説明

データ登録方法、データ登録プログラムおよび記録媒体

【課題】ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込むことなく、映像データをサーバに対して効率的に登録することを課題とする。
【解決手段】映像データ書込監視部は、監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みの有無(ファイルエクスポートの出力の有無)をシステムコールにより検知する。次に、映像データ書込監視部により監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みが検知された場合には、映像データ登録部は、システムコールによりディレクトリに新たに追加されたファイルの監視を開始し、監視がタイムアウトするか否かに基づいて、編集された映像データのファイルへの書込みを検知する。そして、映像データのファイルへの書込みが終了していることを確認した場合には、映像データ登録部は、ストリームサーバにファイルを登録するための転送処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、編集データをサーバに登録するデータ登録方法、編集データをサーバに登録する方法をコンピュータに実行させるデータ登録プログラム、および本発明に係る各種処理手順に対応したプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ノンリニア編集ソフトにより編集保存された映像データをサーバなどに自動的に登録することを目的として、ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込む技術が存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】SGL社 “フラッシュネット(FlashNet)”、[online]、[平成19年1月15日検索]、インターネット<http://www.sgluk.com/flashnet/flashnet_home.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の技術は、汎用的ではない、あるいは、映像データを効率的にサーバに登録することができないという問題点があった。
【0005】
すなわち、ノンリニア編集ソフトにより編集保存された映像データをサーバなどに自動的に登録するためのプラグインは、ノンリニア編集ソフトに直接組み込まれるものであるので、例えば、ノンリニア編集ソフトのバージョンごとに改めて生成して組み込む必要があり、汎用的ではないという問題点があった。
【0006】
また、ノンリニア編集ソフトにより編集した映像データを一旦ファイルとして記憶装置に出力し、出力されたファイルを転送アプリケーションによってサーバへと転送する方法がある。この場合、ユーザは編集完了後、その転送アプリケーションを別途起動し、出力したファイルをさらに指定し、サーバへの転送を実行することになり、ユーザは転送アプリケーションの起動や出力ファイルの指定など、プラグインを使った方法と比べて多くの手順を実行する必要がある。これらの手順の実行中に登録処理を誤ることも十分考えられ、結果的に、余分な労力と時間とを費やしてしまうということが問題となっている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込むことなく、プラグインと同等の使い勝手で、映像データをサーバに対して効率的に登録することが可能なデータ登録方法、データ登録プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、編集データをサーバに登録するデータ登録方法であって、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知工程と、前記保存検知工程によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知工程と、前記保存終了検知工程により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録工程と、を含んだことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記保存検知工程は、システムコールを用いて、前記ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知し、前記保存終了検知工程は、システムコールを用いて、前記保存検知工程により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記保存終了検知工程により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認工程をさらに含んだことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、編集データをサーバに登録する方法をコンピュータに実行させるデータ登録プログラムであって、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、前記保存検知手順によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記保存検知手順は、システムコールを用いて、前記ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知し、前記保存終了検知手順は、システムコールを用いて、前記保存検知手順により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、前記保存検知手順によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録手順と、に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る発明は、システムコールを用いて、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、システムコールを用いて、前記保存検知手順により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に係る発明は、保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認手順に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知するとともに、ファイルの書込みが検知された場合には、ファイルへの編集データの書込みの終了を検知して、編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するので、例えば、ノンリニア編集ソフトにより編集された映像データをサーバに自動的に登録するために、プラグインを生成してノンリニア編集ソフト内に組み込むことなく、汎用的な方法で、編集した映像データをサーバに自動的に登録することが可能である。
【0018】
また、本発明によれば、OS(Operating System)に予め備えられたシステムコールを用いて、ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知するとともに、ファイルへの編集データの書込みの終了を検知するので、例えば、ノンリニア編集ソフトにより編集された映像データの書込み(保存)の有無を、常にそれを把握しているOSからシステムコールを使って取得することでリアルタイムに検知することができ、速やかにサーバへの登録処理に移行することができ、結果として、映像データをサーバに対して効率的に登録することが可能である。
【0019】
また、本発明によれば、編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認するので、例えば、一定時間内に書込みがあったかどうかを検知する汎用のシステムコールによってのみファイルへの映像データの書込み(保存)の終了を検知した場合に、ノンリニア編集ソフトの問題等によりファイルの書込みが一時的に中断したことを書込み終了として誤って検出してしまうことがあるが、本発明によってその切り分けが可能であり、さらに、ファイルのメタデータに基づいてより正確に映像データの保存が終了しているか否かを確認することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るデータ登録方法、データ登録プログラムおよび記録媒体の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るデータ登録方法を実現するユーザ端末を例に挙げて実施例1として説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
以下の実施例1では、実施例1に係るユーザ端末の概要および特徴、ユーザ端末の構成および処理を順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。
【0022】
[ユーザ端末の概要および特徴(実施例1)]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係るユーザ端末の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るユーザ端末の概要および特徴を説明するための図である。
【0023】
実施例1に係るユーザ端末は、ノンリニア編集ソフトにより編集保存された映像データをサーバに登録することを概要とするが、ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込むことなく、映像データをサーバに対して効率的に登録することが可能である点に主たる特徴がある。
【0024】
この主たる特徴について具体的に説明すると、図1に示すように、実施例1に係るユーザ端末は、映像データ編集部と、映像データ書込監視部と、映像データ登録部と、映像データ記憶部から構成される。
【0025】
そして、映像データ登録部は、監視対象としたディレクトリ(編集された映像データが保存されるディレクトリ)配下のファイル一覧をあらかじめ取得する。
【0026】
次に、映像データ書込監視部は、映像データ編集部により編集された映像データの保存の有無を監視する。具体的に説明すると、監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みの有無(ファイルエクスポートの出力の有無)をシステムコール(例えば、kqueue()/kevent())により検知する。
【0027】
映像データ書込監視部により監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みが検知された場合には、映像データ登録部は、監視対象としたディレクトリ配下のファイル一覧を再度取得する。そして、あらかじめ取得しておいたディレクトリのファイル一覧と、映像データ書込監視部によりディレクトリへのファイルの書込みが検知された後に取得したディレクトリのファイル一覧との差分を取り、ディレクトリに新たに追加されたファイル名を取得する。その後、映像データ登録部は、ディレクトリに新たに追加されたファイル名に対応するファイルの転送スレッドを生成する。
【0028】
ファイル転送スレッドの生成後、映像データ登録部は、例えば、追加書き込みがあるかどうかを一定時間監視する機能を持つシステムコールにより、ディレクトリに新たに追加された(書込まれた)ファイルの監視を開始し、追加書込みが無く監視がタイムアウトするか否かに基づいて、編集された映像データのファイルへの書込み完了を検知する。
【0029】
そして、映像データ登録部は、ファイルの監視がタイムアウトした場合(つまり、所定時間ファイルへの書込みがない場合)には、映像データのファイルへの書込みが終了しているものと一旦判断するが、さらにファイル内のデータを解析して、ファイルのステータスを取得する(メタデータのサイズフィールドに格納されている数値が“0”である場合には、書込み中であるというステータスを取得する)。このようにして取得したファイルのステータスに基づいて、ファイルへの書込みが本当に終了しているか否か確認する。
【0030】
そして、映像データ登録部は、ファイルへの書込みが終了していることを確認した場合には、ストリームサーバにファイルを登録するための転送処理を実行する。転送処理後、映像データ登録部は、転送済みのファイルを別のディレクトリに移動させて、ファイル転送スレッドを終了する。
【0031】
このようなことから、実施例1に係るユーザ端末は、上述した主たる特徴のごとく、ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込むことなく、映像データをサーバに対して効率的に登録することが可能である。
【0032】
[ユーザ端末の構成(実施例1)]
次に、図2を用いて、実施例1に係るユーザ端末の構成を説明する。図2は、実施例1に係るユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【0033】
同図示すように、実施例1に係るユーザ端末10は、データ登録用ネットワーク1を介して、編集された映像データを登録するためのストリームサーバ20と通信可能な状態に接続されるとともに、通信制御I/F部11と、記憶部12と、制御部13とから構成される。
【0034】
このうち、通信制御I/F部11は、ストリームサーバ20との間でやり取りする各種情報(例えば、編集された映像データのファイル)に関する通信を制御する。
【0035】
記憶部12は、制御部13による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に本発明に密接に関連するものとして、映像データ記憶部12aを備える。この映像データ記憶部12aは、後述する映像データ編集部13aにおいてノンリニア編集ソフトにより編集された映像データを記憶する。
【0036】
制御部13は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、映像データ編集部13aと、映像データ書込監視部13bと、映像データ登録部13cとを備える。
【0037】
このうち、映像データ編集部13aは、ノンリニア編集ソフトにより映像データを編集する処理部であり、編集の終了した映像データを映像データ記憶部12aに保存する。また、ノンリニア編集ソフトにより編集された映像データ(ムービーデータ)は、図3および図4に例示するように、ヘッダ部およびデータ部から構成される汎用のデータブロックの集合体で構成されている。なお、図3は、ノンリニア編集ソフトから書込み中であるコンテンツファイルのイメージ図であり、図4は、ノンリニア編集ソフトからの書込みが終了したコンテンツファイルのイメージ図である。
【0038】
映像データ書込監視部13bは、映像データ編集部13aにより編集された映像データの保存の有無を監視する処理部である。具体的に説明すると、映像データ書込監視部13bは、例えば、映像データ編集部13aと同時に起動され、監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みの有無(ファイルエクスポートの出力の有無)をシステムコール(例えば、kqueue()/kevent())により検知する。
【0039】
なお、映像データ書込監視部13bによりディレクトリの監視が開始された後は、ディレクトリに書込みが行われるまで処理がブロックされており、ディレクトリの監視が継続される。
【0040】
映像データ登録部13cは、映像データ編集部13aにより編集保存された映像データをストリームサーバ20に登録する処理部である。具体的に説明すると、映像データ書込監視部13bは、例えば、映像データ編集部13aと同時に起動され、監視対象としたディレクトリ(編集された映像データが保存されるディレクトリ)配下のファイル一覧をあらかじめ取得する。
【0041】
そして、映像データ書込監視部13bにより監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みが検知された場合には、映像データ登録部13cは、監視対象としたディレクトリ配下のファイル一覧を再度取得する。
【0042】
次に、映像データ登録部13cは、あらかじめ取得しておいたディレクトリのファイル一覧と、映像データ書込監視部13bによりディレクトリへのファイルの書込み検知された後に取得したディレクトリのファイル一覧との差分を取り、ディレクトリに新たに追加されたファイル名を取得する。その後、映像データ登録部13cは、ディレクトリに新たに追加されたファイル名に対応するファイルの転送スレッドを生成する。
【0043】
ファイル転送スレッドの生成後、映像データ登録部13cは、追加の書込みがあるかどうかを一定時間監視する機能を持つシステムコールにより、ディレクトリに新たに追加された(書込まれた)ファイルの監視を開始し、追加の書込みが無く監視がタイムアウトするか否かに基づいて、編集された映像データのファイルへの書込み完了(終了)を検知する。
【0044】
すなわち、映像データ登録部13cによりファイルの監視が開始された後は、ファイルに追加のデータの書込みが行われるまで処理がブロックされる。そのため、所定時間(例えば、10秒)内に監視しているファイルに書込みがなければ、ファイルの監視はタイムアウトにより終了される。なお、ファイルに対して映像データの書込みがあることにより、ファイルの監視がタイムアウトしない場合には、映像データ登録部13cは、タイムアウトするまでファイルの監視を継続する。
【0045】
そして、映像データ登録部13cは、ファイルの監視がタイムアウトした場合(つまり、所定時間ファイルへの書込みがない場合)には、映像データのファイルへの書込みが終了しているものと一旦判断するが、さらにファイル内のデータを解析して、ファイルのステータスを取得する(メタデータのサイズフィールドに格納されている数値が“0”である場合には、書込み中であるというステータスを取得、図3参照)。このようにして取得したファイルのステータスに基づき、ファイルへの書込みが本当に終了しているか否か確認する。
【0046】
そして、映像データ登録部13cは、ファイルへの書込みが終了していることを確認した場合には、ストリームサーバ20にファイルを登録するための転送処理を実行する。転送処理後、映像データ登録部13cは、転送済みのファイルを別のディレクトリに移動させて、ファイル転送スレッドを終了する。
【0047】
なお、このユーザ端末10は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置に、上記した映像データ編集部13a、映像データ書込監視部13bおよび映像データ登録部13cの各機能を搭載することによって実現することもできる。
【0048】
[ユーザ端末による処理(実施例1)]
続いて、図5および図6を用いて、実施例1に係るユーザ端末の処理を説明する。図5および図6は、実施例1に係るユーザ端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
[映像データ保存監視処理]
まず、図5を用いて、実施例1に係る映像データの保存監視処理の流れを説明する。同図に示すように、映像データ登録部13cは、例えば、映像データ編集部13aと同時に起動され、監視対象としたディレクトリ(編集された映像データが保存されるディレクトリ)配下のファイル一覧をあらかじめ取得する(ステップS501)。
【0050】
また、映像データ書込監視部13bは、例えば、映像データ編集部13aと同時に起動され、監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みの有無(ファイルエクスポートの出力の有無)をシステムコール(例えば、kqueue()/kevent())により検知する(ステップS502)。
【0051】
そして、映像データ書込監視部13bにより監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みが検知された場合には(ステップS502肯定)、映像データ登録部13cは、監視対象としたディレクトリ配下のファイル一覧を再度取得する(ステップS503)。
【0052】
次に、映像データ登録部13cは、あらかじめ取得しておいたディレクトリのファイル一覧と、映像データ書込監視部13bによりディレクトリへのファイルの書込み検知された後に取得したディレクトリのファイル一覧との差分を取り、ディレクトリに新たに追加されたファイル名を取得する(ステップS504)。その後、映像データ登録部13cは、ディレクトリに新たに追加されたファイル名に対応するファイルの転送スレッドを生成する(ステップS505)。
【0053】
ここでステップS502の説明に戻ると、映像データ書込監視部13bにより監視対象としたディレクトリへのファイルの書込みが検知されていない場合には(ステップS502否定)、ディレクトリに書込みが行われるまで処理がブロックされており、映像データ書込監視部13bによりディレクトリの監視が継続される。
【0054】
[映像データ登録処理]
次に、図6を用いて、実施例1に係るデータ登録処理の流れを説明する。同図に示すように、ファイル転送スレッドの生成後、映像データ登録部13cは、追加の書込みがあるかどうかを一定時間監視する機能を持つシステムコールにより、ディレクトリに新たに追加された(書込まれた)ファイルの監視を開始し、追加の書込みが無く監視がタイムアウトするか否かに基づいて、編集された映像データのファイルへの書込み完了(終了)を検知する(ステップS601)。
【0055】
そして、映像データ登録部13cは、ファイルの監視がタイムアウトした場合(つまり、所定時間ファイルへの書込みがない場合)には(ステップS601肯定)、映像データのファイルへの書込みが終了しているものと一旦判断するが、さらにファイル内のデータを解析して、ファイルのステータスを取得(メタデータのサイズフィールドに格納されている数値が“0”である場合には、書込み中であるというステータスを取得、図3参照)する(ステップS602)。このようにして取得したファイルのステータスに基づき、ファイルへの書込みが本当に終了しているか否か確認する(ステップS603)。
【0056】
これとは反対に、ファイルに対して映像データの書込みがあることにより、ファイルの監視がタイムアウトしない場合には(ステップS601否定)、映像データ登録部13cは、タイムアウトするまでファイルの監視を継続する。
【0057】
ファイルのステータスに基づいて、ファイルへの書込みが終了していることを確認した場合には(ステップS603肯定)、映像データ登録部13cは、ストリームサーバ20にファイルを登録するための転送処理を実行する(ステップS604)。転送処理後、映像データ登録部13cは、転送済みのファイルを別のディレクトリに移動させて(ステップS605)、ファイル転送スレッドを終了する。
【0058】
[実施例1による効果]
上述してきたように、実施例1によれば、編集された映像データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知するとともに、ファイルの書込みが検知された場合には、ファイルへの映像データの書込みの終了を検知して、映像データの書込みの終了が検知されたファイルをストリームサーバ20に登録するので、例えば、ノンリニア編集ソフトにより編集された映像データをストリームサーバ20に自動的に登録するために、プラグインを生成してノンリニア編集ソフト内に組み込むことなく、汎用的な方法で、編集した映像データをサーバに自動的に登録することが可能である。
【0059】
また、実施例1によれば、システムコールを用いて、ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知するとともに、ファイルへの編集データの書込みの終了を検知するので、例えば、ノンリニア編集ソフトにより編集された映像データの書込み(保存)の有無を、常にそれを把握しているOSからシステムコールを使って取得することでリアルタイムに検知することができ、速やかにサーバへの登録処理に移行することができ、結果として、映像データをサーバに対して効率的に登録することが可能である。
【0060】
また、実施例1によれば、映像データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、映像データの書込みが終了しているか否かを確認するので、例えば、一定時間内に書込みがあったかどうかを検知する汎用のシステムコールによってのみファイルへの映像データの書込み(保存)の終了を検知した場合に、ノンリニア編集ソフトの問題等によりファイルの書込みが一時的に中断したことを書込み終了として誤って検出してしまうことがあるが、本発明によってその切り分けが可能であり、さらに、ファイルのメタデータに基づいてより正確に映像データの保存が終了しているか否かを確認することが可能である。
【実施例2】
【0061】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0062】
(1)装置構成等
図2に示したユーザ端末10の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、ユーザ端末10の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、映像データ書込監視部13bと映像データ登録部13cとを統合するなど、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、ユーザ端末10にて行なわれる各処理機能(映像データ編集機能、映像データ書込監視機能および映像データ登録機能、図5および図6参照)は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0063】
(2)データ登録プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種処理方法(図5および図6参照)は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、その一例として、図7を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するデータ登録プログラムを実行するコンピュータを説明する。図7は、データ登録プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0064】
まず、図7に示すように、ユーザ端末としてのコンピュータ30は、通信制御I/F部31、HDD32、RAM33、ROM34およびCPU35をバス40で接続して構成される。なお、通信制御I/F部31は、図2に示した通信制御I/F部11に対応する。
【0065】
そして、ROM34には、上記の実施例に示したユーザ端末10(図2参照)と同様の機能を発揮するデータ登録プログラム、つまり、図7に示すように、映像データ編集プログラム34a、映像データ書込監視プログラム34bおよび映像データ登録プログラム34cがあらかじめ記憶されている。なお、これらのプログラム34a、34bおよび34cについては、図2に示したユーザ端末10の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。なお、ROM34は、不揮発性の「RAM」でもよい。
【0066】
そして、CPU35が、これらのプログラム34a、34bおよび34cをROM34から読み出して実行することで、図7に示すように、各プログラム34a、34bおよび34cは、映像データ編集プロセス35a、映像データ書込監視プロセス35bおよび映像データ登録プロセス35cとして機能するようになる。なお、各プロセス35a、35bおよび35cは、図2に示した映像データ編集部13a、映像データ書込監視部13bおよび映像データ登録部13cにそれぞれ対応する。
【0067】
また、HDD32には、図7に示すように、映像データテーブル32aが設けられる。この映像データテーブル32aにおいて管理される情報は、図2に示した映像データ記憶部12aに記憶される情報に対応する。そして、CPU35は、映像データテーブル32aから映像データ33aを読み出してRAM33に格納し、RAM33に格納された映像データ33aに基づいて処理を実行する。
【0068】
なお、上記した各プログラム34a、34bおよび34cについては、必ずしも最初からROM34に記憶させておく必要はなく、例えば、コンピュータ30に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ30の内外に備えられるHDDなどの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ30に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ30がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明に係るデータ登録方法、データ登録プログラムおよび記録媒体は、編集データをサーバに登録する場合等に有用であり、特に、ノンリニア編集ソフトごとに生成したプラグインを組み込むことなく、映像データをサーバに対して効率的に登録することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1に係るユーザ端末の概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】ノンリニア編集ソフトから書込み中であるコンテンツファイルのイメージ図である。
【図4】ノンリニア編集ソフトからの書込みが終了したコンテンツファイルのイメージ図である。
【図5】実施例1に係るユーザ端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1に係るユーザ端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】データ登録プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 データ登録用ネットワーク
10 ユーザ端末置
11 通信制御I/F部
12 記憶部
12a 映像データ記憶部
13 制御部
13a 映像データ編集部
13b 映像データ書込監視部
13c 映像データ登録部
20 ストリームサーバ
30 コンピュータ
31 通信制御I/F部
32 HDD(Hard Disk Drive)
32a 映像データテーブル
33 RAM(Random Access Memory)
33a 映像データ
34 ROM(Read Only Memory)
34a 映像データ編集プログラム
34b 映像データ書込監視プログラム
34c 映像データ登録プログラム
35 CPU(Central Processing Unit)
35a 映像データ編集プロセス
35b 映像データ書込監視プロセス
35c 映像データ登録プロセス
40 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編集データをサーバに登録するデータ登録方法であって、
編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知工程と、
前記保存検知工程によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知工程と、
前記保存終了検知工程により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録工程と、
を含んだことを特徴とするデータ登録方法。
【請求項2】
前記保存検知工程は、システムコールを用いて、前記ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知し、
前記保存終了検知工程は、システムコールを用いて、前記保存検知工程により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知することを特徴とする請求項1に記載のデータ登録方法。
【請求項3】
前記保存終了検知工程により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認工程をさらに含んだことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ登録方法。
【請求項4】
編集データをサーバに登録する方法をコンピュータに実行させるデータ登録プログラムであって、
編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、
前記保存検知手順によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、
前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ登録プログラム。
【請求項5】
前記保存検知手順は、システムコールを用いて、前記ディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知し、
前記保存終了検知手順は、システムコールを用いて、前記保存検知手順により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知することを特徴とする請求項4に記載のデータ登録プログラム。
【請求項6】
前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項4または5に記載のデータ登録プログラム。
【請求項7】
編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、
前記保存検知手順によりファイルの書込みが検知された場合には、当該ファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、
前記保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルをサーバに登録するデータ登録手順と、
に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
システムコールを用いて、編集データが保存されるディレクトリへのファイルの書込みの有無を検知する保存検知手順と、
システムコールを用いて、前記保存検知手順により書込みが検知されたファイルへの編集データの書込みの終了を検知する保存終了検知手順と、
に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
保存終了検知手順により編集データの書込みの終了が検知されたファイルのメタデータに基づいて、編集データの書込みが終了しているか否かを確認する保存終了確認手順に対応するプログラムを読取可能な状態で記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−299409(P2008−299409A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142113(P2007−142113)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591074585)エヌ・ティ・ティ アイティ株式会社 (21)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】