説明

デジタルコピー防止処理装置、その装置により処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体、デジタルコピー防止処理方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体およびその方法により処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体

【課題】音楽、画像およびプログラム等のデジタルコンテンツの不正なコピーを物理的に制限し、またコピー後のコンテンツの利用を効果的に制限すること。
【解決手段】音声や画像等のデジタルデータに付加されるとともに、デジタルデータが圧縮された後の再生時においてのみ存在が知覚されるガードデータを格納したガードデータ記憶部25と、デジタルデータのうち所定の増加率でかつ所定の大きさを有するデジタル値の位置をピーク位置として特定し、そのピーク位置から所定数分離間して位置するデジタル値にフラグを設定して、当該フラグが設定されたデジタル値から所定数分に亘る複数のデジタル値をデータパターンとして設定するデータ分析部22と、データパターンが配置されている位置に前記ガードデータを付加することでデジタルデータを変容するガードデータ付加処理部23と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音楽CDやCD−ROM等に記録されたデジタルコンテンツまたはネットワークを介して配信されるデジタルコンテンツを、種々の記録媒体上に複製することを禁止して、デジタルコンテンツの不当な流布を防止するデジタルコピー防止処理装置、その装置により処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体、デジタルコピー防止処理方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体およびその方法により処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路やデジタル信号処理技術の発展により、装置の小型化・低価格化が目覚しく、特にエンターテインメント分野において、音楽や画像といったコンテンツの視聴が容易となっている。
【0003】
例えば、音楽コンテンツに注目した場合、通信インフラの整備により、ラジオ放送等の無線または有線を介した音楽提供サービスの利用も容易となっているが、このようなサービスは実時間での利用が前提となっているため、聴取者毎の嗜好に十分に答えることはできず、また時と場所にも制限を受ける。よって、所望の音楽のみを所望の時間において聴取可能にするために、音楽コンテンツを記録媒体に格納して各利用者毎に配布することは、利用者のみならず、音楽を提供する著作者側においても利益がある。
【0004】
このような背景から、音声をアナログ信号として、らせん状に連続する溝の凹凸変化として記録したレコード盤や磁気の強度変化として記録した磁気テープが過去において長く普及したわけであるが、今や、携帯性や音楽再現性に優位であるとして、音声をディスク上のピットの配列としてデジタル置換した音楽CDの利用が標準となっている。これにともない、音楽をデジタルコンテンツとして記録・再生する技術が進展し、音楽CDのみならず、DAT(Digital Audio Tape)やMD(Mini Disk)といった多種多様の記録媒体によって音楽コンテンツが提供されている。
【0005】
特に、DATやMDは、磁気記録方式を採用していることから、その記録装置も比較的安価に提供され、利用者は、これらを利用することで音声信号をデジタル記録することが可能である。これは、音楽CD等により提供されている音楽コンテンツを、デジタルデータとして高い再現性によりDATやMD等にコピーできることを意味している。
【0006】
一方、画像コンテンツに注目した場合、スキャナやデジタルカメラの普及により、従来の感光フィルムによる写真画像やビデオ画像を、コンピュータ上のデジタル画像ファイル(静止画および動画)として閲覧および管理するとともに、編集をおこなうことが趨勢となっている。また、低価格で高品位なプリンタの出現により、絵画や設計図、その他種々のデザインをコンピュータ上で創作して印刷したり、コンピュータ・アニメーションの作成や再生等が可能になっている。さらに、デジタル画像ファイルは、音楽CDと同様な規格であるCD−ROMに記録することが可能であり、その配布形態においても十分な流通性を有している。
【0007】
また、近年においては、情報化社会の進展とともにエンドユーザが急激に増加し、パーソナル・コンピュータおよびその周辺機器が安価に提供されており、音楽CDの再生をコンピュータ上で実現するのみならず、比較的高容量のデータ記録を可能にするハードディスクやCD−R等の記録媒体が容易に入手できる。
【0008】
さらに、コンピュータ上での動作を本来の目的とするアプリケーション・プログラムもデジタルコンテンツの一つであり、これもCD−ROMに格納された状態で提供されるが、デジタルデータであるという点で、上記音楽CD上の音楽データやデジタル画像ファイルと変わりはない。
【0009】
すなわち、コンピュータの普及とデジタル化したコンテンツの供給とが相俟って、音楽CDに記録された音楽データやCD−ROM等に記録されたデジタル画像ファイルおよびアプリケーション・プログラムは、コンピュータを介して、ハードディスクやCD−R等に自由にコピーすることができる。
【0010】
さらに、インターネットの急速な普及と、音楽データや画像ファイル等の圧縮技術の発展により、それらデジタルコンテンツをネットワークを介して配信することが容易となっており、音楽CDやCD−ROM等の専用の記録媒体を購入せずとも、コンピュータ上のみであらゆるデジタルコンテンツを保持および管理することができる。すなわち、現在においては、コンピュータを通じて、デジタルコンテンツの入手とコピーが非常に容易な環境にある。
【0011】
また、パーソナル・コンピュータ上での再生等を目的としないゲーム機用CD−ROM等の一部特殊な記録媒体に対しても、パーソナル・コンピュータを通じてそのコンテンツのCD−Rへのコピーは可能であるため、このようなデジタルコンテンツの不当なコピーが問題となっている。
【0012】
そこで、これら不正なデジタルコピーを防止するために、様々なコピー防止技術が開発され、取り入れられている。まず、第1の例として、DATやMDのデジタル記録を可能とする記録装置は、通常、著作権保護の観点からSCMS(シリアル・コピー・マネジメント・システム)と呼ばれるコピー防止機能を備えている。このコピー防止機能は、DATやMD上の制御用の記録領域にコピー制限用のコード(コピー禁止ビット)を記録することで実現される。例えば、まず、MDに録音(コピー)をおこなう際に、コピーを1回だけ許可することを示すコピー禁止ビットを書き込む。そして、記録装置は、デジタルコンテンツと上記コピー禁止ビットとが書き込まれてコピーされたMDをコピー元としてさらに録音をおこなおうとする場合、上記コピー禁止ビットを検出して、その録音を許可しない。すなわち、これによりコピーの連鎖的な発生が防止されている。
【0013】
また、コピー防止技術の第2の例として、CD−ROMに格納されたアプリケーション・プログラムをコンピュータにインストールする際に、IDコードの入力を要求するIDコード認証方法が知られている。これは、正規な経路によってCD−ROMを入手した者が、そのCD−ROMの提供者からIDコードを取得し、そのIDコードを入力しない限りCD−ROMのインストールを完了することができないとするものである。これにより、単に不正コピーされたCD−ROMのみを入手しただけでは、アプリケーション・プログラムを実行することができないため、結果的に不正な複製品の流布の防止が期待できる。
【0014】
特に、近年のネットワークを介して配信されるシェアウエアの実行においては、試用制限を解除するために多くの場合、上記IDコードに相当するパスワードを必要とし、このパスワードは、シェアウエア提供者に対する利用料金等の支払いにより取得できる。但し、シェアウエアの場合、ネットワーク上にあるサーバからのシェアウエアの自由なダウンロード、すなわち広義のコピーを認めているため、上記したパスワードによる認証は、デジタルコピーを防止することを目的としたものではない。
【0015】
また、上記IDコードをCD−ROM内に記録することで、利用者によるIDコードの入力を必要としない例もある。例えば、ゲーム機の場合、それに使用するゲーム機用CD−ROMの最内周にあるプレギャップ部に、上記IDコードを記録しており、ゲーム機はこのプレギャップ部のIDコードを読み込むことで正規のCD−ROMか否かの認証をおこなう。このプレギャップ部は、パーソナル・コンピュータにおいて処理できる通常のCD−Rドライブでは読み出すことも書き込むこともできないため、結果的にゲーム機用CD−ROMの不正コピーが防止されることになる。
【0016】
また、コピー防止技術の第3の例として、暗号化技術が知られている。暗号化技術とは、0と1の数字の集まりであるデジタルデータを数学的に変換し、ある特定の鍵とアルゴリズムを使用しなければ復元できないようにする技術である。すなわち、暗号化処理の施されたデジタルコンテンツを入手したとしても、上記した鍵を取得しない限りは、そのデジタルコンテンツを正しく再生等することができず、結果的に不正な複製品の流布が防止される。
【0017】
さらに、コピー防止技術の第4の例として、電子透かしの技術が知られている。これは、デジタルコンテンツ全体に亘って、著作者等の特別な情報を埋め込むことで、不正なコピーの流出元を特定したり、データの改ざんを検出することができるものであり、音楽データや画像データに、人間が知覚できない部分が存在することを利用したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記した各コピー防止技術には以下に述べる問題点を有している。まず、第1の例として挙げた記録装置のコピー防止機能は、コピー防止機能を有した記録装置間での不正なコピーの繰り返しを防ぐことはできるが、コンピュータを介してハードディスクや他の記録媒体に記録する場合には、その機能を発動させないようにすることが容易であり、制限なくコピーできるという問題を有している。
【0019】
例えば、記録装置によってコピー禁止ビットが書き込まれたDATまたはMDであっても、コンピュータ上において、それらDATやMDを再生する装置から出力される再生信号(デジタル信号またはアナログ信号)を、ハードディスク等の記録媒体に録音する際に、上記コピー禁止ビットの存在を無視するような録音プログラムを作成することは容易である。
【0020】
特に、このコピー防止機能は、デジタルコンテンツの内容をコピー防止のために改変するものでなく、単なるフラグとしてコピー禁止ビットを導入しただけであるので、このコピー禁止ビットの検出をスキップするのみで、制限なくデジタルコピーを実行することができる。
【0021】
さらに、DAT普及当初において製造された初期のDAT記録装置には上記したコピー防止機能を備えておらず、その旧式の記録装置を用いることで、一度コピーして作成した記録媒体を用いて更なるコピーも繰り返しておこなうことが可能である。
【0022】
また、上記第2の例として挙げたIDコード認証方法は、アプリケーション・プログラムのインストール時に、CD−ROMとは別途にIDコードを取得しておく必要があるためにコピー防止の効果が得られると期待されるものであるが、実際には不正コピーされたCD−ROMとともに上記IDコードも流布される場合が多いという問題を有している。特に、IDコードは、アプリケーション・プログラムのインストール後においては、そのアプリケーション・プログラムのメーカに対してユーザサポートを受ける際に必要となる以外には存在価値はない。すなわち、このIDコード認証方法では、CD−ROMを正規な経路で入手した以降の不正コピーを強く防止できるものではない。
【0023】
また、上記したシェアウエアにおいて用いられるパスワード認証方法でも、上述したIDコードと同様に、パスワードを正規な経路で入手した以降の不正な利用継続を強く防止できるものではない。
【0024】
さらに、上記したゲーム機の場合には、パーソナル・コンピュータにおいてコピー可能な範囲として作成されたCD−ROM、すなわちゲーム機専用CD−ROMからそのコンテンツのみ(プレギャップのIDコードを除いた部分)をコピーすることで作成されたCD−Rを、正規のゲーム機専用CD−ROM同様に実行できるコピープロテクト解除装置が流布されているという問題がある。このコピープロテクト解除装置は、上記したプレギャップ部に記録されたIDコードの認証をスキップし、正規のCD−ROMであることを示す信号をゲーム機のCPUへと強制的に送信することで、コピープロテクトの解除を実現しており、結果的にゲーム機用CD−ROMの不正コピーを有効なものとしている。
【0025】
つぎに、上記第3の例として挙げた暗号化技術は、文書ファイルの機密化、デジタル電話の秘話機能、有料放送の課金制限、デジタル化された音楽データや画像データのスクランブル化等に利用できるが、暗号対象となるコンテンツのサイズが大きい場合、その暗号化・復号化に多くの時間を要してしまい、大容量データやプログラムには適していない。
【0026】
さらに上記第4の例として挙げた電子透かしの技術は、不正なコピーの流出元を特定したり、データの改ざんを検出することができるものであるが、制限なくコピーを繰り返すことが可能であり、コピー後のコンテンツも再生または閲覧することができるため、実質的に不正コピーを禁止することはできない。
【0027】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、音楽、画像およびプログラム等のデジタルコンテンツの不正なコピーを物理的に制限し、また上記したIDコード認証方法や暗号化技術とは異なる方法によりコピー後のコンテンツの利用を効果的に制限することのできる、デジタルコピー防止処理方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の目的を達成するために、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、周波数成分の大きさとして符号化することができる音声や画像等のデジタルデータに付加されるとともに、前記デジタルデータが圧縮された後の再生時においてのみ存在が知覚されるガードデータを格納したガードデータ記憶部と、前記デジタルデータを構成する複数のデジタル値のうち所定の増加率でかつ所定の大きさを有するデジタル値の位置をピーク位置として特定するピーク検出部と、前記ピーク位置から所定数分離間して位置するデジタル値にフラグを設定し、当該フラグが設定されたデジタル値から所定数分に亘る複数のデジタル値をデータパターンとして設定するデータ分析部と、前記デジタルデータから前記データパターンが配置されている位置を特定し、特定した位置に前記ガードデータを付加することで前記デジタルデータを変容するガードデータ付加処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、上記の発明において、前記ガードデータ記憶部は、複数の異なるガードデータを記憶し、前記ガードデータ付加処理部は、前記デジタルデータから前記データパターンが配置されている位置を特定する毎に、異なるガードデータを、特定した位置に付加することを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、上記の発明において、前記デジタルデータの再生時に知覚されることがない第1の周波数成分を有するガード強調データを、前記デジタルデータに付加するガード強調データ付加処理部を備え、前記ガードデータ付加処理部は、前記デジタルデータのうち、前記第1の周波数成分の半分の周波数成分を有するデータ部に前記ガードデータを付加することを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、デジタルデータを構成する複数のデジタル値のうちの少なくとも一つのデジタル値を示した第1のデジタルコードを入力し、入力した第1のデジタルコードに基づいて、前記複数のデジタル値のうちからエンコード処理を施すデジタル値を特定するエンコード位置特定部と、第2のデジタルコードを入力し、前記エンコード位置特定部によって特定された位置にあるデジタル値に、前記第2のデジタルコードが示すデジタル値を付加することで、前記デジタルデータを変容するエンコード処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、上記の発明において、前記エンコード位置特定部は、前記デジタルデータの種別を示す第3のデジタルコードを入力し、入力した第3のデジタルコードに基づいて、エンコード処理を施すデジタル値を特定するための検索範囲を変更することを特徴とする。
【0033】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置にあっては、上記の発明において、前記エンコード処理部は、前記第3のデジタルコードによって示されるデジタルデータの種別がプログラムである場合に、前記エンコード位置特定部によって特定された位置にあるデジタル値の8ビット目を“1”に変更することを特徴とする。
【0034】
また、この発明にかかる記録媒体にあっては、上記の発明にかかるデジタルコピー防止処理装置によって変容されたデジタルデータが記録されていることを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、周波数成分の大きさとして符号化することができる音声や画像等のデジタルデータを構成する複数のデジタル値のうち所定の増加率でかつ所定の大きさを有するデジタル値の位置をピーク位置として特定するピーク検出工程と、前記ピーク位置から所定数分離間して位置するデジタル値にフラグを設定し、当該フラグが設定されたデジタル値から所定数分に亘る複数のデジタル値をデータパターンとして設定するデータ分析工程と、前記デジタルデータから前記データパターンが配置されている位置を特定し、特定した位置に、前記デジタルデータに付加されるとともに前記デジタルデータが圧縮された後の再生時においてのみ存在が知覚されるガードデータを付加することで前記デジタルデータを変容するガードデータ付加処理工程と、を含んだことを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、上記の発明において、前記ガードデータ付加処理工程は、前記デジタルデータから前記データパターンが配置されている位置を特定する毎に異なるガードデータを、特定した位置に付加することを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、上記の発明において、前記デジタルデータの再生時に知覚されることがない第1の周波数成分を有するガード強調データを、前記デジタルデータに付加するガード強調データ付加処理工程を含み、前記ガードデータ付加処理工程は、前記デジタルデータのうち、前記第1の周波数成分の半分の周波数成分を有するデータ部に前記ガードデータを付加することを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、デジタルデータを構成する複数のデジタル値のうちの少なくとも一つのデジタル値を示した第1のデジタルコードを入力し、入力した第1のデジタルコードに基づいて、前記複数のデジタル値のうちからエンコード処理を施すデジタル値を特定するエンコード位置特定工程と、第2のデジタルコードを入力し、前記エンコード位置特定工程によって特定された位置にあるデジタル値に、前記第2のデジタルコードが示すデジタル値を付加することで、前記デジタルデータを変容するエンコード処理工程と、を含んだことを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、上記の発明において、前記エンコード位置特定工程は、前記デジタルデータの種別を示す第3のデジタルコードを入力し、入力した第3のデジタルコードに基づいて、エンコード処理を施すデジタル値を特定するための検索範囲を変更することを特徴とする。
【0040】
また、この発明にかかるデジタルコピー防止処理方法にあっては、上記の発明において、前記エンコード処理工程は、前記第3のデジタルコードによって示されるデジタルデータの種別がプログラムである場合に、前記エンコード位置特定工程によって特定された位置にあるデジタル値の8ビット目を“1”に変更することを特徴とする。
【0041】
また、この発明にかかる記録媒体にあっては、上記の発明にかかるデジタルコピー防止処理方法によって変容されたデジタルデータが記録されていることを特徴とする。
【0042】
また、この発明にかかる記録媒体にあっては、上記の発明にかかる方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことで、そのプログラムを機械読み取り可能となり、これによって、上記の発明にかかる動作をコンピュータによって実現することが可能である。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、この発明によれば、音楽、画像およびプログラム等のデジタルコンテンツの不正なコピーを物理的に制限し、また、エンコード条件やエンコード・コードの指定やデコード・データの作成といった、従来のIDコード認証方法や暗号化技術とは異なる方法によって、コピー後のコンテンツの利用を効果的に制限することができるとともにそのような方法によって作成されたデジタルコンテンツに対して保安性を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、この発明にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法の好適な実施の形態について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0045】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法について説明する。実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、音楽CDやMD等にデジタル記録された音声データをコンピュータ上に取り込んで、MP3(MPEG audio layer3)形式等のファイルへの圧縮変換やMDへの記録をおこなう際に、元の音楽データにおいてひずみが生じるように、その元の音声データにガードデータを付加してデジタルコピーの防止が可能な音声データを新たに作成することを特徴としている。
【0046】
図1は、実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、デジタルコピー防止処理装置10は、上記したように、音楽等のデジタル音声データに対してデジタルコピーを防止するためのガードデータを付加した新たなデジタル音声データを作成する装置であり、ガードデータが付加されたデジタル音声データを生成するガード音楽データ生成部20と、ガード音声データ生成部20によって生成されたガード音声データをCD−R等の新たな記録媒体に書き込むガード音声データ記録部30と、を備えて構成される。
【0047】
ガード音声データ生成部20は、ガードを付加しようとするデジタル音声データを入力する入力制御部21と、この入力制御部21に入力されたデジタル音声データを分析するデータ分析部22と、デジタル音声データに付加するガードデータ群を格納するガードデータ記憶部25と、ガードデータ記憶部25に格納されたガードデータ群のうちの所定のガードデータを選択するガードデータ選択部24と、ガードデータ選択部24において選択されたガードデータをデジタル音声データの所定の位置に付加するガードデータ付加処理部23と、ガードデータが付加されたデジタル音声データを出力する出力制御部26と、を備えて構成されている。
【0048】
また、データ分析部22は、入力制御部21から出力された1楽章分のデジタル音声データ(以下、全デジタル音声データと称する)における音量の平均値を算出する平均値算出部22aと、平均値算出部22aによって算出された音量の平均値以上で、かつ音量の変化率が所定値以上のピークのデジタル音声データを検出するピーク検出部22bと、ピーク検出部22bにより検出されたピーク位置から、ガードデータを付加する位置を特定するための条件を設定するガードデータ付加位置特定部22cと、を備えており、ガードデータ付加位置特定部22cによって設定されたガードデータ付加条件を示すデータは、ガードデータ付加処理部23へと出力される。
【0049】
また、ガードデータ記憶部25は、ハードディスク、光ディスク等のストレージ手段によって構成されており、後述するガードデータ群をあらかじめ格納している。
【0050】
つぎに、このデジタルコピー防止処理装置10の動作についてガード音声データ生成部20を中心に説明する。まず、このデジタルコピー防止処理装置10において、元のデジタル音声データにガードデータを付加するに際して必要とされる処理内容について言及する。
【0051】
後述するように、ガードデータの付加によってもたらされるひずみは、デジタル音声データの圧縮変換時に発生するものであるが、元のデジタル音声データにガードデータを付加した結果、圧縮変換前においてその付加部分が再生された際に聴くに堪えないひずみとして認識されてしまっては、例えデジタルコピーの防止が達成されるとしても、音楽コンテンツとしての価値は喪失してしまう。
【0052】
よって、ガードデータを付加する位置の選択は慎重におこなう必要があり、この実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置10では、ガードデータの付加処理を、MP3やMDの圧縮処理においても利用される心理聴覚評価に基づいておこなっている。心理聴覚評価とは、デジタル音声データのうち、人間が聴くことができない部分を特定する方法であり、主に人間の最小可聴限界とマスキング効果を利用してどの音が聴こえないのかを判断している。
【0053】
最小可聴限界とは、人間の静粛時に聴くことができる音量の限界と高い周波数の音の音量変化には鈍感であるという性質とに基づく音圧の範囲をいう。すなわち、最小可聴限界によれば、デジタル音声データにおいて、小さな音量でかつ高い周波数の音を示す部分は、音楽情報としての価値を有しない。
【0054】
また、マスキング効果とは、人間の聴覚において、大きな音が鳴っているときには小さな音は掻き消されるという現象を示すものであり、特にこれら大きな音と小さな音との周波数が近い場合には、小さな音を知覚することは困難であるというものである。
【0055】
よって、これら最小可聴限界およびマスキング効果によれば、ガードデータ自体を小さな音量変化でかつ高い周波数のデジタル音声データとして表現するとともに、大きな音量部分の直後に位置する小さな音量部分にガードデータを付加することが好ましいことになる。
【0056】
そこで、デジタル音声データから、まず、所定量の変化を有しかつ大きな音量部分(すなわちピーク)を特定し、特定したピークの直後に位置する小さな音量部分をさらに特定する処理(後述するピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理に相当する)が必要になる。ここで、上記したピークを特定する際に、大きな音量部分であるか否かを判定するための基準値を設定しなければならない。この基準値としては、1楽章分のデジタル音声データの音量の平均値を用いることが好ましく、よって、その平均値を算出する処理(後述する平均値算出処理に相当する)が必要となる。
【0057】
図2は、実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。図2に示すように、デジタルコピー防止処理装置10のガード音声データ生成部20は、ガードデータの付加対象となるデジタル音声データに対して、デジタル音声データの平均値算出処理(ステップS201)、ピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理(ステップS202)、ガードデータ付加処理(ステップS203)を実行する。
【0058】
ここで、デジタル音声データとは、原音であるアナログ音楽信号をPCM(Pulse−Code Modulation)方式により標本化および量子化して得られたデジタルデータである。特に、上記PCM方式によるデジタル変換を、音楽CDのデジタル記録仕様であるサンプリング周波数44.1kHzおよび量子化数16ビットに基づいておこなった場合について説明する。また、動作の理解を容易にするために、ガード音声データ生成部20は、上記したデジタル音声データを、16ビットの数値のシリアル入力として処理するものとし、以下の説明においてサンプリング・データという場合は、この16ビットの数値を示すものとする。
【0059】
デジタル音声データの平均値算出処理(ステップS201)とは、全デジタル音声データ、すなわち1楽章における音量の平均値を算出する処理である。図3は、このデジタル音声データの平均値算出処理を示すフローチャートである。まず、デジタル音声データの平均値を算出するために、入力制御部21は、サンプリング・データを順次、データ分析部22の平均値算出部22aへと入力していく。平均値算出部22aは、入力したサンプリング・データを順次加算していくとともに、入力したサンプリング・データの数をカウントする(ステップS301)。そして、全デジタル音声データの入力が完了した後、上記加算結果を上記カウント結果で除算することでデジタル音声データの平均値を算出する(ステップS302)。
【0060】
また、ピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理(ステップS202)とは、全デジタル音声データをデジタル波形で表現した際に、そのデジタル波形から所定条件を満たすピークを検出し、検出したピークに相当するサンプリング・データから所定数分シフトした位置にあるサンプリング・データを取得するとともに、取得したサンプリング・データからさらに所定数分に亘るサンプリング・データを、ガードデータの付加条件(後述するデータパターン)として設定する処理である。
【0061】
図4は、ピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理を示すフローチャートである。また、図5は、このピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理によって処理されるデジタル音声データを示す図である。まず、デジタル音声データのうちからピークを検出するために、入力制御部21は、サンプリング・データを順次、データ分析部22のピーク検出部22bへと入力する(ステップS401)。そして、ピーク検出部22bは、入力したサンプリング・データが、上記平均値算出処理によって算出された平均値(図5中、Va)以上であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0062】
サンプリング・データが平均値より小さい場合には、つぎのサンプリング・データを入力し、平均値以上である場合には、つぎに、そのサンプリング・データが直前のサンプリング・データに対して所定変化率以上の増加によるものであるか否かが判定される(ステップS403)。
【0063】
サンプリング・データが所定変化率以上の増加によるものでない場合は、つぎのサンプリング・データを入力し、所定変化率以上の増加によるものである場合には、そのサンプリング・データを上記したピークであるとして認識する。図5においては、平均値Va以上の大きさV0を示すサンプリング・データから所定変化率(例えば30%)以上の変化率αで増加したサンプリング・データ(大きさV)がピークとして認識されている。
【0064】
ピークが検出されると、ピーク検出部22bは、現在入力されているサンプリング・データがピークに位置していることを示す信号をガードデータ付加位置特定部22cへと出力する。ガードデータ付加位置特定部22cは、この信号の入力により、ガードデータ付加位置特定処理を開始する(ステップS404)。ガードデータ付加位置特定処理では、さらに、上記したピークに相当するサンプリング・データから所定回数分(図5においては、2回)だけつぎのサンプリング・データを入力していき、その入力が上記所定回数分に達した際のサンプリング・データ(図5においては、P0)にフラグを設定する。
【0065】
そして、さらに、このフラグが位置するサンプリング・データから、所定回数分(図5においては、5回)だけつぎのサンプリング・データを入力していき、上記所定回数分に達するまでに入力されたサンプリング・データの値を順次記憶していく。最終的に、この記憶された所定回数分のサンプリング・データを、特定のデータパターンとして、ガードデータを付加する位置を特定するための条件に設定する。図5においては、P0,P1,P2,P3,P4の5つのデータからなるパターンが上記データパターンに相当する。
【0066】
このデータパターンは、全デジタル音声データ中において、ガードデータを付加する位置を特定するための検索キーの役割を果たす。すなわち、全デジタル音声データにおいて、上記データパターンが存在する位置にガードデータを付加する。
【0067】
このようにデータパターンが決定されると、つぎに、上記したガードデータ付加処理(ステップS203)が実行される。ガードデータ付加処理とは、全デジタル音声データ中の上記データパターンの位置にガードデータを付加する処理である。なお、以下のガードデータ付加処理の説明においては、データパターンは、図5に示したような5つのサンプリング・データから構成されているものとする。
【0068】
図6は、ガードデータ付加処理を示すフローチャートである。まず、ガードデータ付加位置特定部22cによって上記したデータパターンが決定されると、ガードデータ付加処理部23は、そのデータパターンを入力とするとともに、入力制御部21を介して、全デジタル音声データの先頭から順次サンプリング・データを入力していく(ステップS601)。
【0069】
ここで、常に最新にシリアル入力された5つのサンプリング・データは、例えば、5つのDラッチを備えた直並列変換回路のような保持部によって保持されているものとする。すなわち、この保持部において保持されている5つのサンプリング・データと、5つのサンプリング・データからなるデータパターンと、の比較が可能であり、それらが一致するか否かが判定される(ステップS602)。すなわち、サンプリング・データからのデータパターンの検出がおこなわれる。
【0070】
入力された5つのサンプリング・データが上記データパターンと一致しない場合には、つぎのサンプリング・データが入力され、上記した保持部の保持内容が1データ分シフトされる。一方、入力された5つのサンプリング・データが上記データパターンと一致する場合には、ガードデータ選択部24によってガードデータの選択がおこなわれる(ステップS603)。
【0071】
ガードデータ選択部24は、ガードデータ記憶部25に記憶されたガードデータ群から、全デジタル音声データの最大値やデータパターンが検出された順番に応じて、適切なガードデータを選択する。図7は、ガードデータの一例を示す図である。図7に示すように、ガードデータを構成するデータ数は、データパターンを構成するデータ数と一致している必要はない。すなわち、ガードデータの付加とは、データパターンのみとの置換を意味するものではなく、データパターンは、ガードデータを付加する開始位置を特定するために使用されるに過ぎない。
【0072】
特に、図7(a)に示すガードデータは、符号が交互に変わる16個のデータg0〜g15を一単位として構成されており、また、上記した最小可聴限界の考えに基づき、十分小さな音量の変化として表わされる必要がある。さらに、ガードデータが付加されたガード音声データに対して、後述する圧縮処理でのサブバンド分解がおこなわれた際に限り、その周波数成分が現れるような特別な周波数特性を有する必要がある。
【0073】
また、図7(b)に示すように、ガードデータ記憶部25に記憶されるガードデータ群は、すべて同じガードデータではなく、例えばnユニット分のガードデータは、相互にその内容が異なっている。これは、後述する圧縮処理の説明においても言及するが、同一内容のガードデータでは、その圧縮処理をおこなうCPUは、デジタル音声データに異常な信号が繰り返し含有されていると判断し、このガードデータ部の信号の解析をスキップしてしまうおそれがあるためである。
【0074】
ガードデータ付加位置特定部22cは、ガードデータ選択部24によってガードデータが選択されると、選択されたガードデータを、上記したデータパターンの先頭に位置するサンプリング・データから順にガードデータの加算をおこなう(ステップS604)。例えば、図5において、データパターンP0〜P4の先頭であるサンプリング・データP0からP15まで、順にガードデータを構成する16個のデータg0〜g15を加算する。これにより、サンプリング・データP0〜P15の部分は変容してしまうが、上述したように再生時においてはその変容は問題とならない。
【0075】
一つのデータパターンの検出にともなうガードデータの付加が完了すると、全デジタル音声データの入力が完了したか否かの判定がおこなわれ(ステップS605)、デジタル音声データの入力が完了していない場合には、つぎのサンプリング・データを入力し、データパターンの検出が繰り返される。そして、全デジタル音声データの入力が完了した場合には、ガードデータ付加処理を終了する。
【0076】
なお、このガードデータの付加は、デジタル音声データ中においてデータパターンが存在する部分のすべてに対しておこなわなくてもよく、例えば、所定数毎のデータパターンの検出の際のみにおこなうようにしてもよい。
【0077】
このようにしてガードデータが付加されたデジタル音声データは、ガード音声データとして、出力制御部26を介して出力され、次段のガード音声データ記録部30に入力される。ガード音声データ記録部30は、ガード音声データを入力すると、CD−R等の記録媒体にそのガード音声データを書き込むことで、ガードデータが付加されたデジタル音声データ、すなわちコピー防止機能を有した音楽コンテンツの作成をおこなう。
【0078】
実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置10は、以上に説明したように動作するが、つぎに、このデジタルコピー防止処理装置10によって生成されたデジタル音声データの圧縮によるコピーとその再生について説明する。
【0079】
通常、音楽コンテンツは、音楽CDに記録されたデータサイズのままでは、記録媒体の容量を多く必要としてしまい、その取り扱いが不便である。また、パーソナル・コンピュータ上で取り扱う場合やネットワークを介してその配信をおこなう場合においても、記録領域の圧迫やダウンロードに多くの時間を要するといった問題を生じる。
【0080】
そこで、現在において通常は、デジタル音楽データは、圧縮された形態で取り扱われている。例えば、MDへの記録やMP3ファイルは、元のデジタル音楽データに対して5分の1〜10分の1の圧縮処理が施されている。すなわち、音楽CDに記録されたデジタル音楽データをコピーする場合には、ほとんどが、このような圧縮されたデータに変換される。
【0081】
MDへの記録やMP3ファイルの圧縮処理は、元のデジタル音楽データを周波数成分に分解して周波数解析をおこない、上述した心理聴覚評価に基づいて、不要であると判断された周波数成分に相当するデータの削除をおこなっている。この周波数解析では、一般にデジタル音楽データを複数の周波数帯域に分解する、いわゆるサブバンド分解がおこなわれるが、DCT(離散コサイン変換)によって、サブバンド分解された各周波数帯域に対してさらに細かい周波数単位のデータに分解される。
【0082】
そして、この分解された周波数単位毎のデータに対して削除をおこなうか否かを判断し、削除されなかった周波数成分のデータを合成することでデータの圧縮をおこなっている。ここで、圧縮の効果を一定以上にすることと、音声データに含まれる周波数成分の偏りとから、合成の対象となるデータの数、すなわちデータを通過させる複数のフィルタのうち同時に有効となる数は制限される。
【0083】
しかしながら、上記したガードデータは、このフィルタを通過する特性を有するとともに、フィルタを通過した結果が上記した制限された数以上のフィルタの出力を許容してしまうため、それら出力の合成が正しくおこなわれなくなってしまう。すなわち、この合成結果は音声のひずみを発生させ、デジタル音楽データが乱された状態で圧縮される。
【0084】
よって、このように圧縮された結果作成されたデータを解凍して再生した場合には、上記したひずみも再生され、聴取者にとって聴くに堪えがたい音声となる。結果的に、上記したガード音楽データは、正しくコピーがおこなわれなかったことになり、コピー防止の効果が現れる。
【0085】
以上に説明したように、実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置10によれば、デジタル音声データに対してガードデータを付加することでコピー防止効果を発現させるものであるが、データ音声データに限らず、デジタル画像ファイルについても同様に適用することができる。
【0086】
デジタル画像ファイルを構成する画像データは、その輝度や色情報の2次元上の変化に基づいて、空間的周波数成分の集合として表わすことができ、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮ファイルとして取り扱われることが多い。このような画像圧縮の過程においても、上記したデジタル音声データの圧縮処理と同様に周波数分解が施されるため、ガードデータ付加による効果を享受することができる。
【0087】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法について説明する。実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、実施の形態1においてガードデータが付加されたデジタル音声データに対して、その圧縮処理時に生じるひずみをより強調させるために、ガードデータが付加された部分とは異なる部分にひずみ強調データを付加したことを特徴としている。
【0088】
よって、実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置は、図1に示したデジタルコピー防止処理装置の構成に加え、デジタル音楽データに上記したひずみ強調データを付加する強調データ付加処理部を備える。他の構成は、図1と共通するため、ここではその説明を省略する。
【0089】
図8は、実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置において、強調データ付加処理部の動作を説明するための説明図である。まず、前提として、音楽CDでは、人間の可聴範囲が20kHz以下であるという理由と、サンプリング定理に基づいて生じるエイリアシングの問題を余裕をもって回避すべく、サンプサンプリング周波数を44.1kHzとしている。
【0090】
よって、理論的には、22.05kHzまでの周波数成分を有するデジタル音声データが音楽CD上に有効な情報として記録できる。しかし、上記したように20k〜22.05kHzの範囲の周波数成分を有するデジタル音声データは、再生されたとしても人間には知覚することができないため、通常はこの範囲のデータには価値がない。また、一般的な波動理論により、ある周波数成分の信号に対しては、その整数倍または整数分の1倍の周波数成分の信号が生じることが知られている。
【0091】
そこで、図8に示すように、まず、非可聴範囲の周波数成分(例えば20kHz)となるデータをひずみ強調データとして、デジタル音声データに付加する。そして、実施の形態1において説明したガードデータを付加する部分を、上記ひずみ強調データの半分の周波数(例えば10kHz)の成分が多く含んだデータ領域に付加する。
【0092】
これにより、ガードデータが付加されたデータ部分は、実施の形態1において説明した効果によって発生するひずみに加え、ひずみ強調データの存在によるひずみが加わり、圧縮解凍後の再生時において、そのひずみの大きさがより強大なものとなる。
【0093】
よって、上記ひずみ強調データは、その音量に相当する値は大きいほど、上記したひずみ強調の効果を大きく得ることができる。しかしながら、あまりにも大きな値にしてしまっては、20kHzといった可聴範囲ぎりぎりの周波数成分として付加した場合に、その存在が知覚されるおそれがある。そこで、ひずみ強調データは、音声の特性を有しないデータとして、図9に示すように、正側のみのデータの組み合わせで構成することが好ましい。
【0094】
以上に説明したように、実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置によれば、デジタル音声データに、実施の形態1において説明したガードデータを、特定の周波数成分が多く存在するデータ領域に加え、さらに、その特定の周波数成分の2倍であり、かつ非可聴範囲に位置する周波数を有したひずみ強調データを付加することで新たなデジタル音声データを作成するので、そのデジタル音声データの圧縮コピー後の再生時に、上記ガードデータが含まれた部分のひずみがより強調されて再生され、実施の形態1に説明したコピー防止効果以上の効果が期待できることになる。
【0095】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法について説明する。実施の形態1および2にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法がデジタル音声データやデジタル画像ファイルの圧縮処理においてそのコピー防止の効果が期待できるものであったのに対し、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、デジタル音声データやデジタル画像ファイルに限らず、文書データやプログラムといったあらゆるデジタルコンテンツに対して、コピー防止の効果を得るものである。
【0096】
この実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、そのコピー防止の効果を得るために、具体的には、デジタルデータに対して、エンコード条件とエンコード・コードを指定したエンコード処理を施す。そして、このようにエンコードされたデジタルデータは、そのエンコード時に生成されたデコード・データと上記エンコード条件およびエンコード・コードを用いてデコード処理を施した場合のみ、元のデジタルデータに再現できることを特徴としている。
【0097】
さらに、この実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、上記したエンコード処理のアルゴリズムが、音声データ、画像データまたはプログラムといったデジタルデータ種ごとに選択されるという点で、従来の暗号化技術と異なる。
【0098】
図10は、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置の一部の概略構成を示すブロック図である。図3において、デジタルコピー防止処理装置は、エンコード/デコード・データ生成部50を備えている。
【0099】
エンコード/デコード・データ生成部50は、エンコードしようとするデジタルデータを入力する入力制御部51と、デジタルデータの種別を指定するデータ種とエンコード条件とを入力するとともに、入力制御部51に入力されたデジタルデータにおいてエンコード・コードを付加する位置を特定するエンコード・コード付加位置特定部52と、エンコード・コードを入力するとともに、エンコード・コード付加位置特定部52により特定された位置にあるデータに上記エンコード・コードを加算するエンコード・コード付加演算部53と、エンコード・コード付加演算部53の演算結果に基づいてデジタルデータに実際にエンコード・コードを付加するエンコード・コード付加処理部54と、エンコード・コード付加処理部54の処理内容をエンコード処理情報として記録するエンコード処理情報記録部55と、エンコード処理情報記録部55に記録されたエンコード処理情報に基づいてデコード・データを生成するデコード・データ生成部56と、エンコードされたデジタルデータをエンコード・データとして出力する出力制御部57と、を備えて構成されている。
【0100】
つぎに、この実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置の動作について、エンコード/デコード・データ生成部50を中心に説明する。図11は、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。まず、エンコード/デコード・データ生成部50は、エンコード・コード付加位置特定部52にエンコード対象となるデジタルデータのデータ種およびエンコード条件を入力するとともに、エンコード・コード付加演算部53にエンコード・コードを入力する。
【0101】
ここで、データ種とは、エンコード対象となるデジタルデータの種別を表わすものであり、音声データ、画像データ、文書データまたはプログラムといった性質の異なるデータ毎に割り当てられたコードである。
【0102】
また、エンコード条件とは、エンコード対象となるデジタルデータのうち、どのような条件を満たす部分に後述するエンコード・コードを加算するかを示したコードであり、エンコード・コードとは、その加算する数値の大きさを示す値であ。例えば、データ種が文書データでありその文書データを16進数で表現された数値の配列として取り扱う場合に、エンコード条件およびエンコード・コードとしてそれぞれ任意の16進数を指定する。
【0103】
上記したデータ種、エンコード条件およびエンコード・コードが指定されると、エンコード/デコード・データ生成部50は、エンコード対象となるデジタルデータを入力制御部51に入力する(ステップS111)。入力制御部51は、デジタルデータを入力すると、そのデジタルデータをエンコード・コード付加位置特定部52へと伝送する。
【0104】
ここで、エンコード・コード付加位置特定部52は、上記したデータ種に応じて、エンコード・コード付加方法やエンコード・コード付加位置の特定をおこなうためのエンコード・アルゴリズムを決定しており、入力制御部51を介して入力されたデジタルデータに対して、上記したエンコード条件を満たしたデータ位置を特定する。
【0105】
なお、上記したエンコード・アルゴリズムとは、具体的には、エンコード条件を示したコードの検索範囲を指定するとともに、エンコード・コードをどのように付加するかを定めている。例えば、文書データの場合には、上記検索範囲をコンテンツ全体とし、その検索により特定されたデータから、さらに所定数のデータ分シフトした位置にあるデータに、上記エンコード・コードが示す数値を単純に加算する。
【0106】
特に、上記したエンコード・アルゴリズムは、データ種がプログラムの場合には、上記検索範囲を、システム(OS)が直接関与する部分やアドレスに関与している部分等を除いた範囲とし、その検索により特定されたデータの8ビット目を“1”に置換する。この場合、エンコード・コードは使用されないことになるが、プログラムは、基本的には8ビットコードの配列として表現されており、例えば、そのブート領域において、単純にエンコード・コードを加算した結果、他のアルファベットや数字に変換されたのみでコンピュータが認識できるコマンド等に変容されたのでは、プログラムの起動を許してしまうことになりかねない。
【0107】
一方、プログラムでは、そのソースでコマンド等を構成するアルファベットや数値を表わすのに、8ビットコードのうち7ビットしか用いておらず、最上位ビットである8ビット目を“1”に置換すると、コンピュータ上で認識できないコードになる。
【0108】
このように、エンコード・コード付加位置特定部52は、特定のエンコード・アルゴリズムが選択された状態にあり、この状態で、入力制御部51を介してデジタルデータを入力すると、そのデジタルデータが上記したエンコード・アルゴリズムが示すエンコード可能範囲であるか否かを判定する(ステップS112)。
【0109】
入力したデジタルデータがエンコード可能範囲でない場合には、全デジタルデータの入力が完了したか否かが判定され(ステップS119)、全デジタルデータの入力が完了していない場合にはステップS111に戻ってつぎのデジタルデータの入力がおこなわれる。
【0110】
ステップS112において入力したデジタルデータがエンコード可能範囲に位置する場合には、つづいてそのデジタルデータが上記したエンコード条件を示すコードに一致するか否かが判定される(ステップS113)。デジタルデータがエンコード条件を示すコードに一致しない場合には、上記したステップS119の処理に移り、デジタルデータがエンコード条件を示すコードに一致する場合には、上記したエンコード・アルゴリズムに従って、そのデジタルデータ自体やさらに所定数分のデジタルデータを入力した後のデジタルデータを、エンコード・コード付加処理対象データとして決定する。
【0111】
そして、エンコード・コード付加位置特定部52は、そのエンコード・コード付加処理対象データと、上記したエンコード・アルゴリズムに従ったエンコード・コード付加方法特定信号とを、エンコード・コード付加演算部53へと伝送する。
【0112】
エンコード・コード付加演算部53は、エンコード・コード付加処理対象データを入力すると、上記したエンコード・コード付加方法特定信号が示すエンコード・コード付加方法に従って、上述した例のように、そのエンコード・コード付加処理対象データに対するエンコード・コードの付加演算をおこなう(ステップS114)。
【0113】
ここで、ステップS114における付加演算の結果、デジタルデータにおいて規定されたビット数をオーバーフローする場合には、このエンコード・コード付加処理対象データを、実際にデジタルデータを変容させない部分として除外し(ステップS115肯定)、ステップS119の処理に移る。オーバーフロー市内場合には、エンコード・コード付加演算部53は、付加演算の結果をエンコード・コード付加処理部54へと伝送する。
【0114】
エンコード・コード付加処理部54は、上記した付加演算の結果を入力すると、実際に、上記したエンコード・コード付加処理対象データが位置するデジタルデータを付加演算の結果に置換するとともに、付加演算方法やエンコード・コード付加処理対象データの位置等のエンコード・コード処理情報を、エンコード処理情報記録部55に記録する(ステップS117)。
【0115】
さらに、エンコード・コード付加処理部54は、上記したエンコード・コード付加処理情報に基づいて、エンコードされたデジタルデータ(エンコード・データ)をデコードする際に必要となるデコード・データを生成する(ステップS118)。そして、エンコード・コード付加処理部54においてエンコード処理されたデータ部分は、出力制御部57に出力され、出力制御部57は、入力制御部51を介して入力されたエンコード処理前のデジタルデータのうち、上記エンコード・コード付加処理対象データに相当するデータを、所定のタイミングで、エンコード処理されたデータ部分に置換する。
【0116】
このデータ部分の置換後は、ステップS119に処理が移り、上述した一連の処理が全デジタルデータの入力が完了するまで繰り返される。すなわち、これにより、出力制御部57は、デジタルデータに対して順次エンコード処理が施されたエンコード・データを出力することが可能になる。
【0117】
以上に説明したように、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置によれば、エンコード条件、エンコード・コードおよびデジタルデータのデータ種が指定されることで、それら指定内容に応じたエンコード処理をデジタルデータに施し、エンコードされたエンコード・データと、そのエンコード・データのエンコード内容を示すデコード・データとを得ることができる。
【0118】
ここで、後述するデコード手段(以下、デコーダと称する)によって、上記したエンコード・データを元のデジタルデータに復元するには、エンコード条件およびエンコード・コードと、上記したデコード・データが必要になる。しかし、これらの情報をすべて別々に管理するのでは取り扱いが複雑になってしまうが、エンコード条件およびエンコード・コードは、比較的簡単なコードにより表わすことができるため、多数のエンコード・データが存在したとしても、その管理は容易である。
【0119】
一方、上記したデコード・データについては、エンコード条件およびエンコード・コードに比べてそのサイズも大きく管理が困難になるとともに、このデコード・データの内容を知られただけでは、デコードをおこなうことができないという性質を有している。そこで、デコードデータについては、上記したエンコード・データと一体にしたエンコード・ファイルとして取り扱うことができる。
【0120】
よって、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置は、上記したエンコード・ファイルを生成するためのエンコード・ファイル生成部を備えて構成することができる。図12は、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置の一部の概略構成を示すブロック図であり、特に、上記したエンコード・ファイル生成部を示している。図12に示すように、エンコード・ファイル生成部60は、図10に示したエンコード/デコード・データ生成部50から出力されたエンコード・データおよびデコード・データに加え、上記したデータ種を示すコードを入力する。
【0121】
すなわち、エンコード・ファイル生成部60は、指定されたデータ種に応じた方法によって、エンコード・データとデコード・データとの相互配置等を決定し、それらデータを合成したエンコード・ファイルを生成して出力するものである。
【0122】
図13は、エンコード・ファイル生成部60において生成されるエンコード・ファイルの構成例を説明するための説明図である。まず、図13(a)に示すエンコード・ファイルは、デコード・データの直後に単にエンコード・データを追加した構成を示している。これは、デコーダが起動している状態において、そのデコーダに、デコード対象となるエンコード・データ特有のエンコード条件およびエンコード・コードが入力されることで、まず、デコード・データ部分が読み込まれる。そして、デコーダは、そのデコード・データと上記エンコード条件およびエンコード・コードを用いて、デコード・データの後段に位置するエンコード・データを復元する。このエンコード・ファイルの構成は、文書データや画像データのように、エンコード制限が厳格でないデータに適している。
【0123】
図13(b)に示すエンコード・ファイルは、図13(a)に示した構成の先頭にさらにデコーダ起動部を追加した構成を示している。これにより、デコーダが起動されていない状態であっても、コンピュータ上のOSにおいて、このエンコード・ファイルの内容を閲覧する指示等を与えた際に、強制的にデコーダを起動し、エンコード条件およびエンコード・コードの入力を要求することができる。
【0124】
図13(c)に示すエンコード・ファイルは、ゲーム機専用CD−ROMのように、その認証方法が特殊な場合に適した構成を示している。上述したように、ゲーム機では、IDコードが特別な領域(プレギャップ)に書き込まれているため、この領域に、上記したエンコード条件およびエンコード・コードを書き込んだとしても、パーソナル・コンピュータ上で使用されるCD−ROMドライブでは読み出すことができない。
【0125】
そして、その領域に続いて、通常のCD−ROMドライブでも読み取り可能な領域に、図13(b)で示したデコード起動部につづいて、デコード・データ、エンコード・データ、非エンコード・データが付加される。ここで、エンコード・データおよび非エンコード・データとは、ゲームのようなプログラムでは、プログラム本体を起動させるコードを表わしたヘッダ部のみにエンコード処理を施すことでその実行に制限を課すことができることに基づくものである。
【0126】
つぎに、デコーダについて説明する。デコード処理は、基本的には、図10に示したエンコード/デコード・データ生成部50において説明した処理と逆の動作をおこなうことで実現されるため、デコーダとしてのその装置構成もまた図10に示したものと同様である。よって、デコーダは、正しいエンコード条件およびエンコード・コードが入力されなかった場合には、それらエンコード条件およびエンコード・コードに基づいてエンコード・データに対してエンコード処理を施してしまう。
【0127】
これは、不正なエンコード条件およびエンコード・コードの入力を防ぐものであり、上記したエンコード・ファイル自体のコピーは容易であるという特性と相俟って、結果的にコピー防止の効果を発揮させることになる。
【0128】
また、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法、すなわちエンコード/デコード・システムは、従来の暗号化技術を適用していた分野に導入することができる。よって、このデジタルコピー防止処理装置によって生成されたエンコード・ファイルは、ネットワークを介してダウンロードファイルや電子メールとして送受信される場合にも、十分な保安性を与えることができる。
【0129】
例えば、ネットワーク上のサーバに特定人のみがアクセスできる場合に、サーバ内のファイルを上記方法によりエンコード処理し、ユーザはデコーダ、上記エンコード条件およびエンコード・コードを入手した場合に限り、その内容を正しく閲覧することができる。
【0130】
さらに、実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置およびデジタルコピー防止処理方法は、衛星放送等の有料放送によって提供される番組のスクランブル化に適用することも可能である。すなわち、番組提供側が、上記したデジタルコピー防止処理方法によって放送信号にエンコード処理を施し、利用者は、デコーダを入手するとともに、課金等の正当な経路によって、上記エンコード条件およびエンコード・コードを取得することで、所望の番組のみを視聴することが可能になる。
【0131】
なお、以上に説明した実施の形態1〜3にかかるデジタルコピー防止処理装置は、ハードディスクやCD−Rドライブ等の外部補助記憶装置を搭載したコンピュータの装置構成により実現することもできる。よって、その場合は、実施の形態1〜3にかかるデジタルコピー防止処理方法を、コンピュータプログラムとして実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
以上のように、本発明は、音楽CDやCD−ROM等に記録されたデジタルコンテンツまたはネットワークを介して配信されるデジタルコンテンツを、種々の記録媒体上に複製することを禁止して、デジタルコンテンツの不当な流布を防止するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において、デジタル音声データの平均値算出処理を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において、ピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において、ピーク検出およびガードデータ付加位置特定処理によって処理されるデジタル音声データを示す図である。
【図6】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において、ガードデータ付加処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1にかかるデジタルコピー防止処理装置において、ガードデータの一例を示す図である。
【図8】実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置において、強調データ付加処理部の動作を説明するための説明図である。
【図9】実施の形態2にかかるデジタルコピー防止処理装置において、ひずみ強調データの一例を示す図である。
【図10】実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置の一部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置の一部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3にかかるデジタルコピー防止処理装置において生成されるエンコード・ファイルの構成例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0134】
10 デジタルコピー防止処理装置
20 ガード音声データ生成部
21,51 入力制御部
22 データ分析部
22a 平均値算出部
22b ピーク検出部
22c ガードデータ付加位置特定部
23 ガードデータ付加処理部
24 ガードデータ選択部
25 ガードデータ記憶部
26,57 出力制御部
30 ガード音声データ記録部
44 サンプリング周波数
50 デコード・データ生成部
52 エンコード・コード付加位置特定部
53 エンコード・コード付加演算部
54 エンコード・コード付加処理部
55 エンコード処理情報記録部
56 デコード・データ生成部
60 エンコード・ファイル生成部/エンコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルデータを構成する複数のデジタル値のうちの少なくとも一つのデジタル値を示した第1のデジタルコードを入力し、入力した第1のデジタルコードに基づいて、前記複数のデジタル値のうちからエンコード処理を施すデジタル値を特定するエンコード位置特定部と、
第2のデジタルコードを入力し、前記エンコード位置特定部によって特定された位置にあるデジタル値に、前記第2のデジタルコードが示すデジタル値を付加することで、前記デジタルデータを変容するエンコード処理部と、
を備えたことを特徴とするデジタルコピー防止処理装置。
【請求項2】
前記エンコード位置特定部は、前記デジタルデータの種別を示す第3のデジタルコードを入力し、入力した第3のデジタルコードに基づいて、エンコード処理を施すデジタル値を特定するための検索範囲を変更することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコピー防止処理装置。
【請求項3】
前記エンコード処理部は、前記第3のデジタルコードによって示されるデジタルデータの種別がプログラムである場合に、前記エンコード位置特定部によって特定された位置にあるデジタル値の8ビット目を“1”に変更することを特徴とする請求項2に記載のデジタルコピー防止処理装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3に記載のいずれか一つにデジタルコピー防止処理装置によって処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体。
【請求項5】
デジタルデータを構成する複数のデジタル値のうちの少なくとも一つのデジタル値を示した第1のデジタルコードを入力し、入力した第1のデジタルコードに基づいて、前記複数のデジタル値のうちからエンコード処理を施すデジタル値を特定するエンコード位置特定工程と、
第2のデジタルコードを入力し、前記エンコード位置特定工程によって特定された位置にあるデジタル値に、前記第2のデジタルコードが示すデジタル値を付加することで、前記デジタルデータを変容するエンコード処理工程と、
を含んだことを特徴とするデジタルコピー防止処理方法。
【請求項6】
前記エンコード位置特定工程は、前記デジタルデータの種別を示す第3のデジタルコードを入力し、入力した第3のデジタルコードに基づいて、エンコード処理を施すデジタル値を特定するための検索範囲を変更することを特徴とする請求項5に記載のデジタルコピー防止処理方法。
【請求項7】
前記エンコード処理工程は、前記第3のデジタルコードによって示されるデジタルデータの種別がプログラムである場合に、前記エンコード位置特定工程によって特定された位置にあるデジタル値の8ビット目を“1”に変更することを特徴とする請求項6に記載のデジタルコピー防止処理方法。
【請求項8】
前記請求項5〜7に記載のいずれか一つにデジタルコピー防止処理方法によって処理されたデジタルデータを記録した再生可能な記録媒体。
【請求項9】
前記請求項5〜7のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−325284(P2007−325284A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160724(P2007−160724)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【分割の表示】特願2000−84913(P2000−84913)の分割
【原出願日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【出願人】(300023383)株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ (376)
【Fターム(参考)】