説明

デングウイルス感染の治療法および予防法

治療上有効量の特定の2−アリール−ベンゾチアゾールまたは2−ヘテロアリール−ベンゾチアゾール誘導体化合物の投与によって、ウイルス感染を治療する方法および医薬組成物が開示される。また、化合物およびその医薬組成物の使用方法も開示される。詳細には、フラビウイルス(すなわち、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、およびダニ媒介性脳炎ウイルスを含むが、これらに限定されない)によって引き起こされるようなウイルス感染の治療および予防処置が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年6月30日に出願された米国特許仮出願第61/221,773号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス脳炎、C型肝炎、マレーバレー脳炎および日本脳炎などのフラビウイルス(flavivirus)ファミリーと関連するウイルス性疾患の治療または予防のための、2−アリール−ベンゾチアゾールまたは2−ヘテロアリール−ベンゾチアゾール誘導体および類似体、ならびに同物質を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
デング熱(DF)は、非常に近親の4種のウイルス血清型(DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4)の1つによって引き起こされる、急性熱性疾患である。デング熱は、その臨床的特徴に基づいて、古典的デング熱、またはより重篤な形態である、デング出血熱症候群(DHF)、およびデングショック症候群(DSS)に分類される。1つの血清型による感染から回復すると、その特定の血清型に対する生涯免疫が産生されるが、他の血清型のいずれかからの、一時的で限定的な保護しか得られない(32)。デングは、エンベロープを持ちプラス鎖のRNAウイルスでありフラビウイルス科のメンバーである。そのヒト病原体はまた、数ある中で、西ナイルウイルス(WNV)、黄熱ウイルス(YFV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、およびダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)を含む。デング熱の伝染は、世界中の熱帯および亜熱帯地域に見られる感染したネッタイシマカ(Aedes aegypti mosquito)の刺咬を介している。
【0004】
毎年、デング熱の地域的流行は、入院および蚊の駆除の両面に影響を受ける社会に対し、深刻な罹患率および死亡率、社会的混乱、ならびに多大な経済的負担をもたらしている。デング熱は、毎年世界中で500,000症例のDHFおよび24,000件の死亡を含む推定5000万症例のデング熱感染症を伴い、世界保健機構(WHO)によって最も重要な節足動物媒介性ウイルス疾患であると見なされている(32、33)。WHOの推計では、世界人口の40パーセント(25億人)が、DF、DHFおよびDSSの危険にさらされている(32)。デングはまた、NIAIDカテゴリーA病原体であり、海外の米軍に対して生体防御(bio−defense)の面で深刻な脅威を示している。デング熱は、キューバおよびベネズエラにおける大流行、ならびにテキサスおよびハワイにおける集団感染(outbreaks)を含む、過去25年に劇的に増加した重篤な疾患であり、北アメリカに対する新興の脅威である(4)。蚊媒介生物の駆除の失敗および長距離旅行の増加が、デング熱疾患の増加および拡大の一因となっている。ウイルス性出血性熱ウイルスとしてのデング熱の特徴(節足動物媒介性、広範な蔓延、および大量の細胞損傷を引き起こし、重度の出血、ショック、および死亡につながり得る免疫反応を誘発する能力)によって、このウイルスは、世界中に配備された軍関係者、および熱帯地方への旅行者に対して特有の脅威となっている。デング熱がもたらす生体防御および公衆衛生の両方の課題に対する備えは、新規のワクチン剤および抗ウイルス治療法の開発を必要とするであろう。
【0005】
デングはいくつかの病気を引き起こし、重篤度の増加は異なる血清型のウイルスによる既感染によって部分的には決まる。古典的デング熱(DF)は感染した蚊の刺咬の3−8日後に始まり、発熱、頭痛、背痛、関節痛、麻疹様発疹、ならびに悪心および嘔吐の突然の発症を特徴とする(20)。この症候のため、しばしばDFは「骨が折れるような(breakbone)」熱と呼ばれる。この疾患は通常2週後に解消するが、回復は遅く、衰弱および抑うつ症を伴うのが一般的である。この疾患のより重い形態であるデング出血熱(DHF)は、デング熱と同様の病気の発症および初期相を有する。しかし発症後まもなく、この疾患は、高熱、肝臓肥大、ならびに血管浸透による鼻、口、および内臓からの出血などの出血現象によって特徴づけられる(33)。デングショック症候群(DSS)では、血漿漏出の結果として循環障害および血液量減少性ショックが起こり、血漿交換なしでは、12−24時間以内に死亡につながり得る(33)。DHF/DSSの致死率は、治療なしでは20%に達する可能性がある。DHFは、毎年入院を必要とする推定500,000の症例および約5%の致死率を伴い、多くの国々で子供の入院および死亡の主要原因となっている(32)。
【0006】
DHF/DSSの病因は今なお研究されているが、一部は、抗体依存増進(ADE)と呼ばれる、異型抗体によるマクロファージ中のウイルス複製の増強によると思われる(8)。異なる血清型のデングウイルスへの二次感染中に、中和形態ウイルス−抗体複合体でない交差反応性抗体は、単球およびランゲルハンス細胞(樹状細胞)に取り込まれ、感染細胞の数を増加させる(7)。これは細胞障害性リンパ球の活性化につながり、DHFおよびDSSの特徴である、血漿漏出および出血の特徴につながり得る(20)。感染症のこの抗体依存性増強は、成功裡のワクチン開発が困難であると判明した理由の1つである。それほど頻繁でないが、DHF/DSSが初感染の後に起こる場合があり(29)、したがってウイルス毒性(15)および免疫の活性化も疾病の病因の一因となると考えられる(25)。
【0007】
デング熱は、アフリカ、南北アメリカ(the Americas)、東地中海、東南アジアおよび西太平洋の100を超える国において流行する。流行期には、発病率は感染しやすい集団の80−90%にも達し得る。4種の血清型のウイルスはすべて世界的に出現しており、疾患の症例数ならびに爆発的な集団発生の数が増加している。例えば、2002年には南北アメリカだけで14,374症例のDHFを含む1,015,420件のデング熱症例が報告された(これは、1995年に南北アメリカで報告されたデング熱症例数の3倍を超える。)(23)。
【0008】
デングゲノムは、長さ約11kbで、単一の長いポリタンパク質として翻訳される直鎖状一本鎖の感染性プラス鎖RNAからなる((27)に概説されている)。ゲノムは、ヌクレオキャプシドタンパク質(C)、膜結合タンパク質(M)、およびエンベロープタンパク質(E)をコードする7種の非構造(NS)タンパク質遺伝子および3種の構造タンパク質遺伝子からなる。非構造タンパク質は、ウイルスRNA複製(31)、ウイルス構築、および疾患の炎症性成分(18)に関与する。構造タンパク質は、主としてウイルス粒子形成に関与している(22)。前駆体ポリタンパク質は、細胞プロテイナーゼによって切断され、構造タンパク質を分離し(17)、一方、ウイルスがコードするプロテイナーゼは、ポリタンパク質の非構造領域を切断する(6)。ゲノムはキャップされ、3’末端でポリ(A)テールを有さないが、代わりにゲノムRNAの安定性および複製のために必要な安定的なステムループ構造を有する(3)。ウイルスは、細胞受容体にEタンパク質を介して結合し、受容体仲介エンドサイトーシス、続いてリソソーム中の低pHでの融合を受ける(20)。次いで、ウイルスゲノムは脱殻し、ウイルス前駆体ポリタンパク質に翻訳される。同時翻訳および翻訳後タンパク質分解プロセシングにより、構造タンパク質および非構造タンパク質を分離する。RNA依存性RNAポリメラーゼは、補助因子と共に、子孫プラス鎖RNAの合成のための鋳型の役割を果たすマイナス鎖RNAを合成する(24)。ウイルス複製は膜に関連する(1、30)。ゲノ複製に続いて、ゲノムはキャプシド形成し、脂質エンベロープに囲まれた未成熟ウイルスは、内腔内へ出芽する(9)。エンベロープタンパク質はグリコシル化し、成熟ウイルスが細胞外に放出される。ウイルス生活環における基本的な段階または過程は、抗ウイルス薬による阻害についての可能な標的である場合があり、Eタンパク質を介したウイルスの細胞への結合、ウイルスの細胞への取り込み、キャッピング機構、ウイルスプロテイナーゼ、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ、およびウイルスヘリカーゼが含まれる。
【0009】
デングウイルスに関連する疾患の現在の対応は、媒介動物の駆除にもっぱら頼っている。デング熱の治療または予防のための承認された抗ウイルス薬またはワクチンはない。リバビリンは、グアノシン類似体であるが、一連のRNAウイルス感染症に対して有効であることが示されており、デング2’−O−メチルトランスフェラーゼNS5ドメインを阻害することによって組織培養においてデングに対して作用する(2、10)。しかし、リバビリンは、マウスモデル(14)またはアカゲザルモデル(16)においてデングからの保護を示さず、代わりに貧血および血小板増加を誘発した。現在利用可能な承認されたワクチンはないが、多価デングワクチンは、ヒトにおいていくつかの限定された潜在能力を示してきた(5、11、12、26)。しかし、ワクチン開発は、それぞれが疾患をもたらす4種の異なる血清型のウイルスの存在によって困難である。ワクチン開発はまた、異なる株のウイルスからの一様でない保護のために、実際にはより重篤な疾患の危険を増加させることがあり得るというADEの課題に直面している。したがって、血清型のデングのすべてを標的とする抗ウイルス薬が必要とされている。デング感染の早期に投与されるウイルス複製を阻害する抗ウイルス薬は、DHFと関連する高ウイルス量を予防し、疾患の治療および予防において魅力的な戦略であろう。ウイルス複製を阻害する抗ウイルス薬は、デング流行地への旅行の前に投与して、疾患の罹患を予防することができ、またはデングに過去に曝された人にとっては、他の血清型のウイルスによる感染症を予防し、生命を危うくするDHFおよびDSSの確率を減少させることができる。抗ウイルス薬はまた、異なる血清型からの一様でない免疫保護によって生じうる合併症を治療するための道具を手元に有することによって、ワクチン開発を助けることになろう。成功したワクチンは、有効な生体防御の決定的な構成要素となり得るが、免疫の開始の典型的な遅延、潜在的副作用、価格、および脅威低リスク薬剤に対する大規模な一般市民のワクチン接種に関連する物流管理は、包括的な生体防御が別々の迅速な反応要素を含むことを示唆する。したがって、フラビウイルス感染から保護する安全で効果的な製品を緊急に開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Barth, O. M. 1999. Ultrastructural aspects of the dengue virus (flavivirus) particle morphogenesis. J Submicrosc Cytol Pathol 31:407-12.
【発明の概要】
【0011】
本発明は、薬学的に許容される担体、および下記一般式I:
【化1】

【0012】
[式中、Xは、O、SおよびN−R’からなる群から選択され、ここで、R’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、スルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイルおよび置換カルバモイルからなる群から選択され;Arは置換もしくは非置換アリールまたはヘテロアリールであり;またA、B、DおよびEは、独立してそれぞれ、NまたはCR、CR、CRおよびCRであり、ここで、R、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アリールアシルオキシ、ヘテロアリールアシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アリールアシルアミノ、ヘテロアリールアシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、置換カルバモイル、ハロゲン、シアノ、イソシアノおよびニトロからなる群から独立して選択され、または、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよい、または、RおよびR、またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよく、環は芳香族または非芳香族であってもよく、環内に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、芳香族のまたは脂肪族の環と縮合していてもよい。]を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、式I
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、XはO、SおよびN−R’からなる群から選択され、ここで、R’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、スルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイルおよび置換カルバモイルからなる群から選択され;Arは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールであり;A、B、DおよびEは、独立してそれぞれ、NまたはCR、CR、CRおよびCRであり、ここで、R、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アリールアシルオキシ、ヘテロアリールアシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アリールアシルアミノ、ヘテロアリールアシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、置換カルバモイル、ハロゲン、シアノ、イソシアノおよびニトロからなる群から独立して選択され、または、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよい、または、RおよびR、またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよく、環は芳香族または非芳香族であってもよく、環内に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、また、芳香族または脂肪族の環と縮合していてもよい。]の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物へ治療上有効量投与することを含む、ウイルス感染またはそれに関連する疾患の治療または予防処置の方法をさらに提供する。
【0016】
本発明の他の目的および利点は以下の記載および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の化合物は、下記一般式I:
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、XはO、SおよびN−R’からなる群から選択され、ここで、R’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、スルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイルおよび置換カルバモイルからなる群から選択され;Arは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールであり;A、B、DおよびEは、独立してそれぞれ、NまたはCR、CR、CRおよびCRであり、ここで、R、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アリールアシルオキシ、ヘテロアリールアシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アリールアシルアミノ、ヘテロアリールアシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、置換カルバモイル、ハロゲン、シアノ、イソシアノおよびニトロからなる群から独立して選択され、または、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよい、または、RおよびR、またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよく、環は芳香族または非芳香族であってもよく、環内に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、また、芳香族または脂肪族の環と縮合していてもよい。]の化合物である。
【0020】
好ましくは、Xは硫黄であり、また、Arは置換アリールである。また好ましくは、各A、B、DおよびEはC−Hである。代替として、各A、BおよびEはC−Hであり、また、DはC−CHである。
【0021】
好ましくは、本発明の化合物は、
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシン−6−カルボン酸(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−アミド;
2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
N−(3−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
4−ジメチルアミノ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
4−メチル−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−フタルアミド酸;
N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ベンズアミド;
およびN−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミドからなる群から選択される。
【0022】
最も好ましくは、本発明の化合物は2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミドである。
【0023】
本発明の方法は、上記の式Iの化合物を治療上有効量、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、それに関連するウイルス感染または疾患の治療または予防処置のためのものである。
【0024】
好ましくは、哺乳動物はヒトであり、また、ウイルス感染はフラビウイルス感染である。より好ましくは、フラビウイルスは、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルスおよびダニ媒介性脳炎ウイルスからなる群から選択される。最も好ましくは、フラビウイルスは、DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4からなる群から選択されるデングウイルスである。
【0025】
好ましくは、ウイルス感染は、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス型脳炎、C型肝炎、マレーバレー脳炎および日本脳炎からなる群から選択される症状を組み合わせる。最も好ましくは、ウイルス感染は、古典的デング熱、デング出血熱症候群およびデングショック症候群からなる群から選択されるデング熱と関連する。
【0026】
本発明の方法はまた、a)リバビリンまたはシドフォビルなどの他の抗ウイルス薬;b)ワクチン剤;および/またはc)インターフェロンもしくはペグインターフェロンの共投与を含んでもよい。
【0027】
定義
この詳細の説明に従って、下記の略語および定義を適用する。本明細書で使用する場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0028】
本明細書において検討される刊行物は、それらの開示のためにのみ提供する。刊行物の先行性に関して承認するものと解釈してはならない。さらに、提供した刊行物の日付は、実際の刊行物の日付と異なる場合があり、別々に確認する必要があり得る。
【0029】
値の範囲が与えられる場合、その間に入る各値が含まれることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してそのより小さい範囲に含まれ、指定の範囲において任意の具体的に除外された制限を受けてもよい。指定の範囲に一方または双方の限度を含む場合、限度を含む範囲の双方いずれかを除いた範囲もまた本発明に含まれる。また、引用した範囲内に入る任意の値も企図される。
【0030】
別に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料もまた、実施または試験において使用することができる。本明細書において言及するすべての刊行物は、刊行物が関連して引用される方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書中に組み込まれている。
【0031】
「患者」または「対象」とは、任意の哺乳動物を含むことを意味する。治療の目的のための「哺乳動物」は哺乳動物として分類される任意の動物を指し、ヒト、実験動物(ラット、マウス、およびモルモットを含む)、家庭の動物および家畜、および動物園、スポーツ用、またはペット動物(イヌ、ウマ、ネコ、雌ウシなど)などを含むが、これらに限定されない。
【0032】
「有効性」という用語は、本明細書で使用する場合、特定の治療方式の有効性を意味する。有効性は、薬剤に反応した疾患の過程の変化に基づいて測定することができる。
【0033】
「成功」という用語は、本明細書で使用する場合、慢性的治療方式の文脈で、特定の治療方式の有効性を意味する。これには、有効性、毒性(例えば、製剤または投与量単位の副作用および患者の耐性)、患者のコンプライアンスなどのバランスが含まれる。慢性的投与方式が「成功した」と考えられるためには、好ましい患者の結果をもたらすために、患者の看護および有効性の異なる態様のバランスをとらなければならない。
【0034】
「治療する」、「治療」などという用語は、本明細書において、所望の薬理効果および生理学的効果を得ることを指すために使用される。その効果は、その疾患、症状または症候を予防するまたは部分的に予防する観点で予防的でもよく、および/または、疾患、症状、症候、または疾患によって生じる有害作用の部分的なまたは完全な治癒の観点で治療的でもよい。「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒトなどの哺乳動物における疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患に罹患しやすい場合があるがその疾患を有しているとまだ診断されていない対象において、疾患が起こることを予防すること、すなわち、疾患に罹患しやすい場合があるがその疾患の症候をまだ経験もしくは示していない対象において、疾患の臨床症候を発現させないようにすること;(b)疾患を阻止すること、すなわち、疾患またはその臨床症候の発現を阻み、または減少させること;および(c)疾患を軽減すること、すなわち、疾患および/またはその症候もしくは症状の後退をもたらすことを含む。病理学的炎症に関連する疾患を患っている患者の治療が企図される。長期間にわたる病理学的炎症によって生じ、および/または長期間にわたる生物系中に存在する不適当な炎症への生理反応によってもたらされる有害な作用を予防、阻止、または軽減することもまた企図される。
【0035】
本明細書において使用される場合、「アシル」は、基H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)−、ヘテロ環−C(O)−、置換ヘテロ環−C(O)−を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環は本明細書で定義される通りである。
【0036】
「アルキルアミノ」は、基−NRRを指し、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環からなる群より選ばれ、各Rは、窒素原子と一緒に結合して、ヘテロ環または置換ヘテロ環を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書で定義される通りである。
【0037】
「アルケニル」とは、好ましくは2から10個の炭素原子、より好ましくは2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を指す。
【0038】
「アルコキシ」とは、例示として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1、2−ジメチルブトキシなどを含む「アルキル−O−」基を指す。
【0039】
「アルキル」は、1から10個の炭素原子、代替として1から6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を指す。この用語は、メチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチルなどの基によって例示される。
【0040】
「アミノ」とは−NH基を指す。
【0041】
「アリール」または「Ar」は、単一の環(例えば、フェニル)または多重縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)(この縮合環は、芳香族(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オンなど)であっても、またはなくてもよい。ただし、結合点は芳香環原子を介する)を有する6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を指す。
【0042】
「置換アリール」とは、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル−置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル−置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル−置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル−置換ヘテロアリール、カルボキシルヘテロ環、カルボキシル−置換ヘテロ環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロ環、置換チオヘテロ環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−S(O)−アルキル、−S(O)−置換アルキル、−S(O)−シクロアルキル、−S(O)−置換シクロアルキル、−S(O)−アルケニル、−S(O)−置換アルケニル、−S(O)−アリール、−S(O)−置換アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−置換ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロ環、−S(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−ヘテロ環、−OS(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−NRR(式中、Rは水素、またはアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−ヘテロ環、−NRS(O)−置換ヘテロ環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−ヘテロ環、−NRS(O)−NR−置換ヘテロ環(式中、Rは水素、またはアルキルである)、モノおよびジアルキルアミノ、モノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノおよびジアリールアミノ、一置換および二置換アリールアミノ、モノおよびジヘテロアリールアミノ、一置換および二置換ヘテロアリールアミノ、モノおよびジヘテロ環アミノ、一置換および二置換ヘテロ環アミノ、非対称の二置換アミン(アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環からなる群から独立に選択される異なる置換基を有する)、ならびに置換アリール上のアミノ基(Boc、Cbz、ホルミルなどの従来の封鎖基でブロックされている、または−SONRR(式中、Rは、水素またはアルキルである)で置換されている)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されているアリール基を指す。
【0043】
「シクロアルキル」とは、例示として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを含む、単一の環を有する3から8個の炭素原子の環状アルキル基を指す。この定義から除かれるものは、アダマンタニルなどの多環式アルキル基である。
【0044】
「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロル、ブロモおよびヨードを指す。
【0045】
「ヘテロアリール」とは、環中の2〜10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子の芳香族炭素環基、またはその酸化物を指す。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または多重縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)(縮合環の1個または複数は、芳香族でもよく、または芳香族でなくてもよい。ただし、結合点は芳香環原子を介する。)を有してもよい。さらに、ヘテロアリール基のヘテロ原子は酸化されている、すなわち、ピリジンN−オキシドまたは1,1−ジオキソ−1,2,5−チアジアゾールなどを形成する場合がある。さらに、環の炭素原子は、オキソ(=O)で置換されていてもよい。「ヘテロアリール環中に2個の窒素原子を有するヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール環中に2個、かつ2個のみの窒素原子を有し、ヘテロアリール環中に酸素または硫黄などの1または2個の他のヘテロ原子を場合によって含有するヘテロアリール基を指す。
【0046】
「置換ヘテロアリール」とは、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル−置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル−置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル−置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル−置換ヘテロアリール、カルボキシルヘテロ環、カルボキシル−置換ヘテロ環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロ環、置換チオヘテロ環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−S(O)−アルキル、−S(O)−置換アルキル、−S(O)−シクロアルキル、−S(O)−置換シクロアルキル、−S(O)−アルケニル、−S(O)−置換アルケニル、−S(O)−アリール、−S(O)−置換アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−置換ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロ環、−S(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−ヘテロ環、−OS(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−NRR(式中、Rは水素、またはアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−ヘテロ環、−NRS(O)−置換ヘテロ環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−ヘテロ環、−NRS(O)−NR−置換ヘテロ環(式中、Rは水素、またはアルキルである)、モノおよびジアルキルアミノ、モノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノおよびジアリールアミノ、一置換および二置換アリールアミノ、モノおよびジヘテロアリールアミノ、一置換および二置換ヘテロアリールアミノ、モノおよびジヘテロ環アミノ、一置換および二置換ヘテロ環アミノ、非対称の二置換アミン(アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環からなる群から独立に選択される異なる置換基を有する)、ならびに置換アリール上のアミノ基(Boc、Cbz、ホルミルなどの従来の封鎖基でブロックされている、または−SONRR(式中、Rは、水素またはアルキルである)で置換されている)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されているヘテロアリール基を指す。
【0047】
「スルホニル」とは、S(O)R基(式中、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環からなる群から選択され、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環は、本明細書に定義される通りである)を指す。
【0048】
「場合によって、置換した」とは、記述された基が非置換であってもよい、または記述された基が置換されていてもよいことを意味する。
【0049】
「薬学的に許容される担体」とは一般に、安全、無毒で、生物学的にもそれ以外でも望ましくないことがない医薬組成物または製剤の調製に有用な担体を意味し、獣医学での使用ならびにヒト用の製薬学的用途のために許容される担体を含む。
【0050】
「薬学的に許容されるカチオン」は、薬学的に許容される塩のカチオンを指す。
【0051】
「薬学的に許容される塩」とは、生物学的にまたはそれ以外で望ましくないことがない化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。薬学的に許容される塩とは、その塩が当技術分野で周知の種々の有機および無機対イオンに由来し、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる化合物の薬学的に許容される塩を指し、分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸または無機酸の塩である。
【0052】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基から調製することができる。無機塩基由来の塩には、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基由来の塩には、これらに限定されないが、第一級、第二級および第三級アミンの塩(アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロ環アミン、ジヘテロ環アミン、トリヘテロ環アミン、混合されたジおよびトリアミンなど)が挙げられる。ただし、アミン上の置換基の少なくとも2個は異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環などからなる群から選択される。2個または3個の置換基が、アミノ窒素と一緒になって、ヘテロ環またはヘテロアリール基を形成するアミンもまた含まれる。
【0053】
適切なアミンの例には、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエルチアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。他のカルボン酸誘導体、例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミドなどを含むカルボン酸アミドが有用であることもまた理解すべきである。
【0054】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。無機酸由来の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸由来の塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0055】
本化合物はプロドラッグとして作用してもよい。プロドラッグとは、このようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合、活性な親薬剤をインビボで放出する任意の化合物を意味する。プロドラッグは、修飾部がインビボで切断されて親化合物を放出し得るような方法で存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、またはスルフヒドリル基が、インビボで切断されて、それぞれ遊離ヒドロキシル、アミノ、またはスルフヒドリル基を再生し得る任意の基に結合している化合物を含む。プロドラッグの例には、エステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステル誘導体)、ヒドロキシ官能基のカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノ−カルボニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
疾患を「治療する」または疾患の「治療」とは、(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患に曝される、または罹患しやすい場合があるがその疾患の症候をまだ経験または示していない哺乳動物において、疾患の臨床症候を発現させないようにすること;(2)疾患を阻止すること、すなわち、疾患またはその臨床症候の発現を阻み、または減少させること;および(3)疾患を軽減すること、すなわち、疾患および/またはその臨床症候の後退をもたらすことを含む。
【0057】
「治療上有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物に投与される場合、疾患についてこのような治療をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効量」は、化合物、疾患、その重症度、および治療される哺乳動物の年齢、体重などによって変わる。
【0058】
本化合物の医薬製剤
一般に、本化合物は、これらの化合物についての受け入れられる投与方法のいずれかによって治療上有効量で投与される。経口、非経口(例えば、皮下、硬膜下、静脈内、筋内、くも膜下腔内、腹腔内、脳内、動脈内、または病変内投与経路)、局所、鼻腔内、局所的(例えば、外科的用途または外科的坐薬)、直腸、および肺(例えば、エアゾール剤、吸入剤または散剤)を含むがこれらに限定されない種々の経路によって、化合物を投与することができる。したがって、これらの化合物は、注射用組成物および経口用組成物の両方として有効である。本化合物は、注入またはボーラス注入によって連続投与することができる。
【0059】
本化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、疾患の重症度、すなわち、治療される症状または疾患、対象の年齢、および相対的健康状態、使用される化合物の効力、経路および投与形態、ならびに他の要因などのいくつかの要因に依存する。
【0060】
このような化合物の毒性および治療の有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対し致死である用量)およびED50(集団の50%に対し治療的に有効である用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的な製薬手順によって決定することができる。毒性効果および治療効果の間の用量比は治療係数であり、比LD50/ED50として表現できる。
【0061】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトにおいて用いる投与量の範囲を求めるのに用いることができる。このような化合物の投与量は、毒性がほとんどないまたは全くないED50を有する循環濃度の範囲内となる。投与量は、用いる剤形および利用する投与経路に依存してこの範囲内で変化させることができる。使用される任意の化合物について、治療上有効量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養において決定されるように、IC50(すなわち、症候の最大の半分の阻止を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいてある用量を製剤化することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中の濃度レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0062】
患者に投与される医薬組成物の量は、何を投与するか、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与の方法などによって変化する。治療用途において、組成物は、疾患の症候およびその合併症を治癒または少なくとも部分的に抑制するのに十分な量で、すでに疾患を患っている患者に投与される。これを達成するのに適切な量は、「治療上有効量」と規定される。この使用のために有効な量は、治療される疾患症状、ならびに炎症の重症度、患者の年齢、体重、および全身症状などの要因に依存し担当の臨床医の判断によって決まるであろう。
【0063】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態である。これらの組成物は、従来の滅菌法により滅菌してもよく、または滅菌濾過してもよい。このように得られた水溶液は、そのままで使用するために包装され、または凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製品は、投与の前に滅菌水性担体と合わせる。上記の賦形剤、担体、または安定剤のいくつかを使用することによって、医薬塩が形成されることが理解されるであろう。
【0064】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたり有効であり、医薬有効量または治療上有効量で一般に投与される。本化合物の治療投与量は、例えば、治療が行われるための特定の使用、化合物の投与方法、患者の健康状態および症状、ならびに処方する医師の判断によって変化する。例えば、静脈内投与のための用量は典型的には、体重1キログラム当たり約0.5mg〜約100mgの範囲である。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。典型的には、臨床医は、所望の効果が達成される投与量に達するまで本化合物を投与するであろう。
【0065】
医薬品として用いられる場合、本化合物は、医薬組成物の形態で通常投与される。医薬組成物は、1種もしくは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、活性成分として上記の化合物の1種もしくは複数を含有する。用いられる賦形剤は典型的には、ヒト対象または他の哺乳動物への投与に適したものである。組成物の作製において、活性成分は、通常賦形剤と混合され、賦形剤で希釈され、またはカプセル剤、サシェ剤、紙もしくは他の容器の形態であってもよい担体中に封入される。賦形剤が希釈剤としての機能を果たす場合、それは活性成分のためのビヒクル、担体、または媒体としての機能を果たす固体、半固体、または液体材料であってもよい。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体としてまたは液体媒体中)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射剤、ならびに滅菌包装された散剤の形態であってもよい。
【0066】
製剤の調製において、他の成分と合わせる前に適切な粒径を実現するために活性化合物を粉砕することが必要である場合がある。活性化合物が実質的に不溶性の場合、200メッシュ未満の粒子サイズに通常粉砕される。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は通常、粉砕によって調節され(例えば、約40メッシュ)、製剤中に実質的に均一な分布が実現される。
【0067】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤は、潤滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油など)、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存料(安息香酸メチルおよびプロピルヒドロキシなど)、甘味剤、ならびに香味剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、当分野において公知の手順を用いることによって、患者に投与した後で活性成分の急速、持続、または遅延放出を実現するために製剤化することができる。
【0068】
医薬組成物およびその単位剤形中の活性化合物の量は、特定の用途、方式または導入、特定化合物の効力、および所望の濃度に広範に依存して変化または調節し得る。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単体の投与量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算した所定の量の活性物質を含有する。
【0069】
本化合物は、滅菌生理食塩水などの適切な不活性担体中で、非経口投与のために製剤化することができる。投与される用量は、投与経路によって決定される。
【0070】
静脈内製剤による治療剤の投与は、医薬品産業において周知である。静脈内製剤は、治療剤が可溶性である組成物であるのみならず、特定の特性を有するべきである。例えば、製剤は活性成分(複数可)の全体的な安定性を促進するべきであり、また、製剤の製造は対費用効果が高くあるべきである。これらの要因のすべては、最終的に静脈内製剤の全体的な成功および有用性を決定する。
【0071】
医薬製剤および化合物に含み得る他の補助的添加剤は下記の通りである:
溶媒:エタノール、グリセロール、プロピレングリコール;
安定剤:EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸;抗菌保存剤:ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン;
緩衝剤:クエン酸/クエン酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、マレイン酸/マレイン酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、リン酸/リン酸二水素カリウム、リン酸/リン酸水素二ナトリウム;および
張性調節剤:塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース。
【0072】
緩衝液の存在は、約4から約8の範囲の水性pHを維持するために必要である。緩衝系は一般に、弱酸とその可溶性塩との混合物、例えば、クエン酸ナトリウム/クエン酸;または二塩基酸のモノカチオンもしくはジカチオン塩、例えば、酒石酸水素カリウム;酒石酸水素ナトリウム、リン酸/リン酸二水素カリウム、およびリン酸/リン酸水素二ナトリウムである。
【0073】
使用される緩衝系の量は、(1)所望のpH;および(2)薬物の量によって決まる。一般に、使用される緩衝液の量は、製剤のpHを4から8の範囲に維持することができる。一般に、薬物に対してモル比1:1から10:1の緩衝液が使用される(緩衝液のモルを、緩衝液成分、例えば、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸の合わせたモルとして考えた場合)。
【0074】
有用な緩衝液は、組成物の4〜6の水性pHを維持するのに十分な、クエン酸ナトリウム1ml当たり5から50mgとクエン酸1ml当たり1から15mg/mlの範囲のクエン酸ナトリウム/クエン酸である。
【0075】
緩衝剤はまた、溶解した金属イオン(例えば、Ca、Mg、Fe、Al、Baであり、ガラス容器またはゴム栓から浸出し、または通常の水道水中に存在し得る)との可溶性金属錯体の形成によって、薬物の沈殿を防止するために存在してもよい。緩衝剤は、薬物との競合的錯化剤として作用し、可溶性金属錯体を生じさせ、望ましくない微粒子の存在をもたらし得る。
【0076】
さらに、ヒト血液と同じ値に張性を調節するために、約1〜8mg/mlの量の薬剤、例えば、塩化ナトリウムが存在することは、赤血球の膨張または収縮(静脈内製剤の投与により悪心または下痢などの望ましくない副作用、およびことによると関連する血液障害をもたらす)を防止するため必要であり得る。一般に、製剤の張性は、ヒト血液の張性と一致し、282から288mOsm/kgの範囲であり、一般に285mOsm/kgであり、塩化ナトリウムの0.9%溶液に相当する浸透圧と同等である。
【0077】
静脈内製剤は、直接の静脈内注射、i.v.ボーラスによって投与することができ、または0.9%塩化ナトリウム注射液または他の適合性の輸液などの適切な輸液に加えることによって注入により投与することができる。
【0078】
組成物は、好ましくは単位剤形に製剤化され、各投与量は、約5から約100mg、さらに通常には約10から約30mgの活性成分を含有する。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単体の投与量として適切な物理的に分離した単位を意味し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算した所定の量の活性物質を含有する。
【0079】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたり有効であり、医薬有効量で一般に投与される。しかし、実際に投与される化合物の量は、治療される症状、選択した投与経路、投与する実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症候の重症度などを含む関連する状況を考慮して医師により決定されることは理解されるであろう。
【0080】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な活性成分を医薬賦形剤と混合し、本発明の化合物の均一な混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成させる。これらの予備製剤組成物が均質であるとは、組成物を錠剤、丸剤およびカプセル剤などの同等に有効な単位剤形に容易に再分割し得るように、活性成分が組成物にわたって均等に分散していることを意味する。次いで、この固体予備製剤を、例えば、0.1から約2000mgの活性成分を含有する上記のタイプの単位剤形に再分割する。
【0081】
錠剤または丸剤は、被覆され、またはそうでなければ配合され、持続作用の利点が可能となる剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投与成分および外側の投与成分を含むことができ、後者は前者を覆う外皮の形態である。2つの成分は、胃内での崩壊に耐え、内側の成分が十二指腸にそのまま入るか、または放出が遅延するのを可能にする役割を果たす腸溶性層によって分離することができる。このような腸溶性層または被覆のために種々の材料を使用することができ、このような材料には、いくつかのポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物が含まれる。
【0082】
経口または注射による投与のための新規な組成物を組み込み得る液体形態には、水溶液、適切に風味をつけたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および食用油(綿実油、ゴマ油、ヤシ油、または落花生油など)を有する風味をつけた乳剤、ならびにエリキシル剤、および同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
【0083】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒中の溶液剤および懸濁剤、またはその混合物、および散剤が挙げられる。液体または固体組成物は、上記のような適切な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。薬学的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスを使用することによって霧状にしてもよい。噴霧された溶液剤を、噴霧装置から直接呼吸してもよく、または噴霧装置をフェースマスク、テント、または断続的陽圧呼吸装置に装着してもよい。溶液剤、懸濁剤、または散剤組成物を、適切な態様で製剤を送達する装置から投与してもよい。
【0084】
本化合物は、持続放出形態で投与することができる。持続放出調製品の適切な例には、化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、造形品の形態、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルである。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167〜277頁(1981)およびLanger、Chem.Tech.12:98〜105頁(1982)によって記載されているようなポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidmanら、Biopolymers22:547〜556頁、1983)、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langerら、上記)、LUPRONDEPOT(商標)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(すなわち、乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
【0085】
本化合物は、活性成分の持続放出を可能にするような態様で製剤することができる持続放出形態、例えば蓄積注射、インプラント調製品、または浸透圧ポンプで投与することができる。持続放出製剤のためのインプラントは、当分野において周知である。インプラントは、生分解性または非生分解性ポリマーを含有する、ミクロスフィア、スラブなど(これらに限定されないが)として製剤化し得る。例えば、乳酸および/またはグリコール酸のポリマーは、宿主の耐性が良好な侵食性ポリマーを形成する。
【0086】
経皮的な送達装置(「パッチ」)をまた使用してもよい。このような経皮パッチは、制御された量で化合物の持続または非持続注入を実現するために使用しうる。医薬品の送達のための経皮パッチの構成および使用は、当分野で周知である。例えば、参照により本明細書中に組み込まれている1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照されたい。このようなパッチは、医薬品の連続、拍動性、またはオンデマンド送達のために構成しうる。
【0087】
医薬組成物を脳に導入することが望ましいまたは必要な場合は、直接または間接の留置技術を使用してもよい。直接技術は通常、血液脳関門を迂回するための宿主の脳室系への薬物送達カテーテルの留置を伴う。体の特定の解剖学的領域への生物学的因子の輸送のために使用される1つのこのような植込み型送達系は、参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,011,472号に記載されている。
【0088】
間接技術は通常、組成物を製剤化し、親水性薬物の脂溶性薬物への変換によって薬物潜在化を実現することを伴う。潜在化は一般に、薬物上に存在するヒドロキシ、カルボニル、スルフェート、および第一級アミン基をブロックし、薬物をより脂溶性で、血液脳関門を越えて輸送されやすくすることにより達成される。代替として、親水性薬物の送達は、過渡的に血液脳関門を開くことのできる高張溶液の動脈内注入によって増強し得る。
【0089】
血清半減期を高めるために、本化合物は、カプセル化し、リポソームの内腔中に導入し、コロイドとして調製してもよく、または化合物の延長された血清半減期を実現する他の従来の技術を用いてもよい。例えば、Szokaら、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号および同第4,837,028号(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれている)に記載されているように、リポソームを調製するために種々の方法が利用可能である。
【0090】
医薬組成物は、種々の薬物送達システムにおける使用に適切である。本発明における使用に適切な製剤は、Remington’sPharmaceuticalSciences、MacePublishingCompany、Philadelphia、PA、第17版(1985)に見出される。
【0091】
以下の実施例において、短縮形が上に定義されていない場合、それは一般に通義を有している。さらに、すべての温度は、特に断らなければ摂氏である。下記方法は、示されるように以下に述べた化合物を調製するために使用された。
【0092】
実施例1−製剤1
以下の成分を含む硬質ゼラチンカプセルを調製する。
【0093】
【表1】

【0094】
上記の成分を混合し、340mg量の硬質カプセルに充填する。
【0095】
実施例2−製剤2
錠剤処方を下記の成分を用いて調製する。
【0096】
【表2】

【0097】
成分をブレンドして圧縮し、重さ各240mgの錠剤を形成する。
【0098】
実施例3−製剤3
以下の成分を含有する乾燥散剤吸入器製剤を調製する。
【0099】
【表3】

【0100】
活性混合物をラクトースと混合し、その混合物を乾燥散剤吸入器具に加える。
【0101】
実施例4−製剤4
各30mgの活性成分を含有する錠剤を、以下のように調製する。
【0102】
【表4】

【0103】
活性成分、デンプンおよびセルロースを、20メッシュU.S.ふるいにかけ、完全に混合する。ポリビニルピロリドン溶液を、結果として得られた粉末と混合し、次いで、これを16メッシュU.S.ふるいにかける。このようにして得られた顆粒剤を、50°Cから60°Cで乾燥し、16メッシュU.S.ふるいにかける。次いで、予めNo.30メッシュU.S.ふるいにかけておいた、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒剤に加え、混合後、錠剤機で圧縮し、重さ各150mgの錠剤が得られる。
【0104】
実施例5−製剤5
各40mgの薬剤を含有するカプセル剤を、以下のように製造する。
【0105】
【表5】

【0106】
活性成分、セルロース、デンプン、ステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.20メッシュU.S.ふるいにかけ、150mgの量を硬質カプセルに充填する。
【0107】
実施例6−製剤6
各25mgの活性成分を含有する坐剤を、以下のように製造する。
【0108】
【表6】

【0109】
活性成分をNo.60メッシュU.S.ふるいにかけ、必要最小限の熱を用いてあらかじめ溶融した飽和脂肪酸グリセリド中に懸濁する。次いで、混合物を公称2.0gの容量の坐剤型に注ぎ、放冷する。
【0110】
実施例7−製剤7
用量5.0ml当たり各50mgの薬剤を含有する懸濁液を、以下のように製造する。
【0111】
【表7】

【0112】
医薬、スクロースおよびキサンタンガムをブレンドし、No.10メッシュU.S.ふるいに通し、次いで、微結晶性セルロースおよびカルボキシルメチルセルロースナトリウムのあらかじめ作っておいた水中の溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、香料および色素をいくらかの水で希釈し、撹拌しながら添加する。次いで、十分な水を添加し、必要とする体積にする。
【0113】
実施例8−製剤8
それぞれが15mgの活性成分を含有する硬質ゼラチン錠剤を以下のように製造する。
【0114】
【表8】

【0115】
活性成分、セルロース、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.20メッシュU.S.ふるいに通して、560mgの量を硬質カプセルに充填する。
【0116】
実施例9−製剤9
静脈内製剤は以下のように調製することができる。
【0117】
【表9】

【0118】
治療用の配合組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針または類似した鋭利な器具によって貫通可能な栓を有する静脈用注射液バッグまたはバイアルに入れる。
【0119】
実施例10−製剤10
局所用製剤は以下のように調製することができる。
【0120】
【表10】

【0121】
白色ワセリンを溶融するまで加熱する。流動パラフィンおよび乳化ろうを混ぜ込み、溶解するまで撹拌する。活性成分を添加し、分散するまで、撹拌を継続する。次いで、その混合物を固化するまで冷却する。
【0122】
実施例11−製剤11
エアロゾル製剤は以下のように調製することができる。0.5%重炭酸ナトリウム/食塩水(重量/体積)中の候補化合物の濃度30.0mg/mLの溶液を、下記手順を使用して調製する。
【0123】
0.5%重炭酸ナトリウム/食塩水ストック溶液の調製
【0124】
【表11】

【0125】
手順:
1.100mL容量フラスコに重炭酸ナトリウム0.5gを加える。
2.およそ90.0mLの食塩水を添加し、溶解するまで超音波処理する。
3.適量の食塩水で100.0mLにし完全に混合する。
【0126】
30.0mg/mLの候補化合物の調製:10.0mL
【0127】
【表12】

【0128】
手順:
1.10.0mLメスフラスコへ0.300gの候補化合物を添加する。
2.0.5%重炭酸ナトリウム/食塩水ストック溶液のおよそ9.7mLを添加する。
3.候補化合物が完全に溶解するまで超音波処理する。
4.適量の0.5%重炭酸ナトリウム/食塩水ストック溶液で10.0mLにし混合する。
【0129】
実施例12−デング熱ウイルス誘発細胞変性効果を測定する高処理能力選別の開発
高感度および再生可能な高処理能力選別(HTS)アッセイを、デングウイルス誘発性細胞変性効果(CPE)を測定するために確立した。5日間で完全なCPEを生成するのに必要なデングウイルスストックの量を求めるため、Vero細胞の単層を96−ウェルプレートに播種し、約0.001PFU/細胞から0.1PFU/細胞の感染多重度(MOI)を示すデングウイルスストックの10倍希釈液で感染させた。感染後5日目に、培養物を5%グルタルアルデヒドで固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色した。ウイルス誘発性CPEは、OD570にて分光測光法で定量した。この分析から、0.1PFU/細胞デングウイルスストックのMOIを、HTSアッセイにおいて用いるために選択した。96ウェルアッセイのシグナル対ノイズ比(S/N)を確立し、ウェル間およびアッセイ間のばらつきを評価するため、5回の独立した実験を行った。Vero細胞単層を、0.1PFU/細胞のデングウイルスストックで感染させた。各プレートは以下の対照:n=4のウイルス感染ウェル、n=4の未感染細胞ウェル、および標準リファレンスとしての、n=2のリバビリン500,250,125および62μMから得られた用量反応曲線を含んでいた。5日目の感染終了後、プレートを上記のように処理した。
【0130】
デングウイルスCPEアッセイを用いて、デングウイルス誘発性CPEの阻害について、SIGAの化学ライブラリーからの化合物を評価した。各プレート当たり80個の化合物を入れた48の96ウェルプレートで各評価を行い、1ラン当たり4608のデータを得た。この処理能力で、約52週間で200000の化合物を評価することができる。化合物をDMSOに溶解して、各ウェルにおける最終濃度が5μMの化合物および0.5%DMSOとなるように培地において希釈した。PerkinElmer MultiPROBE(登録商標)II HT PLUSロボットシステムを用いて無人操作で化合物を培地中に加えた。本化合物を加えた後、培養物をデングウイルス(DEN−2株New Guinea C)で感染させた。5日間培養後、プレートを処理して、PerkinElmer EnVision IIプレートリーダーシステムでCPEを定量した。
【0131】
これらの実験の結果は、96プレートアッセイフォーマットが強力で再現性があることを示した。S/N比(細胞対照ウェル(シグナル)のウイルス対照ウェル(ノイズ)に対するシグナルの比)は5.0±1.2であった。ウェル間のばらつきをそれぞれのプレートに対して求めたところ、陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルの両方について10%未満の変動係数を有し、全体のアッセイ間のばらつきは15%未満であることがわかった。このアッセイを用いて、リバビリンについてのEC50値を求めたところ、それぞれ125±25μMであった。デングウイルスに対するリバビリンの効果は細胞のタイプによって変化したが、得られた値は、この化合物について発表された値の範囲内であった(2、13、28)。これらをまとめると、これらの結果は、デングウイルス複製の阻害剤についての本発明者らの化合物ライブラリーを評価するための高感度および再現性のあるHTSアッセイの開発に成功したことを示す。
【0132】
実施例13−本発明の化合物の抗デング2活性の測定
実施例12において示したアッセイをデングウイルス阻害剤の高処理能力選別の基準とし、それに対して210000の化合物のライブラリーを試験した。デングウイルス誘発性CPEを少なくとも50%阻害する化合物を、化学的な扱いやすさ、効力、および選択性についてさらに調査した。
【0133】
最初に、ヒット化合物の化学構造を化学的扱いやすさについて試験した。化学的に扱いやすい化合物とは、妥当な化学的方法論を用いて合成可能なものであり、かつ化学的に安定な官能基および薬剤としての潜在的性質を有する化合物として定義される。この薬学的化学フィルタを通過したヒット化合物を、その効力について評価した。化合物の効力は、幅広い範囲の濃度にわたって阻害活性を評価することによって求めた。非線形回帰を用いて、最も一致する阻害曲線を生成し、50%有効濃度(EC50)を計算した。化合物の選択性または特異性は、通常、その生物学的効果に対するその細胞毒性の比として表す。細胞増殖アッセイを用いて50%細胞毒性濃度(CC50)を計算する;EC50に対するこの値の比は、治療指数(T.I.=CC50/EC50)として表す。2種類のアッセイを用いて細胞毒性を求めた。これら両方のアッセイは、代謝的に活性な細胞において生成する還元酵素活性を定量する標準的方法である(22)。一方は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド(MIT)の還元を測定する比色分析法であり、他方は、レザズリン(アラマーブルー)の還元を測定する蛍光測定を用いる。無関係なウイルスファミリーからのウイルスに対する阻害作用を評価することによって、選択性をさらに特徴づけることができた。16種の高品質デングヒット化合物が、HTS選別からの最初のヒット化合物のプールにおいて見出され、すべて25μM未満のEC50値を有していた。これらの化合物が4種の血清型のデングそれぞれに対して作用することの確認は、いくつかの薬剤濃度で行った収量アッセイを用いて実施し、それぞれについて力価を求めた。
【0134】
最初の選別において活性であった化合物を、ウイルス収量アッセイで活性に関して試験した。表1は、ある範囲の濃度のウイルス量アッセイにおけるデング−2(Strain New Guinea C)に対する活性を試験したいくつかの化合物を示す。12ウェルプレートのVero細胞を、0.1の感染多重度(MOI)でデング−2ウイルスに感染させ、化合物(または対照としてDMSO)で処置し、37℃でインキュベートし、感染させてから48時間後に回収し、上述したようにVero細胞上で力価を求めた。EC50は、ExcelFitを用いて計算した。他の血清型のデングウイルスに対する活性は同様に求めた。
【0135】
化合物3は、最初の高品質ヒット化合物のプール内で最も能力が高く選択的な化合物として識別され、すべての4個の血清型のデングに対して活性を有していた。この化合物の化学的類似体を入手し、これらの類似体を前記のように試験して、化学構造および生物活性の相関性を求めた(表1参照)。表1の化合物すべて、ラベルA、BまたはCは、デング熱に対して活性であり、25μM以下でEC50値を有する。
【0136】
表1−本発明の化合物のリストおよびそれらの抗デング−2ウイルス活性
【表13A】

【表13B】

【表13C】

【表13D】

【表13E】

【表13F】

【表13G】

【表13H】

【表13I】

【表13J】

【表13K】

【表13L】

【表13M】

【表13N】

【0137】
参考文献
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【0138】
本明細書において引用された全参考文献は、全目的のためにその全体が引用により本明細書に包含される。
【0139】
本発明はその好ましい実施形態において記載されているが、当業者によって理解されるように、より広く応用可能である。本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される担体、および下記一般式I:
【化1】

[式中、Xは、O、SおよびN−R’からなる群から選択され、ここで、R’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、スルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイルおよび置換カルバモイルからなる群から選択され;
Arは置換もしくは非置換アリールまたはヘテロアリールであり;また
A、B、DおよびEは、独立してそれぞれ、NまたはCR、CR、CRおよびCRであり、ここで、R、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アリールアシルオキシ、ヘテロアリールアシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アリールアシルアミノ、ヘテロアリールアシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、置換カルバモイル、ハロゲン、シアノ、イソシアノおよびニトロからなる群から独立して選択され、または、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよい、または、RおよびR、またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよく、環は芳香族または非芳香族であってもよく、環内に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、芳香族のまたは脂肪族の環と縮合していてもよい。]
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
Xが硫黄である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Arが置換アリールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
各A、B、DおよびEがC−Hである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
各A、BおよびEがC−Hであり、また、DがC−CHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ダイオキシン−6−カルボン酸(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−アミド;
2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
N−(3−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
4−ジメチルアミノ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
4−メチル−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−フタルアミド酸;
N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ベンズアミド;
およびN−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミド:
からなる群から式Iの化合物が選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
式Iの化合物が2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミドである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
式I
【化2】

[式中、XはO、SおよびN−R’からなる群から選択され、ここで、R’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、スルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイルおよび置換カルバモイルからなる群から選択され;
Arは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールであり;
A、B、DおよびEは、独立してそれぞれ、NまたはCR、CR、CRおよびCRであり、ここで、R、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アリールアシルオキシ、ヘテロアリールアシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アシルアミノ、アリールアシルアミノ、ヘテロアリールアシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アシル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、置換アミノスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、置換カルバモイル、ハロゲン、シアノ、イソシアノおよびニトロからなる群から独立して選択され、または、RおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよい、または、RおよびR、またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒に置換または非置換の環を形成してもよく、環は芳香族または非芳香族であってもよく、環内に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、また、芳香族または脂肪族の環と縮合していてもよい。]
の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物へ治療上有効量投与することを含む、ウイルス感染またはそれに関連する疾患の治療または予防処置の方法。
【請求項9】
Xが硫黄である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Arが置換アリールである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
各A、B、DおよびEがC−Hである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
各A、BおよびEがC−Hであり、また、DがC−CHである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
式Iの化合物が、
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ダイオキシン−6−カルボン酸(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−アミド;
2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
N−(3−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド;
4−ジメチルアミノ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミド;
4−メチル−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−フタルアミド酸;
N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−ベンズアミド;
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ベンズアミド;および
N−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−ベンズアミド;
からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
式Iの化合物が2,4−ジメトキシ−N−[4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−フェニル]−ベンズアミドである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物がヒトである、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
ウイルス感染はフラビウイルス感染である、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
フラビウイルスウイルスが、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、およびダニ媒介性脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ウイルス感染が、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス脳炎、C型肝炎、マレーバレー脳炎、および日本脳炎からなる群から選択される症状に関連する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ウイルスがデングウイルスである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記デング熱ウイルスが、DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ウイルス感染がデング熱に関連する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記デング熱が、古典的デング熱、デング出血熱症候群およびデング性ショック症候群からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗ウイルス物質、ワクチン、およびインターフェロンからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤の共投与をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記抗ウイルス物質がリバビリンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗ウイルス物質がシドフォビルである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記インターフェロンがペグ化されている、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2012−532102(P2012−532102A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517646(P2012−517646)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039462
【国際公開番号】WO2011/002635
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(509322904)シガ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】