説明

デジタル放送受信装置

【課題】デジタル放送番組の視聴中における受信状態を良好にし、ユーザによる安定した視聴が可能となるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】デジタル放送信号を受信する第一チューナ及び第二チューナと、デジタル放送の受信帯域内の物理チャンネルを前記第一チューナにより巡回選局させ、前記第二チューナに視聴側チャンネルを選局させる制御部と、を備えるデジタル放送受信装置において、前記制御部は、前記視聴側チャンネルと放送局識別情報が同じ、または前記視聴側チャンネルと系列が同じである中継/系列局チャンネルを判別し、前記視聴側チャンネルの受信状態を監視し、該監視している受信状態が受信限界に達した場合に、前記第一チューナに前記中継/系列局チャンネルを選局させ、前記第一チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態と前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態とを比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信装置能を有したカーナビゲーションシステムを始めとするデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタル放送を移動しながら受信するデジタル放送受信装置が開発されており、例えば、地上デジタル放送受信装置能を有したカーナビゲーションシステムが開発されている。
【0003】
地上デジタル放送では、同じ放送局でも、中継局ごとに異なる周波数で放送されている場合がある。この場合、受信装置が現在の放送エリアから他の放送エリアに移動した際、或いは放送エリア内であっても、地形や構造物等のために電波の影に移動した際に、受信状態が悪化し、それまで視聴していた番組が視聴できなくなってしまう。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、視聴中の番組の受信状態が悪化すると、自動的に中継局サーチを開始し、中継局が見つかった場合は、その中継局を受信し、中継局が見つからなかった場合は、系列局サーチを開始し、同一系列の放送局が見つかった場合は、その放送局を受信するデジタル放送受信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−188880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1のデジタル放送受信装置では、受信状態が悪化して初めてサーチを開始する。受信可能な放送局が見つかり、再び視聴できるようになるまでに、ある程度の時間がかかる。このため、その間、番組の映像/音声に途切れが発生して視聴の妨げとなり、ユーザが視聴したい場面を逃してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑み、ユーザがデジタル放送番組を視聴している状態における受信状態を良好にし、安定した視聴が可能であるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、デジタル放送信号を受信する第一チューナ及び第二チューナと、デジタル放送の受信帯域内の物理チャンネルを前記第一チューナにより巡回選局させ、前記第二チューナに視聴側チャンネルを選局させる制御部と、を備えるデジタル放送受信装置において、前記制御部は、前記視聴側チャンネルと放送局識別情報が同じ、または前記視聴側チャンネルと系列が同じである中継/系列局チャンネルを判別し、前記視聴側チャンネルの受信状態を監視し、該監視している受信状態が受信限界に達した場合に、前記第一チューナに前記中継/系列局チャンネルを選局させ、前記第一チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態と前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態とを比較することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、デジタル放送受信装置は、デジタル放送信号を受信する第一チューナ及び第二チューナを備える。また、物理チャンネルを第一チューナにより巡回選局させ、第二チューナに視聴側チャンネルを選局させる制御部を備える。制御部は、視聴側チャンネルと放送局識別情報が同じ、または視聴側チャンネルと系列が同じである物理チャンネルである中継/系列局チャンネルを判別する。また、視聴側チャンネルの受信状態を監視する。また、監視している受信状態が受信限界に達した場合に、中継/系列局チャンネルを第一チューナに選局させ、第一チューナで選局されている中継/系列局チャンネルの受信状態と第二チューナで選局されている視聴側チャンネルの受信状態とを比較する。
【0010】
また、上記構成において、前記制御部は、前記放送局識別情報と前記中継/系列局チャンネルとを対応付けたリストを作成し、前記巡回選局を行うたびに、前記リストに含まれる前記中継/系列局チャンネルに対して前記受信状態情報に基づいた優先度を設定し、前記制御部は、選局対象とする前記中継/系列局チャンネルを前記優先度に基づいて決定し、決定した該中継/系列局チャンネルを前記第一チューナに選局させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、制御部は、放送局識別情報と中継/系列局チャンネルとを対応付けたリストを作成し、巡回選局を行うたびに、リストに含まれる中継/系列局チャンネルに対して、受信状態に基づいた優先度を設定する。制御部は、選局対象とする中継/系列局チャンネルを優先度に基づいて決定し、決定した中継/系列局チャンネルを前記第一チューナに選局させる。
【0012】
また、上記構成において、復調後のBER(Bit Error Rate)の範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、前記係数について、受信可能領域のBER範囲では正の係数が設定され、受信不可領域のBER範囲では負の係数が設定されている係数テーブルを記録した記録部と、前記BERに基づいて参照される前記係数を積算する積算カウンタとを備え、前記積算カウンタは、予め定められた上限値及び下限値の範囲内で積算を行い、前記制御部は、前記積算カウンタより得られる値が下限値となった場合に、前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態が受信限界に達したとみなし、前記比較を行うことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、デジタル放送受信装置は、復調後のBERの範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、係数について、受信可能領域のBER範囲では正の係数が設定され、受信不可領域のBER範囲では負の係数が設定されている係数テーブルを記録した記録部を備える。また、BERに基づいて参照される係数を積算する積算カウンタを備える。積算カウンタは、所定の上限値及び下限値の範囲内で積算を行う。制御部は、積算カウンタが下限値となった場合に、第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態が受信限界に達したとみなし、中継/系列局チャンネルと視聴側チャンネルとの比較を行う。
【0014】
また、上記構成において、前記制御部は、視聴階層が複数ある放送波に対して、受信状態が受信限界に達したか否かの判定を視聴階層ごとに行い、前記係数テーブル及び前記積算カウンタを視聴階層ごとに設け、前記係数の積算を視聴階層ごとに行うことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、制御部は、視聴階層が複数ある放送波に対して、受信状態が受信限界に達したか否かの判定を視聴階層ごとに行う。また、係数テーブル及び積算カウンタを視聴階層ごとに設け、係数の積算を視聴階層ごとに行う。
【0016】
また、上記構成において、受信状態に応じて複数の視聴階層を切り換える場合に、視聴階層を切り換えるか否かの判定を、前記比較を行うか否かの判定と同じ方法で行うともに、前記の両判定において用いられる前記係数テーブルを、前記の両判定ごとに個別に設け、受信状態が劣化している局面において、前記比較を行うか否かの判定が、視聴階層の切り換えの判定よりも早い段階で発生するよう、前記係数テーブルを予め設定したことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、受信状態に応じて複数の視聴階層を切り換える場合に、視聴階層を切り換えるか否かの判定を、中継/系列局チャンネルと視聴側チャンネルとの比較を行うか否かの判定と同じ方法で行う。また、両判定において用いられる係数テーブルを、両判定ごとに個別に設ける。さらに、受信状態が劣化している局面において、中継/系列局チャンネルと視聴側チャンネルとの比較を行うか否かの判定が、視聴階層の切り換えの判定よりも早い段階で発生するよう、係数テーブルを設定する。
【0018】
また、上記構成において、前記制御部は、前記第一チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態と前記第二チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態とを比較する場合にC/N(Carrier to Noise ratio)を用い、前記記録部は、C/Nの範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、前記第一チューナ及び前記第二チューナで個別に前記係数が設定されており、且つ前記係数について受信可能領域のC/N範囲では正の係数が設定され、受信不可領域では負の係数が設定されている第二係数テーブルを記録し、前記デジタル放送受信装置は、C/Nに基づいて参照される前記係数を積算するカウンタであり、上限値及び下限値を予め設定されている第二積算カウンタを備え、前記制御部は、選局移行するか否かを、前記第二積算カウンタより得られる、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値と前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値とを比較することにより行うことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、制御部は、第一チューナの受信状態と第二チューナの受信状態とを比較する場合にC/Nを用いる。記録部は、C/Nの範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、第一チューナ及び第二チューナで個別に係数が設定されている第二係数テーブルを記録している。第二係数テーブルは、受信可能領域のC/N範囲では正の係数が設定され、受信不可領域では負の係数が設定されている。デジタル放送受信装置は、C/Nに基づいて参照される係数を積算するカウンタであり、上限値及び下限値を予め設定されている第二積算カウンタを備えている。制御部は、選局移行するか否かを、第一チューナに設定されている係数の積算値と第二チューナに設定されている係数の積算値とを比較することにより行う。
【0020】
また、上記構成において、前記制御部は、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値と前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値とを比較する場合に、予め定められた時間内において、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値が前記上限値に達した場合、または前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値が前記下限値に達した場合に選局移行し、前記時間内に判定が付かない場合に、選局移行しないか、または前記積算値が大きいチューナが選局している物理チャンネルへ選局移行するよう前記第二チューナを制御することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、制御部は、第一チューナに設定されている係数の積算値と第二チューナに設定されている係数の積算値とを比較する場合に、所定の時間内において第一チューナに設定されている係数の積算値が上限値に達した場合、または所定の時間内において第二チューナに設定されている係数の積算値が下限値に達した場合に選局移行する。所定時間内に判定が付かない場合、選局移行しないか、積算値が大きいチューナが選局している物理チャンネルへ選局移行するよう第二チューナを制御する。
【0022】
また、上記構成において、前記制御部は、前記第二チューナに接続されるアンテナが複数であり、且つ前記第一チューナに接続されるアンテナが単一である場合に、前記第二チューナのC/Nを各アンテナのC/N平均値から取得し、前記第一チューナのC/Nを評価時間内の最大値から取得することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、制御部は、第二チューナに接続されるアンテナが複数であり、且つ第一チューナに接続されるアンテナが単一である場合に、第二チューナのC/Nを各アンテナのC/N平均値から取得する。また、第一チューナのC/Nを評価時間内の最大値から取得する。
【0024】
また、上記構成において、前記制御部は、前記第一チューナを用いて部分受信階層帯域を受信し、前記部分受信階層帯域の受信情報から、前記視聴側チャンネルの受信状況を推定することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、制御部は、前記第一チューナを用いて部分受信階層帯域を受信し、部分受信階層帯域の受信情報から、視聴側チャンネルの受信状況を推定する。
【0026】
また、上記構成において、前記制御部は、前記第二チューナに接続されるアンテナ数と、前記第一チューナに接続されるアンテナ数とが異なる場合に、前記第二チューナのC/Nを評価する際に、C/Nの最も低いアンテナを除外して算出を行うことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、制御部は、第二チューナに接続されるアンテナ数と、第一チューナに接続されるアンテナ数とが異なる場合に、第二チューナのC/Nを評価する際に、C/Nの最も低いアンテナを除外して算出を行う。
【発明の効果】
【0028】
本発明のデジタル放送受信装置によれば、デジタル放送の番組視聴中の視聴中断期間が短くなり、視聴中断によるユーザのストレスを軽減することができる。また、受信状態のよい物理チャンネルを、優先的に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】サーチ用受信回路ブロックの定常時動作を示すフロー図である。
【図3】選局候補リストを示すテーブル図である。
【図4】時間経過に対する受信状態の変化と、判定トリガ1発生後の受信状態変化による選局判定動作とを示す図である。
【図5】時間経過に対する受信状態の変化と、判定トリガ2発生後の受信状態変化による選局判定動作とを示す図である。
【図6】時間経過に対する受信状態の変化と、判定トリガ3発生後の受信状態変化による選局判定動作を示す図である。
【図7】視聴用受信回路ブロックの定常時動作を示すフロー図である。
【図8】選局移行判定モード1の動作を示すフロー図である。
【図9】選局移行判定モード2の動作を示すフロー図である。
【図10】選局移行判定モード3の動作を示すフロー図である。
【図11】判定トリガ1の発生フローを示すフロー図である。
【図12】判定トリガ2の発生フローを示すフロー図である。
【図13】判定トリガ3の発生フローを示すフロー図である。
【図14】階層切換判定フローを示すフロー図である。
【図15】階層切換用係数、判定トリガ1発生用係数、及び判定トリガ2発生用係数の一例を示すテーブル図である。
【図16】選局移行判定用係数の一例を示すテーブル図である。
【図17】選局移行判定モード1における積算値の計算過程の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお本実施形態では、スペースダイバーシティ方式のデジタル放送受信装置能を有したカーナビゲーションシステムを一例として説明する。
<全体構成について>
図1に、本発明に係るカーナビゲーションシステム90(=デジタル放送受信装置)のブロック構成図を示す。カーナビゲーションシステム90は、デジタル放送受信ブロック60を備えており、カーナビゲーションシステム90の電源が入っていれば、デジタル放送受信ブロック60にも給電可能である。ただし、放送波を受信して復調するか否かは、ユーザの操作による。
【0031】
デジタル放送受信ブロック60は、視聴用受信回路ブロック70と、サーチ用受信回路ブロック80とを含んでおり、更に、D/Aコンバータ11、LPF(ローパスフィルタ)/ドライバ12、映像処理部13、D/Aコンバータ14、LPF/ドライバ15を含む。視聴用受信回路ブロック70は、視聴に用いられる受信回路であり、サーチ用受信回路ブロック80は、後に詳述するバックグラウンドサーチに用いられる受信回路である。
【0032】
視聴用受信回路ブロック70は、計四個の視聴用のDTVチューナ2(=第二チューナ)と、復調/合成部3と、オーディオフィルタ4と、オーディオデコーダ5と、ビデオフィルタ6と、ビデオデコーダ7と、データフィルタ8と、データデコーダ9とを含む。DTVチューナ2a〜2dには、それぞれ、車両に設けられる地上デジタル放送受信用のダイバーシティアンテナ1、1’が接続される。なお、オーディオデコーダ5とビデオデコーダ7は、それぞれ12セグ放送用、ワンセグ放送用を備え、視聴に応じてベースバンド信号を切り換えて出力できるものとする。
【0033】
DTVチューナ2は、それぞれダイバーシティアンテナ1(視聴専用)、1’(視聴/サーチ共用)から地上デジタル放送信号を受信し同一の物理チャンネル(周波数)で選局を行う。なお、視聴用DTVチューナ2dとサーチ用DTVチューナ16には、ダイバーシティアンテナ1’で受信したRF信号が、スプリッタ18で等分配されて入力される。
【0034】
選局は、CPU49(=制御部)から周波数データが送られることで行われる。復調/合成部3は、DTVチューナ2a〜2dから入力される選局された信号を復調、エラー訂正及び合成し、TS(トランスポートストリーム)を出力する。
【0035】
オーディオフィルタ4は、TSからオーディオデータのみを抽出し、オーディオデコーダ5は、抽出されたオーディオデータを復号しデジタルオーディオ信号を出力する。D/Aコンバータ11は、オーディオデコーダ5から入力されるデジタルオーディオ信号をアナログベースバンド信号に変換し、LPF/ドライバ12を介して端子A−1に出力する。
【0036】
ビデオフィルタ6は、TSからビデオデータのみを抽出し、ビデオデコーダ7は、抽出されたビデオデータを復号しデジタル映像信号を出力する。映像処理部13は、ビデオデコーダ7から入力されるデジタル映像信号の映像サイズを変更するスケーラ機能や、文字等を重畳するOSD(On Screen Display)機能を有する。D/Aコンバータ14は、映像処理部13から入力される映像信号をアナログ映像信号に変換し、LPF/ドライバ15を介して端子V−1に出力する。
【0037】
データフィルタ8は、伝送パラメータ、NIT(Network Information Table)、番組情報、データ放送等のデータをTSから抽出し、データデコーダ9は、抽出されたデータを復号する。
【0038】
また、サーチ用受信回路ブロック80は、バックグラウンドサーチ用のDTVチューナ16(=第一チューナ)と、復調部17と、オーディオフィルタ4’と、オーディオデコーダ5’と、ビデオフィルタ6’と、ビデオデコーダ7’と、データフィルタ8’と、データデコーダ9’とを含む。DTVチューナ16への入力は、視聴/サーチ共用アンテナ1’から分配される。
【0039】
DTVチューナ16は、DTVチューナ2a〜2dとは独立して選局可能であり、視聴/サーチ共用アンテナ1’から地上デジタル放送信号を受信し選局を行う。選局は、CPU49から周波数データが送られることで行われる。復調部17は、DTVチューナ16から入力される選局された信号を復調、エラー訂正し、TSを出力する。なお、DTVチューナ16専用のアンテナをダイバーシティアンテナ1とは別に車両に設けてもよい。
【0040】
出力されたTSは、データフィルタ8’へ入力され、NIT等のデータがデータデコーダ9’から出力される。なお、オーディオフィルタ4’、オーディオデコーダ5’、ビデオフィルタ6’及びビデオデコーダ7’は、バックグラウンドサーチを行う用途では不要であるが、例えば、ビデオデコーダ7’の後段に映像処理部13を接続し、映像処理部13でピクチャ・イン・ピクチャ処理を行うようにすれば、異なった物理チャンネルの放送映像を同時に見ることができる。
【0041】
また、例えば、オーディオデコーダ5、ビデオデコーダ7、オーディオデコーダ5’、及びビデオデコーダ7’が出力する映像音声信号をHDD(Hard Disk Drive)53で記録するようにすれば、異なった物理チャンネルの放送番組を同時に録画することも可能である。
【0042】
ラジオ用チューナ/復調部21は、車両に設けられるAM/FMラジオ用アンテナ20に接続され、AM/FMラジオ用アンテナ20からラジオ放送信号を受信し選局を行い、選局された信号を復調し、音声信号を端子A−2に出力する。
【0043】
交通情報受信デコード部41は、車両に設けられる交通情報受信用アンテナ40に接続され、交通情報受信用アンテナ40から交通情報信号を受信しデコードを行い、交通情報を出力する。
【0044】
測位航法装置43は、車両に設けられるGPSアンテナ42に接続され、GPSアンテナ42からGPS信号を受信し、車両位置情報及び車速情報を生成し出力する。
【0045】
慣性航法装置45は、車両に設けられる3軸加速度センサ44に接続され、3軸加速度センサ44から検出信号を受信し、加速度情報及び車速情報を生成し出力する。
【0046】
車速パルス処理部47は、車速パルス入力端子46に接続され、車速パルス入力端子46を介して車両から入力される車速パルスをカウントし、車速情報を生成出力する。
【0047】
CD/DVDドライブ22は、CDまたはDVDから映像音声信号を再生し、再生された映像信号を端子V−3に出力し、再生された音声信号を端子A−3に出力する。描画部54は、ナビゲーション用映像信号を生成し端子V−2に出力する。音声処理部55は、経路案内に必要な音声信号等を生成しミキサイコライザ24に出力する。
【0048】
映像ソースセレクタ30は、端子V−1、V−2、V−3から映像表示装置31への経路を切り換えることで、映像表示装置31に表示させる信号ソースを切り換える。映像表示装置31は、LCDなどで構成される。
【0049】
音声ソースセレクタ23は、端子A−1、A−2、A−3からミキサイコライザ24への経路を切り換えることで、スピーカ26から音声出力させる信号ソースを切り換える。ミキサイコライザ24は、複数の音声ソースをミックスする機能や、音声信号の周波数特性を変化させる機能を有する。パワーアンプ25は、ミキサイコライザ24から入力される音声信号の電力を増幅させ、スピーカ26は、電力増幅された音声信号に基づき音声を発生する。
【0050】
操作入力部48は、不図示のハードキー、タッチパネル並びにリモコン受光部を含み、ユーザの操作による操作信号を出力する。CPU49は、各種演算、処理、制御を行う演算処理装置である。RAM50(=記録部)は、CPU49のワークメモリ等に用いられる。ROM51は、CPU49が実行する制御プログラムを格納する。フラッシュメモリ52は、給電がなくても情報を保持する記録装置である。HDD53は、ナビゲーション用地図データや楽曲ファイル等を格納する大容量の記録装置である。
<バックグラウンドサーチ処理について>
次に、カーナビゲーションシステム90により行われるバックグラウンドサーチ処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
車両においてイグニッションキーが回され、アクセサリー電源がカーナビゲーションシステム90に供給されると、サーチ用受信回路ブロック80(以下、「サーチ側」という)にも電源が供給され、図2のフローチャートが開始される。
【0052】
まず、ステップS101で、CPU49は、選局チャンネル指定用の変数である変数Nを、13に設定する。次に、ステップS102で、CPU49は、独立してタイムアウト時間を設定できる第1タイマ及び第2タイマ(いずれも不図示)をリセットする。第1タイマは、復調同期のタイムアウトを検出するためのタイマである。第2タイマは、NIT取得のタイムアウトを検出するためのタイマである。
【0053】
次に、ステップS103で、CPU49は、物理チャンネルがNチャンネル(初期は13チャンネル)の周波数データをDTVチューナ16に送り、DTVチューナ16にNチャンネルを選局させる。
【0054】
次に、ステップS104で、CPU49は、第1タイマをスタートさせる。次に、ステップS105で、CPU49は、DTVチューナ16が復調同期したか否かを確認する。復調同期していない場合(ステップS105のN)、ステップS106に進み、CPU49は、第1タイマがタイムアウトしたか否かを確認する。
【0055】
タイムアウトしていなければ(ステップS106のN)、ステップS105に戻り、CPU49は、DTVチューナ16が復調同期したかを再度確認する。そして、復調同期せずに第1タイマがタイムアウトすれば(ステップS106のY)、ステップS107に進み、CPU49は、第1タイマをストップし、後述するステップS114に進む。
【0056】
一方、第1タイマがタイムアウトする前にDTVチューナ16が復調同期すれば(ステップS105のY)、ステップS108に進み、CPU49は、第2タイマをスタートさせる。そして、ステップS109で、CPU49は、データデコーダ9’からNITを取得することを試みるとともに、復調部17から受信状態の指標となるC/N(Carrier to Noise ratio)及びBER(Bit Error Rate)を取得する。
【0057】
次に、ステップS110で、CPU49は、NITが取得できたか否かを判定する。取得できていなければ(ステップS110のN)、ステップS111に進み、CPU49は、第2タイマがタイムアウトしたか否かを確認する。
【0058】
タイムアウトしていなければ(ステップS111のN)、ステップS109に戻り、CPU49は、再度NITの取得を試み、C/N及びBERを取得する。そして、第2タイマがタイムアウトする前にNITを取得できれば(ステップS110のY)、ステップS113に進む。
【0059】
ステップS113で、CPU49は、取得したNITに含まれるネットワークID(=放送局識別情報)及び取得したC/N(=受信状態情報)を、現在の選局チャンネル(=Nチャンネル)と対応付けてRAM50に保存する。なおネットワークIDは、放送局を識別するためのコードである。
【0060】
一方、ステップS111で、NITを取得できないまま第2タイマがタイムアウトすれば(ステップS111のY)、ステップS112に進む。ステップS112で、CPU49は、第2タイマをストップし、取得したC/Nを現在の選局チャンネル(=Nチャンネル)と対応付けてRAM50に保存する。
【0061】
なお、ステップS112で、CPU49は、前回処理時に現在と同じ選局チャンネルでネットワークIDが取得できており、RAM50にこのネットワークIDが保存されているか否かを確認する形態でもよい。この形態の場合、保存されていれば、このネットワークIDを今回取得できたネットワークIDとして、現在の選局チャンネルに対応付けて、RAM50に保存する。保存されていなければ、RAM50において、ネットワークIDはブランクにしておく。
【0062】
なお、復調同期せずに第1タイマがタイムアウトした場合(ステップS106のY)、RAM50において現在の選局チャンネルに対応するネットワークID、C/N、及びBERはブランクとなる。
【0063】
ステップS110で時間内にNITが取得できた場合と、ステップS106で第1タイマがタイムアウトした場合と、ステップS111で第2タイマがタイムアウトした場合と、のいずれの場合も、ステップS114に進む。
【0064】
ステップS114で、CPU49は、変数Nを一つインクリメントする。そしてステップS115で、CPU49は、変数Nが62を超えているか否かを判定する。変数Nが62以下の場合(ステップS118のN)、ステップS102に戻り、インクリメントされた変数Nに対応するNチャンネルで選局を行い、上記と同様の処理を再び行う。
【0065】
ステップS115で、変数Nが62を超える場合(ステップS115のY)、ステップS116に進む。ステップS116で、CPU49は、RAM50に記録されている選局候補リストを更新する。
【0066】
具体的には例えば、上記の処理で保存された13ch〜62chの物理チャンネルに対応するネットワークID及びC/Nに基づき、ネットワークIDをキーとして、物理チャンネルとC/Nとを組とする。そして、C/Nの値が大きい順(即ち受信状態が良好な順)にソートする。これにより、新たな選局候補リストに更新する。
【0067】
このとき、C/Nの値が所定の水準以下のものしかないネットワークIDについては、選局候補リストに含めないようにする形態でもよい。また、更新された選局候補リストと、前回の選局候補リストとを比較することにより、所定のネットワークIDについて、前回はこのネットワークIDに対応していたが今回は対応していない物理チャンネルを検索する形態でもよい。
【0068】
この形態の場合、上記の条件で検索された物理チャンネルを、新たな選局候補リストにおいて、上記のネットワークIDに対応する物理チャンネルの最後尾に位置させる。なお、この物理チャンネルに対応するC/Nはブランクとする。
【0069】
また、ステップS116において、前回に保存された13ch〜62chまでの物理チャンネルごとのネットワークID及びC/Nは消去する形態でもよい。
【0070】
ステップS116の後は、ステップS101に戻り、Nを13に設定し、再度サーチ処理を開始する。
【0071】
上記の処理により生成される選局候補リストの例を、図3に示す。なお上記では、13〜62chの帯域内全物理チャンネルをサーチ対象としたが、視聴用受信回路ブロック70(以下、「視聴側」という)で取得できたNITを解析し、中継局/系列局についてのみをサーチ対象としてもよい。更に、図3には図示されていないが、図3で示す選局候補リストは、選局が行われた場合、破棄するようにしてもよい。
【0072】
以上のように、地上デジタル放送における全受信帯域に相当する物理チャンネルである13chから62chの全チャンネル、或いは視聴中(=視聴側で選局中)の放送局の中継局/系列局の物理チャンネルを、順次選局しながらNIT及びC/Nの取得を試み、選局候補リストを更新する処理を、常にバックグラウンドで行う。
【0073】
次に、選局移行処理について説明する。視聴中チャンネルの受信状態が悪くなった場合、所定の条件に基づいて、バックグラウンドサーチで見つけた選局候補チャンネルに選局移行させる。この条件(判定トリガ1〜3)及び選局移行のタイミングを示したのが図4〜図6である。
<判定トリガ1について>
まず、図4を用いて、選局移行を行うための判定トリガ1について説明する。図4は、12セグ領域に設けた判定トリガ1に関する処理を示したグラフ図である。図4は、図4(a)をフェーズ1、図4(b)をフェーズ2とし、所定の条件を満たすことによりフェーズ1からフェーズ2へ移行する。
【0074】
図4(a)に示すグラフは、縦軸が視聴側の受信状態、横軸が時間経過を示している。図4(a)の例では、時間の経過とともに受信状態が悪くなっていく状況を想定している。即ち12セグ(以下、「B階層(=弱階層)」という)を受信可能状態である受信状態から、次第に受信状態が悪くなっていく状況を想定している。
【0075】
受信状態について、B階層に使用される変調方式での受信限界近くに、ワンセグ(以下、「A階層(=強階層)」という)へ階層切換を行うための判定領域を設けておく。図4(a)における階層切換範囲がこれに相当する。
【0076】
B階層の受信状態が悪くなり、且つサーチ用受信回路ブロックでB階層が受信可能な中継局/系列局のチャンネルが見つかった場合、視聴中のチャンネルの視聴階層をA階層に切り換えるよりも、受信状態のよい他の中継局/系列局に選局移行する方が望ましい。
【0077】
このため、階層切換を行うか否かを判定する階層切換範囲よりも、更に受信状態が良好である領域に、判定トリガ1領域を設けておく。この判定トリガ1領域において、B階層のBERを監視する。また、A階層の受信限界近くには、判定トリガ2領域を設けておく。この判定トリガ2領域において、A階層のBERを監視する。
【0078】
判定トリガ1領域、判定トリガ2領域ともに、受信状態が各々の領域内、或いは領域近くになったと判定されれば(判定方法は後述)、フェーズ2へ移行する。フェーズ2では、視聴側の視聴中チャンネルと、サーチ側で見つけた選局候補チャンネルとを同時に評価する。そして選局候補チャンネルの受信状態が優れているか、或いは視聴中チャンネルの受信状態が劣る場合に、選局候補チャンネルに選局移行させる。
【0079】
図4(b)に示すフェーズ2の各種グラフ(図4(b1)〜図4(b7))は、フェーズ2移行後の、視聴側とサーチ側との受信状態の変化について、想定されうるパターンを示している。また、各パターンにおいて、選局判定がどのように行われるかを示している。なお、いずれのグラフも、縦軸が受信状態、横軸が時間経過を示している。
【0080】
図4(a)のフェーズ1のグラフにおいて、左上から右下に向かう矢印が、受信状態の推移を示しており、B階層の受信可能状態が次第に悪くなっていくところを示している。視聴側による監視モードであるフェーズ1では、図7(別途詳述)に示す処理フローを実施する。図7は、視聴側による定期監視、選局、トリガ監視、及びフェーズ2への移行を行うための処理フローである。
【0081】
視聴側は、図7のとおり、定期的に視聴側の受信状態(C/N、B階層ビタビ後BER、A階層ビタビ後BER)の監視を行う。また、判定トリガ1、判定トリガ2、判定トリガ3の発生を監視する。また、B階層からA階層への階層切換条件を満たすか否かも別途監視する。
【0082】
受信状態が悪化すると、図4の判定トリガ1領域を通過するが、この領域に達した否かの判定は、図11に示すフローと、図15の係数テーブルのうち、トリガ1発生(B階層)用で行う。
【0083】
判定トリガ1がかかれば、フェーズ2に移行する。もしこの時、サーチ側で選局候補が見つかっていれば、即ち図3に視聴中チャンネル以外に選局候補チャンネルがあれば、サーチ側は巡回サーチを止め、第一番目の候補の物理チャンネルに選局する。なお図3は、サーチ側の選局候補チャンネルのリストのイメージを示している。ただし図3の例では、選局候補チャンネルを中継局/系列局に限定している。
【0084】
視聴側は放送波の受信を継続しながら受信状態を監視し、図8に示すフローと、図16に示す係数テーブルのうち、選局移行判定モード1用(判定トリガ1から)の表により、視聴側の視聴中チャンネルとサーチ側の選局候補チャンネルとを1対1で競わせる選局移行判定モード(フェーズ2)に移行する。そしてサーチ側の受信状態がよいか、視聴側が悪くなったと判定されれば、視聴側の物理チャンネルとして選局候補チャンネルを選局する。
【0085】
この判定トリガ1により決定される選局候補チャンネルは、基本的にはB階層を受信可能である必要がある。つまり、判定トリガ1からの選局判定は、B階層の継続受信を目的としている。しかし候補がない時は、視聴中チャンネルでの受信を継続する。そして階層切換範囲まで受信状態が悪化した時点で、同じ物理チャンネルのまま、階層をA階層に切り換える。
【0086】
例えば図4(b1)の例では、選局移行判定モードにおいて視聴中チャンネルの受信状態が悪化し、逆に選局候補チャンネルの受信状態が良くなっている。このため、視聴中チャンネルから選局候補チャンネルへの選局移行を行う。
【0087】
また図4(b2)の例では、選局移行判定モードにおいて視聴中チャンネルの受信状態が良くなり、逆に選局候補チャンネルの受信状態が悪化している。このため、視聴中チャンネルの受信を継続する。
【0088】
なお、選局移行判定モードにおいては、視聴側、サーチ側に使用しているブランチ数の違いを考慮する必要がある。即ち、サーチ側で用いているアンテナが1系統であっても、視聴側で用いるアンテナが複数あれば、サーチ側で評価したC/N値よりも、視聴側ではブランチを合成するため、合成後のC/Nは高くなるはずなので、合成後のC/Nを見越して判定する必要がある。
【0089】
なお、ブランチ数とは、カーナビゲーションシステム90に入力されるアンテナ系統の数である。本実施例では、ブランチ1はDTVチューナ1に、ブランチ2はDTVチューナ2に、ブランチ3はDTVチューナ3に夫々接続される。また、ブランチ4はスプリッタ18により二分配されて、夫々DTVチューナ4とDTVチューナ16とに接続される。
【0090】
合成後のC/Nを見越して判定させるために、図8で行う選局移行判定時に使用する積算用C/N係数を、図16のように視聴側とサーチ側とで差を持たせておく。
<判定トリガ2について>
次に、図5を用いて判定トリガ2について説明する。図5は、A階層領域に設けた判定トリガ2に関する処理を示したグラフ図である。図5は、図5(a)をフェーズ1、図5(b)をフェーズ2とし、所定の条件を満たすことによりフェーズ1からフェーズ2へ移行する。
【0091】
図4と同様、図5(b)に示すフェーズ2の各種グラフ(図5(b1)〜図5(b7))は、フェーズ2移行後の、視聴側とサーチ側との受信状態の変化について、想定されうるパターンを示している。また、各パターンにおいて、選局判定がどのように行われるかを示している。
【0092】
先述した図4では、B階層視聴中に受信状態が劣化し、B階層視聴が継続できないと判定された場合に、視聴中チャンネルから選局候補チャンネルへ移行する処理を示していた。しかし選局候補チャンネルが見つからない場合、視聴中チャンネルの階層をA階層に切換えて受信を継続することになる。
【0093】
この場合でも、受信状態の劣化が進むと、A階層であっても全く受信できなくなる(図中のワンセグ受信NG範囲)。このため、この全く受信できなくなる少し前に判定トリガ2を発生させる。サーチ側で受信可能なチャンネルがあれば、選局移行判定モードであるフェーズ2に移行する。
【0094】
図9のフローと、図16に示す係数テーブル(=第二係数テーブル)のうち、選局移行判定モード2用(判定トリガ2から)の表により、視聴側の視聴中チャンネルとサーチ側の選局候補チャンネルとを1対1で競わせる選局移行判定モード(フェーズ2)に移行する。そしてサーチ側の受信状態が良好である、或いは視聴側の受信状態が悪化したと判定されれば、視聴側の物理チャンネルとして選局候補チャンネルを選局する。
【0095】
この判定トリガ2の選局候補チャンネルは、視聴中チャンネルの受信状態よりも良いものであればよい。従ってB階層受信が不可であっても、A階層視聴が継続できればよい。なお、ブランチ数の違いを考慮する方法は、判定トリガ1からフェーズ2に移行する選局移行判定モード1の場合と同様である。
<判定トリガ3について>
次に、図6を用いて判定トリガ3について説明する。図6は、図6(a)をフェーズ1、図6(b)をフェーズ2とし、所定の条件を満たすことによりフェーズ1からフェーズ2へ移行する。
【0096】
先述の判定トリガ1、及び判定トリガ2が視聴側の受信劣化局面であったのに対し、判定トリガ3は、サーチ側のチャンネルがB階層受信可能状態になった場合に発生する。つまり、視聴側がA階層受信を継続している時に、他に好条件で受信できそうなチャンネルが検出されれば選局候補チャンネルとし、選局移行判定モードに移行し、選局移行してよいか否かを判定する。
【0097】
サーチ側では、巡回サーチを行っているので、数秒から数十秒に一度、同じチャンネルのC/Nを確認する。例えば、前回スキャンで測定したC/Nと、今回スキャンした時のC/Nが、受信限界からマージンを持って推移している時は、判定トリガ3をかける。この時、サーチ側でのC/Nが良ければこのチャンネルも選局候補リストにも入っているはずであるが、もし候補に入っていなくても、他のチャンネルが候補に入っている可能性もある。候補があれば、選局移行判定モード(フェーズ2)に入り、選局判定を行う。
【0098】
判定トリガ1、及び判定トリガ2だけでは、視聴中チャンネルの他に好条件の受信が期待されるチャンネルが出現しても、視聴中チャンネルがA階層の受信限界まで来ないと、選局移行判定モードに移行できない。このため、B階層受信可能局がある場合には、少しでも早く好条件のチャンネルに選局移行させるために、本判定トリガ3を設けている。
<定常時処理の処理フローについて>
次に、図7を用いて視聴側の定常時処理について説明する。視聴側の定常時、即ち監視モード中は、視聴中チャンネルの受信状態の監視を定期的に行う。即ち、B階層ビタビ後BERの取得、判定トリガ1の発生条件か否か、判定トリガ2の発生条件か否か、判定トリガ3の発生条件か否かを順次定期的に確認する。
【0099】
ステップS201で、CPU49は、視聴中の物理チャンネルのC/Nと、B階層BERを取得する。これは、監視モード(フェーズ1)での判定トリガ1、及び判定トリガ2が、BERに基づき積算値を計算するためである。なお、C/Nは選局移行判定モード(フェーズ2)でのみ必要となるが、ステップS201では同時にC/NとBERを取得しておく。
【0100】
次にステップS202で、CPU49は、予め定めておいた図15の判定トリガ1発生用、判定トリガ2発生用の係数テーブルから、S201で取得したBER値に応じた係数を参照し、判定トリガ1用カウンタ(=積算カウンタ)で積算していく。図11は、この積算動作を示した処理フローであるが、詳細は後述する。
【0101】
積算された値(以下、積算値)が予め定められた上限値を越えた場合は上限値で頭打ちさせ、積算値が負の値になれば、0で底打ちさせるようにして積算する。そして積算値が0になったところで判定トリガ1を発生させ、フェーズ1からフェーズ2へ移行させる。
【0102】
ステップS203は、説明のため図2のサーチ側定常時(監視モード)フローを簡略化して記載したものである。実際には、図7の視聴側の定常時フローに含める必要はなく、サーチ側の巡回サーチにより次に選局すべき候補チャンネルのリストを更新するのは、サーチ側のフローの中で行えばよい。
【0103】
また、サーチで得られた受信可能局の物理チャンネルとC/N、NITから解析したネットワークIDとを基に、視聴中チャンネルのネットワークIDと等しいか、視聴中チャンネルの放送局と同系列のネットワークIDのものに限定し、C/Nのよい順番にソートし、次に選局する候補の順位付けを行い、リストとして保存する。
【0104】
この際、視聴中チャンネルの中継局は無条件に候補にあげるが、系列局の場合は、BIT(Broadcaster Information Table)を参照するか、受信機内のメモリに保存してある系列局テーブルを参照して、候補に上げてもよい。
【0105】
更に、番組情報を参照し、視聴中番組と同じ番組であることが確認された系列局の物理チャンネルのみ、候補にあげるようにしてもよい。そして、次にサーチ側が物理チャンネルを一巡すると、選局候補リストが上書きされ、常に最新の選局候補リストが作成される。また、サーチ側で、NITが取得される毎に、選局候補リストを更新しても良い。
【0106】
次にステップS204で、CPU49は、判定トリガ1が発生したか否かを判定する。判定トリガ1が発生するのは、S202にて、その時々による階層ごとのBERに応じて予め決めておいた係数(図15で詳述)を積算して求められた積算値のうち、B階層側の積算値が0になっている場合を指す。
【0107】
積算値が0であるということは、B階層の受信限界が近いことを示していることになる。この場合、次に選局する候補チャンネルがある場合は、ステップS205へ移行する。なおステップS205は、フェーズ2に該当する。ステップS205では、選局移行判定モード1に進み、サーチ側チャンネルとしてサーチ側で見つけた選局候補チャンネルを選局する。
【0108】
次にステップS206で、CPU49は、選局候補チャンネルに選局移行するか否かを判定する。具体的には、前記チャンネルがB階層受信可能の場合か、視聴中のチャンネルが更に悪化した場合に、選局候補チャンネルに選局移行する判定され、ステップS214に進む。ステップS214では、視聴側チャンネルとして選局候補チャンネルを選局し、定期監視ループに戻る。
【0109】
逆に、ステップS205で、一旦悪くなった視聴側の受信状態が復活したか、フェーズ1で受信状態が良かったサーチ側が悪くなった場合には、CPU49は、ステップS206で次選局チャンネルには移行しないと判定し、ステップS207に進む(詳細は図8で詳述)。
【0110】
ステップS207では、CPU49は、強階層であるA階層を視聴中か否かを判定し、A階層視聴中であればステップS208からステップS214への処理を実行する。
【0111】
B階層受信中に受信状態が悪化し、判定トリガ1がかかった場合でも、他に選局する候補チャンネルがない場合や、候補チャンネルはあっても受信状態が視聴チャンネルと同等かそれ以下の場合には、視聴階層をA階層に切り換えて受信を継続する場合もある。このような場合においては、次に選局移行すべきタイミングは、視聴中チャンネルの受信状態が悪化し、受信限界になった場合である。
【0112】
判定トリガ2は、A階層の受信限界近くにある程度のマージンを持たせた受信状態の領域に設定しておく。そして判定トリガ1と同じ手法で、ステップS208にて、CPU49は、判定トリガ2が発生したか否かを判定する。判定トリガ2が発生するのは、所定の係数(図15で詳述)を積算した結果、A階層側の積算値が0になった場合である。図15に示す係数は、その時々による階層ごとのBERに応じて、階層ごとに予め決められている。積算値が0であるということは、A階層の受信限界が近いことを示していることになる。
【0113】
ステップS208の判定トリガ2の判定で、A階層の受信限界が近いと判定された場合には、ステップS209に移行する。ステップS209では、CPU49は、選局移行判定モード2に進み、サーチ側を、サーチ側で見つけた候補の物理チャンネルに選局する。
【0114】
ステップS209において、前記チャンネルが、視聴チャンネルよりも受信状態が上回っているか、視聴中のチャンネルが更に悪化した場合は、ステップS210で選局候補チャンネルに選局移行すると判定され、ステップS214へ移行する。
【0115】
逆にステップS209において、一旦悪くなった視聴側の受信状態が復活したか、フェーズ1では受信状態が良かったサーチ側が逆に悪くなった場合は、CPU49は、ステップS210で次選局チャンネルには移行しないと判定し、ステップS211に進む(詳細は図9で詳述)。
【0116】
次にステップS211で、視聴中チャンネルよりも受信状態が良く、B階層の受信が期待できるチャンネルが出てきた場合、CPU49は、判定トリガ3が発生しているか否かを判定する。判定トリガ3が発生している場合、フェーズ2であるステップS212へ移行し、選局移行判定モード3に進む。
【0117】
ステップS212において、CPU49は、サーチ側チャンネルとしてサーチ側で見つけた候補チャンネルを選局し、前記チャンネルが視聴中チャンネルよりも受信状態が上回っているか、視聴中チャンネルが更に悪化した場合は、ステップS213で選局候補チャンネルに選局移行すると判定し、ステップS214に進む。これにより、視聴側を選局候補チャンネルに選局し、定期監視ループに戻る。
【0118】
逆にステップS212において、一旦悪くなった視聴側の受信状態が復活したか、フェーズ1では受信状態が良かったサーチ側が逆に悪くなった場合は、CPU49は、ステップS213で次選局チャンネルには移行しないと判定し、ステップS201に戻る(詳細は図10で詳述)。
<選局移行判定モード1の処理フローについて>
次に、図8を用い、判定トリガ1が掛かった場合、即ちB階層視聴中に受信状態が劣化局面になりB階層の受信限界近くまで来た場合に、サーチ側により見つけた候補チャンネルと、どちらの受信状態が良いか、選局に値するか否かを比較判定する方法を説明する。
【0119】
図7の定常時フローにより、サーチ側で見つけた受信できそうな候補チャンネルのうち、C/Nを基準に上位3つのチャンネルを候補としてあげる。この際、視聴中の物理チャンネルも候補に上がるかもしれないが、ここでは許容する。
【0120】
ステップS301で、CPU49は、一番目の候補、即ち直前の巡回サーチでC/Nが一番高かったチャンネルから、第三番目の候補まで順番に視聴中チャンネルと比較していく。一番目で、選局移行するのに十分な受信状態と判定される場合や、視聴側が継続してB階層で受信可能が不可能と判定される場合、選局移行する。そうでない場合、二番目、三番目の候補と受信状態を比較評価し、受信できると判定される場合に選局移行する。
【0121】
次にステップS302で、CPU49は、サーチ側で見つけた選局候補に視聴中のチャンネルが入っていた場合、同じチャンネルに選局するのは無意味なため、ステップS313へ移行する。ステップS313では、候補の順位を一つ増やす。
【0122】
次にステップS303で、CPU49は、サーチ側を第N番目の候補の物理チャンネルを選局する。次にステップS304で、CPU49は、タイムアウトを設けるためタイマに三秒をセットし、タイマをスタートさせる。これは、フェーズ2で視聴側チャンネルの受信状態とサーチ側チャンネルの受信状態とが拮抗した場合、いつまでも比較判定動作をすることになり、フェーズ1で他のチャンネルの受信状態の監視ができなくなるのを回避するためのものである。
【0123】
更にCPU49は、予め定めておいた、図16に示すC/N値に対応する選局移行判定用の係数テーブルから、視聴側チャンネル、及びサーチ側チャンネルの、その時々のC/Nに応じた係数K4及びK5を調べる。そして夫々を、不図示の積算カウンタC4及びC5(=第二積算カウンタ)に加えていく。そしてフェーズ2の判定に入ったタイミングで、積算値に初期値を代入する。初期値により、どちらを有利に選局させるか調整可能となる。
【0124】
次にステップS305で、CPU49は、視聴側のC/N、B階層ビタビ後BER、A階層ビタビ後BERを取得する。次にステップS306で、CPU49は、サーチ側のC/Nを取得する。次にステップS307で、CPU49は、ステップS305で取得したC/Nを基に、図16に示す選局移行判定モード1用のテーブルのうち、視聴側係数テーブルから係数K4を検索する。そして積算カウンタ(C4)に係数を加算し、積算していく。
【0125】
次にステップS308でCPU49は、ステップS306で取得したC/Nを基に、図16に示す選局移行判定モード1用のテーブルのうち、サーチ側係数テーブルから係数(K5)を検索する。そして積算カウンタ(C5)に係数を加算し、積算していく。
【0126】
次にステップS309で、CPU49は、視聴側積算カウンタ(C4)及びサーチ側積算カウンタ(C5)について、上限値を超えていれば、上限値で頭打ちさせ、積算値が0を下回っていれば、0で底打ちさせる。
【0127】
次にステップS310及びステップS311で、CPU49は、視聴側チャンネルとサーチ側チャンネルとのどちらがよいかを判定する。もしステップS310でサーチ側積算値が上限値に達していれば、サーチ側の受信状態が勝っていると判定し、ステップS314に移行する。ステップS314では、視聴側の物理チャンネルを、サーチ側で見つけた候補チャンネルに選局移行させる。
【0128】
また、ステップS311で視聴側積算値が0になっていれば、視聴側の受信状態が悪くなっているため、サーチ側積算カウンタ(C5)が上限値に達していなくても、ステップS314へ移行する。
【0129】
フェーズ2では、CPU49は、視聴側とサーチ側との受信状態を同時に評価するが、受信状態が拮抗するとなかなか判定が付かず、その間、他のチャンネルの受信状態が把握できない。このため、判定はできるだけ短時間に限定する必要がある。従ってステップS312では、CPU49は、ステップS304で設定した三秒間が経過しているか否かをチェックし、経過していなければステップS305に戻る。
【0130】
これにより、選局移行の判定が付くか、或いはステップS312でタイムアップになるまで、ステップS305からステップS311のループを繰り返す。もしステップS312でタイムアップした場合、視聴側チャンネル設定はそのままとし、ステップS313で順位を下げる。そして上記と同様の動作を、候補チャンネルがなくなるまで、或いは第三候補まで行う。動作が終了すると、視聴側は選局移行せずに監視モードに戻る。
<選局移行判定モード2の処理フローについて>
次に、図9について説明する。ここでは判定トリガ2が掛かった場合、即ちA階層の受信限界に近づいた場合に、サーチ側にて選局候補チャンネルが見つかっており、選局候補リストができている場合に選局判定を行う。
【0131】
動作フローは先に図8の説明で述べたものとほぼ同じであるため、詳細の説明は省略する。唯一、選局移行判定に用いる係数テーブルだけが異なる。図16の選局移行判定テーブルのうち、選局移行判定モード2用の係数を用いる。視聴側は、係数K6の列のものを受信C/Nに応じて適用し、サーチ側は、係数K7の列のものを適用する。また、係数K6はカウンタC6で積算し、係数K7はカウンタC7で積算していく。
<選局移行判定モード3の処理フローについて>
次に、図10を用い、判定トリガ3が掛かった場合について説明する。判定トリガ3が掛かると、選局移行判定モード3に進む。このモードに進む状況としては、A階層で安定した受信ができているものの、視聴中チャンネルとは異なる他のチャンネルでB階層が受信可能な状態になった場合を想定している。つまり、積極的にB階層のチャンネルに選局移行しようとするものである。
【0132】
選局移行判定モード1と異なるのは、第一候補のみと比較を行う点と、選局移行を行う前に、視聴中チャンネルの階層がA階層からB階層に切り換わる条件に近づいていないかを確認する点である。即ち、視聴中チャンネルと異なるチャンネルへわざわざ切換えなくとも、もうしばらく待っていれば、B階層での受信が可能になる可能性がある場合には、視聴中チャンネルでの選局を維持するようにしている。
【0133】
図10では、図8及び図9と同様に、ステップS501で、CPU49は、第一候補が視聴側と同じであるか否かの判定を行う。同じであれば、現在の視聴チャンネルよりも受信状態が良く、B階層の受信が期待できるチャンネルはないと判定し、S513に進み、フェーズ2から抜ける。
【0134】
次にステップS502で、CPU49は、サーチ側を第一番目の候補の物理チャンネルに選局する。更に、タイムアウトを設けるためタイマに三秒をセットし、タイマをスタートさせる。これは、フェーズ2で視聴側チャンネルの受信状態とサーチ側チャンネルの受信状態とが拮抗した場合に、いつまでも比較判定動作をすることとなり、フェーズ1で他のチャンネルの受信状態の監視ができなくなることを回避するためである。
【0135】
更に、CPU49は、予め定めておいた、図16に示すC/N値に対応する選局移行判定用の係数テーブルから、視聴側チャンネル、サーチ側チャンネルの、その時々のC/Nに応じた係数K8及びK9を調べる。そして夫々の積算カウンタC8及びC9(図示せず)に加えていく。フェーズ2の選局移行判定モードに入った場合には、積算値に初期値を代入する。初期値により、どちらを有利に選局させるかを調整可能とする。
【0136】
次にステップS504で、CPU49は、視聴側のC/N、B階層ビタビ後BER、A階層ビタビ後BERを取得する。次にステップS505で、サーチ側のC/Nを取得する。次にステップS506で、CPU49は、ステップS504で取得したC/Nを基に、図16に示す選局移行判定モード3用のテーブルのうち、視聴側係数テーブルから係数K8を検索し、積算カウンタ(C8)に係数を加算し、積算していく。
【0137】
次にステップS507で、CPU49は、ステップS505で取得したC/Nを基に、図16に示す選局移行判定モード3用のテーブルのうち、サーチ側係数テーブルから係数(K9)を検索し、積算カウンタ(C9)に係数を加算し、積算していく。
【0138】
次にステップS508で、CPU49は、視聴側積算カウンタ(C8)及びサーチ側積算カウンタ(C9)について、上限値を超えていれば、上限値で頭打ちさせ、積算値が0を下回っていれば、0で底打ちさせる。
【0139】
ステップS508及びステップS510では、CPU49は、視聴側チャンネルとサーチ側チャンネルとのどちらがよいかを判定する。もしステップS508でサーチ側の積算値が上限値に達していれば、サーチ側の受信状態が勝っていると判定し、ステップS509へ移行する。
【0140】
後述する視聴側B階層BERの積算値、即ち階層切換を行うか否かを決める積算値カウンタ(C1)が、上限値と下限値(=0)の間に設けた初期値以下であれば、ステップS512へ移行する。これにより、視聴側の物理チャンネルを、サーチ側で見つけた候補チャンネルに選局移行させる。
【0141】
また、ステップS509でカウンタC1が初期値を上回っていたら、A階層からB階層への階層切換が近づいているような受信状態の推移であると推測できる。このため、選局移行は行わず、視聴中チャンネルでの受信を継続させるためステップS513へ進み、フェーズ2を抜ける。そしてフェーズ1へ戻り、サーチ側は巡回サーチを行い、視聴側は定常監視を行う。
【0142】
また、ステップS510で視聴側積算値C8が0になっていれば、視聴側の受信状態が悪くなっているため、サーチ側積算カウンタ(C9)が上限値に達していなくても、ステップS512へ移行する。これにより、視聴側の物理チャンネルを、サーチ側で見つけた候補チャンネルへ選局移行させる。
【0143】
次にステップS511で、CPU49は、ステップS503で設定した三秒間が経過していないか否かをチェックし、経過していなければステップS504に戻る。そして選局移行の判定が付くか、ステップS511でタイムアップになるまで、ステップS504からステップS510のループを繰り返す。ステップS511でタイムアップした場合には、視聴側チャンネル設定はそのままとし、ステップS513へ移行し、フェーズ2を抜け、フェーズ1へ戻る。サーチ側は巡回サーチを行い、視聴側は定常監視を行う。
<判定トリガ1の発生フローについて>
次に、図11を用いて、判定トリガ1の発生フローを説明する。本フローで判定トリガ1が発生する、つまり判定トリガ1がかかると、視聴側の定期監視の中、図7のステップS204でチェックされ、ステップS205で選局移行判定を行うきっかけとなる。
【0144】
図11のSTARTは、デジタル放送受信ブロック60の起動直後の状態である。まずステップS601で、CPU49は、カウンタ2に上限値を設定する。次にステップS602で、CPU49は、カウンタの初期値を代入している。次にステップS603で、CPU49は、選局操作がなされた場合はステップSS604へ移行し、カウンタ2に初期値を代入し、ステップS605へ移行する。
【0145】
次にステップS605で、CPU49は、視聴側のB階層のビタビ後BER値を復調/合成部3から読み出し、計算を行う。次にステップS606で、CPU49は、ステップS605で取得したB階層のBER値から、予め定められた、BER値に応じて重み付けられた係数テーブル(図15、判定トリガ1発生用)を参照し、係数K2を検索する。
【0146】
例えば、B階層BERが3.0e−4だった場合には、K2=0となり、ステップS606を抜ける。次にステップS607で、カウンタC2にステップS606で検索されたK2を積算する。
【0147】
次にステップS608で、CPU49は、カウンタC2が下限値である0を下回っているか否かを判定する。0を下回っている場合、ステップS610で判定トリガ1を発生させた後、ステップS611でカウンタC2の積算値を下限値0で底打ちさせる。0を下回っていない場合、ステップS609へ移行し、上限値のチェックを行う。上限値を超えている場合、ステップS612にてカウンタC2の値を上限値で頭打ちさせる。
【0148】
ステップS611で底打ち処理された場合、もしくはステップS612で頭打ち処理された場合、もしくはカウンタC2が上限にも下限にも達していない場合、CPU49は、ステップS613へ移行し、設定時間の経過後、ステップS603に戻り、上述の一連の動作を繰り返す。
【0149】
なお上記の例では、B階層BERが3.0e−4だった場合を用いたが、K2=0であったため、カウンタC2の値に変化はなく、ステップS603以降の最初の一巡目では、初期値のままとなる。つまり、ビタビ後BERが3.0e−4であれば、エラー訂正後であれば短期間の間にはエラーは発生しない。このため、カウンタC2は下限値には余裕があるため、判定トリガ1は発生しないが、この区分よりBER値が低ければ(受信状態が良ければ)カウンタC2は増えていく。またBER値が高ければカウンタC2は減っていく。この受信状態の悪い傾向が続けば、いずれカウンタC2の値は0となり、判定トリガ1が発生する。
【0150】
なお、判定トリガ1が発生した場合、フラグを立てるようにして、図7のステップS204で前記フラグをチェックしてもよい。
【0151】
また、ステップS613の設定時間であるが、一秒よりは短い方が良く、周期が短い方が受信環境の速い変化に追従できる。しかしステップS605におけるBER値の取得及び計算に時間がかかるため、BER値の精度をどの程度まで確保するかに応じて、定めるものとする。
<判定トリガ2の発生フローについて>
次に、図12を用いて、判定トリガ2の発生フローを説明する。本フローは、図11の判定トリガ1の発生フローとほぼ同じである。参照するBERが、判定トリガ1の場合はB階層であったのに対し、本フローではA階層のビタビ後BERを参照するところが異なる。
【0152】
また、A階層BER値に応じて参照する係数テーブルも、判定トリガ1の係数K4、K5ではなく、図16の係数テーブルのうち、視聴側は係数K6を、サーチ側は係数K7を適用し、夫々カウンタC6とC7に積算するところが相違している。その他の計算、判定は図11と同じであるため省略する。
<判定トリガ3の発生フローについて>
次に、図13を用いて、判定トリガ3の発生フローを説明する。上述の判定トリガ1及び判定トリガ2が、視聴側の受信状態により判定され、フェーズ2への移行の契機となるものであるのに対し、判定トリガ3は、サーチ側の候補チャンネルの受信状態に変化、即ちサーチ側候補に受信C/Nがよいチャンネルが現れた場合に、フェーズ2へ移行する契機として用いるものである。
【0153】
ここでは次に述べるとおり、サーチ側の選局候補チャンネル第一位のチャンネルの受信C/Nが継続的に三回続いたか否か、即ち、サーチが一巡した場合を一回と数え、三回連続して同じチャンネルで基準値以上のC/Nだった場合に判定トリガ3を発生させる。
【0154】
まず、受信機が起動した場合に、ステップS801で、CPU49は、判定トリガ3のフラグをリセットする。次に、ステップS802で、選局候補リストをクリアする。次に、ステップS803で、継続回数をクリアする。
【0155】
継続回数とは、サーチ側で選局候補チャンネルがあげられた場合に、候補第一番目のチャンネルが、所定水準のC/Nを持った状態を継続して持っているか否かを調べるために数える回数である。サーチ側で選局候補リストが作られる度に確認し、継続回数がインクリメントされる。なお、所定水準とは、4ブランチの場合のB階層受信可能なC/Nが基準となる。ただし、サーチ側は1ブランチのC/Nしか分からないため、概ね4ブランチ合成時の1ブランチあたりに必要な受信C/Nに相当する。
【0156】
次にステップS804で、CPU49は、選局操作が行われたか否かを調べ、異なる物理チャンネルに選局された場合、ステップS805に進む。ステップS805で、CPU49は、判定トリガ3のフラグのリセットを行うとともに、ステップS806で、選局候補リストのクリアを行う。
【0157】
なお、ステップS802及びステップS806の選局候補リストのクリアは、図2のサーチ側の定常フローの中で行ってもよい。
【0158】
ステップS804で、CPU49は、選局操作が行われなかったと判定された場合、ステップS807へ移行し、サーチ側の巡回サーチで作られた選局候補リストのうちの、第一番目の選局候補チャンネルが有効か否かを調べる。つまり、選局直後はリストがクリアされており、最初からサーチすべきチャンネルを一巡していない期間が存在するため、この調査を行う。
【0159】
ステップS807で、有効であると判定された場合、CPU49は、ステップS808に移行し、継続回数が0か、それより大きいか否かを判定する。選局直後の場合は、継続回数は0回に相当する。大きくない場合、ステップS811へ移行し、第一候補の物理チャンネルを記録する。選局直後の場合に加え、選局直後の場合でなくても、候補の順位が入れ替わったり、サーチ用ブランチのC/Nが基準以下になったりする場合もある。このため、ステップS812で、継続回数カウンタをクリアする。
【0160】
次にステップS809で、CPU49は、選局候補リストの順位が一位であるチャンネルが、前回調べた時と同じか否かを調べる。違っていれば、ステップS811で、今回一位であったチャンネルを記録しなおす。そして連続条件から外れるため、ステップS812で継続回数のカウンタをリセットする。前回と同じチャンネルであれば、ステップS810へ移行する。
【0161】
次にステップ810で、CPU49は、選局候補チャンネルにおいて、B階層の受信が可能か否かの目安となるC/Nが、基準値以上であるか否か調べる。基準値に達していない場合、ステップS811へ移行し、現在の第一候補の物理チャンネル番号を記録するとともに、ステップS812で、継続回数カウンタをクリアする。
【0162】
なお前記基準値は、例えばサーチ側の単一ブランチで19dBあれば、4ブランチ合成後に約25dB程度が得られることが予想され、これにマージンを加味して設定される。
【0163】
ステップS810で、基準値以上と判定された場合、ステップS807からステップS810までの条件を全て満たし、候補が前回のチャンネルと変わっておらず、しかもサーチ側の受信C/Nが基準値を超えたこととなる。このため、ステップS813で、CPU49は、継続回数をインクリメントする。
【0164】
次にステップS814で、CPU49は、継続回数を調べ、継続回数が三回以上であれば、ステップS815で判定トリガ3を発生させ、フェーズ2への移行の契機とする。その後、サーチ側でサーチすべき物理チャンネルを一巡し、選局候補リストが更新されるまで、ステップS816で待機する。更新されれば、ステップS804へ戻り、このループを繰り返す。
<階層切換タイミングについて>
次に、図14を用いて、判定トリガ1と階層切換範囲の関係について説明する。なお図14に示す階層切換判定フローは、特許公報の特許第4315990号の図2に示されている従来技術と同様のものである。従って説明は省略する。
【0165】
特許第4315990号では、階層切換タイミングは、B階層BERの推移に依存し、ヒステリシスを持った階層切換動作となっている。つまり、ある決まったBER値やC/N値で判定しているわけではないので、階層切換は受信状態のある領域中で行われることになる。一方で、判定トリガ1は、階層切換前に必ず発生させる必要がある。
【0166】
つまり、受信状態が劣化していく局面で、階層切換が発生する前に次の選局候補に選局移行させるためには、判定トリガ1の判定は階層切換の判定と、一定の関係を持たせておく必要がある。また、判定トリガ1と階層切換範囲とは、あまり大きなマージンは持たせられない。これは、受信状態がかなり良くないと判定トリガ1が発生せず、B階層どうしの選局移行のチャンスを逃すことにつながるためである。
【0167】
従って、判定トリガ1の発生も、階層切換判定の方法に合わせておく。つまり図11の判定トリガ1発生フローを、図14の階層切換判定フローと同じにしておく。更に図15に示す係数テーブルに所定の関係を持たせておけば、確実に階層切換前に判定トリガ1が発生することとなる。よって、本発明の判定トリガ1発生は、特許第4315990号の技術を用いることを前提としている。
<階層切換タイミング用/判定トリガ1発生用/判定トリガ2発生用係数について>
次に、図15のテーブル図を用いて、階層切換タイミング用係数、判定トリガ1発生用係数、及び判定トリガ2発生用係数について説明する。
【0168】
階層切換用の係数は、B階層ビタビ後BERにより場合分けされる。この図の場合、二十分割されている。階層切換用のK1については、
2.3e−3>BER>1.8e−3
の範囲の場合には、係数K1は0である。このビタビ後BER値の場合、エラー訂正後は短期的にはエラーフリーとなるので、B階層からA階層への階層切換は必要ない。
【0169】
これに対し、判定トリガ1発生用係数K2の場合は、K2=0となるビタビ後BERの範囲を、
5.0e−4>BER>2.8e−4
としておくと、約一桁程度のBERの差となる。また、同じBER値において、階層切換用に対して判定トリガ1用を小さくしておくことにより、係数の積算値であるカウンタ1、カウンタ2の値は、受信状態の劣化局面では、必ず判定トリガ1発生用積算カウンタC2の方が早く0になる。このため、階層切換判定よりも前に判定トリガ1が発生し、移行可能なチャンネルがあれば、B階層からB階層への選局移行が可能となる。
【0170】
判定トリガ2発生用係数K3は、係数K2よりも一桁程度小さい方向にK3=0をシフトしている。しかし現行、多くの放送局はA階層を部分受信階層として使っているため、B階層に比べデータレートが低く、B階層と同程度の精度のBER値を算出するのに時間がかかる。
【0171】
このため、BER測定時間をB階層と同程度にとると、精度が悪くなり、BER値がばらつきやすくなる。従って、エラー訂正後にエラーが出ないBER値まで、若干マージンを見込み、判定トリガ2が発生する時点では、エラー訂正後にエラーが出ないようにしている。
<選局移行判定用係数について>
次に、図16のテーブル図を用いて、選局移行判定用係数について説明する。階層切換、判定トリガ1、及び判定トリガ2は、B階層及びA階層のビタビ後BER値を基に積算用係数を決定していた。しかしフェーズ2の選局移行判定には、C/Nにより係数を決める。また、判定トリガ1、判定トリガ2、判定トリガ3の発生要因別に、適用する係数を違えておく。このようにすることにより、目的とする階層への移行ができるか否か判定することができる。
【0172】
例えば、判定トリガ1がかかった場合、B階層受信の継続が難しくなって来たわけであり、もし他にB階層の受信が期待できるチャンネルがあれば、B階層に移行することが望ましい。このため、視聴側の係数とサーチ側の係数とを、各C/Nに対し、同等にとっておく。
【0173】
また、判定トリガ1に関しては、B階層受信ができることを目的とするため、C/Nが概ね18dBを境に、高いC/Nでは正の係数を、低いC/Nでは負の係数を割り振っておく。そして視聴側の視聴中チャンネルのC/Nと、サーチ側で評価する次選局チャンネルのC/Nとを積算し、先に積算値が上限に達した方を受信状態がよいと判定する。
【0174】
また、判定トリガ2が発生した場合、選局移行判定モード2に入るが、この時は視聴側、サーチ側C/Nに対し、係数K6及び係数K7を適用する。判定トリガ2が発生したということは、A階層の受信限界に近づきつつあるので、C/Nが概ね8dBのところの係数を0にとる。それより受信状態がよい、即ちC/Nが高い値では正の係数を、低い値では負にとっておき、夫々C/Nに応じて値を加減する。
【0175】
判定トリガ3については、この場合も判定トリガ1と同様に、A階層からB階層のチャンネルへの選局移行を想定するので、基本的には判定トリガ1と同等の係数配置にしておくことで、選局移行判定ができる。
【0176】
ただし、視聴側の使用ブランチ数と、サーチ側のブランチ数は異なるため、係数にも考慮が必要である。実際には、視聴側では各ブランチの合成が行われるため、仮に各ブランチに等しい受信電力が入力された場合、受信電力は視聴側とサーチ側では四倍の差になる。
【0177】
更に、移動受信した場合、フェージングが発生するが、1ブランチのC/Nでは変動が大きいことに加え、4ブランチ合成した後のC/Nの変動は小さく、後者の方が有利となる。このため、1ブランチのサーチ側C/Nから、選局移行した後の4ブランチ合成後のC/Nを推定する必要がある。
【0178】
前記推定を行うためには、同じ土俵で比較する必要がある。即ち、サーチ側がシングルブランチであるため、視聴側も合成前のブランチごとのC/Nで評価してやればよい。また、サーチ側はシングルブランチのため変動が大きい。このため、短時間に何回か測ったC/Nのうち、最大値をこの期間のC/Nの代表値とし、視聴側は何回か測ったC/N値を平均したものとを比較すれば、比較的同じ土俵で比較しやすくなる。
【0179】
また、各ブランチ間のC/Nに大差がない場合には、視聴側の合成後C/Nの評価値は大きく外れないが、いずれかのブランチの入力が飛び抜けて大きい、または小さくなった場合、大きくずれる場合がある。そのため、上位3ブランチのC/N値のみ採用するか、各ブランチのC/N値の差に応じて、係数に対し重み付けを付けたものを積算してもよい。
【0180】
図16では、サーチ側の係数は、視聴側の概ね三倍になっているところが多い。しかし先述のように、視聴側の係数積算を行う場合、簡便のため一番C/Nの低いブランチを除き、上位3ブランチのC/Nに対する各係数(K4またはK6またはK8)を適用する。視聴側の係数を平均する代わり、視聴側3ブランチ分の係数を全て加え、一方のサーチ側係数は視聴側の三倍を基本としている。
【0181】
ただし、ブランチごとのC/Nと、合成後のC/Nとの相関は、単に電力に比例するだけでなく、C/N算出方法にも依存する。また、フェージング環境下では、ブランチごとのC/Nと合成後のC/Nとにも差が出る。
【0182】
実際には、フェージング環境下での単一ブランチC/Nと、4ブランチ合成後のC/Nには、10dB程度の差が出ることがある。このため、この差を埋めるために、サーチ側の係数を視聴側の三倍した上で、表の下方向に1dB下げて設定している。これはあくまで一例であり、復調器の特性に合わせて設定される。
<選局移行判定モード1の計算過程例>
図17は、選局移行判定モード1の計算過程の一例である。この例では、視聴側がB階層受信中に受信状態が悪くなって判定トリガ1が発生し、フェーズ2の選局移行判定モード1に移行したが、サーチ側チャンネルの受信状態も視聴側と比べあまり優位にはなく、選局移行しないと判定した場合の例を示している。
【0183】
図17の例では、タイムアウトに設定している三秒間では、視聴側/サーチ側積算値とも上限値、下限値に達しなかった。サーチ側の受信状態は、視聴中チャンネルに比べ若干良いものの大差はなく、サーチ側に選局してもB階層視聴が安定してできる状態ではないと判定された。このため、選局移行がなされなかった結果となっている。
<その他の実施の形態>
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0184】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0185】
(A)上記実施形態では、本発明の選局移行処理を実施するデジタル放送受信装置として、カーナビゲーションシステム90を例に説明しているが、これ以外のデジタル放送受信装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビやテレビ受信機能付き携帯電話等で実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0186】
1 ダイバーシティアンテナ(アンテナ)
1’ 視聴/サーチ共用アンテナ(アンテナ)
2 DTVチューナ(第二チューナ)
3 復調/合成部
4、4’ オーディオフィルタ
5、5’ オーディオデコーダ
6、6’ ビデオフィルタ
7、7’ ビデオデコーダ
8、8’ データフィルタ
9、9’ データデコーダ
11 D/Aコンバータ
12 LPF/ドライバ
13 映像処理部
14 D/Aコンバータ
15 LPF/ドライバ
16 DTVチューナ(第一チューナ)
17 復調部
23 音声ソースセレクタ
24 ミキサイコライザ
25 パワーアンプ
26 スピーカ
30 映像ソースセレクタ
31 映像表示装置
49 CPU(制御部)
50 RAM(記録部)
60 デジタル放送受信ブロック
70 視聴用受信回路ブロック
80 サーチ用受信回路ブロック
90 カーナビゲーションシステム(デジタル放送受信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号を受信する第一チューナ及び第二チューナと、
デジタル放送の受信帯域内の物理チャンネルを前記第一チューナにより巡回選局させ、前記第二チューナに視聴側チャンネルを選局させる制御部と、を備えるデジタル放送受信装置において、
前記制御部は、前記視聴側チャンネルと放送局識別情報が同じ、または前記視聴側チャンネルと系列が同じである中継/系列局チャンネルを判別し、
前記視聴側チャンネルの受信状態を監視し、該監視している受信状態が受信限界に達した場合に、前記第一チューナに前記中継/系列局チャンネルを選局させ、前記第一チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態と前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態とを比較すること
を特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記放送局識別情報と前記中継/系列局チャンネルとを対応付けたリストを作成し、前記巡回選局のたびに、前記リストに含まれる前記中継/系列局チャンネルに対して前記受信状態情報に基づいた優先度を設定し、
選局対象とする前記中継/系列局チャンネルを前記優先度に基づいて決定し、決定した該中継/系列局チャンネルを前記第一チューナに選局させること
を特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
復調後のBER(Bit Error Rate)の範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、前記係数について、受信可能領域のBER範囲では正の係数が設定され、受信不可領域のBER範囲では負の係数が設定されているテーブルを記録した記録部と、前記BERに基づいて参照される前記係数を積算する積算カウンタとを備え、
前記積算カウンタは、予め定められた上限値及び下限値の範囲内で積算を行い、
前記制御部は、前記積算カウンタにより得られる値が下限値となった場合に、前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態が受信限界に達したとみなし、前記比較を行うこと
を特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、視聴階層が複数ある放送波に対して、受信状態が受信限界に達したか否かの判定を視聴階層ごとに行い、前記係数テーブル及び前記積算カウンタを視聴階層ごとに設け、前記係数の積算を視聴階層ごとに行うこと
を特徴とする請求項3に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
受信状態に応じて複数の視聴階層を切り換える場合に、視聴階層を切り換えるか否かの判定を、前記比較を行うか否かの判定と同じ方法で行うともに、前記の両判定において用いられる前記係数テーブルを、前記の両判定ごとに個別に設け、
受信状態が劣化している局面において、前記比較を行うか否かの判定が、視聴階層の切り換えの判定よりも早い段階で発生するよう、前記係数テーブルを予め設定したこと
を特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一チューナで選局されている前記中継/系列局チャンネルの受信状態と前記第二チューナで選局されている前記視聴側チャンネルの受信状態とを比較する場合にC/N(Carrier to Noise ratio)を用い、
前記記録部は、C/Nの範囲に対応する複数の係数を持つテーブルであり、前記第一チューナ及び前記第二チューナで個別に前記係数が設定されており、且つ前記係数について受信可能領域のC/N範囲では正の係数が設定され、受信不可領域では負の係数が設定されている第二係数テーブルを記録し、
前記デジタル放送受信装置は、C/Nに基づいて参照される前記係数を積算するカウンタであり、上限値及び下限値を予め設定されている第二積算カウンタを備え、
前記制御部は、選局移行するか否かを、前記第二積算カウンタより得られる、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値と前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値とを比較することにより行うこと
を特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値と前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値とを比較する場合に、予め定められた時間内において、前記第一チューナに設定されている前記係数の積算値が前記上限値に達した場合、または前記第二チューナに設定されている前記係数の積算値が前記下限値に達した場合に選局移行し、前記時間内に判定が付かない場合に、選局移行しないか、または前記積算値が大きいチューナが選局している物理チャンネルへ選局移行するよう前記第二チューナを制御すること
を特徴とする請求項6に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第二チューナに接続されるアンテナが複数であり、且つ前記第一チューナに接続されるアンテナが単一である場合に、前記第二チューナのC/Nを各アンテナのC/N平均値から取得し、前記第一チューナのC/Nを評価時間内の最大値から取得すること、
を特徴とする請求項7に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一チューナを用いて部分受信階層帯域を受信し、前記部分受信階層帯域の受信情報から、前記視聴側チャンネルの受信状況を推定すること
を特徴とする請求項8に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第二チューナに接続されるアンテナ数と、前記第一チューナに接続されるアンテナ数とが異なる場合に、前記第二チューナのC/Nを評価する際に、C/Nの最も低いアンテナを除外して算出を行うこと、
を特徴とする請求項9に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−213051(P2012−213051A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77861(P2011−77861)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】