説明

デジタル放送受信装置及びデジタル放送信号の保存・再生方法

【課題】
高画質が得られ、使い勝手の良いデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】
記録時は、受信しデコード化したデジタル放送信号に対し、解像度変換、フレームレート変換及びビットレート変換を行ってデジタル放送信号情報を圧縮し、該圧縮情報をデータとしてハードディスクなど記録部に保存し、再生時は、該保存した圧縮情報データを読み出してデコード化した後、解像度変換及びフレームレート変換による解像度補間及びフレーム補間を行い、圧縮情報を復元して映像表示を行う構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送を受信するデジタル放送受信装置に係り、特に、受信したデジタル放送信号を保存し再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送を受信可能なテレビジョン受信機などデジタル放送受信装置においては、受信信号に対し解像度変換とビットレート変換とを行うことにより情報量を圧縮し、該圧縮した情報量の受信信号をデータとしてハードディスクなどの記録媒体に保存している。
また、本発明に関連し、デジタル放送信号を記録再生する従来技術としては、例えば、特開2001−101797号公報(特許文献1)に記載された技術がある。該公報には、デジタル放送記録再生装置内に、ランダムアクセス可能な記録媒体と、該記録媒体に記録した番組に優先度を与える優先度決定手段と、該優先度決定手段で与えられた優先度が低い番組ほど、高い圧縮率で記録するように圧縮率を変更する圧縮率変更手段とを備え、該記録媒体の番組記録領域の占有率を小さくするとした技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−101797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のテレビジョン受信機などデジタル放送受信装置においては、動きの激しいシーンなどで映像にブロックノイズやモスキートノイズが発生し易いし、また、高画質を維持した状態で映像の記録時間を長くするためには、記録媒体の容量を増大するか、情報の圧縮伸張後に高品位の映像を復元することができるアルゴリズムへの変更を必要とする。また、特開2001−101797号公報に記載された技術は、デジタル放送記録再生装置において、単に、受信したデジタル放送番組で優先度が低い番組に対し、情報の圧縮率を高くし情報量を減らした状態で記録媒体に保存するとしたものであり、どのような手段により情報の圧縮率を高めるのか不明である。該公報記載の技術において、もしも、上記のように、解像度変換とビットレート変換とによって情報の圧縮を行った場合には、やはり、映像にブロックノイズやモスキートノイズが発生し易く、かつ、長時間分の高品位映像情報の保存のためには、記録媒体の容量の増大や、圧縮伸張後に高品位映像を復元可能な新たなアルゴリズムが必要となることが予想される。
【0005】
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、デジタル放送受信装置において、記録媒体の容量を増大させないでも一層長い時間分のデジタル放送信号情報の保存を可能にするとともに、新たなアルゴリズムによらずともノイズを抑えた高品位映像を復元可能にすることである。
本発明の目的は、上記課題点を解決し、高画質が得られかつ使い勝手の良いデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題点を解決するために、本発明では、受信したデジタル放送信号の単位時間当たりのフィールドもしくはフレーム数を減少させて記録部に記録し、この記録部の記録された信号を再生して表示するときに、記録部から読み出された信号の単位時間当たりのフィールドもしくはフレーム数を増加させることを特徴とするものである。
例えば、受信デジタル放送信号の単位時間当たりのフレーム数が60Hzの場合、これを例えば30Hzに間引いて記録する。更に本発明では、記録部に記録された30Hzのフレーム数の信号を例えばフレーム補間により単位時間当たりのフレーム数を例えば60Hzに増加して(元の信号のフレーム数に戻す)表示する。このような構成によれば、単位時間当たりのフレーム数を減少させて記録するので記憶容量を低減しつつノイズを抑えて映像信号を記録できるとともに、再生するときにフレーム数を増加させているので、フレーム数の減少による画質劣化を低減して再生映像を表示することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デジタル放送受信装置において、一層長い時間分のデジタル放送信号情報の保存が可能になるとともに、高品位状態での映像の復元が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明の第1の実施例としてのデジタル放送受信装置の説明図である。図1は、第1の実施例としてのデジタル放送受信装置の構成例図、図2は、図1のデジタル放送受信装置におけるデジタル放送信号情報の処理の説明図、図3は、図1のデジタル放送受信装置におけるフレームレート変換の説明図である。
本実施形態は、受信したデジタル放送信号の単位時間当たりのフィールド数もしくはフレーム数(例えば60Hz)を減少させて(例えば30Hz)記録部に記録し、この記録部の記録された信号を再生して表示するときに、記録部から読み出された信号の単位時間当たりのフィールドもしくはフレーム数を増加(例えば60Hz)させることを特徴とするものである。これによって本実施形態は、単位時間当たりのフレーム数を減少させて記録するので記憶容量を低減しつつノイズを抑えて映像信号を記録できるとともに、再生するときにフレーム数を増加させているので、フレーム数の減少による画質劣化を低減して再生映像を表示することができる。以下、その詳細について説明する。
【0009】
第1の変換部としての圧縮率変換部11は、デスクランブル部3から出力された受信デジタル放送信号をデコード化した後、解像度変換、フレームレート変換及びビットレート変換を行い、デジタル放送信号情報の圧縮を行う。解像度変換部6、フレームレート変換部7、MPEGデエンコーダ10のうちの一部のものまたは全部のものは、それぞれの変換による情報圧縮率が可変の構成を有する。
デスクランブル部3は、デジタル放送信号から特定の情報例えば番組表情報や1つのチャンネルに複数入っている情報などを抜き出す機能(Demux)や、Demuxされた信号を別の信号と複合化する機能(Remux)も有する。信号選択部9は、MPEGデコーダ4の出力信号、i/p変換部5の出力信号、解像度変換部6の出力信号、フレームレート変換部7の出力信号、p/i変換部8の出力信号を選択して出力することができる構成を備える。MPEGデコーダ4は、デジタル放送信号中の動画情報の動き情報に対応したデコードを行う。制御部18は、CPU(Central Processing Unit)で構成される。
【0010】
信号選択部9は、MPEGデコーダ4の出力信号、i/p変換部5の出力信号、解像度変換部6の出力信号、フレームレート変換部7の出力信号、p/i変換部8の出力信号のうちのいずれかを選択して出力する。以下の説明では、信号選択部9は、p/i変換部8の出力信号を出力するものとする。
第2の変換部20は、記録媒体12からの圧縮されたデジタル放送信号に対し、解像度変換による解像度補間及びフレームレート変換によるフレーム補間を行い、圧縮情報を伸張してデジタル放送信号を復元する。第2の変換部20において、i/p変換部14は、主として動画適応のために、走査情報圧縮されたデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する。該走査変換では、複数のフィールドから補間情報を作り出して、表示部17における画素の補間を行う。飛び越し走査から順次走査への該走査変換において画素数が増大することになり、例えば、1080i(画素数1920×1080の飛び越し走査)を1080p(画素数1920×1080の順次走査)に走査変換した場合には、該走査変換によって画素数が2倍に増加する。
【0011】
制御部18は、制御バス19を介して、デスクランブル部3、第1の変換部としての圧縮率変換部11、第2の変換部20及び表示部17を制御する。圧縮率変換部11に対しては、制御部18は、MPEGデコーダ4、i/p変換部5、解像度変換部6、フレームレート変換部7、p/i変換部8、上記信号選択部9、MPEGデエンコーダ10のうちの一部のものまたは全部のものを制御し、また、第2の変換部20に対しては、MPEGデコーダ13、i/p変換部14、解像度変換部15、フレームレート変換部16のうちの一部のものまたは全部のものを制御する。特に、圧縮率変換部11に対する制御では、制御部18は、解像度変換部6での解像度変換、フレームレート変換部7でのフレームレート変換、MPEGデエンコーダ10でのビットレート変換のうちの一部のものまたは全部のものにおいて情報の圧縮率を変え、圧縮率変換部11として所定の高い情報圧縮率を達成できるようになっている。例えば、制御部18は、解像度変換部6、フレームレート変換部7、MPEGデエンコーダ10のうちの一部のものまたは全部のものに対し、それぞれの情報の圧縮率または情報の削減率を、MPEGデコーダ4で抽出される動き情報の大きさから決める。さらに、制御部18は、電子番組情報に付加されるジャンルデータを用いて、それぞれの情報の圧縮率または情報の削減率を決めてもよい。
【0012】
図1の構成において、アンテナで受けたデジタル放送信号を、デジタル放送受信装置100が受信すると、該デジタル放送受信装置100内で、チューナA1、チューナB2がチャンネルを選局する。選局されたチャンネルのデジタル放送信号は、直接、またはいったん記録媒体に記録された後に、デスクランブル部3に入力される。デスクランブル部3では該入力された信号が復号化される。復号化されたデジタル放送信号は、MPEGデコーダ4によって動き情報に対応してデコードされ、元の形に変換される。デコードされたデジタル放送信号は、走査変換部(第1の走査変換部)としてのi/p変換部5において、その走査を、飛び越し走査から順次走査に変換される。該走査変換されたデジタル放送信号は、解像度変換部(第1の解像度変換部)6において、間引きによる解像度変換を施され、解像度が減らされる。該解像度変換されたデジタル放送信号は、フレームレート変換部(第1のフレームレート変換部)7により、フレーム間引きが行われフレーム数が減らされる。該フレームレート変換されたデジタル放送信号は、p/i変換部8により、走査を、順次走査から飛び越し走査に変換される。p/i変換部8から出たデジタル放送信号は、信号選択部9を経てMPEGエンコーダ10に入力される。該MPEGエンコーダ10においては、飛び越し走査に走査変換されたデジタル放送信号が、コード化されるとともにビットレート変換されビットレートを減らされる。記録媒体12は、上記解像度変換、上記フレームレート変換及び上記ビットレート変換により圧縮されたデジタル放送信号情報をデータとして保存する。
【0013】
さらに、デジタル放送受信装置100内では再生時、記録媒体12から読み出されたデジタル放送信号の圧縮情報データが、MPEGデコーダ13によりデコード化され、i/p変換部14により、走査を飛び越し走査から順次走査に変換される。該走査変換されたデジタル放送信号は、解像度変換部(第2の解像度変換部)15により解像度変換による解像度補間を行われ、さらに、該解像度変換されたデジタル放送信号は、フレームレート変換部(第2のフレームレート変換部)16によってフレームレート変換によるフレーム補間が行われる。表示部17では、フレームレート変換部16から出力されるデジタル放送信号により映像表示が行われる。
【0014】
なお、図1の構成においては、i/p変換部14を解像度変換部15の前段側に設け、走査変換を解像度変換の前に行う構成としたが、該i/p変換部14をフレームレート変換部7の前段に設け、解像度変換の後に走査変換を行う構成としてもよい。
以下、説明中で用いる図1のデジタル放送受信装置100の各構成要素には、図1の場合と同じ符号を付して用いるとする。
また、図1の構成において、チューナA1、チューナB2から取り込んだデジタル放送信号を、記録媒体12にいったん記録し、これをその後読み出して、デスクランブル部3で処理し、圧縮率変換部11で情報圧縮した後、記録媒体12に保存するようにしてもよい。
【0015】
図2は、図1のデジタル放送受信装置100におけるデジタル放送信号情報の処理の説明図である。図2では、デジタル放送受信装置100内の、第1の変換部としての圧縮率変換部11、記録媒体12及び第2の変換部20によるデジタル放送信号情報の処理につき説明する。なお、圧縮率変換部11には、デスクランブル部3から、解像度1920×1080で60Hzの飛び越し走査(@60iと記す)のデジタル放送信号(1920×1080@60iと記す)が入力されるとする。
【0016】
図2において、
(1)圧縮率変換部11では、1920×1080@60iのデジタル放送信号は、MPEGデコーダ4でデコードされ、例えば、フレームA、A'、B、B'、C、C'、D、D'、E、E'、F、F'の信号とされる(図2(a))。
(2)デコードされた1920×1080@60iのデジタル放送信号は、i/p変換部5で、飛び越し走査(iの記号を用いる)から順次走査(pの記号を用いる)に走査変換され(1920×1080@60p)、さらに、解像度変換部6で、垂直方向の解像度が1/2に減らされ、該解像度が1920×540にされ、結局、解像度が1920×540で60Hzの順次走査(@60pと記す)のデジタル放送信号(1920×540@60pと記す)に変換される(図2(b))。このとき、飛び越し走査から順次走査への走査変換により画素数は2倍に増加するが、解像度変換でこれが1/2化され、結果的に、走査変換前と同じ画素数に戻される。
(3)解像度変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1920×540@60p)は、フレームレート変換部7でフレームレート変換され、フレームを間引かれフレーム数を1/2に減らされる(図2(c))。図2(c)では、図2(b)におけるフレームA'、B'、C'、D'、E'、F'が間引かれ、フレームA、B、C、D、E、Fとされた状態(1920×540@30p)を示す。上記解像度変換部6での解像度変換は行わずに、フレームレート変換部7でのフレーム間引きにより、フレーム数を1/4にしたデジタル放送信号(1920×1080@15p)としてもよい。
(4)フレームレート変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1920×540@30p)は、p/i変換部8で走査を飛び越し走査に変換され、画素数を1/2化され、さらに、信号選択部9を経て、MPEGデエンコーダ10でコード化されるとともにビットレート変換されビットレートを減らされる。該ビットレート変換されたデジタル放送信号は、記録媒体12に保存される(図2(d))。
(5)第2の変換部20では、記録媒体12から読み出されたデジタル放送信号の圧縮情報データが、MPEGデコーダ13によりデコード化され、i/p変換部14により、走査を飛び越し走査から順次走査に変換され、さらに、解像度変換部(第2の解像度変換部)15により解像度補間されて元の解像度に戻され、結局、順次走査方式かつ復元された解像度のデジタル放送信号(1920×1080@30p)に変換される(図2(e))。
(6)解像度変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1920×1080@30p)は、フレームレート変換部16でフレームレート変換され、フレームA'、B'、C'、D'、E'、F'を補間され、フレームA、A'、B、B'、C、C'、D、D'、E、E'、F、F'の信号(1920×1080@60p)に復元される(図2(f))。フレームレート変換部16では、フレームA'、B'、C'、D'、E'、F'の補間にあたり、該それぞれのフレームを、その前後のフレーム情報に基づき補間する。すなわち、フレームA'はフレームA、Bの情報に基づき補間し、フレームB'はフレームB、Cの情報に基づき補間する。他も同様である。該復元された信号により、表示部17に映像が表示される。
【0017】
図3は、図1のデジタル放送受信装置におけるフレームレート変換の説明図である。図3は、前後の2つのフレームから動きベクトルを求め、この動きベクトルを用いて補間フレームを作成しフレーム補間を行う場合の例である。画素単位の動きベクトルは、補間フレーム内の補間画素に対して点対称の位置にある前後フレーム上の画素のペアを求めて算出される。
【0018】
図3において、x軸はフレームの水平方向、y軸はフレームの垂直方向、tはフレーム時間方向を示す。ここで、補間フレーム#3’内のある補間画素をP03とし、その座標を(0、0)とする。前フレーム#2と後フレーム#4のそれぞれについて、動きベクトルの検索範囲を示す検索ウィンドウW2及びW4を設定する。前フレーム#2の検索ウィンドウW2は、例えば、補間画素P03と空間的に同じ位置にある前フレーム#2内の画素すなわち前フレーム#2の軸Lと交差する位置にある画素P02を中心にしたx軸方向の7画素、y軸方向の7画素の大きさを有する。後フレーム#4の検索ウィンドウW4も同様に、例えば、補間画素P03と空間的に同じ位置にある前フレーム#2内の画素すなわち前フレーム#4の軸Lと交差する位置にある画素P04を中心にしたx軸方向の7画素、y軸方向の7画素の大きさを有する。なお、画素P02及びP04の座標も(0、0)とする。
【0019】
次に、補間画素P03を中心に、前フレーム#2の検索ウィンドウW2と後フレーム#4の検索ウィンドウW4とを通過する直線を設定する。例えば、検索ウィンドウW2の左上端にある画素の座標を(−3、3)とすると、この画素と補間画素P03とを結ぶ直線上にある検索ウィンドウW4内の画素は、右下端の画素となり、その座標は(3、−3)となる。この直線を、検索ウィンドウW2及びW4内の画素全てについて設定する。この例では、検索ウィンドウW2及びW4の画素数は7×7=49であるため、補間画素P03を通る直線として49本の直線が設定される。
【0020】
次に、上記49本のそれぞれ直線について、各直線が通過する検索ウィンドウW2内の画素と検索ウィンドウW4内の画素との差分を演算する。ここでは、各画素の輝度信号の差分を求めるものとする。この差分が最も小さい画素のペアを有する直線を補間画素P03の動きベクトルとして設定する。図3の例では、検索ウィンドウW2内の画素P12(座標は(2、2))と検索ウィンドウW4内の画素P14(座標は(−2、−2))のペアが最も差分が小さいものとする。従って、画素P12と補間画素P03と画素P14とを結ぶ直線が、当該補間画素P03の動きベクトルMVとして設定される。すなわち、前フレーム#2内の画素P12は、動きベクトルMVが指し示す方向に従って、補間フレーム#3内の、補間画素P03と位置的に等しい画素を通過して、後フレーム#4内の画素P14へ動く。
【0021】
そして、この動きベクトルMVを用いて補間画素P03を作成する。例えば、動きベクトルMVが通過する前フレーム#2内の画素P12と後フレーム#4内の画素P14との平均値を演算することにより、補間画素P03を作成する。また、補間画素P03は、下記数1による演算で求めてもよい。
P03=k・P02+(1−k)・P04 (但し、k<1) …(数1)
ここで、上記kは、重み付け、つまり両画素の混合比を示す係数であり、例えば、補間フレーム#3’と前フレーム#2との距離、及び補間フレーム#3’と後フレーム#4との時間的距離に応じて設定してもよい。第1の実施例では、各フレーム間の時間間隔は等しいとしているため、k=0.5として2つの画素の平均値を求める。かかる演算を、補間フレーム#3’の全ての補間画素について行うことにより補間フレーム#3’を作成することができる。作成された補間フレーム#3’は、フレームレート変換部のフレームメモリに記憶され、該補間フレーム#3’の表示タイミングで読み出され出力される。
【0022】
上記説明した本発明の第1の実施例によれば、デジタル放送受信装置100において、長い時間分のデジタル放送信号情報の保存が可能になるとともに、高品位状態での映像の復元が可能となる。この結果、装置の使い勝手性も向上させることができる。
【0023】
図4は、本発明の第2の実施例のデジタル放送受信装置におけるデジタル放送信号情報の処理の説明図である。本第2の実施例のデジタル放送受信装置の基本的構成は、図1に示した第1の実施例の場合の構成と同じである。このため、以下の説明中で用いる第2の実施例のデジタル放送受信装置の構成要素には、図1の場合と同じ符号を付して用いる。図4では、第1の実施例における図2の場合と同様、デジタル放送受信装置100内の、第1の変換部としての圧縮率変換部11、記録媒体12及び第2の変換部20によるデジタル放送信号情報の処理につき説明する。なお、圧縮率変換部11には、デスクランブル部3から、解像度1920×1080で60Hzの飛び越し走査のデジタル放送信号(1920×1080@60i)が入力されるものとする。
【0024】
図4において、
(1)圧縮率変換部11では、1920×1080@60iのデジタル放送信号は、MPEGデコーダ4でデコードされ、例えば、フレームA、A'、B、B'、C、C'、D、D'、E、E'、F、F'の信号とされる(図4(a))。
(2)デコードされた1920×1080@60iのデジタル放送信号は、i/p変換部5で、飛び越し走査から順次走査に走査変換され(1920×1080@60p)、さらに、解像度変換部6で、垂直方向、水平方向ともそれぞれ解像度を2/3に減らされ、該解像度が1280×720とされ、結局、解像度が1280×720で60Hzの順次走査のデジタル放送信号(1280×720@60p)に変換される(図4(b))。
(3)解像度変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1280×720@60p)は、フレームレート変換部7でフレームレート変換され、フレームを間引かれフレーム数を1/2に減らされる(図4(c))。図4(c)では、図4(b)におけるフレームA'、B'、C'、D'、E'、F'が間引かれ、フレームA、B、C、D、E、Fとされた状態(1280×720@30p)を示す。
(4)フレームレート変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1280×720@30p)は、p/i変換部8で走査を飛び越し走査に変換され、画素数を1/2化され、さらに、信号選択部9を経て、MPEGデエンコーダ10でコード化されるとともにビットレート変換されビットレートを減らされる。該ビットレート変換されたデジタル放送信号は、記録媒体12に保存される(図4(d))。
(5)第2の変換部20では、記録媒体12から読み出されたデジタル放送信号の圧縮情報データが、MPEGデコーダ13によりデコード化され、i/p変換部14により、走査を飛び越し走査から順次走査に変換され、さらに、該走査変換された順次走査方式のデジタル放送信号(1280×720@30p)は、フレームレート変換部16でフレームレート変換され、フレームA'、B'、C'、D'、E'、F'を補間され、フレームA、A'、B、B'、C、C'、D、D'、E、E'、F、F'の信号(1280×720@60p)に復元される(図4(e))。解像度変換部(第2の解像度変換部)15による解像度変換は行われない。フレームレート変換部16では、フレームA'、B'、C'、D'、E'、F'の補間にあたり、該それぞれのフレームを、その前後のフレーム情報に基づき補間する。すなわち、フレームA'はフレームA、Bの情報に基づき補間し、フレームB'はフレームB、Cの情報に基づき補間する。他も同様である。該復元された信号により、表示部17に映像が表示される。
【0025】
上記説明した本発明の第2の実施例によっても、上記第1の実施例の場合と同様、デジタル放送受信装置において、長い時間分のデジタル放送信号情報の保存が可能になるとともに、高品位状態での映像の復元が可能となる。この結果、装置の使い勝手性も向上させることができる。特に、第2の実施例では、解像度変換部6により解像度を4/9に減らすため、記録媒体12には、デジタル放送信号を、圧縮率の高い状態で保存することになり、より一層長い時間分のデジタル放送信号情報の保存が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例としてのデジタル放送受信装置の構成例図である。
【図2】図1のデジタル放送受信装置におけるデジタル放送信号情報の処理の説明図である。
【図3】図1のデジタル放送受信装置におけるフレームレート変換の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施例としてのデジタル放送受信装置におけるデジタル放送信号情報の処理の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1、2…チューナ、
3…デスクランブル部、
4、13…MPEGデコーダ、
5、14…i/p変換部、
6、15…解像度変換部、
7、16…フレームレート変換部、
8…p/i変換部、
9…信号選択部、
10…MPEGエンコーダ、
11…圧縮率変換部、
12…記録媒体、
17…表示部、
18…制御部、
19…制御バス、
20…第2の変換部、
100…デジタル放送受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号を受信するデジタル放送受信装置であって、
前記デジタル放送信号の単位時間当たりのフレーム数もしくはフィールド数を減少させるための第1の変換部と、
前記第1の変換部からの出力信号を記録する記録部と、
上記記録部から読み出された信号の単位時間当たりのフレーム数もしくはフィールド数を増加させるための第2の変換部と、
上記第2の変換部からの出力信号により映像表示を行う表示部と、
少なくとも上記第1の変換部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
上記第1の変換部は、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号の解像度変換を行い、解像度を減らす解像度変換部と、
上記解像度変換したデジタル放送信号のフレームを間引き、フレーム数を減らすフレームレート変換を行うフレームレート変換部と、
上記フレームレート変換したデジタル放送信号の走査を順次走査から飛び越し走査に変換する走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号をコード化するとともにそのビットレートを変換して減らすエンコーダと、
を備えて構成される請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
上記第2の変換部は、
上記記録部から読み出したデジタル放送信号の圧縮情報データをデコード化するデコーダと、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号に対し、解像度変換による解像度補間を行う解像度変換部と、
上記解像度変換したデジタル放送信号に対し、フレームレート変換によるフレーム補間を行うフレームレート変換部と、
を備えて構成される請求項1または請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
上記第2の変換部は、
上記記録部から読み出したデジタル放送信号の圧縮情報データをデコード化するデコーダと、
上記デコード化したデジタル放送信号に対し、解像度変換による解像度補間を行う解像度変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号に対し、フレームレート変換によるフレーム補間を行うフレームレート変換部と、
を備えて構成される請求項1または請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
上記第1の変換部は、上記解像度変換、上記フレームレート変換、上記ビットレート変換のうちの一部または全部において、情報の圧縮率が可変の構成である請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記第1の変換部に対し、上記解像度変換、上記フレームレート変換、上記ビットレート変換のうちの一部または全部を、デジタル放送信号における動き情報の大きさに対応して、情報の圧縮率を決める構成である請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
上記第2の変換部における解像度変換部は、上記第1の変換部における解像度変換部が減らした解像度を補間し元の解像度に戻し、該第2の変換部におけるフレームレート変換部は、上記第1の変換部におけるフレームレート変換部が減らしたフレームを補間し元のフレームレートに戻す構成である請求項3から6のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
デジタル放送信号を受信するデジタル放送受信装置であって、
受信したデジタル放送信号を復号化する復号部と、
上記復号化したデジタル放送信号をデコード化する第1のデコーダと、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する第1の走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号の解像度を減らす解像度変換を行う第1の解像度変換部と、
上記解像度変換したデジタル放送信号のフレームを間引きフレーム数を減らすフレームレート変換を行う第1のフレームレート変換部と、
上記フレームレート変換したデジタル放送信号の走査を順次走査から飛び越し走査に変換する第2の走査変換部と、
上記走査変換したデジタル放送信号をコード化するとともにそのビットレートを変換して減らすエンコーダと、
上記コード化したデジタル放送信号をデータとして保存する記録部と、
上記記録部から読み出されたデジタル放送信号のデータをデコード化する第2のデコーダと、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換する第3の走査変換部と、
上記デコード化したデジタル放送信号の解像度を増やす解像度変換を行う第2の解像度変換部と、
上記走査変換後に上記解像度変換したデジタル放送信号または上記解像度変換後に上記走査変換したデジタル放送信号のフレームを補間しフレーム数を増やすフレームレート変換を行う第2のフレームレート変換部と、
上記フレームレート変換したデジタル放送信号により映像表示を行う表示部と、
上記復号部、上記第1、第2のデコーダ、上記第1、第2及び第3の走査変換部、上記第1、第2の解像度変換部、上記エンコーダ、上記第1、第2のフレームレート変換部のうちの一部または全部を制御する制御部と、
を備え、解像度変換、フレームレート変換及びビットレート変換により、上記デジタル放送信号を、その情報量を減らした状態で保存し、再生時は、該保存したデジタル放送信号を、解像度変換、フレームレート変換により補間し情報量を増やして表示する構成としたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項9】
デジタル放送受信装置における受信したデジタル放送信号の保存・再生方法であって、
受信したデジタル放送信号を復号化するステップと、
上記復号化したデジタル放送信号をデコード化するステップと、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換するステップと、
上記走査変換したデジタル放送信号の解像度を減らす解像度変換を行うステップと、
上記解像度変換したデジタル放送信号のフレームを間引きフレーム数を減らすフレームレート変換を行うステップと、
上記フレームレート変換したデジタル放送信号の走査を順次走査から飛び越し走査に変換するステップと、
上記走査変換したデジタル放送信号をコード化するとともにそのビットレートを変換して減らすステップと、
上記コード化したデジタル放送信号をデータとして保存するステップと、
上記記録部から読み出されたデジタル放送信号のデータをデコード化するステップと、
上記デコード化したデジタル放送信号の走査を飛び越し走査から順次走査に変換した後、解像度を増やす解像度変換を行うか、または、上記デコード化したデジタル放送信号の解像度を増やす解像度変換を行った後、飛び越し走査から順次走査に変換するステップと、
上記解像度変換及び上記走査変換を行ったデジタル放送信号につき、フレームを補間してフレーム数を増やすフレームレート変換を行うステップと、
上記フレームレート変換したデジタル放送信号により映像表示を行うステップと、
を備えたことを特徴とするデジタル放送信号の保存・再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−336239(P2007−336239A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165687(P2006−165687)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】