説明

デンドリマー化合物及びそれを用いた有機発光素子

下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で示されるコアと、下記式(3)又は式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造とを含有することを特徴とするデンドリマー化合物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、デンドリマー化合物とその原料化合物、該デンドリマー化合物を用いた有機発光素子(以下、有機LEDということがある。)に関する。
【背景技術】
高分子量の発光材料や電荷輸送材料は低分子量のそれとは異なり溶媒に可溶で塗布法により発光素子における発光層や電荷輸層を形成できることから種々検討されている。
通常高分子量の材料としては直鎖型の高分子が知られている。
一方特異な高分子構造を有するデンドリマー化合物についても、近年発光材料や電荷輸送材料などへの応用(特許文献1、2、3)が報告されている。
【特許文献1】 特開平11−40871
【特許文献2】 特開平11−171812
【特許文献3】 WO02/067343
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光材料や電荷輸送材料等として有用な新規なデンドリマー化合物、その原料化合物、該デンドリマー化合物を用いた有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(5)で示される構造を含むデンドリマー化合物が、発光材料、電荷輸送材料等として有用であることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、以下の通りである。
(i) 下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で示されるコアと、下記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造とを含有することを特徴とするデントリマー化合物に関する。また本発明は、デンドリマーが高分子化合物の主鎖骨格又は側鎖の構成原子と結合していることを特徴とする高分子化合物に関する。

[式中、(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で示されるコアと、下記式(3)又は式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造とを含有することを特徴とするデンドリマー化合物。

[式中、ユニットCA、ユニットCB、ユニットCC及びユニットCDは、それぞれ独立に芳香環、金属錯体構造、下記式(5)で示される構造、並びに芳香環、金属錯体構造及び下記式(5)から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上の構造が直接又は下記(L−1)に示される2価の基により連結されてなる構造を表し、

{式中、A環及びB環はそれぞれ独立に芳香環を表し、Xは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−B(R)−、−Si(R)(R)−、−P(R)−又は−PR(=O)−を表し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基及び1価の複素環基から選ばれる置換基を示す。}

{ここでR’は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基から選ばれる基を示す。R’が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。a、b及びcは、それぞれ独立に1〜12の整数を示す。またdは1〜11の整数を示す。}
またユニットDA及びDBは、それぞれ独立に、芳香環、金属錯体構造、下記式(5)で示される構造、並びに芳香環、金属錯体構造及び下記式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上が連結されてなる構造を表す。また、上記コア及び上記樹枝構造の少なくとも一つが、上記式(5)で示される構造を有する。
またLは、直接結合、又は下記(L−2)から選ばれる連結基を示す。

ここでR’は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を示す。R’が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。]
(ii) ユニットCCが金属錯体構造を有する、上記(i)記載のデンドリマー化合物。
(iii) ユニットCDが金属錯体構造を有する、上記(i)記載のデンドリマー化合物。
(iv)ユニットCA又はユニットCBが金属錯体構造を有する、上記(i)記載のデンドリマー化合物。
(v) 世代数が1〜5である上記(i)〜(iv)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(vi) 上記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造が規則的に繰り返して構成される化学構造を有している上記(i)〜(v)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(vii) 式(1−2)で示されるコアが、下記の式(6−1)、式(6−2)又は式(6−3)で示される上記(i)〜(vi)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

[式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Arは、2価の芳香環又は2価の金属錯体構造を示す。Arは、3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。aa及びbbは、それぞれ独立に0又は1を示す。]
(viii) 式(1−3)で示されるコアが、下記の式(7−1)、式(7−2)又は式(7−3)で示される上記(i)〜(vi)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

〔式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Arは、2価の芳香環又は2価の金属錯体構造を示す。Arは、3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。aa及びbbは、それぞれ独立に0又は1を示す。〕
(ix) 式(1−4)で示されるコアが、下記の式(8−1)、式(8−2)、式(8−3)又は式(7−4)で示される上記(i)〜(vi)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

〔式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。
Arは4価の芳香環又は4価の金属錯体構造を示す〕
(x) 式(3)で示される樹枝構造が上記の式(7−1)、式(7−2)又は式(7−3)で示される上記(i)〜(ix)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(xi) 式(4)で示される樹枝構造が、上記の式(7−1)、式(7−2)、式(7−3)又は式(7−4)で示される上記(i)〜(ix)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(xii) A環及びB環が芳香族炭化水素環である上記(i)〜(xi)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(xiii) 前記コア及び前記樹枝構造の少なくとも一つが、金属錯体構造を有する上記(i)〜(xii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(xiv) 上記コアと樹枝構造に加えて更に表面基を有することを特徴とする上記(i)〜(xiii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
(xv) 正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と上記(i)〜(xiv)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物を含有することを特徴とする組成物。
(xvi) 上記(i)〜(xiv)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物と、主鎖に芳香環を含む共役系高分子化合物とを含むことを特徴とする組成物。
(xvii) 更に正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含む、上記(xvi)記載の組成物。
(xviii) 上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とするインク組成物。
(xix) 粘度が25℃において1〜100mPa・sである上記(xviii)記載のインク組成物。
(xx) 上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
(xxi) 上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする導電性薄膜。
(xxii) 上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする有機半導体薄膜。
(xxiii) 陽極及び陰極からなる電極間に、上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含む層を有することを特徴とする有機発光素子。
(xxiv) 上記(i)〜(xvii)のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含む層が発光層である上記(xxiii)記載の有機発光素子。
(xxv) 上記(xxiii)〜(xxiv)のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
(xxvi) 上記(xxiii)〜(xxiv)のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
(xxvii) 上記(xxiii)〜(xxiv)のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
(xxviii) 上記(xxiii)〜(xxiv)のいずれか一項に記載の有機発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
(xxix) 上記(xxiii)〜(xxiv)のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする照明。
【発明の効果】
本発明のデンドリマー化合物は発光材料や電荷輸送材料等として有用な新規なデンドリマー化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のデンドリマー化合物は上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で示されるコアと、上記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造とを含有する。
デンドリマー化合物については、特開平11−140180、特開2002−220468、VCH出版会社1996年発行の「Dendritic Molecules」、1998年6月現代化学第20〜40頁「デンドリマーの分子設計」、「デンドリマーの多彩な機能」、高分子47巻11月号(1998年)「デンドリマーの非線形光学材料への応用」などに記載されているが、本発明において、デンドリマー化合物とは、コア(核)と、枝分かれユニットを含む樹枝構造とから構成される化学構造を有する樹枝状の化合物のことである。ここで樹枝構造とは、DA又はDBの枝分かれユニット及び3つ又は4つの分岐した連結基を含む部分を言う。また樹枝構造及びその繰り返し部分をデンドロンと言う。
またデンドリマーの大きさを示す概念として世代(ジェネレーション)という概念が用いられる。本発明において、最も中心となる部分であるコアは、中心となる構造から1つ、2つ、3つ又は4つの分岐した連結基を含む部分までを指す。またコアから最初の樹枝構造又は枝分かれユニットからその末端部分までを第1世代と定義する。第1世代の樹枝構造の外側に次の樹枝構造を有する場合に、該次の樹枝構造又は枝分かれユニットからその末端までを第2世代と定義する。第3世代以降も同様に次の樹枝構造又は枝分かれユニットからその末端までを次の世代と定義する。
本発明のデンドリマーにおいて好ましい世代数としては、1〜5の範囲であり、更に好ましくは1〜3である。
デンドリマー化合物の構造としては、1種類の樹枝構造が規則的な繰り返し構造を有するデンドロンを有する下記式(18−1)、式(18−2)、式(18−3)及び式(18−4)に示すような構造が挙げられる。


また本発明のデンドリマー化合物の構造としては、一本のデンドロン中では同一の樹枝構造を有するが、一つの世代中では枝分かれの数が異なる2種類のデンドロンを有する下記式(18−5)で示される構造、一本のデンドロン中で同一の樹枝構造を有し、一つの世代中で枝分かれの数は同じで枝分かれユニットの種類が異なる2種類以上のデンドロンを有する下記式(18−6)で示される構造、世代ごとに樹枝構造が異なる1種類のデンドロンを有する下記式(18−7)で示される構造及びそれらを組み合わせたような式(18−8)で示される構造も含む。


また一部のデンドロンが規則的な繰り返し構造を有するような下記式(18−9)、(18−9−1)、(18−9−2)、(18−9−3)、(18−9−4)なども含まれる。



更に式(18−1)〜式(18−9)、(18−9−1)、(18−9−2)、(18−9−3)、(18−9−4)において、Lが世代ごと又はデンドロンごとに異なるデンドリマー化合物も含まれる。
デンドリマー化合物の構造としては、合成方法にもよるが合成のしやすさという観点からは、1種類の樹枝構造が規則的な繰り返し構造を有するデンドロンを有する上記式(18−1)、式(18−2)、式(18−3)及び式(18−4)に示される構造、並びに一本のデンドロン中では同一の樹枝構造を有するが、一つの世代中では枝分かれの数が異なる2種類のデンドロンを有する上記式(18−5)に示される構造、並びに一本のデンドロン中で同一の樹枝構造を有し、一つの世代中で枝分かれの数は同じで枝分かれユニットの種類が異なる2種類以上のデンドロンを有する下記式(18−6)に示される構造が好ましい。中でも1種類の樹枝構造が規則的な繰り返し構造を有するデンドロンを有する上記式(18−1)、式(18−2)、式(18−3)及び式(18−4)に示される構造がより好ましい。
ここでユニットCA、ユニットCB、ユニットCC及びユニットCDは、それぞれ独立に芳香環、金属錯体構造、下記式(5)で示される構造、並びに芳香環、金属錯体構造及び下記式(5)から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上の構造が直接又は下記(L−1)に示される2価の基により連結されてなる構造を表し、式(1−1)における下記の基は、

1価の基であり、式(1−2)における下記の基は、

2価の基であり、式(1−3)における下記の基は、

3価の基であり、式(1−4)における下記の基は、

4価の基である。
またユニットDA及びDBは、それぞれ独立に、芳香環、金属錯体構造、下記式(5)で示される構造、並びに芳香環、金属錯体構造及び下記式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上が連結されてなる構造を表し、
式(3)における下記の基は、

3価の基であり、式(4)における下記の基は、

4価の基である。
上記式(18−6)、式(18−7)及び式(18−8)において、ユニットDA’、ユニットDA’’は、ユニットDAと同じ定義であり、ユニットDA’、ユニットDA’’及びユニットDAは、互いに異なる種類のユニットを示す。ユニットDB’は、ユニットDBと同じ定義であり、ユニットDB’及びユニットDBは、互いに異なる種類の環を示す。
該芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環などの複素芳香環が挙げられる。
また金属錯体構造は、有機配位子を有する金属錯体である。該有機配位子としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、アセチルアセトン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体、サレン及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、2,6−ジ(2−ピリジル)−ピリジン及びその誘導体などが挙げられる。該錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムなどが挙げられる。
該金属錯体の例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、BtpIr(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等の三重項発光錯体などが挙げられる。



また前記式(5)において、A環及びB環はそれぞれ独立に芳香環を示す。芳香環の定義については、上記と同じである。またA環及びB環の芳香環の種類は、同一でも異なっていてもよい。
前記式(5)の無置換のものの具体例としては、次のような例が挙げられる。




Xは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−B(R)−、−Si(R)(R)−、−P(R)−又は−PR(=O)−を表し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基及び1価の複素環基から選ばれる置換基を示す。
上記芳香環、金属錯体構造及び前記の式(5)で示される構造は置換基Qを有していてもよい。置換基Qとしては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基が好ましい。無置換の芳香環の炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
ここに、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここに、アリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団である。芳香族炭化水素としては、ベンゼン環又は縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレンなどの基を介して結合したものが含まれる。
〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルとして具体的には、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、3,7−ジメチルオクチル、ラウリルなどが例示される。
アリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
アリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基などのフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基が好ましい。
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基が好ましい。
アリールアルキルチオ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基が好ましい。
アリールアルケニル基は、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C〜C12アルケニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。
アリールアルキニル基は、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C〜C12アルキニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基から選ばれる1個又は2個の基で置換されたアミノ基が挙げられ、炭素数は通常1〜60程度である。具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、カルバゾイル基などが例示される。
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基が挙げられ、炭素数は通常1〜60程度である。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロピルオキシシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、などが例示される。
置換シリルオキシ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルオキシ基が挙げられ、炭素数は通常1〜60程度である。
具体的には、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、ジメチル−i−プロピルシリルオキシ基、ジエチル−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ペンチルジメチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、オクチルジメチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ノニルジメチルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、トリメトキシシリルオキシ基、トリエトキシシリルオキシ基、トリプロピルオキシシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、ジメチル−i−プロピルシリルオキシ基、メチルジメトキシシリルオキシ基、エチルジメトキシシリルオキシ基、などが例示される。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
アシル基は、炭素数は通常2〜20程度であり、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
アシルオキシ基は、炭素数は通常2〜20程度であり、具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
イミン残基としては、イミン化合物(分子内に、−N=C−を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる)から水素原子1個を除いた残基が挙げられ、炭素数2〜20程度であり、具体的には、以下の基などが例示される。

アミド基は、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基などが例示される。
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数は4〜20程度であり、具体的には、以下の基などが例示される。

上記例示において、Meはメチル基を示す。
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を言い、該基は、置換基を有していてもよい。
無置換の1価の複素環基の炭素数は通常4〜60程度であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基としては、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基などが例示され、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
置換カルボキシル基は、通常炭素数2〜60程度であり、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基をいい、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。
下記の例は、1つの構造式中に複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。ここでRは水素原子であるか、又は、上述のように、芳香環、金属錯体構造及び前記の式(5)で示される構造が有することができる置換基Qと同じ定義を有する。溶媒への溶解性を高めるためには、1つの構造式中の複数のRのうち少なくとも一つが水素原子以外であることが好ましい。水素以外のRを本発明においては「表面基」と言う。またRは、置換基を含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましい。また、1つの構造式中のRの1つ以上が環状又は分岐のあるアルキル基を含む基であることが好ましい。複数のRが連結して環を形成していてもよい。
また、上記式においてRがアルキル基を含む置換基においては、該アルキル基は直鎖、分岐又は環状のいずれか又はそれらの組み合わせであってもよく、直鎖でない場合、例えば、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C〜C12アルキルシクロヘキシル基などが例示される。
更に、アルキル基を含む基のアルキル基のメチル基やメチレン基がヘテロ原子や一つ以上のフッ素で置換されたメチル基やメチレン基で置き換えられていてもよい。それらのヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。
式(1−1)における下記の基として、

具体的には下記のような1価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。









式(1−2)における下記の基として、

具体的には下記のような2価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。









式(1−3)における下記の基

及び式(3)における下記の基として、

具体的には下記のような3価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。

また、下記のような3価の複素芳香環基が挙げられる。

また下記のような3価の金属錯体構造を有する基が挙げられる。


また前記式(5)で示される構造を有する下記の3価の基が挙げられる。



更に式(1−3)における下記の基

及び式(3)における下記の基として、

芳香環、金属錯体構造又は前記の式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上が連結されてなる下記のような3価の基が挙げられる。




式(1−3)における下記の基として、

芳香環、金属錯体構造及び前記式(5)から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上の構造が前記(L−1)に示される2価の基により連結されてなる下記のような3価の基が挙げられる。






などが挙げられる。
上記の式A1〜A116で示した例において、Rは前記と同じ定義である。またXは前記式(5)と同じ定義である。
式(1−4)における下記の基

及び式(4)における下記の基として、

具体的には下記のような4価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。

また下記のような4価の複素芳香環基が挙げられる。

また下記のような4価の金属錯体構造を有する基が挙げられる。

また前記式(5)で示される構造からなる下記の4価の基が挙げられる。


更に
式(1−4)における下記の基

及び式(4)における下記の基として、

芳香環、金属錯体構造又は前記の式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上が連結されてなる下記のような4価の基が挙げられる。





式(1−4)における下記の基

芳香環、金属錯体構造及び前記式(5)から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上の構造が前記(L−1)に示される2価の基により連結されてなる下記のような4価の基が挙げられる。



などが挙げられる。
上記の式B1〜B89で示した例において、Rは前記と同じ定義である。またXは前記式(5)と同じ定義である。
ユニットCA、ユニットCBユニットCC又はユニットCD、ユニットDA又はユニットDBが、芳香環を有する場合、該芳香環として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環が好ましい。該芳香環は1つ以上の置換基を有していることが好ましい。また該芳香環の数としては、各ユニットにおいて1〜10が好ましい。
またユニットCA、ユニットCBユニットCC又はユニットCD、ユニットDA又はユニットDBが、金属錯体構造を有する場合、該金属錯体構造の数は、各ユニットにおいて1〜6が好ましく、1〜4が更に好ましい。
本発明のデンドリマー化合物は必須成分として、前記式(5)で示される構造を有する。すなわちコアのユニット(ユニットCA、ユニットCBユニットCC又はユニットCD)及び該樹枝構造中のユニット(ユニットDA及び/又はユニットDB)の少なくとも一方が、前記式(5)で示される構造を有する。
式(1−3)における下記の基

及び式(3)における下記の基が、

前記式(5)で示される構造を有する場合には、下記に示されるような3価の基が好ましい。

また式(2)における下記の基

及び式(4)における下記の基が、

前記式(5)で示される構造を有する場合に、下記に示されるような4価の基が好ましい。

上記式中A環、B環及びXは前記と同じ定義である。Arは、2価の芳香環又は金属錯体を有する2価の基を示す。Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に3価の芳香環又は金属錯体を有する3価の基を示す。Arは4価の芳香環又は金属錯体を有する4価の基を示す。aa及びbbは、それぞれ独立に0又は1を示す。
2価の芳香環とは、アリーレン基及び2価の複素環基のことである。
ここに、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、ベンゼン環又は縮合環をもつもの、及び独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を言い、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの2価の基である。
3価の芳香環、金属錯体を有する3価の基、4価の芳香環及び金属錯体を有する4価の基の具体例は、前記のとおりである。
ここでA環及びB環としては、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環が更に好ましい。またA環及びB環は置換基を有していることが好ましい。
該1〜4価の基の結合基の先には水素以外の基が連結しており、通常、連結基、樹枝構造、後述の表面基が連結している。
またXとして好ましくは−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−P(R)−及び−PR(=O)−であり、より好ましくは−O−、−S−である。ここでR及びRは前記と同じ定義である。
上記式(6−1)、式(6−2)及び式(6−3)の好ましい例としては、前記A45〜A67、A79〜A85などが挙げられる。
上記式(7−1)、式(7−2)、式(7−3)及び式(7−4)の好ましい例としては、前記B25〜B44、B47〜B52、B55、B56、B60及びB61などが挙げられる。
また本発明のデンドリマー化合物は、金属錯体構造を有することが好ましい。すなわちコアのユニット(ユニットCA、ユニットCBユニットCC又はユニットCD)及び該樹枝構造中のユニット(ユニットDA及び/又はユニットDB)の少なくとも一方が、金属錯体構造を有する。
発光の量子効率を向上させるという観点で、コアのユニット(ユニットCA、ユニットCBユニットCC又はユニットCD)が金属錯体構造を有することが好ましい。
式(1)における下記の基

が金属錯体構造を有する場合の好ましい例としては、前記A38〜A44、A86〜A89、A112〜A116などが挙げられる。
また式(2)における下記の基

が金属錯体構造を有する場合の好ましい例としては、前記B24、B57〜B64、B86〜B89などが挙げられる。
式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)におけるLは、直接結合、又は前記(L−2)から選ばれる連結基である。好ましくは直接結合又は下記(L−2’)に示される2価の基から選ばれる連結基であり、更に好ましくは直接結合である。

ここでR’は前記と同じ定義である。
本発明のデンドリマー化合物は、前記式(1)又は式(2)で示される中心となるコア(核)から前記式(3)及び式(4)で示される少なくとも1種類の樹枝構造が三次元的に繰り返して構成される化学構造を有しており、その末端構造(以後、表面構造ということがある)は、水素原子、又は縮合反応若しくは付加反応により前記(L−2)に記載の連結基を形成する基が挙げられる。具体的にはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホルミル基、又は下記(L−3)で示される基が挙げられる。

又は該末端構造としては、上記(L−3)で示される基が更に縮合反応若しくは付加反応した基が挙げられる。この場合、新たに形成された連結基から末端までの該連結基を除いた残基を表面基と呼ぶ。
本発明のデンドリマー化合物の末端構造として、該表面基を有していることが好ましい。該表面基としては、具体的にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、シリル基、置換シリル基、1価の複素環基、金属錯体構造を有する1価の基及び前記式(5)で示される構造を含む1価の基が挙げられる。
金属錯体構造を有する1価の基としては、下記のようなものが挙げられる。


また前記式(5)で示される構造を含む1価の基が挙げられる。

上記式中、R及びXは前記と同じ定義である。
次に本発明のデンドリマー化合物の製造方法について説明する。
デンドリマーの製造方法は、大きく2種類に分類することができる。すなわち第一の方法としては、コアを中心に枝分かれユニットを含む樹枝構造を三次元的に繰り返していく方法が挙げられる。また第二の方法としては、縮合反応又は付加反応によりコアを形成する部分構造とデンドロン、すなわち枝分かれユニットを含む樹枝構造が三次元的に繰り返して構成される化学構造、を含む多分岐化合物同士を、縮合反応又は付加反応によりコアを形成させる方法が挙げられる。
第一の製造方法として以下に具体的に述べる。すなわち下記式(8−1)、(9−1)、(8)又は式(9)で示される化合物と、下記式(10−1)及び式(11−1)で示される化合物から選ばれる少なくとも化合物を縮合反応若しくは付加反応させることにより第一世代のデンドリマー化合物を製造することができる。

ここでユニットCA、ユニットCB、ユニットDA及びユニットDBは前記の定義と同じである。またY、Y及びYY、それぞれ独立に縮合反応又は付加反応に関与する基を示し、かつ以下の条件を満たす。
すなわちYとYYの組合では縮合反応又は付加反応し前記Lを形成するが、YとYの組合せでは、縮合反応及び付加反応しない。
、Y及びYYとしては、具体的にはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、ホルミル基、又は前記(L−3)で示される基が挙げられる。
ここでアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基などが例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基などが例示され、アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基などが例示される。
ホウ酸エステル基としては、下記式で示される基が例示される。

式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。
スルホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHMe、−CHPh
(Xはハロゲン原子を示し、Phはフェニル基を示す。)
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPh(Xはハロゲン原子を示す。)
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPO(OR’)(Xはハロゲン原子を示し、R’はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基を示す。)
また前記の第一世代のデンドリマー化合物の製造方法に続いて、更に下記式(10−2)及び式(11−2)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を縮合反応又は付加反応させることにより第二世代のデンドリマー化合物を製造することができる。

ここでユニットDA及びユニットDBは前記の定義と同じである。ここでY及びYY、それぞれ独立に縮合反応又は付加反応に関与する基を示し、かつ以下の条件を満たす。すなわち上記YとYYの組合せ、Yと上記YYの組合せでは、縮合反応又は付加反応し前記Lを形成するが、上記YとYの組合せでは、縮合反応及び付加反応は起こらない。Y及びYYの具体例は前記と同じである。
第三世代以上のデンドリマー化合物も同様に、上記式(10−1)及び式(11−1)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物と、上記式(10−2)及び式(11−2)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物とを、交互に順番に縮合反応又は付加反応させることにより得られる。
第一の方法を模式的に示すと以下のようになる。前記式(8)で示される化合物と前記式(10−1)で示される化合物を縮合反応又は付加反応させることにより下記式(18−10)で示される第一世代のデンドリマーが得られる。

更に前記式(10−2)で示される化合物を縮合反応又は付加反応させることにより下記式(18−11)で示される第二世代のデンドリマーが得られる。

更に前記式(10−1)で示される化合物を縮合反応又は付加反応させることにより下記式(18−12)で示される第三世代のデンドリマーが得られる。

第一の製造方法の別の方法として以下に具体的に述べる。すなわち前記式(8)又は式(9)で示される化合物に対して、下記式(10−3)及び式(11−3)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を縮合反応又は付加反応より第一世代のデンドリマー化合物を製造することができる。

ここで環DA及び環DBは前記の定義と同じである。またYYは式(10−1)の定義と同じである。Yは、YYとは直接反応しないが、YYと縮合反応又は付加反応する基の前駆体となる基である。Yとして具体的には、Yが水酸基の場合、Yと縮合反応しうるカルボキシル基の前駆体としてホルミル基(酸化してカルボキシル基)、Yと縮合反応しうるホウ酸基エステル基の前駆体としてハロゲン原子(塩基と反応させた後、トリメトキシボランと反応)が挙げられる。またYがホルミル基の場合、Yと縮合反応しうるスルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基若しくはホスホネートメチル基の前駆体としてモノハロゲンメチル基が挙げられる。
また前記の第一世代のデンドリマー化合物の製造方法に続いて、更にYを、YYと縮合反応又は付加反応する基に変換し、上記式(10−3)及び式(11−3)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を縮合反応若しくは付加反応させることにより第二世代のデンドリマー化合物が得られる。
第三世代以降も同様に、YYと縮合反応又は付加反応する基に変換し、上記式(10−3)及び式(11−3)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物を縮合反応若しくは付加反応させることにより得られる。
第二の方法として具体的には、下記式(12−1)又は式(12−2)と前記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造が三次元的に規則的な繰り返して構成される化学構造を含有する多分岐化合物を、縮合反応若しくは付加反応させてユニットCA若しくはユニットCBを形成するデンドリマー化合物の合成法が挙げられる。

ここでLは前記と同じ定義である。またPC1は、1種類又は複数種類が縮合反応、付加反応又は金属に配位して、ユニットCA又はユニットCBを形成する部分構造である。ここでPC1は、1種類又は複数種類が金属に配位して金属錯体構造を含むユニットCA又はユニットCBを形成する部分構造である。1種類又は2種類が縮合反応又は付加反応してユニットCBを形成する部分構造。
より具体的には下記式(12−3)又は式(12−4)を出発原料として、上記式(10−1)及び式(11−1)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物と、上記式(10−2)及び式(11−2)で示される化合物から選ばれる1種類以上の化合物とを、交互に順番に縮合反応若しくは付加反応させることにより得られた多分岐化合物を、縮合反応、付加反応又は金属に配位させて、ユニットCA若しくはユニットCBを形成するデンドリマー化合物の合成法である。

ここでY1、PC1及びPC2は上記と同じ定義である。
式(12−1)及び式(12−3)における下記の基は

付加反応で3量化してベンゼン環を形成する下記のような

アセチレン骨格を有する基、又は下記のような

配位子の構造を有する基が挙げられる。
ここでArは、2価の芳香環、金属錯体を有する2価の基、又は前記式(5)の構造を有する2価の基を示す。
第二の方法を模式的に示すと以下のようになる。前記式(12−3)で示される化合物を出発原料として、前記式(10−1)及び式(10−2)で示される化合物を、交互に縮合反応又は付加反応させることにより下記式(18−13)で示される多分岐化合物が得られる。

次に式(18−13)の多分岐化合物を、縮合反応、付加反応又は金属に配位させることにより前記式(18−12)で示されるデンドリマー化合物が得られる。
第一の方法は、前記式(18−1)、式(18−2)、式(18−3)、式(18−4)及び式(18−7)で示される構造を有するデンドリマー化合物の製造方法に適しており、第二の方法は前記式(18−5)及び式(18−6)で示される構造を有するデンドリマー化合物の製造方法に適している。
本発明のデンドリマー化合物の製造方法で用いる縮合反応としては、縮合反応に関与する置換基に応じて、既知の縮合反応を用いることができる。縮合反応において、二重結合を生成する場合は、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物との、若しくはホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応、スルホニウムメチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法、ホルミル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のMcMurry反応などの方法が例示される。
本発明の三重結合を生成する場合には、例えば、Heck反応が利用できる。
また縮合反応に関与する基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基の場合には、山本カップリング反応などのニッケルゼロ価錯体存在下での縮合反応が挙げられる。
また縮合反応に関与する基の一方が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基であり、他方がホウ酸基、又はホウ酸エステル基である場合には、鈴木カップリング反応などのニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる縮合反応が挙げられる。
またエステル化反応、アミド化反応、又はホウ酸基若しくはホウ酸エステル基と水酸基のエーテル化反応などが挙げられる。
前記の式(8)、式(9)、式(10−1)、式(10−2)、式(11−1)及び式(11−2)で示される化合物のうち、式(5)で示される構造を含む化合物は、本発名のデンドリマー化合物を製造する際に、特に前記の第一の製造方法で製造する際に重要な原料であり、また他の多分岐型化合物や多分岐構造を有する化合物の原料としても有用である。
本発明のデンドリマー化合物の製造方法で用いる付加反応としては、縮合反応に関与する置換基に応じて、既知の付加反応を用いることができる。また付加反応に関与する基の一方が、ヒドロシリル基であり、他方がビニル基又はアセチレン基である場合には、遷移金属触媒を用いるヒドロシリル化反応が挙げられる。
該化合物として好ましくは、下記の式(6−4)、式(6−5)、式(6−6)、式(7−5)、式(7−6)、式(7−7)及び式(7−8)で示される化合物である。

ここでA環、B環及びXは前記と同じ定義であり、また好ましい範囲も前記と同じである。またAr、Ar、Ar、Ar、Ar及びAr、Ar、aa及びbbも前記と同じ定義である。YYは、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、ホルミル基、又は前記(L−3)で示される基である。
また前記式(12−1)又は式(12−2)と前記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造が三次元的に規則的な繰り返して構成される化学構造を含有する多分岐化合物、本発名のデンドリマー化合物を製造する際に、特に前記の第二の製造方法で製造する際に重要な原料であり、また他の多分岐型化合物や多分岐構造を有する化合物の原料としても有用である。
本発明のデンドリマー化合物を有機LED等に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、原料化合物を蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちにデンドリマー化合物の製造に用いることが好ましい。またデンドリマー化合物の製造後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
次に本発明のデンドリマー化合物の用途について説明する。
本発明のデンドリマー化合物は、固体状態で蛍光又は燐光を有し、発光体(発光材料)として用いることができる。
また、該デンドリマー化合物は優れた電荷輸送能を有しており、高分子LED用材料や電荷輸送材料として好適に用いることができる。
該デンドリマー化合物を用いた有機LEDは低電圧、高効率で駆動できる高性能の高分子LEDである。
従って、該有機LEDは液晶ディスプレイのバックライト、又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。
また、本発明のデンドリマー化合物はレーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜などの伝導性薄膜用材料としても用いることができる。
次に、本発明の有機LEDについて説明する。
本発明の有機LEDは、陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が本発明のデンドリマー化合物を含むことを特徴とする。
有機層は、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等のいずれであってもよいが、有機層が発光層であることが好ましい。
ここに、発光層とは、発光する機能を有する層をいい、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層をいい、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
有機層が発光層である場合、有機層である発光層が更に正孔輸送材料、電子輸送材料又は発光材料を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料のことをさす。更に、主鎖に芳香環を有する共役系高分子を含んでいてもよい。
本発明のデンドリマー化合物と正孔輸送材料と混合する場合には、その混合物全体に対して、正孔輸送材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明のデンドリマー化合物と電子輸送材料を混合する場合には、その混合物全体に対して電子輸送材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。更に、本発明のデンドリマー化合物と発光材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明のデンドリマー化合物と発光材料、正孔輸送材料及び/又は電子輸送材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光材料の混合割合は1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、正孔輸送材料と電子輸送材料はそれらの合計で1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、本発明のデンドリマー化合物の含有量は99wt%〜20wt%である。本発明のデンドリマー化合物と共役系高分子との組成物では、混合比率は最適な製膜性や発光特性が得られるように決めるものであるが、その混合物全体に対して、共役系高分子の混合割合は10wt%〜99wt%であり、好ましくは10wt%〜90wt%である。
混合する正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、共役系高分子化合物は、公知の低分子化合物や高分子化合物が使用できるが、高分子化合物を用いることが好ましい。高分子化合物の正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618、特開平2001−123156、特開平2001−3045、特開平2000−351967、特開平2000−303066、特開平2000−299189、特開平2000−252065、特開平2000−136379、特開平2000−104057、特開平2000−80167、特開平10−324870、特開平10−114891、特開平9−111233、特開平9−45478等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
低分子化合物の蛍光性材料としでは、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン若しくはその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
また、本発明のデンドリマーが高分子化合物の主鎖骨格または側鎖の構成原子と結合していることを特徴とする高分子化合物における、高分子部分については、上記に例示した公知の高分子化合物と同じものが好ましい。
低分子化合物の燐光材料としでは、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、BtpIr(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等の三重項発光錯体が挙げられる。
三重項発光錯体として具体的には、例えばNature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and DevicesIV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Syn.Met.,(1998),94(1),103、Syn.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Jpn.J.Appl.Phys.,34,1883(1995)などに記載されている。
三重項発光錯体と混合するデンドリマー化合物として、前記式(5)の構造において、Xが−O−である構造のみを有するもの、又はXが−S−である構造のみを有するもの、又はXが−O−である構造とXが−S−である構造のみを有する化合物は、燐光を有効に利用でき、発光の量子効率を向上させることができるので好ましい。
本発明の組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明のデンドリマー化合物とを含有し、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。本発明の組成物は、本発明のデンドリマー化合物を2種以上含有していてもよい。
その正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明のデンドリマー化合物の含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、上記の発光層におけると同じ含有比率が好ましい。
本発明の有機LEDが有する発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
印刷法等で用いるインク組成物としては、少なくとも1種類の本発明のデンドリマー化合物が含有されていればよく、また本発明のデンドリマー化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明のデンドリマー化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、更に好ましく80wt%〜99.0wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由するもの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
インク組成物として用いる溶媒としては特に制限はないが、該インク組成物を構成する溶媒以外の材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該インク組成物を構成する材料が非極性溶媒に可溶なものである場合に、該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
また、本発明の有機LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた有機LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた有機LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた有機LED等が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
本発明の有機LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、更に好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。
また、低分子化合物の正孔輸送材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の有機LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンが更に好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、上記の高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
更に電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた有機LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた有機LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた有機LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10以下がより好ましく、10−5S/cm以上10以下が更に好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
本発明の有機LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
通常本発明の有機LEDが有する陽極及び陰極の少なくとも一方が透明又は半透明である。陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の有機LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該有機LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該有機LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、更に酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
本発明の有機LEDは面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
本発明の有機LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子発光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
更に、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
(中間体Dの合成)
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに原料A(1g,1.7mmol)、原料B(0.861g,1.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(65mg,0.09mmol)を秤り取り、脱水THF(20mL)を加えた。この溶液を氷冷し、十分冷却した後に3M−水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加えて撹拌した。氷冷したまま7時間撹拌した後、水及びクロロホルムを加えて分液し、有機層をbrineで分液し硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶媒を留去してシリカゲルクロマトグラフィーにより中間体D(570mg,39.7%)を白色固体として得た。

H−NMR(300MHz/CDCl):
δ7.99(s、1H)、7.82−7.80(m、4H)、7.66−7.60(m、5H)、7.55−7.48(m、5H)、4.22−4.13(m、4H)、1.97−1.81(m、4H)、1.60−1.55(m、6H)、1.38(s、18H)、1.32−1.20(m、12H)、0.87−0.82(m、8H)
なお原料Aは特開2004−043544に記載の方法で、原料BはWO 02/066552に記載の合成法に準じて合成した。
(中間体Eの合成)

アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに中間体D(265mg,0.31mmol)を秤り取りTHF(10mL)を加えて溶解した。この溶液を−78℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(2.4M,0.17mL,0.40mmol)を滴下した。滴下終了後、温度を保持したまま15分撹拌を続けた。ここにイソプロポキシピナコールボラン(0.07g,0.04mmol)を加え、−78℃のまま4時間撹拌した。反応液を水でクエンチし、クロロホルムを加えて有機層を分液した。更に有機層をbrineで分液し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶媒を減圧留去して化合物Eの粗精製物を得た。この化合物はこれ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ8.10(s、1H)、7.86−7.79(m、4H)、7.66−7.63(m、5H)、7.50−7.47(m、5H)、4.19−4.10(m、4H)、1.90−1.80(m、4H)、1.62−1.56(m、6H)、1.55(s、12H)、1.38(s、18H)、1.33−1.20(m、12H)、0.90−0.82(m、8H)
(デンドリマーFの合成)

アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに中間体C(50mg,0.06mmol)と化合物E(340mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(30mg,0.04mmol)を秤り取り、THF(10mL)を加えた。ここにテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液(1.3mL)を加えて、加熱・還流した。反応終了後、水とクロロホルムを加えて分液した。有機層をbrineで分液し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去しシリカゲルクロマトグラフィーで分離することでデンドリマーF(80mg)を得た。なお、これは化合物F−1、化合物F−2も含まれていた。
MALDI TOF−MS:
M/Z=2991(M,デンドリマーF)、2291(M,化合物F−1)、1591(M,化合物F−2)

なお、中間体Cは、fac−tris−(2−(phenyl)pyridinato,N,C2’)iridium(III)を一般的な芳香族有機化合物の臭素化方法によって臭素化し、得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ7.85(d、J=8.1Hz、3H)、7.74(t、J=7.8Hz、3H)、7.48(d、J=9Hz、3H)、7.47(d、J=4.8Hz、3H)、6.98−6.90(m、6H)6.66(d、J=8.1Hz、3H)
【実施例2】
実施例1で得たデンドリマーFの1.0wt%クロロホルム溶液を調製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したクロロホルム溶液を用いてスピンコートにより1500rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約80nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10−4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を引加したところ、515nmにピークを有するEL発光が得られた。

実施例1で得たデンドリマーFを、下記化合物2に20wt%添加したものの、1.0wt%クロロホルム溶液を調製した。これを用いて、実施例2記載と同様の方法でEL素子を作製した。溶液のスピンコート条件は3000rpmで、膜厚は約85nmであった。得られた素子に電圧を印加したところ、515nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は12.4Vで100cd/m

【実施例4】
(デンドリマーGの合成)
中間体Dの合成時に得られる副生成をシリカゲルクロマトグラフィーにて分離し、更にクロロホルム/アセトニトリル混合溶液から再結晶することで、デンドリマーG180mgを単離した。

H−NMR(300MHz/CDCl):
δ7.88−7.68(m、8H)、7.68−7.65(m、10H)、7.51−7.48(m、8H)、4.19(t、J=5.7Hz、4H)、1.60−1.55(m、6H)、1.38(s、18H)、1.29−1.21(m、22H)、0.87−0.82(m、8H)
【実施例5】
実施例4で得たデンドリマーGの1.0wt%クロロホルム溶液を調製した。
これを用いて、実施例2記載と同様の方法でEL素子を作製した。溶液のスピンコート条件は3000rpmで、膜厚は約100nmであった。得られた素子に電圧を印加したところ、400nmにピークを有するEL発光が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で示されるコアと、下記式(3)又は式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造とを含有することを特徴とするデンドリマー化合物。

[式中、ユニットCA、ユニットCB、ユニットCC及びユニットCDは、それぞれ独立に芳香環、金属錯体構造、下記式(5)で示される構造を示すか、又は芳香環、金属錯体構造及び下記式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上の構造が直接又は下記(L−1)に示される2価の基により連結されてなる構造を表し、

{式中、A環及びB環はそれぞれ独立に芳香環を表し、Xは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−B(R)−、−Si(R)(R)−、−P(R)−又は−PR(=O)−を表し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基及び1価の複素環基から選ばれる置換基を示す。}

{ここでR’は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基から選ばれる基を示す。R’が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。a、b及びcは、それぞれ独立に1〜12の整数を示す。またdは1〜11の整数を示す。}
またユニットDA及びDBは、それぞれ独立に、芳香環、金属錯体構造、上記式(5)で示される構造を示すか、又は芳香環、金属錯体構造及び上記式(5)で示される構造から選ばれる同一でも相異なっていてもよい2個以上が連結されてなる構造を表す。また、上記コア及び上記樹枝構造の少なくとも一つが、上記式(5)で示される構造を含む。
またLは、直接結合、又は下記(L−2)から選ばれる連結基を示す。

ここでR’は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を示す。R’が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項1】
ユニットCCが金属錯体構造を有する、請求項1記載のデンドリマー化合物。
【請求項3】
ユニットCDが金属錯体構造を有する、請求項1記載のデンドリマー化合物。
【請求項4】
ユニットCA又はユニットCBが金属錯体構造を有する、請求項1記載のデンドリマー化合物。
【請求項5】
世代数が1〜5である請求項1〜4のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項6】
上記式(3)及び式(4)で示される樹枝構造から選ばれる少なくとも1種類の樹枝構造が規則的に繰り返して構成される化学構造を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項7】
式(1−2)で示されるコアが、下記の式(6−1)、式(6−2)又は式(6−3)で示される請求項1〜6のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

[式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Arは、2価の芳香環又は2価の金属錯体構造を示す。Arは、3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。aa及びbbは、それぞれ独立に0又は1を示す。]
【請求項8】
式(1−3)で示されるコアが、下記の式(7−1)、式(7−2)又は式(7−3)で示される請求項1〜6のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

〔式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Arは、2価の芳香環又は2価の金属錯体構造を示す。Arは、3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。aa及びbbは、それぞれ独立に0又は1を示す。〕
【請求項9】
式(1−4)で示されるコアが、下記の式(8−1)、式(8−2)、式(8−3)又は式(7−4)で示される請求項1〜6のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。

〔式中、A環、B環及びXは、前記と同じ定義である。Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に3価の芳香環又は3価の金属錯体構造を示す。
Arは4価の芳香環又は4価の金属錯体構造を示す〕
【請求項10】
式(3)で示される樹枝構造が上記の式(7−1)、式(7−2)又は式(7−3)で示される請求項1〜9のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項11】
式(4)で示される樹枝構造が、上記の式(7−1)、式(7−2)、式(7−3)又は式(7−4)で示される請求項1〜9のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項12】
A環及びB環が芳香族炭化水素環である請求項1〜11のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項13】
前記コア及び前記樹枝構造の少なくとも一つが、金属錯体構造を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項14】
上記コアと樹枝構造に加えて更に表面基を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物。
【請求項15】
請求項1〜14記載のデンドリマーが、高分子化合物の主鎖骨格または側鎖の構成原子と結合していることを特徴とする高分子化合物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物または/および請求項15記載の高分子化合物と、主鎖に芳香環を含む共役系高分子化合物とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項17】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と請求項1〜16のいずれか一項に記載のデンドリマー、高分子化合物あるいは組成物を含有することを特徴とする組成物。
【請求項18】
更に正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物、高分子化合物又は組成物を含有することを特徴とするインク組成物。
【請求項20】
粘度が25℃において1〜100mPa・sである請求項19記載のインク組成物。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする導電性薄膜。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含有することを特徴とする有機半導体薄膜。
【請求項24】
陽極及び陰極からなる電極間に、請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含む層を有することを特徴とする有機発光素子。
【請求項25】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のデンドリマー化合物又は組成物を含む層が発光層である請求項23記載の有機発光素子。
【請求項26】
請求項24〜25のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
【請求項27】
請求項24〜25のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項28】
請求項24〜25のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項29】
請求項24〜25のいずれか一項に記載の有機発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項30】
請求項24〜25のいずれか一項に記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする照明。

【国際公開番号】WO2005/026144
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513974(P2005−513974)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013585
【国際出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】