説明

データを配信するためのシステム

【課題】学生が講義の中の理解できなかった箇所を再び視聴すること等を可能とするシステムを提供する。
【解決手段】このシステム1は、複数の教室にそれぞれ設置された複数の第1の端末11〜1mと、学内LANを介して第1の端末11〜1mに接続されたサーバ31と、インターネットを介してサーバ31に接続された複数の第2の端末21〜2nとを具備する。また、第1の端末11〜1mの各々は、プロジェクタ41と、CRT42と、ライトペン43と、マイクロフォン44と、スピーカ45と、データ格納部46と、表示制御部47と、アンプ48と、データ同期部49と、通信部50とを含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データを配信するためのシステムに関し、特に、講義に関するデータを配信するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大学等の講義においては、教官が、教室内に設置された黒板に文字等を書きながら、説明を行っていた。
【0003】
しかしながら、上記のような従来の講義では、学生は、講義の中の理解できなかった箇所を再び受講することができなかった。また、教官は、自己の講義を受講することができないので、自己の講義を改善することが困難であった。また、学生は、異動、退官等により大学から居なくなってしまった教官の講義を受講することができなかった。
また、薬学部、医学部、歯学部、農学部等の学生は、卒業時に薬剤師国家試験、医師国家試験、歯科医師国家試験、獣医師国家試験等を受けるが、これらの国家試験には、大学1年次に履修した科目からも出題される。しかしながら、学生が、大学1年次の講義を思い出すことは困難であった。
【0004】
さらに、薬学部等の学生の中には、薬剤師国家試験等に不合格となる者も生ずる。このように国家試験に不合格となってしまった既卒生は、翌年以降の国家試験を再度受験するが、このような既卒生は、講義を受講することが容易でないため、翌年以降の国家試験の勉強を行うことが困難であった。
また、薬剤師国家試験等に関する講義は、毎年同じ内容又は類似した内容となる場合もあるが、このような場合に、教官は、毎年同じ内容又は類似した内容の講義を行わなければならなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、学生が講義の中の理解できなかった箇所を再び視聴すること等を可能とする、データを配信するためのシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明に係るデータを配信するためのシステムは、複数の教室にそれぞれ設置された複数の第1の端末と、複数の第1の端末に接続されたサーバとを具備し、複数の第2の端末にデータを配信するシステムであって、第1の端末の各々が、文字又は画像を表示するための表示手段と、音声を出力するための音声出力手段と、学生に文字又は画像を提示するための第1のデータを格納するデータ格納手段と、学生に文字又は画像を提示するための第2のデータを教官が入力するための入力手段と、教官の音声を受け取って第3のデータに変換する音声入力手段と、第1のデータに基づく文字又は画像を表示手段に表示させるとともに、第2のデータに基づく画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、第3のデータに基づく音声を音声出力手段に出力させる音声出力制御手段と、第1〜第3のデータを同期させた第4のデータを出力するデータ同期手段と、第4のデータをサーバに送信する通信手段とを具備し、サーバが、複数の第2の端末からの要求に応じて、第4のデータを複数の第2の端末に配信することを特徴とする。
【0007】
ここで、第1〜第4のデータが、薬学、医学、歯学、又は、獣医学の科目の講義に関するデータであることとしても良い。また、第1〜第4のデータが、薬剤師国家試験、医師国家試験、歯科医師国家試験、又は、獣医師国家試験の試験科目の講義に関するデータであることとしても良い。
【0008】
本発明によれば、学生が講義の中の理解できなかった箇所を再び視聴すること等を可能することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の構成要素については、同一の参照番号で示している。
図1は、本発明の一実施形態に係るデータを配信するためのシステムを示す図である。図1R>1に示すように、このシステム1は、大学の教室内にそれぞれ設置された第1の端末11〜1mと、大学の構内に設置され、学内LAN(Local AreaNetwork)を介して第1の端末11〜1mに接続されたサーバ31と、学生、卒業生、聴講生等の自宅等にそれぞれ設置され、インターネットを介してサーバ31にそれぞれ接続された第2の端末21〜2nとを具備する。
【0010】
図2は、図1の第1の端末11〜1mの構成を示す図である。図2に示すように、第1の端末11〜1mの各々は、プロジェクタ41と、CRT42と、ライトペン43と、マイクロフォン44と、スピーカ45と、データ格納部46と、表示制御部47と、アンプ48と、データ同期部49と、通信部50とを含んでいる。
データ格納部46は、教官が文書作成アプリケーションプログラム、プレゼンテーションアプリケーションプログラム、グラフィックアプリケーションプログラム等を用いて予め作成したデータを格納しており、このデータは表示制御部47によって読み取られる。表示制御部47は、読み取ったデータに基づく文字又は画像をプロジェクタ41及びCRT42に表示させる。
【0011】
教官は、プロジェクタ41及びCRT42に表示された文字又は画像を見ながら、講義を行う。マイクロフォン44は、教官の音声を受信し、音声信号に変換して出力する。
マイクロフォン44から出力された音声信号は、アンプ48に入力される。アンプ48は、マイクロフォン44から受け取った音声信号に基づく音声をスピーカ45に出力させる。
【0012】
ライトペン43は、CRT42の表示画面上に押し当てられたときに走査線を読み取ってCRT42の表示画面上における位置を検知することにより、文字又は画像を入力するための装置である。教官は、CRT42の表示画面上に表示された文字又は画像を見ながらライトペン43を操作することにより、文字又は画像を入力することができる。表示制御部47は、データ格納部46に格納されているデータに基づいてプロジェクタ41及びCRT42の表示画面上に表示されている文字又は画像に、ライトペン43から受信した信号に基づく文字又は画像を重ねて表示させる。
学生は、プロジェクタ41に表示された文字又は画像を見ながら、スピーカ45から出力される音声を聞くことにより、教官の講義を受けることができる。
【0013】
データ同期部49は、表示制御部47から文字又は画像のデータを受け取り、マイクロフォン44から音声信号を受け取る。そして、データ同期部49は、表示制御部47から受け取ったデータとマイクロフォン44から受け取った音声信号を同期させたデータを通信部50に出力する。
通信部50は、データ同期部49から受け取ったデータを、学内LANを介して、サーバ31に送信する。
【0014】
サーバ31は、第1の端末11〜1mから受信したデータを蓄積して格納しており、格納しているデータを第2の端末21〜2nからの要求に応じて送信する。学生、卒業生、聴講生等は、第2の端末21〜2nを用いて、所望の講義を受講することができる。
【0015】
このように、システム1によれば、学生が、教室で受けた講義の中の理解できなかった箇所を帰宅してから再度視聴することができる。また、教官は、自己の講義を視聴し、自己の講義を改善することができる。また、学生は、異動、退官等により大学から居なくなってしまった教官の講義を、何時でも視聴することができる。さらに、大学院生、卒業研究生等の学会発表の練習に用いることができる。
【0016】
また、薬学部、医学部、歯学部、農学部等の学生は、卒業時に薬剤師国家試験、医師国家試験、歯科医師国家試験、獣医師国家試験等を受けるが、これらの国家試験には、大学1年次に履修した科目からも出題される。このような場合に、学生は、自宅において、大学1年次に受けた講義を再度視聴することが可能である。
さらに、薬学部等の学生の中には、薬剤師国家試験等に不合格となる者も生ずる。このように国家試験に不合格となってしまった既卒生は、翌年以降の国家試験を再度受験するが、このような既卒生も、大学に通うことなく、自宅において国家試験のための講義を視聴することが可能である。
また、薬剤師国家試験等に関する講義は、毎年同じ内容又は類似した内容となる場合もあるが、このような場合に、教官は、前年以前の講義のデータを利用することができ、学生は、前年以前の講義を視聴することができる。
【0017】
また、教官は、厚生労働省等の最新の情報を用いた講義を行うことができる。
さらに、書籍等においては、化学反応式等に矢印を書き加えることが困難である。しかしながら、システム1によれば、教官は、データ格納部46に格納されているデータに基づいてプロジェクタ41に化学反応式等を表示させ、さらに、ライトペン43を用いて手書きの矢印を化学反応式等に重ねてプロジェクタ41に表示させることができる。
【0018】
なお、本実施形態においては、学生に文字又は画像を提示するためにプロジェクタ41を用いることとしているが、各学生が着席する座席にLCD等の表示装置を配置して用いることとしても良い。また、教官が文字又は画像を入力するためにライトペン43を用いることとしているが、マウス、トラックボール、タブレット、ディジタイザ、キーボード等を用いることとしても良い。これらの入力装置をライトペン43に代えて用いることとすれば、CRT42を不要とすることができる。
また、データ格納部46は、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等で構成することができ、表示制御部47、データ同期部49、及び、通信部50は、パーソナルコンピュータとソフトウェア(プログラム)で構成することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上述べた様に、本発明によれば、学生が、教室で受けた講義の中の理解できなかった箇所を再度視聴することができる。また、教官が、自己の講義を視聴し、自己の講義を改善することができる。また、学生は、異動、退官等により大学から居なくなってしまった教官の講義を、何時でも視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータを配信するためのシステムを示す図である。
【図2】図1の第1の端末の構成を示す図である。
【符号の説明】
11、12、… 第1の端末
21、22、… 第2の端末
31 サーバ
41 プロジェクタ
42 CRT
43 ライトペン
44 マイクロフォン
45 スピーカ
46 データ格納部
47 表示制御部
48 アンプ
49 データ同期部
50 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の教室にそれぞれ設置された複数の第1の端末と、前記複数の第1の端末に接続されたサーバとを具備し、複数の第2の端末にデータを配信するためのシステムであって、
前記第1の端末の各々が、
文字又は画像を表示するための表示手段と、
音声を出力するための音声出力手段と、
学生に文字又は画像を提示するための第1のデータを格納するデータ格納手段と、
学生に文字又は画像を提示するための第2のデータを教官が入力するための入力手段と、
教官の音声を受け取って第3のデータに変換する音声入力手段と、
前記第1のデータに基づく文字又は画像を前記表示手段に表示させるとともに、前記第2のデータに基づく画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記第3のデータに基づく音声を前記音声出力手段に出力させる音声出力制御手段と、
前記第1〜第3のデータを同期させた第4のデータを出力するデータ同期手段と、
前記第4のデータを前記サーバに送信する通信手段と、
を具備し、
前記サーバが、
前記複数の第2の端末からの要求に応じて、前記第4のデータを前記複数の第2の端末に配信すること
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1〜第4のデータが、薬学、医学、歯学、又は、獣医学の科目の講義に関するデータであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1〜第4のデータが、薬剤師国家試験、医師国家試験、歯科医師国家試験、又は、獣医師国家試験の試験科目の講義に関するデータであることを特徴とする請求項1又は2記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−53619(P2004−53619A)
【公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−206539(P2002−206539)
【出願日】平成14年7月16日(2002.7.16)
【出願人】(596031930)
【Fターム(参考)】