説明

デジタル放送の受信装置

【課題】デジタル放送受信装置におけるOFDM復調処理部の構成を小型化させる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】第1処理部3は、OFDMデモジュレータ31と入出力インタフェース32とを備える。第2処理部4は、デコード部41と入出力インタフェース42とバッファ43とアービタ44とSDRAMインタフェース45とを備える。SDRAMインタフェース45にはSDRAM5が接続され、入出力インタフェース32と42が接続されている。OFDMデモジュレータ31はOFDM信号を復調処理するときに、デコード部41は映像/音声信号をデコードするときに、それぞれSDRAM5をワークエリアとして使用する。両処理部31、41がSDRAM5にアクセスすると、アービタ44によりメモリアクセスが調停される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送の受信装置に関し、詳しくは、受信装置内における記憶手段の接続構成に関する。
【背景技術】
【0002】
2003年に3大都市圏で開始された地上波デジタル放送は、順次、放送エリアを拡大している。さらに、2006年春には、地上波デジタル放送の携帯端末向けサービス(1セグ放送)が開始された。
【0003】
日本の地上波デジタル放送は、ISDB−Tという規格が用いられている。この規格では、変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)が採用されている。OFDM方式は、送信信号を複数の搬送波に分割して送信するマルチキャリア伝送方式の1つであり、マルチパス伝送路の周波数選択性フェ−ジングに強い、各サブチャネルのスペクトルが密に配置でき、周波数利用効率が高い、などの利点がある。
【0004】
図2は、従来のデジタル放送受信装置100のブロック図である。このデジタル放送受信装置100は、携帯端末用の受信装置である。つまり、1セグ受信用の受信装置である。
【0005】
デジタル放送受信装置100は、図に示すように、アンテナ101、RFチューナ102、OFDM復調処理部103、デコード部106、SDRAM107、モニタ108、スピーカ109を備えている。
【0006】
OFDM復調処理部103は、OFDMデモジュレータ104やメモリ105などを含むLSIチップである。OFDMデモジュレータ104は、FFT演算回路や等化回路などを含む回路ブロックであり、メモリ105をワークエリアとして利用し、OFDM信号の復調処理を実行する。
【0007】
デコード部106は、映像/音声のデコード機能を備えたLSIチップである。デコード部106は、OFDM復調処理部103より出力されたTS(Transport Stream)信号を入力し、映像/音声のES(Elementary Stream)信号を分離する。さらに、映像/音声のES信号をデコードし、映像信号/音声信号に変換する。映像信号は、MPEGあるいはH.264/AVCなどの規格で符号化されている。デコード部106は、SDRAM107をワークエリアとして利用しながら、映像信号のデコード処理を行う。そして、デコード部106においてデコードされた映像信号は、モニタ108に出力され、音声信号は、スピーカ109に出力される。
【0008】
このように、LSIチップとして構成されるOFDM復調処理部103、デコード部106が、プリント基板110に載置される。さらに、プリント基板110にRFチューナ102やSDRAM107が搭載されている。
【0009】
【非特許文献1】“SIP(System in Package)”、2004年6月、株式会社東芝セミコンダクター社、[平成18年6月30日検索]、インターネット<URL:http://www.semicon.toshiba.co.jp/prd/common/document/pdf/scj0010a.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来のデジタル放送受信装置1は、デコード部106がワークエリアとして使用するSDRAM107を備えている。そして、これとは別に、OFDM復調処理部103は、OFDMデモジュレータ104がワークエリアとして使用するメモリ105を備えている。そして、OFDM復調処理部103は、上記のようにLSIとして構成されているが、このLSIの中でメモリ105の占める面積の割合が非常に大きかった。たとえば、LSIの面積の40%程度をメモリ105が占めていた。
【0011】
このデジタル放送受信装置1は、上述したように、携帯端末に搭載される受信装置であり、小型化の要請が大きい。そして、FFT演算回路などの回路群の小型化には、限界があるため、OFDM復調処理部103のチップ面積を小さくするためには、そのチップ面積の多くを占める記憶装置の面積を縮小させたいという要望がある。また、このような、要請は、携帯端末用の受信装置に限られるものではない。固定受信装置においても、OFDM復調処理部103のチップ面積を小さくできれば、装置構成の縮小化を図ることができ、メリットが大きい。
【0012】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、デジタル放送受信装置におけるOFDM復調処理部の構成を小型化させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、OFDM信号の復調手段を含む第1処理ブロックと、前記復調手段から出力された信号を入力して映像あるいは音声信号をデコードするデコード手段を含む第2処理ブロックと、前記第2処理ブロックに接続される記憶手段と、を備え、前記記憶手段は、前記復調手段および前記デコード手段が処理を実行するときにワークエリアとして使用され、前記第1処理ブロックは、前記復調手段と前記記憶手段との間で転送されるデータを入出力する第1インタフェース、を備え、前記第2処理ブロックは、前記第1インタフェースと接続される第2インタフェースと、前記デコード処理手段および前記第2インタフェースと接続される調停手段と、を備え、前記調停手段は、さらに前記記憶手段に接続され、前記デコード手段と前記記憶手段との間のデータ転送と、前記復調手段と前記記憶手段との間のデータ転送とを調停することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のデジタル放送の受信装置において、前記第2処理ブロックは、さらに、前記第2インタフェースと前記調停手段との間に接続されるバッファ手段、を備え、前記バッファ手段は、前記デコード手段が前記記憶手段にアクセスしている間、前記復調手段からの出力データをバッファリングすることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のデジタル放送の受信装置において、前記調停手段は、前記デコード手段によるデコード処理の空き時間に、前記復調手段に対して前記記憶手段に対するアクセス権を付与することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデジタル放送の受信装置において、前記調停手段は、OFDM信号の復調処理のリアルタイム性が維持できるように、前記復調手段に対して前記記憶手段に対するアクセス権を付与することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデジタル放送の受信装置において、前記第1処理部および前記第2処理部は、それぞれLSIチップであり、この2つのLSIチップが1つのパッケージに納められていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のデジタル放送の受信装置は、復調手段およびデコード手段が、調停手段により調停されつつ、同一の記憶手段をワークエリアとして使用する。これにより、従来、復調手段およびデコード手段がそれぞれ備えていた記憶手段を1つに減らすことができ、デジタル放送受信装置の装置構成を小さくすることができる。また、記憶手段を有効に利用することができる。
【0019】
また、調停手段は、デコード処理の空き時間に、復調手段に対して記憶手段に対するアクセス権を付与する。デコード処理の空き時間を利用することで、効率的に、記憶手段を共有させることができる。
【0020】
また、調停手段は、OFDM信号の復調処理のリアルタイム性が維持できるように、復調手段に対して記憶手段に対するアクセス権を付与する。OFDMの復調処理を遅延させることなく、記憶手段を共有させることができる。
【0021】
また、復調手段を含む第1処理部とデコード手段を含む第2処理部は、それぞれLSIチップであり、この2つのLSIチップが1つのパッケージに納められている。これにより、既存のLSI構成を利用しながら、低コストで記憶手段を共用させるシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るデジタル放送受信装置10の機能ブロック図である。本実施の形態においては、このデジタル放送受信装置10は、携帯電話機、ゲーム機などの携帯機器に組み込まれて使用される受信装置である。つまり、このデジタル放送受信装置10は、1セグ放送信号を受信する装置である。
【0023】
デジタル放送受信装置10は、図に示すように、受信アンテナ1、RFチューナ2、第1処理部3、第2処理部4、SDRAM5、モニタ6、スピーカ7を備えている。
【0024】
第1処理部3は、OFDMデモジュレータ31および入出力インタフェース32を備えるLSIチップである。OFDMデモジュレータ31は、FFT演算回路、等化回路などを備える回路群であり、RFチューナ2からOFDM受信信号を入力し、TS(Transport Stream)信号を出力する。OFDMデモジュレータ31と第2処理部4が備えるデコード部41とはバス91で接続されており、OFDMデモジュレータ31は、このバス91を介して、TS信号をデコード部41に出力する。入出力インタフェース32は、OFDMデモジュレータ31が、SDRAM5にアクセスするときのインタフェースである。
【0025】
第2処理部4は、デコード部41、入出力インタフェース42、バッファ43、アービタ44、SDRAMインタフェース45を備えるLSIチップである。デコード部41は、OFDMデモジュレータ31から入力したTS信号から、映像および音声のES(Elementary Stream)信号を分離し、さらに、映像および音声のES信号をデコードして、映像信号および音声信号を出力する。
【0026】
入出力インタフェース42は、第1処理部3の入出力インタフェース31と複数のシリアル線92で接続されている。入出力インタフェース42は、OFDMデモジュレータ31がSDRAM5にアクセスするときのインタフェースである。なお、入出力インタフェース42と入出力インタフェース32とがパラレルのバスで接続される構成であってもよい。
【0027】
バッファ43は、入出力インタフェース42とアービタ44との間に接続されている。アービタ44は、OFDMデモジュレータ31のSDRAM5に対するアクセスと、デコード部41のSDRAM5に対するアクセスを調停する回路である。OFDMデモジュレータ31は、入出力インタフェース32、42、バッファ43、SDRAMインタフェース45を介してSDRAM5にアクセスする。また、デコード部41は、SDRAMインタフェース45を介してSDRAM5にアクセスする。そして、OFDMデモジュレータ31におけるOFDM信号の復調処理と、デコード部41における映像および音声のデコード処理は並行して処理が実行されるため、SDRAM5に対して同じタイミングでアクセスが発生する場合がある。そこで、SDRAMインタフェース45の前にアービタ44を介在させ、アービタ44によりSDRAM5に対するアクセスを調停するようにしているのである。本実施の形態においては、SDRAM5は、128Mbitの記憶容量を持っている。
【0028】
このような構成の第1処理部3および第2処理部4は、上述したように、それぞれLSIチップとして構成されているが、これらLSIチップが、1つのパッケージ12となってプリント基板11に搭載される構成となっている。つまり、第1処理部3と第2処理部4とは、SIP(System In Package)モジュールとして構成されているのである。そして、デジタル放送受信装置10は、このSIPモジュールであるパッケージ12と、RFチューナ2とSDRAM5とがプリント基板11に搭載されて構成されている。
【0029】
また、第1処理部3と第2処理部4との間のバス91およびシリアル線92は、パッケージ12内の基板上に配線されている。したがって、第1処理部3と第2処理部4との間の配線がプリント基板11上に不要であり、第1処理部3と第2処理部4との間のデータ転送を高速化させることができる。
【0030】
以上の構成のデジタル放送受信装置10におけるデジタル放送の受信、再生処理の流れについて説明する。
【0031】
デジタル放送の放送局(図示せず)から送信されたRF(Radio Frequency)信号は、伝送路を通って、受信アンテナ1によって受信される。
【0032】
受信されたRF信号は、RFチューナ2において、IF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換される。そのIF信号は、図示せぬ、BPF(バンドパスフィルタ)、ミキサー、LPF(ローパスフィルタ)、A/D変換回路等を介して第1処理部3に出力される。
【0033】
第1処理部3に入力される信号は、A/D変換回路において所定のサンプリング周波数で変換されたデジタル信号(シンボル信号)である。この第1処理部3が入力するシンボル信号は、時間領域におけるOFDM受信信号である。
【0034】
OFDMデモジュレータ31は、上記のようにFFT演算回路などを含むLSIである。FFT演算回路は、入力する時間領域の信号を周波数領域の信号にフーリエ変換する。FFT演算回路より出力された信号は、周波数領域において受信信号の等化処理が実行される。等化処理後の信号は、チャンネル復号化処理、ビタビ復号化処理、リードソロモン復号化処理などが施され、TS信号としてバス91を介して第2処理部4のデコード部41に対して出力される。
【0035】
第2処理部4では、デコード部41がTS信号を入力する。デコード部41は、圧縮されている番組情報のデータであるTS信号から、映像データ列あるいは音声データ列であるES信号を分離する。さらに、デコード部41は、映像あるいは音声のES信号をデコードして映像信号および音声信号を出力する。
【0036】
デコード部41より出力された映像信号は、モニタ6に出力され、音声信号は、スピーカ7に出力される。このようにして、地上波デジタル放送の再生が行われるのである。
【0037】
そして、OFDMデモジュレータ31は、TS信号を生成する過程において、SDRAM5をワークエリアとして利用する。たとえば、受信OFDM信号は、フレーム間インタリーブが行われているため、データの順序が入れ替わっている。OFDMデモジュレータ31は、受信データを一旦SDRAM5に書き込み、データの順序を元に戻しながらSDRAM5に格納されたデータを再度読み出すのである。OFDMデモジュレータ31からSDRAM5に対して出力されたパラレルのデータは、入出力インタフェース32においてシリアルデータに変換され、シリアル線92を介して入出力インタフェース42に転送される。
【0038】
入出力インタフェース42は、入出力インタフェース32から転送されたシリアルのデータをパラレルのデータに変換して、バッファ43に出力する。そして、バッファ43は、アービタ44により、SDRAM5に対するアクセスを許可されると、バッファしているデータをSDRAMインタフェース45に対して出力するのである。このようにして、SDRAM5に対するアクセスが行われる。
【0039】
OFDMデモジュレータ31からSDRAM5に対するデータの書き込み処理は、以上のようにして、アービタ44によるアクセスの許可を受けて実行される。つまり、書き込みコマンドや書き込みアドレスデータ、書き込みデータが、入出力インタフェース32、42を介してバッファ43に転送され、アービタ44によりアクセスの許可を受けることで、バッファ43にバッファされていた書き込みコマンドや書き込みデータがSDRAM5に転送されるのである。そして、SDRAM5に対するデータの書き込み処理が実行される。
【0040】
また、OFDMデモジュレータ31からSDRAM5に対するデータの読み出し処理も基本的には同様である。つまり、読み出しコマンドや読み出しアドレスデータが、入出力インタフェース32、42を介してバッファ43に転送され、アービタ44によりアクセスの許可を受けることで、読み出しコマンドがSDRAM5に転送されるのである。そして、SDRAM5からの読み出し処理が実行される。SDRAM5より読み出されたデータは、バッファ43、入出力インタフェース42、32を介してOFDMデモジュレータ31に転送されるのである。このとき、バッファ43は、シリアルインタフェースの速度に応じてバッファ43にバッファしているデータを入出力インタフェース42に対して出力する。
【0041】
一方、デコード部41も、映像信号や音声信号をデコードする過程において、SDRAM5をワークエリアとして使用する。たとえば、MPEG圧縮されている映像をデコードするときにSDRAM5をワークエリアとして使用する。あるいは、H.264/AVCで圧縮されている映像をデコードするときにSDRAM5をワークエリアとして使用する。また、デコード部41は、MPEG−2 AAC符号化されている音声をデコードするときにSDRAM5をワークエリアとして使用する。
【0042】
このように、デコード部41がSDRAM5をワークエリアとして使用するとき、デコード部41から出力された書き込みコマンドや読み出しコマンドは、アービタ44により許可を受けた場合のみSDRAM5に転送され、書き込み処理や読み出し処理が実行されるのである。つまり、アービタ44によりアクセスの許可を受けることで、書き込みコマンドや書き込みアドレスデータ、書き込みデータが、デコード部41より出力され、書き込みコマンド等がSDRAM5に転送されるのである。そして、SDRAM5に対するデータの書き込み処理が実行される。また、アービタ44によりアクセスの許可を受けることで、読み出しコマンドや読み出しアドレスデータが、デコード部41より出力され、読み出しコマンドがSDRAM5に転送されるのである。そして、SDRAM5からの読み出し処理が実行される。SDRAM5より読み出されたデータは、デコード部41に転送されるのである。
【0043】
このように、アービタ44は、OFDMデモジュレータ31によるSDRAM5に対するアクセス処理と、デコード部41によるSDRAM5に対するアクセス処理を調停する役割を担うのである。このような構成とすることで、第1処理部3と第2処理部4とが共通のSDRAM5を使用することになり、デジタル放送受信装置10の装置を小型化させることが可能である。特に、第1処理部3において、大きな面積を占めていたメモリが取り除かれるので、OFDM処理モジュールである第1処理部3のチップ面積を非常に小さくすることが可能である。
【0044】
また、第1処理部3は、OFDMデモジュレータ31のメモリインタフェースを、入出力インタフェース32により変換するようにしている。つまり、OFDMデモジュレータ31が備えるパラレルのメモリインタフェースを、入出力インタフェース32でシリアルのインタフェースに変換するようにしている。これにより、OFDMデモジュレータ31は、図2で示したように、チップ内にメモリを有していた場合と同じインタフェースでメモリアクセスすることができる。これにより、OFDMデモジュレータ31に対する設計変更が極力少なくなるようにできるのである。
【0045】
OFDM復調処理と映像/音声のデコード処理について、SDRAM5を共用する方法としては、OFDM復調処理用のLSIチップと、デコード処理用のLSIチップを1チップ化し、共通のSDRAMにアクセスするという方法も考えられる。しかし、この方法をとるためには、従来のOFDMデモジュレータやデコード処理回路に設計変更を加え、新たなLSIを設計する必要がある。このような設計変更は、製品のコストを高くするとともに、異なる種類の処理チップを1チップ化させるため、汎用性、拡張性の点でもデメリットが大きい。その点、本実施の形態のデジタル放送受信装置10は、第1処理部3と第2処理部4とをSIPモジュールとして構成することで、既存のLSI構成を利用しながら、SDRAM5を共用させるようにしているので、低コストで装置構成の小型化を実現しているのである。
【0046】
また、従来のように、デコードLSI専用のSDRAMを設ける構成では、SDRAMの空きエリアが非常に大きいという無駄があった。つまり、非常に大きなワークエリアを必要とする処理のために、SDRAMは128Mbitなど記憶容量の大きいものが用いられるが、受信データによっては、その記憶容量の半分を使用しない場合があり、無駄が多かった。本実施の形態のデジタル放送受信装置10では、OFDM復調処理と映像/音声のデコード処理において、SDRAM5が共用されるので、記憶容量の有効利用にもなる。
【0047】
アービタ44による調停処理のロジックは、特に限定されるものではなく、ユーザが希望する仕様に応じて決定すればよい。基本的には、MPEGあるいはH.264/AVCなどの映像デコード処理によるメモリアクセス量が多いため、この映像デコード処理の空き時間を利用して、OFDMデモジュレータ31にメモリアクセス権を付与するようにすればよい。あるいは、基本的には、映像デコード処理の空き時間を利用してOFDMデモジュレータ31にメモリアクセス権を付与するが、OFDMデモジュレータ31による復調処理のリアルタイム性を維持することを最優先としてもよい。つまり、OFDMデモジュレータ31による復調処理のリアルタイム性を維持させるためには、映像デコード処理の空き時間を待たずして、OFDMデモジュレータ31にアクセス権を移すようにしてもよい。
【0048】
以上、本実施の形態のデジタル放送受信装置10について説明したが、本発明は、1セグ放送の受信装置のみならず、一般の固定受信装置にも適用可能である。つまり、13セグメントのOFDM信号を受信、復調し、映像および音声をデコードしてデジタル放送を再生する受信装置においても、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態に係るデジタル放送受信装置のブロック図である。
【図2】従来の形態に係るデジタル放送受信装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
3 第1処理部(LSIチップ)
4 第2処理部(LSIチップ)
5 SDRAM
11 プリント基板
12 パッケージ(SIPモジュール)
31 OFDMデモジュレータ
32 入出力インタフェース
41 デコード部
42 入出力インタフェース
43 バッファ
44 アービタ
45 SDRAMインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM信号の復調手段を含む第1処理ブロックと、
前記復調手段から出力された信号を入力して映像あるいは音声信号をデコードするデコード手段を含む第2処理ブロックと、
前記第2処理ブロックに接続される記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、前記復調手段および前記デコード手段が処理を実行するときにワークエリアとして使用され、
前記第1処理ブロックは、
前記復調手段と前記記憶手段との間で転送されるデータを入出力する第1インタフェース、
を備え、
前記第2処理ブロックは、
前記第1インタフェースと接続される第2インタフェースと、
前記デコード処理手段および前記第2インタフェースと接続される調停手段と、
を備え、
前記調停手段は、さらに前記記憶手段に接続され、前記デコード手段と前記記憶手段との間のデータ転送と、前記復調手段と前記記憶手段との間のデータ転送とを調停することを特徴とするデジタル放送の受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル放送の受信装置において、
前記第2処理ブロックは、さらに、
前記第2インタフェースと前記調停手段との間に接続されるバッファ手段、
を備え、
前記バッファ手段は、前記デコード手段が前記記憶手段にアクセスしている間、前記復調手段からの出力データをバッファリングすることを特徴とするデジタル放送の受信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のデジタル放送の受信装置において、
前記調停手段は、前記デコード手段によるデコード処理の空き時間に、前記復調手段に対して前記記憶手段に対するアクセス権を付与することを特徴とするデジタル放送の受信装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデジタル放送の受信装置において、
前記調停手段は、OFDM信号の復調処理のリアルタイム性が維持できるように、前記復調手段に対して前記記憶手段に対するアクセス権を付与することを特徴とするデジタル放送の受信装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデジタル放送の受信装置において、
前記第1処理部および前記第2処理部は、それぞれLSIチップであり、この2つのLSIチップが1つのパッケージに納められていることを特徴とするデジタル放送の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−35005(P2008−35005A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204111(P2006−204111)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】