データ管理装置、データ読取方法及びプログラム
【課題】ドライブレコーダに記録されたメモリカードのデータの読み取りにかかる時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】ドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置においては、データ取込処理において、運行データとともに、コンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみが読み取られる。このため、画像や音声を含んで比較的データ量の多いコンテンツデータの読み込みを必要に応じて省略でき、メモリカードの読み取りにかかる処理時間を大幅に短縮できる。
【解決手段】ドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置においては、データ取込処理において、運行データとともに、コンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみが読み取られる。このため、画像や音声を含んで比較的データ量の多いコンテンツデータの読み込みを必要に応じて省略でき、メモリカードの読み取りにかかる処理時間を大幅に短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたカメラにより車両外部や車室内の撮影を常時に行い、事故などのイベントが発生した場合にその発生前後に取得された画像をメモリカードなどの可搬性の記録媒体に記録するドライブレコーダが知られている。また、画像を記録するだけではなく、車両の位置、速度及び加速度などの車両の走行状況を記録媒体に記録したり、イベントとは無関係に一定周期で車両外部や車室内の様子を示す画像を記録媒体に記録するドライブレコーダなども提案されている。
【0003】
近年では、トラック、バス及びタクシーなどの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者において、ドライブレコーダを業務に使用する全ての車両に搭載することも実施されている。このような事業者においては、各車両のドライブレコーダで取得されたデータが、事故の原因究明、乗務員の運転傾向の分析、及び、乗務員の安全運転指導等に利用される。
【0004】
特許文献1及び2には、車載カメラにより車両の周辺の撮影を常時に行い、事故発生時に取得した画像を記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。また、特許文献3及び4には、事故発生時における車両の速度などの走行状況を示すデータを記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−16785号公報
【特許文献2】特開平06−237463号公報
【特許文献3】特開平06−331391号公報
【特許文献4】特開平06−186061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ドライブレコーダにおいては、より高い解像度の画像を、より高いレートで、より長時間記録することが要求されている。このような要求に伴って、ドライブレコーダにおいて、車両の一回の運行ごとに記録媒体に記録されるデータの量も非常に大きくなってきている。
【0007】
一般に、トラック、バス及びタクシーなどの事業者においては、事業所を出発してから帰着するまでの一回の運行ごとに、ドライブレコーダで記録された記録媒体のデータが、事業所に配置されたデータ管理装置に取り込まれる。記録媒体に記録されるデータの量が大きくなると、それに伴ってデータ管理装置での取り込みに必要な時間も長くなる。例えば、記録媒体に取込対象となるデータが2ギガバイト存在していたとすると、それらを全て取り込むためには約4〜5分程度の時間が必要となる。
【0008】
データ管理装置では、事業所に所属する複数台の車両それぞれのドライブレコーダで記録されたデータを取り込む必要がある。このため、今後、ドライブレコーダで記録するデータ量がさらに大きくなると、事業所に所属する車両の台数が多い場合には、データの取込作業だけで数時間かかることも予測される。このようにデータの取込作業で長い時間が必要となるとそれだけ業務が停滞してしまうため、改善が要望されていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ドライブレコーダに記録された記録媒体に係る処理時間を短縮できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置であって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける受付手段と、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って前記記憶装置に記録する読取手段と、を備えている。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記読取手段によって読み取られた前記運行データを前記記録媒体から削除する削除手段、をさらに備えている。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記読取手段によって読み取られた前記記録媒体の記録内容を削除する削除手段、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項2または3に記載のデータ管理装置において、前記運行データは、前記コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含み、前記運行データを前記記録媒体から削除する場合に、該運行データに含まれる前記特定データを前記記録媒体に記録する記録手段、を備えている。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項2または3に記載のデータ管理装置において、前記コンテンツデータは、該コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含む。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ管理装置において、前記読取手段は、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのうちで、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータをさらに読み取る。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ管理装置において、前記記録媒体をフォーマットする手法、及び、前記記録媒体に記録されたファイルを削除する手法の2つの手法を選択的に用いて、前記記録媒体の全ての前記コンテンツデータを消去する消去手段、をさらに備えている。
【0017】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載のデータ管理装置において、前記消去手段は、前記データ管理装置で動作するオペレーティングシステムに応じて前記2つの手法のいずれかを選択する。
【0018】
また、請求項9の発明は、請求項7に記載のデータ管理装置において、前記消去手段は、消去対象となる前記記録媒体の前記読取手段による読み取りの回数に応じて、前記2つの手法のいずれかを選択する。
【0019】
また、請求項10の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る方法であって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、を備えている。
【0020】
また、請求項11の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし11の発明によれば、比較的データ量の少ない運行データと、比較的データ量の多いコンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取る。このため、必要に応じて、コンテンツデータの読み込みを省略でき、記録媒体の読み取りに係る処理時間を短縮できる。
【0022】
また、特に請求項2の発明によれば、記録媒体における運行データの有無で当該記録媒体のデータ管理装置での読み取りが完了したか否かを確認できる。
【0023】
また、特に請求項3の発明によれば、同一のデータが重複してデータ管理装置によって読み取られることを防止できる。
【0024】
また、特に請求項4の発明によれば、運行データを削除する場合においても、特定データを記録媒体に記録するため、記録媒体に残されたコンテンツデータの取得された状況を事後的に特定できる。
【0025】
また、特に請求項5の発明によれば、コンテンツデータが特定データを含んでいるため、記録媒体に残されたコンテンツデータの取得された状況を事後的に特定できる。
【0026】
また、特に請求項6の発明によれば、読取の設定がなされなかったコンテンツデータであっても、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータについては例外的に読み取ることで、重要なコンテンツデータは記憶装置に記録しておくことができる。
【0027】
また、特に請求項7の発明によれば、記録媒体の全てのコンテンツデータを消去するに際して、適宜、フォーマットする手法ではなくファイルを削除する手法を用いることで、記録媒体に係る処理時間をさらに短縮できる。
【0028】
また、特に請求項8の発明によれば、オペレーティングシステムに応じて最適な処理を選択できる。
【0029】
また、特に請求項9の発明によれば、記録媒体の読み取り回数に応じてフォーマットする手法とファイルを削除する手法とを使い分けることで、記録媒体をフォーマットしない場合に生じる不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、ドライブレコーダシステムの概要を示す図である。
【図2】図2は、データ管理装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、ドライブレコーダの構成を示す図である。
【図4】図4は、メモリカードの運用手法の流れの一例を示す図である。
【図5】図5は、メモリカードにおけるデータの格納状態を示す図である。
【図6】図6は、データ記録処理の流れを示す図である。
【図7】図7は、設定ダイアログの一例を示す図である。
【図8】図8は、データ取込処理の流れを示す図である。
【図9】図9は、全データ消去処理の流れを示す図である。
【図10】図10は、ファイルのデータ領域の一例を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施の形態のデータ取込処理の一部の流れを示す図である。
【図12】図12は、第4の実施の形態の全データ消去処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム概要>
図1は、データ管理装置1とドライブレコーダ2とを含むドライブレコーダシステム100の概要を示す図である。ドライブレコーダシステム100は、トラック、バス及びタクシーなどの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者において利用される。本実施の形態では、ドライブレコーダシステム100が、タクシー事業を行う事業者において採用された場合を例に説明する。
【0033】
この事業者においては、タクシーとして構成される複数の車両Bを使用して事業が行われており、複数の車両Bのそれぞれにドライブレコーダ2が搭載されている。また、これら複数の車両Bを管理する事業所Aにおいては、ドライブレコーダ2で記録されたデータを管理するとともに表示可能な1台のデータ管理装置1が備えられている。データ管理装置1とドライブレコーダ2との間のデータの受け渡しには、可搬性の記録媒体であるメモリカード9が利用される。このメモリカード9には、不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリが内蔵されている。
【0034】
ドライブレコーダ2は、搭載された車両Bの運行に係る各種のデータをメモリカード9に記録する。具体的には、ドライブレコーダ2においては、車両Bの運行中において、事故などの所定のイベントが発生した場合にその発生前後における動画データまたは音声データが記録される。また、ドライブレコーダ2においては、所定の周期で、車両の位置、速度及び加速度などの車両Bの走行状況を示す運行データが記録される。さらに、ドライブレコーダ2においては、常時記録データとして、イベントとは無関係に所定の周期で車外あるいは車内の様子を示す画像データ及び音声データが記録される。
【0035】
複数の車両Bそれぞれのドライブレコーダ2でメモリカード9に記録されたデータは、車両Bの一回の運行ごとにデータ管理装置1に取り込まれる。データ管理装置1は、ドライブレコーダ2によりメモリカード9に記録されたデータを読み取って、内部の不揮発性の記憶装置に記録する。これにより、複数の車両Bで記録されたデータが、データ管理装置1において集約される。なお、この説明では、車両Bが事業所Aから出発してその事業所Aに帰着するまでを「一回の運行」という。
【0036】
<1−2.データ管理装置の構成>
図2は、データ管理装置1の構成を示す図である。データ管理装置1のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。具体的には、データ管理装置1は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、不揮発性の記憶装置であるハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、音声を出力するスピーカ16、ならびに、ユーザが操作するキーボード及びマウスなどで構成される操作部17を備えている。また、データ管理装置1は、メモリカード9を着脱可能なカードスロット18を備えている。カードスロット18は、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。
【0037】
データ管理装置1のハードディスク14には、各種のプログラム141が記憶されている。このプログラム141に従ってCPU11が演算処理を実行することにより、データ管理装置1として必要な各種機能が実現される。プログラム141の実行により実現される機能には、オペレーティングシステムや、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションなどがある。このようなプログラム141は、プログラムを記録した記録媒体(例えば、メモリカード9など)からの読み取りや、ネットワークを介した通信などによって取得され、ハードディスク14に予め記憶されている。
【0038】
また、データ管理装置1のハードディスク14には、ドライブレコーダ2で記録されたデータを集約したデータベース142が構築されている。ドライブレコーダ2でメモリカード9に記録されたデータは、カードスロット18において読み取られた後、データベース142に登録される。データベース142に登録されたデータは、専用のアプリケーションを利用することで、ディスプレイ15に画像として表示させたり、スピーカ16から音声として出力できる。また、データベース142に登録されたデータは、専用のアプリケーションを用いての乗務員の安全運転指導等のための各種解析にも利用される。
【0039】
<1−3.ドライブレコーダの構成>
図3は、ドライブレコーダ2の構成を示す図である。ドライブレコーダ2は、装置全体を制御する制御部としてマイクロコンピュータを備えている。具体的には、ドライブレコーダ2は、各種演算処理を行うCPU21、ファームウェアを記憶する不揮発性メモリ25、及び、演算処理の作業領域となるRAM24を備えている。ドライブレコーダ2の各部を制御する機能は、不揮発性メモリ25に予め記憶されたファームウェアに従ってCPU21が演算処理を実行することにより実現される。不揮発性メモリ25は、例えばフラッシュメモリなどで構成され、ファームウェアの他、各種の設定パラメータなどを記憶する。
【0040】
ドライブレコーダ2は、2つのカメラ31,32及びマイク33を備えており、これらはドライブレコーダ2の本体部とは別に車両Bの適位置に配置される。2つのカメラ31,32はそれぞれ、レンズと撮像素子とを備えており電子的に画像データを取得する。第1カメラ31は、その光軸が車室外の車両Bの前方に向けられており、車両Bの前方の領域を示す画像データを取得する。一方、第2カメラ32は、その光軸が車室内に向けられており、車両Bの乗務員や乗客の様子を示す画像データを取得する。また、マイク33は、車室外及び車室内の音を集音して音声データを取得する。
【0041】
ドライブレコーダ2は、2つのカメラ31,32からの信号を扱う処理部として、カメラ切替部22及び画像処理部23を備えている。カメラ切替部22は、2つのカメラ31,32から入力される信号を切り替えるものである。カメラ切替部22は、CPU21からの指示に基づいて、2つのカメラ31,32うちのいずれか一方の画像データの信号を入力する。
【0042】
画像処理部23は、2つのカメラ31,32から入力される信号について、A/D変換、輝度補正、コントラスト補正などの所定の画像処理を行い、JPEG形式などの所定形式のデジタルの画像データを生成する。画像処理部23において処理された画像データは、RAM24に記録される。
【0043】
RAM24の記憶領域のうちの一部はリングバッファとして利用される。このリングバッファに対して、画像処理部23において処理された画像データ、及び、マイク33で取得された音声データが常時に記憶される。リングバッファでは、最後の領域までデータが記憶されると最初の領域に戻って新たなデータが記憶される。これにより、リングバッファでは、最も古いデータに対して新たなデータが順次に上書きされていく。このため、RAM24においては、常に過去一定時間分の画像データ及び音声データが記憶された状態とされる。本実施の形態では、リングバッファに少なくとも40秒分の画像データ及び音声データが記憶されるようになっている。
【0044】
また、ドライブレコーダ2は、カードスロット26、計時回路27、加速度センサ28及びGPS受信部29を備えている。
【0045】
カードスロット26は、メモリカード9を着脱することが可能である。カードスロット26は、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。事故などの所定のイベントが生じたときは、CPU21の指示により、RAM24のリングバッファに記憶された画像データ及び音声データが、カードスロット26に装着されたメモリカード9に記録される。
【0046】
計時回路27は、その時点の時刻に対応した信号を発生して、CPU21へ出力する。計時回路27は、内臓電池を有し、外部から電力供給を受けなくとも動作して正確な時刻を計時する。
【0047】
加速度センサ28は、車両Bに加わる衝撃の大きさを示す加速度を、重力加速度のGを単位として検出する。加速度センサ28は、例えば、互いに直交する3軸あるいは2軸に応じた加速度の大きさを検出し、CPU21へ出力する。
【0048】
GPS受信部29は、複数のGPS衛星からの信号を受信して、その時点の車両Bの位置情報を取得する。GPS受信部29は、地球上における緯度経度で表現される位置情報を取得し、取得した位置情報をCPU21へ出力する。
【0049】
また、ドライブレコーダ2には、ユーザ(主に車両Bの乗務員)から指示を受け付ける部材として、記録スイッチ34及び操作部35を備えている。これらは、ユーザが操作しやすいように、ドライブレコーダ2の本体部とは別に、ハンドルの近傍などの車両Bの適位置に配置される。
【0050】
記録スイッチ34は、動画データのメモリカード9への記録指示を受け付けるスイッチである。ユーザは、事故が発生していない場面であっても、この記録スイッチ34を押下することにより所望のタイミングで動画データをメモリカード9へ記録できる。また、操作部35は、複数のボタンを含んで構成され、ユーザから各種設定などの入力を受け付ける。これらのユーザによる操作内容は、信号としてCPU21に入力される。
【0051】
また、ドライブレコーダ2は、車両Bに配置される車速センサ41及びドアセンサ42と接続されている。車速センサ41は、その時点の車両Bの走行速度(km/h)を検出してCPU21に出力する。ドアセンサ42は、車両Bのドアに設けられ、ドアの開閉を示す信号をCPU21に出力する。ドアセンサ42は、例えば、タクシーとして構成された車両Bの乗客が乗り降りする後部座席のドアなどに設けられている。
【0052】
<1−4.メモリカード>
次に、図1に示すドライブレコーダシステム100におけるメモリカード9の運用手法について説明する。図4は、メモリカード9の運用手法の流れの一例を示す図である。
【0053】
まず、データ管理装置1において、メモリカード9にドライブレコーダ2のデータを記録するための準備である記録準備処理がなされる(ステップS1)。メモリカード9は、フォーマットされて全てのデータが消去される。そして、ドライブレコーダ2に設定すべき各種の設定パラメータがメモリカード9に記録される。
【0054】
準備が完了したメモリカード9は、車両Bのドライブレコーダ2に装着される。この車両Bが事業所Aから出発して車両Bの運行が開始すると(ステップS2にてYes)、以降の車両Bの運行中にわたって、ドライブレコーダ2において、車両Bの運行に係る各種のデータをメモリカード9に記録するデータ記録処理がなされる(ステップS3)。
【0055】
その後、車両Bの運行が終了して車両Bが事業所Aに帰着すると(ステップS4にてYes)、メモリカード9は、ドライブレコーダ2から取り出されてデータ管理装置1に装着される。そして、データ管理装置1において、メモリカード9に記録されたデータを取り込むデータ取込処理がなされる。具体的には、専用のアプリケーションの機能により、メモリカード9に記録されたデータが読み出され、所定の形式に変換されて、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS5)。
【0056】
データ管理装置1によりデータの取り込みが完了したメモリカード9は、再び、車両Bのドライブレコーダ2に装着され、車両Bの運行に係る各種のデータの記録に利用される(ステップS2,S3)。
【0057】
このようにメモリカード9はドライブレコーダ2でのデータの記録に繰り返し利用され、メモリカード9に記録されたデータは、車両Bの一回の運行ごとにデータ管理装置1に取り込まれる。データ管理装置1では、事業所Aに所属する複数の車両Bそれぞれの運行完了後に、データ取込処理を実行することになる。
【0058】
図5は、メモリカード9におけるデータの格納状態を示す図である。メモリカード9内のデータ格納構造には、階層フォルダ構造(階層ディレクトリ構造)が採用され、各種のデータはいずれかのフォルダ内に格納される。図5において、フォルダやデータを示す記号の横に示された文字列は、対応するフォルダやデータの名称を示している。
【0059】
階層フォルダ構造の最上層には、「ルート」フォルダF0が設けられている。この「ルート」フォルダF0に、ドライブレコーダ2に設定すべき各種の設定パラメータが記録された設定ファイルD0が格納される。
【0060】
また、「ルート」フォルダF0内には子フォルダとして「運行データ」フォルダF1、「動画データ」フォルダF2、「音声データ」フォルダF3及び「常時記録データ」フォルダF4が設けられている。
【0061】
「運行データ」フォルダF1には、車両Bの運行中における位置、速度及び加速度などの車両Bの走行状況を示す運行データのファイルD1が格納される。運行データのファイルD1は、主にテキストで構成され、画像及び音声は含んでいない。運行データは、一定周期ごと、あるいは所定の条件で、同一のファイルD1に追加的に記録されていく。運行データを記録すべきファイルD1のデータサイズが所定サイズ(例えば1メガバイト)を超えた場合は、新たなファイルD1が作成され、その新たなファイルD1に運行データが記録される。また、運行データのファイルD1は、そのヘッダ領域に、運行の開始時刻、車両Bの識別情報(IDコード)、乗務員の識別情報(IDコード)など、ドライブレコーダ2が搭載された車両Bの状況を特定する特定データを含んでいる。
【0062】
「動画データ」フォルダF2には、事故などの所定のイベントが発生したときに得られる動画データのファイルD2が格納される。動画データは、例えば、イベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間との合計20秒分の画像データと音声データとで構成される。イベントごとに一つのファイルD2が作成され、一つのイベントに係る動画データは一つのファイルD2として記録される。
【0063】
また、「音声データ」フォルダF3には、所定のイベントが発生したときに得られる音声データのファイルD3が格納される。音声データは、イベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間の合計20秒分の音声を含んでいる。イベントごとに一つのファイルD3が作成され、一つのイベントに係る音声データは一つのファイルD3として記録される。
【0064】
ドライブレコーダ2では、複数のイベントが予め想定されており、各イベントごとに動画データと音声データとのいずれを記録するかを設定可能となっている。このため、ある種類のイベントが発生した場合は動画データが記録され、ある別の種類のイベントが発生した場合は音声データが記録される。
【0065】
「常時記録データ」フォルダF2には、ドライブレコーダ2の起動中にわたって一定周期で得られた画像データと音声データとで構成される常時記録データのファイルD4が格納される。ドライブレコーダ2の起動中においては、イベントの発生とは無関係に一定周期ごとに、ファイルD4に常時記録データとしての画像データ及び音声データが追加的に記録されていく。常時記録データを記録すべきファイルD4のデータサイズが所定サイズ(例えば1ギガバイト)を超えた場合は、新たなファイルD4が作成され、その新たなファイルD4に常時記録データが記録される。
【0066】
このようにドライブレコーダ2においては、運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータが記録される。これらの4種類のデータうち、運行データは画像及び音声は含んでいないため、そのファイルのデータサイズは比較的小さくなる。一方で、動画データ、音声データ及び常時記録データについては、画像及び音声の少なくとも一方を含んでおり、そのファイルのデータサイズは比較的大きくなる。
【0067】
例えば、メモリカード9内に記録される運行データのファイルD1の総データサイズは最大でも5メガバイト程度となる。これに対して、動画データのファイルD2の総データサイズは最大で1ギガバイト程度、音声データのファイルD3の総データサイズは最大で100メガバイト程度、常時記録データのファイルD4の総データサイズは最大で5ギガバイト程度となる。
【0068】
このように、メモリカード9内に記録される動画データ、音声データ及び常時記録データそれぞれの総データサイズは、運行データの総データサイズと比較してきわめて大きくなる。なお、以降の説明では、画像及び音声の少なくとも一方を含んでいる動画データ、音声データ及び常時記録データを総称して「コンテンツデータ」という。
【0069】
<1−5.ドライブレコーダの動作>
次に、ドライブレコーダ2の動作について説明する。図6は、ドライブレコーダ2が各種のデータをメモリカード9に記録するデータ記録処理(図4のステップS3)の流れを示す図である。この動作の開始時点では、メモリカード9がカードスロット26に装着されているものとする。
【0070】
ドライブレコーダ2は起動すると、CPU21の制御によりイニシャル処理を実行する(ステップS11)。具体的には、まず、メモリカード9内に運行データのファイルD1が存在するか否かが確認される。
【0071】
メモリカード9内に運行データのファイルD1がなければ、運行開始と判断される。そして、メモリカード9内の設定ファイルD0の各種の設定パラメータが読み出されて不揮発性メモリ25に記憶され、その設定パラメータに従ってドライブレコーダ2の設定がなされる。
【0072】
続いて、メモリカード9内に、運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータをそれぞれ格納するためのフォルダF1〜F4が作成される。そして、「運行データ」フォルダF1内に運行データのファイルD1が新規に作成される。この運行データのファイルD1のヘッダ領域には、運行の開始時刻、車両Bの識別情報、及び、乗務員の識別情報などの車両Bの状況を特定する特定データが記録される。運行の開始時刻は、計時回路27で得られるその時点の時刻が利用される。また、車両Bの識別情報、及び、乗務員の識別情報は、ドライブレコーダ2の不揮発性メモリ25に予め記憶された情報が読み出されて利用される。
【0073】
なお、この起動時点でメモリカード9内に運行データのファイルD1があれば、運行途中での再起動と判断され、ドライブレコーダ2の設定や運行データのファイルD1の作成は省略される。ただし、このときに乗務員の交代などがあり、交代後の乗務員の識別情報が操作部35を介して入力された場合は、運行データのファイルD1のヘッダ領域に特定データとしてその乗務員の識別情報と乗務員の交代時刻とが追加で記録される。乗務員の交代時刻は、計時回路27で得られるその時点の時刻が利用される。この乗務員の交代時刻及び乗務員の識別情報は、車両Bの状況を特定する特定データの一部となる。
【0074】
イニシャル処理が完了すると、第1カメラ31または第2カメラ32により得られる画像データと、マイク33で取得される音声データとの、RAM24のリングバッファの領域への記憶が開始される(ステップS12)。画像データは、例えば30fps(毎秒30フレーム)のフレームレートでRAM24に記憶される。そして以降、所定の条件(ステップS13,S15,S17)で、運行データやコンテンツデータがメモリカード9に記録される。このような画像データ及び音声データのRAM24への記憶(ステップS12)は、ドライブレコーダ2の起動中にわたって、ドライブレコーダ2が停止するまで実行される。
【0075】
ステップS13においては、運行データを記録すべき所定の第1周期であるかが判断され、第1周期であれば運行データがメモリカード9に記録される(ステップS14)。これにより、運行データが例えば10秒ごとにメモリカード9に記録される。運行データには、その時点の車両Bの位置、速度及び加速度などが含まれている。車両Bの位置はGPS受信部29で得られる位置情報が利用され、車両Bの速度は車速センサ41で得られる走行速度が利用され、加速度は加速度センサ28で得られる加速度が利用される。なお、運行データには、車両Bの位置、速度及び加速度の他、ドアセンサ42で得られるドアの開閉状況、記録スイッチ34の操作状況、車両Bの灯火類の点灯状態、及び、ハンドルの操舵角など車両Bの運行や走行に関する種々の情報が含まれることが望ましい。
【0076】
ステップS15においては、常時記録データを記録すべき所定の第2周期であるかが判断され、第2周期であれば常時記録データがメモリカード9に記録される(ステップS16)。これにより、画像データと音声データとを含む常時記録データが、例えば1秒ごとにメモリカード9に記録される。常時記録データの画像データとしては、RAM24のリングバッファに記憶された画像データのうちの最新の一つの画像データが利用される。したがって、常時記録データの画像データのフレームレートは1fps(毎秒1フレーム)となる。
【0077】
また、ステップS17においては、所定のイベントが発生したかが判断される。所定のイベントが発生した場合は、例えば、そのイベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間との合計20秒分の画像データと音声データとが、RAM24のリングバッファから読み出される。そして、読み出された画像データと音声データとが利用されて一つの動画データが生成され、メモリカード9に記録される(ステップS18)。さらに、イベント発生時点の車両Bの位置、速度及び加速度などの車両Bの状況を示す運行データも、メモリカード9に記録される(ステップS19)。
【0078】
本実施の形態のドライブレコーダ2において、所定のイベントが発生したと判断される条件は、下記の条件(A)〜(D)である。
【0079】
(A)加速度センサ28において所定以上の加速度が所定時間以上継続して検出された場合。例えば、0.40G以上の加速度が100ミリ秒以上継続して検出された場合。
【0080】
(B)車速センサ41が検出した車両Bの所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合。例えば、速度60km/h以上で走行中に1秒間の減速が14km/h以上となった場合。
【0081】
(C)記録スイッチ34がユーザにより操作された場合。
【0082】
(D)ドアセンサ42においてドアの開が検出された場合。
【0083】
条件(A)は、比較的強い加速度が発生しており、車両Bの衝突事故発生の蓋然性が高い状況である。条件(B)は、急減速となっており事故が急迫した蓋然性が高い状況である。条件(C)は、ユーザ(主に車両Bの乗務員)がデータの記録を必要と判断した状況である。条件(D)は、トラブルが生じやすい、乗客が乗降する状況である。
【0084】
なお、条件(A)〜(D)に示したイベントの発生条件はあくまで一例であり、データ管理装置1を利用することで任意に変更可能である。また、発生したイベントの種類によっては、動画データに代えて音声データが記録されるようにすることも可能である。例えば、条件(D)では、音声データのみの記録とすることが考えられる。いずれのイベントで、動画データ及び音声データのいずれを記録するかは、データ管理装置1を利用することで任意に設定可能である。
【0085】
<1−6.データ管理装置の動作>
次に、データ管理装置1の動作について説明する。前述のように、データ管理装置1は、ドライブレコーダ2に記録されたメモリカード9のデータを読み出してハードディスク14に記憶するデータ取込処理(図4のステップS5)を実行する。
【0086】
データ管理装置1は、データ取込処理において、3種類のコンテンツデータの全てを一律に読み取るのではなく、ユーザにより読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみを読み取るようになっている。
【0087】
図7は、コンテンツデータの読取の設定を行うための設定ダイアログ5の一例を示す図である。このような設定ダイアログ5は、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションを起動して所定の操作を行うことでディスプレイ15に表示される。
【0088】
設定ダイアログ5には、3種類のコンテンツデータ(すなわち、動画データ、音声データ及び常時記録データ)のそれぞれに、「読取」及び「非読取」の2つのオプションボタン51が対応づけられている。ユーザは、これらのオプションボタン51をクリックすることで、動画データ、音声データ及び常時記録データのそれぞれに関して、読取/非読取の設定を行うことができる。
【0089】
所望のオプションボタン51をクリックした上で、設定ダイアログ5の設定ボタン52をクリックすれば、設定内容がハードディスク14に記録され、以降、その設定内容に従ってデータ取込処理が行われる。なお、設定ダイアログ5のキャンセルボタン53をクリックすれば、設定内容は変更されず従前のままとされる。
【0090】
図8は、データ管理装置1のデータ取込処理(図4のステップS5)の流れを示す図である。この処理は、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションをデータ管理装置1で起動し、所定の操作を行うことで実行される。この処理の開始時点では、メモリカード9がカードスロット18に装着されているものとする。
【0091】
まず、メモリカード9から運行データのファイルD1が読み取られる。読み取られた運行データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS21)。
【0092】
次に、設定ダイアログ5(図7参照。)を利用してユーザにより設定されたコンテンツデータの種類ごとの読取/非読取の設定内容がハードディスク14から取得される(ステップS22)。以降、この設定内容に従ってコンテンツデータの読み取りがなされる。
【0093】
まず、動画データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS23)。動画データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から動画データのファイルD2が読み取られる。読み取られた動画データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS24)。一方、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの動画データの読み取りはなされない。
【0094】
次に、音声データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS25)。音声データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から音声データのファイルD3が読み取られる。読み取られた音声データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS26)。一方、音声データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの音声データの読み取りはなされない。
【0095】
次に、常時記録データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS27)。常時記録データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から常時記録データのファイルD4が読み取られる。読み取られた常時記録データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS28)。一方、常時記録データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの常時記録データの読み取りはなされない。
【0096】
このように、読取の設定がなさた種類のコンテンツデータのみを読み取るため、必要に応じて比較的データ量の多いコンテンツデータの読み取りを省略することができ、データ管理装置1におけるデータ取込処理に係る時間を大幅に短縮することが可能である。運行データに関しては、ユーザによる設定に関わらず必ず読み取りがなされるが、比較的データ量が少ないことから、データ取込処理に係る時間に大きく影響を与えることはない。
【0097】
次に、以上の処理によりメモリカード9から読み取られたデータがメモリカード9から消去される。これにより、事後的に同一のデータが重複してデータ管理装置1によって読み取られることが防止される。運行データに関しては、ユーザの設定に関わらず必ず読み取りがなされることから、運行データのファイルはメモリカード9から必ず消去される。これにより、事後的にメモリカード9内に運行データのファイルが存在するか否かを確認すれば、当該メモリカード9のデータ取込処理が完了したか否かを確認できることになる。
【0098】
データの消去に際しては、まず、メモリカード9に記録された運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータのうちの全ての種類のデータが読み取られたか否かが判定される(ステップS29)。
【0099】
コンテンツデータの少なくとも一種類に非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9の一部のコンテンツデータについては、読み取りがなされていない状態となる。このようにメモリカード9の少なくとも一部のデータの読み取りがなされていない場合は(ステップS29にてNo)、運行データのファイルD1と、読み取られたコンテンツデータ(すなわち、読取の設定がなされた種類のコンテンツデータ)のファイルとが、メモリカード9から削除される(ステップS31)。
【0100】
この状態において、メモリカード9内には、読み取られていないコンテンツデータ(すなわち、非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータ)のファイルがメモリカード9に残っている状態となる。このようにメモリカード9に残されたコンテンツデータ(以下、「残留データ」という。)は、必要に応じて事後的にデータ管理装置1などで読み取ることが可能である。
【0101】
ただし、運行データのファイルD1が削除されたことにより、データの記録が行われた車両Bの状況を特定する特定データ(運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報など)もメモリカード9から削除されている。したがって、残留データに関しては、それが取得されたときの車両Bの状況を特定することができなくなってしまう。これを回避するため、ステップS31で削除対象となった運行データのファイルのうちの特定データのみを示す特定データファイルが作成されて、メモリカード9に記録される(ステップS32)。
【0102】
これにより、残留データと特定データとが関連付けられることになり、メモリカード9から残留データを事後的に読み出す場合であっても、その残留データが取得されたときの車両Bの状況を特定することが可能となる。なお、特定データには、運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報などの他、残留データのそれぞれが記録された時点における車両Bの位置、速度及び加速度などの車両Bの状況を示すデータが含まれていることが望ましい。
【0103】
一方、全ての種類のデータが読み取られた場合は(ステップS29にてYes)、メモリカード9内の全てのデータを消去する全データ消去処理がなされる(ステップS30)。
【0104】
図9は、この全データ消去処理(ステップS30)の詳細な流れを示す図である。まず、データ管理装置1で起動しているオペレーティングシステムのバージョンが確認される(ステップS41)。
【0105】
メモリカード9内の全てのデータを消去する場合、メモリカード9をフォーマットする手法と、記録された全てのデータのファイルを削除する手法との2つの手法が考えられる。このうちメモリカード9をフォーマットする手法は、具体的な処理内容としてバリエーションがあり、オペレーティングシステムによって異なる。このため、フォーマットする手法を採用した場合、オペレーティングシステムのバージョンにより、フォーマット処理に必要な時間が異なる。その結果、オペレーティングシステムが特定バージョンの場合には、フォーマット処理に膨大な時間を必要とすることがある。
【0106】
このため、オペレーティングシステムがこのような特定バージョンであれば(ステップS42にてYes)、フォーマットする手法は採用されず、ファイルを削除する手法により、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS43)。例えば、ファイルシステムとしてFATファイルシステムが採用されていれば、ディレクトリエントリとFATとの内容を書き換えることで、全データが削除される。
【0107】
一方、オペレーティングシステムが特定バージョンでなければ(ステップS42にてNo)、オペレーティングシステムの機能によりメモリカード9のフォーマットがなされ、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS44)。このようにオペレーティングシステムに応じてデータを消去する手法を選択することで、メモリカード9内のデータの消去に係る処理時間を短縮することができる。
【0108】
メモリカード9の全データが削除されると、メモリカード9を次回の運行での記録に利用するために記録準備処理がなされる(ステップS45)。具体的には、メモリカード9に、設定パラメータを示す設定ファイルD0がメモリカード9に記録される。
【0109】
以上のように、本実施の形態のデータ管理装置1においては、データ取込処理において、運行データとともに、コンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみが読み取られるようになっている。このため、画像や音声を含んで比較的データ量の多いコンテンツデータの読み込みを必要に応じて省略でき、メモリカード9の読み取りにかかる処理時間を大幅に短縮できる。これにより、事業所Aに所属する車両Bの台数が多い場合においても、データの取込作業に多くの時間が必要とならず、業務の効率化を図ることができる。
【0110】
また、データ管理装置1で読み取られた運行データはメモリカード9から削除されるため、メモリカード9における運行データの有無により、当該メモリカード9のデータ取込処理が完了したか否かを確認できる。また、読み取られたデータはメモリカード9から削除されるため、同一のデータが重複してデータ管理装置1によって読み取られることを防止できる。
【0111】
また、データ管理装置1では、運行データのファイルが削除された場合においても、データの記録が行われた車両Bの状況を特定する特定データを示す特定データファイルをメモリカード9に作成する。このため、データ取込処理後にメモリカード9に残されたコンテンツデータ(残留データ)に関して、それが取得されたときの車両Bの状況を事後的に把握することが可能である。なお、特定データファイルが記録されたメモリカード9に、次回以降の運行において運行データのファイルが記録される場合があるが、この場合は運行データを優先すればよい。
【0112】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、残留データが取得されたときの車両Bの状況を事後的に特定するために特定データファイルを作成するようにしていた。これに対して、第2の実施の形態では、ドライブレコーダ2が、コンテンツデータをメモリカード9に作成する際に、コンテンツデータの所定領域に特定データを埋め込むようにしている。
【0113】
図10は、特定データを埋め込まれたコンテンツデータのファイルDのデータ領域の一例を示す図である。図に示すように、コンテンツデータのファイルDは、ヘッダ領域Da1と、実体データ領域Da3との相互間に特定データ領域Da2を備えている。この特定データ領域Da2に、当該コンテンツデータが取得された車両Bの状況を特定する特定データ(運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報など)が記録される。
【0114】
特定データ領域Da2は、ヘッダ領域Da1の直後に配置されるように定められている。このため、コンテンツデータのファイルDを読み取る装置においては、そのファイルDから特定データを容易に取得することができる。すなわち、コンテンツデータのファイルDのみで、そのコンテンツデータが取得された車両Bの状況を特定することが可能である。
【0115】
したがって、このようなファイル形式のコンテンツデータが残留データとなったとしても、ファイル自体から特定データを取得することができるため、コンテンツデータが取得されたときの車両Bの状況を事後的に把握することが可能となる。
【0116】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、全ての動画データに関して一律に読み取りがなされなかった。しかしながら、動画データの中には、事故の状況を示す重要なデータも存在している。このため、第3の実施の形態では、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合であっても、取得された状況が所定の条件を満足する動画データに関しては、例外的に読み取りを実行するようになっている。
【0117】
第3の実施の形態は、第1の実施の形態とはデータ取込処理のみが相違する。第3の実施の形態のデータ取込処理は、図8に示すデータ取込処理に対して、動画データに非読取の設定がなされていた場合(ステップS23にてNoの場合)の処理が相違している。図11は、この相違部分の処理の流れを示す図である。
【0118】
動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、まず、メモリカード9に記憶されている動画データのうちの一の動画データが、処理の対象となる注目データとして選択される(ステップS51)。
【0119】
次に、注目データが取得されたときの運行データ(車両Bの位置、速度及び加速度など)がファイルD1から読み出され、注目データが取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足するかが判定される(ステップS52)。例えば、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件である上記の条件(A)〜(D)のうち、衝突事故発生の蓋然性が高い条件(A)に該当するか否かが判定される。
【0120】
そして、注目データが取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足した場合は、重要データとしてメモリカード9から注目データが読み取られ、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS53)。一方、取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足しない場合は、注目データの読み取りはなされない。
【0121】
このようにして、一の動画データに関する処理が完了すると、注目データとされていない未処理の動画データがメモリカード9に存在するかが判定される(ステップS54)。そして、存在していた場合は(ステップS54にてYes)、次の一の動画データが新たな注目データとして選択され(ステップS51)、取得されたときの車両Bの状況に応じて読み取りが実行される。このような処理が繰り返され、最終的にメモリカード9内の全ての動画データについて処理がなされ、取得された状況が所定の条件を満足する動画データのみが読み取られることになる。
【0122】
このように、読取の設定がなされなかった動画データであっても、取得された状況が所定の条件を満足する動画データについては例外的に読み取ることで、重要な動画データはデータ管理装置1に記録しておくことができる。
【0123】
なお、本実施の形態では、動画データのみに関して例外的な読み取りを行っているが、音声データや常時記録データに関しても、取得された状況が所定の条件を満足するか否かに応じて例外的な読み取りを実行するようにしてもよい。また、例外的な読み取りを実行する条件は、上記の例に限らず、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件とは無関係に、任意に設定されてよい。例えば、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件である条件(A)よりも厳しい条件(例えば、0.60G以上の加速度が100ミリ秒以上継続して検出された場合。)としてもよい。
【0124】
<4.第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する手法を、オペレーティングシステムのバージョンに応じて選択していた。これに対して、第4の実施の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する手法を、メモリカード9の読み取り回数に応じて選択するようになっている。
【0125】
本実施の形態では、ドライブレコーダシステム100で扱うメモリカード9のそれぞれに識別情報(IDコード)が割り当てられている。そして、メモリカード9の識別情報(IDコード)ごとにデータ取込処理がなされた回数を示すカウンタが設定され、これらカウンタはデータ管理装置1のハードディスク14に記録されている。データ管理装置1においてデータ取込処理を実行するごとに、処理の対象となったメモリカード9のカウンタに「1」が加算されるようになっている。
【0126】
図12は、第4の実施の形態における全データ消去処理(図8のステップS30)の詳細な流れを示す図である。まず、処理の対象のメモリカード9のカウンタの値がハードディスク14から取得される。すなわち、当該メモリカード9のデータ管理装置1における読み取り回数が取得されることになる(ステップS61)。
【0127】
このカウンタの値が所定の回数(例えば10回)未満であれば(ステップS62にてYes)、フォーマットする手法は採用されず、ファイルを削除する手法により、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS63)。これにより比較的短時間で処理が実行される。
【0128】
一方、カウンタの値が所定の回数(例えば10回)以上であれば(ステップS62にてNo)、メモリカード9のフォーマットがなされ、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS64)。そして、メモリカード9のカウンタの値が「0」に戻される。
【0129】
メモリカード9の全データが削除されると、メモリカード9を次回の運行での記録に利用するために記録準備処理がなされる(ステップS65)。
【0130】
このような処理により、第4の実施の形態では、メモリカード9の読み取りを10回実施するごとに、メモリカード9のフォーマットが実行されることになる。メモリカード9をフォーマットせずに、ファイルの書込や削除を繰り返していると、メモリ領域の一部に不良が発生し、最終的にはデータの破損につながる可能性がある。本実施の形態では、読み取り回数に応じて定期的にメモリカード9のフォーマットを実行するため、このようなデータの破損を防止することが可能である。
【0131】
なお、上記の形態では、メモリカード9の読取回数を示すカウンタをデータ管理装置1に記録していたが、メモリカード9自体に記録するようにしてもよい。
【0132】
また、上記の形態では、カウンタの値が所定の回数以上であれば、自動的にフォーマットがなされるようになっているが、ユーザにフォーマットすることを促すダイアログ表示を行うようにしてもよい。
【0133】
また、上記の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する全データ消去処理(図8のステップS30)においてフォーマットを実行するようにしていた。これに対して、読み取られたデータのみを消去する処理(図8のステップS31)においても、カウンタの値が所定の回数以上となる場合は、フォーマットを実行するようにしてもよい。この場合は、まず、非読取のコンテンツデータを一旦ハードディスク14にコピーする。続いて、メモリカード9のフォーマットを実施して、メモリカード9内の全てのデータを消去する。その後、ハードディスク14にコピーしておいた非読取のコンテンツデータをメモリカード9に書き戻せばよい。また、この場合も、フォーマットを実行せずに、単にユーザにフォーマットすることを促すダイアログ表示を行うようにしてもよい。
【0134】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態で説明した形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0135】
上記実施の形態では、ドライブレコーダシステム100をタクシー事業を行う事業者に適用した場合を例に説明したが、トラック、バス及び商用車などの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者であれば、どのような事業者にも適用可能である。
【0136】
また、上記実施の形態では、可搬性の記録媒体としてメモリカード9を採用するとして説明を行ったが、読み書き可能なCD−ROMなどの記録ディスクや、可搬性のハードディスクなどを採用してもよい。
【0137】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 データ管理装置
2 ドライブレコーダ
5 設定ダイアログ
9 メモリカード
A 事業所
B 車両
11 CPU
14 ハードディスク
141 プログラム
142 データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたカメラにより車両外部や車室内の撮影を常時に行い、事故などのイベントが発生した場合にその発生前後に取得された画像をメモリカードなどの可搬性の記録媒体に記録するドライブレコーダが知られている。また、画像を記録するだけではなく、車両の位置、速度及び加速度などの車両の走行状況を記録媒体に記録したり、イベントとは無関係に一定周期で車両外部や車室内の様子を示す画像を記録媒体に記録するドライブレコーダなども提案されている。
【0003】
近年では、トラック、バス及びタクシーなどの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者において、ドライブレコーダを業務に使用する全ての車両に搭載することも実施されている。このような事業者においては、各車両のドライブレコーダで取得されたデータが、事故の原因究明、乗務員の運転傾向の分析、及び、乗務員の安全運転指導等に利用される。
【0004】
特許文献1及び2には、車載カメラにより車両の周辺の撮影を常時に行い、事故発生時に取得した画像を記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。また、特許文献3及び4には、事故発生時における車両の速度などの走行状況を示すデータを記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−16785号公報
【特許文献2】特開平06−237463号公報
【特許文献3】特開平06−331391号公報
【特許文献4】特開平06−186061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ドライブレコーダにおいては、より高い解像度の画像を、より高いレートで、より長時間記録することが要求されている。このような要求に伴って、ドライブレコーダにおいて、車両の一回の運行ごとに記録媒体に記録されるデータの量も非常に大きくなってきている。
【0007】
一般に、トラック、バス及びタクシーなどの事業者においては、事業所を出発してから帰着するまでの一回の運行ごとに、ドライブレコーダで記録された記録媒体のデータが、事業所に配置されたデータ管理装置に取り込まれる。記録媒体に記録されるデータの量が大きくなると、それに伴ってデータ管理装置での取り込みに必要な時間も長くなる。例えば、記録媒体に取込対象となるデータが2ギガバイト存在していたとすると、それらを全て取り込むためには約4〜5分程度の時間が必要となる。
【0008】
データ管理装置では、事業所に所属する複数台の車両それぞれのドライブレコーダで記録されたデータを取り込む必要がある。このため、今後、ドライブレコーダで記録するデータ量がさらに大きくなると、事業所に所属する車両の台数が多い場合には、データの取込作業だけで数時間かかることも予測される。このようにデータの取込作業で長い時間が必要となるとそれだけ業務が停滞してしまうため、改善が要望されていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ドライブレコーダに記録された記録媒体に係る処理時間を短縮できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置であって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける受付手段と、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って前記記憶装置に記録する読取手段と、を備えている。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記読取手段によって読み取られた前記運行データを前記記録媒体から削除する削除手段、をさらに備えている。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記読取手段によって読み取られた前記記録媒体の記録内容を削除する削除手段、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項2または3に記載のデータ管理装置において、前記運行データは、前記コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含み、前記運行データを前記記録媒体から削除する場合に、該運行データに含まれる前記特定データを前記記録媒体に記録する記録手段、を備えている。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項2または3に記載のデータ管理装置において、前記コンテンツデータは、該コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含む。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ管理装置において、前記読取手段は、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのうちで、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータをさらに読み取る。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ管理装置において、前記記録媒体をフォーマットする手法、及び、前記記録媒体に記録されたファイルを削除する手法の2つの手法を選択的に用いて、前記記録媒体の全ての前記コンテンツデータを消去する消去手段、をさらに備えている。
【0017】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載のデータ管理装置において、前記消去手段は、前記データ管理装置で動作するオペレーティングシステムに応じて前記2つの手法のいずれかを選択する。
【0018】
また、請求項9の発明は、請求項7に記載のデータ管理装置において、前記消去手段は、消去対象となる前記記録媒体の前記読取手段による読み取りの回数に応じて、前記2つの手法のいずれかを選択する。
【0019】
また、請求項10の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る方法であって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、を備えている。
【0020】
また、請求項11の発明は、複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし11の発明によれば、比較的データ量の少ない運行データと、比較的データ量の多いコンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取る。このため、必要に応じて、コンテンツデータの読み込みを省略でき、記録媒体の読み取りに係る処理時間を短縮できる。
【0022】
また、特に請求項2の発明によれば、記録媒体における運行データの有無で当該記録媒体のデータ管理装置での読み取りが完了したか否かを確認できる。
【0023】
また、特に請求項3の発明によれば、同一のデータが重複してデータ管理装置によって読み取られることを防止できる。
【0024】
また、特に請求項4の発明によれば、運行データを削除する場合においても、特定データを記録媒体に記録するため、記録媒体に残されたコンテンツデータの取得された状況を事後的に特定できる。
【0025】
また、特に請求項5の発明によれば、コンテンツデータが特定データを含んでいるため、記録媒体に残されたコンテンツデータの取得された状況を事後的に特定できる。
【0026】
また、特に請求項6の発明によれば、読取の設定がなされなかったコンテンツデータであっても、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータについては例外的に読み取ることで、重要なコンテンツデータは記憶装置に記録しておくことができる。
【0027】
また、特に請求項7の発明によれば、記録媒体の全てのコンテンツデータを消去するに際して、適宜、フォーマットする手法ではなくファイルを削除する手法を用いることで、記録媒体に係る処理時間をさらに短縮できる。
【0028】
また、特に請求項8の発明によれば、オペレーティングシステムに応じて最適な処理を選択できる。
【0029】
また、特に請求項9の発明によれば、記録媒体の読み取り回数に応じてフォーマットする手法とファイルを削除する手法とを使い分けることで、記録媒体をフォーマットしない場合に生じる不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、ドライブレコーダシステムの概要を示す図である。
【図2】図2は、データ管理装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、ドライブレコーダの構成を示す図である。
【図4】図4は、メモリカードの運用手法の流れの一例を示す図である。
【図5】図5は、メモリカードにおけるデータの格納状態を示す図である。
【図6】図6は、データ記録処理の流れを示す図である。
【図7】図7は、設定ダイアログの一例を示す図である。
【図8】図8は、データ取込処理の流れを示す図である。
【図9】図9は、全データ消去処理の流れを示す図である。
【図10】図10は、ファイルのデータ領域の一例を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施の形態のデータ取込処理の一部の流れを示す図である。
【図12】図12は、第4の実施の形態の全データ消去処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム概要>
図1は、データ管理装置1とドライブレコーダ2とを含むドライブレコーダシステム100の概要を示す図である。ドライブレコーダシステム100は、トラック、バス及びタクシーなどの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者において利用される。本実施の形態では、ドライブレコーダシステム100が、タクシー事業を行う事業者において採用された場合を例に説明する。
【0033】
この事業者においては、タクシーとして構成される複数の車両Bを使用して事業が行われており、複数の車両Bのそれぞれにドライブレコーダ2が搭載されている。また、これら複数の車両Bを管理する事業所Aにおいては、ドライブレコーダ2で記録されたデータを管理するとともに表示可能な1台のデータ管理装置1が備えられている。データ管理装置1とドライブレコーダ2との間のデータの受け渡しには、可搬性の記録媒体であるメモリカード9が利用される。このメモリカード9には、不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリが内蔵されている。
【0034】
ドライブレコーダ2は、搭載された車両Bの運行に係る各種のデータをメモリカード9に記録する。具体的には、ドライブレコーダ2においては、車両Bの運行中において、事故などの所定のイベントが発生した場合にその発生前後における動画データまたは音声データが記録される。また、ドライブレコーダ2においては、所定の周期で、車両の位置、速度及び加速度などの車両Bの走行状況を示す運行データが記録される。さらに、ドライブレコーダ2においては、常時記録データとして、イベントとは無関係に所定の周期で車外あるいは車内の様子を示す画像データ及び音声データが記録される。
【0035】
複数の車両Bそれぞれのドライブレコーダ2でメモリカード9に記録されたデータは、車両Bの一回の運行ごとにデータ管理装置1に取り込まれる。データ管理装置1は、ドライブレコーダ2によりメモリカード9に記録されたデータを読み取って、内部の不揮発性の記憶装置に記録する。これにより、複数の車両Bで記録されたデータが、データ管理装置1において集約される。なお、この説明では、車両Bが事業所Aから出発してその事業所Aに帰着するまでを「一回の運行」という。
【0036】
<1−2.データ管理装置の構成>
図2は、データ管理装置1の構成を示す図である。データ管理装置1のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。具体的には、データ管理装置1は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、不揮発性の記憶装置であるハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、音声を出力するスピーカ16、ならびに、ユーザが操作するキーボード及びマウスなどで構成される操作部17を備えている。また、データ管理装置1は、メモリカード9を着脱可能なカードスロット18を備えている。カードスロット18は、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。
【0037】
データ管理装置1のハードディスク14には、各種のプログラム141が記憶されている。このプログラム141に従ってCPU11が演算処理を実行することにより、データ管理装置1として必要な各種機能が実現される。プログラム141の実行により実現される機能には、オペレーティングシステムや、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションなどがある。このようなプログラム141は、プログラムを記録した記録媒体(例えば、メモリカード9など)からの読み取りや、ネットワークを介した通信などによって取得され、ハードディスク14に予め記憶されている。
【0038】
また、データ管理装置1のハードディスク14には、ドライブレコーダ2で記録されたデータを集約したデータベース142が構築されている。ドライブレコーダ2でメモリカード9に記録されたデータは、カードスロット18において読み取られた後、データベース142に登録される。データベース142に登録されたデータは、専用のアプリケーションを利用することで、ディスプレイ15に画像として表示させたり、スピーカ16から音声として出力できる。また、データベース142に登録されたデータは、専用のアプリケーションを用いての乗務員の安全運転指導等のための各種解析にも利用される。
【0039】
<1−3.ドライブレコーダの構成>
図3は、ドライブレコーダ2の構成を示す図である。ドライブレコーダ2は、装置全体を制御する制御部としてマイクロコンピュータを備えている。具体的には、ドライブレコーダ2は、各種演算処理を行うCPU21、ファームウェアを記憶する不揮発性メモリ25、及び、演算処理の作業領域となるRAM24を備えている。ドライブレコーダ2の各部を制御する機能は、不揮発性メモリ25に予め記憶されたファームウェアに従ってCPU21が演算処理を実行することにより実現される。不揮発性メモリ25は、例えばフラッシュメモリなどで構成され、ファームウェアの他、各種の設定パラメータなどを記憶する。
【0040】
ドライブレコーダ2は、2つのカメラ31,32及びマイク33を備えており、これらはドライブレコーダ2の本体部とは別に車両Bの適位置に配置される。2つのカメラ31,32はそれぞれ、レンズと撮像素子とを備えており電子的に画像データを取得する。第1カメラ31は、その光軸が車室外の車両Bの前方に向けられており、車両Bの前方の領域を示す画像データを取得する。一方、第2カメラ32は、その光軸が車室内に向けられており、車両Bの乗務員や乗客の様子を示す画像データを取得する。また、マイク33は、車室外及び車室内の音を集音して音声データを取得する。
【0041】
ドライブレコーダ2は、2つのカメラ31,32からの信号を扱う処理部として、カメラ切替部22及び画像処理部23を備えている。カメラ切替部22は、2つのカメラ31,32から入力される信号を切り替えるものである。カメラ切替部22は、CPU21からの指示に基づいて、2つのカメラ31,32うちのいずれか一方の画像データの信号を入力する。
【0042】
画像処理部23は、2つのカメラ31,32から入力される信号について、A/D変換、輝度補正、コントラスト補正などの所定の画像処理を行い、JPEG形式などの所定形式のデジタルの画像データを生成する。画像処理部23において処理された画像データは、RAM24に記録される。
【0043】
RAM24の記憶領域のうちの一部はリングバッファとして利用される。このリングバッファに対して、画像処理部23において処理された画像データ、及び、マイク33で取得された音声データが常時に記憶される。リングバッファでは、最後の領域までデータが記憶されると最初の領域に戻って新たなデータが記憶される。これにより、リングバッファでは、最も古いデータに対して新たなデータが順次に上書きされていく。このため、RAM24においては、常に過去一定時間分の画像データ及び音声データが記憶された状態とされる。本実施の形態では、リングバッファに少なくとも40秒分の画像データ及び音声データが記憶されるようになっている。
【0044】
また、ドライブレコーダ2は、カードスロット26、計時回路27、加速度センサ28及びGPS受信部29を備えている。
【0045】
カードスロット26は、メモリカード9を着脱することが可能である。カードスロット26は、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。事故などの所定のイベントが生じたときは、CPU21の指示により、RAM24のリングバッファに記憶された画像データ及び音声データが、カードスロット26に装着されたメモリカード9に記録される。
【0046】
計時回路27は、その時点の時刻に対応した信号を発生して、CPU21へ出力する。計時回路27は、内臓電池を有し、外部から電力供給を受けなくとも動作して正確な時刻を計時する。
【0047】
加速度センサ28は、車両Bに加わる衝撃の大きさを示す加速度を、重力加速度のGを単位として検出する。加速度センサ28は、例えば、互いに直交する3軸あるいは2軸に応じた加速度の大きさを検出し、CPU21へ出力する。
【0048】
GPS受信部29は、複数のGPS衛星からの信号を受信して、その時点の車両Bの位置情報を取得する。GPS受信部29は、地球上における緯度経度で表現される位置情報を取得し、取得した位置情報をCPU21へ出力する。
【0049】
また、ドライブレコーダ2には、ユーザ(主に車両Bの乗務員)から指示を受け付ける部材として、記録スイッチ34及び操作部35を備えている。これらは、ユーザが操作しやすいように、ドライブレコーダ2の本体部とは別に、ハンドルの近傍などの車両Bの適位置に配置される。
【0050】
記録スイッチ34は、動画データのメモリカード9への記録指示を受け付けるスイッチである。ユーザは、事故が発生していない場面であっても、この記録スイッチ34を押下することにより所望のタイミングで動画データをメモリカード9へ記録できる。また、操作部35は、複数のボタンを含んで構成され、ユーザから各種設定などの入力を受け付ける。これらのユーザによる操作内容は、信号としてCPU21に入力される。
【0051】
また、ドライブレコーダ2は、車両Bに配置される車速センサ41及びドアセンサ42と接続されている。車速センサ41は、その時点の車両Bの走行速度(km/h)を検出してCPU21に出力する。ドアセンサ42は、車両Bのドアに設けられ、ドアの開閉を示す信号をCPU21に出力する。ドアセンサ42は、例えば、タクシーとして構成された車両Bの乗客が乗り降りする後部座席のドアなどに設けられている。
【0052】
<1−4.メモリカード>
次に、図1に示すドライブレコーダシステム100におけるメモリカード9の運用手法について説明する。図4は、メモリカード9の運用手法の流れの一例を示す図である。
【0053】
まず、データ管理装置1において、メモリカード9にドライブレコーダ2のデータを記録するための準備である記録準備処理がなされる(ステップS1)。メモリカード9は、フォーマットされて全てのデータが消去される。そして、ドライブレコーダ2に設定すべき各種の設定パラメータがメモリカード9に記録される。
【0054】
準備が完了したメモリカード9は、車両Bのドライブレコーダ2に装着される。この車両Bが事業所Aから出発して車両Bの運行が開始すると(ステップS2にてYes)、以降の車両Bの運行中にわたって、ドライブレコーダ2において、車両Bの運行に係る各種のデータをメモリカード9に記録するデータ記録処理がなされる(ステップS3)。
【0055】
その後、車両Bの運行が終了して車両Bが事業所Aに帰着すると(ステップS4にてYes)、メモリカード9は、ドライブレコーダ2から取り出されてデータ管理装置1に装着される。そして、データ管理装置1において、メモリカード9に記録されたデータを取り込むデータ取込処理がなされる。具体的には、専用のアプリケーションの機能により、メモリカード9に記録されたデータが読み出され、所定の形式に変換されて、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS5)。
【0056】
データ管理装置1によりデータの取り込みが完了したメモリカード9は、再び、車両Bのドライブレコーダ2に装着され、車両Bの運行に係る各種のデータの記録に利用される(ステップS2,S3)。
【0057】
このようにメモリカード9はドライブレコーダ2でのデータの記録に繰り返し利用され、メモリカード9に記録されたデータは、車両Bの一回の運行ごとにデータ管理装置1に取り込まれる。データ管理装置1では、事業所Aに所属する複数の車両Bそれぞれの運行完了後に、データ取込処理を実行することになる。
【0058】
図5は、メモリカード9におけるデータの格納状態を示す図である。メモリカード9内のデータ格納構造には、階層フォルダ構造(階層ディレクトリ構造)が採用され、各種のデータはいずれかのフォルダ内に格納される。図5において、フォルダやデータを示す記号の横に示された文字列は、対応するフォルダやデータの名称を示している。
【0059】
階層フォルダ構造の最上層には、「ルート」フォルダF0が設けられている。この「ルート」フォルダF0に、ドライブレコーダ2に設定すべき各種の設定パラメータが記録された設定ファイルD0が格納される。
【0060】
また、「ルート」フォルダF0内には子フォルダとして「運行データ」フォルダF1、「動画データ」フォルダF2、「音声データ」フォルダF3及び「常時記録データ」フォルダF4が設けられている。
【0061】
「運行データ」フォルダF1には、車両Bの運行中における位置、速度及び加速度などの車両Bの走行状況を示す運行データのファイルD1が格納される。運行データのファイルD1は、主にテキストで構成され、画像及び音声は含んでいない。運行データは、一定周期ごと、あるいは所定の条件で、同一のファイルD1に追加的に記録されていく。運行データを記録すべきファイルD1のデータサイズが所定サイズ(例えば1メガバイト)を超えた場合は、新たなファイルD1が作成され、その新たなファイルD1に運行データが記録される。また、運行データのファイルD1は、そのヘッダ領域に、運行の開始時刻、車両Bの識別情報(IDコード)、乗務員の識別情報(IDコード)など、ドライブレコーダ2が搭載された車両Bの状況を特定する特定データを含んでいる。
【0062】
「動画データ」フォルダF2には、事故などの所定のイベントが発生したときに得られる動画データのファイルD2が格納される。動画データは、例えば、イベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間との合計20秒分の画像データと音声データとで構成される。イベントごとに一つのファイルD2が作成され、一つのイベントに係る動画データは一つのファイルD2として記録される。
【0063】
また、「音声データ」フォルダF3には、所定のイベントが発生したときに得られる音声データのファイルD3が格納される。音声データは、イベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間の合計20秒分の音声を含んでいる。イベントごとに一つのファイルD3が作成され、一つのイベントに係る音声データは一つのファイルD3として記録される。
【0064】
ドライブレコーダ2では、複数のイベントが予め想定されており、各イベントごとに動画データと音声データとのいずれを記録するかを設定可能となっている。このため、ある種類のイベントが発生した場合は動画データが記録され、ある別の種類のイベントが発生した場合は音声データが記録される。
【0065】
「常時記録データ」フォルダF2には、ドライブレコーダ2の起動中にわたって一定周期で得られた画像データと音声データとで構成される常時記録データのファイルD4が格納される。ドライブレコーダ2の起動中においては、イベントの発生とは無関係に一定周期ごとに、ファイルD4に常時記録データとしての画像データ及び音声データが追加的に記録されていく。常時記録データを記録すべきファイルD4のデータサイズが所定サイズ(例えば1ギガバイト)を超えた場合は、新たなファイルD4が作成され、その新たなファイルD4に常時記録データが記録される。
【0066】
このようにドライブレコーダ2においては、運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータが記録される。これらの4種類のデータうち、運行データは画像及び音声は含んでいないため、そのファイルのデータサイズは比較的小さくなる。一方で、動画データ、音声データ及び常時記録データについては、画像及び音声の少なくとも一方を含んでおり、そのファイルのデータサイズは比較的大きくなる。
【0067】
例えば、メモリカード9内に記録される運行データのファイルD1の総データサイズは最大でも5メガバイト程度となる。これに対して、動画データのファイルD2の総データサイズは最大で1ギガバイト程度、音声データのファイルD3の総データサイズは最大で100メガバイト程度、常時記録データのファイルD4の総データサイズは最大で5ギガバイト程度となる。
【0068】
このように、メモリカード9内に記録される動画データ、音声データ及び常時記録データそれぞれの総データサイズは、運行データの総データサイズと比較してきわめて大きくなる。なお、以降の説明では、画像及び音声の少なくとも一方を含んでいる動画データ、音声データ及び常時記録データを総称して「コンテンツデータ」という。
【0069】
<1−5.ドライブレコーダの動作>
次に、ドライブレコーダ2の動作について説明する。図6は、ドライブレコーダ2が各種のデータをメモリカード9に記録するデータ記録処理(図4のステップS3)の流れを示す図である。この動作の開始時点では、メモリカード9がカードスロット26に装着されているものとする。
【0070】
ドライブレコーダ2は起動すると、CPU21の制御によりイニシャル処理を実行する(ステップS11)。具体的には、まず、メモリカード9内に運行データのファイルD1が存在するか否かが確認される。
【0071】
メモリカード9内に運行データのファイルD1がなければ、運行開始と判断される。そして、メモリカード9内の設定ファイルD0の各種の設定パラメータが読み出されて不揮発性メモリ25に記憶され、その設定パラメータに従ってドライブレコーダ2の設定がなされる。
【0072】
続いて、メモリカード9内に、運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータをそれぞれ格納するためのフォルダF1〜F4が作成される。そして、「運行データ」フォルダF1内に運行データのファイルD1が新規に作成される。この運行データのファイルD1のヘッダ領域には、運行の開始時刻、車両Bの識別情報、及び、乗務員の識別情報などの車両Bの状況を特定する特定データが記録される。運行の開始時刻は、計時回路27で得られるその時点の時刻が利用される。また、車両Bの識別情報、及び、乗務員の識別情報は、ドライブレコーダ2の不揮発性メモリ25に予め記憶された情報が読み出されて利用される。
【0073】
なお、この起動時点でメモリカード9内に運行データのファイルD1があれば、運行途中での再起動と判断され、ドライブレコーダ2の設定や運行データのファイルD1の作成は省略される。ただし、このときに乗務員の交代などがあり、交代後の乗務員の識別情報が操作部35を介して入力された場合は、運行データのファイルD1のヘッダ領域に特定データとしてその乗務員の識別情報と乗務員の交代時刻とが追加で記録される。乗務員の交代時刻は、計時回路27で得られるその時点の時刻が利用される。この乗務員の交代時刻及び乗務員の識別情報は、車両Bの状況を特定する特定データの一部となる。
【0074】
イニシャル処理が完了すると、第1カメラ31または第2カメラ32により得られる画像データと、マイク33で取得される音声データとの、RAM24のリングバッファの領域への記憶が開始される(ステップS12)。画像データは、例えば30fps(毎秒30フレーム)のフレームレートでRAM24に記憶される。そして以降、所定の条件(ステップS13,S15,S17)で、運行データやコンテンツデータがメモリカード9に記録される。このような画像データ及び音声データのRAM24への記憶(ステップS12)は、ドライブレコーダ2の起動中にわたって、ドライブレコーダ2が停止するまで実行される。
【0075】
ステップS13においては、運行データを記録すべき所定の第1周期であるかが判断され、第1周期であれば運行データがメモリカード9に記録される(ステップS14)。これにより、運行データが例えば10秒ごとにメモリカード9に記録される。運行データには、その時点の車両Bの位置、速度及び加速度などが含まれている。車両Bの位置はGPS受信部29で得られる位置情報が利用され、車両Bの速度は車速センサ41で得られる走行速度が利用され、加速度は加速度センサ28で得られる加速度が利用される。なお、運行データには、車両Bの位置、速度及び加速度の他、ドアセンサ42で得られるドアの開閉状況、記録スイッチ34の操作状況、車両Bの灯火類の点灯状態、及び、ハンドルの操舵角など車両Bの運行や走行に関する種々の情報が含まれることが望ましい。
【0076】
ステップS15においては、常時記録データを記録すべき所定の第2周期であるかが判断され、第2周期であれば常時記録データがメモリカード9に記録される(ステップS16)。これにより、画像データと音声データとを含む常時記録データが、例えば1秒ごとにメモリカード9に記録される。常時記録データの画像データとしては、RAM24のリングバッファに記憶された画像データのうちの最新の一つの画像データが利用される。したがって、常時記録データの画像データのフレームレートは1fps(毎秒1フレーム)となる。
【0077】
また、ステップS17においては、所定のイベントが発生したかが判断される。所定のイベントが発生した場合は、例えば、そのイベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間との合計20秒分の画像データと音声データとが、RAM24のリングバッファから読み出される。そして、読み出された画像データと音声データとが利用されて一つの動画データが生成され、メモリカード9に記録される(ステップS18)。さらに、イベント発生時点の車両Bの位置、速度及び加速度などの車両Bの状況を示す運行データも、メモリカード9に記録される(ステップS19)。
【0078】
本実施の形態のドライブレコーダ2において、所定のイベントが発生したと判断される条件は、下記の条件(A)〜(D)である。
【0079】
(A)加速度センサ28において所定以上の加速度が所定時間以上継続して検出された場合。例えば、0.40G以上の加速度が100ミリ秒以上継続して検出された場合。
【0080】
(B)車速センサ41が検出した車両Bの所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合。例えば、速度60km/h以上で走行中に1秒間の減速が14km/h以上となった場合。
【0081】
(C)記録スイッチ34がユーザにより操作された場合。
【0082】
(D)ドアセンサ42においてドアの開が検出された場合。
【0083】
条件(A)は、比較的強い加速度が発生しており、車両Bの衝突事故発生の蓋然性が高い状況である。条件(B)は、急減速となっており事故が急迫した蓋然性が高い状況である。条件(C)は、ユーザ(主に車両Bの乗務員)がデータの記録を必要と判断した状況である。条件(D)は、トラブルが生じやすい、乗客が乗降する状況である。
【0084】
なお、条件(A)〜(D)に示したイベントの発生条件はあくまで一例であり、データ管理装置1を利用することで任意に変更可能である。また、発生したイベントの種類によっては、動画データに代えて音声データが記録されるようにすることも可能である。例えば、条件(D)では、音声データのみの記録とすることが考えられる。いずれのイベントで、動画データ及び音声データのいずれを記録するかは、データ管理装置1を利用することで任意に設定可能である。
【0085】
<1−6.データ管理装置の動作>
次に、データ管理装置1の動作について説明する。前述のように、データ管理装置1は、ドライブレコーダ2に記録されたメモリカード9のデータを読み出してハードディスク14に記憶するデータ取込処理(図4のステップS5)を実行する。
【0086】
データ管理装置1は、データ取込処理において、3種類のコンテンツデータの全てを一律に読み取るのではなく、ユーザにより読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみを読み取るようになっている。
【0087】
図7は、コンテンツデータの読取の設定を行うための設定ダイアログ5の一例を示す図である。このような設定ダイアログ5は、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションを起動して所定の操作を行うことでディスプレイ15に表示される。
【0088】
設定ダイアログ5には、3種類のコンテンツデータ(すなわち、動画データ、音声データ及び常時記録データ)のそれぞれに、「読取」及び「非読取」の2つのオプションボタン51が対応づけられている。ユーザは、これらのオプションボタン51をクリックすることで、動画データ、音声データ及び常時記録データのそれぞれに関して、読取/非読取の設定を行うことができる。
【0089】
所望のオプションボタン51をクリックした上で、設定ダイアログ5の設定ボタン52をクリックすれば、設定内容がハードディスク14に記録され、以降、その設定内容に従ってデータ取込処理が行われる。なお、設定ダイアログ5のキャンセルボタン53をクリックすれば、設定内容は変更されず従前のままとされる。
【0090】
図8は、データ管理装置1のデータ取込処理(図4のステップS5)の流れを示す図である。この処理は、ドライブレコーダ2に記録されたデータを取り扱う専用のアプリケーションをデータ管理装置1で起動し、所定の操作を行うことで実行される。この処理の開始時点では、メモリカード9がカードスロット18に装着されているものとする。
【0091】
まず、メモリカード9から運行データのファイルD1が読み取られる。読み取られた運行データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS21)。
【0092】
次に、設定ダイアログ5(図7参照。)を利用してユーザにより設定されたコンテンツデータの種類ごとの読取/非読取の設定内容がハードディスク14から取得される(ステップS22)。以降、この設定内容に従ってコンテンツデータの読み取りがなされる。
【0093】
まず、動画データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS23)。動画データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から動画データのファイルD2が読み取られる。読み取られた動画データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS24)。一方、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの動画データの読み取りはなされない。
【0094】
次に、音声データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS25)。音声データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から音声データのファイルD3が読み取られる。読み取られた音声データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS26)。一方、音声データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの音声データの読み取りはなされない。
【0095】
次に、常時記録データに関して読取の設定がなされているかが判断される(ステップS27)。常時記録データに関して読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9から常時記録データのファイルD4が読み取られる。読み取られた常時記録データは、登録に適した形式に変換された後、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS28)。一方、常時記録データに関して非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9からの常時記録データの読み取りはなされない。
【0096】
このように、読取の設定がなさた種類のコンテンツデータのみを読み取るため、必要に応じて比較的データ量の多いコンテンツデータの読み取りを省略することができ、データ管理装置1におけるデータ取込処理に係る時間を大幅に短縮することが可能である。運行データに関しては、ユーザによる設定に関わらず必ず読み取りがなされるが、比較的データ量が少ないことから、データ取込処理に係る時間に大きく影響を与えることはない。
【0097】
次に、以上の処理によりメモリカード9から読み取られたデータがメモリカード9から消去される。これにより、事後的に同一のデータが重複してデータ管理装置1によって読み取られることが防止される。運行データに関しては、ユーザの設定に関わらず必ず読み取りがなされることから、運行データのファイルはメモリカード9から必ず消去される。これにより、事後的にメモリカード9内に運行データのファイルが存在するか否かを確認すれば、当該メモリカード9のデータ取込処理が完了したか否かを確認できることになる。
【0098】
データの消去に際しては、まず、メモリカード9に記録された運行データ、動画データ、音声データ及び常時記録データの4種類のデータのうちの全ての種類のデータが読み取られたか否かが判定される(ステップS29)。
【0099】
コンテンツデータの少なくとも一種類に非読取の設定がなされていた場合は、メモリカード9の一部のコンテンツデータについては、読み取りがなされていない状態となる。このようにメモリカード9の少なくとも一部のデータの読み取りがなされていない場合は(ステップS29にてNo)、運行データのファイルD1と、読み取られたコンテンツデータ(すなわち、読取の設定がなされた種類のコンテンツデータ)のファイルとが、メモリカード9から削除される(ステップS31)。
【0100】
この状態において、メモリカード9内には、読み取られていないコンテンツデータ(すなわち、非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータ)のファイルがメモリカード9に残っている状態となる。このようにメモリカード9に残されたコンテンツデータ(以下、「残留データ」という。)は、必要に応じて事後的にデータ管理装置1などで読み取ることが可能である。
【0101】
ただし、運行データのファイルD1が削除されたことにより、データの記録が行われた車両Bの状況を特定する特定データ(運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報など)もメモリカード9から削除されている。したがって、残留データに関しては、それが取得されたときの車両Bの状況を特定することができなくなってしまう。これを回避するため、ステップS31で削除対象となった運行データのファイルのうちの特定データのみを示す特定データファイルが作成されて、メモリカード9に記録される(ステップS32)。
【0102】
これにより、残留データと特定データとが関連付けられることになり、メモリカード9から残留データを事後的に読み出す場合であっても、その残留データが取得されたときの車両Bの状況を特定することが可能となる。なお、特定データには、運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報などの他、残留データのそれぞれが記録された時点における車両Bの位置、速度及び加速度などの車両Bの状況を示すデータが含まれていることが望ましい。
【0103】
一方、全ての種類のデータが読み取られた場合は(ステップS29にてYes)、メモリカード9内の全てのデータを消去する全データ消去処理がなされる(ステップS30)。
【0104】
図9は、この全データ消去処理(ステップS30)の詳細な流れを示す図である。まず、データ管理装置1で起動しているオペレーティングシステムのバージョンが確認される(ステップS41)。
【0105】
メモリカード9内の全てのデータを消去する場合、メモリカード9をフォーマットする手法と、記録された全てのデータのファイルを削除する手法との2つの手法が考えられる。このうちメモリカード9をフォーマットする手法は、具体的な処理内容としてバリエーションがあり、オペレーティングシステムによって異なる。このため、フォーマットする手法を採用した場合、オペレーティングシステムのバージョンにより、フォーマット処理に必要な時間が異なる。その結果、オペレーティングシステムが特定バージョンの場合には、フォーマット処理に膨大な時間を必要とすることがある。
【0106】
このため、オペレーティングシステムがこのような特定バージョンであれば(ステップS42にてYes)、フォーマットする手法は採用されず、ファイルを削除する手法により、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS43)。例えば、ファイルシステムとしてFATファイルシステムが採用されていれば、ディレクトリエントリとFATとの内容を書き換えることで、全データが削除される。
【0107】
一方、オペレーティングシステムが特定バージョンでなければ(ステップS42にてNo)、オペレーティングシステムの機能によりメモリカード9のフォーマットがなされ、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS44)。このようにオペレーティングシステムに応じてデータを消去する手法を選択することで、メモリカード9内のデータの消去に係る処理時間を短縮することができる。
【0108】
メモリカード9の全データが削除されると、メモリカード9を次回の運行での記録に利用するために記録準備処理がなされる(ステップS45)。具体的には、メモリカード9に、設定パラメータを示す設定ファイルD0がメモリカード9に記録される。
【0109】
以上のように、本実施の形態のデータ管理装置1においては、データ取込処理において、運行データとともに、コンテンツデータのうち読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのみが読み取られるようになっている。このため、画像や音声を含んで比較的データ量の多いコンテンツデータの読み込みを必要に応じて省略でき、メモリカード9の読み取りにかかる処理時間を大幅に短縮できる。これにより、事業所Aに所属する車両Bの台数が多い場合においても、データの取込作業に多くの時間が必要とならず、業務の効率化を図ることができる。
【0110】
また、データ管理装置1で読み取られた運行データはメモリカード9から削除されるため、メモリカード9における運行データの有無により、当該メモリカード9のデータ取込処理が完了したか否かを確認できる。また、読み取られたデータはメモリカード9から削除されるため、同一のデータが重複してデータ管理装置1によって読み取られることを防止できる。
【0111】
また、データ管理装置1では、運行データのファイルが削除された場合においても、データの記録が行われた車両Bの状況を特定する特定データを示す特定データファイルをメモリカード9に作成する。このため、データ取込処理後にメモリカード9に残されたコンテンツデータ(残留データ)に関して、それが取得されたときの車両Bの状況を事後的に把握することが可能である。なお、特定データファイルが記録されたメモリカード9に、次回以降の運行において運行データのファイルが記録される場合があるが、この場合は運行データを優先すればよい。
【0112】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、残留データが取得されたときの車両Bの状況を事後的に特定するために特定データファイルを作成するようにしていた。これに対して、第2の実施の形態では、ドライブレコーダ2が、コンテンツデータをメモリカード9に作成する際に、コンテンツデータの所定領域に特定データを埋め込むようにしている。
【0113】
図10は、特定データを埋め込まれたコンテンツデータのファイルDのデータ領域の一例を示す図である。図に示すように、コンテンツデータのファイルDは、ヘッダ領域Da1と、実体データ領域Da3との相互間に特定データ領域Da2を備えている。この特定データ領域Da2に、当該コンテンツデータが取得された車両Bの状況を特定する特定データ(運行の開始時刻、乗務員の交代時刻、車両Bの識別情報、乗務員の識別情報など)が記録される。
【0114】
特定データ領域Da2は、ヘッダ領域Da1の直後に配置されるように定められている。このため、コンテンツデータのファイルDを読み取る装置においては、そのファイルDから特定データを容易に取得することができる。すなわち、コンテンツデータのファイルDのみで、そのコンテンツデータが取得された車両Bの状況を特定することが可能である。
【0115】
したがって、このようなファイル形式のコンテンツデータが残留データとなったとしても、ファイル自体から特定データを取得することができるため、コンテンツデータが取得されたときの車両Bの状況を事後的に把握することが可能となる。
【0116】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、全ての動画データに関して一律に読み取りがなされなかった。しかしながら、動画データの中には、事故の状況を示す重要なデータも存在している。このため、第3の実施の形態では、動画データに関して非読取の設定がなされていた場合であっても、取得された状況が所定の条件を満足する動画データに関しては、例外的に読み取りを実行するようになっている。
【0117】
第3の実施の形態は、第1の実施の形態とはデータ取込処理のみが相違する。第3の実施の形態のデータ取込処理は、図8に示すデータ取込処理に対して、動画データに非読取の設定がなされていた場合(ステップS23にてNoの場合)の処理が相違している。図11は、この相違部分の処理の流れを示す図である。
【0118】
動画データに関して非読取の設定がなされていた場合は、まず、メモリカード9に記憶されている動画データのうちの一の動画データが、処理の対象となる注目データとして選択される(ステップS51)。
【0119】
次に、注目データが取得されたときの運行データ(車両Bの位置、速度及び加速度など)がファイルD1から読み出され、注目データが取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足するかが判定される(ステップS52)。例えば、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件である上記の条件(A)〜(D)のうち、衝突事故発生の蓋然性が高い条件(A)に該当するか否かが判定される。
【0120】
そして、注目データが取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足した場合は、重要データとしてメモリカード9から注目データが読み取られ、ハードディスク14のデータベース142に登録される(ステップS53)。一方、取得されたときの車両Bの状況が所定の条件を満足しない場合は、注目データの読み取りはなされない。
【0121】
このようにして、一の動画データに関する処理が完了すると、注目データとされていない未処理の動画データがメモリカード9に存在するかが判定される(ステップS54)。そして、存在していた場合は(ステップS54にてYes)、次の一の動画データが新たな注目データとして選択され(ステップS51)、取得されたときの車両Bの状況に応じて読み取りが実行される。このような処理が繰り返され、最終的にメモリカード9内の全ての動画データについて処理がなされ、取得された状況が所定の条件を満足する動画データのみが読み取られることになる。
【0122】
このように、読取の設定がなされなかった動画データであっても、取得された状況が所定の条件を満足する動画データについては例外的に読み取ることで、重要な動画データはデータ管理装置1に記録しておくことができる。
【0123】
なお、本実施の形態では、動画データのみに関して例外的な読み取りを行っているが、音声データや常時記録データに関しても、取得された状況が所定の条件を満足するか否かに応じて例外的な読み取りを実行するようにしてもよい。また、例外的な読み取りを実行する条件は、上記の例に限らず、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件とは無関係に、任意に設定されてよい。例えば、ドライブレコーダ2での動画データの取得条件である条件(A)よりも厳しい条件(例えば、0.60G以上の加速度が100ミリ秒以上継続して検出された場合。)としてもよい。
【0124】
<4.第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する手法を、オペレーティングシステムのバージョンに応じて選択していた。これに対して、第4の実施の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する手法を、メモリカード9の読み取り回数に応じて選択するようになっている。
【0125】
本実施の形態では、ドライブレコーダシステム100で扱うメモリカード9のそれぞれに識別情報(IDコード)が割り当てられている。そして、メモリカード9の識別情報(IDコード)ごとにデータ取込処理がなされた回数を示すカウンタが設定され、これらカウンタはデータ管理装置1のハードディスク14に記録されている。データ管理装置1においてデータ取込処理を実行するごとに、処理の対象となったメモリカード9のカウンタに「1」が加算されるようになっている。
【0126】
図12は、第4の実施の形態における全データ消去処理(図8のステップS30)の詳細な流れを示す図である。まず、処理の対象のメモリカード9のカウンタの値がハードディスク14から取得される。すなわち、当該メモリカード9のデータ管理装置1における読み取り回数が取得されることになる(ステップS61)。
【0127】
このカウンタの値が所定の回数(例えば10回)未満であれば(ステップS62にてYes)、フォーマットする手法は採用されず、ファイルを削除する手法により、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS63)。これにより比較的短時間で処理が実行される。
【0128】
一方、カウンタの値が所定の回数(例えば10回)以上であれば(ステップS62にてNo)、メモリカード9のフォーマットがなされ、メモリカード9内の全てのデータが消去される(ステップS64)。そして、メモリカード9のカウンタの値が「0」に戻される。
【0129】
メモリカード9の全データが削除されると、メモリカード9を次回の運行での記録に利用するために記録準備処理がなされる(ステップS65)。
【0130】
このような処理により、第4の実施の形態では、メモリカード9の読み取りを10回実施するごとに、メモリカード9のフォーマットが実行されることになる。メモリカード9をフォーマットせずに、ファイルの書込や削除を繰り返していると、メモリ領域の一部に不良が発生し、最終的にはデータの破損につながる可能性がある。本実施の形態では、読み取り回数に応じて定期的にメモリカード9のフォーマットを実行するため、このようなデータの破損を防止することが可能である。
【0131】
なお、上記の形態では、メモリカード9の読取回数を示すカウンタをデータ管理装置1に記録していたが、メモリカード9自体に記録するようにしてもよい。
【0132】
また、上記の形態では、カウンタの値が所定の回数以上であれば、自動的にフォーマットがなされるようになっているが、ユーザにフォーマットすることを促すダイアログ表示を行うようにしてもよい。
【0133】
また、上記の形態では、メモリカード9内の全てのデータを消去する全データ消去処理(図8のステップS30)においてフォーマットを実行するようにしていた。これに対して、読み取られたデータのみを消去する処理(図8のステップS31)においても、カウンタの値が所定の回数以上となる場合は、フォーマットを実行するようにしてもよい。この場合は、まず、非読取のコンテンツデータを一旦ハードディスク14にコピーする。続いて、メモリカード9のフォーマットを実施して、メモリカード9内の全てのデータを消去する。その後、ハードディスク14にコピーしておいた非読取のコンテンツデータをメモリカード9に書き戻せばよい。また、この場合も、フォーマットを実行せずに、単にユーザにフォーマットすることを促すダイアログ表示を行うようにしてもよい。
【0134】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態で説明した形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0135】
上記実施の形態では、ドライブレコーダシステム100をタクシー事業を行う事業者に適用した場合を例に説明したが、トラック、バス及び商用車などの業務用の車両を複数台使用して業務を行う事業者であれば、どのような事業者にも適用可能である。
【0136】
また、上記実施の形態では、可搬性の記録媒体としてメモリカード9を採用するとして説明を行ったが、読み書き可能なCD−ROMなどの記録ディスクや、可搬性のハードディスクなどを採用してもよい。
【0137】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 データ管理装置
2 ドライブレコーダ
5 設定ダイアログ
9 メモリカード
A 事業所
B 車両
11 CPU
14 ハードディスク
141 プログラム
142 データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置であって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける受付手段と、
前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って前記記憶装置に記録する読取手段と、
を備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理装置において、
前記読取手段によって読み取られた前記運行データを前記記録媒体から削除する削除手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ管理装置において、
前記読取手段によって読み取られた前記記録媒体の記録内容を削除する削除手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のデータ管理装置において、
前記運行データは、前記コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含み、
前記運行データを前記記録媒体から削除する場合に、該運行データに含まれる前記特定データを前記記録媒体に記録する記録手段、
を備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載のデータ管理装置において、
前記コンテンツデータは、該コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含むことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ管理装置において、
前記読取手段は、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのうちで、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータをさらに読み取ることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ管理装置において、
前記記録媒体をフォーマットする手法、及び、前記記録媒体に記録されたファイルを削除する手法の2つの手法を選択的に用いて、前記記録媒体の全ての前記コンテンツデータを消去する消去手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理装置において、
前記消去手段は、前記データ管理装置で動作するオペレーティングシステムに応じて前記2つの手法のいずれかを選択することを特徴とするデータ管理装置。
【請求項9】
請求項7に記載のデータ管理装置において、
前記消去手段は、消去対象となる前記記録媒体の前記読取手段による読み取りの回数に応じて、前記2つの手法のいずれかを選択することを特徴とするデータ管理装置。
【請求項10】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る方法であって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、
を備えることを特徴とするデータ読取方法。
【請求項11】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置であって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける受付手段と、
前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って前記記憶装置に記録する読取手段と、
を備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理装置において、
前記読取手段によって読み取られた前記運行データを前記記録媒体から削除する削除手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ管理装置において、
前記読取手段によって読み取られた前記記録媒体の記録内容を削除する削除手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のデータ管理装置において、
前記運行データは、前記コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含み、
前記運行データを前記記録媒体から削除する場合に、該運行データに含まれる前記特定データを前記記録媒体に記録する記録手段、
を備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載のデータ管理装置において、
前記コンテンツデータは、該コンテンツデータが取得された前記車両の状況を特定する特定データを含むことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ管理装置において、
前記読取手段は、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により非読取の設定がなされた種類のコンテンツデータのうちで、取得された状況が所定の条件を満足するコンテンツデータをさらに読み取ることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ管理装置において、
前記記録媒体をフォーマットする手法、及び、前記記録媒体に記録されたファイルを削除する手法の2つの手法を選択的に用いて、前記記録媒体の全ての前記コンテンツデータを消去する消去手段、
をさらに備えることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理装置において、
前記消去手段は、前記データ管理装置で動作するオペレーティングシステムに応じて前記2つの手法のいずれかを選択することを特徴とするデータ管理装置。
【請求項9】
請求項7に記載のデータ管理装置において、
前記消去手段は、消去対象となる前記記録媒体の前記読取手段による読み取りの回数に応じて、前記2つの手法のいずれかを選択することを特徴とするデータ管理装置。
【請求項10】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを読み取る方法であって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、
を備えることを特徴とするデータ読取方法。
【請求項11】
複数の車両のそれぞれに搭載されたドライブレコーダで記録されたデータを管理するデータ管理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記ドライブレコーダは、画像及び音声を含まない前記車両の走行状況を示す運行データと、前記画像及び音声の少なくとも一方を含む複数の種類のコンテンツデータとを、同一の可搬性の記録媒体に記録するものであり、
前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
前記コンテンツデータの前記複数の種類ごとに読取/非読取のユーザ設定を受け付ける工程と、
前記複数の車両それぞれの運行完了後に、当該車両の前記ドライブレコーダが記録した前記記録媒体の記録内容のうち、前記運行データと、前記複数の種類のうち前記ユーザ設定により読取の設定がなされた種類のコンテンツデータとを読み取って、前記複数の車両それぞれの前記ドライブレコーダで得られたデータを集約して記憶する記憶装置に記録する工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−76443(P2011−76443A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228217(P2009−228217)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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