説明

デリバーされた線量を評価するための方法およびシステム

放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価するシステムおよび方法(図S)。本方法は、時間ベースの一連の患者画像を生成するステップ(208)と、患者の動きを示す時間ベースの一連のデータを収集するステップ(216)と、時間ベースの一連の患者画像、および時間ベースの一連のデータに基づいて、患者にデリバーされた放射線量を評価するステップ(220)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、SYSTEM AND METHOD FOR FEEDBACK GUIDED QUALITY ASSURANCE AND ADAPTATIONS TO RADIATION THERAPY TREATMENTと題する2005年7月22日出願の米国特許仮出願第60/701580号に対する優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
過去数十年にわたり、コンピュータおよびネットワーキング、放射線療法治療計画ソフトウェア、および医用画像モダリティ(CT、MRI、US、およびPET)における改良が、放射線療法行為に組み入れられてきた。これらの改良により、画像誘導放射線治療(「IGRT:image guided radiation therapy」)の開発に至った。IGRTは、健康な器官への放射線照射を低減しつつ、放射線量をより確実に腫瘍に当てるために、患者内部の解剖学的構造の断面画像を用いる放射線療法である。腫瘍にデリバーされる放射線量は、強度変調放射線治療(「IMRT:intensity modulated radiation therapy」)を用いて制御され、これは、患者の腫瘍の寸法、形状、および位置に一致するように、放射線ビームの寸法、形状、および強度を変更することを含む。IGRTおよびIMRTは、腫瘍の制御を改善し、同時に、腫瘍を囲む健康な組織を照射することによる急性の副作用が生ずる可能性を低減する。
【0003】
IMRTは、幾つかの国で医療の標準になりつつある。しかし、多くの状況で、IMRTは、時間、資源、および請求額の制約により、患者を治療するために使用されない。IMRT計画により生成される高い勾配が患者治療のための正しい位置に位置することを保証するために、患者の日々の画像を使用することができる。更に、これらの画像は、その計画を、オンラインで、または必要な場合オフラインで適合させるための必要な情報を提供することができる。
【0004】
患者の治療過程で生ずる可能性のある不確定さおよび変化には多くの発生源があることが放射線療法の分野で一般に知られている。これらの発生源の幾つかは、毎日の患者のセットアップ位置におけるわずかな差など、ランダムなエラーを示す。他の発生源は、療法中に患者の腫瘍が退行する、または患者が体重を減らす場合に生ずる可能性のある生理学的変化に起因する。第3の可能な範疇は動きと考えられる。幾つかの動きは、患者の咳込みまたは放屁など更にランダムであり予測不能なので、動きは、他の範疇の何れとも重複する可能性があるが、呼吸動作などの他の動きは、より規則的になることも時々ある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線療法では、不確定さが、患者治療の品質に影響を与える可能性がある。例えば、ターゲット部位に治療線量をデリバーする場合、ターゲット回りの高線量「マージン」部位もまた治療することが標準の行為である。これは、治療の過程で、または単一のフラクション(fraction)中にその位置が変化した場合であっても、ターゲットが所望の線量を確実に受けられるようにする。ターゲット位置が不明確になればなるほど、一般に、使用するのに必要なマージンは大きくなる。
【0006】
適応放射線療法は、概して、将来の治療を改善するために放射線療法治療の過程でフィードバックを使用する概念を指す。フィードバックは、オフラインの適応療法プロセス、およびオンラインの適応療法プロセスで使用され得る。オフラインの適応療法プロセスは、治療フラクションの間など、患者が治療されていない間に行われる。この1つのバージョンでは、各フラクション中、患者の新しいCT画像は、各フラクションの前または後で取得される。第1の幾つかの治療フラクションから画像が取得された後、画像は評価されて、複数日にわたるターゲット構造位置の有効なエンベロープ(envelope)を決定する。次いで、標準の動きの仮定を使用するのではなく、ターゲット構造の動きの範囲をより反映させるようにして、新しい計画を作成することができる。オフラインの適応療法のより複雑なバージョンは、各フラクションの後、デリバーされた線量を再計算し、場合によっては変形技法を利用してこれらの線量を蓄積し、この蓄積中に内部の動きを調整する。蓄積された線量は、次いで、計画された線量と比較され、何らかの不一致が認められた場合、その後のフラクションは、その変化を調整するために変更され得る。
【0007】
オンライン適応療法プロセスは、一般に、患者が治療室にいる間に行われ、必ずしも必要ではないが施療中に行われることもある。例えば、幾つかの放射線療法治療システムは、オンラインCTまたはX線システムなどの撮像システムを備える。これらのシステムは、施療のための患者のセットアップを検証しまたは調整するために、治療前に使用され得る。撮像システムはまた、実際の施療中に治療を適合させるためにも使用することができる。例えば、撮像システムは、患者の解剖学的構造の変化を反映させるように施療を変更するために、場合によっては、治療と同時に使用することも可能である。
【0008】
本発明の一態様は、適応療法技法の用途の新しい機会を開示することであり、また更なる諸態様は、適応療法のための新規な方法を提示することである。具体的には、適応療法は、一般に、患者の治療を変更するためのフィードバックに焦点を当ててきたが、本発明は、品質保証の状況で使用される適応療法プロセスに焦点を当てている。これは、システム全体を検証する状況において特に当てはまる。
【0009】
例えば、検出器は、治療ビームがどのくらい患者を貫通したかを示す情報を収集するために使用することができ、それにより、治療出力の大きさ、ならびにデリバーに使用された任意の放射線パターンを決定することができる。このデリバー検証プロセスの利点は、不適切なリーフ・パターンまたはマシン出力など、マシンデリバーにおけるエラーを操作者が検出できるようになることである。
【0010】
しかし、マシンが適切に機能していることを検証することは、それ自体、治療計画の適正なデリバーを保証するものではなく、マシンをプログラムするために使用された外部入力が有効であり、かつ整合性のあることを検証することも必要になる。従って、本発明の一態様は、治療プロセス全体の改善された品質保証のために、適応型フィードバック・ループのより広い概念を含む。この態様では、本発明は、治療のために患者を配置し、画像誘導の方法を用いて患者の位置を決定するステップと、画像誘導に基づいて、治療に必要なように患者を再配置するステップと、治療を開始するステップとを含む。次いで、治療中または治療後に、患者の線量を再計算するステップと、治療前にまたは治療中に収集された患者画像情報を組み込むステップとを含む。これらの諸ステップの完了後、デリバーが、どの程度計画通り実施されたかを分析するだけではなく、計画されたデリバーが、新しく利用可能なデータに即して妥当であるかを検証するために、品質保証データが収集される。この点に関して、フィードバックの概念は、患者またはデリバーの変化に基づいて、治療に対する変更を指示するためには、もはや使用されず、元のデリバーそれ自体を検証するために使用される。
【0011】
一例として、ある患者に対する治療計画を作成できるかもしれないが、計画に使用された画像が、正しくない密度の較正を適用することによるなど、壊れている可能性がある。この場合、治療計画は正しくない情報に基づいており、患者に正しい線量をデリバーしないかもしれない。更に、多くの品質保証技法は、マシンに対する命令が正しい入力情報に基づいているかどうかを検査するのではなく、マシンが命令通り動作していることを検証するので、このエラーは検出されないことになる。同様に、幾つかの適応療法技法を、このデリバーに適用することができるが、この例の較正問題が残存する場合、その適応治療は、同様な欠陥を生ずるはずである。
【0012】
品質保証目的のために、フィードバックの使用を拡張するように使用され得る幾つかのプロセスがある。例えば、一実施形態では、このプロセスは、上述のデリバー検証技法を含むはずである。これらの方法が提供するマシン性能の妥当性検査は、システム全体の品質保証ツール・セットの価値のある構成要素である。更に、デリバーの妥当性検査プロセスは、一部が欠けた視野を有する画像に基づくデリバーなど、他のシステム・エラーを分析するように拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、本発明は、放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法を提供する。本方法は、時間ベースの一連の患者画像を生成するステップと、患者の動きを示す時間ベースの一連のデータを収集するステップと、時間ベースの一連の患者画像、および時間ベースの一連のデータに基づいて、患者にデリバーされた放射線量を評価するステップとを含む。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、患者にデリバーされた放射線量を決定するためのシステムを提供する。システムは、患者に治療計画をデリバーするように動作可能な、コンピュータ・プロセッサを含む放射線療法治療デバイスと、コンピュータ・プロセッサによりアクセス可能なコンピュータ可読媒体に記憶されるソフトウェア・プログラムとを備える。ソフトウェア・プログラムは、時間ベースの一連の患者画像を受け取り、患者の動きを示す時間ベースの一連のデータを入力し、更に時間ベースの一連の患者画像および時間ベースの一連のデータに基づいて、患者にデリバーされた放射線量を評価するように動作可能である。
【0015】
更に他の実施形態では、本発明は、放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法を提供する。本方法は、患者に対する治療計画を生成するステップと、その治療計画に従って放射線療法治療を開始するステップと、放射線療法治療を施している間に患者の4DCT画像を生成するステップと、4DCT画像のそれぞれに対して放射線量を計算するステップとを含む。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法を提供する。本方法は、患者に対して、参照画像を含む治療計画を生成するステップと、放射線療法治療システム上に配置された撮像デバイスから4DCT画像を取得するステップと、変形を用いて、4DCT画像に参照画像を関連付けるステップと、その結果得られた4DCT画像に対する放射線量を計算するステップとを含む。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、患者にデリバーすべき放射線量を評価する方法を提供する。本発明は、時間ベースの一連の患者画像を生成するステップと、患者の動きを示すシミュレートされた時間ベースの一連のデータを取得するステップと、時間ベースの一連の患者画像、およびシミュレートされた時間ベースの一連のデータに基づいて、患者にデリバーされるはずの放射線量を評価するステップとを含む。
【0018】
本発明の他の諸態様は、詳細な説明および添付の図面を検討することにより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の任意の諸実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、その用途において、以下の説明で述べられたまたは以下の図面で例示されたコンポーネントの構成および配置の細部に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の諸実施形態も可能であり、様々な方法で実施され、または実行され得る。更に、本明細書で使用される表現法および用語は説明のためであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。「含む(including)」、「含む/備える(comprising)」、または「有する(having)」、およびその変形を本明細書で使用する場合は、その後にリストされる項目およびその均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。他の形で指定されまたは限定されない限り、用語「設置される/取り付けられる(mounted)」、「接続される」、「支持される」、および「結合される」、ならびにその変形は、広く使用され、かつ直接的、間接的に、設置/取付け、接続、支持、および結合することを包含する。更に、「接続される」、および「結合される」は、物理的または機械的な接続もしくは結合に限定されない。
【0020】
上側、下側、下方向、上方向、後方向、底部、前方、後方など、方向の参照は、図面の説明において本明細書で行われ得るが、これらの参照は、便宜上、図面に対して(普通に眺めたときに)行われる。これらの方向は、本発明を、どんな形であれ、文字通り取られることをまたは限定することを意図していない。更に、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、説明のために本明細書で使用されており、相対的な重要性または意義を指示または暗示することを意図していない。
【0021】
更に、本発明の諸実施形態は、議論のためにコンポーネントの大多数がハードウェア中に単独で実装されるかのように例示されかつ述べられている、ハードウェア、ソフトウェアと、電子コンポーネントもしくはモジュールとを共に含むことを理解されたい。しかし、当業者であれば、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子ベースの諸態様がソフトウェアで実装され得ることを理解するはずである。従って、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造的コンポーネントが、本発明を実装するために使用され得ることに留意されたい。更に、続く段落で述べるように、図面で示された特定の機械的な構成は、本発明の諸実施形態を例示するものであり、他の代替の機械的な構成も可能であることが意図される。
【0022】
図1は、患者14に放射線療法を提供できる放射線療法治療システム10を示す。放射線療法治療は、光子ベースの放射線療法、近接照射療法、電子ビーム療法、陽子、中性子、または粒子線療法、あるいは他のタイプの治療療法を含むことができる。放射線療法治療システム10は、ガントリ18を含む。ガントリ18は、放射線源24、および放射線のビーム30を生成するように動作可能な線形加速器26を含むことのできる放射線モジュール22を支持することができる。図面で示されたガントリ18は、リング・ガントリ、即ち、完全に360度まで延びて完全なリングまたは円を生み出すガントリであるが、他のタイプの取付け構成もまた、使用することができる。例えば、Cタイプ、部分的なリング・ガントリ、またはロボット的なアームを使用することもできる。患者14に対して、様々な回転位置および/または軸方向位置で、放射線モジュール22を配置することのできる他の任意のフレームワークをまた使用することができる。更に、放射線源24は、ガントリ18の形状に追従しない経路を移動することができる。例えば、放射線源24は、例示のガントリ18は概して円形形状であっても、非円形の経路を移動することができる。
【0023】
放射線モジュール22はまた、放射線ビーム30を変更し、または変調するように動作可能な変調デバイス34を含むことができる。変調デバイス34は、放射線ビーム30の変調を行い、また放射線ビーム30を患者14の方向へ送る。具体的には放射線ビーム34は、患者の一部分の方向に送られる。広く言えば、その部分は体全体を含むことができるが、概して、体全体よりは小さく、2次元面積および/または3次元体積により定義され得る。ターゲット38またはターゲット部位と呼ばれ得る放射線を受けることが望ましい部分は、関心領域の一例である。他の関心領域は、危険部位(region at risk)である。ある部分が、危険部位を含む場合、放射線ビームは、危険部位から逸らされることが好ましい。患者14は、放射線療法を受ける必要のある、1を超えるターゲット部位を有する可能性がある。このような変調は、時々、強度変調放射線治療(「IMRT」)と呼ばれる。
【0024】
変調デバイス34は、図2に示すようにコリメーション・デバイス42含むことができる。コリメーション・デバイス42は、放射線ビーム30が通過できる開口部50の寸法を画定し、調整する1組のジョー(jaw)46を含む。ジョー46は、上側ジョー54および下側ジョー58を含む。上側ジョー54および下側ジョー58は、開口部50の寸法を調整するように移動可能である。
【0025】
一実施形態では、また図2に示すように、変調デバイス34は、強度変調を提供するために、位置を次々に移動するように動作可能な複数の組み合わされたリーフ66を含むマルチリーフ・コリメータ62を備えることができる。リーフ66は、最小の開放位置と最大の開放位置の間の何れかの位置に移動できることにも留意されたい。複数の組み合わされたリーフ66は、放射線ビーム30が患者14上のターゲット38に達する前に、放射線ビーム30の強度、寸法、および形状を変調する。各リーフ66は、放射線が通過するのを許可または妨害するためにリーフ66を迅速に開閉できるように、モータまたは空気弁などのアクチュエータ70により独立して制御される。アクチュエータ70は、コンピュータ74および/または制御装置により制御され得る。
【0026】
放射線療法治療システム10はまた、放射線ビーム30を受けるように動作可能な検出器78、例えば、キロボルトまたはメガボルトの検出器を含むことができる。線形加速器26および検出器78はまた、患者14のCT画像を生成するためのコンピュータ断層撮影(CT)システムとして動作することもできる。線形加速器26は、患者14のターゲット38に向けて、放射線ビーム30を放出する。ターゲット38は、放射線の幾らかを吸収する。検出器78は、ターゲット38により吸収された放射線の量を検出または測定する。線形加速器26が患者14の周囲を回転し、患者14に向けて放射線を放出すると、検出器78は、異なる角度からの吸収データを収集する。収集された吸収データは、その吸収データを処理するために、また患者の体組織および器官の画像を生成するためにコンピュータ74に送信される。画像はまた、骨、軟組織、および血管を示すこともできる。
【0027】
CT画像は、扇形の幾何形状、マルチスライス幾何形状、またはコーン・ビーム幾何形状を有する放射線ビーム30を用いて取得され得る。更に、CT画像は、メガボルトのエネルギー、またはキロボルトのエネルギーをデリバーする線形加速器26を用いて取得され得る。取得されたCT画像は、前に取得されたCT画像(放射線療法治療システム10から、またはCTスキャナ、MRIシステム、およびPETシステムなど、他の画像取得デバイスから)と位置合わせされ得ることに更に留意されたい。例えば、患者14に対する前に取得されたCT画像は、輪郭付けプロセスを介して作成され識別されたターゲット38を含むことができる。患者14に対して新たに取得されたCT画像は、新しいCT画像中でターゲット38を識別することを支援するために、前に取得されたCT画像とレジストレーションされ得る。レジストレーション・プロセスは、固定された(rigid)、または変形可能なレジストレーション・ツールを使用することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、放射線療法治療システム10は、X線源およびCT画像検出器を含むことができる。X線源およびCT画像検出器は、画像データを取得するための上記で述べられた線形加速器26および検出器78と同様な方法で動作する。画像データは、コンピュータ74に送信され、患者の体組織および器官の画像を生成するために処理される。
【0029】
放射線療法治療システム10はまた、患者14を支持する治療台82(図1に示された)など、患者サポートを含むことができる。治療台82は、x、y、またはz方向の少なくとも1軸84に沿って移動する。本発明の他の諸実施形態では、患者サポートは、患者の体の任意の部分を支持するように適合されたデバイスとすることができる。患者サポートは、患者の体全体を支持する必要のあるものに限定されない。システム10はまた、治療台82の位置を操作するように動作可能な駆動システム86を含むことができる。駆動システム86は、コンピュータ74により制御することができる。
【0030】
図2、図3に示すコンピュータ74は、様々なソフトウェア・プログラムおよび/または通信アプリケーションを動作させるためのオペレーティング・システムを含む。特に、コンピュータ74は、放射線療法治療システム10と通信するように動作するソフトウェア・プログラム(1つまたは複数)90を含むことができる。ソフトウェア・プログラム(1つまたは複数)90は、外部のソフトウェア・プログラムおよびハードウェアからデータを受信するように動作可能であり、またデータを、ソフトウェア・プログラム(1つまたは複数)90に入力できることに留意されたい。
【0031】
コンピュータ74は、医療従事者によりアクセスされるように適合された任意の適切な入力/出力デバイスを含むことができる。コンピュータ74は、プロセッサ、入出力インターフェース、および記憶デバイスもしくはメモリなどの典型的なハードウェアを含むことができる。コンピュータ74はまた、キーボードおよびマウスなどの入力デバイスを含むことができる。コンピュータ74は更に、モニタなどの標準の出力デバイスを含むことができる。更に、コンピュータ74は、プリンタおよびスキャナなどの周辺装置を含むことができる。
【0032】
コンピュータ74は、他のコンピュータ74および放射線療法治療システム10とネットワーク化され得る。他のコンピュータ74は、追加のかつ/または異なるコンピュータ・プログラムおよびソフトウェアを含むことができ、本明細書で述べられたコンピュータ74と同一である必要はない。コンピュータ74および放射線療法治療システム10は、ネットワーク94と通信することができる。コンピュータ74および放射線療法治療システム10はまた、データベース(1つまたは複数)98およびサーバ(1つまたは複数)102と通信することができる。ソフトウェア・プログラム(1つまたは複数)90はまた、サーバ(1つまたは複数)102上に常駐できることに留意されたい。
【0033】
ネットワーク94は、任意のネットワーキング技術もしくはトポロジ、またはそれらの組合せに従って構築することができ、また複数のサブネットワークを含むことができる。図3に示すコンピュータと諸システム間の接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、公衆電話交換網(「PSTN」)、無線ネットワーク、イントラネット、インターネット、または他の適切な任意のネットワークを介して行うことができる。病院または医療介護施設では、図3に示すコンピュータと諸システムの間の通信は、ヘルス・レベル・セブン(「HL7:Health Level Seven」)プロトコル、または任意のバージョンを有する他のプロトコル、および/または他の必要なプロトコルを介して行うことができる。HL7は、健康管理環境で電子データを交換するための異なるベンダからの2つのコンピュータ・アプリケーション(送信側と受信側)の間のインターフェースの実装形態を指定する標準プロトコルである。HL7により、健康管理施設は、異なるアプリケーション・システムからの重要なデータ・セットを交換できるようになる。具体的には、HL7は、交換されるデータ、相互に交換するタイミング、およびアプリケーションに対するエラーの通信を定義することができる。そのフォーマットは、概して包括的な性質のものであり、行われるアプリケーションの必要性を満たすように構成することができる。
【0034】
図3に示すコンピュータと諸システムの間の通信はまた、任意のバージョンを有する医用画像通信規格(「DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine」)プロトコル、および/または他の必要なプロトコルを介して行うことができる。DICOMは、NEMAにより開発された国際的な通信規格であり、医用機器の異なる部分間で医用画像に関連したデータを転送するのに使用されるフォーマットを定義する。DICOM RTは、放射線療法データに特有の標準を示す。
【0035】
図3の両方向の矢印は、概して、ネットワーク94と、図3に示すコンピュータ74およびシステム10の何れか1つとの間の両方向通信および情報転送を表す。しかし、何らかの医療用でコンピュータ化された機器の場合、1方向だけの通信および情報転送が必要とされる場合がある。
【0036】
図4は、ソフトウェア・プログラム90の概略図である。ソフトウェア・プログラム90は、放射線療法治療プロセスの機能を実施するために互いに通信する複数のモジュールを含む。
【0037】
ソフトウェア・プログラム90は、医療従事者によるシステム10へのデータ入力に基づいて、患者14に対する治療計画を生成するように動作可能な治療計画モジュール106を含む。データは、患者14の少なくとも一部分の1つまたは複数の画像(例えば、計画画像および/または治療前の画像)を含む。治療計画モジュール106は、治療を複数のフラクションに分離し、医療従事者により入力された処方に基づいて、各フラクションまたは治療に対する放射線量を決定する。治療計画モジュール106はまた、ターゲット38の周囲に描かれた様々な輪郭に基づいて、ターゲット38に対する放射線量を決定する。複数のターゲット38が同じ治療計画中に存在し、かつ含まれてもよい。
【0038】
ソフトウェア・プログラム90はまた、特定の治療フラクションに対して、ガントリ18の等角点に対して患者14を配置し、位置合わせするように動作可能な患者配置モジュール110を含む。患者が患者サポート82上にある間に、患者配置モジュール110は患者14の画像を取得し、患者14の現在の位置を参照画像中の患者の位置と比較する。参照画像は、計画画像、治療前画像、または計画画像と治療前画像との組合せとすることができる。患者の位置を調整する必要のある場合、患者配置モジュール110は、患者サポート82を移動するように駆動システム86に命令を行い、または患者14を手動で新しい位置に移動することができる。一構成では、患者配置モジュール110は、ガントリ18の等角点に関する患者位置データを提供するように、治療室に配置されたレーザからデータを受け取ることができる。そのレーザからのデータに基づいて、患者配置モジュール110は、駆動システム86に命令を行い、駆動システム86は、治療台82を移動し、ガントリ18に関して患者14の適正な位置合わせを達成する。レーザ以外のデバイスおよびシステムが、位置合わせプロセスを支援するために、患者配置モジュール110にデータを提供するように使用され得ることに留意されたい。
【0039】
患者配置モジュール110はまた、治療中の患者の動きを検出しかつ/またはモニタするように動作可能である。患者配置モジュール110は、X線、室内CT、レーザ配置デバイス、カメラ・システム、肺活量計、超音波、張力測定、胸部バンドなどの動き検出システム114と通信し、かつ/またはそれを組み込むことができる。患者の動きは、不規則であり、あるいは予測できない可能性があり、スムーズなまたは再生可能な経路に従う必要はない。
【0040】
ソフトウェア・プログラム90は、少なくとも患者14の一部分の画像を取得するように動作可能な画像モジュール118を含むことができる。画像モジュール118は、所望のプロトコルに従って、治療を開始する前に、治療中に、また治療後に患者14の画像を取得するために、CT撮像デバイスなどの組み込まれた画像デバイスに命令することができる。他のオフラインの撮像デバイスまたはシステムは、非定量的なCT、MRI、PET、SPECT、超音波、透過撮像、X線透視法、高周波ベースの定位(localization)など、患者14の治療前の画像を取得するために使用され得る。取得された治療前の画像(1つまたは複数)は、患者14のレジストレーションのために、かつ/または1つまたは複数の計画画像と、1つまたは複数の治療前の画像との差を識別するための変形マップを生成するために使用され得る。
【0041】
取得された画像はまた、患者14のレジストレーションのために、かつ/または患者14にデリバーすべき放射線量を決定し、または予測するために使用され得る。取得された画像はまた、患者14が前の治療中に受けた放射線量を判定するために使用することもできる。画像モジュール118はまた、実時間で患者14が受けている放射線量を判定するために、患者が治療を受けながら、患者14の少なくとも一部分の画像を取得するように動作可能である。
【0042】
ソフトウェア・プログラム90はまた、患者14にデリバーされた放射線量を計算するように動作可能な放射線量計算モジュール122を含む。線量計算モジュール122は、処方された放射線量のデリバーに対して患者の位置および/または動きが有する影響を決定することができる。線量計算モジュール122は、患者14にデリバーされた放射線照射量を計算することができ、あるいは様々なタイプの計画に基づいて、患者14にデリバーする予定の放射線の量を計算することができる。線量計算モジュール122は、任意の計画に基づいて、その計画の任意の瞬間における放射線照射量を計算することができる。例えば、計画は、医療従事者が、治療を施すためにどの計画を使用すべきかを決定するために線量選択肢を検討する将来計画とすることができるが、あるいは医療従事者が、計画に変更を加える必要があるかどうか、または別の計画(1つまたは複数)を将来の施療のために検討すべきかどうかを決定するために、患者14にデリバーされた線量およびその効果を再検討する遡及的な計画とすることができる。計画のタイプは、これだけに限らないが、4D、自由呼吸、トラッキング、3D、IMRT、ゲーティング(gating)、息止め、および呼吸に同期させたデリバーを含むことができる。「4D CT」画像は、呼吸動作など、動きパターンの「フェーズ」をそれぞれが表す3D画像ボリュームの集合体である。線量計算モジュール122は、これらのボリュームの1つに対して、より正確に線量の再計算をすることができる。
【0043】
線量計算モジュール122は、患者データ(実時間および履歴の)、患者画像(例えば、計画画像および/または治療前の画像)患者位置データ、解剖学的構造の位置データ、およびシステムもしくはマシン・データを受け取るように動作可能である。線量計算モジュール122は、患者が所与の任意の時間に存在したフェーズを特定するために、動き検出システム114からのデータを用いることにより、また患者の瞬間的な位置に最もよくマッチする4D CT画像のフェーズにおける各時間に対して放射線量を再計算することにより、患者14にデリバーされた放射線照射量を決定することができる。別の言い方をすれば、線量計算モジュール122は、患者の動きデータを画像データと相互に関連付け、デリバーされた線量を計算する。デリバーされた線量は、フェーズごとに計算することができるが、あるいはすべてのフェーズでデリバーされた累積的な線量として計算することができる。患者が実際に受けている放射線照射量を更によく理解することに基づいて、医療従事者は、治療計画、治療中の患者位置/レジストレーション、線量、線量配分、ならびに他のパラメータおよびシステム設定に対して調整を行うことができる。線量計算はまた、更新された4D CT画像に対して、ならびに治療前に、または治療中に取得された4D PETまたは4D MRIなど他のタイプの4D画像に対して実施することもできる。
【0044】
線量計算モジュール122は、放射線量が患者14に対して有する生物学的効果に関連する情報を医療従事者に提供することができる。線量計算モジュール122は、患者14が受けた放射線照射量に基づいて、かつ/または患者のレジストレーションに基づいて、組織、腫瘍、および器官に対する放射線の生物学的効果を決定することができる。生物学的効果に基づいて、医療従事者は、患者14、システム設定を調整し、または治療計画中の他の調整を行うことができる。生物学的情報は、好ましい生物学的効果を有するデリバー線量となる患者14に対する好ましい位置を特定するために、患者のレジストレーション・プロセス中に組み込むことができる。
【0045】
線量計算モジュール122は、実際にデリバーされた放射線量、およびデリバーされた放射線量の生物学的効果に関連するデータを利用し、臨床的な放射線量を患者効果に関連付ける生物学的モデルを適用することができる。デリバーされた正味の放射線量(変形技法を用いた放射線量の蓄積)は、連続する治療から得られるはずの生物学的効果を推定するために使用することができ、同様に、治療を適合させるための可能な代替形態が、好ましい生物学的効果に対して評価され得る。その結果得られるフラクション化スケジュール、線量配分、および計画は、この情報の累積を反映させるように変更され、かつ/または更新され得る。
【0046】
ソフトウェア・プログラム90はまた、画像の変形マップを生成するために、画像モジュール118および治療計画モジュール106からの画像データ、ならびに治療計画モジュール106からの他の患者およびシステム・データなどのデータを受け取るように動作可能な変形モジュール126を含むことができる。変形モジュール126は、施された治療のすべてに対する放射線量の蓄積を決定するために、変形技法を使用することができる。
【0047】
変形マップは、線量計算を目的として、複数の画像を関連付けるために使用され得る。例えば、変形マップは、線量計算に有用である計画画像と、定性的な価値を有するが線量計算には直接的な有用性が低いオンライン画像とを関連付けることができる。この関係は、次いで、より定量的な画像を、オンラインの定性的形状に、またはより定量性の低い画像に「再マップする」ために使用することもできる。その結果得られた再マップ画像は、第1の画像の定量的な利点を有するが、第2の画像中に含まれている更新された解剖学的情報も有しているので、線量計算または定量的な用途のためには、計画画像またはオンライン画像の何れかよりも、更に適切であるはずである。これは、第1の画像(例えば、計画画像)がCT画像であり、第2の画像が定量的な画像の価値を欠く(例えば、MRI、PET、SPECT、超音波、または非定量的CTなどの画像)場合など、様々の場合に有用である。変形マップはまた、患者14にデリバーされた放射線照射量を決定するために、3D画像(例えば、計画画像または治療前の画像)などの参照画像と、4D CT画像などの時間ベースの一連の画像とを関連付けることができる。
【0048】
変形モジュール126は、定量的な制限に代えて、またはそれに加えて、幾何形状的な歪み、欠点、および/または不完全さを修正することができる。例えば、解剖学的構造をよく表現しているが幾何的な歪みを含んでいる現在のMRI画像は、歪みを受けないCT画像に再マップされ得る。あるいは、解剖学的変化を示しつつ、歪みを同時に修正するために複数の画像を使用することができる。
【0049】
変形マップは、計画画像後に取得された患者画像に対する放射線量を計算するために使用され得る。それはまた、複数のデリバーされたフラクションに対する線量を蓄積するためにも有用である。線量は、物理的な空間における線量の位置に基づいて加えることができるが、他の方法は、構造が位置を変えた場合であっても、線量を受ける構造に基づいて線量を加えるように、変形方法をプロセス中に組み込むことである。変形モジュール126は、前にデリバーされたフラクションから患者14が受け取った放射線の線量を計算することができる。
【0050】
上記の変形プロセスが、ある画像を次の画像にレジストレーションする状況で述べられているが、変形プロセスは、2つ以上の画像の組を、1つまたは複数の画像の他の組に、変形可能にレジストレーションすることを用いて動作することもできる。例えば、1つのMRI画像およびCT画像をそれぞれの対が含む2対の画像がある場合には、変形マップは、MRIがより多くの情報を有する部位で2つのMRI画像を共に、またCTがより多くの情報を有する部位でCT画像を共にレジストレーションすることができる。次いで、これらの変形は合成され得る。あるいは、MRI画像および変形における幾何的な歪みを修正するためにCT変形マップを使用し、次いで、軟組織の動きを更によく分析するためにMRI変形マップを用いてその歪みを修正するためなど、画像間の変形マップを共に使用することもできる。解剖学的構造の寸法、形状、および内容物などの情報を示す変形技法を適用することにより、不明瞭な画像をよく理解することができ、従って、改善されるので、このプロセスは、一般的な意味で、変形により撮像を改善することができる。変形マップはまた、患者14にデリバーされる放射線照射量を決定するために、3D画像(例えば、計画画像または治療前の画像)などの参照画像と、4D CT画像などの時間ベースの一連の画像とを関連付けできることもまた留意されたい。この情報は、画像再構成、変更、または強調プロセスに組み込まれ得る。
【0051】
ソフトウェア・プログラム90はまた、治療計画に従って患者14に治療計画をデリバーするように、放射線療法治療システム10に命令するように動作可能な施療モジュール130を含む。施療モジュール126は、患者14に放射線をデリバーするために、命令を生成し、ガントリ18、線形加速器26、変調デバイス34、および駆動システム86に命令を送信することができる。命令は、治療計画に指定された適正な量で適正なターゲットに放射線ビーム30をデリバーするように、ガントリ18、変調デバイス34、および駆動システム86の必要な動作を調整する。
【0052】
施療モジュール130はまた、治療計画によって指定された処方にマッチするように、デリバーすべき放射線ビーム30の適切なパターン、位置、および強度を計算する。放射線ビーム30のパターンは、変調デバイス34により、更に具体的には、マルチリーフ・コリメータの複数のリーフの移動により生成される。施療モジュール130は、治療パラメータに基づいて、放射線ビーム30に対する適切なパターンを生成するために、標準の、所定の、またはテンプレートのリーフ・パターンを利用することができる。
【0053】
図5は、患者14にデリバーされた放射線量を評価する方法の流れ図である。医療従事者は、患者データ、画像、または他の情報に基づいて患者14に対する治療計画を生成する(200で)。患者14が治療に対する用意ができたとき、医療従事者は、治療を施す前に、患者配置モジュール110の支援を得て、患者14を治療台82上に配置する(204で)。配置を支援するために、患者14の画像を取得することもできる。更なる配置調整を、必要に応じて行うことができる。患者14が適正に配置された後、画像モジュール118は、患者の1つまたは複数の画像を取得する(208で)。画像は、4D CT画像などの時間ベースの一連の画像とすることができる。医療従事者は、治療計画のデリバーを開始する(212で)。治療計画のデリバー中、動き検出システム114が、患者の動きに関するデータをモニタし、かつ収集する(216で)。線量計算モジュール126は、放射線療法治療を施す前に取得された画像、および動きデータに基づいて患者14にデリバーされた放射線量を評価する(220で)。
【0054】
図6は、患者14にデリバーされた放射線量を評価する他の方法の流れ図である。医療従事者は、患者データ、画像、または他の情報に基づいて、患者14に対する治療計画を生成する(250で)。患者14が治療に対して用意ができたとき、医療従事者は、治療を施す前に、患者配置モジュール110の支援を得て、患者サポート82上に患者14を配置する(254で)。配置を支援するために、患者14の画像を取得することもできる。必要に応じて更なる配置調整を行うことができる。医療従事者は、治療計画のデリバーを開始する(258で)。治療を施している間、画像モジュール118は、患者の1つまたは複数の画像を取得する(262で)。画像は、4D CT画像など、時間ベースの一連の画像とすることができる。線量計算モジュール126は、画像に基づいて患者14にデリバーされた放射線量を計算する(266で)。
【0055】
図7は、患者14にデリバーされた放射線量を評価する方法の流れ図である。医療従事者は、患者データ、画像、または他の情報に基づいて、患者14に対する治療計画を生成する(300で)。治療計画は、計画画像または事前計画の画像など、参照画像を含む。患者14が治療に対して用意ができたとき、医療従事者は、治療を施す前に、患者配置モジュール110の支援を得て、患者サポート82上に患者14を配置する(304で)。配置を支援するために、患者14の画像を取得することもできる。必要に応じて更なる配置調整を行うことができる。患者14が適正に配置された後、医療従事者は、治療計画のデリバーを開始する(308で)。画像モジュール118は、1つまたは複数の患者画像を取得する(312で)。画像は、4D CT画像など、時間ベースの一連の画像とすることができる。変形モジュール126は、変形を用いて、参照画像を新しく取得された画像(1つまたは複数)に関連付ける(316で)。線量計算モジュール122は、変形プロセスから得られた画像に基づいて、患者14にデリバーされた放射線量を計算する(320で)。
【0056】
図8は、患者14にデリバーされる放射線量を評価する方法の流れ図である。医療従事者は、患者データ、画像、または他の情報に基づいて、患者14に対する治療計画を生成する(350で)。治療計画は、時間ベースの一連の画像または4D CT画像などの画像を含むことができる。医療従事者は、シミュレートされた、または事前に存在する動きデータを取得する(354で)。線量計算モジュール126は、時間ベースの一連の画像および動きデータに基づいて、患者14にデリバーすべき放射線量を評価する(358で)。患者14が治療に対して用意ができたとき、医療従事者は、治療を施す前に、患者配置モジュール110の支援を得て、治療台82上に患者14を配置する(362で)。配置を支援するために、患者14の画像を取得することもできる。必要に応じて更なる配置調整を行うことができる。患者14が適正に配置された後、医療従事者は、治療計画のデリバーを開始する(366で)。
【0057】
本発明の1つの用途は、不適切な治療計画、または治療計画の不適切なデリバーにより生ずる可能性のある不適切な治療を修正することである。ソフトウェア・プログラム90は、デリバーされた正味の線量を分析し、所望の正味の放射線量を、または意図された生物学的効果にマッチするように選択された線量をデリバーするために修正計画を生成することができる。元の治療は、光子ベースの放射線療法に限定される必要がなく、近接照射療法、電子ビーム療法、陽子、中性子、または粒子線療法、あるいは他のタイプの治療の任意の形態とすることもできる。
【0058】
本発明の様々な特徴および利点は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、放射線療法治療システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1で示された放射線療法治療システムで使用され得るマルチリーフ・コリメータの斜視図である。
【図3】図3は、図1の放射線療法治療システムの概略図である。
【図4】図4は、放射線療法治療システムで使用されるソフトウェア・プログラムの概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、患者にデリバーされる放射線量を評価する方法の流れ図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による、患者にデリバーされた放射線量を評価する方法の流れ図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による、患者にデリバーされた放射線量を評価する方法の流れ図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態による、患者にデリバーすべき放射線量を評価する方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法であって、
時間ベースの一連の患者画像を生成するステップと、
患者の動きを示す時間ベースの一連のデータを収集するステップと、
前記時間ベースの一連の患者画像、および前記時間ベースの一連のデータに基づいて、前記患者にデリバーされた放射線量を評価するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記患者の動きデータを前記画像データと相互に関連付けるステップを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記一連の患者データがフェーズを含んでおり、各フェーズでデリバーされる前記線量を計算するステップを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記一連の画像に基づいて、前記患者にデリバーされた累積的な線量を計算するステップを更に含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記画像を関連付けるために、変形可能なレジストレーションを用いるステップを更に含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、デリバーされた臨床的な線量および患者効果に関連するデータを取得し、前記臨床的な線量を前記患者効果に関連付ける生物学的モデルを適用するステップを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記時間ベースの一連の前記患者画像が、4D CT、4D MRI、4D PETのうちの1つにより生成される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記時間ベースの一連の患者の動きデータが、組み込まれた検出器および外部デバイスの一方から生成される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記外部デバイスが、カメラ、肺活量計、および胸部バンドのうちの1つである、方法。
【請求項10】
患者にデリバーされた放射線量を決定するためのシステムであって、
患者に治療計画をデリバーするように動作可能な、コンピュータ・プロセッサを含む放射線療法治療デバイスと、
前記コンピュータ・プロセッサによりアクセス可能なコンピュータ可読媒体に記憶されるソフトウェア・プログラムであり、時間ベースの一連の患者画像を受け取り、患者の動きを示す時間ベースの一連のデータを入力し、かつ前記時間ベースの一連の患者画像および前記時間ベースの一連のデータに基づいて、前記患者にデリバーされた放射線量を評価するように動作可能なソフトウェア・プログラムと
を備えるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、動き検出システムを更に備え、前記動き検出システムが、前記患者の動きを検出し、かつ前記コンピュータ・プロセッサと通信するように動作可能である、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記時間ベースの一連の画像がフェーズを含み、前記ソフトウェア・プログラムが更に、前記患者の位置を最もよく表している前記画像の1つまたは複数のフェーズにおける各時間に対して、前記患者にデリバーされた前記放射線量を評価するように動作可能である、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記ソフトウェア・プログラムが、前記一連の画像に基づいて、前記患者にデリバーされた累積的な放射線量を計算するように動作可能である、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記ソフトウェア・プログラムが更に、変形可能なレジストレーションを用いて前記一連の画像を関連付けるように動作可能である、システム。
【請求項15】
放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法であって、
前記患者に対する治療計画を生成するステップと、
前記治療計画に従って放射線療法治療を開始するステップと、
前記放射線療法治療を施している間に、前記患者の4D CT画像を生成するステップと、
前記4D CT画像のそれぞれに対して放射線量を計算するステップと
を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記4D CT画像がフェーズを含み、また前記4D CT画像の前記放射線量を計算する前記ステップが、各フェーズでデリバーされた前記放射線量を計算するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記4D CT画像に基づいて、前記患者にデリバーされた累積的な線量を計算するステップを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記4D CT画像を関連付けるために、変形可能なレジストレーションを使用するステップを更に含む、方法。
【請求項19】
放射線療法を受けている患者にデリバーされた放射線量を評価する方法であって、
前記患者に対して、参照画像を含む治療計画を生成するステップと、
放射線療法治療システム上に配置された撮像デバイスから4D CT画像を取得するステップと、
変形を用いて前記4D CT画像に前記参照画像を関連付けるステップと、
その結果得られた4D CT画像に対する放射線量を計算するステップと
を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記参照画像が、計画画像および治療前画像の一方である、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、患者の動きデータを取得し、前記患者の動きデータを前記4D CT画像データと相互に関連付けるステップを更に含む、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、前記4D CT画像がフェーズを含み、また前記4D CT画像の前記放射線量を計算する前記ステップが、各フェーズでデリバーされた前記放射線量を計算するステップを含む、方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、前記4D CT画像に基づいて、前記患者にデリバーされた累積的な線量を計算するステップを更に含む、方法。
【請求項24】

請求項23に記載の方法であって、前記画像を関係付けるために、変形可能なレジストレーションを使用するステップを更に含む、方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法において、前記治療計画が、複数のサブプラン(sub−plan)を含むことができる、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記サブプランが、将来計画および遡及的計画の一方である、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、前記サブプランが、ゲーティング計画、息止め計画、自由呼吸計画、3次元計画、および呼吸に同期させたデリバー計画のうちの1つである、方法。
【請求項28】
請求項19に記載の方法であって、前記変形および前記参照画像の組合せに少なくとも一部は基づいて、前記4D CT画像を変更するステップを更に含む、方法。
【請求項29】
請求項19に記載の方法であって、前記4D CT画像および前記変形の組合せに基づいて、前記参照画像を変更するステップを更に含む、方法。
【請求項30】
患者にデリバーすべき放射線量を評価する方法であって、
時間ベースの一連の患者画像を生成するステップと、
患者の動きを示すシミュレートされた時間ベースの一連のデータを取得するステップと、
前記時間ベースの一連の患者画像、および前記シミュレートされた時間ベースの一連のデータに基づいて、前記患者にデリバーされるはずの放射線量を評価するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−502257(P2009−502257A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523028(P2008−523028)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/028558
【国際公開番号】WO2007/014110
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506024320)トモセラピー・インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】