説明

データ受信装置、該データ受信装置を備えた画像形成装置及びデータ受信方法

【課題】 ホストコンピュータ81と、CPU70、RAM71、及びROM82を含む画像処理装置とを接続する制御LSI100において、処理目的の異なる第一のデータと第二のデータとを、一方のデータを消滅させることなく他方のデータを受信すること。
【解決手段】 データラッチ[1]回路76、及びデータラッチ[2]回路77は、それぞれ処理目的の異なるデータを格納し、シフトクロック生成回路79は、所定の信号を受け入れると、データラッチ[1]回路76が格納するデータをデータラッチ[2]回路77へシフトさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータに接続される、プリンタのデータ受信装置、該データ受信装置を備えた画像形成装置、及びデータ受信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータとの間で、データ受信に関するハンドシェークを可能とする、IEEE1284インタフェースを備えるプリンタの普及が進んでいる。その機能の概要について説明する。
【0003】
図9は、従来のIEEE1284I/Fデータ受信部の機能ブロック図である。
図に示すように、IEEE1284I/Fデータ受信部としての制御LSI23は、CPU20、RAM21、及びROM30が、ホストコンピュータ22とインタフェースするために、CPUI/F回路24と、Busy信号制御回路29と、Strobeパルス検出回路25と、Strobeノイズ除去回路27と、Strobeエッジ検出回路26と、データラッチ回路28とを備える。
【0004】
CPUI/F回路24は、制御LSI23とCPU20、RAM21、及びROM30とをインタフェースする。Strobeパルス検出回路25は、ホストコンピュータ22が出力するStrobe信号のパルスを検出する。
【0005】
Strobeエッジ検出回路26は、Strobeパルスから立下りエッジまたは立ち上がりエッジのいずれかを速やかに検出してトリガを出力する。Strobeノイズ除去回路27は、Strobe信号にノイズがのり、微小な幅のパルスが発生することにより、エッジの誤検出を避けるために、システムクロックで数回サンプリングを行いサンプリング結果の多数決処理等によりノイズを除去する。
【0006】
データラッチ回路28は、Strobeエッジ検出回路26から受け入れた立下りエッジをトリガとしてホストコンピュータ22から受け入れるデータをラッチする。Busy信号制御回路29は、データラッチ回路28がデータラッチした際にホストコンピュータ22にデータ処理のための受信データラッチ信号を出力する。
【0007】
このようにして、ホストコンピュータ22が出力したData18がラッチされ、その結果が受信データラッチ信号としてCPUI/F回路24を介してCPU20及びRAM21へ送出される。ラッチされたデータの処理が終わると、次のデータ受信処理を行うためにCPU20がCPUI/F回路24を介してBusy信号制御回路29を制御し、Busy信号をオフしてデータ受信処理を終了する。
【0008】
従来のIEEE1284I/F受信データラッチレジスタではLSI内に1Byte分のメモリ領域を確保しており、Strobe信号をトリガとしてデータラッチを行い、そのデータに対応した処理を行っていた。尚、IEEE1284I/Fプリンタでは、印字データとして処理を行うコンパチビリティモードと双方向通信の拡張機能(ニブルモード、バイトモードなど、ネゴシエーションフェーズも含む)モードとをサポートしている。
【特許文献1】特開平04−140182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上説明した従来のIEEE1284I/Fプリンタのデータ受信部には以下に記す解決すべき課題が残されていた。
図10は、従来技術における問題点を説明するタイムチャートである。
コンパチビリティモードとネゴシエーションモードでは、ホストから送信されるデータ(図中の印字データと拡張要求値)の目的が異なる。従って、目的の異なるデータ毎に分けて処理する必要がある。ところが、コンパチビリティモードからネゴシエーションモードに遷移するときに、コンパチビリティモードにおいてラッチされた(図中の信号遷移S1)印字データの処理が完了する前に、ネゴシエーションモードの拡張要求値をラッチすることが発生し得る(図中信号遷移S2)。かかる場合には、印字データが拡張要求値により上書きされてしまうので、データ抜けなどの不具合が発生する可能性が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の発明は、上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置であって、上記第一の伝送モードと前記第二の伝送モードとを相互に切替えるモード切替部と、上記第一のデータ又は上記第二のデータの何れかを格納する第一のデータラッチ回路及び第二のデータラッチ回路と、所定の信号を受け入れると、上記第一のデータラッチ回路が格納するデータを上記第二のデータラッチ回路へシフトするデータシフト回路とを備え、一方の上記伝送モードで一方の上記データを上記第一のデータラッチ回路へ格納中に上記モード切替部が上記一方の伝送モードから他方の上記伝送モードへ切換えると、上記データシフト回路は、上記第一のデータラッチ回路が格納するデータを上記第二のデータラッチ回路へシフトすることを主要な特徴とする。
【0011】
第二の発明は、上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置におけるデータ伝送方法であって、一方の伝送モードで一方のデータを受信中に、上記一方の伝送モードから他方の上記伝送モードへ切替ると、受け入れた一方のデータを所定のメモリに退避させ、上記他方のデータを受け入れることを主要な特徴とする。
【0012】
第三の発明は、上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置であって、上記第一の伝送モード及び上記第二の伝送モードを相互に切替えるモード切替部と、FIFO機能及びスタック機能を有し、上記第一のデータ及び上記第二のデータをそれそれ異なるアドレス領域に格納するデータラッチバッファとを備え、上記データラッチバッファは、上記第一のデータ及び上記第二のデータの書き込み時には上記FIFO機能に基づいて読み込み順にデータを格納し、上記第一のデータ及び上記第二のデータの読出し時には、上記モード切替部の切換結果に対応し、上記FIFO機能及びスタック機能の何れかの機能に基づいてデータ読出しを実行することを主要な特徴とする。
【0013】
第四の発明は、上記第一又は第三の発明に記載のデータ受信装置を有し、更に該データ受信装置の制御に従って受信した前記第一のデータ又は前記第二のデータを印刷する印刷部を含む画像形成装置であることを特徴とする。
【0014】
第五の発明は、上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置におけるデータ伝送方法であって、上記第一のデータ及び上記第二のデータの書き込み時には上記FIFO機能に基づいて読み込み順にデータを格納し、上記第一のデータ及び上記第二のデータの読出し時には、上記モードに対応し、上記FIFO機能及びスタック機能の何れかの機能に基づいてデータ読出しを実行することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第一の発明及び第二の発明によれば、第一のデータラッチ回路及び第二のデータラッチ回路と、第一のデータラッチ回路が格納するデータを第二のデータラッチ回路へシフトするデータシフト回路とを備えるので、一方の伝送モードで一方のデータを第一のデータラッチ回路へ格納中に他方の伝送モードへ切換られても、一方のデータを消滅させることなく他方のデータを格納することが出来るという効果を得る。
【0016】
第三の発明及び第五の発明によれば、データの書き込み時にはFIFO機能に基づいて読み込み順にデータを格納し、データの読出し時には、FIFO機能及びスタック機能の何れかの機能に基づいてデータ読出し可能なデータラッチバッファを備えるので、一方の伝送モードで一方のデータをデータラッチバッファへ格納中に他方の伝送モードへ切換えられても、一方のデータを消滅させることなく他方のデータをデータラッチバッファへ格納することが出来るので一方のデータを消滅させることなく他方のデータを格納することが出来るという効果を得る。
【実施例1】
【0017】
(構成)の説明
図1は、実施例1のIEEE1284I/Fデータ受信部の機能ブロック図である。
図に示すようにIEEE1284I/Fデータ受信部としての制御LSI100は、Strobeエッジ検出回路72と、Strobeノイズ除去回路73と、CPUI/F回路74と、Busy信号制御回路75と、データラッチ[1]回路76と、データラッチ[2]回路77と、モード検出回路78と、シフトクロック生成回路79と、セレクタ80とを備える。
【0018】
Strobeエッジ検出回路72は、ホストコンピュータ81から受け入れるStrobe信号から立下りエッジを速やかに検出してトリガを出力する回路である。Strobeノイズ除去回路73は、Strobe信号にノイズがのり、微小な幅のパルスが発生することにより、エッジの誤動作を避けるために、システムクロックで数回サンプリングを行いサンプリング結果の多数決処理等によりノイズを除去する回路である。
【0019】
CPUI/F回路74は、制御LSI100と、CPU70、RAM71、及びROM82とのインタフェース回路である。Busy信号制御回路75は、データラッチ[1]回路76がデータラッチした際にホストコンピュータ81にBusy信号を出力する回路である。
【0020】
データラッチ[1]回路76、及びデータラッチ[2]回路77は、シフトレジスタの構成をとり、ホストコンピュータから受け入れる印字データや拡張要求値などのデータをそれぞれ1Byte分保持できるメモリである。これら両回路に保持されているデータはCPUから任意にリード可能である。また、どちらの回路にデータが保持されているかについても、両回路から出力されるデータ有無情報信号(フラグ)により判断される。
【0021】
モード検出回路78は、コンパチビリティモードとネゴシエーションモードのそれぞれの状態を認識できるようにAutoFeed信号とSelectIn信号の状態を監視する回路である。シフトクロック生成回路79は、Strobe信号のエッジ検出信号からシフトクロックを生成してデータラッチ[1]回路76、及びデータラッチ[2]回路77に送出し、ホストコンピュータ81からのデータ受信と次段へのデータラッチへのデータ転送を行う回路である。セレクタ80は、CPUI/F回路74と、データラッチ[1]回路76、及びデータラッチ[2]回路77の何れか一方を接続する回路である。
尚、図1において83は印刷部である。この印刷部83はデータラッチ回路76,77から後述するようにシフトされる印字データに基づいて印刷処理を実行する。
【0022】
図2は、実施例1のファームウェア制御処理構成ブロック図である。
この図は、プリンタのファームウェア制御処理ブロック構成を示す。電源投入により実行される初期化処理90において、メモリ、モータ、LEDなどのデバイスの初期化を行う。初期化が完了するとホストコンピュータからのデータ受信可能状態となり、ホストインタフェース送受信処理91に移行する。データを受信すると、受信データデコード及び展開制御処理92にてそのデータのデコード処理を行う。デコード処理により、制御コマンドもしくは印字データの判定を行い、対応した処理を実行する。そして、図1に示す印刷部83の印字ヘッドにインパクトするためのデータに展開する。尚、ホストインタフェース送受信処理91の中にネゴシエーション処理94が含まれている。本処理が含まれることにより、データ受信処理において、コンパチビリティモードでのデータ受信とネゴシエーションモードでのデータ受信を区別してファームウェアで行うことができる構成となっている。
【0023】
展開されたデータは印字制御処理93にて媒体にインパクトするための制御を行う。フィードモータ制御処理95では媒体を搬送する制御を行う。印字ヘッド制御処理96では展開した印字データを媒体にインパクトするための制御を行う。スペースモータ制御処理97では、媒体の任意の位置に印字するために、印字ヘッドを移動するための制御を行う。
なお、本データ受信処理は一定の周期で実行しており、その周期は数百μsから数百msである。
【0024】
(動作)の説明
図3は、実施例1の制御プログラム処理フローチャートである。
このフローチャートは、データ受信の監視から、受信データ処理後のBusy信号オフまでの処理を表したものである。図1を併用しながらステップS100からステップS114までステップ順に説明する。
【0025】
ステップS100
プリンタ側にてデータ受信の準備が完了すると、モード検出回路78は、現在のモードがコンパチビリティモードなのか、ネゴシエーションモードなのかを判定する。ここでモード検出回路78は、nSelect信号の変化(LowからHighへ)とnAutoFd信号変化(HighからLowへ)の両方が発生することによりネゴシエーションモードのフラグを立て、ネゴシエーションモードであることを判定する。
【0026】
ステップS101
現在のモードがネゴシエーションモードの場合はステップS102へ進み、そうでない場合(コンパチビリティモードの場合)は、ステップS109へ進む。
【0027】
ステップS102
CPU70は、データ受信完了か否かの判断を行う。この場合はデータラッチ[1]回路76とデータラッチ[2]回路77の双方の状態(フラグ)を読む。ただし、本モードでの印字データ処理では、コンパチビリティモードで受信していたデータを処理できていない場合がある。よって最後に受信したデータを処理する必要があるため、データラッチ[2]回路77から処理を行う。
【0028】
ステップS103
データラッチ[2]回路77が受信済の場合にはステップS104へ進み、そうでない場合にはステップS106へ進む。
【0029】
ステップS104
CPU70は、データラッチ[2]回路77からデータをリードする。
【0030】
ステップS105
CPU70は、Busy信号制御回路75を制御してBusy信号のオフ処理してフローを終了する。
【0031】
ステップS106
データラッチ[1]回路76が受信済の場合にはステップS107へ進み、そうでない場合にはフローを終了する。
【0032】
ステップS107
CPU70は、データラッチ[1]回路76からデータをリードする。
【0033】
ステップS108
CPU70は、Busy信号制御回路75を制御してBusy信号をオフ処理してフローを終了する。
【0034】
ステップS109
コンパチビリティモードの条件では、データラッチ[1]回路76がデータ受信完了か否かの判断を行う。この場合はデータラッチ[1]回路76とデータラッチ[2]回路77の双方の状態を読む。ただし、本モードでの印字データ処理では先に受信したデータを処理する必要があるので、データラッチ[1]回路76から処理を行う。
【0035】
ステップS110
CPU70は、データラッチ[1]回路76からデータをリードする。
【0036】
ステップS111
CPU70は、Busy信号制御回路75を制御してBusy信号のオフ処理してフローを終了する。
【0037】
ステップS112
データラッチ[2]回路77が受信済の場合にはステップS113へ進み、そうでない場合にはフローを終了する。
【0038】
ステップS113
CPU70は、データラッチ[2]回路77からデータをリードする。
【0039】
ステップS114
CPU70は、Busy信号制御回路75を制御してBusy信号のオフ処理してフローを終了する。
【0040】
図4は、実施例1のデータラッチ処理フローチャートである。
このフローチャートは、2Byte分のデータがデータラッチ[1]回路76及びデータラッチ[2]回路77に格納される動作を表したものである。図1を併用しながらステップS200からステップS207までステップ順に説明する。
【0041】
ステップS200
ホストコンピュータ81からコンパチビリティモードでStrobe信号が制御LSI100へ出力されると(その立ち下がりが検出されると)データラッチ[1]回路76及びデータラッチ[2]回路77は動作を開始する。
【0042】
ステップS201
データラッチ[1]回路76にデータが、あるか否かが検出され、データラッチ[1]回路76のフラグがH(ラッチデータ有り)のときはステップS202へ進み、L(ラッチデータ無し)のときはステップS206へ進む。
【0043】
ステップS202
シフトクロック生成回路79は、データラッチ[1]回路76にラッチされているデータをデータラッチ[2]回路77へシフトする。
【0044】
ステップS203
データラッチ[2]回路77のフラグがH(ラッチデータ有り)になり、データラッチ[2]回路77のフラグがL(ラッチデータ無し)になる。
【0045】
ステップS204
データラッチ[1]回路76へ受信データが格納される。
【0046】
ステップS205
データラッチ[1]回路76のフラグがH(ラッチデータ有り)になり、フローを終了する。
【0047】
ステップS206
データラッチ[1]回路76へ受信データが格納される。
【0048】
ステップS207
データラッチ[1]回路76のフラグがH(ラッチデータ有り)になり、フローを終了する。
【0049】
図5は、実施例1のデータ受信のタイムチャートである。
図の縦軸方向上から順番にnSelectIn信号、Data信号、nAutoFd信号、Strobe信号、nAck信号、Busy信号、データラッチ[1]回路のデータ内容、データラッチ[2]回路のデータ内容、ネゴシエーションモードフラグの状態、データラッチ[1]回路フラグの状態、データシフト[1]→[2]フラグの状態、データラッチ[2]回路フラグの状態、をそれぞれ表し、横軸方向は、項目に共通の時間経過を表している。
【0050】
図1を併用しながら、図中各項目毎に、信号又は状態が時間経過に基づいてどのように遷移するかについて説明する。
コンパチビリティモードでホストコンピュータ81からStrobe信号が制御LSI100へ出力されると、信号遷移S3により、データラッチ[1]回路76へ印字データの格納が開始される。同時にデータラッチ[1]回路76のフラグがHになる。
【0051】
ホストコンピュータ81から出力されている、nSelectIn信号がHへ、nAutoFd信号がLへ、それぞれ変化すると、信号遷移S4によりネゴシエーションモードフラグがHになりネゴシエーションモードへ変化する。
【0052】
ネゴシエーションモードでホストコンピュータ81からStrobe信号が制御LSI100へ出力されると、信号遷移S5により、データラッチ[1]回路76へ拡張要求値の格納が開始される。このとき信号遷移S6によりデータラッチ[1]回路76に格納されている印字データはデータラッチ[2]回路77へシフトされる。図に示すようにネゴシエーションモードに入った後、印字データが実際にデータラッチ[2]回路77へシフトされるまでにタイムラグがあるのは、印字データのシフトはStrobe信号の立ち下がりが基準になっており、Strobe信号の立ち下がりはnACK信号の立ち下がりが基準になっているからである。Strobe信号の立ち上がりはStrobe信号nパルス幅規定による。ここでは最小時間約0.5μSecである。
【0053】
同時にデータシフト[1]→[2]フラグが所定の時間Hを維持し、しかる後Lに戻る。このデータシフト[1]→[2]フラグの変化に基づく信号遷移S7によりデータラッチ[2]回路77のフラグがHになる。以上の動作により、2Byte分のデータがデータラッチ[1]回路76及びデータラッチ[2]回路77に格納される。
【0054】
(効果)の説明
以上説明したように本実施例によれば、コンパチビリティモードで受信していた未処理のデータがある場合においても、ネゴシエーションモードで送信された拡張要求値をラッチできるようになるため、前に受信したデータが消滅してしまうことがなくなるという効果を得る。また、ニブルモード、バイトモードからコンパチビリティモードに復帰したときも、未処理のデータから処理を続行できるためデータ保持のための特別な処理を設けることなくデータ受信を行うことができるという効果を得る。
【実施例2】
【0055】
(構成)の説明
図6は、実施例2のIEEE1284I/Fデータ受信部の機能ブロック図である。
図に示すようにIEEE1284I/Fデータ受信部としての制御LSI200は、Strobeエッジ検出回路72と、Strobeノイズ除去回路73と、CPUI/F回路74と、Busy信号制御回路75と、モード検出回路78と、データエンプティ検出回路205と、データフル検出回路206と、読み出しポインタ207と、書き込みポインタ208と、データラッチバッファ211とを備える。以下に実施例1と相違する部分のみについて詳細に説明する。実施例1と同様の部分については実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
データエンプティ検出回路205は、データラッチバッファ211にデータがフルに格納されているか否かを検出する回路である。データエンプティ検出回路205は、データラッチバッファ211に格納されているデータは0であるか否かを検出する回路である。
【0057】
読み出しポインタ207は、データラッチバッファ211におけるFIFO読出し位置を指定するポインタである。書き込みポインタ208は、データラッチバッファ211における書き込み位置を指定するポインタである。また、ネゴシエーションモードではスタック読出し位置を指定するポインタでもある。
【0058】
データラッチバッファ211は、FIFOとスタックの両方の構成をとることができる、数Byte分のデータ保持が可能なメモリである。その概要について説明する。
【0059】
図7は、実施例2のデータラッチバッファの概要説明図である。
以下に、図に示すデータラッチバッファにおける(1)データラッチ、(2)ポインタ更新、(3)ネゴシエーションモードでのリード、(4)コンパチビリティモードでのリード、の各内容について順番に説明する。
【0060】
(1)データラッチ
6Byte分データラッチできるデータラッチバッファの例を示す。このとき、データラッチバッファ211の最下段のエリアにはデータ[1]が格納されている。このデータがバッファに格納されている最も先に受信したデータである。このエリアアドレスを指し示すのが読み出しポインタ207である。また、次に受信するデータのエリアアドレスを指し示すのが書き込みポインタ208である。
【0061】
(2)ポインタ更新
受信データをバッファ内部にラッチしたときの例を示す。書き込みポインタ208が指し示すアドレスに受信データを書き込む。このときに書き込みポインタは次の空きエリアのアドレスを指し示すためにポインタがインクリメントされる。
【0062】
(3)ネゴシエーションモードでのリード
ネゴシエーションモードでのリードの例を示す。ネゴシエーションモードでは拡張要求値としてデータリード処理を行う。よって、コンパチビリティモードにて受信済みのデータをそのままにして拡張要求値のみ処理する必要がある。つまり、最後にラッチしたデータをリードすることになる。このとき、書き込みポインタ208はスタック読出しポインタとして動作する。スタック読み出しポインタをデクリメントした後にポインタが指し示すアドレスをリードする。この方法により拡張要求値のリードを行うことができる。
【0063】
(4)コンパチビリティモードでのリード
コンパチビリティモードでのリードの例を示す。コンパチビリティモードの受信データとしてリードする場合は最初にラッチしたデータを処理しなくてはならない。よって、FIFO読み出しポインタの指し示すアドレスエリアをリードすることで、必要とするデータをリードすることができる。また、読み出した後に、読み出しポインタ207をインクリメントすることで次のデータ処理に対応することができる。
【0064】
なおこのバッファはリング形式となっており、ポインタが最上位アドレスを超える場合は最下位アドレス値に更新される。
このように、3Byte以上のデータをラッチする構成とした場合についても上記のような方式にてコンパチビリティモードとネゴシエーションモードの双方で適切にデータリードすることができる。
【0065】
また、前述のエンプティフラグにおいては、データラッチバッファ内に1Byteも受信データが無い場合にはフラグをオンする。1Byte以上受信データをラッチしている場合にはフラグはオフとなる。
【0066】
エンプティフラグにおいては、データラッチバッファ内の全てのエリアにラッチデータがある場合にフラグをオンする。これはバッファのオーバーフローを防止するためのフラグであり、このフラグがオンされる間はホストコンピュータに対してデータ送信の停止を要求する。(Busy信号をオンする)
尚、印刷部83はデータラッチバッファ211からリードした印字データに基づいて印刷処理を実行する。
【0067】
(動作)の説明
図8は、実施例2の制御プログラム処理フローチャートである。
このフローチャートは、複数Byte分のデータがデータラッチバッファ211に格納される動作を表したものである。図6、図7を併用しながらステップS300からステップS306までステップ順に説明する。
【0068】
ステップS300
プリンタ側にてデータ受信の準備が完了すると本処理を実行する。まず、受信データ有無の判断が実行される。この場合データエンプティ検出回路205がエンプティフラグの状態をリードする。
【0069】
ステップS301
データ無しの場合は本処理を終了する。データ有りの場合はステップS302へ進む。
【0070】
ステップS302
モード検出回路78は、現在のモードを検出する。
【0071】
ステップS303
ネゴシエーションモードであった場合にはステップS304へ進み、コンパチビリティモードであった場合にはステップS307へ進む。
【0072】
ステップS304
ネゴシエーションモードなので受信済みのデータをそのままにして拡張要求値のみ処理する必要がある。このとき、書き込みポインタ208(スタック読出しポインタとして動作する)をデクリメントする(図7(3))。最後にラッチされたデータ(図7(3)のADR3)がリードされることになる。
【0073】
ステップS305
データが読み出され、処理される。
【0074】
ステップS306
Busy信号がオフされフローを終了する。
【0075】
ステップS307
コンパチビリティモードなのでFIFO読み出しポインタ207を指し示してステップS305へ進む。その後ステップS305でデータ[1](図7の(4))がリードされ、処理され、ステップS306でBusy信号がオフされフローを終了する。
【0076】
(効果)の説明
以上説明したように、コンパチビリティモードで受信していた未処理のデータがある場合においても、ネゴシエーションモードで送信された拡張要求値をラッチできるようになるため、前に受信したデータが消滅してしまうことが無くなるという効果を得る。また、ニブルモード、バイトモードからコンパチビリティモードに復帰したときも、未処理のデータから処理を続行できるためデータ保持のための特別な処理を設けることなくデータ受信を行うことができる。さらに、数Byte以上のデータを格納可能でかつ、ファーム処理についても読み出しポインタを参照するだけで受信データのリードが可能となり、処理構造を簡単にすることができるという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0077】
各実施例では、本発明をプリンタ装置に適用した例に限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、印刷機能を有する機器、即ちファクシミリ機能やMFP(複合装置)等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ホストコンピュータと接続された実施例1のIEEE1284I/Fデータ受信部を備えたプリンタ装置の機能ブロック図である。
【図2】実施例1のファームウェア制御処理構成ブロック図である。
【図3】実施例1の制御プログラム処理フローチャートである。
【図4】実施例1のデータラッチ処理フローチャートである。
【図5】実施例1のデータ受信のタイムチャートである。
【図6】ホストコンピュータと接続された実施例2のIEEE1284I/Fデータ受信部を備えたプリンタ装置の機能ブロック図である。
【図7】実施例2のデータラッチバッファの概要説明図である。
【図8】実施例2の制御プログラム処理フローチャートである。
【図9】ホストコンピュータと接続された従来のIEEE1284I/Fデータ受信部を備えたプリンタ装置の機能ブロック図である。
【図10】従来技術における問題点を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
【0079】
70 CPU
71 RAM
72 Strobeエッジ検出回路
73 Strobeノイズ除去回路
74 CPUI/F回路
75 Busy信号制御回路
76 データラッチ[1]回路
77 データラッチ[2]回路
78 モード検出回路
79 シフトクロック生成回路
80 セレクタ
81 ホストコンピュータ
82 ROM
100 制御LSI

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置であって、
前記第一の伝送モードと前記第二の伝送モードとを相互に切替えるモード切替部と、
前記第一のデータ又は前記第二のデータの何れかを格納する第一のデータラッチ回路及び第二のデータラッチ回路と、
所定の信号を受け入れると、前記第一のデータラッチ回路が格納するデータを前記第二のデータラッチ回路へシフトするデータシフト回路とを備え、
一方の前記伝送モードで一方の前記データを前記第一のデータラッチ回路へ格納中に前記モード切替部が前記一方の伝送モードから他方の前記伝送モードへ切換えると、前記データシフト回路は、前記第一のデータラッチ回路が格納するデータを前記第二のデータラッチ回路へシフトすることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項2】
上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置におけるデータ伝送方法であって、
一方の伝送モードで一方のデータを受信中に、前記一方の伝送モードから前記他方の伝送モードへ切替ると、受け入れた一方のデータを所定のメモリに退避させ、前記他方のデータを受け入れることを特徴とするデータ受信方法。
【請求項3】
上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置であって、
前記第一の伝送モード及び前記第二の伝送モードを相互に切替えるモード切替部と、
FIFO機能及びスタック機能を有し、前記第一のデータ及び前記第二のデータをそれそれ異なるアドレス領域に格納するデータラッチバッファとを備え、
前記データラッチバッファは、
前記第一のデータ及び前記第二のデータの書き込み時には前記FIFO機能に基づいて読み込み順にデータを格納し、
前記第一のデータ及び前記第二のデータの読出し時には、
前記モード切替部の切換結果に対応し、前記FIFO機能及びスタック機能の何れかの機能に基づいてデータ読出しを実行することを特徴とするデータ受信装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項3記載のデータ受信装置を有し、更に該データ受信装置の制御に従って受信した前記第一のデータ又は前記第二のデータを印刷する印刷部を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
上位装置と接続され、それぞれ処理目的のことなる、第一のデータが伝送される第一の伝送モードと第二のデータが伝送される第二の伝送モードとを有するデータ受信装置におけるデータ伝送方法であって、
前記第一のデータ及び前記第二のデータの書き込み時には前記FIFO機能に基づいて読み込み順にデータを格納し、
前記第一のデータ及び前記第二のデータの読出し時には、
前記モードに対応し、前記FIFO機能及びスタック機能の何れかの機能に基づいてデータ読出しを実行することを特徴とするデータ受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−265992(P2009−265992A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115537(P2008−115537)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】