説明

データ検索方法及び装置、プログラム、可読メモリ

【課題】 画像検索においてユーザの操作負担を軽減するデータ検索操作方法を提供する。
【解決手段】 表示されている複数の属性を含むデータから検索キーとなるデータを指示操作によって選択すると、その指示操作に対応して検索式が設定される。既定の軌跡を描くと、予め定められた規則に従って、既定の論理演算子が選択されたと認識される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ検索操作の方法及び装置、プログラム、可読メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機の高級、高機能化には目覚しいものがある。具体的にはコピー、プリンタに加えスキャナ、ファックスの機能を併せ持った複合機が市場の主流であり、複合機はオフィスにおける紙情報と電子データの入出力窓口として大きな役割を担っている。
【0003】
特に、複合機のスキャナ機能は、紙の形で存在する大量の文書を効率よく電子データ化することができる。このため、文書を手軽にスキャンして、ネットワーク上、または複合機自身がもつDB(データベース)に保存し、ドキュメント管理を行うケースが増えてきた(以下、紙文書をスキャンして電子化したものを文書画像と呼ぶ)。
【0004】
また、PC(パーソナルコンピュータ)の普及により文書作成はPC上のアプリケーションを用いて行われるのが一般的である(以下、アプリケーションで生成した電子的な文書を電子文書と呼ぶ)。
【0005】
文書画像や電子文書は紙に印刷した文書と比較すると、データの再編集、再利用が可能であること、多人数でのデータ共有が容易に出来ること、時間経過による劣化がない等の利点がある。一方、紙文書にも文書画像や電子文書と比べて読みやすさ、扱いやすさ、持ち運びの利便性、直感的なわかりやすさ等の利点がある。そのため、電子文書や文書画像を紙文書に出力する方が効率的という例は多く見受けられる。
【0006】
また、前例と逆に、再編集や再利用をしたいので紙文書と同一、または類似する文書画像や電子文書が必要になることも多い。
【0007】
例えば,会議で配布された紙資料をもとに新たな資料を作りたい場合や、紙文書の一部を破損してしまったので再度初期状態でプリントアウトしたい場合等が考えられる。しかし現状では、この資料を作成した本人に問い合わせて電子文書を入手して対処している場合が大半を占めている。このように、人手を介して電子ファイルを入手する点が文書の再利用性を阻害する原因となっている。
【0008】
以上のことからドキュメント管理全体の効率化のために、紙文書から文書画像や電子文書をすばやく検索する技術は必要不可欠になっている。
【0009】
オフィスや家庭で流通する文書には文字、写真、図形、表、またはこれらが混在しているのが一般的である。このような文書情報をデータベース化した場合、想定される検索方法には以下の例があげられる。
【0010】
検索キーを単語やフレーズとし、関連するデータを検索
検索キーを文書画像全体の画像特徴量とし、類似する画像データを検索
検索キーを文書画像に付加された情報とし、当該情報を含むデータを検索
(以下、情報検索で索引となる単語、フレーズ、グラフィックデータ等のデジタルデータを検索キーと呼ぶ。)
部分データの検索には文書画像内を分割した写真や文字などの領域を検索キーとして検索する。
【0011】
先行例として画像中のユーザが指定したひとつないし複数の領域と対応する論理演算子を決定し検索を行うことが提案されている(例えば〔特許文献1〕参照)。
【0012】
先行例としてデータベースに登録されているデータに関するキーワードをそれぞれ図形的に表すキーワードアイコンを準備し、検索条件設定ウィンドウを表示し、検索条件設定ウィンドウ内に少なくとも1つのキーワードアイコンを配置することによって、検索条件を設定している(例えば〔特許文献2〕参照)。
【特許文献1】特開2002−297610号公報
【特許文献2】特開平10−289251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの検索方法はコンピュータ上のアプリケーションによって既に実現されているものもあるが、検索キーとなる情報をコンピュータへ入力する、検索キーの属性によってはユーザの手によって検索するためのアプリケーションを選択する、検索先のデータベースを切り替えるなどの操作が求められる。また、異なる属性をもつデータの検索結果の統合は、操作が複雑で困難であり、コンピュータの操作スキルが高いとはいえないユーザ層にとって、画像検索の一連の操作が大きな負担となっていた。
【0014】
本発明は、斯かる実情に鑑み、画像検索においてユーザの操作負担を軽減するデータ検索操作方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明によるデータ検索方法は以下の構成を備える。即ち、複数の属性を含むデータを表示する表示工程と、前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択工程と、前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定工程と、前記検索キーの属性を判別する判別工程と、前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法により検索する検索工程。
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明によるデータ検索方法は以下の構成を備える。即ち、複数の属性を含むデータを表示する表示手段と、前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択手段と、前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定手段と、前記検索キーの属性を判別する判別手段と、前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法によりデータベースを検索する検索手段。
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明によるデータ検索方法は以下の構成を備える。即ち、複数の属性を含むデータを表示する表示手順と、前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択手順と、前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定手順と、前記検索キーの属性を判別する判別手順と、前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法によりデータベースを検索する検索手順。
【発明の効果】
【0018】
本発明に依って、検索に伴うユーザの操作を画面上で可視化できる。また、ポインティングデバイスなどの指示手段を使って、ユーザは検索を希望するデータの選択を分かりやすく指示することができる。さらに、操作に基づいて簡単に検索式を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明を実施するためのデータ検索装置の構成を示すブロック図である。101はROM102に格納されている制御プログラムに従って本装置全体の制御を行うCPU、102はCPU101が実行する後述するフローチャートに示す処理等本装置の制御プログラム等を格納するROM、103は文書画像等を記憶するRAM、104は磁気ディスク等の外部記憶装置であり、105はディスプレイ等のデータ表示装置、106はマウス、トラックボール、液晶タッチパネル等に用いるペン等のポインティングデバイス、107はスキャナ等のデータ入力装置である。
【0021】
本発明は汎用的なコンピュータでも実施可能であり、その場合、媒体等で提供される制御プログラムを外部記憶装置104に記憶し、オペレータの指示等によりCPU101で実行するように構成されてもよい。また、109はネットワークインターフェースであり、図示しない遠隔地に存在する装置と通信し、プログラムやデータなどを読み込んだり、書き込んだりする。またプリンタ等のデータ出力装置108が接続された構成でもよい。また、データ表示装置105、データ入力装置107、データ出力装置108などがインターフェイスを介して接続された構成でもよい。
【0022】
図2は実施形態1のフローチャートである。
【0023】
ステップS201で検索画像を入力する。本実施例では図1に示すイメージスキャナ108等から検索画像を入力しているが、複数の属性を含むデータであれば、これに限られるものではない。また、入力はスキャナからに限られるものではなく、他の端末からの入力や、端末中に存在するデータであっても良い。一例として、図3に示す301はステップS201で得られた検索画像である。
【0024】
検索の前処理として、検索画像を属性に基づいて領域分割する。ここでいう属性とは、領域の性質をあらわす特徴名であり、具体的には文字、写真、表、図形等がある。領域分割処理技術の具体例としては、USP5680478号公報(Canon)記載の処理などがある。分割したデータを属性ごとに色を変えた色枠等で可視化する。太線で属性データの境界を区切るなどユーザが可視化して認識できる手段であれば色枠に限られるものではない。
【0025】
ステップS202では検索キー領域および論理演算子を選択する。ステップS203では前段階で選択された検索キー領域と論理演算子を表示する。図4を例に説明する。図4は検索画像から検索式を作成し、作成した検索式を表示する画面である。まず、検索キー領域の指定を行う。例えば、ポインティングデバイスで任意領域を囲う動作や、ポインティングデバイスで指し示す動作、ポインティングデバイスでクリックする動作、ポインティングデバイスを移動させる動作などで決定しても良い。図4では401、402を検索キー領域の候補とする。次に、検索キー領域の登録を行う。指定した検索キー領域をポインティングデバイスで指し示し、検索フィールド403上にドラックアンドドロップする。この検索キー領域は、各属性データ全体を選択したと認識してもよいし、ポインティングデバイスの各方法で指示した部分データであると認識してもよい。
【0026】
論理演算子の登録は検索キー領域の場合と同様である。405,406,407の論理演算子ボタンを検索フィールドにドラックアンドドロップすればよい。図4ではマウスポインタで軌跡408を描き、論理演算子”&(AND)”の意味をもつボタン405を検索フィールドにドロップしている。一度検索フィールドにドラッグして登録した検索キー領域を削除したい場合は、412のメニューを選択し、409の削除ボタンを押す。検索キー領域の属性に基づいて詳細な検索手法の設定を行うには、410の詳細設定ボタンを押すことで詳細設定画面図5を呼び出し、メニュー501等で類似画像検索、OCR検索などの検索手法を選択する。最後に検索開始ボタン411または502をポインティングデバイスで指し示すことで検索を実行する。
【0027】
ステップS204では検索式を元にデータベースを検索する。このデータベースは外部記憶104や、ネットワークI/F109を経由した図示しない遠隔地の装置に格納しても良い。データベースは、磁気ディスク、サーバ、ストレージなどの一般的な記憶装置である。
【0028】
ステップS205ではステップS204で得られた検索結果を表示、出力する。
【0029】
<実施形態2>
図1に示すデータ検索装置が実行する他の実施形態を説明する。
【0030】
実施形態1では、検索キー領域をポインティングデバイスで検索フィールドまでドラックすることで検索式を作成している。実施形態2では、検索フィールドまでドラックすることなく検索式を作成できる方法を説明する。データ表示装置105が小さい場合などに有効である。
【0031】
ステップS202について、図6を例に説明する。ポインティングデバイスのジェスチャにより検索キー領域の指定を行う。たとえば、ポインティングデバイスで任意領域を囲う動作や、ポインティングデバイスで指し示す動作、ポインティングデバイスでクリックする動作、ポインティングデバイスを移動させる動作などで決定しても良い。
【0032】
図6では601、603を検索キー領域と指定している。602はポインティングデバイス106の軌跡である。ポインティングデバイスの指し示す位置や軌跡により、論理演算子および対応させる検索キー領域を選択する。論理演算子の選択では、軌跡ごとに論理演算子を割り振る規則をあらかじめ作っておく。例えば円を描く軌跡には、論理演算子”&(AND)”の意味を持たせておく。先に選択したキー領域上において、ポインティングデバイスで軌跡を描くことにより対応する論理演算子を決定する。キー領域の選択と軌跡描画を同時に行ってもよい。“OR”や“NOT”に関しても同様に、軌跡ごとに意味を持たせる。また、軌跡に限らず、ポインティングデバイスをクリックする回数や、ポインティングデバイスのイベントに対応して論理演算子を決定しても良い。
【0033】
ステップS203について図6を例に説明する。ステップS202で作成された検索式を可視化する。ユーザが所望する検索式を検索式設定画面604にそのまま表示するだけでもよいし、選択された検索キー領域を論理演算子ごとに色枠や背景色などで識別してもよい。たとえば、図6では検索キー領域601と603の“&(AND)”検索を行うことになっている。このとき、601と603は“&(AND)”検索の意味をもたせた背景色にする。そして、選択した検索キー領域のサムネイルおよび論理演算子は色情報を保持したまま検索式設定画面604にも表示される。一度登録した検索キー領域を削除したい場合は605のメニューを選択し、606の削除ボタンを押す。検索キー領域ごとに詳細な設定を行うには607の詳細設定ボタンを押すことで詳細設定画面図7を呼び出し、メニュー701等で選択する。最後に検索開始ボタン608または702をポインティングデバイスで指し示すことで検索を開始する。
【0034】
以上、実施形態1,2により、検索式を作成する際にポインティングデバイスを使って検索可能であり、ユーザは検索条件を可視化して、操作できる。
【0035】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態にかかる画像認識装置のブロック図である。
【図2】実施形態1にかかるデータ検索方法のフローチャートである。
【図3】実施形態1にかかる検索画像の一例を示す図である。
【図4】実施形態1にかかる検索キー領域と論理演算子の選択及び検索式の可視化の一例を示す図である。
【図5】実施形態1にかかる検索キー領域と論理演算子の選択及び検索式の可視化の一例を示す図である。
【図6】実施形態2にかかる検索キー領域と論理演算子の選択及び検索式の可視化の一例を示す図である。
【図7】実施形態2にかかる検索キー領域と論理演算子の選択及び検索式の可視化の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 外部記憶装置
105 データ表示装置
106 ポインティングデバイス
107 データ入力装置
108 データ出力装置
109 ネットワークインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の属性を含むデータを表示する表示工程と、
前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択工程と、
前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定工程と、
前記検索キーの属性を判別する判別工程と、
前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法により検索する検索工程とを備えることを特徴とするデータ検索方法。
【請求項2】
前記検索式設定工程で、それぞれ異なる指示操作に基づいてそれぞれ別の論理演算子が設定されることを特徴とする請求項1記載のデータ検索方法。
【請求項3】
前記論理演算子は、異なる軌跡を描画する指示操作に応じて設定されることを特徴とする請求項2記載のデータ検索方法。
【請求項4】
前記検索式を表示することを特徴とする請求項1記載のデータ検索方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の指示操作は、ドラックアンドドロップ、クリック、軌跡の描画、移動の何れかであることを特徴とする請求項1記載のデータ検索方法。
【請求項6】
前記指示操作は、ディスプレイ上若しくはタッチパネル上でのポインティングデバイスの動きであることを特徴とする請求項1記載のデータ検索方法。
【請求項7】
前記選択工程で、選択されたデータの背景色若しくは色枠を変化させることを特徴とする請求項1記載のデータ検索方法。
【請求項8】
複数の属性を含むデータを表示する表示手段と、
前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択手段と、
前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定手段と、
前記検索キーの属性を判別する判別手段と、
前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法によりデータベースを検索する検索手段とを備えることを特徴とするデータ検索装置。
【請求項9】
複数の属性を含むデータを表示する表示手順と、
前記表示されたデータから検索キーとするデータを指示操作により選択する選択手順と、
前記指示操作に基づいた検索式を設定する検索式設定手順と、
前記検索キーの属性を判別する判別手順と、
前記判別された検索キーの属性に対応した検索手法によりデータベースを検索する検索手順とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納するコンピュータ可読メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−39847(P2006−39847A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217369(P2004−217369)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】