説明

デュアルインターフェースICカードとその製造方法、接触・非接触兼用ICモジュール

【課題】 ICモジュールに使用する接着シートに、導電性接着剤が流れる液溜まり部を設けることで、アンテナコイルとの良好な接続を確保しながら、ICモジュールの剥離強度の高いデュアルインターフェースICカードとその製造方法等を提供する。
【解決手段】 本デュアルインターフェースICカードは、接触・非接触兼用ICモジュールを接着シート2を用いて、装着用凹部に装着したICカードであって、前記ICモジュールは該凹部の第1凹部面に面する2個以上のアンテナ接続用端子板24,25を有し、前記接着シート2には、当該アンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口24k,25kが形成され、当該開口内でアンテナ接続用端子板がカード基体内のアンテナに導電性接着剤で接続している場合において、前記間隙は内縁の樹脂モールド部7側面に導電性接着剤の液溜まりを作るように形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデュアルインターフェースICカードとその製造方法等に関する。
詳しくは、接触・非接触兼用のデュアルインターフェースICカードについて、ICモジュール接着部構造の強化を図った新規なICカードとその製造方法に関する。このようなデュアルインターフェースICカードは、通常の接触・非接触兼用ICカードとして使用して従来品にない耐久性を備える特徴がある。従って、本発明の技術分野は、デュアルインターフェースICカードの製造や利用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
実用されているICカードは大きく分けて3種類に分類される。すなわち、外部接触端子板がカード表面に露出している接触式、ICチップ及び通信用のアンテナコイルがカード内部に埋め込まれ外部接触端子板が無い非接触式、及び外部接触端子板を有し両者の機能を同一のICチップで行う、コンビ式またはデュアルインターフェース式とも呼ばれる接触・非接触兼用ICカード、の3種類である。
【0003】
この、コンビ式またはデュアルインターフェース式と呼ばれる接触・非接触兼用ICカード(以下、単に「デュアルインターフェースICカード」という。)が、本願の対象となるICカードである。このデュアルインターフェースICカードは、ICモジュールの裏側(接触端子板面の反対面)に、チップの所定パッドと導通がとれていてカード基体内のアンテナ端部と接続するためのアンテナ接続用端子板が設けられている。この端子板がICモジュール装着のために掘削したカードの凹孔内に露出するアンテナコイル端子(アンテナコイルの両端部)と導電ペーストまたは導電シート等を介して接続されることで非接触カードとしての機能も備える特徴を有している。
【0004】
デュアルインターフェースICカードの場合は、COT(Chip On Tape)裏面に形成されたアンテナ接続用端子板と、カードのザグリ加工で露出したカード内部に内蔵された非接触通信用のアンテナのアンテナ端部とをCOT挿入接着時に、COT固定用接着シートとは別の導電性接着剤を介して両者間を電気的にも接続する。これにより、ICチップの非接触通信機能部に導通する。一方、カード表面には6個ないし8個のISO7816接触方式の端子群が設けられていて接触通信を行う。
なお、ICモジュールはCOTでもCOB(Chip On Board)でもどちらでも良いものである。以下も同様である。
【0005】
ところで、カードからICモジュールが剥がれることは重大な欠陥となるので、ICモジュールを接着シートにより強固に接着させる必要があるが、同時にICモジュール裏面のアンテナ接続用端子板とカード基体内に埋め込まれたアンテナ端部とを導電性接着剤(ペースト状)を介して電気的に接続する必要もあるため、導電性接着剤塗布領域には接着シートを挟むことができず、この領域を切り抜いた(開口した)形状の接着シートとする必要がある。ところがこの開口領域が狭過ぎると、導電性接着剤が多めに塗布された場合に、ペーストの逃げ場がなく、接着シート領域内に不規則にはみ出してしまい、これがモジュールとカード間の接着を弱めてしまったり、モジュール外周部からのはみ出しとなって、ICカードの外観を不良にする問題があった。
【0006】
また、位置ずれと多少のはみ出しを考慮してアンテナ接続用端子板より全体的に広めに切り抜きする方法もあるが、穴を広げれば広げるほど、ICモジュールをカード基体に接着できる領域が狭くなり、結果的にモジュールのカードへの接着力が低下する他、やはり導電性接着剤のはみ出しを防止する効果がほとんど得られず、はみ出しが多発する可能性があった。また、接着シートのモールド部中央部全域をくり抜いてしまう方法も考えられるが、この場合、ICモジュールの底面と対接するカード基体間に微小な隙間があいてしまい(ICモジュール厚みの公差、ざぐり加工深さの公差による)、特に金融用途で使用される搬送機構をもつリーダライタ(たとえばATM機)への繰り返し挿入搬出により、厚みの薄いICモジュールのモールド部に面するカード裏面部が変形し、終には亀裂を発生させてしまうため、著しく耐久性が低下するおそれがあった。そこで、本発明はこのような問題の生じないICカードの実現を図るものである。
【0007】
このようなICモジュールとカード基体内のアンテナとの接続方法を記載する先行技術には、特許文献1、特許文献2、等があるが、図面を参照して説明することとする。
図8は、デュアルインターフェースICカード1の平面外観図である。デュアルインターフェースICカード1は、カード基体10内にアンテナコイル11を有するが、内部に埋め込まれているのでアンテナを見えず、外観的には従来からの接触型ICカードと異なるところはない。カードサイズは、ISOの規格に基づき、53.98×85.60mm、厚みは、0.68〜0.84mmの範囲、通常0.76mm程度にされている。
アンテナコイル11の両端は、デュアルインターフェースICカード用の接触・非接触兼用ICモジュール5のアンテナ接続用端子板に接続するようにされている。
【0008】
図9は、接触・非接触兼用ICモジュールを示す図であって、図9(A)は、表面側の接触端子板配置図、図9(B)は、同ICモジュールの裏面のボンディング状態を表す図、図9(C)は、図9(B)の概略断面図、である。
図9(A)のように、接触・非接触兼用ICモジュール5の接触端子板配置は通常の接触型ICカードと同様に、表面にC1〜C8の8個の端子板が設けられている。
各端子は、C1(Vcc)、C2(RST)、C3(CLK)、C4(RFU)、C5(GND)、C6(Vpp)、C7(I/O)、C8(RFU)である。C4とC8はRFUであるので、使用しない。C6(Vpp)も使用しないことが多い。
【0009】
デュアルインターフェースICカード用ICモジュールの裏面のワイヤ接続状態は、通常、図9(B)のようになっている。C1,C2,C3,C5,C7端子背面の絶縁基板8には、ワイヤボンディング基板側パッド26が形成されていて、当該パッドを介して、それぞれICチップ3側の接続端子(パッド)にボンディングワイヤ27で接続されている。C4,C8端子は予備端子なので基板側パッドは設けられていない。
C2,C3端子とC6,C7端子の背面を利用して2個のアンテナ接続用端子板24,25が設けられ、C4,C8端子の背面を通るリード24L,25Lを介して、ICチップ3の非接触インターフェース部A1,A2にワイヤ接続されている。ただし、リード24L,25Lは図示の形状に限らず、直接ICチップ3側方向に伸びる形に形成してもよい。図1〜図4、図6ではそのような構造に図示されている。アンテナ接続用端子板は2個に限らず、3個ないし最大6個設ける場合がある。これは接続を確実にするため、1のアンテナ端部を2〜3に分岐してICチップのパッドに接続するものである。
ICモジュール5のICチップ3やボンディングワイヤ27部分は封止されて樹脂モールド部7(ハッチングを付した部分全体)となっている。
【0010】
図9(C)は、ボンディングワイヤ27及び基板側パッド26を通るように描いた概略断面図である。厚み方向縮尺は拡大図示されており、実際はもっと偏平な外観である。
ICチップ3は接着剤(ダイボンダー)4により基板8または表面側銅箔の裏側に接着している。ボンディングワイヤ27は基板8を貫通する穴を通って、接触端子板9の裏面銅箔に直接ワイヤ接続されている。アンテナ接続用端子板24,25は、図9(B)のようにICチップ3にリード24L,25Lとワイヤにより接続されているものである。
このICモジュール5面にホットメルト性接着シートをラミネートした後、上下面を反転して、カード基体のICモジュール装着用凹部内に装着する。アンテナ接続用端子板24,25は導電性接着剤によりカード基体内のアンテナ端部に接続される。
【0011】
なお、デュアルインターフェースICカードにおいてICモジュールをICモジュール装着用凹部に接着する際、接着シートを使用する先行技術には、特許文献3(段落[0027]参照)、特許文献4(段落[0023]参照)等がある。しかし、いずれも接着シートにどのような形状の開口を形成するかについては言及してはいない。
【0012】
【特許文献1】特開平9−123654号公報
【特許文献2】特開平11−328355号公報
【特許文献3】特開2004−13649号公報
【特許文献4】特開2004−348346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
デュアルインターフェースICカードの場合、ICモジュールのカード基体への強固な接着と、ICモジュールのアンテナ接続用端子板とカード基体内のアンテナ端部との良好な電気的接続と、双方の両立を図ることが必要となる。ICモジュールのカード基体への接着には、熱接着性接着シートを使用するのが、工程的にも安定した接着のためにも好ましいが、アンテナ接続にはペースト状の導電性接着剤を使用する必要があり、接着シートが導電性接着剤塗布の妨げとならず、かつ導電性接着剤のICモジュール装着時の流動により接着シートが影響を受けないことを考慮して、接着部構造を定める必要がある。
そこで、本発明はICモジュールのカード基体への接着と、非接触通信用アンテナコイルの接続と、双方の接着を十分に確保することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、接触・非接触兼用ICモジュールを接着シートを用いて、ICカード基体に掘削したICモジュール装着用凹部に装着したデュアルインターフェースICカードであって、前記接触・非接触兼用ICモジュールはICモジュール装着用凹部の第1凹部面に面する2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有し、前記接着シートには、当該アンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口が形成され、当該開口内でアンテナ接続用端子板がカード基体内のアンテナに導電性接着剤で接続している場合において、前記間隙は内縁のICモジュールの樹脂モールド部側面に導電性接着剤の液溜まりを作るように、外縁側に対するよりも広幅に形成されていることを特徴とするデュアルインターフェースICカード、にある。
【0015】
上記において、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができ、あるいは、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する長円形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができ、あるいはまた、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り部を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができる。
【0016】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有する接触・非接触兼用ICモジュールのモールド樹脂面側の全面にアンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口を形成して接着シートをラミネートしたICモジュールにおいて、前記間隙は内側のICモジュールの樹脂モールド部側がICモジュールの外側に対比して、20%から100%拡大した面積に形成されていることを特徴とする接触・非接触兼用ICモジュール、にある。
【0017】
上記において、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができ、あるいは、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する長円形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができ、あるいはまた、前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り端部を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されているようにすることができる。
【0018】
上記課題を解決する本発明の要旨の第3は、以下の(1)の<ICモジュールの準備>工程で準備した接触・非接触兼用ICモジュールを、(2)の<ICカード基体の製造>工程で製造したICカード基体のICモジュール装着用凹部内に、(3)の<ICモジュールの装着>工程で装着することを特徴とするデュアルインターフェースICカードの製造方法、にある。
(1)<ICモジュールの準備>
(a)表面に接触端子板を有し、背面中心部にはICチップを封止した樹脂モールド部と当該樹脂モールド部を囲む略矩形環状の平面部を有し、前記平面部に2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有するようにした接触・非接触兼用ICモジュールを準備する工程、(b)上記接触・非接触兼用ICモジュールをICカード基体のICモジュール装着用凹部内に接着させる接着シートに、前記アンテナ接続用端子板を納める部分とそれに加えて樹脂モールド部側面に間隙を有する、矩形状または長円形状の開口を形成する工程、(c)上記(b)の工程で準備した接着シートを、(a)の工程で準備した接触・非接触兼用ICモジュールに、前記開口のアンテナ接続用端子板を納める部分からアンテナ接続用端子板が露出するようにラミネートする工程、
(2)<ICカード基体の製造>
(a)アンテナコイルを埋設したICカード基体を準備し、当該ICカード基体にICモジュールのアンテナ接続用端子板を載置する第1凹部と、当該第1凹部の内側にICモジュールの樹脂モールド部を納める深さの第2凹部と、からなるICモジュール装着用凹部を掘削する工程、(b)第1凹部面にアンテナコイル接続用凹孔をさらに掘削して、カード基体内の2箇所のアンテナコイル両端を露出させる工程、
(3)<ICモジュールの装着>
(a)導電性接着剤を前記アンテナコイル接続用凹孔に充填する工程、(b)前記接着シートラミネート済みの接触・非接触兼用ICモジュールをICモジュール装着用凹部内に装填し、表面側端子板面から軽い熱圧をかけて、ICモジュールの端子板を接着シートによりICモジュール第1凹部面に接着固定させると共に、アンテナ接続用端子板とアンテナ両端を電気的に接続する工程、
【発明の効果】
【0019】
本発明によるデュアルインターフェースICカード(請求項1〜4)は、導電性接着剤が接着シートに形成した開口内に納まっているので、カード表面にあふれてカードの外観を損なうことがない。また、カード表面にあふれない場合であっても接着シート面に回り込んで、ICモジュール基板とカード基体の接着強度が低下させていることもない。
本発明による接触・非接触兼用ICモジュール(請求項5〜9)底面には、アンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口が形成された接着シートがラミネートされているが、当該間隙は、内側のICモジュールの樹脂モールド部側がICモジュールの外側に対比して、20%から100%拡大した面積に形成されているので、アンテナ接続用端子板を接続する導電性接着剤の過剰量が当該拡大した面積側に流れるので、ICカードの外観を損ねたりICカード基体への接着を阻害することがない。
本発明によるデュアルインターフェースICカードの製造方法(請求項9)は、接着シートに形成する開口を、導電性接着剤の流動特性を考慮して、ICモジュールの樹脂モールド部側に広く形成するので、導電性接着剤が熱圧時に流動しても当該開口内に溜まるため、ICモジュールの装着時に導電性接着剤がカード表面にあふれてカード外観を損ねたり、接着シート面に回り込んで、ICモジュール基板とカード基体の接着強度を低下させるようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、ICモジュール装着部の接着シートの構造に改良を加えた特徴があるが、以下、図面を参照して説明することとする。
図1は、デュアルインターフェースICカードのICモジュールに接着シートを貼り付けした後の背面図、図2、図3、図4は、同他の例の背面図、図5は、ICモジュール装着用凹部にICモジュールを装着後の断面図、図6は、従来のICモジュールの背面図、図7は、ICモジュール装着用凹部の平面図、である。
【0021】
まず、理解の容易のため、従来のデュアルインターフェースICカードを説明することとする。図6は、従来のICモジュールの背面図であって、図6(A)はICモジュール自体の背面図、(C)は同断面図、(B)はICモジュールに接着シート2を貼り付けした後の背面図、(D)は同断面図、である。先に説明のように、接触・非接触兼用ICモジュール5の場合は、背面に例えば、2個のアンテナ接続用端子板24,25が設けられており、リード24L,25LによりICチップ3の所定パッドに接続している。
樹脂モールド部7の大きさはICチップ3の大きさにより変動するが、通常8.5m×8.5m程度の第2凹部内に納まる大きさにされている。樹脂モールド部7のプリント基板8面からの高さは、440μm程度であるから、プリント基板8の横寸法(通常、11mm〜13mm程度)に対して、僅かな高さであり、実際には平面に近い外観を示すものとなる。
【0022】
従来、このICモジュール5を装着する場合は、アンテナ接続用端子板24,25部分を矩形状に開口24k,25kを打ち抜きした接着シート2を基板8面と樹脂モールド部7の全面に貼り付けしてから、アンテナコイル接続用凹孔に導電性接着剤を充填して、ICモジュール5をICモジュール装着用凹部20に嵌め込みして、軽い熱圧をかけて装着するようにしていた。通常、開口24k,25kは、アンテナ接続用端子板24,25自体の面積よりは、僅かに広い形状に打ち抜きするが、周囲に0.5〜2mm程度の隙間がほぼ均等に形成されるようにするもので、導電性接着剤が流動する影響を考慮した特別の工夫はされていなかった。
【0023】
このような開口24k,25kによる装着方法では、熱圧時に押圧された余分量の導電性接着剤が、過剰の場合はカード表面まであふれ出たりし、それほど過剰でない場合は、接着シート2のカード基体10側、あるいはモジュール基板8側に周り込んで、ICモジュール5のカード基体10に対する接着強度を低下させる問題を生じていた。
なお、導電性接着剤は、アンテナコイル接続用凹孔の容積を算出して適量を注入するようにするが、少ない場合は導電性が得られないので、公差を見込んで注入する場合は過剰傾向になるのが通常である。
【0024】
次に、本発明のデュアルインターフェースICカードとその製造方法を説明する。
図1は、本発明でICモジュールに接着シートを貼り付けした前後の背面図であって、図1(A)はICモジュール5自体の背面図、(C)は同断面図、(B)はICモジュールに接着シート2を貼り付けした後の背面図、(D)は同断面図、である。なお、ICモジュール5自体は図6のものと同一であり、(A)の背面図は共通図形となる。
【0025】
図1(B)のように、ICモジュール5の背面には接着シート2がラミネートされる。図1(B)の斜めハッチングを施した部分が接着シート2のラミネートされた領域であり、アンテナ接続用端子板24,25を含み、樹脂モールド部7の側面部に至る部分に矩形状の開口24k,25kが形成されているのが判る。矩形状の開口24k,25kは、アンテナ接続用端子板24,25の周囲に形成される間隙が、内側のICモジュールの樹脂モールド部7側が外側に比較し、広幅になるように形成されている特徴がある。広幅になる程度は、図6の従来式に比べて、1mm〜5mm以内の幅(図1(D)のSの幅)となるようにする。これを間隙面積にすると、内側のS部が外側のs部に対比して、20%から100%増大した面積を有することになる。このような開口24k,25kを設けた接着シートによる装着方法であれば、熱圧時に押圧された余分量の導電性接着剤が広幅の間隙側(S側)に流れ込むので、多少過剰であってもカード表面にあふれ出たり、接着シート2のいずれかの面側に周り込んで、ICモジュール5のカード基体10に対する接着強度を低下させる問題を生じない。
【0026】
図2は、同他の例の背面図である。図2(A)はICモジュール5自体の背面図、図2(B)はICモジュールに接着シート2を貼り付けした後の背面図である。断面図は省略している。図2の例では、開口24k,25kは長円形状であるが、アンテナ接続用端子板24,25の周囲に形成される間隙が、内側のICモジュールの樹脂モールド部7側がICモジュール5の外側に比較し、広幅になるように形成されている特徴がある。広幅になる程度は、図1の場合と同程度にできる。間隙が形成する面積の関係も図1の場合と同様になる。前記開口24k,25kは、ICモジュールの外側からICモジュール中心に向う長さ方向を有する長円形状であって、アンテナ接続用端子板24,25の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口の中心が位置するように形成されている。中心とは開口の重力中心と考えて良い。前記矩形状開口の場合も同様である。
【0027】
図3、図4は、さらに他の例の背面図である。それぞれ図(A)は、ICモジュール5自体の背面図、図(B)は、ICモジュールに接着シート2を貼り付けした後の背面図である。断面図は省略している。図3(B)の例は、開口24k,25kがICモジュールの外側からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り部を有する矩形状であって、さらに追加した液溜まり用の先細り形状の2等辺三角形の間隙24t,25tを内側に付加して設けている特徴がある。ICモジュールの樹脂モールド部側に開口の中心(重力中心)が位置するように形成されているのは、図1、図2の場合と同様である。
【0028】
図4(B)の場合、開口24k,25kがICモジュールの外側からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り部を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されている。先細り部を有する矩形状とは、矩形状開口24k,25kの樹脂モールド部側に、さらに追加した液溜まり用開口の先細り部24s,25sを有する形状である。これらの開口は打ち抜きにより行うので加工が困難になることはない。
図4の場合も、アンテナ接続用端子板24,25の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口24k,25kの中心(重力中心)が位置するように形成されていると解することができる。
【0029】
接着シート2には、ホットメルト性の接着シートを使用する。通常は、熱可塑性のポリエステル、ポリウレタンの混合タイプのものを使用することが多いが、ポリウレタンの代りにエポキシ樹脂を混合したものも使用できる。硬化剤を含ませ、接着後は熱可塑性を示さないようにしてもよい。
【0030】
デュアルインターフェースICカードの製造は、接触・非接触式ICモジュールの製造段階とICカードの製造段階からなるので、以下、製造段階毎に順次説明する。
<ICモジュールの準備>
(1)ICモジュール(COTまたはCOB)のベースとなる基板(通常、ガラスエポキシ基材(t70〜160μm程度、通常t120μm)8の所定位置に、ワイヤを貫通接続させるためのワイヤボンディングパッド用穴(貫通穴)を開ける。
(2)上記基板両面に銅箔(t15〜100μm程度、通常t35μm)を接着剤を介して貼り込みし、表裏共に所定パターンをエッチング技術により形成する。表側には接触式用途の端子板9面を、裏面にはアンテナ接続用端子板(2箇所または複数箇所)および当該接続用端子板とICチップ3を電気的につなげるためのリード(このリードとチップのパッド間をワイヤ接続する。)を形成する。さらに、酸化防止、耐久性向上のため、t1〜5μm程度のニッケルメッキとt0.1〜5μm程度の金めっきを銅箔面に施す。
(3)基板裏面に接触・非接触兼用ICチップ3を接着剤(ダイボンダー)4を介して搭載し、高温状態にして接着剤を硬化させる。
【0031】
(4)ついで、基板裏面に形成されたワイヤボンディングパッドにワイヤ接続することで、ICチップ3と接触端子板の導通を図る。また、裏面上のアンテナ接続用端子板から引き回されたリード(銅箔)上に、同じくワイヤ接続することで、ICチップ3とアンテナ接続用端子板間の導通を図る。これには直径25μm程度の金ワイヤを使用する。
(5)ICチップおよびワイヤ接続部保護のため、樹脂による封止を行う。封止方法は、トランスファーモールド方式やポッティング方式、印刷方式が採用される。
(6)ICモジュール5の背面に接着シート2を熱ラミネートする。この接着シート2には、熱可塑性または熱硬化性、あるいは双方の性質を兼備したホットメルト性接着シートを使用する。接着シート2がアンテナ接続領域を塞がないように開口24k,25kを設けた形状で打ち抜きし、ICモジュールの第1凹部接触面と樹脂モールド部7に、熱圧を加えてラミネートする。通常は、アンテナ接続用端子板領域として位置ずれを考慮した最小限の寸法(通常、アンテナ接続用端子板の周囲に0.5〜2mmの隙間ができる程度)で穴開けするが、本発明方法では、当該開口24k,25kの形状を、少なくとも樹脂モールド部の一部が開口面に覗く程度に開口の中心位置を樹脂モールド部側に広げて穴を開ける特徴がある。
(7)表面の接触端子板および裏面のアンテナ接続用端子板24,25にプロービングして、所定の検査を行い良品選別する。
【0032】
<ICカード基体の製造>
次に、予めアンテナコイルが内蔵されたICカード基体を製造する。
(1)白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに銅箔をラミネートした基材に、所定のアンテナパターンをエッチングしてアンテナシートを製造する。アンテナコイル11の両端部は、ICモジュール装着用凹部を掘削した際の、第1凹部のアンテナコイル接続用凹孔位置下になるようにする。
(2)アンテナシートと同等厚みの白色PETシートを接着シートを介してラミネートする。白色基材はカードのコアとなる材料であり、厚み360μm程度のものを使用する。
さらにその両面にオーバーシートとなる透明PETシートを接着シートを介してラミネートし、カードサイズに断裁してICカード基体10を完成する。
(3)ICカード基体10のICモジュール装着位置にICモジュール装着用凹部をざぐり掘削する。ICモジュール装着用凹部は、ICモジュールの基板部分を懸架する第1凹部と、第1凹部の内部であって、ICモジュールの樹脂モールド部7を納める第2凹部とからなるように掘削する。前記アンテナの両端部は、第1凹部の下側に位置するようにされているので、当該部分をさらに掘削してアンテナコイル接続用凹孔とし、前記アンテナコイルの両端部を露出させる。
【0033】
<ICモジュールの装着>
(1)カード基体10側のざぐり加工により露出した、アンテナ端部に導電性接着剤(銀粒子含有のエポキシ樹脂)を塗布する。
(2)接着シート2をラミネートした上記接触・非接触兼用ICモジュール5を取り付け、所定時間の熱圧をかけることにより、ICモジュール5のカード基体10への接着とICモジュール5のアンテナ接続用端子板24,25とカード側のアンテナ端部間の電気的接合の両方を行う。
【0034】
図7は、ICモジュール装着用凹部の平面図を示している。ICモジュール装着用凹部20は、ICモジュールの端子板を載置する第1凹部21とその内側をさらに深く掘削した第2凹部22とから構成されている。第1凹部21は略矩形環状の形状になる。
図7において、第1凹部21面には、2つの矩形状のアンテナコイル接続用凹孔15,16が掘削されている。凹孔の深さは300μmから400μm程度のものである。
図7では図示していないが、当該アンテナコイル接続用凹孔15,16内底面には、カード基体10に埋設したアンテナ端部111,112(図5参照)が露出する状態にされる。当該アンテナコイル接続用凹孔15,16を通じて、ICモジュール5のアンテナ接続用端子板24,25とカード基体内のアンテナコイル11を接続するものである。
【0035】
図5は、ICモジュール装着用凹部20に接触・非接触兼用ICモジュール5を装着した後の断面図である。アンテナコイル接続用凹孔15,16の中心を横断する断面を示している。アンテナコイル接続用凹孔15,16内には、導電性ペーストやはんだ等の導電性接着剤6を充填してから接触・非接触兼用ICモジュール5を装填する。これにより、接触・非接触兼用ICモジュール5側のアンテナ接続用端子板24,25とICカード基体内のアンテナ端部111,112とを電気的に導通させる。ICモジュール基板8の他の部分を固定するためには非導電性の接着シート2を使用する。
【0036】
このようなデュアルインターフェースICカードの製造は、接着シート2の形状以外のその他の点においては従来例と同様であり、前述のように、アンテナコイル11とアンテナ端部111,112を形成したアンテナシート101を準備した後、コアシートとオーバーシートを積層して熱圧をかけて一体のカード基体10にする。カード基材が塩化ビニールと違って熱融着性でない材料の場合は、接着剤や接着シートを併用するものであってもよい。これらの工程は多面付けの大判工程で行い、ICモジュールの装着は、個々のカードサイズに打ち抜いた後に行う。以下、具体的な実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0037】
<ICモジュールの準備>
接触・非接触兼用ICモジュール5用の基板8として、厚み120μmのガラスエポキシ材料に厚み35μmの表面側銅箔と厚み35μmの背面側銅箔を接着剤を介して貼り合わせしたものを使用した。なお、ガラスエポキシ材料には、ワイヤボンディング基板側パッド用穴(径0.6mm程度)を予め必要個数穿孔したものを使用した。
この基板8に対して、表面側接触端子板群(C1〜C8)と、背面側アンテナ接続用端子板24,25、リード24L,25Lをフォトエッチング工程で形成した。端子板全体の大きさは13.0mm×11.8mmとし、アンテナ接続用端子板24,25のサイズは、3.0mm×2.0mmになるようにした。レジスト剥離後、残存する銅箔層を電極として、表面側端子群と背面側のアンテナ接続用端子板24,25、およびリード部に対してニッケルメッキ及び金めっき処理を行った。
【0038】
デュアルインターフェースICカード用の接触・非接触兼用ICチップ3をエポキシ系ダイ接着剤4により基板8にダイボンディングし、ICチップ3の各接続端子(パッド)と各ワイヤボンディング基板側パッド(穴部)26間およびリード24L,25L間のワイヤボンディングを行った。最後に、ICチップ3、ボンディングワイヤ27部分を樹脂モールドし、デュアルインターフェースICカード用ICモジュール5を完成した。
【0039】
ICモジュール5の背面に接着シート2を熱ラミネートした。この接着シート2には、厚み50μmのポリエステル樹脂系ホットメルト性接着シートを使用した。接着シート2がアンテナ接続領域を塞がないように開口24k,25kを、4.0mm×7.0mmの矩形状に打ち抜きし、ICモジュール5の第1凹部接触面と樹脂モールド部7に、熱圧を加えてラミネートした。その際、アンテナ接続用端子板24,25が接着シート2により覆われないように、図1(B)のように、外側の辺を中央に含む3辺周囲に0.5mmの間隙ができるようにし、内側は樹脂モールド部7の側面に向けて、幅4.5mmの矩形状の間隙(液溜まり部)ができるようにした。
【0040】
<ICカード基体の製造>
アンテナシートとなるコアシートとして、厚み360μmの白色PETシートを用いた。このコアシートに厚み25μmの銅箔をラミネートしてから、所定のアンテナパターンを有するフォトマスクを介して露光し、フォトエッチングして、アンテナコイル11とアンテナ端部111,112を形成した。当該両端部111,112は、ICモジュール装着用凹部20を掘削した場合の第1凹部21の下面に位置するようにした。
【0041】
このアンテナシートに対して、厚み360μmの白色PETシートからなる他の1枚のコアシートをアンテナコイル11が内面になるように密着し、その両側に厚み50μmの透明PETシートをオーバーシートとして積層し、いずれもホットメルト性接着シートを介し、熱圧をかけて一体のカード基体10にした。プレス後は、多少圧縮されるので、カード基体10の全体厚みは、800μm〜810μm程度となった。この状態で、アンテナコイル11の銅箔は、カード基体10の表面から、345μmから455μm程度の深さに位置することになる。
【0042】
<ICモジュールの装着>
ICモジュール装着用凹部20の第1凹部21が、大きさ13.0mm×11.8mm、深さ190μmとなるようにエンドミルを用いて掘削し、その中心部分に第2凹部22を、大きさ8.7mm×8.4mmで、樹脂モールド部7が納まる深さに掘削した。
次いで、第1凹部21面のアンテナ端部111,112位置に、アンテナコイル接続用凹孔15,16を掘削して銅箔面が露出するようにした。アンテナコイル接続用凹孔15,16の大きさは、図7のように、コーナーR0.5mmの3.25×2.25mmの矩形状になるように掘削した。
【0043】
導電性接着剤として、導電性ペースト(パナソニックファクトリーソリューションズ製「LAC300D」)を使用し、アンテナコイル接続用凹孔15,16内に塗布してから、接触・非接触兼用ICモジュール5を、ICモジュール装着用凹部20に熱圧をかけて固定した。以上の実施例のデュアルインターフェースICカードを100枚試作した。
(比較例)
【0044】
比較例のデュアルインターフェースICカードは、実施例と同一の仕様で、同一条件で製造したが、接着シート2の開口24k,25kの形状のみを、4.0mm×3.0mmの矩形状とし、アンテナ接続用端子板24,25の周囲に0.5mmの間隙ができるようにラミネートした。その他の条件は、導電ペースト塗布量を除き実施例と全く同一の条件とした。この比較例のデュアルインターフェースICカードを100枚試作した。
【0045】
実施例と比較例のデュアルインターフェースICカードの各100枚について、耐久性の比較試験を行った。なお、比較例では、実施例と同じ導電ペースト塗布量ではモジュール外側へのペーストのはみ出しが多発し、外観不良となるため塗布量を実施例の80%に少なくすることで試験を行った。試験は、ISO7816−1に基づく「曲げ試験(合計1000回の動的曲げ試験)」を行った。
その結果、比較例では、100枚中2枚のICモジュールの剥離が生じたが、実施例では、全数剥離を生じることは無かった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】デュアルインターフェースICカードのICモジュールに接着シートを貼り付けした後の背面図である。
【図2】同他の例の背面図である。
【図3】同他の例の背面図である。
【図4】同他の例の背面図である。
【図5】ICモジュール装着用凹部にICモジュールを装着後の断面図である。
【図6】従来のICモジュールの背面図である。
【図7】ICモジュール装着用凹部の平面図である。
【図8】デュアルインターフェースICカードの平面外観図である。
【図9】接触・非接触兼用ICモジュールを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 デュアルインターフェースICカード
2 接着シート
3 ICチップ
4 接着剤
5 接触・非接触兼用ICモジュール
6 導電性接着剤
7 樹脂モールド部
8 基板
9 接触端子板
10 カード基体
11 アンテナコイル
111 アンテナ端部
112 アンテナ端部
15,16 アンテナコイル接続用凹孔
20 ICモジュール装着用凹部
21 第1凹部
22 第2凹部
24,25 アンテナ接続用端子板
26 ワイヤボンディング基板側パッド
27 ボンディングワイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触・非接触兼用ICモジュールを接着シートを用いて、ICカード基体に掘削したICモジュール装着用凹部に装着したデュアルインターフェースICカードであって、前記接触・非接触兼用ICモジュールはICモジュール装着用凹部の第1凹部面に面する2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有し、前記接着シートには、当該アンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口が形成され、当該開口内でアンテナ接続用端子板がカード基体内のアンテナに導電性接着剤で接続している場合において、前記間隙は内側のICモジュールの樹脂モールド部側面に導電性接着剤の液溜まりを作るように、外側に対するよりも広幅に形成されていることを特徴とするデュアルインターフェースICカード。
【請求項2】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルインターフェースICカード。
【請求項3】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する長円形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルインターフェースICカード。
【請求項4】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り端部を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルインターフェースICカード。
【請求項5】
2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有する接触・非接触兼用ICモジュールのモールド樹脂面側の全面にアンテナ接続用端子板の周囲に間隙を有するように開口を形成して接着シートをラミネートしたICモジュールにおいて、前記間隙は内側のICモジュールの樹脂モールド部側がICモジュールの外側に対比して、20%から100%拡大した面積に形成されていることを特徴とする接触・非接触兼用ICモジュール。
【請求項6】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項5記載の接触・非接触兼用ICモジュール。
【請求項7】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する長円形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項5記載の接触・非接触兼用ICモジュール。
【請求項8】
前記開口がICモジュールの外縁からICモジュール中心に向う長さ方向を有する先細り端部を有する矩形状であって、アンテナ接続用端子板の中心に対して、ICモジュールの樹脂モールド部側に開口中心が位置するように形成されていることを特徴とする請求項5記載の接触・非接触兼用ICモジュール。
【請求項9】
以下の(1)の<ICモジュールの準備>工程で準備した接触・非接触兼用ICモジュールを、(2)の<ICカード基体の製造>工程で製造したICカード基体のICモジュール装着用凹部内に、(3)の<ICモジュールの装着>工程で装着することを特徴とするデュアルインターフェースICカードの製造方法。
(1)<ICモジュールの準備>
(a)表面に接触端子板を有し、背面中心部にはICチップを封止した樹脂モールド部と当該樹脂モールド部を囲む略矩形環状の平面部を有し、前記平面部に2個または2個以上のアンテナ接続用端子板を有するようにした接触・非接触兼用ICモジュールを準備する工程、
(b)上記接触・非接触兼用ICモジュールをICカード基体のICモジュール装着用凹部内に接着させる接着シートに、前記アンテナ接続用端子板を納める部分とそれに加えて樹脂モールド部側面に間隙を有する、矩形状または長円形状の開口を形成する工程、
(c)上記(b)の工程で準備した接着シートを、(a)の工程で準備した接触・非接触兼用ICモジュールに、前記開口のアンテナ接続用端子板を納める部分からアンテナ接続用端子板が露出するようにラミネートする工程、
(2)<ICカード基体の製造>
(a)アンテナコイルを埋設したICカード基体を準備し、当該ICカード基体にICモジュールのアンテナ接続用端子板を載置する第1凹部と、当該第1凹部の内側にICモジュールの樹脂モールド部を納める深さの第2凹部と、からなるICモジュール装着用凹部を掘削する工程、
(b)第1凹部面にアンテナコイル接続用凹孔をさらに掘削して、カード基体内の2箇所のアンテナコイル両端を露出させる工程、
(3)<ICモジュールの装着>
(a)導電性接着剤を前記アンテナコイル接続用凹孔に充填する工程、
(b)前記接着シートラミネート済みの接触・非接触兼用ICモジュールをICモジュール装着用凹部内に装填し、表面側端子板面から軽い熱圧をかけて、ICモジュールの端子板を接着シートによりICモジュール第1凹部面に接着固定させると共に、アンテナ接続用端子板とアンテナ両端を電気的に接続する工程、

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−176549(P2008−176549A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9147(P2007−9147)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】