説明

デジタル信号伝送装置

【目的】この発明は、ISMバンドを利用して伝送遅延が極く僅かでありしかも高速で高信頼度のデジタル信号を伝送するためのデジタル信号伝送装置に関するものである。

【構成】 異なる周波数を割りたてられたISMバンドの複数の送受信機216a1〜216anから同一あるいは共用のデジタル信号で変調された高周波信号を空間に放射し、対向する周波数を割当てられたISMバンドの複数の送受信機216b1〜216bnにより受信した高周波信号を復調し信号分配選択部214bによって正常に受信されたデジタル信号を選択して出力することで、伝送遅延の少ない伝送誤りの少ないデジタル信号伝送装置が実現できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2.4GHz帯あるいはその他のISMバンドを利用して伝送遅延が少なくしかも高速で高信頼度のデジタル信号の伝送を実現するためのデジタル信号伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、特許文献1に記載されている従来の「無線伝送装置及びその制御方法」の実施例である。 図5において、DSP112では、チューナー111から供給される映像信号と音声信号がそれぞれの無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換され、この振幅値データが、例えば5.2GHz帯の送受信機114、及び例えば2.4GHz帯の送受信機115に供給される。
更に、制御部116にてTMCC信号から判別される精細度の情報に応じて、送受信機114及び115を切替えるための制御信号が形成される。そして判別された精細度の情報が高精細度である場合には、5.2GHz帯の送受信機114が動作されると共に、映像信号と音声信号が5.2GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。
また、標準精細度である場合には、2.4GHz帯の送受信機115が動作されるとともに、映像信号と音声信号が2.4GHz帯の無線伝送用の変調に最適な振幅値に変換される。
従来の実施例では上記のように構成されているため、複数の周波数帯の送受信機を用いてデジタル信号を伝送しているが遅延特性あるいは伝送時の信頼性についての特段の改善はなされていない問題点がある。
一方、特許文献2に記載されている従来の「無線信号送信装置および無線信号受信装置ならびに無線信号伝送システム」では、映像や音声の伝送をほとんど遅延なしに行なうことができるとされているが、他から妨害波を受けた場合の耐妨害性あるいは伝送信頼性についての対策がなされていない問題点がある。
また、特許文献3に記載されている従来の「非同期デジタル無線通信システム」では、非同期単向通信でデジタル音声データを無線伝送するにあたって、受信機側でのオーバーフローやアンダーフローによる音声の途切れを防止するとともに、音声データの遅延時間をより短くするよう構成しているが、他から妨害波あるいは干渉を受けた場合の信頼性についての対策がなされていない問題点がある。
また、特許文献4に記載されている従来の「低速周波数ホッピング通信方式」では、マルチパスフエージングによる通信品質の劣化を改善した低速周波数ホッピング方式を提供するが、伝送遅延と他から妨害波を受けた場合の信頼性についての対策がなされていない問題点がある。
また、特許文献5に記載されている従来の「時分割多重デジタル無線通信方式」では、伝送するビット列を複数の低速ビット列に分割してそれぞれ周波数の異なる複数のサブキャリアに別々にデジタル変調をした後に周波数多重化するマルチキャリア・デジタル変調方式を使用し、且つ、この変調方式によるデジタル信号を時分割した複数の通信スロットで通信する時分割多重デジタル通信方式とすることで、他から妨害を受けた場合の信頼性についての改善がなされているが、必然的に伝送遅延が大きくなる問題点がある。

【特許文献1】特開2003−304412号
【特許文献2】特開2005−323205号
【特許文献3】特開2004−349929号
【特許文献4】特開平9−167982号
【特許文献5】特開平5−276131号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、2.4GHz帯等のISMバンドに割当てられた周波数帯を利用してデジタル信号の伝送を行なう場合に、伝送遅延が少なくしかも高速で高信頼度のデジタル信号伝送を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係わるデジタル信号伝送装置は、複数の送信機および/あるいは受信機に複数の周波数を割当て、当該複数の送信機に同一あるいは共通のデジタル信号を並列に入力し、当該複数の受信機から出力される複数のデジタル信号から正常に受信されたものを選択して出力することで、伝送遅延が少なく他から妨害あるいは干渉を受けた場合にも信頼性の高い伝送を可能にするためのものである。
【発明の効果】
【0005】
従来のデジタル信号伝送装置では、単一の送受信機に単一の周波数を割当ててデジタル信号の伝送を行い、あるいは複数のサブキャリア周波数を割当ててデジタル信号を低速ビット列に分割してそれぞれのサブキャリアに別々に分けて伝送しているため、伝送遅延が大きく他から妨害あるいは干渉を受けた場合に信頼性の低下が生じるなどの問題点があった。
本発明のデジタル信号伝送装置では、複数の送信機および/あるいは受信機に複数の周波数を割当て、当該複数の送信機に共通のデジタル信号を並列に入力し、当該複数の受信機から出力される複数のデジタル信号から正常に受信されたものを選択して出力することで、伝送遅延が少なく他から妨害あるいは干渉を受けた場合でも信頼性の高いデジタル信号の伝送を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明に係わるデジタル信号伝送装置は、図1に示すように、発受信手段21aをデジタル信号の発信側とし発受信手段21bをデジタル信号の受信側とすると、ISMバンドの送受信機216a1〜216anには異なる複数の周波数が割当てられ、ISMバンドの送受信機216b1〜216bnには対向する複数の周波数が割当てられている。接続端子211aに入力されたアナログ信号はCODECおよび/あるいは信号変換部213aによってデジタル信号に変換された後信号分配選択部214aによって当該発信側の複数の送受信機216a1〜216anに分配され変調された高周波信号となって空間に放射される。一方、受信側のISMバンドの送受信機216b1〜216bnにより受信された複数のデジタル信号の内から正常に受信されたデジタル信号が信号分配選択部214bによって選択されCODECおよび/あるいは信号変換部213bによってアナログ信号に変換されて出力される。
当該発受信手段21aのISMバンドの送受信機216a1〜216anから発信される高周波信号には、図2の(a)に示すように、少なくとも同期信号と誤り検出符号(CRC)が含まれており、一方の発受信手段21bのISMバンドの送受信機216b1〜216bnでは、図3に示すように、受信されたデジタル信号から同期検出タイミングと誤り検出の判定結果が出力され、信号分配選択部214bによって当該誤り検出判定結果から正常に受信されたと判定された側からデジタル信号が選択される。
当該図2の(b)のように同期信号302を含む連続したデジタル信号311が伝送される場合あるいは当該図2の(c)に示すようにアナログ信号がΔΣ(デルタ・シグマ)変調信号312に変換されて伝送される場合には、信号分配選択部214bにおいて、多数決により正常に受信されたかの判定を行なう。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の一実施例を示すシステム構成図である。図1において、21a、21bは発受信手段、211a、211bはアナログ信号の接続端子、212a、212bはデジタル信号の接続端子、213a、213bはCODECおよび/あるいは信号変換部、214a、214bは信号分配選択部、215a、215bは制御部、216a1〜216anおよび216b1〜216bnはISMバンドの送受信機、217a1〜217anおよび217b1〜217bnはアンテナである。
発受信手段21aをデジタル信号の発信側とし発受信手段21bをデジタル信号の受信側とする。当該発受信手段21aにおいて、アナログ信号を接続端子211aに接続しCODECおよび/あるいは信号変換部213aによってデジタル信号に変換した後に信号分配選択部214aに入力され、一方、デジタル信号が接続端子212aに接続される場合には直接信号分配選択部214aに入力され、ISMバンドの送受信機216a1〜216anによって変調され増幅された高周波信号となってアンテナ217a1〜217anから空間に放射される。
当該信号分配選択部214aは当該デジタル信号をISMバンドの送受信機216a1〜216anに分配する。当該ISMバンドの送受信機216a1〜216anには制御部215aによって異なる搬送波信号周波数および/あるいは副搬送波信号周波数が割当てられており、当該信号分配選択部214aによって分配された共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号によってISMバンドの送受信機216a〜216anの搬送波信号および/あるいは副搬送波信号が変調される。
【0008】
一方、当該発受信手段21bのISMバンドの送受信機216b1〜216bnには当該発受手段21aのISMバンドの送受信機216a1〜216bnの周波数に1対1で対応する周波数が制御部215bによって割当てられている。当該ISMバンドの送受信機216b1〜216bnにより受信された複数のデジタル信号は信号分配選択部214bによって正常に受信されたデジタル信号が選択され、CODECおよび/あるいは信号変換部213bによってアナログ信号に変換されて接続端子211bに出力されあるいは直接デジタル信号として接続端子212bに出力される。
かくして、当該発受信手段21aと当該発受信手段21bの間は複数のISMバンドの送受信機216a1〜216anと複数のISMバンドの送受信機216b1〜216bnによって複数の経路で結ばれていることから、当該発受信手段21aの接続端子211aに入力されたアナログ信号あるいは接続端子212aに入力されたデジタル信号は複雑な誤り訂正符号を組込んだり冗長性を有するデジタル信号に変換することなく伝送誤り率が小さくしかも伝送遅延がほとんど無い状態で当該発受信手段21b側の接続端子211bあるいは212bから出力される。
ここで、当該複数のISMバンドの送受信機216a1〜216anから発信される高周波信号には、図2の(a)に示すように少なくとも同期信号301a、301bと誤り検出信号303a、303bがデジタル信号302a、302bに附加されており、当該発受信手段21bの信号分配選択部214bにおいて当該誤り検出信号303a、303bを用いてデジタル信号302a、302bが正常に受信されたかの判定を行い正常に受信されたものからデジタル信号302a、302bを選択し当該CODECおよび/あるいは信号変換部213bによってアナログ信号に変換して出力しあるいは直接出力する。
【0009】
あるいは、図2(b)に示すように連続したデジタル信号311に同期信号301を附加し、あるいは図2の(c)に示すようにCODECおよび/あるいは信号変換部213aによってΔΣ(デルタ・シグマ)変調器によって1ビットのデジタル信号列に変換した場合には、当該発受信手段21bの信号分配選択部において多数決等の方法により正常に受信されたデジタル信号列を選択することも可能である。
また、当該ISMバンドの送受信機216a1〜216anを用いる代わりに、複数の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号を有する1台の送受信機を用いても同様な効果が得られる。
また、当該複数の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号に直交する周波数が割当てられるOFDM方式の場合でも同様な効果が得られる。
【実施例2】
【0010】
図2は本発明の実施例で伝送されるデジタル信号の構成図であり、301、301a、301bは同期信号、302a、302bはデジタル信号、303a、303bは誤り検出信号、311は連続するデジタル信号、312はΔΣ(デルタ・シグマ)変調された1ビットのデジタル信号列である。
図2(a)では、同期をとるための同期信号301aとデジタル信号302aと誤り検出信号303aおよび同期信号301bとデジタル信号302bと誤り検出信号303bが直列に並べられており、図2(b)では、同期をとるための同期信号301と連続するデジタル信号311が直列に並べられており、図2(c)では、ΔΣ(デルタ・シグマ)変調された1ビットのデジタル信号が直列に伝送されている。
ここで、図2(a)および(b)はパケット状のデジタル信号を伝送するのに適し、図2(c)では、同期信号301aあるいは301bおよび/あるいは誤り検出信号303aあるいは303bが不要なため、映像信号あるいは音声信号等の連続するアナログ信号を遅延無く伝送するのに適する。
【実施例3】
【0011】
図3は本発明の他の実施例を示す構成図であり、21aは発受信手段、211a1、211a2はアナログ信号の接続端子、212aはデジタル信号の接続端子(例えばUSBあるいはRS232C)、213aはA/DCおよび/あるいはD/AC、214aは信号分配選択部、215aは制御部、216a1、216a2はISMバンドの送受信機、217a1、217a2はアンテナである。
当該アナログ信号接続端子211a1は入力側、211a2は出力側であり、デジタル信号接続端子212aは例えばUSBコネクタあるいはRS232Cコネクタでありデジタル入出力信号と制御信号の接続端子を有するものとする。
当該アナログ信号接続端子211a1に入力されたアナログ信号はA/DCおよび/あるいはD/AC213aによってデジタル信号に変換されあるいはデジタル信号接続端子212aに入力されたデジタル信号は直接信号分配選択部214aに入力され、2分配されて当該ISMバンドの送受信機216a1と216a2の送信FIFO(フアーストインフアーストアウト)端子に入力する。
当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2は高集積度のLSIであり、FIFO端子に入力されたデジタル信号に図2の(a)に示す同期信号301a、301bと誤り検出信号303a、303bを附加して搬送波信号および/あるいは副搬送波信号に変調をかけ制御部215aにより指定された送信周波数に変換して増幅した後、アンテナ217a1、217aから空間に放射する。
一方、アンテナ217a1、217a2によって受信された高周波信号は当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2によってデジタル信号に復調され、図2の(a)に示す同期検出信号301a、301bの受信タイミングを示す信号と受信したデジタル信号302a、302b(受信FIFO信号)と誤り検出信号303a、303bの判定結果を示す信号をそれぞれの端子から出力する。
【0012】
当該信号分配選択部214aでは、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2から出力される同期信号301a、301bの受信タイミングを示す信号と誤り検出信号303a、303bの判定結果を受けて正常に受信されたと判定された側の受信FIFO信号を取り込み、A/DCおよび/あるいはD/AC213aによってアナログ信号に変換してアナログ端子211a2から出力しあるいは直接デジタル端子212a端子から出力する。
ここで、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2には異なる周波数が制御部215aによって割当てられ、当該異なる周波数を割当てることで周波数ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2にはそれぞれ別々のアンテナ217a1、217a2を接続しているがアンテナ分配合成器を介して1基のアンテナに接続することも可能であり、その場合でも上記周波数ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該2基のアンテナが異なる偏波面を有することで偏波ダイバーシテイの効果が得られ、同一方向に向けた指向性を有することで指向性ダイバーシテイの効果が得られ、および/あるいは間隔をあけることで空間ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2を用いる代わりに、2波の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号を有する1台の送受信機を用いても同様な効果が得られる。
また、当該複数の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号に直交する周波数が割当てられるOFDM方式の場合でも同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0013】
図4は本発明の他の実施例を示す構成図であり、21aは発受信手段、211a1、211a2はアナログ信号の接続端子、212aは制御信号の接続端子(例えばUSBあるいはRS232C)、213aはΔΣ(デルタ・シグマ)変復調器、214aは信号分配選択部、215aは制御部、216a1、216a2、216a3はISMバンドの送受信機、217a1、217a2、217a3はアンテナである。
当該アナログ信号接続端子211a1は入力側、211a2は出力側であり、デジタル信号接続端子212aは例えばUSBコネクタあるいはRS232Cコネクタでありデジタル入出力信号と制御信号の接続端子を有するものとする。
当該アナログ信号接続端子211a1に入力されたアナログ信号はΔΣ(デルタ・シグマ)変復調器213aによって1ビットのデジタル信号列312(図2の(c)に示す)に変換され信号分配選択部214aに入力され、3分配されて当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3の送信入力端子に入力する。
当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3は、送信入力端子に入力された1ビットのデジタル信号列312を直接あるいはNRZあるいはマンチェスタコード等に変換した後に搬送波信号および/あるいは副搬送波信号に変調をかけ制御部215aにより指定された送信周波数に変換して増幅した後、アンテナ217a1、217a、217a3から空間に放射する。
当該ΔΣ(デルタ・シグマ)変復調器213aにより、例えば、スーパーオーデイオ等のアナログ信号をデジタル信号に変換する場合、通常のサンプリング周波数fs=44.1kHzに対して64倍の64fs=2.8224MHz程度でオーバーサンプリングを行い、1ビットのデジタル信号列(2.8224Mbps)に変換することで、ダイナミックレンジとして可聴帯域で120dBを確保できる。ただし、デジタル信号の伝送速度が2.8224Mbpsと高速になって広帯域の無線周波数を占有することになるので、占有帯域幅を圧縮できる変調方式を採用して帯域の圧縮を図る等の必要がある。
一方、アンテナ217a1、217a2、217a3によって受信された高周波信号は当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3によって複数の1ビットのデジタル信号列312に復調され、当該信号分配選択部214aよって当該復調された複数の1ビットのデジタル信号列312に対して任意のビット単位あるいはビット単位で複数のサンプリングを行い当該サンプリング単位あるいは複数サンプリング単位で多数決判定を行い正常に受信された1ビットのデジタル信号を選択し、当該ΔΣ(デルタ・シグマ)変復調器213aによりアナログ信号に変換され、接続端子211a2から出力される。
あるいは、当該単一あるいは複数の受信機により受信された複数の1ビットのデジタル信号列の内から正常に受信された1ビットのデジタル信号列を多数決により選択する際に、当該複数の1ビットのデジタル信号列間に存在する伝送遅延時間差あるいは伝送遅延位相差を調節しあるいは補正して当該正常に受信された1ビットのデジタル信号列の誤り率が最少となるように調整しあるいあ制御することも可能である。
【0014】
ここで、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3には異なる周波数が制御部215aによって割当てられ、当該異なる周波数を割当てることで周波数ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3にはそれぞれ別々のアンテナ217a1、217a2、217a3を接続しているがアンテナ分配合成器を介して1基のアンテナに接続することも可能であり、その場合でも上記周波数ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該ISMバンドの送受信機216a1、216a2、216a3を用いる代わりに、3波の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号を有する1台の送受信機を用いることも可能であり、その場合でも上記周波数ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該3基のアンテナが異なる偏波面を有することで偏波ダイバーシテイの効果が得られ、同一方向に向けた指向性を有することで指向性ダイバーシテイの効果が得られ、および/あるいは間隔を空けることで空間ダイバーシテイの効果が得られる。
また、当該1ビットのデジタル信号列312をNRZあるいはマンチェスタコードに変換して変調するとしたが、送信側でNRZ信号を用いて差動符号化して変調し受信側で遅延検波により復調しても同様な効果が得られる。
また、当該複数の搬送波信号および/あるいは副搬送波信号に直交する周波数が割当てられるOFDM方式の場合でも同様な効果が得られる。
また、変調方式については、一般的なASK、FSK、あるいはPSKを用いることができるが、ΔΣ(デルタ・シグマ)変調器によりデジタル信号に変換する場合にはオーバーサンプリングにより占有帯域幅が広がるのを防ぐため、変調方式にQPSK、QAM、あるいは帯域圧縮比の大きな変調方式を採用し、占有帯域幅が2MHz以下となるようにする必要がある。
また、当該発受信手段が複数組でありお互いに対向して運用される場合に相互間で干渉あるいは妨害を引き起こす危険性がある。特に1ビットのデジタル信号列で送信する場合には伝送遅延が生じるのを避けるために途中に制御信号を挿入することが出来ないので、当該複数組の発受信手段の任意の動きによっても相互に干渉しあるいは妨害を与えないように相互間の位置関係を調整しあるいは制約を与え、あるいはデジタル信号を伝送する途中に制御信号を挿入できるかあるいは別ルートで制御信号を伝送できる場合には、当該複数の発受信手段の内の対向する相手方に対して送信機の送信出力を相対的な距離の変化に応じて制御するよう要求することで、当該干渉あるいは妨害を極力減らすことが必要である。
【0015】
以上の説明では、ISMバンドの送受信機を用いるとしたが、広帯域を占有できるその他の周波数帯の送受信機を用いても同様な効果が得られる。
また、高周波信号の代わりに超音波信号あるいは光信号を用いても同様な効果があり、アンテナの代わりに超音波トランスデューサーあるいは超音波送波器を用いて超音波信号を発信し、超音波トランスデューサーあるいは超音波受波器を用いて超音波信号を受信し、あるいは発光ダイオードあるいはレーザーダイオードを用いて光信号を発信し、ホトダイオードを用いて光信号を受信することでも同様な効果が得られる。なお、本出願では、超音波トランスデューサーあるいは超音波送受波器と発光ダイオードあるいはレーザーダイオードあるいはホトダイオードを総称して送受波器と呼称するものとする。また、送受波器の送波器あるいは受波器のみを用いる場合でも送受波器として記載している。
また、当該共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号に誤り訂正符号を附加しおよび/あるいは冗長度の高い符号化を行ないおよび/あるいは任意の信号処理を行なっても同様な効果が得られる。
また、当該共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号が連続するデジタル信号でありあるいはパケット化されたデジタル信号であっても同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、上記のように構成されているため、高速で、伝送遅延が少なく、伝送誤りが少なく、しかも信頼度の高いデジタル信号の伝送が可能となるので、高忠実度のアナログ信号の伝送が要求されるデジタル伝送方式の無線マイクロホン、映像および/あるいは音響設備の無線化などに応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例で伝送されるデジタル信号の構成図である。
【図3】本発明のその他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明のその他の実施例を示す構成図である。
【図5】従来の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0018】
11 無線アクセスポイント装置
12 無線端末装置
111 デジタルテレビジョンチューナ
112 DSP
113 TMCC信号回路
114 5.2GHz帯送受信機
115 2.4GHz帯送受信機
116 送受信機切替え制御部
117、118、120、122 アンテナ
121 5.2GHz帯送受信機
123 2.4GHz帯送受信機
124 DSP
125 表示装置
126 スピーカ
127 制御部
21a、21b 発受信手段
211a、211a1、211a2 アナログ信号接続端子
211b、211b1、211b2 アナログ信号接続端子
212a、212b デジタル信号接続端子
213a、213b CODECおよび/あるいは信号変換部、A/DCおよび/あるいはD/AC、あるいはΔΣ(デルタ・シグマ)変復調器
214a、214b 信号分配選択部
215a、215b 制御部
216a1、216a2、216a3 ISMバンドの送受信機
216an、216b1、216b2 ISMバンドの送受信機
216b3、216bn ISMバンドの送受信機
217a1、217a2、217a3 アンテナ
217an、217b1、217b2 アンテナ
217b3、217bn アンテナ
301、301a、301b 同期信号
302a、302b デジタル信号
303a、303b 誤り検出信号(CRC等)
311 冗長性を有するデジタル信号列(8B/10B line code)
312 ΔΣ(デルタ・シグマ)変調された1ビットのデジタル信号列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用したデジタル信号伝送システムにおいて、
共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号により変調された複数の超音波信号あるいは複数の高周波信号あるいは複数の光信号を送信するための複数の送信機と当該複数の送信機に当該共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号を分配するための分配手段と当該複数の送信機から発信される複数の超音波信号あるいは複数の高周波信号あるいは複数の光信号を個別に受信するための複数の受信機と当該複数の受信機から出力される複数のデジタル信号の内から正常に受信されたデジタル信号を選択して出力するための選択手段と当該複数の送信機および/あるいは複数の受信機を制御するための制御手段とから構成される発受信手段において、
当該複数の送信機に対応して設けられた制御手段によって当該複数の送信機に対して異なる周波数を割当て当該複数の受信機に対応して設けられた制御手段によって当該複数の受信機に対して当該複数の送信機に割当てられた周波数と1対1で対応する周波数を割当てることを特徴とするデジタル信号伝送装置
【請求項2】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用したデジタル信号伝送システムにおいて、
共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号で変調された複数の搬送波信号および/あるいは複数の副搬送波信号を有する超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を送信するための送信機と当該複数の搬送波信号および/あるいは複数の副搬送波信号に変調をかけるために当該共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号を分配するための分配手段と当該送信機が送信する超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の複数の搬送波信号および/あるいは複数の副搬送波信号を個別に受信するための単一あるいは複数の受信機と当該受信機が受信して出力する複数のデジタル信号の内から正常に受信されたデジタル信号を選択して出力するための選択手段と当該送信機および/あるいは受信機を制御するための制御手段とから構成される送受信手段において、
当該送信機に対応して設けられた制御手段によって当該送信機の複数の搬送波信号および/あるいは複数の副搬送波信号に対して異なる周波数を割当て当該受信機に対応して設けられた制御手段によって当該単一あるいは複数の受信機に対して当該送信機の複数の搬送波信号および/あるいは複数の副搬送波信号に割当てられた周波数と1対1で対応する周波数を割当てることを特徴とするデジタル信号伝送装置
【請求項3】
当該複数の送信機および/あるいは複数の受信機が当該複数の超音波信号あるいは複数の高周波信号あるいは複数の光信号を空間に送信しおよび/あるいは空間から受信するために複数のアンテナあるいは複数の送受波器に接続されあるいは共用手段を介して単一のアンテナあるいは単一の送受波器に接続され偏波ダイバーシテイ手段あるいは指向性ダイバーシテイ手段あるいは空間ダイバーシテイ手段あるいは周波数ダイバーシテイ手段あるいはこれらを組合わせた手段を有することを特徴とする請求項第1項から第2項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項4】
当該分配手段が分配する共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号が少なくとも同期信号と誤り検出符号を含んでおり当該選択手段が当該同期信号を基点とするデジタル信号を当該誤り検出符号を用いて誤りを検出し正常に受信されたデジタル信号を選択して出力することを特徴とする請求項第1項から第3項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項5】
当該分配手段が分配する共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号が連続するデジタル信号でありあるいはパケット化されたデジタル信号であり当該選択手段が当該単一あるいは複数の受信機によって受信された複数の連続するデジタル信号あるいは複数のパケット化されたデジタル信号をビット単位あるいは任意のサンプリング周波数単位でサンプリングを行い当該ビット単位あるいは任意のサンプリング単位で多数決判定を行い正常に受信されたデジタル信号を選択して出力することを特徴とする請求項第1項から第4項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項6】
当該単一あるいは複数の受信機により受信された複数のデジタル信号の内から正常に受信されたデジタル信号を多数決により選択する際に当該複数のデジタル信号の間に生じる伝送遅延時間差あるいは伝送遅延位相差を調節しあるいは補正して当該正常に受信されたデジタル信号の誤り率が最少となるように調整しあるいは制御することを特徴とする請求項第1項から第5項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項7】
当該分配手段が分配する共通のデジタル信号あるいは同一のデジタル信号がアナログ信号をΔΣ(デルタ・シグマ)変調器により変換した1ビットのデジタル信号列であり当該選択手段が当該単一あるいは複数の受信機により受信された複数の1ビットのデジタル信号列の内から任意のビット単位あるいは任意のサンプリング周波数単位で多数決をとることにより正常に受信された1ビットのデジタル信号列を選択しΔΣ(デルタ・シグマ)復調器によりアナログ信号に変換して出力することを特徴とする請求項第1項から第6項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項8】
当該制御手段が当該複数の送信機に複数の周波数を割当てる際当該受信機を用いて当該送信機が発信できるようプログラムされた周波数を始業時あるいは随時にスキャンしてモニタを行い割当て可能な周波数のリストを作成しあるいは当該リストを継続して更新しあるいは割当て可能な周波数の傾向を分析して当該リストを更新し当該複数の送信機に対して当該リストから当該送信機の周波数あるいは搬送波信号の周波数あるいは副搬送波信号の周波数を選択して割当てを行うことを特徴とする請求項第1項から第7項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項9】
当該複数の送信機から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の電力が比較的に小さく当該送信機が運用される環境において他からの妨害を受け易く一方他への妨害を与える可能性が少ないことを特徴とする請求項第1項から第8項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項10】
当該複数の送信機に直交する複数の搬送波信号周波数が割り当てられおよび/あるいは直交する複数の副搬送波信号周波数が割当てられることを特徴とする請求項第1項から第9項に記載のデジタル信号伝送装置
【請求項11】
当該発受信手段が複数組でありお互いに対向して運用される場合に当該複数組の発受信手段の任意の動きによっても相互に干渉あるいは妨害を与えないように相互間の位置関係を調整しおよび/あるいは当該複数の発受信手段の対向する相手方に対して送信機の送信出力を相対的な距離の変化に応じて制御するよう要求することを特徴とする請求項第1項から第10項に記載のデジタル信号伝送装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−184860(P2007−184860A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2852(P2006−2852)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(395007299)有限会社アール・シー・エス (51)
【Fターム(参考)】