説明

データを入力する機構および方法

制限されたキーボードを使用して、データを入力する方法および機構が記載されている。非常に大まかに言うと、本発明は、限られた数のボタンをもつキーパッド上でデータを入力する機構および方法を構想している。幾つかの文字の各々が、入力デバイス上で、2つのボタンの対にマップされる。第1のボタンは、文字のグループを表わし、第2のボタンは、希望の文字のそのグループ内における位置を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、入力機構の分野、より具体的には、移動デバイス上の入力機構に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話および同様のハンドヘルド移動デバイスは、幅広い支持を得た。このため、これらは、多機能デバイスとして、日常的に用いられるようになった。例えば、同じハンドヘルド移動デバイスは、セルラ電話、パーソナル ディジタル アシスタント(personal digital assistant, PDA)、電子メールクライアント、およびインスタント メッセージング デバイスとして使用され得る。しかしながら、ほとんどのハンドヘルド移動デバイスの1つの制限は、入力機構であって、多くの場合において、標準的な12個のボタンのキーパッドである。
【0003】
12個のボタンのキーパッドを使用して、テキストを入力することは、可能な文字(character)数が使用可能なボタン数を大きく超えているので、困難な問題である。この問題を解決する幾つかの試みがあったが、種々の理由のために、理想に達していない。12個のボタンのキーパッドを使用する文字入力の最も一般的な方法は、“トリプル タッピング(triple-tapping)”である。トリプル タッピングは、各ボタンが文字の組を含む、限られた数のボタンをもつキーボードを使用することに関わる。文字の組から特定の文字を選択するために、ボタンを、その組の中のその文字の位置に合う回数、押す。例えば、ボタン上の文字の組が“d”、“e”、および“f”を含んでいるときは、ボタンを2回押すことによって、文字“e”を選択することになる。同様に、ボタンを3回押すことによって、“f”を選択することになる。
【0004】
トリプル タッピングは、種々の理由のために、非常に遅いプロセスである。第1に、ユーザは、ユーザが何れの文字(letter)を希望しているかによって、同じボタンを異なる回数押さなければならず、幾つかの文字に対しては3回まで押し、ある特定の文字に対しては4回押す。これは、多くのユーザを混乱させる。さらに加えて、“hello”のように、ボタン上の同じ文字グループの中の2つの文字を連続してもつ多くの単語がある。したがって、ユーザは、希望の文字に基づいて、単純にボタンを押し続けることができないことがしばしばあり得る。ある場合において、ユーザは、同じボタンを再び押す前に、デバイスに最後の文字を認めるための時間を与えるために、待たなければならない。この遅れは、ただでさえ遅いテキスト入力方法の時間を増す。
【0005】
制限されたキーパッドを使用する文字入力のための別の方法は、“T9”と呼ばれ、これは、Tegic Communications(ワシントン州シアトル)によって開発された予測テキスト入力方法である。T9の方法は、それが、各キーパッドのボタン上に示されている一連のグループの文字を、一般的な単語の辞書と関係付けているので、予測的である。T9対応の入力デバイスは、ボタンが押されたことを認め、押されたボタンと関係付けられた文字グループの中の任意の文字から始まる最も一般的な単語を表示し始める。ユーザが次のボタンを押すと、入力デバイスは、その表示を、押されたボタンの並び(sequence)と関係付けられる最も一般的な単語で更新する。このプロセスは、ユーザが単語を正しいと識別するか、またはトリプル タッピングのような別の入力方法に変更するまで続く。例えば、最初に、ユーザが、文字“g”、“h”、および“i”と関係付けられているボタンを押すと、T9対応のデバイスは、最初に、単語“I”を表示し得る。その理由は、これが、この1つのみのボタンの並びと関係付けられる最も一般的な単語であり得るからである。しかしながら、ユーザが、次に、文字“m”、“n”、および“o”と関係付けられているボタンを押すと、デバイスは、表示される単語を、“in”に変更し得る。その理由は、これが、入力された2つのボタンの並びと関係付けられる最も一般的な単語であるからである。最後に、ユーザが、次に、文字“w”、“x”、“y”、および“z”と関係付けられているボタンを押すと、デバイスは、表示される単語を、“how”に変更し得る。その理由は、これが、3つのボタンの並びと関係付けられる最も一般的な単語であるからである。最終的に希望の単語が表示されると、ユーザは、通常、その単語を、専用ボタンを使用して選択する。
【0006】
トリプル タッピングは改良されたが、T9は、その制限がなくなったわけではない。例えば、ユーザは、数字、特殊文字、およびデバイスの辞書にない単語を入力するのに、別の入力機構に切り換えなければならない。電子メールアドレスまたは短縮語句(例えば、“in my opinion”に対して“imo”)を入力するのが一般的である移動デバイスを使用するとき、これらのタイプのメッセージは、より一般的である。入力機構間を前後に切り換えることは、移動デバイスを使用して通常送られるメッセージに対するT9の使用を、トリプル タップングよりも、さらに一層遅くする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当業者は、今日まで、制限されたキーパッドを備えたデバイス上でデータを入力するための適切な方法および機構を得られなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、限られた数のボタンをもつキーパッド上で、文字から2つのボタンの対へのマッピングを使用して、データを入力する方法および機構に関する。1つの態様において、本発明は、データを、ボタンの複数のグループをもつキーパッドを含むデバイスへ入力する機構であって、ボタンの少なくとも1つが、関係付けられた文字の組をもち、ボタンの各グループが、ボタンの他のグループに関係する位置をもつ機構を構想している。さらに加えて、キーパッド制御デバイスが含まれていて、幾つかのタスクを行うように構成されている。1つのタスクは、第1のボタンの選択を示す信号を認識することであり、第1のボタンは、ボタンのグループの中の第1のグループと関係付けられている。別のタスクは、第2のボタンの選択を示す信号を認識することであり、第2のボタンは、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組の中の各文字は、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する位置をもつ。最後のタスクは、選択された文字を、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、ボタンの第1のグループの他のグループに対する位置と同じである文字として、識別することである。
【0009】
別の態様において、本発明は、ボタンの複数のグループを備えたキーボードをもつデバイス上で、ボタンの少なくとも1つは、関係付けられた文字の組をもち、ボタンの各グループが、ボタンの他のグループに関係する位置をもち、文字を識別する方法が実施される。本発明は、第1のボタンの選択を示す信号を受信することに関し、第1のボタンは、ボタンのグループの中の1つと関係付けられている。第2のボタンの選択を示す別の信号が受信され、第2のボタンは、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組の中の各文字は、関係付けられた文字の組内の他の文字に関係する位置をもつ。2つのボタンが押されたという通知を受信した後で、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、第1のボタンを含むボタンのグループの、ボタンの他のグループに対する位置と同じである文字が選択される。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、限られた数のボタンを備えたキーパッドをもつデバイス上で実施される。本発明は、文字を識別する方法であって、位置ボタンの選択を示す信号を受信することと、グループボタンの選択を示す別の信号を受信することとを含む方法を構想している。次に、位置ボタンが、2つのボタンの対の中の一方のボタンとして使用され、グループボタンが、2つのボタンの対の中の他方のボタンとして使用される2つのボタンの対へ、文字をマップするマッピング情報を参照することによって、希望の文字が判断される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、制限されたキーボードを使用して、データを入力する種々の技術および機構を詳しく記載する。非常に大まかに言うと、本発明は、限られた数のボタンをもつキーパッド上でデータを入力する機構および方法を構想している。幾つかの文字の各々が、入力デバイス上で、2つのボタンの対にマップされる。第1のボタンは、文字のグループを表わし、第2のボタンは、希望の文字のグループ内の位置を表わす。
【0012】
図1は、キーパッド103、プロセッサユニット104(汎用プロセッサ、専用通信プロセッサ、および/またはディジタル信号プロセッサを含むことができる)、およびメモリ106をもつ移動デバイス101を全体的に示す機能ブロック図である。この実施形態において、メモリ106は、オペレーティングシステム(operating system, O/S)110、1つ以上アプリケーション(application, Apps)112、およびキーパッド制御デバイス111を記憶するのに使用され、これらは、プロセッサユニット104によって実行される。キーパッド制御デバイス111は、キーパッド103を制御するのに使用されるソフトウェアドライバまたは他のモジュールであり得る。その代わりに、キーパッド制御デバイス111は、ハードウェアまたはファームウェアで実施されることもある。
【0013】
移動デバイス101は、制限されたキーパッドを備えた任意のハンドヘルド移動デバイスであり得る。このような移動デバイスの一般的な例は、セルラ電話、パーソナル ディジタル アシスタント、グローバル ポジショニング衛星ユニット(global positioning satellite unit)、ポータブル音楽プレーヤ、等を含む。この実施において、キーパッド103は、多くのセルラ電話上で一般的に使用されている標準的な12個のボタンのキーパッドである。キーパッド103は、2つのボタンが押されたことを認識することができる。これは、単純な2つ押す形式、すなわち、第1のボタンを押して、放し、次に、第2のボタンを押して、放すか、または第1のボタンを押し続け、第2のボタンを押すまで、放さない形式をとることができる。キーパッド103上のボタンの全てではないが、ほとんどが、関係付けられた文字グループをもつ。文字グループは、入力デバイスを使用して入力され得る文字の組全ての中に含まれている文字の任意のサブセットである。概して、各文字グループは、他のグループと同じ数の文字を含むが、異なる数の文字を有するグループをもつことも可能であり、実際に、ある特定の実施では、あり得る。本発明は、文字の特定のグループ分けに依存せず、幾つかの標準的なグループ分けが、業界内に存在する。例えば、6のボタン105は、文字“m”、“n”、“o”と関係付けられることが一般的である。
【0014】
キーパッド制御デバイス111は、ボタンが押されたという通知をキーパッド103から受信し、何れの文字が選択されたかを判断する機構である。本発明によると、キーパッド制御デバイス111は、ボタンの対を文字にマップするボタンマッピング情報113を参照して、何れの文字が選択されたかを判断する。より具体的には、キーパッド103上の2つのボタンが同時に、またはほぼ同時に押され、1つの文字を識別することができる。2つのボタンの一方は、文字の個々のグループ分けを識別し、他方のボタンは、希望の文字の個々のグループ分けの中における位置を識別する。この応用の目的において、“グループボタン”という用語は、前者を指すのに使用され、“位置ボタン”という用語は、後者を指すのに使用される。マッピング情報113は、個々のグループボタン−位置ボタンの対から、何れの文字が得られるかを識別する。
【0015】
操作において、デバイスのユーザは、グループボタンを押して、希望の文字が位置している特定のグループを識別する。ユーザは、さらに、位置ボタンを押して、そのグループ内における希望の文字の特定の位置を識別する。キーパッド制御デバイス111は、マッピング情報113を参照して、何れの文字が希望の文字であるかを判断する。上述の一般的な概念は、例によって最も良く示される。
【0016】
図2は、本発明にしたがって動作するように構成されたキーパッド203を備えたサンプルの移動デバイス201の図である。キーパッド203の各ボタンは、文字のグループを含んでいる。図2に示されている文字のグループの特定の配置は、ほんの一例であり、他の多くの配置が可能である。この概念を示すために、文字“x”を入力したいユーザは、最初に、文字“x”が存在している特定の文字グループを識別するグループボタンを押す。この例では、それは、9のボタン211であり、“wxyz”のグループ分けをもっている。さらに加えて、ユーザは、希望の文字のそのグループ内における位置を識別する別のボタンを押す。この例では、文字“x”は、そのグループ分けの中の2番目の文字である。したがって、ユーザは、そのグループボタンと同じ行(row)上の2番目のボタン、すなわち、8のボタン213を押す。ユーザが両者のボタンを押すと、移動デバイス201内のキーパッド制御デバイスは、“x”の文字が選択され、その文字がスクリーン230上に表示されると判断する。
【0017】
ボタン選択の個々の順序は、個々の実施において文字を判断するのに使用されるボタンのマッピングに整合しなければならないことに注意することが重要である。言い換えると、入力デバイスが、グループボタンが最初に押されると予想しているならば、押された第1のボタンは、グループボタンとして解釈されることになる。したがって、各実施において、これは重要であるが、最初にグループボタンが押されるか、または位置ボタンが押されるかは、本発明にとって重要ではない。
【0018】
図3Aおよび3Bは、本発明の1つの実施の動作の別の例を示している。ここでも、本発明にしたがって動作するように構成されたキーパッド303をもつ移動デバイス301が示されている。この例では、ユーザは、文字“w”を選択することを望んでいる。したがって、ユーザは、最初に、7のボタン305(図3A参照)を押し続け、次に、9のボタン307(図3B参照)を押し、その結果、文字“w”がスクリーン330上に表示される。この例では、押された第1のボタン(7のボタン305)が、文字の組内における希望の文字の位置を識別し、押された第2のボタン(9のボタン307)が、希望の文字が位置している特定の文字グループを示していることに注意すべきである。したがって、図2に示されている例とは対照的に、図3Aおよび3Bにおける順序は、位置ボタンが最初である。
【0019】
図4は、上述の一般的な概念を向上した概念図である。より具体的には、図4では、位置ボタンが、グループボタンと同じ行上にある必要がないという概念を示している。もっと正確に言えば、位置のより一般的な概念は、キーパッド403自体に対する押されるボタンの相対位置から得られ得る。言い換えると、キーパッド403は、大まかに、左側と右側とをもつ。1つの実施において、位置の識別は、ボタンの列(column)450の位置から得ることができ、ボタンの列450内には、キーパッド403に関係する位置ボタンが置かれている。図4には、ボタンの列450が示されているが、キーパッドに関係する同様の位置をもつボタンの任意のグループを使用することができ、本発明がボタンの列に必ずしも制限されないことが分かるであろう。
【0020】
したがって、ユーザが文字“u”を選択したいとき、ユーザは、最初に、適切なグループボタン(8のボタン407)を押す。しかしながら、希望の文字が、そのグループ内の2番目の文字である場合、ユーザは、8のボタン407を押し続ける一方で、8のボタン407をさらに押すことはできない。もっと正確に言えば、列450内の各ボタンは、キーパッド403の左から2番目の位置であるので、ユーザは、列450内の任意の他のボタンを押して、同じ効果を得る。
【0021】
上述の解決案では、各文字は、2つのボタン、すなわち、グループボタンと位置ボタンとを押すことを必要とする。第1のボタンを押し続け、一方で第2のボタンを押す実施において、グループ内の文字の1つを、1回押すだけで、指定することが可能である。(第1の)ボタンを押し、第2のボタンを押す前に、(第1のボタンを)放すと、デフォルトの文字が選択される。論理上の実施では、3文字のグループの真ん中の文字を、ボタンを1回押すことと関係付けることができる。これは、同じ列内の別の行のボタンを押すことを要求する上述の場合よりも、より直感的に分かる(intuitive)ことが分かるであろう。標準的な12個のボタンの電話のキーパッドに関係する別の実施では、ボタンを1回押すことを、各文字グループと関係付けられた数字と関係付けることができる。したがって、“g”、“h”、および“i”の各々は、2回押すことを必要とするが、このボタンを1回押すと、“4”になる。
【0022】
上述の概念は、キーパッドの各ボタンが、3文字のグループのボタンと関係付けられていて、かつキーパッドが3列のボタンを含んでいるキーパッドに直接に当てはまる。しかしながら、キーパッド上の各ボタンが、4文字のグループのボタン、例えば、“wxyz”と関係付けられるように、この概念を拡張することができる。この場合は、ボタンの1つの行を、グループ内の追加の文字を指定するのに使用することができる。12個のボタンのセル電話のキーパッドの論理的な例では、“0#”の行のボタンを選択し、“”を使用して、4番目の文字を指定することができる。これは、2つのボタンを押して、“7pqrs”内の“s”と、“9wxyz”内の“z”とを指定すること、および特殊文字(special character)を、残りの文字グループ内の4番目の文字として含むことを可能にする。この種のサンプルの実施は、図4に示されている。これは、各ボタン上の数字を、“#”記号で指定できるという付加的な長所をもち、“#”は、慣習的に、数字と関係付けられているので、これは、ある程度、直感的に分かる。
【0023】
さらに加えて、また別の実施形態では、第1のボタンを押し続け、一方で第2のボタンを押すことを要求せずに、ボタンを押す順序のみに基づいて、ボタンの対を識別し得る。言い換えると、入力デバイスは、2つのボタンが同時に押されているかどうかに関わらず、押される2つのボタンの各対を、1つの入力として識別し得る。
【0024】
次のテーブル1は、希望の文字の2つのボタンの対への1つのサンプルのマッピングを含んでいる。このサンプルのマッピングは、図5に示されているキーパッドのレイアウト503上に示されている3文字のグループ分けと関係付けられる。このサンプルのマッピングでは、位置ボタンを最初に押し、位置ボタンを押し続ける一方で、グループボタンを押す。このテーブルは、本発明の融通性を示すために、図3および4の例に関連して記載された順序と反対のボタンを押す順序を示していることに注意すべきである。
【表1】

【0025】
テーブル1において、ダッシュ記号“--”は、希望の文字が、グループ内における位置を、グループボタンがキーパッド上にもっている位置と同じところにもっていて、同じボタンを、グループボタンおよび位置ボタンの両者として、2回同時に押すことができないという上述で示した問題が生じていることを示している。したがって、図4に関連して記載したように、同じ列内の他のボタンの中の1つが、恐らく、位置ボタンとして使用され得る。その代わりに、希望の文字を、上述の1つのボタンを押す解決案を使用して、選択してもよい。同様に、例えば、非同時に順番にボタンを押す解決案を使用して、例えば、“3”のボタンを単純に押して、放すことを2回行うことによって、“e”を選択することができる。
【0026】
シャープ記号(#)は、0ないし9の幾つかの数字と関係付けられた位置ボタンとして使用されることに注意すべきである。実際の希望の数字は、その数字が存在しているボタン上の文字グループと関係付けられ、シャープ記号(#)は、そのグループ内におけるその位置を示すのに使用される。この例は、位置ボタンが、グループ内における希望の文字の実際の物理的な位置に必ずしも対応する必要がないことを示す。同様に、文字のグループ分けは全てが必ずしも同じボタン上にある必要がないことを示しておく。これらの特徴は、非常に多数の文字が、比較的に制限されたキーパッドを使用して、2つのボタンの対を用いて、マッピングされることを可能にする。この特徴は、幾つかのアジアの言語のような非常に多数の文字をもつ他の言語において、テキストまたはデータを入力するのにとくに役立ち得る。
【0027】
テーブル内の幾つか場合において、アスタリスク記号()を使用して、特殊記号または4番目の位置を示していることにも注意すべきである。この例は、特別に指定されたボタンを使用して、4文字を含んでいるグループのような特定のグループ内の特別な位置を示すことを表わしている。特別に指定されたボタンを使用して、4番目(または、他の)位置を示すとき、特別に指定されたボタンは、位置の指定子(designator)として普通に含まれるべきではない。言い換えると、図5を参照すると、アスタリスク記号()が、特別な位置(例えば、4番目の位置)のボタンとして使用されるときは、ボタンの第1の列512内の他のボタンが、そのグループ内の1番目の位置を示すのと同じやり方で、これが使用されるべきではない。シャープ記号(#)についても、同じことが言える。
【0028】
次のテーブル2は、別のサンプルのマッピングを含み、図6に示されているキーパッドのレイアウト603上に示されているように、キーパッド上の各ボタンは、関係付けられた4文字のグループ分けをもつ。この例では、アスタリスク ボタン611が、グループ内の4番目の位置を選択するときに使用するための特別に指定された位置ボタンとして使用される。さらに加えて、幾つかの一般的な記号が、グループ分けの中に含まれ、したがって、電子メールのアドレスのような、普通とは違う単語(non-ordinary word)、またはキャリッジリターン(carriage return <CR>)のような他の記号の入力を単純化する。
【表2】

【0029】
次のテーブル3は、さらに別のサンプルのマッピングを含んでおり、ここでも、図6に示されているキーパッドのレイアウト603上に示されているように、キーパッド上の各ボタンは、関係付けられた文字のグループ分けをもっている。この例では、テーブル1またはテーブル2における例とは異なり、各文字は、2つのボタンの順序対(ordered pairing)と関係付けられているが、第1のボタンを押し続け、一方で第2のボタンを押すことは要求されていない。したがって、文字“b”を選択するために、ユーザは、“2”のボタンを押して、放し、次に、再び“2”のボタンを押して、放す。この実施は、他のものに対して、ある特定の長所をもち、例えば、片手または1本の指で行うのに、より簡単である。
【表3】

【0030】
図7は、限られた数のボタンをもつキーパッドを使用して、データを入力するプロセス700を概略的に示す動作のフローチャートである。このプロセス700は、種々のデバイスを使用して、種々のやり方で実行され得る。しかしながら、プロセス700が、制限されたキーパッドの問題がとくに深刻である移動デバイスの領域において特定の適用可能性をもつとように構想されている。プロセスは、ボタンを備えたキーパッドをもつデバイス上で実行される。ボタンの全てではないが、ほとんどは、文字の組またはグループと関係付けられている。ボタンは、列のような、ある特定の集まり(collection)にまとめることができる。ボタンの各集まりは、他の集まりに関係する位置をもつ。例えば、ボタンの1つの列は、別の列に対して右端の位置をもち得る。さらに加えて、集まりは、1つのボタンであってもよい。
【0031】
プロセス700のステップ702において、第1のボタンの選択を示す信号が受信される。信号は、キーパッド制御デバイスにおいて受信され、これは、ボタンが押されたことを文字として解釈することを担当するある論理またはプログラミングであり得る。第1のボタンは、キーパッド上のボタンの1つの集まりと関係付けられている。
【0032】
ステップ704において、関係付けられた文字グループをもつ第2のボタンの選択を示す信号が受信される。関係付けられた文字グループ内の各文字は、グループ内の他の文字に関係する位置をもつ。例えば、文字グループが3文字を含むとき、文字の1つは、右端の文字であり、1つは、真ん中に位置し、1つは、左端の文字であり得る。その代わりに、文字のグループが、数字を含んでいるとき、各数字は、数値的に順序付けされ得る。個々の文字グループに応じて、多くの他の位置も可能である。
【0033】
ステップ706では、希望の文字が、関係付けられた文字グループ内の文字であって、その他の文字に対する位置が、第1のボタンを含むボタンの集まりの、ボタンの他の集まりに対する位置と同じである文字として、識別される。例えば、ボタンの集まりが、他の集まりに対する右端の集まりであるとき、文字グループ内の右端の文字が、希望の文字として識別される。
【0034】
図8は、限られた数のボタンをもつキーパッドを使用して、データを入力するプロセス800を概略的に示す別の動作のフローチャートである。ここでも、プロセス800は、ボタンを備えたキーパッドをもつ移動デバイスに対する特定の適用可能性をもつように構想されている。ボタンの全てではないが、ほとんどは、位置の特性とグループの特性とをもっている。ボタンのグループの特性は、個々のボタンが関係付けられている文字の組を識別する。ボタンの位置の特性は、任意の文字の組の中の何れの文字が、希望の文字であるかを識別する。
【0035】
プロセス800のステップ802において、位置ボタンの選択を示す信号が受信される。例えば、キーパッド上のボタンの1つが押され、その位置の特性が判断される。
【0036】
ステップ804において、グループボタンの選択を示す別の信号が受信される。例えば、キーパッド上の別のボタンが押され、そのグループの特性が判断される。
【0037】
ステップ806において、希望の文字は、文字を2つのボタンの対にマップするマッピング情報を参照することによって識別される。押された位置ボタンは、2つのボタンの対の中の一方のボタンとして使用され、押されたグループボタンは、2つのボタンの対の中の他方のボタンとして使用される。
【0038】
上述で2つのプロセスで記載された信号を受信するステップは、どんな順序でも行われ得ることに再び注目することが重要である。
【0039】
上述の技術を使用して、限られた数のキーをもつキーパッドを、相当により大きい範囲の文字へ、非常に容易にアクセスするように拡張することができる。1つのみのボタンではなく、基本的に2つのボタンを使用して、各文字を識別することによって、より少ないボタンで対応できる文字数が、劇的に増加する。さらに加えて、移動デバイスの多くのユーザが、各手の一本の指、例えば、両親指を使用して、ボタンを押すように、すばやく適応するので、キーパッドの使い易さは、あまり影響されない。多くのユーザが、既にそのようにしている。
【0040】
上述の技術は、多くの場合において、トリプルタッピングまたはT9の何れよりも速い。さらに加えて、1文字当たりに2つのボタンを押す直感的に分かる性質は、すぐに習得され、入力される内容に応じて、入力モードを前後に切り換える必要を回避する。同じ文字を2回打つとき、トリプル タッピングのように、遅くならない。
【0041】
順番に2つのボタンを押すことを使用して、文字を定めることについて、再び記載する。実施には、ボタンを同時に押すもの、または順次に押すものがある。言い換えると、最初に、第1のボタンを押し(そして、放し)、次に、第2のボタンを押すことによって、各文字を識別することができる。この実施には、オーバーロードの損失のような、欠点があるが、障害者のためのヒューリスティックな(heuristic)長所または応用のような、幾つかの長所がある。
【0042】
入力機構は、本明細書全体において、ボタンとして記載されているが、グラフィックディスプレイ上に表示される“ソフト”キーパッド、1組のトグルスイッチ、タッチ センシティブ メンブレン(touch sensitive panel)、等のような、複数の個々に選択可能な構成要素をもつことも理解されるはずである。したがって、“キーパッド”および“ボタン”という用語は、それらに適用可能な最も広い意味をもち、上述の例、および本明細書において記載されるそれ以外の多くの例を含む。
【0043】
本発明は、特定の実施形態および実施を参照して記載されたが、これらは、単に例示であり、本発明の範囲はこれらの実施形態に制限されないことが理解されるはずである。上述の実施形態に対する多くのバリエーション、変更、追加、および改良が可能である。これらのバリエーション、変更、追加、および改良は、特許請求の範囲において詳述される本発明の範囲に含まれると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施にしたがう、キーパッド制御デバイスの管理のもとにあるキーパッドをもつ移動デバイスを全体的に示す機能ブロック図。
【図2】本発明にしたがって動作するように構成されたキーパッドを備えたサンプルの移動デバイスの図。
【図3A】本発明の1つの実施の動作の別の例を示す図。
【図3B】本発明の1つの実施の動作の別の例を示す図。
【図4】図1ないし3に関連して記載された一般的な概念に対する向上を示す概念図。
【図5】本発明にしたがって動作するように構成されたサンプルのキーパッド配置の図。
【図6】本発明にしたがって動作するように構成されたサンプルのキーパッド配置の別の図。
【図7】限られた数のボタンをもつキーパッドを使用して、データを入力するプロセスを概略的に示す動作のフローチャート。
【図8】限られた数のボタンをもつキーパッドを使用して、データを入力するプロセスを概略的に示す別の動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
103,203,303,403,503,603・・・キーパッド、105・・・6のボタン、211,307・・・9のボタン、213・・・8のボタン、230,330・・・スクリーン、305・・・7のボタン、407・・・8のボタン、450・・・ボタンの列、512・・・ボタンの第1の列、700,800・・・プロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データをデバイスへ入力する機構であって、
ボタンの複数の集まりをもつキーパッドであって、ボタンの少なくとも1つが、関係付けられた文字の組をもち、ボタンの各集まりが、ボタンの他の集まりに関係する位置をもつキーパッドと、
キーパッド制御デバイスであって、
第1のボタンの選択を示す信号を認識し、第1のボタンが、ボタンの集まりの中の第1の集まりと関係付けられていて、
第2のボタンの選択を示す信号を認識し、第2のボタンが、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組の中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する位置をもち、
選択された文字を、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、ボタンの第1の集まりの他の集まりに対する位置と同じである文字として識別するように構成されたキーパッド制御デバイスとを含む機構。
【請求項2】
ボタンの集まりが、ボタンの列を含む請求項1記載の機構。
【請求項3】
キーパッドが、同時にボタンが押されたことを認識することができる請求項1記載の機構。
【請求項4】
第1のボタンおよび第2のボタンが、順序対を含み、選択された文字が、順序対にマップされる請求項1記載の機構。
【請求項5】
キーパッド制御デバイスが、第1のボタンを押すことを、第1のボタンの選択を示す信号と関係付け、第2のボタンを押すことを、第2のボタンの選択を示す信号と関係付けるように構成されている請求項1記載の機構。
【請求項6】
第2のボタンを押すことを、第1のボタンを押すことを解放する前に始める請求項5記載の機構。
【請求項7】
第2のボタンを押すことを、第1のボタンを押すことを解放した後に始める請求項5記載の機構。
【請求項8】
キーパッド制御デバイスが、第1のボタンを押すことを、第2のボタンの選択を示す信号と、第2のボタンを押すことを、第1のボタンの選択を示す信号と関係付けるように構成されている請求項1記載の機構。
【請求項9】
第2のボタンを押すことを、第1のボタンを押すことを解放する前に始める請求項8記載の機構。
【請求項10】
第2のボタンを押すことを、第1のボタンを押すことを解放した後で始める請求項8記載の機構。
【請求項11】
データをデバイスへ入力する機構であって、
ボタンが押されたことを示す信号を与える手段と、
第1のボタンの選択を示す信号を認識する手段であって、第1のボタンが、ボタンの複数の集まりの中の第1の集まりと関係付けられ、ボタンの各集まりが、ボタンの他の集まりに関係する位置をもつ手段と、
第2のボタンの選択を示す信号を認識する手段であって、第2のボタンが、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組の中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する位置をもつ手段と、
選択された文字を、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、ボタンの第1の集まりの他の集まりに対する位置と同じである文字として、識別する手段とを含む機構。
【請求項12】
ボタンの複数の集まりを備えたキーパッドをもつデバイス上で、ボタンの中の少なくとも1つは、関係付けられた文字の組をもち、ボタンの各集まりは、ボタンの他の集まりに関係する位置をもち、文字を識別する方法であって、
第1のボタンの選択を示す信号を受信することであって、第1のボタンが、ボタンの集まりの中の1つと関係付けられていることと、
第2のボタンの選択を示す別の信号を受信することであって、第2のボタンが、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する位置をもつことと、
選択された文字を、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、第1のボタンを含むボタンの集まりの、ボタンの他の集まりに対する位置と同じである文字を選択することによって識別することとを含む、文字を識別する方法。
【請求項13】
第1のボタンおよび第2のボタンが、順序対を含み、選択された文字が、順序対にマップされる請求項12記載の機構。
【請求項14】
第1のボタンの選択を示す信号が、第2のボタンの選択を示す信号の前に受信される請求項12記載の機構。
【請求項15】
第1のボタンの選択を示す信号が、第2のボタンの選択を示す信号の後で受信される請求項12記載の機構
【請求項16】
文字を識別するコンピュータ実行可能命令をもつコンピュータ読み出し可能媒体であって、
キーパッドの第1のボタンの選択を示す信号を受信することであって、第1のボタンが、ボタンの複数の集まりの中の少なくとも1つの集まりと関係付けられていて、ボタンの各集まりが、ボタンの他の集まりに関係する位置をもつことと、
第2のボタンの選択を示す別の信号を受信することであって、第2のボタンが、関係付けられた文字の組をもち、関係付けられた文字の組の中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する位置をもつことと、
選択された文字を、関係付けられた文字の組の中の文字であって、その文字の他の文字に対する位置が、第1のボタンを含むボタンの集まりの、ボタンの他の集まりに対する位置と同じである文字を選択することによって識別することとを含むコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項17】
第1のボタンおよび第2のボタンが、順序対を含み、選択された文字が、順序対にマップされる請求項16記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項18】
第1のボタンの選択を示す信号が、第2のボタンの選択を示す信号の前に受信される請求項16記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項19】
第1のボタンの選択を示す信号が、第2のボタンの選択を示す信号の後で受信される請求項16記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項20】
限られた数のボタンを備えたキーパッドをもつデバイス上で、文字を識別する方法であって、
位置ボタンの選択を示す信号を受信することと、
グループボタンの選択を示す別の信号を受信することと、
文字を2つのボタンの対にマップするマッピング情報を参照することによって、希望の文字を判断することであって、位置ボタンが、2つのボタンの対の中の一方のボタンとして使用され、グループボタンが、2つのボタンの対の中の他方のボタンとして使用されることとを含む方法。
【請求項21】
位置ボタンが、位置ボタンの位置を、キーパッド上の他のボタンに対して識別する請求項20記載の方法。
【請求項22】
グループボタンが、文字の組と関係付けられていて、関係付けられた文字の組中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する文字の位置をもつ請求項20記載の方法。
【請求項23】
位置ボタンが、文字グループの中の他の文字に対する希望の文字の相対位置と関係付けられている請求項20記載の方法。
【請求項24】
グループボタンが、複数の文字グループの中から文字グループを識別する請求項23記載の方法。
【請求項25】
位置ボタンの選択を示す信号が、グループボタンを選択することと、別のボタンを選択することなく、グループボタンを解放することとを含む請求項20記載の方法。
【請求項26】
文字を識別するためのコンピュータ実行可能命令をもつコンピュータ読み出し可能媒体であって、
位置ボタンの選択を示す信号を受信することと、
グループボタンの選択を示す別の信号を受信することと、
文字を2つのボタンの対にマップするマッピング情報を参照することによって、希望の文字を判断することであって、位置ボタンが、2つのボタンの対の中の一方のボタンとして使用され、グループボタンが、2つのボタンの対の中の他方のボタンとして使用されることとを含むコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項27】
位置ボタンが、キーパッド上の他のボタンに対して位置ボタンの位置を識別する請求項26記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項28】
グループボタンが、文字の組に関係付けられていて、関係付けられた文字の組の中の各文字が、関係付けられた文字の組の中の他の文字に関係する文字の位置をもつ請求項26記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項29】
位置ボタンが、文字グループの中の他の文字に対する希望の文字の相対位置と関係付けられている請求項26記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項30】
グループボタンが、複数の文字グループの中から文字グループを識別する請求項26記載のコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項31】
位置ボタンの選択を示す信号が、グループボタンを選択することと、別のボタンを選択することなく、グループボタンを解放することと含む請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−521096(P2008−521096A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541402(P2007−541402)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/041184
【国際公開番号】WO2006/055485
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】