝達経路が切れてしまう可能性がある。
【0090】
そこで、本実施形態においては、第2のバリアギア56が固設されているバリアカム軸55と光学筐体4とが共に第2の光軸O2に沿う方向にスライド変位可能となるように、バリアカム軸55とバリアカム部材58との連設部分を以下のように構成している。
【0091】
即ち、上述したようにバリアカム部材58に穴部54aを設け、回転方向にではバリアカム軸55と一体となって回転駆動力が伝達されるようにし、かつ軸方向へは移動可能となるように構成されている。
【0092】
さらに、穴部54aに挿入されているバリアカム軸55の先端部55aの挿入長さD2(図12)を充分に確保し得るように設計されていると共に、衝撃がカメラ本体に加わってバリアカム軸55が穴部54a内を移動する隙間距離D1(図12)が確保されている。
【0093】
なお、この隙間空間D1は、例えば光学筐体4が図12の矢印X1方向に移動した場合の最大移動量(図3に示した隙間空間A,B)と同等か若干多くなるように設定されている。
【0094】
換言すれば、衝撃によって光学筐体4が前面カバー部材2の収納部2x内部で図3に示す隙間空間Aの方向に相対的にスライド変位したとき、光学筐体4が移動する距離よりもバリアカム部材58に設けられた穴部54a内でバリアカム軸55が移動できる距離D2の長さのほうが長くなるように設定されている。また、光学筐体4が前面カバー部材2の収納部2x内部で、図3に示す隙間空間Bの方向(矢印X2方向)に相対的にスライド変位したとき、バリアカム軸55と穴部54aとの挿入状態が外れてしまうのを防止するために、図12の符号D2で示す寸法が光学筐体4の最大移動距離よりも充分に大きくなるように設定されている。
【0095】
以上説明したように上記一実施形態によれば、衝撃により光学筐体4がカメラ本体の収納部2x内部で相対的に第2の光軸O2に沿う方向にスライド変位した場合に、光学筐体4と共に伝達手段の一部であるバリアカム軸55をも一緒にスライド変位させ、かつバリアカム部材58とバリアカム軸55との軸方向の移動を許容するようにしたので、バリアカム部材58とバリアカム軸55との駆動関係を維持しつつ、バリアカム部材58に連動するレンズバリア部材51への衝撃による影響が及ばないように構成することができる。
【0096】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態のデジタルカメラの外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態のデジタルカメラの背面を示す背面図。
【図3】本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体に対する光学筐体の配置状態を概略的に示す要部拡大図。
【図4】本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体と光学筐体の組み立て構造を示す分解斜視図。
【図5】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の前面に配設される衝撃吸手段を分解して示す要部分解斜視図。
【図6】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の前面にレンズバリア部材と衝撃吸手段とが取り付けられた状態を示す組立図。
【図7】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の衝撃吸収材の取り付け部位の断面(図6の[7]−[7]線に沿う断面)を拡大して示す要部拡大断面図。
【図8】本実施形態のデジタルカメラにおける光学筐体を取り出して示す外観斜視図。
【図9】本実施形態のデジタルカメラにおけるレンズバリア部材の配置を示す図。
【図10】本実施形態のデジタルカメラにおける光学筐体のうちレンズ枠ユニット及びレンズバリア駆動ユニットを取り出して示す斜視図。
【図11】本実施形態のデジタルカメラにおけるバリアカム,第2枠カム及び第3枠カムのカム展開図。
【図12】本実施形態のデジタルカメラにおけるレンズバリア駆動ユニットの衝撃吸収メカニズムを説明するための要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0098】
1……カメラ
2……前面カバー部材
2d……開口
2f,2g,2h,2i……支持部
2j,2k,2l……固定部
2m,2n……係止突部
2x……収納部
3……背面カバー部材
4……光学筐体
4f,4g,4h,4i……四隅部位
13……操作部材
14……シャッタボタン
15……電源操作ボタン
16……表示部
18……メイン基板
21……板状オサエ部材
22……第1の薄板
23……第2の薄板
23m,23n……切欠部
24……衝撃吸収部材
25……撮像素子
30……第1レンズ保持枠
30a……反射プリズム
34……第2レンズ保持枠
34a……第2レンズ群
35……第3レンズ保持枠
35a……第3レンズ群
36……第4レンズ保持枠
36a……第4レンズ群
37……第1の支持軸
38……第2の支持軸
39……シャッタ枠
40……シャッタ駆動モータ
41……フォーカシングモータ
42……ズーミングモータ
43……減速ユニット
43a……ズーム駆動カム軸
43b……第2枠カム
43c……第3枠カム
50……レンズバリア駆動ユニット
51……レンズバリア部材
52……バリアレバー
53……バリアカム
54a……穴部
55……バリアカム軸
56……第2バリアギア
57……第1バリアギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光軸に沿って入射してきた被写体光を当該第1の光軸と垂直な第2の光軸方向へ反射させ、当該反射された被写体光を第2の光軸上に位置する撮像素子へ結像させるためのレンズ群と、当該レンズ群を駆動すると共に上記第1の光軸に沿って入射してくる被写体光を遮蔽する位置と上記第1の光軸に沿って入射してくる被写体光の入射を許容する位置とに移動するバリア部材を駆動するための駆動力を発生する駆動力発生手段と、を有し、全体として扁平な形状をした光学筐体と、
上記光学筐体を上記第2の光軸方向にのみスライド可能に収納する収納部と、上記バリア部材と、が配置されていて、上記駆動力発生手段からの駆動力を上記バリア部材に伝達する伝達手段と、を有するカメラ本体と、
上記カメラ本体の上記収納部の内面部分と上記扁平な光学筐体の外面部分と、の間に設けられた衝撃吸収手段と、
を具備し、
衝撃により上記カメラ本体収納部の内部で上記光学筐体が相対的に第2の光軸方向にのみスライド変位したときであっても、上記駆動力発生手段と上記伝達手段との連結関係が維持されるように構成されていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
上記駆動力発生手段は、衝撃により上記カメラ本体収納部の内部で上記光学筐体が相対的に第2の光軸方向にのみスライド変位した際に当該光学筐体と共に移動する軸部材を有し、
上記伝達手段は、上記軸部材が係合する穴部を有し、
上記軸部材と上記穴部とは、上記第2の光軸方向にのみスライド可能で上記第2の光軸方向に対して共に回転可能に係合していることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
上記駆動力発生手段は、上記レンズ群を駆動するための第1のカム部と上記軸部材へ駆動力を伝達するための駆動力伝達部材とを有し、
上記伝達手段は、上記駆動力伝達部材から上記軸部材に駆動力が伝達された際に当該軸部材から駆動力が伝達されると共に、上記バリア部材を駆動する第2のカム部を有し、
上記第2のカム部は、上記第1のカム部によって上記レンズ群が駆動されている際は、上記バリア部材に駆動力が伝達されないように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−128623(P2009−128623A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303350(P2007−303350)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】